JPH04330295A - マウス−ヒトキメラ抗体 - Google Patents

マウス−ヒトキメラ抗体

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JPH04330295A
JPH04330295A JP40881190A JP40881190A JPH04330295A JP H04330295 A JPH04330295 A JP H04330295A JP 40881190 A JP40881190 A JP 40881190A JP 40881190 A JP40881190 A JP 40881190A JP H04330295 A JPH04330295 A JP H04330295A
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JP
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antibody
mouse
human
cea
amino acid
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JP40881190A
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English (en)
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Masayuki Harabayashi
原林 政之
Ko Munakata
宗形 香
Seiko Hosokawa
斉子 細川
Kazuhiro Nagaike
一博 長池
Kenji Nagabari
健二 長張
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Mitsubishi Kasei Corp
Original Assignee
Mitsubishi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、悪性腫瘍に特異的にみ
られる癌胎児性抗原(以下、CEAと称することもある
)に対する特異的抗体であって、その定常領域部分のア
ミノ酸配列がヒト抗体に由来し、可変領域がマウス抗体
に由来するキメラ抗体に関する。
【0002】
【従来技術】1965年Goldらにより見いだされた
CEA(J.Exp.Med., 122,467(1
965))は、現在最も確立した腫瘍マーカーである。 その癌マーカーとしての有用性としては、(1)消化器
癌を中心としていろいろな悪性腫瘍に出現するマーカー
であること、(2)癌の早期診断に役立つもしくは、悪
性疾患か良性疾患かの診断には不可欠なものであること
、(3)外科手術後の患者のモニターリング、ことに根
治手術の成否の判断や再発の早期発見にはなはだ有用で
あること、(1)悲観血的治療法の効果判定に有用であ
ること等が挙げられる(松岡,生化学,62,352,
(1990))。
【0003】この(CEA)に対する抗体は上述の診断
を可能にするばかりでなく、治療薬としても利用するこ
とが可能である。治療薬としての利用法としては最初は
受動的免疫療法を期待したマウスモノクローナル抗体の
単独投与が行われたが、最近ではモノクローナル抗体の
特異的結合能を利用したいわゆるミサイル療法や、他薬
剤との併用が主流になりつつある(D.Scheibe
rg $ A. Houghton, Oncolog
y,1,31(1987))。
【0004】
【発明の解決しようとする問題点】上述の目的に使用で
きるCEAに特異的に結合するマウスモノクローナル抗
体は現在までに多数取得されているが、そのアミノ酸配
列、更には塩基配列を決定している例は、ジェネンテッ
ク社の特許出願(特開昭60−155132号)がある
程度で、未だ非常に少ない。黒木らは約150種類の抗
CEA抗体をCEAのどの微小領域に結合するかをしら
べることにより、25のサブグループに分類した(黒木
ら,Jpn. J.Cancerres.78,386
,(1987))。このことは、実際に診断薬あるいは
治療薬としてモノクローナル抗体を使用する場合にはサ
ブグループの違いによりその効果は著しく異なることが
予測される。
【0005】一方、CEA治療薬としては、現在主にマ
