JP2000139479A - 新規タンパク質およびその製造法 - Google Patents

新規タンパク質およびその製造法

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JP2000139479A
JP2000139479A JP11248414A JP24841499A JP2000139479A JP 2000139479 A JP2000139479 A JP 2000139479A JP 11248414 A JP11248414 A JP 11248414A JP 24841499 A JP24841499 A JP 24841499A JP 2000139479 A JP2000139479 A JP 2000139479A
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present
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cells
seq
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Yasuaki Ito
康明 伊藤
Kazuhiro Oogi
和宏 大儀
Hideyuki Tanaka
秀幸 田中
Chieko Kitada
千恵子 北田
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
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Takeda Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】新規分泌性タンパク質の提供。 【解決手段】分泌性新規タンパク質,その部分ペプチド
またはそれらの塩、該タンパク質をコードするDNA、
該DNAを含有する組換えベクター、形質転換体、該タ
ンパク質の製造法、該タンパク質もしくはDNA含有し
てなる医薬、該タンパク質に対する抗体、該タンパク質
の活性を促進または阻害する化合物またはその塩のスク
リーニング方法/スクリーニング用キット、該スクリー
ニングによって得られる化合物、該化合物を含有してな
る医薬など。 【効果】本発明のタンパク質またはそれをコードするD
NAは、例えば、免疫疾患、肺機能障害、肝臓機能障
害、感染症または胃腸障害などの種々の疾病の治療・予
防剤として使用することができる。また、本発明の抗体
は、被検液中の本発明のタンパク質の定量などに使用す
ることができる。さらに、本発明のタンパク質は、本発
明のタンパク質の活性を促進または阻害する化合物をス
クリーニングするための試薬として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規な分泌性タンパ
ク質に関する。
【0002】
【従来の技術】生体は、細胞間または組織間で、互いに
情報伝達をすることにより、発生、分化、増殖、恒常性
の維持などの統合の取れた調節を行っている。多くの場
合、タンパク性因子がそれらの仲立ちをしている。例え
ば、免疫系、造血系に関与する分泌性因子(液性因子)
が数多く見いだされていて、それらはサイトカインと呼
ばれている。リンホカイン、モノカイン、インターフェ
ロン、コロニー刺激因子、腫瘍壊死因子などがこれらに
含まれる。これらについて、疾病との関係や医薬として
の利用方法が盛んに研究されている。また、内分泌組織
から生産られるペプチドホルモンや増殖因子などの液性
因子も、恒常性の維持や成長に大変重要な役割を果たし
ている。これらについても医薬としての利用方法が盛ん
に追求されている。これらの生体にとって重要なタンパ
ク性因子は、これまで生物活性を指標にして発見されて
きた。また、既知の生理活性タンパク質に対するホモロ
ジーを指標にして、発見の追加がなされてきている。複
雑な生物、とりわけ、哺乳動物が健康体であるために、
これまで見つかっているもの以外にも生理活性を有する
多くの未知のタンパク性因子が存在していると考えられ
ている。近年、cDNAライブラリーの大規模シーケン
シングなどにより、膨大な数の新規な遺伝子が見つかっ
てきつつあるが、配列情報が断片的で不正確なため、こ
れらの中から全く新しい有用遺伝子産物を選び出すこと
は容易ではない。コンピュータを使った情報処理技術の
助けを借り、DNAの配列情報から見出されてきた新規
な遺伝子産物を、生物学、医学、獣医学などに役立てよ
うとする試みが行われつつある(トレンズ イン バイオ
テクノロジー(Trends in Biotechnbology)、14巻、2
94−298頁、1996年)。しかしながら、本当に
有用遺伝子産物を発見するためには、情報処理技術だけ
では分からず、より詳細な解析と実験が必要であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、生物学、医
学、獣医学などに利用可能な新規タンパク質、その部分
ペプチド、またはそれらの塩、組換えベクター、形質転
換体、該タンパク質の製造法、該タンパク、部分ペプチ
ドを含有する医薬、および該タンパク質などに対する抗
体を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、肺、気管、
胃、などで多く発現している新規な塩基配列を有するc
DNAを発見することに成功し、それにコードされる蛋
白質が実際に細胞外に分泌される液性因子であることを
見出した。本発明者らは、これらの知見に基づいて、さ
らに検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。す
なわち、本発明は、(1)配列番号:1、配列番号:2
もしくは配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と同一
または実質的に同一のアミノ酸配列を含有することを特
徴とするタンパク質またはその塩、(2)上記(1)記
載のタンパク質の部分ペプチドまたはその塩、(3)上
記(1)記載のタンパク質または上記(2)記載の部分
ペプチドをコードするDNAを含有する組換えベクター
で形質転換された形質転換体を培養し、該タンパク質ま
たは該部分ペプチドを生成せしめることを特徴とする、
上記(1)記載のタンパク質もしくは上記(2)記載の
部分ペプチドまたはその塩の製造法、(4)上記(1)
記載のタンパク質もしくは上記(2)記載の部分ペプチ
ドまたはその塩に対する抗体、(5)上記(1)記載の
タンパク質もしくは上記(2)記載の部分ペプチドまた
はその塩を用いることを特徴とする、上記(1)記載の
タンパク質もしくは上記(2)記載の部分ペプチドまた
はその塩の活性を促進または阻害する化合物またはその
塩のスクリーニング方法、(6)上記(1)記載のタン
パク質もしくは上記(2)記載の部分ペプチドまたはそ
の塩を含有してなる、上記(1)記載のタンパク質もし
くは上記(2)記載の部分ペプチドまたはその塩の活性
を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニ
ング用キット、(7)上記(5)記載のスクリーニング
方法または上記(6)記載のスクリーニング用キットを
用いて得られうる、上記(1)記載のタンパク質もしく
は上記(2)記載の部分ペプチドまたはその塩の活性を
促進または阻害する化合物またはその塩、(8)上記
(5)記載のスクリーニング方法または上記(6)記載
のスクリーニング用キットを用いて得られうる、上記
(1)記載のタンパク質もしくは上記(2)記載の部分
ペプチドまたはその塩の活性を促進または阻害する化合
物またはその塩を含有してなる医薬、(9)上記(4)
記載の抗体を含有してなる診断剤、(10)上記(4)
記載の抗体を含有してなる医薬などを提供する。
【0005】さらには、本発明は、(11)配列番号:
1、配列番号:2または配列番号:3で表わされるアミ
ノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列が、配列番号:
1、配列番号:2または配列番号:3で表わされるアミ
ノ酸配列と約50%以上(好ましくは約60%以上、さ
らに好ましくは約70%以上、より好ましくは約80%
以上、特に好ましくは約90%以上、最も好ましくは約
95%以上)の相同性を有するアミノ酸配列である上記
(1)記載のタンパク質、(12)配列番号:1、配列
番号:2または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列
と実質的に同一のアミノ酸配列が、配列番号:1、配
列番号:2または配列番号:3で表わされるアミノ酸配
列中の1または2個以上(好ましくは、1〜30個程
度)のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、配列番号:
1、配列番号:2または配列番号:3で表わされるアミ
ノ酸配列に1または2個以上(好ましくは、1〜30個
程度)のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、配列番
号:1、配列番号:2または配列番号:3で表わされる
アミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜
30個程度)のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたア
ミノ酸配列、またはそれらを組み合わせたアミノ酸配
列である上記(1)記載のタンパク質、(13)配列番
号:1、配列番号:2または配列番号:3で表わされる
アミノ酸配列の第23番目〜第119番目のアミノ酸配
列を有するアミノ酸配列を含有する上記(2)記載のペ
プチド、(14)上記(1)記載のタンパク質または上
記(2)記載の部分ペプチドをコードするDNAを含有
する組換えベクター、(15)上記(14)記載の組換
えベクターで形質転換させた形質転換体、(16)免疫
疾患、肺機能障害などの呼吸器疾患、膵臓機能障害、感
染症または胃腸障害などの消化器疾患の治療・予防剤で
ある上記(10)記載の医薬、などを提供する。さらに
本発明は、分子量マーカー、組織マーカー、染色体マッ
ピング、遺伝病の同定、プライマー、プローブの設計な
どの基礎研究に利用できるのみならず、がん転移阻害、
がん転移の検出、細胞の分化増殖の調節、サイトカイン
の誘導、血管新生調節、造血調節、血液凝固調節、感染
症、代謝調節、創傷火傷治癒、抗炎症、遺伝子治療など
の分野で、治療または予防目的で、利用できる可能性が
ある。さらには、気管・気管支関連疾患(例、気管支
炎、インフルエンザ感染症、気管支喘息、上気道炎、気
管支拡張症など)、肺関連疾患(肺がん、結核、肺炎、
肺気腫、肺梗塞、肺鬱血、呼吸不全、嚢胞性肺繊維症、
肺サルコイドーシス、肺水腫、肺性高血圧、塵肺な
ど)、胃関連疾患(例、ヘリコバクター・ピロリ感染
症、消化性潰瘍、胃がん、胃アトニー、胃炎、マロリー
ワイズ症候群、胃拡張、胃液分泌異常、メネトリエ病
(巨大肥厚性胃炎)、胃テタニー、トルソー病(胃性め
まい)、胃腸神経症など)、糖尿病、消化不良、腸内細
菌叢の維持、などの疾病に対する治療または予防目的で
利用できる可能性がある。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の配列番号:1、配列番
号:2または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と
同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を有するタン
パク質(以下、本発明のタンパク質と称する)は、ヒト
や温血動物(例えば、モルモット、ラット、マウス、ニ
ワトリ、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ウシ、サルなど)の細
胞(例えば、肝細胞、脾細胞、神経細胞、グリア細胞、
膵臓β細胞、骨髄細胞、メサンギウム細胞、ランゲルハ
ンス細胞、表皮細胞、上皮細胞、内皮細胞、繊維芽細
胞、繊維細胞、筋細胞、脂肪細胞、免疫細胞(例、マク
ロファージ、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、
肥満細胞、好中球、好塩基球、好酸球、単球)、巨核
球、滑膜細胞、軟骨細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細
胞、乳腺細胞、もしくは間質細胞、またはこれら細胞の
前駆細胞、幹細胞もしくはガン細胞など)もしくはそれ
らの細胞が存在するあらゆる組織、例えば、脳、脳の各
部位(例、嗅球、扁桃核、大脳基底球、海馬、視床、視
床下部、大脳皮質、延髄、小脳)、脊髄、下垂体、胃、
膵臓、腎臓、肝臓、生殖腺、甲状腺、胆のう、骨髄、副
腎、皮膚、筋肉、肺、消化管(例、大腸、小腸)、血
管、心臓、胸腺、脾臓、唾液腺、末梢血、前立腺、睾
丸、卵巣、胎盤、子宮、骨、軟骨、関節、骨格筋などに
由来するタンパク質であってもよく、組換えタンパク質
であってもよく、合成タンパク質であってもよい。
【0007】配列番号:1、配列番号:2または配列番
号:3で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミ
ノ酸配列としては、それぞれ配列番号:1、配列番号:
2または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と約5
0%以上、好ましくは約60%以上、さらに好ましくは
約70%以上、より好ましくは約80%以上、特に好ま
しくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上の相
同性を有するアミノ酸配列などが挙げられる。また、本
発明のタンパク質は、通常シグナルペプチドを有してい
るので、タンパク質を効率よく細胞外に分泌させること
ができる。本発明の配列番号:1、配列番号:2または
配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一
のアミノ酸配列を有するタンパク質としては、例えば、
前記の配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3
で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配
列を有し、配列番号:1、配列番号:2または配列番
号:3で表わされるアミノ酸配列を有するタンパク質と
実質的に同質の性質を有するタンパク質などが好まし
い。実質的に同質の性質としては、例えば、分泌され液
性因子として作用することなどが挙げられる。実質的に
同質とは、それらの性質が定性的に同質であることを示
す。したがって、分泌作用や溶解度などの性質が同等
(例、約0.1〜100倍、好ましくは約0.5〜10
倍、より好ましくは0.5〜2倍)であることが好まし
いが、これらの性質の程度、タンパク質の分子量などの
量的要素は異なっていてもよい。
【0008】また、本発明のタンパク質としては、例え
ば、配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3
で表わされるアミノ酸配列中の1または2個以上(好ま
しくは、1〜30個程度、好ましくは1〜10個程度、
さらに好ましくは数(1〜5)個)のアミノ酸が欠失し
たアミノ酸配列、配列番号:1、配列番号:2または
配列番号:3で表わされるアミノ酸配列に1または2個
以上(好ましくは、1〜30個程度、好ましくは1〜1
0個程度、さらに好ましくは数(1〜5)個)のアミノ
酸が付加したアミノ酸配列、配列番号:1、配列番
号:2または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列に
1または2個以上(好ましくは、1〜30個程度、好ま
しくは1〜10個程度、さらに好ましくは数(1〜5)
個)のアミノ酸が挿入されたアミノ酸配列、配列番
号:1、配列番号:2または配列番号:3で表わされる
アミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜
30個程度、好ましくは1〜10個程度、さらに好まし
くは数(1〜5)個)のアミノ酸が他のアミノ酸で置換
されたアミノ酸配列、またはそれらを組み合わせたア
ミノ酸配列を含有するタンパク質などのいわゆるムテイ
ンも含まれる。上記のようにアミノ酸配列が挿入、欠失
または置換されている場合、その挿入、欠失または置換
の位置としては、特に限定されないが、配列番号:1、
配列番号:2および配列番号:3のそれぞれの配列番号
で表わされるアミノ酸配列に共通するアミノ酸配列以外
の位置などが挙げられる。
【0009】本明細書におけるタンパク質は、ペプチド
標記の慣例に従って左端がN末端(アミノ末端)、右端
がC末端(カルボキシル末端)である。配列番号:1で
表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質をはじめ
とする、本発明のタンパク質は、C末端が通常カルボキ
シル基(−COOH)またはカルボキシレート(−CO
-)であるが、C末端がアミド(−CONH2)または
エステル(−COOR)であってもよい。ここでエステ
ルにおけるRとしては、例えば、メチル、エチル、n−
プロピル、イソプロピルもしくはn−ブチルなどのC
1-6アルキル基、例えば、シクロペンチル、シクロヘキ
シルなどのC3-8シクロアルキル基、例えば、フェニ
ル、α−ナフチルなどのC6-12アリール基、例えば、ベ
ンジル、フェネチルなどのフェニル−C1-2アルキル基
もしくはα−ナフチルメチルなどのα−ナフチル−C
1-2アルキル基などのC7-14アラルキル基のほか、経口
用エステルとして汎用されるピバロイルオキシメチル基
などが用いられる。本発明のタンパク質がC末端以外に
カルボキシル基(またはカルボキシレート)を有してい
る場合、カルボキシル基がアミド化またはエステル化さ
れているものも本発明のタンパク質に含まれる。この場
合のエステルとしては、例えば上記したC末端のエステ
ルなどが用いられる。さらに、本発明のタンパク質に
は、N末端のアミノ酸残基(例、メチオニン残基)のア
ミノ基が保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基など
のC1-6アルカノイルなどのC1-6アシル基など)で保護
されているもの、生体内で切断されて生成するN末端の
グルタミン残基がピログルタミン酸化したもの、分子内
のアミノ酸の側鎖上の置換基(例えば−OH、−SH、
アミノ基、イミダゾール基、インドール基、グアニジノ
基など)が適当な保護基(例えば、ホルミル基、アセチ
ル基などのC1-6アルカノイル基などのC1-6アシル基な
ど)で保護されているもの、あるいは糖鎖が結合したい
わゆる糖タンパク質などの複合タンパク質なども含まれ
る。本発明のタンパク質の具体例としては、例えば、配
列番号:1で表わされるアミノ酸配列を有するヒト由来
のタンパク質、配列番号:2で表わされるアミノ酸配列
を有するラット由来のタンパク質、配列番号:3で表わ
されるアミノ酸配列を有するマウス由来のタンパク質な
どが用いられる。
【0010】本発明のタンパク質の部分ペプチドとして
は、前記した本発明のタンパク質の部分ペプチドであっ
て、好ましくは、前記した本発明のタンパク質と同様の
性質を有するものであればいずれのものでもよい。例え
ば、本発明のタンパク質の構成アミノ酸配列のうち少な
くとも5個以上、好ましくは20個以上、さらに好まし
くは30個以上、より好ましくは50個以上、最も好ま
しくは80個以上のアミノ酸配列を有するペプチドなど
が用いられる。これらペプチドの中でも、例えば、配列
番号:1、配列番号:2または配列番号:3で表わされ
るアミノ酸配列の第23番目〜第119番目のアミノ酸
配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を有
し、本発明のタンパク質と実質的に同質の性質を有する
ペプチドなどが好ましい。ここで、「実質的に同質の性
質」とは、前記と同意義を示す。また、本発明の部分ペ
プチドは、そのアミノ酸配列中の1または2個以上(好
ましくは、1〜10個程度、さらに好ましくは数(1〜
5)個)のアミノ酸が欠失し、または、そのアミノ酸配
列に1または2個以上(好ましくは、1〜20個程度、
より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数
(1〜5)個)のアミノ酸が付加し、または、そのアミ
ノ酸配列に1または2個以上(好ましくは、1〜20個
程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましく
は数(1〜5)個)のアミノ酸が挿入され、または、そ
のアミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1
〜10個程度、より好ましくは数個、さらに好ましくは
1〜5個程度)のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されて
いてもよい。
【0011】また、本発明の部分ペプチドはC末端が通
常カルボキシル基(−COOH)またはカルボキシレー
ト(−COO-)であるが、C末端がアミド(−CON
2)またはエステル(−COOR)であってもよい。
さらに、本発明の部分ペプチドには、N末端のアミノ酸
残基(例、メチオニン残基)のアミノ基が保護基で保護
されているもの、N端側が生体内で切断され生成したグ
ルタミン残基がピログルタミン酸化したもの、分子内の
アミノ酸の側鎖上の置換基が適当な保護基で保護されて
いるもの、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖ペプチド
などの複合ペプチドなども含まれる。本発明の部分ペプ
チドは抗体作成のための抗原として用いることができる
ので、必ずしも本発明のタンパク質が有する活性を有す
る必要はない。
【0012】本発明のタンパク質、部分ペプチドまたは
それらの塩としては、生理学的に許容される酸(例、無
機酸、有機酸)や塩基(例、アルカリ金属塩)などとの
塩が用いられ、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩
が好ましい。この様な塩としては、例えば、無機酸(例
えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、ある
いは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマ
ル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リン
ゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンス
ルホン酸)との塩などが用いられる。本発明のタンパク
質、部分ペプチドまたはそれらの塩は、前述したヒトや
温血動物の細胞または組織から自体公知のタンパク質の
精製方法によって製造することもできるし、後述するタ
ンパク質をコードするDNAを含有する形質転換体を培
養することによっても製造することができる。また、後
述のペプチド合成法に準じて製造することもできる。ヒ
トや哺乳動物の組織または細胞から製造する場合、ヒト
や哺乳動物の組織または細胞をホモジナイズした後、酸
などで抽出を行ない、該抽出液を逆相クロマトグラフィ
ー、イオン交換クロマトグラフィーなどのクロマトグラ
フィーを組み合わせることにより精製単離することがで
きる。
【0013】本発明のタンパク質、部分ペプチドまたは
それらの塩、またはそれらのアミド体の合成には、通常
市販のタンパク質合成用樹脂を用いることができる。そ
のような樹脂としては、例えば、クロロメチル樹脂、ヒ
ドロキシメチル樹脂、ベンズヒドリルアミン樹脂、アミ
ノメチル樹脂、4−ベンジルオキシベンジルアルコール
樹脂、4−メチルベンズヒドリルアミン樹脂、PAM樹
脂、4−ヒドロキシメチルメチルフェニルアセトアミド
メチル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、4−(2',4'-ジ
メトキシフェニル−ヒドロキシメチル)フェノキシ樹
脂、4−(2',4'-ジメトキシフェニル−Fmocアミノエチ
ル)フェノキシ樹脂などを挙げることができる。このよ
うな樹脂を用い、α−アミノ基と側鎖官能基を適当に保
護したアミノ酸を、目的とするタンパク質の配列通り
に、自体公知の各種縮合方法に従い、樹脂上で縮合させ
る。反応の最後に樹脂からタンパク質を切り出すと同時
に各種保護基を除去し、さらに高希釈溶液中で分子内ジ
スルフィド結合形成反応を実施し、目的のタンパク質ま
たはそれらのアミド体を取得する。上記した保護アミノ
酸の縮合に関しては、タンパク質合成に使用できる各種
活性化試薬を用いることができるが、特に、カルボジイ
ミド類がよい。カルボジイミド類としては、DCC、N,N'-
ジイソプロピルカルボジイミド、N-エチル-N'-(3-ジメ
チルアミノプロリル)カルボジイミドなどが用いられ
る。これらによる活性化にはラセミ化抑制添加剤(例え
ば、HOBt, HOOBt)とともに保護アミノ酸を直接樹脂に添
加するかまたは、対称酸無水物またはHOBtエステルある
いはHOOBtエステルとしてあらかじめ保護アミノ酸の活
性化を行なった後に樹脂に添加することができる。
【0014】保護アミノ酸の活性化や樹脂との縮合に用
いられる溶媒としては、タンパク質縮合反応に使用しう
ることが知られている溶媒から適宜選択されうる。例え
ば、N,N−ジメチルホルムアミド,N,N−ジメチル
アセトアミド,N−メチルピロリドンなどの酸アミド
類、塩化メチレン,クロロホルムなどのハロゲン化炭化
水素類、トリフルオロエタノールなどのアルコール類、
ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、ピリジ
ン,ジオキサン,テトラヒドロフランなどのエーテル
類、アセトニトリル,プロピオニトリルなどのニトリル
類、酢酸メチル,酢酸エチルなどのエステル類あるいは
これらの適宜の混合物などが用いられる。反応温度はタ
