JP2005285189A - 光磁気記録媒体の加熱処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 情報トラックにアニール処理された領域が存在しない光磁気記録媒体を提供する。
【解決手段】 ランド21とグルーブ22の間の側壁部を所定のレザーパワーでアニール処理し、その隣の側壁部に光ビームを移動させるとき、アニール処理されないレーザーパワーでランド21あるいはグループ22を横断させる。その後、所定のレーザーパワーで側壁部をアニール処理する。
【選択図】 図1
【解決手段】 ランド21とグルーブ22の間の側壁部を所定のレザーパワーでアニール処理し、その隣の側壁部に光ビームを移動させるとき、アニール処理されないレーザーパワーでランド21あるいはグループ22を横断させる。その後、所定のレーザーパワーで側壁部をアニール処理する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、磁性薄膜に情報を記録する光磁気記録媒体に関し、特に、記録した情報を磁壁移動再生方式により再生する光磁気記録媒体の製造方法に関する。
光磁気記録媒体における、書き換え可能な高密度記録方式として、半導体レーザの熱エネルギーを用いて磁性薄膜に磁区を書き込むことで情報を記録し、光磁気効果を用いて情報を読み出すものがある。近年、この方式を用いた光磁気記録媒体の記録密度を更に高めて大容量の記録媒体を実現しようとする要求が高まっている。
光磁気記録媒体である光磁気ディスクの線記録密度は、再生光学系のレーザ波長と、対物レンズの開口数に大きく依存する。しかし、再生光学系のレーザ波長や対物レンズの開口数の改善には限界がある。そのため、記録媒体の構成や読み取り方法を工夫することで記録密度を改善する技術が開発されている。
例えば、特許文献1に開示されている技術がある。それによれば、磁気的に結合された磁壁移動層と記録保持層とを有する多層膜の構成において、情報は記録保持層に記録される。そして、情報再生時には、光ビームの照射による温度勾配を利用して、記録保持層に記録した情報を変化させることなく、磁壁移動層の記録マークの磁壁を移動させる。そして、光ビームスポットの一部領域が同一の磁化になるように磁壁移動層を磁化させて、光ビーム反射光の偏光面の変化を検出することにより、光の回折限界以下の記録マークを再生する。
この方法によれば、光の回折限界以下の記録マークの再生が可能であり、記録密度及び転送速度が大幅に向上した光磁気記録媒体及びその再生方法が実現可能である。
なお、この光磁気記録媒体では、光ビームの照射による温度勾配を利用して磁壁移動層における記録マークの磁壁の移動を起こり易くするために、情報記録再生トラックを挟む両隣接グルーブに高パワーのレーザ光を照射することでグルーブを高温加熱処理(以下、アニール処理と称する)し、グルーブ部分の記録媒体層を変質させるアニール処理が施されている。このアニール処理により、記録マークを形成する磁壁が閉じた磁区にならないという効果を得ることができる。これにより、隣接する情報トラックの磁性層間の結合が消失するので、より安定した磁壁の移動が可能である。このアニール処理により良好な再生信号を得ることができる。
ところが、上記従来例においては、アニール処理を前提とする場合は、グルーブをアニール処理するため、情報トラックとしてランドのみ使用可能で高密度化を図ることが難しいという、課題があった。
また、最近では、更なる高密度化を目指して、アニール処理を必要とせず、ランド部とともにグルーブ部分も情報トラックとして使用可能な光磁気ディスクに関する研究が盛んである。これによれば、光磁気ディスクの情報トラックに対して垂直方向に高密度化が可能となるとされている。
例えば、特許文献2では、基板における溝部側壁部の表面粗さをコントロールすることにより、ランド部ばかりでなくグルーブ部も記録可能な媒体(以下、ランド・グルーブ記録媒体と称する)を実現している。
このようにして、従来、光磁気記録媒体のトラックは、0.5μm程度のまでの狭トラックピッチ化が可能となっている。実験によれば、トラックピッチ0.54μmの深溝(溝深さが約160nm)のランド・グルーブ基板を用いて、線記録密度として0.08μm/bitの記録再生が実用レベルで確認されている。これは、記録密度として15Gbit/inch2に相当する。
