JPWO2003009403A1 - 磁気センサ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

導電性非磁性膜に対向する軟磁性膜を有し、比較的低い周波数のキャリア信号で大きなインピーダンス変化が得られる磁気インピーダンス型磁気センサを得るために、両端に少なくとも一対の電極端子を形成したジグザグ形状のメアンダ型導電性非磁性薄膜と複数の領域で対向する帯状でかつ帯状の幅方向に磁化容易軸を有する軟磁性膜とを有し、前記電極端子に高周波キャリア信号を印加するとともに、直流バイアス磁界を印加する。前記電極端子から出力されるAM変調信号をAM検波することにより外部磁界によって変化する導電性非磁性膜のインピーダンス変化を高周波キャリア信号の変化として検出し、外部磁界を検出することができる。

Description

技術分野
本発明は、磁気による導体のインピーダンス変化により外部磁界を検出する高感度磁気センサに関するものである。
背景技術
磁気あるいは磁界を高い感度で検出する磁気センサとして、磁気インピーダンス効果を利用する磁気インピーダンス素子が知られている。磁気インピーダンス素子では、軟磁性体の磁極に近接して設けられた導体に高周波の定電流を流す。この磁気インピーダンス素子を磁界中に置くと、磁界によって導体のインピーダンスが変化する。導体のインピーダンスのこの変化による高周波電圧の変化に基づいて磁気を検出する。
図42の(a)は電子情報学会技報MR95−80に報告されている従来の磁気インピーダンス素子の斜視図である。図において、導電性金属薄膜からなる検出導体膜101が軟磁性コア105及び106によって挟まれている。軟磁性コア105及び106はそれぞれ、図42の(b)の断面図に示すように、パーマロイ膜103とSiO膜104の積層体である。UHF帯の高周波発信器107から抵抗108を経て検出導体膜101にUHFキャリア信号の定電流の高周波電流109を流す。検出導体膜101の両端にそれぞれつながる導線の端子110及び111間において、矢印116で示す外部磁界によるインピーダンスの変化に基づく電圧変化を検出する。端子110及び111の間には、高周波電流109と、検出導体膜101の端子110及び111間のインピーダンスとの積に相当するキャリア信号電圧が発生する。外部磁界116が存在する場合には、軟磁性コア105、106の矢印102で示す方向に配向されている磁化容易軸の配向方向が外部磁界116によって、配向方向からずれる。その結果検出導体膜101のインピーダンスは外部磁界116が存在しない場合よりも減少する。このインピーダンスの減少はキャリア信号の外部磁界116による振幅変調信号として検出される。この振幅変調信号をAM検波することによって、外部磁界116を検出することができる。上記の磁気インピーダンス効果を利用する磁気センサでは、現在開発が進められているジャイアント磁気抵抗素子の約10倍の検出出力が得られる可能性がある。
図43は、図42の(a)に示す磁気インピーダンス素子の動作を示す特性曲線であり、磁界強度DCとキャリア信号レベルの関係を示している。キャリア信号の周波数を1.0GHzとし、磁気インピーダンス素子をヘルムホルツコイルの中央部において直流(DC)磁界を加え、磁界強度とキャリア信号レベルを測定している。高い感度で歪みの少ない検出出力を得るためには、図43に示すように、直線112で示す磁界強度の直流バイアス磁界を与える必要がある。
磁気インピーダンス素子のインピーダンスはキャリア信号の周波数と透磁率の積に比例する。従って周波数が上記のように高い場合には十分なインピーダンス変化が得られる。しかし、磁気センサの用途では比較的低い周波数のキャリア信号を用いる必要がある場合がある。例えば地磁気などの低いレベルの外部磁界を検出する場合には、1GHzよりはるかに低い10MHz〜20MHzのキャリア信号を使用する必要がある。そこでこのような比較的低い周波数のキャリア信号で十分なインピーダンス変化が得られる磁気インピーダンス素子が求められている。
発明の開示
本発明は、比較的低い周波数のキャリア信号で高いインピーダンス変化が得られる磁気インピーダンス素子を実現して高感度の磁気センサを得ることを目的とする。
本発明の磁気センサは、膜面に沿う所定の方向に磁化容易軸を有する軟磁性膜、前記軟磁性膜から電気絶縁物で隔てられてその上にジグザグに設けられ、前記軟磁性膜の磁化容易軸に並行する部分の長さが、前記磁化容易軸に直交する部分の長さより長くなされた帯状の導電性非磁性膜を有する。磁気センサはさらに、前記導電性非磁性膜に高周波電流を流すための高周波電源、及び前記高周波電流が流れる前記導電性非磁性膜の外部磁界によるインピーダンス変化に基づき前記外部磁界を検出する検出回路を有する。
この磁気センサは以下の作用及び効果を有する。外部磁界による磁束が、磁化容易軸に垂直な方向(磁化困難軸)で軟磁性膜を通ると、軟磁性膜の導電性非磁性膜に対向する部分の透磁率が減少する。その結果、磁気インピーダンス効果により導電性非磁性膜のインピーダンスが変化する。前記インピーダンスの変化は、外部磁界の強さに対応しているので、インピーダンスの変化に基づいて外部磁界の強さを検出することができる。ジグザグの導電性非磁性膜の、軟磁性膜の磁化容易軸に並行する部分の長さが、直交する部分の長さより長くなされている。これにより、軟磁性膜の透磁率の高い磁化困難軸の方向と、導電性非磁性膜を流れる高周波電流によって生じる磁束の方向とか並行する領域が多い。そのため比較的低い周波数の高周波キャリア信号を用いた場合でも、導電性非磁性膜のインピーダンス値を大きく設定でき、インピーダンス変化が大きく、高い感度で外部磁界を検出できる効果を有する。
本発明の他の観点の磁気センサは、帯状の膜の長手方向に対して垂直でかつ膜面に沿う方向に磁化容易軸を有する帯状の軟磁性膜、前記軟磁性膜の上に電気絶縁物を間に介してジグザグに設けられ、前記軟磁性膜の面内でその膜の磁化容易軸に並行する部分の長さが前記磁化容易軸に直交する部分の長さより長くなされた帯状の導電性非磁性膜を有する。磁気センサはさらに、前記導電性軟磁性膜に高周波電流を流すための高周波電源、及び前記高周波電流が流れる前記導電性非磁性膜の外部磁界によるインピーダンス変化に基づき前記外部磁界を検出する検出回路を有する。
他の観点の磁気センサによると、軟磁性膜を帯状にすることにより、前記の作用効果に加えて、外部磁界が加えられたとき、軟磁性膜に生じる反磁界を減少させることができる。その結果比較的低い周波数の高周波キャリア信号を用いる場合でも導電性非磁性膜のインピーダンス値とインピーダンス変化が大きく、高い検出感度を有する磁気センサが得られる。
本発明のさらに他の観点の磁気センサは、非磁性基板の主面に形成した、膜面に沿う所定方向に磁化容易軸を有する軟磁性膜、前記軟磁性膜の上に電気絶縁膜を間に介してジグザグに形成され、前記軟磁性膜の面内でその膜の磁化容易軸に並行する部分の長さが、前記磁化容易軸に直交する部分の長さより長くなされた帯状の導電性非磁性膜を有する。磁気センサはさらに、前記導電性非磁性膜の上に絶縁性保護膜を間に介して形成した、直流電流を流して前記軟磁性膜に直流バイアス磁界を与えるための導電性膜を有する。磁気センサはさらに、前記導電性非磁性膜に高周波電流を流すための高周波電源及び前記高周波電流が流れる前記導電性非磁性膜の外部磁界によるインピーダンス変化に基づき前記外部磁界を検出する検出回路を有する。
上記さらに他の観点の磁気センサによると、前記の各作用効果に加えて、軟磁性膜、導電性非磁性膜及び軟磁性膜に直流バイアス磁界を与えるための導電性膜が非磁性基板によって保持される。導電性膜に直流バイアス磁界を与えるための直流電流を流すことによって、磁気センサは外部磁界を高感度に検出できる効果を有する。
本発明のさらに他の観点の磁気センサは、非磁性基板の主面に形成した、帯状の膜の長手方向に対して垂直でかつ膜面に沿う方向に磁化容易軸を有する帯状の第1の軟磁性膜、前記軟磁性膜の上に第1の絶縁膜を介してジグザグに形成され、前記軟磁性膜の面内でその膜の磁化容易軸に並行する部分の長さが、前記磁化容易軸に直交する部分の長さより長くなされた帯状の導電性非磁性膜を有する。磁気センサはさらに、前記導電性非磁性膜の上に第2の絶縁膜を間に介して形成した、帯状の長手方向に対して垂直かつ膜面に沿う方向に磁化容易軸を有する第2の軟磁性膜、前記第2の軟磁性膜の上に絶縁性保護膜を介して形成した、直流電流を流して前記軟磁性膜に直流バイアス磁界を与えるための導電性膜を有する。磁気センサはさらに、前記導電性非磁性膜に高周波電流を流すための高周波電源、及び前記高周波電流が流れる前記導電性非磁性膜の外部磁界によるインピーダンス変化に基づき前記外部磁界を検出する検出回路を有する。
上記のさらに他の観点の磁気センサによると、前記の各作用効果に加えて以下の作用効果を有する。帯状の導電性非磁性膜が、第1及び第2の軟磁性膜に挟まれているので、軟磁性膜の総厚が実質的に倍増する。このためこの磁気センサに外部磁界が加えられたときの反磁界は増加するが、導電性非磁性膜のインピーダンスの絶対値は倍増する。検出回路の検出出力レベルはインピーダンスの値に比例するので、検出出力のレベルは高くなり検出出力のSN比が高くなる。
