JP2001079978A - 親水性部材 - Google Patents

親水性部材

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JP2001079978A
JP2001079978A JP26077499A JP26077499A JP2001079978A JP 2001079978 A JP2001079978 A JP 2001079978A JP 26077499 A JP26077499 A JP 26077499A JP 26077499 A JP26077499 A JP 26077499A JP 2001079978 A JP2001079978 A JP 2001079978A
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titanium oxide
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JP26077499A
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Masahiro Miyauchi
雅浩 宮内
Mitsuhide Shimobukikoshi
光秀 下吹越
Akira Nakajima
章 中島
Kazuhito Hashimoto
和仁 橋本
Akira Fujishima
昭 藤嶋
Toshiya Watabe
俊也 渡部
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Toto Ltd
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Toto Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 紫外線量の少ない室内の照明装置による光照
射にいても良好な親水性を呈し、屋外に暴露しても大気
中の硫黄酸化物および窒素酸化物の酸化生成物である硫
酸塩や硝酸塩の蓄積を抑制し良好な外観を維持するとと
もに、チョーキング現象を抑制する親水性部材を提供す
ることである。 【解決手段】 本発明は、基材の表面をn型の光触媒性
半導体材料として酸化タングステン及び/又は酸化バナ
ジウムを含む層を備えた部材を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基材の表面を高度
に親水性になし、かつ、維持する技術に関する。より詳
しくは、本発明は、鏡、レンズ、板ガラスその他の基材
の表面を高度に親水化することにより、基材の曇りや水
滴形成を防止する防曇技術に関する。本発明は、また、
建物や窓ガラスや機械装置や物品の表面を高度に親水化
することにより、表面が汚れるのを防止し、または表面
を自己浄化(セルフクリーニング)し、若しくは容易に
清掃する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】本発明者は、先に、半導体光触媒の光励
起作用により物品の表面を高度に親水化する方法を提案
した(WO96/29375号)。この方法に従えば、
物品の表面はアナターゼ型酸化チタンのような半導体光
触媒のコーティングによって被覆される。このアナター
ゼ型酸化チタンからなる光触媒コーティングに紫外線を
照射することにより光触媒を充分な照度で充分な時間に
わたり光励起すると、光触媒性コーティングの表面は水
との接触角が約0度になる程度に高度に親水化される。
【0003】このように高度に親水化可能な光触媒性コ
ーティングは、防曇、降雨による浄化、水洗による浄
化、乾燥促進その他種々の目的で種々の物品に適用する
ことができる。例えば、車両の風防ガラス、ドアミラ
ー、建物の窓ガラス、眼鏡のレンズ、或いは鏡のような
透明物品を光触媒コーティングで被覆した場合には光触
媒の光励起に伴いコーティングの表面は高度に親水化さ
れ、その結果、物品が凝縮湿分や湯気で曇るのが防止さ
れる。或いは、屋外に配置された建物屋物品が光触媒コ
ーティングで被覆されている場合には、都市煤塵、自動
車等の排気ガスに含有されるカーボンブラック等の燃焼
生成物、油脂、シーラント溶出成分等の疎水性汚染物
質、及び無機粘土質汚染物質双方が付着しにくく、付着
しても降雨や水洗により簡単に洗い流され、表面は浄化
される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、光触媒
