JP2000139480A - 新規タンパク質およびそのdna - Google Patents

新規タンパク質およびそのdna

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JP2000139480A
JP2000139480A JP11248436A JP24843699A JP2000139480A JP 2000139480 A JP2000139480 A JP 2000139480A JP 11248436 A JP11248436 A JP 11248436A JP 24843699 A JP24843699 A JP 24843699A JP 2000139480 A JP2000139480 A JP 2000139480A
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protein
dna
amino acid
acid sequence
present
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JP11248436A
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English (en)
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Koji Yoshimura
浩二 吉村
Yuichi Hikichi
裕一 引地
Atsushi Nishimura
篤 西村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】新規ADAMタンパク質の提供。 【解決手段】ADAMファミリーに属する新規タンパク
質,その部分ペプチドまたはそれらの塩、該タンパク質
をコードするDNA、該DNAを含有する組換えベクタ
ー、形質転換体、該タンパク質の製造法、該タンパク質
もしくはDNA含有してなる医薬、該タンパク質に対す
る抗体、該タンパク質のプロテアーゼ活性を促進または
阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法/ス
クリーニング用キット。 【効果】本発明のタンパク質またはそれをコードするD
NAは、例えば、椎間板ヘルニア、坐骨神経痛、糸球体
腎炎、糖尿病性腎症、肝繊維症、肺繊維症もしくは大理
石病などの種々の疾病の治療・予防剤として使用するこ
とができる。また、本発明の抗体は、被検液中の本発明
のタンパク質の定量などに使用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なADAMタンパ
ク質に関する。
【0002】
【従来の技術】細胞外マトリックスは、組織の細胞を取
り巻く細胞支持組織であり、コラーゲンやエラスチンな
どの繊維性タンパク質、プロテオグリカンなどの複合糖
質、細胞接着などに関係のあるフィブロネクチン、ラミ
ニンなどの糖タンパク質及びヒアルロン酸などの糖質か
らなる。細胞外マトリックスは細胞の形態・代謝・移動
・増殖・分化など細胞の活動に重大な影響を与えること
が知られている。したがって、生体の発生・加齢・炎症
・創傷治癒・免疫・腫瘍など多くの生体現象と関連する
ことが知られている。また、慢性関節リウマチ、変形性
関節症、骨粗鬆症、ガンの転移・浸潤、動脈硬化、角膜
潰瘍など種々の疾病においては細胞外マトリックスの異
常な分解が起こることも知られている。この細胞外マト
リックスの分解に関与する酵素の作用を調節することに
より、これらの疾患の治療薬となる可能性がある。
【0003】ADAM(A disintegrin and metalloproteas
e)ファミリータンパク質は、出血性蛇毒に類似した構
造を持ち、メタロプロテアーゼ領域及びディスインテグ
リン領域等からなる。ADAMファミリータンパク質の多く
は膜タンパク質であり、種々の生物から10個以上のcDNA
が単離されている(T. G. Wolfsberg et al., Journal
of Cell Biology 131:275-278, 1995)。ADAMタンパク
質の生理的機能としては細胞融合、細胞分化、生体防御
等に関与することが知られている。すなわち、精子上で
発現するADAMであるfertilinはディスインテグリン領域
を介して卵子上のインテグリンα6β1と結合し、卵子
と精子の結合に関与する(D. Myles etal., Proc. Nat
l. Acad. Sci. USA 91:4195-4198, 1994)。meltrinの
ディスインテグリン領域は筋細胞の融合に関与すること
が報告されている(T. Yagami-Hiromasa et al., Natur
e 377:652-656, 1995)。また、ショウジョウバエのADA
Mタンパク質であるKUZは神経分化に関与する(J. Rooke
et al., Science 273:1227-1230, 1996)。また、TNF-
αconvertase (R.A. Black et al., Nature 385:729-73
3, 1997)やADAM10 (C.A. Lunn et al., FEBS letter 40
0:333-335,1997)では膜に結合したTNF-α前駆体を切断
し分泌型に変換することが報告されている。
【0004】
【本発明が解決しようとする課題】新たなヒト由来ADAM
ファミリータンパク質は、その活性を調節する作用を有
し、その活性に基づく種々の疾患、例えば慢性関節リウ
マチや変形性関節症などの関節疾患の予防や治療に役立
つ新たな医薬品の開発を可能にする。したがって、本発
明の分野ではヒト由来の新規なADAMタンパク質を見出
し、大量に生産する方法の開発が望まれていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、新規な塩基
配列を有するADAM遺伝子を見出し、それにコードされる
ADAMタンパク質がプロテアーゼ活性を有し、さらに細胞
外マトリックスの分解にも関与することを見出した。本
発明者は、これらの知見を基づいて、さらに検討を重ね
た結果、本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明は、(1)配列番号:2
で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一の
アミノ酸配列を有するタンパク質またはその塩、(2)
配列番号:2で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実
質的に同一のアミノ酸配列をディスインテグリン領域と
して有する前記(1)記載のタンパク質又はその塩、
(3)ADAMファミリーに属する前記(1)記載のタ
ンパク質またはその塩、(4)配列番号:1または配列
番号:15で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質
的に同一のアミノ酸配列を有する前記(1)記載のタン
パク質またはその塩、(5)プロテアーゼ活性を有する
前記(1)記載のタンパク質またはその塩、(6)配列
番号:6で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的
に同一のアミノ酸配列を有する前記(1)記載のタンパ
ク質の部分ペプチドまたはその塩、(7)配列番号:2
で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一の
アミノ酸配列を有するタンパク質をコードする塩基配列
を有するDNAを有するDNA、(8)配列番号:3ま
たは配列番号:16で表される塩基配列を有する前記
(7)記載のDNA、(9)前記(6)記載の部分ペプチ
ドをコードするDNAを有するDNA、(10)配列番
号:4で表される塩基配列を有する前記(9)記載のD
NA、(11)前記(7)記載のDNAを有する組換え
ベクター、(12)前記(11)記載の組換えベクター
で形質転換された形質転換体、(13)前記(12)記
載の形質転換体を培養し、前記(1)記載のタンパク質
を生成せしめることを特徴とする前記(1)記載のタン
パク質またはその塩の製造法、(14)前記(1)記載
のタンパク質もしくは前記(6)記載の部分ペプチドま
たはその塩に対する抗体、(15)前記(7)記載のD
NAまたは前記(14)記載の抗体を含有してなる診断
薬、(16)前記(1)記載のタンパク質もしくは前記
(6)記載の部分ペプチドまたはその塩を含有してなる
剤、(17)前記(1)記載のタンパク質もしくは前記
(6)記載の部分ペプチドまたはその塩を含有してなる
医薬、(18)椎間板ヘルニア、坐骨神経痛、糸球体腎
炎、糖尿病性腎症、肝繊維症、肺繊維症または大理石病
の予防・治療剤である前記(17)記載の医薬、
【0007】(19)前記(1)記載のタンパク質また
はその塩を用いることを特徴とする、プロテアーゼ活性
を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニ
ング方法、(20)前記(1)記載のタンパク質または
その塩を含有してなる、プロテアーゼ活性を促進または
阻害する化合物またはその塩のスクリーニング用キッ
ト、(21)前記(19)記載のスクリーニング方法ま
たは前記(20)記載のスクリーニング用キットを用い
て得られうる、プロテアーゼ活性を促進または阻害する
化合物またはその塩、(22)前記(19)記載のスク
リーニング方法または前記(20)記載のスクリーニン
グ用キットを用いて得られうるプロテアーゼ活性を促進
または阻害する化合物またはその塩を含有してなる医
薬、(23)配列番号:5で表されるアミノ酸配列と同
一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を有するタンパ
ク質またはその塩を含有してなる細胞外マトリックス分
解剤、(24)細胞外マトリックスがプロテオグリカン
である前記(23)記載の剤、(25)医薬組成物であ
る前記(23)記載の剤、(26)椎間板ヘルニア、坐
骨神経痛、糸球体腎炎、糖尿病性腎症、肝繊維症、肺繊
維症もしくは大理石病の予防・治療剤である前記(2
3)記載の剤、(27)配列番号:5で表されるアミノ
酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を有
するタンパク質またはその塩を用いることを特徴とす
る、細胞外マトリックス分解酵素活性を促進または阻害
する化合物またはその塩のスクリーニング方法、(2
8)配列番号:5で表されるアミノ酸配列と同一もしく
は実質的に同一のアミノ酸配列を有するタンパク質また
はその塩を含有してなる、細胞外マトリックス分解酵素
活性を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリ
ーニング用キット、(29)前記(27)記載のスクリ
ーニング方法または前記(28)記載のスクリーニング
用キットを用いて得られうる、細胞外マトリックス分解
酵素活性を促進または阻害する化合物またはその塩、
(30)前記(27)記載のスクリーニング方法または
前記(28)記載のスクリーニング用キットを用いて得
られうる、細胞外マトリックス分解酵素活性を促進また
は阻害する化合物またはその塩を含有してなる医薬、
(31)配列番号:5で表されるアミノ酸配列と同一も
しくは実質的に同一のアミノ酸配列を有するタンパク質
またはその塩に対する抗体を含有してなる診断薬、(3
2)被検遺伝子を導入した組換え体と動物由来の軟骨あ
るいは軟骨基質産生細胞を混合培養し、培養上清中の硫
酸化グリコサミノグリカンを測定することを特徴とする
プロテオグリカン分解酵素遺伝子を検出する方法、(3
3)(i)プロテオグリカン分解酵素活性を有するタン
パク質をコードする遺伝子を導入した組換え体、(ii)
動物由来の軟骨または軟骨基質産生細胞および(iii)
被検物を混合培養し、培養上清中の硫酸化グリコサミノ
グリカンを測定することを特徴とする、プロテオグリカ
ン分解酵素の活性阻害剤あるいは活性促進剤のスクリー
ニング方法、(34)(i)前記7記載のDNAまたは
配列番号:5で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実
質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質をコー
ドする塩基配列を有するDNAを含有するDNA、を含有する
動物細胞、(ii)動物由来の軟骨または軟骨基質産生細
胞および(iii)被検物を混合培養し、上清中の硫酸化
グリコサミノグリカン量を測定することを特徴とするプ
ロテオグリカン分解酵素の活性阻害剤あるいは活性促進
剤のスクリーニング方法、(35)配列番号:2で表さ
れるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ
酸配列を有するタンパク質をコードする塩基配列を有す
るDNAを有するDNAまたはその変異DNAを有する
非ヒト哺乳動物、(36)配列番号:2で表されるアミ
ノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を
有するタンパク質を発現しうる前記(35)記載の動物
などを提供する。
【0008】さらには、本発明は、(37)配列番号:
2で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配
列が、配列番号:2で表されるアミノ酸配列と約95%
以上、好ましくは約98%以上の相同性を有するアミノ
酸配列である前記(1)記載のタンパク質、(38)配
列番号:2で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のア
ミノ酸配列が、配列番号:2で表されるアミノ酸配列
中の1〜5個(好ましくは、1〜3個)のアミノ酸が欠
失したアミノ酸配列、配列番号:2で表されるアミノ
酸配列に1〜5(好ましくは、1〜3個)のアミノ酸が
付加したアミノ酸配列、配列番号:2で表されるアミ
ノ酸配列中の1〜5個以上(好ましくは、1〜3個)の
アミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、ま
たはそれらを組み合わせたアミノ酸配列である前記
(1)記載のタンパク質、(39)前記(7)または
(9)記載のDNAをコードする塩基配列とハイストリン
ジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有す
るDNAを含有するDNA、(40)前記(39)記載
のDNAを含有する組換えベクター、(41)前記(4
0)記載の組換えベクターで形質転換させた形質転換
体、(42)前記(41)記載の形質転換体を培養し、
前記(39)項記載のDNAにコードされるタンパク質
を生成し、蓄積せしめ、これを採取することを特徴とす
る前記(39)記載のDNAでコードされるタンパク質
またはその塩の製造法、(43)前記(42)記載の製
造法で製造される、前記(39)記載のDNAでコード
されるタンパク質またはその塩、
【0009】(44)(i)前記(1)記載のタンパク
質、前記(6)項記載の部分ペプチドまたはそれらの塩
に基質を接触させた場合と、(ii)前記(1)記載のタ
ンパク質、前記(6)記載の部分ペプチドまたはそれら
の塩に基質および試験化合物を接触させた場合におけ
る、プロテアーゼ活性を測定し、比較することを特徴と
する前記(19)項記載のスクリーニング方法、(4
5)前記(19)項記載のスクリーニング方法または前
記(20)項記載のスクリーニング用キットを用いて得
られる、前記(1)記載のタンパク質、前記(6)項記
載の部分ペプチドまたはそれらの塩のプロテアーゼ活性
を促進する化合物またはその塩を含有してなる医薬、
(46)椎間板ヘルニア、坐骨神経痛、糸球体腎炎、糖
尿病性腎症、肝繊維症、肺繊維症または大理石病の治療
・予防剤である前記(45)記載の医薬、(47)前記
(19)記載のスクリーニング方法または前記(20)
記載のスクリーニング用キットを用いて得られる、前記
(1)記載のタンパク質、前記(6)記載の部分ペプチ
ドまたはそれらの塩のプロテアーゼ活性を阻害する化合
物またはその塩を含有してなる医薬、(48)慢性関節
リウマチ、変形性関節症、骨粗鬆症、癌、動脈硬化、角
膜潰瘍の治療・予防剤である前記(47)記載の医薬、
【0010】(49)前記(14)記載の抗体と、被検
液および標識化された前記(1)記載のタンパク質、前
記(4)記載の部分ペプチドまたはそれらの塩とを競合
的に反応させ、該抗体に結合した標識化された前記
(1)記載のタンパク質、前記(4)記載の部分ペプチ
ドまたはそれらの塩の割合を測定することを特徴とする
被検液中の前記(1)記載のタンパク質、前記(6)項
記載の部分ペプチドまたはそれらの塩の定量法、(5
0)被検液と担体上に不溶化した前記(14)項記載の
抗体および標識化された前記(14)記載の抗体とを同
時あるいは連続的に反応させたのち、不溶化担体上の標
識剤の活性を測定することを特徴とする被検液中の前記
(1)記載のタンパク質、前記(6)項記載の部分ペプ
チドまたはそれらの塩の定量法、(51)前記(14)
項記載の抗体を含有してなる医薬、(52)前記
(7)、(9)または(39)記載のDNAに相補的ま
たは実質的に相補的な塩基配列を有し、該DNAの発現
を抑制し得る作用を有するアンチセンスDNA、(5
3)前記(7)、(9)または(39)項記載のDNA
に実質的に相補的な塩基配列が、該DNAに相補的な塩
基配列の全塩基配列あるいは部分塩基配列と約95%以
上、好ましくは約98%以上の相同性を有する塩基配列
である前記(52)記載のアンチセンスDNA、(5
4)前記(52)記載のアンチセンスDNAを含有して
なる医薬、(55)配列番号:5で表されるアミノ酸配
列と同一もしくは実質的にアミノ酸配列を含有するタン
パク質またはその塩に対する抗体と被検液および標識化
された配列番号:5で表されるアミノ酸配列と同一もし
くは実質的にアミノ酸配列を含有するタンパク質または
その塩とを競合的に反応させ、該抗体に結合した標識化
された配列番号:5で表されるアミノ酸配列と同一もし
くは実質的にアミノ酸配列を含有するタンパク質または
その塩の割合を測定することを特徴とする被検液中の配
列番号:5で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質
的にアミノ酸配列を含有するタンパク質またはその塩の
定量法、(56)被検液と担体上に不溶化した配列番
号:5で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に
アミノ酸配列を含有するタンパク質またはその塩に対す
る抗体および標識化された配列番号:5で表されるアミ
ノ酸配列と同一もしくは実質的にアミノ酸配列を含有す
るタンパク質またはその塩に対する抗体をとを同時ある
いは連続的に反応させたのち、不溶化担体上の標識剤の
活性を測定することを特徴とする被検液中の配列番号:
5で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的にアミ
ノ酸配列を含有するタンパク質またはその塩の定量法、
(57)配列番号:5で表されるアミノ酸配列と同一も
しくは実質的にアミノ酸配列を含有するタンパク質また
はその塩に対する抗体を含有してなる医薬などを提供す
る。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の配列番号:1、配列番
号:2、配列番号:5または配列番号:15で表わされ
るアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸
配列を有するタンパク質(以下、本発明のタンパク質と
称する)は、ヒトや温血動物(例えば、モルモット、ラ
ット、マウス、ニワトリ、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ウ
シ、サルなど)の細胞(例えば、肝細胞、脾細胞、神経
細胞、グリア細胞、膵臓β細胞、骨髄細胞、メサンギウ
ム細胞、ランゲルハンス細胞、表皮細胞、上皮細胞、内
皮細胞、繊維芽細胞、繊維細胞、筋細胞、脂肪細胞、免
疫細胞(例、マクロファージ、T細胞、B細胞、ナチュ
ラルキラー細胞、肥満細胞、好中球、好塩基球、好酸
球、単球)、巨核球、滑膜細胞、軟骨細胞、骨細胞、骨
芽細胞、破骨細胞、乳腺細胞、肝細胞もしくは間質細
胞、またはこれら細胞の前駆細胞、幹細胞もしくはガン
細胞など)もしくはそれらの細胞が存在するあらゆる組
織、例えば、脳、脳の各部位(例、嗅球、扁桃核、大脳
基底球、海馬、視床、視床下部、大脳皮質、延髄、小
脳)、脊髄、下垂体、胃、膵臓、腎臓、肝臓、生殖腺、
甲状腺、胆のう、骨髄、副腎、皮膚、筋肉、肺、消化管
(例、大腸、小腸)、血管、心臓、胸腺、脾臓、顎下
腺、末梢血、前立腺、睾丸、卵巣、胎盤、子宮、骨、関
節、骨格筋など、または血球系の細胞もしくはその培養
細胞(例えば、MEL,M1,CTLL−2,HT−
2,WEHI−3,HL−60,JOSK−1,K56
2,ML−1,MOLT−3,MOLT−4,MOLT
−10,CCRF−CEM,TALL−1,Jurka
t,CCRT−HSB−2,KE−37,SKW−3,
HUT−78,HUT−102,H9,U937,TH
P−1,HEL,JK−1,CMK,KO−812,M
EG−01など)に由来するタンパク質であってもよ
く、合成タンパク質であってもよい。
【0012】配列番号:1、配列番号:2、配列番号:
5または配列番号:15で表わされるアミノ酸配列と実
質的に同一のアミノ酸配列としては、それぞれ配列番
号:1、配列番号:2、配列番号:5または配列番号:
15で表わされるアミノ酸配列と約95%以上、好まし
くは約98%以上の相同性を有するアミノ酸配列などが
挙げられる。特に、配列番号:1で表わされるアミノ酸
配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては、配列番
号:1で表わされるアミノ酸配列の第428〜437番
目のアミノ酸配列を有するアミノ酸配列、配列番号:2
で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配
列としては、配列番号:2で表わされるアミノ酸配列の
第29〜38番目のアミノ酸配列を有するアミノ酸配
列、配列番号:15で表わされるアミノ酸配列と実質的
に同一のアミノ酸配列としては、配列番号:15で表わ
されるアミノ酸配列の第428〜437番目のアミノ酸
配列を有するアミノ酸配列などが挙げられる。本発明の
配列番号:1、配列番号:2、配列番号:5または配列
番号:15で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一の
アミノ酸配列を有するタンパク質としては、例えば、前
記の配列番号:1、配列番号:2、配列番号:5または
配列番号:15で表わされるアミノ酸配列と実質的に同
一のアミノ酸配列を有し、配列番号:1、配列番号:
2、配列番号:5または配列番号:15で表わされるア
ミノ酸配列を有するタンパク質と実質的に同質の活性を
有するタンパク質などが好ましい。本明細書中、プロテ
アーゼ様活性とは、例えばペプチド結合を切断(加水分
解)する活性などを意味する。本発明中、細胞外マトリ
ックス分解酵素活性とは、コラーゲン、エラスチン、プ
ロテオグリカン、フィブロネクチン、ラミニン、ヒアル
ロン酸などからなる組織の細胞を取り巻く細胞支持組織
を分解する酵素活性、特にプロテオグリカンを分解する
酵素活性(プロテオグリカン分解酵素活性)などを意味
する。実質的に同質の活性としては、例えば、プロテア
ーゼ活性、細胞外マトリックス分解酵素活性(好ましく
はプロテオグリカン分解酵素活性)などが挙げられる。
実質的に同質とは、それらの活性が性質的に(例、生理
化学的に、または薬理学的に)同質であることを示す。
したがって、プロテアーゼ活性、細胞外マトリックス分
解酵素活性(好ましくはプロテオグリカン分解酵素活
性)などの活性が同等(例、約0.1〜100倍、好ま
しくは約0.5〜10倍、より好ましくは0.5〜2
倍)であることが好ましいが、これらの活性の程度、タ
ンパク質の分子量などの量的要素は異なっていてもよ
い。プロテアーゼ活性の測定は、自体公知の方法に準じ
て行なうことができるが、例えば、後述するスクリーニ
ング方法に従って測定することができる。プロテオグリ
カン分解酵素活性を指標とした細胞外マトリックス分解
酵素活性の測定は、例えば後述の実施例6記載の方法に
従って測定することができる。
【0013】また、本発明のタンパク質としては、例え
ば、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:5また
は配列番号:15で表わされるアミノ酸配列中の1〜5
(好ましくは、1〜3個)のアミノ酸が欠失したアミノ
酸配列、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:5
または配列番号:15で表わされるアミノ酸配列に1〜
5(好ましくは、1〜3個)のアミノ酸が付加したアミ
ノ酸配列、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:
5または配列番号:15で表わされるアミノ酸配列に1
〜5個(好ましくは、1〜3個)のアミノ酸が挿入され
たアミノ酸配列、配列番号:1、配列番号:2、配列
番号:5または配列番号:15で表わされるアミノ酸配
列中の1〜5個(好ましくは、1〜3個)のアミノ酸が
他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、またはそれ
らを組み合わせたアミノ酸配列を含有するタンパク質な
どのいわゆるムテインも含まれる。上記のようにアミノ
酸配列が挿入、欠失または置換されている場合、その挿
入、欠失または置換の位置としては、特に限定されな
い。また、挿入、欠失または置換の位置としては、配列
番号:1または配列番号:15で表わされるアミノ酸配
列のうち、第119番目のVal〜495番目のPhe
以外の位置または第336番目のThr〜350番目の
Asp以外の位置などがあげられる。
【0014】配列番号:2で表わされるアミノ酸配列
は、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列の第400
番目(Leu)〜第495番目(Phe)のアミノ酸配
列に相当し、配列番号:5で表わされるアミノ酸配列
は、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列の第199
番目(Val)〜第399番目(Pro)のアミノ酸配
列に相当する。
【0015】本明細書におけるタンパク質は、ペプチド
標記の慣例に従って左端がN末端(アミノ末端)、右端
がC末端(カルボキシル末端)である。配列番号:1、
配列番号:2、配列番号:5または配列番号:15で表
わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質をはじめと
する、本発明のタンパク質は、C末端が通常カルボキシ
ル基(−COOH)またはカルボキシレート(−CO
-)であるが、C末端がアミド(−CONH2)または
エステル(−COOR)であってもよい。ここでエステ
ルにおけるRとしては、例えば、メチル、エチル、n−
プロピル、イソプロピルもしくはn−ブチルなどのC
1-6アルキル基、例えば、シクロペンチル、シクロヘキ
シルなどのC3-8シクロアルキル基、例えば、フェニ
ル、α−ナフチルなどのC6-12アリール基、例えば、ベ
ンジル、フェネチルなどのフェニル−C1-2アルキル基
もしくはα−ナフチルメチルなどのα−ナフチル−C
1-2アルキル基などのC7-14アラルキル基のほか、経口
用エステルとして汎用されるピバロイルオキシメチル基
などが用いられる。本発明のタンパク質がC末端以外に
カルボキシル基(またはカルボキシレート)を有してい
る場合、カルボキシル基がアミド化またはエステル化さ
れているものも本発明のタンパク質に含まれる。この場
合のエステルとしては、例えば上記したC末端のエステ
ルなどが用いられる。さらに、本発明のタンパク質に
は、N末端のアミノ酸残基(例、メチオニン残基)のア
ミノ基が保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基など
のC1-6アルカノイルなどのC1-6アシル基など)で保護
されているもの、生体内で切断されて生成するN末端の
グルタミン残基がピログルタミン酸化したもの、分子内
のアミノ酸の側鎖上の置換基(例えば−OH、−SH、
アミノ基、イミダゾール基、インドール基、グアニジノ
基など)が適当な保護基(例えば、ホルミル基、アセチ
ル基などのC1-6アルカノイル基などのC1-6アシル基な
ど)で保護されているもの、あるいは糖鎖が結合したい
わゆる糖タンパク質などの複合タンパク質なども含まれ
る。本発明のタンパク質の具体例としては、例えば、配
列番号:1または配列番号:15で表わされるアミノ酸
配列を有するヒト由来のタンパク質(図1および図2ま
たは図3および図4)などが用いられる。
【0016】本発明のタンパク質の部分ペプチドとして
は、前記した本発明のタンパク質の部分ペプチドであっ
て、好ましくは、前記した本発明のタンパク質と同様の
活性(例、プロテアーゼ活性、細胞外マトリックス分解
酵素活性(好ましくはプロテオグリカン分解酵素活性)
を有するものであればいずれのものでもよい。例えば、
本発明のタンパク質の構成アミノ酸配列中の少なくとも
20%以上、好ましくは50%以上、さらに好ましくは
70%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましく
は95%以上のアミノ酸配列を有し、プロテアーゼ活
性、細胞外マトリックス分解酵素活性(好ましくはプロ
テオグリカン分解酵素活性)を有するペプチドなどが用
いられる。これらペプチドの中でも、例えば、配列番
号:1で表わされるアミノ酸配列の第28〜37番目の
アミノ酸配列(配列番号:8で表わされるアミノ酸配
列)を有するアミノ酸配列を含有するペプチドなどが用
いられる。また、配列番号:8で表わされるアミノ酸配
列および配列番号:2で表わされるアミノ酸配列を有す
るペプチドなども好適である。また、本発明の部分ペプ
チドは、そのアミノ酸配列中の1〜5個(好ましくは、
1〜3個のアミノ酸が欠失し、または、そのアミノ酸配
列に1〜5個(好ましくは、1〜3個)のアミノ酸が付
加し、または、そのアミノ酸配列に1〜5個(好ましく
は、1〜3個のアミノ酸が挿入され、または、そのアミ
ノ酸配列中の1〜5個(好ましくは、1〜3個のアミノ
酸が他のアミノ酸で置換されていてもよい。
【0017】また、本発明の部分ペプチドはC末端が通
常カルボキシル基(−COOH)またはカルボキシレー
ト(−COO-)であるが、前記した本発明のタンパク
質のごとく、C末端がアミド(−CONH2)またはエ
ステル(−COOR)であってもよい。さらに、本発明
の部分ペプチドには、前記した本発明のタンパク質と同
様に、N末端のアミノ酸残基(例、メチオニン残基)の
アミノ基が保護基で保護されているもの、N端側が生体