ウスモノクローナル抗体が使われているが、マウスモノ
クローナル抗体を人体に投与すると、血中での半減期が
ヒト抗体に比べると著しく短く、またマウスモノクロー
ナル抗体は患者にとって外来の異物として認識されるの
で、免疫応答に起因するアナフラトキシーなどの副作用
を引き起こし、連続投与を難しくさせることが明らかに
なった(A. Lo Bugliら,Proc. Na
tl. Acad. Sci. U. S. A.,8
6,4220,(1989))。
【0006】M. S. Neuberger らはマ
ウス抗体の定常領域をヒト抗体の定常領域に置き換えた
マウス−ヒトキメラ抗体を作製することによってこの問
題を解決しようと試みている (M. S. Neub
ergerら,Nature, 314,268,(1
985))。彼らは可変領域のゲノムDNAと定常領域
のゲノムDNAをイントロンをはさんだ状態で連結する
ことによってキメラ化を行っている。
【0007】
【問題点を解決するための手段】本発明者らは、上記特
開昭60−155132号公報記載の抗CEAマウスモ
ノクローナル抗体とはH鎖で120アミノ酸中24アミ
ノ酸が、L鎖で109アミノ酸中20アミノ酸が異なる
新規な抗CEAマウスモノクローナル抗体をコードする
cDNAを取得し、該抗体の可変領域をコードするcD
NAとヒト抗体の定常領域のcDNAとを、イントロン
を介さずに直接連結することによってキメラ化を行い、
cDNAに特異的に結合する新規なマウス−ヒトキメラ
抗体を作製することに成功し、本発明を完成するに至っ
た。
【0008】即ち、本発明の要旨はヒト癌胎児性抗原に
特異的に結合するマウス抗体の可変領域とヒト抗体の定
常領域とを結合して成るマウス−ヒトキメラ抗体であっ
て、該ヒト癌胎児性抗原に特異的に結合するマウス抗体
の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域が夫々、配列番号:1
の第1番〜第120番及び配列番号:2の第1番〜第1
09番で表わされるアミノ酸配列を有することを特徴と
するマウス−ヒトキメラ抗体に存する。
【0009】以下、本発明を説明するに、本発明のDN
A断片は、まず、抗CEA特異抗体生産株(ミエローマ
細胞及び脾細胞より得られるハイブリドーマ)を得、該
生産株からチオシアン酸グアニジン−塩化リチウム法(
casara ら, DNA,2,329(1983)
)に記載の方法でmRNAを調製して、アマーシャム社
製のcDNA合成システムキット等によりそのcDNA
ライブラリーを作製する。次いで、該ライブラリーから
マウス抗体重(H)鎖定常領域及び軽(L)鎖定常領域
の塩基配列部分をプローブとして常法に従いハイブリダ
イゼーションを行い、cDNAをクローニングできる。 該cDNAが抗CEA特異抗体のcDNAであることの
確認は、別に上記ハイブリドーマが生産する抗体を常法
に従い分離精製し、常法に従いN末端アミノ酸配列を決
定し、その結果との一致により行った。こうして得られ
たDNA断片とヒト抗体の定常領域をコードするDNA
とをアミノ酸置換とフレームシフトがおきないように正
確に連結することによりキメラ化マウス抗CEA抗体D
NAが得られる。
【0010】上記の様にして作製されたキメラ抗体をコ
ードする遺伝子を公知の種々の発現ベクターに導入して
適当な宿主中で発現させることにより本発明のマウス−
ヒトキメラ抗体が得られる。
【0011】
〔抗CEA特異抗体生産株の取得〕
1)培地 RPMI1640培地に、リラシリン100μm/ml
、ストレプトマイシン100μm/ml、グルタミン2
mM、炭酸水素ナトリウム1.6g/mlを加えた後、
二酸化炭素を吹き込みpH7.2前後として牛胎児血清
(FCS)を10%となるように加えて使用した。
【0012】2)ミエローマ細胞 Balb/cマウス由来の骨髄細胞MO−PC−21の
株化細胞δアザグアニン耐性のP3−X63−Ag−δ
U/(P3UI)を用いた。
【0013】3)抗原感作 ヒトCEA(三菱化成社製)をフロイント完全アジュバ
ンドと混合した抗原をBalb/cマウスに1匹当り0
.25mg/0.5mlずつ腹腔に接種し、一次感作し
た。5週間後、更に抗原を0.5mg/0.5mlずつ
腹腔または、0.3mg/0.3mlずつ尾静脈に接種
二次感作した。その4日後の脾臓細胞を上記ミエローマ
細胞株と下記4)の様にして細胞融合させた。