の親水化現象は半導体の光励起によって誘起される現象
であるため、光触媒表面を親水化させるのに必要な光は
その光触媒のバンドギャップ以上のエネルギーをもった
光子(フォトン)が必要である。酸化チタンを光触媒と
して使用した場合、表面を親水化させるのに必要なフォ
トンのエネルギーは酸化チタンのバンドギャップに相当
する3.0eV以上、光の波長に換算すると400nm以下の紫外
線が必要となる。蛍光灯や白熱電灯等の室内の照明装置
から照射される紫外線強度は微弱なため、酸化チタンの
室内の照明装置による親水化は充分でなかった。また、
酸化チタン等の光触媒は光励起により生じた電子、正孔
が酸化力を有する種々のラジカルを生成し、これらのラ
ジカルが光触媒に接する有機物を酸化する。そのため、
酸化チタンの膜構造体を屋外に暴露した場合、前記酸化
力によって大気中の硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(N
Ox)を酸化して表面に硫酸塩や硝酸塩が生成される。降
雨があればこれらの硫酸塩や硝酸塩は流れ落ちるが、降
雨が無い場合或いは降雨が少ない場合は徐々にこれらの
塩が蓄積し、特に、部材が透明な場合は表面の白濁が顕
著になり、外観が著しく損なわれてしまった。更に、酸
化チタンの膜構造体をPETフィルムやアクリル樹脂な
どの有機物基板の上に形成した場合、光触媒の酸化作用
によって基板を分解してしまい、膜の剥離、白濁等のチ
ョーキング現象を引き起こしてしまう。このため、酸化
チタンを直接有機材料にコーティングした膜構造体は光
照射に対する耐久性に問題があった。有機材料上に光触
媒層を形成させる場合、チョーキング現象の防止策とし
て光触媒層と有機物基板の間にラジカルをブロックする
ためのシリカ等の中間層を形成させることが提案されて
いるが、この中間層の必要性によって、部材の設計、生
産性の上で大きな制限を受けてしまう。
【0005】本発明は、上記課題を解決するためになさ
れたもので、本発明の目的は、紫外線量の少ない室内の
照明装置による光照射にいても良好な親水性を呈し、屋
外に暴露しても大気中の硫黄酸化物および窒素酸化物の
酸化生成物である硫酸塩や硝酸塩の蓄積を抑制し良好な
外観を維持するとともに、チョーキング現象を抑制する
親水性部材を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明では、上記課題を
解決すべく、基材の表面をn型の光触媒性半導体材料と
して酸化タングステン及び/又は酸化バナジウムを含む
層を備えた部材を提供する。基材の表面をn型の光触媒
性半導体材料として酸化タングステン及び/又は酸化バ
ナジウムを含む層を備えた構成にすることにより、紫外
線量の少ない室内の照明装置による光照射にいても良好
な親水性を呈し、屋外に暴露しても大気中の硫黄酸化物
および窒素酸化物の酸化生成物である硫酸塩や硝酸塩の
蓄積を抑制し良好な外観を維持するとともに、チョーキ
ング現象を抑制することができる。
【0007】現在考えられている、光触媒における酸化
効果と親水化のメカニズムについて以下に述べる。酸化
効果については、1)光励起による電子、正孔の生成、
2)電子、正孔が空気中の酸素、水と反応してスーパー
オキサイドアニオンや水酸基ラジカルなどの酸化力の強
い活性種を生じる。3)生成した活性種が表面に吸着し
た有機物を酸化する。一方、光誘起親水化現象は、1)
光励起による電子、正孔の生成、2)生成した電子、正
孔が光触媒自身を還元し、表面に酸素欠陥を生成する。
3)酸素欠陥部分に雰囲気中の水分が吸着し、安定化す
る。つまり、光触媒における酸化分解と親水化は異なる
反応経路で進行していると考えられている。
【0008】特に、酸化タングステンはバンドギャップ
が約2.5eVで、可視光の波長域を吸収することが出来
る。また、マグネリ相と呼ばれる酸素欠陥構造の存在が
見出されており、比較的容易に酸素欠陥が生成する酸化
物である。また、酸化タングステンは可視光の励起によ
って酸素欠陥が生成することが可能で、この欠陥部分に
雰囲気中の水分が吸着することによって表面が親水化す
ると考えられる。一方、酸化タングステンはラジカル発
生効率が酸化チタン等の光触媒と比較して著しく悪く、
接触する有機物に対する酸化力がほとんど無い。
【0009】前記層は接触する有機物に対する酸化力が
ほとんど無いことから、大気中の硫黄酸化物(SOx
または窒素酸化物(NOx)の酸化生成物である硫酸塩