内で切断され生成したグルタミン残基がピログルタミン
酸化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基が適
当な保護基で保護されているもの、あるいは糖鎖が結合
したいわゆる糖ペプチドなどの複合ペプチドなども含ま
れる。本発明の部分ペプチドは抗体作成のための抗原と
して用いることができるので、必ずしもプロテアーゼ活
性、細胞外マトリックス分解酵素活性(好ましくはプロ
テオグリカン分解酵素活性)を有する必要はない。
【0018】本発明のタンパク質または部分ペプチドの
塩としては、生理学的に許容される酸(例、無機酸、有
機酸)や塩基(例、アルカリ金属塩)などとの塩が用い
られ、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好まし
い。この様な塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩
酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有機
酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マ
レイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚
酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン
酸)との塩などが用いられる。本発明のタンパク質また
はその塩は、前述したヒトや温血動物の細胞または組織
から自体公知のタンパク質の精製方法によって製造する
こともできるし、後述するタンパク質をコードするDN
Aを含有する形質転換体を培養することによっても製造
することができる。また、後述のペプチド合成法に準じ
て製造することもできる。ヒトや哺乳動物の組織または
細胞から製造する場合、ヒトや哺乳動物の組織または細
胞をホモジナイズした後、酸などで抽出を行ない、該抽
出液を逆相クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグ
ラフィーなどのクロマトグラフィーを組み合わせること
により精製単離することができる。
【0019】本発明のタンパク質、部分ペプチド、もし
くはそれらの塩、またはそれらのアミド体の合成には、
通常市販のタンパク質合成用樹脂を用いることができ
る。そのような樹脂としては、例えば、クロロメチル樹
脂、ヒドロキシメチル樹脂、ベンズヒドリルアミン樹
脂、アミノメチル樹脂、4−ベンジルオキシベンジルア
ルコール樹脂、4−メチルベンズヒドリルアミン樹脂、
PAM樹脂、4−ヒドロキシメチルメチルフェニルアセト
アミドメチル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、4−
(2',4'-ジメトキシフェニル−ヒドロキシメチル)フェ
ノキシ樹脂、4−(2',4'-ジメトキシフェニル−Fmocア
ミノエチル)フェノキシ樹脂などを挙げることができ
る。このような樹脂を用い、α−アミノ基と側鎖官能基
を適当に保護したアミノ酸を、目的とするタンパク質の
配列通りに、自体公知の各種縮合方法に従い、樹脂上で
縮合させる。反応の最後に樹脂からタンパク質を切り出
すと同時に各種保護基を除去し、さらに高希釈溶液中で
分子内ジスルフィド結合形成反応を実施し、目的のタン
パク質またはそれらのアミド体を取得する。上記した保
護アミノ酸の縮合に関しては、タンパク質合成に使用で
きる各種活性化試薬を用いることができるが、特に、カ
ルボジイミド類がよい。カルボジイミド類としては、DC
C、N,N'-ジイソプロピルカルボジイミド、N-エチル-N'-
(3-ジメチルアミノプロリル)カルボジイミドなどが用
いられる。これらによる活性化にはラセミ化抑制添加剤
(例えば、HOBt, HOOBt)とともに保護アミノ酸を直接樹
脂に添加するかまたは、対称酸無水物またはHOBtエステ
ルあるいはHOOBtエステルとしてあらかじめ保護アミノ
酸の活性化を行なった後に樹脂に添加することができ
る。
【0020】保護アミノ酸の活性化や樹脂との縮合に用
いられる溶媒としては、タンパク質縮合反応に使用しう
ることが知られている溶媒から適宜選択されうる。例え
ば、N,N−ジメチルホルムアミド,N,N−ジメチル
アセトアミド,N−メチルピロリドンなどの酸アミド
類、塩化メチレン,クロロホルムなどのハロゲン化炭化
水素類、トリフルオロエタノールなどのアルコール類、
ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、ピリジ
ン,ジオキサン,テトラヒドロフランなどのエーテル
類、アセトニトリル,プロピオニトリルなどのニトリル
類、酢酸メチル,酢酸エチルなどのエステル類あるいは
これらの適宜の混合物などが用いられる。反応温度はタ
ンパク質結合形成反応に使用され得ることが知られてい
る範囲から適宜選択され、通常約−20℃〜50℃の範
囲から適宜選択される。活性化されたアミノ酸誘導体は
通常1.5〜4倍過剰で用いられる。ニンヒドリン反応
を用いたテストの結果、縮合が不十分な場合には保護基
の脱離を行なうことなく縮合反応を繰り返すことにより
十分な縮合を行なうことができる。反応を繰り返しても
十分な縮合が得られないときには、無水酢酸またはアセ
チルイミダゾールを用いて未反応アミノ酸をアセチル化
することによって、後の反応に影響を与えないようにす
ることができる。
【0021】原料のアミノ基の保護基としては、例え
ば、Z、Boc、t−ペンチルオキシカルボニル、イソボ
ルニルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシ
カルボニル、Cl-Z、Br-Z、アダマンチルオキシカルボニ
ル、トリフルオロアセチル、フタロイル、ホルミル、2
−ニトロフェニルスルフェニル、ジフェニルホスフィノ
チオイル、Fmocなどが用いられる。カルボキシル基は、
例えば、アルキルエステル化(例えば、メチル、エチ
ル、プロピル、ブチル、t−ブチル、シクロペンチル、
シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、2
−アダマンチルなどの直鎖状、分枝状もしくは環状アル
キルエステル化)、アラルキルエステル化(例えば、ベ
ンジルエステル、4−ニトロベンジルエステル、4−メ
トキシベンジルエステル、4−クロロベンジルエステ
ル、ベンズヒドリルエステル化)、フェナシルエステル
化、ベンジルオキシカルボニルヒドラジド化、t−ブト
キシカルボニルヒドラジド化、トリチルヒドラジド化な
どによって保護することができる。セリンの水酸基は、
例えば、エステル化またはエーテル化によって保護する
ことができる。このエステル化に適する基としては、例
えば、アセチル基などの低級(C1-6)アルカノイル
基、ベンゾイル基などのアロイル基、ベンジルオキシカ
ルボニル基、エトキシカルボニル基などの炭酸から誘導
される基などが用いられる。また、エーテル化に適する
基としては、例えば、ベンジル基、テトラヒドロピラニ
ル基、t-ブチル基などである。チロシンのフェノール性
水酸基の保護基としては、例えば、Bzl、Cl2-Bzl、2
−ニトロベンジル、Br-Z、t−ブチルなどが用いられ
る。ヒスチジンのイミダゾールの保護基としては、例え
ば、Tos、4-メトキシ-2,3,6-トリメチルベンゼンスル
ホニル、DNP、ベンジルオキシメチル、Bum、Boc、Trt、
Fmocなどが用いられる。
【0022】原料のカルボキシル基の活性化されたもの
としては、例えば、対応する酸無水物、アジド、活性エ
ステル〔アルコール(例えば、ペンタクロロフェノー
ル、2,4,5-トリクロロフェノール、2,4-ジニトロフェノ
ール、シアノメチルアルコール、パラニトロフェノー
ル、HONB、N-ヒドロキシスクシミド、N-ヒドロキシフタ
ルイミド、HOBt)とのエステル〕などが用いられる。原
料のアミノ基の活性化されたものとしては、例えば、対
応するリン酸アミドが用いられる。保護基の除去(脱
離)方法としては、例えば、Pd−黒あるいはPd-炭
素などの触媒の存在下での水素気流中での接触還元や、
また、無水フッ化水素、メタンスルホン酸、トリフルオ
ロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸あるいはこれら
の混合液などによる酸処理や、ジイソプロピルエチルア
ミン、トリエチルアミン、ピペリジン、ピペラジンなど
による塩基処理、また液体アンモニア中ナトリウムによ
る還元なども用いられる。上記酸処理による脱離反応
は、一般に約−20℃〜40℃の温度で行なわれるが、
酸処理においては、例えば、アニソール、フェノール、
チオアニソール、メタクレゾール、パラクレゾール、ジ
メチルスルフィド、1,4-ブタンジチオール、1,2-エタン
ジチオールなどのようなカチオン捕捉剤の添加が有効で
ある。また、ヒスチジンのイミダゾール保護基として用
いられる2,4-ジニトロフェニル基はチオフェノール処理
により除去され、トリプトファンのインドール保護基と
して用いられるホルミル基は上記の1,2-エタンジチオー
ル、1,4-ブタンジチオールなどの存在下の酸処理による
脱保護以外に、希水酸化ナトリウム溶液、希アンモニア
などによるアルカリ処理によっても除去される。
【0023】原料の反応に関与すべきでない官能基の保
護ならびに保護基、およびその保護基の脱離、反応に関
与する官能基の活性化などは公知の基または公知の手段
から適宜選択しうる。タンパク質のアミド体を得る別の
方法としては、例えば、まず、カルボキシ末端アミノ酸
のα−カルボキシル基をアミド化して保護した後、アミ
ノ基側にペプチド(タンパク質)鎖を所望の鎖長まで延
ばした後、該ペプチド鎖のN末端のα−アミノ基の保護
基のみを除いたタンパク質とC末端のカルボキシル基の
保護基のみを除去したタンパク質とを製造し、この両タ
ンパク質を上記したような混合溶媒中で縮合させる。縮
合反応の詳細については上記と同様である。縮合により
得られた保護タンパク質を精製した後、上記方法により
すべての保護基を除去し、所望の粗タンパク質を得るこ
とができる。この粗タンパク質は既知の各種精製手段を
駆使して精製し、主要画分を凍結乾燥することで所望の
タンパク質のアミド体を得ることができる。タンパク質
のエステル体を得るには、例えば、カルボキシ末端アミ
ノ酸のα−カルボキシル基を所望のアルコール類と縮合
しアミノ酸エステルとした後、タンパク質のアミド体と
同様にして、所望のタンパク質のエステル体を得ること
ができる。
【0024】本発明の部分ペプチドまたはその塩は、自
体公知のペプチドの合成法に従って、あるいは本発明の
タンパク質を適当なペプチダーゼで切断することによっ
て製造することができる。ペプチドの合成法としては、
例えば、固相合成法、液相合成法のいずれによっても良
い。すなわち、本発明の部分ペプチドを構成し得る部分
ペプチドもしくはアミノ酸と残余部分とを縮合させ、生
成物が保護基を有する場合は保護基を脱離することによ
り目的のペプチドを製造することができる。公知の縮合
方法や保護基の脱離としては、例えば、以下の〜に
記載された方法が挙げられる。 M. Bodanszky および M.A. Ondetti、ペプチド・シン
セシス (Peptide Synthesis), Interscience Publisher
s, New York (1966年) SchroederおよびLuebke、ザ・ペプチド(The Peptid
e), Academic Press, NewYork (1965年) 泉屋信夫他、ペプチド合成の基礎と実験、 丸善(株)
(1975年) 矢島治明 および榊原俊平、生化学実験講座 1、 タン
パク質の化学IV、 205、(1977年) 矢島治明監修、続医薬品の開発、第14巻、ペプチド合
成、広川書店 また、反応後は通常の精製法、例えば、溶媒抽出・蒸留
・カラムクロマトグラフィー・液体クロマトグラフィー
・再結晶などを組み合わせて本発明の部分ペプチドを精
製単離することができる。上記方法で得られる部分ペプ
チドまたはシグナルペプチドが遊離体である場合は、公
知の方法あるいはそれに準じる方法によって適当な塩に
変換することができるし、逆に塩で得られた場合は、公
知の方法あるいはそれに準じる方法によって遊離体また
は他の塩に変換することができる。
【0025】本発明のタンパク質をコードするDNAと
しては、前述した本発明のタンパク質をコードする塩基
配列を含有するものであればいかなるものであってもよ
い。また、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリー、
前記した細胞・組織由来のcDNA、前記した細胞・組
織由来のcDNAライブラリー、合成DNAのいずれで
もよい。ライブラリーに使用するベクターは、バクテリ
オファージ、プラスミド、コスミド、ファージミドなど
いずれであってもよい。また、前記した細胞・組織より
totalRNAまたはmRNA画分を調製したものを用い
て直接Reverse Transcriptase Polymerase Chain React
ion(以下、RT-PCR法と略称する)によって増幅す
ることもできる。本発明のタンパク質をコードするDN
Aとしては、例えば、配列番号:3で表わされる塩基
配列を含有するDNA、または配列番号:3で表わされ
る塩基配列とハイストリンジェントな条件下でハイブリ
ダイズする塩基配列を有し、本発明のタンパク質と実質
的に同質の活性(例、プロテアーゼ活性、細胞外マトリ
ックス分解酵素活性(好ましくはプロテオグリカン分解
酵素活性)など)を有するタンパク質をコードするDN
A、配列番号:4で表わされる塩基配列を含有するD
NA、または配列番号:4で表わされる塩基配列とハイ
ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配
列を有し、本発明のタンパク質と実質的に同質の活性
(例、プロテアーゼ活性、細胞外マトリックス分解酵素
活性(好ましくはプロテオグリカン分解酵素活性)な
ど)を有るタンパク質をコードするDNA、配列番
号:16で表わされる塩基配列を含有するDNA、また
は配列番号:16で表わされる塩基配列とハイストリン
ジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有
し、本発明のタンパク質と実質的に同質の活性(例、プ
ロテアーゼ活性、細胞外マトリックス分解酵素活性(好
ましくはプロテオグリカン分解酵素活性)など)を有る
タンパク質をコードするDNA、であれば何れのもので
もよい。
【0026】配列番号:3、配列番号:4または配列番
号:16のいずれかの配列番号で表わされる塩基配列と
ハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズできる
DNAとしては、例えば、それぞれ配列番号:3、配列
番号:4または配列番号:16のいずれかの配列番号で
表わされる塩基配列と約95%以上、好ましくは約98
%以上の相同性を有する塩基配列を含有するDNAなど
が用いられる。ハイブリダイゼーションは、自体公知の
方法あるいはそれに準じる方法、例えば、モレキュラー
・クローニング(Molecular Cloning)2nd(J. Sambro
ok etal., Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989)に
記載の方法などに従って行なうことができる。また、市
販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に
記載の方法に従って行なうことができる。より好ましく
は、ハイストリンジェントな条件に従って行なうことが
できる。ハイストリンジェントな条件とは、例えば、ナ
トリウム濃度が約19〜40mM、好ましくは約19〜
20mMで、温度が約50〜70℃、好ましくは約60
〜65℃の条件を示す。特に、ナトリウム濃度が約19
mMで温度が約65℃の場合が最も好ましい。より具体
的には、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を有す
るタンパク質をコードするDNAとしては、配列番号:
3で表わされる塩基配列を有するDNAなどが、配列番
号:2で表わされるアミノ酸配列を有するタンパク質を
コードするDNAとしては、配列番号:4で表わされる
塩基配列を有するDNAなどが、配列番号:15で表わ
されるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするD
NAとしては、配列番号:16で表わされる塩基配列を
有するDNAなどが用いられる。
【0027】本発明の部分ペプチドをコードするDNA
としては、前述した本発明の部分ペプチドをコードする
塩基配列を含有するものであればいかなるものであって
もよい。また、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリ
ー、前記した細胞・組織由来のcDNA、前記した細胞
・組織由来のcDNAライブラリー、合成DNAのいず
れでもよい。本発明の部分ペプチドをコードするDNA
としては、例えば、配列番号:3で表わされる塩基配
列を有するDNAの部分塩基配列を有するDNA、また
は配列番号:3で表わされる塩基配列とハイストリンジ
ェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有し、
本発明のタンパク質と実質的に同質の活性を有するタン
パク質をコードするDNAの部分塩基配列を有するDN
A、配列番号:4で表わされる塩基配列を有するDN
Aの部分塩基配列を有するDNA、または配列番号:4
で表わされる塩基配列とハイストリンジェントな条件下
でハイブリダイズする塩基配列を有し、本発明の実質的
に同質の活性を有するタンパク質をコードするDNAの
部分塩基配列を有するDNA、配列番号:16で表わ
される塩基配列を有するDNAの部分塩基配列を有する
DNA、または配列番号:16で表わされる塩基配列と
ハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩
基配列を有し、本発明の実質的に同質の活性を有するタ
ンパク質をコードするDNAの部分塩基配列を有するD
NAなどが用いられる。配列番号:3、配列番号:4ま
たは配列番号:16のいずれかの配列番号で表わされる
塩基配列とハイブリダイズできるDNAは、前記と同意
義を示す。ハイブリダイゼーションの方法およびハイス
トリンジェントな条件は前記と同様のものが用いられ
る。
【0028】本発明のタンパク質または部分ペプチド
(以下、これらタンパク質等をコードするDNAのクロ
ーニングおよび発現の説明においては、これらタンパク
質等を単に本発明のタンパク質と略記する)を完全にコ
ードするDNAのクローニングの手段としては、本発明
のタンパク質の部分塩基配列を有する合成DNAプライ
マーを用いてPCR法によって増幅するか、または適当
なベクターに組み込んだDNAを本発明のタンパク質の
一部あるいは全領域をコードするDNA断片もしくは合
成DNAを用いて標識したものとのハイブリダイゼーシ
ョンによって選別することができる。ハイブリダイゼー
ションの方法は、例えば、モレキュラー・クローニング
(Molecular Cloning)2nd(J. Sambrook et al., Col
d Spring Harbor Lab. Press, 1989)に記載の方法など
に従って行なうことができる。また、市販のライブラリ
ーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従
って行なうことができる。DNAの塩基配列の変換は、
公知のキット、例えば、MutantTM-G(宝酒造(株))、
MutantTM-K(宝酒造(株))などを用いて、Gupped dup
lex法やKunkel法などの自体公知の方法あるいはそれら
に準じる方法に従って行なうことができる。クローン化
されたタンパク質をコードするDNAは目的によりその
まま、または所望により制限酵素で消化したり、リンカ
ーを付加したりして使用することができる。該DNAは
その5’末端側に翻訳開始コドンとしてのATGを有
し、また3’末端側には翻訳終止コドンとしてのTA
A、TGAまたはTAGを有していてもよい。これらの
翻訳開始コドンや翻訳終止コドンは、適当な合成DNA
アダプターを用いて付加することもできる。本発明のタ
ンパク質の発現ベクターは、例えば、(イ)本発明のタ
ンパク質をコードするDNAから目的とするDNA断片
を切り出し、(ロ)該DNA断片を適当な発現ベクター
中のプロモーターの下流に連結することにより製造する
ことができる。
【0029】ベクターとしては、大腸菌由来のプラスミ
ド(例、pBR322,pBR325,pUC12,p
UC13)、枯草菌由来のプラスミド(例、pUB11
0,pTP5,pC194)、酵母由来プラスミド
(例、pSH19,pSH15)、λファージなどのバ
クテリオファージ、レトロウイルス,ワクシニアウイル
ス,バキュロウイルスなどの動物ウイルスなどの他、p
A1−11、pXT1、pRc/CMV、pRc/RS
V、pcDNAI/Neoなどが用いられる。本発明で
用いられるプロモーターとしては、遺伝子の発現に用い
る宿主に対応して適切なプロモーターであればいかなる
ものでもよい。例えば、動物細胞を宿主として用いる場
合は、SRαプロモーター、SV40プロモーター、L
TRプロモーター、CMVプロモーター、HSV-TK
プロモーターなどが挙げられる。これらのうち、CMV
(サイトメガロウイルス)プロモーター、SRαプロモ
ーターなどを用いるのが好ましい。宿主がエシェリヒア
属菌である場合は、trpプロモーター、lacプロモ
ーター、recAプロモーター、λPLプロモーター、
lppプロモーター、T7プロモーターなどが、宿主が
バチルス属菌である場合は、SPO1プロモーター、S
PO2プロモーター、penPプロモーターなど、宿主
が酵母である場合は、PHO5プロモーター、PGKプ
ロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーター
などが好ましい。宿主が昆虫細胞である場合は、ポリヘ
ドリンプロモーター、P10プロモーターなどが好まし
い。
【0030】発現ベクターには、以上の他に、所望によ
りエンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加
シグナル、選択マーカー、SV40複製オリジン(以
下、SV40oriと略称する場合がある)などを含有
しているものを用いることができる。選択マーカーとし
ては、例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素(以下、dhfr
と略称する場合がある)遺伝子〔メソトレキセート(M
TX)耐性〕、アンピシリン耐性遺伝子(以下、Amp
rと略称する場合がある)、ネオマイシン耐性遺伝子
(以下、Neorと略称する場合がある、G418耐
性)等が挙げられる。特に、dhfr遺伝子欠損チャイ
ニーズハムスター細胞を用いてdhfr遺伝子を選択マ
ーカーとして使用する場合、目的遺伝子をチミジンを含
まない培地によっても選択できる。また、必要に応じ
て、宿主に合ったシグナル配列を、本発明のタンパク質
のN端末側に付加する。宿主がエシェリヒア属菌である
場合は、PhoA・シグナル配列、OmpA・シグナル配列な
どが、宿主がバチルス属菌である場合は、α−アミラー
ゼ・シグナル配列、サブチリシン・シグナル配列など
が、宿主が酵母である場合は、MFα・シグナル配列、
SUC2・シグナル配列など、宿主が動物細胞である場
合には、インシュリン・シグナル配列、α−インターフ
ェロン・シグナル配列、抗体分子・シグナル配列などが
それぞれ利用できる。このようにして構築された本発明
のタンパク質をコードするDNAを含有するベクターを
用いて、形質転換体を製造することができる。
【0031】宿主としては、例えば、エシェリヒア属
菌、バチルス属菌、酵母、昆虫細胞、昆虫、動物細胞な
どが用いられる。エシェリヒア属菌の具体例としては、
例えば、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)K1
2・DH1〔プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル
・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユー
エスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),60
巻,160(1968)〕,JM103〔ヌクイレック・
アシッズ・リサーチ,(Nucleic Acids Research),9
巻,309(1981)〕,JA221〔ジャーナル・オ
ブ・モレキュラー・バイオロジー(Journal of Molecul
ar Biology)〕,120巻,517(1978)〕,HB
101〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジ
ー,41巻,459(1969)〕,C600〔ジェネテ
ィックス(Genetics),39巻,440(1954)〕な
どが用いられる。バチルス属菌としては、例えば、バチ
ルス・サブチルス(Bacillus subtilis)MI114
〔ジーン,24巻,255(1983)〕,207−21
〔ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(Journal of
Biochemistry),95巻,87(1984)〕などが用
いられる。酵母としては、例えば、サッカロマイセス
セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)AH22,A
H22R-,NA87−11A,DKD−5D,20B
−12、シゾサッカロマイセス ポンベ(Schizosaccha
romyces pombe)NCYC1913,NCYC203
6、ピキア パストリス(Pichia pastoris)KM71
などが用いられる。
【0032】昆虫細胞としては、例えば、ウイルスがA
cNPVの場合は、夜盗蛾の幼虫由来株化細胞(Spodop
tera frugiperda cell;Sf細胞)、Trichoplusia ni
の中腸由来のMG1細胞、Trichoplusia niの卵由来のH
igh FiveTM細胞、Mamestra brassicae由来の細胞または
Estigmena acrea由来の細胞などが用いられる。ウイル
スがBmNPVの場合は、蚕由来株化細胞(Bombyx mor
i N 細胞;BmN細胞)などが用いられる。該Sf細胞
としては、例えば、Sf9細胞(ATCC CRL1711)、Sf
21細胞(以上、Vaughn, J.L.ら、イン・ヴィボ(In V
ivo),13, 213-217,(1977))などが用いられる。昆虫と
しては、例えば、カイコの幼虫などが用いられる〔前田
ら、ネイチャー(Nature),315巻,592(198
5)〕。動物細胞としては、例えば、サル細胞COS−
7,Vero,チャイニーズハムスター細胞CHO(以
下、CHO細胞と略記),dhfr遺伝子欠損チャイニ
ーズハムスター細胞CHO(以下、CHO(dhf
-)細胞と略記),マウスL細胞,マウスAtT−2
0,マウスミエローマ細胞,ラットGH3,ヒトFL細
胞などが用いられる。エシェリヒア属菌を形質転換する
には、例えば、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナ
ル・アカデミー・オブ・サイエンジイズ・オブ・ザ・ユ
ーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),69
巻,2110(1972)やジーン(Gene),17巻,1
07(1982)などに記載の方法に従って行なうことが
できる。
【0033】バチルス属菌を形質転換するには、例え
ば、モレキュラー・アンド・ジェネラル・ジェネティッ
クス(Molecular & General Genetics),168巻,
111(1979)などに記載の方法に従って行なうこと
ができる。酵母を形質転換するには、例えば、メソッズ
・イン・エンザイモロジー(Methods in Enzymolog
y),194巻,182−187(1991)、プロシ
ージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ
・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Na
tl. Acad. Sci. USA),75巻,1929(197
8)などに記載の方法に従って行なうことができる。昆
虫細胞または昆虫を形質転換するには、例えば、バイオ
/テクノロジー(Bio/Technology),6, 47-55(1988))
などに記載の方法に従って行なうことができる。動物細
胞を形質転換するには、例えば、細胞工学別冊8 新細
胞工学実験プロトコール.263−267(1995)
(秀潤社発行)、ヴィロロジー(Virology),52巻,
456(1973)に記載の方法に従って行なうことがで
きる。このようにして、タンパク質をコードするDNA
を含有する発現ベクターで形質転換された形質転換体を
得ることができる。宿主がエシェリヒア属菌、バチルス
属菌である形質転換体を培養する際、培養に使用される
培地としては液体培地が適当であり、その中には該形質
転換体の生育に必要な炭素源、窒素源、無機物その他が
含有せしめられる。炭素源としては、例えば、グルコー
ス、デキストリン、可溶性澱粉、ショ糖など、窒素源と
しては、例えば、アンモニウム塩類、硝酸塩類、コーン
スチープ・リカー、ペプトン、カゼイン、肉エキス、大
豆粕、バレイショ抽出液などの無機または有機物質、無
機物としては、例えば、塩化カルシウム、リン酸二水素
ナトリウム、塩化マグネシウムなどが挙げられる。ま
た、酵母、ビタミン類、生長促進因子などを添加しても
よい。培地のpHは約5〜8が望ましい。
【0034】エシェリヒア属菌を培養する際の培地とし
ては、例えば、グルコース、カザミノ酸を含むM9培地
〔ミラー(Miller),ジャーナル・オブ・エクスペリメ
ンツ・イン・モレキュラー・ジェネティックス(Journa
l of Experiments in Molecular Genetics),431−
433,Cold Spring Harbor Laboratory, New York1
972〕が好ましい。ここに必要によりプロモーターを
効率よく働かせるために、例えば、3β−インドリルア
クリル酸のような薬剤を加えることができる。宿主がエ
シェリヒア属菌の場合、培養は通常約15〜43℃で約
3〜24時間行ない、必要により、通気や撹拌を加える
こともできる。宿主がバチルス属菌の場合、培養は通常
約30〜40℃で約6〜24時間行ない、必要により通
気や撹拌を加えることもできる。宿主が酵母である形質
転換体を培養する際、培地としては、例えば、バークホ
ールダー(Burkholder)最小培地〔Bostian, K. L.
