JP2002112772A - 新規ポリペプチドおよびそのdna - Google Patents

新規ポリペプチドおよびそのdna

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JP2002112772A
JP2002112772A JP2000271516A JP2000271516A JP2002112772A JP 2002112772 A JP2002112772 A JP 2002112772A JP 2000271516 A JP2000271516 A JP 2000271516A JP 2000271516 A JP2000271516 A JP 2000271516A JP 2002112772 A JP2002112772 A JP 2002112772A
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JP
Japan
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protein
amino acid
acid sequence
present
dna
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JP2000271516A
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English (en)
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Kuniji Hinuma
州司 日沼
Masashi Fukuzumi
昌司 福住
Akira Fujii
亮 藤井
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】新規ポリペプチドおよびそのDNAの提供。 【解決手段】本発明は、FGFに類似構造を有すること
を特徴とする新規ポリペプチドおよびその塩などに関す
る。 【効果】本発明のタンパク質(ポリペプチド)、その部
分ペプチドまたはそれらの塩、およびそれらをコードす
るDNAは、抗体および抗血清の入手、本発明のタンパ
ク質(ポリペプチド)の発現系の構築、同発現系を用い
た医薬品候補化合物のスクリーニングなどとして用いる
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はFibroblast Growth
Factor(FGF)に類似の構造を有することを特徴とする
新規ポリペプチド、その部分ペプチドおよびそれらをコ
ードするDNAなどに関する。
【0002】
【従来の技術】Fibroblast growth factor(FGF)は1
973年にウシの下垂体抽出液からマウス3T3細胞の分
裂を促す因子(マイトジェン)として最初見出され、
(Nature249, 123(1974))その後、ヘパリン結合性など
の化学的性質が明らかになった。1980年代になって、こ
の活性を示す分子量約一万数千の蛋白質が精製され、cD
NAクローニングもなされて、FGF-1およびFGF-2の実体が
明確になった。一方、これらFGFと構造が関連する因子
が、癌遺伝子として、あるいは様々な細胞に対するマイ
トジェンとして、さらには相同性遺伝子のスクリーニン
グから次々に同定されて、現在までに哺乳類において1
9種類のメンバーからなるFGFファミリーが知られるよ
うになった(図3)。一方、最近のゲノムやcDNAの配列
解析の急速な進展により、膨大なDNA情報が入手可能に
なった。これらのDNAの中にはこれまで未知であった生
理活性物質をコードするものが含まれているものと推定
される。しかしながらゲノムDNA配列やExpressed Seque
nce Tag(EST)から、未知の生理活性物質を探そうとし
ても、類似した配列はまったく無関係な蛋白の遺伝子や
非翻訳領域のDNA配列にも見出され、さらには偽遺伝子
の存在の可能性もあるため、それらの中からどれが本当
の生理活性物質であるかどうかを確定することは困難で
あった。FGFファミリーの受容体としては現在までに、
4種類(FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4)が知られている。
これら4種類はすべて1回膜貫通受容体であり、細胞内
にキナーゼドメインを持つことが知られている。さらに
タンパク質レベルでは、遺伝子それぞれから多くのバリ
アントがmRNAの選択スプライシングによって作られるこ
とも明らかになった。また上述の19種類のFGFファミ
リーはこれらの受容体に交差反応性を示すことが知られ
ている。
【0003】一方これらのFGFファミリーの生理活性に
関してはさまざまな報告がある。特に研究の歴史が比較
的長いFGF-1やFGF-2、FGF-7などはかなりよく知られて
いる(EMBO(European Molecular Biology Organizatio
n) Journal 5, 2523(1986), FEBS Letters 213, 189(19
87), Science 233, 545 (1986)等)。しかし、新しく見
出されたばかりのFGFに関してはまだ不明な点が多い。
これらに関して現在までに得られている知見をまとめる
と、FGFは極めて多種類の細胞に対して細胞増殖、細胞
の維持、組織の形成、増強、新生、分化など多方面にわ
たる機能があるということができる。特に、マイトジェ
ン(細胞分裂誘発因子)としての活性、血管新生、軟骨
形成、神経細胞の維持などの機能が注目されている。FG
F-2は該機能に関し、広い活性を示すことが知られてい
るが、その他の因子の関わりについては不明の点が多
い。発生、分化の過程に関しては、FGFファミリーのす
べてのメンバーが何らかの形で、ある因子は胚葉レベル
の広い範囲で、別の因子は限られた組織の限られた細胞
種の増殖や分化に機能していることが推測されている。
上記のように、FGFファミリーのタンパク質に関して
は、多くの非常に重要な生理作用が報告されている。し
かし既に報告されている19種以外に哺乳動物で知られて
いるFGFファミリーは知られていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、未知のFGFフ
ァミリーに属するタンパク質を見出し、それを利用した
新たな生理活性物質を含有してなる疾患の予防、治療、
診断薬の開発が望まれていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者たちは上記の課
題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、プライマー
を作製し、ヒト膵臓およびラット肝臓cDNAを鋳型とする
PCRにより、新規な塩基配列を有するcDNAをクローニン
グすることに成功した。そして、本発明者らは、得られ
たcDNAにコードされているタンパク質が有用なFGFファ
ミリーであることを見出し、これらの知見に基づいて、
さらに検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明は、(1)配列番号:1
1で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同
一のアミノ酸配列を含有するタンパク質またはその塩、
(2)配列番号:11で表されるアミノ酸配列のN末端
から第113番目(Gly)ないし第136番目(Tyr)の部分ア
ミノ酸配列を含有する上記(1)記載のタンパク質の部
分ペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエステルま
たはその塩、(3)上記(1)記載のタンパク質または
上記(2)記載の部分ペプチドをコードする塩基配列を
有するDNAを含有するDNA、(4)配列番号:12
で表わされる塩基配列を有する上記(3)記載のDN
A、(5)上記(4)記載のDNAを含有する組換えベ
クター、(6)上記(5)記載の組換えベクターで形質
転換された形質転換体、(7)上記(6)記載の形質転
換体を培養し、上記(1)記載のタンパク質または上記
(2)記載の部分ペプチドを生成、蓄積せしめ、これを
採取することを特徴とする上記(1)記載のタンパク質
もしくはその塩、または上記(2)記載の部分ペプチド
もしくはそのアミドもしくはそのエステルまたはその塩
の製造方法、(8)上記(1)記載のタンパク質もし
くはその塩、上記(2)記載の部分ペプチドもしくは
そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩、配列
番号:1で表されるアミノ酸配列と同一または実質的に
同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質またはその
塩、または配列番号:1で表されるアミノ酸配列のN
末端から第112番目(Gly)ないし第135番目(Tyr)のア
ミノ酸配列を含有し、配列番号:1で表されるアミノ酸
配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有す
るタンパク質の部分ペプチドもしくはそのアミドもしく
はそのエステルまたはその塩を含有してなる医薬、
(9)上記(3)記載のDNA、配列番号:1で表
されるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ
酸配列を含有するタンパク質をコードする塩基配列を有
するDNAを含有するDNA、または配列番号:1で
表されるアミノ酸配列のN末端から第112番目(Gly)な
いし第135番目(Tyr)のアミノ酸配列を含有し、配列番
号:1で表されるアミノ酸配列と同一または実質的に同
一のアミノ酸配列を含有するタンパク質の部分ペプチド
をコードする塩基配列を有するDNAを含有するDNA
を含有してなる医薬、(10)細胞増殖、細胞の維持、
組織の形成・増強・新生・分化作用を有する上記(8)
または(9)記載の医薬、(11)上記(1)記載の
タンパク質もしくはその塩、上記(2)記載の部分ペ
プチドもしくはそのアミドもしくはそのエステルまたは
その塩、配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一
または実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク
質またはその塩、または配列番号:1で表されるアミ
ノ酸配列のN末端から第112番目(Gly)ないし第135番
目(Tyr)のアミノ酸配列を含有し、配列番号:1で表
されるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ
酸配列を含有するタンパク質の部分ペプチドもしくはそ
のアミドもしくはそのエステルまたはその塩に対する抗
体、(12)上記(1)記載のタンパク質もしくはそ
の塩、上記(2)記載の部分ペプチドもしくはそのア
ミドもしくはそのエステルまたはその塩、配列番号:
1で表されるアミノ酸配列と同一または実質的に同一の
アミノ酸配列を含有するタンパク質またはその塩、また
は配列番号:1で表されるアミノ酸配列のN末端から
第112番目(Gly)ないし第135番目(Tyr)のアミノ酸配
列を含有し、配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同
一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパ
ク質の部分ペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエ
ステルまたはその塩を用いることを特徴とするレセプタ
ーアゴニストまたはアンタゴニストのスクリーニング方
法、(13)上記(1)記載のタンパク質もしくはそ
の塩、上記(2)記載の部分ペプチドもしくはそのア
ミドもしくはそのエステルまたはその塩、配列番号:
1で表されるアミノ酸配列と同一または実質的に同一の
アミノ酸配列を含有するタンパク質またはその塩、また
は配列番号:1で表されるアミノ酸配列のN末端から
第112番目(Gly)ないし第135番目(Tyr)のアミノ酸配
列を含有し、配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同
一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパ
ク質の部分ペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエ
ステルまたはその塩を含有するレセプターアゴニストま
たはアンタゴニストのスクリーニング用キット、および
(14)上記(12)記載のスクリーニング方法または
上記(13)記載のスクリーニング用キットを用いて得
られるレセプターアゴニストまたはアンタゴニスト等を
提供する。
【0007】さらには、本発明は、(15)(i)レセ
プターまたはその部分ペプチドに、上記(1)記載の
タンパク質もしくはその塩、上記(2)記載の部分ペ
プチドもしくはそのアミドもしくはそのエステルまたは
その塩、配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一
または実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク
質またはその塩、または配列番号:1で表されるアミ
ノ酸配列のN末端から第112番目(Gly)ないし第135番
目(Tyr)のアミノ酸配列を含有し、配列番号:1で表
されるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ
酸配列を含有するタンパク質の部分ペプチドもしくはそ
のアミドもしくはそのエステルまたはその塩を接触させ
た場合と、(ii)レセプターまたはその部分ペプチド
に、上記(1)記載のタンパク質もしくはその塩、
上記(2)記載の部分ペプチドもしくはそのアミドもし
くはそのエステルまたはその塩、配列番号:1で表さ
れるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸
配列を含有するタンパク質またはその塩、または配列
番号:1で表されるアミノ酸配列のN末端から第112番
目(Gly)ないし第135番目(Tyr)のアミノ酸配列を含
有し、配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一また
は実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質の
部分ペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエステル
またはその塩および試験化合物を接触させた場合におい
て、該レセプターまたはその部分ペプチドと上記
(1)項記載のタンパク質もしくはその塩、上記
(2)記載の部分ペプチドもしくはそのアミドもしくは
そのエステルまたはその塩、配列番号:1で表される
アミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列
を含有するタンパク質またはその塩、または配列番
号:1で表されるアミノ酸配列のN末端から第112番目
(Gly)ないし第135番目(Tyr)のアミノ酸配列を含有
し、配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一または
実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質の部
分ペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエステルま
たはその塩との結合量を測定し、比較することを特徴と
する上記(12)記載のスクリーニング方法、(16)
(i)レセプターを含有する細胞またはその細胞膜画分
に、上記(1)記載のタンパク質もしくはその塩、
上記(2)記載の部分ペプチドもしくはそのアミドもし
くはそのエステルまたはその塩、配列番号:1で表さ
れるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸
配列を含有するタンパク質またはその塩、または配列
番号:1で表されるアミノ酸配列のN末端から第112番
目(Gly)ないし第135番目(Tyr)の部分アミノ酸配列
を含有し、配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一
または実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク
質の部分ペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエス
テルまたはその塩を接触させた場合と、(ii)レセプタ
ーを含有する細胞またはその細胞膜画分に、上記
(1)記載のタンパク質もしくはその塩、上記(2)
記載の部分ペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエ
ステルまたはその塩、配列番号:1で表されるアミノ
酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有
するタンパク質またはその塩、または配列番号:1で
表されるアミノ酸配列のN末端から第112番目(Gly)な
いし第135番目(Tyr)の部分アミノ酸配列を含有し、配
列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一または実質的
に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質の部分ペプ
チドもしくはそのアミドもしくはそのエステルまたはそ
の塩および試験化合物を接触させた場合において、該レ
セプターを含有する細胞またはその細胞膜画分と上記
(1)記載のタンパク質もしくはその塩、上記(2)
記載の部分ペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエ
ステルまたはその塩、配列番号:1で表されるアミノ
酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有
するタンパク質またはその塩、または配列番号:1で
表されるアミノ酸配列のN末端から第112番目(Gly)な
いし第135番目(Tyr)のアミノ酸配列を含有し、配列番
号:1で表されるアミノ酸配列と同一または実質的に同
一のアミノ酸配列を含有するタンパク質の部分ペプチド
もしくはそのアミドもしくはそのエステルまたはその塩
との結合量を測定し、比較することを特徴とする上記
(12)項記載のスクリーニング方法、(17)(i)
レセプターを含有する細胞に、上記(1)記載のタン
パク質もしくはその塩、上記(2)記載の部分ペプチ
ドもしくはそのアミドもしくはそのエステルまたはその
塩、配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一また
は実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質ま
たはその塩、または配列番号:1で表されるアミノ酸
配列のN末端から第112番目(Gly)ないし第135番目(T
yr)の部分アミノ酸配列を含有し、配列番号:1で表さ
れるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸
配列を含有するタンパク質の部分ペプチドもしくはその
アミドもしくはそのエステルまたはその塩を接触させた
場合と、(ii)レセプターを含有する細胞に、上記
(1)記載のタンパク質もしくはその塩、上記(2)
記載の部分ペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエ
ステルまたはその塩、配列番号:1で表されるアミノ
酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有
するタンパク質またはその塩、または配列番号:1で
表されるアミノ酸配列のN末端から第112番目(Gly)な
いし第135番目(Tyr)の部分アミノ酸配列を含有し、配
列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一または実質的
に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質の部分ペプ
チドもしくはそのアミドもしくはそのエステルまたはそ
の塩および試験化合物を接触させた場合において、該レ
セプターを含有する細胞におけるレセプターを介する細
胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリ
ン遊離、細胞内Ca2+濃度の変動、細胞内cAMP生
成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細
胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、pHの低下な
ど)などの活性を測定して、比較することを特徴とする
上記(12)記載のスクリーニング方法、
【0008】(18)上記(12)および上記(15)
〜(17)のいずれかに記載のスクリーニング方法また
は上記(13)記載のスクリーニング用キットを用いて
得られるレセプターアゴニストを含有してなる医薬、
(19)創傷、火傷、血栓症、動脈硬化症、肝臓病、膵
臓病、糖尿病などの予防・治療剤である上記(18)記
載の医薬、(20)上記(12)および上記(15)〜
(17)のいずれかに記載のスクリーニング方法または
上記(13)項記載のスクリーニング用キットを用いて
得られるレセプターアンタゴニストを含有してなる医
薬、(21)胃癌、大腸癌、直腸癌、結腸癌、肺癌、乳
癌、子宮頚癌、前立腺癌、卵巣癌、慢性リンパ性白血
病、慢性骨髄性白血病、慢性膵炎、悪性黒色腫、多発性
骨髄腫、エイズ感染症、慢性肝炎、急性肝炎、肝硬変、
肝臓癌、膵臓癌などの予防・治療剤である上記(20)
記載の医薬、(22)上記(1)記載のタンパク質も
しくはその塩、上記(2)記載の部分ペプチドもしく
はそのアミドもしくはそのエステルまたはその塩、配
列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一または実質的
に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質またはその
塩、または配列番号:1で表されるアミノ酸配列のN
末端から第112番目(Gly)ないし第135番目(Tyr)のア
ミノ酸配列を含有し、配列番号:1で表されるアミノ酸
配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有す
るタンパク質の部分ペプチドもしくはそのアミドもしく
はそのエステルまたはその塩を用いることを特徴とする
上記(1)記載のタンパク質もしくはその塩、上記
(2)記載の部分ペプチドもしくはそのアミドもしくは
そのエステルまたはその塩、配列番号:1で表される
アミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列
を含有するタンパク質またはその塩、または配列番
号:1で表されるアミノ酸配列のN末端から第112番目
(Gly)ないし第135番目(Tyr)のアミノ酸配列を含有
し、配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一または
実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質の部
分ペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエステルま
たはその塩とレセプターとの結合後の細胞内シグナル伝
達を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリー
ニング方法、(23)(i)レセプターを含有する細胞
に、上記(1)記載のタンパク質もしくはその塩、
上記(2)記載の部分ペプチドもしくはそのアミドもし
くはそのエステルまたはその塩、配列番号:1で表さ
れるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸
