JPWO2002086882A1 - 光磁気記録媒体 - Google Patents
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Abstract
安定したトラッキングサーボ信号を得ることができ、クロストーク及びクロスライトの影響が低減された狭トラッキングピッチの光磁気記録媒体として、複数の記録再生用トラック及びサンプルサーボ用のウォブルピットを含み、前記ウォブルピットの各々は隣接する2つのトラック間に設けられ、隣接するトラックにおいて共用される光磁気記録媒体が提供される。
Description
技術分野
本発明は、磁性薄膜に情報を記録する光磁気記録媒体に関し、特に、記録した情報を磁壁移動再生方式により再生する光磁気記録媒体に関する。
背景技術
光磁気記録媒体における、書き換え可能な高密度記録方式として、半導体レーザの熱エネルギーを用いて磁性薄膜に磁区を書き込むことで情報を記録し、光磁気効果を用いて情報を読み出す方式がある。近年、この方式を用いた光磁気記録媒体の記録密度を更に高めて大容量の記録媒体を実現しようとする要求が高まっている。
光磁気記録媒体である光ディスクの線記録密度は、再生光学系のレーザ波長と、対物レンズの開口数に大きく依存する。しかし、再生光学系のレーザ波長や対物レンズの開口数の改善には限界がある。そのため、記録媒体の構成や読み取り方法を工夫することで記録密度を改善する技術が開発されている。
かかる技術の例として、特開平6−290496号公報に開示されている技術がある。この技術によれば、磁気的に結合された磁壁移動層と記録保持層とを有する多層膜構成において、情報は記録保持層に記録される。そして、情報再生時には、光ビームの照射により生じる温度勾配を利用して、記録保持層に記録した情報を変化させることなく、磁壁移動層の記録マークの磁壁を移動させる。そして、光ビームスポットの一部領域が同一の磁化になるように磁壁移動層を磁化させて、光ビーム反射光の偏向面の変化を検出することにより、光の回折限界以下の記録マークを再生する。
この技術によれば、光の回折限界以下の記録マークの再生が可能であり、記録密度及び転送速度が大幅に向上した光磁気記録媒体及びその再生方法が実現可能である。
なお、この光磁気記録媒体では、光ビームの照射により生じる温度勾配を利用して磁壁移動層における記録マークの磁壁の移動を起こり易くするために、情報記録再生トラックを挟む両隣接グルーブに高パワーのレーザ光を照射することでグルーブを高温アニール処理し、グルーブ部分の記録媒体層を変質させるアニール処理が施されている。このアニール処理により、記録マークを形成する磁壁が閉じた磁区にならないという効果を得ることができる。これにより、磁壁抗磁力の作用が軽減されるので、より安定した磁壁の移動が可能である。このアニール処理により良好な再生信号を得ることができる。
また、最近では、更なる高密度化を目指して、アニール処理を必要とせず、グルーブ部分をもトラックとして使用可能な光磁気ディスクに関する研究が盛んである。かかる光磁気ディスクによれば、光磁気ディスクのトラックに対して垂直方向に高密度化が可能となる。
例えば、特開平11−191245号公報では、基板の表面粗さを規定することにより、いわゆるランド・グルーブ記録媒体を実現している。
また、例えば、特開平11−120636号公報では、溝部の側壁のテーパ角を大きくすることにより、ランド・グルーブ記録媒体を実現している。
また、例えば、特開平11−195252号公報では、基板における溝部側壁部の表面粗さをコントロールすることにより、深溝のランド・グルーブ記録媒体を実現している。
このようにして、従来、光磁気記録媒体のトラックは、0.5μm程度までの狭トラックピッチ化が可能となっている。実験によれば、トラックピッチ0.6μmの深溝(溝深さが約100nm)のランド・グルーブ基板を用いて、線記録密度として0.11μm/bitの記録再生が実用レベルで確認されている。これは、記録密度として10Gbit/inch2に相当する。
従来の磁壁移動型光磁気ディスクの再生動作について以下説明する。
ここでは、記録保持層、磁壁移動層及びスイッチング層の3層構造の場合を例示する。記録保持層は、記録マークを保存する。磁壁移動層は、磁壁が移動し、情報の再生に用いられる。スイッチング層は、記録保持層及び磁壁移動層との結合状態をスイッチする。また、ここでは、前述したように、情報記録トラックを挟んだ両隣接グルーブに高パワーのレーザ光を照射してグルーブ部分を高温アニールし、グルーブの磁性層を変質させるアニール処理が施されている。
スイッチング層は温度Tsより低い温度の領域では交換結合の状態であり、記録保持層及び磁壁移動層と結合した状態となっている。情報再生時には光ビームが照射され、光磁気記録媒体は、磁壁移動層の磁壁が移動する温度Tsまで加熱される。
光磁気記録媒体がTs温度以上に加熱されると、スイッチング層はキュリー点に達し、磁壁移動層及び記録保持層との結合が切れた状態となる。そのため、記録マークの磁壁の温度が温度Tsに到達すると、情報記録トラックの両隣接グルーブに対するアニール処理も作用して、磁壁移動層の磁壁が移動する。このとき、磁壁移動層の磁壁は、温度勾配に対してエネルギー的に安定して存在する位置、即ち、光ビーム照射による温度上昇の線密度方向の最高温度点に、ランドを横切るように瞬時に移動する。磁壁の移動により、再生光ビームに覆われる大部分の領域の磁化状態が同じになるため、通常の光ビーム再生原理では再生不可能な微小な記録マークから再生信号を得ることができる。
前述したような従来の光磁気記録媒体では、アニール処理を前提とする場合、媒体溝構造(溝形状)やアニール処理条件等の最適化がなされていなかった。
そのため、従来の光磁気記録媒体では、狭トラックピッチ化した場合に、安定したトラッキングサーボ信号を得ることができなかった。また、従来の光磁気記録媒体では、狭トラックピッチ化した場合に、情報再生時に、隣接トラックから信号がもれ込む、いわゆるクロストークが増大していた。また、従来の光磁気記録媒体では、狭トラックピッチ化した場合に、安定した磁壁移動再生が行えるトラックが確保できない場合があった。また、従来の光磁気記録媒体では、狭トラックピッチ化した場合に、情報記録時に隣接トラックの記録信号にダメージを与える、いわゆるクロスライトが増大していた。
また、従来の光磁気記録媒体においてランド・グルーブ記録を行う場合、入射光の近接場的振る舞いにより、ランドをトレースするときと、グルーブをトレースするときとで形成される温度分布が異なる。特に、ランドトレース時には、グルーブトレース時よりも相対的に強度の高い光が必要である。光の強度をランドへの記録に対して最適化すると、ランドへの情報の書き込み時にグルーブへクロスライトしてしまう場合があった。
発明の開示
本発明の目的は、安定したトラッキングサーボ信号を得ることができ、クロストーク及びクロスライトの影響が低減された狭トラッキングピッチの光磁気記録媒体を提供することである。
そして、上記目的を実現する構成の一例は以下のとおりである。
光磁気記録媒体であって、
複数の記録再生用トラック;及び
サンプルサーボ用のウォブルピットを含み、
前記ウォブルピットの各々は隣接する2つのトラック間に設けられ、隣接するトラックにおいて共用されることを特徴とする光磁気記録媒体。
発明を実施するための最良の形態
本発明の実施形態について図面を参照して以下詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は本発明の最良の実施形態の一例ではあるが、本発明はこれら実施形態により何ら限定を受けるものではない。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の一実施形態の光磁気ディスクの特徴を示す概念図である。
図1において、光磁気ディスク1は、基板2、磁性層3及び保護膜4を有する。
磁性層3は、基板2上に成膜された少なくとも磁壁移動層、スイッチング層及び記録保持層からなる。
保護膜4は、磁性層3の上に設けられている。
基板2には、ランド5とグルーブ6が設けられている。グルーブ6は、所定のトラックピッチTpで繰り返し設けられており、記録再生用トラックとして使用される。
なお、図示されてはいないが、基板2と磁性膜3との間には反射率調整用として誘電体膜が成膜されている。また、図示されてはいないが、磁性膜3と保護膜4の間には熱構造調整用の放熱層が設けられている。
図2は、光磁気ディスク1の周方向の一部を拡大した模式図である。
本実施形態の光磁気ディスク1には、グルーブ6が設けられずプリピットが設けられた領域がある。図2には、光磁気ディスク1のグルーブ6の無い領域が示されている。
プリピットには、クロックピット、ウォブルピット、アドレスピット等があるが、図2では、ウォブルピット7とアドレスピット8とが設けられている。
ウォブルピット7は、グルーブ6間のランド5の延長線上に距離Tp×2の間隔で設けられている。1つのウォブルピット7が、隣接する2つのトラックにおけるサンプルサーボにて共用される。1つのウォブルピット7を共用することで、狭トラックピッチでのトラッキングサーボを可能としている。
アドレスピット8は、グルーブ6の延長線(図2では点線)上に設けられている。
図3A及び3Bは、光磁気ディスク1における記録再生時の状態を示す概念図である。
図3Aは、記録再生時の光磁気ディスク1の断面を見た図である。スポット径(半値全幅)Dの記録再生用光ビーム9が、基板2を通してグルーブ6に照射されている。
第1の実施形態では、記録再生装置(不図示)の光学仕様としては、波長λは概ね650nmであり、対物レンズ開口数NA=0.60であるとする。従って、このときのスポット径(半値全幅)は、D≒φ0.57μmである。波長λ=650nmは、現在の記録再生光学系において主流として用いられている波長である。
図3Bは、記録再生時の光磁気ディスク1を上面から見た図である。記録再生用光ビームスポット10がグルーブ6に照射されている。
図3A及び3Bに示されるように、ここではトラックピッチTpは、記録再生用光ビームスポット10のスポット径Dよりも小さい。光磁気ディスク1は、上述したようなプリピットにより狭トラックピッチ化が可能とされ、高密度化されている。光磁気ディスク1の良好なトラックピッチは、トラックピッチTp=0.54μmである。このトラックピッチTpの値は、光磁気ディスク1の構成上の様々なパラメータを最適化して求めたものであり、その求め方について以下説明する。
本実施形態の光磁気ディスク1の構成の最適化について説明すると、グルーブ6またはランド5をガイド溝としてトラッキングサーボを行うプッシュプル法では、トラックピッチTpとして概ねTp>1.2×Dが一般的に用いられている。しかし、本実施形態においては、ウォブルピットによるサンプルサーボ法が用いられるので、それよりも狭いトラックピッチでもトラッキングサーボが安定する。
また、本実施形態においては、1つのウォブルピット7を隣接する2つのトラックで共用可能とするために、図2に示されたウォブルピット7の幅dwをスポット径Dの0.8〜1倍とした。そうしたところ、高品位のサンプルサーボを可能にするトラッキングエラー信号が得られた。
ところで、本実施形態で用いる磁壁移動検出は、前述したように、温度勾配に起因した磁壁の移動を利用するために、再生ビームによって形成される温度分布と、グルーブ幅を適合させることが極めて重要な意味を持つ。上述の記録再生用のスポット径とグルーブ幅との関係は、図6のグラフに示すように、実験検討により求めたが、その関係を決めるパラメータとして温度分布が作用していることは言うまでもない。
次に、本実施形態によるランド5のアニール処理について説明する。
従来技術として述べたように、情報再生時には、アニール処理として、情報記録時より強度の高い光ビームをランド5へ照射し、磁性を変質させて隣接グルーブ6間を磁気的に分断する。
図4は、本実施形態において用いたアニール用光ヘッド光学系の模式図である。