ら、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデ
ミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー
(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),77巻,450
5(1980)〕や0.5%カザミノ酸を含有するSD培
地〔Bitter, G. A. ら、プロシージングズ・オブ・ザ・
ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ
・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. US
A),81巻,5330(1984)〕が挙げられる。
培地のpHは約5〜8に調整するのが好ましい。培養は
通常約20℃〜35℃で約24〜72時間行ない、必要
に応じて通気や撹拌を加える。宿主が昆虫細胞または昆
虫である形質転換体を培養する際、培地としては、Grac
e's Insect Medium(Grace, T.C.C.,ネイチャー(Natur
e),195,788(1962))に非動化した10%ウシ血清等の
添加物を適宜加えたものなどが用いられる。培地のpH
は約6.2〜6.4に調整するのが好ましい。培養は通
常約27℃で約3〜5日間行ない、必要に応じて通気や
撹拌を加える。宿主が動物細胞である形質転換体を培養
する際、培地としては、例えば、約5〜20%の胎児牛
血清を含むMEM培地〔サイエンス(Seience),12
2巻,501(1952)〕,DMEM培地〔ヴィロロジ
ー(Virology),8巻,396(1959)〕,RPMI
1640培地〔ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・
メディカル・アソシエーション(The Jounal of the Am
erican Medical Association)199巻,519(19
67)〕,199培地〔プロシージング・オブ・ザ・ソ
サイエティ・フォー・ザ・バイオロジカル・メディスン
(Proceeding of the Society for the Biological Med
icine),73巻,1(1950)〕などが用いられる。
pHは約6〜8であるのが好ましい。培養は通常約30
℃〜40℃で約15〜60時間行ない、必要に応じて通
気や撹拌を加える。以上のようにして、形質転換体の細
胞膜に本発明のタンパク質を生成せしめることができ
る。
【0035】上記培養物から本発明のタンパク質を分離
精製するには、例えば、下記の方法により行なうことが
できる。本発明のタンパク質を培養菌体あるいは細胞か
ら抽出するに際しては、培養後、公知の方法で菌体ある
いは細胞を集め、これを適当な緩衝液に懸濁し、超音
波、リゾチームおよび/または凍結融解などによって菌
体あるいは細胞を破壊したのち、遠心分離やろ過により
タンパク質の粗抽出液を得る方法などが適宜用いられ
る。緩衝液の中に尿素や塩酸グアニジンなどの蛋白質変
性剤や、トリトンX−100TMなどの界面活性剤が含ま
れていてもよい。培養液中にタンパク質が分泌される場
合には、培養終了後、それ自体公知の方法で菌体あるい
は細胞と上清とを分離し、上清を集める。このようにし
て得られた培養上清、あるいは抽出液中に含まれるタン
パク質の精製は、自体公知の分離・精製法を適切に組み
合わせて行なうことができる。これらの公知の分離、精
製法としては、塩析や溶媒沈澱法などの溶解度を利用す
る方法、透析法、限外ろ過法、ゲルろ過法、およびSD
S−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法などの主として
分子量の差を利用する方法、イオン交換クロマトグラフ
ィーなどの荷電の差を利用する方法、アフィニティーク
ロマトグラフィーなどの特異的親和性を利用する方法、
逆相高速液体クロマトグラフィーなどの疎水性の差を利
用する方法、等電点電気泳動法などの等電点の差を利用
する方法などが用いられる。
【0036】かくして得られるタンパク質が遊離体で得
られた場合には、自体公知の方法あるいはそれに準じる
方法によって塩に変換することができ、逆に塩で得られ
た場合には自体公知の方法あるいはそれに準じる方法に
より、遊離体または他の塩に変換することができる。な
お、組換え体が産生するタンパク質を、精製前または精
製後に適当な蛋白修飾酵素を作用させることにより、任
意に修飾を加えたり、ポリペプチドを部分的に除去する
こともできる。蛋白修飾酵素としては、例えば、トリプ
シン、キモトリプシン、アルギニルエンドペプチダー
ゼ、プロテインキナーゼ、グリコシダーゼなどが用いら
れる。かくして生成する本発明のタンパク質またはその
塩の存在または活性は、標識したリガンドとの結合実験
および特異抗体を用いたエンザイムイムノアッセイなど
により測定することができる。
【0037】本発明のタンパク質、部分ペプチドまたは
それらの塩に対する抗体は、本発明のタンパク質、部分
ペプチドまたはそれらの塩を認識し得る抗体であれば、
ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体の何れであっ
てもよい。本発明のタンパク質、部分ペプチドまたはそ
れらの塩(以下、抗体の説明においては、これらタンパ
ク質等を単に本発明のタンパク質と略記する)に対する
抗体は、本発明のタンパク質を抗原として用い、自体公
知の抗体または抗血清の製造法に従って製造することが
できる。 〔モノクローナル抗体の作製〕 (a)モノクロナール抗体産生細胞の作製 本発明のタンパク質は、温血動物に対して投与により抗
体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤と
ともに投与される。投与に際して抗体産生能を高めるた
め、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントア
ジュバントを投与してもよい。投与は通常2〜6週毎に
1回ずつ、計2〜10回程度行われる。用いられる温血
動物としては、例えば、サル、ウサギ、イヌ、モルモッ
ト、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギ、ニワトリが挙げら
れるが、マウスおよびラットが好ましく用いられる。モ
ノクローナル抗体産生細胞の作製に際しては、抗原で免
疫された温血動物、例えばマウスから抗体価の認められ
た個体を選択し最終免疫の2〜5日後に脾臓またはリン
パ節を採取し、それらに含まれる抗体産生細胞を同種ま
たは異種動物の骨髄腫細胞と融合させることにより、モ
ノクローナル抗体産生ハイブリドーマを調製することが
できる。抗血清中の抗体価の測定は、例えば、後記の標
識化タンパク質と抗血清とを反応させたのち、抗体に結
合した標識剤の活性を測定することにより行なうことが
できる。融合操作は既知の方法、例えば、ケーラーとミ
ルスタインの方法〔ネイチャー(Nature)、256、495 (1
975)〕に従い実施することができる。融合促進剤として
は、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)やセン
ダイウィルスなどが挙げられるが、好ましくはPEGが
用いられる。
【0038】骨髄腫細胞としては、例えば、NS−1、
P3U1、SP2/0、AP−1などの温血動物の骨髄
腫細胞が挙げられるが、P3U1が好ましく用いられ
る。用いられる抗体産生細胞(脾臓細胞)数と骨髄腫細
胞数との好ましい比率は1:1〜20:1程度であり、
PEG(好ましくはPEG1000〜PEG6000)
が10〜80%程度の濃度で添加され、20〜40℃、
好ましくは30〜37℃で1〜10分間インキュベート
することにより効率よく細胞融合を実施できる。モノク
ローナル抗体産生ハイブリドーマのスクリーニングには
種々の方法が使用できるが、例えば、タンパク質抗原を
直接あるいは担体とともに吸着させた固相(例、マイク
ロプレート)にハイブリドーマ培養上清を添加し、次に
放射性物質や酵素などで標識した抗免疫グロブリン抗体
(細胞融合に用いられる細胞がマウスの場合、抗マウス
免疫グロブリン抗体が用いられる)またはプロテインA
を加え、固相に結合したモノクローナル抗体を検出する
方法、抗免疫グロブリン抗体またはプロテインAを吸着
させた固相にハイブリドーマ培養上清を添加し、放射性
物質や酵素などで標識したタンパク質を加え、固相に結
合したモノクローナル抗体を検出する方法などが挙げら
れる。モノクローナル抗体の選別は、自体公知あるいは
それに準じる方法に従って行なうことができる。通常H
AT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)を
添加した動物細胞用培地で行なうことができる。選別お
よび育種用培地としては、ハイブリドーマが生育できる
ものならばどのような培地を用いても良い。例えば、1
〜20%、好ましくは10〜20%の牛胎児血清を含む
RPMI 1640培地、1〜10%の牛胎児血清を含
むGIT培地(和光純薬工業(株))あるいはハイブリ
ドーマ培養用無血清培地(SFM−101、日水製薬
(株))などを用いることができる。培養温度は、通常
20〜40℃、好ましくは約37℃である。培養時間
は、通常5日〜3週間、好ましくは1週間〜2週間であ
る。培養は、通常5%炭酸ガス下で行なうことができ
る。ハイブリドーマ培養上清の抗体価は、上記の抗血清
中の抗体価の測定と同様にして測定できる。
【0039】(b)モノクロナール抗体の精製 モノクローナル抗体の分離精製は、自体公知の方法、例
えば、免疫グロブリンの分離精製法〔例、塩析法、アル
コール沈殿法、等電点沈殿法、電気泳動法、イオン交換
体(例、DEAE)による吸脱着法、超遠心法、ゲルろ
過法、抗原結合固相あるいはプロテインAあるいはプロ
テインGなどの活性吸着剤により抗体のみを採取し、結
合を解離させて抗体を得る特異的精製法〕に従って行な
うことができる。
【0040】〔ポリクローナル抗体の作製〕本発明のポ
リクローナル抗体は、それ自体公知あるいはそれに準じ
る方法に従って製造することができる。例えば、免疫抗
原(タンパク質抗原)自体、あるいはそれとキャリアー
蛋白質との複合体をつくり、上記のモノクローナル抗体
の製造法と同様に温血動物に免疫を行ない、該免疫動物
から本発明のタンパク質に対する抗体含有物を採取し
て、抗体の分離精製を行なうことにより製造することが
できる。温血動物を免疫するために用いられる免疫抗原
とキャリアー蛋白質との複合体に関し、キャリアー蛋白
質の種類およびキャリアーとハプテンとの混合比は、キ
ャリアーに架橋させて免疫したハプテンに対して抗体が
効率良くできれば、どの様なものをどの様な比率で架橋
させてもよいが、例えば、ウシ血清アルブミンやウシサ
イログロブリン、ヘモシアニン等を重量比でハプテン1
に対し、約0.1〜20、好ましくは約1〜5の割合で
カプルさせる方法が用いられる。また、ハプテンとキャ
リアーのカプリングには、種々の縮合剤を用いることが
できるが、グルタルアルデヒドやカルボジイミド、マレ
イミド活性エステル、チオール基、ジチオビリジル基を
含有する活性エステル試薬等が用いられる。縮合生成物
は、温血動物に対して、抗体産生が可能な部位にそれ自
体あるいは担体、希釈剤とともに投与される。投与に際
して抗体産生能を高めるため、完全フロイントアジュバ
ントや不完全フロイントアジュバントを投与してもよ
い。投与は、通常約2〜6週毎に1回ずつ、計約3〜1
0回程度行なわれる。ポリクローナル抗体は、上記の方
法で免疫された温血動物の血液、腹水など、好ましくは
血液から採取することができる。抗血清中のポリクロー
ナル抗体価の測定は、上記の抗血清中の抗体価の測定と
同様にして測定できる。ポリクローナル抗体の分離精製
は、上記のモノクローナル抗体の分離精製と同様の免疫
グロブリンの分離精製法に従って行なうことができる。
【0041】本発明のタンパク質または部分ペプチドを
コードするDNA(以下、アンチセンスDNAの説明に
おいては、これらのDNAを本発明のDNAと略記す
る)に相補的な、または実質的に相補的な塩基配列を有
するアンチセンスDNAとしては、本発明のDNAに相
補的な、または実質的に相補的な塩基配列を有し、該D
NAの発現を抑制し得る作用を有するものであれば、い
ずれのアンチセンスDNAであってもよい。本発明のD
NAに実質的に相補的な塩基配列とは、例えば、本発明
のDNAに相補的な塩基配列(すなわち、本発明のDN
Aの相補鎖)の全塩基配列あるいは部分塩基配列と約7
0%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約
90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有
する塩基配列などが挙げられる。特に、本発明のDNA
の相補鎖の全塩基配列うち、本発明のタンパク質のN末
端部位をコードする部分の塩基配列(例えば、開始コド
ン付近の塩基配列など)の相補鎖と約70%以上、好ま
しくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、最
も好ましくは約95%以上の相同性を有するアンチセン
スDNAが好適である。これらのアンチセンスDNA
は、公知のDNA合成装置などを用いて製造することが
できる。
【0042】以下に、本発明のタンパク質、部分ペプチ
ドまたはそれらの塩(以下、本発明のタンパク質等と略
記する場合がある)、本発明のタンパク質または部分ペ
プチドをコードするDNA(以下、本発明のDNAと略
記する場合がある)、本発明のタンパク質、部分ペプチ
ドまたはそれらの塩に対する抗体(以下、本発明の抗体
と略記する場合がある)、およびアンチセンスDNAの
用途を説明する。
【0043】(1)本発明のタンパク質が関与する各種
疾病の治療・予防剤 本発明のタンパク質は細胞外マトリックスの分解(特に
プロテオグリカンの分解)に寄与しているので、本発明
のタンパク質をコードするDNAに異常があったり、欠
損している場合、例えば、椎間板ヘルニア、坐骨神経
痛、糸球体腎炎、糖尿病性腎症、肝繊維症、肺繊維症ま
たは大理石病などの種々の疾病が発症する可能性が高
い。したがって、本発明のタンパク質等および本発明の
DNAは、例えば、椎間板ヘルニア、坐骨神経痛、糸球
体腎炎、糖尿病性腎症、肝繊維症、肺繊維症または大理
石病などの種々の疾病の治療・予防剤などの医薬として
使用することができる。例えば、生体内において本発明
のタンパク質が減少あるいは欠損している患者がいる場
合に、(イ)本発明のDNAを該患者に投与し、生体内
で本発明のタンパク質等を発現させることによって、
(ロ)細胞に本発明のDNAを挿入し、本発明のタンパ
ク質等を発現させた後に、該細胞を患者に移植すること
によって、または(ハ)本発明のタンパク質等を該患者
に投与することなどによって、該患者における本発明の
タンパク質等の役割を十分に、あるいは正常に発揮させ
ることができる。本発明のDNAを上記の治療・予防剤
として使用する場合は、該DNAを単独あるいはレトロ
ウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノウ
イルスアソシエーテッドウイルスベクターなどの適当な
ベクターに挿入した後、常套手段に従って、ヒトまたは
温血動物に投与することができる。本発明のDNAは、
そのままで、あるいは摂取促進のための補助剤などの生
理学的に認められる担体とともに製剤化し、遺伝子銃や
ハイドロゲルカテーテルのようなカテーテルによって投
与できる。本発明のタンパク質等を上記の治療・予防剤
として使用する場合は、少なくとも90%、好ましくは
95%以上、より好ましくは98%以上、さらに好まし
くは99%以上に精製されたものを使用するのが好まし
い。
【0044】本発明のタンパク質等は、例えば、必要に
応じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、
マイクロカプセル剤などとして経口的に、あるいは水も
しくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶
液、または懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用
できる。例えば、本発明のタンパク質等を生理学的に認
められる担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安
定剤、結合剤などとともに一般に認められた製剤実施に
要求される単位用量形態で混和することによって製造す
ることができる。これら製剤における有効成分量は指示
された範囲の適当な容量が得られるようにするものであ
る。錠剤、カプセル剤などに混和することができる添加
剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラ
ガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロー
スのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギ
ン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムの
ような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような
甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのよ
うな香味剤などが用いられる。調剤単位形態がカプセル
である場合には、前記タイプの材料にさらに油脂のよう
な液状担体を含有することができる。注射のための無菌
組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性物質、胡麻
油、椰子油などのような天然産出植物油などを溶解また
は懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って処方するこ
とができる。注射用の水性液としては、例えば、生理食
塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例え
ば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリ
ウムなど)などが挙げられ、適当な溶解補助剤、例え
ば、アルコール(例えば、エタノールなど)、ポリアル
コール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレン
グリコールなど)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポ
リソルベート80TM、HCO−50など)などと併用し
てもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油な
どが挙げられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベ
ンジルアルコールなどと併用してもよい。また、緩衝剤
(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液な
ど)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸
プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミ
ン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、
ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤な
どと配合してもよい。調製された注射液は、通常、適当
なアンプルに充填される。本発明のDNAが挿入された
ベクターも上記と同様に製剤化され、通常、非経口的に
使用される。
【0045】このようにして得られる製剤は、安全で低
毒性であるので、例えば、ヒトまたは温血動物(例え
ば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、トリ、ヒツ
ジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サル、チンパンジ
ーなど)に対して投与することができる。本発明のタン
パク質等の投与量は、対象疾患、投与対象、投与ルート
などにより差異はあるが、例えば、糖尿病性腎症の治療
目的で本発明のタンパク質等を経口投与する場合、一般
的に成人(60kgとして)においては、一日につき該
タンパク質等を約0.1mg〜100mg、好ましくは
約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20m
g投与する。非経口的に投与する場合は、該タンパク質
等の1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても異
なるが、例えば、糖尿病性腎症の治療目的で本発明のタ
ンパク質等を注射剤の形で成人(体重60kgとして)
に投与する場合、一日につき該タンパク質等を約0.0
1〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程
度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を患部に注
射することにより投与するのが好都合である。他の動物
の場合も、60kg当たりに換算した量を投与すること
ができる。
【0046】(2)疾病に対する医薬候補化合物のスク
リーニング 本発明のタンパク質等はプロテアーゼ活性及び/または
細胞外マトリックス(特にプロテオグリカン)分解酵素
活性を有するため、本発明のタンパク質等の機能(例、
プロテアーゼ活性、細胞外マトリックス分解酵素活性
(好ましくはプロテオグリカン分解酵素活性)など)を
促進する化合物またはその塩は、椎間板ヘルニア、坐骨
神経痛、糸球体腎炎、糖尿病性腎症、肝繊維症、肺繊維
症または大理石病など疾病の治療・予防剤などの医薬と
して使用できる。一方、本発明のタンパク質等の機能を
阻害する化合物またはその塩は、慢性関節リウマチ、変
形性関節症、骨粗鬆症、動脈硬化、角膜潰瘍(好ましく
はプロテオグリカン分解酵素活性)などの治療・予防剤
などの医薬として使用できる。したがって、本発明のタ
ンパク質等は、本発明のタンパク質等の機能を促進また
は阻害する化合物またはその塩のスクリーニングのため
の試薬として有用である。すなわち、本発明は、 本発明のタンパク質、その部分ペプチドまたはそれら
の塩を用いることを特徴とする本発明のタンパク質、そ
の部分ペプチドまたはそれらの塩の機能(例えば、プロ
テアーゼ活性、細胞外マトリックス分解酵素活性(好ま
しくはプロテオグリカン分解酵素活性)など)を促進す
る化合物もしくはその塩(以下、促進剤と略記する場合
がある)、または本発明のタンパク質、その部分ペプチ
ドまたはそれらの塩の機能を阻害する化合物(以下、阻
害剤と略記する場合がある)のスクリーニング方法を提
供し、より具体的には、例えば、 (i)本発明のタンパク質、その部分ペプチドまたは
それらの塩に基質を接触させた場合と(ii)本発明のタ
ンパク質、その部分ペプチドまたはそれらの塩に基質お
よび試験化合物を接触させた場合との比較を行なうこと
を特徴とする促進剤または阻害剤のスクリーニング方法
を提供する。具体的には、上記スクリーニング方法にお
いては、例えば、(i)と(ii)の場合における、本発
明のタンパク質等のプロテアーゼ活性、細胞外マトリッ
クス分解酵素活性(好ましくはプロテオグリカン分解酵
素活性)を測定して、比較することを特徴とするもので
ある。
【0047】本発明のタンパク質等のプロテアーゼ活性
は、自体公知の方法、例えば、H. Nagase、 メソッズ
イン エンザイモロジー(Methods in Enzymology)、24
8巻、449-470 (1995)に記載の方法あるいはそれに準
じる方法(具体的には後述の実施例4に記載の方法な
ど)などに従って測定することができる。基質として
は、例えば、ペプチドなど(より具体的には、後述の実
施例4に記載のMOCAc−Arg−Pro−Lys−
Pro−Tyr−Ala−Nva−Trp−Met−L
ys(DNP)−NH2、ペプチド研究所 社製など)など
が用いられる。試験化合物としては、例えば、ペプチ
ド、タンパク、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵
生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液など
が挙げられ、これら化合物は新規な化合物であってもよ
いし、公知の化合物であってもよい。上記のスクリーニ
ング方法を実施するには、本発明のタンパク質等を、ス
クリーニングに適したバッファーに懸濁することにより
本発明のタンパク質等の標品を調製する。バッファーに
は、pH約4〜10(望ましくは、pH約6〜8)のリ
ン酸バッファー、トリス−塩酸バッファーなどの、本発
明のタンパク質等と基質との反応を阻害しないバッファ
ーであればいずれでもよい。
【0048】例えば、上記(ii)の場合におけるプロテ
アーゼ活性が上記(i)の場合に比べて、約20%以
上、好ましくは30%以上、より好ましくは約50%以
上上昇させる試験化合物を本発明のタンパク質等のプロ
テアーゼ活性を促進する化合物として、一方、上記(i
i)の場合におけるプロテアーゼ活性等が上記(i)の
場合に比べて、約20%以上、好ましくは30%以上、
より好ましくは約50%以上阻害する試験化合物を本発
明のタンパク質等のプロテアーゼ活性を阻害する化合物
として選択することができる。本発明のタンパク質等の
細胞外マトリックス分解酵素活性(特にプロテオグリカ
ン分解酵素活性)は、本発明のタンパク質をコードする
塩基配列を有するDNAを含有するDNAを含有する組
換え体と動物由来の軟骨あるいは軟骨基質産生細胞を混
合培養し、培養上清中の硫酸化グリコサミノグリカン量
を測定することによって測定することができる。該組換
え体としては、発現ベクターの宿主として上記したもの
に本発明のタンパク質をコードする塩基配列を有するD
NAを含有するDNAを含有する発現ベクター(例え
ば、上記の発現ベクターなど)が自体公知の方法で組み
込まれたものであり、本発明のタンパク質を産生して、
菌体(細胞)外に分泌する、あるいは細胞膜に結合する
ものであればいずれのものであってもよく、なかでも動
物細胞、昆虫細胞または酵母などが好ましく用いられ
る。特に動物細胞、なかでもCOS7細胞が好ましく用
いられる。培養上清中の硫酸化グリコサミノグリカンの
測定方法は、自体公知の方法、例えば、Methodsin Enzy
mology, 248巻、47-58頁、1995年に記載の方法に準じて
測定することができる。あるいは、市販(コスモバイ
オ)のヒトアグレカン(PG)ELISAキット等を用いて測定
することもできる。該「動物由来の軟骨あるいは軟骨基
質産生細胞」の「動物」としては、例えば、温血動物
(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウ
シ、ウマ、トリ、ネコ、イヌ、サル、チンパンジーな
ど)があげられ、好ましくはウシなどがあげられる。ま
た、軟骨基質産生細胞としては、例えば動物由来の軟骨
細胞、軟骨肉腫細胞、あるいはHCS2/8、ATDC5などの株
化細胞があげられる。培養上清中の硫酸化グリコサミノ
グリカン量が多ければ、細胞外マトリックス分解酵素活
性(特にプロテオグリカン分解酵素活性)が高いことを
示す。より具体的な、細胞外マトリックス分解酵素活性
の測定方法としては、例えば後述の実施例6に記載の方
法等があげられる。上記の細胞外マトリックス分解酵素
活性(特にプロテオグリカン分解酵素活性)を測定する
方法を用いて、例えば、 被検遺伝子を導入した組換え体と動物由来の軟骨ある
いは軟骨基質産生細胞を混合培養し、培養上清中の硫酸
化グリコサミノグリカンを測定することにより、プロテ
オグリカン分解酵素遺伝子を検出することが可能とな
る。該「被検遺伝子」としては、ペプチド、タンパク質
などをコードする遺伝子であって、該ペプチド、タンパ
ク質などが組換え体により産生され、菌体(細胞)外に
分泌する、あるいは細胞膜に結合するものであればいず
れのものであってもよい。プロテオグリカン分解酵素が
2つ以上の遺伝子にコードされている場合、またプロテ
オグリカン分解酵素の活性化酵素が必要な場合等、「被
検遺伝子」は複数であってもよい。また、必要に応じ
て、N末端に宿主にあったシグナル配列が付加されてい
てもよい。さらに、プロテオグリカン分解酵素活性を
有するタンパク質をコードする遺伝子を導入した組換え
体、動物由来の軟骨あるいは軟骨基質産生細胞および被
検物を混合培養し、培養上清中の硫酸化グリコサミノグ
リカンを測定することによって、プロテオグリカン分解
酵素の活性阻害剤あるいは活性促進剤をスクリーニング
することも可能である。該「プロテオグリカン分解酵素
活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を導入した
組換え体」として好ましくは、「本発明のタンパク質を
コードする塩基配列を有するDNAを含有するDNAを含有す
る動物細胞」などがあげられ、より好ましくは、「請求
項5記載のDNAまたは配列番号:5で表されるアミノ
酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含
有するタンパク質をコードする塩基配列を有するDNAを
含有するDNAを含有する動物細胞」などがあげられる。
該「被検物」としては、例えば、ペプチド、タンパク、
非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽
出液、植物抽出液、動物組織抽出液などがあげられ、こ
れらは新規物質であっても、公知物質であっていてもよ
い。被検物を加えない場合と比べて、培養上清中の硫酸
化グリコサミノグリカン量が増加した場合には、被検物
はプロテオグリカン分解酵素の活性促進剤と考えられ、
被検物を加えない場合と比べて、培養上清中の硫酸化グ
リコサミノグリカン量が減少した場合には、被検物はプ
ロテオグリカン分解酵素の活性阻害剤と考えられる。ま
た、組換え体、動物由来の軟骨あるいは軟骨基質産生細
胞および被検物を同時に添加して混合培養してもよい
し、あらかじめ、組換え体と被検物を混合し、組換え体
を培養してから、動物由来の軟骨あるいは軟骨基質産生
細胞を加えて更に混合培養を行ってもよい。軟骨基質産
生細胞の場合は、軟骨基質が産生された後に用いること
が好ましい。また、動物由来の軟骨あるいは軟骨基質産
生細胞を熱処理や凍結融解などで細胞を死滅させて用い
てもよい。
【0049】本発明のスクリーニング用キットは、本発
明のタンパク質、前駆体タンパク質、部分ペプチドまた
はそれらの塩を含有するものである。本発明のスクリー
ニング用キットの例としては、次のものが挙げられる。 〔スクリーニング用試薬〕 測定用緩衝液 250mM トリス−塩酸(pH7.5)、5mM 塩
化カルシウム、10μM塩化亜鉛 タンパク質標品 本発明のタンパク質、部分ペプチドまたはそれらの塩 基質 MOCAc−Arg−Pro−Lys−Pro−Tyr
−Ala−Nva−Trp−Met−Lys(DNP)−
NH 検出方法 蛍光強度の測定
【0050】本発明のスクリーニング方法またはスクリ
ーニング用キットを用いて得られる化合物またはその塩
は、上記した試験化合物、例えば、ペプチド、タンパ
ク、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細
胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液、血漿などから
選ばれた化合物であり、本発明のタンパク質等の機能
(例、メプロテアーゼ活性、細胞外マトリックス分解酵
素活性(好ましくはプロテオグリカン分解酵素活性)な
ど)を促進または阻害する化合物である。該化合物の塩
としては、前記した本発明のタンパク質の塩と同様のも
のが用いられる。本発明のタンパク質等の機能(例、プ
ロテアーゼ活性、細胞外マトリックス分解酵素活性(好
ましくはプロテオグリカン分解酵素活性)など)を促進
する化合物は、例えば、椎間板ヘルニア、坐骨神経痛、
糸球体腎炎、糖尿病性腎症、肝繊維症、肺繊維症または
大理石病などの疾病に対する治療・予防剤などの医薬と
して使用できる。一方、本発明のタンパク質等の機能を
阻害する化合物は、例えば、慢性関節リウマチ、変形性
関節症、骨粗鬆症、癌、動脈硬化、角膜潰瘍などの疾病
に対する治療・予防剤などの医薬として有用である。
【0051】本発明のスクリーニング方法またはスクリ
ーニング用キットを用いて得られる化合物を上述の治療
・予防剤として使用する場合、常套手段に従って実施す
ることができる。例えば、前記した本発明のタンパク質
等を含有する医薬と同様にして、錠剤、カプセル剤、エ
リキシル剤、マイクロカプセル剤、無菌性溶液、懸濁液
剤などとすることができる。このようにして得られる製
剤は安全で低毒性であるので、例えば、ヒトまたは温血
動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブ
タ、ウシ、ウマ、トリ、ネコ、イヌ、サル、チンパンジ
ーなど)に対して投与することができる。該化合物また
はその塩の投与量は、その作用、対象疾患、投与対象、
投与ルートなどにより差異はあるが、例えば、糖尿病性
腎症の治療目的で本発明のタンパク質等の機能を促進す
る化合物を経口投与する場合、一般的に成人(体重60
kgとして)においては、一日につき該化合物を約0.
