JP2015197388A - フラックスゲート型磁気センサ - Google Patents

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井出 洋介
Yosuke Ide
洋介 井出
克彦 栃原
Katsuhiko Tochihara
克彦 栃原
章広 阿部
Akihiro Abe
章広 阿部
斎藤 正路
Masaji Saito
正路 斎藤
隆洋 田岡
Takahiro Taoka
隆洋 田岡
英範 畑谷
Hidenori Hataya
英範 畑谷
竜矢 小暮
Tatsuya Kogure
竜矢 小暮
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Abstract

【課題】本発明は、磁気抵抗効果素子の自由磁性層の飽和磁界を低減して分解能を向上させることができるフラックスゲート型磁気センサを提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、励磁コイルと、前記励磁コイルの磁界が印加される磁気抵抗効果素子21a〜21dとを有するフラックスゲート型磁気センサ10であって、磁気抵抗効果素子21a〜21dは、磁化方向が固定された固定磁性層45と、外部磁界により磁化方向が変動する自由磁性層47とを備え、自由磁性層47は、NiFe層47cとCoFe層47dとの積層構造を有し、CoFe層47dのCo組成比が50at%〜80at%であり、かつ、自由磁性層47全体の膜厚に対するCoFe層47dの膜厚比が15%〜35%であることを特徴とする。【選択図】図6

Description

本発明は、フラックスゲート型磁気センサに関し、特に磁気抵抗効果素子を用いたフラックスゲート型磁気センサに関する。
フラックスゲート型磁気センサは、磁気変調型磁界センサの一種であり、温度安定性が高く、また小型化及び高感度化が容易である。下記特許文献1にはフラックスゲート型磁気センサ(特許文献1では磁気センサデバイスと記載されている)に関する発明が開示されている。図13は、特許文献1に記載されている従来例のフラックスゲート型磁気センサの断面図を示す。
図13に示すように、従来例のフラックスゲート型磁気センサ101は、基板110の上に形成された磁気ヨーク111と、磁気抵抗効果素子112と、コイル113とを有して構成される。磁気抵抗効果素子112は、磁化方向が固定されている固定磁性層と、印加される磁界によって磁化方向が変化する自由磁性層とを有する。自由磁性層の磁化方向の変化により磁気抵抗効果素子112の抵抗値が変化し、この抵抗変化に基づいて外部の磁界を検出できる。
従来例のフラックスゲート型磁気センサ101において、三角波状に変化する励磁電流がコイル113に常時供給されている。そして、コイル113から発生する誘導磁界が、磁気ヨーク111を通じて磁気抵抗効果素子112に印加される。コイル113から発生する磁界以外の外部磁界(被測定磁界)がない場合において、磁気抵抗効果素子112からの出力信号は、波形整形部やローパスフィルタ(LPF)等の回路(図示しない)を通して、デューティ比が1:1の矩形信号として得られる。
外部磁界(被測定磁界)が印加されたときに、磁気抵抗効果素子112からの出力信号のデューティ比が変化し、デューティ比の差によって外部磁界(被測定磁界)の強度を検出することができる。
特開2013−152208号公報 特開2006−86275号公報
従来例のフラックスゲート型磁気センサ101において、外部磁界を検出する際の分解能を向上させるためには、コイル113に供給する励磁電流の周波数を上げる必要がある。しかし、周波数を上げるとコイル113のインピーダンスが大きくなり、センサ全体の消費電力が増大するという課題が生じる。
したがって、磁気抵抗効果素子112の自由磁性層として、より小さい磁界で飽和し易くすることが要求される。特許文献2には、薄膜磁気ヘッド等に用いられる磁気抵抗効果素子が開示されており、自由磁性層はCoFe層とNiFe層とを積層して構成されている。しかし、自由磁性層の飽和磁界を小さくするための組成、膜厚等の構成は開示されていない。