アニール用光ヘッド光学系は、半導体レーザー31、ビームスプリッター32、パワーモニターセンサー33、コリメーター34、対物レンズ35、光磁気ディスク36、センサーレンズ37及び信号センサー38を有している。
半導体レーザー31から出射された光ビームは、ビームスプリッター32で一部が透過し、一部が反射する。ビームスプリッター32による反射光はパワーモニターセンサー33で受光される。ビームスプリッター32による透過光は、コリメーター34で平行光とされ、対物レンズ35で集光され、光磁気ディスク36の記録面上に照射される。
光磁気ディスク36からの反射光の一部は、ビームスプリッター32で反射され、センサーレンズ37によって信号センサー38に集光される。信号センサー38からはサーボ用信号が出力される。
ウォブルピットがグルーブトレースのために設けられたものであるため、プッシュプル法による連続サーボにより、ランドトレースのためのトラッキングサーボを行う。
ここで、半導体レーザー31は、記録再生用の半導体レーザーより短波長のものである。また、他の光学素子は、記録再生用光ヘッドと同等の構成であるが、それらの波長は半導体レーザー31の波長に合わせてあり、記録再生用光ヘッドとは異なる。
図5は、本実施形態の光磁気ディスク1に対するアニール処理時の状況を示す概念図である。半導体レーザー31の波長は、概ねλ=405nmであり、対物レンズ開口数はNA=0.60である。従って、スポット径(半値全幅)は、概ねD’=φ0.36μmである。
そして、図5に示すように光ビーム11によりランド5に対してアニール処理を行う。記録再生用の波長より短い波長の半導体レーザー31を用いて形成した小さいスポットでアニール処理を行うので、アニール処理領域の幅が狭められる。
次に、狭トラックピッチ化された光磁気ディスクのランド5及びグルーブ6の幅やトラックピッチの最適化について説明する。なお、ここでは各幅は半値幅をいうものとする。
波長が概ねλ=405nmであり、対物レンズの開口数がNA=0.60である場合、プッシュプル法により充分なトラッキングエラー信号を得るためには、0.1μm以上のランド幅dlが必要であることが、実験により知見として得られた。即ち、ランド幅dl≧0.1μmである必要がある。
そのため、ここでは、できる限りの狭トラックピッチ化を目指して、ランド幅dl≒0.1μmとした。
図6は、磁壁移動再生時のトラック幅とジッタ値との関係を表したグラフである。なお、光学パラメータとしては、波長がλ=650nmであり、対物レンズ開口数(NA)が0.60である。
縦軸はジッタ値σをデータクロックのウィンドウ幅Twで割ったものをパーセントで表したものあり、一般に、14%程度以下が望ましいとされている。
記録再生情報は、(1−7)RLL変調で最短マーク長が0.12μmのランダム信号であり、隣接トラックにも情報が記録されている。
図6のグラフをσ/Tw<14%の条件で参照すると、磁壁移動再生する場合、概ね0.37μm以上のトラック幅が必要であることが分かる。即ち、グルーブ幅dgは、dg≧0.37μmである必要がある。
前述したように記録再生用光ビームのスポット径DはD≒φ0.57μmであるので、グルーブ幅dgは、記録再生用光スポット径Dの2/3以上である必要があると言える。
一方、今後の動向としては、記録再生光学系の波長は650nmから405nmに向う方向にあり、近い将来には405nmが記録再生光学系の波長の主流になると考えられる。したがって、光磁気ディスクとしては、650μmと405μmとの双方において良好な情報再生が可能であることが望ましい。
ベクトル解析に基づく光スポットプロファイル及び薄膜の光吸収分布の解析、更に、その解析結果を用いての熱拡散方程式に基づく温度分布の解析によれば、波長が405nmの記録再生光学系で再生が可能にすると、光スポットの半値全幅DはD≒φ0.36μmであり、形成される温度分布の光磁気ディスク半径方向の半値全幅は0.5μm程度である。グルーブ幅dgは、この温度分布よりも小さい必要がある。
従って、波長405nm、NA=0.60の記録再生用光ヘッドで良好な磁壁移動再生を行うためには、グルーブ幅dgとしてdg<0.5μm程度が必要となる。記録再生用光ビームのスポット径Dは前述したようにD≒φ0.57μmであるので、グルーブ幅dgは、記録再生用光スポット径Dの7/8より小さいことが好ましいと言える。或いは、前述したようにランド幅dlをdl≒0.1μmとしたので、グルーブ幅dg<D−0.1μmである。
以上より、波長650〜405nmの範囲で良好なグルーブ幅dgは、0.37μm<dg<0.50μmである。即ち、2/3D<dg<7/8Dである。
以上より、ランド幅dl≒0.1μm、グルーブ幅dg≒0.37〜0.50μmが良好であり、トラックピッチTpとしてはTp=0.46〜0.6μmが良好であることが分かる。
そして、最大の場合、トラックピッチTpは記録再生用光スポット径D程度で良いこととなる。つまり、Tp=(0.8×D)〜Dである。
こうして、本実施形態では、狭トラックピッチ化と磁壁移動再生信号品位とのバランスから、最適なトラックピッチTp=0.54μmが決定される。そして、前述したようにランド幅dlがdl≒0.1μmであるので、グルーブ幅dgはdg≒0.44μmとなり、dl:dg≒2:9が導かれる。
即ち、本発明の対象となる媒体構造においては、記録再生用光スポット程度以下のトラックピッチでは、ランド幅:グルーブ幅=2:9程度が適当であるといえる。
また、ウォブルピット7の幅dwは、前述したように、スポット径Dの0.8〜1倍としたので、ランド幅dlの約4〜6倍が相応しいこととなる。
次に、グルーブ6の深さ及びプリピットの深さの最適化について説明する。
図7は、反射光量のグルーブ深さ依存性を示すグラフである。図8は、プリピット信号振幅のピット深さ依存性を示すグラフである。
図7を参照すると、縦軸のIg/Ioは、グルーブ上にスポットがある場合に、光磁気ディスクで反射して光ヘッドに戻る光量(Ig)を、グルーブが無い場合の光量(Io)で規格化した値である。図中、実線は、波長が650nmの場合を示し、点線は波長が405nmの場合を示す。
図7より、記録再生光学系の波長として現在の主流である650nmの場合と、近い将来に主流となるであろう405nmの場合の双方で充分な光量を得るためには、グルーブの深さは約60nm程度以下であることが好ましいことが分かる。充分な光量が得られれば、周辺回路のノイズに対して高いS/N比が得られ、即ち、良好な磁壁移動再生信号が得られる。
また、アニール処理時にプッシュプル法でサーボ信号を得るためには、グルーブの深さはλ/8の近傍であることが好ましいことが一般に周知である。
基板の屈折率が約1.6であり、アニール処理用光ビームの波長が405nmであることを考慮すると、グルーブの深さは30nm近傍であることが好ましい。
但し、アニール処理時に、グルーブへ熱が伝わるのは好ましくないので、凹凸構造も必要である。
従って、以上を考え合わせると、グルーブ深さhgは20nm<hg<60nmであることが好ましい。
図8を参照すると、縦軸のPit信号振幅は、プリピットにより得られる相対的な信号振幅を示している。図中の実線は、波長がほぼ650nmの場合を示し、点線は波長がほぼ405nmの場合を示す。
一般に、プリピット信号は光磁気信号に比べて信号レベルが大きくて、非常にS/Nが良い。従って、図8より、記録再生光学系の波長として、現在主流の650nmの場合と、近い将来主流となるであろう405nmの場合の双方において充分なプリピット信号振幅を得るためには、プリピット深さhpは45nm以上であれば良く、好ましくは60〜110nm程度であることが分かる。
以上の図7及び図8を参照した説明より、図9に示すように、少なくとも、グルーブ深さhg≦プリピットの深さhpとすることが好ましいと言える。
本実施形態においては、グルーブ深さhg≒40nm、プリピット深さhp≒80nmを用いた。そうしたところ、良好なトラッキングエラー信号、磁壁移動再生信号を得ることができた。
次に、ランド5の斜面(ランド斜面)の最適化について説明する。
図5を参照すると、ランド5の斜面12は幅dsを有する。
光磁気ディスク1の狭トラックピッチ化を目標とすることから、ランド5の斜面12の幅dsは、トラック幅を確保するために、できるだけ狭い方が好ましい。一方、本実施形態のような狭トラックピッチでランド幅も狭い基板を成型しようとする場合、ランド5の斜面12の幅dsは、ランド幅dlの0.8倍以上が必要であることが実験より分かった。ランド5の傾斜の幅dsをランド幅dlの0.8倍以上にしたところ、ランド及びグルーブの構造の再現性を良好に維持しつつ基板を成型することができた。
そこで、本実施形態においては、狭トラックピッチでのグルーブ6の平坦部の幅を広く確保することを考慮して、ランド5の斜面の幅ds≒80nmとした。かかる基板によれば、狭トラックピッチで磁壁移動再生が良好であった。
次に、アニール処理領域の幅の最適化について説明する。
図10A及び10Bは、アニール処理領域14の幅(アニール幅)daを示す概念図である。
図10Aに示すように、アニール処理においては、ランド5の幅より大きいアニール処理用光ビームスポット13となるように光出力を調整する。本実施形態においては、図10Bに示すように、グルーブ6の平坦部のみを残すようにアニール処理を施す。即ち、アニール幅da>ランド幅dlである。
本実施形態においては、前述したようにランド幅dl≒0.1μmとしたので、アニール幅daは概ねda=0.12〜0.20μmである。
なお、ランド斜面は、グルーブの平坦部分に比較すると、基板の表面性がよくないため、その上に成膜したランド斜面の磁性膜の面の表面性もよくない。従って、ランド斜面にまで記録マークが広がっていると、そこでの磁壁移動が不規則となり、ノイズが再生情報に漏れこむことになる。そのため、ランド幅dlがdl≒0.1μmであり、ランド斜面の幅dsがds≒80nmであることから、本実施形態ではアニール幅daはda≒0.20μmが好ましい。このようにしたことで、平坦部でのみ磁壁移動が起こるようになり、記録時には、隣接トラックの記録情報にダメージを与えず、かつ、再生時には、隣接トラックからの情報の漏れ込みを抑えることができ、良好な磁壁移動再生が可能となった。
次に、アニール処理により物性を変質させた領域に関する検討結果について説明する。
アニール処理したランド5は、光学的な変化として、グルーブ6より反射率が低い状態となっている。これにより、グルーブに記録された情報が磁壁移動再生により良好に再生可能となり、隣接トラックからの情報のもれ込み(クロストーク)が低減されている。
更に、少なくとも、スイッチング層の磁性を消失させて、記録保持層と磁壁移動層の交換結合を切り、磁壁移動層を面内磁化の状態にする。或は、少なくとも、磁壁移動層の垂直磁気異方性を消失させ、ほぼ面内磁化膜とする。また、スイッチング層の磁性を消失させ、かつ、磁壁移動層の垂直磁気異方性を消失させてもよい。
このとき、少なくとも磁壁移動層では、垂直磁気異方定数Kuは、2πMs2以下、或いは1×105erg/cc以下となっている。ここで、Msは室温近傍での飽和磁化である。
或いは、このとき、少なくとも磁壁移動層では、磁壁エネルギーは概ね、0.05erg/cmとなっていることが望ましい。
こうして、ランド5の磁壁移動層の垂直磁気異方性を極力小さくして、微小記録磁区が安定して存在できない状態にした。また、それと共に、ランド5での磁壁移動層の磁壁エネルギーを小さくした。それらによって磁壁の移動を起こり難くすることで、グルーブ6での磁壁の移動をスムーズにし、良好な磁壁移動再生を可能とした。
また、その結果として磁壁移動層を面内磁化膜の状態にすることにより、カー回転角を0.01程度以下にし、ランド5からの光磁気再生信号の漏れ込みを抑えた。
更に、少なくともランド5の磁壁移動層の残留磁化Mrを10emu/ccとすることが望ましい。こうすることにより、グルーブ6での磁壁移動を妨げる磁力が排除される。