1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より
好ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投
与する場合は、該化合物の1回投与量は投与対象、対象
疾患などによっても異なるが、例えば、糖尿病性腎症の
治療目的で本発明のタンパク質等の機能を促進する化合
物を注射剤の形で通常成人(60kgとして)に投与す
る場合、一日につき該化合物を約0.01〜30mg程
度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましく
は約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するの
が好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに
換算した量を投与することができる。一方、慢性関節リ
ウマチの治療目的で本発明のタンパク質等の機能を阻害
する化合物を経口投与する場合、一般的に成人(体重6
0kgとして)においては、一日につき該化合物を約
0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、
より好ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的
に投与する場合は、該化合物の1回投与量は投与対象、
対象疾患などによっても異なるが、例えば、慢性関節リ
ウマチの治療目的で本発明のタンパク質等の機能を阻害
する化合物を注射剤の形で通常成人(60kgとして)
に投与する場合、一日につき該化合物を約0.01〜3
0mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より
好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投
与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg
当たりに換算した量を投与することができる。
【0052】(3)本発明のタンパク質、その部分ペプ
チドまたはそれらの塩の定量 本発明のタンパク質等に対する抗体(以下、本発明の抗
体と略記する場合がある)は、本発明のタンパク質等を
特異的に認識することができるので、被検液中の本発明
のタンパク質等の定量、特にサンドイッチ免疫測定法に
よる定量などに使用することができる。すなわち、本発
明は、(i)本発明の抗体と、被検液および標識化され
た本発明のタンパク質等とを競合的に反応させ、該抗体
に結合した標識化された本発明のタンパク質等の割合を
測定することを特徴とする被検液中の本発明のタンパク
質等の定量法、および(ii)被検液と担体上に不溶化し
た本発明の抗体および標識化された本発明の別の抗体と
を同時あるいは連続的に反応させたのち、不溶化担体上
の標識剤の活性を測定することを特徴とする被検液中の
本発明のタンパク質等の定量法を提供する。上記(ii)
の定量法においては、一方の抗体が本発明のタンパク質
等のN端部を認識する抗体で、他方の抗体が本発明のタ
ンパク質等のC端部に反応する抗体であることが望まし
い。
【0053】また、本発明のタンパク質等に対するモノ
クローナル抗体(以下、本発明のモノクローナル抗体と
称する場合がある)を用いて本発明のタンパク質等の定
量を行なえるほか、組織染色等による検出を行なうこと
もできる。これらの目的には、抗体分子そのものを用い
てもよく、また、抗体分子のF(ab')2 、Fab'、あ
るいはFab画分を用いてもよい。本発明の抗体を用い
る本発明のタンパク質等の定量法は、 特に制限される
べきものではなく、被測定液中の抗原量(例えば、タン
パク質量)に対応した抗体、抗原もしくは抗体−抗原複
合体の量を化学的または物理的手段により検出し、これ
を既知量の抗原を含む標準液を用いて作製した標準曲線
より算出する測定法であれば、いずれの測定法を用いて
もよい。例えば、ネフロメトリー、競合法、イムノメト
リック法およびサンドイッチ法が好適に用いられるが、
感度、特異性の点で、後述するサンドイッチ法を用いる
のが特に好ましい。標識物質を用いる測定法に用いられ
る標識剤としては、例えば、放射性同位元素、酵素、蛍
光物質、発光物質などが用いられる。放射性同位元素と
しては、例えば、〔125I〕、〔131I〕、〔3H〕、〔
14C〕などが用いられる。上記酵素としては、安定で比
活性の大きなものが好ましく、例えば、β−ガラクトシ
ダーゼ、β−グルコシダーゼ、アルカリフォスファター
ゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素などが用い
られる。蛍光物質としては、例えば、フルオレスカミ
ン、フルオレッセンイソチオシアネートなどが用いられ
る。発光物質としては、例えば、ルミノール、ルミノー
ル誘導体、ルシフェリン、ルシゲニンなどが用いられ
る。さらに、抗体あるいは抗原と標識剤との結合にビオ
チン−アビジン系を用いることもできる。
【0054】抗原あるいは抗体の不溶化に当っては、物
理吸着を用いてもよく、また通常タンパク質あるいは酵
素等を不溶化、固定化するのに用いられる化学結合を用
いる方法でもよい。担体としては、アガロース、デキス
トラン、セルロースなどの不溶性多糖類、ポリスチレ
ン、ポリアクリルアミド、シリコン等の合成樹脂、ある
いはガラス等が挙げられる。サンドイッチ法においては
不溶化した本発明のモノクローナル抗体に被検液を反応
させ(1次反応)、さらに標識化した別の本発明のモノ
クローナル抗体を反応させ(2次反応)たのち、不溶化
担体上の標識剤の活性を測定することにより被検液中の
本発明のタンパク質量を定量することができる。1次反
応と2次反応は逆の順序に行っても、また、同時に行な
ってもよいし時間をずらして行なってもよい。標識化剤
および不溶化の方法は前記のそれらに準じることができ
る。また、サンドイッチ法による免疫測定法において、
固相用抗体あるいは標識用抗体に用いられる抗体は必ず
しも1種類である必要はなく、測定感度を向上させる等
の目的で2種類以上の抗体の混合物を用いてもよい。本
発明のサンドイッチ法による本発明のタンパク質等の測
定法においては、1次反応と2次反応に用いられる本発
明のモノクローナル抗体は、本発明のタンパク質等の結
合する部位が相異なる抗体が好ましく用いられる。すな
わち、1次反応および2次反応に用いられる抗体は、例
えば、2次反応で用いられる抗体が、本発明のタンパク
質等のC端部を認識する場合、1次反応で用いられる抗
体は、好ましくはC端部以外、例えばN端部を認識する
抗体が用いられる。
【0055】本発明のモノクローナル抗体をサンドイッ
チ法以外の測定システム、例えば、競合法、イムノメト
リック法あるいはネフロメトリーなどに用いることがで
きる。競合法では、被検液中の抗原と標識抗原とを抗体
に対して競合的に反応させたのち、未反応の標識抗原
(F)と、抗体と結合した標識抗原(B)とを分離し
(B/F分離)、B,Fいずれかの標識量を測定し、被
検液中の抗原量を定量する。本反応法には、抗体として
可溶性抗体を用い、B/F分離をポリエチレングリコー
ル、前記抗体に対する第2抗体などを用いる液相法、お
よび、第1抗体として固相化抗体を用いるか、あるい
は、第1抗体は可溶性のものを用い第2抗体として固相
化抗体を用いる固相化法とが用いられる。イムノメトリ
ック法では、被検液中の抗原と固相化抗原とを一定量の
標識化抗体に対して競合反応させた後固相と液相を分離
するか、あるいは、被検液中の抗原と過剰量の標識化抗
体とを反応させ、次に固相化抗原を加え未反応の標識化
抗体を固相に結合させたのち、固相と液相を分離する。
次に、いずれかの相の標識量を測定し被検液中の抗原量
を定量する。また、ネフロメトリーでは、ゲル内あるい
は溶液中で抗原抗体反応の結果生じた不溶性の沈降物の
量を測定する。被検液中の抗原量が僅かであり、少量の
沈降物しか得られない場合にもレーザーの散乱を利用す
るレーザーネフロメトリーなどが好適に用いられる。
【0056】これら個々の免疫学的測定法を本発明の定
量方法に適用するにあたっては、特別の条件、操作等の
設定は必要とされない。それぞれの方法における通常の
条件、操作法に当業者の通常の技術的配慮を加えて本発
明のタンパク質等の測定系を構築すればよい。これらの
一般的な技術手段の詳細については、総説、成書などを
参照することができる。例えば、入江 寛編「ラジオイ
ムノアッセイ〕(講談社、昭和49年発行)、入江 寛
編「続ラジオイムノアッセイ〕(講談社、昭和54年発
行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(医学書院、昭
和53年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第
2版)(医学書院、昭和57年発行)、石川栄治ら編
「酵素免疫測定法」(第3版)(医学書院、昭和62年
発行)、「Methods in ENZYMOLOGY」Vol. 70(Immunochem
ical Techniques(Part A))、 同書 Vol. 73(Immunochem
ical Techniques(Part B))、 同書 Vol. 74(Immunochem
ical Techniques(Part C))、 同書 Vol. 84(Immunochem
ical Techniques(Part D:Selected Immunoassays))、 同
書 Vol. 92(Immunochemical Techniques(Part E:Monocl
onal Antibodies and General Immunoassay Method
s))、 同書 Vol. 121(Immunochemical Techniques(Part
I:Hybridoma Technology and Monoclonal Antibodie
s))(以上、アカデミックプレス社発行)などを参照する
ことができる。以上のようにして、本発明の抗体を用い
ることによって、本発明のタンパク質等を感度良く定量
することができる。さらには、本発明の抗体を用いて本
発明のタンパク質等の濃度を定量することによって、
本発明のタンパク質等の濃度の減少が検出された場合、
例えば、椎間板ヘルニア、坐骨神経痛、糸球体腎炎、糖
尿病性腎症、肝繊維症、肺繊維症または大理石病などの
疾病である、または将来罹患する可能性が高いと、また
本発明のタンパク質等の濃度の増加が検出された場
合、例えば、慢性関節リウマチ、変形性関節症、骨粗鬆
症、癌、動脈硬化、角膜潰瘍などの疾病である、または
将来罹患する可能性が高いと診断することができる。ま
た、本発明の抗体は、体液や組織などの被検体中に存在
する本発明のタンパク質等を検出するために使用するこ
とができる。また、本発明のタンパク質等を精製するた
めに使用する抗体カラムの作製、精製時の各分画中の本
発明のタンパク質等の検出、被検細胞内における本発明
のタンパク質の挙動の分析などのために使用することが
できる。
【0057】(4)遺伝子診断剤 本発明のDNAは、例えば、プローブとして使用するこ
とにより、ヒトまたは温血動物(例えば、ラット、マウ
ス、モルモット、ウサギ、トリ、ヒツジ、ブタ、ウシ、
ウマ、ネコ、イヌ、サル、チンパンジーなど)における
本発明のタンパク質またはその部分ペプチドをコードす
るDNAまたはmRNAの異常(遺伝子異常)を検出す
ることができるので、例えば、該DNAまたはmRNA
の損傷、突然変異あるいは発現低下や、該DNAまたは
mRNAの増加あるいは発現過多などの遺伝子診断剤と
して有用である。本発明のDNAを用いる上記の遺伝子
診断は、例えば、自体公知のノーザンハイブリダイゼー
ションやPCR−SSCP法(ゲノミックス(Genomic
s),第5巻,874〜879頁(1989年)、プロ
シージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オ
ブ・サイエンシイズ・オブ・ユーエスエー(Proceeding
s ofthe Natinal Academy of Sciences of the United
States of America),第86巻,2766〜2770
頁(1989年))などにより実施することができる。
例えば、ノーザンハイブリダイゼーションにより発現低
下が検出された場合は、 例えば、椎間板ヘルニア、坐
骨神経痛、糸球体腎炎、糖尿病性腎症、肝繊維症、肺繊
維症または大理石病などの疾病である可能性が高いと診
断することができる。一方、ノーザンハイブリダイゼー
ションにより発現過多が検出された場合は、例えば、慢
性関節リウマチ、変形性関節症、骨粗鬆症、癌、動脈硬
化、角膜潰瘍などの疾病である可能性が高いと診断する
ことができる。また、PCR−SSCP法によりDNA
の突然変異が検出された場合は、例えば、椎間板ヘルニ
ア、坐骨神経痛、糸球体腎炎、糖尿病性腎症、肝繊維
症、肺繊維症もしくは大理石病など、または慢性関節リ
ウマチ、変形性関節症、骨粗鬆症、癌、動脈硬化もしく
は角膜潰瘍などの疾病である可能性が高いと診断するこ
とができる。
【0058】(5)アンチセンスDNAを含有する医薬 本発明のDNAに相補的に結合し、該DNAの発現を抑
制することができるアンチセンスDNAは、生体内にお
ける本発明のタンパク質等または本発明のDNAの機能
を抑制することができるので、例えば、慢性関節リウマ
チ、変形性関節症、骨粗鬆症、癌、動脈硬化、角膜潰瘍
などなどの治療・予防剤として使用することができる。
上記アンチセンスDNAを上記の治療・予防剤として使
用する場合、前記した本発明のDNAを含有する各種疾
病の治療・予防剤と同様にして実施することができる。
例えば、該アンチセンスDNAを用いる場合、該アンチ
センスDNAを単独あるいはレトロウイルスベクター、
アデノウイルスベクター、アデノウイルスアソシエーテ
ッドウイルスベクターなどの適当なベクターに挿入した
後、常套手段に従って実施することができる。該アンチ
センスDNAは、そのままで、あるいは摂取促進のため
に補助剤などの生理学的に認められる担体とともに製剤
化し、遺伝子銃やハイドロゲルカテーテルのようなカテ
ーテルによって投与できる。さらに、該アンチセンスD
NAは、組織や細胞における本発明のDNAの存在やそ
の発現状況を調べるための診断用オリゴヌクレオチドプ
ローブとして使用することもできる。
【0059】(6)本発明の抗体を含有する医薬 本発明のタンパク質等の活性を中和する作用を有する本
発明の抗体は、例えば、慢性関節リウマチ、変形性関節
症、骨粗鬆症、癌、動脈硬化、角膜潰瘍などの種々の疾
病の治療・予防剤などの医薬として使用することができ
る。本発明の抗体を含有する上記疾患の治療・予防剤
は、そのまま液剤として、または適当な剤型の医薬組成
物として、ヒトまたは哺乳動物(例、ラット、ウサギ、
ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して
経口的または非経口的に投与することができる。投与量
は、投与対象、対象疾患、症状、投与ルートなどによっ
ても異なるが、例えば、成人の慢性関節リウマチの治療
・予防のために使用する場合には、本発明の抗体を1回
量として、通常0.01〜20mg/kg体重程度、好
ましくは0.1〜10mg/kg体重程度、さらに好ま
しくは0.1〜5mg/kg体重程度を、1日1〜5回
程度、好ましくは1日1〜3回程度、静脈注射により投
与するのが好都合である。他の非経口投与および経口投
与の場合もこれに準ずる量を投与することができる。症
状が特に重い場合には、その症状に応じて増量してもよ
い。本発明の抗体は、それ自体または適当な医薬組成物
として投与することができる。上記投与に用いられる医
薬組成物は、上記またはその塩と薬理学的に許容され得
る担体、希釈剤もしくは賦形剤とを含むものである。か
かる組成物は、経口または非経口投与に適する剤形とし
て提供される。すなわち、例えば、経口投与のための組
成物としては、固体または液体の剤形、具体的には錠剤
(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、丸剤、顆
粒剤、散剤、カプセル剤(ソフトカプセル剤を含む)、
シロップ剤、乳剤、懸濁剤などがあげられる。かかる組
成物は自体公知の方法によって製造され、製剤分野にお
いて通常用いられる担体、希釈剤もしくは賦形剤を含有
するものである。例えば、錠剤用の担体、賦形剤として
は、乳糖、でんぷん、蔗糖、ステアリン酸マグネシウム
などが用いられる。
【0060】非経口投与のための組成物としては、例え
ば、注射剤、坐剤などが用いられ、注射剤は静脈注射
剤、皮下注射剤、皮内注射剤、筋肉注射剤、点滴注射剤
などの剤形を包含する。かかる注射剤は、自体公知の方
法に従って、例えば、上記抗体またはその塩を通常注射
剤に用いられる無菌の水性もしくは油性液に溶解、懸濁
または乳化することによって調製する。注射用の水性液
としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補
助薬を含む等張液などが用いられ、適当な溶解補助剤、
例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアルコー
ル(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリコー
ル)、非イオン界面活性剤〔例、ポリソルベート80、
HCO−50(polyoxyethylene(50mol)adduct of
hydrogenated castor oil)〕などと併用してもよい。
油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いら
れ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアル
コールなどを併用してもよい。調製された注射液は、通
常、適当なアンプルに充填される。直腸投与に用いられ
る坐剤は、上記抗体またはその塩を通常の坐薬用基剤に
混合することによって調製される。上記の経口用または
非経口用医薬組成物は、活性成分の投与量に適合するよ
うな投薬単位の剤形に調製されることが好都合である。
かかる投薬単位の剤形としては、錠剤、丸剤、カプセル
剤、注射剤(アンプル)、坐剤などが例示され、それぞ
れの投薬単位剤形当たり通常5〜500mg、とりわけ
注射剤では5〜100mg、その他の剤形では10〜2
50mgの上記抗体が含有されていることが好ましい。
なお前記した各組成物は、上記抗体との配合により好ま
しくない相互作用を生じない限り他の活性成分を含有し
てもよい。
【0061】(7)DNA転移動物 本発明は、外来性の本発明のタンパク質等をコードする
DNA(以下、本発明の外来性DNAと略記する)また
はその変異DNA(本発明の外来性変異DNAと略記す
る場合がある)を有する非ヒト哺乳動物を提供する。す
なわち、本発明は、(1)本発明の外来性DNAまたは
その変異DNAを有する非ヒト哺乳動物、(2)非ヒト
哺乳動物がゲッ歯動物である第(1)記載の動物、(3)
ゲッ歯動物がマウスまたはラットである第(2)記載の
動物、および(4)本発明の外来性DNAまたはその変
異DNAを含有し、哺乳動物において発現しうる組換え
ベクターを提供するものである。本発明の外来性DNA
またはその変異DNAを有する非ヒト哺乳動物(以下、
本発明のDNA転移動物と略記する)は、未受精卵、受
精卵、精子およびその始原細胞を含む胚芽細胞などに対
して、好ましくは、非ヒト哺乳動物の発生における胚発
生の段階(さらに好ましくは、単細胞または受精卵細胞
の段階でかつ一般に8細胞期以前)に、リン酸カルシウ
ム法、電気パルス法、リポフェクション法、凝集法、マ
イクロインジェクション法、パーティクルガン法、DE
AE−デキストラン法などにより目的とするDNAを転
移することによって作出することができる。また、該D
NA転移方法により、体細胞、生体の臓器、組織細胞な
どに目的とする本発明の外来性DNAを転移し、細胞培
養、組織培養などに利用することもでき、さらに、これ
ら細胞を上述の胚芽細胞と自体公知の細胞融合法により
融合させることにより本発明のDNA転移動物を作出す
ることもできる。
【0062】非ヒト哺乳動物としては、例えば、ウシ、
ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモッ
ト、ハムスター、マウス、ラットなどが用いられる。な
かでも、病体動物モデル系の作成の面から個体発生およ
び生物サイクルが比較的短く、また、繁殖が容易なゲッ
歯動物、とりわけマウス(例えば、純系として、C57
BL/6系統,DBA2系統など、交雑系として、B6
C3F1系統,BDF1系統,B6D2F1系統,BAL
B/c系統,ICR系統など)またはラット(例えば、
Wistar,SDなど)などが好ましい。哺乳動物に
おいて発現しうる組換えベクターにおける「哺乳動物」
としては、上記の非ヒト哺乳動物の他にヒトなどが挙げ
られる。本発明の外来性DNAとは、非ヒト哺乳動物が
本来有している本発明のDNAではなく、いったん哺乳
動物から単離・抽出された本発明のDNAをいう。本発
明の変異DNAとしては、元の本発明のDNAの塩基配
列に変異(例えば、突然変異など)が生じたもの、具体
的には、塩基の付加、欠損、他の塩基への置換などが生
じたDNAなどが用いられ、また、異常DNAも含まれ
る。該異常DNAとしては、異常な本発明のタンパク質
を発現させるDNAを意味し、例えば、正常な本発明の
タンパク質の機能を抑制するタンパク質を発現させるD
NAなどが用いられる。本発明の外来性DNAは、対象
とする動物と同種あるいは異種のどちらの哺乳動物由来
のものであってもよい。本発明のDNAを対象動物に転
移させるにあたっては、該DNAを動物細胞で発現させ
うるプロモーターの下流に結合したDNAコンストラク
トとして用いるのが一般に有利である。例えば、本発明
のヒトDNAを転移させる場合、これと相同性が高い本
発明のDNAを有する各種哺乳動物(例えば、ウサギ、
イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ラット、マウス
など)由来のDNAを発現させうる各種プロモーターの
下流に、本発明のヒトDNAを結合したDNAコンスト
ラクト(例、ベクターなど)を対象哺乳動物の受精卵、
例えば、マウス受精卵へマイクロインジェクションする
ことによって本発明のDNAを高発現するDNA転移哺
乳動物を作出することができる。
【0063】本発明のタンパク質の発現ベクターとして
は、大腸菌由来のプラスミド、枯草菌由来のプラスミ
ド、酵母由来のプラスミド、λファージなどのバクテリ
オファージ、モロニー白血病ウィルスなどのレトロウィ
ルス、ワクシニアウィルスまたはバキュロウィルスなど
の動物ウイルスなどが用いられる。なかでも、大腸菌由
来のプラスミド、枯草菌由来のプラスミドまたは酵母由
来のプラスミドなどが好ましく用いられる。上記のDN
A発現調節を行なうプロモーターとしては、例えば、
ウイルス(例、シミアンウイルス、サイトメガロウイル
ス、モロニー白血病ウイルス、JCウイルス、乳癌ウイ
ルス、ポリオウイルスなど)に由来するDNAのプロモ
ーター、各種哺乳動物(ヒト、ウサギ、イヌ、ネコ、
モルモット、ハムスター、ラット、マウスなど)由来の
プロモーター、例えば、アルブミン、インスリンII、
ウロプラキンII、エラスターゼ、エリスロポエチン、
エンドセリン、筋クレアチンキナーゼ、グリア線維性酸
性タンパク質ク、グルタチオンS−トランスフェラー
ゼ、血小板由来成長因子β、ケラチンK1,K10およ
びK14、コラーゲンI型およびII型、サイクリック
AMP依存タンパク質キナーゼβIサブユニット、ジス
トロフィン、酒石酸抵抗性アルカリフォスファターゼ、
心房ナトリウム利尿性因子、内皮レセプターチロシンキ
ナーゼ(一般にTie2と略される)、ナトリウムカリ
ウムアデノシン3リン酸化酵素(Na,K−ATPas
e)、ニューロフィラメント軽鎖、メタロチオネインI
およびIIA、メタロプロティナーゼ1組織インヒビタ
ー、MHCクラスI抗原(H−2L)、H−ras、レ
ニン、ドーパミンβ−水酸化酵素、甲状腺ペルオキシダ
ーゼ(TPO)、ポリペプチド鎖延長因子1α(EF−
1α)、βアクチン、αおよびβミオシン重鎖、ミオシ
ン軽鎖1および2、ミエリン基礎タンパク質、チログロ
ブリン、Thy−1、免疫グロブリン、H鎖可変部(V
NP)、血清アミロイドPコンポーネント、ミオグロビ
ン、トロポニンC、平滑筋αアクチン、プレプロエンケ
ファリンA、バソプレシンなどのプロモーターなどが用
いられる。なかでも、全身で高発現することが可能なサ
イトメガロウイルスプロモーター、ヒトポリペプチド鎖
延長因子1α(EF−1α)のプロモーター、ヒトおよ
びニワトリβアクチンプロモーターなどが好適である。
【0064】上記ベクターは、DNA転移哺乳動物にお
いて目的とするメッセンジャーRNAの転写を終結する
配列(一般にターミネターと呼ばれる)を有しているこ
とが好ましく、例えば、ウィルス由来および各種哺乳動
物由来の各DNAの配列を用いることができ、好ましく
は、シミアンウィルスのSV40ターミネターなどが用
いられる。その他、目的とする外来性DNAをさらに高
発現させる目的で各DNAのスプライシングシグナル、
エンハンサー領域、真核DNAのイントロンの一部など
をプロモーター領域の5´上流、プロモーター領域と翻
訳領域間あるいは翻訳領域の3´下流 に連結すること
も目的により可能である。正常な本発明のタンパク質の
翻訳領域は、ヒトまたは各種哺乳動物(例えば、ウサ
ギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ラット、マ
ウスなど)由来の肝臓、腎臓、甲状腺細胞、線維芽細胞
由来DNAおよび市販の各種ゲノムDNAライブラリー
よりゲノムDNAの全てあるいは一部として、または肝
臓、腎臓、甲状腺細胞、線維芽細胞由来RNAより公知
の方法により調製された相補DNAを原料として取得す
ることが出来る。また、外来性の異常DNAは、上記の
細胞または組織より得られた正常なタンパク質の翻訳領
域を点突然変異誘発法により変異した翻訳領域を作製す
ることができる。該翻訳領域は転移動物において発現し
うるDNAコンストラクトとして、前記のプロモーター
の下流および所望により転写終結部位の上流に連結させ
る通常のDNA工学的手法により作製することができ
る。受精卵細胞段階における本発明の外来性DNAの転
移は、対象哺乳動物の胚芽細胞および体細胞のすべてに
存在するように確保される。DNA転移後の作出動物の
胚芽細胞において、本発明の外来性DNAが存在するこ
とは、作出動物の後代がすべて、その胚芽細胞および体
細胞のすべてに本発明の外来性DNAを保持することを
意味する。本発明の外来性DNAを受け継いだこの種の
動物の子孫はその胚芽細胞および体細胞のすべてに本発
明の外来性DNAを有する。
【0065】本発明の外来性正常DNAを転移させた非
ヒト哺乳動物は、交配により外来性DNAを安定に保持
することを確認して、該DNA保有動物として通常の飼
育環境で継代飼育することが出来る。受精卵細胞段階に
おける本発明の外来性DNAの転移は、対象哺乳動物の
胚芽細胞および体細胞の全てに過剰に存在するように確
保される。DNA転移後の作出動物の胚芽細胞において
本発明の外来性DNAが過剰に存在することは、作出動
物の子孫が全てその胚芽細胞および体細胞の全てに本発
明の外来性DNAを過剰に有することを意味する。本発
明の外来性DNAを受け継いだこの種の動物の子孫はそ
の胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の外来性DNA
を過剰に有する。導入DNAを相同染色体の両方に持つ
ホモザイゴート動物を取得し、この雌雄の動物を交配す
ることによりすべての子孫が該DNAを過剰に有するよ
うに繁殖継代することができる。本発明の正常DNAを
有する非ヒト哺乳動物は、本発明の正常DNAが高発現
させられており、内在性の正常DNAの機能を促進する
ことにより最終的に本発明のタンパク質の機能亢進症を
発症することがあり、その病態モデル動物として利用す
ることができる。例えば、本発明の正常DNA転移動物
を用いて、本発明のタンパク質の機能亢進症や、本発明
のタンパク質が関連する疾患の病態機序の解明およびこ
れらの疾患の治療方法の検討を行なうことが可能であ
る。また、本発明の外来性正常DNAを転移させた哺乳
動物は、遊離した本発明のタンパク質の増加症状を有す
ることから、本発明のタンパク質に関連する疾患に対す
る治療薬のスクリーニング試験にも利用可能である。
【0066】一方、本発明の外来性異常DNAを有する
非ヒト哺乳動物は、交配により外来性DNAを安定に保
持することを確認して該DNA保有動物として通常の飼
育環境で継代飼育することが出来る。さらに、目的とす
る外来DNAを前述のプラスミドに組み込んで原科とし
て用いることができる。プロモーターとのDNAコンス
トラク卜は、通常のDNA工学的手法によって作製する
ことができる。受精卵細胞段階における本発明の異常D
NAの転移は、対象哺乳動物の胚芽細胞および体細胞の
全てに存在するように確保される。DNA転移後の作出
動物の胚芽細胞において本発明の異常DNAが存在する
ことは、作出動物の子孫が全てその胚芽細胞および体細
胞の全てに本発明の異常DNAを有することを意味す
る。本発明の外来性DNAを受け継いだこの種の動物の
子孫は、その胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の異
常DNAを有する。導入DNAを相同染色体の両方に持
つホモザイゴート動物を取得し、この雌雄の動物を交配
することによりすべての子孫が該DNAを有するように
繁殖継代することができる。本発明の異常DNAを有す
る非ヒト哺乳動物は、本発明の異常DNAが高発現させ
られており、内在性の正常DNAの機能を阻害すること
により最終的に本発明のタンパク質の機能不活性型不応
症となることがあり、その病態モデル動物として利用す
ることができる。例えば、本発明の異常DNA転移動物
を用いて、本発明のタンパク質の機能不活性型不応症の
病態機序の解明およびこの疾患を治療方法の検討を行な
うことが可能である。また、具体的な利用可能性として
は、本発明の異常DNA高発現動物は、本発明のタンパ
ク質の機能不活性型不応症における本発明の異常タンパ
ク質による正常タンパク質の機能阻害(dominant negat
ive作用)を解明するモデルとなる。また、本発明の外
来異常DNAを転移させた哺乳動物は、遊離した本発明
のタンパク質の増加症状を有することから、本発明のタ
ンパク質の機能不活性型不応症に対する治療薬スクリー
ニング試験にも利用可能である。
【0067】また、上記2種類の本発明のDNA転移動
物のその他の利用可能性として、例えば、 組織培養のための細胞源としての使用、 本発明のDNA転移動物の組織中のDNAもしくはR
NAを直接分析するか、またはDNAにより発現された
タンパク質組織を分析することによる、本発明のタンパ
ク質により特異的に発現あるいは活性化するタンパク質
との関連性についての解析、 DNAを有する組織の細胞を標準組織培養技術により
培養し、これらを使用して、一般に培養困難な組織から
の細胞の機能の研究、 上記記載の細胞を用いることによる細胞の機能を高
めるような薬剤のスクリーニング、および 本発明の変異タンパク質を単離精製およびその抗体作
製などが考えられる。 さらに、本発明のDNA転移動物を用いて、本発明のタ
ンパク質の機能不活性型不応症などを含む、本発明のタ
ンパク質に関連する疾患の臨床症状を調べることがで
き、また、本発明のタンパク質に関連する疾患モデルの
各臓器におけるより詳細な病理学的所見が得られ、新し
い治療方法の開発、さらには、該疾患による二次的疾患
の研究および治療に貢献することができる。また、本発
明のDNA転移動物から各臓器を取り出し、細切後、ト
リプシンなどのタンパク質分解酵素により、遊離したD
NA転移細胞の取得、その培養またはその培養細胞の系
統化を行なうことが可能である。さらに、本発明のタン
パク質産生細胞の特定化、アポトーシス、分化あるいは
増殖との関連性、またはそれらにおけるシグナル伝達機
構を調べ、それらの異常を調べることなどができ、本発
明のタンパク質およびその作用解明のための有効な研究
材料となる。さらに、本発明のDNA転移動物を用い
て、本発明のタンパク質の機能不活性型不応症を含む、
本発明のタンパク質に関連する疾患の治療薬の開発を行
なうために、上述の検査法および定量法などを用いて、
有効で迅速な該疾患治療薬のスクリーニング法を提供す
ることが可能となる。また、本発明のDNA転移動物ま
たは本発明の外来性DNA発現ベクターを用いて、本発
明のタンパク質が関連する疾患のDNA治療法を検討、
開発することが可能である。
【0068】(8)ノックアウト動物 本発明は、本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳
動物胚幹細胞および本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳
動物を提供する。すなわち、本発明は、(1)本発明の
DNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞、
(2)該DNAがレポーター遺伝子(例、大腸菌由来の
β−ガラクトシダーゼ遺伝子)を導入することにより不
活性化された第(1)項記載の胚幹細胞、(3)ネオマ
イシン耐性である第(1)項記載の胚幹細胞、(4)非
ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である第(1)項記載の胚幹
細胞、(5)ゲッ歯動物がマウスである第(4)項記載
の胚幹細胞、(6)本発明のDNAが不活性化された該
DNA発現不全非ヒト哺乳動物、(7)該DNAがレポ
ーター遺伝子(例、大腸菌由来のβ−ガラクトシダーゼ
遺伝子)を導入することにより不活性化され、該レポー
ター遺伝子が本発明のDNAに対するプロモーターの制
御下で発現しうる第(6)項記載の非ヒト哺乳動物、
(8)非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である第(6)項記
載の非ヒト哺乳動物、(9)ゲッ歯動物がマウスである
第(8)項記載の非ヒト哺乳動物、および(10)第
(7)項記載の動物に、試験化合物を投与し、レポータ
ー遺伝子の発現を検出することを特徴とする本発明のD
NAに対するプロモーター活性を促進または阻害する化
合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
【0069】本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺
乳動物胚幹細胞とは、該非ヒト哺乳動物が有する本発明
のDNAに人為的に変異を加えることにより、DNAの
発現能を抑制するか、もしくは該DNAがコードしてい
る本発明のタンパク質の活性を実質的に喪失させること
により、DNAが実質的に本発明のタンパク質の発現能
を有さない(以下、本発明のノックアウトDNAと称す
ることがある)非ヒト哺乳動物の胚幹細胞(以下、ES
細胞と略記する)をいう。非ヒト哺乳動物としては、前
記と同様のものが用いられる。本発明のDNAに人為的
に変異を加える方法としては、例えば、遺伝子工学的手
法により該DNA配列の一部又は全部の削除、他DNA
を挿入または置換させることによって行なうことができ
る。これらの変異により、例えば、コドンの読み取り枠
をずらしたり、プロモーターあるいはエキソンの機能を
破壊することにより本発明のノックアウトDNAを作製
すればよい。本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺
乳動物胚幹細胞(以下、本発明のDNA不活性化ES細
胞または本発明のノックアウトES細胞と略記する)の
具体例としては、例えば、目的とする非ヒト哺乳動物が
有する本発明のDNAを単離し、そのエキソン部分にネ
オマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子を
代表とする薬剤耐性遺伝子、あるいはlacZ(β−ガ
ラクトシダーゼ遺伝子)、cat(クロラムフェニコー
ルアセチルトランスフェラーゼ遺伝子)を代表とするレ
ポーター遺伝子等を挿入することによりエキソンの機能
を破壊するか、あるいはエキソン間のイントロン部分に
遺伝子の転写を終結させるDNA配列(例えば、polyA
付加シグナルなど)を挿入し、完全なメッセンジャーR
NAを合成できなくすることによって、結果的に遺伝子
を破壊するように構築したDNA配列を有するDNA鎖
(以下、ターゲッティングベクターと略記する)を、例
えば相同組換え法により該動物の染色体に導入し、得ら
れたES細胞について本発明のDNA上あるいはその近
傍のDNA配列をプローブとしたサザンハイブリダイゼ
ーション解析あるいはターゲッティングベクター上のD
NA配列とターゲッティングベクター作製に使用した本
発明のDNA以外の近傍領域のDNA配列をプライマー
としたPCR法により解析し、本発明のノックアウトE
S細胞を選別することにより得ることができる。
【0070】また、相同組換え法等により本発明のDN
Aを不活化させる元のES細胞としては、例えば、前述
のような既に樹立されたものを用いてもよく、また公知
EvansとKaufmaの方法に準じて新しく樹立したものでも
よい。例えば、マウスのES細胞の場合、現在、一般的
には129系のES細胞が使用されているが、免疫学的
背景がはっきりしていないので、これに代わる純系で免
疫学的に遺伝的背景が明らかなES細胞を取得するなど
の目的で例えば、C57BL/6マウスやC57BL/
6の採卵数の少なさをDBA/2との交雑により改善し
たBDF1マウス(C57BL/6とDBA/2との
1)を用いて樹立したものなども良好に用いうる。B
DF1マウスは、採卵数が多く、かつ、卵が丈夫である
という利点に加えて、C57BL/6マウスを背景に持
つので、これを用いて得られたES細胞は病態モデルマ
ウスを作出したとき、C57BL/6マウスとバックク
ロスすることでその遺伝的背景をC57BL/6マウス
に代えることが可能である点で有利に用い得る。また、
ES細胞を樹立する場合、一般には受精後3.5日目の
胚盤胞を使用するが、これ以外に8細胞期胚を採卵し胚
盤胞まで培養して用いることにより効率よく多数の初期
胚を取得することができる。また、雌雄いずれのES細
胞を用いてもよいが、通常雄のES細胞の方が生殖系列
キメラを作出するのに都合が良い。また、煩雑な培養の
手間を削減するためにもできるだけ早く雌雄の判別を行
なうことが望ましい。ES細胞の雌雄の判定方法として
は、例えば、PCR法によりY染色体上の性決定領域の
遺伝子を増幅、検出する方法が、その1例として挙げる
ことができる。この方法を使用すれば、従来、核型分析
をするのに約106個の細胞数を要していたのに対し
て、1コロニー程度のES細胞数(約50個)で済むの
で、培養初期におけるES細胞の第一次セレクションを
雌雄の判別で行なうことが可能であり、早期に雄細胞の
選定を可能にしたことにより培養初期の手間は大幅に削
減できる。
【0071】また、第二次セレクションとしては、例え
ば、G−バンディング法による染色体数の確認等により
行うことができる。得られるES細胞の染色体数は正常
数の100%が望ましいが、樹立の際の物理的操作等の
関係上困難な場合は、ES細胞の遺伝子をノックアウト
した後、正常細胞(例えば、マウスでは染色体数が2n
=40である細胞)に再びクローニングすることが望ま
しい。このようにして得られた胚幹細胞株は、通常その
増殖性は大変良いが、個体発生できる能力を失いやすい
ので、注意深く継代培養することが必要である。例え
ば、STO繊維芽細胞のような適当なフィーダー細胞上
でLIF(1−10000U/ml)存在下に炭酸ガス培養
器内(好ましくは、5%炭酸ガス、95%空気または5
%酸素、5%炭酸ガス、90%空気)で約37℃で培養
するなどの方法で培養し、継代時には、例えば、トリプ
シン/EDTA溶液(通常0.001−0.5%トリプシ
ン/0.1−5mM EDTA、好ましくは約0.1%ト
リプシン/1mM EDTA)処理により単細胞化し、
新たに用意したフィーダー細胞上に播種する方法などが
とられる。このような継代は、通常1−3日毎に行なう
が、この際に細胞の観察を行い、形態的に異常な細胞が
見受けられた場合はその培養細胞は放棄することが望ま
れる。ES細胞は、適当な条件により、高密度に至るま
で単層培養するか、または細胞集塊を形成するまで浮遊
培養することにより、頭頂筋、内臓筋、心筋などの種々
のタイプの細胞に分化させることが可能であり〔M. J.