ンパク質結合形成反応に使用され得ることが知られてい
る範囲から適宜選択され、通常約−20℃〜50℃の範
囲から適宜選択される。活性化されたアミノ酸誘導体は
通常1.5〜4倍過剰で用いられる。ニンヒドリン反応
を用いたテストの結果、縮合が不十分な場合には保護基
の脱離を行なうことなく縮合反応を繰り返すことにより
十分な縮合を行なうことができる。反応を繰り返しても
十分な縮合が得られないときには、無水酢酸またはアセ
チルイミダゾールを用いて未反応アミノ酸をアセチル化
することによって、後の反応に影響を与えないようにす
ることができる。
【0015】原料のアミノ基の保護基としては、例え
ば、Z、Boc、t−ペンチルオキシカルボニル、イソボ
ルニルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシ
カルボニル、Cl-Z、Br-Z、アダマンチルオキシカルボニ
ル、トリフルオロアセチル、フタロイル、ホルミル、2
−ニトロフェニルスルフェニル、ジフェニルホスフィノ
チオイル、Fmocなどが用いられる。カルボキシル基は、
例えば、アルキルエステル化(例えば、メチル、エチ
ル、プロピル、ブチル、t−ブチル、シクロペンチル、
シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、2
−アダマンチルなどの直鎖状、分枝状もしくは環状アル
キルエステル化)、アラルキルエステル化(例えば、ベ
ンジルエステル、4−ニトロベンジルエステル、4−メ
トキシベンジルエステル、4−クロロベンジルエステ
ル、ベンズヒドリルエステル化)、フェナシルエステル
化、ベンジルオキシカルボニルヒドラジド化、t−ブト
キシカルボニルヒドラジド化、トリチルヒドラジド化な
どによって保護することができる。セリンの水酸基は、
例えば、エステル化またはエーテル化によって保護する
ことができる。このエステル化に適する基としては、例
えば、アセチル基などの低級(C1-6)アルカノイル
基、ベンゾイル基などのアロイル基、ベンジルオキシカ
ルボニル基、エトキシカルボニル基などの炭酸から誘導
される基などが用いられる。また、エーテル化に適する
基としては、例えば、ベンジル基、テトラヒドロピラニ
ル基、t-ブチル基などである。チロシンのフェノール性
水酸基の保護基としては、例えば、Bzl、Cl2-Bzl、2−
ニトロベンジル、Br-Z、t−ブチルなどが用いられる。
ヒスチジンのイミダゾールの保護基としては、例えば、
Tos、4-メトキシ-2,3,6-トリメチルベンゼンスルホニ
ル、DNP、ベンジルオキシメチル、Bum、Boc、Trt、Fmoc
などが用いられる。
【0016】原料のカルボキシル基の活性化されたもの
としては、例えば、対応する酸無水物、アジド、活性エ
ステル〔アルコール(例えば、ペンタクロロフェノー
ル、2,4,5-トリクロロフェノール、2,4-ジニトロフェノ
ール、シアノメチルアルコール、パラニトロフェノー
ル、HONB、N-ヒドロキシスクシミド、N-ヒドロキシフタ
ルイミド、HOBt)とのエステル〕などが用いられる。原
料のアミノ基の活性化されたものとしては、例えば、対
応するリン酸アミドが用いられる。保護基の除去(脱
離)方法としては、例えば、Pd−黒あるいはPd-炭
素などの触媒の存在下での水素気流中での接触還元や、
また、無水フッ化水素、メタンスルホン酸、トリフルオ
ロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸あるいはこれら
の混合液などによる酸処理や、ジイソプロピルエチルア
ミン、トリエチルアミン、ピペリジン、ピペラジンなど
による塩基処理、また液体アンモニア中ナトリウムによ
る還元なども用いられる。上記酸処理による脱離反応
は、一般に約−20℃〜40℃の温度で行なわれるが、
酸処理においては、例えば、アニソール、フェノール、
チオアニソール、メタクレゾール、パラクレゾール、ジ
メチルスルフィド、1,4-ブタンジチオール、1,2-エタン
ジチオールなどのようなカチオン捕捉剤の添加が有効で
ある。また、ヒスチジンのイミダゾール保護基として用
いられる2,4-ジニトロフェニル基はチオフェノール処理
により除去され、トリプトファンのインドール保護基と
して用いられるホルミル基は上記の1,2-エタンジチオー
ル、1,4-ブタンジチオールなどの存在下の酸処理による
脱保護以外に、希水酸化ナトリウム溶液、希アンモニア
などによるアルカリ処理によっても除去される。
【0017】原料の反応に関与すべきでない官能基の保
護ならびに保護基、およびその保護基の脱離、反応に関
与する官能基の活性化などは公知の基または公知の手段
から適宜選択しうる。タンパク質のアミド体を得る別の
方法としては、例えば、まず、カルボキシ末端アミノ酸
のα−カルボキシル基をアミド化して保護した後、アミ
ノ基側にペプチド(タンパク質)鎖を所望の鎖長まで延
ばした後、該ペプチド鎖のN末端のα−アミノ基の保護
基のみを除いたタンパク質とC末端のカルボキシル基の
保護基のみを除去したタンパク質とを製造し、この両タ
ンパク質を上記したような混合溶媒中で縮合させる。縮
合反応の詳細については上記と同様である。縮合により
得られた保護タンパク質を精製した後、上記方法により
すべての保護基を除去し、所望の粗タンパク質を得るこ
とができる。この粗タンパク質は既知の各種精製手段を
駆使して精製し、主要画分を凍結乾燥することで所望の
タンパク質のアミド体を得ることができる。タンパク質
のエステル体を得るには、例えば、カルボキシ末端アミ
ノ酸のα−カルボキシル基を所望のアルコール類と縮合
しアミノ酸エステルとした後、タンパク質のアミド体と
同様にして、所望のタンパク質のエステル体を得ること
ができる。
【0018】本発明の部分ペプチドまたはその塩は、自
体公知のペプチドの合成法に従って、あるいは本発明の
タンパク質を適当なペプチダーゼで切断することによっ
て製造することができる。ペプチドの合成法としては、
例えば、固相合成法、液相合成法のいずれによっても良
い。すなわち、本発明の部分ペプチドを構成し得る部分
ペプチドもしくはアミノ酸と残余部分とを縮合させ、生
成物が保護基を有する場合は保護基を脱離することによ
り目的のペプチドを製造することができる。公知の縮合
方法や保護基の脱離としては、例えば、以下の〜に
記載された方法が挙げられる。 M. Bodanszky および M.A. Ondetti、ペプチド・シン
セシス (Peptide Synthesis), Interscience Publisher
s, New York (1966年) SchroederおよびLuebke、ザ・ペプチド(The Peptid
e), Academic Press, NewYork (1965年) 泉屋信夫他、ペプチド合成の基礎と実験、 丸善(株)
(1975年) 矢島治明 および榊原俊平、生化学実験講座 1、 タン
パク質の化学IV、 205、(1977年) 矢島治明監修、続医薬品の開発、第14巻、ペプチド合
成、広川書店 また、反応後は通常の精製法、例えば、溶媒抽出・蒸留
・カラムクロマトグラフィー・液体クロマトグラフィー
・再結晶などを組み合わせて本発明の部分ペプチドを精
製単離することができる。上記方法で得られる部分ペプ
チドが遊離体である場合は、公知の方法あるいはそれに
準じる方法によって適当な塩に変換することができる
し、逆に塩で得られた場合は、公知の方法あるいはそれ
に準じる方法によって遊離体または他の塩に変換するこ
とができる。
【0019】本発明のタンパク質をコードするDNAと
しては、前述した本発明のタンパク質をコードする塩基
配列を含有するものであればいかなるものであってもよ
い。また、ゲノムDNA、前記した細胞・組織由来のc
DNA、合成DNAのいずれでもよい。ライブラリーに
使用するベクターは、バクテリオファージ、プラスミ
ド、コスミド、ファージミドなどいずれであってもよ
い。また、前記した細胞・組織よりtotalRNAまたは
mRNA画分を調製したものを用いて直接Reverse Tran
scriptase Polymerase Chain Reaction(以下、RT-P
CR法と略称する)によって増幅することもできる。本
発明のタンパク質をコードするDNAとしては、例え
ば、配列番号:4で表わされる塩基配列を含有するD
NA、または配列番号:4で表わされる塩基配列とハイ
ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配
列を有し、本発明のタンパク質と実質的に同質の性質
(例、分泌作用など)を有するタンパク質をコードする
DNA、配列番号:5で表わされる塩基配列を含有す
るDNA、または配列番号:5で表わされる塩基配列と
ハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩
基配列を有し、本発明のタンパク質と実質的に同質の性
質を有るタンパク質をコードするDNA、配列番号:
6で表わされる塩基配列を含有するDNA、または配列
番号:6で表わされる塩基配列とハイストリンジェント
な条件下でハイブリダイズする塩基配列を有し、本発明
のタンパク質と実質的に同質の性質を有するタンパク質
をコードするDNAなどを有し、本発明のタンパク質と
実質的に同質の性質を有するタンパク質をコードするD
NAであれば何れのものでもよい。
【0020】配列番号:4〜配列番号:6のいずれかの
配列番号で表わされる塩基配列とハイストリンジェント
な条件下でハイブリダイズできるDNAとしては、例え
ば、それぞれ配列番号:4〜配列番号:6のいずれかの
配列番号で表わされる塩基配列と約60%以上、好まし
くは約70%以上、さらに好ましくは約80%以上の相
同性を有する塩基配列を含有するDNAなどが用いられ
る。ハイブリダイゼーションは、自体公知の方法あるい
はそれに準じる方法、例えば、モレキュラー・クローニ
ング(Molecular Cloning)2nd(J. Sambrook etal.,
Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989)に記載の方法
などに従って行なうことができる。また、市販のライブ
ラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法
に従って行なうことができる。より好ましくは、ハイス
トリンジェントな条件に従って行なうことができる。ハ
イストリンジェントな条件とは、例えば、ナトリウム濃
度が約19〜40mM、好ましくは約19〜20mM
で、温度が約50〜70℃、好ましくは約60〜65℃
の条件を示す。より具体的には、配列番号:1で表わさ
れるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDN
Aとしては、配列番号:4で表わされる塩基配列を有す
るDNAなどが、配列番号:2で表わされるアミノ酸配
列を有するタンパク質をコードするDNAとしては、配
列番号:5で表わされる塩基配列を有するDNAなど
が、配列番号:3で表わされるアミノ酸配列を有するタ
ンパク質をコードするDNAとしては、配列番号:6で
表わされる塩基配列を有するDNAなどが用いられる。
【0021】本発明の部分ペプチドをコードするDNA
としては、前述した本発明の部分ペプチドをコードする
塩基配列を含有するものであればいかなるものであって
もよい。また、ゲノムDNA、前記した細胞・組織由来
のcDNA、合成DNAのいずれでもよい。本発明の部
分ペプチドをコードするDNAとしては、例えば、配
列番号:4で表わされる塩基配列を有するDNAの部分
塩基配列を有するDNA、配列番号:10で表わされる
塩基配列を有するDNA、または配列番号:10で表わ
される塩基配列とハイストリンジェントな条件下でハイ
ブリダイズする塩基配列を有し、本発明のタンパク質と
実質的に同質の性質を有するタンパク質をコードするD
NAの部分塩基配列を有するDNA、配列番号:5で
表わされる塩基配列を有するDNAの部分塩基配列を有
するDNA、配列番号:11で表わされる塩基配列を有
するDNA、または配列番号:11で表わされる塩基配
列とハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズす
る塩基配列を有し、本発明の実質的に同質の性質を有す
るタンパク質をコードするDNAの部分塩基配列を有す
るDNA、配列番号:6で表わされる塩基配列を有す
るDNAの部分塩基配列を有するDNA、配列番号:1
2で表わされる塩基配列を有するDNA、または配列番
号:12で表わされる塩基配列とハイストリンジェント
な条件下でハイブリダイズする塩基配列を有し、本発明
のタンパク質と実質的に同質の性質を有するタンパク質
をコードするDNAの部分塩基配列を有するDNAなど
が用いられる。配列番号:10〜配列番号:12のいず
れかの配列番号で表わされる塩基配列とハイブリダイズ
できるDNAは、前記と同意義を示す。ハイブリダイゼ
ーションの方法およびハイストリンジェントな条件は前
記と同様のものが用いられる。具体的には、配列番号:
7で表わされるアミノ酸配列を有する部分ペプチドをコ
ードするDNAとしては、配列番号:10で表わされる
塩基配列を有するDNAなどが、配列番号:8で表わさ
れるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDN
Aとしては、配列番号:11で表わされる塩基配列を有
するDNAなどが、配列番号:9で表わされるアミノ酸
配列を有するタンパク質をコードするDNAとしては、
配列番号:12で表わされる塩基配列を有するDNAな
どが用いられる。
【0022】本発明のタンパク質または部分ペプチド
(以下、これらタンパク質等をコードするDNAのクロ
ーニングおよび発現の説明においては、これらタンパク
質等を単に本発明のタンパク質と略記する)を完全にコ
ードするDNAのクローニングの手段としては、本発明
のタンパク質の部分塩基配列を有する合成DNAプライ
マーを用いてPCR法によって増幅するか、または適当
なベクターに組み込んだDNAを本発明のタンパク質の
一部あるいは全領域をコードするDNA断片もしくは合
成DNAを用いて標識したものとのハイブリダイゼーシ
ョンによって選別することができる。ハイブリダイゼー
ションの方法は、例えば、モレキュラー・クローニング
(Molecular Cloning)2nd(J. Sambrook et al., Col
d Spring Harbor Lab. Press, 1989)に記載の方法など
に従って行なうことができる。また、市販のライブラリ
ーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従
って行なうことができる。DNAの塩基配列の変換は、
PCRや公知のキット、例えば、MutantTM-G(宝酒造
(株))、MutantTM-K(宝酒造(株))などを用いて、
Gupped duplex法やKunkel法などの自体公知の方法ある
いはそれらに準じる方法に従って行なうことができる。
クローン化されたタンパク質をコードするDNAは目的
によりそのまま、または所望により制限酵素で消化した
り、リンカーを付加したりして使用することができる。
該DNAはその5’末端側に翻訳開始コドンとしてのA
TGを有し、また3’末端側には翻訳終止コドンとして
のTAA、TGAまたはTAGを有していてもよい。こ
れらの翻訳開始コドンや翻訳終止コドンは、適当な合成
DNAアダプターを用いて付加することもできる。本発
明のタンパク質の発現ベクターは、例えば、(イ)本発
明のタンパク質をコードするDNAから目的とするDN
A断片を切り出し、(ロ)該DNA断片を適当な発現ベ
クター中のプロモーターの下流に連結することにより製
造することができる。
【0023】ベクターとしては、大腸菌由来のプラスミ
ド(例、pBR322,pBR325,pUC12,p
UC13)、枯草菌由来のプラスミド(例、pUB11
0,pTP5,pC194)、酵母由来プラスミド
(例、pSH19,pSH15)、λファージなどのバ
クテリオファージ、レトロウイルス,ワクシニアウイル
ス,バキュロウイルスなどの動物ウイルスなどの他、p
A1−11、pXT1、pRc/CMV、pRc/RS
V、pcDNAI/Neoなどが用いられる。本発明で
用いられるプロモーターとしては、遺伝子の発現に用い
る宿主に対応して適切なプロモーターであればいかなる
ものでもよい。例えば、動物細胞を宿主として用いる場
合は、SRαプロモーター、SV40プロモーター、H
IV・LTRプロモーター、CMVプロモーター、HS
V-TKプロモーターなどが挙げられる。これらのう
ち、CMV(サイトメガロウイルス)プロモーター、S
Rαプロモーターなどを用いるのが好ましい。宿主がエ
シェリヒア属菌である場合は、trpプロモーター、l
acプロモーター、recAプロモーター、λPLプロ
モーター、lppプロモーター、T7プロモーターなど
が、宿主がバチルス属菌である場合は、SPO1プロモ
ーター、SPO2プロモーター、penPプロモーター
など、宿主が酵母である場合は、PHO5プロモータ
ー、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADH
プロモーターなどが好ましい。宿主が昆虫細胞である場
合は、ポリヘドリンプロモーター、P10プロモーター
などが好ましい。
【0024】発現ベクターには、以上の他に、所望によ
りエンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加
シグナル、選択マーカー、SV40複製オリジン(以
下、SV40oriと略称する場合がある)などを含有
しているものを用いることができる。選択マーカーとし
ては、例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素(以下、dhfr
と略称する場合がある)遺伝子〔メソトレキセート(M
TX)耐性〕、アンピシリン耐性遺伝子(以下、Amp
rと略称する場合がある)、ネオマイシン耐性遺伝子
(以下、Neorと略称する場合がある、G418耐
性)等が挙げられる。特に、dhfr遺伝子欠損チャイ
ニーズハムスター細胞を用いてdhfr遺伝子を選択マ
ーカーとして使用する場合、目的遺伝子をチミジンを含
まない培地によっても選択できる。また、必要に応じ
て、宿主に合ったシグナル配列を、本発明のタンパク質
のN端末側に付加する。宿主がエシェリヒア属菌である
場合は、PhoA・シグナル配列、OmpA・シグナル配列な
どが、宿主がバチルス属菌である場合は、α−アミラー
ゼ・シグナル配列、サブチリシン・シグナル配列など
が、宿主が酵母である場合は、MFα・シグナル配列、
SUC2・シグナル配列など、宿主が動物細胞である場
合には、インシュリン・シグナル配列、α−インターフ
ェロン・シグナル配列、抗体分子・シグナル配列などが
それぞれ利用できる。このようにして構築された本発明
のタンパク質をコードするDNAを含有するベクターを
用いて、形質転換体を製造することができる。
【0025】宿主としては、例えば、エシェリヒア属
菌、バチルス属菌、酵母、昆虫細胞、昆虫、動物細胞な
どが用いられる。エシェリヒア属菌の具体例としては、
例えば、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)K1
2・DH1〔プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル
・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユー
エスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),60
巻,160(1968)〕,JM103〔ヌクイレック・
アシッズ・リサーチ,(Nucleic Acids Research),9
巻,309(1981)〕,JA221〔ジャーナル・オ
ブ・モレキュラー・バイオロジー(Journal of Molecul
ar Biology)〕,120巻,517(1978)〕,HB
101〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジ
ー,41巻,459(1969)〕,C600〔ジェネテ
ィックス(Genetics),39巻,440(1954)〕な
どが用いられる。バチルス属菌としては、例えば、バチ
ルス・サブチルス(Bacillus subtilis)MI114
〔ジーン,24巻,255(1983)〕,207−21
〔ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(Journal of
Biochemistry),95巻,87(1984)〕などが用
いられる。酵母としては、例えば、サッカロマイセス
セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)AH22,A
H22R-,NA87−11A,DKD−5D,20B
−12、シゾサッカロマイセス ポンベ(Schizosaccha
romyces pombe)NCYC1913,NCYC203
6、ピキア パストリス(Pichia pastoris)KM71
などが用いられる。
【0026】昆虫細胞としては、例えば、ウイルスがA
cNPVの場合は、夜盗蛾の幼虫由来株化細胞(Spodop
tera frugiperda cell;Sf細胞)、Trichoplusia ni
の中腸由来のMG1細胞、Trichoplusia niの卵由来のH
igh FiveTM細胞、Mamestra brassicae由来の細胞または
Estigmena acrea由来の細胞などが用いられる。ウイル
スがBmNPVの場合は、蚕由来株化細胞(Bombyx mor
i N 細胞;BmN細胞)などが用いられる。該Sf細胞
としては、例えば、Sf9細胞(ATCC CRL1711)、Sf
21細胞(以上、Vaughn, J.L.ら、イン・ヴィボ(In V
ivo),13, 213-217,(1977))などが用いられる。昆虫と
しては、例えば、カイコの幼虫などが用いられる〔前田
ら、ネイチャー(Nature),315巻,592(198
5)〕。動物細胞としては、例えば、サル細胞COS−
7(COS7),Vero,チャイニーズハムスター細胞
CHO(以下、CHO細胞と略記),dhfr遺伝子欠
損チャイニーズハムスター細胞CHO(以下、CHO
(dhfr-)細胞と略記),マウスL細胞,マウスA
tT−20,マウスミエローマ細胞,ラットGH3,ヒ
トFL細胞などが用いられる。エシェリヒア属菌を形質
転換するには、例えば、プロシージングズ・オブ・ザ・
ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンジイズ・オブ
・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. US
A),69巻,2110(1972)やジーン(Gene),
17巻,107(1982)などに記載の方法に従って行
なうことができる。
【0027】バチルス属菌を形質転換するには、例え
ば、モレキュラー・アンド・ジェネラル・ジェネティッ
クス(Molecular & General Genetics),168巻,
111(1979)などに記載の方法に従って行なうこと
ができる。酵母を形質転換するには、例えば、メソッズ
・イン・エンザイモロジー(Methods in Enzymolog
y),194巻,182−187(1991)、プロシ
ージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ
・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Na
tl. Acad. Sci. USA),75巻,1929(197
8)などに記載の方法に従って行なうことができる。昆
虫細胞または昆虫を形質転換するには、例えば、バイオ
/テクノロジー(Bio/Technology),6, 47-55(1988))
などに記載の方法に従って行なうことができる。動物細
胞を形質転換するには、例えば、細胞工学別冊8 新細
胞工学実験プロトコール.263−267(1995)
(秀潤社発行)、ヴィロロジー(Virology),52巻,
456(1973)に記載の方法に従って行なうことがで
きる。このようにして、タンパク質をコードするDNA
を含有する発現ベクターで形質転換された形質転換体を
得ることができる。宿主がエシェリヒア属菌、バチルス
属菌である形質転換体を培養する際、培養に使用される
培地としては液体培地が適当であり、その中には該形質
転換体の生育に必要な炭素源、窒素源、無機物その他が
含有せしめられる。炭素源としては、例えば、グルコー
ス、デキストリン、可溶性澱粉、ショ糖など、窒素源と
しては、例えば、アンモニウム塩類、硝酸塩類、コーン
スチープ・リカー、ペプトン、カゼイン、肉エキス、大
豆粕、バレイショ抽出液などの無機または有機物質、無
機物としては、例えば、塩化カルシウム、リン酸二水素
ナトリウム、塩化マグネシウムなどが挙げられる。ま
た、酵母、ビタミン類、生長促進因子などを添加しても
よい。培地のpHは約5〜8が望ましい。
【0028】エシェリヒア属菌を培養する際の培地とし
ては、例えば、グルコース、カザミノ酸を含むM9培地
〔ミラー(Miller),ジャーナル・オブ・エクスペリメ
ンツ・イン・モレキュラー・ジェネティックス(Journa
l of Experiments in Molecular Genetics),431−
433,Cold Spring Harbor Laboratory, New York1
972〕が好ましい。ここに必要によりプロモーターを
効率よく働かせるために、例えば、3β−インドリルア
クリル酸のような薬剤を加えることができる。宿主がエ
シェリヒア属菌の場合、培養は通常約15〜43℃で約
3〜24時間行ない、必要により、通気や撹拌を加える
こともできる。宿主がバチルス属菌の場合、培養は通常
約30〜40℃で約6〜24時間行ない、必要により通
気や撹拌を加えることもできる。宿主が酵母である形質
転換体を培養する際、培地としては、例えば、バークホ
ールダー(Burkholder)最小培地〔Bostian, K. L.
