JPWO2002052265A1 - 特異結合分析方法およびそれに用いる特異結合分析装置 - Google Patents

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Abstract

プロゾーン現象、バックグラウンドおよび夾雑物による影響が少なく、試料中の分析対象物を簡便、迅速かつ正確に定量または定性し得る特異結合分析方法およびそれに用いる特異結合分析装置を提供するため、あらかじめ想定される分析対象物を含む試料ごとに、特異結合反応に由来する信号強度に関するデータベースを作成しておき、前記データベースに基づいて試料の信号強度の測定パターンを決定し、さらに前記試料中の分析対象物の濃度を決定する。

Description

技術分野
本発明は、試料中の分析対象物の定量または定性を行う特異結合分析方法、およびそれに用いる特異結合分析装置に関する。
背景技術
近年、家庭および地域などにおける医療の充実、ならびに緊急性の高い臨床検査などの増加に伴い、臨床検査の専門家でなくとも、迅速、簡便かつ正確に実施し得る特異結合分析方法の開発が富みに望まれるようになってきた。
従来の特異結合分析方法としては、抗原抗体反応を応用したイムノアッセイ、受容体を用いたレセプターアッセイおよび相補的核酸配列のハイブリダイゼーションを用いた核酸プローブアッセイなど、多くの方法が知られている。これらの方法は、その特異性の高さから、臨床検査をはじめとする広い分野で汎用されている。
イムノアッセイの1種であるクロマトグラフ分析法においては、例えば、特異結合物質を不溶化(固定)した多孔性担体または微粒子充填型担体からなるマトリクスに液状試料を接触させ、毛細管現象による浸透力によって液状試料がマトリクスに沿って浸透する現象を利用し、試料中の分析対象物の存否を分析する(日本国特許第2504923号、日本国特許第2667793号、特公平7−78503号、特開平10−73592号、および特開平8−240591号各公報参照)。
具体的には、まず、裸眼や光学的方法などにより任意に検知できる標識材によって標識された第1の特異結合物質を、分析対象物と特異結合反応させる。そして、前記分析対象物を、前記第1の特異結合物質を介して、前記マトリクス上に固定化された結合材に結合させる。そして、マトリクス上に固定された前記第1の特異結合物質の標識量に応じて、最終的に試料中の分析対象物の存否を分析する。
このクロマトグラフ分析法に用いるマトリクスからなる担体の表面積は大きく、多量の特異結合物質を固定することができるため、特異結合反応を引き起こし得る反応分子同士の衝突頻度が、液相中における反応の場合に比して大きい。そのため、前記クロマトグラフ分析法は、測定感度および測定時間の面から有利である。
しかし、上述のクロマトグラフ法は、第1に、プロゾーン現象と呼ばれる問題を有する。これは、主として、試料中の分析対象物の濃度が高い場合に生じる問題である。プロゾーン現象とは、特異結合反応に由来する信号の強度に対して分析対象物の濃度を一義的に決定することのできない現象をいう。
具体的には、試料中に分析対象物が過剰に存在する場合、標識された第1の特異結合物質と結合した分析対象物と、標識された第1の特異結合物質と結合していない分析対象物(単体)とがマトリクス上に存在する。そして、標識された第1の特異結合物質と結合した分析対象物と、単体の分析対象物とが、マトリクス上に固定化された結合材(第2の特異結合物質)に競合して特異結合反応する。そして、単体である分析対象物が結合剤に結合してしまい、標識された第1の特異結合物質と結合した分析対象物が毛細管現象による浸透力によって検出部を越えて当該検出部から流出してしまう場合がある。これにより、結合材に結合する標識された第1の特異結合物質の量が少なくなり、第1の特異結合物質の特異結合反応に基づく信号強度と、試料中に含まれる分析対象物の量とが正確に対応しなくなってしまうのである。
したがって、試料中に分析対象物が過剰に存在する場合、標識量から特定される分析対象物の量が異常に小さくなってしまい、試料中の分析対象物の存否および濃度を正確に把握できないケースが多々ある。
このプロゾーン現象の影響を除いて分析対象物の濃度などを正確に測定するため、試料を種々の濃度に希釈し、異なる濃度の試料複数個の信号をそれぞれ測定することにより、分析対象物が高濃度で存在するか否かを確認する方法が提案されている。しかし、複数個の反応容器を用いる必要があり、測定工程が煩雑となり、分析装置を大型化および複雑化させるという問題がある。
そこで、本発明の第1の目的は、プロゾーン現象による影響が少なく、試料中の分析対象物を迅速、簡便かつ正確に定量または定性し得る特異結合分析方法、およびこれに用いる特異結合分析装置を提供することにある。
第2に、上述のような従来のクロマトグラフ分析法は、バックグラウンドによる影響という問題を有する。これは、主として、試料中の分析対象物の濃度が低い場合に生じる問題である。バックグラウンドとは、分析対象物を含有しない試料が示す挙動のことである。例えば、特異結合物質などの非特異吸着、および呈色による信号を測定する場合の試料自身の呈色などに起因する信号強度が、分析対象物そのものの信号強度に加算され、結果として測定感度を低下させる。すなわち、本来バックグラウンドの信号強度はゼロと考えられるのに対し、特異結合物質などの非特異吸着、および呈色による信号を測定する場合の試料自身の呈色などに起因して、バックグラウンドの信号強度がゼロより大きくなるのである。
例えば、非特異吸着が起こる場合、前記非特異吸着を低減させるために、反応場に界面活性剤またはブロッキング材などをコーティングすることによって前処理し、試料を添加し、その後に反応場を洗浄することが行われている。しかし、これらの操作を行っても、ある程度の非特異吸着が存在し、バックグラウンドによる影響を完全に取り除くことは困難である。
また、例えば、臨床検査の試料として要求頻度の高い全血のように、それ自身が呈色した試料を展開させる免疫クロマトグラフの場合、検出部での呈色による信号は、特異結合反応に由来する信号に加えてバックグラウンドに由来する信号を含む。そして、試料中の着色成分が、試料の流れによって検出部を越えてしまうまで、すなわち検出部から出てしまうまでは、特異結合反応に由来する信号のみを検出することは困難である。そのため、バックグラウンドに由来する信号が無視できるようになるまで、信号の検出を待つ必要があり、測定に長時間を要するという問題がある。
これに対し、バックグラウンドによる影響を低減させるために、遠心分離などによる試料の前処理、試料中に含まれる着色成分の濾過などによる除去、または検出波長の検討など、様々な方法が提案されている。しかし、これらの方法によると、操作の煩雑化、クロマトグラフ内における試料の展開性の悪化、および検出部における信号強度の減弱などの新たな問題を招く。
その他、免疫クロマトグラフまたは外部の計測器を走査させることにより、バックグラウンドのみの信号強度と検出部の信号強度との差を読み取る方法も存在するが、測定装置の大型化および複雑化を招く。
さらに、特異結合分析方法における共通の問題点として、試料中の夾雑物による影響が挙げられる。夾雑物とは、試料中に含まれる分析対象物以外の不純物などの物質のことである。夾雑物は、分析対象物と同様の挙動を示す物質(例えば、分析対象物の構造類縁物質など)または分析対象物と結合したりし、分析対象物と特異結合物質との特異結合反応を妨害する。そして、実際の検出部での標識から検出される信号の強度は、分析対象物および夾雑物と、特異結合物質との特異結合反応に由来する。したがって、夾雑物の存在が、特異結合分析方法における定量または定性の結果に大きな影響を及ぼす。
