JP3599789B2 - 光磁気記憶素子 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、光磁気記録装置に用いられる光磁気ディスク、光磁気テープ、光磁気カード等の光磁気記憶素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光磁気ディスクは、書き換えが可能な光ディスクとして研究開発が進められ、その一部はすでに、コンピューター用の外部メモリーとして実用化がなされている。
【0003】
光磁気ディスクは記録媒体として垂直磁化膜を用い、光を用いて記録再生を行うため、面内磁化膜を用いたフロッピーディスクあるいはハードディスクに比べて記憶容量が大きいことが特徴である。
【0004】
しかしながら、近年では、より大容量なメモリーが要求され、ハードディスクをはじめ、光磁気ディスクにおいても、記録密度をより向上させるための研究が精力的になされている。
【0005】
特公昭63−57859号公報では、透明基板上に凹部(グルーブ部)と凸部(ランド部)の幅をほぼ1:1としたガイドトラックを設け、グルーブ部の上のトラックとランド部の上のトラックとに対し、情報の記録再生を行うことにより高記録密度を実現する光学式記録再生装置が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の構成では、トラック密度を高くすると、グルーブ部(または、ランド部)の上のトラックを再生したとき、両隣のランド部(または、グルーブ部)の上のトラックからのクロストークが大きくなる。このため、記録密度をあまり上げることができないという問題点を有している。
【0007】
本発明の目的は、トラック密度を高くしても、すなわち、グルーブの幅およびランドの幅を小さくしても、良好な信号品質が得られ、高記録密度を実現できる光磁気記憶素子を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、請求項1記載の光磁気記憶素子は、透明基板の少なくとも片面に光ビームを案内するためのグルーブを有し、グルーブ側の透明基板上に、室温からそのキュリー温度まで垂直磁化を示す光磁気記録層および昇温により面内磁化から垂直磁化に変わる読み出し層が設けられており、グルーブの幅とグルーブ間のランドの幅とが等しく、グルーブ上のトラックおよびランド上のトラックに対し、情報の記録再生を行う光磁気記憶素子であって、
グルーブの深さdは、光ビームの波長をλ、透明基板の屈折率をnとすると、
0.13×λ/n≦d≦0.18×λ/n
を満足するように設定されていることを特徴としている。
【0009】
また、上記光磁気記憶素子は、トラックピッチpは、照射する光ビームの光強度がビーム中心における光強度の1/e2となる位置での光ビームの直径をLとすると、
0.86≦L/p≦1.33
を満足するように設定されていることを特徴としている。
【0010】
【作用】
上記の構成により、請求項1記載の光磁気記憶素子は、グルーブ(または、ランド)の上のトラックを再生したとき、両隣のランド(または、グルーブ)の上のトラックからのクロストークが、上記条件を満足しない場合と比較して大幅に少なくなる。これにより、トラック密度を高くしても、すなわち、グルーブの幅およびランドの幅を小さくしても、良好な信号品質が得られる。つまり、高記録密度を実現できる。
【0011】
【実施例】
〔参考例〕
本発明の参考例について図1ないし図3に基づいて説明すれば、以下の通りである。本参考例に係る光磁気ディスクは、図1に示すように、透明基板1、透明誘電体層2、光磁気記録層3、透明誘電体層4、反射層5、オーバーコート層6がこの順に積層された構成を有している。
【0012】
透明基板1は、直径130mm、厚さ1.2mmの円盤状のガラス基板で、表面には光ビーム案内用の凹凸のガイドトラックが1.6μmピッチ、グルーブ部の幅が0.8μm、ランド部の幅が0.8μmで形成されている。
【0013】
この透明基板1の、ガイドトラックがある面側に、透明誘電体層2としてAlNが厚さ80nmで形成されている。