ら、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデ
ミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー
(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),77巻,450
5(1980)〕や0.5%カザミノ酸を含有するSD培
地〔Bitter, G. A. ら、プロシージングズ・オブ・ザ・
ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ
・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. US
A),81巻,5330(1984)〕が挙げられる。
培地のpHは約5〜8に調整するのが好ましい。培養は
通常約20℃〜35℃で約24〜72時間行ない、必要
に応じて通気や撹拌を加える。宿主が昆虫細胞または昆
虫である形質転換体を培養する際、培地としては、Grac
e's Insect Medium(Grace, T.C.C.,ネイチャー(Natur
e),195,788(1962))に非動化した10%ウシ血清等の
添加物を適宜加えたものなどが用いられる。培地のpH
は約6.2〜6.4に調整するのが好ましい。培養は通
常約27℃で約3〜5日間行ない、必要に応じて通気や
撹拌を加える。宿主が動物細胞である形質転換体を培養
する際、培地としては、例えば、約5〜20%の胎児牛
血清を含むMEM培地〔サイエンス(Science),12
2巻,501(1952)〕,DMEM培地〔ヴィロロジ
ー(Virology),8巻,396(1959)〕,RPMI
1640培地〔ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・
メディカル・アソシエーション(The Journal of the A
merican Medical Association)199巻,519(19
67)〕,199培地〔プロシージング・オブ・ザ・ソ
サイエティ・フォー・ザ・バイオロジカル・メディスン
(Proceeding ofthe Society for the Biological Medi
cine),73巻,1(1950)〕などが用いられる。p
Hは約6〜8であるのが好ましい。培養は通常約30℃
〜40℃で約15〜60時間行ない、必要に応じて通気
や撹拌を加える。以上のようにして、形質転換体の細胞
膜に本発明のタンパク質を生成せしめることができる。
【0029】上記培養物から本発明のタンパク質を分離
精製するには、例えば、下記の方法により行なうことが
できる。本発明のタンパク質を培養菌体あるいは細胞か
ら抽出するに際しては、培養後、公知の方法で菌体ある
いは細胞を集め、これを適当な緩衝液に懸濁し、超音
波、リゾチームおよび/または凍結融解などによって菌
体あるいは細胞を破壊したのち、遠心分離やろ過により
タンパク質の粗抽出液を得る方法などが適宜用いられ
る。緩衝液の中に尿素や塩酸グアニジンなどの蛋白質変
性剤や、トリトンX−100TMなどの界面活性剤が含ま
れていてもよい。培養液中にタンパク質が分泌される場
合には、培養終了後、それ自体公知の方法で菌体あるい
は細胞と上清とを分離し、上清を集める。このようにし
て得られた培養上清、あるいは抽出液中に含まれるタン
パク質の精製は、自体公知の分離・精製法を適切に組み
合わせて行なうことができる。これらの公知の分離、精
製法としては、塩析や溶媒沈澱法などの溶解度を利用す
る方法、透析法、限外ろ過法、ゲルろ過法、およびSD
S−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法などの主として
分子量の差を利用する方法、イオン交換クロマトグラフ
ィーなどの荷電の差を利用する方法、アフィニティーク
ロマトグラフィーなどの特異的親和性を利用する方法、
逆相高速液体クロマトグラフィーなどの疎水性の差を利
用する方法、等電点電気泳動法などの等電点の差を利用
する方法などが用いられる。
【0030】かくして得られるタンパク質が遊離体で得
られた場合には、自体公知の方法あるいはそれに準じる
方法によって塩に変換することができ、逆に塩で得られ
た場合には自体公知の方法あるいはそれに準じる方法に
より、遊離体または他の塩に変換することができる。な
お、組換え体が産生するタンパク質を、精製前または精
製後に適当な蛋白修飾酵素を作用させることにより、任
意に修飾を加えたり、ポリペプチドを部分的に除去する
こともできる。蛋白修飾酵素としては、例えば、トリプ
シン、キモトリプシン、アルギニルエンドペプチダー
ゼ、プロテインキナーゼ、グリコシダーゼなどが用いら
れる。かくして生成する本発明のタンパク質またはその
塩の存在は、特異抗体を用いたエンザイムイムノアッセ
イやWestern blottingなどにより測定することができ
る。
【0031】本発明のタンパク質、部分ペプチドまたは
それらの塩に対する抗体は、本発明のタンパク質、部分
ペプチドまたはそれらの塩を認識し得る抗体であれば、
ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体の何れであっ
てもよい。本発明のタンパク質、部分ペプチドまたはそ
れらの塩(以下、抗体の説明においては、これらタンパ
ク質等を単に本発明のタンパク質と略記する)に対する
抗体は、本発明のタンパク質を抗原として用い、自体公
知の抗体または抗血清の製造法に従って製造することが
できる。 〔モノクローナル抗体の作製〕 (a)モノクロナール抗体産生細胞の作製 本発明のタンパク質は、温血動物に対して投与により抗
体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤と
ともに投与される。投与に際して抗体産生能を高めるた
め、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントア
ジュバントを投与してもよい。投与は通常2〜6週毎に
1回ずつ、計2〜10回程度行われる。用いられる温血
動物としては、例えば、サル、ウサギ、イヌ、モルモッ
ト、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギ、ニワトリが挙げら
れるが、マウスおよびラットが好ましく用いられる。モ
ノクローナル抗体産生細胞の作製に際しては、抗原で免
疫された温血動物、例えばマウスから抗体価の認められ
た個体を選択し最終免疫の2〜5日後に脾臓またはリン
パ節を採取し、それらに含まれる抗体産生細胞を同種ま
たは異種動物の骨髄腫細胞と融合させることにより、モ
ノクローナル抗体産生ハイブリドーマを調製することが
できる。抗血清中の抗体価の測定は、例えば、後記の標
識化タンパク質と抗血清とを反応させたのち、抗体に結
合した標識剤の活性を測定することにより行なうことが
できる。融合操作は既知の方法、例えば、ケーラーとミ
ルスタインの方法〔ネイチャー(Nature)、256、495 (1
975)〕に従い実施することができる。融合促進剤として
は、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)やセン
ダイウィルスなどが挙げられるが、好ましくはPEGが
用いられる。
【0032】骨髄腫細胞としては、例えば、NS−1、
P3U1、SP2/0、AP−1などの温血動物の骨髄
腫細胞が挙げられるが、P3U1が好ましく用いられ
る。用いられる抗体産生細胞(脾臓細胞)数と骨髄腫細
胞数との好ましい比率は1:1〜20:1程度であり、
PEG(好ましくはPEG1000〜PEG6000)
が10〜80%程度の濃度で添加され、20〜40℃、
好ましくは30〜37℃で1〜10分間インキュベート
することにより効率よく細胞融合を実施できる。モノク
ローナル抗体産生ハイブリドーマのスクリーニングには
種々の方法が使用できるが、例えば、タンパク質抗原を
直接あるいは担体とともに吸着させた固相(例、マイク
ロプレート)にハイブリドーマ培養上清を添加し、次に
放射性物質や酵素などで標識した抗免疫グロブリン抗体
(細胞融合に用いられる細胞がマウスの場合、抗マウス
免疫グロブリン抗体が用いられる)またはプロテインA
を加え、固相に結合したモノクローナル抗体を検出する
方法、抗免疫グロブリン抗体またはプロテインAを吸着
させた固相にハイブリドーマ培養上清を添加し、放射性
物質や酵素などで標識したタンパク質を加え、固相に結
合したモノクローナル抗体を検出する方法などが挙げら
れる。モノクローナル抗体の選別は、自体公知あるいは
それに準じる方法に従って行なうことができる。通常H
AT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)を
添加した動物細胞用培地で行なうことができる。選別お
よび育種用培地としては、ハイブリドーマが生育できる
ものならばどのような培地を用いても良い。例えば、1
〜20%、好ましくは10〜20%の牛胎児血清を含む
RPMI 1640培地、1〜10%の牛胎児血清を含
むGIT培地(和光純薬工業(株))あるいはハイブリ
ドーマ培養用無血清培地(SFM−101、日水製薬
(株))などを用いることができる。培養温度は、通常
20〜40℃、好ましくは約37℃である。培養時間
は、通常5日〜3週間、好ましくは1週間〜2週間であ
る。培養は、通常5%炭酸ガス下で行なうことができ
る。ハイブリドーマ培養上清の抗体価は、上記の抗血清
中の抗体価の測定と同様にして測定できる。
【0033】(b)モノクロナール抗体の精製 モノクローナル抗体の分離精製は、自体公知の方法、例
えば、免疫グロブリンの分離精製法〔例、塩析法、アル
コール沈殿法、等電点沈殿法、電気泳動法、イオン交換
体(例、DEAE)による吸脱着法、超遠心法、ゲルろ
過法、抗原結合固相あるいはプロテインAあるいはプロ
テインGなどの活性吸着剤により抗体のみを採取し、結
合を解離させて抗体を得る特異的精製法〕に従って行な
うことができる。
【0034】〔ポリクローナル抗体の作製〕本発明のポ
リクローナル抗体は、それ自体公知あるいはそれに準じ
る方法に従って製造することができる。例えば、免疫抗
原(タンパク質抗原)自体、あるいはそれとキャリアー
蛋白質との複合体をつくり、上記のモノクローナル抗体
の製造法と同様に温血動物に免疫を行ない、該免疫動物
から本発明のタンパク質に対する抗体含有物を採取し
て、抗体の分離精製を行なうことにより製造することが
できる。温血動物を免疫するために用いられる免疫抗原
とキャリアー蛋白質との複合体に関し、キャリアー蛋白
質の種類およびキャリアーとハプテンとの混合比は、キ
ャリアーに架橋させて免疫したハプテンに対して抗体が
効率良くできれば、どの様なものをどの様な比率で架橋
させてもよいが、例えば、ウシ血清アルブミンやウシサ
イログロブリン、ヘモシアニン等を重量比でハプテン1
に対し、約0.1〜20、好ましくは約1〜5の割合で
カプルさせる方法が用いられる。また、ハプテンとキャ
リアーのカプリングには、種々の縮合剤を用いることが
できるが、グルタルアルデヒドやカルボジイミド、マレ
イミド活性エステル、チオール基、ジチオビリジル基を
含有する活性エステル試薬等が用いられる。縮合生成物
は、温血動物に対して、抗体産生が可能な部位にそれ自
体あるいは担体、希釈剤とともに投与される。投与に際
して抗体産生能を高めるため、完全フロイントアジュバ
ントや不完全フロイントアジュバントを投与してもよ
い。投与は、通常約2〜6週毎に1回ずつ、計約3〜1
0回程度行なわれる。ポリクローナル抗体は、上記の方
法で免疫された温血動物の血液、腹水など、好ましくは
血液から採取することができる。抗血清中のポリクロー
ナル抗体価の測定は、上記の抗血清中の抗体価の測定と
同様にして測定できる。ポリクローナル抗体の分離精製
は、上記のモノクローナル抗体の分離精製と同様の免疫
グロブリンの分離精製法に従って行なうことができる。
【0035】本発明のタンパク質または部分ペプチドを
コードするDNA(以下、アンチセンスDNAの説明に
おいては、これらのDNAを本発明のDNAと略記す
る)に相補的な、または実質的に相補的な塩基配列を有
するアンチセンスDNAとしては、本発明のDNAに相
補的な、または実質的に相補的な塩基配列を有し、該D
NAの発現を抑制し得る作用を有するものであれば、い
ずれのアンチセンスDNAであってもよい。本発明のD
NAに実質的に相補的な塩基配列とは、例えば、本発明
のDNAに相補的な塩基配列(すなわち、本発明のDN
Aの相補鎖)の全塩基配列あるいは部分塩基配列と約7
0%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約
90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有
する塩基配列などが挙げられる。特に、本発明のDNA
の相補鎖の全塩基配列うち、本発明のタンパク質のN末
端部位をコードする部分の塩基配列(例えば、開始コド
ン付近の塩基配列など)の相補鎖と約70%以上、好ま
しくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、最
も好ましくは約95%以上の相同性を有するアンチセン
スDNAが好適である。これらのアンチセンスDNA
は、公知のDNA合成装置などを用いて製造することが
できる。
【0036】本発明のタンパク質は、通常シグナルペプ
チドを有するため、細胞外に効率よく分泌され、液性因
子として、シグナル伝達や自己防衛などのための重要な
生物活性を有する。以下に、本発明のタンパク質、部分
ペプチドまたはそれらの塩(以下、本発明のタンパク質
等と略記する場合がある)、本発明のタンパク質または
部分ペプチドをコードするDNA(以下、本発明のDN
Aと略記する場合がある)、本発明のタンパク質、部分
ペプチドまたはそれらの塩に対する抗体(以下、本発明
の抗体と略記する場合がある)、およびアンチセンスD
NAの用途を説明する。
【0037】(1)本発明のタンパク質は、組織特異的
に発現しているため、組織マーカーとして使用すること
ができる。すなわち組織の分化、病態、癌の転移などの
検出のためのマーカーとして有用である。また、対応す
るレセプター、リガンド、結合タンパク質などの分取に
も利用できる。さらに、自体公知のハイスループットス
クリーニングのためのパネルにして、生物活性を調べる
のに利用できる。また、染色体マッピングを行い、遺伝
病の研究にも利用できる。 (2)本発明のタンパク質が関与する各種疾病の治療・
予防剤 本発明のタンパク質などは、生体内で液性因子として存
在するため、本発明のタンパク質などまたは本発明のD
NAなどに異常があったり、欠損している場合あるいは
発現量が異常に減少または高進している場合、例えば、
免疫疾患、膵機能障害、膵臓機能障害、感染症または胃
腸障害などの種々の疾病が発症する。したがって、本発
明のタンパク質等および本発明のDNAは、例えば、免
疫疾患、肺機能障害、膵臓機能障害、感染症または胃腸
障害などの種々の疾病の治療・予防剤などの医薬として
使用することができる。より具体的には、本発明のタン
パク質等および本発明のDNAは、例えば、気管・気管
支関連疾患(例、気管支炎、インフルエンザ感染症、気
管支喘息、上気道炎、気管支拡張症など)、肺関連疾患
(肺がん、結核、肺炎、肺気腫、肺梗塞、肺鬱血、呼吸
不全、嚢胞性肺繊維症、肺サルコイドーシス、肺水腫、
肺性高血圧、塵肺など)、胃関連疾患(例、ヘリコバク
ター・ピロリ感染症、消化性潰瘍、胃がん、胃アトニ
ー、胃炎、マロリーワイズ症候群、胃拡張、胃液分泌異
常、メネトリエ病(巨大肥厚性胃炎)、胃テタニー、ト
ルソー病(胃性めまい)、胃腸神経症など)糖尿病、消
化不良、腸内細菌叢の維持、などの疾病の治療・予防剤
などの医薬として使用することができる。例えば、生体
内において本発明のタンパク質などが減少あるいは欠損
しているために、細胞における情報伝達が十分に、ある
いは正常に発揮されない患者がいる場合に、(イ)本発
明のDNAを該患者に投与し、生体内で本発明のタンパ
ク質等を発現させることによって、(ロ)細胞に本発明
のDNAを挿入し、本発明のタンパク質等を発現させた
後に、該細胞を患者に移植することによって、または
(ハ)本発明のタンパク質等を該患者に投与することな
どによって、該患者における本発明のタンパク質等の役
割を十分に、あるいは正常に発揮させることができる。
本発明のDNAを上記の治療・予防剤として使用する場
合は、該DNAを単独あるいはレトロウイルスベクタ
ー、アデノウイルスベクター、アデノウイルスアソシエ
ーテッドウイルスベクターなどの適当なベクターに挿入
した後、常套手段に従って、ヒトまたは温血動物に投与
することができる。本発明のDNAは、そのままで、あ
るいは摂取促進のための補助剤などの生理学的に認めら
れる担体とともに製剤化し、遺伝子銃やハイドロゲルカ
テーテルのようなカテーテルによって投与できる。本発
明のタンパク質等を上記の治療・予防剤として使用する
場合は、少なくとも90%、好ましくは95%以上、よ
り好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上
に精製されたものを使用するのが好ましい。
【0038】本発明のタンパク質等は、例えば、必要に
応じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、
マイクロカプセル剤などとして経口的に、あるいは水も
しくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶
液、または懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用
できる。例えば、本発明のタンパク質等を生理学的に認
められる担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安
定剤、結合剤などとともに一般に認められた製剤実施に
要求される単位用量形態で混和することによって製造す
ることができる。これら製剤における有効成分量は指示
された範囲の適当な容量が得られるようにするものであ
る。錠剤、カプセル剤などに混和することができる添加
剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラ
ガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロー
スのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギ
ン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムの
ような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような
甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのよ
うな香味剤などが用いられる。調剤単位形態がカプセル
である場合には、前記タイプの材料にさらに油脂のよう
な液状担体を含有することができる。注射のための無菌
組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性物質、胡麻
油、椰子油などのような天然産出植物油などを溶解また
は懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って処方するこ
とができる。注射用の水性液としては、例えば、生理食
塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例え
ば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリ
ウムなど)などが挙げられ、適当な溶解補助剤、例え
ば、アルコール(例えば、エタノールなど)、ポリアル
コール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレン
グリコールなど)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポ
リソルベート80TM、HCO−50など)などと併用し
てもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油な
どが挙げられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベ
ンジルアルコールなどと併用してもよい。また、緩衝剤
(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液な
ど)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸
プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミ
ン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、
ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤な
どと配合してもよい。調製された注射液は、通常、適当
なアンプルに充填される。本発明のDNAが挿入された
ベクターも上記と同様に製剤化され、通常、非経口的に
使用される。
【0039】このようにして得られる製剤は、安全で低
毒性であるので、例えば、ヒトまたは温血動物(例え
