JP2981073B2 - 磁気光学メモリー素子 - Google Patents

磁気光学メモリー素子

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JP2981073B2
JP2981073B2 JP5044060A JP4406093A JP2981073B2 JP 2981073 B2 JP2981073 B2 JP 2981073B2 JP 5044060 A JP5044060 A JP 5044060A JP 4406093 A JP4406093 A JP 4406093A JP 2981073 B2 JP2981073 B2 JP 2981073B2
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淳策 中嶋
善照 村上
明 高橋
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光磁気記録装置に用い
られる光磁気ディスク、光磁気テープ、光磁気カード等
の磁気光学メモリー素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光磁気ディスクは、書き換え可能な光デ
ィスクとして研究開発が進められており、その一部は既
に、コンピューター用の外部メモリーとして実用化され
ている。
【0003】記録媒体として垂直磁化膜を用いる光磁気
ディスクでは、光を利用して記録再生を行うため、面内
磁化膜を用いたフロッピーディスクあるいはハードディ
スクに比べて、大記録容量を実現できる。
【0004】
【発明が解決しようとする問題点】しかしながら、光磁
気ディスクの記録密度は、光磁気ディスク上の光ビーム
スポットの大きさに制約を受ける。つまり、記録ビット
の大きさ、および、記録ビットの間隔が、光ビームスポ
ットの大きさに比べて小さくなると、光ビームスポット
内に複数の記録ビットが入る。このため、各記録ビット
を分離して再生することができない。
【0005】したがって、光磁気ディスクの記録密度を
さらに大きくすることは困難であるという問題点を有し
ている。
【0006】
【0007】
【0008】
【課題を解決するための手段】 請求項の発明に係る磁
気光学メモリー素子は、上記の課題を解決するために、
室温で面内磁化を示す一方、温度上昇に伴い垂直磁化に
移行する読み出し層と、読み出し層上に形成され、情報
を光磁気記録する記録層とが備えられており、上記読み
出し層は、フェリ磁性体の希土類遷移金属非晶質合金か
らなり、その組成は室温で希土類金属副格子磁化が遷移
金属副格子磁化より大きく、かつ、補償温度がなく、キ
ュリー温度が130℃以上になるように設定されてお
り、その膜厚が10nm以上に設定されている一方、記
録層は、フェリ磁性体の希土類遷移金属非晶質合金から
なり、その組成は室温で希土類金属副格子磁化が遷移金
属副格子磁化より大きくなるように設定されており、補
償温度をもたないことを特徴としている。
【0009】請求項の発明に係る磁気光学メモリー素
子は、上記の課題を解決するために、室温で面内磁化を
示す一方、温度上昇に伴い垂直磁化に移行する読み出し
層と、読み出し層上に形成され、情報を光磁気記録する
記録層とが備えられており、上記読み出し層は、フェリ
磁性体の希土類遷移金属非晶質合金からなり、その組成
は室温で希土類金属副格子磁化が遷移金属副格子磁化よ
り大きく、かつ、補償温度が125℃以上になるように
設定されており、その膜厚が10nm以上に設定されて
いる一方、記録層は、フェリ磁性体の希土類遷移金属非
晶質合金からなり、その組成は室温以上で補償温度をも
つように設定されていることを特徴としている。
【0010】請求項の発明に係る磁気光学メモリー素
子は、上記の課題を解決するために、室温で面内磁化を
示す一方、温度上昇に伴い垂直磁化に移行する読み出し
層と、読み出し層上に形成され、情報を光磁気記録する
記録層とが備えられており、上記読み出し層は、フェリ
磁性体の希土類遷移金属非晶質合金からなり、その組成
は室温で希土類金属副格子磁化が遷移金属副格子磁化よ
り大きく、かつ、補償温度が125℃以上になるように
設定されており、その膜厚が10nm以上に設定されて
いる一方、記録層は、フェリ磁性体の希土類遷移金属非
晶質合金からなり、その組成は室温で遷移金属副格子磁
化が希土類金属副格子磁化より大きくなるように設定さ
れていることを特徴としている。
【0011】
【作用】請求項1の構成によれば、再生動作時に、読み
出し層に光ビームを照射すると、照射部位の温度分布
は、ほぼガウス分布になるので、光ビームスポットの径
より小さい中心近傍領域の温度が周囲の領域の温度より
上昇する。
【0012】この温度上昇に伴って、温度上昇部位の磁
化は、面内磁化から垂直磁化に移行する。この時、読み
出し層及び記録層の2層間の交換結合力により、記録層
の磁化の向きに読み出し層の磁化の向きが従う。
【0013】温度上昇部位が面内磁化から垂直磁化に移
行すると、温度上昇部位のみが極カー効果を示すように
なり、該部位からの反射光に基づいて情報が再生され
る。
【0014】そして、光ビームが移動して次の記録ビッ
トを再生するときは、先の再生部位の温度は低下し、垂
直磁化から面内磁化に移行するため、極カー効果を示さ
なくなる。このことは、記録層に記録された磁化が読み
出し層の面内磁化によりマスクされて読み出されないと
いうことを意味している。すなわち、隣接記録ビットか
らの信号混入がなくなる。これにより、雑音が減少し、
再生時の分解能が向上する。
【0015】以上のように、所定温度以上に昇温された
光ビームスポットの径より小さい中心近傍領域のみを再
生に関与させるので、従来より小さい記録ビットの再生
を行うことが可能になり、記録密度が著しく向上する。
【0016】しかも、上記読み出し層は、フェリ磁性体
の希土類遷移金属非晶質合金からなり、その組成は室温
で希土類金属副格子磁化が遷移金属副格子磁化より大き
く、かつ、補償温度が130℃以上になるように設定さ
れており、読み出し層の膜厚が10nm以上に設定され
ているので、面内磁化から垂直磁化へ、磁化方向が非常
に急峻に移行する。これにより、再生時に雑音が少な
く、より高密度記録が可能な磁気光学メモリー素子を実
現できる。
【0017】
【0018】さらに、上記構成によれば、上記記録層
は、フェリ磁性体の希土類遷移金属非晶質合金からな
り、その組成は室温で希土類金属副格子磁化が遷移金属
副格子磁化より大きくなるように設定されており、補償
温度を持たないので、記録時の外部磁界を小さくするこ
とができる。
【0019】請求項の構成によれば、請求項1の作用
に加え、記録時の外部磁界を小さくすることができる。
【0020】請求項の構成によれば、請求項1、2
磁気光学メモリー素子と同様に、請求項1、2の作用に
加え、記録時の外部磁界を小さくすることができる。
【0021】
【実施例】本発明の第1実施例について図1ないし図3
4に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0022】本実施例の光磁気ディスク(磁気光学メモ
リー素子)は、図1に示すように、基板1(基体)、透
明誘電体層2、読み出し層3、記録層4、保護層5、オ
ーバーコート層6がこの順に積層された構成を有してい
る。
【0023】読み出し層3として使用される希土類遷移
金属合金では、図2の磁気状態図に示すように、垂直磁
化を示す組成範囲(図中、Aで示す)が非常に狭い。こ
れは、希土類金属と遷移金属の磁気モーメントがつりあ
う補償組成(図中、Pで示す)の近辺でしか垂直磁化が
現れないからである。
【0024】希土類遷移金属合金の組成は、室温の補償
組成よりも希土類金属の含有量を多くし、室温で面内磁
化を示すようにしておく。高温では遷移金属の磁気モー
メントが希土類金属の磁気モーメントに比べて大きくな
る。したがって、光ビーム7を照射することにより、照
射部位の温度が上昇すると、遷移金属の磁気モーメント
が相対的に大きくなって、希土類金属の磁気モーメント
とつりあうようになり、垂直磁化を示すようになる。
【0025】図3ないし図6は、読み出し層3のヒステ
リシス特性の一例を示しており、横軸は、読み出し層3
の膜面に垂直方向に印加される外部磁界(Hex )であ
り、縦軸は、膜面に垂直な方向から光を入射させた場合
の極カー回転角(θk )である。
【0026】図3は、図2の磁気状態図における組成P
の読み出し層3の、室温から温度T1 までの間のヒステ
リシス特性を示しており、図4ないし図6は、それぞ
れ、温度T1 から温度T2 までのヒステリシス特性、温
度T2 から温度T3 までのヒステリシス特性、及び温度
3 からキュリー温度Tc までのヒステリシス特性を示
している。
【0027】温度T1 から温度T3 の温度範囲では、外
部磁界に対して極カー回転角の立ち上がりが急峻なヒス
テリシス特性を示すが、それ以外の温度範囲では外部磁
場がないときの極カー回転角はほとんど0である。
【0028】上記の特性を備えた希土類遷移金属を読み
出し層3に使用することで、光磁気ディスクの記録密度
を高くできる。すなわち、光ビーム7の大きさよりも小
さな記録ビットの再生が可能になる。これについて、以
下に説明する。
【0029】再生動作時、再生光ビーム7(図1)が基
板1側から集光レンズ8を介して読み出し層3に照射さ
れる。再生光ビーム7が照射された読み出し層3の部位
は、その中心部近傍の温度が最も上昇し、周辺の部位の
温度よりも高くなる。これは、再生光ビーム7が、集光
レンズ8により回折限界まで絞り込まれているため、そ
の光強度分布がガウス分布になり、光磁気ディスク上の
照射部位の温度分布もほぼガウス分布になるからであ
る。
【0030】中心近傍の温度がT1 以上に達し、周辺部
位の温度がT1 以下になるように再生光ビーム7の強度
が設定されている場合、T1 以上の温度を有する領域の
みが再生に関与する。
【0031】T1 以上の温度を有する領域の磁化は、面
内磁化から垂直磁化に移行する(極カー回転角のヒステ
リシス特性は図3から図4もしくは図5に移行する)。
この時、読み出し層3及び記録層4の2層間の交換結合
力により、記録層4の磁化の向きが読み出し層3に転写
される。一方、再生光ビーム7の中心近傍に対応した領
域以外の、周辺部位では温度がT1 以下であるため、面
内磁化の状態(図3)が保持される。この結果、膜面に
垂直方向から照射された再生光ビーム7に対しては、極
カー効果を示さない。
【0032】このようにして、温度上昇部位が面内磁化
から垂直磁化に移行すると、再生光ビーム7の中心近傍
のみが極カー効果を示すようになり、該部位からの反射
光に基づいて、記録層4に記録された情報が再生され
る。
【0033】再生光ビーム7が移動して(実際には光磁
気ディスクが回転して)、次の記録ビットを再生する時
は、先の再生部位の温度はT1 以下に下がり、垂直磁化
から面内磁化に移行する。これに伴い、この温度が低下
した部位は極カー効果を示さなくなる。従って、該温度
の低下した部位からは情報が再生されなくなり、雑音の
原因である隣接記録ビットからの信号混入がなくなる。
【0034】以上のように、本実施例の光磁気ディスク
を用いると、再生光ビーム7の径よりも小さい記録ビッ
トの再生を確実に行うことが可能になる。しかも、隣接
する記録ビットの影響を受けないため、記録密度を著し
く高めることが可能になる。
【0035】さらに、本実施例の光磁気ディスクは、再
生用の外部磁界を必要としない。このため、本実施例の
光磁気ディスクを採用した光磁気再生装置は小型にな
る。
【0036】次に、上記光磁気ディスクの具体例を示
す。
【0037】基板1は、直径86mm、内径15mm、厚さ
1.2mmの円盤状のガラスからなっている。基板1の片
側の表面には、図示していないが、光ビーム案内用の凹
凸状のガイドトラックが、ピッチが1.6μm、グルー
ブ(凹部)の幅が0.8μm、ランド(凸部)の幅が
0.8μmで形成されている。
【0038】基板1のガイドトラックが形成されている
側の面に、透明誘電体層2として、A1Nが厚さ80n
mで形成されている。
【0039】透明誘電体層2上に、読み出し層3とし
て、希土類遷移金属合金薄膜であるGdFeCoが、厚
さ50nmで形成されている。GdFeCoの組成は、
Gd0. 26(Fe0.82Co0.180.74であり、そのキュリ
ー温度は約300℃である。
【0040】読み出し層3上に、記録層4として、希土
類遷移金属合金薄膜であるGdTbFeが、厚さ50n
mで形成されている。GdTbFeの組成は、(Gd
0.5 Tb0.5 0.28Co0.72であり、そのキュリー温度
は約200℃である。
【0041】上記の読み出し層3と記録層4の組み合わ
せにより、読み出し層3の磁化の方向は、室温ではほぼ
面内(つまり、読み出し層3の層方向)にあり、100
〜125℃程度の温度で面内方向から垂直方向に移行す
る。
【0042】記録層4上には、保護層5として、A1N
が厚さ20nmで形成されている。
【0043】保護層5上には、オーバーコート層6とし
て、ポリウレタンアクリレート系の紫外線硬化型樹脂
が、厚さ5μmで形成されている。
【0044】上記の光磁気ディスクは、以下の手順で製
造された。
【0045】ガラスの基板1の表面のガイドトラック
は、反応性イオンエッチング法により形成された。
【0046】透明誘電体層2、読み出し層3、記録層4
及び保護層5は、いずれもスパッター法により、同一ス
パッター装置内で、真空を破らずに形成された。透明誘
電体層2及び保護層5のA1Nは、A1ターゲットをN
2 ガス雰囲気中でスパッターする反応性スパッター法に
より形成された。読み出し層3は、FeCo合金ターゲ
ット上にGdのチップを並べた、いわゆる複合ターゲッ
トを用い、記録層4は、GdTbFeの3元合金ターゲ
ットを用いて、Arガスでスパッターすることにより形
成された。
【0047】オーバーコート層6は、スピンコーターに
よりポリウレタンアクリレート系の紫外線硬化型樹脂を
塗布した後、紫外線照射装置で紫外線を当て、硬化させ
ることにより形成された。
【0048】次に、上記の光磁気ディスクを用いて行っ
た、動作確認結果について説明する。
【0049】まず、静的特性の確認結果について、説明
する。
【0050】上記の読み出し層3と記録層4の組み合わ
せにより、読み出し層3の磁化の方向は、室温ではほぼ
面内にあり、100〜125℃程度の温度で磁化は面内
方向から垂直方向に向くようになる。
【0051】図7及び図8は、実際に極カー回転角のヒ
ステリシス特性を、温度を変えて測定した結果を示すグ
ラフである。図7は、室温(25℃)でのヒステリシス
特性であり、外部磁界(Hex )がゼロのときの極カー回
転角は、ほとんどゼロである。これは、磁化が膜面に垂
直な方向にほとんど向かず、面内方向に向いていること
を示している。図8は、120℃でのヒステリシス特性
である。外部磁界がゼロのときでも、0.5deg程度
の極カー回転角があり、垂直磁化に移行していることが
わかる。
【0052】次に、光ピックアップを用いて測定された
動的特性の確認結果について、説明する。尚、測定に使
用した光ピックアップの半導体レーザーの波長は780
nmであり、対物レンズの開口数(N.A.)は0.5
5である。
【0053】まず、上記の光磁気ディスクの半径26.