や硝酸塩が部材に堆積しない。特に前記部材がレンズ、
ガラス、ペットフィルム等の実質的に透明な基材に成膜
されている場合、硫酸塩や硝酸塩の堆積がないため、部
材の透明性が長期間維持され外観が損なわれない。ま
た、有機材料に直接成膜しても基材の有機物が分解され
ず、膜の剥離やチョーキングが起こらないため、有機材
料の基板へ直接成膜することが出来る。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に本発明の構成要素について
説明する。本発明の基材とは、防曇、視界確保、失透防
止目的で使用する場合には、鏡、レンズ、ガラス、透明
プラスチック等の透明性の基材であればいずれでも使用
できる。また、汚れ防止性や自己浄化性、易清掃性の目
的で使用される場合には、上記の他に、例えば、金属、
セラミック、プラスチック、木、石、セメント、コンク
リート、及びこれらの組み合わせである塗装板、積層板
等が使用できる。
【0011】本発明の親水性とは、水濡れ性が向上する
状態をいう。例えば、都市煤塵や、建造物の排気口から
の排出物、自動車等の排気ガスに含有されるカーボンブ
ラック等の燃焼生成物、油脂、シーラント溶出成分等の
疎水性汚染物質が付着しにくく、付着しても降雨や水洗
いにより簡単に落とせるようにするには、基材表面は水
との接触角に換算して50°以下、より好ましくは30
°以下程度まで親水化するのがよい。さらに無機粘土質
汚染物質が付着しにくく、付着しても降雨や水洗いによ
り簡単に落とせるようにするには、基材表面は水との接
触角に換算して15°以下、より好ましくは10°以下
程度まで親水化するのがよい。また、透明基材表面に付
着した水滴を一様に広がらせて、ガラス、レンズ、鏡等
の曇りを有効に防止し、湿分による失透防止、雨天時の
視界確保を図るには、基材表面は水との接触角に換算し
て15°以下、より好ましくは10°以下程度まで親水
化するのがよい。
【0012】本発明のn型の光触媒性半導体材料として
酸化タングステン又は酸化バナジウムを含む層に更に光
触媒性半導体材料として酸化チタンを含有することがで
きる。酸化チタンを含有すると基材表面と水との接触角
が高度に親水化される。
【0013】n型の光触媒性半導体材料として酸化タン
グステン及び/又は酸化バナジウムを含む層を形成させ
る方法として、例えば金属塩を酸性あるいはアルカリ性
の溶液に溶解した液、n型半導体粒子を懸濁したゾル、
金属アルコキシド、金属キレート、金属アセテート、金
属の水酸化物からなる群より選択される少なくとも1種
類のn型の光触媒性半導体を含むコーティング液を基材
にコーティングする。n型の光触媒性半導体材料に更に
酸化チタンを含有させる方法として、例えば、基材にあ
らかじめ酸化チタンをコーティングしておき、その上に
n型の光触媒性半導体材料を含む層を形成させても良
い。
【0014】コーティング方法として、スピンコーティ
ング、フローコーティング、ディップコーティング、ス
プレーコーティング、ロールコーティング等が好適に使
用できる。また、場合によってはコーティング後に焼成
することも可能である。n型の光触媒性半導体材料とし
て酸化タングステン又は酸化バナジウムを含む層を形成
させる方法として、前記の湿式合成法以外にも、スパッ
タリング法、CVD法、プラズマCVD法、イオンプレ
ーティング法、MBE法等を用いても良い。
【0015】光励起する可視光の光源としては、蛍光
灯、白熱電灯、水銀ランプ、キセノンランプ、水銀−キ
セノンランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドラン
プ、レーザー光、太陽光からなる群より選択される少な
くとも一種類を利用することができる。
【0016】本発明における部材は、部材の曇りや水滴
形成を防止する防曇性または表面が汚れるのを防止し、
または表面を自己浄化(セルフクリーニング)する機能
を持つ建築外装材に適用することが出来る。本発明が適
用可能な建築外装材としては、外壁、屋根、窓枠、窓ガ
ラス、看板、ビニ−ルハウス、雨戸、網戸、タイル、ベ
ランダ、屋根樋、等である。
【0017】本発明における部材は、可視光の励起によ
って親水化する機能を持つため、部材の曇りや水滴形成
を防止する防曇性または表面が汚れるのを防止し、また
は表面を自己浄化(セルフクリーニング)する機能を持
つ建築内装材に適用することが出来る。本発明が適用可
能な建築内装材としては、窓ガラス、トイレ用部材、便
