JPWO2001081401A1 - 新規コレクチン - Google Patents

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Abstract

特にヒトの体内で抗細菌、抗ウイルス活性などを発揮することが期待される新規コレクチンにかかる、配列番号:1、3、5、7、9、12、36、38もしくは40で示される塩基配列を含む単離されたコレクチン(CL−L2s)遺伝子、および配列番号:2、4、6、8、10、13、37、39もしくは41で示されるアミノ酸配列を含む単離されたコレクチンタンパク質とそれらの誘導体ならびに断片を提供する。

Description

〔技術分野〕
本発明は、単離されたヒトおよびマウスの新規コレクチン(本明細書において各々「hCL−L2」および「mCL−L2」と称し、両者を区別しない場合は単に「CL−L2」と称する。)遺伝子およびタンパク質、それらの相同体、変異体、修飾体および多形性変種(これらを総じて「誘導体」と称する)、それらの断片(以下、それら全てを「CL−L2s」と称する)ならびにそれらの検出に関する。また、CL−L2sを含む医薬用、診断用、研究用組成物、それらの製造方法および使用に関する。更には、CL−L2sタンパク質のアゴニストおよびアンタゴニスト、CL−L2sを用いた薬物のスクリーニング方法に関する。更には、CL−L2s遺伝子を含む発現ベクター、該発現ベクターによって形質転換された形質転換細胞、CL−L2sタンパク質に対する抗体および該抗体を産生する細胞に関する。
〔背景技術〕
生体防御に重要な役割を担っている補体系は免疫グロブリンを認識分子とし、補体第一成分であるC1が活性化される古典的経路および細菌等の異物に補体第三成分であるC3が直接結合する第二経路が知られている。近年これらの補体活性化経路に加えて、血清レクチンであるマンノース結合蛋白質(以下、MBPと称する)が異物表面の糖鎖を直接認識し結合することにより補体系を活性化させるレクチン経路が明らかにされた(Sato,T.et al.;Int.Immunol.,6,665−669,1994)。
MBPはCa存在下、マンノースやN−アセチルグルコサミン等に特異的に結合するC型レクチンであり、その構造は少なくとも(Gly−Xaa−Yaa)nから成るコラーゲン様領域、糖鎖認識領域(CRD)を含んでいる。MBPと同様にコラーゲン様領域およびCRDを有するレクチンはコレクチンと総称され(Malhotora,R.et al.;Eur.J.Immunol.,22,1437−1445,1992)、MBP以外にコレクチン−43(CL−43)、サーファクタント蛋白質A(SP−A)、サーファクタント蛋白質D(SP−D)およびウシコングルチニン(BKg)等を挙げることができる。コレクチンはオプソニン活性を有し、細菌、ウィルスを始めとする様々な微生物に対する基礎免疫に関与していると考えられている(Kawasaki,N.et al.;J.Biochem.,106,483−489,1989、Ikeda,K,et al.;J.Biol.Chem.,262,7451−7454,1987、Ohta,M.et al.;J.Biol.Chem.,265,1980−1984,1990、Summerfield,J.A.et al.;Lancet,345,886,1995)。
これらのコレクチンは、第1図(a)に示すような、(1)CRDおよび(2)コラーゲン様領域等の特徴的な領域を含む基本構造から構成されていることが知られており(Malhortra et al.;Eur.J.Immunol.,22,1437−1445,1992)、この基本構造がコラーゲン様領域においてトリプルヘリックスを構成することによりサブユニットを形成し、さらにこのサブユニットが3量体、4量体、6量体等のオリゴマー構造を形成している。
最近、コレクチンによる非特異的な免疫応答への関与が示唆され、例えば、母親の移行抗体や特異的防御システムが十分に発達していない小児に対し、種々の微生物の中和作用や排除に重要な役割を果たしているとの報告がなされている(Super et al.;Lancet,2,1236−1239,1989)。さらに、宿主の生体防御におけるこれらのコレクチンの役割について、例えば、MBPの遺伝子上の変異に起因したMBPの血中濃度の低下によって、宿主が感染を受けやすくなるという研究結果が報告されている(Sumiya et al.;Lancet,337,1569−1570,1991)。また、オプソニン化不全の血清中MBP含量は低値を示し(Madsen,H.O.et al.;Immuno genetics,40,37−44,1994)細菌感染を起こしやすいという報告があり(Garred,P.et al.;Lancet,346,941−943,1995)、MBPは免疫機構において重要な役割を担っていると考えることができる。
本発明者らは、以前にBKgおよびMBPがH1およびH3タイプのインフルエンザA型ウィルスの感染や赤血球凝集活性を阻害することを見出した(Wakamiya et al.;Glycoconjugate J.,8,235,1991、Wakamiya et al.;Biochem.Biophys.Res.Comm.,187,1270−1278,1992)。その後さらに、BKgをコードするcDNAクローンを取得し、BKgとSP−D等との関連性も見出されている(Suzuki et al.;Biochem.Biophys.Res.Comm.,191,335−342,1993)。
このように、コレクチンは、生体防御機構の解明における有用性および生理活性物質としての有用性等が期待される物質であり、このファミリーに属する新規分子種の発見は、感染症の治療の他、種々の医療分野そして生物学の分野にも寄与するところ大である。
〔発明の開示〕
本発明は、基礎免疫の機能の解明、細菌感染症等を始めとする各種疾患等の発症機構の解明、さらにその診断、予防および治療法、並びにそれらのための試薬や医薬の開発に利用できるものを提供することを目的とする。
すなわち、本発明は以下の(1)〜(33)をその要旨とするものである。
(1)配列番号2のアミノ酸番号1〜271に示すアミノ酸271個から成るアミノ酸配列を有するタンパク質、または、配列番号2に示すアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ配列番号2のアミノ酸番号1〜271に示すアミノ酸配列を有するタンパク質と同等の性質を有するタンパク質、あるいはこれらの誘導体および断片。
(2)配列番号45(配列番号1の塩基番号265〜1077に相当)に示す塩基配列、配列番号2のアミノ酸番号1〜271に示すアミノ酸配列またはその断片をコードする塩基配列、または、これら塩基配列もしくはこれら塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ配列番号2のアミノ酸番号1〜271に示すアミノ酸配列を有するタンパク質と同等の性質を有するタンパク質をコードする塩基配列。
(3)配列番号4のアミノ酸番号1〜245に示すアミノ酸245個から成るアミノ酸配列を有するタンパク質、または、配列番号4のアミノ酸番号1〜245に示すアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ配列番号4のアミノ酸番号1〜245に示すアミノ酸配列を有するタンパク質と同等の性質を有するタンパク質、あるいはこれらの誘導体および断片。
(4)配列番号46(配列番号3の塩基番号141〜875に相当)に示す塩基配列、配列番号4のアミノ酸番号1〜245に示すアミノ酸配列またはその断片をコードする塩基配列、または、これら塩基配列もしくはこれら塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ配列番号4のアミノ酸番号1〜245に示すアミノ酸配列を有するタンパク質と同等の性質を有するタンパク質をコードする塩基配列。
(5)配列番号47(配列番号2のアミノ酸番号113〜271に相当)に示すアミノ酸159個から成るアミノ酸配列を有するタンパク質、または、配列番号2に示すアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ配列番号2のアミノ酸番号113〜271に示すアミノ酸配列を有するタンパク質と同等の性質を有するタンパク質、あるいはこれらの誘導体および断片。
(6)配列番号48(配列番号1の塩基番号601〜1077に相当)に示す塩基配列、配列番号2のアミノ酸番号113〜271に示すアミノ酸配列またはその断片をコードする塩基配列、または、これら塩基配列もしくはこれら塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ配列番号2のアミノ酸番号113〜271に示すアミノ酸配列を有するタンパク質と同等の性質を有するタンパク質をコードする塩基配列。
(7)(5)に記載のタンパク質のN末端側に(Gly−Xaa−Yaa)n(但しnは1以上50以下の整数を示し、XaaおよびYaaはアミノ酸残基を示し、XaaとYaaは同一アミノ酸残基であっても異なるアミノ酸残基であっても良い)の構造をさらに含むことを特徴とするタンパク質。
(8)(7)における(Gly−Xaa−Yaa)nが下記群、すなわち、
Figure 2001081401
Figure 2001081401
Figure 2001081401
を含む配列から選択されることを特徴とする(7)のタンパク質。
(9)(7)または(8)に記載のタンパク質をコードする塩基配列。
(10)(7)または(8)に記載のタンパク質の(Gly−Xaa−Yaa)nの構造のN末端に以下のアミノ酸配列すなわち、
Figure 2001081401
(11)(7)または(8)に記載のタンパク質の(Gly−Xaa−Yaa)nの構造のN末端に以下のアミノ酸配列すなわち、
Figure 2001081401
らに含むことを特徴とするタンパク質。
(12)(10)または(11)に記載のタンパク質をコードする塩基配列。
(13)配列番号6のアミノ酸番号1〜197に示すアミノ酸197個から成るアミノ酸配列を有するタンパク質、または、配列番号6に示すアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ配列番号6のアミノ酸番号1〜197に示すアミノ酸配列を有するタンパク質と同等の性質を有するタンパク質、あるいはこれらの誘導体および断片。
(14)配列番号55(配列番号5の塩基番号141〜731に相当)に示す塩基配列、配列番号6のアミノ酸番号1〜197に示すアミノ酸配列またはその断片をコードする塩基配列、または、これら塩基配列もしくはこれら塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ配列番号6のアミノ酸番号1〜197に示すアミノ酸配列を有するタンパク質と同等の性質を有するタンパク質をコードする塩基配列。
(15)配列番号8のアミノ酸番号1〜221に示すアミノ酸221個から成るアミノ酸配列を有するタンパク質、または、配列番号8のアミノ酸番号1〜221に示すアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ配列番号8のアミノ酸番号1〜221に示すアミノ酸配列を有するタンパク質と同等の性質を有するタンパク質、あるいはこれらの誘導体および断片。
(16)配列番号56(配列番号7の塩基番号141〜803に相当)に示す塩基配列、配列番号8のアミノ酸番号1〜221に示すアミノ酸配列またはその断片をコードする塩基配列、または、これら塩基配列もしくはこれら塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ配列番号8のアミノ酸番号1〜221に示すアミノ酸配列を有するタンパク質と同等の性質を有するタンパク質をコードする塩基配列。
(17)配列番号10のアミノ酸番号1〜221に示すアミノ酸221個から成るアミノ酸配列を有するタンパク質、または、配列番号10のアミノ酸番号1〜221に示すアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ配列番号10のアミノ酸番号1〜221に示すアミノ酸配列を有するタンパク質と同等の性質を有するタンパク質、あるいはこれらの誘導体および断片。
(18)配列番号57(配列番号9の塩基番号141〜803に相当)に示す塩基配列、配列番号10のアミノ酸番号1〜221に示すアミノ酸配列またはその断片をコードする塩基配列、または、これら塩基配列もしくはこれら塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ配列番号10のアミノ酸番号1〜221に示すアミノ酸配列を有するタンパク質と同等の性質を有するタンパク質をコードする塩基配列。
(19)配列番号13のアミノ酸番号1〜271に示すアミノ酸271個から成るアミノ酸配列を有するタンパク質、または、配列番号13のアミノ酸番号1〜271に示すアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ配列番号13のアミノ酸番号1〜271に示すアミノ酸配列を有するタンパク質と同等の性質を有するタンパク質、あるいはこれらの誘導体および断片。
(20)配列番号58(配列番号12の塩基番号157〜969に相当)に示す塩基配列、配列番号13のアミノ酸番号1〜271に示すアミノ酸配列またはその断片をコードする塩基配列、または、これら塩基配列もしくはこれら塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ配列番号13のアミノ酸番号1〜271に示すアミノ酸配列を有するタンパク質と同等の性質を有するタンパク質をコードする塩基配列。
(21)配列番号37のアミノ酸番号1〜223に示すアミノ酸223個から成るアミノ酸配列を有するタンパク質、または、配列番号37のアミノ酸番号1〜223に示すアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ配列番号37のアミノ酸番号1〜223に示すアミノ酸配列を有するタンパク質と同等の性質を有するタンパク質、あるいはこれらの誘導体または断片。
(22)配列番号59(配列番号36の塩基番号265〜933に相当)に示す塩基配列、配列番号37のアミノ酸番号1〜223に示すアミノ酸配列またはその断片をコードする塩基配列、または、これら塩基配列もしくはこれら塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ配列番号37のアミノ酸番号1〜223に示すアミノ酸配列を有するタンパク質と同等の性質を有するタンパク質をコードする塩基配列。
(23)配列番号39のアミノ酸番号1〜247に示すアミノ酸247個から成るアミノ酸配列を有するタンパク質、または、配列番号39のアミノ酸番号1〜247に示すアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ配列番号39のアミノ酸番号1〜247に示すアミノ酸配列を有するタンパク質と同等の性質を有するタンパク質、あるいはこれらの誘導体または断片。
(24)配列番号60(配列番号38の塩基番号265〜1005に相当)に示す塩基配列、配列番号39のアミノ酸番号1〜247に示すアミノ酸配列またはその断片をコードする塩基配列、または、これら塩基配列もしくはこれら塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ配列番号39のアミノ酸番号1〜247に示すアミノ酸配列を有するタンパク質と同等の性質を有するタンパク質をコードする塩基配列。
(25)配列番号41のアミノ酸番号1〜247に示すアミノ酸247個から成るアミノ酸配列を有するタンパク質、または、配列番号41のアミノ酸番号1〜247に示すアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ配列番号41のアミノ酸番号1〜247に示すアミノ酸配列を有するタンパク質と同等の性質を有するタンパク質、あるいはこれらの誘導体または断片。
(26)配列番号61(配列番号40の塩基番号265〜1005に相当)に示す塩基配列、配列番号41のアミノ酸番号1〜247に示すアミノ酸配列またはその断片をコードする塩基配列、または、これら塩基配列もしくはこれら塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ配列番号41のアミノ酸番号1〜247に示すアミノ酸配列を有するタンパク質と同等の性質を有するタンパク質をコードする塩基配列。
(27)(2)、(4)、(6)、(9)、(12)、(14)、(16)、(18)、(20)、(22)、(24)または(26)に記載の塩基配列を含むことを特徴とするベクター。