【0014】4)細胞融合法 ミエローマ細胞、脾臓細胞共に食塩燐酸緩衝液(10m
M燐酸緩衝液pH7.5、0.9%食塩、PBS)で3
回洗浄後、10%FCS含有RPMI1640に浮遊さ
せ、細胞数を算定した。1×106 個のP3U1に対
して7.5〜10×108 個の脾細胞を2〜3時間培
養した。次にRPMI1640で遠心洗浄し、FCSを
除きガラススピッツ遠心管に細胞を集める。上清を完全
に取り去った後、ペレット上の細胞をほぐし、予め37
℃に温めておいた42.5%ポリエチレングリコール塩
(PEG)を0.5ml加え、室温で1分間反応させた
後、37℃のRPMI1640、1mlを30秒毎に1
0回加えた。その間、試験管をゆっくり回転し続ける。 この様に、細胞融合させた細胞を遠心洗浄し、P3U1
細胞数が、5〜10×105 個/mlになるようにR
PMI1640,10%FCSを加える。その0.2m
lをマイクロタイタープレートに分注した。24時間培
養して上清を半量捨てHAT(ヒポキサンチン、アミノ
プテリン及びチミヂンを含有)培地を加える。以後のこ
の操作を48時間毎に2週間繰り返す。ミエローマ細胞
及び脾細胞は共にHAT培地中では増殖できないので、
増殖してくる細胞は、ハイブリドーマと考えられる。従
って、10〜14日後増殖してきたハイブリドーマの存
在の認められる培養液について抗体活性を調べる。
【0015】5)抗体活性のスクリーニング抗体活性の
スクリーニングは次に示すようなエンザイムイムノアッ
セイにより行った。■  PBSに溶解した抗原(1m
g/ml)を50μlマイクロタイタープレート(96
穴、Falcon3129)に吸着させた。(4℃、一
晩)■  抗原溶液を除き、0.05%Tween 2
0を含んだPBS(PBST)により4回洗浄した後、
5%牛アルブミン(BSA)を含んだPBSを100μ
l加え37℃1時間放置した。
【0016】■  BSA溶液を除いた後、PBSTよ
り4回洗浄する。次に、ハイブリドーマの培養上清を5
0μl加え、二時間反応させた。
【0017】■  PBSTで4回洗浄した後、1%B
SAを含むPBSで1000倍に希釈したペルオキシダ
ーゼ結合抗マウス1gG抗体を50μl加え、37℃、
2時間反応させた。
【0018】■  PBSTにより4回洗浄した後、0
.5Mクエン酸1.22ml,0.5M燐酸二ナトリウ
ム2.56ml,オルトフェニレンジアミン10mg,
30%過酸化水素水10μl/25mlを50μl加え
発色させた。十分発色した後、2M硫酸を50μl加え
発色を停止させる。
【0019】■  発色は、イムノリーダーにより光学
的に測定した。■  抗原に特異的な抗体を生産してい
る細胞のうち、特に結合能力の強い抗体を生産している
株一株を分離しクローニング操作を重ねた上でその抗体
cDNAを取るハイブリドーマ細胞として保存した。
【0020】〔抗CEA抗体遺伝子の取得〕1)mRN
Aの調製 該ハイブリドーマ細胞約109 個の細胞よりチオシア
ン酸グアニジン−塩化リチウム法(Casaraら、D
NA,2,329(1983))に従いポリAを有する
RNAを下記のごとく調製した。
【0021】該ハイブリドーマ細胞約109 個の細胞
を直ちに液体窒素により凍結した。これを液体窒素と共
に、ワーリングブレンダーに入れ3,000rpm 2
分間にて粉砕した。これに5Mチオシアン酸グアニジン
、10mMEDTA,50mMトリス塩酸(pH7)及
び8%β−メルカプトエタノールからなる溶液100m
l中でホモゲナイザー(5rpm)にて更に破砕し、可
溶化した。この可溶化物20mlを遠心管中の5.7M
CsCl溶液10ml上に静かに乗せ、日立RPS28
−2ローターにて27,000rpm ,20時間遠心
後RNAを沈澱として回収した。このRNAの沈澱を0
.1%ラウリル硫酸ナトリウム、1mMEDTA、10
mMトリス塩酸(pH7.5)からなる溶液10mMに
溶解しフェノールクロロホルムで注出後、エタノール沈
澱により回収した。得られたRNA約3.95mgを1
0mMトリス塩酸(pH8.0)及び1mMEDTAか
らなる溶液1mlに溶かした。65℃、5分間保温し0
.1mlの5M食塩を加えた。混合物をオリゴdTセル
ロースカラム(PLバイオケミカル社)クロマトグラフ
ィー(カラム体積0.51ml)にかけた。吸着したポ