配列を含有するタンパク質またはその塩、または配列
番号:1で表されるアミノ酸配列のN末端から第112番
目(Gly)ないし第135番目(Tyr)のアミノ酸配列を含
有し、配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一また
は実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質の
部分ペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエステル
またはその塩を接触させた場合と、(ii)レセプターを
含有する細胞に、上記(1)記載のタンパク質もしく
はその塩、上記(2)記載の部分ペプチドもしくはそ
のアミドもしくはそのエステルまたはその塩、配列番
号:1で表されるアミノ酸配列と同一または実質的に同
一のアミノ酸配列を含有するタンパク質またはその塩、
または配列番号:1で表されるアミノ酸配列のN末端
から第112番目(Gly)ないし第135番目(Tyr)のアミノ
酸配列を含有し、配列番号:1で表されるアミノ酸配列
と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタ
ンパク質の部分ペプチドもしくはそのアミドもしくはそ
のエステルまたはその塩および試験化合物を接触させた
場合において、上記(1)記載のタンパク質もしくは
その塩、上記(2)記載の部分ペプチドもしくはその
アミドもしくはそのエステルまたはその塩、配列番
号:1で表されるアミノ酸配列と同一または実質的に同
一のアミノ酸配列を含有するタンパク質またはその塩、
または配列番号:1で表されるアミノ酸配列のN末端
から第112番目(Gly)ないし第135番目(Tyr)のアミノ
酸配列を含有し、配列番号:1で表されるアミノ酸配列
と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタ
ンパク質の部分ペプチドもしくはそのアミドもしくはそ
のエステルまたはその塩とレセプターとの結合後の細胞
内シグナル伝達を測定し、比較することを特徴とする上
記(22)記載のスクリーニング方法、(24)上記
(1)記載のタンパク質もしくはその塩、上記(2)
記載の部分ペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエ
ステルまたはその塩、配列番号:1で表されるアミノ
酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有
するタンパク質またはその塩、または配列番号:1で
表されるアミノ酸配列のN末端から第112番目(Gly)な
いし第135番目(Tyr)のアミノ酸配列を含有し、配列番
号:1で表されるアミノ酸配列と同一または実質的に同
一のアミノ酸配列を含有するタンパク質の部分ペプチド
もしくはそのアミドもしくはそのエステルまたはその塩
を含有する上記(1)項記載のタンパク質もしくはそ
の塩、上記(2)記載の部分ペプチドもしくはそのア
ミドもしくはそのエステルまたはその塩、配列番号:
1で表されるアミノ酸配列と同一または実質的に同一の
アミノ酸配列を含有するタンパク質またはその塩、また
は配列番号:1で表されるアミノ酸配列のN末端から
第112番目(Gly)ないし第135番目(Tyr)のアミノ酸配
列を含有し、配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同
一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパ
ク質の部分ペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエ
ステルまたはその塩とレセプターとの結合後の細胞内シ
グナル伝達を促進または阻害する化合物またはその塩の
スクリーニング用キット、および
【0009】(25)上記(22)〜(23)記載のス
クリーニング方法または上記(24)記載のスクリーニ
ング用キットを用いて得られる上記(1)記載のタン
パク質もしくはその塩、上記(2)記載の部分ペプチ
ドもしくはそのアミドもしくはそのエステルまたはその
塩、配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一また
は実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質ま
たはその塩、または配列番号:1で表されるアミノ酸
配列のN末端から第112番目(Gly)ないし第135番目(T
yr)のアミノ酸配列を含有し、配列番号:1で表される
アミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列
を含有するタンパク質の部分ペプチドもしくはそのアミ
ドもしくはそのエステルまたはその塩とレセプターとの
結合後の細胞内シグナル伝達を促進または阻害する化合
物またはその塩等を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明のタンパク質としては、配
列番号:1で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実
質的に同一のアミノ酸配列を有するタンパク質、および
配列番号:11で表わされるアミノ酸配列と同一もしく
は実質的に同一のアミノ酸配列を有するタンパク質(好
ましくは、FGF(Fibroblast Growth Factor ; 線維芽細
胞増殖因子)様タンパク質)があげられる。本発明のタ
ンパク質は、例えば、ヒトや温血動物(例えば、モルモ
ット、ラット、マウス、ニワトリ、ウサギ、ブタ、ヒツ
ジ、ウシ、ウマ、サルなど)のあらゆる細胞(例えば、
脾細胞、神経細胞、グリア細胞、膵臓β細胞、骨髄細
胞、メサンギウム細胞、ランゲルハンス細胞、表皮細
胞、上皮細胞、内皮細胞、繊維芽細胞、繊維細胞、筋細
胞、脂肪細胞、免疫細胞(例、マクロファージ、T細
胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、肥満細胞、好中
球、好塩基球、好酸球、単球)、巨核球、滑膜細胞、軟
骨細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、乳腺細胞、肝細
胞もしくは間質細胞、またはこれら細胞の前駆細胞、幹
細胞もしくはガン細胞など)、またはそれらの細胞が存
在するあらゆる組織、例えば、脳、脳の各部位(例、嗅
球、扁桃核、大脳基底核、海馬、視床、視床下部、大脳
皮質、延髄、小脳)、脊髄、下垂体、胃、膵臓、腎臓、
肝臓、生殖腺、甲状腺、胆のう、骨髄、副腎、皮膚、筋
肉、肺、消化管(例、大腸、小腸、十二指腸)、血管、
心臓、胸腺、脾臓、顎下腺、末梢血、前立腺、睾丸、卵
巣、胎盤、子宮、骨、関節、骨格筋などに由来するタン
パク質であってもよく、また合成タンパク質であっても
よい。
【0011】配列番号:1と実質的に同一のアミノ酸配
列としては、例えば、配列番号:1で表わされるアミノ
酸配列と約80%以上、好ましくは約90%以上、より
好ましくは約95%以上、さらに好ましくは約95%以
上の相同性を有するアミノ酸配列などがあげられる。配
列番号:11と実質的に同一のアミノ酸配列としては、
例えば、配列番号:11で表わされるアミノ酸配列と約
80%以上、好ましくは約90%以上、より好ましくは
約95%以上、さらに好ましくは約95%以上の相同性
を有するアミノ酸配列などがあげられる。
【0012】配列番号:1と実質的に同一のアミノ酸配
列を含有する本発明のタンパク質または配列番号:11
で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一
のアミノ酸配列を有するタンパク質としては、上記のと
おり配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と実質的に
同一のアミノ酸配列または配列番号:11で表わされる
アミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配
列を有するタンパク質を有し、配列番号:1で表わされ
るアミノ酸配列を含有するタンパク質または配列番号:
11で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に
同一のアミノ酸配列を有するタンパク質と実質的に同質
の活性を有するタンパク質などが好ましい。以下、本明
細書において、「配列番号:1で表されるアミノ酸と同
一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタン
パク質および配列番号:11で表わされるアミノ酸配列
と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を有するタ
ンパク質」または「配列番号:1で表されるアミノ酸と
同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタ
ンパク質またはその塩および配列番号:11で表わされ
るアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸
配列を有するタンパク質またはその塩」を単に「本発明
のタンパク質」と略称する場合がある。実質的に同質の
活性としては、例えば、レセプターを介する細胞刺激活
性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、
細胞内Ca2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、細胞内
cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変
動、細胞内蛋白質のリン酸化、pHの低下など)、血管
新生活性(作用)、細胞増殖・遊走・分化活性(作用)
などがあげられる。実質的に同質とは、それらの活性が
性質的に同質であることを示す。したがって、レセプタ
ーを介する細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、
アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+濃度の変動、細胞内
cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン
酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、p
Hの低下など)、血管新生活性(作用)、細胞増殖・遊
走・分化活性(作用)などが同等(例、約0.5〜2倍
程度)であることが好ましいが、これらの活性の程度や
タンパク質の分子量などの量的要素は異なっていてもよ
い。また、本発明のタンパク質には、配列番号:1で
表わされるアミノ酸配列中の1または2個以上(例えば
1〜20個程度、好ましくは1〜9個程度、さらに好ま
しくは数個(1または2個))のアミノ酸が欠失したア
ミノ酸配列、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列
に1または2個以上(例えば1〜20個程度、好ましく
は1〜9個程度、さらに好ましくは数個(1または2
個))のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、配列番
号:1で表わされるアミノ酸配列中の1または2個以上
(例えば1〜20個程度、好ましくは1〜9個程度、さ
らに好ましくは数個(1または2個))のアミノ酸が他
のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列を含有するタンパ
ク質、配列番号:11で表わされるアミノ酸配列中の
1または2個以上(例えば1〜20個程度、好ましくは
1〜9個程度、さらに好ましくは数個(1または2
個))のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、配列番
号:11で表わされるアミノ酸配列に1または2個以上
(例えば1〜20個程度、好ましくは1〜9個程度、さ
らに好ましくは数個(1または2個))のアミノ酸が付
加したアミノ酸配列、配列番号:11で表わされるア
ミノ酸配列中の1または2個以上(例えば1〜20個程
度、好ましくは1〜9個程度、さらに好ましくは数個
(1または2個))のアミノ酸が他のアミノ酸で置換さ
れたアミノ酸配列を含有するタンパク質などのいわゆる
ムテインも含まれる。上記のようにアミノ酸配列が欠失
または置換されている場合、その欠失または置換の位置
としては、特に限定されない。
【0013】本明細書におけるタンパク質は、ペプチド
標記の慣例に従って左端がN末端(アミノ末端)、右端
がC末端(カルボキシル末端)である。配列番号:1で
表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質や配列番
号:11で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク
質をはじめとする、本発明のタンパク質は、C末端が通
常カルボキシル基(−COOH)またはカルボキシレー
ト(−COO-)であるが、C末端がアミド(−CONH
2)またはエステル(−COOR)であってもよい。こ
こでエステル基のRとしては、例えば、メチル、エチ
ル、n−プロピル、イソプロピルもしくはn−ブチルな
どのC1-6アルキル基、例えば、シクロペンチル、シク
ロヘキシルなどのC3-8シクロアルキル基、例えば、フ
ェニル、α−ナフチルなどのC6-12アリール基、例え
ば、ベンジル、フェネチルなどのフェニル−C1-2アル
キル基もしくはα−ナフチルメチルなどのα−ナフチル
−C1-2アルキル基などのC7-14アラルキル基のほか、
経口用エステルとして汎用されるピバロイルオキシメチ
ル基などが用いられる。本発明のタンパク質がC末端以
外にカルボキシル基(またはカルボキシレート)を有し
ている場合、カルボキシル基がアミド化またはエステル
化されているものも本発明のタンパク質に含まれる。こ
の場合のエステルとしては、例えば上記したC末端のエ
ステルなどが用いられる。さらに、本発明のタンパク質
には、上記したタンパク質において、N末端のメチオニ
ン残基のアミノ基が保護基(例えば、ホルミル基、アセ
チル基などのC1-6アシル基など)で保護されているも
の、N端側が生体内で切断され生成したグルタミル基が
ピログルタミン酸化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖
上の置換基(例えば、−OH、−SH、アミノ基、イミ
ダゾール基、インドール基、グアニジノ基など)が適当
な保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC
1-6アシル基など)で保護されているもの、あるいは糖
鎖が結合したいわゆる糖タンパク質などの複合タンパク
質なども含まれる。
【0014】本発明のタンパク質の部分ペプチド(以
下、配列番号:1で表されるアミノ酸配列のN末端から
第112番目(Gly)ないし第135番目(Tyr)のアミノ酸配
列を含有し、配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同
一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタン
パク質の部分ペプチド、配列番号:11で表されるアミ
ノ酸配列のN末端から第113番目(Gly)ないし第136番
目(Tyr)のアミノ酸配列を含有し、配列番号:11で
表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のア
ミノ酸配列を含有するタンパク質の部分ペプチドのみな
らず、それらのアミドもしくはそれらのエステルまたは
それらの塩を総称して、本発明のタンパク質の部分ペプ
チドと称する場合がある)としては、前記した本発明の
タンパク質と同質の活性、例えば、レセプターを介する
細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコ
リン遊離、細胞内Ca2+濃度の変動、細胞内cAMP生
成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細
胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、pHの低下な
ど)、血管新生活性(作用)、細胞増殖・遊走・分化活
性(作用)などを有するペプチドであれば何れのもので
あってもよい。具体的には、配列番号:1で表される
アミノ酸配列の第29番目(His)〜第209番目(Ser)
のアミノ酸配列を有する部分ペプチド、配列番号:1
で表わされるアミノ酸配列の第112番目(Gly)〜1
35番目(Tyr)のアミノ酸配列を有する部分ペプチ
ド、配列番号:11で表されるアミノ酸配列の第30
番目(Tyr)〜第208番目(Ser)のアミノ酸配列を有す
る部分ペプチド、配列番号:11で表されるアミノ酸
配列の第113番目(Gly)〜第136番目(Ser)のアミ
ノ酸配列を有する部分ペプチドなどが好ましく用いられ
る。
【0015】さらに、本発明の部分ペプチドとしては、
配列番号:1または配列番号:11で表わされるアミノ
酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有し、配列番
号:1または配列番号:11で表わされるアミノ酸配列
を含有するペプチドと実質的に同質の活性を有する部分
ペプチドが好ましい。実質的に同質の活性としては、例
えば、レセプターを介する細胞刺激活性(例えば、アラ
キドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+濃度
の変動、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イ
ノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質
のリン酸化、pHの低下など)、血管新生活性(作
用)、細胞増殖・遊走・分化活性(作用)などがあげら
れる。実質的に同質とは、それらの活性が性質的に同質
であることを示す。したがって、レセプターを介する細
胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリ
ン遊離、細胞内Ca2+濃度の変動、細胞内cAMP生
成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細
胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、pHの低下な
ど)、血管新生活性(作用)、細胞増殖・遊走・分化活
性(作用)が同等(例、約0.5〜2倍程度)であるこ
とが好ましいが、これらの活性の程度やペプチドの分子
量などの量的要素は異なっていてもよい。また、これら
本発明の部分ペプチドには、本発明のタンパク質の(拮
抗)阻害型である、すなわち、本発明のタンパクの有す
る活性を阻害する活性を有するものも含まれる。
【0016】さらに、本発明の部分ペプチドには、配列
番号:1で表わされるアミノ酸配列と約80%以上、好
ましくは約90%以上、より好ましくは約95%以上、
さらに好ましくは約98%以上の相同性を有するタンパ
ク質の部分ペプチド、または、配列番号:11で表わさ
れるアミノ酸配列と約80%以上、好ましくは約90%
以上、より好ましくは約95%以上、さらに好ましくは
約98%以上の相同性を有するタンパク質の部分ペプチ
ドが用いられ、より具体的には、配列番号:1で表わさ
れるアミノ酸配列中の1または2個以上(例えば1〜2
0個程度、好ましくは1〜9個程度、さらに好ましくは
数個(1または2個))のアミノ酸が欠失したアミノ酸
配列、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列に1また
は2個以上(例えば1〜20個程度、好ましくは1〜9
個程度、さらに好ましくは数個(1または2個))のア
ミノ酸が付加したアミノ酸配列、配列番号:1で表わさ
れるアミノ酸配列中の1または2個以上(例えば1〜2
0個程度、好ましくは1〜9個程度、さらに好ましくは
数個(1または2個))のアミノ酸が他のアミノ酸で置
換されたアミノ酸配列を含有するタンパク質の部分ペプ
チドなど、配列番号:11で表わされるアミノ酸配列中
の1または2個以上(例えば1〜20個程度、好ましく
は1〜9個程度、さらに好ましくは数個(1または2
個))のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、配列番号:
11で表わされるアミノ酸配列に1または2個以上(例
えば1〜20個程度、好ましくは1〜9個程度、さらに
好ましくは数個(1または2個))のアミノ酸が付加し
たアミノ酸配列、配列番号:11で表わされるアミノ酸
配列中の1または2個以上(例えば1〜20個程度、好
ましくは1〜9個程度、さらに好ましくは数個(1また
は2個))のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミ
ノ酸配列を含有するタンパク質の部分ペプチドなども含
まれる。
【0017】また、本発明の部分ペプチドのC末端は通
常カルボキシル基(−COOH)またはカルボキシレー
ト(−COO-)であるが、前記した本発明のタンパク質
のごとく、C末端がアミド(−CONH2)またはエス
テル(−COOR)(Rは前記と同意義を示す)であっ
てもよい。さらに、本発明の部分ペプチドには、上記し
た部分ペプチドにおいて、N末端のメチオニン残基のア
ミノ基が保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基など
のC1-6アシル基など)で保護されているもの、N端側
が生体内で切断され生成したグルタミル基がピログルタ
ミン酸化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基
(例えば、−OH、−SH、アミノ基、イミダゾール
基、インドール基、グアニジノ基など)が適当な保護基
(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC1-6アシル
基など)で保護されているもの、あるいは糖鎖が結合し
たいわゆる糖ペプチドなどの複合ペプチドなども含まれ
る。本発明のタンパク質またはその部分ペプチドの塩と
しては、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ま
しい。この様な塩としては、例えば、無機酸(例えば、
塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有
機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、
マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、
蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン
酸)との塩などが用いられる。本発明のタンパク質また
はその塩は、前述したヒトや温血動物の細胞、組織また
は血漿から自体公知のタンパク質の精製方法によって製
造することもできるし、後述するタンパク質をコードす
るDNAを含有する形質転換体を培養することによって
も製造することができる。また、後述のタンパク質合成
法またはこれに準じて製造することもできる。ヒトや温
血動物の細胞、組織または血漿から製造する場合、ヒト
や温血動物の細胞または組織のホモジナイズ上清および
血漿を硫安沈澱、エタノール沈澱、酸抽出、イオン交換
クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、ヒドロ
キシアパタイトクロマトグラフィー、逆相クロマトグラ
フィー、レクチンカラムクロマトグラフィー、ゲル濾過
クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーを組み合
わせることにより精製単離することができる。
【0018】本発明のタンパク質、その部分ペプチドも
しくはそれらの塩またはそれらのアミド体の合成には、
通常市販のタンパク質合成用樹脂を用いることができ