本発明の他の観点の磁気センサは、軟磁性膜によって形成された閉磁路を有する少なくとも1つの軟磁性膜、前記軟磁性膜の閉磁路を貫通して設けられた、直流電流を流すための導電性膜、及び前記軟磁性膜の閉磁路を貫通して、前記導電性膜との間に絶縁を保ちつつ設けられた、高周波電流を流すための導電性非磁性膜、を有することを特徴とする。
本発明によれば、直流電流を流す導電性膜が軟磁性膜の閉磁路を貫通しているので、少ない直流電流で大きな直流バイアス磁界を得ることができる。
本発明の磁気センサの製造方法は、非磁性基板の上面に下部軟磁性膜となる帯状の少なくとも1つの第1の軟磁性膜を形成するステップ、前記第1の軟磁性膜の上に第1の絶縁膜を介して第1の導電性膜及び、導電性の第1の接続部及び第2の接続部を形成するステップ、前記第1の導電性膜の上に、第2の絶縁膜を介して導電性非磁性膜を形成するステップ、前記導電性非磁性膜の上に第3の絶縁膜を形成するステップ、前記第1の導電性膜及び導電性非磁性膜を含む近傍の前記第1、第2及び第3の絶縁膜を残し、前記第1の軟磁性膜の上の前記第1、第2及び第3の絶縁膜を除去するステップ、前記第1の軟磁性膜及び前記残された第1、第2、第3の絶縁膜の上に第2の軟磁性膜を設け、閉磁路を形成するステップ、前記第2の軟磁性膜を含む全面に第4の絶縁膜を形成するステップ、前記第1及び第2の接続部上の第2、第3及び第4の絶縁膜を除去してスルーホールを形成し、前記第1及び第2の接続部を露出させるステップ、両端部が前記第1及び第2の接続部にそれぞれ電気的に接続される電気導体の接続線を、前記第4の絶縁膜94の上に形成し、隣接する他の閉磁路を通る第1の導電性膜との接続を行うステップを有する。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の磁気センサの好適な実施例を図1から図41を参照して説明する。
第1実施例
本発明の第1実施例の磁気センサ9について、図1から図7を参照して説明する。
図1は本発明の第1実施例の磁気センサ9の平面図である。図2は、内部の構成を分かり易くするするため、図1の直流バイアス磁界印加用の銅(Cu)の導電性膜6を取り除いた場合の平面図を示す。図が煩雑になるのを避けて理解を容易にするために、図1及び図2を含むすべての平面図において表面に存在する凹凸の図示を省略している。図3の(a)は図1のIII−III断面図であり、図3の(b)は図3の(a)の部分拡大断面図である。断面図において、図が煩雑になるのを避けるため断面を示すハッチングは施していない。
図1、図2及び図3の(a)及び図3の(b)において、非磁性基板1の上の中央領域に厚さ1μmのFe−Ta−Nの軟磁性膜4を形成する。非磁性基板1は、例えば、ニッケルの酸化物のNiO、チタンの酸化物のTiO、マグネシウムの酸化物のMgOを含むセラミック(以下、Ni−Ti−Mgと記す)が適している。軟磁性膜4は、膜面に沿う矢印80の方向に磁化容易軸を有するように形成されている。軟磁性膜4の上に厚さ0.1μmのSiOの絶縁膜5を形成する。絶縁膜5の上に、図2に示すように両端に電極端子3及び3Aを有する厚さ1μmのCuのメアンダ形(meander:ジグザグ状の)導電性非磁性膜7を形成する。メアンダ型の導電性非磁性膜7の、矢印80の方向に平行な部分である導電性非磁性膜7A、7Bの長さは、矢印80の方向に垂直な部分である導電性非磁性膜7C、7Dの長さより長くなされている。図2において、導電性非磁性膜7C及び7Dが軟磁性膜4の外部へはみ出すように、導電性非磁性膜7A、7Bの長さは、軟磁性膜4の矢印80の方向での長さより長くなされている。図3の(a)においては、電流が紙面の手前側から向う側へ向かって流れるときの導電性非磁性膜を7Aとし、その逆方向に流れる導電性非磁性膜を7Bと表示している。
次に導電性非磁性膜7を含む絶縁膜5の上に厚さ1.0μmのSiOの保護膜8を図3の(a)に示すように形成する。保護膜8の上に、図1に示すように両端部にそれぞれ電極2A及び2Bを有する、導電性膜6を形成する。導電性膜6の大きさは軟磁性膜4の大きさとほぼ同じである。導電性膜6の電極2A及び2B、及び電極2A、2Bと導電性膜6との接続部には、大きな電流容量を有するように、厚さ約4μmの金(Au)等の安定な金属の膜を形成している。なお、前記の電極3及び3Aに関しても同様に厚くしてもよい。
導電性膜6の電極2A及び2Bに直流電源10の負極及び正極をそれぞれ接続し、導電性膜6に直流電流を流す。導電性非磁性膜7の電極端子3及び3Aには抵抗12を経て周波数10MHz〜20MHzの高周波発振器を有する定電流高周波電源11を接続し、定電流の高周波電流を流す。さらに電極端子3及び3AにAM検波器を有する高周波増幅器13の両入力端をそれぞれ接続する。図3の(a)及び図3の(b)に示す様に、導電性膜6を直流電流が紙面に垂直に手前から奥に向かって流れる。図の左右方向において、導電性膜6の幅と軟磁性膜4の幅とをほぼ同じにしているので、導電性膜6の周りに点線の矢印14で示す直流磁界が発生する。この直流磁界14により、磁束が、図3の(b)に拡大して示したように、軟磁性膜4を右端から左端に通り、軟磁性膜4に直流バイアス磁界(Hbias)として作用する。
高周波電源11から供給される定電流の高周波キャリア電流はミアンダ形の導電性非磁性膜7を流れる。図3の(b)は、導電性非磁性体膜7の断面7Aを紙面に垂直に手前から奥に向かって電流が流れ、導電性非磁性膜7の断面7Bにはその反対の方向に電流が流れている瞬間を示す。この電流は前述の10MHz〜20MHzの高周波の交流電流であるため、それぞれ矢印15に示す様に時計方向及び反時計方向に交流の半波ごとに交互に反転する交流磁界を発生する。この交流磁界と矢印14で示す直流バイアス磁界により、導電性非磁性膜7の高周波電流に対するインピーダンスが決まる。
図1及び図2に示す様に、矢印16で示す方向の測定対象である外部磁界Hex(以下、外部磁界Hex16とする)が磁気センサ9の軟磁性膜4の長手方向に加えられる。この外部磁界Hex16の大きさに応じて、直流バイアス磁界が与えられている軟磁性膜4の透磁率が変化する。その結果導電性非磁性膜7のインピーダンスが変化する。これにより、電極端子3及び3A間に高周波電流とインピーダンスの積である高周波電圧が生じる。この高周波電圧は、高周波キャリア信号が外部磁界Hex16の大きさに応じて振幅変調(AM)された信号である。この振幅変調信号を高周波増幅器13によりAM検波し増幅して外部磁界Hex16の検出信号が得られる。導電性非磁性膜7A及び7Bを流れる高周波電流によって発生する磁界は、一部は相互に他方の領域にも広がるものの、その大部分は図3の(b)に矢印15で示すように、それぞれの下部領域の軟磁性膜4に局所的に集中する。そのため、軟磁性膜4と、導電性非磁性膜7A及び7Bとが対向する領域において直流バイアス磁界に重畳する高周波磁界が生じる。軟磁性膜4と導電性非磁性膜7との対向領域は複数個所(図2では8箇所)あるので、対向領域の数(n)の増加とともに対向領域相互間の相互インダクタンスによるインピーダンスが増加する。このインピーダンスは、図2において隣接する導電性非磁性膜7Bと7E間の間隔Tや膜幅Dを変えることで調整することができる。
図2において、軟磁性膜4と導電性非磁性膜7との1つの対向領域70において導電性非磁性膜7に生じるインピーダンスをZ0とすれば、図3の(b)のように対向領域の数(n)が2の場合には、図4に示すように、直流バイアス磁界がHbiasのときインピーダンス値は2×Z0となる。図5は長さL、幅Wの矩形状のFe−Ta−Nの軟磁性膜4を測定すべき外部磁界Hex16中に置いた状態を示す平面図である。図5の軟磁性膜4に生じる反磁界を調べたところ、軟磁性膜4の形状によって、反磁界の大きさが大幅に異なることが分かった。図6は図5に示す軟磁性膜4の寸法比L/Wを変えて、軟磁性膜4の中心線(c)−(d)における磁束密度B(縦軸)と外部磁界Hex16(横軸)との関係を測定した結果のグラフである。軟磁性膜4は、幅W方向に磁化容易軸を有する厚さtが1μmのFe−Ta−Nの膜を用いた。外部磁界Hex16の方向と軟磁性膜4の磁化容易軸に垂直な磁化困難軸との方向が一致すると磁化の回転がスムーズに行われ高い透磁率が得られる。そのため図6に示すように、寸法比L/Wの値が大きくなるほど、弱い外部磁界Hex16においても磁束密度Bが高くなる。これは電磁気学でよく知られている、軟磁性膜4の形状によって生じる反磁界の影響と考えられる。図7は、寸法比L/Wを1とし、パラメータである軟磁性膜4の厚さtを変えて軟磁性膜4の中心線(c)−(d)における磁束密度Bと測定対象の外部磁界Hexとの関係を測定したグラフである。外部磁界Hexとして強度が0.3Oe(SI単位系では24A/m)程度以下の地磁気を測定する場合には、反磁界への影響を考慮して軟磁性膜4の厚みを1μm以下、寸法比L/Wを5以上にするのが望ましい。反磁界の強さは軟磁膜4の厚さが薄く、寸法比L/Wが大きいほど小さくなる。