また、ランドとともにグルーブを記録可能とする場合は、100nm程度以上の比較的深い溝を前提としているものであり、そのため、入射光の近接場的振る舞いにより、ランド部をトレースしている時と、グルーブ部をトレースしている時で形成される温度分布が大きく異なり、特に、ランド部記録時は相対的に、グルーブ部のトレース時よりもより大きな記録パワーが必要となり、ランド部の記録を最適記録パワーで行うとグルーブ部のデータを破壊してしまう、いわゆる、クロスライトしてしまうという課題があった。
また、深溝基板は、成型が難しく、狭トラックピッチ化も難しいという問題がある。
そこで、これらの課題を解決する方法として、本出願人により提案された特許文献3に示されているように、相対的な段差が記録再生に係る光源波長の1/8程度以下である、比較的浅い溝のランド部とグルーブ部を両方ともトラックとして使用するようにする為、予め、ランドとグルーブの間の境界部(以下、側壁部と称する)の物性をレーザービーム照射のアニール処理で変質させる方法によりランドとグルーブの間を磁気的に分断するようにする。
こうすることにより、記録媒体の半径方向においてトラック間が磁気的に分断された、浅い溝を使用したランド・グルーブ記録に対応した、狭トラックピッチの、より高密度な情報記録が可能な光磁気記録媒体を提供することが可能となる。
特開平06−290496号公報
特開平11−195252号公報
特願2002−122431号
特許文献3のようにランド・グルーブ間の側壁部をアニール処理する際、単純で効率の良い方法が検討される。そこで本出願人は上記アニール処理を鋭意検討した際、アニール処理されるレーザーパワーで、ある側壁部をアニール処理した後、その隣の側壁部をアニール処理するために、該アニール処理されるレーザーパワーのままトラックを横断(トラックジャンプとも呼ばれる。)した後に側壁部をアニール処理すると、情報記録トラック即ちランド部あるいはグルーブ部に、トラックを横断した際にアニール処理された領域が形成されてしまうことを見出し、そのために、情報トラックに記録磁区が形成されない領域が生じ、有効な記録領域が減少するという問題を懸念した。
そこで本発明の目的は、上記の特許文献3の光磁気媒体を製造するにあたって、記録再生領域である情報トラックにアニール処理された領域が存在しない光磁気記録媒体の加熱処理方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、積層された磁壁移動層、スイッチング層及び記録保持層を含み、記録再生領域である情報トラックに情報が記録され、前記記録再生領域に再生用光ビームを照射することにより記録マークの磁壁を移動させ、前記再生用光ビームの反射光が有する偏光面の変化を検出することで前記情報が再生される磁壁移動型の光磁気記録媒体を用いたランド・グルーブ記録再生方式の前記光磁気記録媒体のランドとグルーブの境界部をレーザー光を用いて加熱処理する方法であって、最初に所定の加熱処理を行う領域内の前記境界部を所定のレーザーパワーで加熱処理を行った後、アニール処理されないレーザーパワーで情報トラックを横断した後、加熱処理されていない他の領域の前記境界部を所定のレーザーパワーで所定の加熱処理を行うことを特徴とする。
上記の光磁気記録媒体の加熱処理方法において、加熱処理はメインビームと2つのサブビームに分かれた3ビーム光を用いて行い、サブビームで隣接するランドとグルーブにトラッキングを掛け、該ランドと該グルーブの間の境界部にメインビームを照射して行うことが好適である。
また、前記磁壁移動層、スイッチング層及び記録保持層を含む記録層の表裏面に誘電体層を設けてもよい。これにより、加熱処理用のレーザ光の吸収効率を高めることができるため、光スポットを速い線速度で走査することができ、処理時間を短縮できる。
さらに、加熱処理は一定の線速度で実施することが均一な処理を行う上で好ましい。
本発明によれば、ランドとグルーブの境界部に光ビームを照射し物性を変質させる方法でランド・グルーブ間を磁気的に分断することにより安定した磁壁移動再生が行えるランド・グルーブ記録対応の光磁気媒体を製造する際、情報トラックとなるランドおよびグループ上は加熱処理されない低いレーザーパワーで光ビームが横断するように制御したので、情報トラックには加熱処理された領域が存在しない光磁気媒体を提供することが可能になる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態は一例であり、本発明はこれら実施形態により限定を受けるものではない。