る。そのような樹脂としては、例えば、クロロメチル樹
脂、ヒドロキシメチル樹脂、ベンズヒドリルアミン樹
脂、アミノメチル樹脂、4−ベンジルオキシベンジルア
ルコール樹脂、4−メチルベンズヒドリルアミン樹脂、
PAM樹脂、4−ヒドロキシメチルメチルフェニルアセ
トアミドメチル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、4−
(2',4'-ジメトキシフェニル−ヒドロキシメチル)フェ
ノキシ樹脂、4−(2',4'-ジメトキシフェニル−Fmocア
ミノエチル)フェノキシ樹脂などをあげることができ
る。このような樹脂を用い、α−アミノ基と側鎖官能基
を適当に保護したアミノ酸を、目的とするタンパク質の
配列通りに、自体公知の各種縮合方法に従い、樹脂上で
縮合させる。反応の最後に樹脂からタンパク質を切り出
すと同時に各種保護基を除去し、さらに高希釈溶液中で
分子内ジスルフィド結合形成反応を実施し、目的のタン
パク質、その部分ペプチドまたはそれらのアミド体を取
得する。
【0019】上記した保護アミノ酸の縮合に関しては、
タンパク質合成に使用できる各種活性化試薬を用いるこ
とができるが、特に、カルボジイミド類がよい。カルボ
ジイミド類としては、DCC、N,N'-ジイソプロピル
カルボジイミド、N-エチル-N'-(3-ジメチルアミノプ
ロリル)カルボジイミドなどが用いられる。これらによ
る活性化にはラセミ化抑制添加剤(例えば、HOBt,
HOOBt)とともに保護アミノ酸を直接樹脂に添加す
るかまたは、対称酸無水物またはHOBtエステルある
いはHOOBtエステルとしてあらかじめ保護アミノ酸
の活性化を行なったのちに樹脂に添加することができ
る。保護アミノ酸の活性化や樹脂との縮合に用いられる
溶媒としては、タンパク質縮合反応に使用しうることが
知られている溶媒から適宜選択されうる。例えば、N,
N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ク
ロロホルム、トリフルオロエタノール、ジメチルスルホ
キシド、DMF、ジメチルスルホキシド、ピリジン、ク
ロロホルム、ジオキサン、塩化メチレン、テトラヒドロ
フラン、アセトニトリル、酢酸エチル、N-メチルピロ
リドンあるいはこれらの適宜の混合物などが用いられ
る。反応温度はタンパク質結合形成反応に使用され得る
ことが知られている範囲から適宜選択され、通常約−2
0℃〜50℃の範囲から適宜選択される。活性化された
アミノ酸誘導体は通常1.5〜4倍過剰で用いられる。
ニンヒドリン反応を用いたテストの結果、縮合が不十分
な場合には保護基の脱離を行うことなく縮合反応を繰り
返すことにより十分な縮合を行なうことができる。反応
を繰り返しても十分な縮合が得られないときには、無水
酢酸またはアセチルイミダゾールを用いて未反応アミノ
酸をアセチル化することができる。原料のアミノ基の保
護基としては、例えば、Z、Boc、ターシャリーアミ
ルオキシカルボニル、イソボルニルオキシカルボニル、
4−メトキシベンジルオキシカルボニル、Cl−Z、B
r−Z、アダマンチルオキシカルボニル、トリフルオロ
アセチル、フタリル、ホルミル、2−ニトロフェニルス
ルフェニル、ジフェニルホスフィノチオイル、Fmoc
などが用いられる。カルボキシル基の保護基としては、
例えばアルキルエステル(例えば、メチル、エチル、プ
ロピル、ブチル、ターシャリーブチル、シクロペンチ
ル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチ
ル、2−アダマンチルなどのエステル基)、ベンジルエ
ステル、4−ニトロベンジルエステル、4−メトキシベ
ンジルエステル、4−クロロベンジルエステル、ベンズ
ヒドリルエステル、フェナシンエステル、ベンジルオキ
シカルボニルヒドラジド、ターシャリーブトキシカルボ
ニルヒドラジド、トリチルヒドラジドなどが用いられ
る。
【0020】セリンの水酸基は、例えば、エステル化ま
たはエーテル化によって保護することができる。このエ
ステル化に適する基としては、例えば、アセチル基など
の低級アルカノイル基、ベンゾイル基などのアロイル
基、ベンジルオキシカルボニル基、エトキシカルボニル
基などの炭素から誘導される基などが用いられる。ま
た、エーテル化に適する基としては、例えば、ベンジル
基、テトラヒドロピラニル基、t-ブチル基などである。
チロシンのフェノール性水酸基の保護基としては、例え
ば、Bzl、Cl2−Bzl、2−ニトロベンジル、B
r−Z、ターシャリーブチルなどが用いられる。ヒスチ
ジンのイミダゾールの保護基としては、例えば、To
s、4-メトキシ-2,3,6-トリメチルベンゼンスルホニ
ル、DNP、ベンジルオキシメチル、Bum、Boc、
Trt、Fmocなどが用いられる。原料のカルボキシ
ル基の活性化されたものとしては、例えば、対応する酸
無水物、アジド、活性エステル〔アルコール(例えば、
ペンタクロロフェノール、2,4,5-トリクロロフェノー
ル、2,4-ジニトロフェノール、シアノメチルアルコー
ル、パラニトロフェノール、HONB、N-ヒドロキシ
スクシミド、N-ヒドロキシフタルイミド、HOBt)
とのエステル〕などが用いられる。原料のアミノ基の活
性化されたものとしては、例えば、対応するリン酸アミ
ドが用いられる。保護基の除去(脱離)方法としては、
例えば、Pd−黒あるいはPd−炭素などの触媒の存在
下での水素気流中での接触還元や、また、無水フッ化水
素、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン
酸、トリフルオロ酢酸あるいはこれらの混合液などによ
る酸処理や、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチル
アミン、ピペリジン、ピペラジンなどによる塩基処理、
また液体アンモニア中ナトリウムによる還元なども用い
られる。上記酸処理による脱離反応は、一般に約−20
℃〜40℃の温度で行われるが、酸処理においては、例
えば、アニソール、フェノール、チオアニソール、メタ
クレゾール、パラクレゾール、ジメチルスルフィド、1,
4-ブタンジチオール、1,2-エタンジチオールのようなカ
チオン捕捉剤の添加が有効である。また、ヒスチジンの
イミダゾール保護基として用いられる2,4-ジニトロフェ
ニル基はチオフェノール処理により除去され、トリプト
ファンのインドール保護基として用いられるホルミル基
は上記の1,2-エタンジチオール、1,4-ブタンジチオール
などの存在下の酸処理による脱保護以外に、希水酸化ナ
トリウム溶液、希アンモニアなどによるアルカリ処理に
よっても除去される。
【0021】原料の反応に関与すべきでない官能基の保
護および保護基、ならびにその保護基の脱離、反応に関
与する官能基の活性化などは公知の基あるいは公知の手
段から適宜選択しうる。タンパク質のアミド体を得る別
の方法としては、まず、カルボキシ末端アミノ酸のα−
カルボキシル基をアミド化して保護した後、アミノ基側
にペプチド(タンパク質)鎖を所望の鎖長まで延ばした
後、該ペプチド鎖のN末端のα−アミノ基の保護基のみ
を除いたタンパク質とC末端のカルボキシル基の保護基
のみを除去したタンパク質とを製造し、この両タンパク
質を上記したような混合溶媒中で縮合させる。縮合反応
の詳細については上記と同様である。縮合により得られ
た保護タンパク質を精製した後、上記方法によりすべて
の保護基を除去し、所望の粗タンパク質を得ることがで
きる。この粗タンパク質は既知の各種精製手段を駆使し
て精製し、主要画分を凍結乾燥することで所望のタンパ
ク質のアミド体を得ることができる。タンパク質のエス
テル体を得るには、カルボキシ末端アミノ酸のα−カル
ボキシル基を所望のアルコール類と縮合しアミノ酸エス
テルとした後、タンパク質のアミド体と同様にして、所
望のタンパク質のエステル体を得ることができる。
【0022】本発明のタンパク質の部分ペプチドまたは
その塩は、自体公知のペプチドの合成法に従って、ある
いは本発明のタンパク質を適当なペプチダーゼで切断す
ることによって製造することができる。ペプチドの合成
法としては、例えば固相合成法、液相合成法のいずれに
よっても良い。すなわち、本発明のタンパク質を構成し
得る部分ペプチドもしくはアミノ酸と残余部分とを縮合
させ、生成物が保護基を有する場合は保護基を脱離する
ことにより目的のペプチドを製造することができる。公
知の縮合方法や保護基の脱離としてはたとえば、以下の
〜に記載された方法があげられる。 M. Bodanszky および M.A. Ondetti、ペプチド シン
セシス (Peptide Synthesis), Interscience Publisher
s, New York (1966年) SchroederおよびLuebke、ザ ペプチド(The Peptide),
Academic Press, New York (1965年) 泉屋信夫他、ペプチド合成の基礎と実験、 丸善(株)
(1975年) 矢島治明 および榊原俊平、生化学実験講座 1、 タン
パク質の化学IV、 205、(1977年) 矢島治明監修、続医薬品の開発 第14巻 ペプチド合成
広川書店 また、反応後は通常の精製法、たとえば、溶媒抽出・蒸
留・カラムクロマトグラフィー・液体クロマトグラフィ
ー・再結晶などを組み合わせて本発明のタンパク質を精
製単離することができる。上記方法で得られるタンパク
質が遊離体である場合は、公知の方法によって適当な塩
に変換することができるし、逆に塩で得られた場合は、
公知の方法によって遊離体に変換することができる。
【0023】本発明のタンパク質をコードするDNAと
しては、前述した本発明のタンパク質をコードする塩基
配列を含有するものであればいかなるものであってもよ
い。また、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリー、
前記した細胞・組織由来のcDNA、前記した細胞・組
織由来のcDNAライブラリー、合成DNAのいずれで
もよい。ライブラリーに使用するベクターは、バクテリ
オファージ、プラスミド、コスミド、ファージミドなど
いずれであってもよい。また、前記した細胞・組織より
mRNA画分を調製したものを用いて直接Reverse Tran
scriptase Polymerase Chain Reaction(以下、RT-P
CR法と略称する)によって増幅することもできる。具
体的には、本発明の配列番号:1で表わされるアミノ酸
配列を有するタンパク質をコードするDNAとしては、
例えば、配列番号:2で表わされる塩基配列を有する
DNA、配列番号:2で表わされる塩基配列を有する
DNAにハイブリダイズし、配列番号:1で表わされる
アミノ酸配列を有するタンパク質と同質の活性、例え
ば、レセプターを介する細胞刺激活性(例えば、アラキ
ドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+濃度の
変動、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノ
シトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質の
リン酸化、pHの低下など)、血管新生活性(作用)、
細胞増殖・遊走・分化活性(作用)などを有するタンパ
ク質をコードするDNAなどが用いられる。また、本発
明の配列番号:11で表わされるアミノ酸配列を有する
タンパク質をコードするDNAとしては、例えば、配
列番号:12で表わされる塩基配列を有するDNA、
配列番号:12で表わされる塩基配列を有するDNAに
ハイブリダイズし、配列番号:11で表わされるアミノ
酸配列を有するタンパク質と同質の活性、例えば、レセ
プターを介する細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊
離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+濃度の変動、細
胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトール
リン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸
化、pHの低下など)、血管新生活性(作用)、細胞増
殖・遊走・分化活性(作用)などを有するタンパク質を
コードするDNAなどが用いられる。配列番号:2また
は配列番号:12で表わされる塩基配列とハイブリダイ
ズできるDNAとしては、例えば、配列番号:2または
配列番号:12で表わされる塩基配列と約80%以上、
好ましくは約90%以上、より好ましくは約95%以
上、さらに好ましくは約98%以上の相同性を有する塩
基配列を含有するDNAなどが用いられる。
【0024】ハイブリダイゼーションは、自体公知の方
法あるいはそれに準じる方法、例えば、モレキュラー・
クローニング(Molecular Cloning)2nd(J. Sambrook
etal., Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989)に記
載の方法などに従って行なうことができる。また、市販
のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記
載の方法に従って行なうことができる。より好ましく
は、ハイストリンジェントな条件に従って行なうことが
できる。ハイストリンジェントな条件とは、例えば、ナ
トリウム濃度が約19〜40mM、好ましくは約19〜
20mMで、温度が約50〜70℃、好ましくは約60
〜65℃の条件を示す。特に、ナトリウム濃度が約19
mMで温度が約65℃の場合が最も好ましい。より具体
的には、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を含有
するタンパク質をコードするDNAとしては、配列番
号:2で表わされる塩基配列を有するDNAなどが、配
列番号:11で表されるアミノ酸配列を含有するタンパ
ク質をコードするDNAとしては、配列番号:12で表
される塩基配列を有するDNAなどが用いられる。
【0025】本発明の部分ペプチドをコードするDNA
としては、前述した本発明の部分ペプチドをコードする
塩基配列を含有するものであればいかなるものであって
もよい。具体的には、配列番号:1で表されるアミノ酸
配列の第29番目(His)〜第209番目(Ser)のアミノ
酸配列を有する部分ペプチドをコードするDNAとして
は、例えば、配列番号:2で表される塩基配列の第85
〜627番目、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列
の第112番目(Gly)〜135番目(Tyr)のアミノ酸
配列を有する部分ペプチドをコードするDNAとして
は、例えば、配列番号:2で表わされる塩基配列の第3
34〜405番目の塩基配列を有するDNAなどが、配
列番号:11で表されるアミノ酸配列の第30番目(Ty
r)〜第208番目(Ser)のアミノ酸配列を有する部分
ペプチドをコードするDNAとしては、例えば、配列番
号:12で表される塩基配列の第88〜624番目、配
列番号:11で表わされるアミノ酸配列の第113番目
(Gly)〜136番目(Tyr)のアミノ酸配列を有する部
分ペプチドをコードするDNAとしては、例えば、配列
番号:2で表わされる塩基配列の第337〜408番目
の塩基配列を有するDNAなどが用いられる。
【0026】本発明のタンパク質またはその部分ペプチ
ド(以下、本発明のタンパク質およびその部分ペプチド
を単に本発明のタンパク質と称する場合がある)をコー
ドするDNAのクローニングの手段としては、本発明の
タンパク質をコードするDNAの部分塩基配列を有する
合成DNAプライマーを用いて、PCR法によって前記
DNAライブラリー等から目的とするDNAを増幅する
か、または適当なベクターに組み込んだDNAを本発明
のタンパク質の一部あるいは全領域を有するDNA断片
もしくは合成DNAを用いて標識したものとのハイブリ
ダイゼーションによって選別することができる。ハイブ
リダイゼーションの方法は、例えば、モレキュラー・ク
ローニング(Molecular Cloning)2nd(J. Sambrook e
t al., Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989)に記載
の方法などに従って行なうことができる。また、市販の
ライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載
の方法に従って行なうことができる。クローン化された
本発明のタンパク質またはその部分ペプチドをコードす
るDNAは、目的によりそのまま、または所望により制
限酵素で消化したり、リンカーを付加したりして使用す
ることができる。該DNAはその5'末端側に翻訳開始
コドンとしてのATGを有し、また3'末端側には翻訳
終止コドンとしてのTAA、TGAまたはTAGを有し
ていてもよい。これらの翻訳開始コドンや翻訳終止コド
ンは、適当な合成DNAアダプターを用いて付加するこ
ともできる。本発明のタンパク質またはその部分ペプチ
ドをコードするDNAの発現ベクターは、例えば、
(イ)本発明のタンパク質をコードするDNAから目的
とするDNA断片を切り出し、(ロ)該DNA断片を適
当な発現ベクター中のプロモーターの下流に連結するこ
とにより製造することができる。
【0027】ベクターとしては、大腸菌由来のプラスミ
ド(例、pBR322,pBR325,pUC12,p
UC13)、枯草菌由来のプラスミド(例、pUB11
0,pTP5,pC194)、酵母由来プラスミド
(例、pSH19,pSH15)、λファージなどのバ
クテリオファージ、レトロウイルス,ワクシニアウイル
ス,バキュロウイルスなどの動物ウイルスなどの他、p
A1−11、pXT1、pRc/CMV、pRc/RS
V、pcDNAI/Neoなどが用いられる。本発明で
用いられるプロモーターとしては、遺伝子の発現に用い
る宿主に対応して適切なプロモーターであればいかなる
ものでもよい。例えば、動物細胞を宿主として用いる場
合は、SRαプロモーター、SV40プロモーター、L
TRプロモーター、CMVプロモーター、HSV-TK
プロモーターなどがあげられる。これらのうち、CMV
プロモーター、SRαプロモーターなどを用いるのが好
ましい。宿主がエシェリヒア属菌である場合は、trp
プロモーター、lacプロモーター、recAプロモー
ター、λPLプロモーター、lppプロモーターなど
が、宿主がバチルス属菌である場合は、SPO1プロモ
ーター、SPO2プロモーター、penPプロモーター
など、宿主が酵母である場合は、PHO5プロモータ
ー、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADH
プロモーターなどが好ましい。宿主が昆虫細胞である場
合は、ポリヘドリンプロモーター、P10プロモーター
などが好ましい。
【0028】発現ベクターには、以上の他に、所望によ
りエンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加
シグナル、選択マーカー、SV40複製オリジン(以
下、SV40oriと略称する場合がある)などを含有
しているものを用いることができる。選択マーカーとし
ては、例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素(以下、dhfr
と略称する場合がある)遺伝子〔メソトレキセート(M
TX)耐性〕、アンピシリン耐性遺伝子(以下、Amp
rと略称する場合がある)、ネオマイシン耐性遺伝子
(以下、Neoと略称する場合がある、G418耐性)
等があげられる。特に、CHO(dhfr-)細胞を用
いてdhfr遺伝子を選択マーカーとして使用する場
合、チミジンを含まない培地によっても選択できる。ま
た、必要に応じて、宿主に合ったシグナル配列を、タン
パク質のN端末側に付加する。宿主がエシェリヒア属菌
である場合は、PhoA・シグナル配列、OmpA・シ
グナル配列などが、宿主がバチルス属菌である場合は、
α−アミラーゼ・シグナル配列、サブチリシン・シグナ
ル配列などが、宿主が酵母である場合は、MFα・シグ
ナル配列、SUC2・シグナル配列など、宿主が動物細
胞である場合には、例えばインシュリン・シグナル配
列、α−インターフェロン・シグナル配列、抗体分子・
シグナル配列などがそれぞれ利用できる。このようにし
て構築された本発明のタンパク質をコードするDNAを
含有するベクターを細胞に導入することによって形質転
換体を製造することができる。
【0029】宿主としては、例えばエシェリヒア属菌、
バチルス属菌、酵母、昆虫細胞、昆虫、動物細胞などが
用いられる。エシェリヒア属菌の具体例としては、エシ
ェリヒア・コリ(Escherichia coli)K12・DH1
〔プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミ
ー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー
(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),60巻,160
(1968)〕,JM103〔ヌクイレック・アシッズ・
リサーチ,(Nucleic Acids Research),9巻,309
(1981)〕,JA221〔ジャーナル・オブ・モレキ
ュラー・バイオロジー(Journal of Molecular Biolog
y)〕,120巻,517(1978)〕,HB101
〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー,4
1巻,459(1969)〕,C600〔ジェネティック
ス(Genetics),39巻,440(1954)〕などが用
いられる。バチルス属菌としては、例えばバチルス・サ
チルス(Bacillus subtilis)MI114〔ジーン,2
4巻,255(1983)〕,207−21〔ジャーナル
・オブ・バイオケミストリー(Journal of Biochemistr
y),95巻,87(1984)〕などが用いられる。酵
母としては、例えばサッカロマイセス セレビシエ(Sa
ccharomyces cerevisiae)AH22,AH22R-,NA
87−11A,DKD−5D,20B−12、シゾサッ
カロマイセス ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)
NCYC1913,NCYC2036、ピキア パスト
チス(Pichia pastoris)などが用いられる。昆虫細胞
としては、例えば、ウイルスがAcNPVの場合は、夜
盗蛾の幼虫由来株化細胞(Spodoptera frugiperda cel
l;Sf細胞)、Trichoplusia niの中腸由来のMG1細
胞、Trichoplusia niの卵由来のHigh FiveTM細胞、Mame
stra brassicae由来の細胞またはEstigmena acrea由来
の細胞などが用いられる。ウイルスがBmNPVの場合
は、蚕由来株化細胞(Bombyx mori N;BmN細胞)な
どが用いられる。該Sf細胞としては、例えば、Sf9
細胞(ATCC CRL1711)、Sf21細胞(以上、Vaughn,
J.L.ら、イン・ヴィトロ(in Vitro),13, 213-217,(19
77))などが用いられる。昆虫としては、例えばカイコ
の幼虫などが用いられる〔前田ら、ネイチャー(Natur
e),315巻,592(1985)〕。
【0030】動物細胞としては、例えば、サル細胞CO
S−1、COS−7、Vero細胞、チャイニーズハム
スター細胞CHO(以下、CHO細胞と略記)、dhf
r遺伝子欠損チャイニーズハムスター細胞CHO(以
下、CHO(dhfr-)細胞と略記)、L細胞、ミエ
ローマ細胞、ヒトFL細胞、293細胞、C127細
胞、BALB3T3細胞、Sp-2/O細胞などが用い
られる。これらの中でもCHO細胞、CHO(dhfr
-)細胞、293細胞などが好ましい。エシェリヒア属
菌を形質転換するには、例えば、プロシージングズ・オ
ブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンジイ
ズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci.