5mmの位置のランド部に、回転数1800rpm (線速5
m/sec )の下で、0.765μmの長さの単一周波数
記録ビットを予め記録した。記録は、記録層4の磁化の
方向を一方向に揃えた後(消去状態)、記録用外部磁界
の方向を消去方向とは逆方向に固定して、0.765μ
mの長さに相当する記録周波数(この場合は、約3.3
MHz )でレーザー光を変調することで行った。記録レー
ザーパワーは、8mW程度であった。
【0054】この記録ビット列を再生レーザーパワーを
変えて再生し、再生信号波形の振幅を調べた結果を図9
に示す。横軸が再生レーザーパワーを示しており、0.
5mWから3mWの範囲で測定した。縦軸が再生信号振
幅を示しており、再生レーザーパワーが0.5mWの時
の振幅で規格化して示している。
【0055】図中、Aと記した曲線が本実施例の光磁気
ディスクでの結果であり、Bと記した曲線が、比較のた
めに作製し測定を行った従来の光磁気ディスクの結果で
ある。
【0056】なお、従来の光磁気ディスクは、上記と同
じガラスの基板1上に、A1Nを80nm、DyFeC
oを20nm、A1Nを25nm、A1Niを30nm
をこの順に積層し、A1Ni上に上記と同じオーバーコ
ート層を設けた構成になっている。
【0057】この従来の光磁気ディスクの構成は、希土
類遷移金属合金であるDyFeCo磁性層が1層だけあ
り、その両側を透明誘電体層であるA1Nでサンドイッ
チし、最後に反射膜であるA1Niを設けた構造であ
る。この構造は、反射膜構造と呼ばれ、既に市販がなさ
れている3.5インチサイズ単板仕様の光磁気ディスク
の代表的な構成である。また、周知の如く、従来の光磁
気ディスクにおけるDyFeCoからなる記録層は、室
温から高温まで垂直磁化を示す。
【0058】図9において、破線で示されている直線
は、0点(原点)と0.5mWでの振幅規格値を結んだ
直線であり、光磁気信号の再生信号振幅と再生レーザー
パワーとの関係を表す直線である。
【0059】 再生信号振幅 ∝ 媒体反射光量 × 極カー回転角 この式で、媒体反射光量は、再生レーザーパワーに比例
して増加するものであるから、再生レーザーパワーで置
き換えることができる。
【0060】従来の光磁気ディスクの測定結果曲線
(B)が、この直線より下にあるのは次の理由による。
すなわち、再生レーザーパワーを上げると媒体反射光量
はそれにつれて増加するが、一方で記録媒体の温度が上
昇する。磁性体の磁化は、一般に、温度が上がるにつれ
減少し、キュリー温度でゼロになる性質を有している。
したがって、従来の光磁気ディスクにおいては、温度が
上昇するにつれ極カー回転角が小さくなるため、図中の
直線には乗らず、下側になる。
【0061】一方、本実施例の光磁気ディスクの測定結
果曲線(A)は、再生レーザーパワーが上がるにつれ、
急激に信号振幅が上昇し、2 〜2.25mW程度で振幅が最
大になる。また、3mWでの振幅以外、全て上記直線よ
り上側にあり、再生レーザーパワーの増加分以上に振幅
が増加することが分かる。この結果は、温度が低い時に
は極カー回転角がほとんどゼロであり、温度上昇に伴い
急激に面内磁化から垂直磁化に移行するという、本実施
例の読み出し層3の特性を反映しており、その動作を裏
付けるものである。
【0062】次に、記録ビットをより小さくしていった
場合の再生信号品質を調べた結果について、図10を参
照しながら説明する。
【0063】光磁気ディスクの線速は先の実験と同じく
5m/secにしておいて、記録周波数を変えて記録を行
い、そのC/N(図のA)を測定した。光ピックアップ
及び記録方法は、先の実験と同じである。なお、再生レ
ーザーパワーは 2.25 mWとした。比較のため、先の実
験と同じく従来の光磁気ディスクについてもC/N(図
のB)を測定した。このときの再生レーザーパワーは1
mWとした。
【0064】記録ビット長さが 0.6μm以上の長い記録
ビットにおいては、両者のC/Nにほとんど差はない
が、0.6 μm以下になると、従来の光磁気ディスクでは
急激にC/Nが低下した。これは、記録ビット長さが小
さくなるにつれ、光ビーム7の照射径の中に存在する記
録ビットの数(面積)が増え、ひとつひとつの記録ビッ
トを識別できなくなるからである。
【0065】光ピックアップの光学的分解能を表す一つ
の指標として、カットオフ空間周波数があり、これは、
光源であるレーザーの波長と対物レンズの開口数により
定まる。本実験に用いた光ピックアップにおけるレーザ
ーの波長と対物レンズの開口数(それぞれ780nm、
0.55) を用いて、カットオフ周波数を求め、これを
記録ビット長さに換算すると、 780nm/(2*0.55)/2 = 0.355μm になる。言い換えると、本実験に用いた光ピックアップ
の光学的分解能の限界は、記録ピット長さで0.355 μm
である。上記の従来の光磁気ディスクの結果はこのこと
を反映して、0.35μm でのC/Nがほぼゼロになった。
【0066】一方、本実施例の光磁気ディスクでは、記
録ビット長さが短くなるにつれてC/Nは減少するもの
の、光学的分解能である0.355 μm よりも短い記録ビッ
トにおいても30dB近いC/Nが得られた。
【0067】以上の結果から、本実施例の光磁気ディス
クを用いることで、光学的解析限界より小さな記録ビッ
トの再生が可能であることが確認された。これにより、
従来の光磁気ディスクに比べて、記録ビット密度を大き
く向上させることが可能である。
【0068】次に、上記実験で確かめられた効果に加え
て、もうひとつの重要な効果であるクロストーク量につ
いて調べた結果について、図11を参照しながら、説明
する。
【0069】光磁気ディスクにおいては、一般に、ラン
ド仕様であれば、ランドの幅をできるだけ広く取り、グ
ルーブを狭くしたガイドトラックを形成して、ランド部
のみを記録、再生に用いる。したがって、ランド仕様の
光磁気ディスクでのクロストークとは、任意のランドを
再生している場合に、両隣のランドに書かれた記録ビッ
トからの漏れのことである。グルーブ仕様の光磁気ディ
スクでのクロストークとは、任意のグルーブを再生して
いる場合に、両隣のグルーブに書かれた記録ビットから
の漏れのことである。
【0070】例えば、IS10089規格(ISOの
5.25”書き換え型光ディスクについて定めた規格)お
いては、1.6μm ピッチのガイドトラックにおいて、最
短記録ビット(0.765μm )に対するクロストーク量
は−26dB以下であるように定められている。
【0071】本実施例では、このIS10089規格に
定められたクロストーク測定法に基づき、0.765μm
の記録ビットに対するクロストーク量を測定した。ただ
し、本実施例の光磁気ディスクの効果を確かめるため、
トラックピッチ1.6 μm 、ランド幅とグルーブ幅が同じ
0.8 μm である前述のガラスの基板1において、ランド
部を再生したときの両隣接グルーブからのクロストーク
量を測定した。
【0072】図11の縦軸はクロストーク量であり、横
軸は再生レーザーパワーである。図中のAは本実施例の
光磁気ディスクの測定結果であり、図中のBは上記比較
用の従来の光磁気ディスクの測定結果である。
【0073】従来の光磁気ディスクでは、クロストーク
量が−15dB程度と大きいが、本実施例の光磁気ディ
スクでは、−30dB程度と小さく、ISO規格の−2
6dBをクリアーする値が得られた。
【0074】このような結果が得られた理由について、
図12を用いて説明する。
【0075】図12は、光磁気ディスクを真上から見た
ものである。真ん中のランド部と両隣のグルーブ部に
は、円形(点線)で示された記録ビットが記録されてい
る。図中の大きい円(実線)が光ビームスポットであ
り、光ビーム7がランドに照射されるようにサーボがか
かった状態を示している。
【0076】ランドの幅は0.8μm、光ビームスポッ
トの直径は1.73μm(=エアリーディスク径=1.
