JPWO2002042661A1 - 連結ロッド - Google Patents

Abstract

本発明は、エンジンを車体に搭載し支持する場合のトルク支持用の連結ロッドとして、ダイナミックダンパーとしての機能を持たせるための質量部材を、ロッド本体に対して外方への張り出しを抑えて容易に取着でき、チューニングも容易で、組立性および搭載性に優れたものを提供する。その手段として、ロッド本体（１）を、板面を対向させるようにして前記両筒体（２）（３）に接合して並設した２枚のロッド用プレート（１１）（１２）により構成し、この両プレート間に、前記質量部材（６）をゴム状弾性体（７）を介して挟み込む。前記両プレートの長手方向の略中央部を内部が略円形をなす保持部（１１ｃ）（１２ｃ）として形成し、前記質量部材（６）を圧入手段等によりゴム状弾性体を介して両プレート間に挟み込んで前記保持部内の略中央に位置させる。

Description

〔技術分野〕
本発明は、自動車に搭載されるエンジンもしくはそのユニットのロール方向の動きや振動を抑制するためのトルク支持用の連結ロッドに関するものである。
〔背景技術〕
乗用車等の自動車に搭載されるエンジンは、通常、トランスミッション等を含めたユニットに構成されて車体に組み込まれ、防振マウントにより支持される。この際、前記エンジンユニットのロール方向の動き又は振動を抑制するために、該ユニットの一部（主に下部）が車輌走行方向とは反対方向に延びるトルクロッドと称する連結ロッドにより車体に連結されている。
前記の連結ロッドは、図１０に例示するように、例えば金属製のパイプ材よりなるロッド本体１０１と、該ロッド本体１０１の両端に連設された二つの筒体１０２，１０３と、両筒体１０２，１０３内に装設された防振ブッシュ１０４，１０５とからなる。防振ブッシュ１０４，１０５は、内筒１４１，１５１と外筒１４２，１５２との間にゴム状弾性体１４３，１５３を介在させてなり、外筒１４２，１５２を前記筒体１０２，１０３に圧入することにより固着されている。
かかる連結ロッドにおいて、防振特性を改善する目的で、前記ロッド本体１０１にダイナミックダンパー２００が設けられており、このダンパー２００を構成する質量調整用の質量部材１０６がロッド本体１０１の一部に取着されている。
従来、前記質量部材１０６は、図１０のように、例えばロッド本体１０１に対して、該質量部材１０６と固定板１０６ａとにより該ロッド本体１０１を挟んでリベット止めすることにより取り付けられている。１０６ｂはリベット止め部分を示す。
しかし、取付位置を調整しながらのリベット止めによる取付けは、その作業に手数がかかり、固有振動数のチューニングも容易ではない。しかも、質量部材１０６がロッド本体１０１より外方へ大きく張り出した状態になるため、これがエンジンユニットを車体に連結して支持する場合に邪魔になることがあり、またエンジンルームに余分なスペースを確保する必要もある。
本発明は、上記のトルク支持用の連結ロッドとして、ダイナミックダンパーとしての機能を持たせるための質量調整用の質量部材を、ロッド本体に対して外方への張り出しを抑えて容易に取着でき、固有振動数のチューニングも容易で、組立性および搭載性に優れたものを提供する。
〔発明の開示〕
本発明は、ロッド本体と、その両端にそれぞれ連設されたブッシュ保持用の筒体と、両筒体の内部に装備された内筒付の防振ブッシュと、前記ロッド本体に付設された質量部材とからなる連結ロッドであって、前記ロッド本体は、板面を対向させるようにして両端部分が前記両筒体に結合されて並設された２枚のロッド用プレートよりなり、このロッド本体の長手方向任意位置の両プレート間に、前記質量部材がゴム状弾性体を介して挟み込まれて取着されてなることを特徴とする。
前記の連結ロッドによれば、ロッド本体をダイナミックダンパーとして機能させるための質量部材を、両プレート間への挟み込みにより、リベット止め等の面倒な作業を要さずに容易に取着でき、ロッド本体の質量の調整、固有振動数のチューニングも容易である。
しかも、前記質量部材は、両プレート間に挟まれて保持されていて、ロッド本体から大きく張り出すことがない。そのため、エンジンユニットを車体に連結して支持するトルクロッドとして使用する場合において、前記質量部材が邪魔にならず、またエンジンルームに余分なスペースを確保する必要もない。
前記の連結ロッドにおいて、前記両プレートの長手方向の略中央部が相対向して外方への湾曲状に膨出せしめられて、内部が略円形をなす保持部として形成され、前記質量部材が、ゴム状弾性体を介して両プレート間に挟み込まれて、前記保持部内の略中央に位置するように保持されてなるものが好ましい。