USA),69巻,2110(1972)やジーン(Gen
e),17巻,107(1982)などに記載の方法に従
って行なうことができる。バチルス属菌を形質転換する
には、例えば、モレキュラー・アンド・ジェネラル・ジ
ェネティックス(Molecular & General Genetics),
168巻,111(1979)などに記載の方法に従って行な
われる。酵母を形質転換するには、例えば、メソッズ・
イン・エンザイモロジー(Methods in Enzymology),
194巻,182−187(1991)に記載の方法に従
って行なわれる。昆虫細胞や昆虫を形質転換するには、
例えばバイオ/テクノロジー(Bio/Technology),6, 47
-55(1988))などに記載の方法に従って行なうことがで
きる。動物細胞を形質転換するには、例えば、細胞工学
別冊8 新 細胞工学実験プロトコール,263−26
7(1995)(秀潤社発行)に記載の方法に従って行な
うことができる。
【0031】発現ベクターの細胞への導入方法として
は、例えば、リン酸カルシウム法〔Graham F. L. and v
an der Eb A. J.ヴィロロジー(Virology) 52, 456-46
7(1973)〕、DEAE−dextran法〔Sompayrac
L.M. and Danna K.J. プロシージングズ・オブ・ザ・
ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ
・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA)7
8, 7575-7578, 1981〕、リポフェクション法〔Malone
R.W. et al. プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル
・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユー
エスエー(Proc.Natl. Acad. Sci. USA)86, 6077-608
1, 1989〕、電気穿孔法〔Nuemann E. et al. エンボ・
ジャーナル(EMBO J.) 1, 841-845(1982)〕等があげ
られる。このようにして、本発明のタンパク質をコード
するDNAを含有する発現ベクターで形質転換された形
質転換体を得ることができる。なお、動物細胞を用い
て、本発明のタンパク質を安定に発現させる方法として
は、上記の動物細胞に導入された発現ベクターが染色体
に組み込まれた細胞をクローン選択によって選択する方
法がある。具体的には、上記の選択マーカーを指標にし
て形質転換体を選択することができる。さらに、このよ
うに選択マーカーを用いて得られた動物細胞に対して、
繰り返しクローン選択を行なうことにより本発明のタン
パク質の高発現能を有する安定な動物細胞株を得ること
ができる。また、dhfr遺伝子を選択マーカーとして
用いた場合、MTX濃度を徐々に上げて培養し、耐性株
を選択することにより、dhfr遺伝子とともに、本発
明のタンパク質をコードするDNAを細胞内で増幅させ
て、さらに高発現の動物細胞株を得ることもできる。上
記の形質転換体を本発明のタンパク質またはその部分ペ
プチドをコードするDNAが発現可能な条件下で培養
し、本発明のタンパク質またはその部分ペプチドを生
成、蓄積せしめることによって、本発明のタンパク質、
その部分ペプチドまたはそれらの塩を製造することがで
きる。
【0032】宿主がエシェリヒア属菌、バチルス属菌で
ある形質転換体を培養する際、培養に使用される培地と
しては液体培地が適当であり、その中には該形質転換体
の生育に必要な炭素源、窒素源、無機物その他が含有せ
しめられる。炭素源としては、例えば、グルコース、デ
キストリン、可溶性澱粉、ショ糖など、窒素源として
は、例えば、アンモニウム塩類、硝酸塩類、コーンスチ
ープ・リカー、ペプトン、カゼイン、肉エキス、大豆
粕、バレイショ抽出液などの無機または有機物質、無機
物としては、例えば、塩化カルシウム、リン酸二水素ナ
トリウム、塩化マグネシウムなどがそれぞれ用いられ
る。また、酵母エキス、ビタミン類、生長促進因子など
を添加してもよい。培地のpHは約5〜8が望ましい。
エシェリヒア属菌を培養する際の培地としては、例え
ば、グルコース、カザミノ酸を含むM9培地〔ミラー
(Miller),ジャーナル・オブ・エクスペリメンツ・イ
ン・モレキュラー・ジェネティックス(Journal of Exp
eriments in Molecular Genetics),431−433,
Cold Spring Harbor Laboratory, New York1972〕
が好ましい。ここに必要によりプロモーターを効率よく
働かせるために、例えば3β−インドリル アクリル酸
のような薬剤を加えることができる。宿主がエシェリヒ
ア属菌の場合、培養は通常約15〜43℃で約3〜24
時間行い、必要により、通気や撹拌を加えることもでき
る。宿主がバチルス属菌の場合、培養は通常約30〜4
0℃で約6〜24時間行ない、必要により通気や撹拌を
加えることもできる。
【0033】宿主が酵母である形質転換体を培養する
際、培地としては、例えば、バークホールダー(Burkho
lder)最小培地〔Bostian, K. L. ら、「プロシージン
グズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイ
エンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Ac
ad. Sci. USA),77巻,4505(1980)〕や
0.5%カザミノ酸を含有するSD培地〔Bitter, G. A.
ら、「プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・ア
カデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエス
エー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),81巻,5
330(1984)〕があげられる。培地のpHは約5
〜8に調整するのが好ましい。培養は通常約20℃〜3
5℃で約24〜72時間行ない、必要に応じて通気や撹
拌を加える。宿主が昆虫細胞である形質転換体を培養す
る際、培地としては、Grace's Insect Medium(Grace,
T.C.C.,ネイチャー(Nature),195,788(1962))に非働
化した10%ウシ血清等の添加物を適宜加えたものなど
が用いられる。培地のpHは約6.2〜6.4に調整す
るのが好ましい。培養は通常約27℃で約3〜5日間行
い、必要に応じて通気や撹拌を加える。宿主が動物細胞
である形質転換体を培養する際、培地としては、例え
ば、約5〜20%の胎児牛血清を含むMEM培地〔サイ
エンス(Science),122巻,501(1952)〕,
DMEM培地〔ヴィロロジー(Virology),8巻,39
6(1959)〕,RPMI 1640培地〔ジャーナル
・オブ・ザ・アメリカン・メディカル・アソシエーショ
ン(The Journal of the American Medical Associatio
n)199巻,519(1967)〕,199培地〔プロ
シージング・オブ・ザ・ソサイエティ・フォー・ザ・バ
イオロジカル・メディスン(Proceeding ofthe Society
for the Biological Medicine),73巻,1(195
0)〕などが用いられる。pHは約6〜8であるのが好
ましい。培養は通常約30℃〜40℃で約15〜72時
間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加える。特に、C
HO(dhfr-)細胞およびdhfr遺伝子を選択マ
ーカーとして用いる場合、チミジンをほとんど含まない
透析ウシ胎児血清を含むDMEM培地を用いるのが好ま
しい。
【0034】上記培養物から本発明のタンパク質を分離
精製するには、例えば、下記の方法により行なうことが
できる。本発明のタンパク質を培養菌体あるいは細胞か
ら抽出するに際しては、培養後、公知の方法で菌体ある
いは細胞を集め、これを適当な緩衝液に懸濁し、超音
波、リゾチームおよび/または凍結融解などによって菌
体あるいは細胞を破壊したのち、遠心分離やろ過により
本発明のタンパク質の粗抽出液を得る方法などが適宜用
い得る。緩衝液の中に尿素や塩酸グアニジンなどのタン
パク変性剤や、トリトンX−100(登録商標。以下、
TMと略称する場合がある)などの界面活性剤が含まれ
ていてもよい。培養液中にタンパク質が分泌される場合
には、培養終了後、それ自体公知の方法で菌体あるいは
細胞と上清とを分離し、上清を集める。このようにして
得られた培養上清、あるいは抽出液中に含まれる本発明
のタンパク質の精製は、自体公知の分離・精製法を適切
に組み合わせて行なうことができる。これらの公知の分
離、精製法としては、塩析や溶媒沈澱法などの溶解度を
利用する方法、透析法、限外ろ過法、ゲルろ過法、およ
びSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法などの主
として分子量の差を利用する方法、イオン交換クロマト
グラフィーなどの荷電の差を利用する方法、アフィニテ
ィークロマトグラフィーなどの特異的親和性を利用する
方法、疎水クロマトグラフィーおよび逆相高速液体クロ
マトグラフィーなどの疎水性の差を利用する方法、等電
点電気泳動法などの等電点の差を利用する方法などが用
いられる。かくして得られる本発明のタンパク質が遊離
体で得られた場合には、自体公知の方法あるいはそれに
準じる方法によって塩に変換することができ、逆に塩で
得られた場合には自体公知の方法あるいはそれに準じる
方法により、遊離体または他の塩に変換することができ
る。なお、組換え体が産生する本発明のタンパク質を、
精製前または精製後に適当な蛋白修飾酵素を作用させる
ことにより、任意に修飾を加えたり、ポリペプチドを部
分的に除去することもできる。蛋白修飾酵素としては、
例えば、トリプシン、キモトリプシン、アルギニルエン
ドペプチダーゼ、プロテインキナーゼ、グリコシダーゼ
などが用いられる。かくして生成する本発明のタンパク
質の存在は、特異抗体を用いたエンザイムイムノアッセ
イなどにより測定することができる。
【0035】本発明のタンパク質、その部分ペプチドま
たはそれらの塩に対する抗体は、本発明のタンパク質、
その部分ペプチドまたはそれらの塩(以下、本発明のタ
ンパク質と略記する場合がある)を認識し得る抗体であ
れば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体の何れ
であってもよい。本発明のタンパク質に対する抗体(以
下、本発明の抗体と略記する場合がある)は、本発明の
タンパク質を抗原として用い、自体公知の抗体または抗
血清の製造法に従って製造することができる。 〔モノクローナル抗体の作製〕 (a)モノクロナール抗体産生細胞の作製 本発明のタンパク質は、温血動物に対して投与により抗
体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤と
ともに投与される。投与に際して抗体産生能を高めるた
め、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントア
ジュバントを投与してもよい。投与は通常2〜6週毎に
1回ずつ、計2〜10回程度行なうことができる。用い
られる温血動物としては、例えば、サル、ウサギ、イ
ヌ、モルモット、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギ、ニワ
トリがあげられるが、マウスおよびラットが好ましく用
いられる。モノクローナル抗体産生細胞の作製に際して
は、抗原を免疫された温血動物、例えば、マウスから抗
体価の認められた個体を選択し最終免疫の2〜5日後に
脾臓またはリンパ節を採取し、それらに含まれる抗体産
生細胞を骨髄腫細胞と融合させることにより、モノクロ
ーナル抗体産生ハイブリドーマを調製することができ
る。抗血清中の抗体価の測定は、例えば、後記の標識化
タンパク質と抗血清とを反応させたのち、抗体に結合し
た標識剤の活性を測定することにより行なうことができ
る。融合操作は既知の方法、例えば、ケーラーとミルス
タインの方法〔ネイチャー(Nature)、256、495 (197
5)〕に従い実施できる。融合促進剤としては、例えば、
ポリエチレングリコール(PEG)やセンダイウィルス
などがあげられるが、好ましくはPEGが用いられる。
骨髄腫細胞としては、例えば、NS−1、P3U1、S
P2/0、AP−1などがあげられるが、P3U1が好
ましく用いられる。用いられる抗体産生細胞(脾臓細
胞)数と骨髄腫細胞数との好ましい比率は1:1〜2
0:1程度であり、PEG(好ましくはPEG1000
〜PEG6000)が10〜80%程度の濃度で添加さ
れ、20〜40℃、好ましくは30〜37℃で1〜10
分間インキュベートすることにより効率よく細胞融合を
実施できる。
【0036】モノクローナル抗体産生ハイブリドーマの
スクリーニングには種々の方法が使用できるが、例え
ば、タンパク質抗原を直接あるいは担体とともに吸着さ
せた固相(例、マイクロプレート)にハイブリドーマ培
養上清を添加し、次に放射性物質や酵素などで標識した
抗免疫グロブリン抗体(細胞融合に用いられる細胞がマ
ウスの場合、抗マウス免疫グロブリン抗体が用いられ
る)またはプロテインAを加え、固相に結合したモノク
ローナル抗体を検出する方法、抗免疫グロブリン抗体ま
たはプロテインAを吸着させた固相にハイブリドーマ培
養上清を添加し、放射性物質や酵素などで標識したタン
パク質を加え、固相に結合したモノクローナル抗体を検
出する方法などが用いられる。モノクローナル抗体の選
別は、自体公知あるいはそれに準じる方法に従って行な
うことができる。通常HAT(ヒポキサンチン、アミノ
プテリン、チミジン)を添加した動物細胞用培地で行な
うことができる。選別および育種用培地としては、ハイ
ブリドーマが生育できるものならばどのような培地を用
いても良い。例えば、1〜20%、好ましくは10〜2
0%の牛胎児血清を含むRPMI 1640培地、1〜
10%の牛胎児血清を含むGIT培地(和光純薬工業
(株))あるいはハイブリドーマ培養用無血清培地(S
FM−101、日水製薬(株))などを用いることがで
きる。培養温度は、通常20〜40℃、好ましくは約3
7℃である。培養時間は、通常5日〜3週間、好ましく
は1週間〜2週間である。培養は、通常5%炭酸ガス下
で行なうことができる。ハイブリドーマ培養上清の抗体
価は、上記の抗血清中の抗体価の測定と同様にして測定
できる。 (b)モノクロナール抗体の精製 モノクローナル抗体の分離精製は、自体公知の方法、例
えば、免疫グロブリンの分離精製法〔例、塩析法、アル
コール沈澱法、等電点沈澱法、電気泳動法、イオン交換
体(例、DEAE)による吸脱着法、超遠心法、ゲルろ
過法、抗原結合固相あるいはプロテインAあるいはプロ
テインGなどの活性吸着剤により抗体のみを採取し、結
合を解離させて抗体を得る特異的精製法〕に従って行な
うことができる。
【0037】〔ポリクローナル抗体の作製〕本発明のポ
リクローナル抗体は、それ自体公知あるいはそれに準じ
る方法にしたがって製造することができる。例えば、免
疫抗原(タンパク質抗原)とキャリアー蛋白質との複合
体をつくり、上記のモノクローナル抗体の製造法と同様
に温血動物に免疫を行ない、該免疫動物から本発明のポ
リクローナル抗体含有物を採取して、抗体の分離精製を
行なうことにより製造することができる。温血動物を免
疫するために用いられる免疫抗原とキャリアー蛋白質と
の複合体に関し、キャリアー蛋白質の種類およびキャリ
アーとハプテンとの混合比は、キャリアーに架橋させて
免疫したハプテンに対して抗体が効率良くできれば、ど
の様なものをどの様な比率で架橋させてもよいが、例え
ば、ウシ血清アルブミンやウシサイログロブリン、ヘモ
シアニン等を重量比でハプテン1に対し、約0.1〜2
0、好ましくは約1〜5の割合で結合させる方法が用い
られる。また、ハプテンとキャリアーのカプリングに
は、種々の縮合剤を用いることができるが、グルタルア
ルデヒドやカルボジイミド、マレイミド活性エステル、
チオール基、ジチオビリジル基を含有する活性エステル
試薬等が用いられる。縮合生成物は、温血動物に対し
て、抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希
釈剤とともに投与される。投与に際して抗体産生能を高
めるため、完全フロイントアジュバントや不完全フロイ
ントアジュバントを投与してもよい。投与は、通常約2
〜6週毎に1回ずつ、計約3〜10回程度行なうことが
できる。ポリクローナル抗体は、上記の方法で免疫され
た温血動物の血液、腹水など、好ましくは血液から採取
することができる。抗血清中のポリクローナル抗体価の
測定は、上記の血清中の抗体価の測定と同様にして測定
できる。抗体の分離精製は、上記のモノクローナル抗体
の分離精製と同様の免疫グロブリンの分離精製法に従っ
て行なうことができる。
【0038】本発明のタンパク質または部分ペプチドを
コードするDNAまたはmRNAに相補的な塩基配列を
有するアンチセンスDNAとしては、本発明のタンパク
質または部分ペプチドをコードするDNAまたはmRN
Aの塩基配列またはその一部の塩基配列に相補的な塩基
配列を有し、該タンパク質または部分ペプチドの発現を
抑制し得る作用を有するオリゴヌクレオチドまたはその
誘導体であれば、いずれのアンチセンスDNAであって
もよい。相補的な塩基配列とは、例えば、本発明のタン
パク質または部分ペプチドをコードするDNAまたはm
RNAの全塩基配列または部分塩基配列と約40%以
上、好ましくは約60%以上、より好ましくは約80%
以上、さらに好ましくは約90%以上の相同性を有する
塩基配列などがあげられる。特に、本発明のDNAまた
はmRNAの全塩基配列うち、本発明のタンパク質のN
末端部位をコードする部分の塩基配列(例えば、開始コ
ドン付近の塩基配列など)と約40%以上、好ましくは
約60%以上、より好ましくは約80%以上、さらに好
ましくは約90%以上の相同性を有するアンチセンスD
NAが好適である。これらのアンチセンスDNAは、公
知のDNA合成装置などを用いて製造することができ
る。
【0039】本発明のタンパク質、その部分ペプチドま
たはそれらの塩は、例えば、レセプターを介する細胞刺
激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊
離、細胞内Ca2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、細
胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電
位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、pHの低下など)、
血管新生活性(作用)、細胞増殖、細胞の維持、組織の
形成・増強・新生・分化作用などの作用を有している。
したがって、本発明のタンパク質、その部分ペプチドま
たはそれらの塩はさまざまな用途に用いることができ
る。以下に、本発明のタンパク質、その部分ペプチドま
たはそれらの塩(本発明のタンパク質と略記する場合が
ある)、本発明のタンパク質をコードするDNA(本発
明のDNAと略記する場合がある)、本発明のタンパク
質に対する抗体(本発明の抗体と略記する場合がある)
およびアンチセンスDNAの用途を説明する。
【0040】(1)各種疾病の治療・予防剤などの医薬 本発明のタンパク質は、細胞増殖、細胞の維持、組織の
形成・増強・新生・分化作用、血管新生作用などを有
し、後述の実施例2(図5)、実施例4(図9)に示さ
れているとおり、本発明のタンパク質は精巣、肝臓、胎
児肝臓、膵臓、骨格筋、白色脂肪組織で高発現してい
る。本発明のタンパク質および本発明のDNAは、例え
ば創傷、火傷、血栓症、動脈硬化症、肝臓病、膵臓病、
糖尿病などの予防・治療剤などの医薬として有用であ
る。加えて、本発明のタンパク質および本発明のDNA
は、肥満症などの予防・治療薬などの医薬として有用で
ある。本発明のタンパク質または本発明のDNAを上記
の医薬として使用する場合は、例えば、必要に応じて糖
衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロ
カプセル剤などとして経口的に、あるいは水もしくはそ
れ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、または
懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用できる。例
えば、本発明のタンパク質あるいはDNAを生理学的に
認められる担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、
安定剤、結合剤などとともに一般に認められた製剤実施
に要求される単位用量形態で混和することによって製造
することができる。これら製剤における有効成分量は指
示された範囲の適当な用量が得られるようにするもので
ある。本発明のDNAを用いる場合は、該DNAを単独
あるいはレトロウイルスベクター、アデノウイルスベク
ター、アデノウイルスアソシエーテッドウイルスベクタ
ーなどの適当なベクターに挿入した後、常套手段に従っ
て投与することができる。錠剤、カプセル剤などに混和
することができる添加剤としては、例えば、ゼラチン、
コーンスターチ、トラガント、アラビアゴムのような結
合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスター
チ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ステア
リン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖また
はサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ
油またはチェリーのような香味剤などが用いられる。調
剤単位形態がカプセルである場合には、前記タイプの材
料にさらに油脂のような液状担体を含有することができ
る。注射のための無菌組成物は注射用水のようなベヒク
ル中の活性物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出
植物油などを溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実
施に従って処方することができる。注射用の水性液とし
ては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬
を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニ
トール、塩化ナトリウムなど)などが用いられ、適当な
溶解補助剤、例えば、アルコール(例えば、エタノール
など)、ポリアルコール(例えば、プロピレングリコー
ル、ポリエチレングリコールなど)、非イオン性界面活
性剤(例えば、ポリソルベート80TM、HCO−50な
ど)などと併用してもよい。油性液としては、例えば、
ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶解補助剤として安息
香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよ
い。また、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナト
リウム緩衝液など)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザル
コニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒ
ト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保
存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノールな
ど)、酸化防止剤などと配合してもよい。調整された注
射液は、通常、適当なアンプルに充填される。
【0041】このようにして得られる製剤は、安全で低
毒性であるので、例えば、ヒトまたは温血動物(例え
ば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、トリ、ヒツ
ジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サルなど)に対し
て投与することができる。該タンパク質またはDNAの
投与量は、症状などにより差異はあるが、経口投与の場
合、一般的に通常成人の動脈硬化症患者(60kgとし
て)においては、一日につき有効成分を約0.1mg〜
100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ま
しくは約1.0〜20mgである。非経口的に投与する
場合は、その1回投与量は投与対象、対象組織、症状、
投与方法などによっても異なるが、例えば、注射剤の形
では通常成人の動脈硬化症患者(体重60kgとして)
においては、一日につき有効成分を約0.01〜30m
g程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ま
しくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与す
るのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当た
りに換算した量を投与することができる。
【0042】(2)遺伝子診断剤 本発明のDNAは、プローブとして使用することによ
り、ヒトまたは温血哺乳動物(例えば、ラット、マウ
ス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、
ネコ、イヌ、サルなど)における本発明のタンパク質ま
たはその部分ペプチドをコードするDNAの異常(遺伝
子異常)を検出することができる。したがって、本発明
のDNAは、本発明のタンパク質が関与する各種疾病の
遺伝子診断剤として有用である。例えば、本発明のタン
パク質またはその部分ペプチドをコードするDNAまた
はmRNAが損傷し、欠損し、あるいはタンパク質の発
現が減少していることが検出された場合は、例えば、創
傷、火傷、血栓症、動脈硬化症、肝臓病、膵臓病、糖尿
病などの疾病である可能性があると診断することができ
る。一方、本発明のタンパク質またはその部分ペプチド
をコードするDNAまたはmRNAが増加し、あるいは
タンパク質の発現が増加していることが検出された場合
は、例えば、胃癌、大腸癌、直腸癌、結腸癌、肺癌、乳
癌、子宮頚癌、前立腺癌、卵巣癌、慢性リンパ性白血
病、慢性骨髄性白血病、慢性膵炎、悪性黒色腫、多発性
骨髄腫、エイズ感染症、慢性肝炎、急性肝炎、肝硬変、
肝臓癌、膵臓癌などの疾患である可能性ありと診断する
ことができる。また、発明のタンパク質またはその部分
ペプチドをコードするDNAまたはmRNAが増加また
は減少し、あるいはタンパク質の発現が増加または減少
していることが検出された場合は、上記の疾患の他、肥
満症などの疾患である可能性ありと診断することができ
る。本発明のDNAを用いる上記の遺伝子診断は、例え
ば、自体公知のノーザンハイブリダイゼーションやPC
R−SSCP法(ゲノミックス(Genomics),第5巻,
874〜879頁(1989年)、プロシージングズ・
オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシ
イズ・オブ・ユーエスエー(Proceedings ofthe Nation
al Academy of Sciences of the United States of Ame
rica),第86巻,2766〜2770頁(1989
年))などにより実施することができる。
【0043】(3)本発明のタンパク質、その部分ペプ
チドまたはそれらの塩の定量 本発明の抗体は、本発明のタンパク質を特異的に認識す
ることができるので、被検液中の本発明のタンパク質の
定量、特にサンドイッチ免疫測定法による定量などに使
用することができる。すなわち、本発明は、(i)本発
明の抗体と、被検液および標識化された本発明のタンパ
ク質とを競合的に反応させ、該抗体に結合した標識化さ
れた本発明のタンパク質の割合を測定することを特徴と
する被検液中の本発明のタンパク質の定量法、および
(ii)被検液と担体上に不溶化した本発明の抗体および
標識化された本発明の抗体とを同時あるいは連続的に反
応させたのち、不溶化担体上の標識剤の活性を測定する
ことを特徴とする被検液中の本発明のタンパク質の定量
法を提供する。上記(ii)の定量法においては、一方の
抗体が本発明のタンパク質のN端部を認識する抗体で、
他方の抗体が本発明のタンパク質のC端部に反応する抗
体であることが望ましい。
【0044】また、本発明のタンパク質に対するモノク
ローナル抗体(以下、モノクローナル抗体と称する場合
がある)を用いて本発明のタンパク質の定量を行なえる
ほか、組織染色等による検出を行なうこともできる。こ
れらの目的には、抗体分子そのものを用いてもよく、ま
た、抗体分子のF(ab')2 、Fab'、あるいはFab
画分を用いてもよい。本発明の抗体を用いる本発明のタ
ンパク質の定量法は、 特に制限されるべきものではな
く、被測定液中の抗原量(例えば、タンパク質量)に対
応した抗体、抗原もしくは抗体−抗原複合体の量を化学
的または物理的手段により検出し、これを既知量の抗原
を含む標準液を用いて作製した標準曲線より算出する測
定法であれば、いずれの測定法を用いてもよい。例え
ば、ネフロメトリー、競合法、イムノメトリック法およ
びサンドイッチ法が好適に用いられるが、感度、特異性
の点で、後述するサンドイッチ法を用いるのが特に好ま
しい。標識物質を用いる測定法に用いられる標識剤とし
ては、例えば、放射性同位元素、酵素、蛍光物質、発光
物質などが用いられる。放射性同位元素としては、例え
ば、〔125I〕、〔131I〕、〔3H〕、〔14C〕など
が、上記酵素としては、安定で比活性の大きなものが好
ましく、例えば、β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシ
ダーゼ、アルカリフォスファターゼ、パーオキシダー
ゼ、リンゴ酸脱水素酵素などが、蛍光物質としては、例
えば、フルオレスカミン、フルオレッセンイソチオシア
ネートなどが、発光物質としては、例えば、ルミノー
ル、ルミノール誘導体、ルシフェリン、ルシゲニンなど
がそれぞれ用いられる。さらに、抗体あるいは抗原と標
識剤との結合にビオチン−アビジン系を用いることもで
きる。
【0045】抗原あるいは抗体の不溶化に当っては、物
理吸着を用いてもよく、また通常タンパク質あるいは酵
素等を不溶化、固定化するのに用いられる化学結合を用
いる方法でもよい。担体としては、例えば、アガロー
ス、デキストラン、セルロースなどの不溶性多糖類、ポ
リスチレン、ポリアクリルアミド、シリコン等の合成樹
脂、あるいはガラスなどが用いられる。サンドイッチ法
においては不溶化したモノクローナル抗体に被検液を反
応させ(1次反応)、さらに標識化したモノクローナル
抗体を反応させ(2次反応)たのち、不溶化担体上の標
識剤の活性を測定することにより被検液中の本発明のタ
ンパク質量等を定量することができる。1次反応と2次
反応は逆の順序に行っても、また、同時に行なってもよ
いし時間をずらして行なってもよい。標識化剤および不
溶化の方法は前記のそれらに準じることができる。ま
た、サンドイッチ法による免疫測定法において、固相用
抗体あるいは標識用抗体に用いられる抗体は必ずしも1
種類である必要はなく、測定感度を向上させる等の目的
で2種類以上の抗体の混合物を用いてもよい。本発明の
サンドイッチ法による本発明のタンパク質の測定法にお
いては、1次反応と2次反応に用いられる本発明のモノ
クローナル抗体は、本発明のタンパク質の結合する部位
が相異なる抗体が好ましく用いられる。すなわち、1次
反応および2次反応に用いられる抗体は、例えば、2次
反応で用いられる抗体が、本発明のタンパク質のC端部
を認識する場合、1次反応で用いられる抗体は、好まし
くはC端部以外、例えばN端部を認識する抗体が用いら
れる。
【0046】本発明のモノクローナル抗体をサンドイッ
チ法以外の測定システム、例えば、競合法、イムノメト
リック法あるいはネフロメトリーなどに用いることがで
きる。競合法では、被検液中の抗原と標識抗原とを抗体
に対して競合的に反応させたのち、未反応の標識抗原と
(F)と抗体と結合した標識抗原(B)とを分離し(B
/F分離)、B,Fいずれかの標識量を測定し、被検液
中の抗原量を定量する。本反応法には、抗体として可溶
性抗体を用い、B/F分離をポリエチレングリコール、
前記抗体に対する第2抗体などを用いる液相法、およ
び、第1抗体として固相化抗体を用いるか、あるいは、
第1抗体は可溶性のものを用い第2抗体として固相化抗
体を用いる固相化法とが用いられる。イムノメトリック
法では、被検液中の抗原と固相化抗原とを一定量の標識
化抗体に対して競合反応させた後固相と液相を分離する
か、あるいは、被検液中の抗原と過剰量の標識化抗体と
を反応させ、次に固相化抗原を加え未反応の標識化抗体
を固相に結合させたのち、固相と液相を分離する。次
に、いずれかの相の標識量を測定し被検液中の抗原量を
定量する。また、ネフロメトリーでは、ゲル内あるいは
溶液中で抗原抗体反応の結果生じた不溶性の沈降物の量
を測定する。被検液中の抗原量僅かであり、少量の沈降
物しか得られない場合にもレーザーの散乱を利用するレ
ーザーネフロメトリーなどが好適に用いられる。
【0047】これら個々の免疫学的測定法を本発明の定
量方法に適用するにあたっては、特別の条件、操作等の
設定は必要とされない。それぞれの方法における通常の
条件、操作法に当業者の通常の技術的配慮を加えて本発
明のタンパク質の測定系を構築すればよい。これらの一
般的な技術手段の詳細については、総説、成書などを参
照することができる。例えば、入江 寛編「ラジオイム
ノアッセイ〕(講談社、昭和49年発行)、入江 寛編
「続ラジオイムノアッセイ〕(講談社、昭和54年発
行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(医学書院、昭
和53年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第
2版)(医学書院、昭和57年発行)、石川栄治ら編
「酵素免疫測定法」(第3版)(医学書院、昭和62年
発行)、「Methods in ENZYMOLOGY」Vol. 70(Immunochem
ical Techniques(Part A))、 同書 Vol. 73(Immunochem
ical Techniques(Part B))、 同書 Vol. 74(Immunochem
ical Techniques(Part C))、 同書 Vol. 84(Immunochem
ical Techniques(Part D : Selected Immunoassays))、
同書 Vol. 92(Immunochemical Techniques(Part E : M
onoclonal Antibodies and General Immunoassay Metho
ds))、 同書 Vol. 121(Immunochemical Techniques(Par
t I : Hybridoma Technology and Monoclonal Antibodi
es))(以上、アカデミックプレス社発行)などを参照する
ことができる。以上のようにして、本発明の抗体を用い
ることによって、本発明のタンパク質を感度良く定量す
ることができる。
【0048】さらには、本発明の抗体を用いて本発明の
タンパク質の濃度を定量することによって、本発明のタ
ンパク質が関与する各種疾病の診断を行なうことができ
る。例えば、本発明のタンパク質の濃度が減少している
場合は、例えば、創傷、火傷、血栓症、動脈硬化症、肝
臓病、膵臓病、糖尿病などの疾患である可能性ありと診
断できる。一方、本発明のタンパク質の濃度が増加して
いる場合は、例えば、胃癌、大腸癌、直腸癌、結腸癌、
肺癌、乳癌、子宮頚癌、前立腺癌、卵巣癌、慢性リンパ
性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性膵炎、悪性黒色腫、
多発性骨髄腫、エイズ感染症、慢性肝炎、急性肝炎、肝
硬変、肝臓癌、膵臓癌などの疾患である可能性ありと診
断できる。また、本発明の抗体のうち、本発明のタンパ
ク質の活性を中和することができる抗体は、例えば胃
癌、大腸癌、直腸癌、結腸癌、肺癌、乳癌、子宮頚癌、
前立腺癌、卵巣癌、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白
血病、慢性膵炎、悪性黒色腫、多発性骨髄腫、エイズ感
染症、慢性肝炎、急性肝炎、肝硬変、肝臓癌、膵臓癌な
どの疾患の予防・治療剤などの医薬として使用すること
ができる。また、発明のタンパク質の濃度が増加または
減少している場合は、本発明の抗体は、上記の疾患の
他、肥満症の予防・治療剤などの医薬として使用するこ
とができる。さらに、本発明の抗体は、体液や組織など
の被検体中に存在する本発明のタンパク質を検出するた
めに使用することができる。さらに、本発明のタンパク
質を精製するために使用する抗体カラムの作製、精製時
の各分画中の本発明のタンパク質を検出するために使用
することができる。
【0049】(4)医薬候補化合物のスクリーニング (A)レセプターアゴニストまたはアンタゴニストのス
クリーニング方法 本発明のタンパク質とそのレセプターを用いたリガンド
・レセプター結合アッセイ系を構築することによって、
本発明のタンパク質と同様の作用を有する医薬候補化合
物のスクリーニングや、本発明のタンパク質の作用を阻
害する医薬候補化合物のスクリーニングを行なうことが
できる。すなわち、本発明は、本発明のタンパク質を用
いるレセプターアゴニストまたはアンタゴニストのスク
リーニング方法を提供する。より具体的には、本発明
は、(1)(i)レセプターまたはその部分ペプチド
に、本発明のタンパク質を接触させた場合と(ii)レセ
プターまたはその部分ペプチドに、本発明のタンパク質
および試験化合物を接触させた場合との比較を行なうこ
とを特徴とするレセプターアゴニストまたはアンタゴニ
ストのスクリーニング方法、および(2)(i)レセプ
ターを含有する細胞またはその細胞膜画分に、本発明の
タンパク質を接触させた場合と(ii)レセプターを含有
する細胞またはその細胞膜画分に、本発明のタンパク質
および試験化合物を接触させた場合との比較を行なうこ
とを特徴とするレセプターアゴニストまたはアンタゴニ
ストのスクリーニング方法を提供する。
【0050】具体的には、本発明のスクリーニング方法
においては、(i)と(ii)の場合における、例えば、
レセプターまたはレセプターを含有する細胞等に対する
本発明のタンパク質の結合量、レセプターを介する細胞
刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン
遊離、細胞内Ca2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、
細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜
電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、pHの低下な
ど)、血管新生活性(作用)、細胞増殖、細胞の維持、
組織の形成・増強・新生・分化作用などを測定して、比
較することを特徴とするものである。より具体的には、
本発明は、(1a)(i)標識した本発明のタンパク質
を、レセプターまたはその部分ペプチドに接触させた場
合と、(ii)標識した本発明のタンパク質および試験化
合物を、レセプターまたはその部分ペプチドに接触させ
た場合における、標識した本発明のタンパク質の該レセ
プターまたはその部分ペプチドまたはそれらの塩に対す
る結合量を測定し、比較することを特徴とするレセプタ
ーアゴニストまたはアンタゴニストのスクリーニング方
法、(2a)(i)標識した本発明のタンパク質を、レ
セプターを含有する細胞またはその細胞膜画分に接触さ
せた場合と、(ii)標識した本発明のタンパク質および
試験化合物を、レセプターを含有する細胞またはその細
胞膜画分に接触させた場合における、標識した本発明の
タンパク質の該細胞またはその細胞膜画分に対する結合
量を測定し、比較することを特徴とするレセプターアゴ
ニストまたはアンタゴニストのスクリーニング方法、お
よび(2b)(i)本発明のタンパク質を、レセプター
を含有する細胞に接触させた場合と、(ii)本発明のタ
ンパク質および試験化合物を、レセプターを含有する細
胞に接触させた場合における、レセプターを介する細胞
刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン
遊離、細胞内Ca2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、
細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜
電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、pHの低下な
ど)、血管新生活性(作用)、細胞増殖、細胞の維持、
組織の形成・増強・新生・分化作用などを測定し、比較
することを特徴とするレセプターアゴニストまたはアン
タゴニストのスクリーニング方法を提供する。
【0051】上記の(1a)または(2a)のスクリー
ニング方法において、レセプターに結合して、本発明の
タンパク質とレセプターとの結合を阻害する化合物がレ
セプターアゴニストまたはアンタゴニストとして選択で
きる。上記(2b)のスクリーニング方法において、レ
セプターに結合し、該レセプターを介する細胞刺激活性
(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細
胞内Ca2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、細胞内c
GMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変
動、細胞内蛋白質のリン酸化、pHの低下など)を促進
する活性、血管新生促進活性(作用)、細胞増殖、細胞
の維持、組織の形成・増強・新生・分化作用などを有す
る化合物をレセプターアゴニストとして選択することが
でき、一方、該細胞刺激活性を抑制する活性、血管新生
阻害活性(作用)、細胞増殖、細胞の維持、組織の形成
・増強・新生・分化作用などの作用を抑制する化合物を
レセプターアンタゴニストとして選択することができ
る。また、上記の(1a)または(2a)のスクリーニ
ング方法において、本発明のタンパク質とレセプターと
の結合を阻害する活性が認められた試験化合物の中で、
レセプターを介する細胞刺激活性(例えば、アラキドン
酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+濃度の変
動、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシ
トールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリ
ン酸化、pHの低下など)、血管新生活性(作用)、細
胞増殖、細胞の維持、組織の形成・増強・新生・分化作
用などの活性を有する化合物をレセプターアゴニストと
して選択することができ、これらの活性を抑制する化合
物をレセプターアンタゴニストとして選択することがで
きる。
【0052】本発明のスクリーニング方法に用いられる
レセプターとしてはヒトあるいは温血動物由来のFGF
ファミリーの受容体(FGFR1、FGFR2、FGF
R3、FGFR4)などが好ましく用いられる。これら
のレセプターおよび本発明のタンパク質に対するレセプ
ターは、自体公知のタンパク質の精製方法に従って入手
することができ、また、自体公知の遺伝子工学的手法に
従って該レセプターをコードするDNAをクローニング
した後、前記した本発明のタンパク質の発現方法に従っ
て目的とするレセプターを入手することもできる。該レ
セプターの部分ペプチドとしては、全長レセプターを適
当に切断して得られる部分ペプチドを用いることができ
る。標識した本発明のタンパク質としては、例えば、〔
3H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35S〕などで標識した
本発明のタンパク質などを用いることができる。
【0053】本発明のスクリーニング方法に用いられる
上記レセプターを含有する細胞としては、前記した本発
明のタンパク質を発現させるために用いる宿主細胞とし
て列記したものと同様のものを用いることができるが、
なかでも、CHO細胞などが好ましい。レセプターを含
有する細胞は、レセプターをコードするDNAを用い
て、自体公知の方法、例えば、前記した本発明のタンパ
ク質の発現方法などに従って製造することができる。ま
た、上記レセプターを含有する細胞として、CL8細胞
株(ボーン(BONE), 18, 159-169, 1996)、OK細胞
株(アメリカン・ジャーナル・オブ・フィジオロジー
(AMERICAN JOURNAL OF PHYSIOLOGY)253, E221-E227,
1987)などの株化細胞を用いることもできる。本発明の
スクリーニング方法において、レセプターを含有する細
胞を用いる場合、該細胞をグルタルアルデヒド、ホルマ
リンなどで固定化することができる。固定化方法は、そ
れ自体公知の方法に従って行うことができる。
【0054】上記レセプターを含有する細胞の細胞膜画
分としては、細胞を破砕した後、それ自体公知の方法で
得られる細胞膜が多く含まれる画分のことをいう。細胞
の破砕方法としては、Potter−Elvehjem型ホモジナイザ
ーで細胞を押し潰す方法、ワーリングブレンダーやポリ
トロン(Kinematica社製)のよる破砕、超音波による破
砕、フレンチプレスなどで加圧しながら細胞を細いノズ
ルから噴出させることによる破砕などがあげられる。細
胞膜の分画には、分画遠心分離法や密度勾配遠心分離法
などの遠心力による分画法が主として用いられる。例え
ば、細胞破砕液を低速(500rpm〜3000rp
m)で短時間(通常、約1分〜10分)遠心し、上清を
さらに高速(15000rpm〜30000rpm)で
通常30分〜2時間遠心し、得られる沈澱を膜画分とす
る。該膜画分中には、発現したレセプターまたは本発明
のタンパク質と、細胞由来のリン脂質や膜蛋白質などの
膜成分が多く含まれる。該レセプターを含有する細胞や
その細胞膜画分中のレセプターの量は、1細胞当たり1
3〜108分子であるのが好ましく、105〜107分子
であるのが好適である。なお、発現量が多いほど膜画分
当たりのリガンド結合活性(比活性)が高くなり、高感
度なスクリーニング系の構築が可能になるばかりでな
く、同一ロットで大量の試料を測定できるようになる。
【0055】試験化合物としては、例えばタンパク質、
タンパク、非タンパク質性化合物、合成化合物、発酵生
産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液などが
あげられ、これら化合物は新規な化合物であってもよい
し、公知の化合物であってもよい。本発明のスクリーニ
ング方法において、本発明のタンパク質とレセプターと
の反応は、通常約37℃で数時間行なうことができる。
具体的には、上記の(1a)または(2a)のスクリー
ニング方法を実施するには、まず、本発明のレセプター
を含有する細胞またはその細胞膜画分、あるいはレセプ
ターまたはその部分ペプチドを、スクリーニングに適し
たバッファーに懸濁することによりレセプター標品を調
製する。バッファーには、pH約4〜10(望ましく
は、pH約6〜8)のリン酸バッファー、トリス−塩酸
バッファーなどの、本発明のタンパク質とレセプターと
の結合を阻害しないバッファーであればいずれでもよ
い。また、非特異的結合を低減させる目的で、CHAP
S、Tween−80TM(花王−アトラス社)、ジギト
ニン、デオキシコレートなどの界面活性剤をバッファー
に加えることもできる。さらに、プロテアーゼによるレ
セプターやリガンドの分解を抑える目的で、PMSF、
ロイペプチン、バシトラシン、アプロチニン、E−64
(タンパク質研究所製)、ペプスタチンなどのプロテア
ーゼ阻害剤を添加することもできる。一方、細胞が固定
化細胞の場合、培養器に固定化させたまま、つまり細胞
を生育させた状態で、あるいはグルタルアルデヒドやパ
ラホルムアルデヒドで固定した細胞を用いて、本発明の
タンパク質とレセプターを結合させることができる。
【0056】この場合、該緩衝液は培地やハンクス液な
どが用いられる。そして、0.01ml〜10mlの該
レセプター溶液に、一定量(例えば、2000Ci/m
molの場合、約10000cpm〜1000000c