夾雑物による影響を低減させるために、前処理によって試料から夾雑物を取り除く場合、操作が煩雑である。また、特異結合物質として、分析対象物とのみ特異結合反応を行う物質を選択する方法もあるが、分析対象物によってはそのような特異結合物質を選択すること自体が困難である場合が多い。
そこで、本発明の第2の目的は、バックグラウンドまたは夾雑物による影響が少なく、試料中の分析対象物を簡便、迅速かつ正確に定量または定性し得る特異結合分析方法およびそれに用いる特異結合分析装置を提供することにある。
発明の開示
本発明は、試料中の分析対象物と当該分析対象物に対して特異結合特性を有する特異結合物質との特異結合反応に由来する信号から、前記試料中の分析対象物を定量する特異結合分析方法であって、
(a)あらかじめ分析対象物を含む種々の試料ごとに、
少なくとも前記分析対象物と前記分析対象物に対して特異結合性を有する特異結合物質との特異結合反応に由来する信号強度の飽和値または変化と前記分析対象物の濃度との関係、
前記信号強度の経時的変化、ならびに
前記飽和値が得られる時間tおよび前記信号強度の極大値が得られる時間tを含むデータベースを作成する工程、
(b)分析対象物を含む試料を準備し、前記データベースに基づいて、前記試料に対応した前記信号強度の測定パターンを決定する工程、
(c)前記分析対象物を特異結合物質と特異結合反応させる工程、
(d)前記工程(c)の後、前記測定パターンに基づき、前記特異結合反応に基づく信号強度が飽和に至るまでの期間に、前記信号強度を少なくとも2回測定する工程、ならびに
(e)前記工程(d)において得られた少なくとも2つの信号強度を用いて、前記データベースに基づき、前記試料中の分析対象物の量を特定する工程を含むことを特徴とする特異結合分析方法を提供する。
前記工程(b)における試料が、前記データベースから判断して前記極大値を有するものである場合、前記測定パターンが、少なくとも時間tおよびt(t≦t<t≦t)においてそれぞれ信号強度AおよびAを測定しかつ前記時間tにおいて信号強度Aを測定することからなり、前記工程(e)において、前記信号強度AおよびAの変化、および前記信号強度Aを用い、前記データベース中の前記関係に基づいて、前記試料中の分析対象物の量を決定するのが好ましい。
また、前記工程(b)における試料が前記データベースから判断して前記極大値を有しないものである場合、前記測定パターンが、少なくとも時間tおよびt(t<t<t)において信号強度AおよびAを測定することからなり、前記工程(e)において、前記信号強度AおよびAの変化、および前記データベース中の前記関係に基づいて、前記試料中の分析対象物の量を決定するのが好ましい。
また、前記工程(c)においては、前記分析対象物を標識材で標識された第1の特異結合物質と特異結合反応させ、さらに前記分析対象物を第2の特異結合物質に特異結合反応させるのが好ましい。
また、前記特異結合分析方法は、前記工程(b)の前に、前記試料を点着させる試料点着部、および第2の特異結合物質を実質的に固定化し特異結合反応に由来する信号を検出し得る検出部を含むストリップを作製する工程(X)を含み、前記工程(d)において、前記試料を前記試料点着部に点着し、毛細管現象により前記試料を前記検出部に流入させることによって、前記第1の特異結合物質と結合した分析対象物を前記第2の特異結合物質と特異結合反応させるのが好ましい。
また、前記工程(d)においては、前記標識材を利用して前記信号強度を測定するのが好ましい。
また、前記工程(X)においては、前記試料点着部と前記検出部との間に、標識材により標識された第1の特異結合物質を有する保持部を設けるのが好ましい。
また、前記工程(d)においては、前記ストリップ上での前記試料の浸透方向に沿って連続的に前記検出部において前記信号強度を測定してもよい。
また、前記工程(d)においては、前記浸透方向の位置と前記信号強度の関係を示す検量線から、前記信号強度を決定してもよい。
さらに本発明は、試料中の分析対象物と当該分析対象物に対して特異結合特性を有する特異結合物質との特異結合反応に由来する信号から、前記試料中の分析対象物を定量する特異結合分析装置であって、
(1)想定される分析対象物を含む試料ごとに、
少なくとも前記分析対象物と当該分析対象物に対して特異結合特性を有する特異結合物質との特異結合反応に由来する信号強度の飽和値または変化と前記分析対象物の濃度との関係、
前記信号強度の経時的変化、ならびに
前記飽和値が得られる時間tおよび前記信号強度の極大値が得られる時間tを含むデータベースを含む記憶部、
(2)分析対象物を含む試料を点着させる試料点着部、および特異結合物質を実質的に固定化し特異結合反応に由来する信号を検出し得る検出部を含むストリップ、
(3)前記信号を検知する第1の検知器、
(4)前記データベースに基づいて前記信号強度の測定パターンを決定し、前記測定パターンにしたがって前記検知器に前記信号を検知させ、前記信号の強度を決定する制御器、
(5)前記信号強度を用いて、前記データベースに基づき、前記試料中の分析対象物の量を特定する解析部を含むことを特徴とする特異結合分析装置をも提供する。
前記特異結合分析装置は、さらに前記試料点着部への試料の点着を検知する第2の検知器を含むのが好ましい。
発明を実施するための最良の形態
A.特異結合分析方法
本発明は、試料中の分析対象物と当該分析対象物に対して特異結合特性を有する特異結合物質との特異結合反応に由来する信号から、前記試料中の分析対象物を定量する特異結合分析方法であって、
(a)あらかじめ想定される分析対象物を含む種々の試料ごとに、
少なくとも前記分析対象物と前記分析対象物に対して特異結合性を有する特異結合物質との特異結合反応に由来する信号強度の飽和値または変化と前記分析対象物の濃度との関係、
前記信号強度の経時的変化、ならびに
前記飽和値が得られる時間tおよび前記信号強度の極大値が得られる時間tを含むデータベースを作成する工程、
(b)分析対象物を含む試料を準備し、前記データベースに基づいて、前記分析対象物に対応した前記信号強度の測定パターンを決定する工程、
(c)前記分析対象物を特異結合物質と特異結合反応させる工程、
(d)前記工程(c)の後、前記測定パターンに基づき、前記特異結合反応に基づく信号強度が飽和に至るまでの期間に、前記信号強度を少なくとも2回測定する工程、ならびに
(e)前記工程(d)において得られた少なくとも2つの信号強度を用いて、前記データベースに基づき、前記試料中の分析対象物の量を特定する工程を含むことを特徴とする特異結合分析方法に関する。
本発明においては、試料中に含まれる分析対象物が特異結合反応において示す信号を検知して前記分析対象物の量を測定する際に、上述のようなプロゾーン現象およびバックグラウンドの問題を解決するために、あらかじめ種々の試料の特異結合反応に由来する信号などを含むデータベースを作成しておく。そして、試料の定量を行う際に、当該試料の種類などに応じて、前記データベースに基づいて前記信号の測定パターンを決定し、実際の信号の測定を行い、さらに信号の測定値と前記データベースに基づいて前記分析対象物の量を特定するのである。
ここで、本発明における試料は、分析対象物が含まれると予測される液状の試料である。例えば、尿、血清、血漿、全血、唾液、涙液、髄液および乳頭などからの分泌液などが挙げられる。粘液、体組織および細胞などの固形状物、ゲル状物ならびにゾル状物を、緩衝液、抽出液または溶解液などの液体に懸濁または溶解させて試料を調製してもよい。