また、コイル113から発生する磁界の強度を大きくすることで、磁気抵抗効果素子112の自由磁性層を飽和し易くすることが可能である。この場合、コイル113に流す励磁電流を大きくする、または、コイルの巻き数を増やす等の方法により、コイル113から発生する磁界の強度を向上させることができる。しかし、励磁電流を大きくすると消費電力が増大し、また、コイルの巻き数を増大させることはフラックスゲート型磁気センサ101の小型化に反するという課題が生じる。
本発明は、上記課題を解決して、磁気抵抗効果素子の自由磁性層の飽和磁界を低減して分解能を向上させることができるフラックスゲート型磁気センサを提供することを目的とする。
本発明は、励磁コイルと、前記励磁コイルの磁界が印加される磁気抵抗効果素子とを有するフラックスゲート型磁気センサであって、前記事気抵抗効果素子は、磁化方向が固定された固定磁性層と、外部磁界により磁化方向が変動する自由磁性層とを備え、前記自由磁性層は、NiFe層とCoFe層との積層構造を有し、前記CoFe層のCo組成比が50at%〜80at%であり、かつ、前記自由磁性層全体の膜厚に対する前記CoFe層の膜厚比が15%〜35%であることを特徴とする。
これによれば、CoFe層のCo組成比を50at%〜80at%とすることで、自由磁性層の誘導磁気異方性が付与されやすくなり角型比が向上するため飽和磁界が低減される。また、NiFe層よりもCoFe層の角型比が高いため、自由磁性層全体の膜厚に対するCoFe層の膜厚比を15%以上とすることで飽和磁界が小さくなり、CoFe層の膜厚比を35%より大きくすると、CoFe層の大きな保磁力により飽和磁界が増加する。よって、自由磁性層全体の膜厚に対するCoFe層の膜厚比を15%〜35%とすることにより、自由磁性層の飽和磁界を低減させることができる。
したがって、本発明のフラックスゲート型磁気センサによれば、磁気抵抗効果素子の自由磁性層の飽和磁界を低減して分解能を向上させることができる。
前記CoFe層は、第1のCoFe層と第2のCoFe層との積層構造を有し、前記第1のCoFe層のCo組成比が50at%〜80at%であり、前記第2のCoFe層のCo組成比が前記第1のCoFe層よりも大きいことが好ましい。第2のCoFe層のCo組成比を前記第1のCoFe層よりも大きくすることにより、磁気抵抗効果素子の抵抗変化率を大きくすることができるため、センサ出力を大きくすることができる。
前記CoFe層全体の膜厚に対する前記第1のCoFe層の膜厚比が30%〜100%であることが好ましい。小さい飽和磁界を有する第1のCoFe層の膜厚比を30%〜100%とすることにより、飽和磁界を低減させることができる。
前記CoFe層は、Co70Fe30の組成を有することが好ましい。これによれば、自由磁性層の飽和磁界を低減するとともに、磁気抵抗効果素子の抵抗変化率を大きくすることができる。
前記磁気抵抗効果素子は、前記励磁コイルの磁界に対して交差する方向に延出して形成されていることが好ましい。これによれば、磁気抵抗効果素子の延出する方向に対して交差する方向に励磁コイルの磁界が印加されるため、励磁コイルの磁界に対して平行に磁気抵抗効果素子を形成する場合に比べて、飽和磁界を小さくすることができる。
本発明のフラックスゲート型磁気センサによれば、磁気抵抗効果素子の自由磁性層の飽和磁界を低減して分解能を向上させることができる。
本発明の実施形態におけるフラックスゲート型磁気センサの平面図である。 図1の励磁コイルを除いた状態におけるフラックスゲート型磁気センサの平面図である。 図1及び図2のIII−III線で切断して矢印方向から見たときのフラックスゲート型磁気センサの部分拡大断面図である。 本実施形態の変形例におけるフラックスゲート型磁気センサの部分拡大断面図である。 フラックスゲート型磁気センサの信号の例を示す説明図であり、(a)励磁コイルからの励磁信号の波形、(b)外部磁界が印加されない場合における磁気抵抗効果素子の検出信号の波形、(c)外部磁界が印加された場合における磁気抵抗効果素子の検出信号の波形である。 磁気抵抗効果素子の積層構造を示す部分拡大断面図である。 CoFe層のCo組成を変えたときの飽和磁界の変化を示すグラフである。 CoFe層のCo組成と抵抗変化率との関係を示すグラフである。 自由磁性層に対するCoFe層の膜厚比と飽和磁界との関係を示すグラフである。 CoFe層全体に対する第1のCoFe層の膜厚比と、飽和磁界との関係を示すグラフである。 飽和磁界の低減効果を説明するために模式的に示すBHカーブの説明図である。 磁気抵抗効果素子の形状等を変えたときの飽和磁界を示すグラフである。 従来例のフラックスゲート型磁気センサの断面図である。