22×780nm/0.55)、記録ビットの直径は説
明の便宜上、0.355μmとしている。
【0077】同図において、光ビームスポット内には7
個の記録ビットが入っている。
【0078】従来の光磁気ディスクの場合、それぞれが
垂直磁化を示し(例えば、記録ビットは紙面に垂直上向
きの磁化を示し、記録ビット以外の部分は紙面に垂直下
向きの磁化を示す)、それぞれが極カー効果を示すの
で、光ビームスポット内の情報を分離できない。このた
め、C/Nが0.35μmの記録ビット長でほぼゼロに
なり、隣接トラックからのクロストークも大きい。
【0079】一方、本実施例の光磁気ディスクの場合、
光ビームスポットの中心近傍の、周囲よりも温度が高い
領域では、読み出し層3は垂直磁化になり、それ以外の
領域では、面内磁化に保たれる。このため、光ビームス
ポットの中心に位置する記録ビットの情報だけを再生で
きる。したがって、0.35μmの記録ビット長でも約
30dBのC/Nが得られ、両隣接トラックからのクロ
ストークも非常に小さくなる。
【0080】以上のように、本実施例の読み出し層3を
備えた光磁気ディスクを用いると、従来の光磁気ディス
クと比較して、記録密度を2倍以上にすることが可能に
なる。
【0081】上記の読み出し層3のGdFeCoの組成は、Gd
0.26(Fe0.82Co0.18)0.74に限定されるものではない。読
み出し層3は、室温でほぼ面内磁化を有し、室温以上の
温度で面内磁化から垂直磁化に移行すれば良い。希土類
遷移金属合金においては、希土類と遷移金属の比率を変
えれば、希土類と遷移金属の磁化が釣り合う補償温度が
変わる。GdFeCoはこの補償温度付近で垂直磁化を示す材
料系であることからGdとFeCoの比率を変えて補償温度を
変えてやれば、面内磁化から垂直磁化に移行する温度も
これにつれて変わる。
【0082】図13は、GdX (Fe0.82Co0.18)1-X の系に
おいてX、すなわちGdの組成を変えた場合の補償温度及
びキュリー温度を調べた結果である。
【0083】補償温度が室温(25℃)以上にある組成
範囲は、同図から明らかなようにXが0.18以上である。
このうち、好ましくは、0.19<X<0.29の範囲である。
この範囲であれば、読み出し層3上に記録層4を積層し
た実使用構成において、面内から垂直方向に磁化の向き
が移動する温度が室温〜200℃程度の範囲となる。
【0084】この温度があまり高すぎると、再生用のレ
ーザーパワーが記録用のレーザーパワーと同じくらい高
くなってしまうので、記録層4に記録が行われて記録情
報が乱される恐れがある。
【0085】次に、上記のGdFeCo系において、FeとCoの
比率を変えた場合、すなわち、GdX(Fe1-YCoY )1-Xにお
いて、Yを変えた場合における、特性(補償温度及びキ
ュリー温度)の変化について説明する。
【0086】図14は、Yが0の場合、すなわち、GdX
Fe1-X の特性を示す図である。同図において、例えば、
Gd組成、Xが0.3 の場合、補償温度は約120℃で、キ
ュリー温度は約200℃である。
【0087】図15は、Yが1の場合、すなわち、GdX
Co1-X の特性を示す図である。同図において、例えば、
Gd組成、Xが0.3 の場合、補償温度は約220℃で、キ
ュリー温度は約400℃である。
【0088】以上のことから、Gd組成が同じであって
も、Co量が増えると、補償温度及びキュリー温度が上昇
することがわかる。
【0089】再生時の極カー回転角ができるだけ大きい
ほうが高いC/Nを得られるので、読み出し層3のキュ
リー温度は、高い方が有利である。ただし、あまりCo量
を増やし過ぎると、面内から垂直に磁化方向が移行する
温度も高くなるので注意が必要である。
【0090】これらの点を考慮して、Gdx (Fe1-YCoY )
1-XにおけるYの値は、0.1 <Y<0.5 の範囲が良い。
【0091】上記の読み出し層3において、面内磁化か
ら垂直磁化に移行する温度等の特性は、当然のことなが
ら、記録層4の組成、膜厚等の影響を受ける。これは、
両層の間に磁気的な交換結合力が働くからである。した
がって、記録層4の材料、組成、膜厚により、読み出し
層3の最適な組成、膜厚が変わる。
【0092】上記具体例で示した光磁気ディスクにおい
て、読み出し層3の膜厚を20nm、30nm、40n
m、50nmと変えた4つの光磁気ディスクを作製し、
室温で、基板1側からカーヒステリシスループを測定し
た。測定結果を図16(a)〜(d)に示す。
【0093】どの場合も交換結合力が働いているが、読
み出し層3の膜厚が薄い場合、印加磁界がゼロのとき
に、読み出し層3の磁化が完全に記録層4の磁化と同じ
方向を向き、記録層4の情報が読み出し層3によりマス
クされないことが分かる。
【0094】これに対し、読み出し層3の膜厚が厚くな
ると、マスク効果が次第に現れてきて読み出し層3の膜
厚が50nmである(d)では記録層4の情報が読み出
し層3によりほぼ完全にマスクされることが分かる。
【0095】次に、読み出し層3のGdFeCoの組成
を変えてその補償温度を変化させ、同時に膜厚も変化さ
せたときのマスク効果の変化を調べるために、図1の光
磁気ディスクを作製し、基板1側からカーヒステリシス
ループを測定した。マスク効果の程度を示す指標として
角形比を選んだ。
【0096】ここで、角形比=(磁場ゼロでのカー回転
角)/(磁場15kOeでのカー回転角)である(図1
7)。角形比が1のとき、マスク効果が全く無いことを
示し、角形比が0のとき、情報が完全にマスクされてい
ることを示す。
【0097】図18に、読み出し層3の膜厚と角形比の
関係を補償温度をパラメーターとして示す。補償温度が
高いほど、また、読み出し層3の膜厚が厚いほどマスク
効果が大きいことが分かる。読み出し層3の膜厚が10
nm以下の場合、補償温度が100℃以下では全くマ
スク効果はない。マスク効果を得るためには補償温度が
125℃以上である必要があり、好ましくは150℃以
上の補償温度が必要である。同様に、マスク効果を得る
ためには、読み出し層3の膜厚を10nm以上にする必
要があることが分かり、好ましくは20nm以上が必要
である。
【0098】次に、読み出し層3のGdFeCoの組成
を変えてその磁気特性が室温からキュリー温度に至る温
度範囲で希土類副格子磁化が過多となるようにして、す
なわち、補償温度を持たない組成として、同時に膜厚も
変化させたときのマスク効果の変化を調べた。
【0099】図1の光磁気ディスクを作製し、基板1側
からカーヒステリシスループを測定した。マスク効果の
程度を示す指標として、上述の角形比を採用した。
【0100】図19に読み出し層3の膜厚と角形比の関
係をキュリー温度をパラメーターとして示す。キュリー
温度が高いほど、また、読み出し層3の膜厚が厚いほど
マスク効果が大きいことが分かる。読み出し層3の膜厚
が100nm以下の場合、キュリー温度が100℃以下
では全くマスク効果はない。マスク効果を得るためには
キュリー温度が130℃以上である必要があり、好まし
くは200℃以上のキュリー温度が必要である。同様
に、マスク効果を得るためには、読み出し層3の膜厚を
10nm以上にする必要があることが分かり、好ましく
は20nm以上が必要である。
【0101】上の例では、読み出し層3の膜厚が100
nm以下の場合を示した。読み出し層3の膜厚を200
nmとすると、良好なマスク効果が得られる。しかし、
媒体を昇温するために非常に大きなレーザーパワーが必
要となる。半導体レーザーの性能を考えると、読み出し
層3の膜厚は200nm以下が良く、好ましくは150
nm以下が良い。また、半導体レーザーの性能から読み
出し層3の補償温度、キュリー温度は共に500℃以下
が良く、さらに好ましくは450℃以下が良い。
【0102】以上説明した通り、本発明の光磁気ディス
クの読み出し層3の材料としては、面内磁化から垂直磁
化への移行が急峻であるGdFeCoが最適であるが、以下に
述べる希土類遷移金属合金でも、同様の効果が得られ
る。
【0103】Gdx Fe1-X は、図14に示すような特性を
有しており、0.24<X<0.35の範囲で室温以上に補償温
度を有する。
【0104】Gdx Co1-X は、図15に示すような特性を
有しており、0.20<X<0.35の範囲で室温以上に補償温
度を有する。
【0105】遷移金属としてFeCo合金を用いた場合、Tb
X (FeY Co1-Y )1-Xは、0.20<X<0.30(このとき、Y
は任意)の範囲で室温以上で補償温度を有する。DyX
(FeYCo1-Y )1-Xは、0.24<X<0.33(このとき、Yは任
意)の範囲で室温以上で補償温度を有する。HoX (FeY
Co1-Y )1-Xは、0.25<X<0.45(このとき、Yは任意)
の範囲で室温以上で補償温度を有する。
【0106】以上の材料に加えて、光ピックアップの光
源である半導体レーザーの波長が、前述の780nm より短
くなった場合に、その波長での極カー回転角が大きな材
料も、本発明の読み出し層3の材料として好適である。
【0107】既に、説明した通り、光磁気ディスク等の
光ディスクにおいて、その記録密度を制限するのは光ビ
ーム7の大きさであり、これはレーザー波長と集光レン
ズ8の開口数により決まるものである。従って、今より
も波長の短い半導体レーザーが出現すれば、それだけで
光磁気ディスクの記録密度は向上する。現在では、既に
670 〜680nm の波長の半導体レーザーがほぼ実用化レベ
ルにあり、波長400nm以下のSHG レーザーも精力的に研
究が進められている。
【0108】希土類遷移金属合金の極カー回転角は、波
長依存性を有しており、一般には、波長が短くなると、
極カー回転角は減少してしまう。短波長で極カー回転角
の大きい膜を用いると、信号強度が大きくなり高品質の
再生信号が得られることになる。
【0109】上述の読み出し層3の材料にNd,Pt,Pr,Pd
のうち少なくとも1種類の元素を微量添加することで、
読み出し層3として要求される特性をほとんど損なわず
に、短波長での極カー回転角を増加することができ、短
波長レーザーを用いた場合でも高品質な再生信号が得ら
れる光磁気ディスクを提供できる。
【0110】更に、上述の読み出し層3の材料に、微量
のCr,V,Nb,Mn,Be,Niのうち少なくとも1種類の元素を添
加することで、読み出し層3自体の耐環境性が向上す
る。すなわち、水分、酸素侵入による読み出し層3の材
料の酸化による特性の劣化を少なくし、長期信頼性に優
れた光磁気ディスクを提供できる。
【0111】記録層4 の材料は、室温からキュリー温度
まで垂直磁化を示す材料で、そのキュリー温度が記録に
適した温度範囲、すなわち 150〜250 ℃程度であれば良
い。
【0112】次に、記録の際に必要な外部磁界を低くす
るための読み出し層3および記録層4の組み合わせにつ
いて説明する。
【0113】比較のため、読み出し層3を室温で希土類
金属副格子磁化過多であり、かつ、補償温度がないGd
FeCoとし、記録層4を室温からキュリー温度まで遷
移金属副格子磁化過多であるGdTbFeとした光磁気
ディスクを作製し、この比較用の光磁気ディスクと、記
録層4を室温からキュリー温度まで希土類金属副格子磁
化過多であるGdTbFeとした本実施例の光磁気ディ
スクとで、C/Nの記録磁界依存性を比較した。
【0114】図20から明らかなように、本実施例の光
磁気ディスク(図のグラフa)では、記録層4を遷移金
属副格子磁化過多とした上記比較用の光磁気ディスク
(図のグラフb)と比較して、C/Nが小さい磁界で飽
和する。すなわち、本実施例の光磁気ディスクは記録し
易い。
【0115】同様に、読み出し層3を室温で希土類金属
副格子磁化過多であり、かつ、補償温度が150℃であ
るGdFeCoとし、記録層4を補償温度が130℃で
あるDyFeCoとした光磁気ディスク(図のグラフ
c)および、記録層4を室温で遷移金属副格子磁化過多
であるDyFeCoとした光磁気ディスク(図のグラフ
d)の場合も、図20から明らかなように、上記比較用
の光磁気ディスク(図のグラフb)と比較して、記録し
易い。
【0116】このことは、後述する磁界変調オーバーラ
イト記録方式において、記録用外部磁界発生装置を小型
化、低消費電力化する上で、非常に有利である。
【0117】GdTbFe以外では、希土類金属副格子
磁化過多のTbFeCo、DyFeCo、NdDyFe
Co、GdDyFeCo、GdTbFeCoが記録層4
に好適である。上記の記録層4の材料に、Cr, V, Nb, M
n, Be, Ni のうち少なくとも1種類の元素を添加する
と、より長期信頼性を向上させることができる。
【0118】透明誘電体2のAlNの膜厚は、80nmに限
定されるものではない。
【0119】透明誘電体層2の膜厚は、光磁気ディスク
を再生する際、読み出し層3からの極カー回転角を光の
干渉効果を利用して増大させる、いわゆるカー効果エン
ハンスメントを考慮して決定される。再生時の信号品質
(C/N)をできるだけ大きくさせるためには、極カー
回転角を大きくさせることが必要である。このため、透
明誘電体層2の膜厚は、極カー回転角が最も大きくなる
ように設定される。
【0120】この膜厚は、再生光の波長、透明誘電体層