【0014】
この透明誘電体層2上に、光磁気記録層3として、希土類遷移金属合金であるDyFeCoが厚さ20nmで形成されている。DyFeCoの組成は、Dy0.23(Fe0.82Co0.18)0.77で、そのキュリー温度は約200℃である。
【0015】
光磁気記録層3上には、透明誘電体層4としてAlNが厚さ20nmで形成されている。透明誘電体層4上には、反射層5としてAlが厚さ40nmで形成されている。反射層5上には、オーバーコート層6としてポリウレタンアクリレート系の紫外線硬化型樹脂が厚さ5μmで形成されている。
【0016】
透明基板1の表面のガイドトラックは、反応性イオンエッチング法によりガラス表面に直接形成した。
【0017】
透明誘電体層2、光磁気記録層3、透明誘電体層4及び反射層5は、いずれもスパッター法により、同一スパッター装置内で真空を破らずに形成した。
【0018】
透明誘電体層2及び4のAlNは、AlターゲットをN2 ガス雰囲気中でスパッターする反応性スパッター法により形成した。
【0019】
光磁気記録層3は、FeCo合金ターゲット上にDyのチップを並べたいわゆる複合ターゲット、もしくはDyFeCoの3元合金ターゲットを用いて、Arガスでスパッターすることにより形成した。
【0020】
オーバーコート層6は、スピンコーターにより樹脂を塗布した後、紫外線照射装置で紫外線を当て、硬化させることで形成した。
【0021】
上記の構成において、グルーブ部の上の光磁気記録層3からなるトラックとランド部の上の光磁気記録層3からなるトラックとに対して、情報の記録再生が行われる。
【0022】
グルーブ部の深さとクロストーク量との関係を調べるために、グルーブ部の深さが50nm、60nm、70nm、80nm、90nmのサンプルを作製した。
【0023】
各サンプルのランド部の上の光磁気記録層3にのみ信号を記録し、図2(a)に示すように、ビット長0.765μmの記録ドメイン7a…を形成した。それから、ランド部に光ビームスポット8を追従させながら、ランド部の上の光磁気記録層3に記録した信号を再生し、信号レベルを測定した。
【0024】
また、各サンプルのグルーブ部の上の光磁気記録層3にのみ信号を記録し、同図(b)に示すように、ビット長0.765μmの記録ドメイン7b…を形成した。それから、ランド部に光ビームスポット8を追従させながら、グルーブ部の上の光磁気記録層3に記録した信号、すなわち漏れ信号を再生し、信号レベルを測定した。
【0025】
そして、上記の二つの信号レベルの差をクロストーク量とした。測定に用いた光ビームの波長は780nm、光ビームを光磁気ディスク上に光ビームスポット8として収斂させるとともに光磁気ディスクからの反射光を集光する対物レンズの開口数は0.55、光ビーム径、すなわち、光ビームスポット8における光強度がビーム中心の光強度の1/e2 になる位置での直径は1.2μmである。
【0026】
表1に、測定結果を示す。これより、トラック深さ、すなわち、グルーブ部の深さが80nm近傍で、クロストークが激減することが分かる。
【0027】
【表1】
【0028】
トラック深さとクロストーク量との関係について、シミュレーションで得られた計算曲線を図3に示す。計算曲線は、□印で示された実測値とほぼ一致している。曲線よりトラック深さが78nm(0.15×λ/n、λは光ビームの波長、nは透明基板1の屈折率)近傍で、クロストークが最小となる。また、トラック深さが66〜92nmの範囲で、クロストーク量は−23dB以下となる。すなわち、ガイドトラックの深さをk×λ/nとすると、0.13≦k≦0.18のとき、隣接トラックからのクロストークが低減されて良好な再生信号品質が得られ、高密度記録が可能となる。
【0029】
上記トラック深さの範囲において、光ビーム径(直径)Lとトラックピッチpとの比L/pを変化させたときのクロストーク量を表2に示す。表2より、L/pが1.2以下でクロストーク量が−23dB以下となる。またL/pが0.6より小さくなると上記トラック深さの範囲外でもクロストーク量が−30dB以下となり本発明の効果は小さい。したがって、光ビーム径Lとトラックピッチpとが0.6≦L/p≦1.2の条件を満たすとき、上記と同様のクロストーク低減の効果が得られた。なお、上記の表1は、L/p=0.75(=1.2μm/1.6μm)の下で得られたものである。