本発明に用いた光磁気ディスクについて一例を説明する。光磁気ディスクについて、一部断面図を図1に示す。
図1を参照して、光磁気ディスクは、基板61と、基板61の上方に配置された記録層63と、基板61と記録層63との間に配置された第1の誘電体層62と、記録層63に対して基板61とは反対側に配置された第2の誘電体層64と、第2の誘電体層64上に配置された保護コート層(不図示)とを備える。光磁気ディスクは、基板61側から入射される光を用いて情報信号の再生を行う光磁気ディスクである。
そのため、基板61は、円板状の基板である。基板61には、たとえば、ポリカーボネートやガラス等からなる基板を用いることができ、厚さは、たとえば0.5mm〜1.2mm程度である。
第1の誘電体層62および第2の誘電体層64には、たとえば、Si3N4などの窒化シリコン、AlN、SiO2、SiO、ZnS、MgF2などの透明誘電材料が使用できる。
第2の誘電体層64の厚さは、特開平2002−203343号公報に開示されているように第2の誘電体層64側からアニール処理用のレーザ光を照射したときに、その反射率が低く、光が効率よく吸収されるように設定される。また、前記公報に開示されている光磁気ディスクでは、アニール用のレーザ光の光スポットを小さくできるため、記録トラックの実質的な幅を広くすることができる。また、記録層63におけるアニール用のレーザ光の吸収効率を高めることができるため、光スポットを速い線速度で走査することができ、アニール時間を短縮できる。
具体的には、第2の誘電体層64として、屈折率が約2である窒化シリコンを用い、アニール用のレーザ光の波長λが400nm〜410nmの範囲内である場合には、第2の誘電体層64の厚さを20nm〜60nmの範囲内とすることができる。
図示していない保護コート層は、基板61と同様の材料を用いて形成できるが、基板61よりも屈折率が大きいことが好ましい。保護コート層は、たとえば、紫外線硬化性樹脂を塗布して硬化させて形成してもよいし、第2の誘電体層64上に基板を貼り合わせてもよい。
記録層63は、DWDD(Domain Wall Displacement Detection)方式で再生が可能なように3層以上の磁性体層を含む。ランド21とグルーブ22の間に形成されている側壁部23における記録層63は、第2の誘電体層64側から入射された波長λの光を用いてアニールされた層である。記録層63の一例として、記録層63が、基板61側(不図示の記録再生用スポットが配置される側)から順に積層された第1の磁性体層である磁壁移動層、第2の磁性体層であるスイッチング層、および第3の磁性体層である記録保持層を含む場合には、各層の材料として、以下のものを用いることができる。
第1の磁性体層の材料には、小さな磁壁抗磁力を有し、第2の磁性体層のキュリー温度近傍の温度範囲で飽和磁化が小さな材料で、そのキュリー温度が第3の磁性体層よりも低く第2の磁性体層よりも高い材料を用いることができる。たとえば、GdCoやGdFeCo、またはその合金でキュリー温度が220℃〜300℃程度のものを用いることができる。
第2の磁性体層の材料としては、キュリー温度が第1の磁性体層や第3の磁性体層よりも低いものであり、そのキュリー温度直下まで大きな磁壁抗磁力を有する材料を用いることが好ましい。たとえば、DyFeやTbFe、またはその合金を用いることができ、その典型的なキュリー温度として140℃〜180℃のものを用いることができる。
第3の磁性体層は大きな磁壁抗磁力を有し、第1の磁性体層や第2の磁性体層よりも高いキュリー温度を有し、第2の磁性体層のキュリー温度近傍の温度範囲で飽和磁化が小さな材料を用いることができる。たとえば、TbFeCo、またはその合金で、キュリー温度が280℃〜330℃のものを用いることができる。特開2000-207791号公報に開示されているように、再生時の特性を向上させるために、遮断補助層を設けてもよい。さらに、特開2000-187898号公報に開示されているように、後方からの磁壁が前方に移動し再生信号への漏れこみを防止するための磁性層を設けてもよい。