2の屈折率により変化する。本実施例の場合は、 780nm
の再生光波長に対して、屈折率 2.0のAlNを用いてい
るので、透明誘電体層2のAlNの膜厚を30〜 120nm程
度にすると、カー効果エンハンスメントの効果が大きく
なる。尚、好ましくは、透明誘電体層2のAlNの膜厚
は、70〜 100nmであり、この範囲であれば極カー回転角
がほぼ最大になる。
【0121】上記の説明は、波長が 780nmの再生光に対
するものであったが、例えば波長が半分の 400nmの再生
光に対しては、透明誘電体層2の膜厚もほぼ半分にすれ
ば良い。
【0122】更に、透明誘電体層2の材料の違いあるい
は製法により透明誘電体層2の屈折率が変わった場合
は、屈折率と膜厚を乗じた値(光路長)が同じになるよ
うに、透明誘電体層2の膜厚を設定すれば良い。
【0123】すなわち、本実施例においては、透明誘電
体層2のAlNの屈折率2と膜厚80nmを乗じた、 160nm
が透明誘電体層2の光路長となるが、このAlNの屈折
率が2から 2.5に変わった場合は、160nm/2.5=64nm程度
に膜厚を設定すれば良いことになる。
【0124】上記の説明からわかるように、透明誘電体
層2の屈折率は大きいほど、その膜厚は少なくて済む。
また、屈折率が大きいほど、極カー回転角のエンハンス
効果も大きくなる。
【0125】AlNは、スパッター時のスパッターガス
であるArとN2の比率、ガス圧力等を変えることにより、
その屈折率が変わるが、おおむね 1.8〜 2.1程度と比較
的屈折率が大きな材料であり、透明誘電体層2の材料と
して好適である。
【0126】また、透明誘電体層2は、上記のカー効果
エンハンスメントだけでなく、保護層5とともに読み出
し層3と記録層4の希土類遷移金属合金磁性層の酸化を
防止する役割がある。
【0127】希土類遷移金属からなる磁性膜は、非常に
酸化されやすく、特に希土類が酸化されやすい。このた
め外部からの酸素、水分侵入を極力防止しなければ、酸
化によりその特性が著しく劣化してしまう。
【0128】そのため、本実施例においては、読み出し
層3と記録層4の両側をAlNで挟み込む形の構成を取
っている。AlNは、その成分に酸素を含まない窒化膜
であり、非常に耐湿性に優れた材料である。
【0129】更に、AlNは、屈折率が2前後と比較的
大きく、かつ透明であり、その酸素をその成分に含まな
いので、長期安定性に優れた光磁気ディスクを提供でき
る。
【0130】加えて、A1ターゲットを用いて、N2ガス
もしくはArとN2の混合ガスを導入して反応性DC(直流
電流)スパッタリングを行うことが可能であり、RF
(高周波)スパッターに比べて成膜速度が大きい点でも
有利である。
【0131】AlN以外の透明誘電体層2としては、比
較的屈折率が大きいSiN、AlSiN、AlTaN、
SiAlON、TiN、TiON、BN、ZnS、Ti
2、BaTiO3 、SrTiO3 等が好適である。こ
のうち特にSiN、AlSiN、AlTaN、TiN、
BN、ZnSは、その成分に酸素を含まず、耐湿性に優
れた光磁気ディスクを提供することができる。
【0132】保護層5のAlNの膜厚は、本実施例では
20nmとしたが、これに限定するものではない。保護層5
の膜厚の範囲としては、1 〜200nm が好適である。
【0133】本実施例においては、読み出し層3と記録
層4の両磁性層あわせた膜厚は100nm であり、この膜厚
になると光ピックアップから入射された光はほとんど磁
性層を透過しない。したがって、保護層5の膜厚に特に
制限はなく、磁性層の酸化を長期に渡って防止するに必
要な膜厚であれば良い。酸化防止能力が低い材料であれ
ば膜厚を厚く、高ければ薄くすれば良い。
【0134】保護層5は、透明誘導体層2とともにその
熱伝導率が、光磁気ディスクの記録感度特性に影響を及
ぼす。記録感度特性とは、記録、あるいは消去に必要な
レーザーパワーがどの程度必要かを意味する。光磁気デ
ィスクに入射された光はそのほとんどが、透明誘導体層
2 を通過し、吸収膜である読み出し層3・記録層4に吸
収されて、熱に変わる。このとき、読み出し層3・記録
層4の熱が透明誘導体層2 、保護層5に熱伝導により移
動する。したがって、透明誘導体層2 、保護層5 の熱伝
導率および熱容量(比熱) が記録感度に影響を及ぼす。
【0135】このことは、光磁気ディスクの記録感度を
保護層5 の膜厚である程度制御できるということを意味
し、例えば、記録感度を上げる( 低いレーザーパワーで
記録消去を行える) 目的であれば保護層5 の膜厚を薄く
すれば良い。通常は、レーザー寿命を延ばすため、記録
感度はある程度高い方が有利であり、保護層5の膜厚は
薄い方が良い。
【0136】AlNはこの意味でも好適で、耐湿性に優
れるので、保護層5として用いた場合、膜厚を薄くする
ことができ、記録感度の高い光磁気ディスクを提供する
ことができる。
【0137】本実施例では、保護層5を透明誘導体層2
と同じAlNとすることで、耐湿性に優れた光磁気ディ
スクを提供でき、かつ保護層5と透明誘導体層2 を同じ
材料で形成することで、生産性も向上させることができ
る。AlNは、前述の通り、非常に耐湿性に優れた材料
であるので、比較的薄い膜厚である20nmに設定すること
ができる。生産性を考慮しても薄いほうが有利である。
【0138】また、保護層5の材料としては、AlN以
外に、前述の目的、効果を考慮すれば、上述の透明誘導
体層2の材料として用いられる、SiN、AlSiN、
AlTaN、SiAlON、TiN、TiON、BN、
ZnS、TiO2 、BaTiO3 、SrTiO3 が好適
である。
【0139】また、透明誘導体層2 と同じ材料を用いれ
ば生産性の点でも有利である。
【0140】このうち特に、SiN、AlSiN、Al
TaN、TiN、BN、ZnSは、その成分に酸素を含
まず、耐湿性に優れた光磁気ディスクを提供することが
できる。
【0141】基板1の材料としては、上記のガラス以外
に、化学強化されたガラス、これらのガラス基板上に紫
外線硬化型樹脂層を形成した、いわゆる2P層付きガラ
ス基板、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタク
リレート(PMMA)、アモルファスポリオレフィン
(APO)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビフェニ
ール(PVC)、エポキシ等の基板1を使用することが
可能である。
【0142】基板1に化学強化されたガラスを採用した
場合、機械特性(光磁気ディスクの場合、面振れ、偏
心、反り、傾き等)に優れていること、硬度が大きく、
砂や埃により傷が付きにくいこと、化学的に安定なた
め、各種溶剤に溶けないこと、プラスチックに比べ帯電
しにくいので埃や塵が付着しにくいこと、化学的に強化
されているので割れにくいこと、耐湿性、耐酸化性、耐
熱性に優れているので、光磁気記録媒体の長期信頼性が
向上すること、光学特性に優れており、高い信号品質が
得られること等が利点として挙げられる。
【0143】尚、基板1として、上記のガラス、化学強
化ガラスを用いた場合に、光ビーム案内用のガイドトラ
ック、及びアドレス信号等の情報を得るために予め基板
に形成されるプリピットと呼ばれる凹凸信号を基板上に
形成する方法としては、これらガラス基板表面を反応性
ドライエッチングすることにより形成される。また、2
P層と呼ばれる紫外線硬化型樹脂を照射して樹脂を硬化
させた後、スタンパーをはがして樹脂層上に上記のガイ
ドトラック、プリピット等を形成する方法がある。
【0144】基板1にPCを採用した場合、射出成型が
できるため、同一の基板1を大量に、安価に供給できる
こと、ほかのプラスチックに比べ、吸水率が低いので、
光磁気記録媒体の長期信頼性が向上すること、耐熱性、
耐衝撃性に優れていることなどが利点として挙げられ
る。なお、この材料も含め、以下に述べる射出成型が可
能な材料については、ガイドトラック、プリピット等
は、射出成形時にスタンパーを成形金型表面に取り付け
ておけば、成形と同時に基板1の表面に形成される。
【0145】基板1にPMMAを採用した場合、射出成
形ができるため、同一の基板1を大量に、安価に供給で
きること、他のプラスチックに比べ、複屈折が小さいの
で、光学特性に優れており、高い信号品質が得られるこ
と、耐久性に優れていること等が利点として挙げられ
る。
【0146】基板1にAPOを採用した場合、射出成形
ができるため、同一の基板1を大量に、安価に供給でき
ること、他のプラスチックに比べ、吸水率が低いので、
光磁気記録媒体の長期信頼性が向上すること、複屈折が
小さいので、光学特性に優れており、高い信号品質が得
られること、耐熱性、耐衝撃性に優れていること等が利
点として挙げられる。
【0147】基板1にPSを採用した場合、射出成形が
できるため、同一の基板1を大量に、安価に供給できる
こと、他のプラスチックに比べ、吸水率が低いので、光
磁気記録媒体の長期信頼性が向上すること等が利点とし
て挙げられる。
【0148】基板1にPVCを採用した場合、射出成形
ができるため、同一の基板1を大量に、安価に供給でき
ること、他のプラスチックに比べ、吸水率が低いので、
光磁気記録媒体の長期信頼性が向上すること、難燃性で
あること等が利点として挙げられる。
【0149】基板1にエポキシを採用した場合、他のプ
ラスチックに比べ、吸水率が低いので、光磁気記録媒体
の長期信頼性が向上すること、熱硬化性樹脂であるた
め、耐熱性に非常に優れていること等が利点として挙げ
られる。
【0150】以上のように基板1として、各種材料を使
用することが可能であるが、それらの材料を光磁気ディ
スクの基板1として使用する場合、以下の光学特性、機
械特性を満足していることが望ましい。
【0151】屈折率 :1.44〜1.62 複屈折 :100nm以下(平行光で測定された往
復複屈折) 透過率 :90%以上 厚さ変動 :±0.1mm チルト :10mrad以下 面振れ加速度:10m/s2 以下 径方向加速度:3m/s2 以下 記録層4にレーザー光を集光するための光ピックアップ
は、基板1の屈折率に合わせて設計されるため、基板1
の屈折率の変動が大きくなるとレーザー光を十分に集光
することができなくなる。レーザー光の集光状態が変わ
ってくると記録媒体(つまり、読み出し層3と記録層
4)の温度分布が変化することになり、記録再生に影響
を及ぼす。本発明においては、再生時の記録媒体の温度
分布が特に重要となってくるため、使用する基板1の屈
折率を1.44〜1.62の範囲内に抑えることが望ま
しい。
【0152】また、基板1を通してレーザー光を入射さ
せるため、基板1に複屈折が存在すると、レーザー光が
基板1を通過する際、その偏光状態が変わってしまう。
本発明は読み出し層3の磁化状態の変化をカー効果を利
用して偏光状態の変化として再生するため、基板1を通
過する際に偏光状態が変わってしまうと再生することが
できなくなってしまう。そのため、平行光で測定した際
の基板1の往復複屈折は100nm 以下であることが望まし
い。
【0153】また、基板1の透過率が低くなると、例え
ば記録時において、光ピックアップからの光ビームが基
板1を通過する際、その光量が減少してしまう。そのた
め、記録に必要である光量を記録媒体で得ようとする
と、より高出力なレーザー光源が必要となる。特に本発
明においては、記録媒体が記録層4と読み出し層3の2
層からなっており、従来の単層の(読み出し層3のな
い)記録媒体に比べて、記録媒体を昇温するためには、
より多くの光量を必要とするため、基板1の透過率は9
0%以上であることが望ましい。
【0154】また、記録媒体にレーザー光を集光するた
めの光ピックアップは、基板1の厚さに合わせて設計さ
れるため、基板1の厚さの変動が大きくなるとレーザー
光を十分に集光することができなくなる。レーザー光の
集光状態が変わってくると記録媒体の温度分布が変化す
ることになり、記録再生に悪影響を及ぼす。本発明にお
いては、再生時の記録媒体の温度分布が特に重要となっ
てくるため、使用する基板1の厚さ変動を±0.1mm の範
囲内に抑えることが望ましい。
【0155】また、基板1にチルトが存在すると光ピッ
クアップからのレーザー光は、傾いた記録媒体面に集光
されることになり、チルトの状態に応じて集光状態が変
化することになり、基板1の厚さが変動した場合と同様
に、記録再生に悪影響を及ぼす。そのため、本発明にお
いては、基板1のチルトを10mrad以下、もっと好ましく
は5mrad 以下とすることが望ましい。
【0156】また、基板1が光ピックアップに対して上
下に移動した場合、光ピックアップはその上下動を補償
し記録媒体面にレーザー光を集光すべく動作するが、上
下動が大きくなり過ぎると光ピックアップの補償動作が
不完全なものとなり、記録媒体面でのレーザー光の集光
状態は不完全なものとなる。レーザー光の集光状態が不
完全なものとなると記録媒体の温度分布が変化すること
になり、記録再生に悪影響を及ぼす。本発明において
は、再生時の記録媒体の温度分布が特に重要となってく
るため、使用する基板の回転時の上下動については、そ
の面振れ加速度を10m/s2 以下に抑えることが望ま
しい。
【0157】また、基板1にはあらかじめ1.0〜1.