リARNAを1mMMEDTA、10mMトリス塩酸(
pH7.5)からなる溶液で溶出し、ポリAを有するm
RNA約100μgを得た。
【0022】2)相補鎖DNA(cDNA)の合成上記
のごとく分離精製したポリAmRNAを用いアマーシャ
ム社製のcDNA合成システムキットを用い、その説明
書に従いcDNAを合成した。 3)cDNAライブラリーの作製 上記のごとく合成したcDNAを用い、アマーシャム社
製のcDNAクローニングシステムλgt10キットを
使用し、その説明書に従いcDNAライブラリーを作製
した。
【0023】4)プラークハイブリダイゼーション上記
のごとく作製したλファージよりなるcDNAライブラ
リーを15cmのシャーレにLB軟寒天培地〔1%バク
トトリプトン、5%イーストイクストラクト、0.5%
塩化ナトリウム、及び0.7%寒天沫〕と共に、16枚
のシャーレにおよそ24万のクローンをまき、一晩培養
した後、培地中のλファージクローンをナイロン膜であ
るジーンスクリーニングプラス(デュポン社)上に移し
取った。一枚のシャーレあたりナイロン膜2枚の割合で
移し取り、その様にしてできたナイロン膜を0.5M水
酸化ナトリウムが浸み込んだろ紙上に2分間静置し別に
用意した乾いたろ紙上で水分を除いた後、同じ操作を再
び繰り返した。次に、同様に1Mトリス−塩酸(pH7
.5)を浸み込ませたろ紙上でこのナイロン膜を静置し
乾いたろ紙上で風乾した後、同じ操作を再び繰り返した
。 こうして処理したナイロン膜は、次にナイロン膜1枚当
り5mlのプレハイブリダイゼーション液〔1M塩化ナ
トリウム、1%SDS、250μg/ml鮭精子DMA
〕に65℃1時間浸した。次に既にその遺伝子が取得さ
れているマウス抗体H鎖遺伝子定常領域塩基配列(5’
AGATGGGGGTGTCGTT3’、アプライドバ
イオシステム380ADNA合成機により常法に従い合
成)、L鎖遺伝子定常領域塩基配列(5’TGGATG
GTGGGAAGATG3’ 、アマーシャム社より購
入)から常法に従い作製した32P標識プローブを含む
ハイブリダイゼーション液〔1M塩化ナトリウム、1%
SDS、250μg/ml鮭精子DNA、10%硫酸デ
キストラン、10ng/ml32P標識プローブDNA
〕中で55℃で18時間保温した。その後、ナイロン膜
を取り出し、0.1%のSDSを含んだ2倍の濃度のS
SC溶液〔20倍の濃度のSSC溶液;3M塩化ナトリ
ウム、0.3Mクエン酸ナトリウム〕中で室温で30分
間2回洗い、0.1%のSDSを含んだ0.1倍の濃度
のSSC溶液で42℃30分間2回洗った後、オートラ
ジオグラフィーを行った。2枚1組のナイロン膜のオー
トラジオグラム上のシグナルが一致したものはH鎖の場
合18個ありL鎖の場合10個であった。そのうちH鎖
4個、L鎖6個は同じ制限酵素による切断のパターンが
同一のcDNAを含んでいた。
【0024】これらの中からH鎖、L鎖とも一つずつク
ローンを選びcDNAの塩基配列の決定をSanger
らのジデオキシ法によって行った。求める抗体のcDN
Aであることの確認は、別にこのハイブリドーマ細胞の
生産する抗体を常法に従い分離精製し、常法に従いN末
端アミノ酸配列を決定し、その結果との一致により行っ
た。
【0025】決定した塩基配列から予想される重鎖及び
軽鎖の可変領域のアミノ酸配列を夫々、配列番号:1の
第1番〜第120番及び配列番号:2の第1番〜第10
9番で示す。尚、配列番号:1の第−1番〜第−19番
及び配列番号:2の第−1番〜第−20番はシグナル配
列を示す。また過去にジェネンテック社から報告されて
いる抗CEAマウスモノクローナル抗体のアミノ酸配列
との違いを図1及び図2に示す。図1では、配列番号1
で表される重鎖可変領域アミノ酸の全配列を上段に示し
、下段にはジェネンテック社から報告されている抗CE
Aマウスモノクローナル抗体のアミノ酸配列のうち配列
番号1で表されるアミノ酸配列とは一致しないアミノ酸
残基のみを示した。図2では、軽鎖可変領域アミノ酸配
列について同様の形式で示した。
【0026】本発明に於て我々が取得した抗CEAマウ
スモノクローナル抗体の塩基配列は、ジェネンテック社
が報告した抗CEAマウスモノクローナル抗体とはH鎖
で120アミノ酸中24アミノ酸が、L鎖で109アミ
ノ酸中20アミノ酸が異なっており、CEAに特異的に
結合する新規のマウスモノクローナル抗体をコードする
