JPWO2002024333A1 - 光触媒性部材およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

少量の光触媒量または微弱な光であっても、優れた親水性を発現し、それにより防曇性および防汚性を得ることができる部材およびその製造方法が開示されている。この部材は、基材と、該基材の表面に形成される、酸化チタン以外の光触媒性材料を含んでなる中間層と、該中間層の表面に接合される、光触媒性酸化チタンを含んでなる表面層とを備えてなり、前記酸化チタン以外の光触媒性材料が、pH7における対標準水素電極電位に換算して0Vよりも正側に高い、伝導帯の下端のポテンシャルと、pH7における対標準水素電極電位に換算して+2.7Vよりも正側に高い、価電子帯の上端のポテンシャルとを有するものである。

Description

[発明の背景]
発明の分野
本発明は、表面が親水性を有する光触媒性部材に関し、より具体的には、レンズ、板ガラス、建築外装材、内装材建物等の部材およびその製造方法に関する。
背景技術
WO96/29375号公報には、基材表面に形成された光触媒含有層表面が、光触媒の光励起に応じて、高度の親水性(例えば、水との接触角に換算して10°以下)を呈することを開示している。この性質を利用して、ガラス、レンズ、鏡等の透明部材の防曇・視界確保性向上、物品表面の水洗浄性・降雨洗浄性向上等を図ることが出来るとされている。
そして、光触媒により誘起される親水性をより効率よく発現させることが望まれている。
一方で、酸化チタンと酸化タングステンとの組み合わせを開示する先行技術としては、次のようなものが知られている。
特開平1−238867号公報は、酸化チタンと酸化タングステンの混合金属酸化物と被酸化性化合物および酸素を含む気体の共存下で、前記混合金属酸化物に波長が300nm以上で最大波長が370nm以下の光を照射する光触媒による脱臭方法を開示している。
特開平10−114545号公報は、基材表面に光触媒性酸化チタンと、酸化タングステンを含有する表面層が形成されてなる親水性部材を開示している。
WO97/23572号公報は、基材と、前記基材の表面に形成された光触媒を含む層と、前記光触媒の光励起に応じて前記層の表面に物理吸着された水分子の層からなる親水性部材であって、TiO/WOを光触媒含有層表面に担持させ得ることを開示している。
特開平10−57817号公報は、基材表面に光触媒層を有する光触媒構造体において、光触媒層表面の少なくとも一部に、0.2〜100nmの膜厚の金属化合物の薄膜を有する、光触媒構造体を開示している。
[発明の概要]
本発明者らは、今般、光触媒性酸化チタンの層と、酸化タングステンを始めとする酸化チタン以外の光触媒性材料の層との組み合わせにより、少量の光触媒量または微弱な紫外線量であっても、効率よく光触媒により親水性を誘起できるとの知見を得た。
したがって、本発明は、少量の光触媒酸化チタンであっても、太陽光または室内照明レベルの微弱な光であっても、優れた親水性を発現し、それにより防曇性および防汚性を得ることができる部材およびその製造方法の提供をその目的としている。
そして、本発明の部材は、基材と、
該基材の表面に形成される、酸化チタン以外の光触媒性材料を含んでなる中間層と、
該中間層の表面に接合される、光触媒性酸化チタンを含んでなる表面層とを備えてなり、
前記酸化チタン以外の光触媒性材料が、pH7における対標準水素電極電位に換算して0Vよりも正側に高い、伝導帯の下端のポテンシャルと、pH7における対標準水素電極電位に換算して+2.7Vよりも正側に高い、価電子帯の上端のポテンシャルとを有するものである。
[発明の具体的説明]
光触媒性部材
本発明の部材は、基材と、該基材の表面に形成される中間層と、該中間層の表面に接合される表面層とを備えてなる。ここで、「接合」とは、中間層と表面層との間で電荷移動が起こり、電荷分離効率の向上に寄与するように、中間層に含まれる酸化チタン以外の光触媒性材料と、表面層に含まれる酸化チタンが物理的接触を持って直接接している部分を保有している状態をいう。中間層は酸化チタン以外の光触媒性材料(以下、補助光触媒という)を含んでなり、この補助光触媒が、pH7における対標準水素電極電位に換算して0Vよりも正側に高い、伝導帯の下端のポテンシャルと、pH7における対標準水素電極電位に換算して+2.7Vよりも正側に高い、価電子帯の上端のポテンシャルとを有するものとする。そして、表面層は光触媒性酸化チタンを含んでなる。このような2層構成の薄膜は、親水化の効率に優れる。その結果、少量の光触媒酸化チタンまたは微弱な紫外線量であっても、効率よく光触媒により親水性が誘起できるとの優れた利点を有する。具体的には、10μW/cm以下の紫外線量であっても効率よく親水化する。また、本発明の2層構成の薄膜は、親水性のみならず、酸化分解性能を向上できるという利点も有する。さらに、光触媒である酸化チタン量を減らすことができることから、表面層に虹彩色や白濁を生じること無く、高い透明度を実現することができる。
このような高効率の親水化が得られる理由は定かではないが、次のように予想される。但し、以下の理論はあくまで予想であって、本発明はこの理論に限定されるものではない。酸化チタンと上記補助光触媒とが互いに接合されていると、光が照射された際に、この接合部分で電荷移動が起こり、電荷分離効率が向上する。したがって、中間層と表面層との接合部分において、正孔が効率よく生成して表面層に移動すると同時に、電子が中間層に移動する。表面層に含まれる酸化チタンは正孔を多く含むほど、空気中の水分を取り込んで多くの水酸基を形成する。それにより、優れた親水性が発現される。より具体的には、次の通りである。
本発明に用いる補助光触媒は、pH7における対標準水素電極電位に換算して0Vよりも正側に高い、伝導帯の下端のポテンシャルと、pH7における対標準水素電極電位に換算して+2.7Vよりも正側に高い、価電子帯の上端のポテンシャルとを有する。この場合、補助光触媒は、伝導帯の下端および価電子帯の上端が酸化チタンよりも正側にある。そして、このような両材料を接合させると、光励起によって伝導帯に生じた電子、および価電子帯に生じた正孔はギブスの自由エネルギーが減少する方向であれば、異種の光触媒間を移動することが可能となり、電荷分離が促進されるのではないかと考えられる。
この点、さらに図面を用いて詳細に説明する。図1は、酸化チタンと補助光触媒のエネルギー構造を示すものである。ここで、酸化チタンと補助光触媒の双方を励起する光を照射した場合、酸化チタンの伝導帯に生じた電子は補助光触媒の伝導帯に移行し、補助光触媒の伝導帯に生じた正孔は酸化チタンの価電子帯に移動することができる。酸化チタン側に移動した正孔は酸化チタン自身の格子酸素と反応して水との親和性の高い酸素欠陥を生成し、親水化する。すなわち、補助光触媒において生成した正孔が酸化チタンの表面における親水化に有効に作用し、それを助けるものと考えられる。その一方、補助光触媒に移動した電子は、層端部の側面から吸着酸素にトラップされると考えられる。