図7に示すように、軟磁性膜4が薄いほど、弱い外部磁界Hexにおいても高い磁束密度Bが得られる。図7から、寸法比L/Wの値を1にした場合には、軟磁性膜4の厚さは0.2μm以下が好ましい。しかし軟磁性膜4の厚さtがあまり薄いと高周波での導電性非磁性膜7のインピーダンスが小さくなる。そこで、発明者等が種々の実験を行った結果、前記寸法比L/Wを10以上とし、軟磁性膜4の厚さtを3μm以下にする。このようにすると0.3Oe(24A/m)程度の地磁気を感度よく検出できることが分かった。これにより10MHz〜20MHz程度の比較的低い周波数の高周波キャリア信号を用いる磁気インピーダンス素子で、軟磁性膜4の膜厚を3μm以下にすることにより高い検出感度を有する磁気センサを得ることができる。低い周波数のキャリア信号を用いうるので、センサへの配線の長さや形状変化による誤差も減少する。
第2実施例
本発明の第2実施例の磁気センサを、図8から図12を参照して説明する。
磁気インピーダンス効果を利用する磁気センサに印加する高周波キャリア信号の周波数が比較的低い10MHz〜20MHzの場合、前記図1の磁気センサ9の導電性非磁性膜7のインピーダンスは、主として前記の周波数と導電性非磁性膜7のインダクタンスとの積で決まる。そこで本実施例では、前記第1実施例の軟磁性膜4の反磁界を減らして導電性非磁性膜7のインダクタンスが大きくなるようにし、地磁気などの弱い磁界に対してもインピーダンスが大きく変化するようにする。
図8は第2実施例の磁気センサの平面図である。図において、Ni−Ti−Mgの非磁性基板1の上に、第1実施例で説明した反磁界を小さくするため、寸法比L/Wを10以上の大きな値にした細い帯状のFe−Ta−Nの軟磁性膜44を複数個形成する。複数の帯状の軟磁性膜44を並行配置したものが、第1実施例の軟磁性膜4に相当する。軟磁性膜44はその膜面に沿う幅方向(矢印80)に磁化容易軸を有する。図9に示すように、軟磁性膜44の上に絶縁膜5を介して軟磁性膜44に直交するメアンダ形の導電性非磁性膜7を形成する。図9において、軟磁性膜44は絶縁膜5の下にあり、導電性非磁性膜7は絶縁膜5の上にある。図8に示すように、導電性非磁性膜7及び絶縁膜5の上に図1と同じ材質及び形状の導電性膜6を形成して磁気センサ9Aを構成する。図9は導電性非磁性膜7の構成を分かり易くするため、図8の導電性膜6を取り除いた状態の平面図を示す。図8のIII−III断面図は、実質的に図3の(a)と同じである。
本実施例の磁気センサ9Aでは、軟磁性膜44に生じる反磁界が図1の軟磁性膜4に比べて著しく減少する。また各軟磁性膜44と導電性非磁性膜7との対向部70Aの数が、軟磁性膜44の数を増すことにより増加する。その結果として図1の構成に比べてインピーダンス値が大きくなるとともに大きなインピーダンス変化が得られる特徴がある。
図10は第2実施例の他の例の構成の磁気センサ9Bの平面図である。この構成では図11の(a)、及び図11の(a)の一部分を拡大した断面図の図11の(b)に示すように、Ni−Ti−Mgの非磁性基板1の上にまず直流バイアス磁界印加用の導電性膜6を形成する。導電性膜6の上にSiO膜21を介して軟磁性膜44を形成する。軟磁性膜44とSiO膜21の上に絶縁膜5を形成する。絶縁膜5の上にメアンダ型の導電性非磁性膜7を形成する。導電性非磁性膜7を含む絶縁膜5の上に保護膜として厚さ約1μmのSiOの絶縁膜8を形成する。図11の(a)の構成では、導電性膜6の形成が製造上容易であるとともに、非磁性基板1の平坦な面に導電性膜6を形成するため、導電性膜6の表面も平坦となり、平坦な面の上に形成する絶縁膜21を相当薄くしても十分絶縁が保たれる。これにより、導電性膜6と軟磁性膜44との距離が小さくなり、導電性膜6によって発生する点線の矢印14で示す強いバイアス磁界が軟磁性膜44に与えられる。その結果導電性膜6に流す直流電流を、図1の構成のものより減らすことができる。すなわち直流バイアス電源10の消費電力を減らすことができる特徴がある。
図12は軟磁性膜44の幅W1(図10)をパラメータとした、導電性非磁性膜7のインピーダンスZと外部磁界Hexとの関係を示すグラフである。曲線C1、C2、C3はそれぞれ幅W1が10μm、100μm、400μmのときのグラフである。インピーダンスZは測定すべき外部磁界Hexが零の場合のインピーダンス値でそれぞれ規格化して示している。軟磁性体膜44の厚さは3μm、長さLは1mmである。この磁気センサ9Bを外部磁界中において測定した。その結果、図12に示す様に軟磁性膜44の幅W1が小さいほど弱い被測定外部磁界Hexにおいてもインピーダンス変化が大きいことが分かった。磁界の強さが弱い地磁気の測定には、曲線C1及びC2のもの(幅W1が10μm又は100μm)が適している。曲線C3のものは感度が悪く地磁気の検出には不適当であった。以上の結果より軟磁性膜44の幅W1は100μm以下が適しており、寸法比L/W1は10以上がよいことが判明した。メアンダ型導電性非磁性膜7の膜厚及び膜幅は、それぞれ、1.0μm及び10μmとした。第2実施例の磁気センサの具体例として、導電性非磁性膜7の長さK及び幅Tはそれぞれ1mm及び100μmとし、軟磁性膜44の幅W1は40μm、長さLは1mmにするのが望ましい。
本実施例では、寸法比L/W1を10以上とした、膜厚3μm以下の複数の軟磁性膜44をメアンダ型導電性非磁性膜7と対向させる。これによって、10MHz〜20MHzの比較的低いキャリア周波数を用いる場合でも、導電性非磁性膜7の外部磁界によるインピーダンス変化を大幅に増加させることができる。このように低い周波数のキャリア信号を用いうるので、センサへの配線の長さや形状変化による誤差も減少できる。
第3実施例
本発明の第3実施例の磁気センサ9Cについて図13から図15を参照して説明する。
図13は本発明の第3実施例の磁気センサ9Cの平面図であり、図14の(a)及び(b)は図13のXIV−XIV断面図である。図14の(a)及び部分拡大断面図の図14の(b)において、Ni−Ti−Mgの非磁性基板1の上にコバルト(Co)と白金(Pt)を含む膜(以下、Co−Pt膜という)18を形成する。膜18に図の左右方向でそれぞれN及びS極が形成されるように着磁する。これによりCo−Pt膜18は永久磁石膜18となる。永久磁石膜18の上に、永久磁石膜18とほぼ同じ領域に、前記第2実施例のものと同様の帯状の軟磁性膜44を形成する。次に軟磁性膜44と永久磁石膜18を覆うように、絶縁膜5を形成する。絶縁膜5の上にメアンダ型の導電性非磁性膜7を形成する。導電性非磁性膜7の上に保護用膜として厚さ約1μmのSiOの絶縁膜8を形成して磁気センサ9Cを構成する。
本実施例の磁気センサ9Cでは、図14の(b)に示すように、永久磁石膜18による点線の矢印22で示す磁束が軟磁性膜44を通り、軟磁性膜44に直流バイアス磁界を与える。従って本実施例では直流バイアス磁界を発生するための直流電源を必要としない。導電性非磁性膜7に高周波電流を流すと、図14の(b)に点線の矢印15で示す交流磁界が生じる。
図15の(a)及び部分拡大図の図15の(b)は本実施例の他の例の磁気センサを示す断面図である。図において、Ni−Ti−Mg非磁性基板1の上に帯状の軟磁性膜44を形成する。次に軟磁性膜44を含む非磁性基板1の上に絶縁膜5を形成する。絶縁膜5の上にメアンダ型の導電性非磁性膜7を形成するとともに、導電性非磁性膜7の上にCo−Pt膜19を形成する。Co−Pt膜19を軟磁性膜44の長手方向(図15の(b)の左右方向)に着磁して、図15の(b)の部分拡大断面図に示すように、Co−Pt膜19の幅方向、すなわち軟磁性膜44の長手方向にN、Sの磁極を有する永久磁石膜19にする。永久磁石膜19からの磁束20によって導電性非磁性膜7に対向する軟磁性膜44に直流バイアス磁界が印加される。一般に、軟磁性体に直流磁界を印加すると透磁率が減少する。本実施例では、軟磁性膜44には、永久磁石膜19との対向部にのみ直流バイアス磁界が印加され他の大部分には印加されない。従って軟磁性膜44において透磁率の低下する部分が限定され、軟磁性膜44全体の透磁率の低下が避けられる。すなわち、軟磁性膜44の大部分が元の透磁率を保つ。そのため外部磁界Hex16により軟磁性膜44を通過する磁束の密度があまり低下せず、外部磁界による磁束が導電性非磁性膜7のインピーダンス変化に与える作用を最大限に利用することができる。これにより高い感度を有する磁気センサが得られる。
第4実施例
本発明の第4実施例の磁気センサ9Dについて図16を参照して説明する。
