JP7275499B2 - 脳機能改善用組成物 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明は以下を提供するものである。
[2]さらに(B)ヒドロキシプロリン、トリプトファン及びアスパラギンからなる群から選択される少なくとも1種を含有する[1]に記載の組成物。
[3]脳機能改善が、精神ストレス又は運動疲労による脳機能低下の改善である[1]又は[2]に記載の組成物。
[4]脳機能低下が、認知機能低下、慢性疲労症候群及び鬱からなる群から選択される少なくともひとつである[1]~[3]のいずれかに記載の組成物。
[5]組成物中の配合割合が、チロシンを1重量部とすると、セリン0.5~1.5重量部、アラニン0.5~1.5重量部、アスパラギン酸0.5~1.5重量部及びグルタミン酸0.5~2.5重量部である[1]~[4]のいずれかに記載の組成物。
[6]組成物中の配合割合が、チロシンを1重量部とすると、ヒドロキシプロリン0~2重量部、トリプトファン0~0.2重量部及びアスパラギン0~2重量部である[2]~[5]のいずれか1項に記載の組成物。
[7]1回当たりの単位包装形態からなり、該単位中に、(A)を1回摂取量として合計6mg~180g含有する、[1]~[6]のいずれかに記載の組成物。
[8]1回当たりの単位包装形態からなり、該単位中に、(A)及び(B)を1回摂取量として合計6mg~180g含有する、[2]~[7]のいずれかに記載の組成物。
[9]有効成分として、(A)チロシン、セリン、アラニン、アスパラギン酸及びグルタミン酸を含有する、疲労回復又は疲労抑制用組成物。
[10]さらに(B)ヒドロキシプロリン、トリプトファン及びアスパラギンからなる群から選択される少なくとも1種を含有する[9]に記載の組成物。
[11]組成物中の配合割合が、チロシンを1重量部とすると、セリン0.5~1.5重量部、アラニン0.5~1.5重量部、アスパラギン酸0.5~1.5重量部及びグルタミン酸0.5~2.5重量部である[9]又は[10]に記載の組成物。
[12]組成物中の配合割合が、チロシンを1重量部とすると、ヒドロキシプロリン0~2重量部、トリプトファン0~0.2重量部及びアスパラギン0~2重量部である[11]に記載の組成物。
[13]1回当たりの単位包装形態からなり、該単位中に、(A)を1回摂取量として合計6mg~180g含有する、[9]~[12]のいずれかに記載の組成物。
[14]1回当たりの単位包装形態からなり、該単位中に、(A)及び(B)を1回摂取量として合計6mg~180g含有する、[10]~[12]のいずれかに記載の組成物。
[15]医薬品である、[1]~[14]のいずれかに記載の組成物。
[16]食品である、[1]~[14]のいずれかに記載の組成物。
本発明により、脳内の神経伝達物質の低下を抑制することができるので、意欲低下や鬱症状等の改善にも有効な組成物を提供することができる。
本発明により、疲労を回復や抑制することができる組成物を提供することができる。
また本発明によれば、有効成分がアミノ酸であるため、長期に手軽に安全に摂取させることができる。
脳機能低下としては、認知機能低下、慢性疲労症候群、鬱、慢性疲労、おっくう感、意欲低下、集中力低下、記憶力低下、判断力低下などが挙げられる。なかでも本発明の組成物は、認知機能低下、意欲低下、集中力低下、記憶力低下、判断力低下の改善に好ましく使用される。
本発明の組成物により改善され得る認知機能低下には、アルツハイマー病、前頭側頭葉変性症(ピック病等)、レビー小体病、脳血管障害等、種々の疾患や病変に起因する認知症による認知機能の低下の他、加齢による認知機能低下や、健常者において観察される認知機能低下、たとえば記憶力、集中力、思考力、意欲、判断力、処理能力等の低下が含まれる。
また本発明の脳機能改善用組成物は、ヒトなどの対象に対する使用は、治療的使用であっても非治療的使用であってもよい。ここで、「非治療的」とは、医療行為を含まない概念、すなわち人間を手術、治療又は診断する方法を含まない概念である。
「疲労」とは、身体的あるいは精神的作業を連続して行った時の、倦怠感、不快感、脱力感などの自覚的疲労、作業能力の量的または質的低下を他覚的疲労、疲労の原因となっている生理的機能の変化である生理的疲労を意味する。具体的には、精神疲労、脳疲労、肉体疲労、筋肉疲労、肝臓疲労が挙げられる。