本発明者らの行った実験によれば、本発明とは逆に、酸化チタンを含んでなる層の上を酸化タングステンを含む薄膜層により完全に覆った場合、微弱紫外線下における親水性の発現効率が極めて低下することが確認されている。このことは、上記仮定(すなわち表面層における正孔の効率の良い生成が親水性の発現に重要であること)の正当性を支持するものであると言える。
この補助光触媒に移動する電子は、基材を電気伝導性を有する導電性基材とすることにより効率よく移動させることができる。図2は、基材が導電性基材である場合における、酸化チタンと補助光触媒と導電性基材のエネルギー構造を示すものである。この場合、補助光触媒に移動した電子は、導電性基材にまでさらに移動する。導電性基材に移動した電子は、酸化チタン以外の光触媒性材料の中に存在する場合よりも移動度が高く、容易に吸着酸素にトラップされるため、電荷分離効率が向上する。その結果、光触媒反応が促進される。さらに、導電性基材を接地すれば、導電性基材に移動した電子は直ちにグランドに流れるため、著しく光触媒反応が促進される。
(a)基材
本発明において用いられる基材は、金属、無機材料、有機材料およびそれらの複合材であることができる。その具体例としては、タイル、衛生陶器、食器、ケイ酸カルシウム板、セメント押し出し成形板、セラミック基板、半導体等のニューセラミックス、碍子、ガラス、鏡、木材、樹脂などが挙げられる。また、部材の用途として表したときの基材の例としては、建物外装材、建物内装材、窓枠、窓ガラス、構造部材、乗物の外装、物品の外装、防塵カバー、交通標識、各種表示装置、広告塔、道路用防音壁、鉄道用防音壁、橋梁、ガードレール、トンネル内装及び塗装、太陽電池カバー、太陽熱温水器集熱カバー、ビニールハウス、車両用照明灯のカバー、住宅設備、便器、浴槽、洗面台、照明器具、照明カバー、台所用品、食器洗浄器、食器乾燥器、流し、調理レンジ、キッチンフード、換気扇、保護フィルムなどが挙げられる。
本発明の好ましい態様によれば、基材が電気伝導性を有する導電性基材であるのが好ましい。導電性基材の好ましい例としては、導電性物質として、銅、鉄、白金、金、銀、亜鉛、ニッケル、パラジウム、タングステン、鉛、コバルト、アルミニウム、シリコン、カーボンなどの金属を含む基材が挙げられる。また、導電性基材の他の好ましい例としては、導電性物質として、金属およびフッ素をドープした酸化インジウム、金属およびフッ素をドープした酸化スズ、酸素欠陥を有する酸化スズ、および酸素欠陥を有する酸化亜鉛などを含んでなる基材が挙げられる。本発明の好ましい態様によれば、このような導電性物質は上述した基材の表面に被覆されてなるのが好ましい。
(b)中間層
本発明において中間層は、酸化チタン以外の光触媒性材料を補助光触媒としてを含んでなる。そして、この補助光触媒は、pH7における対標準水素電極電位に換算して0Vよりも正側に高い、伝導帯の下端のポテンシャルと、pH7における対標準水素電極電位に換算して+2.7Vよりも正側に高い、価電子帯の上端のポテンシャルとを有するものである。このような補助光触媒の好ましい例としては、酸化タングステン、酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化バナジウム、酸化モリブデン等が挙げられ、より好ましくは酸化タングステンである。
本発明の好ましい態様によれば、補助光触媒が、結晶質もしくは非晶質の酸化タングステン、またはタングステン酸塩であるのが好ましく、より好ましくは結晶質の酸化タングステンである。酸化タングステンのバンドギャップは、結晶化したもので2.8eV、非晶質のもので3.1eVであり、タングステン酸のバンドギャップは3.1eVである。このように酸化タングステンおよびタングステン酸のいずれも、酸化チタンのバンドギャップ3.2eVよりも狭い。前記バンドギャップを吸収可能な光の波長に換算すると、結晶質の酸化タングステンは430nm以下、非晶質の酸化タングステンおよびタングステン酸は400nm以下の光を吸収することができる。このことは、酸化チタンの吸収可能な波長である380nmよりも、長波長側の可視光を吸収することができることを意味する。したがって、このような補助光触媒を使用することにより、親水化反応に使用できる光エネルギーを可視光領域まで拡大することができる。よって、本発明において用いる補助光触媒は、波長400nm以上の可視光によって励起可能なものであるのが好ましい。
この点についてより詳細に説明する。波長400nm以上の可視光は、酸化チタンを励起することはできないが、酸化タングステンを励起することができる。このため、酸化タングステンにより生じた正孔が酸化チタン側に移行する。電子−正孔対が分離されたことにより、電子と正孔が再結合する確率が非常に低くなり、酸化チタン粒子の表面における親水化が促進されると考えられる。
本発明の好ましい態様によれば、中間層の厚さが5〜300nmであるのが好ましく、より好ましくは10〜300nmであり、さらに好ましくは10〜100nm。このような膜厚であると、光触媒性部材がより透明性に優れ、かつ干渉色を生じなくすることができる。したがって、本発明における中間層は、実質的に透明であり、かつ干渉色を有しないのが好ましい。
(c)表面層
本発明において表面層は、光触媒性酸化チタンを含んでなる。光触媒性酸化チタンの好ましい結晶構造としては、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型が挙げられる。
本発明の好ましい態様によれば、表面層の厚さが10〜700nmであるのが好ましく、より好ましくは10〜300nmである。このような膜厚であると、表面層の直下に存在する中間層で励起した正孔が、表面層の最表面に到達しやすくなるので、酸化チタンの表面を高度に親水化することができる。また、光触媒性部材がより透明性に優れ、かつ干渉色を生じなくすることができる。また、本発明の好ましい態様によれば、表面層が実質的に透明であり、かつ干渉色を有しないのが好ましい。
本発明の好ましい態様によれば、表面層が酸化チタンよりも化学吸着水を多く吸着し得る親水性金属酸化物をさらに含んでなるのが好ましく、より好ましくは親水性金属酸化物の少なくとも一部が、表面層の表面に露出してなる。これにより、暗所における親水性を向上し、その親水性を長時間維持することができる。親水性金属酸化物の好ましい例としては、シロキサン結合、ボロシロキサン結合、アルミノシリケート結合などの結合を有する化合物が挙げられ、より具体的には、シリカ、シリコーン、アルキルシリケート、アルカリシリケート、アクリルシリコーンなどが挙げられる。
本発明の好ましい態様によれば、表面層が、前記光触媒性酸化チタンを下層として、前記親水性金属酸化物を上層として含んでなる。この親水性金属酸化物の層の厚さは1〜100nmであるのが好ましい。
(d)光照射
本発明の好ましい態様によれば、本発明の部材表面は、紫外線照度に換算して10μW/cm以下、より好ましくは3μW/cm以下、さらに好ましくは1μW/cm未満の光照射による励起に応じ、その表面が水接触角に換算して10度以下、より好ましくは5度以下、さらに好ましくは3度以下の親水性を呈する。紫外線照度に換算して10μW/cm程度の微弱な蛍光灯を照射した場合でも、表面が水接触角に換算して5度以下まで高度に親水化することが可能であることは極めて有利である。すなわち、室内は一般的に紫外線量が少ない。このような環境にあっても、高度の親水性を実現できる結果、室内において防曇、防滴、自己浄化の効果が期待できる。