Evans及びM. H. Kaufman, ネイチャー(Nature)第292
巻、154頁、1981年;G. R. Martin プロシーディング
ス・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス
・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.)第7
8巻、7634頁、1981年;T. C. Doetschmanら、ジャーナ
ル・オブ・エンブリオロジー・アンド・エクスペリメン
タル・モルフォロジー、第87巻、27頁、1985年〕、本発
明のES細胞を分化させて得られる本発明のDNA発現
不全細胞は、インビトロにおける本発明のタンパク質の
細胞生物学的検討において有用である。本発明のDNA
発現不全非ヒト哺乳動物は、該動物のmRNA量を公知
方法を用いて測定して間接的にその発現量を比較するこ
とにより、正常動物と区別することが可能である。該非
ヒト哺乳動物としては、前記と同様のものが用いられ
る。
【0072】本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物
は、例えば、前述のようにして作製したターゲッティン
グベクターをマウス胚幹細胞またはマウス卵細胞に導入
し、導入によりターゲッティングベクターの本発明のD
NAが不活性化されたDNA配列が遺伝子相同組換えに
より、マウス胚幹細胞またはマウス卵細胞の染色体上の
本発明のDNAと入れ換わる相同組換えをさせることに
より、本発明のDNAをノックアウトさせることができ
る。本発明のDNAがノックアウトされた細胞は、本発
明のDNA上またはその近傍のDNA配列をプローブと
したサザンハイブリダイゼーション解析またはターゲッ
ティングベクター上のDNA配列と、ターゲッティング
ベクターに使用したマウス由来の本発明のDNA以外の
近傍領域のDNA配列とをプライマーとしたPCR法に
よる解析で判定することができる。非ヒト哺乳動物胚幹
細胞を用いた場合は、遺伝子相同組換えにより、本発明
のDNAが不活性化された細胞株をクローニングし、そ
の細胞を適当な時期、例えば、8細胞期の非ヒト哺乳動
物胚または胚盤胞に注入し、作製したキメラ胚を偽妊娠
させた該非ヒト哺乳動物の子宮に移植する。作出された
動物は正常な本発明のDNA座をもつ細胞と人為的に変
異した本発明のDNA座をもつ細胞との両者から構成さ
れるキメラ動物である。該キメラ動物の生殖細胞の一部
が変異した本発明のDNA座をもつ場合、このようなキ
メラ個体と正常個体を交配することにより得られた個体
群より、全ての組織が人為的に変異を加えた本発明のD
NA座をもつ細胞で構成された個体を、例えば、コート
カラーの判定等により選別することにより得られる。こ
のようにして得られた個体は、通常、本発明のタンパク
質のヘテロ発現不全個体であり、本発明のタンパク質の
ヘテロ発現不全個体同志を交配し、それらの産仔から本
発明のタンパク質のホモ発現不全個体を得ることができ
る。卵細胞を使用する場合は、例えば、卵細胞核内にマ
イクロインジェクション法でDNA溶液を注入すること
によりターゲッティングベクターを染色体内に導入した
トランスジェニック非ヒト哺乳動物を得ることができ、
これらのトランスジェニック非ヒト哺乳動物に比べて、
遺伝子相同組換えにより本発明のDNA座に変異のある
ものを選択することにより得られる。
【0073】このようにして本発明のDNAがノックア
ウトされている個体は、交配により得られた動物個体も
該DNAがノックアウトされていることを確認して通常
の飼育環境で飼育継代を行なうことができる。さらに、
生殖系列の取得および保持についても常法に従えばよ
い。すなわち、該不活化DNAの保有する雌雄の動物を
交配することにより、該不活化DNAを相同染色体の両
方に持つホモザイゴート動物を取得しうる。得られたホ
モザイゴート動物は、母親動物に対して、正常個体1,
ホモザイゴート複数になるような状態で飼育することに
より効率的に得ることができる。ヘテロザイゴート動物
の雌雄を交配することにより、該不活化DNAを有する
ホモザイゴートおよびヘテロザイゴート動物を繁殖継代
する。本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物
胚幹細胞は、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物を
作出する上で、非常に有用である。また、本発明のDN
A発現不全非ヒト哺乳動物は、本発明のタンパク質によ
り誘導され得る種々の生物活性を欠失するため、本発明
のタンパク質の生物活性の不活性化を原因とする疾病の
モデルとなり得るので、これらの疾病の原因究明及び治
療法の検討に有用である。
【0074】(8a)本発明のDNAの欠損や損傷など
に起因する疾病に対して治療・予防効果を有する化合物
のスクリーニング方法 本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、本発明のD
NAの欠損や損傷などに起因する疾病(例、椎間板ヘル
ニア、坐骨神経痛、糸球体腎炎、糖尿病性腎症、肝繊維
症、肺繊維症または大理石病など)に対して治療・予防
効果を有する化合物のスクリーニングに用いることがで
きる。すなわち、本発明は、本発明のDNA発現不全非
ヒト哺乳動物に試験化合物を投与し、該動物の変化を観
察・測定することを特徴とする、本発明のDNAの欠損
や損傷などに起因する疾病に対して治療・予防効果を有
する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供す
る。該スクリーニング方法において用いられる本発明の
DNA発現不全非ヒト哺乳動物としては、前記と同様の
ものが挙げられる。試験化合物としては、例えば、ペプ
チド、タンパク、非ペプチド性化合物、合成化合物、発
酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液、
血漿などが挙げられ、これら化合物は新規な化合物であ
ってもよいし、公知の化合物であってもよい。具体的に
は、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物を、試験化
合物で処理し、無処理の対照動物と比較し、該動物の各
器官、組織、疾病の症状などの変化を指標として試験化
合物の治療・予防効果を試験することができる。試験動
物を試験化合物で処理する方法としては、例えば、経口
投与、静脈注射などが用いられ、試験動物の症状、試験
化合物の性質などにあわせて適宜選択することができ
る。また、試験化合物の投与量は、投与方法、試験化合
物の性質などにあわせて適宜選択することができる。例
えば、椎間板ヘルニア、坐骨神経痛、糸球体腎炎、糖尿
病性腎症、肝繊維症、肺繊維症または大理石病に対して
治療・予防効果を有する化合物をスクリーニングする場
合、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物に糖負荷処
置を行ない、糖負荷処置前または処置後に試験化合物を
投与し、該動物の血糖値および体重変化などを経時的に
測定する。該スクリーニング方法において、試験動物に
試験化合物を投与した場合、該試験動物の血糖値が約1
0%以上、好ましくは約30%以上、より好ましくは約
50%以上低下した場合、該試験化合物を椎間板ヘルニ
ア、坐骨神経痛、糸球体腎炎、糖尿病性腎症、肝繊維
症、肺繊維症または大理石病に対して治療・予防効果を
有する化合物として選択することができる。
【0075】本発明のスクリーニング方法を用いて得ら
れる化合物は、上記した試験化合物から選ばれた化合物
であり、本発明のタンパク質等の欠損や損傷などによっ
て引き起こされる疾患(例、椎間板ヘルニア、坐骨神経
痛、糸球体腎炎、糖尿病性腎症、肝繊維症、肺繊維症ま
たは大理石病など)に対して治療・予防効果を有するの
で、該疾患に対する安全で低毒性な治療・予防剤などの
医薬として使用することができる。さらに、上記スクリ
ーニングで得られた化合物から誘導される化合物も同様
に用いることができる。該スクリーニング方法で得られ
た化合物は塩を形成していてもよく、該化合物の塩とし
ては、生理学的に許容される酸(例、無機酸、有機酸な
ど)や塩基(例、アルカリ金属など)などとの塩が用い
られ、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好まし
い。この様な塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩
酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸など)との塩、あるいは
有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル
酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ
酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスル
ホン酸など)との塩などが用いられる。該スクリーニン
グ方法で得られた化合物またはその塩を含有する医薬
は、前記した本発明のタンパク質を含有する医薬と同様
にして製造することができる。このようにして得られる
製剤は、安全で低毒性であるので、例えば、ヒトまたは
哺乳動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサ
ギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サルな
ど)に対して投与することができる。該化合物またはそ
の塩の投与量は、対象疾患、投与対象、投与ルートなど
により差異はあるが、例えば、の治療目的で該化合物を
経口投与する場合、一般的に成人(体重60kgとし
て)においては、一日につき該化合物を約0.1〜10
0mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましく
は約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場
合は、該化合物の1回投与量は投与対象、対象疾患など
によっても異なるが、例えば、糖尿病性腎症の治療目的
で該化合物を注射剤の形で通常成人(60kgとして)
に投与する場合、一日につき該化合物を約0.01〜3
0mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より
好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投
与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg
当たりに換算した量を投与することができる。
【0076】(8b)本発明のDNAに対するプロモー
ターの活性を促進または阻害する化合物をスクリーニン
グ方法 本発明は、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物に、
試験化合物を投与し、レポーター遺伝子の発現を検出す
ることを特徴とする本発明のDNAに対するプロモータ
ーの活性を促進または阻害する化合物またはその塩のス
クリーニング方法を提供する。上記スクリーニング方法
において、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物とし
ては、前記した本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物
の中でも、本発明のDNAがレポーター遺伝子を導入す
ることにより不活性化され、該レポーター遺伝子が本発
明のDNAに対するプロモーターの制御下で発現しうる
ものが用いられる。試験化合物としては、前記と同様の
ものが挙げられる。レポーター遺伝子としては、前記と
同様のものが用いられ、β−ガラクトシダーゼ遺伝子
(lacZ)、可溶性アルカリフォスファターゼ遺伝子
またはルシフェラーゼ遺伝子などが好適である。本発明
のDNAをレポーター遺伝子で置換された本発明のDN
A発現不全非ヒト哺乳動物では、レポーター遺伝子が本
発明のDNAに対するプロモーターの支配下に存在する
ので、レポーター遺伝子がコードする物質の発現をトレ
ースすることにより、プロモーターの活性を検出するこ
とができる。
【0077】例えば、本発明のタンパク質をコードする
DNA領域の一部を大腸菌由来のβ−ガラクトシダーゼ
遺伝子(lacZ)で置換している場合、本来、本発明
のタンパク質の発現する組織で、本発明のタンパク質の
代わりにβ−ガラクトシダーゼが発現する。従って、例
えば、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−
ガラクトピラノシド(X−gal)のようなβ−ガラク
トシダーゼの基質となる試薬を用いて染色することによ
り、簡便に本発明のタンパク質の動物生体内における発
現状態を観察することができる。具体的には、本発明の
タンパク質欠損マウスまたはその組織切片をグルタルア
ルデヒドなどで固定し、リン酸緩衝生理食塩液(PB
S)で洗浄後、X−galを含む染色液で、室温または
37℃付近で、約30分ないし1時間反応させた後、組
織標本を1mM EDTA/PBS溶液で洗浄すること
によって、β−ガラクトシダーゼ反応を停止させ、呈色
を観察すればよい。また、常法に従い、lacZをコー
ドするmRNAを検出してもよい。
【0078】上記スクリーニング方法を用いて得られる
化合物またはその塩は、上記した試験化合物から選ばれ
た化合物であり、本発明のDNAに対するプロモーター
活性を促進または阻害する化合物である。該スクリーニ
ング方法で得られた化合物は塩を形成していてもよく、
該化合物の塩としては、生理学的に許容される酸(例、
無機酸など)や塩基(例、有機酸など)などとの塩が用
いられ、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ま
しい。この様な塩としては、例えば、無機酸(例えば、
塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸など)との塩、あるい
は有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル
酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ
酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスル
ホン酸など)との塩などが用いられる。本発明のDNA
に対するプロモーター活性を促進する化合物またはその
塩は、本発明のタンパク質の発現を促進し、該タンパク
質の機能を促進することができるので、例えば、椎間板
ヘルニア、坐骨神経痛、糸球体腎炎、糖尿病性腎症、肝
繊維症、肺繊維症または大理石病などの疾病に対する安
全で低毒性な治療・予防剤などの医薬として有用であ
る。一方、本発明のDNAに対するプロモーター活性を
阻害する化合物またはその塩は、本発明のタンパク質の
発現を阻害し、該タンパク質の機能を阻害することがで
きるので、例えば、慢性関節リウマチ、変形性関節症、
骨粗鬆症、癌、動脈硬化、角膜潰瘍などの疾病に対する
安全で低毒性な治療・予防剤などの医薬として有用であ
る。さらに、上記スクリーニングで得られた化合物から
誘導される化合物も同様に用いることができる。
【0079】該スクリーニング方法で得られた化合物ま
たはその塩を含有する医薬は、前記した本発明のタンパ
ク質またはその塩を含有する医薬と同様にして製造する
ことができる。このようにして得られる製剤は、安全で
低毒性であるので、例えば、ヒトまたは哺乳動物(例え
ば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブ
タ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与
することができる。該化合物またはその塩の投与量は、
対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより差異はある
が、例えば、糖尿病性腎症の治療目的で本発明のDNA
に対するプロモーター活性を促進する化合物を経口投与
する場合、一般的に成人(体重60kgとして)におい
ては、一日につき該化合物を約0.1〜100mg、好
ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0
〜20mg投与する。非経口的に投与する場合は、該化
合物の1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても
異なるが、例えば、糖尿病性腎症の治療目的で本発明の
DNAに対するプロモーター活性を促進する化合物を注
射剤の形で通常成人(60kgとして)に投与する場
合、一日につき該化合物を約0.01〜30mg程度、
好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約
0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好
都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算
した量を投与することができる。一方、例えば、慢性関
節リウマチの治療目的で本発明のDNAに対するプロモ
ーター活性を阻害する化合物を経口投与する場合、一般
的に成人(体重60kgとして)においては、一日につ
き該化合物を約0.1〜100mg、好ましくは約1.
0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与
する。非経口的に投与する場合は、該化合物の1回投与
量は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、例え
ば、慢性関節リウマチの治療目的で本発明のDNAに対
するプロモーター活性を阻害する化合物を注射剤の形で
通常成人(60kgとして)に投与する場合、一日につ
き該化合物を約0.01〜30mg程度、好ましくは約
0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10
mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。
他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与
することができる。このように、本発明のDNA発現不
全非ヒト哺乳動物は、本発明のDNAに対するプロモー
ターの活性を促進または阻害する化合物またはその塩を
スクリーニングする上で極めて有用であり、本発明のD
NA発現不全に起因する各種疾患の原因究明または予防
・治療薬の開発に大きく貢献することができる。また、
本発明のタンパク質のプロモーター領域を含有するDN
Aを使って、その下流に種々のタンパクをコードする遺
伝子を連結し、これを動物の卵細胞に注入していわゆる
トランスジェニック動物(遺伝子移入動物)を作成すれ
ば、特異的にそのタンパクを合成させ、その生体での作
用を検討することも可能となる。さらに上記プロモータ
ー部分に適当なレポータ遺伝子を結合させ、これが発現
するような細胞株を樹立すれば、本発明のタンパク質そ
のものの体内での産生能力を特異的に促進もしくは抑制
する作用を持つ低分子化合物の探索系として使用でき
る。
【0080】本明細書および図面において、塩基やアミ
ノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC−IUB
Commision on Biochemical Nomenclature による略号あ
るいは当該分野における慣用略号に基づくものであり、
その例を下記する。またアミノ酸に関し光学異性体があ
り得る場合は、特に明示しなければL体を示すものとす
る。 DNA :デオキシリボ核酸 cDNA :相補的デオキシリボ核酸 A :アデニン T :チミン G :グアニン C :シトシン I :イノシン R :アデニン(A)またはグアニン(G) Y :チミン(T)またはシトシン(C) M :アデニン(A)またはシトシン(C) K :グアニン(G)またはチミン(T) S :グアニン(G)またはシトシン(C) W :アデニン(A)またはチミン(T) B :グアニン(G)、グアニン(G)またはチミン(T) D :アデニン(A)、グアニン(G)またはチミン(T) V :アデニン(A)、グアニン(G)またはシトシン(C) RNA :リボ核酸 mRNA :メッセンジャーリボ核酸 dATP :デオキシアデノシン三リン酸 dTTP :デオキシチミジン三リン酸 dGTP :デオキシグアノシン三リン酸 dCTP :デオキシシチジン三リン酸 ATP :アデノシン三リン酸 EDTA :エチレンジアミン四酢酸 SDS :ドデシル硫酸ナトリウム
【0081】 Gly :グリシン Ala :アラニン Val :バリン Leu :ロイシン Ile :イソロイシン Ser :セリン Thr :スレオニン Cys :システイン Met :メチオニン Glu :グルタミン酸 Asp :アスパラギン酸 Lys :リジン Arg :アルギニン His :ヒスチジン Phe :フェニルアラニン Tyr :チロシン Trp :トリプトファン Pro :プロリン Asn :アスパラギン Gln :グルタミン pGlu :ピログルタミン酸
【0082】また、本明細書中で繁用される置換基、保
護基および試薬を下記の記号で表記する。 Me :メチル基 Et :エチル基 Bu :ブチル基 Ph :フェニル基 TC :チアゾリジン−4(R)−カルボキサミド基 Tos :p−トルエンスルフォニル CHO :ホルミル Bzl :ベンジル Cl2Bzl :2,6−ジクロロベンジル Bom :ベンジルオキシメチル Z :ベンジルオキシカルボニル Cl−Z :2−クロロベンジルオキシカルボニル Br−Z :2−ブロモベンジルオキシカルボニル Boc :t−ブトキシカルボニル DNP :ジニトロフェニル Trt :トリチル Bum :t−ブトキシメチル Fmoc :N−9−フルオレニルメトキシカルボニル HOBt :1−ヒドロキシベンズトリアゾール HOOBt :3,4−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−4−オキソ− 1,2,3−ベンゾトリアジン HONB :1-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミド DCC :N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド MOCAc :(7−メトキシクマリン−4−イル)アセチル Nva :ノルバリン Nma :N−メチルアントラニル酸
【0083】本願明細書の配列表の配列番号は、以下の
配列を示す。 〔配列番号:1〕実施例1で得られた新規ADAMタンパク
質のアミノ酸配列を示す。 〔配列番号:2〕配列番号:1または配列番号:15で
表されるアミノ酸配列で表されるタンパク質のディスイ
ンテグリン領域に相当する部分のアミノ酸配列を示す。
配列番号:1で表されるアミノ酸配列の第400番目〜
495番目のアミノ酸配列に相当する。 〔配列番号:3〕配列番号:1で表わされるアミノ酸配
列を有する本発明のタンパク質をコードするDNAの塩
基配列を示す。 〔配列番号:4〕配列番号:2で表わされるアミノ酸配
列を有するペプチドをコードするDNAの塩基配列を示
す。
【0084】〔配列番号:5〕配列番号:1または配列
番号:15で表されるアミノ酸配列で表されるタンパク
質のメタロプロテアーゼ領域に相当する部分のアミノ酸
配列を示す。配列番号:1で表されるアミノ酸配列の第
199番目〜399番目のアミノ酸配列に相当する。 〔配列番号:6〕本発明のタンパク質の部分ペプチドの
アミノ酸配列を示す。配列番号:1または配列番号:1
5で表されるアミノ酸配列の第428番目〜437番目
のアミノ酸配列に相当する。 〔配列番号:7〕実施例1で用いられたプライマーの塩
基配列を示す。 〔配列番号:8〕実施例1で用いられたプライマーの塩
基配列を示す。 〔配列番号:9〕実施例1で用いられたプライマーの塩
基配列を示す。 〔配列番号:10〕実施例1で用いられたプライマーの
塩基配列を示す。 〔配列番号:11〕実施例1で用いられたプライマーの
塩基配列を示す。 〔配列番号:12〕実施例1で用いられたプライマーの
塩基配列を示す。 〔配列番号:13〕実施例1で用いられたプライマーの
塩基配列を示す。 〔配列番号:14〕実施例1で用いられたプライマーの
塩基配列を示す。 〔配列番号:15〕実施例1で得られた新規ADAMタンパ
ク質のアミノ酸配列を示す。 〔配列番号:16〕配列番号:15で表わされるアミノ
酸配列を有する本発明のタンパク質をコードするDNA
の塩基配列を示す。 〔配列番号:17〕実施例2で用いられたプライマーの
塩基配列を示す。 〔配列番号:18〕実施例2で用いられたプライマーの
塩基配列を示す。 〔配列番号:19〕実施例5で用いられたプライマーの
塩基配列を示す。 〔配列番号:20〕実施例5で用いられたプライマーの
塩基配列を示す。 〔配列番号:21〕実施例7で用いられたプライマーの
塩基配列を示す。 〔配列番号:22〕実施例7で用いられたプライマーの
塩基配列を示す。 〔配列番号:23〕実施例8で用いられたプライマーの
塩基配列を示す。 〔配列番号:24〕実施例8で用いられたプライマーの
塩基配列を示す。 〔配列番号:25〕実施例9で用いられたプライマーの
塩基配列を示す。 〔配列番号:26〕実施例9で用いられたプライマーの
塩基配列を示す。 〔配列番号:27〕実施例11で用いられたプライマー
の塩基配列を示す。 〔配列番号:28〕実施例11で用いられたプライマー
の塩基配列を示す。
【0085】後述の実施例1で得られた形質転換体エシ
ェリヒア コリ(Escherichia coli)DH5α/pTB
2052は、平成10年8月26日から通商産業省工業
技術院生命工学工業技術研究所(NIBH)に寄託番号
FERM BP−6474として、平成10年5月20
日から財団法人・発酵研究所(IFO)に寄託番号IF
O 16173として寄託されている。後述の実施例1
で得られた形質転換体エシェリヒア コリ(Escherichi
a coli)DH5α/pTB2053は、平成10年8月
26日から通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究
所(NIBH)に寄託番号FERM BP−6475と
して、平成10年5月20日から財団法人・発酵研究所
(IFO)に寄託番号IFO 16174として寄託さ
れている。後述の実施例9で得られたベクターpTB2076
により形質転換された形質転換体エシェリヒア コリ
(Escherichia coli) JM109/pTB2076は、平成11年8
月23日から通商産業省工業技術院生命工学工業技術研
究所(NIBH)に寄託番号FERM BP−6857
として、平成11年8月4日から財団法人・発酵研究所
(IFO)に寄託番号IFO 16305として寄託さ
れている。
【0086】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はそれに限定されるものではな
い。なお、大腸菌を用いての遺伝子操作法は、モレキュ
ラー・クローニング(Molecular cloning)に記載され
ている方法に従った。
【0087】
【実施例1】新規ADAMタンパク質をコードする遺伝子の
クローニング ADAMファミリーで保存されている領域を基に設計したプ
ライマー[GT(A/G)GAI(C/G)(A/C)(A/G/T)(G/T)(C/G)(A/
G/T)GA(A/G)(C/G)A(A/G)TGTGA(配列番号:7)]およ
び[A(C/T)(C/T)TG(A/T)(A/G/T)(C/G/T)(A/G)(A/G/T)(A
/G/T)(A/T)IC(A/G/T)(G/T)(A/C/G)(A/G/T)(A/G/T)(C/G)
IGGGCA(配列番号:8)]を用い、種々のヒトcDNA
を鋳型として縮重PCRを行った(95℃で20秒、4
0℃で10秒、72℃で1分を40回)。得られた増幅
DNA断片の塩基配列を決定した結果、出血性蛇毒であるA
trolysinに高い相同性を示す配列が見出された。この遺
伝子の全長を取得するため、以下のようにRACE(rap
id amplification of cDNA ends)法を用いた。まず、上
記で見出された配列を基にプライマーを設計し、これら
のプライマー[ATC ACA GTC CTC TCC CAT TTC CAC CAA
C(配列番号:9)]および[CAC ATTTCA GGC AGG TCG
CAC TCA TC(配列番号:10)]とCLONTECH社製Marath
on cDNA Amplification Kit 添付のAP1、AP2プライマー
を用いて、Marathon ready cDNA (CLONTECH社製)を鋳
型としてキット添付のプロトコールに従いPCRを行
い、5’上流断片のクローニングを試みた。翻訳開始コ
ドンを含む断片が取得できなかったため、さらに、得ら
れた断片の配列を基に設計したプライマー[TCG CTG TG
G TCC TGA ACA ACG CCA ACA(配列番号:11)]およ
び[CAC ACC ATC CATCCC ACA GGT GCT GTC A(配列番
号:12)]を用いて、5’上流断片のクローニングを
上記と同様の方法で行った。得られたPCR断片は翻訳開
始コドンと思われる配列を含んでいた。一方3’下流断
片をクローニングするためにプライマー[GGA ACC AGT
TGG TGG AAA TGG GAG AGG A(配列番号:13)]およ
び[AGG ACT GTG ATT GTG GGA CGT CTG AGG AA(配列番
号:14)]を設計し、上記と同様の方法でPCRを行
った。その結果、蛋白コード領域中の途中部分から全く
異なる配列を示す2種のクローンが得られた。以上RA
CE法で得られた遺伝子断片を連結し、発現ベクターpC
DNA3.1(Invitrogen社製)に挿入することにより、pT
B2052及びpTB2053を得た。pTB2052
は図3および図4に示される塩基配列(配列番号:16
で示される2325個の塩基配列を含む)を有していた。こ
のcDNA断片には、図3および図4(配列番号:15)で
表される775アミノ酸からなる新しいADAMタンパク質が
コードされ、シグナル配列、プロ領域、メタロプロテア
ーゼ領域、ディスインテグリン領域、システインリッチ
領域、膜貫通領域、及び細胞内領域が認められた。pT
B2052を公知の方法で、エシェリヒア コリ(Esch
erichia coli)DH5αに導入し、エシェリヒア コリ
(Escherichia coli)DH5α/pTB2052を得
た。一方、pTB2053は図1および図2に示される
塩基配列(配列番号:3で示される1620個の塩基配列を
含む)を有していた。このcDNA断片には、配列番号:1
で表される540アミノ酸からなる新しいADAMタンパク質
がコードされ、シグナル配列、プロ領域、メタロプロテ
アーゼ領域、ディスインテグリン領域、及び一部のシス
テインリッチ領域が認められた。 pTB2053を公
知の方法で、エシェリヒア コリ(Escherichia coli)
DH5αに導入し、エシェリヒア コリ(Escherichia
coli)DH5α/pTB2053を得た。
【0088】
【実施例2】大腸菌発現ベクターの構築 本発明のADAMタンパク質のメタロプロテアーゼ領域とデ
ィスインテグリン領域を大腸菌において発現を行った。
すなわち、実施例1で得たpTB2053をテンプレー
トとし、2種のプライマー[CAT ATG GTT CAG GAA CAT
GAG AAA TAC ATA(配列番号:17)]および[CTC GAG
GAA GCC ATT GAC TTG GAA TCT ATC(配列番号:1
8)]を用いてPfu turbo (STRATAGENE社製)のプロト
コールに従いPCR反応(95℃で20秒、55℃で1