ば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、トリ、ヒツ
ジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サル、チンパンジ
ーなど)に対して投与することができる。本発明のタン
パク質等の投与量は、対象疾患、投与対象、投与ルート
などにより差異はあるが、例えば、免疫疾患の治療目的
で本発明のタンパク質等を経口投与する場合、一般的に
成人(60kgとして)においては、一日につき該タン
パク質等を約1mg〜1000mg、好ましくは約10
〜500mg、より好ましくは約10〜200mg投与
する。非経口的に投与する場合は、該タンパク質等の1
回投与量は投与対象、対象疾患などによっても異なる
が、例えば、免疫疾患の治療目的で本発明のタンパク質
等を注射剤の形で成人(体重60kgとして)に投与す
る場合、一日につき該タンパク質等を約1〜1000m
g程度、好ましくは約1〜200mg程度、より好まし
くは約10〜100mg程度を患部に注射することによ
り投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60
kg当たりに換算した量を投与することができる。
【0040】(3)疾病に対する医薬候補化合物のスク
リーニング 本発明のタンパク質等は生体内(特に肺、気管、胃、膵
臓など)で液性因子として存在するため、本発明のタン
パク質等の機能を促進する化合物またはその塩は、例え
ば、免疫疾患、肺機能障害、膵臓機能障害、感染症また
は胃腸障害などの治療・予防剤などの医薬として使用で
きる)。一方、本発明のタンパク質等の機能を阻害する
化合物またはその塩は、本発明のタンパク質等の産生過
剰に起因する疾患の治療・予防剤などの医薬として使用
できる。したがって、本発明のタンパク質等は、本発明
のタンパク質等の機能を促進または阻害する化合物また
はその塩のスクリーニングのための試薬として有用であ
る。すなわち、本発明は、本発明のタンパク質、その部
分ペプチドまたはそれらの塩を用いることを特徴とする
本発明のタンパク質、その部分ペプチドまたはそれらの
塩の機能を促進する化合物もしくはその塩(以下、促進
剤と略記する場合がある)、または本発明のタンパク
質、その部分ペプチドまたはそれらの塩の機能を阻害す
る化合物(以下、阻害剤と略記する場合がある)のスク
リーニング方法を提供する。本発明のスクリーニング用
キットは、本発明のタンパク質、部分ペプチドまたはそ
れらの塩を含有するものである。
【0041】本発明のスクリーニング方法またはスクリ
ーニング用キットを用いて得られる化合物またはその塩
は、例えば、ペプチド、タンパク、非ペプチド性化合
物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出
液、動物組織抽出液、血漿などから選ばれた化合物であ
り、本発明のタンパク質等の機能を促進または阻害する
化合物である。該化合物の塩としては、前記した本発明
のタンパク質の塩と同様のものが用いられる。
【0042】本発明のスクリーニング方法またはスクリ
ーニング用キットを用いて得られる化合物を上述の治療
・予防剤として使用する場合、常套手段に従って実施す
ることができる。例えば、前記した本発明のタンパク質
等を含有する医薬と同様にして、錠剤、カプセル剤、エ
リキシル剤、マイクロカプセル剤、無菌性溶液、懸濁液
剤などとすることができる。このようにして得られる製
剤は安全で低毒性であるので、例えば、ヒトまたは温血
動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブ
タ、ウシ、ウマ、トリ、ネコ、イヌ、サル、チンパンジ
ーなど)に対して投与することができる。該化合物また
はその塩の投与量は、その作用、対象疾患、投与対象、
投与ルートなどにより差異はあるが、例えば、炎症性疾
患治療の目的で本発明のタンパク質等の機能を促進する
化合物を経口投与する場合、一般的に成人(体重60k
gとして)においては、一日につき該化合物を約0.1
〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好
ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与
する場合は、該化合物の1回投与量は投与対象、対象疾
患などによっても異なるが、例えば、炎症性疾患治療の
目的で本発明のタンパク質等の機能を促進する化合物を
注射剤の形で通常成人(60kgとして)に投与する場
合、一日につき該化合物を約0.01〜30mg程度、
好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約
0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好
都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算
した量を投与することができる。一方、本発明のタンパ
ク質等の機能を阻害する化合物を経口投与する場合、一
般的に成人(体重60kgとして)においては、一日に
つき該化合物を約0.1〜100mg、好ましくは約
1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg
投与する。非経口的に投与する場合は、該化合物の1回
投与量は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、
本発明のタンパク質等の機能を阻害する化合物を注射剤
の形で通常成人(60kgとして)に投与する場合、一
日につき該化合物を約0.01〜30mg程度、好まし
くは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1
〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合で
ある。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量
を投与することができる。
【0043】(3)本発明のタンパク質、その部分ペプ
チドまたはそれらの塩の定量 本発明のタンパク質等に対する抗体(以下、本発明の抗
体と略記する場合がある)は、本発明のタンパク質等を
特異的に認識することができるので、被検液中の本発明
のタンパク質等の定量、特にサンドイッチ免疫測定法に
よる定量などに使用することができる。すなわち、本発
明は、(i)本発明の抗体と、被検液および標識化され
た本発明のタンパク質等とを競合的に反応させ、該抗体
に結合した標識化された本発明のタンパク質等の割合を
測定することを特徴とする被検液中の本発明のタンパク
質等の定量法、および(ii)被検液と担体上に不溶化し
た本発明の抗体および標識化された本発明の別の抗体と
を同時あるいは連続的に反応させたのち、不溶化担体上
の標識剤の活性を測定することを特徴とする被検液中の
本発明のタンパク質等の定量法を提供する。
【0044】また、本発明のタンパク質等に対するモノ
クローナル抗体(以下、本発明のモノクローナル抗体と
称する場合がある)を用いて本発明のタンパク質等の定
量を行なえるほか、組織染色等による検出を行なうこと
もできる。これらの目的には、抗体分子そのものを用い
てもよく、また、抗体分子のF(ab')2 、Fab'、あ
るいはFab画分を用いてもよい。本発明の抗体を用い
る本発明のタンパク質等の定量法は、 特に制限される
べきものではなく、被測定液中の抗原量(例えば、タン
パク質量)に対応した抗体、抗原もしくは抗体−抗原複
合体の量を化学的または物理的手段により検出し、これ
を既知量の抗原を含む標準液を用いて作製した標準曲線
より算出する測定法であれば、いずれの測定法を用いて
もよい。例えば、ネフロメトリー、競合法、イムノメト
リック法およびサンドイッチ法が好適に用いられるが、
感度、特異性の点で、後述するサンドイッチ法を用いる
のが特に好ましい。標識物質を用いる測定法に用いられ
る標識剤としては、例えば、放射性同位元素、酵素、蛍
光物質、発光物質などが用いられる。放射性同位元素と
しては、例えば、〔125I〕、〔131I〕、〔3H〕、〔
14C〕などが用いられる。上記酵素としては、安定で比
活性の大きなものが好ましく、例えば、β−ガラクトシ
ダーゼ、β−グルコシダーゼ、アルカリフォスファター
ゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素などが用い
られる。蛍光物質としては、例えば、フルオレスカミ
ン、フルオレッセンイソチオシアネートなどが用いられ
る。発光物質としては、例えば、ルミノール、ルミノー
ル誘導体、ルシフェリン、ルシゲニンなどが用いられ
る。さらに、抗体あるいは抗原と標識剤との結合にビオ
チン−アビジン系を用いることもできる。
【0045】抗原あるいは抗体の不溶化に当っては、物
理吸着を用いてもよく、また通常タンパク質あるいは酵
素等を不溶化、固定化するのに用いられる化学結合を用
いる方法でもよい。担体としては、アガロース、デキス
トラン、セルロースなどの不溶性多糖類、ポリスチレ
ン、ポリアクリルアミド、シリコン等の合成樹脂、ある
いはガラス等が挙げられる。サンドイッチ法においては
不溶化した本発明のモノクローナル抗体に被検液を反応
させ(1次反応)、さらに標識化した別の本発明のモノ
クローナル抗体を反応させ(2次反応)たのち、不溶化
担体上の標識剤の活性を測定することにより被検液中の
本発明のタンパク質量を定量することができる。1次反
応と2次反応は逆の順序に行っても、また、同時に行な
ってもよいし時間をずらして行なってもよい。標識化剤
および不溶化の方法は前記のそれらに準じることができ
る。また、サンドイッチ法による免疫測定法において、
固相用抗体あるいは標識用抗体に用いられる抗体は必ず
しも1種類である必要はなく、測定感度を向上させる等
の目的で2種類以上の抗体の混合物を用いてもよい。本
発明のサンドイッチ法による本発明のタンパク質等の測
定法においては、1次反応と2次反応に用いられる本発
明のモノクローナル抗体は、本発明のタンパク質等の結
合する部位が相異なる抗体が好ましく用いられる。すな
わち、1次反応および2次反応に用いられる抗体は、例
えば、2次反応で用いられる抗体が、本発明のタンパク
質等のC端部を認識する場合、1次反応で用いられる抗
体は、好ましくはC端部以外、例えばN端部を認識する
抗体が用いられる。
【0046】本発明のモノクローナル抗体をサンドイッ
チ法以外の測定システム、例えば、競合法、イムノメト
リック法あるいはネフロメトリーなどに用いることがで
きる。競合法では、被検液中の抗原と標識抗原とを抗体
に対して競合的に反応させたのち、未反応の標識抗原
(F)と、抗体と結合した標識抗原(B)とを分離し
(B/F分離)、B,Fいずれかの標識量を測定し、被
検液中の抗原量を定量する。本反応法には、抗体として
可溶性抗体を用い、B/F分離をポリエチレングリコー
ル、前記抗体に対する第2抗体などを用いる液相法、お
よび、第1抗体として固相化抗体を用いるか、あるい
は、第1抗体は可溶性のものを用い第2抗体として固相
化抗体を用いる固相化法とが用いられる。イムノメトリ
ック法では、被検液中の抗原と固相化抗原とを一定量の
標識化抗体に対して競合反応させた後固相と液相を分離
するか、あるいは、被検液中の抗原と過剰量の標識化抗
体とを反応させ、次に固相化抗原を加え未反応の標識化
抗体を固相に結合させたのち、固相と液相を分離する。
次に、いずれかの相の標識量を測定し被検液中の抗原量
を定量する。また、ネフロメトリーでは、ゲル内あるい
は溶液中で抗原抗体反応の結果生じた不溶性の沈降物の
量を測定する。被検液中の抗原量が僅かであり、少量の
沈降物しか得られない場合にもレーザーの散乱を利用す
るレーザーネフロメトリーなどが好適に用いられる。
【0047】これら個々の免疫学的測定法を本発明の定
量方法に適用するにあたっては、特別の条件、操作等の
設定は必要とされない。それぞれの方法における通常の
条件、操作法に当業者の通常の技術的配慮を加えて本発
明のタンパク質等の測定系を構築すればよい。これらの
一般的な技術手段の詳細については、総説、成書などを
参照することができる。例えば、入江 寛編「ラジオイ
ムノアッセイ〕(講談社、昭和49年発行)、入江 寛
編「続ラジオイムノアッセイ〕(講談社、昭和54年発
行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(医学書院、昭
和53年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第
2版)(医学書院、昭和57年発行)、石川栄治ら編
「酵素免疫測定法」(第3版)(医学書院、昭和62年
発行)、「Methods in ENZYMOLOGY」Vol. 70(Immunochem
ical Techniques(Part A))、 同書 Vol. 73(Immunochem
ical Techniques(Part B))、 同書 Vol. 74(Immunochem
ical Techniques(Part C))、 同書 Vol. 84(Immunochem
ical Techniques(Part D:Selected Immunoassays))、
同書 Vol. 92(Immunochemical Techniques(Part E:Mono
clonal Antibodies and General Immunoassay Method
s))、 同書 Vol. 121(Immunochemical Techniques(Part
I:Hybridoma Technology and Monoclonal Antibodie
s))(以上、アカデミックプレス社発行)などを参照する
ことができる。以上のようにして、本発明の抗体を用い
ることによって、本発明のタンパク質等を感度良く定量
することができる。さらには、本発明の抗体を用いて本
発明のタンパク質等の濃度を定量することによって、本
発明のタンパク質等の濃度の減少が検出された場合、例
えば、免疫疾患、肺機能障害、膵臓機能障害、感染症ま
たは胃腸障害などの疾病である、または将来罹患する可
能性が高いと診断することができる。また、本発明の抗
体は、体液や組織などの被検体中に存在する本発明のタ
ンパク質等を検出するために使用することができる。ま
た、本発明のタンパク質等を精製するために使用する抗
体カラムの作製、精製時の各分画中の本発明のタンパク
質等の検出、被検細胞内における本発明のタンパク質の
挙動の分析などのために使用することができる。
【0048】(5)遺伝子診断剤 本発明のDNAは、例えば、プローブとして使用するこ
とにより、ヒトまたは温血動物(例えば、ラット、マウ
ス、モルモット、ウサギ、トリ、ヒツジ、ブタ、ウシ、
ウマ、ネコ、イヌ、サル、チンパンジーなど)における
本発明のタンパク質またはその部分ペプチドをコードす
るDNAまたはmRNAの異常(遺伝子異常)を検出す
ることができるので、例えば、該DNAまたはmRNA
の損傷、突然変異あるいは発現低下や、該DNAまたは
mRNAの増加あるいは発現過多などの遺伝子診断剤と
して有用である。本発明のDNAを用いる上記の遺伝子
診断は、例えば、自体公知のノーザンハイブリダイゼー
ションやPCR−SSCP法(ゲノミックス(Genomic
s),第5巻,874〜879頁(1989年)、プロ
シージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オ
ブ・サイエンシイズ・オブ・ユーエスエー(Proceeding
s ofthe Natinal Academy of Sciences of the United
States of America),第86巻,2766〜2770
頁(1989年))などにより実施することができる。
例えば、ノーザンハイブリダイゼーションにより発現低
下が検出された場合やPCR−SSCP法によりDNA
の突然変異が検出された場合は、例えば、免疫疾患、肺
機能障害、膵臓機能障害、感染症または胃腸障害などの
疾病である可能性が高いと診断することができる。
【0049】(6)アンチセンスDNAを含有する医薬 本発明のDNAに相補的に結合し、該DNAの発現を抑
制することができるアンチセンスDNAは、生体内にお
ける本発明のタンパク質等または本発明のDNAの機能
を抑制することができるので、例えば、本発明のタンパ
ク質などの発現過多に起因する疾患の治療・予防剤とし
て使用することができる。上記アンチセンスDNAを上
記の治療・予防剤として使用する場合、前記した本発明
のDNAを含有する各種疾病の治療・予防剤と同様にし
て実施することができる。例えば、該アンチセンスDN
Aを用いる場合、該アンチセンスDNAを単独あるいは
レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、ア
デノウイルスアソシエーテッドウイルスベクターなどの
適当なベクターに挿入した後、常套手段に従って実施す
ることができる。該アンチセンスDNAは、そのまま
で、あるいは摂取促進のために補助剤などの生理学的に
認められる担体とともに製剤化し、遺伝子銃やハイドロ
ゲルカテーテルのようなカテーテルによって投与でき
る。さらに、該アンチセンスDNAは、組織や細胞にお
ける本発明のDNAの存在やその発現状況を調べるため
の診断用オリゴヌクレオチドプローブとして使用するこ
ともできる。
【0050】(7)本発明の抗体を含有する医薬 本発明のタンパク質等の活性を中和する作用を有する本
発明の抗体は、例えば、本発明のタンパク質などの発現
過多に起因する疾患の治療・予防剤などの医薬として使
用することができる。本発明の抗体を含有する上記疾患
の治療・予防剤は、そのまま液剤として、または適当な
剤型の医薬組成物として、ヒトまたは哺乳動物(例、ラ
ット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サル
など)に対して経口的または非経口的に投与することが
できる。投与量は、投与対象、対象疾患、症状、投与ル
ートなどによっても異なるが、例えば、、本発明の抗体
を1回量として、通常0.01〜20mg/kg体重程
度、好ましくは0.1〜10mg/kg体重程度、さら
に好ましくは0.1〜5mg/kg体重程度を、1日1
〜5回程度、好ましくは1日1〜3回程度、静脈注射に
より投与するのが好都合である。他の非経口投与および
経口投与の場合もこれに準ずる量を投与することができ
る。症状が特に重い場合には、その症状に応じて増量し
てもよい。本発明の抗体は、それ自体または適当な医薬
組成物として投与することができる。上記投与に用いら
れる医薬組成物は、上記またはその塩と薬理学的に許容
され得る担体、希釈剤もしくは賦形剤とを含むものであ
る。かかる組成物は、経口または非経口投与に適する剤
形として提供される。すなわち、例えば、経口投与のた
めの組成物としては、固体または液体の剤形、具体的に
は錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、丸
剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤(ソフトカプセル剤を含
む)、シロップ剤、乳剤、懸濁剤などがあげられる。か
かる組成物は自体公知の方法によって製造され、製剤分
野において通常用いられる担体、希釈剤もしくは賦形剤
を含有するものである。例えば、錠剤用の担体、賦形剤
としては、乳糖、でんぷん、蔗糖、ステアリン酸マグネ
シウムなどが用いられる。
【0051】非経口投与のための組成物としては、例え
ば、注射剤、坐剤などが用いられ、注射剤は静脈注射
剤、皮下注射剤、皮内注射剤、筋肉注射剤、点滴注射剤
などの剤形を包含する。かかる注射剤は、自体公知の方
法に従って、例えば、上記抗体またはその塩を通常注射
剤に用いられる無菌の水性もしくは油性液に溶解、懸濁
または乳化することによって調製する。注射用の水性液
としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補
助薬を含む等張液などが用いられ、適当な溶解補助剤、
例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアルコー
ル(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリコー
ル)、非イオン界面活性剤〔例、ポリソルベート80、
HCO−50(polyoxyethylene(50mol)adduct of
hydrogenated castor oil)〕などと併用してもよい。
油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いら
れ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアル
コールなどを併用してもよい。調製された注射液は、通
常、適当なアンプルに充填される。直腸投与に用いられ
る坐剤は、上記抗体またはその塩を通常の坐薬用基剤に
混合することによって調製される。上記の経口用または
非経口用医薬組成物は、活性成分の投与量に適合するよ
うな投薬単位の剤形に調製されることが好都合である。
かかる投薬単位の剤形としては、錠剤、丸剤、カプセル
剤、注射剤(アンプル)、坐剤などが例示され、それぞ
れの投薬単位剤形当たり通常5〜500mg、とりわけ
注射剤では5〜100mg、その他の剤形では10〜2
50mgの上記抗体が含有されていることが好ましい。
なお前記した各組成物は、上記抗体との配合により好ま