また、本発明の好ましい態様によれば、照射される光は、酸化チタンおよび補助光触媒の双方を光励起できる波長の光であることが好ましい。具体的には、補助光触媒が酸化タングステンである場合、酸化チタンおよび酸化タングステンを励起させるためには、300〜450nmの範囲の光が好適に使用できる。一般に、屋外からの太陽光が遮断されている場合、蛍光灯や白熱電球等から室内壁に設置されている物品に対して照射される光は、波長300〜450nmの領域の積算照度が0.1〜10μW/cmと見積もられる。この点においても本発明による部材は室内での利用に有利である。
また、本発明の部材に対して光強度の強い光によって光励起させた場合においても、防曇、防汚、セルフクリーニング効果が得られるのは言うまでもない。光強度の強い光の例としては、水銀ランプ、キセノンランプ、水銀−キセノンランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ等からの光照射や、窓から入射する太陽光および太陽光の散乱光などが挙げられる。
部材の用途
本発明の部材の表面は高度に親水化する。その結果、付着した水は水滴とならず、薄い水膜として広がる。その結果、本発明による部材は、曇らない、すなわち防曇部材としての用途を有する。
さらに、高度な親水性によって、基材表面に付着した汚れ成分は水を流すことによって容易に除くことができる。よって、本発明による部材は汚れにくい部材となる。さらに、例えば、本発明による部材を野外に設置した場合、付着した汚れは降雨等により容易に洗い流される。すなわち、自己浄化(セルフクリーニング)するという有利な性質を有するに至る。
また、本発明による部材の表面層は実質的に透明で干渉色が無いため、建築外装材や内装材その他の屋内用部材のいかなる物品としてもその意匠性を損ねることがない点でも有利である。
製造方法
本発明による部材の製造方法を以下に説明する。
本発明の製造方法は、
(a)基材表面に、酸化チタン以外の光触媒性材料の出発原料を含有する溶液を塗布し、該基板表面を加熱または乾燥して中間層を形成する工程と、
(b)該中間層の上に結晶性酸化チタンを含有する層を形成する工程と
を少なくとも含んでなる。
本発明の製造方法に用いる、酸化チタン以外の光触媒性材料の出発原料を含有する溶液の例としては、酸化チタン以外の光触媒を構成する金属元素を含有する金属塩、コロイド、アルコキシド、キレート化合物、アセテート化合物からなる群より選択される少なくとも1種類を含むコーティング液が挙げられる。本発明の好ましい態様によれば、酸化チタン以外の光触媒性材料が、結晶性または非晶質の酸化タングステンである。この場合、酸化タングステンの出発原料を含有する溶液の好ましい例としては、タングステン酸アンモニウム、タングステン酸、酸化タングステン粒子を懸濁したゾル、ペンタエトキシタングステン、ペンタメトキシタングステン、ペンタプロポキシタングステン、ペンタブトキシタングステン、タングステンキレート、アセテートタングステン、硫酸タングステン、塩化タングステン、水酸化タングステンからなる群より選択される少なくとも1種類のタングステン化合物を含むコーティング液が挙げられ、より好ましくは、タングステン酸水溶液、タングステン酸アンモニウム水溶液、タングステン元素を含む金属アルコキシド溶液、および酸化タングステンを懸濁させたゾルなどが挙げられる。
本発明の製造方法における出発原料含有溶液の塗布方法としては、スピンコーティング、フローコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティング、ロールコーティング等が好適に使用できる。例えば、コーティング方法としてディップコーティング法を選択した場合、基材の引き上げ速度や原料溶液の濃度によって膜厚の制御が可能である。また、前記の湿式合成法以外にも、スパッタリング法、CVD法、プラズマCVD法、イオンプレーティング法、MBE法等を用いてもよい。
本発明の好ましい態様によれば、酸化チタン以外の光触媒性材料が酸化タングステンである場合、中間層を形成する際の加熱温度が20〜800℃であるのが好ましい。20℃程度で生成するアモルファス形態の酸化タングステンであっても電荷分離が生じる。また、800℃以下であれば酸化タングステンの異常な粒成長が生じないので、酸化チタンと酸化タングステンとの界面における接合面積を十分に確保することができる。さらに好ましい加熱温度は300〜500℃である。このような温度であると、酸化タングステンが結晶性を有するようになり、電荷分離を一層促進することができる。
本発明の製造方法における、結晶性酸化チタンを含有する層の形成方法の例としては、酸化チタンの出発原料を含有する溶液を基材に塗布後、この塗布膜を乾燥または加熱することが挙げられる。この場合における加熱温度は500℃よりも低いのが好ましい。中間層を形成する酸化タングステンとの固溶体が形成されずに、中間層と表面層とが接合されるからである。この場合、酸化チタンの出発原料を含有する溶液の好ましい例としては、無定型チタニアゾル、結晶質のチタニアゾル、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラn−プロポキシチタン、テトラブトキシチタン、チタンキレート、アセチルアセトンチタン、四塩化チタン、硫酸チタン、水酸化チタンからなる群から選択される少なくとも1種類を含むコーティング液が挙げられる。なお、結晶質のチタニアゾルを用いる場合、その平均粒径は1〜200nm程度であるのが好ましい。
本発明の好ましい態様によれば、酸化チタンの出発原料を含有する溶液に、シロキサン結合を有する化合物を添加することができる。この場合、シロキサン結合を有する化合物の表面に水との親和性の高いシラノール基が存在することにより、酸化チタンとの複合効果として、暗所における親水性を維持させる機能を付与もしくは向上させることができる。シロキサン結合を有する化合物の好ましい例としては、シリカ、シリコーン、アルキルシリケート、アルカリシリケート、アクリルシリコーン等が挙げられる。
本発明の部材の好ましい実施態様および製造方法を、さらに具体的に説明する。
第一の態様による部材
本発明の第一の態様による部材10は、図3に示されるように、導電性基材12上と、その上に形成される補助光触媒の層14と、その上にさらに形成される酸化チタンの層16とを含んでなる。
この第一の態様による部材10は、次のようにして製造することができる。まず、酸化チタン以外の光触媒を構成する金属元素を含有する出発原料を導電性基材12に塗布する。その後、塗布膜を乾燥または加熱して層14を得る。得られた層上に、酸化チタンの出発原料を含むコーティング液を塗布する。その後、塗布膜を乾燥または加熱して層16を得る。
第二の態様による部材