また疲労には、休養により容易に回復する疲労、疲労が蓄積した状態である過労、強い疲労のため動くことが困難な状態である疲憊又は極度疲労、長期にわたる疲労である慢性疲労が含まれる。
「疲労回復」とは、疲労を回復、改善、回復促進を意味しそれにより正常な状態に移行させることを意味し、「疲労抑制」とは、疲労を減弱させるだけでなく疲労を予防することを意味する。
また本発明の疲労回復又は抑制用組成物は、ヒトなどの対象に対する使用は、治療的使用であっても非治療的使用であってもよい。ここで、「非治療的」とは、医療行為を含まない概念、すなわち人間を手術、治療又は診断する方法を含まない概念である。
具体的には、無機塩基、有機塩基、無機酸、有機酸との塩およびアミノ酸との塩等が挙げられる。
有機塩基との塩としては、たとえばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンとの塩、モルホリン、ピペリジン等の複素環式アミンとの塩等が挙げられる。
無機酸との塩としては、たとえば、ハロゲン化水素酸(塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸等)、硫酸、硝酸、リン酸等との塩等が挙げられる。
有機酸との塩としては、たとえば、ギ酸、酢酸、プロパン酸等のモノカルボン酸との塩;シュウ酸、マロン酸、リンゴ酸、コハク酸等の飽和ジカルボン酸との塩;マレイン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸との塩;クエン酸等のトリカルボン酸との塩;α-ケトグルタル酸等のケト酸との塩等が挙げられる。
アミノ酸との塩としては、グリシン、アラニン等の脂肪族アミノ酸との塩;チロシン等の芳香族アミノ酸との塩;アルギニン等の塩基性アミノ酸との塩;アスパラギン酸、グルタミン酸等の酸性アミノ酸との塩;ピログルタミン酸等のラクタムを形成したアミノ酸との塩等が挙げられる。
本発明においては、チロシンは、遊離体が好ましく、セリンは、遊離体が好ましく、アラニンは、遊離体が好ましく、アスパラギン酸は、遊離体およびナトリウム塩等が好ましく、グルタミン酸は、遊離体およびナトリウム塩等が好ましく、ヒドロキシプロリンは、遊離体が好ましく、トリプトファンは、遊離体が好ましく、アスパラギンは、遊離体および水和物等が好ましい。
ここで本発明におけるアミノ酸とは、遊離アミノ酸を意味し、蛋白やペプチド中の構成アミノ酸は含まない。また、本明細書において、本発明における各アミノ酸の含有量は、L体のアミノ酸の含有量であって、当該アミノ酸が塩の形態で含有される場合、遊離体に換算した含有量で表す。なお本発明のアミノ酸組成物はD体のアミノ酸を含んでもよい。またDL体(L体:D体=1:1)のアミノ酸を含む場合にはL体のアミノ酸含有量に基づいて換算することができる。
セリンの投与量(摂取量)は成人1日あたり、通常1mg~100gの範囲であり、10mg~50gの範囲が好ましく、50mg~10gの範囲がより好ましく、50mg~1gの範囲がさらに好ましい。
アラニンの投与量(摂取量)は成人1日あたり、通常1mg~100gの範囲であり、10mg~50gの範囲が好ましく、50mg~10gの範囲がより好ましく、50mg~1gの範囲がさらに好ましい。
アスパラギン酸の投与量(摂取量)は成人1日あたり、通常1mg~100gの範囲であり、10mg~50gの範囲が好ましく、50mg~10gの範囲がより好ましく、50mg~1gの範囲がさらに好ましい。
グルタミン酸の投与量(摂取量)は成人1日あたり、通常1mg~100gの範囲であり、10mg~50gの範囲が好ましく、50mg~10gの範囲がより好ましく、50mg~1gの範囲がさらに好ましい。
ヒドロキシプロリンの投与量(摂取量)は成人1日あたり、通常1mg~100gの範囲であり、10mg~50gの範囲が好ましく、50mg~10gの範囲がより好ましく、50mg~1gの範囲がさらに好ましい。
トリプトファンの投与量(摂取量)は成人1日あたり、通常1mg~50gの範囲であり、10mg~10gの範囲が好ましく、50mg~1gの範囲がより好ましく、50mg~0.1gの範囲がさらに好ましい。
アスパラギンの投与量(摂取量)は成人1日あたり、通常1mg~100gの範囲であり、10mg~50gの範囲が好ましく、50mg~10gの範囲がより好ましく、50mg~1gの範囲がさらに好ましい。