cDNAを取得したことが分る。
【0027】このアミノ酸配列及び塩基配列が明らかに
されたDNA断片は、上述の様な方法を繰返すことなく
、DNA合成機により再現性良く取得することができる
【0028】〔マウス抗体遺伝子のキメラ化〕上記の様
にして得られる抗CEAマウスモノクローナル抗体の可
変(V)領域の遺伝子と、プラスミドpSV2 Hgp
t−HuG と pSV184 Δ Hneo−Huκ
(V. T. Oi &S. L. Morrison
, BioTechniques,4,214,(19
86))(ベクトン・ディッキンソン・イムノサイトメ
トリー・システム社から入手可能)のヒトIgG1 の
定常(C)領域またはヒトκのC領域の遺伝子とを、ア
ミノ酸置換とフレームシフトがおきないように正確に連
結することによってマウス抗CEA抗体のキメラ化を行
うことができる。
【0029】具体的には、例えば、マウス可変領域の3
’末端塩基配列とヒト定常領域の5’末端塩基配列から
なる図3および図4で示した合成リンカーを使ってマウ
ス可変領域の3’末端とヒト定常領域の5’末端を連結
する。そのためには、それぞれの末端塩基配列中に全塩
基配列を通じて1箇所しか存在しないような制限酵素認
識部位が必要である。そこでDNA配列上に部位特異的
変異を導入することによって新たに上記の目的にかなう
制限酵素認識部位を作り出す。部位特異的変異の導入に
はアマーシャム社のin  Vitro  mutag
enesis systemを使用して行うことができ
る。
【0030】即ち、図3に示したように、マウスH鎖の
cDNAのV領域の3’末端付近にA→Gへの1塩基置
換をおこない、Bst  EII切断部位( G↓GT
NACC) を導入した。このBst  EII部位と
、ヒトH鎖のC領域の5’末端付近にもとから存在する
Apa  I部位( GGGCC↓C)を合成リンカー
をはさんで連結することによってキメラH鎖を得ること
ができる。
【0031】また、L鎖は、図4に示したように、マウ
スL鎖のcDNAのV領域の3’末端付近にG→Tの1
塩基置換を行うことにより生じたHin d III部
位( A↓AGCTT)と、ヒトL鎖のC領域の5’末
端付近にT→G、A→Gの2塩基置換を行うことにより
生じたBbe  I部位( GGCGC↓C ) を合
成リンカーで連結することによってキメラ化することが
できる。いずれの塩基置換も、アミノ酸に対応するコド
ンの3文字目でありアミノ酸配列には影響を与えない。
【0032】本発明においては、DNAのシークエンス
により、キメラ抗体をコードする遺伝子の連結が正確に
行われていることを確認した。
【0033】〔発現ベクターの構築〕上記の様にして作
製されたキメラ抗体をコードする遺伝子を公知の種々の
発現ベクターに導入して発現させることにより、本発明
のキメラ抗体を得ることができる。例えば、動物細胞に
おける発現ベクターとして、図5および6に示した手順
でpKCRH2(三品ら,Nature, 307,6
05,(1984))からpKCR(ΔE)/HとpK
CRD を構築することができる。
【0034】pKCRH2のEco  RI/Sal 
 I断片中には、SV40のプロモーター、ウサギβグ
ロビンのイントロン、SV40のターミネーターからな
る一組の発現単位が存在する。pKCRH2のEco 
 RI部位にEco  RI/Sal  I断片を更に
挿入することにより作製したpKCRD は、この発現
単位を2組持ち、加えて、前方の発現単位にはEco 
 RI、後方の発現単位にはHin  d III を
用いて任意のDNA配列を挿入できるようにデザインし
た。
【0035】上記で作製したキメラH鎖遺伝子の両端に
Hin  d III 部位を付加し、pKCR(ΔE
)/HのHin  d III 部位に挿入することに
より、chi−H/pKCR(ΔE)/H(以下「プラ
スミドH」という。)を得た(図7)。キメラL鎖遺伝
子の両端にはEco  RI部位を付加し、pKCRD
 のEco  RI部位に挿入することによりchi−
L/pKCRD (以下「プラスミドL」という。)を
得た(図7)。
【0036】選択マーカー遺伝子DHFR及びNEO 
は、プラスミドpMTVdhfr (F. Leeら,
Nature, 294,228,(1981))、p
SV2neo (P. J. Southenら,J.