0秒、72℃で2分、25回)を行った。PCR反応液
を1%アガロースゲルで電気泳動後、900bp付近の
バンドを回収し、QIAquick Gel Extraction Kit (QIAGE
N社製)を用いて精製した。これをpCR-Bluntベクター
(INVITROGEN社製)に挿入し、大腸菌DH5αを形質転
換した。この大腸菌よりプラスミドを抽出し、NdeI
とXhoIで切断し、同様に処理したpET21a (NOVAGEN
社製)とライゲーションを行った後、大腸菌DH5αを
形質転換した。次にこの形質転換体よりプラスミド(p
MDH)を抽出し、配列に誤りのないことを確認した。
【0089】
【実施例3】組換え型ADAMタンパク質の大腸菌での発現
と精製 実施例2で得られたプラスミドpMDHで大腸菌BL21(D
E3)を形質転換し、発現に用いた。発現誘導は1mMの
イソプロピルチオガラクトピラノシドで行い、精製はNi
-NTA Agarose (QIAGEN社製)を用いて添付のマニュアル
に従った。その結果、目的の約35kDaの組換え型AD
AMタンパク質はバッファーE (A handbook for high-le
vel expression and purification of 6xHis-tagged pr
oteins,QIAGEN社)で溶出された。次に分画分子量6,0
00〜8,000の透析膜 (SPECTRUM MEDICAL社製)を
用いて4℃にて緩衝液[0.2M トリス−塩酸(pH
9.0),3mM 2−メルカプトエタノール,0.3
mM 2−ヒドロキシエチルジスルフィド,2M尿素,
0.1%トリトンX−100]に対して3時間透析後、
緩衝液[0.2M トリス−塩酸 (pH8.5),3m
M 2−メルカプトエタノール,0.3mM 2−ヒド
ロキシエチルジスルフィド,0.5M 尿素,0.1%
トリトンX−100]で2時間、緩衝液[50mM ト
リス−塩酸(pH8.0),1mM 2−メルカプトエ
タノール,0.1mM 2−ヒドロキシエチルジスルフ
ィド,0.1M 尿素,0.05%トリトンX−10
0、150mM 塩化ナトリウム]で3時間、緩衝液
[50mM トリス−塩酸 (pH7.5),0.05%
トリトンX−100、150mM 塩化ナトリウム]で
16時間透析した。このようにして500mLの培養液
から3.9mgの組換え型ADAMタンパク質が取得でき
た。
【0090】
【実施例4】組換え型ADAMタンパク質のプロテアーゼ活
性の検出 96穴プレート(フルオロBプレート、大日本製薬製)
に30μLの緩衝液[250mM トリス−塩酸(pH
7.5)、5mM 塩化カルシウム、10μM塩化亜
鉛]と実施例3で得られた組換え型ADAMタンパク質
(0.8mg/mL)を20μL添加した。37℃にて
10分間プレインキュベーション後、10μMの基質
[MOCAc−Arg−Pro−Lys−Pro−Ty
r−Ala−Nva−Trp−Met−Lys(DNP)
−NH2、ペプチド研究所 社製]を100μL添加する
ことによって酵素反応を開始した。37℃にて22時間
反応後マイクロプレートリーダー(Applied Biosystems
社製)を用いて励起波長328nm,吸収波長393n
mで反応液中の蛍光強度を測定した。組換え型ADAMタン
パク質無添加の場合の蛍光強度が2であったのに対し、
添加した場合は70の蛍光強度を示した。これらのこと
から、本ADAMタンパク質はプロテアーゼ活性を有するこ
とが明らかになった。この、アッセイ系を用いて本発明
のADAMタンパク質のプロテアーゼ活性を調節(阻害及び
促進)する物質の探索が可能と考えられる。
【0091】
【実施例5】ディスインテグリン領域10アミノ酸欠失
型発現プラスミドの調製 国際公開公報(WO 97/09430)記載の遺伝子は、本発明
で得られた遺伝子(配列番号:3)と比較すると蛋白コー
ド領域中ディスインテグリン領域に30塩基対(10ア
ミノ酸)を欠失した遺伝子である。この遺伝子由来のタ
ンパク質と本発明にて得られた遺伝子由来のタンパク質
の活性を比較するため国際公開公報(WO97/09430)記載
の遺伝子を以下の方法で取得した。すなわち、5’側を
リン酸化した2種のプライマー[CTC AGA TGT CCC ACA
ATC ACA GTC(配列番号:19)]および[ACA TGT AAA
ATC AAA GCA ACT TTT C(配列番号:20)]を用いて
実施例1で得たpTB2053をテンプレートとし、Pf
u turbo (STRATAGENE社製)のプロトコールに従いPC
R反応(96℃で30秒、56℃で30秒、72℃で1
2分、30回)を行った。PCR反応液を1%アガロー
スゲルで電気泳動後、QIAquick Gel Extraction Kit (Q
IAGEN社製)を用いて精製した。これをT4リガーゼ
(ニッポンジーン社製)を用いて自己環状化させ、大腸
菌DH5αにトランスフォーメーションした。次にこの
大腸菌よりプラスミドを抽出し、塩基配列を決定し、特
許(WO 97/09430)記載の遺伝子コーディング領域がpCD
NA3.1に挿入された発現プラスミド(pATR−CT)
が得られたことを確認した。
【0092】
【実施例6】ウシ鼻軟骨プロテオグリカン分解活性の比
較 ウシ鼻中隔部分より軟骨を採取し、直径4mmコルクボ
ーラーを用いて円筒形に切断後、その円筒形軟骨をメス
で厚さ約1mmに切断し、ディスク状の軟骨片とした。
次にこの軟骨片を−80℃及び37℃にて凍結、融解を
5回行い、最後に65℃で20分加熱処理して以下の活
性測定用の基質として用いた。1日前に1x104個ず
つ48穴プレートに播き、培養しておいたCOS7細胞
を用いてトランスフェクションを行った。トランスフェ
クションはFugene6(ベーリンガーマンハイム社製)を
用い、そのプロトコールに従った。トランスフェクショ
ン4時間後、上記で得られたディスク状ウシ軟骨片を添
加し、37℃にてさらに培養を継続した。培養2日後、
上清中の硫酸化グリコサミノグリカンをC.J. Handleyと
D. J. Buttleの方法(Methods in Enzymology 248:47-5
8、1995)に従って測定し、各種遺伝子導入によるプロ
テオグリカン分解亢進を比較した。その結果を下表に示
すが、pTB2052、pTB2053のトランスフェ
クションによってプロテオグリカン分解は有意に亢進
し、国際公開公報(WO 97/09430)記載の遺伝子では明
らかな分解は認められなかった。
【表1】 SGAG(硫酸化グリコサミノグリカン)値は4連の実験の
平均値
【0093】
【実施例7】抗ADAMタンパク質ポリクローナル抗体の取
得 実施例3で得られた組換え型ヒトADAMタンパク質(200
μg)を完全フロイントアジュバントに懸濁し、日本白
色ウサギに初回免疫を行った。以後、2週間ごと4回、40
0μgの組換え型ヒトADAMタンパク質を不完全フロイン
トアジュバントに懸濁し、日本白色ウサギに免疫を行っ
た。最終免疫の1週間後に全採血することにより、約50m
lの血清が取得できた。抗体価の測定は以下のようにし
て行った。組換え型ヒトADAMタンパク質を0.5μg/ウェ
ルとなるように固定化した後、BSAでブロッキングした9
6穴プレートに希釈したウサギ血清を添加し、室温で2時
間静置した。0.1%Tween-20を含むPBSで洗浄後、抗ウサ
ギIgG-パーオキシダーゼ(Capel社)を加え、2時間静置
した。洗浄後、O-フェニレンジアミンと過酸化水素を含
むクエン酸-リン酸緩衝液を加え、20分間発色させた。
反応を1M硫酸で停止させた後、プレートリーダーを用
いて492nMの発色を測定した。その結果、非免疫ウサギ
の約1万倍の抗体価を示す抗血清が得られた。
【0094】
【実施例8】ラットII型コラーゲン遺伝子のプロモータ
ー及びエンハンサーのクローニング ラットII型コラーゲン遺伝子のプロモーター領域は、Ko
hnoら(J. Biol. Chem260:4441,1985)の塩基配列をも
とに設計したプライマー[5′−GTGGTGGTGGACAACTAGGAA
ACTCTGG−3′(配列番号:21)]および[5′−CGAGGC
GAATCATGGCTCACCGCG−3′(配列番号:22)]を用いて
PCR法により得た。得られた約1.2kbの断片をTOPO TA Cl
oning Kit(Invitrogen社)を用い、プロトコールに従い
添付のpCRII-TOPOにクローニングした(pCRII-promoter
2)。その塩基配列をABI社製DNAシークエンサーで常法
により確認した。pCRIIプラスミドのマルチプルクロー
ニングサイトのNotI(5'側)とプロモーター配列内のSm
aIサイトで切り出し、実験に用いた。ラットII型コラー
ゲン遺伝子のエンハンサー領域は、Krebsbachら(J. Bi
ol.Chem 271:4298,1996)の塩基配列をもとにMluIサイ
トが生じるように設計したプライマー[5′−TCCACGCGT
TTGGGAAACTTCTTGGCTGCG−3′(配列番号:23)]およ
び[5′−GCTTCGTCGCCGCTACGCGTGGGGCCGGA−3′(配列
番号:24)]を用いてPCR法により得た。得られた0.3
5kbのMluI断片の塩基配列をABI社製DNAシークエンサー
で常法により確認した。次にそのMluI断片にEcoRIリン
カーを付与し、pBluescript KSII+のEcoRIサイトに挿
入した(pKS-enhancer 1-4)。
【0095】
【実施例9】DNA転移ラット用発現べクターの作成 DNA転移ラット用発現べクター、pTB2076(図5)を
常法に基づいて構築した。本プラスミドは下記の1)か
ら5)までの断片がpBluescriptII KS+のNotIサイトに
挿入されたものである。 1)Col2A1 promoter:ラットII型コラーゲン遺伝子の
プロモーター領域、実施例8に記載のpCRIIのマルチプル
クローニングサイト内のNotIからII型コラーゲン遺伝子
プロモーター内にあるSmaIサイトまでの1,120bp断片(S
maIサイトをSalIサイトに変換)。 2)SV40 splicing:pTB399(R. Sasadaら、Cell Struc
ture and Function 12:205、1987)由来のスプライシン
グサイトを含む断片の5’側をSalI、3’側をClaIに改変
したもの。 3)ADAM:新規ADAM遺伝子。実施例1で取得したプラス
ミド(pTB2052)を鋳型として、合成プライマー[5’
−ATC GAT TGA GCG AGA AGA GCA GAC ACC−3’(配列
番号:25)]及び[5’−AGA TCT TGC CAT CCA GAT
TTT CCA GTT T−3’(配列番号:26)]を用いてPfu
turbo (STRATAGENE)を使用して、PCR反応(95℃、2
0秒、52℃、10秒、72℃、3分、を30サイクル)を行い、
5’側にClaIサイト、3’側にBglIIサイトを付与した約
2.4Kbの遺伝子断片(図3及び4の13番目から2448番目の
塩基に対応する)。 4)SV40 polyA:pTB399(R. Sasadaら、Cell Structur
e and Function 12:205、1987)由来のpolyA付加シグナ
ルを含むBglII、HindIII断片。 5)Col2A1 enhancer:実施例8に記載したラットII型
コラーゲン遺伝子のエンハンサー領域を含むpKS-enhanc
er 1-4のHindIIIサイトからNotIサイトまでの断片。
【0096】
【実施例10】DNA転移ラットの作出 採卵用としてラットSD(ISG)系統を8週齢で購入し、7:00
〜19:00 12時間明期条件で1週間飼育し、まず1日目11:
00に卵胞刺激ホルモン(妊馬血清性性腺刺激ホルモン、
一般にPMSGと略する)(30IU/個体)を腹腔注射し、3
日目11:00に黄体形成ホルモン(ヒト絨毛性性腺刺激ホ
ルモン、一般にhCGと略する)(5 IU/個体)を腹腔注射
して雄ラットSD(ISG)系統10週齢以降の個体と14:00以降
に1:1で同居、交配させた。4日目9:00に交配させた雌ラ
ットの膣栓確認を行い、13:30から膣栓確認した個体を
屠殺後、採卵を開始した。受精卵で前核形成卵を選択
し、14:30から実施例9で得られたプラスミドpTB2076を
NotIによって切断し、新規ADAM遺伝子を含む断片を10μ
g/mlの濃度に調製し、その1〜2μlを顕微鏡下で観察し
ながら受精した単細胞期のSD系統ラット卵の雄前核へ注
入した。続いて、卵細胞を自体公知のHER培地で培養
し、5日目13:30に2細胞期胚を確認してから、Wagnerら
(Proc. Nat. Acad. Sc. U.S.A., 78:5016,l98l)によ
り記載された方法に従って、偽妊娠の雌Wistar系統ラッ
トの卵管に移植し、着床させた。偽妊娠の雌Wistar系統
ラット(11週齢以降)は0日目11:00にコンセラール(武
田薬品工業)を皮下注射(50μg/個体)し、4日目15:00
以降に雄Wistar系統12週以降の個体と1:1で同居、交配
させた。5日目9:00に交配させた雌ラットの膣栓確認を
行い、上記の目的で使用した。
【0097】
【実施例11】DNA転移ラットの遺伝子解析 3週齢に達した出産仔の尾からB. Hoganら(Manupulati
ng The Mouse embryo、1986、Cold Spring Harvor Labo
ratories)の方法で採取したDNAを用いて、実施例8
記載のラットII型コラーゲンプロモーター配列を基に設
計したプライマー[5′−CGCCGCTGGGCTGCCGGGTC−3′
(配列番号:27)]、実施例1記載の新規ADAMタンパ
ク質遺伝子配列を基に設計したプライマー(配列番号:
16で表わされる塩基配列のうち、第293番目から第
308番目までの塩基に対応する塩基配列に相補的な塩
基配列からなるDNA断片)[5′−TCCATCCCGATGTATGG
GGC−3′(配列番号:28)]を用いてPCRを行った。
合計95個体の産仔ラットを解析した結果、780bpのPCR
断片が検出できたPCR陽性個体は6個体であった。これ
ら6個体のPCR陽性個体のゲノムDNAをサザンハイブリダ
イゼーション法により解析した。すなわち、10μgのD
NAをHindIIIで完全に切断し、1.0%アガロースゲル電
気泳動後、ナイロンフイルターへ移した。このフィルタ
ーを、実施例9で用いた新規ADAM遺伝子(約2.4Kbの遺
伝子断片(図3及び4の13番目から2448番目の塩基に対
応する))をDIG DNAラベリングキット(ベリンガーマ
ンイハイム社製)で標識したプローブと一晩ハイブリダ
イズし、2xSSC、0.1%SDSにて室温で2回洗浄し、次に0.
1xSSC、0.1%SDSにて68℃で2回洗浄した。検出にはDIG
蛍光検出キット(ベリンガーマンイハイム社製)を用い
た。その結果、これらの6個体には全て1.9Kbの断片が観
察され、新規ADAM遺伝子の導入が確認された。また、導
入された遺伝子のコピー数は、個体番号RCA-14(雌)が
40コピー、RCA-22(雄)が5コピー、RCA-50(雄)が40
コピー、RCA-79(雄)が2コピー、RCA-83(雌)が1
0コピー、RCA-86(雄)が40コピーであることが確認
された。
【0098】
【実施例12】DNA転移ラットの尾椎でのヒトADAMタ
ンパク質の発現 DNA転移ラットRCA-14(雌)の尾椎末端組織、約5mm
を生体より切り出した。この組織を4%パラホルムアルデ
ヒドにて室温で一晩固定した。その後、70%エタノール
にて室温で24時間脱脂後、0.5M EDTA(pH=8.0)にて室温
で2週間脱灰した。脱灰完了は針で組織を突き刺して容
易に貫通することで確かめた。脱灰完了後、室温にて2
時間水洗し、常法(組織学研究法、佐野豊、南山堂)に
従ってパラフィンブロックを作製した。ブロックは薄切
まで4℃で保存した。薄切時にブロックを室温まで戻
し、切片を5マイクロメーターにて薄切し、温水上で伸
展後、スライドグラス上にマウントし、一晩37℃にて乾
燥させた。免疫染色は実施例7記載のウサギポリクロー
ナル抗体を一次抗体に使用し、vectastain ABC univers
al kit(Vector社)のプロトコールに従って行った。発
色はperoxidase substrate AEC kit(Vector社)を用
い、添付プロトコールに従って発色させた。その結果、
DNA転移ラットRCA-14(雌)の尾椎末端軟骨組織中の
増殖軟骨細胞から肥大軟骨細胞層にかけて本発明の新規
ヒトADAMタンパク質の存在が確認された。こうして得ら
れた本発明の新規ADAM遺伝子を組み込んだDNA転移ラ
ットは、慢性関節リウマチや変形性などの関節の変形、
損傷を伴う関節症関節疾患、骨疾患、および慢性炎症性
疾患などを発症することがあり、その疾患モデル動物と
して利用することができる。さらに、本発明のDNA転
移ラットを用いて、これら病態機序の解明およびこれら
疾患を治療方法の検討を行うことが可能である。また本
発明のDNA転移ラットの作製方法により、目的とする
遺伝子DNA転移ラットを効率的に高収率で得ることが
できる。
【0099】
【実施例13】ADAMタンパク質のプロテアーゼ活性を調
節する物質の探索 実施例3に記載した方法と同様にして得たADAMタンパク
質溶液(25μl)に75μlの緩衝液(83.3 mM Tris-HCl、pH
7.5、16.7 mM NaCl、1.67 mM CaCl2、 16.7μMCoCl2、0.
067% BSA)を加えた後、25μlの基質溶液(50μM Nma
-Pro-Lys-Pro-Leu-Ala-Nva-Trp-Lys(DNP)-NH2、0.05% B
SA、5% DMSO)を添加することにより酵素反応を開始し
た。37℃で2時間保温後、100μlの0.5M酢酸緩衝液(pH
3.0)を加え、酵素反応を停止した。酵素液を加えない
場合の蛍光強度(励起波長340nm、測定波長450nmで蛍光
プレートリーダー(コロナMTP-32)を用いて、蛍光強度
を測定した。)が10であるのに対し、酵素液を加えた時
の蛍光強度は180であった。従って、本条件においても
本ADAMタンパク質はプロテアーゼ活性を示すことが明ら
かになった。10μlの所定の濃度に調整した被検化合物
(50% DMSOに溶解)を上記の活性測定系に加えた。その
結果、actinonin(シグマ社 A6671)は0.6mMのIC50
(プロテアーゼ活性を50%阻害する被検化合物の濃
度)を、N-CBZ-Pro-Leu-Gly hydroxamate(シグマ社 C8
537)は約 0.1mMのIC50値を示した。この事から、本ア
ッセイ系を用いて本発明のADAMタンパク質のプロテアー
ゼ活性を調節(阻害あるいは促進)する物質の探索が可
能と考えられた。
【0100】
【発明の効果】本発明のタンパク質およびそれをコード
するDNAは、例えば、椎間板ヘルニア、坐骨神経痛、
糸球体腎炎、糖尿病性腎症、肝繊維症、肺繊維症または
大理石病などの疾病の治療・予防剤として使用すること
ができる。また、本発明のタンパク質は、本発明のタン
パク質のプロテアーゼ活性および/または細胞外マトリ
ックス分解酵素活性(特にプロテオグリカン分解酵素活
性)を促進もしくは阻害する化合物またはその塩のスク
リーニングのための試薬として有用である。さらに、本
発明のタンパク質に対する抗体は、本発明のタンパク質
を特異的に認識することができるので、被検液中の本発
明のタンパク質の定量などに使用することができる。
【0101】
【配列表】 <110> Takeda Chemical Industries, Ltd. <120> Novel Protein and its DNA <130> A98134 <150> JP 10-250115 <151> 1998-09-03 <160> 28 <210> 1 <211> 540 <212> PRT <213> Human <400> 1 Met Leu Gln Gly Leu Leu Pro Val Ser Leu Leu Leu Ser Val Ala Val 1 5 10 15 Ser Ala Ile Lys Glu Leu Pro Gly Val Lys Lys Tyr Glu Val Val Tyr 20 25 30 Pro Ile Arg Leu His Pro Leu His Lys Arg Glu Ala Lys Glu Pro Glu 35 40 45 Gln Gln Glu Gln Phe Glu Thr Glu Leu Lys Tyr Lys Met Thr Ile Asn 50 55 60 Gly Lys Ile Ala Val Leu Tyr Leu Lys Lys Asn Lys Asn Leu Leu Ala 65 70 75 80 Pro Gly Tyr Thr Glu Thr Tyr Tyr Asn Ser Thr Gly Lys Glu Ile Thr 85 90 95 Thr Ser Pro Gln Ile Met Asp Asp Cys Tyr Tyr Gln Gly His Ile Leu 100 105 110 Asn Glu Lys Val Ser Asp Ala Ser Ile Ser Thr Cys Arg Gly Leu Arg 115 120 125 Gly Tyr Phe Ser Gln Gly Asp Gln Arg Tyr Phe Ile Glu Pro Leu Ser 130 135 140 Pro Ile His Arg Asp Gly Gln Glu His Ala Leu Phe Lys Tyr Asn Pro 145 150 155 160 Asp Glu Lys Asn Tyr Asp Ser Thr Cys Gly Met Asp Gly Val Leu Trp 165 170 175 Ala His Asp Leu Gln Gln Asn Ile Ala Leu Pro Ala Thr Lys Leu Val 180 185 190 Lys Leu Lys Asp Arg Lys Val Gln Glu His Glu Lys Tyr Ile Glu Tyr 195 200 205 Tyr Leu Val Leu Asp Asn Gly Glu Phe Lys Arg Tyr Asn Glu Asn Gln 210 215 220 Asp Glu Ile Arg Lys Arg Val Phe Glu Met Ala Asn Tyr Val Asn Met 225 230 235 240 Leu Tyr Lys Lys Leu Asn Thr His Val Ala Leu Val Gly Met Glu Ile 245 250 255 Trp Thr Asp Lys Asp Lys Ile Lys Ile Thr Pro Asn Ala Ser Phe Thr 260 265 270 Leu Glu Asn Phe Ser Lys Trp Arg Gly Ser Val Leu Ser Arg Arg Lys 275 280 285 Arg His Asp Ile Ala Gln Leu Ile Thr Ala Thr Glu Leu Ala Gly Thr 290 295 300 Thr Val Gly Leu Ala Phe Met Ser Thr Met Cys Ser Pro Tyr Ser Val 305 310 315 320 Gly Val Val Gln Asp His Ser Asp Asn Leu Leu Arg Val Ala Gly Thr 325 330 335 Met Ala His Glu Met Gly His Asn Phe Gly Met Phe His Asp Asp Tyr 340 345 350 Ser Cys Lys Cys Pro Ser Thr Ile Cys Val Met Asp Lys Ala Leu Ser 355 360 365 Phe Tyr Ile Pro Thr Asp Phe Ser Ser Cys Ser Arg Leu Ser Tyr Asp 370 375 380 Lys Phe Phe Glu Asp Lys Leu Ser Asn Cys Leu Phe Asn Ala Pro Leu 385 390 395 400 Pro Thr Asp Ile Ile Ser Thr Pro Ile Cys Gly Asn Gln Leu Val Glu 405 410 415 Met Gly Glu Asp Cys Asp Cys Gly Thr Ser Glu Glu Cys Thr Asn Ile 420 425 430 Cys Cys Asp Ala Lys Thr Cys Lys Ile Lys Ala Thr Phe Gln Cys Ala 435 440 445 Leu Gly Glu Cys Cys Glu Lys Cys Gln Phe Lys Lys Ala Gly Met Val 450 455 460 Cys Arg Pro Ala Lys Asp Glu Cys Asp Leu Pro Glu Met Cys Asn Gly 465 470 475 480 Lys Ser Gly Asn Cys Pro Asp Asp Arg Phe Gln Val Asn Gly Phe Pro 485 490 495 Cys His His Gly Lys Gly His Cys Leu Met Gly Thr Cys Pro Thr Leu 500 505 510 Gln Glu Gln Cys Thr Glu Leu Trp Gly Pro Gly Arg Arg Thr Asn Pro 515 520 525 Phe Pro Cys Ala Cys Ala Lys Glu Asn His Phe Arg 530 535 540 <210> 2 <211> 96 <212> PRT <213> Human <400> 2 Leu Pro Thr Asp Ile Ile Ser Thr Pro Ile Cys Gly Asn Gln Leu Val 1 5 10 15 Glu Met Gly Glu Asp Cys Asp Cys Gly Thr Ser Glu Glu Cys Thr Asn 20 25 30 Ile Cys Cys Asp Ala Lys Thr Cys Lys Ile Lys Ala Thr Phe Gln Cys 35 40 45 Ala Leu Gly Glu Cys Cys Glu Lys Cys Gln Phe Lys Lys Ala Gly Met 50 55 60 Val Cys Arg Pro Ala Lys Asp Glu Cys Asp Leu Pro Glu Met Cys Asn 65 70 75 80 Gly Lys Ser Gly Asn Cys Pro Asp Asp Arg Phe Gln Val Asn Gly Phe 85 90 95 96 <210> 3 <211> 1620 <212> DNA <213> Human <400> 3 ATGTTGCAAG GTCTCCTGCC AGTCAGTCTC CTCCTCTCTG TTGCAGTAAG TGCTATAAAA 60 GAACTCCCTG GGGTGAAGAA GTATGAAGTG GTTTATCCTA TAAGACTTCA TCCACTGCAT 120 AAAAGAGAGG CCAAAGAGCC AGAGCAACAG GAACAATTTG AAACTGAATT AAAGTATAAA 180 ATGACAATTA ATGGAAAAAT TGCAGTGCTT TATTTGAAAA AAAACAAGAA CCTCCTTGCA 240 CCAGGCTACA CGGAAACATA TTATAATTCC ACTGGAAAGG AGATCACCAC AAGCCCACAA 300 ATTATGGATG ATTGTTATTA TCAAGGACAT ATTCTTAATG AAAAGGTTTC TGACGCTAGC 360 ATCAGCACAT GTAGGGGTCT AAGGGGCTAC TTCAGTCAGG GGGATCAAAG ATACTTTATT 420 GAACCTTTAA GCCCCATACA TCGGGATGGA CAGGAGCATG CACTCTTCAA GTATAACCCT 480 GATGAAAAGA ATTATGACAG CACCTGTGGG ATGGATGGTG TGTTGTGGGC CCACGATTTG 540 CAGCAGAACA TTGCCCTACC TGCCACCAAA CTAGTAAAAT TGAAAGACAG GAAGGTTCAG 600 GAACATGAGA AATACATAGA ATATTATTTG GTCCTGGATA ATGGTGAGTT TAAAAGGTAC 660 AATGAGAATC AAGATGAGAT CAGAAAGAGG GTATTTGAGA TGGCTAATTA TGTCAACATG 720 CTTTATAAAA AGCTCAATAC TCATGTGGCC TTAGTTGGTA TGGAAATCTG GACTGACAAG 780 GATAAGATAA AGATAACCCC AAATGCAAGC TTCACCTTGG AGAATTTTTC TAAATGGAGG 840 GGGAGTGTTC TCTCAAGAAG AAAGCGTCAT GATATTGCTC AGTTAATCAC AGCAACAGAA 900 CTTGCTGGAA CGACTGTGGG TCTTGCATTT ATGTCTACAA TGTGTTCTCC TTATTCTGTT 960 GGCGTTGTTC AGGACCACAG CGATAATCTT CTTAGAGTTG CAGGGACAAT GGCACATGAA 1020 ATGGGCCACA ACTTTGGAAT GTTTCATGAC GACTATTCTT GCAAGTGTCC TTCTACAATA 1080 TGTGTGATGG ACAAAGCACT GAGCTTCTAT ATACCCACAG ACTTCAGTTC CTGCAGCCGT 1140 CTCAGCTATG ACAAGTTTTT TGAAGATAAA TTATCAAATT GCCTCTTTAA TGCTCCATTG 1200 CCTACAGATA TCATATCCAC TCCAATTTGT GGGAACCAGT TGGTGGAAAT GGGAGAGGAC 1260 TGTGATTGTG GGACATCTGA GGAATGTACC AATATTTGCT GTGATGCTAA GACATGTAAA 1320 ATCAAAGCAA CTTTTCAATG TGCATTAGGA GAATGTTGTG AAAAATGCCA ATTTAAAAAG 1380 GCTGGGATGG TGTGCAGACC AGCAAAAGAT GAGTGCGACC TGCCTGAAAT GTGTAATGGT 1440 AAATCTGGTA ATTGTCCTGA TGATAGATTC CAAGTCAATG GCTTCCCTTG CCATCACGGG 1500 AAGGGCCACT GCTTGATGGG GACATGCCCC ACACTGCAGG AGCAGTGCAC AGAGCTGTGG 1560 GGACCAGGTA GGAGGACAAA TCCTTTCCCC TGTGCATGTG CGAAGGAAAA TCATTTCAGA 1620 <210> 4 <211> 288 <212> DNA <213> Human <400> 4 TTGCCTACAG ATATCATATC CACTCCAATT TGTGGGAACC AGTTGGTGGA AATGGGAGAG 60 GACTGTGATT GTGGGACATC TGAGGAATGT ACCAATATTT GCTGTGATGC TAAGACATGT 120 AAAATCAAAG CAACTTTTCA ATGTGCATTA GGAGAATGTT GTGAAAAATG CCAATTTAAA 180 AAGGCTGGGA TGGTGTGCAG ACCAGCAAAA GATGAGTGCG ACCTGCCTGA AATGTGTAAT 240 GGTAAATCTG GTAATTGTCC TGATGATAGA TTCCAAGTCA ATGGCTTC 288 <210> 5 <211> 201 <212> PRT <213> Human <400> 5 Val Gln Glu His Glu Lys Tyr Ile Glu Tyr Tyr Leu Val Leu Asp Asn 1 5 10 15 Gly Glu Phe Lys Arg Tyr