本発明の第二の態様による部材20は、図4に示されるように、導電性基材22と、その上に形成される補助光触媒の層24と、その上にさらに形成される酸化チタンおよび親水性金属酸化物からなる混合層26とを含んでなる。ここで、親水性金属酸化物は、酸化チタンよりも化学吸着水を多く吸着し得る金属酸化物である。
この第二の態様による部材20は、次のようにして製造することができる。まず、酸化チタン以外の光触媒を構成する金属元素を含有する出発原料を導電性基材22に塗布する。その後、塗布膜を乾燥または加熱して層24を得る。得られた層上に酸化チタンの出発原料と親水性金属酸化物の出発原料を含むコーティング液を塗布する。その後、塗布膜を乾燥または加熱して混合層26を得る。
第三の態様による部材
本発明の第三の態様による部材30は、図5に示されるように、導電性基材32と、その上に形成される補助光触媒の層34と、その上にさらに形成される酸化チタンの層36、その上に形成される親水性金属酸化物の層38とを含んでなる。ここで、親水性金属酸化物は、酸化チタンよりも化学吸着水を多く吸着し得る金属酸化物である。
この第三の態様による部材30は、次のようにして製造することができる。まず、酸化チタン以外の光触媒を構成する金属元素を含有する出発原料を導電性基材32に塗布する。その後、塗布膜を乾燥または加熱して層34を得る。得られた層の上に酸化チタンの出発原料を含むコーティング液を塗布する。その後、塗布膜を乾燥または加熱して層36を得る。得られた層の上に親水性金属酸化物の出発原料を含むコーティング液を塗布する。その後、塗布膜を乾燥または加熱して層38を得る。
[実 施 例]
本発明を以下の実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例A1
タングステン酸を25%のアンモニア水に溶解して固形分濃度が5%の水溶液を得た。この水溶液をスピンコート法によりシリカコートガラス基材上に塗布した。スピンコートは毎分1500回の回転速度で10秒間で行った。その後、塗布膜を電気炉中で500℃、30分間焼成して、結晶性の酸化タングステン薄膜を得た。
この薄膜の上にさらに、固形分濃度が10%の酸化チタンコート剤(日本曹達、NDH510C)をディップコート法により塗布した。ディップコートは30cm/minの引き上げ速度で行った。その後、この塗布膜を500℃で30分間焼成して試料#A1を得た。
また、比較のため、酸化タングステン薄膜を作製しなかったこと以外は試料#A1と同様にして、試料#A2を得た。
走査型電子顕微鏡によって試料の破断面を観察することにより膜厚を測定した。その結果、
試料#A1:酸化タングステンの膜厚が60nm、酸化チタンの膜厚が75nm、
試料#A2:酸化チタンの膜厚が75nm
であった。
得られた薄膜の結晶性を薄膜XRD(理学電機、RINT2100)で評価した。その結果、酸化タングステンは三斜相、酸化チタンは正方晶のアナターゼ型の構造であることを確認した。
得られた薄膜を暗所に3週間保管して、その表面の水接触角を安定にした。その後、薄膜に白色蛍光灯の照射を行い、表面の水接触角の変化を測定した。白色蛍光灯は、10W(東芝ライテック、FL10N)を用いた。薄膜表面における紫外線照度を、紫外線照度計(ウシオ電機、UVR−2)により測定し、薄膜と蛍光灯の距離を変えることで、10μW/cmとなるようにした。薄膜に水滴をマイクロシリンジから滴下して、水接触角を接触角測定器(協和界面科学、CA−X150)により測定した。その結果は図6に示される通りであった。試料#A2は全く親水化しなかったのに対し、試料#A1は水接触角に換算して5°以下まで高度に親水化した。
実施例A2
タングステン酸を25%のアンモニア水に溶解して固形分濃度が5%の水溶液を得た。この水溶液をスピンコート法によりシリカコートガラス基材上に塗布した。スピンコートは毎分1500回の回転速度で10秒間行った。その後、塗布膜を電気炉中で500℃、30分間焼成して結晶性の酸化タングステン薄膜を得た。
この薄膜の上にさらに、固形分濃度が10%の酸化チタンコート剤(日本曹達、NDH510C)をディップコート法により塗布した。ディップコートは30cm/minの引き上げ速度で行った。その後、この塗布膜を500℃で30分間焼成した。この酸化チタンの成膜工程を3回繰返して試料#A3を得た。
また、比較のため、酸化タングステン薄膜を作製しなかったこと以外は試料#A3と同様にして、試料#A4を得た。
走査型電子顕微鏡によって試料の破断面を観察することにより膜厚を測定した。その結果、
試料#A3:酸化タングステンの膜厚が60nm、酸化チタンの膜厚が300nmであった。
試料#A4:酸化チタンの膜厚が300nm
であった。
また、得られた薄膜の結晶性を薄膜XRD(理学電機、RINT2100)で評価した。その結果、酸化タングステンは三斜相、酸化チタンは正方晶のアナターゼ型の構造であることを確認した。
得られた薄膜の水接触角を実施例A1と同様に測定した。その結果は図7に示される通りであった。試料#A4は水接触角に換算して10°までしか親水化しなかったのに対し、試料#A3は水接触角に換算して5°以下まで高度に親水化した。
実施例A3
実施例A1で得た試料#A1および#A2の光触媒による酸化力を、メチレンブルーの分解作用を用いて以下の通り評価した。試料#A1および#A2を1.0×10−3mol/Lの濃度のメチレンブルー水溶液中に1時間浸漬させてメチレンブルーを吸着させた。薄膜をゆっくりと取り出し、立て掛けた状態でデシケータに入れた。その後、暗所にて24時間乾燥させた。基材の裏面に付着したメチレンブルーを湿らせた布で拭き取った。
得られた薄膜に10Wのブラックライト(東芝ライテック、FL10BLB)により紫外線を照射して、メチレンブルーの吸光度の変化を分光光度計(島津製作所、UV−1200)によって測定した。吸光度はメチレンブルーの吸収波長である580nmの値を測定した。また、薄膜とブラックライトの距離を変えることで、薄膜表面における紫外線照度が紫外線照度計(ウシオ電機、UVR−2)で1mW/cmになるようにした。その結果は、図8に示される通りであった。吸光度変化の傾きが大きいほど酸化分解力が大きいことから、試料#A1の方が、試料#A2よりも酸化分解力が優れていることが分かる。
実施例A4
実施例A2で得た試料#A3および#A4の光触媒による酸化力を、メチレンブルーの分解作用を用いて、実施例A3と同様にして評価した。その結果は図9に示される通りであった。試料#A3の方が、試料#A4よりも酸化分解力が著しく優れていることが分かる。
実施例A5
実施例A1で得た試料#A1および#A2の表面に、蛍光灯またはブラックライトにより光照射を行った。図10に示されるように、試料#A2に蛍光灯を照射したものを試料#A5、試料#A1に蛍光灯を照射したものを試料#A6、試料#A2にブラックライトを照射したものを試料#A7、試料#A2にブラックライトを照射したものを試料#A8とした。
蛍光灯とブラックライトの照度は、酸化チタン単体の試料#A5および#A7における吸収フォトン数が1.5×1012/cm/secとなるように設定した。この吸収フォトン数はPは以下の式により算出した。
Figure 2002024333