しくない相互作用を生じない限り他の活性成分を含有し
てもよい。
【0052】(8)DNA転移動物 本発明は、外来性の本発明のタンパク質等をコードする
DNA(以下、本発明の外来性DNAと略記する)また
はその変異DNA(本発明の外来性変異DNAと略記す
る場合がある)を有する非ヒト哺乳動物を提供する。す
なわち、本発明は、(1)本発明の外来性DNAまたは
その変異DNAを有する非ヒト哺乳動物、(2)非ヒト
哺乳動物がゲッ歯動物である第(1)記載の動物、 (3)ゲッ歯動物がマウスまたはラットである第(2)
記載の動物、および(4)本発明の外来性DNAまたは
その変異DNAを含有し、哺乳動物において発現しうる
組換えベクターを提供するものである。本発明の外来性
DNAまたはその変異DNAを有する非ヒト哺乳動物
(以下、本発明のDNA転移動物と略記する)は、未受
精卵、受精卵、精子およびその始原細胞を含む胚芽細胞
などに対して、好ましくは、非ヒト哺乳動物の発生にお
ける胚発生の段階(さらに好ましくは、単細胞または受
精卵細胞の段階でかつ一般に8細胞期以前)に、リン酸
カルシウム法、電気パルス法、リポフェクション法、凝
集法、マイクロインジェクション法、パーティクルガン
法、DEAE−デキストラン法などにより目的とするD
NAを転移することによって作出することができる。ま
た、該DNA転移方法により、体細胞、生体の臓器、組
織細胞などに目的とする本発明の外来性DNAを転移
し、細胞培養、組織培養などに利用することもでき、さ
らに、これら細胞を上述の胚芽細胞と自体公知の細胞融
合法により融合させることにより本発明のDNA転移動
物を作出することもできる。
【0053】非ヒト哺乳動物としては、例えば、ウシ、
ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモッ
ト、ハムスター、マウス、ラットなどが用いられる。な
かでも、病体動物モデル系の作成の面から個体発生およ
び生物サイクルが比較的短く、また、繁殖が容易なゲッ
歯動物、とりわけマウス(例えば、純系として、C57
BL/6系統,DBA2系統など、交雑系として、B6
C3F1系統,BDF1系統,B6D2F1系統,BAL
B/c系統,ICR系統など)またはラット(例えば、
Wistar,SDなど)などが好ましい。哺乳動物に
おいて発現しうる組換えベクターにおける「哺乳動物」
としては、上記の非ヒト哺乳動物の他にヒトなどが挙げ
られる。本発明の外来性DNAとは、非ヒト哺乳動物が
本来有している本発明のDNAではなく、いったん哺乳
動物から単離・抽出された本発明のDNAをいう。本発
明の変異DNAとしては、元の本発明のDNAの塩基配
列に変異(例えば、突然変異など)が生じたもの、具体
的には、塩基の付加、欠損、他の塩基への置換などが生
じたDNAなどが用いられ、また、異常DNAも含まれ
る。該異常DNAとしては、異常な本発明のタンパク質
を発現させるDNAを意味し、例えば、正常な本発明の
タンパク質の機能を抑制するタンパク質を発現させるD
NAなどが用いられる。本発明の外来性DNAは、対象
とする動物と同種あるいは異種のどちらの哺乳動物由来
のものであってもよい。本発明のDNAを対象動物に転
移させるにあたっては、該DNAを動物細胞で発現させ
うるプロモーターの下流に結合したDNAコンストラク
トとして用いるのが一般に有利である。例えば、本発明
のヒトDNAを転移させる場合、これと相同性が高い本
発明のDNAを有する各種哺乳動物(例えば、ウサギ、
イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ラット、マウス
など)由来のDNAを発現させうる各種プロモーターの
下流に、本発明のヒトDNAを結合したDNAコンスト
ラクト(例、ベクターなど)を対象哺乳動物の受精卵、
例えば、マウス受精卵へマイクロインジェクションする
ことによって本発明のDNAを高発現するDNA転移哺
乳動物を作出することができる。
【0054】本発明のタンパク質の発現ベクターとして
は、大腸菌由来のプラスミド、枯草菌由来のプラスミ
ド、酵母由来のプラスミド、λファージなどのバクテリ
オファージ、モロニー白血病ウィルスなどのレトロウィ
ルス、ワクシニアウィルスまたはバキュロウィルスなど
の動物ウイルスなどが用いられる。なかでも、大腸菌由
来のプラスミド、枯草菌由来のプラスミドまたは酵母由
来のプラスミドなどが好ましく用いられる。上記のDN
A発現調節を行なうプロモーターとしては、例えば、
ウイルス(例、シミアンウイルス、サイトメガロウイル
ス、モロニー白血病ウイルス、JCウイルス、乳癌ウイ
ルス、ポリオウイルスなど)に由来するDNAのプロモ
ーター、各種哺乳動物(ヒト、ウサギ、イヌ、ネコ、
モルモット、ハムスター、ラット、マウスなど)由来の
プロモーター、例えば、アルブミン、インスリンII、
ウロプラキンII、エラスターゼ、エリスロポエチン、
エンドセリン、筋クレアチンキナーゼ、グリア線維性酸
性タンパク質ク、グルタチオンS−トランスフェラー
ゼ、血小板由来成長因子β、ケラチンK1,K10およ
びK14、コラーゲンI型およびII型、サイクリック
AMP依存タンパク質キナーゼβIサブユニット、ジス
トロフィン、酒石酸抵抗性アルカリフォスファターゼ、
心房ナトリウム利尿性因子、内皮レセプターチロシンキ
ナーゼ(一般にTie2と略される)、ナトリウムカリ
ウムアデノシン3リン酸化酵素(Na,K−ATPas
e)、ニューロフィラメント軽鎖、メタロチオネインI
およびIIA、メタロプロティナーゼ1組織インヒビタ
ー、MHCクラスI抗原(H−2L)、H−ras、レ
ニン、ドーパミンβ−水酸化酵素、甲状腺ペルオキシダ
ーゼ(TPO)、ポリペプチド鎖延長因子1α(EF−
1α)、βアクチン、αおよびβミオシン重鎖、ミオシ
ン軽鎖1および2、ミエリン基礎タンパク質、チログロ
ブリン、Thy−1、免疫グロブリン、H鎖可変部(V
NP)、血清アミロイドPコンポーネント、ミオグロビ
ン、トロポニンC、平滑筋αアクチン、プレプロエンケ
ファリンA、バソプレシンなどのプロモーターなどが用
いられる。なかでも、全身で高発現することが可能なサ
イトメガロウイルスプロモーター、ヒトポリペプチド鎖
延長因子1α(EF−1α)のプロモーター、ヒトおよ
びニワトリβアクチンプロモーターなどが好適である。
【0055】上記ベクターは、DNA転移哺乳動物にお
いて目的とするメッセンジャーRNAの転写を終結する
配列(一般にターミネターと呼ばれる)を有しているこ
とが好ましく、例えば、ウィルス由来および各種哺乳動
物由来の各DNAの配列を用いることができ、好ましく
は、シミアンウィルスのSV40ターミネターなどが用
いられる。その他、目的とする外来性DNAをさらに高
発現させる目的で各DNAのスプライシングシグナル、
エンハンサー領域、真核DNAのイントロンの一部など
をプロモーター領域の5’上流、プロモーター領域と翻
訳領域間あるいは翻訳領域の3’下流 に連結すること
も目的により可能である。該翻訳領域は転移動物におい
て発現しうるDNAコンストラクトとして、前記のプロ
モーターの下流および所望により転写終結部位の上流に
連結させる通常のDNA工学的手法により作製すること
ができる。受精卵細胞段階における本発明の外来性DN
Aの転移は、対象哺乳動物の胚芽細胞および体細胞のす
べてに存在するように確保される。DNA転移後の作出
動物の胚芽細胞において、本発明の外来性DNAが存在
することは、作出動物の後代がすべて、その胚芽細胞お
よび体細胞のすべてに本発明の外来性DNAを保持する
ことを意味する。本発明の外来性DNAを受け継いだこ
の種の動物の子孫はその胚芽細胞および体細胞のすべて
に本発明の外来性DNAを有する。
【0056】本発明の外来性正常DNAを転移させた非
ヒト哺乳動物は、交配により外来性DNAを安定に保持
することを確認して、該DNA保有動物として通常の飼
育環境で継代飼育することが出来る。受精卵細胞段階に
おける本発明の外来性DNAの転移は、対象哺乳動物の
胚芽細胞および体細胞の全てに過剰に存在するように確
保される。DNA転移後の作出動物の胚芽細胞において
本発明の外来性DNAが過剰に存在することは、作出動
物の子孫が全てその胚芽細胞および体細胞の全てに本発
明の外来性DNAを過剰に有することを意味する。本発
明の外来性DNAを受け継いだこの種の動物の子孫はそ
の胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の外来性DNA
を過剰に有する。導入DNAを相同染色体の両方に持つ
ホモザイゴート動物を取得し、この雌雄の動物を交配す
ることによりすべての子孫が該DNAを過剰に有するよ
うに繁殖継代することができる。本発明の正常DNAを
有する非ヒト哺乳動物は、本発明の正常DNAが高発現
させられており、内在性の正常DNAの機能を促進する
ことにより最終的に本発明のタンパク質の機能亢進症を
発症することがあり、その病態モデル動物として利用す
ることができる。例えば、本発明の正常DNA転移動物
を用いて、本発明のタンパク質の機能亢進症や、本発明
のタンパク質が関連する疾患の病態機序の解明およびこ
れらの疾患の治療方法の検討を行なうことが可能であ
る。また、本発明の外来性正常DNAを転移させた哺乳
動物は、遊離した本発明のタンパク質の増加症状を有す
ることから、本発明のタンパク質に関連する疾患に対す
る治療薬のスクリーニング試験にも利用可能である。
【0057】一方、本発明の外来性異常DNAを有する
非ヒト哺乳動物は、交配により外来性DNAを安定に保
持することを確認して該DNA保有動物として通常の飼
育環境で継代飼育することが出来る。さらに、目的とす
る外来DNAを前述のプラスミドに組み込んで原科とし
て用いることができる。プロモーターとのDNAコンス
トラク卜は、通常のDNA工学的手法によって作製する
ことができる。受精卵細胞段階における本発明の異常D
NAの転移は、対象哺乳動物の胚芽細胞および体細胞の
全てに存在するように確保される。DNA転移後の作出
動物の胚芽細胞において本発明の異常DNAが存在する
ことは、作出動物の子孫が全てその胚芽細胞および体細
胞の全てに本発明の異常DNAを有することを意味す
る。本発明の外来性DNAを受け継いだこの種の動物の
子孫は、その胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の異
常DNAを有する。導入DNAを相同染色体の両方に持
つホモザイゴート動物を取得し、この雌雄の動物を交配
することによりすべての子孫が該DNAを有するように
繁殖継代することができる。本発明の異常DNAを有す
る非ヒト哺乳動物は、本発明の異常DNAが高発現させ
られており、内在性の正常DNAの機能を阻害すること
により最終的に本発明のタンパク質の機能不活性型不応
症となることがあり、その病態モデル動物として利用す
ることができる。例えば、本発明の異常DNA転移動物
を用いて、本発明のタンパク質の機能不活性型不応症の
病態機序の解明およびこの疾患を治療方法の検討を行な
うことが可能である。また、具体的な利用可能性として
は、本発明の異常DNA高発現動物は、本発明のタンパ
ク質の機能不活性型不応症における本発明の異常タンパ
ク質による正常タンパク質の機能阻害(dominant negat
ive作用)を解明するモデルとなる。また、本発明の外
来異常DNAを転移させた哺乳動物は、遊離した本発明
のタンパク質の増加症状を有することから、本発明のタ
ンパク質の機能不活性型不応症に対する治療薬スクリー
ニング試験にも利用可能である。
【0058】また、上記2種類の本発明のDNA転移動
物のその他の利用可能性として、例えば、 組織培養のための細胞源としての使用、 本発明のDNA転移動物の組織中のDNAもしくはR
NAを直接分析するか、またはDNAにより発現された
タンパク質組織を分析することによる、本発明のタンパ
ク質により特異的に発現あるいは活性化するタンパク質
との関連性についての解析、 DNAを有する組織の細胞を標準組織培養技術により
培養し、これらを使用して、一般に培養困難な組織から
の細胞の機能の研究、 上記記載の細胞を用いることによる細胞の機能を高
めるような薬剤のスクリーニング、および 本発明の変異タンパク質を単離精製およびその抗体作
製などが考えられる。 さらに、本発明のDNA転移動物を用いて、本発明のタ
ンパク質の機能不活性型不応症などを含む、本発明のタ
ンパク質に関連する疾患の臨床症状を調べることがで
き、また、本発明のタンパク質に関連する疾患モデルの
各臓器におけるより詳細な病理学的所見が得られ、新し
い治療方法の開発、さらには、該疾患による二次的疾患
の研究および治療に貢献することができる。また、本発
明のDNA転移動物から各臓器を取り出し、細切後、ト
リプシンなどのタンパク質分解酵素により、遊離したD
NA転移細胞の取得、その培養またはその培養細胞の系
統化を行なうことが可能である。さらに、本発明のタン
パク質産生細胞の特定化、アポトーシス、分化あるいは
増殖との関連性、またはそれらにおけるシグナル伝達機
構を調べ、それらの異常を調べることなどができ、本発
明のタンパク質およびその作用解明のための有効な研究
材料となる。さらに、本発明のDNA転移動物を用い
て、本発明のタンパク質の機能不活性型不応症を含む、
本発明のタンパク質に関連する疾患の治療薬の開発を行
なうために、上述の検査法および定量法などを用いて、
有効で迅速な該疾患治療薬のスクリーニング法を提供す
ることが可能となる。また、本発明のDNA転移動物ま
たは本発明の外来性DNA発現ベクターを用いて、本発
明のタンパク質が関連する疾患のDNA治療法を検討、
開発することが可能である。
【0059】(9)ノックアウト動物 本発明は、本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳
動物胚幹細胞および本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳
動物を提供する。すなわち、本発明は、(1)本発明の
DNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞、
(2)該DNAがレポーター遺伝子(例、大腸菌由来の
β−ガラクトシダーゼ遺伝子)を導入することにより不
活性化された第(1)項記載の胚幹細胞、(3)ネオマ
イシン耐性である第(1)項記載の胚幹細胞、(4)非
ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である第(1)項記載の胚幹
細胞、(5)ゲッ歯動物がマウスである第(4)項記載
の胚幹細胞、(6)本発明のDNAが不活性化された該
DNA発現不全非ヒト哺乳動物、(7)該DNAがレポ
ーター遺伝子(例、大腸菌由来のβ−ガラクトシダーゼ
遺伝子)を導入することにより不活性化され、該レポー
ター遺伝子が本発明のDNAに対するプロモーターの制
御下で発現しうる第(6)項記載の非ヒト哺乳動物、
(8)非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である第(6)項記
載の非ヒト哺乳動物、(9)ゲッ歯動物がマウスである
第(8)項記載の非ヒト哺乳動物、および(10)第
(7)項記載の動物に、試験化合物を投与し、レポータ
ー遺伝子の発現を検出することを特徴とする本発明のD
NAに対するプロモーター活性を促進または阻害する化
合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
【0060】本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺
乳動物胚幹細胞とは、該非ヒト哺乳動物が有する本発明
のDNAに人為的に変異を加えることにより、DNAの
発現能を抑制するか、もしくは該DNAがコードしてい
る本発明のタンパク質の活性を実質的に喪失させること
により、DNAが実質的に本発明のタンパク質の発現能
を有さない(以下、本発明のノックアウトDNAと称す
ることがある)非ヒト哺乳動物の胚幹細胞(以下、ES
細胞と略記する)をいう。非ヒト哺乳動物としては、前
記と同様のものが用いられる。本発明のDNAに人為的
に変異を加える方法としては、例えば、遺伝子工学的手
法により該DNA配列の一部又は全部の削除、他DNA
を挿入または置換させることによって行なうことができ
る。これらの変異により、例えば、コドンの読み取り枠
をずらしたり、プロモーターあるいはエキソンの機能を
破壊することにより本発明のノックアウトDNAを作製
すればよい。本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺
乳動物胚幹細胞(以下、本発明のDNA不活性化ES細
胞または本発明のノックアウトES細胞と略記する)の
具体例としては、例えば、目的とする非ヒト哺乳動物が
有する本発明のDNAを単離し、そのエキソン部分にネ
オマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子を
代表とする薬剤耐性遺伝子、あるいはlacZ(β−ガ
ラクトシダーゼ遺伝子)、cat(クロラムフェニコー
ルアセチルトランスフェラーゼ遺伝子)を代表とするレ
ポーター遺伝子等を挿入することによりエキソンの機能
を破壊するか、あるいはエキソン間のイントロン部分に
遺伝子の転写を終結させるDNA配列(例えば、polyA
付加シグナルなど)を挿入し、完全なメッセンジャーR
NAを合成できなくすることによって、結果的に遺伝子
を破壊するように構築したDNA配列を有するDNA鎖
(以下、ターゲッティングベクターと略記する)を、例
えば相同組換え法により該動物の染色体に導入し、得ら
れたES細胞について本発明のDNA上あるいはその近
傍のDNA配列をプローブとしたサザンハイブリダイゼ
ーション解析あるいはターゲッティングベクター上のD
NA配列とターゲッティングベクター作製に使用した本
発明のDNA以外の近傍領域のDNA配列をプライマー
としたPCR法により解析し、本発明のノックアウトE
S細胞を選別することにより得ることができる。
【0061】また、相同組換え法等により本発明のDN
Aを不活化させる元のES細胞としては、例えば、前述
のような既に樹立されたものを用いてもよく、また公知
EvansとKaufmaの方法に準じて新しく樹立したものでも
よい。例えば、マウスのES細胞の場合、現在、一般的
には129系のES細胞が使用されているが、免疫学的
背景がはっきりしていないので、これに代わる純系で免
疫学的に遺伝的背景が明らかなES細胞を取得するなど
の目的で例えば、C57BL/6マウスやC57BL/
6の採卵数の少なさをDBA/2との交雑により改善し
たBDF1マウス(C57BL/6とDBA/2との
1)を用いて樹立したものなども良好に用いうる。B
DF1マウスは、採卵数が多く、かつ、卵が丈夫である
という利点に加えて、C57BL/6マウスを背景に持
つので、これを用いて得られたES細胞は病態モデルマ
ウスを作出したとき、C57BL/6マウスとバックク
ロスすることでその遺伝的背景をC57BL/6マウス
に代えることが可能である点で有利に用い得る。また、
ES細胞を樹立する場合、一般には受精後3.5日目の
胚盤胞を使用するが、これ以外に8細胞期胚を採卵し胚
盤胞まで培養して用いることにより効率よく多数の初期
胚を取得することができる。また、雌雄いずれのES細
胞を用いてもよいが、通常雄のES細胞の方が生殖系列
キメラを作出するのに都合が良い。また、煩雑な培養の
手間を削減するためにもできるだけ早く雌雄の判別を行
なうことが望ましい。ES細胞の雌雄の判定方法として
は、例えば、PCR法によりY染色体上の性決定領域の
遺伝子を増幅、検出する方法が、その1例として挙げる
ことができる。この方法を使用すれば、従来、核型分析
をするのに約106個の細胞数を要していたのに対し
て、1コロニー程度のES細胞数(約50個)で済むの
で、培養初期におけるES細胞の第一次セレクションを
雌雄の判別で行なうことが可能であり、早期に雄細胞の
選定を可能にしたことにより培養初期の手間は大幅に削
減できる。
【0062】また、第二次セレクションとしては、例え
ば、G−バンディング法による染色体数の確認等により
行うことができる。得られるES細胞の染色体数は正常
数の100%が望ましいが、樹立の際の物理的操作等の
関係上困難な場合は、ES細胞の遺伝子をノックアウト
した後、正常細胞(例えば、マウスでは染色体数が2n
=40である細胞)に再びクローニングすることが望ま
しい。このようにして得られた胚幹細胞株は、通常その
増殖性は大変良いが、個体発生できる能力を失いやすい
ので、注意深く継代培養することが必要である。例え
ば、STO繊維芽細胞のような適当なフィーダー細胞上
でLIF(1−10000U/ml)存在下に炭酸ガス培養
器内(好ましくは、5%炭酸ガス、95%空気または5
%酸素、5%炭酸ガス、90%空気)で約37℃で培養
するなどの方法で培養し、継代時には、例えば、トリプ
シン/EDTA溶液(通常0.001−0.5%トリプシ
ン/0.1−5mM EDTA、好ましくは約0.1%ト
リプシン/1mM EDTA)処理により単細胞化し、
新たに用意したフィーダー細胞上に播種する方法などが
とられる。このような継代は、通常1−3日毎に行なう
が、この際に細胞の観察を行い、形態的に異常な細胞が
見受けられた場合はその培養細胞は放棄することが望ま
れる。ES細胞は、適当な条件により、高密度に至るま
で単層培養するか、または細胞集塊を形成するまで浮遊
培養することにより、頭頂筋、内臓筋、心筋などの種々
のタイプの細胞に分化させることが可能であり〔M. J.