また、本発明における分析対象物は、当該分析対象物と特異的に結合する特性を有する特異結合物質を有するものであればよい。例えば、抗体または抗原として機能する各種蛋白質、ポリペプチド、糖蛋白質、多糖類、複合糖脂質、核酸、エフェクター分子、レセプター分子、酵素およびインヒビターなどが挙げられる。さらに具体的には、α−フェトプロテイン、癌胎児性抗原(CEA)、CA125およびCA19−9などの腫瘍マーカー、β2−ミクログロブリン(β2m)およびフェリチンなどの各種蛋白質、糖蛋白質または複合糖脂質、エストラジオール(E2)、エストリオール(E3)、ヒト絨毛性性線刺激ホルモン(hCG)、黄体形成ホルモン(LH)およびヒト胎盤ラクトゲン(hPL)などの各種ホルモン、HBs抗原、HBs抗体、HBc抗原、HBc抗体、HCV抗体およびHIV抗体などの各種ウィルス関連抗原またはウィルス関連抗体、各種アレルゲンおよびこれに対応するIgE抗体、麻薬性薬物、医療性薬物およびこれらの代謝産物、ウィルスおよび腫瘍関連ポリヌクレオチド配列の核酸などが挙げられる。
つぎに、本発明における特異結合物質は、前記分析対象物に対して特異的に結合する物質であればよく、例えば、抗体、抗原、糖蛋白質、多糖類、複合糖脂質、核酸、エフェクター分子、レセプター分子、酵素およびインヒビターなどが挙げられる。
本発明においては、標識材により標識された第1の特異結合物質と、第2の特異結合物質とを用い、標識された前記第1の特異結合物質と前記第2の特異結合物質とが分析対象物を介して結合させるのが好ましい。このような方法によれば、例えば第2の特異結合物質をどこかの場に固定しておき、その固定された部分のみにおいて前記標識材に起因する信号を検知および測定することにより、本発明の方法を好適に実施することができるからである。
そして、特異性が高いという点から、第1の特異結合物質と第2の特異結合物質の少なくとも一つが抗体であることが望ましい。さらにはモノクローナル抗体を用いるのが好ましい。
第1の特異結合物質と第2の特異結合物質とは、必ずしも同じものを用いることは必要とされない。また、分析対象物が同一のエピトープを複数個有さない場合は、第1の特異結合物質および第2の特異結合物質として、異なるエピトープに対してそれぞれ異なる特異性を有するものを用いるのが好ましい。もっとも、分析対象物が同一のエピトープを複数個有する場合には、第1の特異結合物質および第2の特異結合物質として、同一の特異結合物質を用いてもよい。なお、標識された第1の特異結合物質を用いず、分析対象物そのものを標識材で標識してもよい。
また、第2の特異結合物質との特異結合反応において、分析対象物と同様の挙動を示す物質または標識された物質を、分析対象物と共存させてもよい。これにより、競合する反応を利用した定量が可能となり、プロゾーンの回避も期待されるからである。
また、ストリップ外で分析対象物と第1の特異結合物質を結合させる場合は、標識されていない第1の特異結合物質を用い、さらに別の標識した特異結合物質を反応させるのが好ましい。分析対象物と非標識特異結合物質とをあらかじめ反応させておくことで、標識された特異結合物質と結合する分析対象物の量を減少させることができ、そして、競合する反応を利用した定量が可能となり、プロゾーンの回避も期待されるからである。
また、マトリクス内に保持させた特異結合物質の標識材とは異なる信号を生成する標識材と結合した第1の特異結合物質を用いてもよい。この場合、検出部5で読み取る信号を選択することができ、競合する反応を利用した定量が可能となり、プロゾーンの回避も期待される。
本発明において用いる標識材は、その存在を任意に検出され得る物質であればよい。例えば、自然状態にあるときに裸眼で見える標識材、光学フィルタの使用により見える標識材または紫外光などの刺激を加えて蛍光を促進することにより見える標識材などの直接標識、ならびに基質などの展開試薬を添加することにより、可視信号を検出し得る標識材などの間接標識が挙げられる。
直接標識には、染料ゾル、金属ゾルもしくは着色ラテックス粒子などの微細な着色粒子または蛍光物質を含んだ粒子が挙げられる。一方、間接標識には、アルカリ性フォスファターゼおよびホースラディッシュペルオキシターゼなどの酵素類が挙げられる。直接標識は、別の試薬を添加しなくても検出可能な信号を生成するために、瞬時に分析結果を得ることができ、さらに、丈夫で安定性を有するため好ましい。なかでも、金コロイドなどの着色粒子を用いる場合、着色粒子が微細なため、標識される部分を小さな区域または容積に集中させることが可能である。
ここで、本発明の理解を容易にすべく、図1に示す工程図を参照しながら本発明を説明する。図1は、本発明に係る特異結合分析方法の工程図である。
まず、工程(a)において、あらかじめ想定される分析対象物を含む種々の試料ごとに、少なくとも前記分析対象物と当該分析対象物に対して特異結合特性を有する特異結合物質との特異結合反応に由来する信号強度の飽和値または変化と前記分析対象物の濃度との関係、前記信号強度の経時的変化、ならびに前記飽和値が得られる時間tおよび前記信号強度の極大値が得られる時間tを含むデータベースを作成しておく。
ここで、飽和値とは、分析対象物と特異結合物質との特異結合反応が平衡状態に達した後に得られる当該特異結合反応に由来する信号強度をいう。特異結合反応は反応物同士が接触してから徐々に進行するため、経時的に信号強度を測定すると、得られる信号強度は次第に変化する。そして、特異結合反応は平衡反応であるため、最終的に平衡状態が形成されると信号強度がほとんど変化しなくなる。換言すると、信号強度の飽和値とは平衡状態における信号強度の終端値である。
前記データベースに含まれる定量情報は、例えば図2〜5に示すグラフによって表すことができる。
例えば、試料中の分析対象物の量が過剰な場合、最初は分析対象物に由来する信号強度は時間に比例して(一次関数的に)増加するが、特異結合物質と結合せずに残った分析対象物に起因して徐々に信号強度が低下する(プロゾーン現象)。そのため、図2に示すように、特定の濃度pの試料を用いて特異結合反応に由来する信号強度の経時的変化を示すグラフが作成される。なお、試料qのようにプロゾーン現象は生じないが最終的に試料pと同じ信号強度を示すものもある。図2に示すグラフは、前記飽和値が得られる時間tおよび前記信号強度の極大値が得られる時間tを含む。つぎに、図2から、信号強度の飽和値が得られる時間がわかるため、試料中の分析対象物の濃度と信号強度の飽和値との関係を表すグラフが作成される(図3)。図3からも、分析対象物の濃度が高い試料において、プロゾーン現象が生じることがわかる。
一方、例えば試料中の分析対象物の量が少ない場合、特定の濃度rの試料を用いて、特異結合反応に由来する信号強度の経時的変化を表す図4に示すようなグラフが作成される。このグラフは前記飽和値が得られる時間tを含むが、前記信号強度の極大値は得られない。そのため、前記データベースには前記極大値が存在しないという情報も含まれる。そして、図4から、分析対象物に由来する信号強度は分析対象物の濃度に比例して増加するため、図5に示すように、信号強度の時間的変化率と分析対象物の濃度との関係を示すグラフが作成される。
なお、図2〜5においては、信号強度を連続的にモニタリングして測定した信号強度を検量線として示したが、任意の複数個の時間において信号強度を測定し、各測定点を線で結んで検量線を得てもよい。