 Mol. Appl. Genet., 1,327
,(1982))から各々切り出し、両端にSal  
Iリンカーを付けて、プラスミドHまたはプラスミドL
のSal  I部位に挿入することにより、図8に示す
プラスミドH/NEO 、図7に示すプラスミドL/D
HFRおよび図8に示すプラスミドL/NEO を構築
した。
【0037】〔キメラ抗CEA抗体遺伝子のマウスL細
胞への導入〕かくして得られる発現ベクターを宿主中で
発現させることにより本発明のキメラ抗体を得ることが
できる。以下に具体的に示す。約106 個のマウスL
細胞(American Type Cultute 
Collection Catalogue of C
ell Lines and Hybridomas,
 fifth edition, (1989))に対
して、プラスミドL36μgとプラスミド H/NEO
3.6μgを同時にリン酸カルシウム法 (F. L.
 Graham and A. J. van der
 Eb, Virology,52,456,(197
3))で導入した。遺伝子導入から24時間後にネオマ
イシンのアナログであるG418(Gibco 社)を
培地に加えると、NEO耐性遺伝子を獲得したL細胞だ
けが増殖可能となる(小田、蛋白質  核酸  酵素、
30、1096(1985))。プラスミドH/NEO
 を取り込んだL細胞はNEO遺伝子とH鎖遺伝子を獲
得するが、プラスミドLを同時に取り込んだL細胞もあ
る割合で存在することが期待される。遺伝子導入から2
週間後に24個のクローンを選んでEIAにより抗体の
発現の有無を調べると、2個のクローン(L5、L15
)で抗体の発現が確認された。
【0038】この2個のクローンについて産生細胞のク
ローニングを行ったところ、L15とクローニングの途
中に抗体産生能を失ったが、産生量400ng/ml/
day のL5から2μg/ml/day の産生量を
示すL5−2を得ることに成功した。Amersham
社のBlotting detection kitを
使用したウエスタンブロット法により本発明のキメラ抗
体のH鎖及びL鎖の発現を確認した。
【0039】〔キメラ抗CEA抗体遺伝子の CHOd
hfr− への導入〕約106 個の CHOdhfr
− (G. Urlaub & L. A. Chas
in, Proc. Natl. Acad. Sci
. USA,77,4216,(1980))に対して
、プラスミドL/DHFR  3.6μgとプラスミド
H  36μgを同時にリン酸カルシウム法で導入した
。ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)を欠失している 
CHOdhfr− はヌクレオシドを含まないMEMα
培地(Sigma 社)では増殖できないが、DHFR
遺伝子を獲得したものはこの培地中で増殖できる((小
田、蛋白質  核酸  酵素、30、1096(198
5))。
【0040】遺伝子導入から2週間後に12個のクロー
ンを選んでEIAにより抗体の発現の有無を調べ、6個
のクローン(C5、C6、C9、C10、C11、C1
2)で抗体の発現が確認できた(最高6μg/ml/d
ay)。しかし、このクローンの産生する抗体はCEA
に対する抗原結合能がなく(EIAにより確認)、ウエ
スタンブロット法によりH鎖が産生されていないことが
明らかになった。
【0041】そこでH鎖の産生量が最も多かったC9株
にプラスミドL/NEO を導入し、C9−11、C9
−19を得た。これらのクローンではウエスタンブロッ
ト法により本発明のキメラ抗体のH鎖及びL鎖の発現を
確認した。
【0042】
【発明の効果】本発明の新規なキメラ抗体は、CEAに
特異的に反応するので、その診断薬あるいは治療薬とし
て使用し得る。
【0043】
【配列表】配列番号:1 配列の長さ:139 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:タンパク質 起源 細胞の種類:抗CEA特異抗体産生ハイブリドーマ細胞
配列 Met Asn Phe Gly Phe Ser L
eu Ile Phe Leu Val Leu Va
l Leu Lys                
 −15                 −10 
                 −5 Gly V
al Gln Cys Glu Val Lys Le
u Val Glu Ser Gly Gly Gly
 Leu                   1 
              5          
        10 Val Lys Pro Gl
y Gly Ser Leu Lys Leu Ser
 Cys Ala Ala Ser Gly     
         15              
    20                  2
5 Phe Thr Phe Ser Ser Tyr