Evans及びM. H. Kaufman, ネイチャー(Nature)第292
巻、154頁、1981年;G. R. Martin プロシーディング
ス・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス
・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.)第7
8巻、7634頁、1981年;T. C. Doetschmanら、ジャーナ
ル・オブ・エンブリオロジー・アンド・エクスペリメン
タル・モルフォロジー、第87巻、27頁、1985年〕、本発
明のES細胞を分化させて得られる本発明のDNA発現
不全細胞は、インビトロにおける本発明のタンパク質の
細胞生物学的検討において有用である。本発明のDNA
発現不全非ヒト哺乳動物は、該動物のmRNA量を公知
方法を用いて測定して間接的にその発現量を比較するこ
とにより、正常動物と区別することが可能である。該非
ヒト哺乳動物としては、前記と同様のものが用いられ
る。
【0063】本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物
は、例えば、前述のようにして作製したターゲッティン
グベクターをマウス胚幹細胞またはマウス卵細胞に導入
し、導入によりターゲッティングベクターの本発明のD
NAが不活性化されたDNA配列が遺伝子相同組換えに
より、マウス胚幹細胞またはマウス卵細胞の染色体上の
本発明のDNAと入れ換わる相同組換えをさせることに
より、本発明のDNAをノックアウトさせることができ
る。本発明のDNAがノックアウトされた細胞は、本発
明のDNA上またはその近傍のDNA配列をプローブと
したサザンハイブリダイゼーション解析またはターゲッ
ティングベクター上のDNA配列と、ターゲッティング
ベクターに使用したマウス由来の本発明のDNA以外の
近傍領域のDNA配列とをプライマーとしたPCR法に
よる解析で判定することができる。非ヒト哺乳動物胚幹
細胞を用いた場合は、遺伝子相同組換えにより、本発明
のDNAが不活性化された細胞株をクローニングし、そ
の細胞を適当な時期、例えば、8細胞期の非ヒト哺乳動
物胚または胚盤胞に注入し、作製したキメラ胚を偽妊娠
させた該非ヒト哺乳動物の子宮に移植する。作出された
動物は正常な本発明のDNA座をもつ細胞と人為的に変
異した本発明のDNA座をもつ細胞との両者から構成さ
れるキメラ動物である。該キメラ動物の生殖細胞の一部
が変異した本発明のDNA座をもつ場合、このようなキ
メラ個体と正常個体を交配することにより得られた個体
群より、全ての組織が人為的に変異を加えた本発明のD
NA座をもつ細胞で構成された個体を、例えば、コート
カラーの判定等により選別することにより得られる。こ
のようにして得られた個体は、通常、本発明のタンパク
質のヘテロ発現不全個体であり、本発明のタンパク質の
ヘテロ発現不全個体同志を交配し、それらの産仔から本
発明のタンパク質のホモ発現不全個体を得ることができ
る。卵細胞を使用する場合は、例えば、卵細胞核内にマ
イクロインジェクション法でDNA溶液を注入すること
によりターゲッティングベクターを染色体内に導入した
トランスジェニック非ヒト哺乳動物を得ることができ、
これらのトランスジェニック非ヒト哺乳動物に比べて、
遺伝子相同組換えにより本発明のDNA座に変異のある
ものを選択することにより得られる。
【0064】このようにして本発明のDNAがノックア
ウトされている個体は、交配により得られた動物個体も
該DNAがノックアウトされていることを確認して通常
の飼育環境で飼育継代を行なうことができる。さらに、
生殖系列の取得および保持についても常法に従えばよ
い。すなわち、該不活化DNAの保有する雌雄の動物を
交配することにより、該不活化DNAを相同染色体の両
方に持つホモザイゴート動物を取得しうる。得られたホ
モザイゴート動物は、母親動物に対して、正常個体1,
ホモザイゴート複数になるような状態で飼育することに
より効率的に得ることができる。ヘテロザイゴート動物
の雌雄を交配することにより、該不活化DNAを有する
ホモザイゴートおよびヘテロザイゴート動物を繁殖継代
する。本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物
胚幹細胞は、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物を
作出する上で、非常に有用である。また、本発明のDN
A発現不全非ヒト哺乳動物は、本発明のタンパク質によ
り誘導され得る種々の生物活性を欠失するため、本発明
のタンパク質の生物活性の不活性化を原因とする疾病の
モデルとなり得るので、これらの疾病の原因究明及び治
療法の検討に有用である。
【0065】(9a)本発明のDNAの欠損や損傷など
に起因する疾病に対して治療・予防効果を有する化合物
のスクリーニング方法 本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、本発明のD
NAの欠損や損傷などに起因する疾病(例、免疫疾患、
肺機能障害、膵臓機能障害、感染症または胃腸障害な
ど)に対して治療・予防効果を有する化合物のスクリー
ニングに用いることができる。すなわち、本発明は、本
発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物に試験化合物を投
与し、該動物の変化を観察・測定することを特徴とす
る、本発明のDNAの欠損や損傷などに起因する疾病に
対して治療・予防効果を有する化合物またはその塩のス
クリーニング方法を提供する。該スクリーニング方法に
おいて用いられる本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動
物としては、前記と同様のものが挙げられる。試験化合
物としては、例えば、ペプチド、タンパク、非ペプチド
性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物
抽出液、動物組織抽出液、血漿などが挙げられ、これら
化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物
であってもよい。具体的には、本発明のDNA発現不全
非ヒト哺乳動物を、試験化合物で処理し、無処理の対照
動物と比較し、該動物の各器官、組織、疾病の症状など
の変化を指標として試験化合物の治療・予防効果を試験
することができる。試験動物を試験化合物で処理する方
法としては、例えば、経口投与、静脈注射などが用いら
れ、試験動物の症状、試験化合物の性質などにあわせて
適宜選択することができる。また、試験化合物の投与量
は、投与方法、試験化合物の性質などにあわせて適宜選
択することができる。例えば、膵臓機能障害に対して治
療・予防効果を有する化合物をスクリーニングする場
合、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物に糖負荷処
置を行ない、糖負荷処置前または処置後に試験化合物を
投与し、該動物の血糖値および体重変化などを経時的に
測定する。
【0066】本発明のスクリーニング方法を用いて得ら
れる化合物は、上記した試験化合物から選ばれた化合物
であり、本発明のタンパク質等の欠損や損傷などによっ
て引き起こされる疾患(例、免疫疾患、肺機能障害、膵
臓機能障害、感染症または胃腸障害など)に対して治療
・予防効果を有するので、該疾患に対する安全で低毒性
な治療・予防剤などの医薬として使用することができ
る。さらに、上記スクリーニングで得られた化合物から
誘導される化合物も同様に用いることができる。該スク
リーニング方法で得られた化合物は塩を形成していても
よく、該化合物の塩としては、生理学的に許容される酸
(例、無機酸、有機酸)や塩基(例アルカリ金属)など
との塩が用いられ、とりわけ生理学的に許容される酸付
加塩が好ましい。この様な塩としては、例えば、無機酸
(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、
あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、
フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、
リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼ
ンスルホン酸)との塩などが用いられる。該スクリーニ
ング方法で得られた化合物またはその塩を含有する医薬
は、前記した本発明のタンパク質を含有する医薬と同様
にして製造することができる。このようにして得られる
製剤は、安全で低毒性であるので、例えば、ヒトまたは
哺乳動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサ
ギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サルな
ど)に対して投与することができる。該化合物またはそ
の塩の投与量は、対象疾患、投与対象、投与ルートなど
により差異はあるが、例えば、炎症性疾患の治療目的で
該化合物を経口投与する場合、一般的に成人(体重60
kgとして)においては、一日につき該化合物を約0.
1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より
好ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投
与する場合は、該化合物の1回投与量は投与対象、対象
疾患などによっても異なるが、例えば、炎症性疾患の治
療目的で該化合物を注射剤の形で通常成人(60kgと
して)に投与する場合、一日につき該化合物を約0.0
1〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程
度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射
により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、
60kg当たりに換算した量を投与することができる。
【0067】(9b)本発明のDNAに対するプロモー
ターの活性を促進または阻害する化合物をスクリーニン
グ方法 本発明は、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物に、
試験化合物を投与し、レポーター遺伝子の発現を検出す
ることを特徴とする本発明のDNAに対するプロモータ
ーの活性を促進または阻害する化合物またはその塩のス
クリーニング方法を提供する。上記スクリーニング方法
において、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物とし
ては、前記した本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物
の中でも、本発明のDNAがレポーター遺伝子を導入す
ることにより不活性化され、該レポーター遺伝子が本発
明のDNAに対するプロモーターの制御下で発現しうる
ものが用いられる。試験化合物としては、前記と同様の
ものが挙げられる。レポーター遺伝子としては、前記と
同様のものが用いられ、β−ガラクトシダーゼ遺伝子
(lacZ)、可溶性アルカリフォスファターゼ遺伝子
またはルシフェラーゼ遺伝子などが好適である。本発明
のDNAをレポーター遺伝子で置換された本発明のDN
A発現不全非ヒト哺乳動物では、レポーター遺伝子が本
発明のDNAに対するプロモーターの支配下に存在する
ので、レポーター遺伝子がコードする物質の発現をトレ
ースすることにより、プロモーターの活性を検出するこ
とができる。
【0068】例えば、本発明のタンパク質をコードする
DNA領域の一部を大腸菌由来のβ−ガラクトシダーゼ
遺伝子(lacZ)で置換している場合、本来、本発明
のタンパク質の発現する組織で、本発明のタンパク質の
代わりにβ−ガラクトシダーゼが発現する。従って、例
えば、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−
ガラクトピラノシド(X−gal)のようなβ−ガラク
トシダーゼの基質となる試薬を用いて染色することによ
り、簡便に本発明のタンパク質の動物生体内における発
現状態を観察することができる。具体的には、本発明の
タンパク質欠損マウスまたはその組織切片をグルタルア
ルデヒドなどで固定し、リン酸緩衝生理食塩液(PB
S)で洗浄後、X−galを含む染色液で、室温または
37℃付近で、約30分ないし1時間反応させた後、組
織標本を1mM EDTA/PBS溶液で洗浄すること
によって、β−ガラクトシダーゼ反応を停止させ、呈色
を観察すればよい。また、常法に従い、lacZをコー
ドするmRNAを検出してもよい。
【0069】上記スクリーニング方法を用いて得られる
化合物またはその塩は、上記した試験化合物から選ばれ
た化合物であり、本発明のDNAに対するプロモーター
活性を促進または阻害する化合物である。該スクリーニ
ング方法で得られた化合物は塩を形成していてもよく、
該化合物の塩としては、生理学的に許容される酸(例、
無機酸)や塩基(例、有機酸)などとの塩が用いられ、
とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。こ
の様な塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、リ
ン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有機酸(例
えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン
酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安
息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸)との
塩などが用いられる。本発明のDNAに対するプロモー
ター活性を促進する化合物またはその塩は、本発明のタ
ンパク質の発現を促進し、該タンパク質の機能を促進す
ることができるので、例えば、免疫疾患、肺機能障害、
膵臓機能障害、感染症または胃腸障害などの疾病に対す
る安全で低毒性な治療・予防剤などの医薬として有用で
ある。さらに、上記スクリーニングで得られた化合物か
ら誘導される化合物も同様に用いることができる。
【0070】該スクリーニング方法で得られた化合物ま
たはその塩を含有する医薬は、前記した本発明のタンパ
ク質またはその塩を含有する医薬と同様にして製造する
ことができる。このようにして得られる製剤は、安全で
低毒性であるので、例えば、ヒトまたは哺乳動物(例え
ば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブ
タ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与
することができる。該化合物またはその塩の投与量は、
対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより差異はある
が、例えば、炎症性疾患の治療目的で本発明のDNAに
対するプロモーター活性を促進する化合物を経口投与す
る場合、一般的に成人(体重60kgとして)において
は、一日につき該化合物を約0.1〜100mg、好ま
しくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜
20mg投与する。非経口的に投与する場合は、該化合
物の1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても異
なるが、例えば、炎症性疾患の治療目的で本発明のDN
Aに対するプロモーター活性を促進する化合物を注射剤
の形で通常成人(60kgとして)に投与する場合、一
日につき該化合物を約0.01〜30mg程度、好まし
くは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1
〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合で
ある。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量
を投与することができる。一方、例えば、本発明のDN
Aに対するプロモーター活性を阻害する化合物を経口投
与する場合、一般的に成人(体重60kgとして)にお
いては、一日につき該化合物を約0.1〜100mg、
好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.