以上のように、本実施形態においては、トラッキングサーボ用プリピットを設けるとともに、ランド、グルーブ及びプリピットの構造を最適化した。更に、ランド部分に予め記録再生用光ビームより波長の短い光ビームを照射するアニール処理とすることで、アニール処理領域の幅を狭めた。また、ランドで物性を変質させることでグルーブでの磁壁移動をよりスムーズしたので、狭トラックピッチでの性能確保を可能となった。これらにより、高密度な情報記録が可能な光磁気媒体を提供することが可能となった。
(第2の実施形態)
第1の実施形態と異なるアニール処理方法を用いた場合を第2の実施形態として示す。特に示す場合を除く他、第2の実施形態の光磁気ディスクの構成は、第1の実施形態のものと同様である。
図11は、本発明の第2の実施形態における光磁気ディスクのアニール処理時の状況を示す概念図である。
第2の実施形態においては、図5に示した第1の実施形態と異なり、基板2側からではなく、膜面側から(図11中における上方から)磁性層3にアニール処理用光ビーム15を照射する。なお、この場合、放熱層が必要な場合には、アニール処理後に成膜する。
図12は、本発明の第2の実施形態において用いたアニール用光ヘッド光学系の模式図である。図12のアニール用光ヘッド光学系は、図4に示す、第1の実施形態において用いたアニール用光ヘッド光学系と対物レンズのみが異なる。第2の実施形態において用いたアニール用光ヘッド光学系では、図4の対物レンズ35に代えて、対物レンズ39が設けられている。
第2の実施形態では、第1の実施形態と同様に、プッシュプル法による連続サーボにより、ランドトレースのためのトラッキングサーボを行う。
図11に示すように、膜面側からのアニール処理は、基板2と比べて極めて薄い保護膜4を通して行われるので、高NA化が容易である。
そこで、対物レンズ39の開口数NAは、図4の対物レンズ35のNA=0.60よりも大きく、アニール処理領域の幅に応じて、NA=0.60〜0.90の範囲より選択される。
ここで、放熱層を設ける場合は、磁性層3と放熱層との間に保護層を設けて、保護膜4の代わりに、この保護層を介して光ビームを照射する。
対物レンズの開口数NAがNA=0.60〜0.90場合、スポット径D″(半値全幅)は、ほぼD″=φ0.24〜φ0.36μmの範囲より選択可能となる。
本実施形態における光磁気ディスクの構造を示す各数値は、以下である。
ランド5の幅dlはdl≒0.44μmμmである。グルーブ6の幅dgはdg≒0.10μmである。ランド斜面幅dwは、dw=0.08μmである。グルーブ6の深さhgは、hg≒0.04μmである。
次に、ランド5へ基板側から光ビームを入射する場合と、膜面側から光ビームを入射させる場合とを比較検討した結果について説明する。
図13A及び13Bは、基板側からランド5へ光ビームを入射した場合における光の吸収の様子を示す図であり、図13Aは光吸収分布を示す図であり、横軸はランド5の中心を0とする位置Vを示し、縦軸は相対的な発熱量を示している。図13Aと13Bとを参照すると、基板2側からランド5へ光ビームが入射された場合、光ビームから見て凹部隣接のエッジ(図13B中の黒点)で光の吸収が強い。なお、図13B中の矢印は、光ビームの入射方向を示す。従って、光のエネルギーはランド5の両サイドへ分散する傾向を示す。
図14Aおよび14Bは、膜面側からランド5へ光ビームを入射した場合における光の吸収の様子を示す図であり、図14Aは光吸収分布を示す図であり、横軸はランド5の中心を0とする位置Vを示し、縦軸は相対的な発熱量を示している。図14Aと図14Bとを参照すると、膜面側からランド5へ光ビームが入射された場合、光ビームの入射側から見て凸部のエッジ(図14B中の黒丸)で光の吸収が強い。なお、図14B中の矢印は、光ビームの入射方向を示す。従って、光のエネルギーはランド5内へ閉じ込められる傾向を示す。
以上のことから、膜面側から光ビームを入射してアニール処理を行うと、高NAの採用が容易となることが分かった。また、膜面側から光ビームを入射してアニール処理を行うと、光のエネルギーをランド5内に閉じ込めることができることが分かった。
即ち、膜面側から光ビームを入射するアニール処理方法によれば、ランド5のみに対するアニール処理が容易になることが分かった。
アニール用スポット径(半値幅)を小さくできるので、アニール幅との関係を見てみると、検討の結果、対物レンズの開口数NA=0.90の場合、アニール用スポット径がアニール幅の2倍程度であれば良好であることが分かった。つまり、アニール用スポット径≒φ0.24μmに対して、アニール幅≒0.12〜0.14μmであることが好ましい。
図15は、対物レンズの開口数NA=0.90でのアニール処理時の温度分布の半径方向温度勾配の検討結果を示すグラフである。
図15の横軸は、ランド5の中心からの光磁気ディスク半径方向の距離(半径位置)を表している。図15より、半径位置0.06μmで温度勾配が最大となっていることが分かる。即ち、アニール幅としては、0.12μm程度とすることが好ましい。
第1の実施形態でのアニール幅=0.12〜0.20μmであれば、対物レンズの開口数NAはNA=0.72〜0.90であることが望ましい。
従って、このような温度分布とアニール幅とでアニール処理を行えば、アニール処理領域と非アニール処理領域の境界が急峻で、メリハリの良い処理が可能となる。また、アニール処理の光出力が変化しても、アニール処理領域幅の変動は小さく、非常に良好なアニール処理が行うことが可能である。
また、アニール時に多少デトラックが生じても、グルーブ平坦部までアニール処理が広がるという問題は生じない。
これらのことから、前述された媒体構造に対して、第2の実施形態として対物レンズの開口数NA=0.90を採用したところ、良好なアニール処理を行うことができた。
以上のように、第2の実施形態によれば、膜面側から高NAの光ビームでアニール処理をすることで、光のエネルギーを閉じ込める効果を得ることができる。そのため、第2の実施形態では、第1の実施形態のアニール方法に比べて安定したアニール処理が可能となり、狭トラックピッチでの高性能な(つまり、クロストーク、クロスライトの影響が良く抑えられた)磁壁移動再生が可能な光磁気ディスクを提供することができる。
(第3の実施形態)
第1及び第2の実施形態において、基板2の諸条件について最適化した光磁気ディスクを第3の実施形態として示す。特に示す場合を除く他、第3の実施形態の光磁気ディスクは第1及び第2の実施形態のものと同様である。
表1は、第3の実施形態の光磁気ディスクの最適化された諸条件を示す表である。
ランド5の表面粗さRa(L)にはアニール処理の条件との相関は無いが、磁性層3を分断するという機能から、磁壁移動動作をするグルーブ6の表面粗さRa(G)と比較して、Ra(G)≦Ra(L)であることが好ましい。本実施形態によれば、グルーブ6内での磁壁の移動がスムーズになると共に、ランド5への磁壁の移動が抑制され、クロストークが抑制されるので、狭トラックピッチの実現が可能である。
更に、グルーブ6の表面粗さRa(G)及びランド5の表面粗さRa(L)については、Ra(G)≦0.6nmで、かつ1nm≦Ra(L)≦1.5nmであることが好ましい。
グルーブ6の表面粗さRa(G)≦0.6nmが好ましいことは、既に特開平11−191245号公報により開示された、良好な磁壁移動再生に必要な条件である。
ランド5の表面粗さRa(L)として1nm以上が好ましいのは、グルーブ6内の磁壁がランド5へはみ出すことが抑制されるからである。また、ランド5の表面粗さRa(L)として1.5nm以下が好ましいのは、グルーブ6の記録再生情報に影響する不要なノイズを抑えることができるからである。
更に、グルーブ斜面の表面粗さRa(T)を1nm以下とすることにより、グルーブ内での磁壁移動再生動作が良好となる。
以上説明したように、ランド5やグルーブ斜面の表面粗さは、グルーブ6における磁壁移動再生動作に影響する。
また、ランド5の形状も再生動作に影響する。
ランド5の先端部分は概ね丸い形状が好ましい。具体的には、ランド5に平坦な部分が存在すると、グルーブ6での磁壁移動の記録再生信号に対するノイズの原因となる。従って、ランド5には平坦な部分が形成されていないことが望まれる。また、この要件を、ランド5のエッジの曲率半径r(L)で表現すると、ランド5のエッジの曲率半径r(L)が30nm以上でノイズを抑える効果が得られる。一方、アニール処理をプッシュプル信号を用いて行なう場合、ランド5のエッジの曲率半径r(L)は60nm以下であることが好ましい。ランドエッジの局率半径r(L)が60nmより大きいと、プッシュプル信号が得られにくい、即ち、トラッキングサーボがかかり難いからである。
また、グルーブ6のエッジの曲率半径r(G)が小さ過ぎるとノイズ発生の原因となる。具体的には、グルーブ6のエッジの曲率半径r(G)は30nm以上であることが好ましい。
また、波長λ≒400nm、対物レンズの開口数NA=0.6〜0.9等の短波長かつ高NAの光ビームを用いてランド5のアニール処理を行なう場合、グルーブ6の斜面の角度を30°以上、好ましくは約40°とすることにより、プッシュプル法を用いてトラッキングサーボを行なうことが可能となる。また、グルーブ6の磁壁移動再生信号(通常再生;記録再生時の光ビームの波長λ=650nmで、対物レンズの開口数NA=0.6)に対するノイズが低減される。
また、グルーブ6における記録再生用光ビームでの反射率I(G)は、グルーブ6が無い部分(ミラー部)における反射率をI(M)としたとき、I(G)/I(M)が0.95以上が好ましく、良好な磁壁移動型の光磁気記録再生信号を得ることが可能となる。グルーブ6における記録再生用光ビームでの反射率I(G)は、溝深さ(グルーブ深さ)と溝幅(グルーブ幅)、溝(グルーブ)斜面部の角度等を選択することにより調整可能である。
図16Aおよび16Bは、本実施形態の光磁気ディスクのアニール処理時の特徴的部分を示す概念図である。
図16Aは、ランドグルーブ基板161の表面に磁性層等の積層薄膜162が形成された媒体の断面概念図である。
ランドグルーブ基板161は、ランド164とグルーブ163を有する。またランドグルーブ基板161のトラックピッチ169(ランド164の幅とグルーブ163の幅の和)は記録再生光ビーム168のビーム径より小さい。
図16Bは、アニール処理後の光磁気ディスクを媒体の上面方向から見た図である。図16Bには、アニール部分166と非アニール部分165とが示されている。非アニール部分165が情報を記録する部分である。
図17A、17B及び17Cは、本実施形態の光磁気ディスクの形状の一例を説明するための説明図である。
図17Aを参照すると、本実施形態の光磁気ディスクは、ポリカーボネート基板171上に磁性薄膜等の積層薄膜172が形成された形状を有する。
図17Bを参照して説明すると、ポリカーボネート基板171は、ランド幅174が0.14μmであり、グルーブ幅173が0.40μmであり、トラックピッチ175が0.54μmであり、グルーブ底幅176が0.36μmであり、溝深さ179が55nmのランド・グルーブ基板である。
ここで、ランド5の平坦部表面の表面粗さRa(L)は1.1nmであり、グルーブ6の底面の表面粗さRa(G)は0.35nmであり、グルーブ斜面の表面粗さRa(T)は0.82nmである。すなわち、Ra(G)<Ra(L)の関係にある。このような各部の表面粗さを有する光磁気ディスクは、原盤作成時のレジストの条件や原盤のベーキング、アッシング等の調整、あるいは射出成形されたポリカーボネート基板の熱処理によって形成することができる。
図17Bに示すように、本実施形態のポリカーボネート基板171のランド177は極めて幅が狭いため、先端部が丸く、平坦部がほとんど無い。また、図17Cに示すランド177のエッジの曲率半径r(L)は45nmであり、グルーブ178のエッジの曲率半径r(G)は40nmである。さらに、グルーブ斜面部の角度は40°である。また、溝の反射率の測定結果は0.96である。
図18は、本実施形態の光磁気ディスクの積層薄膜の形成方法を説明するための説明図である。