器、浴室用部材、浴槽、洗面化粧台、照明器具、台所用
部材、窓レール、窓枠、空調機等である。
【0018】本発明が適用可能な有機材料の基材として
は、アクリル樹脂、ポリスチレン、ABS、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リエチレンナフタレート、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化
ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレ
ンサルファイド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹
脂、ポリイミド系樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられ
る。
【0019】
【実施例】実施例1 ペンタエトキシタングステンをイソプロパノールに溶解
した液をスピンコート法によってシリカコートガラス上
にコーティングした。このとき使用したコーティング液
のペンタエトキシタングステンの濃度は溶液総重量に対
して固形分比で5.0%になるように調整した。スピンコー
トは毎分1500回転の回転速度で10秒間おこない、
コーティングした膜は電気炉中で500℃、30分間の
焼成をおこなった。焼成後の膜はX線回折の結果から酸
化レニウム型構造の三酸化タングステンであることを確
認した。
【0020】作製した薄膜の表面の水との接触角が安定
するまで暗所に保管した後、可視光の照射をおこない、
表面の水との接触角の変化を測定した。可視光の光源は
150Wのキセノンランプ(林時計工業、LA−150
Xe)を用い、光源からの光を高透過率のファイバーに
よって誘導し、紫外光カットフィルター(東芝硝子、Y
−43)と可視光、熱線カットフィルター(東芝硝子、
V−40)を介して照射波長を430〜500nmとし
た。水との接触角は接触角測定器(協和界面科学、CA
−X150)により、マイクロシリンジから水滴を滴下
して求めた。その結果、図1に示したようにタングステ
ン酸化物は可視光に応じて親水化することが分かる。
【0021】実施例2 タングステン酸を25%のアンモニア水に溶解した液を
スピンコート法によってシリカコートガラス上にコーテ
ィングした。このとき使用したタングステン酸の濃度は
溶液総重量に対して固形分比で2.0%となるように調整し
た。スピンコートは毎分1500回転の回転速度で10
秒間おこない、コーティングした膜は電気炉中で500
℃、30分間の焼成をおこなった。この工程を2回おこ
なって約300nmの膜厚のタングステン酸化物を含有す
る薄膜を作製した。焼成後の膜はX線回折の結果から酸
化レニウム型構造の三酸化タングステンであることを確
認した。
【0022】作製した酸化タングステン薄膜の表面の水
との接触角が安定するまで暗所に保管した後、可視光の
照射をおこない、表面の水との接触角の変化を測定し
た。評価方法は実施例1と同様である。その結果、図2
に示したようにタングステン酸化物は可視光に応じて親
水化することが分かる。
【0023】比較例1 酸化チタンコート剤(日本曹達、NDH510C)をシ
リカコートしたガラスにディップコート法で成膜した。
ディップコートは15cm/分の引き上げ速度でおこな
い、コーティングした膜は電気炉中で500℃、30分
間の焼成をおこなった。この工程を2回繰返して約30
0nmの膜厚の酸化チタン薄膜を作製した。
【0024】作製した酸化チタン薄膜の表面の水との接
触角が安定するまで暗所に保管した後、可視光の照射を
おこない、表面の水との接触角の変化を測定した。評価
方法は実施例1と同様である。その結果、図3に示すよ
うに、酸化チタンは可視光では全く親水化しなかった。
【0025】実施例3 実施例2で得た酸化タングステン薄膜の酸化力をメチレ
ンブルーの分解を指標に評価した。1.0×10-3mo
l/リットル濃度のメチレンブルー水溶液中に、実施例
2で得た薄膜を完全に浸漬させ薄膜上にメチレンブルー
に吸着させた。浸漬時間は1時間とした。薄膜をゆっく
りと取り出し、立て掛けた状態でデシケーターに入れ、
暗所にて1時間乾燥させた。また裏面に付着した色素を
湿らせた布などで拭き取った。メチレンブルーを吸着さ
せた薄膜について、メチレンブルーの吸収波長である5
80nmにおける吸光度を分光光度計(島津製作所、U
V−1200)によって測定し、初期吸光度とした。