なお、本発明の光磁気ディスクは、第2の誘電体層64と保護コート層(不図示)との間に、記録層63の感度を調節するための熱伝導調整層をさらに備えてもよい。熱伝導調整層には、金属膜を用いることができ、たとえば、アルミニウムや金からなる膜を用いることができる。熱伝導調整層の厚さは、一般的には、50nm〜500nm程度である。この場合、該熱伝導調整層はアニール処理を行った後に形成する。
また、アニール処理は、特願2002−122431号に提案されているようにメインビームと2つのサブビームに分かれた3ビーム光を用いて行い、サブビームで隣接するランドとグルーブにトラッキングを掛け、隣接するランド・グルーブ間の側壁部にメインビームを照射させて行う。レーザー光の波長は、アニール処理領域のトラック方向(即ちトラックに対して垂直方向)の幅を狭くするため、400〜420nm等の短い波長の方が望ましい。
その際、アニール処理されない低いレーザーパワーで光磁気ディスクの所定のアニール領域のディスク内周側の側壁部にメインビームが照射されるようにトラッキングを掛ける。その時の光磁気ディスクの線速度は、媒体の厚さや材質等により適切な値を選択する。一般には、1.5〜6.0m/sである。そして、アニール処理を均一に行うため、アニールは一定の線速度で行われる。その後、所定のアニール処理を行うレーザーパワーにして、まずディスク内周側の側壁部(片側の側壁部)のみを所定の領域全域に渡って連続してアニール処理する。その後、レーザーパワーをアニール処理されないパワーに低下する。この低いレーザーパワーの状態でシークを行い、所定のアニール処理をスタートさせる未アニール側壁部にメインビームが照射されるように移動する。その後、所定のアニール処理が行えるレーザーパワーに高めて、所定の領域全域に渡って、未アニール側壁部をアニール処理する。
あるいは、ある情報トラックの片側の側壁部を所定の長さ(通常1周分)アニール処理した後、レーザーパワーをアニール処理されないパワーに低下させ隣の側壁部にメインビームを移動させる。その後、所定のアニール処理されるレーザーパワーに高め、隣の側壁部をアニール処理する。該側壁部が所定の長さアニール処理されたら、また、低いレーザーパワーとし、隣の側壁部にメインビームを移動させる。この動作を繰り返すことにより、所定の領域全域をアニール処理してもよい。
以上の処理方法、即ち、側壁部全域に渡ってアニール処理するか、一定長のアニール処理を繰り返すかのどちらを選択するかは、生産性、コスト、タクト等を考慮して決められる。図2は上述のアニール処理におけるレーザービームの様子を示している。
このようにすることにより、情報トラック上をアニール処理されない低いレーザーパワーでメインビームを移動させるため、情報トラックには、アニール処理される領域が生じないので、すべてのアニール処理を行った領域で良好な特性(ランド・グループ間を磁気的に良好に分断する特性)を示し、所望の記録再生特性を有する情報トラックが、所定の領域すべてに渡って得られる。
以下に具体的な実施例をもって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
本発明の製造方法を特許文献1(特開平6-290496号公報)に提案されている媒体に、特開2000-207791号公報、特開2000-187898号公報に提案されている記録媒体を適用した例について説明する。この場合、記録層63として少なくとも、第1、第2、第3、第4、第5の磁性層が基板61側から順次積層されている磁性多層膜を用いる。第1の磁性層、第2の磁性層は、周囲温度近傍の温度において、第5の磁性層に比べて相対的に磁壁抗磁力が小さい磁性膜からなり、第4の磁性層は、第1、第2、第3及び第5の磁性層よりもキュリー温度の低い磁性膜からなり、第5の磁性層は垂直磁化膜からなっている。基板61として、ポリカーボネートからなる厚さ0.6mm、ダブルスパイラルに形成されたランドとグルーブのピッチを0.55μm、グルーブあるいはランドのみのピッチだと1.1μm、段差(深さ)を0.04μmとし、このランドとグルーブとの間の側壁部の基板表面に対する傾斜角度が約40゜になるように成形した直径64mmの基板を用いた。