このようにデータベースを作成しておくことにより、試料を特異結合分析に供する際に、当該試料の示すであろう挙動などをあらかじめ知ることができ、その挙動に応じた測定パターンにより、最低限度の測定回数によって上述のようなプロゾーン現象およびバックグラウンドなどの影響を回避することができるのである。特に、濃度の高い試料の場合には、後述する第1の測定パターンによりプロゾーン現象による誤測定を避けることができる。また、濃度の低い試料の場合には、特異結合反応開始後長時間が経過するとバックグラウンドは次第に消滅するが、これを待つと長時間が必要となるため、後述の第2の測定パターンにより迅速に正確な測定を可能とする。
したがって、続く工程(b)においては、実際に分析対象物を含む試料を準備し、前記データベースに基づいて、当該試料に対応した適切な信号強度の測定パターンを決定する。
そして、前記分析対象物を特異結合物質との特異結合反応に供し(工程(c))、決定した測定パターンに基づき、前記特異結合反応に基づく信号強度が飽和に至るまでの期間に、前記信号強度を少なくとも2回測定する(工程(d))。ついで、前記工程(d)において得られた少なくとも2つの信号を用いて、前記データベースに基づき、信号強度の飽和値に対応する前記試料中の分析対象物の量(濃度)を決定する(工程(e))。
ここで、上述のように、本発明においては前記測定パターンを主として2種類のパターンに分類する。第1の測定パターンはプロゾーン現象を生じ得る試料を測定するために用いられ、第2の測定パターンはプロゾーン現象を生じ得ない試料の信号強度を測定するために用いられる。そして、プロゾーン現象の有無は、前記データベースにおける極大値の有無に対応する。
(i)第1の測定パターン
第1の測定パターンによれば、前記工程(b)における試料が、前記データベースから判断して前記極大値を有し、プロゾーン現象を生じるものである場合、少なくとも時間tおよびt(t≦t<t≦t)においてそれぞれ信号強度AおよびAを測定しかつ前記時間tにおいて信号強度の飽和値Aを測定し、前記工程(e)において、前記信号強度AおよびAの変化(変化率、差またはこれらの正負など)、および前記信号強度の飽和値Aを用い、前記データベース中の前記関係(例えば図2)に基づいて、前記試料中の分析対象物の量を決定する。
具体的には、図3から前記信号強度の飽和値Aに対する分析対象物の濃度としては、濃度CおよびCの2種類が存在し得る。図2の検量線pに示すように前記信号強度の変化率{(A−A)/(t−t)}および差(A−A)が負の場合はプロゾーン現象が生じていることが確認されるため、前記信号強度の飽和値Aと図3から分析対象物の濃度をCと決定することができる。
また、図2の検量線qに示すように、万が一、試料が検量線pと同じ信号強度の飽和値Aを有し、かつプロゾーン現象を生じない場合には、前記信号強度の変化率{(A−A)/(t−t)}および差(A−A)が正となってプロゾーン現象の発生が認識されないため、図3から分析対象物の濃度をCと決定することができる。
さらに第1の測定パターンを詳しく説明する。前述のように試料中に過剰な分析対象物が存在し、プロゾーン現象が発生する場合、信号強度の変化が定常的に負である時間帯が存在する。したがって、信号強度の変化の正負(方向)を調べることにより、プロゾーン現象が起こるか否かを判断することができる。信号強度の変化の正負は、信号強度の変化率および差を求めることにより調べることができる。
信号強度の差は時間を変えて少なくとも2回、例えば測定時間tおよびtにおいて測定した信号の強度AおよびAから(A−A)により求めることができる。また、信号強度の変化率は、時間を変えて少なくとも2回、例えば測定時間tおよびt(t≦t<t≦t)において測定した信号の強度AおよびAから{(A−A)/(t−t)}により求めることができる。信号強度の変化率は、最小二乗法などの直線回帰を用いて求めてもよい。
したがって、第1の測定パターンにおいては、信号強度の変化の正負を調べるために、少なくとも2回以上信号強度を測定する。そして、測定された信号強度の飽和値に対してデータベース(図3)から特定される濃度が複数ある場合には、信号強度の変化が正である場合には、信号強度の変化が定常的に負である時間帯、つまりプロゾーン現象が生じていないと判断し、特定された複数の濃度のうち、低い方の濃度を分析対象物の濃度として特定する。一方、信号強度の変化が負である場合には、信号強度の変化が定常的に負である時間帯、つまりプロゾーン現象が生ずると判断し、特定された複数の濃度のうち、高い方の濃度を分析対象物の濃度として特定する。
なお、信号強度の変化の方向を用いてプロゾーン現象が生じているか否かを判断する場合、信号強度が定常的に小さくなっている期間に信号を測定する必要がある。そのために、信号強度が極大値に達して以降、飽和値に達する以前の時間tおよびt(t≦t<t≦t)において測定された少なくとも2つの信号の強度から信号強度の変化を判断するのが望ましい。
つまり、第1の測定パターンにおいては、例えばタイマーによる経時時間に応じて、信号強度の飽和値を得るための信号の測定を少なくとも1回、および信号強度の変化を得るための信号強度の測定を少なくとも2回の計3回行う必要がある。例えば、図2に示すデータベースによれば、点着されてから2分後〜3分後までの時間帯において定常的に信号強度が減少しているので、信号強度の変化を求めるためにこの時間帯において信号強度を少なくとも2回測定する。そして、飽和値を求めるために分析対象物と第2の特異結合物質との特異結合反応が飽和してから、少なくとも1回信号強度を測定する。なお、測定時間は分析対象物や特異結合物質によって異なるため、これらの条件に対応した多くのデータベースを作成しておくのが好ましい。
(ii)第2の測定パターン
一方、第2の測定パターンによれば、前記工程(b)における試料が、前記データベースから判断して前記極大値を有さずプロゾーン現象を生じないものである場合、少なくとも時間tおよびt(t<t<t)において信号強度AおよびAを測定し、前記工程(e)において、前記信号強度AおよびAの変化(変化率または差)、および前記データベース中の前記関係(例えば図5)に基づいて、前記試料中の分析対象物の量を決定する。
具体的には、図5に示すように信号強度の時間的変化率と分析対象物の濃度との関係を示すグラフを作成しておけば、図4の検量線rに示す前記信号強度の時間的変化率A(={(A−A)/(t−t)})を計算し、図5から分析対象物の濃度をCと決定することができる。
さらに第2の測定パターンを詳しく説明する。試料中に過剰な分析対象物が存在しない場合、特に試料中の分析対象物の濃度が低い場合、信号強度は飽和値に至るまで経時的に増加するだけである。したがって、飽和値に至るまでの早い時間帯において信号強度を測定することにより、信号強度の変化(差または率など)を測定することが可能である。逆に、時間が経過すると信号強度のバックグラウンドが消滅し得るため、その前後において測定した信号強度からバックグラウンドによる信号強度を差し引くのは困難である。また、バックグラウンドが消えるまで待つには時間がかかり過ぎる。そこで、第2の測定パターンにおいては、バックグラウンドの消滅にかかわらず信号強度を少なくとも2回測定するのである。
すなわち、信号強度の変化を用いて分析対象物の濃度を計算する際には、特異結合反応が実質的に終了して信号強度が飽和値に達するまでに測定を終了することが好ましい。得られる信号強度は、分析対象物と特異結合物質との特異結合反応に加えて、夾雑物およびバックグラウンドの影響を受ける。したがって、特異結合反応開始後の早い時間帯において測定した信号強度の差は、分析対象物と特異結合物質との特異結合反応に由来する信号の強度の差となり、バックグラウンドおよび夾雑物の影響を相殺することができる。