図16の(a)及び図16の(b)は本発明の第4実施例の磁気センサ9Dの断面図である。磁気センサ9Dの平面図は図8と類似である。図16は、図8のIII−III断面と同じ断面を示す断面図である。本実施例の磁気センサ9Dでは、図14の(a)に示す磁気センサ9Cの保護膜8の上に導電性膜6を形成しており、その他の構成は磁気センサ9Cと同じである。磁気センサ9Cでは、永久磁石膜18の磁界で直流バイアス磁界を与えるが、軟磁性膜44の磁気特性のばらつきや、永久磁石膜18の磁力のばらつき等によって最適な直流バイアス磁界を与えることはむずかしい。図16の(a)の磁気センサ9Dでは導電性膜6に微少な直流電流を流すことによって点線の矢印14で示す弱い直流バイアス磁界を発生させる。この直流電流による直流バイアス磁界を、図16の(b)に点線の矢印22で示す永久磁石膜18による主たる直流バイアス磁界に重畳させることによって、永久磁石膜18による直流バイアス磁界の強さを微調整することができる。導電性膜6の電流を加減することによって、直流バイアス磁界を増減できるので、最適な直流バイアス磁界を容易に形成することができる。したがって高い感度を有する磁気センサが得られる。
第5実施例
本発明の第5実施例の磁気センサ9Eを図17から図20を参照して説明する。図17は本実施例の磁気センサの平面図であり、図18は図17の導電性膜6を取り除いて軟磁性膜44と導電性非磁性膜7の構成を分かり易くした平面図である。図19の(a)は図17のXIX−XIX断面図であり、図19の(b)は図19の(a)の一部分の拡大断面図である。図18及び図19の(a)において、Ni−Ti−Mg非磁性基板1の中央領域に複数の帯状の第1の軟磁性膜44を形成し、その上を覆うように絶縁膜5を形成している。絶縁膜5の上にメアンダ型の導電性非磁性膜7を形成し、導電性非磁性膜7を含む絶縁膜5の全面にSiOの絶縁膜24を形成する。次に絶縁膜24の上に、軟磁性膜44と同じ形状でかつ同じ材質の第2の軟磁性膜23を、各軟磁性膜44の真上に位置するように形成する。さらに軟磁性膜23を含む絶縁膜24の全面に保護膜8を形成し、保護膜8の上に導電性膜6を形成している。
本実施例の構成では、導電性非磁性膜7が2つの軟磁性膜23と44によって挟まれているので、軟磁性膜の総厚が実質的に2倍になる。この構成によって、導電性非磁性膜7を流れる高周波電流による磁束は、図19の(b)に矢印15で示すように、軟磁性膜23及び44を含む閉ループを通るので磁束密度が高くなる。
磁気インピーダンス素子では、軟磁性膜の厚さに比例して磁気インピーダンスの絶対値が増加する。また軟磁性膜の厚さが増加すると、外部磁界による反磁界も増加するため磁気センサとしての感度は低くなる。しかしインピーダンスが大きいと、インピーダンスと高周波キャリア電流との積である検出出力レベルは大きくなり、検出出力のSN比が高くなる。本実施例の磁気センサはたとえ検出感度が低くても、高い検出出力が得られる方が望ましい用途に適している。
本実施例の磁気センサでできるだけ反磁界を小さくし、感度を高くするためには、軟磁性膜23及び44の膜厚をそれぞれ1.5μm以下とし、総厚を3μm以下にするのが望ましい。
図19の(a)において、導電性膜6に直流電流を流すと、矢印14で示す直流バイアス磁界の磁束が生じる。直流バイアス磁界の磁束は、図19の(b)に示すように、軟磁性膜23、44をそれぞれ点線の矢印25、26で示すように通り、直流バイアス磁界を与える。
図20の(a)及び図20の(b)は、本実施例の他の例の磁気センサをホトリソグラフィ法を用いて製作した場合の構造を示す断面図である。ホトリソグラフィ法を用いることにより、図19の(b)における絶縁膜5及び24を、図20の(b)の絶縁膜5A及び24Aのように、導電性非磁性膜7の周囲のみに形成することが可能となる。この構造により隣り合う導電性非磁性膜7の間では2つの軟磁性膜23と44が接触する。これにより、導電性非磁性膜7の周りに生じる点線の矢印15で示す高周波磁界の磁束が、導電性非磁性膜7の近傍に集まり、隣り合う導電性非磁性膜7のそれぞれの磁界が互いに影響を与え合う相互作用が減少する。この相互作用の減少によりインピーダンス値が大きくなる。またメアンダ型導電性非磁性膜7の間隔Tを減らすことができるためインピーダンス値をさらに大きくすることが可能となる。そのため、外部磁界Hex16が与えられたときの導電性非磁性膜7のインピーダンス変化はさらに増大し、磁気センサの検出感度が高くなる。
第6実施例
本発明の第6実施例の磁気センサ9Fについて図21から図23を参照して説明する。
図21は本発明の第6実施例の磁気センサ9Fの平面図であり、図22の(a)は図21のXXII−XXII断面図である。図21では最上層の保護膜8を取り除いた状態を示している。図22の(b)は図22の(a)の部分拡大断面図である。図21及び図22の(a)において、Ni−Ti−Mg非磁性基板1の上に帯状の複数の第1の軟磁性膜44を形成する。軟磁性膜44を含む非磁性基板1の上に、軟磁性膜44の図において左右方向の幅W3より少ない幅W4のCo−Pt膜18を形成する。Co−Pt膜18の上に絶縁膜5Aを介してメアンダ型の導電性非磁性膜7を形成する。メアンダ型導電性非磁性膜7の周囲に絶縁膜24Aを形成した後、導電性非磁性膜7の周囲の絶縁膜24A及び前記Co−Pt膜18を含む面に、軟磁性膜44と同じ形状で同じ材質の他の第2の軟磁性膜23を、軟磁性膜44の真上に位置するように形成する。
さらに軟磁性膜23を含む全面に保護膜8を形成する。Co−Pt膜18に図の左右方向にN及びS極が形成されるように着磁して、Co−Pt膜18を永久磁石にする。Co−Pt膜18の幅W4を軟磁性膜23、44の幅W3より少なくしたことにより、軟磁性膜23と44は両端部で接触する。これによりCo−Pt膜18の永久磁石による磁束が点線の矢印22で示すように軟磁性膜23及び44を通り、両軟磁性膜23及び44に直流バイアス磁界が印加される。
図23の(a)は、本実施例の他の構成例を示す図22と同じ断面を示す断面図であり、図23の(b)は図23の(a)の部分拡大断面図である。
図23の(a)及び図23の(b)に示す構成では、導電性非磁性膜7の幅W5より若干広い幅W6のCo−Pt膜19を絶縁膜5Aを介して導電性非磁性膜7に対向させている。このような形状のCo−Pt膜19はホトリソグラフィ法を用いて形成することができる。Co−Pt膜19は図の左右方向にN及びS極が形成されるように着磁されて永久磁石となる。図23の(b)に示すように、永久磁石のCo−Pt膜19による磁束が点線の矢印20で示すように軟磁性膜23、44を通り、両軟磁性膜23、44の導電性非磁性膜7の近傍の部分に局部的な直流バイアス磁界を与える。軟磁性膜23、44全体に直流バイアス磁界を与えると、軟磁性膜23、44全体の透磁率が低下する傾向がある。図23に示す構成では、直流バイアス磁界が導電性非磁性膜7の近傍の軟磁性膜23、44のみに与えられるので軟磁性膜23、44の透磁率の低下が局部に限定され全体的な低下を避けることができる。その結果、外部磁界による導電性非磁性膜7のインピーダンス変化が大きくなり、高い検出感度が得られる。
Co−Pt膜19による磁界は軟磁性膜23、44による閉ループ磁気回路内にとどまり、磁束の外部への漏れが少なくなる。そのためこの磁気センサを組み込む機器内の他の部品等に与える磁気的影響を最少にとどめることができる。
本実施例では、永久磁石のCo−Pt膜18又は19により直流磁気バイアスを与えるので、前記の第1、第2、第5実施例のように導電性膜6に直流電流を流して直流バイアス磁界を与えるための直流電源が不要である。この点から本実施例の磁気センサは消費電力が少ない。
第7実施例
本発明の第7実施例の磁気センサ9Gについて図24及び図25を参照して説明する。
図24は本発明の第7実施例の磁気センサ9Gの平面図である。図25の(a)は図24のXXV−XXV断面図であり、図25の(b)は図25の(a)の部分拡大断面図である。図25の(b)において、Ni−Ti−Mg非磁性基板1の上に導電性膜6を形成し、導電性膜6の上に前記第6実施例の図23の(b)に示す各要素と同様の、磁性膜44及び23、導電性非磁性膜7、Co−Pt膜19及び保護膜8を形成する。本実施例の磁気センサ9Gでは、主たる直流バイアス磁界は永久磁石のCo−Pt膜19によって与えられる。Co−Pt膜19による直流バイアス磁界の強さが最適値でない場合には、導電性膜6に直流電流を流して直流バイアス磁界を微調整する。導電性膜6に流す直流電流は微少な電流であるので消費電力は比較的少ない。
導電性膜6に流す直流電流の方向は、Co−Pt膜19の永久磁石による直流バイアス磁界の強さが最適値より大きいときは、永久磁石による磁界を打消すようにする。また逆に永久磁石による直流バイアス磁界の強さが最適値より小さいときは前記導電性膜6の直流電流の方向を逆にしてその直流バイアス磁界が、永久磁石の磁界に加えられるようにする。このようにして導電性膜6の直流電流の方向及び電流値を選定することにより最適な直流バイアス磁界を生成することができる。導電性膜6は非磁性基板1の平坦な面に形成されるので、導電性膜6の面も平坦となる。従って以後の工程で導電性膜6の上に形成される各要素の平坦性について特に問題になることはない。したがって容易に高感度で安定な測定ができる磁気センサが得られる。
第8実施例
本発明の第8実施例の磁気センサ9Hについて図26から図32を参照して説明する。