ここで、α:薄膜の吸収率、W:光源の照度(W/cm)、h:プランク定数(J・sec)、c:光速(m/sec)、λ:波長(m)である。光源の照度Wはスペクトロラディオメータ(ウシオ電機)を用いて200nm〜800nmの範囲のスペクトルを測定した。また、分光光度計(島津製作所、UV−1200)を用いて透過率T(%)と反射率R(%)を測定し、(2)式から薄膜の吸収率αを算出し、(1)式に代入した。
Figure 2002024333
その結果、
試料#A5:1.5×1012/cm/sec
試料#A6:2.3×1012/cm/sec
試料#A7:1.5×1012/cm/sec
試料#A8:2.1×1012/cm/sec
であった。
この結果から以下のことが考えられる。試料#A8の吸収フォトン数は試料#A7のそれよりも大きい。これは試料#A8の方が試料#A7よりも膜厚が大きいためであると考えられる。一方、蛍光灯を照射した試料#A6の吸収フォトン数は、ブラックライトを照射した試料#A8のそれよりも大きい。これは、試料#A6のWOが蛍光灯の光に含まれる可視光域を吸収したことによるものと考えられる。
試料#A5〜#A8の表面の水接触角の変化を測定した。薄膜に水滴をマイクロシリンジから滴下して、水接触角を接触角測定器(協和界面科学、CA−X150)により測定した。その結果は図11に示される通りであった。酸化タングステン層を有しない試料#A5および#A7は、吸収フォトン数が同じため同様に親水化した。一方、酸化タングステン層を有する試料#A6および#A8については、蛍光灯を照射した試料#A6の方が、ブラックライトを照射した試料#A8よりも高度に親水化した。この結果は可視光で励起可能なWOによる増感効果を示唆するものと考えられる。ブラックライトには波長400nm以上の可視光が含まれないのに対し、白色蛍光灯には可視光が含まれる。白色蛍光灯に含まれる可視光はTiO層では吸収されずに通過し、WO層で吸収されて電子、正孔が生成する。そして、可視光励起によってWOに生成した正孔がTiO部に移動して、TiO表面の親水化反応に寄与するものと考えられる。
実施例A6
ソーダライムガラスの上にITO(酸化スズをドープした酸化インジウム)をコートした導電性の基材(日本板硝子、SP品、厚さ0.7mm)を用意した。この導電性基材の上に、タングステン酸を25%のアンモニア水に溶解した液をスピンコート法により塗布した。タングステン酸の固形分濃度は5%であり、スピンコートは毎分1500回の回転速度で10秒間行った。その後、塗布膜を電気炉中で500℃、30分間焼成して、結晶性の酸化タングステン薄膜を得た。
この薄膜の上にさらに、固形分濃度が10%の酸化チタンコート剤(日本曹達、NDH510C)をディップコート法により塗布した。ディップコートは30cm/minの引き上げ速度で行った。その後、塗布膜を500℃で30分間焼成して、試料を得た。
得られた試料のITOガラスの表面の一部に銅のリード線を銀ペーストによって接続し、エポキシ樹脂で固定させて、接地可能な状態にした。得られた試料を試料#A9とした。
また、比較のため、パイレックスガラス上に、酸化チタン薄膜を上記同様にして作製して、試料#A10を得た。
走査型電子顕微鏡によって試料#A9の破断面を観察することにより、試料の膜厚を測定した。その結果、酸化タングステンの膜厚が70nm、酸化チタンの膜厚が75nmであった。
得られた薄膜の結晶性を薄膜XRD(理学電機、RINT2100)で評価した。その結果、酸化タングステンは三斜相、酸化チタンは正方晶のアナターゼ型の構造であることを確認した。
試料#A9および#A10の表面に、蛍光灯またはブラックライトにより光照射を行った。具体的には、図12に示されるように、試料#A10に蛍光灯を照射したものを試料#A11、試料#A9に蛍光灯を照射したものを試料#A12、試料#A10にブラックライトを照射したものを試料#A13、試料#A9にブラックライトを照射したものを試料#A14および#A15とした。
吸収フォトン数は実施例A5と同様にして算出した。その結果、
試料#A11:1.5×1012/cm/sec
試料#A12:2.7×1012/cm/sec
試料#A13:1.5×1012/cm/sec
試料#A14:2.2×1012/cm/sec
試料#A15:1.5×1012/cm/sec
であった。
この結果から以下のことが考えられる。試料#A14の吸収フォトン数が試料#A13それよりも大きい。これは試料#14の方が試料#13よりも膜厚が大きいためであると考えられる。一方、蛍光灯を照射した試料#A12の吸収フォトン数は、ブラックライトを照射した試料#A14のそれよりも大きい。これは試料#A12のWOが蛍光灯の可視光域を吸収したことによるものと考えられる。
試料#A11〜#A15の表面の水接触角の変化を測定した。薄膜に水滴をマイクロシリンジから滴下して、水接触角を接触角測定器(協和界面科学、CA−X150)により測定した。その結果は図13に示される通りであった。酸化タングステン層を有しない試料#A11および#A13は吸収フォトン数が同じため同様に親水化した。一方、酸化タングステン層を有する試料#A15については、酸化タングステン層を有しない試料#A11および#A13と同じ吸収フォトン数(1.5×1012/cm/sec)となるようにブラックライトが照射されたにもかかわらず、試料#A11および#A13よりも高度に親水化した。この結果はTiOの下層にWOを配置することによって電荷分離効率が向上したことを示唆するものと考えられる。
また、酸化タングステン層を有する試料#A12および#A14については、蛍光灯を照射した試料#A12の方が、ブラックライトを照射した試料#A14よりも高度に親水化した。この結果は可視光で励起可能なWOによる増感効果を示唆するものと考えられる。白色蛍光灯に含まれる可視光はTiO層では吸収されずに通過し、WO層で吸収されて電子、正孔が生成する。可視光励起によってWOに生成した正孔はTiO部に移動して、TiO表面の親水化反応に寄与するものと考えられる。
実施例A7
実施例A6で得た試料#A9および#A10の表面に、可視光光源および/またはブラックライトにより光照射を行った。具体的には、図14に示されるように、試料#A10に可視光光源およびブラックライトを同時に照射したものを試料#A16、試料#A9に可視光光源およびブラックライトを同時に照射したものを試料#17、試料#A10にブラックライトを照射したものを試料#A18、試料#A9にブラックライトを照射したものを試料#A19とした。
可視光の照射は次のようにして行った。すなわち、キセノンランプ(林時計工業、LA250Xe)を光源とし、この光源からの光を液体ファイバー(林時計工業、RLGB1−5L1000)で導いた。導かれた光を紫外線カットフィルター(東芝ガラス、Y−43)とバンドパスフィルター(東芝ガラス、V−40)を通過させて、波長が410nm〜500nmの範囲になるようにした。