(28)(2)、(4)、(6)、(9)、(12)、(14)、(16)、(18)、(20)、(22)、(24)または(26)に記載の塩基配列を発現可能に保持する形質転換細胞。
(29)(2)、(4)、(6)、(9)、(12)、(14)、(16)、(18)、(22)、(24)または(26)に記載の塩基配列で形質転換した細胞を培養し、産生されたhCL−L2sタンパク質を採取することを特徴とするタンパク質の製造法。
(30)(20)記載の塩基配列で形質転換した細胞を培養し、産生されたmCL−L2sタンパク質を採取することを特徴とするタンパク質の製造法。
(31)細胞が大腸菌、動物細胞または昆虫細胞である、(29)または(30)に記載の製造法。
(32)CL−L2s遺伝子の発現レベルを変化させたトランスジェニック非ヒト動物。
(33)mCL−L2s遺伝子の機能を欠損させたノックアウトマウス。
(34)(1)、(3)、(5)、(7)、(8)、(10)、(11)、(13)、(15)、(17)、(19)、(21)、(23)または(25)に記載のタンパク質またはその断片に対する抗体。
(35)ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体またはペプチド抗体である(34)記載の抗体。
(36)(34)または(35)に記載の抗体とCL−L2sタンパク質またはその断片との免疫学的な結合に基づいて、該タンパク質またはその断片を測定する方法。
(37)(1)、(3)、(5)、(7)、(8)、(10)、(11)、(13)、(15)、(17)、(19)、(21)、(23)または(25)に記載のタンパク質の機能を刺激するアゴニスト。
(38)(1)、(3)、(5)、(7)、(8)、(10)、(11)、(13)、(15)、(17)、(19)、(21)、(23)または(25)に記載のタンパク質の機能を阻害するアンタゴニスト。
(39)(1)、(3)、(5)、(7)、(8)、(10)、(11)、(13)、(15)、(17)、(19)、(21)、(23)または(25)に記載のタンパク質を用いることを特徴とする薬物のスクリーニング方法。
(40)(39)に記載のスクリーニング方法によって得られた薬物。
〔発明を実施するための最良の形態〕
本発明者らはヒトおよびマウス新規コレクチン遺伝子(hCL−L2およびmCL−L2)のクローニングに成功した。新規CL−L2のC末端側には、基礎免疫に関与すると考えられるCRD(配列番号2および13のアミノ酸番号113〜271、配列番号4のアミノ酸番号87〜245)ならびに(Gly−Xaa−Yaa)n構造を有するコラーゲン様領域(配列番号2および13のアミノ酸番号41〜112、配列番号4のアミノ酸番号18〜86)を有していた。
また、hCL−L2には第4図に示したように、N末端側のアミノ酸配列が異なる2種類のタンパク質(CL−L2−1およびCL−L2−2)が存在していた。具体的には、CL−L2−1(配列番号2に示す)のN末端側(第1〜43位)アミノ酸とCL−L2−2(配列番号4に示す)のN末端側(第1〜17位)アミノ酸が異なっており、その余は同一であった。さらに、CL−L2−1のN末端側アミノ酸の第1〜43位にはシグナル配列およびコラーゲン構造1巻分等が含有されていたが、CL−L2−2のN末端側アミノ酸第1〜17位にはシグナル配列およびコラーゲン様構造一巻分は存在しなかった。
加えて、CL−L2−2にはmRNAのオルターナティブスプライシングによって生じる3種のタンパク質が存在していた。それらをCL−L2−2v1(配列番号5、6)、CL−L2−2v2(配列番号7、8)およびCL−L2−2v3(配列番号9、10)と称す。CL−L2−2v1は、配列番号4に示すCL−L2−2のアミノ酸番号18〜65間が欠失(配列番号3に示すCL−L2−2の塩基番号192〜335間が欠失)したものであり、CL−L2−2v2は、配列番号4に示すCL−L2−2のアミノ酸番号18〜41間が欠失(配列番号3に示すCL−L2−2の塩基番号192〜263間が欠失)したものであり、CL−L2−2v3は、配列番号4に示すCL−L2−2のアミノ酸番号42〜65間が欠失(配列番号3に示すCL−L2−2の塩基番号264〜335間が欠失)したものである。これら3種のタンパク質は、すべてCL−L2−2のコラーゲン様領域内のスプライシングの差異により生じていた。
さらに、CL−L2−1にはmRNAのオルターナティブスプライシングによって生じる3種のタンパク質が存在していた。それらをCL−L2−1v1(配列番号36、37)、CL−L2−1v2(配列番号38、39)およびCL−L2−1v3(配列番号40、41)と称す。CL−L2−1v1は、配列番号2に示すCL−L2−1のアミノ酸番号44〜91間が欠失(配列番号1に示すCL−L2−1の塩基番号394〜537間が欠失)したものであり、CL−L2−1v2は、配列番号2に示すCL−L2−1のアミノ酸番号44〜67間が欠失(配列番号1に示すCL−L2−1の塩基番号394〜465間が欠失)したものであり、CL−L2−1v3は、配列番号2に示すCL−L2−1のアミノ酸番号68〜91間が欠失(配列番号1に示すCL−L2−1の塩基番号466〜537間が欠失)したものである。これら3種のタンパク質は、すべてCL−L2−1のコラーゲン様領域内のスプライシングの差異により生じていた。
本明細書において使用するhCL−L2遺伝子とは、特記しない限り、それぞれ配列番号1に示すhCL−L2−1、配列番号3に示すhCL−L2−2、配列番号5に示すhCL−L2−2v1、配列番号7に示すhCL−L2−2v2、配列番号9に示すhCL−L2−2v3、配列番号36に示すhCL−L2−1v1、配列番号38に示すhCL−L2−1v2、および配列番号40に示すhCL−L2−1v3を包含する。本明細書において使用するhCL−L2タンパク質とは、特記しない限り、それぞれ配列番号2に示すhCL−L2−1、配列番号4に示すhCL−L2−2、配列番号6に示すhCL−L2−2v1、配列番号8に示すhCL−L2−2v2、配列番号10に示すhCL−L2−2v3、配列番号37に示すhCL−L2−1v1、配列番号39に示すhCL−L2−1v2、および配列番号41に示すhCL−L2−1v3を包含する。また、それらの相同体、変異体、修飾体および多形性変種(これらを総じて「誘導体」と称する)、並びにそれらの断片を含むものとする。これらは天然または人工的作製を問わない。本発明には前記記載の全てが包含される。
本明細書において使用するmCL−L2遺伝子とは、特記しない限り、配列番号12に示すmCL−L2を包含する。本明細書において使用するmCL−L2タンパク質とは、特記しない限り、それぞれ配列番号13に示すmCL−L2を包含する。また、それらの相同体、変異体、修飾体および多形性変種(これらを総じて「誘導体」と称する)、並びにそれらの断片を含むものとする。これらは天然または人工的作製を問わない。本発明には前記記載の全てが包含される。
また、本発明には、実質的に配列番号2、4、6、8、10、13、37、39もしくは41、配列番号47(配列番号2のアミノ酸番号113〜271に相当)または配列番号13のアミノ酸番号113〜271に示すアミノ酸配列に類似するアミノ酸配列、および実質的に配列番号2、4、6、8、10、13、37、39もしくは41、配列番号47(配列番号2のアミノ酸番号113〜271に相当)または配列番号13のアミノ酸番号113〜271に示すアミノ酸配列に類似するアミノ酸配列をコードする塩基配列も含まれる。さらにこれらのアミノ酸配列を有するタンパク質も含まれる。配列番号2、4、6、8、10、13、37、39もしくは41、配列番号47(配列番号2のアミノ酸番号113〜271に相当)または配列番号13のアミノ酸番号113〜271示すアミノ酸配列に実質的に類似するアミノ酸配列とは、配列番号2、4、6、8、10、13、37、39もしくは41、配列番号47(配列番号2のアミノ酸番号113〜271に相当)または配列番号13のアミノ酸番号113〜271に示すアミノ酸配列を含むタンパク質と同等の性質を有する範囲内で、1もしくは数個のアミノ酸の置換、欠失、付加および/または挿入等の改変を有するアミノ酸配列をいう。これらは天然または人工的作製を問わない。
かかる1または複数のアミノ酸の欠失、置換及び/または付加とは、新規コレクチンの親水性・疎水性、酸性・塩基性、含有基などに大幅な変化をきたさず、(1)Ca2+要求性の糖認識構造様領域(CRD)及び(2)コラーゲン様領域の有する各々の基本的な特徴を変えることが少ない範囲でのアミノ酸の欠失、置換及び/または付加を称する。これまでに報告されているコレクチンファミリーのタンパク質のアミノ酸配列とその構造に基づき、例えば(1)Ca2+要求性の糖認識構造様領域(CRD)において1〜10程度、(2)コラーゲン様領域において1〜50程度、好ましくは1〜15のアミノ酸の欠失、置換及び/または付加が許容されると考えられる。
そして同等の性質とは、改変前のアミノ酸配列を含むタンパク質固有の性質、例えばタンパク質三次構造に関わる特性を称するものとする。
さらに、本発明には、配列番号1、3、5、7、9、12、36、39もしくは41、配列番号48(配列番号1の塩基番号601〜1077に相当)または配列番号12の塩基番号493〜969のいずれかに記載の核酸配列またはその断片を含む核酸配列、またはこれらに相補的な核酸配列(以下、特定配列と称する)とストリンジェントな条件下ハイブリダイズすることができる核酸配列も含まれる。本発明におけるストリンジェントな条件とは、例えば、5×SSC、5%デンハート溶液(0.1%BSA、0.1%Ficol 1400、0.1%PVP)、0.5%SDSおよび20μg/mL変性サケ精子DNAを含有する溶液中で、37℃にて一夜インキュベートし、ついで室温にて0.1%SDS含有2×SSCで洗浄する条件である。SSCの代わりに適宜SSPEを使用してもよい。この様にして得られた核酸配列は、少なくとも特定配列と50%以上の相同性(ホモロジー)を有すると考えられる。特定配列とストリンジェントな条件下ハイブリダイズすることができる核酸配列によってコードされるタンパク質は、CL−L2sタンパク質と同等の性質を持つものが多いと考えられ、CL−L2sタンパク質と同等の性質を有する限り、該タンパク質も本発明に含まれる。
特に、配列番号2に示すhCL−L2−1(アミノ酸番号1〜271)のアミノ酸配列はアミノ酸271個から成るタンパク質であり、それをコードする塩基配列(配列番号45)は塩基数813個から成る。該配列にはシグナル配列、コラーゲン様ドメイン、CRDドメイン等の特徴的なアミノ酸配列が存在していた。このタンパク質をコードする塩基配列を配列番号1に示した。
また、配列番号4に示すhCL−L2−2(アミノ酸番号1〜245)のアミノ酸配列はアミノ酸245個から成るタンパク質であり、それをコードする塩基配列(配列番号46)は塩基数735個から成る。該配列にはコラーゲン様ドメイン、CRDドメイン等の特徴的なアミノ酸配列が存在していた。このタンパク質をコードする塩基配列を配列番号3に示した。
また、配列番号6に示すhCL−L2−2v1(アミノ酸番号1〜197)のアミノ酸配列はアミノ酸197個から成るタンパク質であり、それをコードする塩基配列(配列番号55)は塩基数591個から成る。該配列にはコラーゲン様ドメイン、CRDドメイン等の特徴的なアミノ酸配列が存在していた。このタンパク質をコードする塩基配列を配列番号5に示した。
また、配列番号8に示すhCL−L2−2v2(アミノ酸番号1〜221)のアミノ酸配列はアミノ酸221個から成るタンパク質であり、それをコードする塩基配列(配列番号56)は塩基数663個から成る。該配列にはコラーゲン様ドメイン、CRDドメイン等の特徴的なアミノ酸配列が存在していた。このタンパク質をコードする塩基配列を配列番号7に示した。
また、配列番号10に示すhCL−L2−2v3(アミノ酸番号1〜221)のアミノ酸配列はアミノ酸221個から成るタンパク質であり、それをコードする塩基配列(配列番号57)は塩基数663個から成る。該配列にはコラーゲン様ドメイン、CRDドメイン等の特徴的なアミノ酸配列が存在していた。このタンパク質をコードする塩基配列を配列番号9に示した。
また、配列番号37に示すhCL−L2−1v1(アミノ酸番号1〜223)のアミノ酸配列はアミノ酸223個から成るタンパク質であり、それをコードする塩基配列(配列番号59)は塩基数669個から成る。該配列にはコラーゲン様ドメイン、CRDドメイン等の特徴的なアミノ酸配列が存在していた。このタンパク質をコードする塩基配列を配列番号36に示した。
また、配列番号39に示すhCL−L2−1v2(アミノ酸番号1〜247)のアミノ酸配列はアミノ酸247個から成るタンパク質であり、それをコードする塩基配列(配列番号60)は塩基数741個から成る。該配列にはコラーゲン様ドメイン、CRDドメイン等の特徴的なアミノ酸配列が存在していた。このタンパク質をコードする塩基配列を配列番号38に示した。
また、配列番号41に示すhCL−L2−1v2(アミノ酸番号1〜247)のアミノ酸配列はアミノ酸247個から成るタンパク質であり、それをコードする塩基配列(配列番号61)は塩基数741個から成る。該配列にはコラーゲン様ドメイン、CRDドメイン等の特徴的なアミノ酸配列が存在していた。このタンパク質をコードする塩基配列を配列番号40に示した。
さらに、配列番号13に示すmCL−L2(アミノ酸番号1〜271)のアミノ酸配列はアミノ酸271個から成るタンパク質であり、それをコードする塩基配列(配列番号58)は塩基数813個から成る。該配列にはコラーゲン様ドメイン、CRDドメイン等の特徴的なアミノ酸配列が存在していた。このタンパク質をコードする塩基配列を配列番号12に示した。
本明細書中で使用する相同体とは、ホモロジーが高い核酸配列またはアミノ酸配列であり、ホモロジーが少なくとも50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上のものをいう。配列中に欠失や挿入が存在する場合には、ギャップ結合を許した相同性検索を行うと良い。例えば、マルチプル・アライメント(商品名:SODHO、富士通)の手法を用いて検索することができる。また、相同性検索のアルゴリズムには、最も厳密なSmith−Watermanアルゴリズムを用いることができる。その他、FASTAやBLAST等、インターネットを通じて利用することができる。
本明細書中で使用する変異体とは、例えば、対立遺伝子(アレル)、一ヌクレオチド多型(Single Nucleotide Polymorphism:SNP)等を挙げることができる。また、核酸配列の変異はコドンの縮重の範囲内で変化したものも本発明の核酸配列に含まれる。核酸配列のコドンの一部改変は、常法に従い、所望の改変をコードする合成オリゴヌクレオチドから成るプライマーを利用した部位特異的変異導入法(Mark,D.F.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,81,5662,1984)等に従って行うことができる、得られた人工的遺伝子変異体も本発明の核酸配列に含まれる。また、コドンの縮重の範囲を超えた場合であっても、変異したコドンによって翻訳された変異アミノ酸が、正常アミノ酸と類似の性質であることが好ましい。例えば、脂肪族アミノ酸であるアラニン、バリン、ロイシンおよびイソロイシン間での変異、中性アミノ酸であるグリシン、アラニン、セリン、トレオニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、システイン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、プロリン、トリプトファン、アスパラギンおよびグルタミン間での変異、酸性アミノ酸であるアスパラギン酸およびグルタミン酸間での変異、塩基性アミノ酸であるアルギニン、リジンおよびヒスチジン間での変異、水酸基を有するセリンおよびトレオニン間での変異、芳香環を有するフェニルアラニンおよびチロシン間での変異等、アミノ酸の性質・機能・特性等が類似のものであるのが好ましい。これら人工的または天然に変異したタンパク質も本発明のタンパク質の含まれる。人工的には、PCR法を用いて部位特異的変異を起こすことができ、その他公知の方法を用いて任意の場所に変異を起こさせることができる。
本明細書中で使用する修飾体とは、例えば、アセチル化、アシル化、ADP−リボシル化、アミド化、ミリストイル化、グリコシル化、水酸化、リン酸化、硫酸化、ホルミル化、メチル化、ポリエチレングリコール化、脂質結合、ヌクレオチド結合、金属結合(カルシウム付加体等)、多のタンパク質(アルブミン等)との融合体、二量体等の改変を通常の技術を用いて施すことができる。例えば、グリコシル化は宿主が大腸菌では起こらないため、グリコシル化を企図する場合には、真核細胞に発現すると良い。昆虫細胞も哺乳細胞と同様に翻訳後にグリコシル化を行うため使用することができる。