【0030】
なお、上記したようにL/pが0.6より小さくなると上記トラック深さの範囲外でもクロストーク量が−30dB以下となるが、この場合は、光ビーム径Lをより小さくせねばならず、技術的に困難である。あるいは、トラックピッチpを大きくせねばならず、高密度記録することができなくなる。
【0031】
【表2】
【0032】
上記参考例では光磁気記録層3の材料としてDyFeCoを採用したが、これに限る必要はなく、従来の光磁気ディスクで開発、使用されている材料、すなわち、室温からキュリー温度まで垂直磁化を示す材料で、そのキュリー温度が記録に適した温度範囲、すなわち、150〜250℃であればよい。参考例で示したDyFeCo以外に、TbFeCo、GdTbFe、NdDyFeCo、GdDyFeCo、GdTbFeCo等が好適である。
【0033】
透明誘電体層2、4の材料としては、AlN以外に、SiN、AlSiN、AlTaN、SiAlON、TiN、TiON、BN、ZnS、TiO2 、BaTiO3 、SrTiO3 等が好適である。
【0034】
透明基板1としては、ガラス基板以外にも、化学強化されたガラスからなる基板、ガラス基板上に紫外線硬化型樹脂を形成した、いわゆる2P層付きガラス基板、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アモルファスポリオレフィン(APO)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビフェニール(PVC)、エポキシのいずれかからなる基板が好適である。
【0035】
透明基板1に化学強化されたガラスからなる基板を採用した場合、機械特性(面振れ、偏心、反り、傾き)に優れていること、硬度が高いため砂や埃により傷が付きにくいこと、化学的に安定であるため各種溶剤に溶けないこと、プラスチック基板に比べて帯電しにくいため埃や塵が付着しにくいこと、化学的に強化されているため割れにくいこと、耐湿性、耐酸化性、耐熱性に優れているため光磁気ディスクの長期信頼性が向上すること、光学特性が優れているため高い信号品質が得られること等が利点として挙げられる。
【0036】
透明基板1にPC基板を採用した場合、射出成形ができるため同一の基板を大量に安価に供給できること、他のプラスチック基板に比べて吸水性が低いため光磁気ディスクの長期信頼性が向上すること、耐熱性、耐衝撃性に優れていること等が利点として挙げられる。
【0037】
なお、PCを含め、射出成形が可能な材料を採用した透明基板1については、ガイドトラック、プリピット等は、射出成形時にスタンパーを成形用金型の表面に取り付けておけば、成形と同時に基板表面に形成される。
【0038】
なお、上記参考例では、反射層5を設けた構成を示したが、反射層5を除いた構成でもかまわない。また、光磁気記録層3として、通常の、垂直磁化を示す単層膜について示したが、光変調オーバーライトあるいは超解像を目的とした多層膜であってもかまわない。
【0039】
〔実施例〕
本発明の実施例について図4ないし図11に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、参考例の図面に示した部材と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。本実施例の光磁気ディスクは、図4に示すように、透明基板1、透明誘電体層2、読み出し層9、光磁気記録層3、透明誘電体層4、オーバーコート層6がこの順に積層された構成を有している。
【0040】
透明基板1は、直径130mm、厚さ1.2mmの円盤状のガラス基板であり、表面には光ビーム案内用の凹凸のガイドトラックが1.6μmピッチ、グルーブ部の幅が0.8μm、ランド部の幅が0.8μmで形成されている。
【0041】