0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合は、該
化合物の1回投与量は投与対象、対象疾患などによって
も異なるが、本発明のDNAに対するプロモーター活性
を阻害する化合物を注射剤の形で通常成人(60kgと
して)に投与する場合、一日につき該化合物を約0.0
1〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程
度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射
により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、
60kg当たりに換算した量を投与することができる。
このように、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物
は、本発明のDNAに対するプロモーターの活性を促進
または阻害する化合物またはその塩をスクリーニングす
る上で極めて有用であり、本発明のDNA発現不全に起
因する各種疾患の原因究明または予防・治療薬の開発に
大きく貢献することができる。
【0071】本明細書および図面において、塩基やアミ
ノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC−IUB
Commision on Biochemical Nomenclature による略号あ
るいは当該分野における慣用略号に基づくものであり、
その例を下記する。またアミノ酸に関し光学異性体があ
り得る場合は、特に明示しなければL体を示すものとす
る。 DNA :デオキシリボ核酸 cDNA :相補的デオキシリボ核酸 A :アデニン T :チミン G :グアニン C :シトシン RNA :リボ核酸 mRNA :メッセンジャーリボ核酸 dATP :デオキシアデノシン三リン酸 dTTP :デオキシチミジン三リン酸 dGTP :デオキシグアノシン三リン酸 dCTP :デオキシシチジン三リン酸 ATP :アデノシン三リン酸 EDTA :エチレンジアミン四酢酸 SDS :ドデシル硫酸ナトリウム
【0072】 Gly :グリシン Ala :アラニン Val :バリン Leu :ロイシン Ile :イソロイシン Ser :セリン Thr :スレオニン Cys :システイン Met :メチオニン Glu :グルタミン酸 Asp :アスパラギン酸 Lys :リジン Arg :アルギニン His :ヒスチジン Phe :フェニルアラニン Tyr :チロシン Trp :トリプトファン Pro :プロリン Asn :アスパラギン Gln :グルタミン pGlu :ピログルタミン酸
【0073】また、本明細書中で繁用される置換基、保
護基および試薬を下記の記号で表記する。 Me :メチル基 Et :エチル基 Bu :ブチル基 Ph :フェニル基 TC :チアゾリジン−4(R)−カルボキサミド基 Tos :p−トルエンスルフォニル CHO :ホルミル Bzl :ベンジル Cl2-Bzl :2,6−ジクロロベンジル Bom :ベンジルオキシメチル Z :ベンジルオキシカルボニル Cl−Z :2−クロロベンジルオキシカルボニル Br−Z :2−ブロモベンジルオキシカルボニル Boc :t−ブトキシカルボニル DNP :ジニトロフェニル Trt :トリチル Bum :t−ブトキシメチル Fmoc :N−9−フルオレニルメトキシカルボニル HOBt :1−ヒドロキシベンズトリアゾール HOOBt :3,4−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−4−オキソ− 1,2,3−ベンゾトリアジン HONB :1-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミド DCC :N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド
【0074】本願明細書の配列表の配列番号は、以下の
配列を示す。 〔配列番号:1〕本発明のヒト由来タンパク質のアミノ
酸配列を示す。 〔配列番号:2〕本発明のラット由来タンパク質のアミ
ノ酸配列を示す。 〔配列番号:3〕本発明のマウス由来タンパク質のアミ
ノ酸配列を示す。 〔配列番号:4〕配列番号:1で表わされるアミノ酸配
列を有する本発明のヒト由来タンパク質をコードするD
NAの塩基配列を示す。 〔配列番号:5〕配列番号:2で表わされるアミノ酸配
列を有する本発明のラット由来タンパク質をコードする
DNAの塩基配列を示す。 〔配列番号:6〕配列番号:3で表わされるアミノ酸配
列を有する本発明のマウス由来タンパク質をコードする
DNAの塩基配列を示す。 〔配列番号:7〕本発明のヒト由来タンパク質の部分ペ
プチドのアミノ酸配列を示す。配列番号:1で表わされ
るアミノ酸配列の第23番目〜第119番目のアミノ酸
配列に相当する。 〔配列番号:8〕本発明のラット由来タンパク質の部分
ペプチドのアミノ酸配列を示す。配列番号:2で表わさ
れるアミノ酸配列の第23番目〜第119番目のアミノ
酸配列に相当する。 〔配列番号:9〕本発明のマウス由来タンパク質の部分
ペプチドのアミノ酸配列を示す。配列番号:3で表わさ
れるアミノ酸配列の第23番目〜第119番目のアミノ
酸配列に相当する。 〔配列番号:10〕配列番号:7で表わされるアミノ酸
配列を有する本発明の部分ペプチドをコードするDNA
の塩基配列を示す。 〔配列番号:11〕配列番号:8で表わされるアミノ酸
配列を有する本発明の部分ペプチドをコードするDNA
の塩基配列を示す。 〔配列番号:12〕配列番号:9で表わされるアミノ酸
配列を有する本発明の部分ペプチドをコードするDNA
の塩基配列を示す。 〔配列番号:13〕実施例4で用いられたプライマーM
440−OFの塩基配列を示す。 〔配列番号:14〕実施例6で用いられたプライマーH
440−EFの塩基配列を示す。 〔配列番号:15〕実施例6で用いられたプライマーH
440−ERの塩基配列を示す。 〔配列番号:16〕実施例6で用いられたプライマーH
440−OFの塩基配列を示す。 〔配列番号:17〕実施例6で用いられたプライマーH
440−ORの塩基配列を示す。 〔配列番号:18〕実施例6で用いられたプライマーR
440−OFの塩基配列を示す。 〔配列番号:19〕実施例6で用いられたプライマーR
440−ORの塩基配列を示す。
【0075】後述の実施例6で得られた形質転換体エシ
ェリヒア コリ(Escherichia coli)XL1−Blue
MRF’/pDRL440Hは、平成10年8月26日
から通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(N
IBH)に寄託番号FERMBP−6476として、平
成10年7月31日から財団法人・発酵研究所(IF
O)に寄託番号IFO 16192として寄託されてい
る。後述の実施例4で得られた形質転換体エシェリヒア
コリ(Escherichia coli)XL1−Blue MRF’
/pDRL440Mは、平成10年8月26日から通商
産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(NIBH)
に寄託番号FERMBP−6477として、平成10年
7月31日から財団法人・発酵研究所(IFO)に寄託
番号IFO 16193として寄託されている。後述の
実施例6で得られた形質転換体エシェリヒア コリ(Es
cherichia coli)XL1−Blue MRF’/pDRL
440Rは、平成10年8月26日から通商産業省工業
技術院生命工学工業技術研究所(NIBH)に寄託番号
FERMBP−6478として、平成10年7月31日
から財団法人・発酵研究所(IFO)に寄託番号IFO
16194として寄託されている。
【0076】
【実施例】以下に、参考例と実施例を挙げて本発明をさ
らに具体的に説明するが、本発明はそれに限定されるも
のではない。なお、大腸菌を用いての遺伝子操作法は、
モレキュラー・クローニング(Molecular cloning)に
記載されている方法に従った。
【参考例1】 動物細胞発現ベクターpCAN618の
構築 SV40初期遺伝子プロモーターの下流にネオマイシン
耐性遺伝子を持つプラスミドpBK/CMV(4512
bp)(ストラタジーン社)をBsu36I(ニューイ
ングランドバイオラブズ社)で消化し、得られた1.6
kbp断片をDNAポリメラーゼI Klenow fragment
(宝酒造)処理し、ネオマイシン耐性遺伝子を含む平滑
末端化した断片を得た。この断片をpME18S(34
11bp)をSmaI(宝酒造)消化したプラスミドと
ligationし、pME18S/Neo(5040bp)を
得た。次に、サイトメガロウイルスの極初期遺伝子エン
ハンサーの下流にβ−アクチンプロモーターを持つpC
XN2のHincII部位にHindIIIリンカー
(宝酒造)を導入したプラスミドHindIII(宝酒
造)、EcoRI(宝酒造)二重消化し、サイトメガロ
ウイルスの極初期遺伝子エンハンサーの下流にβ−アク
チンプロモーターを含む1.7kb断片を得た。この断
片をpME18S/NeoをHindIII、EcoR
I二重消化して得られる4.2kbp断片とligation
し、動物細胞発現ベクターpCAN616(5969b
p)を得た。さらに、pCAN616をXhoI(宝酒
造)消化した後自己閉環させ、マルチクローニング部位
からstuffer領域を取り除いた動物細胞発現ベクターp
CAN617(5585bp)を得た。一方で、pCA
N616をEcoRI、XhoI二重消化した5.6k
b断片に、EcoRI−SalI−XhoI部位を含む
17merの合成オリゴヌクレオチドをligationし、最
終的に動物細胞発現ベクターpCAN618(5595
bp)を得た(図4)。
【0077】
【実施例1】データベースからのクローンの選択と塩基
配列の解析 スミスクラインビーチャム(SB)社から供給されてい
るESTデータベースの中から分泌のためのシグナル配
列とプロセシング部位をコードするクローンを選択し
た。方法は、ESTのDNA配列から、アミノ酸配列に
翻訳し、Metの後に疎水性アミノ酸(Leu、Ile、Val、Ph
e、Alaなど)のクラスターを有するクローンで、かつ、
同一フレーム内にプロセシング部位(ArgArg、LysArg、
LysLys)を有するクローンを選択し、これらの条件を満
たすクローンとしてHGS:105111を発見した。ただし、E
ST配列であるため、データベースの配列の中に通常欠
失、挿入、読み間違いなどがあるため、以下の方法で、
配列の確認を行った。本クローンをTGC-440としてSB
社から取り寄せ、プラスミドDNAをEcoRIとXhoIで消
化した後、1.2%アガロースゲル電気泳動で、挿入DN
A断片の大きさを解析した結果、0.85kbのcDNA断片であ
ることが判明した。さらに、T7プライマーとT3プライマ
ーを用いて、挿入DNA断片の塩基配列を蛍光DNAシー
クエンサー(PERKIN ELMER: ABI PRISM 377 DNA Sequen
cer)で解析した。本DNA配列とそれから予想される
アミノ酸配列を図1に示す。タンパク質をコードする領
域は、図1の配列の220番目から576番目であるこ
とが判明した。
【0078】
【実施例2】発現部位の解析 実施例1に記載の挿入DNA断片(EcoRI-XhoI 0.85kb
断片)20ngと[α-32P]dCTP(Amersham:6000Ci/mmol)5
μlを用いてMultiprime DNA labeling system (Amersha
m: RPN.1601Y)の方法でDNAプローブを作製した。こ
のプローブを用いて、ヒトマルチティッシュノーザンブ
ロット(CLONTECH社:#7759-1、#7760-1)に対して、ノ
ーザンブロット解析を行った。ハイブリダイズ及び洗浄
の条件は、ヒトマルチティッシュノーザンブロットに添
付のマニュアルに従って行い、検出は、BAS-2000(フジ
フィルム)を用いて行った。その結果、本クローンのmR
NAは、ヒトの肺、気管、胃など限定された組織で発現し
ていることが判明し、臓器特異的な発現産物であること
が明らかとなった。また、mRNAの大きさは、約0.8kbと
0.6kbで短く、TGC-440のcDNA断片がmRNAのほぼ全長を含
んでいて、タンパク質のコード領域は、図1に示した領
域以外にはあり得ないことも判明した。
【0079】
【実施例3】ラットcDNAの取得 SDラット2匹から肺を摘出し、自体公知の塩酸グアニ
ジン法でRNAを抽出した後、oligo(dT) cellurose colum
n (Amersham)を用いて19μgのpoly(A)+RNAを得た。この
5μgを鋳型に用いて、SUPERSCRIPTTM choice system(G
IBCO BRL)の方法でcDNAを合成し、EcoRIアダプターを
付加した。該cDNA断片200ngをλgt11のEcoRI部位へ挿入
し、In vitro packagingによりファージライブラリーを
作製した。実施例2に記載の方法でDNAプローブを作製
し、プラークハイブリダイゼーションを行った。ハイブ
リダイゼーションは、5xSSPE、5xDenhardt's溶液、0.5%
SDSにて、65℃で一晩行い、洗浄は、0.5xSSC、0.1%SDS
にて、50℃で行った。オートラジオグラフィー(-80
℃、18時間)で陽性プラークが複数得られたので、シン
グルプラークアイソレーションを行い、ファージDNAをB
siWIで消化後、得られた挿入cDNA断片をpUC118のAcc65I
部位にサブクローニングした。該cDNA断片の塩基配列を
決定した結果、ヒトと同数の119アミノ酸からなるラッ
トTGC-440がコードされていることが判明した。得られ
た配列は、コーディング領域でヒトと78%(DNAレベル)
と63%(アミノ酸レベル)の相同性を有していた。ま
た、N末端には、22アミノ酸からなる典型的なシグナル
配列が存在していた。ラットTGC-440の塩基配列とそれ
から予想されるアミノ酸配列を図2に示した。
【0080】
【実施例4】マウスcDNAの取得 C57BL/6Nマウスから肺を摘出し、実施例3に記載と同様
の方法でpoly(A)+RNAを得た。これを鋳型にして3'-RACE
を用い、マウスcDNAを取得した。オープンリーディング
フレームが増幅されるように設計したプライマー、M440
-OF(GCCTTTAAGAACCAACAGACAG;配列番号:13)を用
い、定法に従って3'-RACEを行った。該cDNA断片(0.7k
b)をクローニングベクターpCR-Script Amp(STRATAGEN
E)のSrfI部位へクローニングし、pDRL440Mを得た(大
腸菌XL1-Blue MRF'/pDRL440M)。該cDNA断片の塩基配列
を決定した結果、ヒトやラットと同数の119アミノ酸か
らなるマウスTGC-440の一次構造が判明した。N末端に
は、22アミノ酸からなる典型的なシグナル配列が存在し
ていた。マウスTGC-440の塩基配列とそれから予想され
るアミノ酸配列を図3に示した。
【0081】
【実施例5】抗TGC-440抗血清の調製 配列番号:1で表される本タンパク質の110番目から119
番目までのアミノ酸配列からなるペプチド(ヒト)、並
びに配列番号:2で表される本タンパク質(ラット)の
110番目から119番目までのアミノ酸配列からなるペプチ
ドをそれぞれ自体公知の方法により化学合成した。これ
らのペプチド1mgとウシサイログロブリン4mgをそれぞ
れマレイミド法により結合させた後、抗原ペプチド100
μg相当量をFCA(完全フロイントアジュバント)ととも
にウサギ(SPF、ニュージーランドホワイト)2羽ずつ
に皮下注射し、一次免疫とした。以降2週間おきに3回
追加免疫を行った。2回目以降は、FCAの代わりにFIA
(不完全フロイントアジュバント)を使用した。最終免
疫の1週間後に耳静脈から採血し、公知の方法により、
血清画分を取得し抗TGC-440抗血清とした。
【0082】
【実施例6】TGC-440発現プラスミドの構築 ヒトTGC-440のオープンリーディングフレームが増幅さ
れるように設計したプライマー、H440-EF(GACGAATTCCC
ACCATGAAAGTTCTAATCTCTTCCCTCCT;配列番号:14)及
び、H440-ER(GACTCGAGCGGCCGCTACAAAGGCAGAGCAAAGCTTC
TTA;配列番号:15)を自体公知の方法で合成し、実
施例1に記載のプラスミド1ngを鋳型に用いてPCRを行っ
た。PCRの条件は、Takara Ex Taq(宝酒造)を用い、サ
ーマルサイクラーGeneAmp PCR System 2400(PERKIN EL
MER)にて、95℃、30秒、68℃1分を25回繰り返した。
得られたPCR断片をEcoRIとNotIで消化し、動物細胞用発
現ベクターpCAN618のEcoRI、NotI部位へサブクローニン
グを行い、pCAN618/huTGC440を得た。また、ヒトTGC-44
0のオープンリーディングフレームが増幅されるように
設計したプライマー、H440-OF(TGCACCGTCGACCACCATGAA
AGTTCTAATCTCTTCCCTCCTCCTGT;配列番号:16)及び、
H440-OR(CGCTCAGTCGACCTACAAAGGCAGAGCAAAGCTTCTTAGCT
GACATTGTTT;配列番号:17)を自体公知の方法で合成
し、実施例1に記載のプラスミド1ngを鋳型に用いて、P
CRを行った。PCRの条件は、Pfu DNA Polymerase(STRAT
AGENE)を用い、サーマルサイクラーGeneAmp PCR Syste
m 2400(PERKINELMER)にて、96℃ 45秒、54℃ 45秒、7
2℃ 1分を25回繰り返した。得られたPCR断片をSalIで消
化し、動物細胞用発現ベクターpA1-11(別名pAKKO1.1
1)のSalI部位へクローニングを行い、cDNAがプロモー
ターに対して順方向に挿入されたpDRL440Hを得た(大腸
菌XL1-Blue MRF'/pDRL440H)。更に、ラットTGC-440の
オープンリーディングフレームが増幅されるように設計
したプライマー、R440-OF(ACAGCAGTCGACCACCATGAAGCTT
CTAGCCTCTCCCTTCCTTCTGTTGCTGACAGGGATGTTCAC;配列番
号:18)及び、R440-OR(CAGAGTGTCGACACTATAAGGGCAG
GGCGAAGC;配列番号:19)を自体公知の方法で合成
し、実施例3に記載のプラスミド1ngを鋳型に用いて、P
CRを行った。PCRの条件は、Pfu DNA Polymerase(STRAT
AGENE)を用い、サーマルサイクラーGeneAmp PCR Syste
m 2400(PERKIN ELMER)にて、96℃ 45秒、54℃ 45秒、
72℃ 1分を25回繰り返した。得られたPCR断片をSalIで
消化し、動物細胞用発現ベクターpA1-11(別名pAKKO1.1
1)のSalI部位へクローニングを行い、cDNAがプロモー
ターに対して順方向に挿入されたpDRL440Rを得た(大腸
菌XL1-Blue MRF'/pDRL440R)。
【0083】
【実施例7】ヒトTGC-440 cDNAのCOS7細胞での発現 COS7細胞の培養は、通常10%FCS(ウシ胎児血清)を含む
DMEM培地(GIBCO-BRL)を用いて行った。COS7細胞(1.5
x105 cells/well)を6穴プレートで24時間培養し、O
pti-MEM培地(GIBCO-BRL)で2回洗って発現プラスミド
の導入に用いた。実施例6で得られた発現プラスミド
(pCAN618/huTGC440)を1well当たり1μgと、Lipofec
tAMINE Reagent(GIBCO-BRL)を1well当たり10μlを用
いて仕様書に従ってOpti-MEM無血清培地を用いてCOS7細
胞に導入した。発現プラスミドを導入してから5時間後
にFCSが10%になるように加え、さらに19時間培養し、
その後、培地をOpti-MEM培地( Gibco-BRL )、0.25m
M ABSF ( 和光純薬 )を含むOpti-MEM培地( Gibco-BRL
)、0.05% CHAPS ( 同仁化学 )を含むOpti-MEM培地(
Gibco-BRL )、または0.25mM ABSF ( 和光純薬 ) と
0.05% CHAPS ( 同仁化学 )を含むOpti-MEM培地( Gibco-
BRL )に代えて、さらに48時間培養した。培養上清
と、細胞を別々に回収し、Western blot解析に用いた。
培養上清500μl分を分子量3000カットのマイクロコン3
(Amicon)を用いて50μlまで濃縮した(10倍濃
縮)。また、細胞は、生理食塩水で洗浄した後、Laemml
iのサンプルバッファーを200μl加えて、95℃で2分加
熱し細胞抽出液を得た。濃縮後の培養上清と細胞抽出液
をSDSポリアクリルアミドゲル(18%、TEFCO)で電気泳
動し、ニトロセルロースメンブラン(Hybond ECL、Amer
sham)に移した。メンブランをブロッキング液(50%ブ
ロックエース(雪印乳業)、0.9% NaCl、20mM Tris-HCl
(pH7.5))で1時間ブロッキングした後、10%ブロック
エース/TBS-T(0.9% NaCl、20mM Tris-HCl(pH7.5)、
0.05% Tween20)で2000倍希釈した抗TGC-440抗血清と室
温で2時間反応させた。TBS-Tで5回洗浄後、10%ブロッ
クエース/TBS-Tで4000倍希釈したホースラディッシュ
パーオキシダーゼ(HRP)で標識された抗ウサギIgG
抗体(Amersham)と室温で1時間反応させた。これをTB
S-Tで5回洗浄した後、ECL-plus Western blotting det
ection reagent (Amersham)を用いて、化学発光さ
せ、Superfilm ECL (Amersham)を用いて検出した。そ
の結果、図5に示すように、細胞抽出液からは、約1.3k
Daと1.1kDaの産物が検出された。また、培養上清から
は、約1.1kDaの産物が検出され、TGC-440が、細胞外に
分泌され、液性因子として存在することが判明した。
【0084】
【実施例8】ヒトおよびラット TGC 440 タンパクを構
成的に大量に分泌発現する CHO 細胞株の樹立 CHO( dhfr-) ( ATCC ) 細胞の培養は10% FCS ( Hyclone
) を含む αMEM (Gibco-BRL ) 培地を用いて 5%CO2
気相下 37℃で行った。CHO( dhfr-) ( ATCC ) 細胞を10
cm プレ−トにまき、24 時間培養を行った後、実施例6
で作製したヒトおよびラット TGC440 発現プラスミド
(ヒト:pDRL440H、ラット:pDRL440R)それぞれ 10μg
をリン酸カルシウム法を用いてトランスフェクション
を行った。 12 時間後に10% FCSを含むαMEM培地に培
地交換を行い、さらに 2 日後に選択培地 ( 10% 透析
血清 ( Hyclone ) を含むαMEM without ribonucleoti
de and deoxyribonucleotide ( Gibco-BRL ) ) に培地
交換した。以降 3 日ごとに選択培地に培地交換し、発
現プラスミドが組み込まれた細胞を選択した。選択培地
に変えてから9 日目後にプレ−ト上に生育したコロニ−
をヒト、ラットそれぞれ12 クロ−ンづつクロ−ニング
し、12 well プレ−トにまいた。次にこれらのクロ−ン
を6well プレ−トにまきコンフルエントになるまで培養
を行った後、 1ml の αMEM培地( Gibco-BRL )、0.