本明細書中で使用する多型性変種とは、例えば、染色体DNAの構造や形態の差異により生じる多型性、ある遺伝子が対立遺伝子に変化したために生じる多型性等をいう。一般に真核生物の遺伝子は多形現象を示すことが多く、この現象によって1個あるいはそれ以上のアミノ酸が置換される場合もあり、また、その場合であってもタンパク質の活性が保持される場合もある。ゆえに、配列番号2、4、6、8、10もしくは13、37、39もしくは41、配列番号47(配列番号2のアミノ酸番号113〜271に相当)または配列番号13のアミノ酸番号113〜271のいずれかに示されるアミノ酸配列をコードする遺伝子を人工的に改変したものを用いて得られたタンパク質をコードする遺伝子は、該タンパク質が本発明の遺伝子の特徴的な機能を有する限り全て本発明に含まれる。さらに、配列番号2、4、6、8、10もしくは13、37、39もしくは41、配列番号47(配列番号2のアミノ酸番号113〜271に相当)または配列番号13のアミノ酸番号113〜271のいずれかに示されるアミノ酸配列を人工的に改変したタンパク質は、本発明のタンパク質の特徴を有する限り全て本発明に含有される。改変とは、置換、欠失、付加および/または挿入を含むと解する。
本明細書中で使用する断片とは、例えば、上述したCL−L2sが有するアミノ酸配列中の任意の断片を意味し、例えば、細胞外ドメイン、細胞内ドメイン、膜貫通ドメイン、コラーゲン様ドメイン、CRDドメイン、コレクチン様ドメイン、疎水性ドメイン(膜貫通ドメイン等)、親水性ドメイン(疎水性ドメイン以外)等を挙げることができ、またこれら断片を融合させた断片挙げることができる。
例えば、配列番号2に示すhCL−L2−1アミノ酸配列において、CRDドメインを形成する約113〜271番目のアミノ酸を有する断片、CRDドメインおよびコラーゲン様ドメインを形成する約41〜271番目のアミノ酸を有する断片、コラーゲン様ドメインを形成する約41〜112番目のアミノ酸を有する断片を挙げることができる。さらに、配列番号4に示すhCL−L2−2アミノ酸配列において、CRDドメインおよびコラーゲン様ドメインを形成する約18〜245番目のアミノ酸を有する断片、コラーゲン様ドメインを形成する約18〜86番目のアミノ酸を有する断片;配列番号6に示すhCL−L2−2v1アミノ酸配列において、CRDドメインおよびコラーゲン様ドメインを形成する約18〜197番目のアミノ酸を有する断片、コラーゲン様ドメインを形成する約18〜38番目のアミノ酸を有する断片;配列番号8に示すhCL−L2−2v2アミノ酸配列において、CRDドメインおよびコラーゲン様ドメインを形成する約18〜221番目のアミノ酸を有する断片、コラーゲン様ドメインを形成する約18〜62番目のアミノ酸を有する断片;配列番号10に示すhCL−L2−2v3アミノ酸配列において、CRDドメインおよびコラーゲン様ドメインを形成する約18〜221番目のアミノ酸を有する断片、コラーゲン様ドメインを形成する約18〜62番目のアミノ酸を有する断片を挙げることができる。そして、配列番号37に示すhCL−L2−1v1アミノ酸配列において、CRDドメインおよびコラーゲン様ドメインを形成する約41〜223番目のアミノ酸を有する断片、コラーゲン様ドメインを形成する約41〜64番目のアミノ酸を有する断片;配列番号39に示すhCL−L2−1v2アミノ酸配列において、CRDドメインおよびコラーゲン様ドメインを形成する約41〜247番目のアミノ酸を有する断片、コラーゲン様ドメインを形成する約41〜88番目のアミノ酸を有する断片;配列番号41に示すhCL−L2−1v3アミノ酸配列において、CRDドメインおよびコラーゲン様ドメインを形成する約41〜247番目のアミノ酸を有する断片、コラーゲン様ドメインを形成する約41〜88番目のアミノ酸を有する断片を挙げることができる。また、配列番号13に示すmCL−L2アミノ酸配列において、CRDドメインを形成する約113〜271番目のアミノ酸を有する断片、CRDドメインおよびコラーゲン様ドメインを形成する約41〜271番目のアミノ酸を有する断片、コラーゲン様ドメインを形成する約41〜112番目のアミノ酸を有する断片を挙げることもできる。
CL−L2s遺伝子取得方法
本発明のCL−L2s遺伝子は、いかなる方法で得られるものであっても良い。例えば、本発明のCL−L2sをコードする塩基配列は、該タンパク質を発現している細胞からmRNAを調製して、常法により二本鎖DNAに変換して得ることができる。mRNAの調製にはグアニジンイソチオシアネート・塩化カルシウム法(Chirwin,et al.,Biochemistry,18,5294,1979)等を用いることができる。全RNAからのポリ(A)RNAの調製は、オリゴ(dT)を結合した担体、例えばセファロースあるいはラテックス粒子等を用いたアフィニティークロマトグラフィー等を用いて行うことができる。上記のごとくして得られたRNAを鋳型にして、3’末端に存在するポリ(A)鎖に相補的なオリゴ(dT)またはランダムプライマーあるいはCL−L2sのアミノ酸配列の一部に相応する合成オリゴヌクレオチドをプライマーとして逆転写酵素で処理し(Mol.Cell Biol.,2,161,1982、Mol.Cell Biol.,3,280,1983、Gene,25,263,1983)、この様にして得られたcDNA鎖を、例えばE.coli RNaseH、E.coli DNA polymerase 1、E.coli DNA ligaseで処理し、DNA鎖に変換することにより、二本鎖cDNAを得ることができる。このcDNAをプラスミドベクター、ファージベクター、コスミドベクターに組み込み、大腸菌を形質転換して、あるいはインビトロパッケージングを施した後、大腸菌にトランスフェクトすることによりcDNAライブラリーを作製することができる。
ここで用いることができるプラスミドベクターとしては、宿主内で複製保持されるものであれば特に制限されなく、ファージベクターについても宿主内で増殖できるものであれば特に制限されない。クローニング用ベクターとして、例えば、pBR322、pUC19、λgt10、λgt11等が挙げられる。また、免疫学的スクリーニングに供する場合には、宿主内でCL−L2s遺伝子を発現させることができるプロモーターを有するベクターであることが好ましい。
プラスミドにcDNAを組み込む方法としては、Maniatisらの方法(Molecular Cloning,A Laboratory Manual,second edition)等を参考にすることができる。また、ファージベクターにcDNAを組み込む方法としては、Hyunhらの方法(DNA cloning,a practical approach,1,49,1985)等を参考にすることができる。
上記発現ベクターの宿主細胞への導入法としては、例えば、リポポリアミン法、DEAE−デキストラン法、ハナハン法、リポフェクチン法、リン酸カルシウム法によるトランスフェクション、マイクロインジェクションおよびエレクトロポーレーション等の方法(Molecular Cloning,A Laboratory Manual,second edition)がある。インビトロパッケージングは、市販のキット(Stratagene社製、Amersham社製)を用いることによって簡便に行うことができる。
上記方法によって作製されたcDNAライブラリーから、CL−L2sタンパク質をコードするcDNAを単離する方法は、一般的なcDNAスクリーニング方法を組み合わせて行うことができる。例えば、32Pで標識したプローブを作製し、コロニーハイブリダイゼーション法(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,72,3961,1975)、プラークハイブリダイゼーション法(Molecular Cloning,A Laboratory Manual,second edition、Cold Spring Harbor Laboratory,2,108,1989)により目的のcDNAを含有するクローンをスクリーニングすることができる。また、PCR法によりクローンを選択することもできる。さらに、cDNAを発現しうるベクターを用いてcDNAライブラリーを作製した場合には、CL−L2sを認識する抗体を用いることにより目的のクローンを選択することができる。
また、CL−L2s遺伝子を発現する細胞よりCL−L2s遺伝子を単離する際には、例えば、該発現細胞をSDSまたはプロテナーゼKを用いて溶解し、フェノール処理を行う。不用のRNAをリボヌクレアーゼにより消化する。得られるDNAを制限酵素により消化し、得られるDNA断片をファージまたはコスミドで増幅してライブラリーを作製する。その後、目的のクローンを選択し、CL−L2s遺伝子を取得することができる。
この様にして得られたDNAの塩基配列はマキサム・ギルバート法(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,74,560,1977)またはサンガー法(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,74,5463,1977)によって決定することができる。CL−L2s遺伝子は、上記得られたクローンから制限酵素等によって切り出すことにより得ることができる。
CL−L2塩基配列をもとに合成したプライマーを用いて、CL−L2s発現細胞ポリ(A)RNAを鋳型にしてRT−PCR法によりクローニングすることも可能である。また、PCRによらず、CL−L2s塩基配列をもとにプローブを作製・合成し、直接cDNAライブラリーをスクリーニングし、目的とするcDNAを得ることもできる。本発明の遺伝子を、これらの方法により得られた遺伝子の中から、その遺伝子の塩基配列を確認することにより選択することができる。本発明の遺伝子は、例えばホスホイミダイト法(Mattencci,M.D.et al.,J.Am.Chem.Soc.,130,3185,1981)等の核酸化学合成を用いる常法に従って製造することもできる。
発現ベクターの作製方法
本発明はまた、CL−L2s核酸配列を含むことを特徴とするベクターにも関する。ベクターは例えば、CL−L2sタンパク質を発現することができるものであれば特に制限されないが、プラスミドベクター、RNAベクター、DNAベクター、ウィルスベクター、ファージベクター等を用いることができる。具体的には、Invitrogen社製のpBAD/His、pRSETA、pcDNA2.1、pTrcHis2A、pYES2、pBlueBac4.5、pcDNA3.1、pSecTag2、Novagen社製のpET、pBAC、Promega社製のpGEM、Stratagene社製のpBluescriptII、pBS、Phagescript、pSG、pSV2CATもしくはFarmacia社製のpGEX、pUC18/19、pBPV、pSVK3、pSVL等が挙げられる。
発現ベクターにライゲーションしたCL−L2scDNA配列は、プロモーターに機能的に連結させる。プロモーターは例えば、ファージλPLプロモーター、E.coli lac、trp、tacプロモーター、SV40初期および後期プロモーター、T7およびT3プロモーター、レトロウィルスLTRプロモーターが挙げられる。特に、真核細胞に使用するプロモーターとしては、CMVプロモーター、HSVプロモーター、SV40初期および後期プロモーター、レトロウィルスLTRプロモーター、RSVプロモーター、メタロチオネインプロモーターがある。また、発現ベクターは、形質転換した宿主を選択可能にすべきマーカーおよびエンハンサーを含有しても良い。マーカーには、ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子等がある。エンハンサーには、SV40エンハンサー、サイトメガロウィルス初期エンハンサープロモーター、アデノウィルスエンハンサー等がある。
形質転換細胞の作製方法
さらに、本発明は上記したようなベクターによりこれらが保持する本発明の塩基配列を発現可能に保持する形質転換細胞を提供する。本明細書における形質転換細胞に用いる宿主細胞としては、好ましくは動物細胞および昆虫細胞であるが、本発明の発現ベクター中のCL−L2sタンパク質を発現することが可能な全ての細胞(微生物を含む)が挙げられる。
本明細書における動物細胞もしくは昆虫細胞としては、それぞれヒト由来の細胞、ハエもしくはカイコ由来の細胞が挙げられる。例えば、CHO細胞、COS細胞、BHK細胞、Vero細胞、ミエローマ細胞、HEK293細胞、HeLa細胞、Jurkat細胞、マウスL細胞、マウスC127細胞、マウスFM3A細胞、マウス繊維芽細胞、骨芽細胞、軟骨細胞、S2、Sf9、Sf21、High Five(登録商標)細胞等がある。本明細書における微生物とは、大腸菌もしくは酵母等が含まれる。これら宿主への導入は上記記載した方法を用いることができる。
本発明のCL−L2s発現細胞は、感染症、免疫等に関わるコレクチン経路を解析するために用いることができる。また、CL−L2sタンパク質または糖鎖のあるCL−L2sタンパク質の製造に利用することができる。CL−L2sタンパク質に対するアゴニストまたはアンタゴニストの取得のためのスクリーニングにも利用できる。
タンパク質取得方法
本発明は、上記したような本発明の塩基配列で形質転換した細胞を培養し、産生されたCL−L2sを採取する、CL−L2sタンパク質の製造法にも関する。細胞の培養、タンパク質の分離、精製も、自体公知の方法によって行うことができる。
本発明のタンパク質は、それ自体、単離・精製・認識しやすいように組換え融合タンパク質として発現させることができる。組換え融合タンパク質とは目的タンパク質をコードする核酸配列により発現されたタンパク質のN末端側または/およびC末端側に適当なペプチド鎖を付加して発現させたタンパク質である。発現したタンパク質の精製を容易にする目的で、細胞外分泌シグナルを有する融合タンパク質として発現させても良い。また、タンパク質は、各種原料、例えば培養細胞、培養組織、形質転換細胞等のタンパク質産生原料から従来公知の方法、例えば硫酸アンモニウム沈殿法等の塩析、セファデックス等によるゲル濾過法、イオン交換クロマトグラフィー法、疎水性クロマトグラフィー法、色素ゲルクロマトグラフィー法、電気泳動法、透析、限外濾過法、アフィニティークロマトグラフィー法および高速液体クロマトグラフィー法等の公知の精製方法を用いて得ることができる。
遺伝子利用方法
配列番号1、3、5、7、9、12、36、38もしくは40、配列番号48(配列番号1の塩基番号601〜1077に相当)または配列番号12の塩基番号493〜969のいずれかに記載の塩基配列に基づいて、CL−L2s遺伝子を検出するためのプローブを設定することができる。あるいは、これらの塩基配列を含むDNAやRNAを増幅するためのプライマーを設定することができる。与えられた配列をもとにプローブやプライマーを設定することは、当業者が日常的に行っている。設定された塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを化学合成によって得ることができる。そしてそのオリゴヌクレオチドに適当な標識を付加すれば、様々な形式のハイブリダイゼーションアッセイに利用することができる。あるいはPCRの様な核酸の合成反応に利用することができる。プライマーに利用するオリゴヌクレオチドは少なくとも10塩基、好適には15〜50塩基の長さとするのが望ましく、プローブに利用するオリゴヌクレオチドは100塩基から全長の長さであることが望ましい。また、CL−L2sタンパク質をコードする遺伝子変異の検出およびSNPの検出等にも用いることができことから、CL−L2s遺伝子変異によって生ずる疾患の診断に用いることができる。例えば、細菌感染症等を始めとする各種疾患等の診断に利用できるものと予想される。また、CL−L2s遺伝子を生体内に導入し発現させることによる遺伝子治療にも有用である。
さらに、本発明が提供するCL−L2sのcDNA塩基配列に基づいて、ゲノム中に存在するCL−L2s遺伝子のプロモーター領域、エンハンサー領域を取得することも可能である。具体的には特開平6−181767号、J.Immunol.,155,2477,1995、Proc.Natl.Acad.Sci,USA.,92,3561,1995)等と同様の方法でこれらの制御領域の取得が可能である。本明細書中で言うプロモーター領域とは転写開始部位の上流に存在する遺伝子の発現を制御するDNA領域を、エンハンサー領域とはイントロン、5’非翻訳領域、または3’非翻訳領域に存在する遺伝子の発現を増強するDNA領域を言う。
タンパク質利用方法
本発明のCL−L2sタンパク質は、基礎免疫の機能の解明、細菌感染症等を始めとする各種疾患等の発症機構の解明、さらにその診断、予防および治療法、並びにそれらのための試薬や医薬の開発に利用できる可能性がある。また、CL−L2sに対する抗体を作製する際の抗原として用いることができる。さらに、アゴニストまたはアンタゴニストのスクリーニング方法にも利用できる。