pm)の標識した本発明のタンパク質(例えば、〔125
I〕で標識した本発明のタンパク質)を添加し、同時に
10-4M〜10-10Mの試験化合物を共存させる。非特
異的結合量(NSB)を知るために大過剰の未標識の本
発明のタンパク質を加えた反応チューブも用意する。反
応は0℃から50℃、望ましくは4℃から37℃で20
分から24時間、望ましくは30分から3時間行なう。
反応後、ガラス繊維濾紙等で濾過し、適量の同バッファ
ーで洗浄した後、ガラス繊維濾紙に残存する放射活性
(例えば、〔125I〕の量)を液体シンチレーションカ
ウンターまたはγ−カウンターで測定する。濾過には、
マニホールドやセルハーベスターを用いることができる
が、セルハーベスターを用いることが効率を上げるため
に望ましい。拮抗する物質がない場合のカウント(B0
から非特異的結合量(NSB)を引いたカウント(B0
−NSB)を100%とした時、特異的結合量(B−N
SB)が、例えばカウント(B0−NSB)の50%以
下になる試験化合物をアゴニストまたはアンタゴニスト
候補化合物として選択することができる。
【0057】また、上記(2b)のスクリーニング方法
を実施するためには、レセプターを介する細胞刺激活性
(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細
胞内Ca2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、細胞内c
GMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変
動、細胞内蛋白質のリン酸化、pHの低下など)、血管
新生活性(作用)、細胞増殖、細胞の維持、組織の形成
・増強・新生・分化作用などの活性を公知の方法あるい
はそれに準じる方法に従って測定することができる。具
体的には、まず、レセプターを含有する細胞をマルチウ
ェルプレート等に培養する。スクリーニングを行なうに
あたっては前もって新鮮な培地あるいは細胞に毒性を示
さない適当なバッファーに交換し、試験化合物などを添
加して一定時間インキュベートした後、細胞を抽出ある
いは上清液を回収して、生成した産物をそれぞれの方法
に従って定量する。細胞刺激活性の指標とする物質
((例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、
細胞内Ca2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、細胞内
cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変
動、細胞内蛋白質のリン酸化、pHの低下など)の生成
が、細胞が含有する分解酵素によって検定困難な場合
は、該分解酵素に対する阻害剤を添加してアッセイを行
なってもよい。また、cAMP産生抑制などの活性につ
いては、フォルスコリンなどで細胞の基礎的産生量を増
大させておいた細胞に対する産生抑制作用として検出す
ることができる。
【0058】血管新生活性(作用)、細胞増殖、細胞の
維持、組織の形成・増強・新生・分化作用の測定は自体
公知の方法に準じて測定することができる。上記(2
b)のスクリーニング方法において、試験化合物を添加
した際にレセプターを含有する細胞が、該レセプターを
介する細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセ
チルコリン遊離、細胞内Ca2+濃度の変動、細胞内cA
MP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産
生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、pHの
低下など)、血管新生活性(作用)、細胞増殖、細胞の
維持、組織の形成・増強・新生・分化作用の上昇などを
示した場合、該試験化合物をレセプターアゴニスト候補
化合物として選択することができる。一方、試験化合物
を添加した際にレセプターを含有する細胞が、該レセプ
ターを介する細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊
離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+濃度の変動、細
胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトール
リン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸
化、pHの低下など)、血管新生活性(作用)、細胞増
殖、細胞の維持、組織の形成・増強・新生・分化作用の
低下などを示した場合、該試験化合物をレセプターアン
タゴニスト候補化合物として選択することができる。
【0059】本発明のスクリーニング用キットは、本発
明のタンパク質、好ましくはさらに、レセプターを含有
する細胞もしくはその細胞膜画分等を含有するものであ
る。本発明のスクリーニング用キットの例としては、次
のものがあげられる。 〔スクリーニング用試薬〕 測定用緩衝液および洗浄用緩衝液 Hanks' Balanced Salt Solution(ギブコ社製)に、0.
05%のウシ血清アルブミン(シグマ社製)を加えたも
の。孔径0.45μmのフィルターで濾過滅菌し、4℃
で保存するか、あるいは用時調製しても良い。 レセプター標品 本発明のタンパク質に対するレセプターなどを含有する
CHO細胞を、12穴プレートに5×105個/穴で継
代し、37℃、5%CO2、95%airで2日間培養
したもの。 標識した本発明のタンパク質標品 本発明のタンパク質、その部分ペプチドまたはそれらの
塩を〔3H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35S〕などで標
識したもの。 本発明のタンパク質標準液 本発明のタンパク質、その部分ペプチドまたはそれらの
塩を0.1%ウシ血清アルブミン(シグマ社製)を含む
PBSで0.1mMとなるように溶解し、−20℃で保
存したもの。
【0060】〔測定法〕 12穴組織培養用プレートにて培養した組換え型レセ
プターを含有するCHO細胞を、測定用緩衝液1mlで
2回洗浄した後、490μlの測定用緩衝液を各穴に加
える。 10-3〜10-10Mの試験化合物溶液を5μl加えた
後、5nMの標識した本発明のタンパク質を5μl加
え、室温にて1時間反応させる。非特異的結合量を知る
ためには試験化合物のかわりに10-4Mの本発明のタン
パク質を5μl加えておく。 反応液を除去し、1mlの洗浄用緩衝液で3回洗浄す
る。細胞に結合した標識した本発明のタンパク質を0.
5mlの0.2N NaOH−1%SDSで溶解し、4
mlの液体シンチレーターA(和光純薬製)と混合す
る。 液体シンチレーションカウンター(ベックマン社製)
を用いて放射活性を測定し、Percent Maximum Binding
(PMB)を次の式〔数1〕で求める。なお、
125I〕で標識されている場合は、液体シンチレータ
ーと混合することなしに直接ガンマーカウンターで測定
できる。
【0061】
【数1】 PMB=100×(B−NSB)/(B0−NSB) PMB:Percent Maximum Binding B :検体を加えた時の結合量 NSB:Non-specific Binding(非特異的結合量) B0 :最大結合量
【0062】以上のとおり、本発明のタンパク質はレセ
プターアゴニストまたはアンタゴニストをスクリーニン
グするための試薬として有用である。本発明のスクリー
ニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得ら
れる化合物またはその塩は、本発明のタンパク質とレセ
プターとの結合を阻害する化合物であり、具体的には、
該レセプターを介する細胞刺激活性(例えば、アラキド
ン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+濃度の変
動、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシ
トールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリ
ン酸化、pHの低下など)、血管新生活性(作用)、細
胞増殖、細胞の維持、組織の形成・増強・新生・分化作
用などの作用を有する化合物またはその塩(いわゆる、
レセプターアゴニスト)、あるいは該レセプターを介す
る細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチル
コリン遊離、細胞内Ca2+濃度の変動、細胞内cAMP
生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、
細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、pHの低下
など)、血管新生活性(作用)、細胞増殖、細胞の維
持、組織の形成・増強・新生・分化作用を抑制する化合
物またはその塩(いわゆる、レセプターアンタゴニス
ト)である。
【0063】レセプターアゴニストは、本発明のタンパ
ク質が有する生理活性の全部または一部を有しているの
で、該生理活性に応じて安全で低毒性な医薬として有用
である。例えば、創傷、火傷、血栓症、動脈硬化症、肝
臓病、膵臓病、糖尿病などの疾病の予防・治療剤などの
医薬として有用である。一方、レセプターアンタゴニス
トは、本発明のタンパク質が有する生理活性の全部また
は一部を抑制することができるので、該生理活性を抑制
する安全で低毒性な医薬として有用である。例えば、胃
癌、大腸癌、直腸癌、結腸癌、肺癌、乳癌、子宮頚癌、
前立腺癌、卵巣癌、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白
血病、慢性膵炎、悪性黒色腫、多発性骨髄腫、エイズ感
染症、慢性肝炎、急性肝炎、肝硬変、肝臓癌、膵臓癌な
どの疾患の予防・治療剤などの医薬として有用である。
また、レセプターアゴニストまたはアンタゴニストは、
上記の疾患の他、肥満症などの疾患の予防・治療剤など
の医薬として有用である。上記レセプターアンタゴニス
トまたはレセプターアゴニストを上記の医薬として使用
する場合は、例えば、必要に応じて糖衣を施した錠剤、
カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤などと
して経口的に、あるいは水もしくはそれ以外の薬学的に
許容し得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤などの注
射剤の形で非経口的に使用できる。例えば、上記レセプ
ターアンタゴニストまたはレセプターアゴニストを生理
学的に認められる担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防
腐剤、安定剤、結合剤などとともに一般に認められた製
剤実施に要求される単位用量形態で混和することによっ
て製造することができる。これら製剤における有効成分
量は指示された範囲の適当な用量が得られるようにする
ものである。錠剤、カプセル剤などに混和することがで
きる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスター
チ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性
セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチ
ン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグ
ネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリ
ンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチ
ェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態
がカプセルである場合には、前記タイプの材料にさらに
油脂のような液状担体を含有することができる。注射の
ための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性
物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油など
を溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って
処方することができる。注射用の水性液としては、例え
ば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張
液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩
化ナトリウムなど)などが用いられ、適当な溶解補助
剤、例えば、アルコール(例えば、エタノールなど)、
ポリアルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリ
エチレングリコールなど)、非イオン性界面活性剤(例
えば、ポリソルベート80TM、HCO−50など)など
と併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、
大豆油などが用いられ、溶解補助剤として安息香酸ベン
ジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。ま
た、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム
緩衝液など)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウ
ム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清
アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤
(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸
化防止剤などと配合してもよい。調整された注射液は、
通常、適当なアンプルに充填される。
【0064】このようにして得られる製剤は、安全で低
毒性であるので、例えば、ヒトまたは温血動物(例え
ば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、トリ、ヒツ
ジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サルなど)に対し
て投与することができる。該レセプターアゴニストの投
与量は、症状などにより差異はあるが、経口投与の場
合、一般的に通常成人の動脈硬化症患者(60kgとし
て)においては、一日につき有効成分を約0.1mg〜
100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ま
しくは約1.0〜20mgである。非経口的に投与する
場合は、その1回投与量は投与対象、対象組織、症状、
投与方法などによっても異なるが、例えば、注射剤の形
では通常成人の動脈硬化症患者(体重60kgとして)
においては、一日につき有効成分を約0.01〜30m
g程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ま
しくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与す
るのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当た
りに換算した量を投与することができる。該レセプター
アンタゴニストの投与量は、症状などにより差異はある
が、経口投与の場合、一般的に通常成人の癌患者(60
kgとして)においては、一日につき有効成分を約0.
1mg〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、
より好ましくは約1.0〜20mgである。非経口的に
投与する場合は、その1回投与量は投与対象、対象組
織、症状、投与方法などによっても異なるが、例えば、
注射剤の形では通常成人の癌患者(体重60kgとし
て)においては、一日につき有効成分を約0.01〜3
0mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より
好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投
与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg
当たりに換算した量を投与することができる。
【0065】(B)本発明のタンパク質を分解するプロ
テイナーゼ阻害剤のスクリーニング方法およびスクリー
ニング用キット 本発明のタンパク質またはその塩は生体内に存在するプ
ロテイナーゼによって切断され、失活すると考えられ
る。したがって、本発明のタンパク質および本発明のタ
ンパク質を分解するプロテイナーゼを用いることによっ
て、本発明のタンパク質を分解するプロテイナーゼを阻
害する活性を有する化合物を選択することができる。該
プロテイナーゼを阻害する活性を有する化合物は、生体
内における本発明のタンパク質の失活を防ぐことによ
り、細胞間接触に依存しない発明のタンパク質の活性を
促進することができるので、例えば、創傷、火傷、血栓
症、動脈硬化症、肝臓病、膵臓病、糖尿病などの疾患の
予防・治療剤などの医薬として期待できる。すなわち、
本発明は、本発明のタンパク質を用いることを特徴とす
る本発明のタンパク質を分解するプロテイナーゼを阻害
する活性を有する化合物またはその塩のスクリーニング
方法を提供する。より具体的には、本発明は、(1)
(i)本発明のタンパク質を分解するプロテイナーゼと
本発明のタンパク質とをインキュベートした後、レセプ
ターを含有する細胞に接触させた場合と、(ii)本発明
のタンパク質を分解するプロテイナーゼおよび試験化合
物と本発明のタンパク質とをインキュベートした後、レ
セプターを含有する細胞に接触させた場合との比較を行
なうことを特徴とする本発明のタンパク質を分解するプ
ロテイナーゼを阻害する活性を有する化合物またはその
塩のスクリーニング方法を提供する。具体的には、本発
明のスクリーニング方法においては、(i)と(ii)の
場合における、例えば、レセプターを介する細胞刺激活
性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、
細胞内Ca2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、細胞内
cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変
動、細胞内蛋白質のリン酸化、pHの低下など)、血管
新生活性(作用)、細胞増殖、細胞の維持、組織の形成
・増強・新生・分化作用などの活性を測定して、比較す
ることを特徴とするものである。
【0066】より具体的には、本発明は、(1a)
(i)本発明のタンパク質を分解するプロテイナーゼと
本発明のタンパク質とをインキュベートした後、レセプ
ターを含有する細胞に接触させた場合と、(ii)本発明
のタンパク質を分解するプロテイナーゼおよび試験化合
物と本発明のタンパク質とをインキュベートした後、レ
セプターを含有する細胞に接触させた場合における、レ
セプターを介する細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸
遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+濃度の変動、
細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトー
ルリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸
化、pHの低下など)、血管新生活性(作用)、細胞増
殖、細胞の維持、組織の形成・増強・新生・分化作用な
どの活性を測定し、比較することを特徴とする本発明の
タンパク質を分解するプロテイナーゼを阻害する活性を
有する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供
する。
【0067】上記のスクリーニング方法において、該レ
セプターを介する細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸
遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+濃度の変動、
細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトー
ルリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸
化、pHの低下など)、血管新生活性(作用)、細胞増
殖、細胞の維持、組織の形成・増強・新生・分化作用な
どの活性を促進する試験化合物を本発明のタンパク質を
分解するプロテイナーゼを阻害する活性を有する化合物
またはその塩として選択することができる。本発明のス
クリーニング方法に用いられるレセプターとしては、ヒ
トあるいは温血動物のFGFファミリー受容体(FGF
R1、FGFR2、FGFR3、FGFR4)が用いら
れる。本発明のタンパク質に対するレセプターは、自体
公知のタンパク質の精製方法に従って入手することがで
き、また、自体公知の遺伝子工学的手法に従って該レセ
プターをコードするDNAをクローニングした後、前記
した本発明のタンパク質の発現方法に従って目的とする
レセプターを入手することもできる。
【0068】本発明のスクリーニング方法に用いられる
上記レセプターを含有する細胞としては、前記した本発
明のタンパク質を発現させるために用いる宿主細胞とし
て列記したものと同様のものを用いることができるが、
なかでも、CHO細胞などが好ましい。レセプターを含
有する細胞は、レセプターをコードするDNAを用い
て、自体公知の方法、例えば、前記した本発明のタンパ
ク質の発現方法などに従って製造することができる。ま
た、上記レセプターを含有する細胞として、CL8細胞
株(ボーン(BONE), 18, 159-169, 1996)、OK細胞
株(アメリカン・ジャーナル・オブ・フィジオロジー
(AMERICAN JOURNAL OF PHYSIOLOGY)253, E221-E227,
1987)などの株化細胞を用いることもできる。
【0069】本発明のスクリーニング方法において、レ
セプターを含有する細胞を用いる場合、該細胞をグルタ
ルアルデヒド、ホルマリンなどで固定化することができ
る。固定化方法は、それ自体公知の方法に従って行うこ
とができる。上記レセプターを含有する細胞の細胞膜画
分としては、前記したものと同様のものを用いることが
できる。試験化合物としては、例えばタンパク質、タン
パク、非タンパク質性化合物、合成化合物、発酵生産
物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液などがあ
げられ、これら化合物は新規な化合物であってもよい
し、公知の化合物であってもよい。本発明のスクリーニ
ング方法において、プロテイナーゼと本発明のタンパク
質とのインキュベートは、通常数時間、約37℃で行な
うことができる。また、この反応混合物とレセプターを
含有する細胞との反応は、通常数時間、約37℃で行な
うことができる。レセプターを介する細胞刺激活性(例
えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内
Ca2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、細胞内cGM
P生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細
胞内蛋白質のリン酸化、pHの低下など)、血管新生活
性(作用)、細胞増殖、細胞の維持、組織の形成・増強
・新生・分化作用などの測定は前記と同様にして行なう
ことができる。
【0070】本発明のスクリーニング用キットは、本発
明のタンパク質および本発明のタンパク質を分解するプ
ロテイナーゼを、好ましくはさらに、レセプターを含有
する細胞を含有するものである。本発明のスクリーニン
グ用キットの例としては、次のものがあげられる。 〔スクリーニング用試薬〕 測定用緩衝液および洗浄用緩衝液 Hanks' Balanced Salt Solution(ギブコ社製)に、0.