そして、第1の測定パターンと同様に、信号強度の差は、時間を変えて少なくとも2回、例えば測定時間tおよびt(t<t<t)において測定した信号の強度AおよびAから(A−A)により求めることができる。また、信号強度の変化率は、時間を変えて少なくとも2回、例えば測定時間tおよびtにおいて測定した信号の強度AおよびAから{(A−A)/(t−t)}により求めることができる。信号強度の変化率は、最小二乗法などの直線回帰を用いて求めてもよい。
以上のような本発明の特異結合分析方法は、特定の構造を有する試験試薬用のストリップを用いて実施することが可能である。
したがって、本発明に係る特異結合分析方法は、前記工程(b)の前に、前記試料を点着させる試料点着部、および第2の特異結合物質を実質的に固定化し特異結合反応に由来する信号を検出し得る検出部を含むストリップを作製する工程(X)を含み、前記工程(d)において、前記試料を前記試料点着部に点着し、毛細管現象により前記試料を前記検出部に流入させることによって、前記第1の特異結合物質と結合した分析対象物を前記第2の特異結合物質と特異結合反応させるのが好ましい。
ここで、図面を参照しながら前記ストリップについて説明する。図6は、本発明において用いるストリップの一例の概略斜視図である。本発明におけるストリップ1は例えば毛細管現象を生じ得るマトリクス2からなるシート状の試験片であり、その一端に液状試料を点着すると、毛細管現象によって他端に向かって矢印の方向に浸透および展開する。
ストリップ1は、試料点着部3、保持部4および検出部5を有する。試料点着部3は、マトリクス2上において試料が点着される領域である。保持部4は、試料点着部3と検出部5との間に設けられ、点着された試料が流入する領域であって、標識材により標識された第1の特異結合物質を含む。ただし、あらかじめ標識した試料を用いる場合は、保持部4を形成しなくてもよい。検出部5は、保持部4を経て試料が流入する領域であり、結合材として第2の特異結合物質が固定化されている。
したがって、前記マトリクスを構成する材料としては、分析対象物および特異結合物質が展開される場を構成し得るものであればよく、例えば多孔性担体、ゲル担体または微粒子充填型担体などが挙げられる。
なかでも、ニトロセルロースを用いるのが好ましい。ニトロセルロースは、あらかじめ増感しなくても固有に蛋白質と結合する能力を有するため、紙などの他のマトリクス材料に比べて優れている。抗体などの特異結合物質を直接ニトロセルロースに塗布すると、確実に固定化することができ、特異結合物質の持つ特異結合能力の妨げとなるような化学処理を全く必要としない。例えばマトリクス材料が紙の場合、抗体を固定化するのにCNBr、カルボニルジミダゾールまたは塩化トレシルなどを用いた化学結合を行うことが必要となる。さらに、種々の大きさの気孔を有する市販のニトロセルロースシートを入手することができるため、試料の流量などの要件に合わせてマトリクス材料を選択することが容易である。ニトロセルロースシートを用いる場合、ニトロセルロースシートと前記ニトロセルロースシートの裏側に貼り合わせたプラスチックシートなどの裏打ちシートとからなる複合シートを用いるのが、強度および取り扱いの観点から望ましい。このような複合シートは、例えば裏打ちシートの上にニトロセルロースからなる薄膜を形成することによって容易に製造することができる。
保持部4に第1の特異結合物質を保持させるためには、例えば第1の特異結合物質を含む液状物をマトリクス2の所定の領域に塗布し、乾燥すればよい。このように保持部4が乾燥状態にあっても、試料がマトリクス2上を浸透および展開して保持部4に流入すると保持部4が湿潤し、第1の特異結合物質はマトリクス2上を自由に移動し得る。
検出部5に第2の特異結合物質を固定化した後は、当該第2の特異結合物質が固定化された部分以外の部分をブロッキングし、マトリクス2への非特異吸着を低減させることが好ましい。ブロッキングは、例えば蛋白質(例えば牛の血清アルブミン、乳蛋白質など)、ポリビニルアルコールもしくはエタノールアミン、またはこれらの組み合わせなどを塗布することにより行うことができる。
したがって、工程(d)において前記試料を試料点着部3に点着すると、前記試料は毛細管現象により検出部5に流入し、第1の特異結合物質と結合した分析対象物が、検出部5に保持された第2の特異結合物質と特異結合反応する。
なお、上述のように、試料中の分析対象物を試料点着部3に点着する前にあらかじめ第1の特異結合物質と特異結合反応させ、その後に試料を試料点着部3に点着してもよい。このストリップ1の外で試料中の分析対象物と反応させる第1の特異結合物質は、標識材と結合していなくてもよい。また、マトリクス2内の保持部4に標識材で標識された第1の特異結合物質を含ませる場合、当該標識材と異なる信号を生成する標識材と結合させた第1の特異結合物質をストリップ外で用いてもよい。さらに、ストリップ外で標識された第1の特異結合物質と試料をあらかじめ反応させる場合、第1の特異結合物質を含む保持部4を設けなくてもよい。
検出部5に至った試料中の分析対象物は、第2の特異結合物質と特異結合する。これにより、分析対象物は、第2の特異結合物質を介して検出部5に固定される。例えば、金コロイドで標識された第1の特異結合物質である抗hCGモノクローナル抗体が、分析対象物hCGを介して検出部5に固定化された第2の特異結合物質である抗hCGモノクローナル抗体と結合する。
ここで、試料が検出部5を越えても試料が引き続き流れるように展開されることが好ましい。そのためには、充分な量の試料を試料点着部3に点着し、例えば結合反応に参加しない余分な標識された第1の特異結合物質が検出部5を越えて移動し、試料そのものによって検出部5から洗い流されるようにする。このために、ストリップ1において試料が展開されるマトリクス2の末端部に、検出部5から流れ出た試料を吸収する吸収部を設けてもよい。吸収部を構成する材料としては、分析対象物以外の試料を検出部5から充分に洗い流せるような吸収能力を持つものであればよい。例えば、ガラス繊維濾紙GA200(東洋株式会社製)などが挙げられる。このように吸収部を設けると、試料の流れとともに未反応物が洗い流されるため、特異結合反応後、未反応物の分離操作を行うことなく特異結合反応に由来する信号を検出部5で検出することができる。
したがって、本発明の特異結合分析方法において、分析対象物と特異結合物質との特異結合反応に由来して得られた信号強度の測定は、特異結合反応が行われる場の任意の箇所で行うことが可能である。しかし、精度の観点から、検出部5、または検出部5を含む広い領域で信号強度の測定を行うことにより、試料中の分析対象物を定量または定性することが好ましい。
そして、分析対象物と第2の特異結合物質との特異結合反応が平衡状態に達した後に、検出部5を含んだ領域において、信号強度の分布状況を検知し、信号強度の分布状況から試料中の分析対象物を定量または定性することができる。
B.特異結合分析装置
つぎに、上述のような本発明に係る特異結合分析方法を実施するために用いることのできる特異結合分析装置について説明する。この特異結合分析装置を用いることによって、上述の特異結合分析方法をさらに好適に実施することができる。
本発明は、試料中の分析対象物と当該分析対象物に対して特異結合特性を有する特異結合物質との特異結合反応に由来する信号から、前記試料中の分析対象物を定量する特異結合分析装置であって、
(1)想定される分析対象物を含む試料ごとに、