アゴニストおよびアンタゴニスト
本発明は、また、本発明のCL−L2sの活性または活性化を刺激するアゴニストにも関する。本発明は、また、本発明のCL−L2sの活性または活性化を阻害するアンタゴニストにも関する。アンタゴニストのスクリーニングは、例えば、CL−L2sタンパク質を発現させた細胞に候補阻害剤とマンノースまたは抗体を作用させる競合的実験系を用いることができ、マンノースとの結合割合から候補阻害剤をスクリーニングすることができる。その他、自体公知の方法により行うことができる。また、アンタゴニストにはCL−L2s遺伝子の発現を阻害するアンチセンス核酸も含まれる。他のスクリーニング方法として、受容体の活性化によって生じる細胞外pHの変化を測定する方法(Science,246,181−296,1989)などを挙げることができる。
トランスジェニック非ヒト動物
本発明は、CL−L2s遺伝子の発現レベルを変化させたトランスジェニック非ヒト動物に関する。ここで、CL−L2s遺伝子とは、hCL−L2sもしくはmCL−L2sをコードするcDNA、ゲノムDNAあるいは合成DNAを含む。また、遺伝子の発現には転写と翻訳のいずれのステップも含まれる。本発明によるトランスジェニック非ヒト動物は、CL−L2の機能あるいは発現調節の研究、CL−L2sが関与すると予想される疾患のメカニズム解明、医薬品のスクリーニング・安全性試験に用いる疾患モデル動物の開発に有用である。
本発明においては、遺伝子の発現を正常に調節しているいくつかの重要な部位(エンハンサー、プロモーター、イントロン等)の一部に欠失、置換、付加および/または挿入などの変異を起こさせることにより、本来の遺伝子の発現レベルと比較して上昇または下降するように人工的に修飾することができる。この変異の導入は、公知の方法により行うことができ、トランスジェニック動物を得ることができる。
トランスジェニック動物とは狭義には遺伝子組換えにより、外来遺伝子が生殖細胞に人為的に導入された動物のことをいい、広義にはアンチセンスRNAを用いて特定の遺伝子の機能を抑えたアンチセンス・トランスジェニック動物や、胚性幹細胞(ES細胞)を用いて特定の遺伝子をノックアウトした動物、点突然変異DNAを導入した動物を含み、個体発生の初期に外来遺伝子が安定して染色体に導入され、その子孫に遺伝形質として伝達され得る動物のことをいう。
本明細書中でいうトランスジェニック動物とはヒト以外のすべての脊椎動物を含む広義の意味に解する。本発明におけるトランスジェニック動物は、CL−L2sの機能あるいは発現調節の研究、ヒトにおいて発現している細胞に関連する疾患のメカニズムの解明、医薬品のスクリーニング・安全性試験に用いる疾患モデル動物の開発に有用である。
トランスジェニック動物の作製方法は、位相差顕微鏡下で前核期卵子の核に、微小ピペットで遺伝子を直接導入する方法(マイクロインジェクション法、米国特許第4873191号)、胚性幹細胞(ES細胞)を使用する方法などがある。その他、レトロウィルスベクターまたはアデノウイルスベクターに遺伝子を挿入し、卵子に感染させる方法、また、精子を介して遺伝子を卵子に導入する精子ベクター法等が開発されている。
精子ベクター法とは、精子に外来遺伝子を付着またはエレクトロポレーション等の方法で精子細胞内に取り込ませた後に、卵子に受精させることにより、外来遺伝子を導入する遺伝子組換え法である(M.Lavitranoetら、Cell,57,717,1989)。あるいはバクテリオファージP1のcre/loxPリコンビナーゼ系やサッカロマイセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)のFLPリコンビナーゼ系等によるin vivoにおける部位特異的遺伝子組換えを用いることもできる。また、レトロウィルスを使用して、非ヒト動物へ目的タンパク質のトランスジーンを導入する方法も報告されている。
マイクロインジェクション法によるトランスジェニック動物作製方法は、例えば、以下に示すようにして行われる。
まず、発現制御に関わるプロモーター、特定のタンパク質をコードする遺伝子、ポリAシグナルから基本的に構成されるトランスジーンが必要である。プロモーター活性により特定分子の発現様式や発現量が左右され、また、導入トランスジーンのコピー数や染色体上の導入部位により作製されたトランスジェニック動物が系統間で異なるため、各系統間で発現様式・発現量を確認する。非翻訳領域やスプライシングにより発現量が変化することが判明しているため、予めポリAシグナルの前にスプライシングされるイントロン配列を導入してもよい。受精卵に導入する遺伝子はできるだけ純度の高いものを使用することが重要である。使用する動物としては、受精卵採取用マウス(5〜6週齢)、交配用雄マウス、偽妊娠雌マウス、輸精管結紮雄マウス等が用いられる。
効率よく受精卵を得るために、ゴナドトロピン等により排卵を誘発してもよい。受精卵を回収し、マイクロインジェクション法にて卵子の雄性前核にインジェクションピペット中の遺伝子を注入する。注入した卵子を輸卵管に戻すための動物(偽妊娠雌マウス等)を用意し、一匹に対して約10〜15個を移植する。その後、誕生したマウスにトランスジーンが導入されているか否かを、尾の先端部からゲノムDNAを抽出し、サザン法あるいはPCR法によりトランスジーンを検出するか、あるいは相同組み換えが起こったときのみに活性化するマーカー遺伝子を挿入したポジティブクローニング法により確認することができる。さらに、トランスジーンの発現を確認するため、ノザン法もしくはRT−PCR法によりトランスジーン由来転写産物を検出する。または、タンパク質またはその断片に対する特異的抗体によって、ウェスタンブロッティングを行ってもよい。
ノックアウトマウス
本発明のノックアウトマウスは、CL−L2s遺伝子の機能が失われるように処理されたものである。ノックアウトマウスとは相同組換え技術により任意の遺伝子を破壊し、機能を欠損させたトランスジェニックマウスをいう。ES細胞を用いて相同組換えを行い、一方の対立遺伝子を改変・破壊した胚性幹細胞を選別し、ノックアウトマウスを作製することができる。例えば、受精卵の胚盤胞や桑実胚期に遺伝子を操作した胚性幹細胞を注入して、胚性幹細胞由来の細胞と胚由来の細胞が混ざったキメラマウスを得る。このキメラマウス(キメラとは、2個以上の受精卵に基づいた体細胞で形成される単一個体をいう)と正常マウスを交配すると、一方の対立遺伝子の全てが改変・破壊されたヘテロ接合体マウスを作製することができる。さらに、ヘテロ接合体マウス同士を交配することで、ホモ接合体マウスが作製できる。
相同組換えとは、遺伝子組換え機構で塩基配列が同じ、または非常に類似している2つの遺伝子間で起こる組換えのことをいう。相同組換えを起こした細胞の選別にはPCRを使用することができる。挿入遺伝子の一部と挿入が期待される領域の一部をプライマーとして用いるPCRを行い、増幅産物ができた細胞で相同組換えを起こしていることが判明できる。また、胚幹細胞で発現している遺伝子に相同組み換えを起こさせる場合には、導入遺伝子にネオマイシン耐性遺伝子を結合させておき、導入後に細胞をネオマイシン耐性にさせることにより選択することができる等、公知の方法およびそれらの変法を用いて容易に選択することができる。
抗体の作製方法
本発明はまた、CL−L2sまたはその断片を認識する抗体を提供する。本発明の抗体には例えば、配列番号2、4、6、8、10、13、37、39もしくは41、配列番号47(配列番号2のアミノ酸番号113〜271)または配列番号13のアミノ酸番号113〜271のアミノ酸配列を有するタンパク質またはその断片に対する抗体が含まれる。CL−L2sまたはその断片に対する抗体(例えばポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ペプチド抗体)または抗血清は、本発明のCL−L2sまたはの断片等を抗原として用い、自体公知の抗体または抗血清の製造法に従って製造することができる。特に、CL−L2sの機能を制御できる抗体(例えばCRDおよびコラーゲン様ドメイン等を認識する抗体)は抗体含有医薬品として有用である。
本発明のCL−L2sまたはその断片は、投与により抗体産生が可能な部位にそれ自体または希釈剤、担体と共に温血動物に対して投与される。投与に際して抗体産生を高めるために、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントアジュバントを投与しても良い。投与は通常1〜6週毎に1回づつ、計2〜10回程度行われる。用いられる温血動物としては、例えばサル、ウサギ、イヌ、モルモット、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ等が挙げられるが、マウスおよびラットが好ましくは用いられる。ラットにはWistarおよびSD系ラット等が好ましく、マウスにはBALB/c、C57BL/6およびICR系マウス等が好ましく用いられる。
モノクローナル抗体産生細胞の作製に際しては、抗原で免疫された温血動物、例えばマウスから抗体価の認められる個体を選択し、最終免疫の2〜5日後に脾臓またはリンパ節を採取し、それらに含まれる抗体産生細胞を骨髄腫細胞と融合させることにより、モノクローナル抗体産生ハイブリドーマを調製することができる。抗血清中の抗体価の測定は、例えば後記の標識化CL−L2sと抗血清とを反応させた後、抗体に結合した標識剤の活性を測定することによりなされる。融合操作は既知の方法、例えばケーラーとミルスタインの方法(Nature,256,495,1975)やその変法(J.Immunol.Method,39,285,1980、Eur.J.Biochem.,118,437,1981、Nature,285,446,1980)に従い実施できる。融合促進剤としてはポリエチレングリコール(PEG)やセンダイウィルス等が挙げられるが、好ましくはPEGが用いられる。さらに融合効率を高めるために、適宜レクチン、ポリ−L−リジンもしくはDMSOを添加することもできる。
骨髄腫細胞としては例えばX−63Ag8、NS−1、P3U1、SP2/0、AP−1等が挙げられるが、好ましくはSP2/0が用いられる。用いられる抗体産生細胞(脾臓細胞)数と骨髄腫細胞数との好ましい比率は1:20〜20:1であり、PEG(好ましくはPEG1000〜PEG6000)を10〜80%程度の濃度で添加し、20〜40℃、好ましくは30〜37℃で1〜10分間インキュベートすることにより効率よく細胞融合を実施できる。抗CL−L2s抗体産生ハイブリドーマのスクリーニングには種々の方法が使用できるが、例えば、CL−L2s抗原を直接または担体と共に吸着させた固相(例えば、マイクロプレート)にハイブリドーマ培養上清を添加し、次に放射性物質や酵素などで標識した抗免疫グロブリン抗体(細胞融合に用いられる細胞がマウスの場合、抗マウス免疫グロブリン抗体が用いられる)またはプロテインAを加え、固相に結合した抗CL−L2s抗体を検出する方法、抗免疫グロブリン抗体またはプロテインAを吸着させた固相にハイブリドーマ培養上清を添加し、放射性物質や酵素等で標識したCL−L2sを加え、固相に結合した抗CL−L2sモノクローナル抗体を検出する方法等が挙げられる。
抗CL−L2sモノクローナル抗体の選別およびクローニングは、自体公知またはそれに準じる方法に従って行うことができる。通常HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジン)を添加した動物細胞用培地で行われる。選別、クローニングおよび育種用培地としては、ハイブリドーマが生育できるものならばどのような培地を用いても良い。例えば、1〜20%、好ましくは10〜20%の牛胎児血清を含むRPMI培地、1〜10%の牛胎児血清を含むGIT培地、またはハイブリドーマ培養用無血清培地等を用いることができる。培養温度は、好ましくは約37℃である。培養時間は、通常5日〜3週間、好ましくは1週間〜2週間である。培養は、通常5%炭酸ガス下で行われる。ハイブリドーマ培養上清の抗体価は、上記の抗血清中の抗CL−L2s抗体価の測定と同様にして測定できる。すなわち、測定方法としてはラジオイムノアッセイ(RIA)法、酵素免疫測定法(ELISA)法、FIA(蛍光イムノアッセイ)法、プラーク測定法、凝集反応法等を用いることができるが、以下に示すようなELISA法が好ましい。
ELISA法によるスクリーニングは以下の方法に準じて行うことができる。免疫抗原と同様の操作で調製したタンパク質をELISAプレートの各ウェルの表面に固定化する。次に、非特異的吸着を防止する目的で、BSA、MSA、OVA、KLH、ゼラチンもしくはスキムミルク等を各ウェルに固定化する。この各ウェルにハイブリドーマ培養上清液を添加し、一定時間放置し免疫反応を行わせる。PBS等を洗浄液として各ウェルを洗浄する。この洗浄液中には界面活性剤を添加することが好ましい。酵素標識二次抗体を添加し一定時間放置する。標識酵素としては、β−ガラクトシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、ペルオキシダーゼ等を用いることができる。同じ洗浄液で各ウェルを洗浄後、使用した標識酵素の基質溶液を添加し酵素反応を行わせる。添加したハイブリドーマ培養上清液中に目的とする抗体が存在する場合は酵素反応が進行し基質溶液の色が変化する。
クローニングは、通常半固体アガー法や限界希釈法等のそれ自体公知の方法で行うことができ、具体的には前記の方法で目的とする抗体を産生するウェルを確認した後、クローニングを行いシングルクローンを得る。クローニング法としては、培養プレート1ウェル当たりに1個のコロニーが形成するようにハイブリドーマ細胞を希釈して培養する限界希釈法等を用いると良い。限界希釈法によるクローニングには、コロニー形成能と高めるために支持細胞を用いるか、インターロイキン6などの細胞増殖因子を添加しても良い。その他、FACSおよびシングルセルマニプレーション法を用いてクローニングすることができる。クローン化されたハイブリドーマを、好ましくは無血清培地中で培養し、至適量の抗体をその上清に加える。この様にして得られた単一のハイブリドーマは、フラスコや細胞培養装置を用いて大量培養を行うか、動物の腹腔内で培養する(J.Immunol.Meth.,53,313,1982)ことにより、モノクローナル抗体を得ることができる。フラスコ内で培養を行う場合は、0〜20%のFCSを含む細胞培養用培地(IMDM、DMEM、RPMI1640およびMEM等)を用いて行うことができる。動物の腹腔内で培養する場合は、細胞融合に使用した骨髄腫細胞の由来となった動物と同種、同系統の動物または胸腺欠損ヌードマウス等を使用することが好ましく、予めプリスタン等の鉱物油を投与してからハイブリドーマを移植する。1〜2週間後腹腔内に骨髄腫細胞が増殖し、モノクローナル抗体を含む腹水を得ることができる。
本発明によるモノクローナル抗体は、CL−L2sに特異的なエピトープを認識するものを選択することによって、他のタンパク質と交差しないものとすることができる。一般的にそのタンパク質を構成するアミノ酸配列の中から、連続する少なくとも5以上のアミノ酸残基、望ましくは7〜20アミノ酸のアミノ酸配列によって提示されるエピトープは、そのタンパク質に固有のエピトープを示すと言われている。従って、例えば配列番号2、4、6、8、10、13、37、39もしくは41、配列番号47(配列番号2のアミノ酸番号113〜271に相当)または配列番号13のアミノ酸番号113〜271のアミノ酸配列を有するタンパク質またはその断片のいずれかに記載されたアミノ酸から選択され、かつ連続する少なくとも5アミノ酸残基から成るアミノ酸配列を持つペプチドによって構成されるエピトープを認識するモノクローナル抗体は、本発明におけるhCL−L2sもしくはmCL−L2s特異的なモノクローナル抗体といえる。配列番号2、4、6、8、10、13、37、39もしくは41に記載されたアミノ酸配列の間で保存されたアミノ酸配列を選べば、CL−L2sに共通のエピトープを選択することができる。あるいは各配列に特異的なアミノ酸配列を含む領域であれば、それぞれのタンパク質の識別が可能なモノクローナル抗体を選択することができる。
抗CL−L2sモノクローナル抗体の分離精製は、通常のポリクローナル抗体の分離精製と同様に免疫グロブリンの分離精製法に従って行うことができる。公知の精製法としては、例えば、塩析法、アルコール沈殿法、等電点沈殿法、電気泳動法、硫安沈殿法、イオン交換体(例えばDEAE)による吸脱着法、超遠心法、ゲル濾過法、抗原結合固相またはプロテインAもしくはプロテインG等の活性吸着剤により抗体のみを採取し、結合を解離させて抗体を得る特異的精製法のような手法を施すことができる。精製過程において凝集物の形成や抗体価の低下を防止する目的で、例えばヒト血清アルブミンを0.05〜2%の濃度で添加する。その他、グリシン、α−アラニン等のアミノ酸類、特にリジン、アルギニンおよびヒスチジン等の塩基性アミノ酸、グルコースやマンニトール等の糖類または塩化ナトリウム等の塩類を添加しても良い。IgM抗体の場合、特に凝集しやすいことが知られているため、β−プロピオニラクトンおよび無水酢酸で処理しても良い。