 Ala Met Ser Trp Val Arg 
Gln Thr Pro              
30                  35   
               40 Glu Lys
 Arg Leu Glu Trp Val Ala 
Ser Ile Thr Ser Asp Gly S
er              45       
           50            
      55 Thr Tyr Tyr Pro 
Asp Ser Val Lys Gly Arg P
he Thr Ile Ser Arg       
       60                
  65                  70 
Asp Asn Ala Arg Asn Ile L
eu Tyr Leu Gln Met Ser Se
r Leu Arg              75
                  80     
             85 Ser Glu A
sp Thr Ala Met Tyr Tyr Cy
s Ala Arg Val His Tyr Tyr
              90         
         95              
   100 Asp Ser Pro Ala Me
t Asp Tyr Trp Gly Gln Gly
 Thr Ser Val Thr         
    105                 1
10                 115 Va
l Ser Ser Ala              120  配列番号:2 配列の長さ:129 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:タンパク質 起源 細胞の種類:抗CEA特異抗体産生ハイブリドーマ細胞
配列 Met Glu Ser Gln Thr Gln V
al Phe Leu Tyr Mer Leu Le
u Trp Leu −20            
     −15                 
−10 Ser Gly Val Asp Gly A
sp Ile Val Met Thr Gln Se
r Gln Lys Phe  −5        
           1             
  5                  10 M
et Ser Thr Ser Val Gly As
p Arg Val Ser Val Thr Cys
 Lys Ala                 
 15                  20  
                25 Ser Gl
n Asn Val Gly Thr Asn Val
 Ala Trp Tyr Gln Gln Lys 
Pro                  30  
                35       
           40 Gly Gln Ser
 Pro Lys Ala Leu Ile Asn 
Ser Ala Ser Tyr Arg Tyr  
                45       
           50            
      55 Ser Gly Val Pro 
Asp Arg Phe Thr Gly Ser G
ly Ser Gly Thr Asp       
           60            
      65                 
 70 Phe Thr Leu Thr Ile S
er Asn Val Arg Ser Glu As
p Leu Ala Glu            
      75                 
 80                  85 T
yr Phe Cys Gln Gln Tyr As
n Ser Tyr Pro Leu Tyr Thr
 Phe Gly                 
 90                  90  
               100 Gly Gl
y Thr Lys Leu Glu Ile Lys
 Arg                 105 
配列番号:3 配列の長さ:552 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA 起源 細胞の種類:抗CEA特異抗体産生ハイブリドーマ細胞
配列 ATG AAC TTC GGG TTC AGC T
TG ATT TTC CTT GTC CTT GT
T TAA AAA    60 GGT GTC C
AG TGT GAA GTG AAG CTG GT
G GAG TCT GGG GGA GGC TTA
   120 GTG AAG CCT GGA GG
G TCC CTG AAA CTC TCC TGT
 GCA GCC TCT GGA   180 TT