以下、図面を参照して、具体的な実施形態のフラックスゲート型磁気センサについて説明をする。なお、各図面の寸法は適宜変更して示している。
図1は、本発明の実施形態におけるフラックスゲート型磁気センサの平面図である。図2は、図1の励磁コイルを除いた状態におけるフラックスゲート型磁気センサの平面図である。また、図3は、図1及び図2のIII−III線で切断して矢印方向から見たときのフラックスゲート型磁気センサの部分拡大断面図である。
本実施形態のフラックスゲート型磁気センサ10は、例えば電流センサ等に用いられる。フラックスゲート型磁気センサ10は、電流線の近傍に配置されて、電流線を流れる電流によって発生する外部磁界を検出することによって電流値を測定することができる。
図2に示すように、本実施形態のフラックスゲート型磁気センサ10は、基板15に形成された4つの磁気抵抗効果素子21a〜21dを有して構成される。また、図1に示すように、磁気抵抗効果素子21a〜21dの上には、励磁コイル27が形成されている。図3に示すように、励磁コイル27を覆うようにヨーク30が設けられており、磁気抵抗効果素子21a〜21dと励磁コイル27との間は、絶縁層17aを介して絶縁されており、励磁コイル27とヨーク30とは絶縁層17bを介して絶縁されている。なお、図1及び図2は、ヨーク30を省略して示している。本実施形態において、励磁コイル27に電流を流すことによって磁界が発生し、励磁コイル27の磁界は、ヨーク30に集められて各磁気抵抗効果素子21a〜21dに印加される。
図1に示すように、励磁コイル27は、配線が同一平面で巻回された平面コイルであり、X1−X2方向に直線状に延びる直線部27a、27bと、直線部27a、27b同士を接続する湾曲部27c、27dとを有し長円状に形成されている。また、励磁コイル27にはコイル端子28a、28bが設けられており、コイル端子28a、28bに外部の電源回路(図示しない)が接続されて励磁電流が入力される。励磁コイル27は、Cu、Ag、Au等の金属材料、またはCuNi等の合金材料を用いて形成される。
図1及び図2に示すように、各磁気抵抗効果素子21a〜21dは、励磁コイル27の直線部27bと重なる位置において、直線部27bの延在方向(X1−X2方向)に並んで配置されている。図2に示すように、各磁気抵抗効果素子21a〜21dは、基板15に設けられた接続端子23に配線22を介して接続される。
図2に示すように、入力端子(Vdd)とグラウンド端子(GND)との間に磁気抵抗効果素子21aと磁気抵抗効果素子21bとが直列に接続されて、第1のハーフブリッジ回路を構成している。同様に、入力端子(Vdd)とグラウンド端子(GND)との間に磁気抵抗効果素子21cと磁気抵抗効果素子21dとが直列に接続されて、第2のハーフブリッジ回路を構成している。そして、図2に示すように、入力端子(Vdd)とグラウンド端子(GND)との間に、第1のハーフブリッジ回路と第2のハーフブリッジ回路とが並列に接続されてフルブリッジ回路を構成している。
第1のハーフブリッジ回路の中点電位(Out1)と、第2のハーフブリッジ回路の中点電位(Out2)とが取り出されて、中点電位(Out1)と中点電位(Out2)との差分(Out1−Out2)が、差動増幅器(図示しない)により増幅されてフラックスゲート型磁気センサ10の出力信号として出力される。