本発明のポリクローナル抗体は、それ自体公知あるいはそれに準じる方法に従って製造することができる。例えば、免疫抗原(タンパク質抗原)自体、あるいはそれとキャリアータンパク質との複合体を作り、上記のモノクローナル抗体の製造法と同様に温血動物に免疫を行い、該免疫動物から本発明のタンパク質またはその断片に対する抗体含有物を採取して、抗体の分離精製を行うことにより製造することができる。温血動物を免役するために用いられる免疫抗原とキャリアータンパク質との複合体に関し、キャリアータンパク質の種類およびキャリアーとハプテンとの混合比は、キャリアーに架橋させて免役したハプテンに対して抗体が効率よくできれば、どの様なものをどの様な比率で架橋させても良いが、例えばウシ血清アルブミンやウシサイログロブリン、ヘモシアニン等を重量比でハプテン1に対し、約0.1〜20、好ましくは約1〜5の割合でカップリングさせる方法が用いられる。また、ハプテンとキャリアーのカップリングには、種々の縮合剤を用いることができるが、グルタルアルデヒドやカルボジイミド、マレイミド活性エステル、チオール基、ジチオピリジル基を含有する活性エステル試薬などが用いられる。縮合生成物は、温血動物に対して、抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤と共に投与される。投与に際して抗体産生能を高めるため、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントアジュバントを投与しても良い。投与は、通常2〜6週毎に1回ずつ、計約3〜10回程度行われる。ポリクローナル抗体は上記の方法で免役された温血動物の血液、腹水等、好ましくは血液から採取することができる。抗血清中のポリクローナル抗体価の測定は、上記血清中の抗体価の測定と同様にして測定できる。ポリクローナル抗体の分離精製は、上記のモノクローナル抗体の分離精製と同様の免疫グロブリンの分離精製法に従って行うことができる。
抗体の利用方法
CL−L2sまたはその断片に対するモノクローナル抗体ならびにポリクローナル抗体は、CL−L2sを発現している細胞に関連する疾病の診断や治療に利用することが可能である。これらの抗体を用いて、本発明のCL−L2sまたはその断片との免疫学的な結合に基づき、CL−L2sまたはその断片を測定することができる。具体的にこれらの抗体を用いてCL−L2sまたはその断片を測定する方法としては、例えば、不溶性担体に結合させた抗体と標識化抗体とによりCL−L2sまたはその断片を反応させて生成したサンドイッチ錯体を検出するサンドイッチ法、また、標識化CL−L2sと検体中のCL−L2sまたはその断片を抗体と競合的に反応させ、抗体と反応した標識抗原量から検体中のCL−L2sまたはその断片を測定する競合法を利用して検体中のCL−L2sまたはその断片を測定する方法が挙げられる。
サンドイッチ法によるCL−L2sまたはその断片の測定においては、まず、固定化抗体とCL−L2sまたはその断片とを反応させた後、未反応物を洗浄によって完全に除去し、標識化抗体を添加して固定化抗体−CL−L2s標識化抗体を形成させる2ステップ法もしくは固定化抗体、標識化抗体およびCL−L2sまたはその断片を同時に混合する1ステップ法などを用いることができる。
測定に使用される不溶性担体は、例えばポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアクリル酸エステル、ナイロン、ポリアセタール、フッ素樹脂等の合成樹脂、セルロース、アガロース等の多糖類、ガラス、金属等が挙げられる。不溶性担体の形状としては、例えばトレイ状、球状、繊維状、棒状、盤状、容器状、セル、試験管等の種々の形状を用いることができる。抗体を吸着した担体は、適宜アジ化ナトリウム等の防腐剤の存在下、冷所に保存する。
抗体の固層化には、公知の化学的結合法または物理的吸着法を用いることができる。化学的結合法としては例えばグルタルアルデヒドを用いる方法、N−スクシニイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレートおよびN−スクシニイミジル−2−マレイミドアセテートなどを用いるマレイミド法、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸などを用いるカルボジイミド法が挙げられる。その他、マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシサクシニミドエステル法、N−サクシミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオン酸法、ビスジアゾ化ベンジジン法、ジパルミチルリジン法が挙げられる。あるいは、先に被検出物質とエピトープの異なる2種類の抗体を反応させて形成させた複合体を、抗体に対する第3の抗体を上記の方法で固層化させておいて捕捉することも可能である。
標識物質としては、酵素、蛍光物質、発光物質、放射性物質および金属キレート等を使用するのが好ましい。酵素としては、例えばペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、ブドウ球菌ヌクレアーゼ、デルタ−5−ステロイドイソメラーゼ、α−グリセロールホスフェートデヒドロゲナーゼ、トリオースホスフェートイソメラーゼ、西洋わさびパーオキシダーゼ、アスパラギナーゼ、グルコースオキシダーゼ、リボヌクレアーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、グルコアミラーゼ、アセチルコリンエステラーゼ等が挙げられ、蛍光物質としては、例えばフルオレセインイソチアネート、フィコビリプロテイン、ローダミン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、オルトフタルアルデヒド等が挙げられ、発光物質としてはイソルミノール、ルシゲニン、ルミノール、芳香族アクリジニウムエステル、イミダゾール、アクリジニウム塩およびその修飾エステル、ルシフェリン、ルシフェラーゼ、エクオリン等が挙げられ、放射性物質としては125I、127I、131I、14C、H、32P、35S等が挙げられるが、これらに限らず免疫学的測定法に使用することができるものであれば特に限定されない。さらに、抗体にビオチン、ジニトロフェニル、ピリドキサールまたはフルオレサミンの様な低分子ハプテンを結合させても良い。好ましくは西洋わさびペルオキシダーゼを標識化酵素として用いる。本酵素は多くの基質と反応することができ、過ヨウ素酸法によって容易に抗体に結合させることができる。
標識化剤が酵素である場合には、その活性を測定するために基質、必要により発色剤を用いる。酵素としてペルオキシダーゼを用いる場合には、基質溶液としてHを用い、発色剤として2,2’−アジノ−ジ−[3−エチルベンズチアゾリンスルホン酸]アンモニウム塩(ABTS)、5−アミノサリチル酸、オルトフェニレンジアミン、4−アミノアンチピリン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン等を使用することができ、酵素にアルカリフォスファターゼを用いる場合は基質としてオルトニトロフェニルフォスフェート、パラニトロフェニルリン酸等を使用することができ、酵素にβ−D−ガラクトシダーゼを用いる場合は基質としてフルオレセイン−ジ−(β−D−ガラクトピラノシド)、4−メチルウンベリフェニル−β−D−ガラクトピラノシド等を使用することができる。本発明には、また、前述のモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体および試薬類をキット化したのものも含まれる。
架橋剤としては、N,N’−オルトフェニレンジマレイミド、4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン酸・N−スクシンイミドエステル、6−マレイミドヘキサン酸・N−スクシンイミドエステル、4,4’−ジチオピリジン、その他公知の架橋剤が利用可能である。これらの架橋剤と酵素および抗体との反応は、それぞれの架橋剤の性質に応じて既知の方法に従って行えばよい。また、抗体としては、場合によっては、そのフラグメント、例えばFab’、Fab、F(ab’)2を用いる。また、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体にかかわらず同様の処理により酵素標識体を得ることができる。上記架橋剤を用いて得られる酵素標識体をアフィニティークロマトグラフィー等の公知の方法にて精製すれば、更に感度の高い免疫測定系が可能となる。精製した酵素標識化抗体は、安定剤としてチメロサールもしくはグリセリン等を加えて、あるいは凍結乾燥して冷暗所に保存する。
測定対象は、血漿、血清、血液、尿、組織液、脳脊髄液等の体液、各種細胞、組織等、CL−L2sを含む試料であれば限定されない。
ヒト化抗体の作製方法
ヒトに任意の抗原を免疫して抗体を製造することは倫理上不可能である。また、マウスモノクローナル抗体をヒトの体内に投与すると、ヒトにとっては異種タンパクであるので種々の副作用が起こる危険性がある。そこで、ヒトに抗体を投与する場合にはヒトに対し抗原性を低くした抗体が好ましい。
ヒトモノクローナル抗体の作製方法には細胞融合法以外にも、エプスタイン・バール(Epstein−Barr)ウィルス(EBV)で形質転換する方法、さらにはその形質転換した細胞を親細胞と融合させる方法、遺伝子工学を利用しキメラ抗体、ヒト化抗体を作製する方法などがある。キメラ抗体とは異種の動物の免疫グロブリン遺伝子断片をつなげて作製された抗体であり、ヒト化抗体とはマウスなどにヒトにとって異種の抗体を改変して、H鎖とL鎖の相補性決定部(CDR)以外の一次構造をヒトの抗体の対応する一次構造に置換した抗体をいう。
キメラ抗体の作製方法として、まずマウスに免疫し、そのマウスモノクローナル抗体の遺伝子から抗原と結合する抗体可変部(V領域)を切り出し、ヒト骨髄腫由来の抗体定常部(C領域)遺伝子と結合してキメラ遺伝子を作製する。このキメラ遺伝子を宿主細胞で発現させれば、ヒト・マウス・モノクローナル抗体が産生できる。キメラ抗体はヒトに対する抗原性が少ないため、ヒト体内に投与する治療用や画像診断用モノクローナル抗体等として利用できる。公知のキメラ抗体の関連技術として、特開平05−304989号、特開平04−330295号、WO9106649、特開昭63−036786号、特公平06−98021号等がある。
また、最近キメラ抗体よりも有用であるといわれるヒト化抗体が開発された。ヒト化抗体とは抗体分子の抗原結合部位(CDR:Complementary determining reagion、相補性決定領域)の遺伝子配列のみをヒト抗体遺伝子に移植(CDRグラフティング)し、抗体分子のCDRを除いた全分子をヒト化した抗体である。本抗体はヒト・マウス・キメラ抗体より、マウスの抗体部分が少ないため、抗原性が少なく安全性が高いと言われている。ヒトモノクローナル抗体作製用の親細胞は、ヒト/マウスのヘテロミエローマであるSHM−D 33株(ATCC CRL 1668)またはRF−S1株を用いるとマウスの親細胞と同等の高い融合効率が得られる。これらの親細胞を用いて得られたハイブリドーマはフィーダー細胞なしでクローニングが可能であり、IgGタイプの抗体を比較的安定にしかも大量に産生することができる。親細胞の培養には、15%FCSを加えたERDF培地を用い、その他の操作はマウスの場合と同様である。また、IgGタイプのヒトモノクローナル抗体を作製するには抗原で充分に感作されたヒトリンパ球を末梢血から採取して用いるのが好ましい。充分に抗原で感作されたリンパ球の取得が困難な場合にはin vit roで抗原感作を行うこともできる。我が国では現在、成人性T細胞白血病に対するヒト化抗体の臨床試験が行われている。ヒト化抗体の製造方法およびその関連技術については、米国Genentech社(WO9222653、WO9845332、WO9404679、WO9837200、WO9404679、)および英国Celltech社(WO9429451、WO9429351、WO9413805、WO9306231、WO9201059、WO9116927、WO9116928、WO9109967、WO8901974、WO8901783)等が特許出願している。
上記示した方法等を用いることにより、本発明の抗体をヒト化することができ、ヒトに投与する場合には非常に有用である。
組成物
CL−L2sポリヌクレオチドまたはタンパク質は、細菌感染症等を始めとする各種疾患等の診断、予防および治療法、並びにそれらのための試薬や医薬の開発に利用できる可能性がある。
本発明の医薬組成物の成分には、CL−L2sポリヌクレオチドまたはタンパク質、CL−L2sタンパク質の機能を刺激する物質もしくは阻害する物資、CL−L2sタンパク質に対する抗体等の物質(以下、CL−L2s関連物質)が含まれる。CL−L2s関連物質は、そのままあるいは水に希釈する等の各種処理を施して使用することができるが、医薬品、医薬部外品等に配合して使用することができる。この場合、該物質の配合量は製品に応じて適宜選択されるところではあるが、通常全身投与製剤の場合には、0.001〜50重量%、特に0.01〜10重量%とすることができ、0.001%より少ないと満足する涙液分泌促進作用が認められない可能性があり、また、50%を越えると製品そのものの安定性や香味等の特性が損なわれる可能性がある。
投与経路は前記示した経口投与および静脈内投与以外に、経粘膜投与、経皮投与、筋肉内投与、皮下投与、直腸内投与等が適宜選択できる。
本発明のCL−L2s関連物質は塩として製剤中に含有されていてもよい。薬剤学的に許容される塩としては、例えば無機塩基、有機塩基等の塩基との塩、無機酸、有機酸、塩基性または酸性アミノ酸などの酸付加塩等が挙げられる。無機塩基としては、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属、アルミニウム、アンモニウム等が挙げられる。有機塩基としては、例えば、エタノールアミン等の第一級アミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン等の第二級アミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、トリエタノールアミン等の第三級アミン等が挙げられる。無機酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等が挙げられる。有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、乳酸、トリフルオロ酢酸、フマール酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、安息香酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等が挙げられる。塩基性アミノ酸としては、例えば、アルギニン、リジン、オルニチン等が挙げられる。酸性アミノ酸としては、例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸等が挙げられる。
経口投与を行う場合の剤型として、散剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、錠剤、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤およびシロップ剤等があり、適宜選択することができる。また、それら製剤について徐放化、安定化、易崩壊化、難崩壊化、腸溶性化、易吸収化等の修飾を施すことができる。また、口腔内局所投与を行う場合の剤型として、咀嚼剤、舌下剤、バッカル剤、トローチ剤、軟膏剤、貼布剤、液剤等があり、適宜選択することができる。また、それら製剤について徐放化、安定化、易崩壊化、難崩壊化、腸溶性化、易吸収化等の修飾を施すことができる。
前記示した剤型について、公知のドラッグデリバリーシステム(DDS)の技術を採用することができる。本明細書に言うDDS製剤とは、除法化製剤、局所適用製剤(トローチ、バッカル錠、舌下錠等)、薬物放出制御製剤、腸溶性製剤および胃溶性製剤等、投与経路、バイオアベイラビリティー、副作用等を勘案した上で、最適の製剤形態にした製剤を言う。