6μmピッチで光ビーム案内用のガイドトラックが設け
られているが、ガイドトラックに偏心が存在すると、回
転時にガイドトラックは光ピックアップに対して半径方
向に移動することになる。この時、光ピックアップはそ
の半径方向の移動を補償しガイドトラックと一定の関係
を保つべくレーザー光を集光させるが、ガイドトラック
の半径方向への移動が大きくなり過ぎると光ピックアッ
プの補償動作が不完全なものとなり、ガイドトラックと
一定の関係を保った状態でレーザー光を集光させること
ができなくなる。本発明においては、再生時の記録媒体
の温度分布が特に重要となってくるため、使用する基板
の回転時の半径方向への移動については、その径方向加
速度を3m/s2 以下に抑えることが望ましい。
【0158】集光されたレーザー光を光磁気ディスクの
所定の位置に導く方法として、スパイラル状、または、
同心円状のガイドトラックを利用した連続サーボ方式
と、スパイラル状、または、同心円状のピット列を利用
したサンプルサーボ方式が考えられる。
【0159】連続サーボ方式の場合、図21に示すよう
に、1.2〜1.6μmピッチで、0.2〜0.6μm
幅のグルーブが、λ/(8n)程度の深さで形成され、
ランド部分で情報の記録再生が行われるのが一般的であ
る。これはランド仕様の光磁気ディスクと呼ばれる。こ
こで、λはレーザビームの波長であり、nは使用される
基板の屈折率である。
【0160】このような、一般的な方式に本発明を適用
することは十分に可能である。本発明においては、隣接
トラックの記録ビットのよるクロストークが大幅に低減
されることにより、例えば、ランド仕様の光磁気ディス
クにおいては、0.5〜1.2μmピッチで、0.1〜
0.4μm幅のグルーブを形成した場合でも、隣接記録
ビットからのクロストークに影響されることなく、記録
再生を行うことが可能になり、記録密度は大幅に向上す
る。
【0161】更に、図22に示すように、0.8〜1.
6μmピッチで、同一幅のグルーブとランドを形成し、
グルーブ部分とランド部分の両方で記録再生を行った場
合においても隣接トラックの記録ビットからのクロスト
ークに影響されることなく、グルーブ部分とランド部分
の両方で記録再生を行うことが可能となり、記録密度は
大幅に向上する。
【0162】一方、サンプルサーボ方式の場合は、図2
3に示すように、1.2〜1.6μmピッチでもってウ
ォブルピットが(λ/(4n))程度の深さで形成さ
れ、レーザビームが常にウォブルピットの中心を走査す
るように情報の記録再生が行われるのが一般的である。
【0163】このような一般的な方式に本発明を適用す
ることは十分に可能である。本発明においては、隣接す
る記録ビットからのクロストークが大幅に低減されるこ
とにより、0.5〜1.2μmピッチで、ウォブルピッ
トを形成した場合でも、隣接する記録ビットからのクロ
ストークに影響される事なく、記録再生を行うことが可
能となり、記録密度は大幅に向上する。
【0164】さらに、図24に示すように、0.8〜
1.6μmピッチで、ウォブルピットを形成し、ウォブ
ルピットが逆極性で存在する位置に情報の記録再生を行
った場合において隣接記録ビットからのクロストークに
影響される事なく記録再生を行うことが可能となり、記
録密度は大幅に向上する。
【0165】また、図25に示すように、連続サーボ方
式において、グルーブをウォブリングさせることにより
光磁気ディスクの位置情報を得る場合は、ウォブリング
状態が逆位相となった部分において、隣接グルーブに存
在する記録ビットからのクロストークが大きくなるとい
う問題が存在したが、本発明を適用することによりウォ
ブリング状態が逆位相となった部分においても、隣接グ
ルーブに存在する記録ビットからのクロストークが発生
する事なく、良好な記録再生を行うことが可能となる。
【0166】本実施例の光磁気ディスクは、また、以下
に説明するような種々の記録再生用光ピックアップにも
好適である。
【0167】例えば、複数の光ビームを使用したマルチ
ビーム方式の光ピックアップを採用する場合、図26に
示すように、複数の光ビームの両端の光ビームがガイド
トラック上を走査するように位置決めし、その間に位置
する複数の光ビームで記録再生を行う方法が一般的であ
るが、本発明の光磁気ヘッドディスクを用いることによ
り、光ビームの間隔を狭くしても隣接記録ビットからの
クロストークの影響を受けることなく再生することが可
能となり、ガイドトラックのピッチを短くすることが可
能となるか、又は、一対のガイドトラックの間により多
くのレーザビームで記録再生することが可能となり、記
録密度は大幅に向上する。
【0168】以上の説明では、使用する光ピックアップ
の対物レンズの開口数(N.A.)が一般的な値である
0.4〜0.6を有するとし、また、レーザー光の波長
が670nm〜840nmであるとして、ガイドトラッ
クのピッチ等について議論しているが、N.A.を更に
大きく0.6〜0.95とすることで、レーザー光を更
に小さく絞り込み、本発明の光磁気ディスクを適用する
ことにより、ガイドトラックのピッチ及び幅を更に狭く
することが可能となり、更に高密度な記録再生が可能と
なる。
【0169】また、波長480nmのアルゴンレーザー
光やSHG素子を利用した335nm〜600nmの波
長のレーザ光を使用することにより、レーザー光を更に
小さく絞り込み、本発明を適用することにより、ガイド
トラックのピッチ及び幅を更に狭くすることが可能とな
り、更に高密度な記録再生が可能となる。
【0170】次に、本実施例の光磁気ディスクに適用す
る際のディスクフォーマットについて記述する。
【0171】一般に、光磁気ディスクにおいては、異な
るメーカー間、あるいは、異なる光磁気ディスク間の互
換性を維持するために、それぞれの半径位置での記録、
消去パワーをどのような値あるいは、デューティーに設
定するかを、内外周の一部に(λ/(4n))程度の深
さのプリピット列であらかじめ記録されている。また、
読み取ったそれらの値を元に、実際に記録再生を行える
テスト領域が内外周に設けられている(例えば、IS10
089 規格を参照)。
【0172】一方、再生パワーについても、特定の再生
パワーとするための情報が、内外周の一部にプリピット
列であらかじめ記録されている。
【0173】本実施例のの光磁気ディスクにおいては、
再生時の記録媒体の温度分布が再生特性に大きな影響を
及ぼすため、再生パワーの設定方法が非常に重要であ
る。
【0174】再生パワーの設定方法として、例えば、再
生パワーについても記録パワーと同様に、内外周に再生
パワーを設定するためのテスト領域を設け、テスト領域
において得られた再生パワーからそれぞれの半径位置で
の再生パワーを最適化するための情報を、内外周の一部
にピット列で予め記録しておく方が望ましい。
【0175】特に光磁気ディスクの回転数が常に一定で
あるCAV方式を用いる光磁気ディスク・ドライブにお
いては、半径位置に応じて光磁気ディスクの線速が変わ
るため、半径位置に応じて再生レーザーパワーを変えた
ほうがより好ましい。したがって、できるだけ多くの半
径方向領域に区切った情報をプリピット列として記録し
ておいたほうが良い。
【0176】また、同じく、各半径位置でより最適な再
生レーザーパワーを設定する方法として、記録領域を半
径位置により複数のゾーンに分けて、ゾーンとゾーンの
境界部分にそれぞれのゾーンごとに記録パワー及び再生
パワーをテスト領域において最適化することにより、再
生時の記録媒体の温度分布をより正確に制御することが
可能となり、良好な記録再生が可能となる。
【0177】次に、本実施例の光磁気ディスクは、以下
に説明する種々の記録方式に適応するものである点につ
いて説明する。
【0178】まず、オーバーライトができない第1世代
の光磁気ディスクの記録方法について説明する。
【0179】第1世代の光磁気ディスクは、IS10089
規格(ISOの5.25”書き換え型光ディスクについ
て定めた規格)に準拠して、既に多く市販されており、
オーバーライトができないため、すでに情報が記録され
ている所に、新たに情報を記録する場合には、一旦その
部分の消去を行い、次に記録を行うという動作が必要に
なる。そのため、最低2回の光磁気ディスクの回転が必
要になり、データ転送速度が遅いという欠陥がある。
【0180】しかしながら、磁性膜に要求される性能
は、次に説明するオーバーライト可能な光磁気ディスク
に比べて、それほど高くないという利点はある。
【0181】オーバーライトができない欠点を無くすた
めに、例えば複数個の光ピックアップを配して、回転待
ちのロスを無くし、データ転送速度を向上させる方法は
一部の装置で採用されている。
【0182】例えば、2個の光ピックアップを用いて、
先行する光ピックアップで既に記録されている情報を消
去し、後から追いかける光ピックアップで新しい情報を
記録する方法である。再生の際は、どちらか一方の光ピ
ックアップを用いて再生する。
【0183】また、3個の光ピックアップを用いて記録
する場合は、先行する光ピックアップが既に記録されて
いる情報を消去し、次の光ピックアップで新しい情報を
記録し、残りの光ピックアップでベリファイ(新しい情
報が正しく記録されているかを確認)する。
【0184】また、複数の光ピックアップを用いる代わ
りに、1個の光ピックアップをビームスプリッターを用
いて複数のビームを作り出し、これを上記複数の光ピッ
クアップと同じように用いても良い。
【0185】これにより、既に記録されている情報の消
去過程を経ることなく、新たな情報の記録が行え、第1
世代の光磁気ディスクを用いての疑似オーバーライトが
実現できる。
【0186】本実施例の光磁気ディスクでは、既に実験
結果説明の所で示した通り、記録、再生、消去が行える
事が確認できており、本記録方式を適用できる。
【0187】次に、磁界変調オーバーライト記録方式に
ついて説明をする。
【0188】磁界変調オーバーライト記録方式とは、光
磁気記録媒体に一定のパワーのレーザーを照射しなが
ら、情報に応じて磁界強度を変調して記録する方法であ
り、図27に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0189】図27は、光磁気ディスクに磁界変調オー
バーライトを行う光磁気ディスク装置の一例を示す説明
図であり、記録及び再生時にレーザー光を照射するレー
ザー光源(図示されていない)、及び記録及び再生時に
光磁気ディスクからの反射光を受光する受光素子(図示
されていない)等を内蔵した光学ヘッド11と、光学ヘ
ッド11と機械的、もしくは電気的に連結された浮上型
磁気ヘッド12を備えている。
【0190】浮上型磁気ヘッド12は浮上スライダー1
2aとMnZnフェライト等からなるコアにコイルが巻
回された磁気ヘッド12bから構成され、浮上型磁気ヘ
ッド12はサスペンション13により光磁気ディスク1
4に押圧され、数μm〜数10μm程度の一定の間隙で
浮上している。
【0191】この状態で浮上型磁気ヘッド12および光
学ヘッド11を光磁気ディスク14の記録領域内の所望
の半径位置に移動させ、光学ヘッド11から光磁気ディ
スク14の記録層に2〜10mW程度のレーザー光を集
光して照射し、記録層をキュリー温度(又は保磁力がほ
ぼ“0”になる温度)近傍まで昇温させた上で、記録す
べき情報に応じて上向きと下向きとに反転する磁界を磁
気ヘッド12bにより印加する。これにより、既に記録
されている情報の消去過程を経ることなく、オーバーラ
イト記録方式で情報の記録を行うことができる。
【0192】尚、本実施例では、磁界変調オーバーライ
ト時に、レーザーパワーを一定としたが、磁界の極性が
切り替わる時にレーザーパワーを記録されないパワーま
で下げて、記録がなされないようにすると、記録される
記録ビット形状がよりきれいになり、再生信号品質が向
上する。
【0193】磁界変調オーバーライトにおいては、高速
記録を行おうとする場合には、高速で磁界を変調する必
要があるが、磁気ヘッド12bの消費電力、大きさの点
で制約があり、あまり大きな磁界を、発生させることは
困難である。従って、光磁気ディスク14には、比較的
小さな磁界で記録できることが要求される。
【0194】本実施例の光磁気ディスクにおいては、記