図2に示すように、磁気抵抗効果素子21a〜21dはそれぞれ、X1−X2方向に帯状に延在し、細長い矩形状に形成された複数の素子部24を有して構成される。複数の素子部24は、Y1−Y2方向に間隔を設けて配置されており、複数の素子部24同士が、連結部25によってミアンダ形状に接続されている。連結部25は、非磁性体であるCu等の材料が用いられる。
本実施形態において、各素子部24は、GMR(Giant Magneto Resistance)素子が用いられており、それぞれ、磁化方向が固定された固定磁性層と、外部磁界により磁化方向が変動する自由磁性層とを備える。図2には固定磁性層及び自由磁性層は図示せず、固定磁性層の磁化方向45aと自由磁性層の磁化方向47aを矢印で示している。
図2に示すように、固定磁性層の磁化方向45aは素子部24の延在方向に対して直交する方向(Y1−Y2方向)に向けられており、自由磁性層の磁化方向47aは、素子部24の形状異方性により素子部24の延在方向(X1−X2方向)に向けられる。固定磁性層の磁化方向45aと自由磁性層の磁化方向47aとは、それぞれ磁気抵抗効果素子21a〜21dの面内方向に向けられており、外部磁界が印加されていない状態において互いに直交する方向に向けられている。
図2に示すように、自由磁性層の磁化方向47aと固定磁性層の磁化方向45aとのなす角度をθとする。磁気抵抗効果素子21a〜21dに磁界が印加されて自由磁性層の磁化方向47aが固定磁性層の磁化方向45aに平行に近づくと、角度θが小さくなり電気抵抗が低下する。一方、自由磁性層の磁化方向47aが固定磁性層の磁化方向45aと反平行に近づくと、角度θが大きくなり電気抵抗値が増大する。各磁気抵抗効果素子21a〜21dの抵抗変化によって外部磁界が検出される。
なお、図3に示すように、励磁コイル27の上に絶縁層17bを介してヨーク30が設けられており、励磁コイル27の上面及び側面はヨーク30に覆われている。ヨーク30の側部は、励磁コイル27がその上に形成された保護層16bと同じ面に形成されている。本実施形態において、ヨーク30は例えばNiFe等の軟磁性体で形成されている。ヨーク30を設けることにより、励磁コイル27から発生する磁界がヨーク30に集められ、ヨーク30から流出する磁界が、磁気抵抗効果素子21a〜21dに効率良く印加される。なお、本実施形態において、保護層16a〜16dとして例えばSiOを用いることができ、絶縁層17a、17bとして例えばポリイミド樹脂を用いることができる。
図4は、本実施形態の変形例におけるフラックスゲート型磁気センサの部分拡大断面図である。図4に示すように、本変形例において、ヨーク30の側部が励磁コイル27よりも下方に延びて形成されており、ヨーク30は、基板15の上に設けられた保護層16aまで達している。こうすれば、励磁コイル27から発生する磁界が効率良くヨーク30に集められ、ヨーク30から流出する磁界が確実に磁気抵抗効果素子21a〜21dに印加される。
図5は、フラックスゲート型磁気センサの信号の例を示す説明図であり、図5(a)は励磁コイルからの励磁信号の波形、図5(b)は外部磁界が印加されない場合における磁気抵抗効果素子の検出信号の波形、図5(c)は外部磁界が印加された場合における磁気抵抗効果素子の検出信号の波形である。
本実施形態において、示す励磁コイル27には、三角波発生回路(図示しない)が接続されており、図5(a)に示すような三角波状の交流電流が励磁コイル27に常時印加される。図1及び図3に示すように、励磁コイル27は各磁気抵抗効果素子21a〜21dと重なる位置に設けられており、三角波状の電流による誘導磁界が、各磁気抵抗効果素子21a〜21dに印加される。励磁コイル27の磁界は、各素子部24の延在方向と直交する方向(Y1−Y2方向)、すなわち固定磁性層の磁化方向45aと平行または反平行方向に印加される。
励磁コイル27の磁界以外の外部磁界が印加されない場合において、各磁気抵抗効果素子21a〜21dからの出力信号は、コンパレータ、波形整形部、ローパスフィルタ(LPF)などの回路(図示しない)を通して、図5(b)に示すような、矩形波状の信号となって得られる。図5(b)に示すように、外部磁界が印加されない場合における出力信号のデューティ比(T:T)は1:1である。