上記成人1回あたりの量は、性別、年齢、疾患等の体の状態を加味して適宜変更しうる。
また、本発明の組成物は、本発明における(A)及び(B)以外のアミノ酸の組成物中に含有される割合が、組成物の合計重量に対して、遊離体に換算して、50重量%以下であり、40重量%以下が好ましく、30重量%以下がより好ましく、実質的に含有しないのがさらに好ましく、含有しないことが特に好ましい。実質的に含有しないとは、0.2重量%以下、好ましくは0.1重量%以下、より好ましくは0.05重量%以下を意味する。
結合剤としては、たとえば、ゼラチン、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン、セルロースおよびその誘導体(結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等)等が挙げられる。
崩壊剤としては、たとえば、クロスポビドン、ポビドン、結晶セルロース等が挙げられる。
滑沢剤としては、たとえば、タルク、ステアリン酸マグネシウム等が挙げられる。
被覆剤としては、たとえば、メタクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、メタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体、メタクリル酸メチル・メタクリル酸ブチル・メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチル・メタクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチル共重合体等が挙げられる。
溶剤としては、たとえば、精製水、注射用水、一価アルコール(エタノール等)、多価アルコール(グリセリン等)等が挙げられる。
溶解補助剤としては、たとえば、プロピレングリコール、中鎖脂肪酸トリグリセリド等が挙げられる。
粘稠剤としては、たとえば、水溶性高分子(ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー等)、多糖類(アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、トラガント等)等が挙げられる。
無痛化剤としては、たとえば、アミノ安息香酸エチル、クロロブタノール、プロピレングリコール、ベンジルアルコール等が挙げられる。
等張化剤としては、たとえば、塩化カリウム、塩化ナトリウム、ソルビトール、生理食塩水等が挙げられる。
pH調整剤としては、たとえば、塩酸、硫酸、酢酸、クエン酸、乳酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
防腐剤および保存剤としては、たとえば、パラベン(メチルパラベン等)、ベンジルアルコール、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸等が挙げられる。
甘味剤としては、たとえば、アスパルテーム、カンゾウエキス、サッカリン等が挙げられる。
香料としては、たとえば、l-メントール、d-カンフル、バニリン等が挙げられる。
着色剤としては、たとえば、タール色素(食用赤色2号、食用青色1号、食用黄色4号等)、無機顔料(三二酸化鉄、黄酸化鉄、黒酸化鉄等)、天然色素(ウコン抽出液、β-カロテン、銅クロロフィリンナトリウム等)等が挙げられる。
また本発明の組成物における(A)及び(B)の総含有量は、機能性の観点から、組成物の全量に対して、通常、10重量%~100重量%であり、好ましく50重量%~100重量%であり、より好ましくは60重量%~100重量%であり、さらに好ましくは70重量%~100重量%であり、特に好ましくは80重量%~100重量%である。
また上記1回ないしは1食摂取量中には、(A)及び(B)を合計で6mg~180g、好ましくは30mg~90g、より好ましくは60mg~45g含めることができる。
これにより、1回ないしは1食摂取量単位を摂取することで、必要量の当該アミノ酸を簡便に摂取することができる。