録層4のキュリー温度を150〜250℃と比較的低く
押さえ、記録がなされやすくするとともに、垂直磁気異
方性の小さい材料であるGdTbFeを採用すること
で、記録時の磁界をより低く押さえることができ、磁界
変調オーバーライト方式に非常に適した構成となってい
る。
【0195】次に、光変調オーバーライト記録方式につ
いて説明する。
【0196】光変調オーバーライト記録方式とは、磁界
変調オーバーライト記録方式とは全く逆であり、光磁気
記録媒体に一定の磁界強度を印加し、情報に応じてレー
ザーパワーを変調して記録する方法である。これについ
て、図28ないし図32に基づいて説明すれば、以下の
通りである。
【0197】図29のグラフは、以下に説明する光変調
オーバーライト記録方式に適した、読み出し層3及び記
録層4の膜面に垂直な方向の保磁力の温度依存性および
記録磁場HW を示している。
【0198】記録は、記録磁場HW を印加しながら、高
低、2レベルに強度変調されたレーザー光を照射するこ
とにより行う。すなわち、図30に示すように、高レベ
ルIのレーザー光が照射されると、読み出し層3及び記
録層4がともにキュリー点TC1、TC2付近またはそれ以
上となる温度TH まで昇温し、低レベルIIのレーザー光
が照射されると、記録層4のみがキュリー点TC2以上と
なる温度TL まで昇温するように設定されている。
【0199】したがって、低レベルIIのレーザー光が照
射されると、読み出し層3の保磁力H1 は十分小さいの
で、磁化は記録磁場HW の向きに従い、さらに冷却の過
程で記録層4に転写される。すなわち、図28に示すよ
うに、磁化は上向きになる。
【0200】次に、高レベルIのレーザー光が照射され
ると、補償温度を越えているので、読み出し層3の磁化
の向きは記録磁場HW により、低レベルIIのレーザー光
の場合とは逆向き、すなわち、下向きとなる。冷却の過
程では低レベルIIのレーザー光と同じ温度迄下がるが、
読み出し層3と記録層4の冷却過程が異なる(記録層4
の方が速く冷却される)ため、まず記録層4のみ低レベ
ルIIのレーザー光が照射された温度TL となり読み出し
層3の磁化の向きが記録層4に転写され、下向きとな
る。その後、読み出し層3が低レベルIIののレーザー光
と同じ温度迄下がり、記録磁場HW の向きに従い、上向
きとなる。この時、記録層4の磁化の向きはその保磁力
2 が記録磁場HW より十分大きいので、記録磁場HW
の向きには従わない。
【0201】再生時のレーザー光の強度、図30のレベ
ルIII のレーザー光が照射されると、読み出し層3の温
度はTR (図29)となり、読み出し層3の磁化が面内
磁化から垂直磁化に移行し、記録層4及び読み出し層3
の両層とも垂直磁気異方性を示す。この時、記録磁場H
W は印加されないか、記録層4の保磁力H2 より十分小
さいので、再生時には読み出し層3の磁化の向きは記録
層4との界面に作用する交換力により記録層4の向きと
一致する。
【0202】これにより、既に記録されている情報の消
去過程を経ることなく、オーバーライト記録方式で情報
の記録を行うことができる。
【0203】尚、記録は、記録磁場HW を印加しなが
ら、図31または、図32に示すような変調された2タ
イプのレーザー光を照射して行ってもよい。
【0204】すなわち、タイプIの高レベルのレーザー
光が照射されると、読み出し層3及び記録層4がともに
キュリー点TC1、TC2付近またはそれ以上となる温度T
H まで昇温し、タイプIIの低レベルのレーザー光が照射
されると、記録層4のみがキュリー点TC2以上となる温
度TL まで昇温するように設定されている。このように
すると、特にタイプIの高レベルのレーザー光が照射さ
れた時の読み出し層3と記録層4の冷却過程を大きく相
違させることができる。すなわち、記録層4の方が速く
冷却される。このため、より容易に重ね書きを行うこと
ができる。
【0205】但し、タイプIの高レベルのレーザー光が
照射された後、しばらく照射されるレーザー光の強度
は、高レベル以下であればよい。
【0206】以上の記録方式によれば、光変調オーバー
ライト時に、一般には必要となる初期化用磁界を印加す
る必要がなくなる利点がある。
【0207】上記光磁気ディスク(図1)は、一般には
片面タイプと呼ばれる。この光磁気ディスクは、透明誘
電体層2、読み出し層3、記録層4、保護層5の薄膜部
分を総じて記録媒体層と称することにすると、図33に
示すように、基板1、記録媒体層9、オーバーコート層
6の構造となる。
【0208】これに対して、図34に示すように、基板
1の上に記録媒体層9を形成したものを2枚、記録媒体
層9・9が対向するように接着層10で接着した光磁気
ディスクは、両面タイプと呼ばれている。
【0209】尚、接着層10の材料はポリウレタンアク
リレート系接着剤が特に良い。この接着剤は紫外線、熱
及び嫌気性の3タイプの硬化機能が組み合わされたもの
であり、紫外線が透過しない記録媒体層9の影になる部
分の硬化が熱及び嫌気性硬化機能により硬化されるとい
う利点を持っており、極めて高い耐湿性を有し、長期安
定性に極めて優れた両面タイプの光磁気ディスクを提供
することができる。
【0210】片面タイプは、両面タイプと比べて光磁気
ディスクの厚みが半分で済むため、例えば小型化が要求
される記録再生装置に有利である。
【0211】両面タイプは、両面再生が可能なため、例
えば大容量を要求される記録再生装置に有利である。
【0212】片面タイプ、両面タイプのいずれを採用す
るかは上記のような光磁気ディスクの厚さ、容量を考慮
する以外に、以下に説明するように、記録方式にも大き
く依存する。
【0213】光磁気ディスクへの情報の記録には、周知
のごとく、光ビーム7と磁界が用いられる。図27の光
磁気ディスク装置においては、半導体レーザー等の光源
からの光ビーム7を対物レンズで基板1を通して記録媒
体層9上に集光させて照射し、これと対峙した位置に設
けられた磁石、電磁石等の磁界発生装置(例えば、浮上
型磁気ヘッド12)により磁界が記録媒体層9に印加さ
れるようになっている。記録の際には光ビーム強度を再
生時よりも高くすることで、集光された部分の記録媒体
層9の温度が上昇し、その部分の磁性膜の保磁力が小さ
くなる。この時に外部から保磁力以上の大きさの磁界を
印加すると、印加された磁界の方向に磁性膜の磁化がな
らい、記録が完了する。
【0214】情報に応じて記録用磁界を変調する磁界変
調オーバーライト方式では、磁界発生装置(多くは電磁
石)を極力記録媒体層9に近づける必要がある。これ
は、電磁石のコイルの発熱、装置消費電力、大きさ等の
制限により、記録に必要な周波数(一般には数百kHz〜
数十MHz)で変調し、記録に必要な磁界(一般的には5
0Oe〜数百Oe程度)を発生させようとすると、記録
媒体に0.2mm以下程度、多くの場合は50μm程度ま
で近づける必要が生じる。このため、両面タイプの光磁
気ディスクでは、基板1の厚さが一般に1.2mm前後で
あり薄くても0.5mm程度必要なため、光ビームを対峙
させて電磁石を配した場合、記録磁界強度が不足してし
まい、記録が行えない。従って、記録変調オーバーライ
ト方式に適した記録媒体層9を採用した場合は、片面タ
イプの光磁気ディスクが多く用いられる。
【0215】これに対して、情報に応じて光ビームを変
調する光変調オーバーライト方式では、記録用の磁界が
一方向を向いたまま、あるいは記録用磁界が不要であ
る。よって、発生磁界の強い、例えば永久磁石を用いる
ことができ、磁界変調オーバーライト方式の場合のよう
に記録媒体層9に極力近づけて配置せずとも、記録媒体
層9から数mm程度離して配置できる。従って、片面タイ
プだけでなく、両面タイプも採用できる。
【0216】本実施例の光磁気ディスクを片面ディスク
として用いる場合、構造上、以下に説明するようなバリ
エーションが可能である。
【0217】第1のバリエーションは、オーバーコート
層6上にハードコート層(図示されていない)を形成し
た光磁気ディスクであり、基板1/記録媒体層9/オー
バーコート層6/ハードコート層の構造を有している。
ハードコート層として、例えばアクリレート系の紫外線
硬化型ハードコート樹脂膜を、例えばポリウレタンアク
リレート系の紫外線硬化型樹脂からなり膜厚が約6μm
のオーバーコート層6の上に形成する。ハードコート層
の膜厚は、例えば3μmである。
【0218】オーバーコート層6を形成することで、記
録媒体層9の酸化による特性劣化を防ぎ、長期信頼性を
確保することができる。これに加えて、ハードコート膜
を設けることで、例えば記録用の磁石がディスクに接触
してしまっても、硬度の高い、耐摩耗性にすぐれたハー
ドコート膜の作用で、傷を付きにくくし、また傷が発生
しても、それが記録媒体層9にまで達することを防ぐこ
とができる。
【0219】また、当然のことながら、オーバーコート
層6にハードコート層の機能を付加させてオーバーコー
ト層6だけで済ませても良い。
【0220】第2のバリエーションは、オーバーコート
層6上にハードコート層を形成すると共に、基板1の記
録媒体層9とは反対側の面にハードコート層(図示され
ていない)を形成した光磁気ディスクであり、ハードコ
ート層/基板1/記録媒体層9/オーバーコート層6/
ハードコート層の構造を有している。
【0221】光磁気ディスク用の基板1の材料として、
PCをはじめとするプラスチックが多く用いられるが、
これらの材料はガラスに比べて、非常に柔らかく、爪で
こすっただけでも傷が入ってしまう。この傷は、光ビー
ムで記録再生を行う際にひどい場合には、サーボ飛びを
生じさせ、情報の記録再生が不可能になる場合もある。
【0222】本実施例の光磁気ディスクにおいては、光
ビーム7の中心近傍だけを利用して再生を行うので、基
板1の表面の傷等の欠陥が再生に及ぼす影響が従来の光
磁気ディスクよりも大きくなってしまう。このため、ハ
ードコート層を基板1の記録媒体層9とは反対側の面に
設けることで、傷発生が防ぐことができる本構成は非常
に有効である。
【0223】また、両面タイプにおいても、光磁気ディ
スクのそれぞれの基板1・1の表面にハードコート層を
設ければ、同様の効果があることは明らかである。
【0224】第3のバリエーションは、上記第1、第2
のバリエーションのオーバーコート層6上、あるいは、
ハードコート層上に更に、帯電防止コート層(図示され
ていない)、あるいは、帯電防止機能を付加させた層を
形成した光磁気ディスクである。
【0225】基板1の表面にゴミ、ほこりが付くと、傷
と同様に情報の記録再生が不可能となる場合がある。ま
た、オーバーコート膜6上にほこりが付くと、磁界変調
オーバーライト方式の場合に、磁石を浮上型磁気ヘッド
12(図27)として、オーバーコート膜6上を数μm
のギャップで配置しているような場合には、ゴミ、ほこ
りが浮上型磁気ヘッド12、記録媒体層9の損傷を生じ
させてしまう。
【0226】本構成のように、基板1側の表面または記
録媒体層9側表面に帯電防止機能を有する層が設けられ
た構成をとれば、空気中のゴミ、ほこり等が基板1の表
面あるいはオーバーコート層6上に付着するのを防止す
ることができる。
【0227】本実施例の光磁気ディスクにおいては、光
ビーム7の中心近傍だけを利用して再生を行うので、基
板1の表面のゴミ、ほこり等の欠陥が再生に及ぼす影響
が従来の光磁気ディスクよりも大きいので、本構成は極
めて有効である。
【0228】帯電防止層としては、例えば、導電性フィ
ラーを混入したアクリル系ハードコート樹脂を使用する
ことができ、その膜厚は約2〜3μmが適当である。
【0229】また、帯電防止層は、プラスチックの基板
1、ガラスの基板1を問わず、表面抵抗率を下げ、ゴ
ミ、ほこり等を付きにくくする目的で設けられる。
【0230】また、当然のことながら、オーバーコート
層6またはハードコート層に帯電防止効果を付加させて
も良い。
【0231】また、両面タイプにおいても、光磁気ディ
スクのそれぞれの基板1・1の表面に対して、本構成を
適用できることは明らかである。
【0232】第4のバリエーションは、オーバーコート
層6上に潤滑層(図示されていない)を形成した光磁気
ディスクであり、基板1/記録媒体層9/オーバーコー
ト層6/潤滑層の構造を有している。潤滑層としては、
例えば、フッ素系樹脂を使用することができ、その膜厚