少なくとも前記分析対象物と当該分析対象物に対して特異結合特性を有する特異結合物質との特異結合反応に由来する信号強度の飽和値または変化と前記分析対象物の濃度との関係、
前記信号強度の経時的変化、ならびに
前記飽和値が得られる時間tおよび前記信号強度の極大値が得られる時間tを含むデータベースを含む記憶部、
(2)分析対象物を含む試料を点着させる試料点着部、および特異結合物質を実質的に固定化し特異結合反応に由来する信号を検出し得る検出部を含むストリップ、
(3)前記信号を検知する第1の検知器、
(4)前記データベースに基づいて前記信号強度の測定パターンを決定し、前記測定パターンにしたがって前記検知器に前記信号を検知させ、前記信号の強度を決定する制御器、
(5)前記信号強度を用いて、前記データベースに基づき、前記試料中の分析対象物の量を決定する解析部を含むことを特徴とする。
さらに前記特異結合分析装置は、さらに前記試料点着部への試料の点着を検知する第2の検知器を含むのが好ましい。
ここで、図面を参照しながら本発明に係る特異結合分析装置を説明する。図7は、本発明に係る特異結合分析装置の一例の構成を概念的に示す図である。
図7に示す特異結合分析装置は、光源10と、第1の検知器である光検出器11と、記憶部9a、制御器9bおよび解析部9cを含むコンピュータ9と、ストリップ1とを含む。試料点着部3への試料の点着を検知する第2の検知器である測定開始検知器8が設けられている。
コンピュータ9の記憶部9aには、想定される分析対象物を含む試料ごとに、少なくとも前記分析対象物と当該分析対象物に対して特異結合特性を有する特異結合物質との特異結合反応に由来する信号強度の飽和値または変化と前記分析対象物の濃度との関係、および前記信号強度の経時的変化が含まれる。また、前記記憶部9aには、前記特異結合反応開始時または試料点着時などの所定の時間をゼロとしたときの、前記飽和値が得られる時間tおよび前記信号強度の極大値が得られる時間tが含まれる。
そして、コンピュータ9は、制御部9bにおいて、用いる試料の種類などに応じて前記データベースに基づいて信号強度の測定パターンを決定し、この決定した測定パターンに基づいて特異反応または信号の検知開始から所定の経過時に光検出器11に検知命令を出す。そして、光検出器11が検知した信号の強度を認識する。そして、解析部9cが、認識した信号強度を用いて、前記データベースに基づき、前記試料中の分析対象物の量を決定する。したがって、コンピュータ9はタイマー機能を有している。
光源10は検出部5に光を照射し、光検出器11が検出部5からの反射光を検知する。光源10は測定中に常に検出部5付近に光を照射していてもよく、信号強度の測定に必要な時間にだけ照射しても構わない。
また、測定開始検知器8は、第1の電極6および第2の電極7を有しており、試料点着部3の導電率を測定して導電率の変化に基づいて試料点着部3への試料の点着を検知する。試料点着前に、乾燥状態における試料点着部3の導電率と、試料点着後の湿潤状態の試料点着部3の導電率をあらかじめ測定し、得られた測定値を測定開始情報として測定開始検知器8に記憶させておく。そして、分析対象物を含む試料を試料点着部3に点着し、試料点着部3が乾燥状態から湿潤状態に変わると、第1の電極6および第2の電極7がモニタリングしている試料点着部3の導電率が変化すると、導電率の変化と測定開始情報とを参照することにより、測定開始検知器8は試料が試料点着部3に点着されたことを検知する。
なお、コンピュータ9の記憶部9aが乾燥状態の導電率と湿潤状態の導電率を測定開始情報として記憶し、解析部9bが実際の導電率の変化と測定開始情報とを参照して制御部9cに測定を開始させてもよい。
以下に、もう少し詳しく本発明に係る特異結合分析装置の作動方法について説明する。試料点着部3への試料の点着は、特異結合分析装置内にストリップ1を装着した後に実施するのが好ましいが、試料を点着したストリップ1を特異結合分析装置に装着してもよい。
測定開始検知器8が試料の点着を検知すると、コンピュータ9は試料の点着を検知した時間を0として、タイマー(図示せず)に計時を開始させ、光源10および光検出器11を制御して、所定の時間間隔毎に信号の強度を測定させる。
光源10は検出部5を含んだ領域へ所定の波長(例えば520nm)の光を照射し、光検出器11がその反射光を検知する。測定波長は検出部5での試料や標識材の呈色に適した波長を選べばよい。
ここで、信号としては標識材が寄与する反応によって生成し、検出可能なものであればよく、例えば、蛍光光度計で計測可能な蛍光、発光光度計で計測可能な発光、および検出部5における目視判定または色差計で計測可能な呈色などであればよい。この場合、検出部5では反射光、蛍光または発光の強度などを検出することになる。
この信号の検知については、ストリップ1の位置と光源10および光検出器11の位置とを、ストリップ1上における試料の浸透(進行)方向と平行な方向において、相対的に変化させながら連続して実施してもよい。ストリップ1または光源10のいずれか一方を試料の浸透方向と平行な方向に移動させてもよく、両者を共に移動させてもよい。
光検出器11は、検知した信号をコンピュータ9に送る。コンピュータ9内の解析部9cは、光検出器11からの信号を解析することにより、信号の強度を解析する。解析部9cは、解析した信号強度に基づき、記憶部9aに記憶されたデータベース中の信号強度の飽和値および信号強度の変化率などを解析する。
ここで、図8に、前記検出部付近の前記浸透方向の位置と前記信号強度の関係(分布状況)を示す検量線を示す。この検量線は、ストリップ1または光源10を走査させながらマトリクス2上に光源10から光を照射し、光検出器11が検出した反射光をコンピュータ9で解析して作成したものである。この検量線においては、縦軸が検出部5近傍における信号の強度を示し、横軸がストリップ1における試料の浸透方向における位置(試料点着部3からの距離)を示す。この検量線の高さhを、特異結合反応に基づく信号の強度として測定することができる。また、この検量線の面積Sを、特異結合反応に基づく信号の強度としてもよい。
なお、後述する本発明の実施の形態においては、ストリップ1または光源10を走査させて検出部5を含んだ領域での反射光を連続的に測定して信号強度を得る。そして、例えば、前記検量線において、検出部5から試料点着部3に近い上流側部分における信号強度とその反対側の下流側部分の信号強度とを直線で結ぶ。そうすると、検出部5での最高値の高さから直線の高さを差し引いて求めた高さhや、検量線と直線との囲まれた面積Sは、検出部5での信号強度からバックグラウンドに由来する信号強度を差し引いた特異結合反応に基づく信号強度である。このように信号強度を測定すると、試料が全血などの着色しているものであっても、バックグラウンドの影響および夾雑物に由来する影響を受けることなく試料中の分析対象物を定量または定性することができる。
なお、検出部5以外のマトリクス2上の任意の箇所の信号強度をバックグラウンドに由来する信号強度であると仮定し、この信号強度を差し引いてもよい。バックグラウンドに由来する信号強度としては、例えば、検出部5近傍における信号強度のうち最小の値を選んでもよい。
以上の方法の他に、例えば検出部5などのように信号強度を測定する部位を固定し、特異結合反応が行われている場または測定装置を動かすことなく信号強度の測定を行うと、測定装置を小型で簡易な構成とすることができ、低コスト化が可能であり、普及化を高めることができる。
以下に、実施例を用いて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
実施例1