これにより、前記質量部材をロッド本体から大きく張り出させずに保持できる上、質量部材が、両プレートの膨出形成による保持部内の略中央にあって、連結ロッドの支持対象物の振動に対してゴム状弾性体のばね作用により共振することで、ダイナミックダンパーとして良好な振動吸収作用を果たすことができる。
前記の連結ロッドにおいて、前記質量部材が、その外方に配された外筒と、両者に加硫接着されたゴム状弾性体を介して接合されてなり、前記両プレートの膨出形成による保持部に対して前記外筒が圧入されて保持されてなるものが好適である。すなわち、前記質量部材を圧入手段により容易に確実に取着でき、しかも質量の調整やチューニングが一層容易になり、外方へ大きく張り出すこともない。
前記の連結ロッドにおいて、前記質量部材は、その外周に相対向位置で径方向に延出する板状のゴム状弾性体を加硫接着しておき、これら両ゴム状弾性体を前記両プレートの保持部に連続する平板状部により挟着して保持することもできる。
この場合も、前記質量部材を前記両プレートの膨出形成による保持部内の略中央に位置に容易にかつ確実に保持でき、また質量の調整やチューニングが容易になり、質量部材が外方へ大きく張り出すこともない。
前記の連結ロッドにおいて、前記板状のゴム状弾性体に一部が埋設された係止片を有し、該係止片が前記両プレートの少なくとも一方にかしめ手段により係合されてなるものとすることができる。この場合、両プレートに挟み込まれたゴム状弾性体が、これに埋設されている係止片により少なくとも一方のプレートに係合されて、振動による外れ等のおそれがなく、所定の挟着位置に安定性よく保持される。
前記の各発明の連結ロッドにおいて、前記両プレートの両端部分を、それぞれブッシュ保持用の両筒体の外周に沿うように屈曲形成し、この両端部分を前記筒体外周に対接させて溶接手段により接合固定するのが好ましい。
これにより、２枚のロッド用プレートをブッシュ保持用の筒体に対し容易に精度よく確実に接合でき、前記質量部材の挟み込みによる保持を確実にする。
〔発明を実施するための最良の形態〕
以下に、発明の連結ロッドの好適な実施例を図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図１〜図３は、本発明の連結ロッドの第１実施例を示している。
図において、１は所要長さの金属材よりなるロッド本体を、２，３はロッド本体１の両端にそれぞれ連設されたブッシュ保持用の筒体を、４，５は両筒体２，３の内部にそれぞれ装設した内筒付の防振ブッシュを示し、６は前記ロッド本体１に付設された質量部材を示す。
前記防振ブッシュ４，５は、いずれも軸部材（図示せず）に対する取付部材となる内筒４１，５１と外筒４２，５２との間にゴム状弾性体４３，５３を介在させてなり、前記筒体２，３に対して外筒４２，５２が圧入されて固着されている。図の場合、径大側の防振ブッシュ５は、ゴム状弾性体５３に軸方向に貫通した空洞５４が設けられている。防振ブッシュは、前記の外筒４２，５２を省略して、筒体２，３内に装設するることもできる。
前記ロッド本体１は、２枚のロッド用プレート１１，１２よりなる。両プレート１１，１２は、それぞれ両端が前記両筒体２，３の外周に溶接手段により接合されて両筒体２，３間で板面を対向させるように並設されている。図のように、前記両プレート１１，１２の両端部分１１ａ，１２ａを、両筒体２，３の外周に沿うように屈曲形成しておいて、この両端部分１１ａ，１２ａを両筒体２，３の外周に対接させて溶接すると、容易に精度よく接合固定できる。１１ｂ，１２ｂは溶接部を示す。
そして、前記質量部材６は、前記ロッド本体１の長手方向の略中央部において前記両プレート１１，１２間にゴム状弾性体７を介して挟み込まれて取着されている。好ましくは、前記両プレート１１，１２の長手方向の略中央部が相対向して外方への湾曲状に膨出せしめられて、内部が略円形の空間をなす保持部１１ｃ，１２ｃとして形成され、丸棒状をなす質量部材６がゴム状弾性体７を介して前記保持部１１ｃ，１２ｃ内の略中央に位置するように保持されている。なお、前記質量部材６は、その長さが、前記両プレート１１，１２の幅寸法より短かいものが好ましい。
特に、第１実施例の場合、前記の質量部材６は、これと同一軸心で外方を囲むように配された外筒８と、これら両者に加硫接着されたゴム状弾性体７を介して接合されてなり、前記両プレート１１，１２の膨出形成による保持部１１ｃ，１２ｃに対し前記外筒８が圧入されて保持されている。前記ゴム状弾性体７は、前記質量部材６を挟んで外周に相対向して設けられている。
この圧入手段によれば、前記両プレート１１，１２を筒体２，３に接合してロッド本体１を形成した状態において、前記質量部材６を外筒８の圧入手段により取着でき、組立作業が容易で、質量の調整やチューニングを容易に行うことができる。また、質量部材６を必要としない場合は、前記外筒８に相当する筒体を、前記保持部１１ｃ，１２ｃ内に圧入して、ロッド本体１の補強を図ることもできる。