C ACT TTC AGT AGC TAT GCC
 ATG TCT TGG GTT CGC CAG 
ACT CCA   240 GAG AAG AGG
 CTG GAG TGG GTC GCA TCC 
ATT ACT AGT GAT GGT AGC  
 300 ACC TAC TAT CCA GAC 
AGT GTG AAG GGC CGA TTC A
CC ATC TCC AGA   360 GAT 
AAT GCC AGG AAC ATC CTG T
AC CTG CAA ATG AGC AGT CT
G AGG   420 TCT GAG GAC A
CG GCC ATG TAT TAC TGT GC
A AGA GTC CAT TAC TAC   4
80 GAT AGT CCT GCT ATG GA
C TAC TGG GGT CAA GGA ACC
 TCA GTC ACC   540 GTC TC
C TCA GCC                
                         
      552 配列番号:4 配列の長さ:507 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA 起源 細胞の種類:抗CEA特異抗体産生ハイブリドーマ細胞
配列 ATG GAG TCA CAG ACT CAG G
TC TTT CTA TAC ATG TTG CT
G TGG TTG    60 TCT GGT G
TT GAT GGA GAC ATT GTG AT
G ACC CAG TCT CAA AAA TTC
   120 ATG TCC ACA TCA GT
A GGA GAC AGG GTC AGC GTC
 ACC TGC AAG GCC   180 AG
T CAG AAT GTG GGT ACT AAT
 GTA GCC TGG TAT CAA CAG 
AAA CCA   240 GGG CAA TCT
 CCT AAA GCA CTG ATT AAC 
TCG GCA TCC TAC CGG TAC  
 300 AGT GGA GTC CCT GAT 
CGC TTC ACA GGC AGT GGA T
CT GGG ACA GAT   360 TTC 
ACT CTC ACC ATC AGC AAT G
TG CGG TCT GAA GAC TTG GC
A GAG   420 TAT TTC TGT C
AG CAA TAT AAC AGC TAT CC
T CTC TAC ACA TTC GGA   4
80 GGG GGG ACC AAG CTG GA
A ATA AAA CGG            
               507
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の抗CEA抗体の重鎖可変領域のアミノ
酸配列(上段)と公知の抗CEA抗体の重鎖可変領域の
アミノ酸配列(下段:相違する部分のアミノ酸残基のみ
を記載。)を示す。
【図2】本発明の抗CEA抗体の軽鎖可変領域のアミノ
酸配列(上段)と公知の抗CEA抗体の軽鎖可変領域の
アミノ酸配列(下段:相違する部分のアミノ酸残基のみ
を記載。)を示す。
【図3】マウスV領域とヒトCr1 領域とのH鎖の結
合部分の塩基配列を示す。
【図4】マウスV領域とヒトCr1 領域とのL鎖の結
合部分の塩基配列を示す。
【図5】本発明で使用したベクターpKCRD の構築
の概略図を示す。
【図6】本発明で使用したベクターpKCRD 及びp
KCR(ΔE)/Hの構築の概略図を示す。
【図7】本発明7で使用したプラスミドL,H及びL/
DHFRの概略図を示す。
【図8】本発明で使用したプラスミドH/NEO 及び
L/NEO の概略図を示す。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  ヒト癌胎児性抗原に特異的に結合する
    マウス抗体の可変領域とヒト抗体の定常領域とを結合し
    て成るマウス−ヒトキメラ抗体であって、該ヒト癌胎児
    性抗原に特異的に結合するマウス抗体の重鎖可変領域及
    び軽鎖可変領域が夫々、配列番号:1の第1番〜第12
    0番及び配列番号:2の第1番〜第109番で表される
    アミノ酸配列を有することを特徴とするマウス−ヒトキ
    メラ抗体。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7985833B2 (en) 2000-04-21 2011-07-26 Fuso Pharmaceutical Industries, Ltd. Collectin
US8604162B2 (en) 2000-04-21 2013-12-10 Fuso Pharmaceutical Industries, Ltd. Collectin

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