図26は本発明の第8実施例の磁気センサ9Hの平面図であり、図27は、図26の軟磁性膜29のみを示す平面図である。軟磁性膜29は、並行する細長い多数のスリット32を有する。平板状の軟磁性膜29に複数のスリット32を設けることにより、隣り合う2つのスリット32で挟まれた帯状の軟磁性膜53及び上下端の帯状軟磁性膜54が形成される。帯状軟磁性膜53及び54は前記第2から第7実施例の軟磁性膜23又は44に相当する。軟磁性膜29の磁化容易軸は、スリット32の長手方向に垂直でかつ膜面に沿う矢印80で示す方向に配向されている。
前記第2から第7実施例の磁気センサに設けられている軟磁性膜23及び44の問題点について以下に説明する。
例えば、図24に示すような多数の帯状の軟磁性膜44、23を外部磁界中に置くと、外部磁界の磁束は、矢印44Aで示す軟磁性膜44の外側のもの(以下、軟磁性膜44Aという)に集中し、軟磁性膜44Aの磁束密度が内側の軟磁性膜44の磁束密度より高くなることを発明者等は見出した。
図28は磁束の集中を説明するために、5つの帯状の軟磁性膜33から37を並行配置した例を示す。図において、軟磁性膜33から37を外部磁界Hex16中に置くと、軟磁性膜33から37の外部磁界Hex16の方向に垂直な幅Gの範囲の磁束31は、直進して軟磁性膜33から37の左端から進入し、右端から外へ出る。外部磁界Hex16の、幅Gの外側の磁束28及び30は、透磁率の高い軟磁性膜33及び37に引き寄せられて軟磁性膜33及び37の左端から進入し、右端から外へ出る。そのため外部磁界Hex16による軟磁性膜33及び37の磁束密度は、軟磁性膜34から36の磁束密度より大きくなる。
図29は、外部磁界Hex16と、軟磁性膜33から37を通る磁束の密度Bとの関係を示すグラフである。磁束密度は各軟磁性膜33〜37の一点鎖線Cで示す中央部での測定値である。図において、曲線45は軟磁性膜33及び37の磁束密度を示している。曲線47は軟磁性膜34から36の磁束密度を示している。曲線46は軟磁性膜33から37の平均の磁束密度を示している。外部磁界Hexが零から増加するときの磁束密度の変化において、曲線45は曲線47より急峻に立ち上がる。これにより、図28に示すように、軟磁性膜33及び37に磁束28及び30が進入していることが裏付けられる。図30は、図29の曲線45、46、47で示す磁束密度特性を有する軟磁性膜のインピーダンスの特性を示すグラフである。図30において、曲線48は、図28における外側の軟磁性膜33及び37を通る磁束による、導電性非磁性膜7のインピーダンスZの変化を示す。曲線49は内側の軟磁性膜34から36を通る磁束による、導電性非磁性膜7のインピーダンスZの変化を示す。曲線50は、軟磁性膜33から37の磁束密度を平均化した磁束による、導電性非磁性膜7のインピーダンスZの変化を示す。図30からわかるように、磁気センサの主要な要素である軟磁性膜において、図29に示すように、外側の軟磁性膜33及び37の磁束密度が高くても、内側の多数の軟磁性膜34から36の磁束密度が低ければ磁気センサの特性の向上にはつながらない。磁気センサの特性の向上には、図29の、平均の磁束密度を示す曲線46が急峻であるのが望ましい。そのためには、図28に示すすべての軟磁性膜33から37の磁束密度を均一にする必要がある。
図31は、図28に示す軟磁性膜33から37の左右の端部を軟磁性膜51Aで連結した軟磁性膜29Aの平面図である。両端部に軟磁性膜51Aを設けることにより、幅Gの範囲外の磁束28及び30は、軟磁性膜51Aを経て各軟磁性膜33〜37に進入する。その結果、各軟磁性膜33〜37の磁束密度が比較的均一になることを発明者等は見つけた。
本実施例の磁気センサに設けられる図27に示す軟磁性膜29について、帯状軟磁性膜53及び54を通る、外部磁界Hexによる磁束の密度を測定した。軟磁性膜29の左右方向の長さLAは1mmである。スリット32の幅W8は10μm、帯状軟磁性膜53及び54の幅W9は40μmである。軟磁性膜29の左右の端と、スリット32の端との間の距離Sを25μm、50μm、100μm及び200μmとした場合について、帯状軟磁性膜53と54のそれぞれを通る磁束の密度を、一点鎖線Cで示す中央部で測定した結果を図32に示す。図32において、縦軸は磁束密度Bである。横軸は帯状軟磁性膜53及び54の下から上に向かう順序でつけた番号である。数値「1」は最下段の帯状軟磁性膜54を示す。数値「2」は下から2番目の帯状軟磁性膜53を示す。数値「10」は最上段の帯状軟磁性膜54を示す。以下数値「1」から「10」の帯状軟磁性膜を、それぞれ1番から10番の帯状軟磁性膜と呼ぶ。
図32において、曲線61は、Sが零のとき、すなわち、端部の軟磁性膜51を設けないときの磁束密度分布を示す。曲線61によると、1番及び10番の帯状軟磁性膜54の磁束密度が4.0と極端に大きく、3番から8番の帯状軟磁性膜53の磁束密度は約1.0と低い。曲線62は、Sが25μmのときの磁束密度分布を示す。この場合は、1番、10番の帯状軟磁性膜54の磁束密度は2.5に下がり、3番から8番の帯状軟磁性膜53の磁束密度は1.4程度に上昇している。曲線64はSが100μmのときの前記と同様の測定結果であり、1番と10番の帯状軟磁性膜54の磁束密度が更に下がり、代わりに3番から8願の帯状軟磁性膜55の磁束密度がさらに上昇している。上記の測定結果から、Sを100から200μmにすると、軟磁性膜53、54の磁束密度の分布をかなり均一にすることができることが判った。
本実施例によれば、帯状軟磁性膜53及び54を通る外部磁界Hexの磁束の密度をほぼ均一にすることができる。その結果として、外部磁界Hexに対する導電性非磁性膜7のインピーダンス変化が大きくなり磁気検出の感度が向上する。図27に示す構造の軟磁性膜29を、前記の第2から第7の実施例における軟磁性膜23及び44の代わりに適用すると、各実施例における磁気センサの感度を更に向上させることが可能である。
前記各実施例において、非磁性基板1の材料としてはNi−Ti−Mg系のセラミックが好ましいが、NiZnなどの非磁性フエライト系材料、ガラスその他の各種セラミック等非磁性材料を用いてもよい。
軟磁性膜4、44、29の材料としてはFeTaNが好ましいが、NiFe、FeCo、FeN等の合金を用いてもよい。軟磁性膜は、アモルファス合金(Coを主成分とした合金、例えばCoNbZr、CoTaZr、CoSiB、Feを主成分とした合金FeSiB等)またはナノ結晶合金(Feを主成分としたFeTaN等)及びNiFe系の合金のような高透磁率を有する軟磁性材料が望ましい。絶縁膜5の材料としてはSiOが好ましいが、アルミナ、ガラス等の無機材料やポリイミド樹脂等の有機絶縁膜を用いてもよい。第2実施例における絶縁膜21として、SiOの代わりにNiZnフエライト磁性膜を用いてもよい。永久磁石の材料としてはCo−Ptの膜が適しているが、フエライト系、Nb系、Co系などの永久磁石材料を用いることができる。導電性非磁性膜の材料として銅が適しているが、Au、Ag、Crなどの導電性金属も使用できる。直流バイアス磁界を与えるための永久磁石は、前記の各実施例に挙げた位置に限定されるものではなく、軟磁性膜に直流磁界を与えることができる位置であればどこでもよい。保護層8の材料としてSiOが適しているが、アルミナやその他の無機材料又はセラミック等でよい。保護層の厚さは1μmとしたが直流磁気バイアスを与える直流電源の消費電力を減らすためには厚さ0.1μm程度まで薄くするのが望ましい。
第9実施例
本発明の第9実施例の磁気センサ9Iを図33及び図34を参照して説明する。図33は第9実施例の磁気センサ9Iの斜投影図であり、図34はその平面図である。図33、図34に示すように、好ましくはNi−Ti−Mgの非磁性基板1の面に帯状の好ましくはFe−Ta−Nの膜の第1の軟磁性膜73が形成されている。図33では、2つの軟磁性膜73が所定の離隔距離を保って平行に設けられているが、軟磁性膜73の数は2つに限定されるものではなく任意の数にしてもよい。
軟磁性膜73の上の一部分にSiOによる絶縁層75が設けられている。図33では絶縁層75は1つの軟磁性膜73に2つ設けられているが、絶縁層75の数は2つに限定されるものではなく任意の数にしてもよい。図において手前側の絶縁層75を貫通して、上下方向で互に離隔する導電性膜76Aと導電性非磁性膜77Aが設けられている。導電性非磁性膜76Aと77Aは好ましくは銅(Cu)である。また奥側の絶縁層75を貫通して、互に離隔する導電性膜76B及び導電性非磁性膜77Bが設けられている。絶縁層75の上及び絶縁層75を有しない軟磁性膜73の上には、好ましくはFe−Ta−Nの膜の第2の軟磁性膜74が設けられている。軟磁性膜73と74により閉磁路Mが形成されている。軟磁性膜73及び74が磁気異方性を有する場合は、それぞれの磁化容易軸が、軟磁性膜73、74の長手方向に垂直でかつ膜面に沿う方向にあるのが望ましい。導電性非磁性膜77A、77Bの図において左端は接続導体78により互に連結されている。導電性非磁性膜77Aの右端は接続導体79Aを経て端子81Aに接続されている。導電性非磁性膜77Bの右端は接続導体79Bを経て端子81Bに接続されている。この構成により、メアンダ型の導電性非磁性膜77A、77Bが形成される。