フラックスゲート型磁気センサ10に測定対象の外部磁界が印加された場合、各磁気抵抗効果素子21a〜21dの抵抗値が変化して、ブリッジ回路から取り出される中点電位が変化する。これにより、中点電位のずれ量に応じて出力信号がシフトするため、図5(c)に示すように、コンパレータ、波形整形部、ローパスフィルタ(LPF)などの回路(図示しない)を通して得られる出力信号のデューティ比(T:T)が変化する。このTとTとの差が、被測定磁界の強さを表す。
図5(c)に示すように、出力信号のデューティ比(T:T)によって外部磁界が検出されるため、より応答速度(時間分解能)をあげるためには、図5(a)に示す励磁電流の周波数を高くする必要がある。磁気抵抗効果素子21a〜21dには励磁電流と同じ周波数で磁界印加されるため、フラックスゲート型磁気センサ10全体の消費電力や小型化を犠牲にすることなく、励磁電流の周波数を上げて分解能を向上させるためには、磁気抵抗効果素子21a〜21dの自由磁性層を、より小さい磁界で飽和し易くすることが求められる。そのため、自由磁性層の飽和磁界を低減することが必要である。
図11は、模式的に示すBHカーブの説明図である。本実施形態において、図11に示すように、最大磁束密度Bm1、Bm2となるときの磁界を飽和磁界Hs1、Hs2とする。
図6は、磁気抵抗効果素子の積層構造を示す部分拡大断面図であり、各磁気抵抗効果素子21a〜21dを構成する素子部24について示している。図6に示すように、磁気抵抗効果素子21a〜21dは、膜面内に印加される被測定磁界を検知することができる磁気抵抗効果膜43を有して構成される。磁気抵抗効果膜43は、絶縁膜42及びシード層49を介してシリコン基板41の上面に形成されている。図6に示すように、磁気抵抗効果膜43は、固定磁性層45、非磁性層46、及び自由磁性層47の順に積層されており、自由磁性層47の表面が保護膜48で覆われて構成されている。
本実施形態において、固定磁性層45は第1の固定磁性層45c/非磁性結合層45e/第2の固定磁性層45dからなる、いわゆるセルフピン型の積層構成となっている。第1の固定磁性層45cがシード層49と接しており、また、第2の固定磁性層45dが非磁性層46と接する。第1の固定磁性層45cと第2の固定磁性層45dの磁化は伝導電子により間接的な交換相互作用(RKKY的相互作用)により180°異なる方向に向けられている。この場合、第2の固定磁性層45dの磁化方向が、図2に示す固定磁性層の磁化方向45aとなる。磁気抵抗効果に寄与するのは、非磁性層46をはさむ自由磁性層47と第2の固定磁性層45dとの相対的な磁化方向の関係であるからである。
本実施形態において、絶縁膜42はシリコン基板41を熱酸化したシリコン酸化膜であり、スパッタ法等で成膜したアルミナ膜、酸化膜等であってもよい。固定磁性層45の第1の固定磁性層45cと第2の固定磁性層45dは、CoFe合金(コバルト鉄合金)などの軟磁性材料などで形成されている。非磁性結合層45eは導電性のRu等が用いられる。非磁性層46は、Cu(銅)等である。自由磁性層47は、保磁力が小さく透磁率が大きいNiFe合金(ニッケル鉄合金)などの軟磁性材料が用いられる。本実施形態において、自由磁性層47は、NiFe層47cとCoFe層47dとが積層された構成となっている。保護膜48は、Ta(タンタル)などである。
図7は、CoFe層のCo組成を変えたときの自由磁性層の飽和磁界の変化を示すグラフである。また、図8は、CoFe層のCo組成と抵抗変化率(ΔR/Rmin)との関係を示すグラフである。表1は、図7及び図8における磁気抵抗効果素子21a〜21dの膜構成を示す一例である。
表1に示すように、自由磁性層47のCoFe層47dをCoFe100−x(x=30〜100)としてCo組成を変化させており、CoFe層47d以外の層構成(組成、膜厚)は変えていない。また、CoFe層47dの膜厚はいずれも1.0nm(10Å)である。図7に示すように、CoFe層47dのCo比率をCo30at%から増やすにしたがって飽和磁界Hが減少する傾向を示し、Co50at%〜80at%の範囲で飽和磁界Hがほぼ一定となる。Co80at%以上に増やすと飽和磁界Hが増大する傾向を示す。