ランド・グルーブのパターン領域は、半径16mm〜30mmである。直流マグネトロンスパッタリング装置に、BドープしたSi、及びGd、Tb、Fe、Coの各ターゲットを取り付け、前記ポリカーボネイト基板を基板ホルダーに固定した後、1×10-5Pa以下の高真空になるまでチャンバー内をクライオポンプで真空排気した。スパッタリングガスをチャンバー内に導入し、基板61を回転させながら、第1誘電体層62であるSiN層を40nm成膜した。引き続き、第1の磁性層としてGdFeCo層を18nm、第2の磁性層(遮断補助層)としてGdFeCrを18nm、第3の磁性層(後方漏れこみ抑制層)としてTbFeCoを18nm、第4の磁性層(遮断層)としてTbFe層を10nm、第5の磁性層(メモリ層)としてTbFeCo層を60nm順次成膜した。最後に、第2誘電体層64としてSiN層を45nm成膜した。SiN層成膜時にはArガスに加えてN2 ガスを導入し、直流反応性スパッタにより成膜した。各磁性層は、Arガスを用いてGd、Tb、Fe、Coの各ターゲットに直流パワーを印加して成膜した。
本発明の製造方法を特許文献1(特開平6-290496号公報)に提案されている媒体に、特開2000-207791号公報、特開2000-187898号公報に提案されている記録媒体を適用した例について説明する。この場合、記録層63として少なくとも、第1、第2、第3、第4、第5の磁性層が基板61側から順次積層されている磁性多層膜を用いる。第1の磁性層、第2の磁性層は、周囲温度近傍の温度において、第5の磁性層に比べて相対的に磁壁抗磁力が小さい磁性膜からなり、第4の磁性層は、第1、第2、第3及び第5の磁性層よりもキュリー温度の低い磁性膜からなり、第5の磁性層は垂直磁化膜からなっている。基板61として、ポリカーボネートからなる厚さ0.6mm、ダブルスパイラルに形成されたランドとグルーブのピッチを0.55μm、グルーブあるいはランドのみのピッチだと1.1μm、段差(深さ)を0.04μmとし、このランドとグルーブとの間の側壁部の基板表面に対する傾斜角度が約40゜になるように成形した直径64mmの基板を用いた。ランド・グルーブのパターン領域は、半径16mm〜30mmである。直流マグネトロンスパッタリング装置に、BドープしたSi、及びGd、Tb、Fe、Coの各ターゲットを取り付け、前記ポリカーボネイト基板を基板ホルダーに固定した後、1×10-5Pa以下の高真空になるまでチャンバー内をクライオポンプで真空排気した。スパッタリングガスをチャンバー内に導入し、基板61を回転させながら、第1誘電体層62であるSiN層を40nm成膜した。引き続き、第1の磁性層としてGdFeCo層を18nm、第2の磁性層(遮断補助層)としてGdFeCrを18nm、第3の磁性層(後方漏れこみ抑制層)としてTbFeCoを18nm、第4の磁性層(遮断層)としてTbFe層を10nm、第5の磁性層(メモリ層)としてTbFeCo層を60nm順次成膜した。最後に、第2誘電体層64としてSiN層を45nm成膜した。SiN層成膜時にはArガスに加えてN2 ガスを導入し、直流反応性スパッタにより成膜した。各磁性層は、Arガスを用いてGd、Tb、Fe、Coの各ターゲットに直流パワーを印加して成膜した。
各磁性層のキュリー温度は、第1の磁性層が300℃以上、第2の磁性層が220℃、第3の磁性層が180℃、第4の磁性層が160℃、第5の磁性層が330℃程度となるように設定した。各磁性層の組成は、特性が良くなる組成に調整した。その後、レーザー波長405nmの3ビームアニール装置を用いて、第2誘電体層64側からアニール処理を行った。アニール時の線速度は、一定の4.5m/sで行った。また、メインビームのアニールパワーを、5.0mwで行った。このアニール条件は、予めアニールパワーを変えて、記録再生評価を行って求めることができる。待機時あるいはトラックを横断する際のメインビームのパワーは、1.5mwとした。