は約2μmが適当である。
【0233】潤滑層を設けることで、磁界変調オーバー
ライト方式で浮上型磁気ヘッド12を用いた場合、浮上
型磁気ヘッド12と光磁気ディスクとの間の潤滑性を向
上させることができる。
【0234】すなわち、浮上型磁気ヘッド12は記録媒
体層9上に数μmから数十μmのギャップを保ちながら
情報の記録を行うために配置されるものであり、浮上型
磁気ヘッド12を記録媒体層9に押し付けるよう働くサ
スペンション13による押圧と、光磁気ディスクの高速
回転による空気流により発生して浮上型磁気ヘッド12
を記録媒体層9から離すように働く浮上力をバランスし
て、上記ギャップが保たれる。
【0235】このような浮上型磁気ヘッド12を用い
て、光磁気ディスクの回転開始時、所定回転数に達する
までの時間、及び、回転終了時、所定回転数より停止に
至るまでの間、浮上型磁気ヘッド12と光磁気ディスク
とが接するCSS(Contact-Start-Stop)方式を採用す
る場合には、浮上型磁気ヘッド12と光磁気ディスクと
が吸着すると、光磁気ディスクの回転開始時、浮上型磁
気ヘッド12が破損されることがある。しかしながら、
本実施例の光磁気ディスク201によれば、オーバーコ
ート層6上に潤滑膜を設けたので、浮上型磁気ヘッド1
2と光磁気ディスク201との間の潤滑性が向上し、吸
着による浮上型磁気ヘッド12の破損を防止できる。
【0236】当然のことながら、記録媒体層9の劣化を
防ぐ、耐湿保護性能も兼ね備えた材料であれば、オーバ
ーコート層6と潤滑層を別々に設ける必要はない。
【0237】第5のバリエーションは、基板1の記録媒
体層9とは反対側の面に透湿防止層(図示されていな
い)と第2のオーバーコート層(図示されていない)と
を積層した光磁気ディスクであり、オーバコート層/透
湿防止層/基板1/記録媒体層9/オーバコート層6の
構造を有している。
【0238】透湿防止層には、例えば、A1N, A1SiN, Si
N, A1TaN, SiO, ZnS, TiO2等の透明誘電体材料を使用で
き、その膜厚は5nm程度が適当である。第2のオーバコ
ート層は、特に基板1としてPC等の吸湿性の高いプラ
スチックを基板1に用いた場合に有効である。
【0239】透湿防止層は、環境湿度変化に対する光磁
気ディスクの反り変化を低く押さえる効果を有してい
る。これについて、以下に説明する。
【0240】基板1の光入射側にこの透湿防止膜がない
場合は、例えば環境湿度が大きく変化した場合に、記録
媒体層9のない側、すなわち基板1の入射光側からのみ
プラスチックの基板1に水分が吸湿されたり放湿された
りする。この吸湿、放湿によりプラスチックの基板1に
は局部的な体積変化が生じ、プラスチックの基板1に反
りが生じてしまう。
【0241】この光磁気ディスクの反りは、情報の再
生、記録等に用いられる光ビームの光軸に対して基板1
が傾いた状態になるため、サーボがずれて信号品質が劣
化したり、ひどい場合にはサーボ飛びが生じたりしてし
まう。
【0242】また、基板1にチルトが存在すると光学ヘ
ッド11(図27)からのレーザー光は、傾いた記録媒
体層9の面に集光されることになり、チルトの状態に応
じて集光状態が変化することになり、記録再生に悪影響
を及ぼす。
【0243】更に、基板1が光学ヘッド11に対して上
下に移動した場合、光学ヘッド11はその上下動を補償
し記録媒体層9の面にレーザー光を集光すべく動作する
が、上下動が大きくなり過ぎると光学ヘッド11の補償
動作が不完全なものとなり、記録媒体層9の面でのレー
ザー光の集光状態は不完全なものとなる。レーザー光の
集光状態が不完全なものとなると記録媒体層9の温度分
布が変化することになり、記録再生に影響を及ぼす。本
実施例においては、再生時の記録媒体層9の温度分布が
特に重要となってくるため、極力基板1の反り、環境に
よる反り変化を押さえることが必要となってくる。
【0244】本構成の光磁気ディスクであれば、透湿防
止層があることにより基板1の表面側における水分の吸
湿、放出がなくなるため、環境変化時の基板1の反りを
大幅に押さえることができ、上記説明の通り、本実施例
の光磁気ディスクに特に適した構成となる。
【0245】尚、透湿防止層上の第2のオーバコート層
は、透湿防止層への傷発生の防止、基板1の表面の保護
等の目的で設けられており、その材料は、記録媒体層9
上のオーバコート層6と同じでも良い。
【0246】更に、本構成に加えて前述の、例えば、ハ
ードコート層あるいは帯電防止層を第2のオーバコート
層の代わりに、あるいはその上に設けても良い。
【0247】本発明の第2実施例を図35に基づいて説
明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、前
記の実施例の図面に示した部材と同一の機能を有する部
材には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
【0248】本実施例の光磁気ディスクは、図35に示
すように、基板1、透明誘電体層2、読み出し層3、記
録層4、放熱層20、オーバコート層6をこの順に積層
した構成を有している。
【0249】放熱層20には、例えば、Alを使用で
き、その膜厚は、約100nmが適当である。基板1、
透明誘電体層2、読み出し層3、記録層4、オーバコー
ト層6には、前記実施例と同一の材料を使用できる。
【0250】記録層4上に放熱層20を設けたので、記
録の際に、記録ビット形状をよりシャープにする効果が
ある。これは、次の理由による。
【0251】入射面側から入射された光ビームは、その
ほとんどが読み出し層3及び記録層4に吸収され熱に変
わる。この時、熱は読み出し層3及び記録層4の厚さ方
向に伝導するとともに、層内方向、つまり横方向にも伝
導する。
【0252】この横方向への熱伝導量が多く、かつ、熱
伝導する速度が遅い場合、より高速に、高密度記録を行
おうとすると、次に記録しようとする記録ビットに対し
て熱的に悪影響を及ぼす。
【0253】このため、既定の長さよりも長い記録ビッ
トになってしまったり、あるいはガイドトラックに対し
て横方向に広がった記録ビットが形成されたりする。横
方向に記録ビットが広がってしまうと、クロストーク量
の増加につながり、良好な記録再生が行えなくなる。
【0254】本実施例では、熱伝導の高いAlからなる
放熱層20を記録層4上に形成しているので、横方向へ
の熱の広がりを放熱層20側、つまり厚さ方向へ逃がす
ことができ、上記のような横方向への熱の広がりを低減
させることができる。したがって、より密度の高い、よ
り高速な記録条件下で、熱干渉のない記録を行うことが
可能になる。
【0255】また、放熱層20を設けると、以下に説明
するように、光変調オーバーライト記録の際にも、有利
になる。
【0256】放熱層20があることにより、記録の過程
で、光ビーム照射により一旦昇温した領域が冷えると
き、読み出し層3の冷却速度と記録層4の冷却速度に、
よりはっきりとした差が現れる。特に、高レベルのレー
ザー光が照射された時の読み出し層3と記録層4の冷却
過程を大きく相違させることができるため(記録層4の
方が速く冷却される)、より容易に重ね書きを行うこと
ができる。
【0257】放熱層20の材料として、Alは、読み出
し層3、記録層4に用いられる希土類遷移金属合金膜よ
りもその熱伝導率が高く、放熱層20に適した材料であ
る。加えて、透明誘電体層2にAlNを用いる場合、こ
のAlNは、AlターゲットをArおよびN2ガスで反応性
スパッターすることにより形成されるので、同じAlタ
ーゲットをArガスでスパッターすることで放熱層20を
容易に形成できる。また、Alは非常に安価な材料でも
ある。
【0258】放熱層20の材料としては、読み出し層
3、記録層4より熱伝導率が大きい材料であればよく、
Al以外にAu,Ag,Cu,SUS,Ta,Cr等を
使用できる。
【0259】放熱層にAu,Ag,Cuを採用した場
合、耐酸化性、耐湿性、耐孔食性に優れているので、長
期信頼性が向上する。
【0260】放熱層にSUS,Ta,Crを採用した場
合、耐酸化性、耐湿性、耐孔食性に極めて優れているの
で、長期信頼性が向上する。
【0261】尚、本実施例では、放熱層20の膜厚を10
0nm としたが、厚くするほど放熱効果は高くなり、加え
て、長期信頼性も向上する。しかしながら、既に説明し
た通り、光磁気ディスクの記録感度にも影響を及ぼすの
で、材料の熱伝導率、比熱に応じた膜厚の設定が必要で
あり、5 〜200nm の範囲が良い。とりわけ、10〜100nm
が好適である。熱伝導率が比較的高く、耐食性に優れた
材料であれば、膜厚は10〜100nm 程度と薄くて済み、製
造時の膜形成に要する時間も短縮することができる。
【0262】また、記録層4と放熱層20の間に誘電体
層(図示されていない)を挿入してもかまわない。誘電
体層には、透明誘電体層2と同じ材料を用いれば良く、
A1N,SiN, A1SiN 等、第1実施例で説明した材料を使用
できる。特に、A1N, SiN, A1SiN 、TiN 、A1TaN, ZnS,
BN等の成分に酸素を含まない窒化膜を用いれば、長期信
頼性により優れた光磁気ディスクを提供することができ
る。誘電体層の膜厚は、10〜100nm の範囲が良い。
【0263】本発明の第3実施例を図36に基づいて説
明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、前
記の実施例の図面に示した部材と同一の機能を有する部
材には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
【0264】本実施例の光磁気ディスクは、図36に示
すように、基板1、透明誘電体層2、読み出し層3、記
録層4、透明誘電体層21、反射層22、オーバコート
層6をこの順に積層した構成を有している。
【0265】透明誘電体層21には、例えば、AlNを
使用でき、その膜厚は、約30nmが適当である。反射
層22には、例えば、Alを使用でき、その膜厚は、約
30nmが適当である。
【0266】基板1、透明誘電体層2、読み出し層3、
記録層4、オーバコート層6には、前記実施例と同一の
材料を使用できる。ただし、読み出し層3の膜厚を前記
第1実施例の半分の15nm、記録層4の膜厚を前記第
1実施例の半分の15nmにしており、両層合わせて30
nmである。
【0267】つまり、本実施例の光磁気ディスクにおい
ては、入射した光ビームの一部が、読み出し層3及び記
録層4を透過して、透明誘電体層21を透過し、反射層
22で反射されるように、読み出し層3及び記録層4の
膜厚が設定されている。
【0268】これにより、読み出し層3の表面で反射し
た光と、反射層22により反射され再び記録層4及び読
み出し層3を透過した光とが干渉して、磁気光学効果が
エンハンスされて極カー回転角が大きくなる。このた
め、より高精度に情報の再生が行え、再生信号の品質が
向上する。
【0269】本構成においては、エンハンス効果を上げ
るためには、透明誘電体層2の膜厚は、70〜100nm が最
適で、この時、透明誘電体層21の膜厚は15〜50nmが好
適である。
【0270】透明誘電体層2の膜厚を70〜100nm とすれ
ば良い理由は、第1実施例において既に説明したよう
に、最も極カー回転角のエンハンス効果が大きくなるか
らである。
【0271】透明誘電体層21の膜厚は、膜厚を厚くす
ればするほど、極カー回転角が大きくなるが、反射率が
小さくなる。反射率をあまり小さくし過ぎると、ガイド
トラックにサーボをかけるための信号が小さくなり、安
定したサーボがかけられなくなってしまう。このため、
透明誘電体層21の膜厚は15〜50nm程度が適している。
【0272】また、透明誘電体層2の屈折率よりも透明
誘電体層21の屈折率を大きくすれば、よりエンハンス
効果を高めることができる。
【0273】また、読み出し層3及び記録層4は、どち
らも希土類遷移金属合金からなる光吸収率の高い層であ
るので、これらを合わせた膜厚が、50nm以上になるとほ
とんど光が透過せず、エンハンス効果が得られなくな
る。従って、これら2層を合わせた膜厚は、10〜50nmが
好適である。
【0274】また、反射層22の膜厚は、あまり薄すぎ