DDSの構成要素には基本的に薬物、薬物放出モジュール、覆いおよび治療プログラムから成り、各々の構成要素について、特に放出を停止させた時に速やかに血中濃度が低下する半減期の短い薬物が好ましく、投与部位の生体組織と反応しないおおいが好ましく、さらに、設定された期間において最良の薬物濃度を維持する治療プログラムを有するのが好ましい。薬物放出モジュールは基本的に薬物貯蔵庫、放出制御部、エネルギー源および放出孔または放出表面を有している。これら基本的構成要素は全て揃っている必要はなく、適宜追加あるいは削除等を行い、最良の形態を選択することができる。
DDSに使用できる材料としては、高分子、シクロデキストリン誘導体、レシチン等がある。高分子には不溶性高分子(シリコーン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチルセルロース、セルロースアセテート等)、水溶性高分子およびヒドロキシルゲル形成高分子(ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシエチルメタクリレート架橋体、ポリアクリル架橋体、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、水溶性セルロース誘導体、架橋ポロキサマー、キチン、キトサン等)、徐溶解性高分子(エチルセルロース、メチルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体の部分エステル等)、胃溶性高分子(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースナトリウム、マクロゴール、ポリビニルピロリドン、メタアクリル酸ジメチルアミノエチル・メタアクリル酸メチルコポリマー等)、腸溶性高分子(ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、酢酸フタルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、アクリル酸系ポリマー等)、生分解性高分子(熱凝固または架橋アルブミン、架橋ゼラチン、コラーゲン、フィブリン、ポリシアノアクリレート、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリβヒドロキシ酢酸、ポリカプロラクトン等)があり、剤型によって適宜選択することができる。
特に、シリコーン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、メチルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体の部分エステルは薬物の放出制御に使用でき、セルロースアセテートは浸透圧ポンプの材料として使用でき、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロースは徐放性製剤の膜素材として使用でき、ポリアクリル架橋体は粘膜付着剤として使用できる。
また、製剤中にはその剤形(経口投与剤、注射剤、座剤等の公知の剤形)に応じて、溶剤、賦形剤、コーティング剤、基剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、溶解補助剤、懸濁化剤、粘稠剤、乳化剤、安定剤、緩衝剤、等張化剤、無痛化剤、保存剤、矯味剤、芳香剤、着色剤等の添加剤を加えて製造することができる。
上記添加剤をそれぞれ具体例を挙げて例示するが、これらに特に限定されるものではない。
〔溶剤〕精製水、注射用水、生理食塩水、ラッカセイ油、エタノール、グリセリン、
〔賦形剤〕デンプン類、乳糖、ブドウ糖、白糖、結晶セルロース、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン、トレハロース、キシリトール、
〔コーティング剤〕白糖、ゼラチン、酢酸フタル酸セルロースおよび上記記載した高分子、
〔基剤〕ワセリン、植物油、マクロゴール、水中油型乳剤性基剤、油中水型乳剤性基剤、
〔結合剤〕デンプンおよびその誘導体、セルロースおよびその誘導体、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、トラガント、アラビアゴム等の天然高分子化合物、ポリビニルピロリドン等の合成高分子化合物、デキストリン、ヒドロキシプロピルスターチ、
〔滑沢剤〕ステアリン酸およびその塩類、タルク、ワックス類、コムギデンプン、マクロゴール、水素添加植物油、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、
〔崩壊剤〕デンプンおよびその誘導体、寒天、ゼラチン末、炭酸水素ナトリウム、セルロースおよびその誘導体、カルメロースカルシウム、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルセルロースおよびその塩類ならびにその架橋体、低置換型ヒドロキシプロピルセルロース、
〔溶解補助剤〕シクロデキストリン、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、
〔懸濁化剤〕アラビアゴム、トラガント、アルギン酸ナトリウム、モノステアリン酸アルミニウム、クエン酸、各種界面活性剤、
〔粘稠剤〕カルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ホドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、トラガント、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、
〔乳化剤〕アラビアゴム、コレステロール、トラガント、メチルセルロース、各種界面活性剤、レシチン、
〔安定剤〕亜硫酸水素ナトリウム、アスコルビン酸、トコフェロール、キレート剤、不活性ガス、還元性物質、
〔緩衝剤〕リン酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、ホウ酸、
〔等張化剤〕塩化ナトリウム、ブドウ糖、
〔無痛化剤〕塩酸プロカイン、リドカイン、ベンジルアルコール、
〔保存剤〕安息香酸およびその塩類、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、逆性石けん、ベンジルアルコール、フェノール、チロメサール、
〔矯味剤〕白糖、サッカリン、カンゾウエキス、ソルビトール、キシリトール、グリセリン、
〔芳香剤〕トウヒチンキ、ローズ油、ならびに
〔着色剤〕水溶性食用色素、レーキ色素。
[実施例]
以下に、本発明の新規コレクチンに関して、実施例に沿って詳細に説明するが、これら実施例の開示によって、本発明が限定的に解釈されるべきでないことは勿論である。
すなわち、EST(Expressed Sequence Tags)データベースの検索(実施例1)、新規ヒトコレクチンのヒト肝臓由来cDNAライブラリーからのPCRによるスクリーニングと塩基配列の決定(実施例2)、新規ヒトコレクチンのヒト腎臓由来キャップサイトcDNAライブラリーからのPCRによるスクリーニングと塩基配列の決定(実施例3)、新規ヒトコレクチンの相同性検索(実施例4)、新規マウスコレクチンのcDNAの取得(実施例5)、新規ヒトコレクチンのヒトの組織における発現分布解析(実施例6)、新規ヒトコレクチンの遺伝学的解析(実施例7)、新規コレクチンCL−L2−1およびCL−L2−2のヒトの組織における発現分布解析(実施例8)、新規コレクチンの発現ベクターpcDNA3.1/Myc−His(+)−CL−L2−1,2の構築(実施例9)、新規コレクチンの安定発現細胞株の作成(実施例10)、新規コレクチンの糖特異性の解析(実施例11)について以下に説明する。
[実施例1:ESTデータベースの検索]
第1図に示した様に共通の構造を有する既知のコレクチンすなわちヒトMBP、ヒトSP−A、ヒトSP−Dと本発明者が最近単離に成功したヒト肝臓由来コレクチンCL−L1(特開平11−206377号参照)のアミノ酸残基の相同性を第2および3図に示した。図中、相同と認められるアミノ酸残基部分に囲みを付した。この図中、CL−L1のレクチン活性を担うCRD(糖鎖認識領域)のアミノ酸配列(配列番号14)を用い、EST(Expressed Sequence Tags)データベースの検索を行った。
その結果、相同性の高いアミノ酸配列を含むデータがいくつか得られた。得られたデータのアミノ酸配列についてGenBank/ESTデータベースの検索を行い、既知または未知物質のいずれであるかを判定した結果、相同性は高いが未知の塩基配列を含む1種のデータ(H30455:胸部由来)を得ることができた。得られたESTクローンの塩基配列を用い、再度ESTデータベースを検索した結果、同一の塩基配列を含むことが認められた9種のデータ(登録番号:AA558494:生殖細胞由来、AA582499:腎臓由来、AI420986:前立腺由来、AA742449:生殖細胞由来、AA954657:腎臓由来、AA908360:卵巣由来、AI264145:腎臓由来、AA089855:心臓由来、AA456055:メラノサイト、妊娠子宮、胎児心臓由来)を得ることができた。これらはすべて同一の新規コレクチンの塩基配列の一部を示すクローンであった。
[実施例2:ヒト肝臓由来cDNAライブラリーのPCRによるスクリーニングと塩基配列の決定]
上記の10種のクローンの塩基配列よりコンセンサス配列を作製し(配列番号15)、新規ヒトコレクチンのcDNAの5’上流領域をクローニングするため、実施例1で得られたコンセンサス配列を基に上流方向への2種類のプライマーCAP1(5’−agattttattgtatagcttgg−3’(配列番号16)、CAP2(5’−ctgggtaataattacataatg−3’(配列番号17)と、ヒト肝臓由来cDNAライブラリーのベクター領域の一部分のプライマーλTriplEx−F1(5’−aagctccgagatctggacgag−3’(配列番号18))、λTriplEx−F2(5’−ctcgggaagcgcgccattgtg−3’(配列番号19))をPE Applied Biosystems社製392A DNA/RNAシンセサイザーにより合成し、以下のようにPCRによるスクリーニングを行った(第4図)。
PCRによるスクリーニングのテンプレートとしてヒト肝臓由来cDNAライブラリー(クローンテック社製)を用い、第一回PCRを行った。反応混液は、総液量 50μLにて、LA PCR Buffer II(Mg2+不含)、2.5mM MgCl、それぞれ200μMのdATP、dCTP、dGTPおよびdTTP(以上、すべて宝酒造社製)を1μL、ヒト肝臓由来cDNAライブラリー(クローンテック社製)、0.5μMλTriplEx−F1プライマー、ならびに0.5μM CAP1プライマーを含むものとした。PCRは熱変性95℃にて20秒、アニーリング60℃にて20秒、伸長反応72℃にて90秒を35サイクル、また繰り返し反応前に熱変性95℃にて5分、最後に伸長反応72℃にて5分を含むプログラムで行った。第1回PCR終了後、第2回PCRを行った。第1回PCR産物1μLを鋳型とし、プライマーはλTriplEx−F2プライマーおよびCAP2プライマーを用い、第1回PCRと同様の反応組成、プログラム(但し、サイクル数は25サイクル)で行った。以上のPCRはPE Applied Biosystems社製GeneAmp PCR System9700により行った。得られたPCR産物をアガロースゲル電気泳動により確認後、バンドをゲルより切り出し、−80℃、10分間で凍結し、15000rpmにて10分間遠心分離後、上清をエタノール沈澱することにより精製した。
精製したDNA断片は、Novagen社製pT7Blue Vectorに組み込み、このベクターをコンピテントセルXL1−Blue細胞に形質転換した。形質転換体をLB培地(100μg/mLアンピシリン)で培養し、アルカリSDS法によりプラスミドを抽出し、PE Applied Biosystems社製BigDye Terminator Cycle Sequencing FS Ready Reaction kitおよびABI PRISM 377シーケンサで塩基配列の決定を行った。プライマーはM13 Universalプライマー(5’−cgacgttgtaaaacgacggccagt−3’(配列番号20))およびM13 Reverseプライマー(5’−caggaaacagctatgac−3’(配列番号21))(両プライマーともにCAP1プライマーと同様にして合成した)を用いた。この結果得られた塩基配列はCAP2プライマーの3’末端側からN末端側に575塩基長い配列であることが明らかとなった(第4図に示すCL−L2−1 ORFのアミノ酸番号68〜271、またはCL−L2−2 ORFのアミノ酸番号42〜245に相当する領域)。但し、実施例1で得られたESTのコンセンサス配列の5’末端領域の塩基配列と若干の相違が認められた。
[実施例3:新規ヒトコレクチンのヒト腎臓由来キャップサイトcDNAライブラリーからのPCRによるスクリーニングと塩基配列の決定]
実施例2で得られた塩基配列よりさらに転写開始点を含む5’末端領域のクローニングを行うため、実施例2で得られた塩基配列をもとに上流方向への2種類のプライマーCAP3(5’−ggtcctatgtcaccggaatc−3’(配列番号22))、CAP4(5’−ttccatgacgacccacactgc−3’(配列番号23))をPE Applied Biosystems社製392A DNA/RNAシンセサイザーにより合成し、以下のようにキャップサイトcDNAを用いて、PCRによるスクリーニングを行った(第4図)。
Cap Site cDNA、Human Kidney(NIPPON GENE社製)により、添付の1RC2プライマー(5’−caaggtacgccacagcgtatg−3’(配列番号24))およびCAP3プライマーを用いて第1回PCRを行った。反応混液は、総液量50μLにて、LA PCR Buffer II(Mg2+不含)、2.5mM MgCl、それぞれ200μMのdATP、dCTP、dGTPおよびdTTP(以上 宝酒造社製)を1μL、Cap Site cDNA Human Kidney、0.5μM 1RC2プライマー(以上NIPPON GENE社製)、ならびに0.5μM CAP3プライマーを含むものとした。PCRは、熱変性95℃にて20秒、アニーリング60℃にて20秒、伸長反応72℃にて60秒を35サイクル、また繰り返し反応前に熱変性95℃にて5分、最後に伸長反応72℃にて10分を含むプログラムで行った。第1回PCR終了後、第2回PCRを行った。第1回PCR産物1μLを鋳型とし、プライマーは添付の2RC2プライマー(5’−gtacgccacagcgtatgatgc−3’(配列番号25))およびCAP4プライマーを用い、第1回PCRと同様の反応組成、プログラム(但し、サイクル数は25サイクル)で行った。以上のPCRはPE Applied Biosystems社製GeneAmp PCR System9700により行った。得られたPCR産物をアガロースゲル電気泳動により確認後、バンドをゲルより切り出し、−80℃、10分間凍結し、15000rpm、10分、遠心分離後、上清をエタノール沈澱することにより精製した。
精製したDNA断片は、Novagen社製pT7Blue Vectorに組み込み、このベクターをコンピテントセルXL1−Blue細胞に形質転換した。形質転換体をLB培地(100μg/mlアンピシリン)で培養し、アルカリSDS法によりプラスミドを抽出し、PE Applied Biosystems社製BigDye Terminator Cycle Sequencing FS Ready Reaction kitおよびABI PRISM 377シーケンサで塩基配列の決定を行った。プライマーはM13 Universalプライマー(5’−cgacgttgtaaaacgacggccagt−3’(配列番号20))およびM13 Reverseプライマー(5’−caggaaacagctatgac−3’(配列番号21))を用いた。この結果得られた2種類の塩基配列は、実施例2で得られた塩基配列からN末端側に492塩基長い配列(配列番号1)と実施例2で得られた塩基配列からN末端側に274塩基長い配列(配列番号3)であることが明らかとなった。
以上のことから、ここで得られたCL−L2は813塩基のORF(転写解読枠)を有し(配列番号1)、配列番号2に示される271のアミノ酸をコードしているcDNA(CL−L2−1)、並びに735塩基のORF(転写解読枠)を有し(配列番号3)、配列番号4に示される245のアミノ酸をコードしているcDNA(CL−L2−2)の2種類が得られた。
[実施例4:相同性検索]
次いで、GenBankデータベースでDNAおよびアミノ酸についての相同性の検索を行った結果、得られたアミノ酸配列は、従来見出されているコレクチンのいずれとも異なる新規タンパク質の配列であることが明らかとなった。