計量容器は上記のアミノ酸の1回摂取量を計量するための容器であれば特に限定されないが、例えば計量カップ、計量スプーンなどが挙げられる。1回に摂取する量は、上記1食当たりの単位包装形態に記載の量と同様である。計量容器で計りうる量はすりきり又は山盛りの量など、容器に合わせて決めることができる。また計量容器には1回の使用量などが表示されている目盛を有してもよい。
本発明の組成物をヒト以外の適用対象動物(以下、単に「対象動物」ともいう)に適用する場合、本発明の組成物の摂取量または投与量は、対象動物の種類、性別、体重等に応じて適宜設定すればよい。
本発明の医薬品は、錠剤、被覆錠剤、チュアブル錠、丸剤、(マイクロ)カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、エリキシル剤、リモナーゼ剤、シロップ剤、懸濁剤、乳剤、経口ゼリー剤等の経口製剤、溶液状、懸濁液状、乳液状等の注射剤、用時溶解または懸濁して用いる固形状の注射剤、輸液剤、持続性注射剤等の注射用製剤、経管液剤等の剤形とすることができる。
本発明の医薬品は、上記適用対象に対し、1日あたりに、本発明におけるアミノ酸の総量(遊離体に換算した量の総量)が、上記した1日あたりの投与量となるように、投与される。
たとえば、本発明の組成物を清涼飲料水等の飲料に添加し、所望により適当な風味を加えて、ドリンク剤とすることができる。
より具体的には、本発明の組成物は、たとえば、果汁飲料、スポーツ飲料等の清涼飲料水;牛乳、ヨーグルト等の乳製品;ゼリー、チョコレート、キャンディ、ビスケット等の菓子等に添加することができる。
本発明の食品は、液状、懸濁液状、乳状、ゲル状、クリーム状、粉末状、顆粒状、シート状、カプセル状、タブレット状等、種々の形態とすることができる。
さらに、本発明の食品は、本発明の組成物を各種食品原材料に加え、必要に応じて一般的な食品添加物を加えて、一般的な食品等の製造技術により、清涼飲料水(果汁飲料、スポーツ飲料、コーヒー飲料、茶系飲料等)、乳製品(乳酸菌飲料、発酵乳、バター、チーズ、ヨーグルト、加工乳、脱脂乳等)、畜肉製品(ハム、ソーセージ、ハンバーグ等)、魚肉練り製品(蒲鉾、竹輪、さつま揚げ等)、卵製品(だし巻き、卵豆腐等)、菓子(クッキー、ゼリー、チューイングガム、キャンディ、スナック菓子、冷菓等)、パン、麺類、漬物、干物、佃煮、スープ、調味料等、種々の形態の食品とすることができ、瓶詰め食品、缶詰食品、レトルトパウチ食品であってもよい。
本発明において、上記食品添加物は、1種または2種以上を用いることができる。
精神ストレスモデルでの短期記憶評価および海馬モノアミン量の測定
(1-1)精神ストレスモデルの作成
慢性疲労症候群のモデルや胃潰瘍モデルとして汎用されている水床ストレスモデル(疲労困憊モデル)を使用した。10週齢の雄性C57 BL/6Jマウス(22~28g)を摂餌・摂水が自由にできる水深0.5cmの水をはったケージで2日間飼育した。餌はAIN-93G組成食を使用した。
(1-2)この間、朝・夕に2回/日、試験群にはヒドロキシプロリン、アスパラギン、セリン、アラニン、チロシン、トリプトファン、アスパラギン酸、グルタミン酸配合のアミノ酸BAA溶液(1.2g/kg)、正常群及びコントロール群には水を20ml/kg用量で強制経口投与を実施した。BAAの組成比を表1、群構成を表2に示す。表1中のアミノ酸はL体かつ遊離体換算の値を示す。
(1-3)3日目の朝、アミノ酸BAA溶液(1.2g/kg)または水を20ml/kg用量で強制経口投与して一時間後に、後述のY-mazeを実施し、認知機能を評価した。その後に麻酔下で脳を採材した。また血液、肝臓、視床を採材した。
Y字迷路試験には、3本のarm(大きさ:長さ 40cm×幅 10cm×高さ 13cm)で接続されたY字型迷路装置を用いた。試験ではマウスをいずれかのarmの先端に置き、8分間迷路内を自由に探索させた。その際にマウスの後ろ足までarm内に入った場合をarmへの侵入と見なし、試験時間内にマウスがarm間を移動した回数の合計を総侵入回数とした。このうち、連続して異なる3つのarmを選択した組み合わせの合計を自発的交替行動数とした。自発的交替行動数を総進入回数から2を引いた数で割り、それに100を掛けて求めた値を自発的交替行動変化率(Alternation)とし、これを自発的交替行動の指標とした。有意差検定には、Holm-Sidak's multiple comparisons testを用いた(*:P<0.05)。