図18を参照して積層薄膜の形成方法について説明する。
積層薄膜182の形成方法としては、先ず、ポリカーボネート基板181上に干渉層(誘電体層)183としてSiN層を90nmの厚さに形成する。次に、磁壁移動層184としてGdFeCoAl層を30nmの厚さに形成する。次に、スイッチング層185としてTbFeAl層を10nmの厚さに形成する。次に、記録保持層186としてTbFeCo層を80nmの厚さで形成する。次に、保護層(誘電体層)187としてSiN層を50nmの厚さに形成する。次に、放熱層188としてAl層を30nmの厚さで形成する。これら各層は、スパッタリング法により、順次、形成される。
以上の様にして形成された積層薄膜182の上に保護コート層189として紫外線硬化樹脂層を2μmの厚さに形成する。
次に、図18を用いて説明した方法により形成された光磁気ディスクのランド164のみを光レーザーでアニール処理する。アニール処理において、記録再生用光ビームより波長の短い光ビームを基板裏側あるいは表側から照射する。本実施形態における形成方法では基板側から光レーザーを照射するものとする。ここでは、アニール処理の光レーザーの波長は400nmであり、対物レンズの開口数NAは0.65である。ちなみに、本実施形態の光磁気ディスクを含む本発明の光磁気記録媒体のための記録再生用光レーザーの波長は650nmであり、対物レンズの開口数NAは0.6である。
なお、アニール処理は、対象とする部分の磁気特性が変化する程度まで、即ち、その部分が面内磁化膜になるまで行えばよい。具体的には、光レーザーのパワーが4.2mWであり、媒体の回転相対速度が1.0m/sec程度がよい。なお、図18のポリカーボネート基板181及び積層薄膜182は、それぞれ図16Aのランドグルーブ基板161及び積層薄膜162と同じものを指している。
本実施形態において例示したように、基板側から積層薄膜162に光レーザーを照射することでアニール処理した場合、アニール部分166と非アニール部分165との境界はグルーブ163のエッジ付近となる。また、それとは反対側から光レーザーを照射することでアニール処理した場合、アニール部分166と非アニール部分165との境界はランドのエッジ付近となる。これは、ランド・グルーブ基板161のような凹凸基板に対して光レーザーを照射すると、光レーザーのエネルギーがランド・グルーブ基板161の凹凸のエッジ部分に集中する現象(光閉じ込め効果)による。
なお、ランド・グルーブ基板161のエッジの位置と積層薄膜162のエッジの位置とは、厳密には、積層薄膜の膜厚分だけずれている。しかし、積層薄膜162がランド・グルーブ基板161に比較して非常に薄いものであるため、このずれは無視することできる。
本実施形態の光磁気ディスクを実際に作製して評価を行った。この評価では、一般的な光磁気記録再生装置(不図示)を用いて、一般的な磁界変調方式で情報を本実施形態の光磁気ディスクに記録(パルス磁界変記録)し、磁壁移動再生により情報を再生した。
評価の条件として、光レーザーは、波長を650nmとし、対物レンズの開口数NAを0.6とした。また、記録ビット長は0.080μmとした。さらに、相対速度は2.40m/secとした。
また、情報を記録するために用いる光ビームのパワーは5.0mWとした。情報を再生するための光ビームは、パワーが2.4mWのときにジッタ特性が最良であり、最良時のジッタσはσ=3.4nsであった。
以上の条件により、本実施形態の光磁気ディスクに情報を記録し、その後に再生してみたところ、ノイズの十分な低減効果を反映してC/NはC/N=41.0dBであった。また、ビットエラーレートは1.5×10−5であった。この結果は、記録密度15Gbit/inch2相当において、十分に実用レベルに達していることを示している。
以上より、本実施形態の光磁気ディスクは、特徴的な形状を有すること、及び、ランド164を短波長の光レーザーでアニール処理するという新規な手法を用いることにより、従来、狭トラックピッチの磁壁移動型光磁気記録媒体を実現する際問題となっていたクロストークやクロスライトの影響が大幅に改善されており、またノイズも大幅に低減されている。これらのことから、本実施形態の光磁気ディスクは実用レベルの超高密度な光磁気記録媒体であるといえる。
また、本実施形態のランド・グルーブ基板161は浅溝であり、一般的な射出成形法により作成できるため、製造コストは従来と同等である。
(第4の実施形態)
光ビームを基板の反対側から照射してアニール処理を行った光磁気ディスクを第4の実施形態として示す。特に示す場合を除く他、第4の実施形態の光磁気ディスクは第3の光磁気ディスクと同様のものである。
図19は、第4の実施形態の光磁気ディスクにおける記録再生時の状態を示す概念図である。図19に示されるように、本実施形態の光磁気ディスクは基板191上に、積層薄膜192が形成された構成を有する。
本実施形態では、短波長の光レーザー193を基板と反対側(即ち、積層薄膜192側)から積層薄膜192に照射してアニール処理を行なう。
本実施形態では、積層薄膜192側から光レーザー193を照射してアニール処理を行うので、ランドのエッジ部分に光レーザーのエネルギーが集中し、アニール処理により磁性層が変質する部分の面積が第3の実施形態に比べて狭い。即ち、第3の実施形態の光磁気ディスクよりも更に狭トラックピッチの光磁気ディスクが実現できる。但し、第4の実施形態の光磁気ディスクは、積層薄膜192を作成する途中でアニール処理を行わなければならず、第3の実施形態より製造工程が複雑であり、製造コストがやや高い。
本実施形態のように積層薄膜側から光レーザーを照射する場合、積層薄膜192の中に放熱層が存在すると、光レーザーは放熱層で反射されて磁性層に到達しない。
従って、本実施形態の光磁気ディスクの形成方法としては、図18を用いて説明した形成方法において、領域Aまで(保護層187まで)形成した後に、一旦、媒体を大気中に取り出してアニール処理を行ない、再び、真空装置内に入れて領域B(放熱層188と保護コート層189)を形成する。
アニール処理における条件の一例としては、光レーザーは、波長λが405nmであり、対物レンズの開口数NAが0.9であり、媒体の回転相対速度が3.0m/secであり、光レーザーのパワーは3.2mWである。
以上の条件で本実施形態の光磁気ディスクを実際に作製して、第3の実施形態について行ったのと同様の評価を行った。第4の実施形態では、ジッタσはσ=3.6nsであった。また、ノイズの十分な低減効果を反映してC/NはC/N、=41.1dBであった。さらに、ビットエラーレートは1.0×10−5であり、十分実用レベルであった。
以上より、本実施形態の光磁気ディスクは、特徴的な形状を有すること、及び、ランドを短波長の光レーザーでアニール処理するという新規な手法を用いることにより、クロストークやクロスライトの影響が従来に比べて大幅に改善されており、またノイズも大幅に低減されている。これらのことから、本実施形態の光磁気ディスクは実用レベルの超高密度な光磁気記録媒体であるといえる。
また、本実施形態のランド・グルーブ基板は浅溝であり、一般的な射出成形法で作成できるため、製造コストはそれほど高くならない。
これまで述べてきた本発明の各実施形態の効果を確認するために、以下に比較例を示す。
(第1の比較例)
本発明の第3の実施形態の光磁気ディスクと比較するために、第1の比較例の光磁気記録媒体を作製した。
第1の比較例の光磁気記録媒体は、ランドの平坦部の表面粗さRa(L)がグルーブの表面粗さRa(G)と同等の0.35nmである点で第3の実施形態と異なることを除いては実施形態3の光磁気記録媒体と同じである。第1の比較例の基板は、レジストをレーザーカッティングした原盤を150℃で20分ポストベークすることにより作製した。
第1の比較例の光磁気記録媒体について、第3の実施形態について行ったのと同様の評価を行ったところ、ジッタσはσ=4.8nsであった。また、ビットエラーレートは8.0×10−4であり、実用レベルに到達していなかった。さらに、クロストークやクロスライトの影響が実用上問題となる程度に大きかった。
このことから、第3の実施形態の光磁気ディスクのように、ランドの表面粗さがグルーブの表面粗さより大きいことが好ましいことが分かる。
(第2の比較例)
本発明の第4の実施形態の光磁気ディスクと比較するために、第2の比較例の光磁気記録媒体を作製した。
第2の比較例の光磁気記録媒体は、グルーブ斜面の表面粗さRa(T)が1.3nmである点で第4の実施形態と異なりことを除いては第4の実施形態の光磁気記録媒体と同じである。第2の比較例の基板は、原盤の後処理を全く行なわずに作製したものである。
第2の比較例の光磁気記録媒体について、第4の実施形態について行ったのと同様の評価を行ったところ、ジッタσはσ=5.2nsであった。また、ビットエラーレートは9.8×10−4であり、実用レベルに到達していなかった。さらに、クロストークやクロスライトの影響は第1の比較例ほど顕著ではなかった。
このことから、グルーブ斜面の表面粗さが大きすぎると、磁壁移動再生の特性が悪化し、実用上問題となることがわかった。
産業上の利用の可能性
本発明によれば、光磁気記録媒体のウォブルピットの配置や溝構造及びアニール処理条件が最適化されるので、狭トラックピッチで安定したトラッキングサーボが可能であり、隣接トラックからの信号のもれ込みの影響が抑えられ、情報を記録する際に隣接トラックに記録された情報にダメージを与えず、安定した磁壁移動再生が可能な光磁気記録媒体を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の一実施形態の光磁気ディスクの特徴を示す概念図である。
図2は、本発明の一実施形態の光磁気ディスクの周方向の一部を拡大した模式図である。
図3A及び3Bは、本発明の一実施形態の光磁気ディスクにおける記録再生時の状態を示す概念図である。
図4は、本発明の実施形態におけるアニール用光ヘッド光学系の模式図である。
図5は、本発明の一実施形態の光磁気ディスクに対するアニール処理時の状況を示す概念図である。
図6は、磁壁移動再生時のトラック幅とジッタ値との関係を表したグラフである。
図7は、反射光量のグルーブ深さ依存性を示すグラフである。
図8は、プリピット信号振幅のピット深さ依存性を示すグラフである。
図9は、グルーブ深さとプリピット深さの関係を示す図である。
図10A及び10Bは、アニール処理領域の幅を示す概念図である。
図11は、第2の実施形態における光磁気ディスクのアニール処理時の状況を示す概念図である。
図12は、第2の実施形態のアニール用光ヘッド光学系の模式図である。
図13A及び13Bは、基板側からランドへ光ビームを入射した場合における光の吸収の様子を示す図である。
図14A及び14Bは、膜面側からランド5へ光ビームを入射した場合における光の吸収の様子を示す図である。
図15は、対物レンズの開口数NA=0.90でのアニール処理時の温度分布の半径方向温度勾配の検討結果を示すグラフである。
図16A及び16Bは、第3の実施形態の光磁気ディスクのアニール処理時の特徴的部分を示す概念図である。
図17A、17B及び17Cは、第3の実施形態の光磁気ディスクの形状の一例を説明するための説明図である。
図18は、第3の実施形態の光磁気ディスクの積層薄膜の形成方法を説明するための説明図である。
図19は、第4の実施形態の光磁気ディスクにおける記録再生時の状態を示す概念図である。
本発明は、磁性薄膜に情報を記録する光磁気記録媒体に関し、特に、記録した情報を磁壁移動再生方式により再生する光磁気記録媒体に関する。
背景技術
光磁気記録媒体における、書き換え可能な高密度記録方式として、半導体レーザの熱エネルギーを用いて磁性薄膜に磁区を書き込むことで情報を記録し、光磁気効果を用いて情報を読み出す方式がある。近年、この方式を用いた光磁気記録媒体の記録密度を更に高めて大容量の記録媒体を実現しようとする要求が高まっている。