導電性膜76Aの右端は接続導体83Aを経て端子84Aに接続されている。導電性膜76Aの左端は接続導体83Bを経て導電性膜76Bの右端に接続されている。導電性膜76Bの左端は接続導体86を経て端子84Bに接続されている。上記の構成において、導電性膜76A、76B、導電性非磁性膜77A、77Bは、軟磁性膜73と軟磁性膜74で形成される閉磁路内にあり、接続導体83A、83Bは、閉磁路外にある。
図33において、導電性非磁性膜76A、76B、77A、77B及び接続導体83A、83Bなどは、非磁性基板1上で宙に浮いて見えるが、実際の構成では各導電性非磁性膜や接続導体の間に図示を省略した絶縁層が設けられている。
本実施例の磁気センサ9Iの動作について以下に説明する。図34に示すように、端子84A、84B間に直流電源10を接続し、導電性非磁性膜76A、76Bに矢印88で示す方向の直流電流を流す。この直流電流によって、軟磁性膜73及び74に直流バイアス磁界が与えられる。端子81A、81B間に抵抗12を介して定電流の高周波電源11を接続し、例えば10MHzの高周波電流を流す。端子81A、81Bには高周波増幅器13も接続される。
本実施例の磁気センサ9Iを地磁気などの外部磁界Hex16中に置くと、磁気インピーダンス効果により導電性非磁性膜77A、77Bのインピーダンスが変化する。このインのイーダンス変化により端子81A、81B間に生じる高周波電圧の変化を、高周波増幅器13で増幅・検波して検出することにより、0.30e(24A/m)程度のきわめて小さい外部磁界Hex16を検出できる。
本実施例の磁気センサ9Iでは、軟磁性膜73及び74で形成される閉磁路M内に直流バイアス磁界を与える導電性膜76A、76Bを設けているので、比較的小さな直流電流を流すことで十分大きな直流バイアス磁界を発生させることができる。前記各実施例の磁気センサ9〜9Hでは導電性膜6に30mA以上の直流電流を流す必要があったが、本実施例の磁気センサ9Iでは導電性非磁性膜76A、76Bに10〜20mAの電流を流すと十分な直流バイアス磁界を得ることができた。
このことを実証するために、発明者等は図41を参照して以下に説明する実験を行った。
図41の(a)及び(b)は実験用に作った磁気センサの断面図である。図41の(a)において、軟磁性体96と97との間の中央部に絶縁膜を介して導電体98を形成する。導電体98に丸の中の点及び丸の中の十字で示すように紙面に垂直な方向に直流電流を流して磁界を発生させ、下部ヨーク96の位置A1における磁束密度を測定する。図41の(b)において、図41の(a)の構成と同じ磁気センサの中央部の上下に導電体99A、99Bを配置する。導電体99A、99Bに紙面に垂直でかつ方向が互いに逆の直流電流を流す。導電体98には直流を流さない。図41の(a)と同様に、図41の(b)の下部ヨーク96の位置A2の磁束密度を測定する。図41の(a)の導電体98と、図41の(b)の導電体99A、99Bとに同じ値の直流電流を流したとき、図41の(a)の位置ATの磁束密度は、図41の(b)の位置A2の磁束密度の約80倍であった。
上記の実験結果から、直流電流を流す導電体98が、図41の(a)に示すように、下部ヨーク96と上部ヨーク97で形成される閉磁路内にある場合は、図41の(b)に示すように、導電体99A、99Bが閉磁路外にある場合よりも、少ない直流電流で大きな直流バイアス磁界を得ることができる。
第9実施例の磁気センサ9Iの製造方法について図35及び図36を参照して説明する。図35の(d)は、図34のXXXV−XXXV線による断面図であり、(a)〜(c)は同図の(d)までの各工程における断面図である。図36の(d)は、図34のXXXVI−XXXVI線による断面図であり、(a)から(c)は同図の(d)までの各工程における断面図である。図36の(a)から(d)は、それぞれ図35の(a)から(d)に示す各工程と同じ工程における断面図である。すなわち、図35の(a)と図36の(a)は同一工程における違う場所の断面図であり、図35の(b)〜(d)と図36の(b)〜(d)についてもそれぞれ同様である。図35、図36において、図を見易くするため、ハッチングは一部の断面にのみ施している。
図35の(a)において、Ni−Ti−Mg系のセラミックの非磁性の基板1の上面に、厚さ1.0μmの帯状の第1の軟磁性膜73をFe−Ta−Nのスパッタリングにより成膜した後、所定の形状にパターン形成する。基板1の面に、絶縁物を介して第1の軟磁性膜73を形成してもよい。次に軟磁性膜73を含む基板1の全面にSiOのスパッタリング(低温のマグネトロンスパッタリングが望ましい)又は蒸着により絶縁膜91を形成する。
図35の(a)の工程終了後のXXXVI−XXXVI線による断面を図36の(a)に示す。図36の(a)に示すように、基板1の面に2つの軟磁性膜73が平行に設けられ絶縁膜91で覆われている。
図35の(b)において、絶縁膜91の上に銅(Cu)のスパッタリングにより、厚さ1.0ミクロンの導電性膜76A、76Bを成膜の後、所定の形状にパターン形成する。導電性膜76A、76Bを含む基板1の全面に絶縁膜92を形成した後、絶縁膜92の上において、前記の導電性膜76A、76Bと重なる位置にそれぞれ導電性非磁性膜77A、77Bを形成する。
この工程において、図36の(b)に示すように、絶縁膜91の上に接続部89B、89Cを形成し、絶縁膜92の上に接続導体78を形成する。ここで、導電性膜76A、76Bと接続部89B、89Cは同一の工程で同一の材料で形成してもよい。又、導電性非磁性膜77A、77Bと接続導体78は同一の工程で同一の材料で形成してもよい。
図35の(c)において、導電性非磁性膜77A、77Bの上に絶縁膜93を形成する。次に導電性非磁性膜77A、77Bの上及びその近傍の絶縁膜91、92を残して、軟磁性膜73の上にある絶縁膜91、92を除去する。そして絶縁膜93を含む軟磁性膜73の上に第2の軟磁性膜74を形成する。
この工程終了後のXXXVI−XXXVI線による断面を図36の(c)に示す。図36の(c)に示すように、第1の軟磁性膜73と第2の軟磁性膜74は接している。図35の(d)において、第2の軟磁性膜74を含む全面に絶縁膜94を形成する。次に、図36の(d)に示すように、接続部89B及び89Cの上の絶縁膜92、93、94をエッチングにより除去しスルーホールを形成し、接続部89B、89Cを露出させる。そして両端がそれぞれ接続部89B、89Cに接続された接続導体83Bを絶縁膜94の上に形成する。接続部89Bと89Cは接続導体83Bによって電気的に接続される。導電性膜76Aと接続導体83Aとの接続部89、及び接続導体83Aと端子84Aとの接続部89Aも上記と同様の方法で接続される。
第10実施例
本発明の第10実施例の磁気センサ9Jを図37及び図38を参照して説明する。図37は第10実施例の磁気センサ9Jの要部の斜投影図である。図38は本実施例の磁気センサ9Jの平面図である。
図37において、本実施例の磁気センサ9Jでは、軟磁性膜73と74の間に設けられた絶縁層75を貫通する導電性膜76A及び導電性非磁性膜77Aがほぼ同一平面上に離隔して設けられている。導電性膜76B及び導電性非磁性膜77Bも同様に、絶縁層75を貫通してほぼ同一平面上に設けられている。その他の構成は、前記第9実施例の磁気センサ9Iと同様である。図36に示すように、磁気センサ9Jの使用時に接続する直流電源10、高周波電源11及び高周波増幅器13の接続方法も磁気センサ9Iの場合と同様であり動作も同様である。
本実施例によれば、導電性膜76A、導電性非磁性膜77Aを絶縁層75内のほぼ同一平面上に設けているので、軟磁性膜74の山部74Bの基板1の面からの高さが前記第9実施例の磁気センサ9Iより低くなる。また第9実施例の磁気センサ9Iでは導電性膜76A、導電性非磁性膜77Aを別々の工程で積み重ねて形成しなければならないが、第10実施例の磁気センサ9Jでは、導電性膜76A、導電性非磁性膜77Aを同一の工程で同一の材料、例えば導電性非磁性膜形成することができる。従って製膜工程が簡単になり、製造コストも低減される。また、第9実施例の磁気センサ9Iのように導電性膜76A、導電性非磁性膜77Aが重なっていると、製造中に両者の間にダストなどが入って短絡するおそれがあるが、第10実施例の磁気センサ9Jでは短絡のおそれが大幅に少なくなる。その結果製造時の歩留りが向上するとともに、使用時における信頼性が向上する。