この試験から、マウスの自発行動量と空間作業記憶(ワーキングメモリー)について評価した。
結果は図1に示した。Y-maze(alternation)の値が高いほど、認知機能が高いことを示す。BAAはマウスの短期記憶を有意に改善した。
血液中の肝臓逸脱酵素を測定するために、富士ドライケムシステムを用いてグルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ(GOT)およびグルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(GPT)を測定した。
GOT、GPTは肝臓疲労時に肝臓から血液中に逸脱することが知られており、肝臓疲労の指標のひとつである。
結果は図2に示した。精神ストレスモデルにおいて血中GOT、GPTは有意に増加し、BAA組成物を介入するとGOT、GPTは抑制された。
肝臓および視床中のmRNAを常法により抽出し、ATF3遺伝子発現を解析した。プライマーはATF3-FとATF3-Rを使用した。
ATF3-F GAGGATTTTGCTAACCTGACACC(配列番号1)
ATF3-R TTGACGGTAACTGACTCCAGC(配列番号2)
ATF3は疲労因子として同定された転写因子であり、疲労時に各組織に発現することが知られている。
結果は図3に示した。精神疲労モデルでは肝臓および視床におけるATF3遺伝子発現が増加し、BAA組成物を介入するとATF3遺伝子発現は抑制された。
海馬をホモジナイズし、抽出した溶液をHPLCによってピーク分析し、ノルエピネフリン(NE)、ドパミン(DA)、セロトニン(5-HT)値を解析した。
結果は図4に示した。モノアミン値が高いほど、認知機能が高い可能性が示唆される。
海馬のモノアミン値は、コントロール群に比較してBAA投与によって増加した。
運動疲労モデルでの認知機能評価
(1)運動疲労モデルの作成
(1-1)雄性10週齢C57 BL/6Jマウス(22~28g)をトレッドミルにて疲労困憊状態まで走行させて運動疲労モデルを構築した。トレッドミルは開始後0~30分が20m/分の速度、30~60分は22m/minの速度で走行させ、60分以降は24m/minの速度で疲労困憊状態になるまで走行させた。走行をやめたマウスを仰向けにして、自力で起き上がれない状態を疲労困憊と判定した。
(1-2)走行直後、表3に示す組成比で調製した、アミノ酸溶液BAA及びBAA1~4または水を20ml/kg用量でそれぞれ強制経口投与し、その一時間後にNORT評価を行った。BAAおよびBAA1-4の組成比は表3、群構成を表4に示す。表3中のアミノ酸はL体かつ遊離体換算の値を示す(*:BAA4のアラニンのみDL-Alaを使用、L-Alaに換算すると14.35%)。
マウスは新規環境に入れると探索行動を開始し、時間経過により環境に馴化して行動量は減少する。物体認識に対しても同様に、新奇物体があれば探索行動が認められ、新奇性が低下すれば行動量も減少する。この物体に対する探索行動を指標として、学習・記憶を測定する方法がNORTである。
Pre:物体Aの探索時間/物体Aの探索時間+物体Bの探索時間
Test:物体Cの探索時間/物体Bの探索時間+物体Cの探索時間
Preとtestの認識指標を比較して、一度探索した対象物を記憶していれば新規対象物の探索割合を示すtestの認識指標が大きくなり、記憶していなければ指標はpreと比較して変化しない。
また、総探索時間が10秒以下の個体は試験から除外した。
Preとtestの有意差検定にはpaired t-testを用いた(*:P<0.05、**:P<0.01、***:P<0.001)。
結果は図5に示した。Sedは水を投与し運動疲労を起こさなかった群を示す。EXは運動疲労を起こした群であって、水またはBAAを投与した群を示す。test時のNORT(RI)の値がpre値と比較して有意に高いと、認知機能が高いことを示している。運動疲労を起こさなかった群では認知機能は高いが、運動疲労を起こした群は認知機能の低下が認められた。いっぽうBAA投与群は、運動疲労時の認知機能低下を改善したことを示した。また、BAA1-4においても同様に運動疲労時の認知機能低下の改善が示された。
肝臓、腓腹筋および視床中のmRNAを常法により抽出し、ATF3遺伝子発現を解析した。プライマーはATF3-FとATF3-Rを使用した。