この透明基板1のガイドトラックがある面側に、透明誘電体層2として、AlNが厚さ80nmで形成されている。
【0042】
透明誘電体層2上に、読み出し層9として、希土類遷移金属合金であるGdFeCoが厚さ50nmで形成されている。GdFeCoの組成は、Gd0.26(Fe0.82Co0.18)0.74で、そのキュリー温度は約300℃である。
【0043】
上記の読み出し層9の磁化の方向は、室温ではほぼ面内にあり、100〜125℃の範囲で面内方向から垂直方向に移行する。
【0044】
この読み出し層9上に、光磁気記録層3として、希土類遷移金属合金であるDyFeCoが厚さ50nmで形成されている。DyFeCoの組成は、Dy0.23(Fe0.82Co0.18)0.77で、そのキュリー温度は約200℃である。
【0045】
光磁気記録層3上には、透明誘電体層4として、AlNが厚さ20nmで形成されている。透明誘電体層4上には、オーバーコート層6として、ポリウレタンアクリレート系の紫外線硬化型樹脂が厚さ5μmで形成されている。
【0046】
透明基板1、透明誘電体層2、光磁気記録層3、透明誘電体層4、オーバーコート層6に関しては、上記参考例と同一の材料が用いられており、同一の製法で形成された。
【0047】
読み出し層9は、FeCo合金ターゲット上にGdのチップを並べた、いわゆる複合ターゲット、もしくはGdFeCoの3元合金ターゲットを用いて、Arガスでスパッターすることにより形成された。
【0048】
上記読み出し層9の材料として使用される希土類遷移金属合金の磁気状態図を図5に示す。図中、横軸(RE)は希土類金属の含有率、縦軸は温度である。同図に示すように、垂直磁化を示す組成範囲(図中、Aで示す)は非常に狭い。これは希土類金属と遷移金属の磁気モーメントが釣り合う補償組成(図中、Pで示す)の近辺でしか垂直磁化が現れないからである。
【0049】
ところで、希土類金属と遷移金属の磁気モーメントは、それぞれの温度特性が異なるため、高温では遷移金属の磁気モーメントが希土類金属に比べて大きくなる。このため、室温の補償組成よりも希土類金属の含有量を多くしておき、室温では垂直磁化を示さずに面内磁化を示すようにしておく。そして、光ビームが照射されることにより、照射部位の温度が上昇すると、遷移金属の磁気モーメントが相対的に大きくなって、希土類金属の磁気モーメントと釣り合うようになり、垂直磁化を示すようになる。
【0050】
図6ないし図9は、読み出し層9のヒステリシス特性の一例を示した図で、各図とも横軸が読み出し層9の膜面に垂直方向に印加される外部磁界(Hex)、縦軸が同じく膜面に垂直な方向から光を入射させた場合の極カー回転角(θk)を示している。図6は、図5の磁気状態図における組成P点の、室温から温度T1 間のヒステリシス特性を示し、図7ないし図9は、それぞれ、温度T1 から温度T2 のヒステリシス特性、温度T2 から温度T3 のヒステリシス特性、温度T3 からキュリー温度Tcのヒステリシス特性を示している。
【0051】
温度T1 から温度T3 の範囲では、外部磁界に対して極カー回転角の立ち上がりが急峻なヒステリシス特性を示すが、それ以外の温度範囲では極カー回転角はほとんど0である。
【0052】
読み出し層9を設けることにより、記録密度を高くすることができる。次に、記録密度を高めることができる理由を説明する。
光磁気記録媒体における記録密度は、記録、再生に使用される光ビームの光磁気記録媒体上での大きさに依存する。読み出し層9を用いることで、光ビームの大きさよりも小さな記録ビットの再生が可能になる。
【0053】
再生時、図10に示すように、透明基板1の側から集光レンズ10を介して再生用の光ビーム11が読み出し層9に照射される。このとき、光磁気記録層3には、図に矢印で示されている磁化の向きに記録がなされているとする。
【0054】