05%のウシ血清アルブミン(シグマ社製)を加えたも
の。孔径0.45μmのフィルターで濾過滅菌し、4℃
で保存するか、あるいは用時調製しても良い。 レセプター標品 本発明のタンパク質に対するレセプターなどを含有する
CHO細胞を、12穴プレートに5×105個/穴で継
代し、37℃、5%CO2、95%airで2日間培養
したもの。 本発明のタンパク質標品 本発明のタンパク質、その部分ペプチドまたはそれらの
塩 本発明のタンパク質を分解するプロテイナーゼ標品 本発明のタンパク質を分解するプロテナーゼ
【0071】〔測定法〕 本発明のタンパク質を分解するプロテイナーゼと本発
明のタンパク質とを約37℃で数時間インキュベートす
る。 本発明のタンパク質を分解するプロテイナーゼおよび
試験化合物と本発明のタンパク質とを約37℃で数時間
インキュベートする。 上記およびで得られる反応混合物を、それぞれ本
発明のタンパク質に対するレセプターを含有する細胞と
約37℃で数時間培養する。 次いで、該レセプターを介する細胞刺激活性(例え
ば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内C
2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP
生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞
内蛋白質のリン酸化、pHの低下など)、血管新生活性
(作用)、細胞増殖、細胞の維持、組織の形成・増強・
新生・分化作用などを前記の方法に従って測定する。
【0072】以上のとおり、本発明のタンパク質は本発
明のタンパク質を分解するプロテイナーゼを阻害する活
性を有する化合物またはその塩をスクリーニングするた
めの試薬として有用である。本発明のスクリーニング方
法またはスクリーニング用キットを用いて得られる化合
物またはその塩は、本発明のタンパク質を分解するプロ
テイナーゼを阻害し、該プロテイナーゼによる本発明の
タンパク質の失活を抑制する化合物である。したがっ
て、該化合物は、細胞間接触に依存しない本発明のタン
パク質による該レセプターを介する細胞刺激活性(例え
ば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内C
2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP
生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞
内蛋白質のリン酸化、pHの低下など)、血管新生活性
(作用)、細胞増殖、細胞の維持、組織の形成・増強・
新生・分化作用などの活性を促進することができ、例え
ば創傷、火傷、血栓症、動脈硬化症、肝臓病、膵臓病、
糖尿病など疾患の予防・治療のための安全で低毒性な医
薬として有用である。また、該化合物は上記の疾患の
他、肥満症などの疾患の予防・治療剤としても有用であ
る。本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング
用キットを用いて得られる化合物を上述の治療・予防剤
として使用する場合、前記したレセプターアゴニスト/
アンタゴニストと同様にして実施することができる。
【0073】(C)本発明のタンパク質とレセプターと
の結合後の細胞内シグナル伝達を促進または阻害する化
合物またはその塩のスクリーニング方法 本発明のタンパク質は、ヒトあるいは温血動物のFGF
ファミリー受容体(FGFR1、FGFR2、FGFR
3、FGFR4)(以下、レセプターと略記する)に特
異的に結合することができるので、本発明のタンパク質
と該レセプターを用いたリガンド・レセプター結合アッ
セイ系を構築することによって、本発明のタンパク質が
該レセプターに結合した後の細胞内シグナル伝達を促進
または阻害する化合物またはその塩のスクリーニングを
行なうことができる。すなわち、本発明は、本発明のタ
ンパク質を用いることを特徴とする本発明のタンパク質
とレセプターとの結合後の細胞内シグナル伝達を促進ま
たは阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法
を提供する。より具体的には、本発明は、(1)(i)
レセプターを含有する細胞に、本発明のタンパク質を接
触させた場合と(ii)レセプターを含有する細胞に、本
発明のタンパク質および試験化合物を接触させた場合と
の比較を行なうことを特徴とする本発明のタンパク質と
レセプターとの結合後の細胞内シグナル伝達を促進また
は阻害する化合物またはその塩のクリーニング方法を提
供する。
【0074】具体的には、本発明のスクリーニング方法
においては、(i)と(ii)の場合における、例えば本
発明のタンパク質とレセプターが結合した後の細胞内シ
グナル伝達などを測定して、比較することを特徴とする
ものである。より具体的には、本発明は、(1a)
(i)本発明のタンパク質を、レセプターを含有する細
胞に接触させた場合と、(ii)本発明のタンパク質およ
び試験化合物を、レセプターを含有する細胞に接触させ
た場合における、レセプターを介する細胞刺激活性(例
えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内
Ca2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、細胞内cGM
P生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細
胞内蛋白質のリン酸化、pHの低下など)を測定し、比
較することを特徴とする本発明のタンパク質とレセプタ
ーとの結合後の細胞内シグナル伝達を促進または阻害す
る化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供す
る。
【0075】上記(1a)のスクリーニング方法におい
て、本発明のタンパク質とレセプターとの結合を阻害せ
ず、本発明のタンパク質による該レセプターを介する細
胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリ
ン遊離、細胞内Ca2+濃度の変動、細胞内cAMP生
成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細
胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、pHの低下な
ど)を促進する化合物を、本発明のタンパク質とレセプ
ターとの結合後の細胞内シグナル伝達を促進する化合物
またはその塩として選択することができる。一方、本発
明のタンパク質とレセプターとの結合を阻害せず、本発
明のタンパク質による該レセプターを介する細胞刺激活
性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、
細胞内Ca2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、細胞内
cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変
動、細胞内蛋白質のリン酸化、pHの低下など)を阻害
する作用を有する化合物を、本発明のタンパク質とレセ
プターとの結合後の細胞内シグナル伝達を阻害する化合
物またはその塩として選択することができる。すなわ
ち、本スクリーニング方法は、本発明のタンパク質とレ
セプターとの結合に影響を与えず、レセプター結合後の
細胞内シグナル伝達を調節(促進または抑制)する化合
物を選択する方法であるので、本スクリーニング方法に
用いる試験化合物としては、前記したレセプターアゴニ
スト/アンタゴニストのスクリーニング方法において、
レセプターアゴニストまたはアンタゴニストとして選択
されなかった化合物を用いるのが望ましい。
【0076】本発明のスクリーニング方法に用いられる
レセプターとしては、ヒトあるいは温血動物のFGFフ
ァミリー受容体(FGFR1、FGFR2、FGFR
3、FGFR4)などが用いられる。本発明のタンパク
質に対するレセプターは、自体公知のタンパク質の精製
方法に従って入手することができ、また、自体公知の遺
伝子工学的手法に従って該レセプターをコードするDN
Aをクローニングした後、前記した本発明のタンパク質
の発現方法に従って目的とするレセプターを入手するこ
ともできる。該レセプターの部分ペプチドとしては、全
長レセプターを適当に切断して得られる部分ペプチドを
用いることができる。本発明のスクリーニング方法に用
いられる上記レセプターを含有する細胞としては、前記
した本発明のタンパク質を発現させるために用いる宿主
細胞として列記したものと同様のものを用いることがで
きるが、なかでも、CHO細胞などが好ましい。レセプ
ターを含有する細胞は、レセプターをコードするDNA
を用いて、自体公知の方法、例えば、前記した本発明の
タンパク質の発現方法などに従って製造することができ
る。また、上記レセプターを含有する細胞として、CL
8細胞株(ボーン(BONE), 18, 159-169, 1996)、O
K細胞株(アメリカン・ジャーナル・オブ・フィジオロ
ジー(AMERICAN JOURNAL OF PHYSIOLOGY)253, E221-E2
27, 1987)などの株化細胞を用いることもできる。
【0077】本発明のスクリーニング方法において、レ
セプターを含有する細胞を用いる場合、該細胞をグルタ
ルアルデヒド、ホルマリンなどで固定化することができ
る。固定化方法は、それ自体公知の方法に従って行うこ
とができる。上記レセプターを含有する細胞の細胞膜画
分としては、前記と同様のものが用いられる。試験化合
物としては、例えば、タンパク質、タンパク、非タンパ
ク質性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、
植物抽出液、動物組織抽出液などがあげられ、これら化
合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物で
あってもよい。本発明のスクリーニング方法において、
本発明のタンパク質とレセプターを含有する細胞との反
応は、通常約37℃で数時間行なうことができる。上記
(1a)のスクリーニング方法において、本発明のタン
パク質による該レセプターを介する細胞刺激活性(例え
ば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内C
2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP
生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞
内蛋白質のリン酸化、pHの低下など)の測定は前記と
同様にして行なうことができる。上記(1a)のスクリ
ーニング方法において、試験化合物を添加した際に、本
発明のタンパク質によるレセプターを介する細胞刺激活
性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、
細胞内Ca2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、細胞内
cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変
動、細胞内蛋白質のリン酸化、pHの低下など)が促進
された場合、該試験化合物をレセプター結合後の細胞内
シグナル伝達を促進する化合物またはその塩として選択
することができる。一方、試験化合物を添加した際に、
本発明のタンパク質によるレセプターを介する細胞刺激
活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊
離、細胞内Ca2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、細
胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電
位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、pHの低下など)が
阻害された場合、該試験化合物をレセプター結合後の細
胞内シグナル伝達を促進する化合物またはその塩化合物
として選択することができる。
【0078】本発明のスクリーニング用キットは、本発
明のタンパク質を、好ましくはさらに、レセプターを含
有する細胞を含有するものである。本発明のスクリーニ
ング用キットの例としては、次のものがあげられる。 〔スクリーニング用試薬〕 測定用緩衝液および洗浄用緩衝液 Hanks' Balanced Salt Solution(ギブコ社製)に、0.
05%のウシ血清アルブミン(シグマ社製)を加えたも
の。孔径0.45μmのフィルターで濾過滅菌し、4℃
で保存するか、あるいは用時調製しても良い。 レセプター標品 本発明のタンパク質に対するレセプターを含有するCH
O細胞を、12穴プレートに5×105個/穴で継代
し、37℃、5%CO2、95%airで2日間培養し
たもの。 本発明のタンパク質標品 本発明のタンパク質、その部分ペプチドまたはそれらの
塩 〔測定法〕細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、
アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+濃度の変動、細胞内
cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン
酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、p
Hの低下など)を前記の方法に従って測定する。
【0079】以上のとおり、本発明のタンパク質はレセ
プター結合後の細胞内シグナル伝達を促進または阻害す
る化合物またはその塩をスクリーニングするための試薬
として有用である。本発明のスクリーニング方法または
スクリーニング用キットを用いて得られる化合物または
その塩は、本発明のタンパク質とレセプターが結合した
後のレセプターを介する細胞刺激活性(例えば、アラキ
ドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+濃度の
変動、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノ
シトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質の
リン酸化、pHの低下など)を促進する化合物またはそ
の塩、あるいは該細胞刺激活性を阻害する化合物または
その塩である。本発明のタンパク質とレセプターが結合
した後の細胞内シグナル伝達を促進する化合物またはそ
の塩は、例えば、創傷、火傷、血栓症、動脈硬化症、肝
臓病、膵臓病、糖尿病などの疾病の予防・治療剤などの
安全で低毒性な医薬として有用である。
【0080】本発明のタンパク質とレセプターが結合し
た後の細胞内シグナル伝達を阻害する化合物またはその
塩は、例えば、胃癌、大腸癌、直腸癌、結腸癌、肺癌、
乳癌、子宮頚癌、前立腺癌、卵巣癌、慢性リンパ性白血
病、慢性骨髄性白血病、慢性膵炎、悪性黒色腫、多発性
骨髄腫、エイズ感染症、慢性肝炎、急性肝炎、肝硬変、
肝臓癌、膵臓癌などの疾患の予防・治療剤などの安全で
低毒性な医薬として有用である。本発明のスクリーニン
グ方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる
化合物を上述の治療・予防剤として使用する場合、前記
したレセプターアゴニスト/アンタゴニストと同様にし
て実施することができる。また、該細胞内シグナル伝達
を促進または阻害する化合物またはその塩は、上記の疾
患の他、肥満症などの疾患の予防・治療剤などの安全で
低毒性な医薬として有用である。
【0081】(4)アンチセンスDNA 本発明のタンパク質をコードするDNAまたはmRNA
に相補的に結合し、該DNAもしくはmRNAや本発明
のタンパク質の発現を抑制することができるアンチセン
スDNAは、生体内において上記の作用を発揮する本発
明のタンパク質またはそれをコードするDNAの機能を
抑制することができる。したがって、該アンチセンスD
NAは、例えば、胃癌、大腸癌、直腸癌、結腸癌、肺
癌、乳癌、子宮頚癌、前立腺癌、卵巣癌、慢性リンパ性
白血病、慢性骨髄性白血病、慢性膵炎、悪性黒色腫、多
発性骨髄腫、エイズ感染症、慢性肝炎、急性肝炎、肝硬
変、肝臓癌、膵臓癌などの疾患の予防・治療剤として使
用することができる。また、該アンチセンスDNAは、
上記の疾患の他、肥満症などの疾患の予防・治療剤とし
て使用することができる。該アンチセンスDNAを上記
の治療・予防剤として使用する場合、前記した本発明の
タンパク質またはDNAを含有する各種疾病の治療・予
防剤と同様にして実施することができる。さらに、該ア
ンチセンスDNAは、組織や細胞における本発明のDN
Aの存在やその発現状況を調べるための診断用オリゴヌ
クレオチドプローブとして使用することもできる。
【0082】(5)DNA転移動物の作製 さらに本発明は、本発明のタンパク質をコードするDN
A(以下、本発明の外来性DNAと略記する)またはそ
の変異DNA(本発明の外来性変異DNAと略記する場
合がある)を有する非ヒト哺乳動物を提供する。すなわ
ち、本発明は、(1)本発明の外来性DNAまたはその
変異DNAを有する非ヒト哺乳動物、(2)非ヒト哺乳
動物がゲッ歯動物である第(1)記載の動物、(3)ゲッ
歯動物がマウスまたはラットである第(2)記載の動
物、および(4)本発明の外来性DNAまたはその変異
DNAを含有し、哺乳動物において発現しうる組換えベ
クター、および(5)第(4)記載の組換えベクターを
含有してなる遺伝子治療用医薬などを提供するものであ
る。
【0083】本発明の外来性DNAまたはその変異DN
Aを有する非ヒト哺乳動物(以下、本発明のDNA転移
動物と略記する)は、未受精卵、受精卵、精子およびそ
の始原細胞を含む胚芽細胞などに対して、好ましくは、
非ヒト哺乳動物の発生における胚発生の段階(さらに好
ましくは、単細胞または受精卵細胞の段階でかつ一般に
8細胞期以前)に、リン酸カルシウム法、電気パルス
法、リポフェクション法、凝集法、マイクロインジェク
ション法、パーティクルガン法、DEAE−デキストラ
ン法などにより目的とする本発明の外来性DNAを転移
することによって作出することができる。また、該DN
A転移方法により、体細胞、生体の臓器、組織細胞など
に目的とする本発明の外来性DNAを転移し、細胞培
養、組織培養などに利用することもでき、さらに、これ
ら細胞を上述の胚芽細胞と自体公知の細胞融合法により
融合させることにより本発明のDNA転移動物を作出す
ることもできる。
【0084】非ヒト哺乳動物としては、例えば、ウシ、
ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモッ
ト、ハムスター、マウス、ラットなどが用いられる。な
かでも、病体動物モデル系の作成の面から個体発生およ
び生物サイクルが比較的短く、また、繁殖が容易なゲッ
歯動物、とりわけマウス(例えば、純系として、C57
BL/6系統,DBA2系統など、交雑系として、B6
C3F1系統,BDF1系統,B6D2F1系統,BAL
B/c系統,ICR系統など)またはラット(例えば、
Wistar,SDなど)などが好ましい。哺乳動物に
おいて発現しうる組換えベクターにおける「哺乳動物」