結果は図6に示した。運動疲労モデルでは肝臓、腓腹筋および視床におけるATF3遺伝子発現が増加し、BAA4を介入するとATF3遺伝子発現は抑制された。
肝臓中のmRNAを常法により抽出し、Hamp遺伝子発現を解析した。プライマーはMA158770-FとMA158770-Rを使用した。
MA158770-F GCCTGAGCAGCACCACCTAT(配列番号3)
MA158770-R AGCATTTACAGCAGAAGATGCAGA(配列番号4)
Hampは肝臓で生産されて鉄代謝を制御するヘプシジンの遺伝子であり、肝臓の疲労時に発現量が増加することが知られている。
結果は図7に示した。運動疲労モデルでは肝臓におけるHamp遺伝子発現が増加し、BAA4を介入するとHamp遺伝子発現は抑制された。
Claims (18)
- 有効成分として、(A)チロシン、セリン、アラニン、アスパラギン酸及びグルタミン酸を含有する、脳機能改善用組成物であって、
当該組成物の合計重量に対して、遊離体に換算して、(A)以外のアミノ酸の含有される割合が50重量%以下、かつ(A)の含有される割合が50重量%~100重量%であり、脳機能改善が、精神ストレス又は運動疲労による認知機能低下の改善である組成物。 - さらに(B)ヒドロキシプロリン、トリプトファン及びアスパラギンからなる群から選択される少なくとも1種を含有する請求項1に記載の組成物。
- 組成物中の配合割合が、チロシンを1重量部とすると、セリン0.5~1.5重量部、アラニン0.5~1.5重量部、アスパラギン酸0.5~1.5重量部及びグルタミン酸0.5~2.5重量部である請求項1又は2に記載の組成物。
- 組成物中の配合割合が、チロシンを1重量部とすると、ヒドロキシプロリン0~2重量部、トリプトファン0~0.2重量部及びアスパラギン0~2重量部である請求項2又は3に記載の組成物。
- 1回当たりの単位包装形態からなり、該単位中に、(A)を1回摂取量として合計6mg~180g含有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
- 1回当たりの単位包装形態からなり、該単位中に、(A)及び(B)を1回摂取量として合計6mg~180g含有する、請求項2~5のいずれか1項に記載の組成物。
- 有効成分として、(A)チロシン、セリン、アラニン、アスパラギン酸及びグルタミン酸を含有する、疲労回復促進用組成物であって、
当該組成物の合計重量に対して、遊離体に換算して、(A)以外のアミノ酸の含有される割合が50重量%以下、かつ(A)の含有される割合が50重量%~100重量%であり、疲労が、肝臓もしくは視床における疲労又は精神疲労である組成物。 - さらに(B)ヒドロキシプロリン、トリプトファン及びアスパラギンからなる群から選択される少なくとも1種を含有する請求項7に記載の組成物。
- 疲労が、精神ストレスによる肝臓又は視床における疲労である、請求項7又は8に記載の組成物。
- 疲労が、精神疲労である、請求項7又は8に記載の組成物。
- 組成物中の配合割合が、チロシンを1重量部とすると、セリン0.5~1.5重量部、アラニン0.5~1.5重量部、アスパラギン酸0.5~1.5重量部及びグルタミン酸0.5~2.5重量部である請求項7~10のいずれか1項に記載の組成物。
- 組成物中の配合割合が、チロシンを1重量部とすると、ヒドロキシプロリン0~2重量部、トリプトファン0~0.2重量部及びアスパラギン0~2重量部である請求項8~11のいずれか1項に記載の組成物。
- (A)以外のアミノ酸の含有される割合が30重量%以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
- (A)以外のアミノ酸を実質的に含有しない、請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
- (A)以外のアミノ酸の含有される割合が30重量%以下である、請求項7~12のいずれか1項に記載の組成物。
- (A)以外のアミノ酸を実質的に含有しない、請求項7~12のいずれか1項に記載の組成物。
- 医薬品である、請求項1~16のいずれか1項に記載の組成物。
- 食品である、請求項1~16のいずれか1項に記載の組成物。
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