従来報告されている3種のコレクチン(MBP、SP−AおよびSP−D)と本発明者が最近単離したヒト肝臓由来コレクチンCL−L1(特開平11−206377号参照)のアミノ酸配列と、本発明の新規コレクチンのコレクチン構造部分のアミノ酸配列を比較し、その結果を第5および6図に示す。第2および3図と同様に、相同性を有するアミノ酸残基部分に囲みを付した。このアラインメントにより、得られた新規タンパク質は既知コレクチンタンパク質と相同性を有し、コレクチンファミリーに属していることが示される。
また、配列番号4に示すアミノ酸配列の第18〜65番目のアミノ酸が欠失した配列番号5に示す塩基配列の第141〜731番目によってコードされる変異体(配列番号6)、配列番号4に示すアミノ酸配列の第18〜41番目のアミノ酸が欠失した配列番号7に示す塩基配列の第141〜803番目によってコードされる変異体(配列番号8)および配列番号4に示すアミノ酸配列の第42〜65番目のアミノ酸が欠失した配列番号9に示す塩基配列の第141〜803番目によってコードされる変異体(配列番号10)が得られた。
[実施例5:新規マウスコレクチンのcDNAの取得]
hCL−L2と同様の方法により、マウス肝臓cDNAライブラリーのスクリーニングを行うことによりmCL−L2遺伝子を得ることができた。得られたmCL−L2のcDNAクローンは813塩基のORF(転写解読枠)を有し(配列番号12)、配列番号13に示される271のアミノ酸をコードしていることが確認できた。
[実施例6:新規コレクチンのヒトの組織における発現分布解析]
新規コレクチンの種々の組織での発現を調べるため、RT−PCR法により解析を行った。得られた新規コレクチンのcDNA配列のネック領域から糖鎖認識領域を増幅できるような2種類のプライマーRTF1(5’−agattccggtgacataggacc−3’(配列番号26))、RTR1(5’−tggtctgggctctgtccctgc−3’(配列番号27))と各組織での新規コレクチンの発現量を比較するためβ−アクチン遺伝子の一部分を増幅できる2種類のプライマーヒトβ−アクチン・センスプライマー(5’−caagagatggccacggctgct−3’(配列番号28))、ヒトβ−アクチン・アンチセンスプライマー(5’−tccttctgcatcctgtcggca−3’(配列番号29))(全てのプライマーはCAP1プライマーと同様にして合成した)を用い、RT−PCRを行った。
種々のヒト由来組織のRNA((1)脳、(2)心臓、(3)腎臓、(4)肝臓、(5)肺、(6)気管、(7)骨髄、(8)結腸、(9)小腸、(10)脾臓、(11)胃、(12)胸腺、(13)乳腺、(14)前立腺、(15)骨格筋、(16)精巣、(17)子宮、(18)小脳、(19)胎児脳、(20)胎児肝臓、(21)脊髄、(22)胎盤、(23)副腎、(24)膵臓、(25)唾液腺、(26)甲状腺)をテンプレートとし、RNA LA PCR KIT(AMV)VER1.1(宝酒造社製)を用いてRT−PCRを実施した。まず以下の反応組成で逆転写反応を行った。
5mM MgCl、1×RNA PCR Buffer、1mM dNTP Mixture、1U/μL RNaseインヒビター、RNA 2μgを含み、全量40μLになるようにRNase不含の蒸留水で調節した。同時に逆転写酵素を含まない反応組成も調整して、ネガティブコントロールとした。上記反応液を0.2mLチューブに入れ、PE Applied Biosystems社製GeneAmp PCR System9700で42℃で30分間、99℃で5分間、5℃で5分間の1サイクルで逆転写反応を行った。得られた逆転写反応産物の10μLを用いて、以下の反応組成でLA PCRをそれぞれ28サイクルと35サイクルで行った。2.5mM MgCl、1×LA PCR Buffer(Mg2+不含)、2U TaKaRa LA Taq、0.2μM RTF1プライマー、0.2μM RTR1プライマーを加え、全量50μLになるように滅菌蒸留水で調節した。PCRは、熱変性95℃にて20秒、アニーリング60℃にて20秒、伸長反応72℃にて60秒を28サイクルおよび35サイクル、また繰り返し反応前に熱変性95℃にて5分、最後に伸長反応72℃にて10分を含むプログラムで行った。反応生成物を1.5%アガロースゲル電気永動により分離し、エチジウムブロマイド溶液(0.1μg/mL)で染色を行い、トランスイルミネーターで泳動パターンを確認し、発現組織を同定した。各組織での発現量を比較するために、各組織でのβ−アクチン遺伝子の一部分を増幅させるRT−PCRを行い、RNAの補正を行った。方法は上記同様、逆転写反応、PCRを行い、判定を行った。この結果を第7図に示すが、本発明の新規コレクチンは、28サイクルのPCRでは腎臓(レーン3)での発現が強く、その他肝臓(レーン4)、小腸(レーン9)、胸腺(レーン12)、胎児肝臓(レーン20)、脊髄(レーン21)、副腎(レーン23)、膵臓(レーン24)での発現が確認できた。また35サイクルのPCRでは新規コレクチンの発現に強弱は認められるが、試した全ての組織においてユビキタスな発現が確認できた。
[実施例7:新規コレクチンの遺伝学的解析]
得られた新規コレクチンのDNA配列(hCL−L2−1(配列番号1)およびmCL−L2(配列番号:12))に基づき、既知のコレクチンとの遺伝的位置付けを明らかにするために解析を行い、遺伝的系統樹を作製した。
解析の対象としたコレクチンは、第8図に示す各種コレクチンファミリーの蛋白質(図中、CL−L1,CL−P1は本発明者らが最近単離に成功した)であり、GenBankデータベースからそれぞれのアミノ酸配列を検索して得られたデータをもとにレクチンドメインを含む領域を用いてclustalw法でマルチプル・アライメントを作成し、それらをもとにN−J法(neighbor−joining法)を用い、Phylip version 3.57c packageプログラムを用いて遺伝的系統樹を作成した。
その結果、SP−D、ウシCL−43、およびウシコングルチニンで一つのクラスターを形成し、さらにMBPおよびSP−Aでそれぞれ別々にクラスターを形成しているが、本発明の新規コレクチン遺伝子はこれらのクラスターには属せず、CL−L1と同様のクラスターに属しておりCL−L1のホモログであると推測された。
[実施例8:新規コレクチン(CL−L2−1およびCL−L2−2)のヒトの組織における発現分布解析]
CL−L2−1(配列番号1)およびCL−L2−2(配列番号3)の種々の組織での発現を調べるため、RT−PCR法により解析を行った。得られたCL−L2−1の全長の翻訳領域を増幅できるプライマー(RTF2(5’−atgagggggaatctggccctggtg−3’(配列番号30))、RTR2(5’−catgttctccttgtcaaactcac−3’(配列番号31)))、得られたCL−L2−2の全長の翻訳領域を増幅できるプライマー(RTF3(5’−atgtggtgggtgcctccgagtc−3’(配列番号32))、RTR2(配列番号31))、および各組織での新規コレクチンの発現量を比較するためβ−アクチン遺伝子の一部分を増幅できる実施例6で使用した2種類のヒトβ−アクチンプライマー(全てのプライマーはCAP1プライマーと同様にして合成した)を用い、実施例6と同様の方法でRT−PCRを行った。
この結果を第9図に示すが、本発明のCL−L2−1(配列番号1)は、28サイクルのPCRでは腎臓(レーン3)、肝臓(レーン4)、小腸(レーン9)、胸腺(レーン12)、胎児肝臓(レーン20)、脊髄(レーン21)、副腎(レーン23)、膵臓(レーン24)での発現が強く、また35サイクルのPCRではCL−L2−1(配列番号1)の発現に強弱は認められるが、試した全ての組織においてユビキタスな発現が確認できた。またCL−L2−2(配列番号3)は、28サイクルのPCRでは、腎臓(レーン3)での発現が強く、また35サイクルのPCRではCL−L2−2(配列番号3)の発現は腎臓(レーン3)の他、発現レベルは低いが、前立腺(レーン14)、精巣(レーン16)、脊髄(レーン21)、胎盤(レーン22)での発現が確認された。
また、第9図に示したように、CL−L2−1およびCL−L2−2のRT−PCR産物に数本の増幅断片が確認された。これらのバンドをゲルより切り出し、実施例2と同様の方法、すなわち−80℃,10min.凍結し、15,000rpm,10min.遠心分離後、上清をエタノール沈澱することにより精製した。精製したDNA断片は、Novagen社製pT7Blue Vectorに組み込み、このベクターをコンピテントセルXL1−Blue細胞に形質転換した。形質転換体をLB培地(100μg/mlアンピシリン)で培養し、アルカリSDS法によりプラスミドを抽出し、PE Applied Biosystems社製BigDye Terminator Cycle Sequencing FS Ready Reaction kitおよびABI PRISM 377シーケンサで塩基配列の決定を行った。プライマーはM13 Universalプライマー(5’−cgacgttgtaaaacgacggccagt−3’(配列番号20))およびM13 Reverseプライマー(5’−caggaaacagctatgac−3’(配列番号21))を用いた。
この結果得られた塩基配列は、実施例2で得られたCL−L2−2(配列番号3)の変異体であるCL−L2−2v1、CL−L2−2v2およびCL−L2−2v3と同様のものであった。また、配列番号2に示すCL−L2−1にはmRNAのオルターナティブスプライシングにより3種のタンパク質が存在していた。それらをCL−L2−1v1(配列番号36、37)、CL−L2−1v2(配列番号38、39)およびCL−L2−1v3(配列番号40、41)と称す。CL−L2−1v1は、配列番号2に示すCL−L2−1のアミノ酸番号44〜91間が欠失(配列番号1に示すCL−L2−1の塩基番号394〜537間が欠失)したものであり、そのアミノ酸配列は配列番号36に示す塩基配列の第265〜933番目(配列番号59)によってコードされる。CL−L2−1v2は、配列番号2に示すCL−L2−1のアミノ酸番号44〜67間が欠失(配列番号1に示すCL−L2−1の塩基番号394〜465間が欠失)したものであり、そのアミノ酸配列は配列番号38に示す塩基配列の第265〜1005番目(配列番号60)によってコードされる。CL−L2−1v3は、配列番号2に示すCL−L2−1のアミノ酸番号68〜91間が欠失(配列番号1に示すCL−L2−1の塩基番号466〜537間が欠失)したものであり、そのアミノ酸配列は配列番号40に示す塩基配列の第265〜1005番目(配列番号61)によってコードされる。また実施例4と同様の方法にてmCL−L2−2遺伝子を得ることができた。
[実施例9:新規コレクチンの発現ベクターpcDNA3.1/Myc−His(+)A−CL−L2−1,2の構築]
CL−L2−1(配列番号1)の翻訳領域を、CL−L2−1Fプライマー(5’−gggaagcttcgatcaggatgagggggaatctggccctggtg−3’(配列番号:33))とCL−L2−1Rプライマー(5’−gggctcgagcatgttctccttgtcaaactcac−3’(配列番号:34))を用いて、また新規コレクチン(配列番号3)の翻訳領域をCL−L2−2Fプライマー(5’−gggaagcttccagcacaatgtggtgggtgcctccgagtc−3’配列番号:35))とCL−L2−1Rプライマー(配列番号:34)を用いて、ヒト腎臓由来cDNAライブラリーを鋳型として、PCR(タカラ社製:Takara Thermal Cycler MP)により増幅させた。得られたCL−L2−1cDNAをpT7Blue T−Vector(Novagen社製)にライゲーションし、大腸菌XLI−Blueにトランスフォメーションを行った。得られたクローンからCL−L2−1cDNAを含むプラスミドを精製し、シークエンサーにより塩基配列を確認後、誤りのないプラスミドを制限酵素Hind IIIとXho Iで消化して、同様の酵素で消化し精製したpcDNA3.1/Myc−His(+)Aベクター(インビトロジェン社製)にライゲーションを行った。ライゲーションしたプラスミドは、大腸菌XLI−Blueにトランスフォメーション後、得られたクローンを培養し、プラスミドを精製して、発現ベクターpcDNA3.1/Myc−His(+)A−CL−L2−1,2とした。尚、この際にCL−L2−1とCL−L2−2の変異体(配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号36、配列番号38および配列番号40)についても同様に発現ベクターを作製した。
[実施例10:新規コレクチンの安定発現細胞株の作成]
実施例9により得られた発現ベクターpcDNA3.1/Myc−His(+)A−CL−L2−1とpEGFP−Fベクター(クローンテック社製)をLIPOFECTAMINE 2000(LF2000)Reagent(GIBCOBRL社製)を用いてCHO細胞にコトランスフェクトし、一過性発現をさせた。まず、LF2000 Reagent溶液0.5ml(LF2000 Reagent30μl、Nutrient Mixture F−12 Ham(Ham’s F−12培地)(シグマ社製))を準備し、5分間室温でインキュベートした後、ベクター溶液0.5ml(pcDNA3.1/Myc−His(+)A−CL−L2−1,2:7.5μg、pEGFP−Fベクター2.5μg、Ham’s F−12培地)と混和し、20分間インキュベートした。その後、25cmフラスコで5ml Ham’s F−12培地(5%FCS含む)で高密度にまで培養したCHO細胞に添加した。4時間、37℃、5%CO下で培養を行った後、新しい培地と交換し、さらに続けて20時間、37℃、5%CO下で培養を行った。次に、培地をHam’s F−12培地(5%FCS、0.4mg/ml Geneticin(GIBCOBRL社製)含む)に交換し、さらに、10日間培養を行った。途中一度培地交換を行った。
この10日間の薬剤セレクションにより、形質転換細胞のみが生存し増殖したが、形質転換されなかった細胞は死滅した。得られた形質転換細胞から高発現な細胞を得るためにGFPの蛍光をマーカーにしてセルソーター(Becton Dickinson社製)によりソーティングを行った。形質転換した25cm2フラスコの細胞を5ml PBS(−)で2回洗浄した後、EDTA solution0.02%(ナカライテスク社製)0.3mlで細胞をはがし、10ml PBS(−)に懸濁した後、200xg、7分間、4℃で遠心後、上清を除去し、0.5mlの2%FCS/PBS(−)に懸濁し、ソーティングサンプルとした。サンプルはセルストレーナーキャップ付き5mlチューブ(Becton Dickinson社製)を通した後にセルソーターにかけた。同様に処理した形質転換していないCHO細胞をコントロールとして蛍光強度が10倍以上高いものをセレクションした。これらの細胞はあらかじめHam’s F−12培地(5%FCS、0.4mg/ml Geneticin含む)を100μlずつ入れておいた96穴細胞培養用プレートに1穴あたり1細胞ずつ分取した。37℃、5%CO下で培養を行い、1週間培養後、さらに、100μlずつ培養液を加え、さらに1週間培養を行った。Geneticinによる薬剤セレクションにより増殖してきたクローンを2分割して、12穴および24穴細胞培養用プレート継代した。このとき、1穴に2細胞以上から増殖してきているようなクローンは除外し、12穴および24穴細胞培養用プレートには9:1の細胞比で細胞を播いた。37℃、5%CO下で培養を行い、12穴のプレートの細胞が高密度にまで達した時、その培養上清の200μlをImmobilon−Pメンブレン(ミリポア社製)にBio−Dot Microfiltration Apparatus(BIO−RAD社製)を用いてドットブロットし、抗myc抗体(Invitorogen社製)を0.05%Tween 20/TBS buffer(宝酒造社製)で5000倍希釈した溶液に室温で1時間インキュベートした後、100mlの0.05%Tween 20/TBS bufferでメンブレンを室温で20分間×3回洗浄し、さらに抗マウスIgG−HRP(ケミコン社製)を0.05%Tween 20/TBS bufferで5000倍希釈した溶液に室温で1時間インキュベートした後、100mlの0.05%Tween 20/TBS bufferでメンブレンを室温で20分間×3回洗浄し、TMB Membrane Peroxidase substrate system(フナコシ社製)を用いて検出した。発色の強かったクローンを確認した後、それぞれ対応する24穴のプレートの細胞を安定発現細胞株(CHO/CL−L2−1)とした。
[実施例11:新規コレクチンの糖結合特性の解析]