ると反射層22を光が透過してしまい、エンハンス効果
が低下するので、最低でも20nm程度は必要である。ま
た、あまり厚すぎると記録、再生等に必要なレーザパワ
ーが高くなり、光磁気ディスクの記録感度を低下させて
しまうので、100nm 以下程度が好ましい。従って、反射
層22に好適な膜厚は20〜100nm の範囲である。
【0275】反射層22の材料として、Alを採用した
理由は、半導体レーザーの波長範囲で反射率が約80% と
大きいこと、スパッタリングによる形成の際に、透明誘
電体層2のAlNと共通のAlターゲットを使用するこ
とが可能となること等が挙げられる。前述の通り、Al
Nを成膜するときには、ArとN2の混合ガスあるいはN2
スにより反応性スパッタリングを行い、反射層22のA
1を成膜するときには、Arガスを導入してスパッタリン
グを行う。
【0276】A1以外の反射層としては、光ビームの波
長での反射率が50%以上の材料であれば良く、Au,
Pt,Co,Ni,Ag,Cu,SUS,Ta,Cr等
を使用できる。
【0277】反射層22にAu,Pt,Cu,Coを採
用した場合、耐酸化性、耐湿性、耐孔食性に優れている
ので、長期信頼性が向上する。
【0278】反射層22にNiを採用した場合、熱伝導
率が小さいので、光磁気ディスクが高記録感度になり、
耐酸化性、耐湿性、耐孔食性に優れているので、長期信
頼性が向上する。
【0279】反射層22にAgを採用した場合、耐酸化
性、耐湿性、耐孔食性に優れているので、長期信頼性が
向上する。しかも、Agターゲットは廉価である。
【0280】反射層22にSUS,Ta,Crを採用し
た場合、耐酸化性、耐湿性、耐孔食性に極めて優れてい
るので、より長期信頼性に優れた光磁気ディスクを提供
することができる。
【0281】上述の第1ないし第3実施例では、磁気光
学メモリー素子として光磁気ディスクを挙げて説明した
が、光磁気カード、光磁気テープにも本発明を応用でき
る。なお、光磁気テープには、光磁気ディスクで使用さ
れている基板1の代わりに、可撓性のあるテープベース
(基体)、例えば、ポリエチレンテレフタレートからな
るテープベースを用いるとよい。
【0282】
【0283】
【0284】
【0285】請求項の発明に対応する光磁気ディスク
は、記録層4が、フェリ磁性体の希土類遷移金属非晶質
合金からなり、その組成は室温で希土類金属副格子磁化
が遷移金属副格子磁化より大きくなるように設定されて
おり、補償温度をもたないので、記録時の外部磁界を小
さくすることができる。
【0286】請求項の発明に対応する光磁気ディスク
は、記録層4が、フェリ磁性体の希土類遷移金属非晶質
合金からなり、その組成は室温以上で補償温度をもつよ
うに設定されているので、記録時の外部磁界を小さくす
ることができる。
【0287】請求項の発明に対応する光磁気ディスク
は、記録層4が、フェリ磁性体の希土類遷移金属非晶質
合金からなり、その組成は室温で遷移金属副格子磁化が
希土類金属副格子磁化より大きくなるように設定されて
いるので、請求項1、2の光磁気ディスクと同様に、記
録時の外部磁界を小さくすることができる。
【0288】
【0289】
【0290】
【0291】
【発明の効果】 請求項の発明に係る磁気光学メモリー
素子は、以上のように、記録層は、フェリ磁性体の希土
類遷移金属非晶質合金からなり、その組成は室温で希土
類金属副格子磁化が遷移金属副格子磁化より大きくなる
ように設定されており、補償温度をもたないので、記録
時の外部磁界を小さくすることができるという効果を奏
する。
【0292】請求項の発明に係る磁気光学メモリー素
子は、以上のように、記録層は、フェリ磁性体の希土類
遷移金属非晶質合金からなり、その組成は室温以上で補
償温度をもつように設定されているので、請求項1の主
効果に加え、記録時の外部磁界を小さくすることができ
るという効果を奏する。
【0293】請求項の発明に係る磁気光学メモリー素
子は、以上のように、記録層は、フェリ磁性体の希土類
遷移金属非晶質合金からなり、その組成は室温で遷移金
属副格子磁化が希土類金属副格子磁化より大きくなるよ
うに設定されているので、請求項1、2の磁気光学メモ
リー素子と同様に、請求項1の主作用に加え、記録時の
外部磁界を小さくすることができるという効果を奏す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示すものであり、光磁気
ディスクの概略の構成図である。
【図2】図1の光磁気ディスクの読み出し層の磁気特性
を示す磁気状態の説明図である。
【図3】図2の室温から温度T1において、読み出し層に
印加される外部印加磁界と極カー回転角との関係を示す
説明図である。
【図4】図2の温度T1から温度T2において、読み出し層
に印加される外部印加磁界と極カー回転角との関係を示
す説明図である。
【図5】図2の温度T2から温度T3において、読み出し層
に印加される外部印加磁界と極カー回転角との関係を示
す説明図である。
【図6】図2の温度T3からキュリー温度Tcにおいて、読
み出し層に印加される外部印加磁界と極カー回転角との
関係を示す説明図である。
【図7】図1の光磁気ディスクの読み出し層の室温での
極カー回転角の外部印加磁界依存性を実測した結果を示
すグラフである。
【図8】図1の光磁気ディスクの読み出し層の120℃
での極カー回転角の外部印加磁界依存性を実測した結果
を示すグラフである。
【図9】図1の光磁気ディスクの再生信号振幅を再生レ
ーザパワーに対してプロットしたグラフである。
【図10】図1の光磁気ディスクの再生信号品質(C/
N)を記録ビット長さに対してプロットしたグラフであ
る。
【図11】図1の光磁気ディスクのクロストークを再生
時のレーザーパワーに対してプロットしたグラフであ
る。
【図12】図1の光磁気ディスクの効果を示すための説
明図である。
【図13】GdX (Fe0.82Co0.18)1-X のキュリー温度(Tc)
と補償温度(Tcomp) の組成依存性を示したグラフであ
る。
【図14】GdX Fe1-X のキュリー温度(Tc)と補償温度(T
comp) の組成依存性を示したグラフである。
【図15】GdX Co1-X のキュリー温度(Tc)と補償温度(T
comp) の組成依存性を示したグラフである。
【図16】図1の光磁気ディスクの読み出し層の膜厚を
変え、基板側から測定されたカーヒステリシスループを
示すグラフであり、(a)〜(d)はそれぞれ読み出し
層の膜厚が20nm、30nm、40nm、50nmに
対応している。
【図17】カーヒステリシスループから角形比を求める
方法を示す説明図である。
【図18】図1の光磁気ディスクの読み出し層の膜厚を
変え、基板側から測定されたカーヒステリシスループか
ら求められた角形比を補償温度をパラメーターとしてプ
ロートしたグラフである。
【図19】図1の光磁気ディスクの読み出し層の膜厚を
変え、基板側から測定されたカーヒステリシスループの
角形比をキュリー温度をパラメーターとしてプロートし
たグラフである。
【図20】C/Nの記録磁界依存性を示すグラフであ
る。
【図21】図1の光磁気ディスクの基板上に形成された
ランド、グルーブ形状の一例を示す説明図である。
【図22】図1の光磁気ディスクの基板上に形成された
ランド、グルーブ形状の他の例を示す説明図である。
【図23】図1の光磁気ディスクの基板上に形成された
ウォブルピットの配置の一例を示す説明図である。
【図24】図1の光磁気ディスクの基板上に形成された
ウォブルピットの配置の他の例を示す説明図である。
【図25】図1の光磁気ディスクの基板上に形成された
ウォブルリンググルーブの一例を示す説明図である。
【図26】図1の光磁気ディスクで、複数の光ビームを
用いた記録再生を示す説明図である。
【図27】図1の光磁気ディスクを用いた磁界変調オー
バーライト記録方法を示す説明図である。
【図28】図1の光磁気ディスクを用いた光変調オーバ
ーライト記録方法を示すと共に、読み出し層及び記録層
の磁化方向を示す説明図である。
【図29】図1の光磁気ディスクにおいて、光変調オー
バーライト記録に適した読み出し層及び記録層の保持力
の温度依存性を示す説明図である。
【図30】図1の光磁気ディスクに対して、光変調オー
バーライト時、および、再生時に照射される光ビームの
強度の一例を表す説明図である。
【図31】図1の光磁気ディスクに対して、光変調オー
バーライト時、および、再生時に照射される光ビームの
強度の他の例を表す説明図である。
【図32】図1の光磁気ディスクに対して、光変調オー
バーライト時、および、再生時に照射される光ビームの
強度のその他の例を表す説明図である。
【図33】図1の光磁気ディスクの片面タイプを示す説
明図である。
【図34】図1の光磁気ディスクの両面タイプを示す説
明図である。
【図35】本発明の第2実施例を示すものであり、光磁
気ディスクの概略の構成図である。
【図36】本発明の第3実施例を示すものであり、光磁
気ディスクの概略の構成図である。
【符号の説明】
1 基板(基体) 2 透明誘電体層 3 読み出し層 4 記録層 5 保護層 6 オーバーコート層 9 記録媒体層 10 接着層 20 放熱層 21 透明誘電体層 22 反射層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 太田 賢司 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−205336(JP,A) 特開 平6−76405(JP,A) 特許2839783(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G11B 11/10 506

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】室温で面内磁化を示す一方、温度上昇に伴
    い垂直磁化に移行する読み出し層と、読み出し層上に形
    成され、情報を光磁気記録する記録層とが備えられてお
    り、上記読み出し層は、フェリ磁性体の希土類遷移金属
    非晶質合金からなり、その組成は室温で希土類金属副格
    子磁化が遷移金属副格子磁化より大きく、かつ、補償温
    度がなく、キュリー温度が130℃以上になるように設
    定されており、その膜厚が10nm以上に設定されてい
    る一方、 記録層は、フェリ磁性体の希土類遷移金属非晶質合金か
    らなり、その組成は室温で希土類金属副格子磁化が遷移
    金属副格子磁化より大きくなるように設定されており、
    補償温度をもたないことを特徴とする磁気光学メモリー
    素子。
  2. 【請求項2】室温で面内磁化を示す一方、温度上昇に伴
    い垂直磁化に移行する読み出し層と、読み出し層上に形
    成され、情報を光磁気記録する記録層とが備えられてお
    り、上記読み出し層は、フェリ磁性体の希土類遷移金属
    非晶質合金からなり、その組成は室温で希土類金属副格
    子磁化が遷移金属副格子磁化より大きく、かつ、補償温
    度が125℃以上になるように設定されており、その膜
    厚が10nm以上に設定されている一方、 記録層は、フェリ磁性体の希土類遷移金属非晶質合金か
    らなり、その組成は室温以上で補償温度をもつように設
    定されていることを特徴とする磁気光学メモリー素子。
  3. 【請求項3】室温で面内磁化を示す一方、温度上昇に伴
    い垂直磁化に移行する読み出し層と、読み出し層上に形
    成され、情報を光磁気記録する記録層とが備えられてお
    り、上記読み出し層は、フェリ磁性体の希土類遷移金属
    非晶質合金からなり、その組成は室温で希土類金属副格
    子磁化が遷移金属副格子磁化より大きく、かつ、補償温
    度が125℃以上になるように設定されており、その膜
    厚が10nm以上に設定されている一方、 記録層は、フェリ磁性体の希土類遷移金属非晶質合金か
    らなり、その組成は室温で遷移金属副格子磁化が希土類
    金属副格子磁化より大きくなるように設定されているこ
    とを特徴とする磁気光学メモリー素子。
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