図４および図５は、本発明の連結ロッドの第２実施例を示している。
この第２実施例において、第１実施例と共通する構成部材及び構成部位については同符合を付している。
この第２実施例においては、前記質量部材６の外周に相対向位置で径方向に延出する板状のゴム状弾性体７ａ，７ａを加硫接着しておき、これら両ゴム状弾性体７ａ，７ａを、前記両プレート１１，１２の保持部１１ｃ，１２ｃに連続する平板状部１１ｄ，１２ｄにより挟着することにより、前記質量部材６を前記両プレート１１，１２の保持部１１ｃ，１２ｃ内の略中央に位置させるように保持している。前記ゴム状弾性体７ａ，７ａは、両プレート１１，１２の保持部１１ｃ，１２ｃから平板状部１１ｄ，１２ｄに至る形状に対応するように端部でやや薄く形成されており、前記質量部材６を保持部１１ｃ，１２ｃ内の略中央に正確に位置させることができるようになっている。この実施例の質量部材６も、その長さは前記両プレート１１，１２の幅寸法より短かいものが好ましい。
前記の質量部材６の取着構造において、ゴム状弾性体７ａ，７ａを２枚のプレート１１，１２により挟着するには、両プレート１１，１２のうちの一方のプレートを筒体２，３に溶接しておき、前記質量部材６にゴム状弾性体７ａ，７ａを加硫接着した質量部材取付体６０を所定の位置に挟み込むようにして、他方のプレートを筒体２，３に溶接すればよい。
この実施例においても、前記質量部材６を両プレート１１，１２の保持部１１ｃ，１２ｃ内の略中央に容易にかつ正確に位置させて保持することができる。
図６〜図９は、前記第２実施例を改良した本発明の第３実施例を示しており、上記の第２実施例と共通する構成部材及び構成部位については同符合を付している。
この実施例の連結ロッドの場合、前記板状のゴム状弾性体７ａ，７ａに一部が埋設された係止片９，９を有し、該係止片９，９が前記両プレート１１，１２の少なくとも一方（図の場合は双方）に対してかしめ手段により係合されている。
すなわち、質量部材６に相対向して径方向に延出する板状のゴム状弾性体７ａ，７ａを加硫接着してなる質量部材取付体６０を成形する際、図８及び図９のように前記係止片９，９を一部埋設して取着しておく。そして、第２実施例の場合と同様にして、両側のゴム状弾性体７ａ，７ａを、前記両プレート１１，１２の保持部１１ｃ，１２ｃに連続する平板状部１１ｄ，１２ｄにより挟み込んだ後、前記係止片９，９の突出端部をかしめて、図７のように、一方又は双方のプレート１１，１２に対し係合させる。
これにより、両プレート１１，１２に挟み込まれたゴム状弾性体７ａ，７ａが、外れ等のおそれなく所定の挟着位置に安定性よく保持されることになる。
上記した各実施例の連結ロッドは、主としてトランスミッション等を含むエンジンユニットを車体に組み込んで防振マウントにより支持する場合に、エンジンユニットのロール方向の動き又は振動を抑制するために、該ユニットの一部を車体に連結するトルクロッドとして使用する。
この使用において、前記質量部材６が連結ロッドによる支持対象物の振動に対してゴム状弾性体７又は７ａ，７ａのばね作用により共振することで、ダイナミックダンパーとして良好な振動吸収作用を果たすことができる。
また、質量を調整するための前記質量部材６は、両プレート１１，１２間に、特に略円形の保持部１１ｃ，１２ｃ内の略中央に挟まれて保持されていて、ロッド本体１から大きく張り出すことがないため、前記質量部材が邪魔にならず、またエンジンルームに余分なスペースを確保する必要もなく、搭載性及び組立性を向上できる。
〔産業上の実施可能性〕
本発明の連結ロッドによれば、ダイナミックダンパーとしての機能を持たせるための質量部材を、ロッド本体に対して容易に取付けできて、コンパクトに付設でき、組立性および搭載性に優れ、自動車用エンジンを車体に搭載し支持する場合のトルク支持用のトルクロッドとして特に好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
図１は、本発明の連結ロッドの第１実施例を示す平面図である。
図２は、同上の連結ロッドの一部を欠截した正面図である。
図３は、同上の連結ロッドの図１のＸ１−Ｘ１線の断面図である。
図４は、本発明の連結ロッドの第２実施例を示す平面図である。
図５は、前図のＸ２−Ｘ２線の断面図である。
図６は、本発明の連結ロッドの第３実施例を示す平面図である。
図７は、前図のＸ３−Ｘ３線の断面図である。
図８は、同上の質量部材取付体の平面図である。
図９は、同上の質量部材取付体の正面図である。
図１０は、従来の連結ロッドの平面図である。