図11は、飽和磁界の低減効果を説明するために模式的に示すBHカーブの説明図である。例えば点線で示すカーブがCo40at%以下としたときのBHカーブであり、実線で示すカーブがCo50at%〜80at%としたときのBHカーブである。Co量を増やすことにより、自由磁性層47の誘導磁気異方性が大きくなり、図11に実線で示すように角型比(B/B)が向上する。これにより、飽和磁界Hが小さくなるようにBHカーブが変化する。また、Co80at%以上に増やすと保磁力が増大する効果が支配的となり飽和磁界Hが増大する。
以上のように、CoFe層47dのCo組成比を50at%〜80at%とすることにより、自由磁性層47の角型比(B/B)が向上する効果によって、飽和磁界Hを低減させることができる。
また、図8に示すように、Co組成比を増やすことにより抵抗変化率(ΔR/Rmin)が大きくなる傾向を示し、Co90at%で最大となる。磁気抵抗効果素子21a〜21dの高出力化の観点からCo組成比を大きくすることが好ましいといえる。
図9は、自由磁性層に対するCoFe層の膜厚比と飽和磁界との関係を示すグラフである。図9のグラフにおいて、CoFe層47dの組成は、飽和磁界Hが小さく、かつ、ΔR/Rminが比較的大きい組成であるCo70Fe30としている。また、NiFe層47cの膜厚は3.0nm(30Å)に固定して、CoFe層47dの膜厚を変化させたときの結果を示す。このときの膜構成の一例を表2に示す。
図9に示すように、自由磁性層47全体の膜厚(NiFe層47cとCoFe層47dとの合計膜厚)に対するCoFe層47dの膜厚比を、0%から15%に大きくするにしたがって、飽和磁界Hが減少する傾向を示す。これは、Co量が増加することにより、自由磁性層47の誘導磁気異方性が大きくなり、角型比(B/B)が向上する効果により、飽和磁界Hが減少するといえる。また、CoFe層47dの膜厚比が15%から35%の範囲で、飽和磁界Hが5Oe以下となりほぼ一定の値となっている。CoFe層47dの膜厚比を35%より大きくすると、保磁力が増大する効果が支配的となり飽和磁界Hが増大する。
以上の結果から、CoFe層47dのCo組成比を50at%〜80at%とすることで、自由磁性層47の誘導磁気異方性が付与されやすくなり角型比が向上するため飽和磁界Hが低減される。また、NiFe層47cよりもCoFe層47dの角型比が高いため、自由磁性層47全体の膜厚に対するCoFe層47dの膜厚比を15%以上とすることで飽和磁界Hが小さくなり、CoFe層47dの膜厚比を35%より大きくすると、CoFeの大きな保磁力により飽和磁界が増加する。よって、自由磁性層47全体の膜厚に対するCoFe層47dの膜厚比を15%〜35%とすることにより、自由磁性層47の飽和磁界Hを低減させることができる。
したがって、本実施形態のフラックスゲート型磁気センサ10によれば、CoFe層47dのCo組成比を50at%〜80at%とし、かつ、自由磁性層47全体の膜厚に対するCoFe層47dの膜厚比を15%〜35%とすることにより、磁気抵抗効果素子21a〜21dの自由磁性層47の飽和磁界Hを低減して分解能を向上させることができる。
図10は、CoFe層を第1のCoFe層と第2のCoFe層との積層構造として、CoFe層全体に対する第1のCoFe層の膜厚比と、飽和磁界との関係を示すグラフである。図6及び図7の結果から、第1のCoFe層は、小さい飽和磁界Hを示すCo70Fe30とし、第2のCoFe層は、ΔR/Rminが最大となるCo90Fe10とした。また、第1のCoFe層と第2のCoFe層との合計膜厚は1.0nm(10Å)として、第1のCoFe層の膜厚比を変化させた。このときの膜構成の一例を表3に示す。
第1のCoFe層(Co70Fe30)は、第2のCoFe層(Co90Fe10)と比較して小さい飽和磁界Hを有するため、図10に示すように、第1のCoFe層(Co70Fe30)の膜厚比を大きくするに従い飽和磁界Hが小さくなる傾向を示す。膜厚比30%〜100%の範囲において、飽和磁界Hは約4.4〜4.5Oeでほぼ一定の値を示す。