最初、ディスク最内周のランド部の内周側の側壁部にメインビームが照射されるようにトラッキングを掛けた。この時のレーザーパワーは1.5mwである。その後、レーザーパワーを5.0mwにし、連続で各ランド部の内周側の側壁を照射した。スパイラル状にランド・グルーブが形成されているため、トラッキングを掛けた状態で連続で最外周に向かって、各ランド部の内周側の側壁部がアニール処理される。メインビームが最外周に達したら、レーザーパワーを待機時の1.5mwに落とし、光ヘッドを再び最内周へ移動させ、未アニールの側壁部にトラックジャンプする。その後、レーザーパワーを5.0mwにし、前記と同様にして連続でランド部の外周側の側壁部をアニール処理した。メインビームが最外周に達したら、レーザーパワーを待機時の1.5mwに落として、アニール処理工程を終了した。その後、紫外線硬化樹脂をコートして本発明に関する情報記録媒体を作成した。
<比較例1>
実施例1の媒体を、アニール処理する際にレーザーパワーを低下させないで光磁気ディスクの最内周から最外周に向かって各情報トラックに隣接する側壁部をトラックジャンプしながら交互にアニールを処理を行った。その後、実施例1と同様に紫外線硬化樹脂をコートして比較例1の媒体を作成した。
実施例1の媒体を、アニール処理する際にレーザーパワーを低下させないで光磁気ディスクの最内周から最外周に向かって各情報トラックに隣接する側壁部をトラックジャンプしながら交互にアニールを処理を行った。その後、実施例1と同様に紫外線硬化樹脂をコートして比較例1の媒体を作成した。
実施例1及び比較例1の媒体を以下の条件で記録再生評価を行った。レーザー波長650nm、対物レンズNA0.60の光学ヘッドを持つドライブ装置にセットし一定線速度2.4m/sで回転させ、半径22mmの位置で記録特性の測定を行った。摺動型磁気ヘッドにより磁界を変調しながら、ランド上に記録用のDCレーザーを照射して、マーク長0.11μmの繰り返しパターンを磁界変調記録した。この信号を再生パワー2.5mWで再生し、MO信号を一周に渡ってオシロスコープで観測した。その結果、比較例1は図3に示すように再生MO信号振幅が充分でない領域が観察された。欠陥の長さは、425nsで、1ビットの長さは、22.22nsであるため、約19000ビットに相当する。この領域のバイト数は、約2.3KBに相当する。1セクター32KBのフォーマット形式の場合、1セクターに前記約2KBの欠陥領域があると、そのセクターは使用できない欠陥セクターとなる。1周に16セクターあるフォーマットの場合、一周につき1/16が使用できない計算になる。ディスク全体の容量が4.7GBとして、約0.29GBが使用できないことになる。割合として、約6%である。しかし、本発明の媒体では図3のような欠陥は認められず、アニール工程に伴う欠陥セクターは存在しなかった。
21 ランド
22 グルーブ
23、23’ 側壁部
31 メインビーム
32、33’ サブビーム
61 基板
62 第1の誘電体層
63 記録層
64 第2の誘電体層
22 グルーブ
23、23’ 側壁部
31 メインビーム
32、33’ サブビーム
61 基板
62 第1の誘電体層
63 記録層
64 第2の誘電体層
Claims (4)
- 積層された磁壁移動層、スイッチング層及び記録保持層から少なくとも構成された記録層を含み、記録再生領域である情報トラックに情報が記録され、前記記録再生領域に再生用光ビームを照射することにより記録マークの磁壁を移動させ、前記再生用光ビームの反射光が有する偏光面の変化を検出することで前記情報が再生される磁壁移動型の光磁気記録媒体を用いたランド・グルーブ記録再生方式の前記光磁気記録媒体のランドとグルーブの境界部をレーザー光を用いて加熱処理する方法であって、
所定の加熱処理を行う前記境界部を所定のレーザーパワーで加熱処理を行った後、アニール処理されないレーザーパワーで情報トラックを横断した後、加熱処理されていない他の前記境界部を所定のレーザーパワーで所定の加熱処理を行う、光磁気記録媒体の加熱処理方法。 - 加熱処理はメインビームと2つのサブビームに分かれた3ビーム光を用いて行い、サブビームで隣接するランドとグルーブにトラッキングを掛け、該ランドと該グルーブの間の境界部にメインビームを照射して行う、請求項1に記載の光磁気記録媒体の加熱処理方法。
- 前記磁壁移動層、スイッチング層及び記録保持層を含む記録層の表裏面に誘電体層を設けた、請求項1に記載の光磁気記録媒体の加熱処理方法。
- 加熱処理は一定の線速度で実施する、請求項1に記載の光磁気記録媒体の加熱処理方法。
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