実施例10で作製した新規コレクチンの安定発現細胞株(CHO/CL−L2−1)の培養上清1LをVIVAPORE10(フナコシ社製)を用いて50mlに濃縮した後、Ni−NTAアガロース(キアゲン社製)を200μl加え、一晩、4℃で浸透しながらインキュベーションすることにより新規コレクチンをNi−NTAアガロースに結合させた。Ni−NTAアガロースをPoly−Prep Chromatography Columns(バイオラッド社製)に充填し、5mlの50mM NaHPO、300mM NaCl、20mMイミダゾール、0.05%Tween20(pH8.0)で3回洗浄した後、200μlの50mM NaHPO、300mM NaCl、250mMイミダゾール、0.05%Tween20(pH8.0)で5回溶出することにより精製した。精製した新規コレクチンを定量し、糖特異性の解析に使用した。
すなわち、精製した新規コレクチン(1μg)を、結合特性を調べる糖鎖プローブの種類分Immobilon−Pメンブレン(ミリポア社製)にBio−Dot Microfiltration Apparatus(BIO−RAD社製)を用いてドットブロットした後、各ドットを1cm画に切り取り、ブロックエース(大日本製薬社製)に浸けて、室温で1時間インキュベートした。次にメンブレンを0.05%Tween20、5mM CaCl、TBS bufferで3回洗浄し、5mM CaCl、TBS bufferで1μg/mlに希釈した各種糖鎖プローブ(第10図)溶液中で室温で1時間インキュベートした後、再度0.05%Tween20、5mM CaCl、TBS bufferで3回洗浄した。次に0.05%Tween20、5mM CaCl、TBS bufferで1000倍希釈したStreptabvidin−biotinylated HRP(アマシャム社製)溶液中に室温で30分間インキュベートし、0.05%Tween20、5mM CaCl、TBS bufferで3回洗浄した後、TMB Membrane Peroxidase substrate system(フナコシ社製)を用いて検出した。第10図に示した様に新規コレクチンはマンノース、フコース、N−アセチルガラクトサミン、N−アセチルノイラミン酸、マンノース−6−リン酸と結合する活性を有していた。
本発明のCL−L2sタンパク質は、コレクチン構造を有していることから、それらに特有の効果を示す物質と考えられ、基礎免疫の機能の解明、細菌感染症等を始めとする各種疾患等の発症機構の解明、さらにその診断、予防および治療法、並びにそれらのための試薬や医薬の開発に利用できるものである。
【配列表】
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【図面の簡単な説明】
第1図は、従来報告されている主なコレクチンの基本構造(a)およびタンパク質(MBP、SP−AおよびSP−D)の概観を示す図である。第2図は、従来報告されている4種のコレクチンのアミノ酸配列のアラインメントの前半部分を示す図である。第3図は、第2図と同様のアラインメントの後半部分を示す図である。第4図は、本発明の新規コレクチンの塩基配列を決定するために使用した各プライマーと、得られた新規コレクチンを示す図(a)、(b)である。第5図は、従来報告されている4種のコレクチンと、本発明の新規コレクチン(hCL−L2−1)のアミノ酸配列のアラインメントの前半部分を示す図である。第6図は、第5図と同様のアラインメントの後半部分を示す図である。第7図は、本発明の新規コレクチンhCL−L2の臓器分布を示す、ヒトの種々の組織におけるmRNAの分布の分析結果を示す図である。第8図は、種々のコレクチンの遺伝的系統樹を示す図である。第9図は、本発明の新規コレクチン(hCL−L2−1およびhCL−L2−2)の臓器分布を示す、ヒトの種々の組織におけるmRNAの分布の分析結果を示す図である。第10図は、本発明の新規コレクチンhCL−L2−1の糖結合特性を示す図である。

Claims (40)

  1. 配列番号2のアミノ酸番号1〜271に示すアミノ酸271個から成るアミノ酸配列を有するタンパク質、または、配列番号2に示すアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ配列番号2のアミノ酸番号1〜271に示すアミノ酸配列を有するタンパク質と同等の性質を有するタンパク質、あるいはこれらの誘導体またはび断片。
  2. 配列番号45(配列番号1の塩基番号265〜1077に相当)に示す塩基配列、配列番号2のアミノ酸番号1〜271に示すアミノ酸配列またはその断片をコードする塩基配列、または、これら塩基配列もしくはこれら塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ配列番号2のアミノ酸番号1〜271に示すアミノ酸配列を有するタンパク質と同等の性質を有するタンパク質をコードする塩基配列。
  3. 配列番号4のアミノ酸番号1〜245に示すアミノ酸245個から成るアミノ酸配列を有するタンパク質、または、配列番号4のアミノ酸番号1〜245に示すアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ配列番号4のアミノ酸番号1〜245に示すアミノ酸配列を有するタンパク質と同等の性質を有するタンパク質、あるいはこれらの誘導体または断片。
  4. 配列番号46(配列番号3の塩基番号141〜875に相当)に示す塩基配列、配列番号4のアミノ酸番号1〜245に示すアミノ酸配列またはその断片をコードする塩基配列、または、これら塩基配列もしくはこれら塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ配列番号4のアミノ酸番号1〜245に示すアミノ酸配列を有するタンパク質と同等の性質を有するタンパク質をコードする塩基配列。
  5. 配列番号47(配列番号2のアミノ酸番号113〜271に相当)に示すアミノ酸159個から成るアミノ酸配列を有するタンパク質、または、配列番号2に示すアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ配列番号2のアミノ酸番号113〜271に示すアミノ酸配列を有するタンパク質と同等の性質を有するタンパク質、あるいはこれらの誘導体または断片。
  6. 配列番号48(配列番号1の塩基番号601〜1077に相当)に示す塩基配列、配列番号2のアミノ酸番号113〜271に示すアミノ酸配列またはその断片をコードする塩基配列、または、これら塩基配列もしくはこれら塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ配列番号2のアミノ酸番号113〜271に示すアミノ酸配列を有するタンパク質と同等の性質を有するタンパク質をコードする塩基配列。
  7. 請求の範囲第5項記載のタンパク質のN末端側に(Gly−Xaa−Yaa)n(但しnは1以上50以下の整数を示し、XaaおよびYaaはアミノ酸残基を示し、XaaとYaaは同一アミノ酸残基であっても異なるアミノ酸残基であっても良い)の構造をさらに含むことを特徴とするタンパク質。
  8. (Gly−Xaa−Yaa)nが下記群、すなわち、
    Figure 2001081401
    Figure 2001081401
    Figure 2001081401
    を含む配列から選択されることを特徴とする、請求の範囲第7項記載のタンパク質。
  9. 請求の範囲第7または8項記載のタンパク質をコードする塩基配列。
  10. 請求の範囲第7または8項記載のタンパク質の(Gly−Xaa−Yaa)nの構造のN末端に以下のアミノ酸配列すなわち、
    Figure 2001081401
    をさらに含むことを特徴とするタンパク質。
  11. 請求の範囲第7または8項記載のタンパク質の(Gly−Xaa−Yaa)nの構造のN末端に以下のアミノ酸配列すなわち、
    Figure 2001081401
    をさらに含むことを特徴とするタンパク質。
  12. 請求の範囲第10または11項記載のタンパク質をコードする塩基配列。
  13. 配列番号6のアミノ酸番号1〜197に示すアミノ酸197個から成るアミノ酸配列を有するタンパク質、または、配列番号6に示すアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ配列番号6のアミノ酸番号1〜197に示すアミノ酸配列を有するタンパク質と同等の性質を有するタンパク質、あるいはこれらの誘導体または断片。
  14. 配列番号55(配列番号5の塩基番号141〜731に相当)に示す塩基配列、配列番号6のアミノ酸番号1〜197に示すアミノ酸配列またはその断片をコードする塩基配列、または、これら塩基配列もしくはこれら塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ配列番号6のアミノ酸番号1〜197に示すアミノ酸配列を有するタンパク質と同等の性質を有するタンパク質をコードする塩基配列。
  15. 配列番号8のアミノ酸番号1〜221に示すアミノ酸221個から成るアミノ酸配列を有するタンパク質、または、配列番号8のアミノ酸番号1〜221に示すアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ配列番号8のアミノ酸番号1〜221に示すアミノ酸配列を有するタンパク質と同等の性質を有するタンパク質、あるいはこれらの誘導体または断片。
  16. 配列番号56(配列番号7の塩基番号141〜803に相当)に示す塩基配列、配列番号8のアミノ酸番号1〜221に示すアミノ酸配列またはその断片をコードする塩基配列、または、これら塩基配列もしくはこれら塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ配列番号8のアミノ酸番号1〜221に示すアミノ酸配列を有するタンパク質と同等の性質を有するタンパク質をコードする塩基配列。
  17. 配列番号10のアミノ酸番号1〜221に示すアミノ酸221個から成るアミノ酸配列を有するタンパク質、または、配列番号10のアミノ酸番号1〜221に示すアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ配列番号10のアミノ酸番号1〜221に示すアミノ酸配列を有するタンパク質と同等の性質を有するタンパク質、あるいはこれらの誘導体または断片。
  18. 配列番号57(配列番号9の塩基番号141〜803に相当)に示す塩基配列、配列番号10のアミノ酸番号1〜221に示すアミノ酸配列またはその断片をコードする塩基配列、または、これら塩基配列もしくはこれら塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ配列番号10のアミノ酸番号1〜221に示すアミノ酸配列を有するタンパク質と同等の性質を有するタンパク質をコードする塩基配列。
  19. 配列番号13のアミノ酸番号1〜271に示すアミノ酸271個から成るアミノ酸配列を有するタンパク質、または、配列番号13のアミノ酸番号1〜271に示すアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ配列番号13のアミノ酸番号1〜271に示すアミノ酸配列を有するタンパク質と同等の性質を有するタンパク質、あるいはこれらの誘導体または断片。
  20. 配列番号58(配列番号12の塩基番号157〜969に相当)に示す塩基配列、配列番号13のアミノ酸番号1〜271に示すアミノ酸配列またはその断片をコードする塩基配列、または、これら塩基配列もしくはこれら塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ配列番号13のアミノ酸番号1〜271に示すアミノ酸配列を有するタンパク質と同等の性質を有するタンパク質をコードする塩基配列。
  21. 配列番号37のアミノ酸番号1〜223に示すアミノ酸223個から成るアミノ酸配列を有するタンパク質、または、配列番号37のアミノ酸番号1〜223に示すアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ配列番号37のアミノ酸番号1〜223に示すアミノ酸配列を有するタンパク質と同等の性質を有するタンパク質、あるいはこれらの誘導体または断片。
  22. 配列番号59(配列番号36の塩基番号265〜933に相当)に示す塩基配列、配列番号37のアミノ酸番号1〜223に示すアミノ酸配列またはその断片をコードする塩基配列、または、これら塩基配列もしくはこれら塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ配列番号37のアミノ酸番号1〜223に示すアミノ酸配列を有するタンパク質と同等の性質を有するタンパク質をコードする塩基配列。
  23. 配列番号39のアミノ酸番号1〜247に示すアミノ酸247個から成るアミノ酸配列を有するタンパク質、または、配列番号39のアミノ酸番号1〜247に示すアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ配列番号39のアミノ酸番号1〜247に示すアミノ酸配列を有するタンパク質と同等の性質を有するタンパク質、あるいはこれらの誘導体または断片。
  24. 配列番号60(配列番号38の塩基番号265〜1005に相当)に示す塩基配列、配列番号39のアミノ酸番号1〜247に示すアミノ酸配列またはその断片をコードする塩基配列、または、これら塩基配列もしくはこれら塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ配列番号39のアミノ酸番号1〜247に示すアミノ酸配列を有するタンパク質と同等の性質を有するタンパク質をコードする塩基配列。
  25. 配列番号41のアミノ酸番号1〜247に示すアミノ酸247個から成るアミノ酸配列を有するタンパク質、または、配列番号41のアミノ酸番号1〜247に示すアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ配列番号41のアミノ酸番号1〜247に示すアミノ酸配列を有するタンパク質と同等の性質を有するタンパク質、あるいはこれらの誘導体または断片。
  26. 配列番号61(配列番号40の塩基番号265〜1005に相当)に示す塩基配列、配列番号41のアミノ酸番号1〜247に示すアミノ酸配列またはその断片をコードする塩基配列、または、これら塩基配列もしくはこれら塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ配列番号41のアミノ酸番号1〜247に示すアミノ酸配列を有するタンパク質と同等の性質を有するタンパク質をコードする塩基配列。
  27. 請求の範囲第2、4、6、9、12、14、16、18、20、22、24または26項に記載の塩基配列を含むことを特徴とするベクター。
  28. 請求の範囲第2、4、6、9、12、14、16、18、20、22、24または26項に記載の塩基配列を発現可能に保持する形質転換細胞。
  29. 請求の範囲第2、4、6、9、12、14、16、18、22、24または26項に記載の塩基配列で形質転換した細胞を培養し、産生されたhCL−L2sタンパク質を採取することを特徴とするタンパク質の製造法。
  30. 請求の範囲第20項記載の塩基配列で形質転換した細胞を培養し、産生されたmCL−L2sタンパク質を採取することを特徴とするタンパク質の製造法。
  31. 細胞が大腸菌、動物細胞または昆虫細胞である、請求の範囲第29または30項に記載の製造法。
  32. CL−L2s遺伝子の発現レベルを変化させたトランスジェニック非ヒト動物。
  33. mCL−L2s遺伝子の機能を欠損させたノックアウトマウス。
  34. 請求の範囲第1、3、5、7、8、10、11、13、15、17、19、21、23または25項に記載のタンパク質またはその断片に対する抗体。
  35. ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体またはペプチド抗体である請求の範囲第34項記載の抗体。
  36. 請求の範囲第34または35項に記載の抗体とCL−L2sタンパク質またはその断片との免疫学的な結合に基づいて、該タンパク質またはその断片を測定する方法。
  37. 請求の範囲第1、3、5、7、8、10、11、13、15、17、19、21、23または25項に記載のタンパク質の機能を刺激するアゴニスト。
  38. 請求の範囲第1、3、5、7、8、10、11、13、15、17、19、21、23または25項に記載のタンパク質の機能を阻害するアンタゴニスト。
  39. 請求の範囲第1、3、5、7、8、10、11、13、15、17、19、21、23または25項に記載のタンパク質を用いることを特徴とする薬物のスクリーニング方法。
  40. 請求の範囲第39項に記載のスクリーニング方法によって得られた薬物。
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