25mM ABSF ( 和光純薬 )を含むαMEM培地( Gibco-BRL
)、0.05% CHAPS ( 同仁化学 )を含むαMEM培地(Gibc
o-BRL )、または0.25mM ABSF ( 和光純薬 ) と 0.05%
CHAPS ( 同仁化学)を含むαMEM培地( Gibco-BRL )に培
地交換を行ない、さらに 24 時間培養を続けた。培養上
清は eppendorf サンプルチューブに移して遠心し、浮
いている細胞を除去した後、centricon-3 ( Amicon )
を用いて 1/10 にまで濃縮し、同量の DTT を含む SDS
-PAGE サンプル buffer を加え、SDS-PAGE にかけ、Wes
ternblotting によって発現量を見積もった。Western
blotting は一次抗体に実施例 5 で得た抗 TGC440 抗血
清 1/200 希釈、二次抗体に HRP 標識抗 ウサギ IgG抗
体 ( 1/2000, Amersham ) 用い、発色は ECL western b
lotting kit ( Amersham ) を用いて行った。その結
果、図6(ヒトTGC 440 タンパク)、および図7(ラッ
トTGC 440 タンパク)に示すように、COS-7 細胞を用い
て発現させたものと同じ分子量のTGC440タンパクが培地
中に分泌発現されていることが確認され、ヒト TGC 440
タンパク発現 CHO 細胞では #5,9,10 クロ−ンが、ラ
ット TGC 440 タンパク発現 CHO細胞では #4,9 クロ−
ンが発現量が最も多いことが分かった。さらにこれらの
クロ−ンについて 96-well プレ−トにまき限界希釈法
によって single cell クロ−ンを得た。
【0085】
【発明の効果】本発明のタンパク質およびそれをコード
するDNAは、例えば、免疫疾患、肺機能障害、膵臓機
能障害、感染症または胃腸障害などの疾病の治療・予防
剤として使用することができる。また、本発明のタンパ
ク質は、本発明のタンパク質の活性を促進もしくは阻害
する化合物またはその塩のスクリーニングのための試薬
として有用である。さらに、本発明のタンパク質に対す
る抗体は、本発明のタンパク質を特異的に認識すること
ができるので、被検液中の本発明のタンパク質の定量な
どに使用することができる。
【0086】
【配列表】 <110> Takeda Chemical Industries, Ltd. <120> Novel Protein and its Production <130> A98132 <150> JP 10-250108 <151> 1998-09-03 <160> 19 <210> 1 <211> 119 <212> PRT <213> Human <400> 1 Met Lys Val Leu Ile Ser Ser Leu Leu Leu Leu Leu Pro Leu Met Leu 1 5 10 15 Met Ser Met Val Ser Ser Ser Leu Asn Pro Gly Val Ala Arg Gly His 20 25 30 Arg Asp Arg Gly Gln Ala Ser Arg Arg Trp Leu Gln Glu Gly Gly Gln 35 40 45 Glu Cys Glu Cys Lys Asp Trp Phe Leu Arg Ala Pro Arg Arg Lys Phe 50 55 60 Met Thr Val Ser Gly Leu Pro Lys Lys Gln Cys Pro Cys Asp His Phe 65 70 75 80 Lys Gly Asn Val Lys Lys Thr Arg His Gln Arg His His Arg Lys Pro 85 90 95 Asn Lys His Ser Arg Ala Cys Gln Gln Phe Leu Lys Gln Cys Gln Leu 100 105 110 Arg Ser Phe Ala Leu Pro Leu 115 119 <210> 2 <211> 119 <212> PRT <213> Rat <400> 2 Met Lys Leu Leu Ala Ser Pro Phe Leu Leu Leu Leu Thr Gly Met Phe 1 5 10 15 Thr Ala Thr Val Ser Ser Ser Pro Asn Gln Glu Val Ala Arg His His 20 25 30 Gly Asp Gln His Gln Ala Pro Arg Arg Trp Leu Trp Glu Gly Gly Gln 35 40 45 Glu Cys Asp Cys Lys Asp Trp Ser Leu Arg Val Ser Lys Arg Lys Thr 50 55 60 Thr Ala Val Leu Glu Pro Pro Arg Lys Gln Cys Pro Cys Asp His Val 65 70 75 80 Lys Gly Ser Glu Lys Lys Asn Arg Arg Gln Lys His His Arg Lys Ser 85 90 95 Gln Arg Pro Ser Arg Thr Cys Gln Gln Phe Leu Lys Arg Cys Gln Leu 100 105 110 Ala Ser Phe Ala Leu Pro Leu 115 119 <210> 3 <211> 119 <212> PRT <213> Mouse <400> 3 Met Lys Leu Leu Ala Ser Pro Phe Leu Leu Leu Leu Pro Val Met Leu 1 5 10 15 Met Ser Met Val Phe Ser Ser Pro Asn Pro Gly Val Ala Arg Ser His 20 25 30 Gly Asp Gln His Leu Ala Pro Arg Arg Trp Leu Leu Glu Gly Gly Gln 35 40 45 Glu Cys Glu Cys Lys Asp Trp Phe Leu Gln Ala Pro Lys Arg Lys Ala 50 55 60 Thr Ala Val Leu Gly Pro Pro Arg Lys Gln Cys Pro Cys Asp His Val 65 70 75 80 Lys Gly Arg Glu Lys Lys Asn Arg His Gln Lys His His Arg Lys Ser 85 90 95 Gln Arg Pro Ser Arg Ala Cys Gln Gln Phe Leu Lys Arg Cys His Leu 100 105 110 Ala Ser Phe Ala Leu Pro Leu 115 119 <210> 4 <211> 357 <212> DNA <213> Human <400> 4 ATGAAAGTTC TAATCTCTTC CCTCCTCCTG TTGCTGCCAC TAATGCTGAT GTCCATGGTC 60 TCTAGCAGCC TGAATCCAGG GGTCGCCAGA GGCCACAGGG ACCGAGGCCA GGCTTCTAGG 120 AGATGGCTCC AGGAAGGCGG CCAAGAATGT GAGTGCAAAG ATTGGTTCCT GAGAGCCCCG 180 AGAAGAAAAT TCATGACAGT GTCTGGGCTG CCAAAGAAGC AGTGCCCCTG TGATCATTTC 240 AAGGGCAATG TGAAGAAAAC AAGACACCAA AGGCACCACA GAAAGCCAAA CAAGCATTCC 300 AGAGCCTGCC AGCAATTTCT CAAACAATGT CAGCTAAGAA GCTTTGCTCT GCCTTTG 357 <210> 5 <211> 357 <212> DNA <213> Rat <400> 5 ATGAAGCTTC TAGCCTCTCC CTTCCTTCTG TTGCTGACAG GGATGTTCAC GGCCACGGTC 60 TCCAGCAGCC CGAATCAAGA GGTCGCCAGA CACCATGGGG ATCAACACCA GGCTCCTAGG 120 AGGTGGCTCT GGGAAGGTGG CCAAGAGTGT GACTGCAAAG ATTGGTCCCT GCGAGTCTCA 180 AAGAGAAAAA CCACAGCAGT GCTGGAGCCA CCAAGGAAGC AGTGTCCCTG TGATCATGTC 240 AAGGGCAGTG AGAAAAAGAA CAGACGCCAA AAGCACCACA GGAAGTCACA AAGGCCCTCC 300 AGAACCTGCC AGCAATTTCT CAAGCGATGT CAACTAGCAA GCTTCGCCCT GCCCTTA 357 <210> 6 <211> 357 <212> DNA <213> Mouse <400> 6 ATGAAGCTTC TAGCCTCTCC CTTCCTTCTG TTGCTTCCAG TGATGCTCAT GTCCATGGTC 60 TTCAGCAGCC CGAACCCAGG GGTCGCCAGA AGCCACGGGG ACCAACACCT GGCTCCTAGG 120 AGGTGGCTCT TGGAAGGTGG CCAAGAATGT GAATGCAAAG ATTGGTTCCT GCAAGCCCCA 180 AAGAGAAAAG CCACAGCAGT GCTGGGGCCA CCAAGGAAGCA GTGTCCCTG TGATCACGTC 240 AAGGGCAGGG AGAAAAAAAA CAGACACCAA AAGCACCACA GGAAGTCGCA AAGACCCTCC 300 AGAGCCTGCC AGCAATTTCT CAAACGATGT CACCTGGCAA GCTTTGCGCT GCCCTTA 357 <210> 7 <211> 97 <212> PRT <213> Human <400> 7 Ser Leu Asn Pro Gly Val Ala Arg Gly His Arg Asp Arg Gly Gln Ala 1 5 10 15 Ser Arg Arg Trp Leu Gln Glu Gly Gly Gln Glu Cys Glu Cys Lys Asp 20 25 30 Trp Phe Leu Arg Ala Pro Arg Arg Lys Phe Met Thr Val Ser Gly Leu 35 40 45 Pro Lys Lys Gln Cys Pro Cys Asp His Phe Lys Gly Asn Val Lys Lys 50 55 60 Thr Arg His Gln Arg His His Arg Lys Pro Asn Lys His Ser Arg Ala 65 70 75 80 Cys Gln Gln Phe Leu Lys Gln Cys Gln Leu Arg Ser Phe Ala Leu Pro 85 90 95 Leu 97 <210> 8 <211> 97 <212> PRT <213> Rat <400> 8 Ser Pro Asn Gln Glu Val Ala Arg His His Gly Asp Gln His Gln Ala 1 5 10 15 Pro Arg Arg Trp Leu Trp Glu Gly Gly Gln Glu Cys Asp Cys Lys Asp 20 25 30 Trp Ser Leu Arg Val Ser Lys Arg Lys Thr Thr Ala Val Leu Glu Pro 35 40 45 Pro Arg Lys Gln Cys Pro Cys Asp His Val Lys Gly Ser Glu Lys Lys 50 55 60 Asn Arg Arg Gln Lys His His Arg Lys Ser Gln Arg Pro Ser Arg Thr 65 70 75 80 Cys Gln Gln Phe Leu Lys Arg Cys Gln Leu Ala Ser Phe Ala Leu Pro 85 90 95 Leu 97 <210> 9 <211> 97 <212> PRT <213> Mouse <400> 9 Ser Pro Asn Pro Gly Val Ala Arg Ser His Gly Asp Gln His Leu Ala 1 5 10 15 Pro Arg Arg Trp Leu Leu Glu Gly Gly Gln Glu Cys Glu Cys Lys Asp 20 25 30 Trp Phe Leu Gln Ala Pro Lys Arg Lys Ala Thr Ala Val Leu Gly Pro 35 40 45 Pro Arg Lys Gln Cys Pro Cys Asp His Val Lys Gly Arg Glu Lys Lys 50 55 60 Asn Arg His Gln Lys His His Arg Lys Ser Gln Arg Pro Ser Arg Ala 65 70 75 80 Cys Gln Gln Phe Leu Lys Arg Cys His Leu Ala Ser Phe Ala Leu Pro 85 90 95 Leu 97 <210> 10 <211> 291 <212> DNA <213> Human <400> 10 AGCCTGAATC CAGGGGTCGC CAGAGGCCAC AGGGACCGAG GCCAGGCTTC TAGGAGATGG 60 CTCCAGGAAG GCGGCCAAGA ATGTGAGTGC AAAGATTGGT TCCTGAGAGC CCCGAGAAGA 120 AAATTCATGA CAGTGTCTGG GCTGCCAAAG AAGCAGTGCC CCTGTGATCA TTTCAAGGGC 180 AATGTGAAGA AAACAAGACA CCAAAGGCAC CACAGAAAGC CAAACAAGCA TTCCAGAGCC 240 TGCCAGCAAT TTCTCAAACA ATGTCAGCTA AGAAGCTTTG CTCTGCCTTT G 291 <210> 11 <211> 291 <212> DNA <213> Rat <400> 11 AGCCCGAATC AAGAGGTCGC CAGACACCAT GGGGATCAAC ACCAGGCTCC TAGGAGGTGG 60 CTCTGGGAAG GTGGCCAAGA GTGTGACTGC AAAGATTGGT CCCTGCGAGT CTCAAAGAGA 120 AAAACCACAG CAGTGCTGGA GCCACCAAGG AAGCAGTGTC CCTGTGATCA TGTCAAGGGC 180 AGTGAGAAAA AGAACAGACG CCAAAAGCAC CACAGGAAGT CACAAAGGCC CTCCAGAACC 240 TGCCAGCAAT TTCTCAAGCG ATGTCAACTA GCAAGCTTCG CCCTGCCCTT A 291 <210> 12 <211> 291 <212> DNA <213> Mouse <400> 12 AGCCCGAACC CAGGGGTCGC CAGAAGCCAC GGGGACCAAC ACCTGGCTCC TAGGAGGTGG 60 CTCTTGGAAG GTGGCCAAGA ATGTGAATGC AAAGATTGGT TCCTGCAAGC CCCAAAGAGA 120 AAAGCCACAG CAGTGCTGGG GCCACCAAGG AAGCAGTGTC CCTGTGATCA CGTCAAGGGC 180 AGGGAGAAAA AAAACAGACA CCAAAAGCAC CACAGGAAGT CGCAAAGACC CTCCAGAGCC 240 TGCCAGCAAT TTCTCAAACG ATGTCACCTG GCAAGCTTTG CGCTGCCCTT A 291 <210> 13 <211> 22 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> <400> 13 GCCTTTAAGA ACCAACAGAC AG 22 <210> 14 <211> 40 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> <400> 14 GACGAATTCC CACCATGAAA GTTCTAATCT CTTCCCTCCT 40 <210> 15 <211> 40 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> <400> 15 GACTCGAGCG GCCGCTACAA AGGCAGAGCA AAGCTTCTTA 40 <210> 16 <211> 47 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> <400> 16 TGCACCGTCG ACCACCATGA AAGTTCTAAT CTCTTCCCTC CTCCTGT 47 <210> 17 <211> 51 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> <400> 17 CGCTCAGTCG ACCTACAAAG GCAGAGCAAA GCTTCTTAGC TGACATTGTT T 51 <210> 18 <211> 66 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> <400> 18 ACAGCAGTCG ACCACCATGA AGCTTCTAGC CTCTCCCTTC CTTCTGTTGC TGACAGGGAT 60 GTTCAC 66 <210> 19 <211> 33 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> <400> 19 CAGAGTGTCG ACACTATAAG GGCAGGGCGA AGC 33
【0087】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた本発明のタンパク質をコー
ドするDNAの塩基配列および該塩基配列から推定され
るアミノ酸配列を示す。
【図2】実施例3で得られたラットTGC−440の塩
基配列および該塩基配列から推定されるアミノ酸配列を
示す。
【図3】実施例4で得られたマウスTGC−440の塩
基配列および該塩基配列から推定されるアミノ酸配列を
示す。
【図4】参考例で得られた動物細胞発現ベクターpCA
N618の制限酵素地図を示す。
【図5】実施例7で行われたウエスタンブロットの結果
を示す。 Control:pCAN618をトランスフェクトしたCOS7細胞の培
養上清(0.25mM pABSFおよび0.05% CHAPSを含むOpti-ME
M培地を用いた。)。 レーン1:pCAN618/huTGC440をトランスフェクトし、Op
ti-MEM培地を用いた場合の培養上清。 レーン2:pCAN618/huTGC440をトランスフェクトし、0.
25mM pABSFを含むOpti-MEM培地を用いた場合の培養上
清。 レーン3:pCAN618/huTGC440をトランスフェクトし、0.
05% CHAPSを含むOpti-MEM培地を用いた場合の培養上
清。 レーン4:pCAN618/huTGC440をトランスフェクトし、0.
25mM pABSFおよび0.05% CHAPSを含むOpti-MEM培地を用
いた場合の培養上清。
【図6】実施例8で行われたウエスタンブロットの結果
を示す。 COS7:pDRL440HをトランスフェクトしたCOS7細胞の培養
上清(0.25mM pABSFおよび0.05% CHAPSを含むOpti-MEM
培地を用いた。)。 Marker:分子量マーカー #5:#5クローン #9:#9クローン #10:#10クローン CHO(dhfr-):何もトランスフェクトしていないCHO(dhfr
-)細胞の培養上清(0.25mM pABSFおよび0.05% CHAPSを
含むαMEM培地を用いた。)。 レーン1:pDRL440Hをトランスフェクトし、αMEM培地
を用いた場合の培養上清。 レーン2:pDRL440Hをトランスフェクトし、0.25mM pAB
SFを含むαMEM培地を用いた場合の培養上清。 レーン3:pDRL440Hをトランスフェクトし、0.05% CHAP
Sを含むαMEM培地を用いた場合の培養上清。 レーン4:pDRL440Hをトランスフェクトし、0.25mM pAB
SFおよび0.05% CHAPSを含むαMEM培地を用いた場合の培
養上清。
【図7】実施例8で行われたウエスタンブロットの結果
を示す。 COS7:pDRL440RをトランスフェクトしたCOS7細胞の培養
上清(0.25mM pABSFおよび0.05% CHAPSを含むOpti-MEM
培地を用いた。)。 Marker:分子量マーカー #4:#4クローン #9:#9クローン CHO(dhfr-):何もトランスフェクトしていないCHO(dhfr
-)細胞の培養上清(0.25mM pABSFおよび0.05% CHAPSを
含むαMEM培地を用いた。)。 レーン1:pDRL440Rをトランスフェクトし、αMEM培地
を用いた場合の培養上清。 レーン2:pDRL440Rをトランスフェクトし、0.25mM pAB
SFを含むαMEM培地を用いた場合の培養上清。 レーン3:pDRL440Rをトランスフェクトし、0.05% CHAP
Sを含むαMEM培地を用いた場合の培養上清。 レーン4:pDRL440Rをトランスフェクトし、0.25mM pAB
SFおよび0.05% CHAPSを含むαMEM培地を用いた場合の培
養上清。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 31/00 607 A61K 31/00 607 609 609J 611 611 629 629 631 631 635 635B 637 637 643 643C 38/00 45/00 45/00 48/00 48/00 C07K 14/47 C07K 14/47 16/18 16/18 C12P 21/02 C C12P 21/02 G01N 33/15 Z G01N 33/15 33/50 Z 33/50 A61K 39/395 D // A61K 39/395 C12P 21/08 C12P 21/08 A61K 37/02 (C12P 21/02 C12R 1:91) (72)発明者 北田 千恵子 大阪府堺市南向陽町1丁2番8号

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】配列番号:1、配列番号:2もしくは配列
    番号:3で表わされるアミノ酸配列と同一または実質的
    に同一のアミノ酸配列を含有することを特徴とするタン
    パク質またはその塩。
  2. 【請求項2】請求項1記載のタンパク質の部分ペプチド
    またはその塩。
  3. 【請求項3】請求項1記載のタンパク質または請求項2
    記載の部分ペプチドをコードするDNAを含有する組換
    えベクターで形質転換された形質転換体を培養し、該タ
    ンパク質または該部分ペプチドを生成せしめることを特
    徴とする、請求項1記載のタンパク質もしくは請求項2
    記載の部分ペプチドまたはその塩の製造法。
  4. 【請求項4】請求項1記載のタンパク質もしくは請求項
    2記載の部分ペプチドまたはその塩に対する抗体。
  5. 【請求項5】請求項1記載のタンパク質もしくは請求項
    2記載の部分ペプチドまたはその塩を用いることを特徴
    とする、請求項1記載のタンパク質もしくは請求項2記
    載の部分ペプチドまたはその塩の活性を促進または阻害
    する化合物またはその塩のスクリーニング方法。
  6. 【請求項6】請求項1記載のタンパク質もしくは請求項
    2記載の部分ペプチドまたはその塩を含有してなる、請
    求項1記載のタンパク質もしくは請求項2記載の部分ペ
    プチドまたはその塩の活性を促進または阻害する化合物
    またはその塩のスクリーニング用キット。
  7. 【請求項7】請求項5記載のスクリーニング方法または
    請求項6記載のスクリーニング用キットを用いて得られ
    うる、請求項1記載のタンパク質もしくは請求項2記載
    の部分ペプチドまたはその塩の活性を促進または阻害す
    る化合物またはその塩。
  8. 【請求項8】請求項5記載のスクリーニング方法または
    請求項6記載のスクリーニング用キットを用いて得られ
    うる、請求項1記載のタンパク質もしくは請求項2記載
    の部分ペプチドまたはその塩の活性を促進または阻害す
    る化合物またはその塩を含有してなる医薬。
  9. 【請求項9】請求項4記載の抗体を含有してなる診断
    剤。
  10. 【請求項10】請求項4記載の抗体を含有してなる医
    薬。
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