光磁気記録媒体である光ディスクの線記録密度は、再生光学系のレーザ波長と、対物レンズの開口数に大きく依存する。しかし、再生光学系のレーザ波長や対物レンズの開口数の改善には限界がある。そのため、記録媒体の構成や読み取り方法を工夫することで記録密度を改善する技術が開発されている。
かかる技術の例として、特開平6−290496号公報に開示されている技術がある。この技術によれば、磁気的に結合された磁壁移動層と記録保持層とを有する多層膜構成において、情報は記録保持層に記録される。そして、情報再生時には、光ビームの照射により生じる温度勾配を利用して、記録保持層に記録した情報を変化させることなく、磁壁移動層の記録マークの磁壁を移動させる。そして、光ビームスポットの一部領域が同一の磁化になるように磁壁移動層を磁化させて、光ビーム反射光の偏向面の変化を検出することにより、光の回折限界以下の記録マークを再生する。
この技術によれば、光の回折限界以下の記録マークの再生が可能であり、記録密度及び転送速度が大幅に向上した光磁気記録媒体及びその再生方法が実現可能である。
なお、この光磁気記録媒体では、光ビームの照射により生じる温度勾配を利用して磁壁移動層における記録マークの磁壁の移動を起こり易くするために、情報記録再生トラックを挟む両隣接グルーブに高パワーのレーザ光を照射することでグルーブを高温アニール処理し、グルーブ部分の記録媒体層を変質させるアニール処理が施されている。このアニール処理により、記録マークを形成する磁壁が閉じた磁区にならないという効果を得ることができる。これにより、磁壁抗磁力の作用が軽減されるので、より安定した磁壁の移動が可能である。このアニール処理により良好な再生信号を得ることができる。
また、最近では、更なる高密度化を目指して、アニール処理を必要とせず、グルーブ部分をもトラックとして使用可能な光磁気ディスクに関する研究が盛んである。かかる光磁気ディスクによれば、光磁気ディスクのトラックに対して垂直方向に高密度化が可能となる。
例えば、特開平11−191245号公報では、基板の表面粗さを規定することにより、いわゆるランド・グルーブ記録媒体を実現している。
また、例えば、特開平11−120636号公報では、溝部の側壁のテーパ角を大きくすることにより、ランド・グルーブ記録媒体を実現している。
また、例えば、特開平11−195252号公報では、基板における溝部側壁部の表面粗さをコントロールすることにより、深溝のランド・グルーブ記録媒体を実現している。
このようにして、従来、光磁気記録媒体のトラックは、0.5μm程度までの狭トラックピッチ化が可能となっている。実験によれば、トラックピッチ0.6μmの深溝(溝深さが約100nm)のランド・グルーブ基板を用いて、線記録密度として0.11μm/bitの記録再生が実用レベルで確認されている。これは、記録密度として10Gbit/inch2に相当する。
従来の磁壁移動型光磁気ディスクの再生動作について以下説明する。
ここでは、記録保持層、磁壁移動層及びスイッチング層の3層構造の場合を例示する。記録保持層は、記録マークを保存する。磁壁移動層は、磁壁が移動し、情報の再生に用いられる。スイッチング層は、記録保持層及び磁壁移動層との結合状態をスイッチする。また、ここでは、前述したように、情報記録トラックを挟んだ両隣接グルーブに高パワーのレーザ光を照射してグルーブ部分を高温アニールし、グルーブの磁性層を変質させるアニール処理が施されている。
スイッチング層は温度Tsより低い温度の領域では交換結合の状態であり、記録保持層及び磁壁移動層と結合した状態となっている。情報再生時には光ビームが照射され、光磁気記録媒体は、磁壁移動層の磁壁が移動する温度Tsまで加熱される。
光磁気記録媒体がTs温度以上に加熱されると、スイッチング層はキュリー点に達し、磁壁移動層及び記録保持層との結合が切れた状態となる。そのため、記録マークの磁壁の温度が温度Tsに到達すると、情報記録トラックの両隣接グルーブに対するアニール処理も作用して、磁壁移動層の磁壁が移動する。このとき、磁壁移動層の磁壁は、温度勾配に対してエネルギー的に安定して存在する位置、即ち、光ビーム照射による温度上昇の線密度方向の最高温度点に、ランドを横切るように瞬時に移動する。磁壁の移動により、再生光ビームに覆われる大部分の領域の磁化状態が同じになるため、通常の光ビーム再生原理では再生不可能な微小な記録マークから再生信号を得ることができる。
前述したような従来の光磁気記録媒体では、アニール処理を前提とする場合、媒体溝構造(溝形状)やアニール処理条件等の最適化がなされていなかった。
そのため、従来の光磁気記録媒体では、狭トラックピッチ化した場合に、安定したトラッキングサーボ信号を得ることができなかった。また、従来の光磁気記録媒体では、狭トラックピッチ化した場合に、情報再生時に、隣接トラックから信号がもれ込む、いわゆるクロストークが増大していた。また、従来の光磁気記録媒体では、狭トラックピッチ化した場合に、安定した磁壁移動再生が行えるトラックが確保できない場合があった。また、従来の光磁気記録媒体では、狭トラックピッチ化した場合に、情報記録時に隣接トラックの記録信号にダメージを与える、いわゆるクロスライトが増大していた。
また、従来の光磁気記録媒体においてランド・グルーブ記録を行う場合、入射光の近接場的振る舞いにより、ランドをトレースするときと、グルーブをトレースするときとで形成される温度分布が異なる。特に、ランドトレース時には、グルーブトレース時よりも相対的に強度の高い光が必要である。光の強度をランドへの記録に対して最適化すると、ランドへの情報の書き込み時にグルーブへクロスライトしてしまう場合があった。
発明の開示
本発明の目的は、安定したトラッキングサーボ信号を得ることができ、クロストーク及びクロスライトの影響が低減された狭トラッキングピッチの光磁気記録媒体を提供することである。
そして、上記目的を実現する構成の一例は以下のとおりである。
光磁気記録媒体であって、
複数の記録再生用トラック;及び
サンプルサーボ用のウォブルピットを含み、
前記ウォブルピットの各々は隣接する2つのトラック間に設けられ、隣接するトラックにおいて共用されることを特徴とする光磁気記録媒体。
発明を実施するための最良の形態
本発明の実施形態について図面を参照して以下詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は本発明の最良の実施形態の一例ではあるが、本発明はこれら実施形態により何ら限定を受けるものではない。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の一実施形態の光磁気ディスクの特徴を示す概念図である。
図1において、光磁気ディスク1は、基板2、磁性層3及び保護膜4を有する。
磁性層3は、基板2上に成膜された少なくとも磁壁移動層、スイッチング層及び記録保持層からなる。
保護膜4は、磁性層3の上に設けられている。
基板2には、ランド5とグルーブ6が設けられている。グルーブ6は、所定のトラックピッチTpで繰り返し設けられており、記録再生用トラックとして使用される。
なお、図示されてはいないが、基板2と磁性膜3との間には反射率調整用として誘電体膜が成膜されている。また、図示されてはいないが、磁性膜3と保護膜4の間には熱構造調整用の放熱層が設けられている。
図2は、光磁気ディスク1の周方向の一部を拡大した模式図である。
本実施形態の光磁気ディスク1には、グルーブ6が設けられずプリピットが設けられた領域がある。図2には、光磁気ディスク1のグルーブ6の無い領域が示されている。
プリピットには、クロックピット、ウォブルピット、アドレスピット等があるが、図2では、ウォブルピット7とアドレスピット8とが設けられている。
ウォブルピット7は、グルーブ6間のランド5の延長線上に距離Tp×2の間隔で設けられている。1つのウォブルピット7が、隣接する2つのトラックにおけるサンプルサーボにて共用される。1つのウォブルピット7を共用することで、狭トラックピッチでのトラッキングサーボを可能としている。
アドレスピット8は、グルーブ6の延長線(図2では点線)上に設けられている。
図3A及び3Bは、光磁気ディスク1における記録再生時の状態を示す概念図である。
図3Aは、記録再生時の光磁気ディスク1の断面を見た図である。スポット径(半値全幅)Dの記録再生用光ビーム9が、基板2を通してグルーブ6に照射されている。
第1の実施形態では、記録再生装置(不図示)の光学仕様としては、波長λは概ね650nmであり、対物レンズ開口数NA=0.60であるとする。従って、このときのスポット径(半値全幅)は、D≒φ0.57μmである。波長λ=650nmは、現在の記録再生光学系において主流として用いられている波長である。
図3Bは、記録再生時の光磁気ディスク1を上面から見た図である。記録再生用光ビームスポット10がグルーブ6に照射されている。
図3A及び3Bに示されるように、ここではトラックピッチTpは、記録再生用光ビームスポット10のスポット径Dよりも小さい。光磁気ディスク1は、上述したようなプリピットにより狭トラックピッチ化が可能とされ、高密度化されている。光磁気ディスク1の良好なトラックピッチは、トラックピッチTp=0.54μmである。このトラックピッチTpの値は、光磁気ディスク1の構成上の様々なパラメータを最適化して求めたものであり、その求め方について以下説明する。
本実施形態の光磁気ディスク1の構成の最適化について説明すると、グルーブ6またはランド5をガイド溝としてトラッキングサーボを行うプッシュプル法では、トラックピッチTpとして概ねTp>1.2×Dが一般的に用いられている。しかし、本実施形態においては、ウォブルピットによるサンプルサーボ法が用いられるので、それよりも狭いトラックピッチでもトラッキングサーボが安定する。
また、本実施形態においては、1つのウォブルピット7を隣接する2つのトラックで共用可能とするために、図2に示されたウォブルピット7の幅dwをスポット径Dの0.8〜1倍とした。そうしたところ、高品位のサンプルサーボを可能にするトラッキングエラー信号が得られた。
ところで、本実施形態で用いる磁壁移動検出は、前述したように、温度勾配に起因した磁壁の移動を利用するために、再生ビームによって形成される温度分布と、グルーブ幅を適合させることが極めて重要な意味を持つ。上述の記録再生用のスポット径とグルーブ幅との関係は、図6のグラフに示すように、実験検討により求めたが、その関係を決めるパラメータとして温度分布が作用していることは言うまでもない。
次に、本実施形態によるランド5のアニール処理について説明する。
従来技術として述べたように、情報再生時には、アニール処理として、情報記録時より強度の高い光ビームをランド5へ照射し、磁性を変質させて隣接グルーブ6間を磁気的に分断する。
図4は、本実施形態において用いたアニール用光ヘッド光学系の模式図である。
アニール用光ヘッド光学系は、半導体レーザー31、ビームスプリッター32、パワーモニターセンサー33、コリメーター34、対物レンズ35、光磁気ディスク36、センサーレンズ37及び信号センサー38を有している。
半導体レーザー31から出射された光ビームは、ビームスプリッター32で一部が透過し、一部が反射する。ビームスプリッター32による反射光はパワーモニターセンサー33で受光される。ビームスプリッター32による透過光は、コリメーター34で平行光とされ、対物レンズ35で集光され、光磁気ディスク36の記録面上に照射される。
光磁気ディスク36からの反射光の一部は、ビームスプリッター32で反射され、センサーレンズ37によって信号センサー38に集光される。信号センサー38からはサーボ用信号が出力される。
ウォブルピットがグルーブトレースのために設けられたものであるため、プッシュプル法による連続サーボにより、ランドトレースのためのトラッキングサーボを行う。
ここで、半導体レーザー31は、記録再生用の半導体レーザーより短波長のものである。また、他の光学素子は、記録再生用光ヘッドと同等の構成であるが、それらの波長は半導体レーザー31の波長に合わせてあり、記録再生用光ヘッドとは異なる。