Asn Glu Asn Gln Asp Glu Ile Arg Lys Arg 20 25 30 Val Phe Glu Met Ala Asn Tyr Val Asn Met Leu Tyr Lys Lys Leu Asn 35 40 45 Thr His Val Ala Leu Val Gly Met Glu Ile Trp Thr Asp Lys Asp Lys 50 55 60 Ile Lys Ile Thr Pro Asn Ala Ser Phe Thr Leu Glu Asn Phe Ser Lys 65 70 75 80 Trp Arg Gly Ser Val Leu Ser Arg Arg Lys Arg His Asp Ile Ala Gln 85 90 95 Leu Ile Thr Ala Thr Glu Leu Ala Gly Thr Thr Val Gly Leu Ala Phe 100 105 110 Met Ser Thr Met Cys Ser Pro Tyr Ser Val Gly Val Val Gln Asp His 115 120 125 Ser Asp Asn Leu Leu Arg Val Ala Gly Thr Met Ala His Glu Met Gly 130 135 140 His Asn Phe Gly Met Phe His Asp Asp Tyr Ser Cys Lys Cys Pro Ser 145 150 155 160 Thr Ile Cys Val Met Asp Lys Ala Leu Ser Phe Tyr Ile Pro Thr Asp 165 170 175 Phe Ser Ser Cys Ser Arg Leu Ser Tyr Asp Lys Phe Phe Glu Asp Lys 180 185 190 Leu Ser Asn Cys Leu Phe Asn Ala Pro 195 200 201 <210> 6 <211> 10 <212> PRT <213> Human <400> 6 Glu Cys Thr Asn Ile Cys Cys Asp Ala Lys 1 5 10 <210> 7 <211> 23 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> <400> 7 GTRGAISMDK SDGARSARTG TGA 23 <210> 8 <211> 26 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> <400> 8 AYYTGWDBRD DWICDKVDDS IGGGCA 26 <210> 9 <211> 28 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> <400> 9 ATCACAGTCC TCTCCCATTT CCACCAAC 28 <210> 10 <211> 26 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> <400> 10 CACATTTCAG GCAGGTCGCA CTCATC 26 <210> 11 <211> 27 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> <400> 11 TCGCTGTGGT CCTGAACAAC GCCAACA 27 <210> 12 <211> 28 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> <400> 12 CACACCATCC ATCCCACAGG TGCTGTCA 28 <210> 13 <211> 28 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> <400> 13 GGAACCAGTT GGTGGAAATG GGAGAGGA 28 <210> 14 <211> 29 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> <400> 14 AGGACTGTGA TTGTGGGACG TCTGAGGAA 29 <210> 15 <211> 775 <212> PRT <213> Human <400> 15 Met Leu Gln Gly Leu Leu Pro Val Ser Leu Leu Leu Ser Val Ala Val 1 5 10 15 Ser Ala Ile Lys Glu Leu Pro Gly Val Lys Lys Tyr Glu Val Val Tyr 20 25 30 Pro Ile Arg Leu His Pro Leu His Lys Arg Glu Ala Lys Glu Pro Glu 35 40 45 Gln Gln Glu Gln Phe Glu Thr Glu Leu Lys Tyr Lys Met Thr Ile Asn 50 55 60 Gly Lys Ile Ala Val Leu Tyr Leu Lys Lys Asn Lys Asn Leu Leu Ala 65 70 75 80 Pro Gly Tyr Thr Glu Thr Tyr Tyr Asn Ser Thr Gly Lys Glu Ile Thr 85 90 95 Thr Ser Pro Gln Ile Met Asp Asp Cys Tyr Tyr Gln Gly His Ile Leu 100 105 110 Asn Glu Lys Val Ser Asp Ala Ser Ile Ser Thr Cys Arg Gly Leu Arg 115 120 125 Gly Tyr Phe Ser Gln Gly Asp Gln Arg Tyr Phe Ile Glu Pro Leu Ser 130 135 140 Pro Ile His Arg Asp Gly Gln Glu His Ala Leu Phe Lys Tyr Asn Pro 145 150 155 160 Asp Glu Lys Asn Tyr Asp Ser Thr Cys Gly Met Asp Gly Val Leu Trp 165 170 175 Ala His Asp Leu Gln Gln Asn Ile Ala Leu Pro Ala Thr Lys Leu Val 180 185 190 Lys Leu Lys Asp Arg Lys Val Gln Glu His Glu Lys Tyr Ile Glu Tyr 195 200 205 Tyr Leu Val Leu Asp Asn Gly Glu Phe Lys Arg Tyr Asn Glu Asn Gln 210 215 220 Asp Glu Ile Arg Lys Arg Val Phe Glu Met Ala Asn Tyr Val Asn Met 225 230 235 240 Leu Tyr Lys Lys Leu Asn Thr His Val Ala Leu Val Gly Met Glu Ile 245 250 255 Trp Thr Asp Lys Asp Lys Ile Lys Ile Thr Pro Asn Ala Ser Phe Thr 260 265 270 Leu Glu Asn Phe Ser Lys Trp Arg Gly Ser Val Leu Ser Arg Arg Lys 275 280 285 Arg His Asp Ile Ala Gln Leu Ile Thr Ala Thr Glu Leu Ala Gly Thr 290 295 300 Thr Val Gly Leu Ala Phe Met Ser Thr Met Cys Ser Pro Tyr Ser Val 305 310 315 320 Gly Val Val Gln Asp His Ser Asp Asn Leu Leu Arg Val Ala Gly Thr 325 330 335 Met Ala His Glu Met Gly His Asn Phe Gly Met Phe His Asp Asp Tyr 340 345 350 Ser Cys Lys Cys Pro Ser Thr Ile Cys Val Met Asp Lys Ala Leu Ser 355 360 365 Phe Tyr Ile Pro Thr Asp Phe Ser Ser Cys Ser Arg Leu Ser Tyr Asp 370 375 380 Lys Phe Phe Glu Asp Lys Leu Ser Asn Cys Leu Phe Asn Ala Pro Leu 385 390 395 400 Pro Thr Asp Ile Ile Ser Thr Pro Ile Cys Gly Asn Gln Leu Val Glu 405 410 415 Met Gly Glu Asp Cys Asp Cys Gly Thr Ser Glu Glu Cys Thr Asn Ile 420 425 430 Cys Cys Asp Ala Lys Thr Cys Lys Ile Lys Ala Thr Phe Gln Cys Ala 435 440 445 Leu Gly Glu Cys Cys Glu Lys Cys Gln Phe Lys Lys Ala Gly Met Val 450 455 460 Cys Arg Pro Ala Lys Asp Glu Cys Asp Leu Pro Glu Met Cys Asn Gly 465 470 475 480 Lys Ser Gly Asn Cys Pro Asp Asp Arg Phe Gln Val Asn Gly Phe Pro 485 490 495 Cys His His Gly Lys Gly His Cys Leu Met Gly Thr Cys Pro Thr Leu 500 505 510 Gln Glu Gln Cys Thr Glu Leu Trp Gly Pro Gly Thr Glu Val Ala Asp 515 520 525 Lys Ser Cys Tyr Asn Arg Asn Glu Gly Gly Ser Lys Tyr Gly Tyr Cys 530 535 540 Arg Arg Val Asp Asp Thr Leu Ile Pro Cys Lys Ala Asn Asp Thr Met 545 550 555 560 Cys Gly Lys Leu Phe Cys Gln Gly Gly Ser Asp Asn Leu Pro Trp Lys 565 570 575 Gly Arg Ile Val Thr Phe Leu Thr Cys Lys Thr Phe Asp Pro Glu Asp 580 585 590 Thr Ser Gln Glu Ile Gly Met Val Ala Asn Gly Thr Lys Cys Gly Asp 595 600 605 Asn Lys Val Cys Ile Asn Ala Glu Cys Val Asp Ile Glu Lys Ala Tyr 610 615 620 Lys Ser Thr Asn Cys Ser Ser Lys Cys Lys Gly His Ala Val Cys Asp 625 630 635 640 His Glu Leu Gln Cys Gln Cys Glu Glu Gly Trp Ile Pro Pro Asp Cys 645 650 655 Asp Asp Ser Ser Val Val Phe His Phe Ser Ile Val Val Gly Val Leu 660 665 670 Phe Pro Met Ala Val Ile Phe Val Val Val Ala Met Val Ile Arg His 675 680 685 Gln Ser Ser Arg Glu Lys Gln Lys Lys Asp Gln Arg Pro Leu Ser Thr 690 695 700 Thr Gly Thr Arg Pro His Lys Gln Lys Arg Lys Pro Gln Met Val Lys 705 710 715 720 Ala Val Gln Pro Gln Glu Met Ser Gln Met Lys Pro His Val Tyr Asp 725 730 735 Leu Pro Val Glu Gly Asn Glu Pro Pro Ala Ser Phe His Lys Asp Thr 740 745 750 Asn Ala Leu Pro Pro Thr Val Phe Lys Asp Asn Pro Met Ser Thr Pro 755 760 765 Lys Asp Ser Asn Pro Lys Ala 770 775 <210> 16 <211> 2325 <212> DNA <213> Human <400> 16 ATGTTGCAAG GTCTCCTGCC AGTCAGTCTC CTCCTCTCTG TTGCAGTAAG TGCTATAAAA 60 GAACTCCCTG GGGTGAAGAA GTATGAAGTG GTTTATCCTA TAAGACTTCA TCCACTGCAT 120 AAAAGAGAGG CCAAAGAGCC AGAGCAACAG GAACAATTTG AAACTGAATT AAAGTATAAA 180 ATGACAATTA ATGGAAAAAT TGCAGTGCTT TATTTGAAAA AAAACAAGAA CCTCCTTGCA 240 CCAGGCTACA CGGAAACATA TTATAATTCC ACTGGAAAGG AGATCACCAC AAGCCCACAA 300 ATTATGGATG ATTGTTATTA TCAAGGACAT ATTCTTAATG AAAAGGTTTC TGACGCTAGC 360 ATCAGCACAT GTAGGGGTCT AAGGGGCTAC TTCAGTCAGG GGGATCAAAG ATACTTTATT 420 GAACCTTTAA GCCCCATACA TCGGGATGGA CAGGAGCATG CACTCTTCAA GTATAACCCT 480 GATGAAAAGA ATTATGACAG CACCTGTGGG ATGGATGGTG TGTTGTGGGC CCACGATTTG 540 CAGCAGAACA TTGCCCTACC TGCCACCAAA CTAGTAAAAT TGAAAGACAG GAAGGTTCAG 600 GAACATGAGA AATACATAGA ATATTATTTG GTCCTGGATA ATGGTGAGTT TAAAAGGTAC 660 AATGAGAATC AAGATGAGAT CAGAAAGAGG GTATTTGAGA TGGCTAATTA TGTCAACATG 720 CTTTATAAAA AGCTCAATAC TCATGTGGCC TTAGTTGGTA TGGAAATCTG GACTGACAAG 780 GATAAGATAA AGATAACCCC AAATGCAAGC TTCACCTTGG AGAATTTTTC TAAATGGAGG 840 GGGAGTGTTC TCTCAAGAAG AAAGCGTCAT GATATTGCTC AGTTAATCAC AGCAACAGAA 900 CTTGCTGGAA CGACTGTGGG TCTTGCATTT ATGTCTACAA TGTGTTCTCC TTATTCTGTT 960 GGCGTTGTTC AGGACCACAG CGATAATCTT CTTAGAGTTG CAGGGACAAT GGCACATGAA 1020 ATGGGCCACA ACTTTGGAAT GTTTCATGAC GACTATTCTT GCAAGTGTCC TTCTACAATA 1080 TGTGTGATGG ACAAAGCACT GAGCTTCTAT ATACCCACAG ACTTCAGTTC CTGCAGCCGT 1140 CTCAGCTATG ACAAGTTTTT TGAAGATAAA TTATCAAATT GCCTCTTTAA TGCTCCATTG 1200 CCTACAGATA TCATATCCAC TCCAATTTGT GGGAACCAGT TGGTGGAAAT GGGAGAGGAC 1260 TGTGATTGTG GGACATCTGA GGAATGTACC AATATTTGCT GTGATGCTAA GACATGTAAA 1320 ATCAAAGCAA CTTTTCAATG TGCATTAGGA GAATGTTGTG AAAAATGCCA ATTTAAAAAG 1380 GCTGGGATGG TGTGCAGACC AGCAAAAGAT GAGTGCGACC TGCCTGAAAT GTGTAATGGT 1440 AAATCTGGTA ATTGTCCTGA TGATAGATTC CAAGTCAATG GCTTCCCTTG CCATCACGGG 1500 AAGGGCCACT GCTTGATGGG GACATGCCCC ACACTGCAGG AGCAGTGCAC AGAGCTGTGG 1560 GGACCAGGAA CTGAGGTTGC AGATAAGTCA TGTTACAACA GGAATGAAGG TGGGTCAAAG 1620 TACGGGTACT GTCGCAGAGT GGATGACACA CTCATTCCCT GCAAAGCAAA TGATACCATG 1680 TGTGGGAAGT TGTTCTGTCA AGGTGGGTCG GATAATTTGC CCTGGAAAGG ACGGATAGTG 1740 ACTTTCCTGA CATGTAAAAC ATTTGATCCT GAAGACACAA GTCAAGAAAT AGGCATGGTG 1800 GCCAATGGAA CTAAGTGTGG CGATAACAAG GTTTGCATTA ATGCAGAATG TGTGGATATT 1860 GAGAAAGCCT ACAAATCAAC CAATTGCTCA TCTAAGTGCA AAGGACATGC TGTGTGTGAC 1920 CATGAGCTCC AGTGTCAATG TGAGGAAGGA TGGATCCCTC CCGACTGCGA TGACTCCTCA 1980 GTGGTCTTCC ACTTCTCCAT TGTGGTTGGG GTGCTGTTCC CAATGGCGGT CATTTTTGTG 2040 GTGGTTGCTA TGGTAATCCG GCACCAGAGC TCCAGAGAAA AGCAGAAGAA AGATCAGAGG 2100 CCACTATCTA CCACTGGCAC CAGGCCACAC AAACAGAAGA GGAAACCCCA GATGGTAAAG 2160 GCTGTTCAAC CCCAAGAGAT GAGTCAGATG AAGCCCCATG TGTATGATCT GCCAGTAGAA 2220 GGCAATGAGC CCCCAGCCTC TTTTCATAAA GACACAAACG CACTTCCCCC TACTGTTTTC 2280 AAGGATAATC CAATGTCTAC ACCTAAGGAC TCAAATCCAA AAGCA 2325 <210> 17 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> <400> 17 CATATGGTTC AGGAACATGA GAAATACATA 30 <210> 18 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> <400> 18 CTCGAGGAAG CCATTGACTT GGAATCTATC 30 <210> 19 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> <400> 19 CTCAGATGTC CCACAATCAC AGTC 24 <210> 20 <211> 25 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> <400> 20 ACATGTAAAA TCAAAGCAAC TTTTC 25 <210> 21 <211> 28 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> <400> 21 GTGGTGGTGG ACAACTAGGA AACTCTGG 28 <210> 22 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> <400> 22 CGAGGCGAAT CATGGCTCAC CGCG 24 <210> 23 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> <400> 23 TCCACGCGTT TGGGAAACTT CTTGGCTGCG 30 <210> 24 <211> 29 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> <400> 24 GCTTCGTCGC CGCTACGCGT GGGGCCGGA 29 <210> 25 <211> 27 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> <400> 25 ATCGATTGAG CGAGAAGAGC AGACACC 27 <210> 26 <211> 28 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> <400> 26 AGATCTTGCC ATCCAGATTT TCCAGTTT 28 <210> 27 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> <400> 27 CGCCGCTGGG CTGCCGGGTC 20 <210> 28 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> <400> 28 TCCATCCCGA TGTATGGGGC 20
【0102】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のADAMファミリーに属するタンパク
質をコードするDNAの塩基配列とそれにコードされる
アミノ酸配列を示す(図2に続く)。
【図2】本発明のADAMファミリーに属するタンパク
質をコードするDNAの塩基配列とそれにコードされる
アミノ酸配列を示す(図1の続き)。
【図3】本発明のADAMファミリーに属するタンパク
質をコードするDNAの塩基配列とそれにコードされる
アミノ酸配列を示す(図4に続く)。
【図4】本発明のADAMファミリーに属するタンパク
質をコードするDNAの塩基配列とそれにコードされる
アミノ酸配列を示す(図3の続き)。
【図5】実施例9で作成したべクター(pTB2076)の構
築図を示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 45/00 A61K 48/00 48/00 A61P 1/16 A61P 1/16 9/10 9/10 13/12 13/12 19/04 19/04 19/10 19/10 29/00 29/00 43/00 111 43/00 111 C07K 16/18 C07K 16/18 C12N 9/14 C12N 5/10 C12P 21/02 C 9/14 C12Q 1/34 C12P 21/02 1/68 Z C12Q 1/34 G01N 33/15 Z 1/68 33/50 Z G01N 33/15 33/53 D 33/50 C12P 21/08 33/53 A61K 37/48 // C12P 21/08 C12N 5/00 B (C12N 9/14 C12R 1:91)

Claims (36)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】配列番号:2で表されるアミノ酸配列と同
    一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を有するタンパ
    ク質またはその塩。
  2. 【請求項2】配列番号:2で表されるアミノ酸配列と同
    一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列をディスインテ
    グリン領域として有する請求項1記載のタンパク質又は
    その塩。
  3. 【請求項3】ADAMファミリーに属する請求項1記載
    のタンパク質またはその塩。
  4. 【請求項4】配列番号:1または配列番号:15で表さ
    れるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ
    酸配列を有する請求項1記載のタンパク質またはその
    塩。
  5. 【請求項5】プロテアーゼ活性を有する請求項1記載の
    タンパク質またはその塩。
  6. 【請求項6】配列番号:6で表されるアミノ酸配列と同
    一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を有する請求項
    1記載のタンパク質の部分ペプチドまたはその塩。
  7. 【請求項7】配列番号:2で表されるアミノ酸配列と同
    一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を有するタンパ
    ク質をコードする塩基配列を有するDNAを有するDN
    A。
  8. 【請求項8】配列番号:3または配列番号:16で表さ
    れる塩基配列を有する請求項7記載のDNA。
  9. 【請求項9】請求項6記載の部分ペプチドをコードする
    DNAを有するDNA。
  10. 【請求項10】配列番号:4で表される塩基配列を有す
    る請求項9記載のDNA。
  11. 【請求項11】請求項7記載のDNAを有する組換えベ
    クター。
  12. 【請求項12】請求項11記載の組換えベクターで形質
    転換された形質転換体。
  13. 【請求項13】請求項12記載の形質転換体を培養し、
    請求項1記載のタンパク質を生成せしめることを特徴と
    する請求項1記載のタンパク質またはその塩の製造法。
  14. 【請求項14】請求項1記載のタンパク質もしくは請求
    項6記載の部分ペプチドまたはその塩に対する抗体。
  15. 【請求項15】請求項7記載のDNAまたは請求項14
    記載の抗体を含有してなる診断薬。
  16. 【請求項16】請求項1記載のタンパク質もしくは請求
    項6記載の部分ペプチドまたはその塩を含有してなる
    剤。
  17. 【請求項17】請求項1記載のタンパク質もしくは請求
    項6記載の部分ペプチドまたはその塩を含有してなる医
    薬。
  18. 【請求項18】椎間板ヘルニア、坐骨神経痛、糸球体腎
    炎、糖尿病性腎症、肝繊維症、肺繊維症または大理石病
    の予防・治療剤である請求項17記載の医薬。
  19. 【請求項19】請求項1記載のタンパク質またはその塩
    を用いることを特徴とする、プロテアーゼ活性を促進ま
    たは阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方
    法。
  20. 【請求項20】請求項1記載のタンパク質またはその塩
    を含有してなる、プロテアーゼ活性を促進または阻害す
    る化合物またはその塩のスクリーニング用キット。
  21. 【請求項21】請求項19記載のスクリーニング方法ま
    たは請求項20記載のスクリーニング用キットを用いて
    得られうる、プロテアーゼ活性を促進または阻害する化
    合物またはその塩。
  22. 【請求項22】請求項19記載のスクリーニング方法ま
    たは請求項20記載のスクリーニング用キットを用いて
    得られうるプロテアーゼ活性を促進または阻害する化合
    物またはその塩を含有してなる医薬。
  23. 【請求項23】配列番号:5で表されるアミノ酸配列と
    同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を有するタン
    パク質またはその塩を含有してなる細胞外マトリックス
    分解剤。
  24. 【請求項24】細胞外マトリックスがプロテオグリカン
    である請求項23記載の剤。
  25. 【請求項25】医薬組成物である請求項23記載の剤。
  26. 【請求項26】椎間板ヘルニア、坐骨神経痛、糸球体腎
    炎、糖尿病性腎症、肝繊維症、肺繊維症もしくは大理石
    病の予防・治療剤である請求項23記載の剤。
  27. 【請求項27】配列番号:5で表されるアミノ酸配列と
    同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を有するタン
    パク質またはその塩を用いることを特徴とする、細胞外
    マトリックス分解酵素活性を促進または阻害する化合物
    またはその塩のスクリーニング方法。
  28. 【請求項28】配列番号:5で表されるアミノ酸配列と
    同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を有するタン
    パク質またはその塩を含有してなる、細胞外マトリック
    ス分解酵素活性を促進または阻害する化合物またはその
    塩のスクリーニング用キット。
  29. 【請求項29】請求項27記載のスクリーニング方法ま
    たは請求項28記載のスクリーニング用キットを用いて
    得られうる、細胞外マトリックス分解酵素活性を促進ま
    たは阻害する化合物またはその塩。
  30. 【請求項30】請求項27記載のスクリーニング方法ま
    たは請求項28記載のスクリーニング用キットを用いて
    得られうる、細胞外マトリックス分解酵素活性を促進ま
    たは阻害する化合物またはその塩を含有してなる医薬。
  31. 【請求項31】配列番号:5で表されるアミノ酸配列と
    同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を有するタン
    パク質またはその塩に対する抗体を含有してなる診断
    薬。
  32. 【請求項32】被検遺伝子を導入した組換え体と動物由
    来の軟骨あるいは軟骨基質産生細胞を混合培養し、培養
    上清中の硫酸化グリコサミノグリカンを測定することを
    特徴とするプロテオグリカン分解酵素遺伝子を検出する
    方法。
  33. 【請求項33】(1)プロテオグリカン分解酵素活性を
    有するタンパク質をコードする遺伝子を導入した組換え
    体、(2)動物由来の軟骨または軟骨基質産生細胞およ
    び(3)被検物を混合培養し、培養上清中の硫酸化グリ
    コサミノグリカンを測定することを特徴とする、プロテ
    オグリカン分解酵素の活性阻害剤あるいは活性促進剤の
    スクリーニング方法。
  34. 【請求項34】(1)請求項7記載のDNAまたは配
    列番号:5で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質
    的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質をコード
    する塩基配列を有するDNAを含有するDNA、を含有する動
    物細胞、(2)動物由来の軟骨または軟骨基質産生細胞
    および(3)被検物を混合培養し、上清中の硫酸化グリ
    コサミノグリカン量を測定することを特徴とするプロテ
    オグリカン分解酵素の活性阻害剤あるいは活性促進剤の
    スクリーニング方法。
  35. 【請求項35】配列番号:2で表されるアミノ酸配列と
    同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を有するタン
    パク質をコードする塩基配列を有するDNAを有するD
    NAまたはその変異DNAを有する非ヒト哺乳動物。
  36. 【請求項36】配列番号:2で表されるアミノ酸配列と
    同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を有するタン
    パク質を発現しうる請求項35記載の動物。
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