【0026】このようにして得られた薄膜にブラックラ
イト灯(東芝ライテック、FL10BLB)を用いて、
紫外線照度が紫外線照度計(ウシオ電機、UVR−2)
で1mW/cm2になるように設定して照射した。紫外線照
射の過程におけるメチレンブルーの吸光度の変化を測定
した。その結果、図4に示すように酸化タングステン薄
膜上ではメチレンブルーが全く分解されず、酸化タング
ステンは酸化分解力を有していないことが分かる。
【0027】比較例2 比較例1で得た酸化チタン薄膜の酸化力について、メチ
レンブルーの分解を指標に評価した。評価方法は実施例
3と同様である。その結果、図4に示すように酸化チタ
ンは光励起によってメチレンブルーを容易に酸化分解す
ることが分かる。
【0028】実施例4 酸化チタンコート剤(日本曹達、NDH510C)をシ
リカコートしたガラスにディップコート法で成膜した。
ディップコートは15cm/分の引き上げ速度でおこな
い、コーティングした膜は電気炉中で500℃、30分
間の焼成をおこなった。この工程を2回繰返して約30
0nmの膜厚の酸化チタン薄膜を作製した。この薄膜の
上に更に、タングステン酸を25%のアンモニア水に溶
解した液をスピンコート法によってコーティングした。
このとき使用したタングステン酸の濃度は溶液総重量に
対して固形分比で0.1%および1.0%となるように調整し
た。スピンコートは毎分1500回転の回転速度で10
秒間おこない、コーティングした膜は電気炉中で500
℃、30分間の焼成をおこなった。コーティング溶液中
のタングステン酸の濃度が0.1%の場合#1試料、1.0%の
場合#2試料とした。
【0029】作製した薄膜の表面の水との接触角が安定
するまで暗所に保管した後、白色蛍光灯の照射をおこな
い、表面の水との接触角の変化を測定した。白色蛍光灯
は、10W(東芝ライテック、FL10N)を用いて、
紫外線照度は薄膜表面部分において、紫外線照度計(ウ
シオ電機、UVR−2)で10μW/cm2となるように設
定した。水との接触角は接触角測定器(協和界面科学、
CA−X150)により、マイクロシリンジから水滴を
滴下して求めた。その結果、図5に示すように、酸化チ
タン単体の膜は水との接触角が10°までしか親水化し
なかった。酸化タングステンに酸化チタンを含有させた
場合、酸化チタン単体よりも親水化感度が向上し、特に
#2試料は水との接触角が5°以下まで高度に親水化し
た。
【0030】実施例5 実施例4で得た薄膜の酸化力をメチレンブルーの分解を
指標に評価した。評価方法は実施例3と同様である。薄
膜にブラックライト灯(東芝ライテック、FL10BL
B)を用いて、紫外線照度が紫外線照度計(ウシオ電
機、UVR−2)で1mW/cm2になるように設定して3
5分間照射した。紫外線を照射した後、直ちに薄膜の吸
光度を測定し、初期吸光度からの減少量(ΔAbs)を
算出した。その結果、表1に示すように、酸化タングス
テンに酸化チタンを含有させた場合、酸化チタン単体よ
りもΔAbsが小さくなった。つまり、酸化タングステ
ンに酸化チタンを含有させたものの方が酸化チタン単体
よりも酸化分解力が弱いという結果が得られた。特に、
#2試料は酸化チタン単体と比較してΔAbsの値が約
1/4となった。
【0031】
【表1】 紫外線を照射した場合のメチレンブルーの吸光度変化
【0032】実施例6 実施例1で得られた薄膜#1試料、実施例2で得られた
薄膜#2試料、および比較例1で得られた薄膜#3試料
を住宅の屋外の窓ガラスに設置し、60日間屋外に暴露し
た後の薄膜の透明性を目視にて評価した。その結果、酸
化チタン単体#3試料は硫酸塩や硝酸塩の蓄積による白
濁が著しく、透明性が損なわれたが、#1試料、#2試
料は透明性を保っていた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1に係る試料表面の水との接
触角と光照射時間の関係を示す図。
【図2】 本発明の実施例2に係る試料表面の水との接
触角と光照射時間の関係を示す図。
【図3】 本発明の比較例1に係る試料表面の水との接
触角と光照射時間の関係を示す図。
【図4】 本発明の実施例3および比較例2に係るメチ
レンブルーの吸光度と光照射時間の関係を示す図。
【図5】 本発明の実施例4に係る試料表面の水との接