図5は、本実施形態の光磁気ディスク1に対するアニール処理時の状況を示す概念図である。半導体レーザー31の波長は、概ねλ=405nmであり、対物レンズ開口数はNA=0.60である。従って、スポット径(半値全幅)は、概ねD’=φ0.36μmである。
そして、図5に示すように光ビーム11によりランド5に対してアニール処理を行う。記録再生用の波長より短い波長の半導体レーザー31を用いて形成した小さいスポットでアニール処理を行うので、アニール処理領域の幅が狭められる。
次に、狭トラックピッチ化された光磁気ディスクのランド5及びグルーブ6の幅やトラックピッチの最適化について説明する。なお、ここでは各幅は半値幅をいうものとする。
波長が概ねλ=405nmであり、対物レンズの開口数がNA=0.60である場合、プッシュプル法により充分なトラッキングエラー信号を得るためには、0.1μm以上のランド幅dlが必要であることが、実験により知見として得られた。即ち、ランド幅dl≧0.1μmである必要がある。
そのため、ここでは、できる限りの狭トラックピッチ化を目指して、ランド幅dl≒0.1μmとした。
図6は、磁壁移動再生時のトラック幅とジッタ値との関係を表したグラフである。なお、光学パラメータとしては、波長がλ=650nmであり、対物レンズ開口数(NA)が0.60である。
縦軸はジッタ値σをデータクロックのウィンドウ幅Twで割ったものをパーセントで表したものあり、一般に、14%程度以下が望ましいとされている。
記録再生情報は、(1−7)RLL変調で最短マーク長が0.12μmのランダム信号であり、隣接トラックにも情報が記録されている。
図6のグラフをσ/Tw<14%の条件で参照すると、磁壁移動再生する場合、概ね0.37μm以上のトラック幅が必要であることが分かる。即ち、グルーブ幅dgは、dg≧0.37μmである必要がある。
前述したように記録再生用光ビームのスポット径DはD≒φ0.57μmであるので、グルーブ幅dgは、記録再生用光スポット径Dの2/3以上である必要があると言える。
一方、今後の動向としては、記録再生光学系の波長は650nmから405nmに向う方向にあり、近い将来には405nmが記録再生光学系の波長の主流になると考えられる。したがって、光磁気ディスクとしては、650μmと405μmとの双方において良好な情報再生が可能であることが望ましい。
ベクトル解析に基づく光スポットプロファイル及び薄膜の光吸収分布の解析、更に、その解析結果を用いての熱拡散方程式に基づく温度分布の解析によれば、波長が405nmの記録再生光学系で再生が可能にすると、光スポットの半値全幅DはD≒φ0.36μmであり、形成される温度分布の光磁気ディスク半径方向の半値全幅は0.5μm程度である。グルーブ幅dgは、この温度分布よりも小さい必要がある。
従って、波長405nm、NA=0.60の記録再生用光ヘッドで良好な磁壁移動再生を行うためには、グルーブ幅dgとしてdg<0.5μm程度が必要となる。記録再生用光ビームのスポット径Dは前述したようにD≒φ0.57μmであるので、グルーブ幅dgは、記録再生用光スポット径Dの7/8より小さいことが好ましいと言える。或いは、前述したようにランド幅dlをdl≒0.1μmとしたので、グルーブ幅dg<D−0.1μmである。
以上より、波長650〜405nmの範囲で良好なグルーブ幅dgは、0.37μm<dg<0.50μmである。即ち、2/3D<dg<7/8Dである。
以上より、ランド幅dl≒0.1μm、グルーブ幅dg≒0.37〜0.50μmが良好であり、トラックピッチTpとしてはTp=0.46〜0.6μmが良好であることが分かる。
そして、最大の場合、トラックピッチTpは記録再生用光スポット径D程度で良いこととなる。つまり、Tp=(0.8×D)〜Dである。
こうして、本実施形態では、狭トラックピッチ化と磁壁移動再生信号品位とのバランスから、最適なトラックピッチTp=0.54μmが決定される。そして、前述したようにランド幅dlがdl≒0.1μmであるので、グルーブ幅dgはdg≒0.44μmとなり、dl:dg≒2:9が導かれる。
即ち、本発明の対象となる媒体構造においては、記録再生用光スポット程度以下のトラックピッチでは、ランド幅:グルーブ幅=2:9程度が適当であるといえる。
また、ウォブルピット7の幅dwは、前述したように、スポット径Dの0.8〜1倍としたので、ランド幅dlの約4〜6倍が相応しいこととなる。
次に、グルーブ6の深さ及びプリピットの深さの最適化について説明する。
図7は、反射光量のグルーブ深さ依存性を示すグラフである。図8は、プリピット信号振幅のピット深さ依存性を示すグラフである。
図7を参照すると、縦軸のIg/Ioは、グルーブ上にスポットがある場合に、光磁気ディスクで反射して光ヘッドに戻る光量(Ig)を、グルーブが無い場合の光量(Io)で規格化した値である。図中、実線は、波長が650nmの場合を示し、点線は波長が405nmの場合を示す。
図7より、記録再生光学系の波長として現在の主流である650nmの場合と、近い将来に主流となるであろう405nmの場合の双方で充分な光量を得るためには、グルーブの深さは約60nm程度以下であることが好ましいことが分かる。充分な光量が得られれば、周辺回路のノイズに対して高いS/N比が得られ、即ち、良好な磁壁移動再生信号が得られる。
また、アニール処理時にプッシュプル法でサーボ信号を得るためには、グルーブの深さはλ/8の近傍であることが好ましいことが一般に周知である。
基板の屈折率が約1.6であり、アニール処理用光ビームの波長が405nmであることを考慮すると、グルーブの深さは30nm近傍であることが好ましい。
但し、アニール処理時に、グルーブへ熱が伝わるのは好ましくないので、凹凸構造も必要である。
従って、以上を考え合わせると、グルーブ深さhgは20nm<hg<60nmであることが好ましい。
図8を参照すると、縦軸のPit信号振幅は、プリピットにより得られる相対的な信号振幅を示している。図中の実線は、波長がほぼ650nmの場合を示し、点線は波長がほぼ405nmの場合を示す。
一般に、プリピット信号は光磁気信号に比べて信号レベルが大きくて、非常にS/Nが良い。従って、図8より、記録再生光学系の波長として、現在主流の650nmの場合と、近い将来主流となるであろう405nmの場合の双方において充分なプリピット信号振幅を得るためには、プリピット深さhpは45nm以上であれば良く、好ましくは60〜110nm程度であることが分かる。
以上の図7及び図8を参照した説明より、図9に示すように、少なくとも、グルーブ深さhg≦プリピットの深さhpとすることが好ましいと言える。
本実施形態においては、グルーブ深さhg≒40nm、プリピット深さhp≒80nmを用いた。そうしたところ、良好なトラッキングエラー信号、磁壁移動再生信号を得ることができた。
次に、ランド5の斜面(ランド斜面)の最適化について説明する。
図5を参照すると、ランド5の斜面12は幅dsを有する。
光磁気ディスク1の狭トラックピッチ化を目標とすることから、ランド5の斜面12の幅dsは、トラック幅を確保するために、できるだけ狭い方が好ましい。一方、本実施形態のような狭トラックピッチでランド幅も狭い基板を成型しようとする場合、ランド5の斜面12の幅dsは、ランド幅dlの0.8倍以上が必要であることが実験より分かった。ランド5の傾斜の幅dsをランド幅dlの0.8倍以上にしたところ、ランド及びグルーブの構造の再現性を良好に維持しつつ基板を成型することができた。
そこで、本実施形態においては、狭トラックピッチでのグルーブ6の平坦部の幅を広く確保することを考慮して、ランド5の斜面の幅ds≒80nmとした。かかる基板によれば、狭トラックピッチで磁壁移動再生が良好であった。
次に、アニール処理領域の幅の最適化について説明する。
図10A及び10Bは、アニール処理領域14の幅(アニール幅)daを示す概念図である。
図10Aに示すように、アニール処理においては、ランド5の幅より大きいアニール処理用光ビームスポット13となるように光出力を調整する。本実施形態においては、図10Bに示すように、グルーブ6の平坦部のみを残すようにアニール処理を施す。即ち、アニール幅da>ランド幅dlである。
本実施形態においては、前述したようにランド幅dl≒0.1μmとしたので、アニール幅daは概ねda=0.12〜0.20μmである。
なお、ランド斜面は、グルーブの平坦部分に比較すると、基板の表面性がよくないため、その上に成膜したランド斜面の磁性膜の面の表面性もよくない。従って、ランド斜面にまで記録マークが広がっていると、そこでの磁壁移動が不規則となり、ノイズが再生情報に漏れこむことになる。そのため、ランド幅dlがdl≒0.1μmであり、ランド斜面の幅dsがds≒80nmであることから、本実施形態ではアニール幅daはda≒0.20μmが好ましい。このようにしたことで、平坦部でのみ磁壁移動が起こるようになり、記録時には、隣接トラックの記録情報にダメージを与えず、かつ、再生時には、隣接トラックからの情報の漏れ込みを抑えることができ、良好な磁壁移動再生が可能となった。
次に、アニール処理により物性を変質させた領域に関する検討結果について説明する。
アニール処理したランド5は、光学的な変化として、グルーブ6より反射率が低い状態となっている。これにより、グルーブに記録された情報が磁壁移動再生により良好に再生可能となり、隣接トラックからの情報のもれ込み(クロストーク)が低減されている。
更に、少なくとも、スイッチング層の磁性を消失させて、記録保持層と磁壁移動層の交換結合を切り、磁壁移動層を面内磁化の状態にする。或は、少なくとも、磁壁移動層の垂直磁気異方性を消失させ、ほぼ面内磁化膜とする。また、スイッチング層の磁性を消失させ、かつ、磁壁移動層の垂直磁気異方性を消失させてもよい。
このとき、少なくとも磁壁移動層では、垂直磁気異方定数Kuは、2πMs2以下、或いは1×105erg/cc以下となっている。ここで、Msは室温近傍での飽和磁化である。
或いは、このとき、少なくとも磁壁移動層では、磁壁エネルギーは概ね、0.05erg/cmとなっていることが望ましい。
こうして、ランド5の磁壁移動層の垂直磁気異方性を極力小さくして、微小記録磁区が安定して存在できない状態にした。また、それと共に、ランド5での磁壁移動層の磁壁エネルギーを小さくした。それらによって磁壁の移動を起こり難くすることで、グルーブ6での磁壁の移動をスムーズにし、良好な磁壁移動再生を可能とした。
また、その結果として磁壁移動層を面内磁化膜の状態にすることにより、カー回転角を0.01程度以下にし、ランド5からの光磁気再生信号の漏れ込みを抑えた。
更に、少なくともランド5の磁壁移動層の残留磁化Mrを10emu/ccとすることが望ましい。こうすることにより、グルーブ6での磁壁移動を妨げる磁力が排除される。
以上のように、本実施形態においては、トラッキングサーボ用プリピットを設けるとともに、ランド、グルーブ及びプリピットの構造を最適化した。更に、ランド部分に予め記録再生用光ビームより波長の短い光ビームを照射するアニール処理とすることで、アニール処理領域の幅を狭めた。また、ランドで物性を変質させることでグルーブでの磁壁移動をよりスムーズしたので、狭トラックピッチでの性能確保を可能となった。これらにより、高密度な情報記録が可能な光磁気媒体を提供することが可能となった。
(第2の実施形態)
第1の実施形態と異なるアニール処理方法を用いた場合を第2の実施形態として示す。特に示す場合を除く他、第2の実施形態の光磁気ディスクの構成は、第1の実施形態のものと同様である。
図11は、本発明の第2の実施形態における光磁気ディスクのアニール処理時の状況を示す概念図である。
第2の実施形態においては、図5に示した第1の実施形態と異なり、基板2側からではなく、膜面側から(図11中における上方から)磁性層3にアニール処理用光ビーム15を照射する。なお、この場合、放熱層が必要な場合には、アニール処理後に成膜する。
図12は、本発明の第2の実施形態において用いたアニール用光ヘッド光学系の模式図である。図12のアニール用光ヘッド光学系は、図4に示す、第1の実施形態において用いたアニール用光ヘッド光学系と対物レンズのみが異なる。第2の実施形態において用いたアニール用光ヘッド光学系では、図4の対物レンズ35に代えて、対物レンズ39が設けられている。