光ビーム11が照射された読み出し層9の部位は、その中心部近傍が最も温度が上昇し、周辺の部位の温度よりも高くなる。これは、光ビーム11が、集光レンズ10により回折限界まで絞り込まれているため、その光強度分布がガウス分布になり、光磁気ディスク上の再生部位の温度分布もほぼガウス分布になるからである。ここで、中心近傍の温度が前述の図5中の温度T1 以上に達するような強度の光ビーム11が与えられたとする。このとき、周辺部位の温度は温度T1 以下となる。この温度T1 以上の温度を有する領域のみを再生に関与させるので、光ビーム11の径よりも小さな記録ビットの再生が行え、記録密度は著しく向上することになる。
【0055】
つまり、温度T1 以上の温度を有する領域の磁化は、面内磁化から垂直磁化に移行する(図6から図7もしくは図8へ)。この時、読み出し層9および光磁気記録層3の2層間の交換結合力により、光磁気記録層3の磁化の向きが読み出し層9に転写される。一方、光ビーム11の中心近傍に対応する以外の、周辺部位では温度が温度T1 以下であるため、面内磁化の状態(図6)が保持される。この結果、膜面に垂直方向から照射された光ビーム11に対しては、極カー効果を示さない。
【0056】
このようにして、温度上昇部位が面内磁化から垂直磁化に移行すると、光ビーム11の中心近傍に対応する部位のみが極カー効果を示すようになり、該部位からの反射光に基づいて光磁気記録層3に記録された情報が再生される。
【0057】
そして、光ビーム11が移動して(光磁気ディスクが回転して)、次の記録ビットを再生するときは、先の再生部位の温度は温度T1 以下に下がり、垂直磁化から面内磁化に移行する。これに伴い、この温度が低下した部位は極カー効果を示さなくなる。したがって、該温度の低下した部位からは情報が再生されなくなり、雑音の原因である隣接ビットからの信号混入がなくなる。
【0058】
以上のように、読み出し層9を用いれば、光ビーム11の径よりも小さな記録信号の再生が行え、隣接する記録信号の影響を受けないため、記録密度を高めることが可能となる。
【0059】
上記の構成において、グルーブ部の上の光磁気記録層3からなるトラックと、ランド部の上の光磁気記録層3からなるトラックとに対して、情報の記録再生が行われる。
【0060】
グルーブ部の深さとクロストーク量との関係を調べるために、グルーブ部の深さが50nm、60nm、70nm、80nm、90nmのサンプルを作製した。さらに、トラックピッチとクロストーク量との関係を調べるために、グルーブ部の深さが80nmであり、トラックピッチが1.2μm、1.3μm、1.4μmのサンプルを作製した。
【0061】
これらのサンプルについて、前記参考例と同じ方法でクロストーク量を測定した。表3に、測定結果を示す。これより、トラック深さ、すなわち、グルーブ部の深さが80nm近傍で、前記参考例と同様に、クロストークが減少することが分かる。
【0062】
【表3】
【0063】
トラック深さとクロストーク量との関係について、前記参考例と同様のシミュレーションで得られた計算曲線を図11に示す。計算曲線は、△印で示された実測値とほぼ一致している。トラック深さが76nm近傍でクロストーク量が最小となっており、その値は前記参考例と比べて小さくなっている。
【0064】
光ビーム径(直径)Lとトラックピッチpとの比L/pを変化させたときのクロストーク量を表4に示す。表4より、L/pが1.33以下でクロストーク量が−23dB以下となる。またL/pが0.86より小さくなると上記トラック深さの範囲外でもクロストーク量が−30dB以下となり本発明の効果は小さい。したがって、光ビーム径Lとトラックピッチpとが0.86≦L/p≦1.33の条件を満たすとき、上記と同様のクロストーク低減の効果が得られた。したがって、参考例に比べトラックピッチをさらに詰めることが可能となる。
【0065】
なお、上記したようにL/pが0.86より小さくなると上記トラック深さの範囲外でもクロストーク量が−30dB以下となるが、この場合は、光ビーム径Lをより小さくせねばならず、技術的に困難である。あるいは、トラックピッチpを大きくせねばならず、高密度記録することができなくなる。
【0066】
表3より、トラック深さが80nmのサンプルでは、トラックピッチを1.2μmにしても、クロストーク量は−23dB以下である。したがって、より高密度記録が可能である。