本実施例においては、試料として尿を用い、試料に含まれる分析対象物としてヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)を用いた。また、第1の特異結合物質および第2の特異結合物質としては、hCGとのサンドイッチ反応に参加し得る抗hCGモノクローナル抗体を用い、標識材としては金コロイドを用いた。第2の特異結合物質と分析対象物を介して結合した第1の特異結合物質に標識材である金コロイドが結合させたため、検出部5においては、金コロイドが寄与する反応に由来する信号を用いてhCGの定量または定性を正確に行うことができた。
工程(a)
まず、工程(a)によりデータベースを作成するために、図6に示す構造を有しニトロセルロースからなるマトリクス2を含むストリップ1を作製した。保持部4には、hCGと免疫学的な結合特性を有し金コロイドで標識された第1の特異結合物質である抗hCGモノクローナル抗体(a−hCG)を保持させた。具体的には、マトリクスにa−hCGを塗布した後に乾燥を行った。また、検出部5にも、第2の特異結合物質であるa−hCGを塗布して乾燥を行い、a−hCGを固定化させた。
あらかじめ想定される分析対象物を含む試料として、種々のhCG濃度を有する6種類の尿を準備した。hCG濃度は100(IU/L)、500(IU/L)、1000(IU/L)、1500(IU/L)、2000(IU/L)または2500(IU/L)とした。
そして、図7に示す特異結合分析装置を用い、測定開始検知器8で試料点着部3への尿の点着を検出させ、検出部5における特異結合反応に起因して得られる信号強度を測定した。前記6種類の尿について、前記信号強度の経時的変化、前記特異結合反応開始後前記飽和値が得られる時間tおよび前記信号強度の極大値が得られる時間tを求め、これらを図9に示した。
hCG濃度が100(IU/L)の尿の信号強度を◆で表し、前記信号強度の経時的変化を線21で表した。hCG濃度が500(IU/L)の尿の信号強度を■で表し、前記信号強度の経時的変化を線22で表した。hCG濃度が1000(IU/L)の尿の信号強度を▲で表し、前記信号強度の経時的変化を線23で表した。hCG濃度が1500(IU/L)の尿の信号強度を□で表し、前記信号強度の経時的変化を線4で表した。また、hCG濃度が2000(IU/L)の尿の信号強度を*で表し、前記信号強度の経時的変化を線25で表した。さらに、hCG濃度が2500(IU/L)の尿の信号強度を●で表し、前記信号強度の経時的変化を線26で表した。
hCG濃度が低い尿の場合は、信号強度は時間とともに大きくなり、ついで、信号強度は飽和した。標識されたa−hCGと保持部4で結合したhCGが、検出部5に順次展開され、信号強度は時間とともに増加し、その後、hCGと第2の特異結合物質であるa−hCGとの特異結合反応が平衡状態に達して信号強度が飽和した。
線21によると、hCG濃度が100(IU/L)の尿の場合は、7分後に特異結合反応が平衡状態に達したため、信号強度の飽和値が得られる時間tは7分であった。さらにまた、線22、23および24によると、hCG濃度が500(IU/L)、1000(IU/L)および1500(IU/L)の尿の場合は、それぞれ8分後に特異結合反応が平衡状態に達した(t=8分)。
これらに対して、尿中のhCG濃度が高い場合は、信号強度は時間とともに大きくなり、一定時間以降は小さくなり、その後飽和した。このように信号強度が変化するのは、標識されたa−hCGと結合していないhCGが反応系に過剰に存在することに起因すると考えられた。すなわち、尿中のhCG濃度が高い場合は、はじめは標識されたa−hCGと保持部4で結合したhCGが、検出部5に順次展開され、信号強度が時間とともに増加した。しかし、標識されたa−hCGと結合していないhCGが反応系に過剰に存在するため、標識されたa−hCGと結合合したhCGと、標識されたa−hCGと結合していないhCGとが競合して検出部5に固定化されたa−hCGと特異結合反応し、その結果、検出部5で検出される標識材の寄与する反応に由来する信号強度が低下した。そして、hCGと第2の特異結合物質であるa−hCGとの特異結合反応が平衡状態に達すると、信号強度は飽和した。
線25によると、hCG濃度が2000(IU/L)の尿の場合は、2分後に信号強度が極大値をとり(t=2分)、その後信号強度は低下し、3分後に特異結合反応が平衡状態に達したため、飽和値が得られる時間tは3分であった。また、線26によると、hCG濃度が2500(IU/L)の尿の場合は1.5分後に信号強度が極大値をとり(t=1.5分)、その後信号強度は低下し、5分後に特異結合反応が平衡状態に達したため、飽和値が得られる時間tは5分であった。すなわち、これらの場合には、極大値が存在し、信号強度の変化が負となる領域が確認された。
このように、前記試料にプロゾーン現象を生ずる試料が含まれていたため、つぎに、信号強度の飽和値とhCG濃度との関係を求め、図10に示した。図9から、尿を試料点着部3に滴下してから10分後に信号強度が飽和値に達したため、図10には、尿を滴下してから10分後に測定した信号強度とhCG濃度との関係を示した。図10から信号強度の飽和値40000に対応するhCG濃度は、点Aで示される1200(IU/L)および点Bで示される2500(IU/L)の2つとなった。これからも、2500(IU/L)の濃度を有する尿はプロゾーン現象を生ずることがわかった。つまり、この場合、尿中に過剰のhCGが存在したため、金コロイドで標識されたa−hCGと結合していないhCGと、金コロイドで標識されたa−hCGと結合したhCGとが、検出部5に固定化されたa−hCGとの特異結合反応において競合し、検出部5に結合される金コロイドで標識されたa−hCGの量が減少し、金コロイドの寄与する信号強度は低下し、検出部5で検出される信号強度は尿中のhCGの量を反映しなかった。
以上のようにして、図9および10に示されるようなデータベースを作成した。
工程(b)
つぎに、試薬として被験者から尿1を採取し、被験者の尿のhCG濃度を測定することとした。このhCGはプロゾーンを有し得る分析対象物であるため、前記データベースに基づいて、前記尿に対応した信号強度の測定パターンを決定した。
すなわち、尿1がプロゾーン現象を生じる可能性があると考えられたため、信号強度の飽和値が得られる時間tを8分とし、信号強度の極大値が得られる時間tを2分とし、t≦t<t≦tを満たす時間t(=2分)およびt(=3分)ならびにt(=8分)において信号強度を測定することを決定した(第1の測定パターン)。
工程(c)
工程(b)で採取した尿1を、図7に示す特異結合分析装置に装着されたストリップ1の試料点着部3に滴下し、毛細管現象によって前記尿を保持部4、ついで検出部5へと浸透させた。このとき、尿1中の分析対象物であるhCGは、保持部4において金コロイドで標識されたa−hCGと特異結合し、ついで検出部5において固定化されたa−hCGと特異結合したと予期された。
工程(d)
前記工程(b)で決定した第1測定パターンに基づき、前記特異結合反応に基づく信号強度が飽和に至るまでの期間に、時間t(=2分)およびt(=3分)において信号強度を測定すると、それぞれ49900(A)および40900(A)であった。また、時間tにおいて信号強度の飽和値を測定したところ、40000(A)であった。
工程(e)
工程(d)で得られた信号強度から、(A−A)/(t−t)=(49900−40900)/(2−3)=−9000より、信号強度の変化は負であった。一方、図10から信号強度の飽和値40000に対応するhCG濃度は1180(IU/L)および2500(IU/L)であった。ここで、信号強度の変化が負であったことから、hCG濃度は2500(IU/L)と決定できた。