第2の実施形態では、第1の実施形態と同様に、プッシュプル法による連続サーボにより、ランドトレースのためのトラッキングサーボを行う。
図11に示すように、膜面側からのアニール処理は、基板2と比べて極めて薄い保護膜4を通して行われるので、高NA化が容易である。
そこで、対物レンズ39の開口数NAは、図4の対物レンズ35のNA=0.60よりも大きく、アニール処理領域の幅に応じて、NA=0.60〜0.90の範囲より選択される。
ここで、放熱層を設ける場合は、磁性層3と放熱層との間に保護層を設けて、保護膜4の代わりに、この保護層を介して光ビームを照射する。
対物レンズの開口数NAがNA=0.60〜0.90場合、スポット径D″(半値全幅)は、ほぼD″=φ0.24〜φ0.36μmの範囲より選択可能となる。
本実施形態における光磁気ディスクの構造を示す各数値は、以下である。
ランド5の幅dlはdl≒0.44μmμmである。グルーブ6の幅dgはdg≒0.10μmである。ランド斜面幅dwは、dw=0.08μmである。グルーブ6の深さhgは、hg≒0.04μmである。
次に、ランド5へ基板側から光ビームを入射する場合と、膜面側から光ビームを入射させる場合とを比較検討した結果について説明する。
図13A及び13Bは、基板側からランド5へ光ビームを入射した場合における光の吸収の様子を示す図であり、図13Aは光吸収分布を示す図であり、横軸はランド5の中心を0とする位置Vを示し、縦軸は相対的な発熱量を示している。図13Aと13Bとを参照すると、基板2側からランド5へ光ビームが入射された場合、光ビームから見て凹部隣接のエッジ(図13B中の黒点)で光の吸収が強い。なお、図13B中の矢印は、光ビームの入射方向を示す。従って、光のエネルギーはランド5の両サイドへ分散する傾向を示す。
図14Aおよび14Bは、膜面側からランド5へ光ビームを入射した場合における光の吸収の様子を示す図であり、図14Aは光吸収分布を示す図であり、横軸はランド5の中心を0とする位置Vを示し、縦軸は相対的な発熱量を示している。図14Aと図14Bとを参照すると、膜面側からランド5へ光ビームが入射された場合、光ビームの入射側から見て凸部のエッジ(図14B中の黒丸)で光の吸収が強い。なお、図14B中の矢印は、光ビームの入射方向を示す。従って、光のエネルギーはランド5内へ閉じ込められる傾向を示す。
以上のことから、膜面側から光ビームを入射してアニール処理を行うと、高NAの採用が容易となることが分かった。また、膜面側から光ビームを入射してアニール処理を行うと、光のエネルギーをランド5内に閉じ込めることができることが分かった。
即ち、膜面側から光ビームを入射するアニール処理方法によれば、ランド5のみに対するアニール処理が容易になることが分かった。
アニール用スポット径(半値幅)を小さくできるので、アニール幅との関係を見てみると、検討の結果、対物レンズの開口数NA=0.90の場合、アニール用スポット径がアニール幅の2倍程度であれば良好であることが分かった。つまり、アニール用スポット径≒φ0.24μmに対して、アニール幅≒0.12〜0.14μmであることが好ましい。
図15は、対物レンズの開口数NA=0.90でのアニール処理時の温度分布の半径方向温度勾配の検討結果を示すグラフである。
図15の横軸は、ランド5の中心からの光磁気ディスク半径方向の距離(半径位置)を表している。図15より、半径位置0.06μmで温度勾配が最大となっていることが分かる。即ち、アニール幅としては、0.12μm程度とすることが好ましい。
第1の実施形態でのアニール幅=0.12〜0.20μmであれば、対物レンズの開口数NAはNA=0.72〜0.90であることが望ましい。
従って、このような温度分布とアニール幅とでアニール処理を行えば、アニール処理領域と非アニール処理領域の境界が急峻で、メリハリの良い処理が可能となる。また、アニール処理の光出力が変化しても、アニール処理領域幅の変動は小さく、非常に良好なアニール処理が行うことが可能である。
また、アニール時に多少デトラックが生じても、グルーブ平坦部までアニール処理が広がるという問題は生じない。
これらのことから、前述された媒体構造に対して、第2の実施形態として対物レンズの開口数NA=0.90を採用したところ、良好なアニール処理を行うことができた。
以上のように、第2の実施形態によれば、膜面側から高NAの光ビームでアニール処理をすることで、光のエネルギーを閉じ込める効果を得ることができる。そのため、第2の実施形態では、第1の実施形態のアニール方法に比べて安定したアニール処理が可能となり、狭トラックピッチでの高性能な(つまり、クロストーク、クロスライトの影響が良く抑えられた)磁壁移動再生が可能な光磁気ディスクを提供することができる。
(第3の実施形態)
第1及び第2の実施形態において、基板2の諸条件について最適化した光磁気ディスクを第3の実施形態として示す。特に示す場合を除く他、第3の実施形態の光磁気ディスクは第1及び第2の実施形態のものと同様である。
表1は、第3の実施形態の光磁気ディスクの最適化された諸条件を示す表である。
ランド5の表面粗さRa(L)にはアニール処理の条件との相関は無いが、磁性層3を分断するという機能から、磁壁移動動作をするグルーブ6の表面粗さRa(G)と比較して、Ra(G)≦Ra(L)であることが好ましい。本実施形態によれば、グルーブ6内での磁壁の移動がスムーズになると共に、ランド5への磁壁の移動が抑制され、クロストークが抑制されるので、狭トラックピッチの実現が可能である。
更に、グルーブ6の表面粗さRa(G)及びランド5の表面粗さRa(L)については、Ra(G)≦0.6nmで、かつ1nm≦Ra(L)≦1.5nmであることが好ましい。
グルーブ6の表面粗さRa(G)≦0.6nmが好ましいことは、既に特開平11−191245号公報により開示された、良好な磁壁移動再生に必要な条件である。
ランド5の表面粗さRa(L)として1nm以上が好ましいのは、グルーブ6内の磁壁がランド5へはみ出すことが抑制されるからである。また、ランド5の表面粗さRa(L)として1.5nm以下が好ましいのは、グルーブ6の記録再生情報に影響する不要なノイズを抑えることができるからである。
更に、グルーブ斜面の表面粗さRa(T)を1nm以下とすることにより、グルーブ内での磁壁移動再生動作が良好となる。
以上説明したように、ランド5やグルーブ斜面の表面粗さは、グルーブ6における磁壁移動再生動作に影響する。
また、ランド5の形状も再生動作に影響する。
ランド5の先端部分は概ね丸い形状が好ましい。具体的には、ランド5に平坦な部分が存在すると、グルーブ6での磁壁移動の記録再生信号に対するノイズの原因となる。従って、ランド5には平坦な部分が形成されていないことが望まれる。また、この要件を、ランド5のエッジの曲率半径r(L)で表現すると、ランド5のエッジの曲率半径r(L)が30nm以上でノイズを抑える効果が得られる。一方、アニール処理をプッシュプル信号を用いて行なう場合、ランド5のエッジの曲率半径r(L)は60nm以下であることが好ましい。ランドエッジの局率半径r(L)が60nmより大きいと、プッシュプル信号が得られにくい、即ち、トラッキングサーボがかかり難いからである。
また、グルーブ6のエッジの曲率半径r(G)が小さ過ぎるとノイズ発生の原因となる。具体的には、グルーブ6のエッジの曲率半径r(G)は30nm以上であることが好ましい。
また、波長λ≒400nm、対物レンズの開口数NA=0.6〜0.9等の短波長かつ高NAの光ビームを用いてランド5のアニール処理を行なう場合、グルーブ6の斜面の角度を30°以上、好ましくは約40°とすることにより、プッシュプル法を用いてトラッキングサーボを行なうことが可能となる。また、グルーブ6の磁壁移動再生信号(通常再生;記録再生時の光ビームの波長λ=650nmで、対物レンズの開口数NA=0.6)に対するノイズが低減される。
また、グルーブ6における記録再生用光ビームでの反射率I(G)は、グルーブ6が無い部分(ミラー部)における反射率をI(M)としたとき、I(G)/I(M)が0.95以上が好ましく、良好な磁壁移動型の光磁気記録再生信号を得ることが可能となる。グルーブ6における記録再生用光ビームでの反射率I(G)は、溝深さ(グルーブ深さ)と溝幅(グルーブ幅)、溝(グルーブ)斜面部の角度等を選択することにより調整可能である。
図16Aおよび16Bは、本実施形態の光磁気ディスクのアニール処理時の特徴的部分を示す概念図である。
図16Aは、ランドグルーブ基板161の表面に磁性層等の積層薄膜162が形成された媒体の断面概念図である。
ランドグルーブ基板161は、ランド164とグルーブ163を有する。またランドグルーブ基板161のトラックピッチ169(ランド164の幅とグルーブ163の幅の和)は記録再生光ビーム168のビーム径より小さい。
図16Bは、アニール処理後の光磁気ディスクを媒体の上面方向から見た図である。図16Bには、アニール部分166と非アニール部分165とが示されている。非アニール部分165が情報を記録する部分である。
図17A、17B及び17Cは、本実施形態の光磁気ディスクの形状の一例を説明するための説明図である。
図17Aを参照すると、本実施形態の光磁気ディスクは、ポリカーボネート基板171上に磁性薄膜等の積層薄膜172が形成された形状を有する。
図17Bを参照して説明すると、ポリカーボネート基板171は、ランド幅174が0.14μmであり、グルーブ幅173が0.40μmであり、トラックピッチ175が0.54μmであり、グルーブ底幅176が0.36μmであり、溝深さ179が55nmのランド・グルーブ基板である。
ここで、ランド5の平坦部表面の表面粗さRa(L)は1.1nmであり、グルーブ6の底面の表面粗さRa(G)は0.35nmであり、グルーブ斜面の表面粗さRa(T)は0.82nmである。すなわち、Ra(G)<Ra(L)の関係にある。このような各部の表面粗さを有する光磁気ディスクは、原盤作成時のレジストの条件や原盤のベーキング、アッシング等の調整、あるいは射出成形されたポリカーボネート基板の熱処理によって形成することができる。
図17Bに示すように、本実施形態のポリカーボネート基板171のランド177は極めて幅が狭いため、先端部が丸く、平坦部がほとんど無い。また、図17Cに示すランド177のエッジの曲率半径r(L)は45nmであり、グルーブ178のエッジの曲率半径r(G)は40nmである。さらに、グルーブ斜面部の角度は40°である。また、溝の反射率の測定結果は0.96である。
図18は、本実施形態の光磁気ディスクの積層薄膜の形成方法を説明するための説明図である。
図18を参照して積層薄膜の形成方法について説明する。
積層薄膜182の形成方法としては、先ず、ポリカーボネート基板181上に干渉層(誘電体層)183としてSiN層を90nmの厚さに形成する。次に、磁壁移動層184としてGdFeCoAl層を30nmの厚さに形成する。次に、スイッチング層185としてTbFeAl層を10nmの厚さに形成する。次に、記録保持層186としてTbFeCo層を80nmの厚さで形成する。次に、保護層(誘電体層)187としてSiN層を50nmの厚さに形成する。次に、放熱層188としてAl層を30nmの厚さで形成する。これら各層は、スパッタリング法により、順次、形成される。
以上の様にして形成された積層薄膜182の上に保護コート層189として紫外線硬化樹脂層を2μmの厚さに形成する。
次に、図18を用いて説明した方法により形成された光磁気ディスクのランド164のみを光レーザーでアニール処理する。アニール処理において、記録再生用光ビームより波長の短い光ビームを基板裏側あるいは表側から照射する。本実施形態における形成方法では基板側から光レーザーを照射するものとする。ここでは、アニール処理の光レーザーの波長は400nmであり、対物レンズの開口数NAは0.65である。ちなみに、本実施形態の光磁気ディスクを含む本発明の光磁気記録媒体のための記録再生用光レーザーの波長は650nmであり、対物レンズの開口数NAは0.6である。