【0067】
【表4】
【0068】
以上の実施例において、読み出し層9のGdFeCoの組成は、上記のGd0.26(Fe0.82Co0.18)0.74に限定されるものではない。読み出し層9としては、室温でほぼ面内磁化を有し、室温以上の温度で面内磁化から垂直磁化に移行すればよい。実施例で示したGdFeCo以外に、GdCo、GdFe、TbFeCo、DyFeCo、HoFeCo等が好適である。
【0069】
なお、上記実施例では、読み出し層9および光磁気記録層3を透明誘電体層2と4とで挟んだ構成を示したが、透明誘電体層4とオーバーコート層6との間に反射層5を形成した構成あるいは、透明誘電体層4の代わりに放熱層(図示されていない)を設けた構成でもかまわない。また、光磁気記録層3として、通常の光磁気記録媒体の単層膜について示したが、光変調オーバーライトを目的とした多層膜であってもかまわない。
【0070】
以上では、光磁気ディスクについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、光磁気テープ、光磁気カード等の光磁気記憶素子にも適用できる。
【0072】
上述の構成によれば、グルーブ部(または、ランド部)の上のトラックを再生したとき、両隣のランド部(または、グルーブ部)の上のトラックからのクロストークが、上記条件を満足しない場合と比較して大幅に少なくなる。これにより、トラック密度を高くしても、すなわち、グルーブ部の幅およびランド部の幅を小さくしても、良好な信号品質が得られる。つまり、高記録密度の光磁気ディスクを実現できる。
【0073】
【発明の効果】
本発明の光磁気記憶素子は、トラック密度を高くしても、すなわち、グルーブの幅およびランドの幅を小さくしても、良好な信号品質が得られる。つまり、高記録密度を実現できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の参考例の光磁気ディスクの概略の構成を示す縦断面図である。
【図2】図1の光磁気ディスクのクロストーク量の測定方法を示す説明図である。
【図3】図1の光磁気ディスクのクロストークのトラック深さ依存性を示すグラフである。
【図4】本発明の実施例の光磁気ディスクの概略の構成を示す縦断面図である。
【図5】図4の光磁気ディスクの読み出し層に使用される材料の磁気状態図である。
【図6】図5の磁気状態図における組成P点の、室温から温度T1 間のヒステリシス特性を示すグラフである。
【図7】図5の磁気状態図における組成P点の、温度T1 から温度T2 のヒステリシス特性を示すグラフである。
【図8】図5の磁気状態図における組成P点の、温度T2 から温度T3 のヒステリシス特性を示すグラフである。
【図9】図5の磁気状態図における組成P点の、温度T3 からキュリー温度Tcのヒステリシス特性を示すグラフである。
【図10】図4の光磁気ディスクの再生方法を示すための説明図である。
【図11】図4の光磁気ディスクのクロストークのトラック深さ依存性を示すグラフである。
【符号の説明】
1 透明基板
3 光磁気記録層
9 読み出し層
11 光ビーム
Claims (1)
- 透明基板の少なくとも片面に光ビームを案内するためのグルーブを有し、グルーブ側の透明基板上に、室温からそのキュリー温度まで垂直磁化を示す光磁気記録層および昇温により面内磁化から垂直磁化に変わる読み出し層が設けられており、グルーブの幅とグルーブ間のランドの幅とが等しく、グルーブ上のトラックおよびランド上のトラックに対し、情報の記録再生を行う光磁気記憶素子であって、
トラックピッチpは、照射する光ビームの光強度がビーム中心における光強度の1/e 2 となる位置での光ビームの直径をLとすると、
0.86≦L/p≦1.33
を満足するように設定され、
グルーブの深さdは、光ビームの波長をλ、透明基板の屈折率をnとすると、
0.13×λ/n≦d≦0.18×λ/n
を満足するように設定されていることを特徴とする光磁気記憶素子。
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