第10実施例の磁気センサ9Jの製造方法について図39及び図40を参照して説明する。図39の(d)は、図38のXXXIX−XXXIX線による断面図であり、(b)から(d)は各工程における断面図である。図40の(d)は図38のXXXX−XXXX線による断面図であり、(b)から(d)は各工程における断面図である。図40の(a)から(d)は、それぞれ図39の(a)から(d)に示す各工程と同じ工程における断面図である。すなわち、図39の(a)と図40の(a)は同一工程における違う場所の断面図であり、図39の(b)〜(d)と図40の(b)〜(d)についてもそれぞれ同様である。図39、図40において、図を見易くするため、ハッチングは一部の断面にのみ施している。
図39の(a)において、Ni−Ti−Mg系のセラミックなどの非磁性の基板1の面に、下部ヨークとなる厚さ1.0μmの軟磁性膜73をFe−Ta−Nのスパッタリングにより成膜後、所定の形状にパターン形成する。次に軟磁性膜73を含む基板1の全面にSiOのスパッタリングにより絶縁膜91を形成する。この工程終了後のXXXX−XXXX線による断面を図40の(a)に示す。
図39の(b)において、絶縁膜91の上にCuのスパッタリングにより、導電性非磁性膜76A、77A、76B、77Bを成膜後、所定の形状にパターン形成する。また図40の(b)に示すように、絶縁膜91の上に接続導体78、89Cを形成する。導電性非磁性膜76A、77A、76B、77B及び接続導体78、89Cは同一の工程で同一の材料で形成してもよく、これらを含む基板1の全面にSiOの絶縁膜92を形成する。この工程終了後のXXXX−XXXX線による断面を図40の(b)に示す。
図39の(c)において、導電性非磁性膜76A、77A、76B、77Bの近傍を除いて、軟磁性膜73上の絶縁膜91、92を除去し、軟磁性膜73を露出する。導電性非磁性膜76A、77A、76B、77Bの上に残った絶縁膜92の上及び露出した軟磁性膜73の上に、Fe−Ta−Nのスパッタリングにより軟磁性膜74を成膜後、所定の形状にパターン形成する。この工程終了後のXXXX−XXXX線による断面を図40の(c)に示す。
図39の(d)において、軟磁性膜74を含む基板1の全面にSiOの絶縁膜93を形成する。次に接続導体89Cの上の絶縁膜92を除去しスルーホールを形成する。絶縁膜93の上に接続導体83A、83Bを形成する。この工程により、図40の(d)に示すように、導電性非磁性膜76Bと接続導体83Bとが接続部89Cで電気的に接続される。接続部83C、83D、及び84Dにおける接続も接続部89Cと同様の工程で行われる。以上の各工程によって本実施例の磁気センサ9Jが製造される。
前記第9及び第10実施例において、非磁性基板1には、ニッケル酸化物NiO、チタン酸化物TiO、マグネシウム酸化物MgOを含むセラミックス(Ni−Ti−Mg)、チタン酸化物、カルシウム酸化物CaOを含むセラミックス(Ti−Ca)、アルミ酸化物Al、チタン炭化物TiCを含むセラミックス(AlTiC)及びガラス、シリコン等が使用できる。非磁性基板の表面の粗さは、保磁力Hcを大きく保つためにRa5nm以下が望ましい。
軟磁性膜73、74は、アモルファス合金(Coを主成分とした合金、例えばCoNbZr、CoTaZr、CoSiB、Feを主成分とした合金FeSiB等)またはナノ結晶合金(Feを主成分としたFeTaN等)及びNiFe系の合金のような高透磁率を有する軟磁性材料が望ましい。
周波数10〜20MHzで透磁率が1000以上得られるものが好ましい。
絶縁膜91〜94はSiO、Al等の酸化物が望ましいが、ポリイミド樹脂等の有機絶縁膜でも良い。
導電性非磁性膜及び接続線には、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)等が使用できる。Au、Ag、Cu等の膜と絶縁膜との間に、密着性を良くするためにCr、Ta又はTiなどの厚さ30nm〜100nmの薄膜を形成するのが望ましい。
産業上の利用可能性
以上の各実施例で詳細に説明したように、本発明の磁気センサは、所定の方向に磁化容易軸を有する軟磁性膜に絶縁膜を介してジグザグ状のメアンダ型導電性非磁性膜を対向させ、さらに導電性非磁性膜に絶縁膜を介して導電性膜を設けている。メアンダ型導電性非磁性膜に高周波電流を流し、直流バイアス磁界を加える。この磁気センサに外部磁界を与えると、メアンダ型導電性非磁性膜の磁化容易軸に並行する長い経路の導体は軟磁性膜の磁気作用を受け、比較的低い周波数の高周波電流を流した場合でもインピーダンスが大幅に変化する。このインピーダンス変化を検出することにより高い感度で外部磁界を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明の第1実施例の磁気センサの平面図である。
図2は図1の磁気センサの導電性膜6を除いた状態を示す平面図である。
図3の(a)は図1のIII−III断面図である。
図3の(b)は図3の(a)の右端部の拡大断面図である。
図4は本発明の第1実施例の磁気センサの外部磁化HexとインピーダンスZの関係を示すグラフである。
図5は本発明の第1実施例の磁気センサの軟磁性膜の形状を示す平面図である。
図6は本発明の第1実施例の磁気センサの、比L/Wをパラメータとした外部磁化Hexと磁束密度Bとの関係を示すグラフである。
図7は本発明の第1実施例の磁気センサの、軟磁性膜の厚さtをパラメータとした外部磁化と磁束密度Bとの関係を示すグラフである。
図8は本発明の第2実施例の磁気センサの平面図である。
図9は図8の磁気センサの導電性膜6を除いた状態を示す平面図である。
図10は本発明の第2実施例の他の例の磁気センサの平面図である。
図11の(a)は図10のXI−XI断面図である。
図11の(b)は図11の(a)の右端部の拡大断面図である。
図12は本発明の第2実施例の磁気センサの外部磁化HexとインピーダンスZとの関係を示すグラフである。
図13は本発明の第3実施例の磁気センサの平面図である。
図14の(a)は図13のXIV−XIV断面図である。
図14の(b)は図14の(a)の右端部の拡大断面図である。
図15の(a)は本発明の第3実施例の磁気センサの断面図である。
図15の(b)は図15の(a)の右端部の拡大断面図である。
図16の(a)は本発明の第4実施例の磁気センサの断面図である。
図16の(b)は図16の(a)の右端部の拡大断面図である。
図17は本発明の第5実施例の磁気センサの平面図である。
図18は図17の磁気センサの導体膜6を除いた状態を示す平面図である。
図19の(a)は図18のXIX−XIX断面図である。
図19の(b)は図19の(a)の右端部の拡大断面図である。
図20の(a)は本発明の第5実施例の磁気センサの断面図である。
図20の(b)は図20の(a)の右端部の拡大断面図である。
図21は本発明の第6実施例の磁気センサの平面図である。
図22の(a)は図21のXXII−XXII断面図である。
図22の(b)は図22の(a)の右端部の拡大断面図である。
図23の(a)は本発明の第6実施例の他の例の磁気センサの断面図である。
図23の(b)は図23の(a)の右端部の拡大断面図である。
図24は本発明の第7実施例の磁気センサの平面図である。
図25の(a)は本発明の第7実施例の磁気センサの断面図である。
図25の(b)は図25の(a)の右端部の拡大断面図である。
図26は本発明の第8実施例の磁気センサの平面図である。
図27は本発明の第8実施例の磁気センサの軟磁性膜の平面図である。
図28は前記第2から第7実施例の軟磁性膜の問題点を説明するための平面図である。
図29は図28の軟磁性膜の外部磁界と磁束密度との関係を示すグラフである。
図30は図28の軟磁性膜の外部磁界とインピーダンスとの関係を示すグラフである。
図31は本実施例の軟磁性膜の磁束を示す平面図である。
図32は本実施例の軟磁性膜の、寸法Sを変えたときの磁束密度の変化を示すグラフである。
図33は本発明の第9実施例の磁気センサの斜投影図である。
図34は本発明の第9実施例の磁気センサの平面図である。
図35の(a)から(d)は本発明の第9実施例の磁気センサの製造工程を示す、軟磁性膜の長手方向のXXXV−XXXV断面図である。
図36の(a)から(d)は本発明の第9実施例の磁気センサの製造工程を示す、軟磁性膜の長手方向に垂直な方向のXXXVI−XXXVI断面図である。
図37は本発明の第10実施例の磁気センサの部分斜投影図である。
図38は本発明の第10実施例の磁気センサの平面図である。
図39の(a)から(d)は本発明の第10実施例の磁気センサの製造工程を示す、軟磁性膜の長手方向のXXXIX−XXXIX断面図である。
図40の(a)から(d)は本発明の第10実施例の磁気センサの製造工程を示す、軟磁性膜の長手方向に垂直な方向のXXXX−XXXX断面図である。
図41の(a)及び(b)は軟磁性膜と、直流バイアス磁界を生じる導電性非磁性膜との位置関係による直流バイアス磁界の強さを説明するための断面図である。
図42の(a)は従来の磁気インピーダンス効果を利用した磁気検出素子の斜視図である。
図42の(b)は従来の磁気検出素子の軟磁性コア105、106の部分拡大図である。
図43は従来の磁気検出素子の特性を示すグラフである。

Claims (35)

  1. 膜面に沿う所定の方向に磁化容易軸を有する軟磁性膜、