なお、アニール処理は、対象とする部分の磁気特性が変化する程度まで、即ち、その部分が面内磁化膜になるまで行えばよい。具体的には、光レーザーのパワーが4.2mWであり、媒体の回転相対速度が1.0m/sec程度がよい。なお、図18のポリカーボネート基板181及び積層薄膜182は、それぞれ図16Aのランドグルーブ基板161及び積層薄膜162と同じものを指している。
本実施形態において例示したように、基板側から積層薄膜162に光レーザーを照射することでアニール処理した場合、アニール部分166と非アニール部分165との境界はグルーブ163のエッジ付近となる。また、それとは反対側から光レーザーを照射することでアニール処理した場合、アニール部分166と非アニール部分165との境界はランドのエッジ付近となる。これは、ランド・グルーブ基板161のような凹凸基板に対して光レーザーを照射すると、光レーザーのエネルギーがランド・グルーブ基板161の凹凸のエッジ部分に集中する現象(光閉じ込め効果)による。
なお、ランド・グルーブ基板161のエッジの位置と積層薄膜162のエッジの位置とは、厳密には、積層薄膜の膜厚分だけずれている。しかし、積層薄膜162がランド・グルーブ基板161に比較して非常に薄いものであるため、このずれは無視することできる。
本実施形態の光磁気ディスクを実際に作製して評価を行った。この評価では、一般的な光磁気記録再生装置(不図示)を用いて、一般的な磁界変調方式で情報を本実施形態の光磁気ディスクに記録(パルス磁界変記録)し、磁壁移動再生により情報を再生した。
評価の条件として、光レーザーは、波長を650nmとし、対物レンズの開口数NAを0.6とした。また、記録ビット長は0.080μmとした。さらに、相対速度は2.40m/secとした。
また、情報を記録するために用いる光ビームのパワーは5.0mWとした。情報を再生するための光ビームは、パワーが2.4mWのときにジッタ特性が最良であり、最良時のジッタσはσ=3.4nsであった。
以上の条件により、本実施形態の光磁気ディスクに情報を記録し、その後に再生してみたところ、ノイズの十分な低減効果を反映してC/NはC/N=41.0dBであった。また、ビットエラーレートは1.5×10−5であった。この結果は、記録密度15Gbit/inch2相当において、十分に実用レベルに達していることを示している。
以上より、本実施形態の光磁気ディスクは、特徴的な形状を有すること、及び、ランド164を短波長の光レーザーでアニール処理するという新規な手法を用いることにより、従来、狭トラックピッチの磁壁移動型光磁気記録媒体を実現する際問題となっていたクロストークやクロスライトの影響が大幅に改善されており、またノイズも大幅に低減されている。これらのことから、本実施形態の光磁気ディスクは実用レベルの超高密度な光磁気記録媒体であるといえる。
また、本実施形態のランド・グルーブ基板161は浅溝であり、一般的な射出成形法により作成できるため、製造コストは従来と同等である。
(第4の実施形態)
光ビームを基板の反対側から照射してアニール処理を行った光磁気ディスクを第4の実施形態として示す。特に示す場合を除く他、第4の実施形態の光磁気ディスクは第3の光磁気ディスクと同様のものである。
図19は、第4の実施形態の光磁気ディスクにおける記録再生時の状態を示す概念図である。図19に示されるように、本実施形態の光磁気ディスクは基板191上に、積層薄膜192が形成された構成を有する。
本実施形態では、短波長の光レーザー193を基板と反対側(即ち、積層薄膜192側)から積層薄膜192に照射してアニール処理を行なう。
本実施形態では、積層薄膜192側から光レーザー193を照射してアニール処理を行うので、ランドのエッジ部分に光レーザーのエネルギーが集中し、アニール処理により磁性層が変質する部分の面積が第3の実施形態に比べて狭い。即ち、第3の実施形態の光磁気ディスクよりも更に狭トラックピッチの光磁気ディスクが実現できる。但し、第4の実施形態の光磁気ディスクは、積層薄膜192を作成する途中でアニール処理を行わなければならず、第3の実施形態より製造工程が複雑であり、製造コストがやや高い。
本実施形態のように積層薄膜側から光レーザーを照射する場合、積層薄膜192の中に放熱層が存在すると、光レーザーは放熱層で反射されて磁性層に到達しない。
従って、本実施形態の光磁気ディスクの形成方法としては、図18を用いて説明した形成方法において、領域Aまで(保護層187まで)形成した後に、一旦、媒体を大気中に取り出してアニール処理を行ない、再び、真空装置内に入れて領域B(放熱層188と保護コート層189)を形成する。
アニール処理における条件の一例としては、光レーザーは、波長λが405nmであり、対物レンズの開口数NAが0.9であり、媒体の回転相対速度が3.0m/secであり、光レーザーのパワーは3.2mWである。
以上の条件で本実施形態の光磁気ディスクを実際に作製して、第3の実施形態について行ったのと同様の評価を行った。第4の実施形態では、ジッタσはσ=3.6nsであった。また、ノイズの十分な低減効果を反映してC/NはC/N、=41.1dBであった。さらに、ビットエラーレートは1.0×10−5であり、十分実用レベルであった。
以上より、本実施形態の光磁気ディスクは、特徴的な形状を有すること、及び、ランドを短波長の光レーザーでアニール処理するという新規な手法を用いることにより、クロストークやクロスライトの影響が従来に比べて大幅に改善されており、またノイズも大幅に低減されている。これらのことから、本実施形態の光磁気ディスクは実用レベルの超高密度な光磁気記録媒体であるといえる。
また、本実施形態のランド・グルーブ基板は浅溝であり、一般的な射出成形法で作成できるため、製造コストはそれほど高くならない。
これまで述べてきた本発明の各実施形態の効果を確認するために、以下に比較例を示す。
(第1の比較例)
本発明の第3の実施形態の光磁気ディスクと比較するために、第1の比較例の光磁気記録媒体を作製した。
第1の比較例の光磁気記録媒体は、ランドの平坦部の表面粗さRa(L)がグルーブの表面粗さRa(G)と同等の0.35nmである点で第3の実施形態と異なることを除いては実施形態3の光磁気記録媒体と同じである。第1の比較例の基板は、レジストをレーザーカッティングした原盤を150℃で20分ポストベークすることにより作製した。
第1の比較例の光磁気記録媒体について、第3の実施形態について行ったのと同様の評価を行ったところ、ジッタσはσ=4.8nsであった。また、ビットエラーレートは8.0×10−4であり、実用レベルに到達していなかった。さらに、クロストークやクロスライトの影響が実用上問題となる程度に大きかった。
このことから、第3の実施形態の光磁気ディスクのように、ランドの表面粗さがグルーブの表面粗さより大きいことが好ましいことが分かる。
(第2の比較例)
本発明の第4の実施形態の光磁気ディスクと比較するために、第2の比較例の光磁気記録媒体を作製した。
第2の比較例の光磁気記録媒体は、グルーブ斜面の表面粗さRa(T)が1.3nmである点で第4の実施形態と異なりことを除いては第4の実施形態の光磁気記録媒体と同じである。第2の比較例の基板は、原盤の後処理を全く行なわずに作製したものである。
第2の比較例の光磁気記録媒体について、第4の実施形態について行ったのと同様の評価を行ったところ、ジッタσはσ=5.2nsであった。また、ビットエラーレートは9.8×10−4であり、実用レベルに到達していなかった。さらに、クロストークやクロスライトの影響は第1の比較例ほど顕著ではなかった。
このことから、グルーブ斜面の表面粗さが大きすぎると、磁壁移動再生の特性が悪化し、実用上問題となることがわかった。
産業上の利用の可能性
本発明によれば、光磁気記録媒体のウォブルピットの配置や溝構造及びアニール処理条件が最適化されるので、狭トラックピッチで安定したトラッキングサーボが可能であり、隣接トラックからの信号のもれ込みの影響が抑えられ、情報を記録する際に隣接トラックに記録された情報にダメージを与えず、安定した磁壁移動再生が可能な光磁気記録媒体を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の一実施形態の光磁気ディスクの特徴を示す概念図である。
図2は、本発明の一実施形態の光磁気ディスクの周方向の一部を拡大した模式図である。
図3A及び3Bは、本発明の一実施形態の光磁気ディスクにおける記録再生時の状態を示す概念図である。
図4は、本発明の実施形態におけるアニール用光ヘッド光学系の模式図である。
図5は、本発明の一実施形態の光磁気ディスクに対するアニール処理時の状況を示す概念図である。
図6は、磁壁移動再生時のトラック幅とジッタ値との関係を表したグラフである。
図7は、反射光量のグルーブ深さ依存性を示すグラフである。
図8は、プリピット信号振幅のピット深さ依存性を示すグラフである。
図9は、グルーブ深さとプリピット深さの関係を示す図である。
図10A及び10Bは、アニール処理領域の幅を示す概念図である。
図11は、第2の実施形態における光磁気ディスクのアニール処理時の状況を示す概念図である。
図12は、第2の実施形態のアニール用光ヘッド光学系の模式図である。
図13A及び13Bは、基板側からランドへ光ビームを入射した場合における光の吸収の様子を示す図である。
図14A及び14Bは、膜面側からランド5へ光ビームを入射した場合における光の吸収の様子を示す図である。
図15は、対物レンズの開口数NA=0.90でのアニール処理時の温度分布の半径方向温度勾配の検討結果を示すグラフである。
図16A及び16Bは、第3の実施形態の光磁気ディスクのアニール処理時の特徴的部分を示す概念図である。
図17A、17B及び17Cは、第3の実施形態の光磁気ディスクの形状の一例を説明するための説明図である。
図18は、第3の実施形態の光磁気ディスクの積層薄膜の形成方法を説明するための説明図である。
図19は、第4の実施形態の光磁気ディスクにおける記録再生時の状態を示す概念図である。
Claims (12)
- 光磁気記録媒体であって,
複数の記録再生用トラック;及び
サンプルサーボ用の一対のウォブルピットを含み、
前記ウォブルピットの各々は互いに別の隣接トラック間に設けられ、隣接するトラックにおいて共用されることを特徴とする光磁気記録媒体。 - 磁壁移動型光磁気記録媒体であって、さらに、基板、前記基板上に積層された磁壁移動層、スイッチング層及び記録保持層を含む請求項1記載の光磁気記録媒体。
- 前記基板にランドとグルーブとが形成されており、前記グルーブが前記記録再生用トラックとして利用され、前記ランド上の前記磁壁移動層がアニールによりその磁化状態を変質させてある請求項2記載の光磁気記録媒体。
- 前記ウォブルピットが形成されている領域には前記グルーブが形成されておらず、前記ウォブルピットが前記ランドの延長線上に形成されている請求項3記載の光磁気記録媒体。
- 前記グルーブの間隔が、記録或いは再生に用いる光ビームのビーム径より小さく設定されている請求項3記載の光磁気記録媒体。
- 前記グルーブの幅が、前記ビーム径の2/3〜7/8倍に設定されている請求項5記載の光磁気記録媒体。
- 前記ランドの幅と前記グルーブの幅とが2対9の関係にある請求項3記載の光磁気記録媒体。
- 前記ウォブルピットの幅が前記ランドの幅の4〜6倍である請求項4記載の光磁気記録媒体。
- 前記ウォブルピットの深さが、前記グルーブの深さより大きい請求項8記載の光磁気記録媒体。
- 前記ランドの表面粗さが、前記グルーブの表面粗さ以上である請求項3記載の光磁気記録媒体。
- 前記ランドの先端が曲面で構成されている請求項3記載の光磁気記録媒体。
- 前記グルーブの反射率が、前記グルーブが形成されていない領域における反射率の0.95倍以上である請求項4記載の光磁気記録媒体。
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