試料#A16〜#A19の表面の水接触角の変化を測定した。薄膜に水滴をマイクロシリンジから水滴を滴下して、水接触角を接触角測定器(協和界面科学、CA−X150)により測定した。その結果は図15に示される通りであった。酸化タングステン層を有しない試料#A16および#A18は、吸収フォトン数が同じため同様に親水化した。一方、酸化タングステン層を有する試料#A17および#A19については、ブラックライトおよび可視光を同時に照射した試料#A17の方が、ブラックライトのみを照射した試料#A19よりも高度に親水化した。キセノンランプより照射される可視光はTiO層では吸収されずに通過し、WO層で吸収されて電子、正孔が生成する。可視光励起によってWOに生成した正孔はTiO部に移動して、TiO表面の親水化反応に寄与するものと考えられる。
実施例B1
導電性基材として、ITO(酸化スズをドープした酸化インジウム)を被覆したガラスを用意した。タングステン酸を25%のアンモニア水に溶解して固形分濃度が5%の水溶液を得た。この水溶液をスピンコート法によりITOガラス基材上に塗布した。スピンコートは毎分1500回の回転速度で10秒間行った。その後、塗布膜を電気炉中で500℃、30分間焼成して、結晶性の酸化タングステン薄膜を得た。
この薄膜の上にさらに、固形分濃度が10%の酸化チタンコート剤(日本曹達、NDH510C)をディップコート法により塗布した。ディップコートは30cm/min引き上げ速度で行った。その後、この塗布膜を500℃で30分焼成して、試料を得た。
得られた試料のITOガラスの表面の一部に銅のリード線を銀ペーストによって接続し、エポキシ樹脂で固定させて、接地可能な状態にした。得られた試料を試料#B1とした。
また、比較のため、シリカコートしたパイレックスガラス上に、酸化チタン薄膜を上記同様に作製して、試料#B2を得た。さらに、導電性基材の代わりにソーダライムガラスを使用し、接地のための処理をしなかったこと以外は、上記試料#B1と同様にして、試料#B3を得た。
走査型電子顕微鏡によって試料#B1の破断面を観察することにより、試料の膜厚を測定した。その結果、酸化タングステンの膜厚が70nm、酸化チタンの膜厚が75nmであった。
得られた薄膜の結晶性を薄膜XRD(理学電機、RINT2100)で評価した。その結果、酸化タングステンは三斜相、酸化チタンは正方晶のアナターゼ型の構造であることを確認した。
得られた薄膜を暗所に3週間保管して、その表面の水接触角を安定にした。その後、薄膜に白色蛍光灯の照射を行い、表面の水接触角の変化を測定した。試料#B1については、導電性基材の部分を接地した場合と、電気的に開放した場合との両方を測定した。白色蛍光灯は、10W(東芝ライテック、FL10N)を用いた。薄膜表面における紫外線照度を、紫外線照度計(ウシオ電機、UVR−2)により測定し、薄膜と蛍光灯の距離を変えることで、10μW/cmとなるようにした。薄膜に水滴をマイクロシリンジから滴下して、水接触角を接触角測定器(協和界面科学、CA−X150)により測定した。その結果は図16に示される通りであった。試料#B2は若干しか親水化しなかったのに対し、試料#B1は水接触角に換算して5°以下まで高度に親水化した。試料#B3も高度に親水化しているが、導電性基材を用いた試料#1の方がより高度に親水化した。また、導電性基材を有する試料#B1であっても、接地したものの方が、接地しないで開放したものよりも親水化に要する時間が短いことが分かった。また、試料#B1は実質的に透明で干渉色も見られなかった。
実施例B2
導電性基材として、表面に膜厚15nmの白金が蒸着されたパイレックスガラスを用意した。白金の蒸着は、DCマグネトロンスパッタリング装置(日立、E−1030)を用いて、以下の条件で150秒間行った。
ターゲット:白金
放電電圧:DC0.4kV
放電電流:15mA
タングステン酸を25%のアンモニア水に溶解して固形分濃度が5%の水溶液を得た。この水溶液をスピンコート法により導電性基材上に塗布した。スピンコートは毎分1500回の回転速度で10秒間行った。その後、塗布膜を電気炉中で500℃、30分間焼成して、結晶性の酸化タングステン薄膜を得た。
この薄膜の上にさらに、固形分濃度が10%の酸化チタンコート剤(日本曹達、NDH510C)をディップコート法により塗布した。ディップコートは30cm/minの引き上げ速度で行った。その後、この塗布膜を500℃で30分焼成して試料#B4を得た。
また、比較のため、酸化タングステン薄膜を作製しなかったこと以外は試料#B4と同様にして、試料#B5を得た。
走査型電子顕微鏡によって試料#B4の破断面を観察することにより膜厚を測定した。その結果、酸化タングステンの膜厚が70nm、酸化チタンの膜厚が75nmであった。
得られた薄膜の結晶性を薄膜XRD(理学電機、RINT2100)で評価した。その結果、酸化タングステンは三斜相、酸化チタンは正方晶のアナターゼ型の構造であることを確認した。
得られた薄膜の水接触角を、試料#B4および#B5のいずれも白金の部分を電気的に開放したこと以外は、実施例B1と同様に測定した。その結果は図17に示される通りであった。試料#B5は全く親水化しなかったのに対し、試料#B4は水接触角に換算して5°以下まで高度に親水化した。また、試料#B4は干渉色が見られなかった。
実施例C1
タングステン酸を25%のアンモニア水に溶解して固形分濃度が5%の水溶液を得た。この水溶液をスピンコート法によりシリカコートガラス基材上に塗布した。スピンコートは毎分1500回の回転速度で10秒間行った。その後、塗布膜を電気炉中で500℃、30分間焼成して、結晶性の酸化タングステン薄膜を得た。
この薄膜の上にさらに、固形分濃度が10%の酸化チタンコート剤(日本曹達、NDH510C)をディップコート法により塗布した。ディップコートは30cm/minの引き上げ速度で行った。その後、この塗布膜を500℃で30分焼成して、酸化チタン薄膜を得た。
コロイダルシリカ(日産化学、ST−OS)をイソプロパノールで希釈して固形分濃度0.05%のコーティング液を得た。このコーティング液を酸化チタン薄膜の上にスピンコートにより塗布した。スピンコートは毎分1500回の回転速度で10秒間行っその後、この塗布膜を電気炉に入れ、150℃で30分間加熱して固化させて、3層の薄膜を有する試料#C1を得た。
また、比較のため、酸化タングステン薄膜を作製しなかったこと以外は試料#C1と同様にして、試料#C2を得た。
走査型電子顕微鏡によって試料の破断面を観察することにより膜厚を測定した。その結果、
試料#C1:酸化タングステンの膜厚が60nm、酸化チタンの膜厚が75nm、
試料#C2:酸化チタンの膜厚が75nm
であった。
得られた薄膜の表面の組成をX線光電子分光法により分析した。その結果、TiOに対するSiOの割合は50%であった。
得られた薄膜の結晶性を薄膜XRD(理学電機、RINT2100)で評価した。その結果、酸化タングステンは三斜相、酸化チタンは正方晶のアナターゼ型、コロイダルシリカはアモルファス状の構造であることを確認した。
試料#C1および#C2のいずれも、最表面に化学吸着水を多く吸着し得るアモルファス状のシリカが存在するため、長期間暗所に保管しても表面の水接触角が5度以下を維持することが確認された。