Claims (6)

1. ロッド本体と、その両端にそれぞれ連設されたブッシュ保持用の筒体と、両筒体の内部に装備された内筒付の防振ブッシュと、前記ロッド本体に付設された質量部材とからなる連結ロッドであって、
   前記ロッド本体は、板面を対向させるようにして両端部分が前記両筒体に結合されて並設された２枚のロッド用プレートよりなり、このロッド本体の長手方向任意位置の両プレート間に、前記質量部材がゴム状弾性体を介して挟み込まれて取着されてなることを特徴とする連結ロッド。
2. 前記両プレートの長手方向の略中央部が相対向して外方への湾曲状に膨出せしめられて、内部が略円形をなす保持部として形成され、前記質量部材が、ゴム状弾性体を介して両プレート間に挟み込まれて、前記保持部内の略中央に位置するように保持されてなる請求項１に記載の連結ロッド。
3. 前記質量部材は、その外方に配された外筒と、両者に加硫接着されたゴム状弾性体を介して接合されてなり、前記両プレートの膨出形成による保持部に対して前記外筒が圧入されて保持されてなる請求項２に記載の連結ロッド。
4. 前記質量部材は、その外周に相対向位置で径方向に延出する板状のゴム状弾性体が加硫接着されてなり、両弾性体が前記両プレートの保持部に連続する平板状部により挟着されて保持されてなる請求項２に記載の連結ロッド。
5. 前記板状のゴム状弾性体に一部が埋設された係止片を有し、該係止片が前記両プレートの少なくとも一方にかしめ手段により係合されてなる請求項４に記載の連結ロッド。
6. 前記両プレートの両端部分を、それぞれブッシュ保持用の両筒体の外周に沿うように屈曲形成し、この両端部分を前記筒体外周に対接させて溶接手段により接合固定してなる請求項１〜５のいずれか１項に記載の連結ロッド。

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