また、第1のCoFe層と第2のCoFe層との積層構造として、第2のCoFe層のCo組成比を前記第1のCoFe層よりも大きくすることにより、第1のCoFe層により飽和磁界Hを低減させるとともに、第2のCoFe層により磁気抵抗効果素子21a〜21dの抵抗変化率(ΔR/Rmin)を大きくすることができるため、センサ出力を大きくすることができる。
図12は、磁気抵抗効果素子21a〜21dを構成する素子部24の形状を種々に変化させたときの飽和磁界Hを示すグラフである。素子部24を、図2に示すようなストライプ状(矩形状)に形成し、複数の素子部24を非磁性体の連結部25により接続した構成と、非磁性体の連結部25を用いずに素子部24をミアンダ状に連続して形成した構成とを比較して示している。また、それぞれの構成について、素子部24を、励磁コイル27から発生する磁界に対して直交する方向に延出して形成したものと、平行方向に延出して形成したものについて示している。
図12に示すように、素子部24をミアンダ状に形成した場合に比べ、ストライプ状(矩形状)に形成した方が、小さい飽和磁界Hを示している。また、素子部24を、励磁コイル27から発生する磁界に対して直交する方向に延出して形成することにより、平行方向に延出して形成した場合に比べて小さい飽和磁界Hを示している。
したがって、図2に示すように、磁気抵抗効果素子21a〜21dは、細長く延出する矩形状の素子部24が複数本配列するとともに、素子部24同士が非磁性体の連結部25により接続された構成とすることで、飽和磁界Hを低減することができる。さらに、各素子部24を、励磁コイル27の磁界と直交する方向(X1−X2方向)に延出して形成することにより、飽和磁界Hを低減することができ、フラックスゲート型磁気センサ10の分解能を向上させることができる。
10、11 フラックスゲート型磁気センサ
15 基板
21a〜21d 磁気抵抗効果素子
24 素子部
25 連結部
27 励磁コイル
27a、27b 直線部
30 ヨーク
41 シリコン基板
43 磁気抵抗効果膜
45 固定磁性層
45a 固定磁性層の磁化方向
45c 第1の固定磁性層
45d 第2の固定磁性層
46 非磁性層
47 自由磁性層
47a 自由磁性層の磁化方向
47c NiFe層
47d CoFe層
48 保護膜

Claims (5)

  1. 励磁コイルと、前記励磁コイルの磁界が印加される磁気抵抗効果素子とを有するフラックスゲート型磁気センサであって、
    前記磁気抵抗効果素子は、磁化方向が固定された固定磁性層と、外部磁界により磁化方向が変動する自由磁性層とを備え、前記自由磁性層は、NiFe層とCoFe層との積層構造を有し、
    前記CoFe層のCo組成比が50at%〜80at%であり、かつ、前記自由磁性層全体の膜厚に対する前記CoFe層の膜厚比が15%〜35%であることを特徴とするフラックスゲート型磁気センサ。
  2. 前記CoFe層は、第1のCoFe層と第2のCoFe層との積層構造を有し、
    前記第1のCoFe層のCo組成比が50at%〜80at%であり、前記第2のCoFe層のCo組成比が前記第1のCoFe層よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のフラックスゲート型磁気センサ。
  3. 前記CoFe層全体の膜厚に対する前記第1のCoFe層の膜厚比が30%〜100%であることを特徴とする請求項2に記載のフラックスゲート型磁気センサ。
  4. 前記CoFe層は、Co70Fe30の組成を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のフラックスゲート型磁気センサ。
  5. 前記磁気抵抗効果素子は、前記励磁コイルの磁界に対して交差する方向に延出して形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の入力装置。
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