得られた試料#C1および#C2の光触媒による酸化分解力を、メチレンブルーの分解作用を用いて以下の通り評価した。試料#C1および#C2を1.0×10−3mol/Lの濃度のメチレンブルー水溶液中に1時間浸漬させてメチレンブルーを吸着させた。薄膜をゆっくりと取り出し、立て掛けた状態でデシケータに入れた。その後、暗所にて24時間乾燥させた。基材の裏面に付着したメチレンブルーを湿らせた布で拭き取った。
得られた薄膜に10Wのブラックライト(東芝ライテック、FL10BLB)により紫外線を照射して、メチレンブルーの吸光度の変化を分光光度計(島津製作所、UV−1200)によって測定した。吸光度はメチレンブルーの吸収波長である580nmの値を測定した。また、薄膜とブラックライトの距離を変えることで、薄膜表面における紫外線照度が紫外線照度計(ウシオ電機、UVR−2)で1mW/cmになるようにした。その結果は、図18に示される通りであった。吸光度変化の傾きが大きいほど酸化分解力が大きいことから、試料#C1の方が、試料#C2よりも酸化分解力が優れていることが分かる。
実施例C2
実施例1で得た試料#C1および#C2を室内の洗面所の鏡に設置して、その表面の水接触角の変化を測定した。この場所における日中の紫外線照度は、室内照明を付けた場合で最大2μW/cmであり、夜間においては、照明を切るため全く紫外線が存在しない。その結果は、図19に示される通りであった。試料#C1の方が、試料#C2よりも長期間にわたって低い接触角を維持した。
実施例C3
タングステン酸を25%のアンモニア水に溶解して固形分濃度が5%の水溶液を得た。この水溶液をスピンコート法によりシリカコートガラス基材上に塗布した。スピンコートは毎分1500回の回転速度で10秒間行った。その後、塗布膜を電気炉中で500℃、30分間焼成して、結晶性の酸化タングステン薄膜を得た。
シリカの出発原料であるエチルシリケート(コルコート、ES40)に、硝酸を添加して加水分解を行った。得られた液に、酸化チタンの水分散性ゾル(石原産業、STS01)を添加して、全固形分濃度が2.5wt%の混合溶液を得た。この混合溶液を酸化タングステン薄膜の上にスピンコート法により塗布した。スピンコートは毎分1500回の回転速度で10秒間行った。得られた塗布膜を塗布膜を500℃、30分間焼成した。酸化チタンゾルの添加量を変化させることにより、表C1に示されるようなTiO/SiO比の異なる3種類の試料#C3、#C5、および#C7を得た。
また、比較のため、酸化タングステン薄膜を作製しなかったこと以外は試料#C3、#C5、および#C7と同様にして、試料#C4、#C6、および#C8をそれぞれ得た。
得られた薄膜の作製条件をまとめると表C1の通りである。
Figure 2002024333
走査型電子顕微鏡によって試料の破断面を観察することにより膜厚を測定した。その結果、酸化チタンとシリカの混合層の厚みは80nmであった。
得られた薄膜の結晶性を薄膜XRD(理学電機、RINT2100)で評価した。その結果、酸化タングステンは三斜晶、酸化チタンはアナターゼ型、シリカはアモルファス状であることが確認された。
得られた薄膜を暗所に3週間保管して、その表面の水接触角を安定にした。その後、薄膜に白色蛍光灯の照射を行い、表面の水接触角の変化を測定した。白色蛍光灯は、10W(東芝ライテック、FL10N)を用いた。薄膜表面における紫外線照度を、紫外線照度計(トプコン、UVR−2)により測定し、薄膜と蛍光灯の距離を変えることで、5μW/cmとなるようにした。薄膜に水滴をマイクロシリンジから滴下して、水接触角を接触角測定器(協和界面科学、CA−X150)により測定した。試料#C3および#C4の結果は図20に示す通りであり、試料#C5および#C6の結果は図21に示す通りであり、試料#C7および#C8の結果は図22に示す通りであった。試料#C3、#C5、および#C7の方が、試料#C4、#C6、および#C8よりも高度に親水化した。
実施例C4
実施例C3で得た試料#C3〜#C8の酸化分解力について、メチレンブルーの分解反応を用いて、実施例C1と同様に評価した。試料#C3および#C4の結果は図23に示す通りであり、試料#C5および#C6の結果は図24に示す通りであり、試料#C7および#C8の結果は図25に示す通りであった。吸光度変化の傾きが大きいほど酸化分解力が大きいことから、試料#C3、#C5、および#C7の方が、試料#C4、#C6、および#C8よりも酸化分解力が優れていることが分かる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の部材における、電荷移動プロセスの基本概念を説明する図である。
図2は、本発明の部材における、基材が導電性基材である場合の電荷移動プロセスを説明する図である。
図3は、本発明の第一の態様による、部材の断面を示す図である。
図4は、本発明の第二の態様による、部材の断面を示す図である。
図5は、本発明の第三の態様による、部材の断面を示す図である。
図6は、実施例A1における、試料#A1および#A2の水接触角と光照射時間との関係を示す図である。
図7は、実施例A2における、試料#A3および#A4の水接触角と光照射時間との関係を示す図である。
図8は、実施例A3における、メチレンブルーが吸着された試料#A1および#A2の、吸光度と光照射時間との関係を示す図である。
図9は、実施例A4における、メチレンブルーが吸着された試料#A3および#A4の、吸光度と光照射時間との関係を示す図である。
図10は、実施例A5における、試料#A5〜#A8の層構成と光の照射条件とを示す図である。
図11は、実施例A5における、試料#A5〜#A8の水接触角と光照射時間との関係を示す図である。
図12は、実施例A6における、試料#A11〜#A15の層構成と光の照射条件とを示す図である。
図13は、実施例A6における、試料#A11〜#A15の水接触角と光照射時間との関係を示す図である。
図14は、実施例A7における、試料#A16〜#A19の層構成と光の照射条件とを示す図である。光の照射条件を示す図。
図15は、実施例A7における、試料#A16〜#A19の水接触角と光照射時間との関係を示す図である。
図16は、実施例B1における、試料#B1(接地あり)、#1(接地なし)、#B2、および#B3の水接触角と光照射時間との関係を示す図である。
図17は、実施例B2における、試料#B4および#B5の水接触角と光照射時間との関係を示す図である。
図18は、実施例C1における、メチレンブルーが吸着された試料#C1および#C2の、吸光度と光照射時間との関係を示す図である。
図19は、実施例C2における、試料#C1および#C2の水接触角と光照射時間との関係を示す図である。
図20は、実施例C3における、試料#C3および#C4の水接触角と光照射時間との関係を示す図である。
図21は、実施例C3における、試料#C5および#C6の水接触角と光照射時間との関係を示す図である。
図22は、実施例C3における、試料#C7および#C8の水接触角と光照射時間との関係を示す図である。
図23は、実施例C4における、メチレンブルーが吸着された試料#C3および#C4の、吸光度と紫外線照射時間との関係を示す図である。