    前記軟磁性膜から電気絶縁物で隔てられてその上にジグザグに設けられ、前記軟磁性膜の磁化容易軸に並行する部分の長さが、前記磁化容易軸に直交する部分の長さより長くなされた帯状の導電性非磁性膜、
    前記導電性非磁性膜に高周波電流を流すための高周波電源、及び
    前記高周波電流が流れる前記導電性非磁性膜の外部磁界によるインピーダンス変化に基づき前記外部磁界を検出する検出回路
    を有する磁気センサ。
  2. 帯状の膜の長手方向に対して垂直でかつ膜面に沿う方向に磁化容易軸を有する帯状の軟磁性膜、
    前記軟磁性膜の上に電気絶縁物を間に介してジグザグに設けられ、前記軟磁性膜の面内でその膜の磁化容易軸に並行する部分の長さが前記磁化容易軸に直交する部分の長さより長くなされた帯状の導電性非磁性膜、
    前記導電性軟磁性膜に高周波電流を流すための高周波電源、及び
    前記高周波電流が流れる前記導電性非磁性膜の外部磁界によるインピーダンス変化に基づき前記外部磁界を検出する検出回路
    を有する磁気センサ。
  3. 前記軟磁性膜に直流バイアス磁界を与えるために直流電流を流す導電性膜を有する請求項1又は2記載の磁気センサ。
  4. 前記軟磁性膜に直流バイアス磁界を与えるための永久磁石を有する請求項1又は2記載の磁気センサ。
  5. 前記軟磁性膜に直流バイアス磁界を与えるために直流電流を流す導電性膜及び永久磁石を有する請求項1又は2記載のの磁気センサ。
  6. 前記帯状の軟磁性膜を複数個並列して配置したことを特徴とする請求項2記載の磁気センサ。
  7. 前記軟磁性膜が、磁化容易軸に垂直な方向に長い少なくとも1つのスリットを有することを特徴とする請求項2記載の磁気センサ。
  8. 前記永久磁石が、前記導電性非磁性膜に設けられている薄膜の磁石であることを特徴とする請求項4記載の磁気センサ。
  9. 前記直流バイアス磁界の方向が、前記軟磁性膜の磁化容易軸に直交する方向であることを特徴とする請求項3、4、5又は8記載の磁気センサ。
  10. 前記帯状の導電性非磁性膜が、少なくとも2つの軟磁性膜によりそれぞれの絶縁膜を介して挟まれていることを特徴とする請求項1又は2記載の磁気センサ。
  11. 前記導電性非磁性膜を挟む少なくとも2つの軟磁性膜が、前記導電性非磁性膜から離れた位置で互いに接していることを特徴とする請求項10記載の磁気センサ。
  12. 前記少なくとも2つの軟磁性膜の間に永久磁石が設けられていることを特徴とする請求項10記載の磁気センサ。
  13. 前記軟磁性膜は鉄、タンタル、窒素を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の磁気センサ。
  14. 非磁性基板の主面に形成した、膜面に沿う所定方向に磁化容易軸を有する軟磁性膜、
    前記軟磁性膜の上に電気絶縁膜を間に介してジグザグに形成され、前記軟磁性膜の面内でその膜の磁化容易軸に並行する部分の長さが、前記磁化容易軸に直交する部分の長さより長くなされた帯状の導電性非磁性膜、
    前記導電性非磁性膜の上に絶縁性保護膜を間に介して形成した、直流電流を流して前記軟磁性膜に直流バイアス磁界を与えるための導電性膜、
    前記導電性非磁性膜に高周波電流を流すための高周波電源及び
    前記高周波電流が流れる前記導電性非磁性膜の外部磁界によるインピーダンス変化に基づき前記外部磁界を検出する検出回路
    を有する磁気センサ。
  15. 前記軟磁性膜が、帯状の形状の長手方向に対して垂直かつ膜面に沿う方向に磁化容易軸を有する、複数の帯状の軟磁性膜であることを特徴とする請求項14記載の磁気センサ。
  16. 前記導電性膜が、前記非磁性基板と前記軟磁性膜との間に設けられていることを特徴とする請求項14記載の磁気センサ。
  17. 前記非磁性基板と軟磁性膜との間に、前記磁化容易軸に垂直な方向に磁極を有する永久磁石を設けたことを特徴とする請求項14記載の磁気センサ。
  18. 前記永久磁石は、コバルトと白金を含む合金の膜に、前記磁化容易軸に垂直な方向に着磁して形成した磁石であることを特徴とする請求項17記載の磁気センサ。
  19. 前記帯状の導電性非磁性膜の上に設けたコバルトと白金の合金の膜に、前記磁化容易軸に垂直かつ膜面に沿う方向に着磁して永久磁石を形成したことを特徴とする請求項14記載の磁気センサ。
  20. 非磁性基板の主面に形成した、帯状の膜の長手方向に対して垂直でかつ膜面に沿う方向に磁化容易軸を有する帯状の第1の軟磁性膜、
    前記軟磁性膜の上に第1の絶縁膜を介してジグザグに形成され、前記軟磁性膜の面内でその膜の磁化容易軸に並行する部分の長さが、前記磁化容易軸に直交する部分の長さより長くなされた帯状の導電性非磁性膜、
    前記導電性非磁性膜の上に第2の絶縁膜を間に介して形成した、帯状の長手方向に対して垂直かつ膜面に沿う方向に磁化容易軸を有する第2の軟磁性膜、
    前記第2の軟磁性膜の上に絶縁性保護膜を介して形成した、直流電流を流して前記軟磁性膜に直流バイアス磁界を与えるための導電性膜、
    前記導電性非磁性膜に高周波電流を流すための高周波電源、及び
    前記高周波電流が流れる前記導電性非磁性膜の外部磁界によるインピーダンス変化に基づき前記外部磁界を検出する検出回路、
    を有する磁気センサ。
  21. 前記第1の絶縁膜及び第2の絶縁膜が、前記帯状の導電性非磁性膜の周囲にのみ設けられていることを特徴とする請求項20記載の磁気センサ。
  22. 前記永久磁石が第1の軟磁性膜と導電性非磁性膜との間に設けられていることを特徴とする請求項20記載の磁気センサ。
  23. 前記非磁性基板が、ニッケル酸化物、チタン酸化物及びマグネシウム酸化物を含むセラミックであることを特徴とする請求項14又は20記載の磁気センサ。
  24. 軟磁性膜によって形成された閉磁路を有し、
    前記軟磁性膜の閉磁路を貫通して設けられた、直流電流を流すための導電性膜、及び
    前記軟磁性膜の閉磁路を貫通して、前記導電性膜との間に絶縁を保ちつつ設けられた、高周波電流を流すための導電性非磁性膜、
    を有する磁気センサ。
  25. 前記導電性膜に一定方向の直流電流を流して前記軟磁性膜に直流バイアス磁界を与えることを特徴とする請求項24記載の磁気センサ。
  26. 前記軟磁性膜が複数の閉磁路を有し、前記複数の各閉磁路を貫通するそれぞれの導電性膜を、前記各閉磁路内の導電性膜を流れる直流電流の方向が同じになるように接続する接続線を有する請求項24記載の磁気センサ。
  27. 前記複数の導電性膜を接続する前記接続線が前記閉磁路の外部にあることを特徴とする請求項26記載の磁気センサ。
  28. 前記導電性非磁性膜が、前記軟磁性膜の複数の閉磁路を各長手パターン方向に対して順次逆方向に貫通するように構成した請求項26記載の磁気センサ。
  29. 前記軟磁性膜の閉磁路を貫通する導電性膜及び導電性非磁性膜が、前記基板の面に平行な同一面上に形成されていることを特徴とする請求項24記載の磁気センサ。
  30. 複数の軟磁性膜のパターンが並行して配置されていることを特徴とする請求項24記載の磁気センサ。
  31. 前記導電性非磁性膜の両端に高周波増幅器の入力端を接続した請求項24記載の磁気センサ。
  32. 非磁性基板の上面に帯状の少なくとも1つの第1の軟磁性膜を形成するステップ、
    前記第1の軟磁性膜の上に第1の絶縁膜を介して導電性膜及び、導電性の第1の接続部及び第2の接続部を形成するステップ、
    前記導電性膜の上に、第2の絶縁膜を介して導電性非磁性膜を形成するステップ、
    前記導電性非磁性膜の上に第3の絶縁膜を形成するステップ、
    前記導電性膜及び導電性非磁性膜を含む近傍の前記第1、第2及び第3の絶縁膜を残し、前記第1の軟磁性膜の上の前記第1、第2及び第3の絶縁膜を除去するステップ、
    前記第1の軟磁性膜及び前記残された第1、第2、第3の絶縁膜の上に第2の軟磁性膜を設け、閉磁路を形成するステップ、
    前記第2の軟磁性膜を含む全面に第4の絶縁膜を形成するステップ、
    前記第1及び第2の接続部上の第2、第3及び第4の絶縁膜を除去してスルーホールを形成し、前記第1及び第2の接続部を露出させるステップ、
    両端部が前記第1及び第2の接続部にそれぞれ電気的に接続される電気導体の接続線を、前記第4の絶縁膜94の上に形成し、隣接する他の閉磁路を通る第1の導電性非磁性膜との接続を行うステップ、
    を有する磁気センサの製造方法。
  33. 前記導電性膜及び導電性非磁性膜を、第1の絶縁膜の上に同一の工程で形成することを特徴とする請求項32記載の磁気センサの製造方法。
  34. 前記絶縁膜の少なくとも1つに、感光性樹脂のフォトレジスト膜を用いることを特徴とする請求項32記載の磁気センサの製造方法。
  35. 前記非磁性基板の上に絶縁層を介して前記第1の軟磁性膜を形成する請求項32記載の磁気センサの製造方法。
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