以上のように、本発明に係る特異結合分析方法および特異結合分析装置を用いれば、分析対象物に起因するプロゾーン現象、ならびにバックグラウンドおよび夾雑物による影響が少なく、試料中の分析対象物を迅速、簡便かつ正確に定量または定性を行うことが可能である。
なお、上記では分析対象物の量を特定するのに濃度を用いたが、分析対象物の量を表す単位は濃度に限られない。本発明においては、量を表す単位であればいかなる単位であっても用いることができる。
産業上の利用の可能性
本発明に係る特異結合分析方法は、クロマトグラフを用いた分析方法だけでなく、分析対象物を含む試料と特異結合物質とを溶液中で直接特異結合反応させる免疫比濁法においても用いることができる。
さらに、本発明に係る特異結合分析方法および特異結合分析装置を用いれば、病院だけでなく一般家庭などにおいても容易かつ簡便に尿検査などを行うことを可能にする。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明に係る特異結合分析方法の工程図である。
図2は、特定の濃度の試料を用いた特異結合反応に由来する信号強度の経時的変化を示すグラフである。
図3は、信号強度の飽和値と分析対象物の濃度との関係を示すグラフである。
図4は、特定の濃度の試料を用いた特異結合反応に由来する信号強度の経時的変化を示すグラフである。
図5は、信号強度の時間的変化率と分析対象物の濃度との関係を示すグラフである。
図6は、本発明において用いるストリップの一例の概略斜視図である。
図7は、本発明に係る特異結合分析装置の一例の構成を概念的に示す図である。
図8は、検出部付近の前記浸透方向の位置と前記信号強度の関係(分布状況)を示す検量線である。
図9は、特定の濃度の試料を用いた特異結合反応に由来する信号強度の経時的変化を示すグラフである。
図10は、信号強度の飽和値とhCG濃度との関係を示すグラフである。

Claims (11)

  1. 試料中の分析対象物と当該分析対象物に対して特異結合特性を有する特異結合物質との特異結合反応に由来する信号から、前記試料中の分析対象物を定量する特異結合分析方法であって、
    (a)あらかじめ分析対象物を含む種々の試料ごとに、
    少なくとも前記分析対象物と前記分析対象物に対して特異結合性を有する特異結合物質との特異結合反応に由来する信号強度の飽和値または変化と前記分析対象物の濃度との関係、
    前記信号強度の経時的変化、ならびに
    前記記飽和値が得られる時間tおよび前記信号強度の極大値が得られる時間tを含むデータベースを作成する工程、
    (b)分析対象物を含む試料を準備し、前記データベースに基づいて、前記試料に対応した前記信号強度の測定パターンを決定する工程、
    (c)前記分析対象物を特異結合物質と特異結合反応させる工程、
    (d)前記工程(c)の後、前記測定パターンに基づき、前記特異結合反応に基づく信号強度が飽和に至るまでの期間に、前記信号強度を少なくとも2回測定する工程、ならびに
    (e)前記工程(d)において得られた少なくとも2つの信号強度を用いて、前記データベースに基づき、前記試料中の分析対象物の量を特定する工程を含むことを特徴とする特異結合分析方法。
  2. 前記工程(b)における試料が、前記データベースから判断して前記極大値を有するものである場合、
    前記測定パターンが、少なくとも時間tおよびt(t≦t<t≦t)においてそれぞれ信号強度AおよびAを測定しかつ前記時間tにおいて信号強度Aを測定することからなり、
    前記工程(e)において、前記信号強度AおよびAの変化、および前記信号強度Aを用い、前記データベース中の前記関係に基づいて、前記試料中の分析対象物の量を決定することを特徴とする請求の範囲第1項記載の特異結合分析方法。
  3. 前記工程(b)における試料が、前記データベースから判断して前記極大値を有しないものである場合、
    前記測定パターンが、少なくとも時間tおよびt(t<t<t)において信号強度AおよびAを測定することからなり、
    前記工程(e)において、前記信号強度AおよびAの変化、および前記データベース中の前記関係に基づいて、前記試料中の分析対象物の量を決定することを特徴とする請求の範囲第1項記載の特異結合分析方法。
  4. 前記工程(c)において、前記分析対象物を標識材で標識された第1の特異結合物質と特異結合反応させ、さらに前記分析対象物を第2の特異結合物質に特異結合反応させることを特徴とする請求の範囲第1項記載の特異結合分析方法。
  5. 前記工程(b)の前に、前記試料を点着させる試料点着部、および第2の特異結合物質を実質的に固定化し特異結合反応に由来する信号を検出し得る検出部を含むストリップを作製する工程(X)を含み、
    前記工程(d)において、前記試料を前記試料点着部に点着し、毛細管現象により前記試料を前記検出部に流入させることによって、前記第1の特異結合物質と結合した分析対象物を前記第2の特異結合物質と特異結合反応させることを特徴とする請求の範囲第4項記載の特異結合分析方法。
  6. 前記工程(d)において、前記標識材を利用して前記信号強度を測定することを特徴とする請求の範囲第4項記載の特異結合分析方法。
  7. 前記工程(X)において、前記試料点着部と前記検出部との間に、標識材により標識された第1の特異結合物質を有する保持部を設けることを特徴とする請求の範囲第5項記載の特異結合分析方法。
  8. 前記工程(d)において、前記ストリップ上での前記試料の浸透方向に沿って連続的に前記検出部において前記信号強度を測定することを特徴とする請求の範囲第5項記載の特異結合分析方法。
  9. 前記工程(d)において、前記浸透方向の位置と前記信号強度の関係を示す検量線から、前記信号強度を決定することを特徴とする請求の範囲第8項記載の特異結合分析方法。
  10. 試料中の分析対象物と当該分析対象物に対して特異結合特性を有する特異結合物質との特異結合反応に由来する信号から、前記試料中の分析対象物を定量する特異結合分析装置であって、
    (1)想定される分析対象物を含む試料ごとに、
    少なくとも前記分析対象物と当該分析対象物に対して特異結合特性を有する特異結合物質との特異結合反応に由来する信号強度の飽和値または変化と前記分析対象物の濃度との関係、
    前記信号強度の経時的変化、ならびに
    前記特異結合反応開始後前記飽和値が得られる時間tおよび前記信号強度の極大値が得られる時間tを含むデータベースを含む記憶部、
    (2)分析対象物を含む試料を点着させる試料点着部、および特異結合物質を実質的に固定化し特異結合反応に由来する信号を検出し得る検出部を含むストリップ、
    (3)前記信号を検知する第1の検知器、
    (4)前記データベースに基づいて前記信号強度の測定パターンを決定し、前記測定パターンにしたがって前記検知器に前記信号を検知させ、前記信号の強度を決定する制御器、
    (5)前記信号強度を用いて、前記データベースに基づき、前記試料中の分析対象物の量を特定する解析部を含むことを特徴とする特異結合分析装置。
  11. さらに前記試料点着部への試料の点着を検知する第2の検知器を含むことを特徴とする請求の範囲第9項記載の特異結合分析装置。
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