図24は、実施例C4における、メチレンブルーが吸着された試料#C5および#C6の、吸光度と紫外線照射時間との関係を示す図である。
図25は、実施例C4における、メチレンブルーが吸着された試料#C7よび#C8の、吸光度と紫外線照射時間との関係を示す図である。

Claims (31)

  1. 基材と、
    該基材の表面に形成される、酸化チタン以外の光触媒性材料を含んでなる中間層と、
    該中間層の表面に接合される、光触媒性酸化チタンを含んでなる表面層とを備えてなり、
    前記酸化チタン以外の光触媒性材料が、pH7における対標準水素電極電位に換算して0Vよりも正側に高い、伝導帯の下端のポテンシャルと、pH7における対標準水素電極電位に換算して+2.7Vよりも正側に高い、価電子帯の上端のポテンシャルとを有する、部材。
  2. 前記中間層および前記表面層の接合部に、前記光触媒性酸化チタンおよび前記酸化チタン以外の光触媒性材料の双方を光励起できる波長の光が到達しうる、請求項1に記載の部材。
  3. 前記表面層が、前記中間層に固溶体を形成することなく接合されてなる、請求項1または2に記載の部材。
  4. 前記酸化チタン以外の光触媒性材料が、結晶性もしくは非晶質の酸化タングステン、またはタングステン酸塩である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の部材。
  5. 前記酸化チタン以外の光触媒性材料が、結晶性の酸化タングステンである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の部材。
  6. 前記酸化チタン以外の光触媒性材料が、酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化バナジウム、および酸化モリブデンからなる群から選択される少なくとも一つである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の部材。
  7. 前記酸化チタン以外の光触媒性材料が、波長400nm以上の可視光によって励起可能なものである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の部材。
  8. 前記基材が、電気伝導性を有する導電性基材である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の部材。
  9. 前記導電性基材が、銅、鉄、白金、金、銀、亜鉛、ニッケル、パラジウム、タングステン、鉛、コバルト、アルミニウム、シリコン、およびカーボンからなる群から選択される少なくとも一種の金属を含む、請求項8に記載の部材。
  10. 前記導電性基材が、金属およびフッ素をドープした酸化インジウム、金属およびフッ素をドープした酸化スズ、酸素欠陥を有する酸化スズ、および酸素欠陥を有する酸化亜鉛からなる群から選択される少なくとも一種を含んでなる、請求項8または9に記載の部材。
  11. 前記表面層が、酸化チタンよりも化学吸着水を多く吸着し得る親水性金属酸化物をさらに含んでなる、請求項1〜10のいずれか一項に記載の部材。
  12. 前記親水性金属酸化物の少なくとも一部が、表面層の表面に露出してなる、請求項11に記載の部材。
  13. 前記表面層が、前記光触媒性酸化チタンを下層として、前記親水性金属酸化物を上層として含んでなる、請求項11または12に記載の部材。
  14. 前記親水性金属酸化物が、シロキサン結合、ボロシロキサン結合、アルミノシリケート結合からなる群から選択される少なくとも一種の結合を有する化合物を含んでなる、請求項11〜13のいずれか一項に記載の部材。
  15. 前記中間層および前記表面層が、実質的に透明であり、かつ干渉色を有しない、請求項1〜14のいずれか一項に記載の部材。
  16. 前記表面層の厚さが、10〜700nmである、請求項1〜15のいずれか一項に記載の部材。
  17. 前記表面層に上層として含まれる親水性金属酸化物の層の厚さが、1〜100nmである、請求項13〜16のいずれか一項に記載の部材。
  18. 前記中間層の厚さが、5〜300nmである、請求項1〜17のいずれか一項に記載の部材。
  19. 紫外線照度に換算して10μW/cm以下の光照射による光励起に応じて、前記表面層の最表面が水接触角に換算して5度以下の親水性を呈する、請求項1〜18のいずれか一項に記載の部材。
  20. 10μW/cm以下の紫外線照度下において用いられる、請求項1〜19のいずれか一項に記載の部材からなる、防曇部材。
  21. 10μW/cm以下の紫外線照度下において用いられる、請求項1〜19のいずれか一項に記載の部材からなる、防汚部材。
  22. 請求項1〜19のいずれか一項に記載した光触媒性部材を製造する方法であって、
    基材表面に、酸化チタン以外の光触媒性材料の出発原料を含有する溶液を塗布し、該基板表面を加熱または乾燥して中間層を形成する工程と、
    該中間層の上に結晶性酸化チタンを含有する層を形成する工程と
    を少なくとも含んでなる、方法。
  23. 前記酸化チタン以外の光触媒性材料が、結晶性又は非晶質の酸化タングステンであり、かつ、酸化タングステンの出発原料が、タングステン酸水溶液、タングステン酸アンモニウム水溶液、タングステン元素を含む金属アルコキシド溶液、および酸化タングステンを懸濁させたゾルからなる群から選択される少なくとも一種である、請求項22に記載の方法。
  24. 前記中間層を形成する際の加熱温度が20〜800℃である、請求項23に記載の方法。
  25. 部材表面に防曇性を付与する方法であって、
    基材に、酸化チタン以外の光触媒性材料を含んでなる中間層を設ける工程と、
    該中間層の表面に、光触媒性酸化チタンを含んでなる表面層を設ける工程と
    を少なくとも含んでなる、方法。
  26. 部材表面に防汚性を付与する方法であって、
    基材に、酸化チタン以外の光触媒性材料を含んでなる中間層を設ける工程と、
    該中間層の表面に、光触媒性酸化チタンを含んでなる表面層を設ける工程と
    基材と流水とを接触させ、基材表面に付着した汚れを洗い流す工程と
    を少なくとも含んでなる、方法。
  27. 前記部材の表面に、紫外線照度に換算して10μW/cm以下の光照射を行い、光励起する工程をさらに含んでなる、請求項25または26に記載の方法。
  28. 前記光触媒性材料を光励起させるための光源が、室内照明である、請求項25〜27のいずれか一項に記載の方法。
  29. 前記基材が導電性基材であり、かつ、該導電性基材を接地する工程をさらに含んでなる、請求項25〜28のいずれか一項に記載の方法。
  30. 10μW/cm以下の紫外線照度下でその表面が親水化された、請求項1〜19のいずれか一項に記載の部材の、表面防曇のための使用。
  31. 10μW/cm以下の紫外線照度下でその表面が親水化された、請求項1〜19のいずれか一項に記載の部材の、表面防汚のための使用。
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