触角と蛍光灯照射時間の関係を示す図。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C03C 17/23 C03C 17/23 E06B 7/12 E06B 7/12 // C09K 3/18 C09K 3/18 (72)発明者 橋本 和仁 神奈川県横浜市栄区飯島町2073番地2ニュ ーシティー本郷台D棟213 (72)発明者 藤嶋 昭 神奈川県川崎市中原区中丸子710番地5 (72)発明者 渡部 俊也 神奈川県藤沢市鵠沼海岸6丁目15番7号 Fターム(参考) 2E036 SA00 TA00 4F100 AA17B AA21B AK01A AR00B AS00B AT00A BA02 EJ42 GB07 GB08 JB05 JB05B JL06 JL08B JN01 JN01B 4G059 AA01 AA11 AC21 EA01 EA04 4G069 AA03 BA04A BA04B BA48A BC54A BC54B BC60A BC60B BD02A BD02B 4H020 AA01 AB02

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 親水性表面を備えた部材であって、基材
    と、前記基材の表面に接合され、n型の光触媒性半導体
    材料として酸化タングステン及び/又は酸化バナジウム
    を含む層を備え、前記層の表面は光触媒性半導体材料の
    光励起に応じて親水性を呈することを特徴とする親水性
    部材。
  2. 【請求項2】 前記光励起は可視光の照射であることを
    特徴とする請求項1に記載の親水性部材。
  3. 【請求項3】 前記層は更に光触媒性半導体材料として
    酸化チタンを含んでなることを特徴とする請求項1又は
    2に記載の親水性部材。
  4. 【請求項4】 前記層は実質的に透明であることを特徴
    とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の親水性部
    材。
  5. 【請求項5】 前記基材が建築外装材であることを特徴
    とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の親水性部
    材。
  6. 【請求項6】 前記基材が建築内装材であることを特徴
    とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の親水性部
    材。
  7. 【請求項7】 前記光励起は室内の照明装置から照射さ
    れる可視光の照射であることを特徴とする請求項6に記
    載の親水性部材。
  8. 【請求項8】 前記基材が有機材料で形成されているこ
    とを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の親
    水性部材。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002024333A1 (fr) * 2000-09-22 2002-03-28 Toto Ltd. Élément à fonction photocalytique
WO2003013726A1 (fr) * 2001-08-08 2003-02-20 Sumitomo Metal Mining Co.,Ltd. Photocatalyseur ayant une activite catalytique meme dans la region de la lumiere visible
WO2003013727A1 (fr) * 2001-08-08 2003-02-20 Sumitomo Metal Mining Co., Ltd. Photocatalyseur presentant une activite catalytique, y compris dans une zone de lumiere visible
JP2009061392A (ja) * 2007-09-06 2009-03-26 Creative Life:Kk 光触媒体および光触媒体を用いたコーティング組成物
JP2012120967A (ja) * 2010-12-07 2012-06-28 Nissan Motor Co Ltd 可視光応答型光触媒およびこれを含む親水性部材ならびにこれらの製造方法
JP2014194028A (ja) * 2008-03-04 2014-10-09 Toshiba Corp 親水性部材の製造方法

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