としては、上記の非ヒト哺乳動物の他にヒトなどがあげ
られる。本発明の外来性DNAとは、非ヒト哺乳動物が
本来有している本発明のDNAではなく、いったん哺乳
動物から単離・抽出された本発明のDNAをいう。本発
明の変異DNAとしては、元の本発明のDNAの塩基配
列に変異(例えば、突然変異など)が生じたもの、具体
的には、塩基の付加、欠損、他の塩基への置換などが生
じたDNAなどが用いられ、また、異常DNAも含まれ
る。該異常DNAとしては、異常な本発明のタンパク質
を発現させるDNAを意味し、例えば、正常な本発明の
タンパク質の機能を抑制するタンパク質を発現させるD
NAなどが用いられる。本発明の外来性DNAは、対象
とする動物と同種あるいは異種のどちらの哺乳動物由来
のものであってもよい。本発明のDNAを対象動物に転
移させるにあたっては、該DNAを動物細胞で発現させ
うるプロモーターの下流に結合したDNAコンストラク
トとして用いるのが一般に有利である。例えば、本発明
のヒトDNAを転移させる場合、これと相同性が高い本
発明のDNAを有する各種哺乳動物(例えば、ウサギ、
イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ラット、マウス
など)由来のDNAを発現させうる各種プロモーターの
下流に、本発明のヒトDNAを結合したDNAコンスト
ラクト(例、ベクターなど)を対象哺乳動物の受精卵、
例えば、マウス受精卵へマイクロインジェクションする
ことによって本発明のDNAを高発現するDNA転移哺
乳動物を作出することができる。
【0085】本発明のタンパク質の発現ベクターとして
は、大腸菌由来のプラスミド、枯草菌由来のプラスミ
ド、酵母由来のプラスミド、λファージなどのバクテリ
オファージ、モロニー白血病ウィルスなどのレトロウィ
ルス、ワクシニアウィルスまたはバキュロウィルスなど
の動物ウイルスなどが用いられる。なかでも、大腸菌由
来のプラスミド、枯草菌由来のプラスミドまたは酵母由
来のプラスミドなどが好ましく用いられる。上記のDN
A発現調節を行なうプロモーターとしては、例えば、ウ
ィルス(例、シミアンウィルス、サイトメガロウィル
ス、モロニー白血病ウィルス、JCウィルス、乳癌ウィ
ルス、ポリオウィルスなど)に由来するDNAのプロモ
ーター、各種哺乳動物(ヒト、ウサギ、イヌ、ネコ、モ
ルモット、ハムスター、ラット、マウスなど)および鳥
類(ニワトリなど)由来のものとしては、アルブミン、
インスリンII、ウロプラキンII、エラスターゼ、エ
リスロポエチン、エンドセリン、筋クレアチンキナー
ゼ、グリア線維性酸性タンパク質、グルタチオンS−ト
ランスフェラーゼ、血小板由来成長因子β、ケラチンK
1,K10およびK14、コラーゲンI型およびII
型、サイクリックAMP依存タンパク質キナーゼβIサ
ブユニット、ジストロフィン、酒石酸抵抗性アルカリフ
ォスファターゼ、心房ナトリウム利尿性因子、内皮レセ
プターチロシンキナーゼ(一般にTie2と略され
る)、ナトリウムカリウムアデノシン3リン酸化酵素
(Na,K−ATPase)、ニューロフィラメント軽
鎖、メタロチオネインIおよびIIA、メタロプロティ
ナーゼ1組織インヒビター、MHCクラスI抗原(H−
2L)、H−ras、レニン、ドーパミンβ−水酸化酵
素、甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)、ポリペプチド
鎖延長因子1α(EF−1α)、βアクチン、αおよび
βミオシン重鎖、ミオシン軽鎖1および2、ミエリン基
礎タンパク質、チログロブリン、Thy−1、免疫グロ
ブリン、H鎖可変部(VNP)、血清アミロイドPコン
ポーネント、ミオグロビン、トロポニンC、平滑筋αア
クチン、プレプロエンケファリンA、バソプレシンなど
のプロモーターなどが用いられるが、好ましくは全身で
高発現することが可能なサイトメガロウィルスプロモー
ター、ヒトポリペプチド鎖延長因子1α(EF−1α)
のプロモーター、ヒトおよびニワトリβアクチンプロモ
ーターなどを用いることができる。
【0086】上記ベクターは、DNA転移哺乳動物にお
いて目的とするメッセンジャーRNAの転写を終結する
配列(一般にターミネターと呼ばれる)を有しているこ
とが好ましく、例えば、ウィルス由来、各種哺乳動物お
よび鳥類由来の各DNAの配列を用いることができ、好
ましくは、シミアンウィルスのSV40ターミネターな
どが用いられる。その他、目的DNAをさらに高発現さ
せる目的で各DNAのスプライシングシグナル、エンハ
ンサー領域、真核DNAのイントロンの一部などをプロ
モーター領域の5´上流、プロモーター領域と翻訳領域
間あるいは翻訳領域の3´下流に連結することも目的に
より可能である。正常な本発明のタンパク質の翻訳領域
は、各種哺乳動物(例えば、ウサギ、イヌ、ネコ、モル
モット、ハムスター、ラット、マウス、ヒトなど)由来
のDNAおよび市販の各種ゲノムDNAライブラリーよ
りゲノムDNAの全てあるいは一部として、または各種
哺乳動物(例えば、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、
ハムスター、ラット、マウス、ヒトなど)由来のRNA
より公知の方法により調製された相補DNAを原料とし
て取得することが出来る。また、外来性の異常DNA
は、上記の細胞または組織より得られた正常なタンパク
質の翻訳領域を点突然変異誘発法により変異した翻訳領
域を作製することができる。該翻訳領域は転移動物にお
いて発現しうるDNAコンストラクトとして、前記のプ
ロモーターの下流および所望により転写終結部位の上流
に連結させる通常のDNA工学的手法により作製するこ
とができる。受精卵細胞段階における本発明のDNAの
転移は、対象哺乳動物の胚芽細胞および体細胞のすべて
に存在するように確保される。DNA転移後の作出動物
の胚芽細胞において、本発明のDNAが存在すること
は、作出動物の後代がすべて、その胚芽細胞および体細
胞のすべてに本発明のDNAを保持することを意味す
る。DNAを受け継いだこの種の動物の子孫はその胚芽
細胞および体細胞のすべてに本発明のDNAを有する。
【0087】本発明の外来性正常DNAを転移させた非
ヒト哺乳動物は、交配によりDNAを安定に保持するこ
とを確認して、該DNA保有動物として通常の飼育環境
で継代飼育することが出来る。受精卵細胞段階における
本発明のDNAの転移は、対象哺乳動物の胚芽細胞およ
び体細胞の全てに過剰に存在するように確保される。D
NA転移後の作出動物の胚芽細胞において本発明のDN
Aが過剰に存在することは、作出動物の子孫が全てその
胚芽細胞および体細胞の全てに本発明のDNAを過剰に
有することを意味する。DNAを受け継いだこの種の動
物の子孫はその胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の
DNAを過剰に有する。導入DNAを相同染色体の両方
に持つホモザイゴート動物を取得し、この雌雄の動物を
交配することによりすべての子孫が該DNAを過剰に有
するように繁殖継代することができる。本発明の正常D
NAを有する非ヒト哺乳動物は、本発明の正常DNAが
高発現させられており、内在性の正常DNAの機能を促
進することにより最終的に本発明のタンパク質の機能亢
進症を発症することがあり、その病態モデル動物として
利用することができる。例えば、本発明の正常DNA転
移動物を用いて、本発明のタンパク質の機能亢進症や、
本発明のタンパク質が関連する疾患の病態機序の解明お
よびこれらの疾患の治療方法の検討を行なうことが可能
である。また、本発明の外来性正常DNAを転移させた
哺乳動物は、遊離した本発明のタンパク質の増加症状を
有することから、本発明のタンパク質に関連する疾患に
対する治療薬のスクリーニング試験にも利用可能であ
る。
【0088】一方、本発明の外来性異常DNAを有する
非ヒト哺乳動物は、交配によりDNAを安定に保持する
ことを確認して該DNA保有動物として通常の飼育環境
で継代飼育することが出来る。さらに、目的DNAを前
述のプラスミドに組み込んで原科として用いることがで
きる。プロモーターとのDNAコンストラク卜は、通常
のDNA工学的手法によって作製することができる。受
精卵細胞段階における本発明の異常DNAの転移は、対
象哺乳動物の胚芽細胞および体細胞の全てに存在するよ
うに確保される。DNA転移後の作出動物の胚芽細胞に
おいて本発明の異常DNAが存在することは、作出動物
の子孫が全てその胚芽細胞および体細胞の全てに本発明
の異常DNAを有することを意味する。DNAを受け継
いだこの種の動物の子孫は、その胚芽細胞および体細胞
の全てに本発明の異常DNAを有する。導入DNAを相
同染色体の両方に持つホモザイゴート動物を取得し、こ
の雌雄の動物を交配することによりすべての子孫が該D
NAを有するように繁殖継代することができる。本発明
の異常DNAを有する非ヒト哺乳動物は、本発明の異常
DNAが高発現させられており、内在性の正常DNAの
機能を阻害することにより最終的に本発明のタンパク質
の機能不活性型不応症となることがあり、その病態モデ
ル動物として利用することができる。例えば、本発明の
異常DNA転移動物を用いて、本発明のタンパク質の機
能不活性型不応症の病態機序の解明およびこの疾患を治
療方法の検討を行なうことが可能である。また、具体的
な利用可能性としては、本発明の異常DNA高発現動物
は、本発明のタンパク質の機能不活性型不応症における
本発明の異常タンパク質による正常タンパク質の機能阻
害(dominant negative作用)を解明するモデルとな
る。また、本発明の外来異常DNAを転移させた哺乳動
物は、遊離した本発明のタンパク質の増加症状を有する
ことから、本発明のタンパク質の機能不活性型不応症に
対する治療薬スクリーニング試験にも利用可能である。
【0089】また、上記2種類の本発明のDNA転移動
物のその他の利用可能性として、例えば、 組織培養のための細胞源としての使用、 本発明のDNA転移哺乳動物の組織中のDNAもしく
はRNAを直接分析するか、またはDNAにより発現さ
れたタンパク質組織を分析することによる、本発明のタ
ンパク質により特異的に発現あるいは活性化するタンパ
ク質との関連性についての解析、 DNAを有する組織の細胞を標準組織培養技術により
培養し、これらを使用して、一般に培養困難な組織から
の細胞の機能の研究、 上記記載の細胞を用いることによる細胞の機能を高
めるような薬剤のスクリーニング、および 本発明の変異タンパク質を単離精製およびその抗体作
製などが考えられる。さらに、本発明のDNA転移動物
を用いて、本発明のタンパク質の機能不活性型不応症を
含む、本発明のタンパク質に関連する疾患の臨床症状を
調べることができ、また、本発明のタンパク質に関連す
る疾患モデルの各臓器におけるより詳細な病理学的所見
が得られ、新しい治療方法の開発、さらには、該疾患に
よる二次的疾患の研究および治療に貢献することができ
る。また、本発明のDNA転移動物から各臓器を取り出
し、細切後、トリプシンなどのタンパク質分解酵素によ
り、遊離したDNA転移細胞の取得、その培養またはそ
の培養細胞の系統化を行なうことが可能である。さら
に、本発明のタンパク質産生細胞の特定化、またはそれ
らにおけるシグナル伝達機構を調べ、それらの異常を調
べることなどができ、本発明のタンパク質およびその作
用解明のための有効な研究材料となる。さらに、本発明
のDNA転移動物を用いて、本発明のタンパク質の機能
不活性型不応症を含む、本発明のタンパク質に関連する
疾患の治療薬の開発を行なうために、上述の検査法およ
び定量法などを用いて、有効で迅速な該疾患治療薬のス
クリーニング法を提供することが可能となる。また、本
発明のDNA転移動物または本発明の外来性DNA発現
ベクターを用いて、本発明のタンパク質が関連する疾患
のDNA治療法を検討、開発することが可能である。
【0090】(6)ノックアウト動物の作製 さらに、本発明は、本発明のDNAが不活性化された非
ヒト哺乳動物胚幹細胞および本発明のDNA発現不全非
ヒト哺乳動物を提供する。すなわち、本発明は、(1)
本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細
胞、(2)大腸菌由来のβ−ガラクトシダーゼ遺伝子を
有する細胞である第(1)項記載の胚幹細胞、(3)ネ
オマイシン耐性である第(1)項記載の胚幹細胞、
(4)非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である第(1)項記
載の胚幹細胞、(5)ゲッ歯動物がマウスである第
(4)項記載の胚幹細胞、(6)本発明のDNA発現不
全非ヒト哺乳動物、(7)レポーター遺伝子が本発明の
タンパク質のプロモーターの制御下で発現しうる第
(6)項記載の動物、(8)レポーター遺伝子が大腸菌
由来β−ガラクトシダーゼ遺伝子である第(7)項記載
の動物、(9)非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である第
(6)項記載の動物、(10)ゲッ歯動物がマウスであ
る第(9)項記載の動物、および(11)第(7)項記
載の動物に、試験化合物を投与し、レポーター遺伝子の
発現を検出することを特徴とする本発明のタンパク質の
プロモーター活性を促進する化合物またはその塩のスク
リーニング方法を提供する。
【0091】本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺
乳動物胚幹細胞とは、該非ヒト哺乳動物が有する本発明
のDNAに人為的に変異を加えることにより、DNAの
発現能を抑制するか、もしくは該DNAがコードしてい
る本発明のタンパク質の活性を実質的に喪失させること
により、DNAが実質的に本発明のタンパク質の発現能
を有さない(以下、本発明のノックアウトDNAと称す
ることがある)非ヒト哺乳動物の胚幹細胞(以下、ES
細胞と略記する)をいう。非ヒト哺乳動物としては、前
記と同様のものが用いられる。本発明のDNAに人為的
に変異を加える方法としては、例えば、遺伝子工学的手
法により該DNA配列の一部又は全部の削除、他DNA
を挿入または置換させることによって行なうことができ
る。これらの変異により、例えば、コドンの読み取り枠
をずらしたり、プロモーターあるいはエキソンの機能を
破壊することにより本発明のノックアウトDNAを作製
すればよい。本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺
乳動物胚幹細胞(以下、本発明のDNA不活性化ES細
胞または本発明のノックアウトES細胞と略記する)の
具体例としては、例えば、目的とする非ヒト哺乳動物が
有する本発明のDNAを単離し、そのエキソン部分にネ
オマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子を
代表とする薬剤耐性遺伝子、あるいはlacZ(β−ガ
ラクトシダーゼ遺伝子)、cat(クロラムフェニコー
ルアセチルトランスフェラーゼ遺伝子)を代表とするレ
ポーター遺伝子等を挿入することによりエキソンの機能
を破壊するか、あるいはエキソン間のイントロン部分に
遺伝子の転写を終結させるDNA配列(例えば、polyA
付加シグナルなど)を挿入し、完全なメッセンジャーR
NAを合成できなくすることによって、結果的に遺伝子
を破壊するように構築したDNA配列を有するDNA鎖
(以下、ターゲッティングベクターと略記する)を、例
えば相同組換え法により該動物の染色体に導入し、得ら
れたES細胞について本発明のDNA上あるいはその近
傍のDNA配列をプローブとしたサザンハイブリダイゼ
ーション解析あるいはターゲッティングベクター上のD
NA配列とターゲッティングベクター作製に使用した本
発明のDNA以外の近傍領域のDNA配列をプライマー
としたPCR法により解析し、本発明のノックアウトE
S細胞を選別することにより得ることができる。
【0092】また、相同組換え法等により本発明のDN
Aを不活化させる元のES細胞としては、例えば、前述
のような既に樹立されたものを用いてもよく、また公知
EvansとKaufmaの方法に準じて新しく樹立
したものでもよい。例えば、マウスのES細胞の場合、
現在、一般的には129系のES細胞が使用されている
が、免疫学的背景がはっきりしていないので、これに代
わる純系で免疫学的に遺伝的背景が明らかなES細胞を
取得するなどの目的で例えば、C57BL/6マウスや
C57BL/6の採卵数の少なさをDBA/2との交雑
により改善したBDF1マウス(C57BL/6とDB
A/2とのF1)を用いて樹立したものなども良好に用
いうる。BDF1マウスは、採卵数が多く、かつ、卵が
丈夫であるという利点に加えて、C57BL/6マウス
を背景に持つので、これを用いて得られたES細胞は病
態モデルマウスを作出したとき、C57BL/6マウス
とバッククロスすることでその遺伝的背景をC57BL
/6マウスに代えることが可能である点で有利に用い得
る。また、ES細胞を樹立する場合、一般には受精後
3.5日目の胚盤胞を使用するが、これ以外に8細胞期
胚を採卵し胚盤胞まで培養して用いることにより効率よ
く多数の初期胚を取得することができる。また、雌雄い
ずれのES細胞を用いてもよいが、通常雄のES細胞の
方が生殖系列キメラを作出するのに都合が良い。また、
煩雑な培養の手間を削減するためにもできるだけ早く雌
雄の判別を行なうことが望ましい。ES細胞の雌雄の判
定方法としては、例えば、PCR法によりY染色体上の
性決定領域の遺伝子を増幅、検出する方法が、その1例
としてあげることができる。この方法を使用すれば、従
来、核型分析をするのに約106個の細胞数を要してい
たのに対して、1コロニー程度のES細胞数(約50
個)で済むので、培養初期におけるES細胞の第一次セ
レクションを雌雄の判別で行なうことが可能であり、早
期に雄細胞の選定を可能にしたことにより培養初期の手
間は大幅に削減できる。
【0093】また、第二次セレクションとしては、例え
ば、G−バンディング法による染色体数の確認等により
行うことができる。得られるES細胞の染色体数は正常
数の100%が望ましいが、樹立の際の物理的操作等の
関係上困難な場合は、ES細胞の遺伝子をノックアウト
した後、正常細胞(例えば、マウスでは染色体数が2n
=40である細胞)に再びクローニングすることが望ま
しい。このようにして得られた胚幹細胞株は、通常その
増殖性は大変良いが、個体発生できる能力を失いやすい
ので、注意深く継代培養することが必要である。例え
ば、STO繊維芽細胞のような適当なフィーダー細胞上
でLIF(1−10000U/ml)存在下に炭酸ガス培養
器内(好ましくは、5%炭酸ガス、95%空気または5
%酸素、5%炭酸ガス、90%空気)で約37℃で培養
するなどの方法で培養し、継代時には、例えば、トリプ
シン/EDTA溶液(通常0.001−0.5%トリプシ
ン/0.1−5mM EDTA、好ましくは約0.1%ト
リプシン/1mM EDTA)処理により単細胞化し、
新たに用意したフィーダー細胞上に播種する方法などが
とられる。このような継代は、通常1−3日毎に行なう
が、この際に細胞の観察を行い、形態的に異常な細胞が
見受けられた場合はその培養細胞は放棄することが望ま
れる。ES細胞は、適当な条件により、高密度に至るま
で単層培養するか、または細胞集塊を形成するまで浮遊
培養することにより、頭頂筋、内臓筋、心筋などの種々
のタイプの細胞に分化させることが可能であり〔M. J.
Evans及びM. H. Kaufman, ネイチャー(Nature)第292
巻、154頁、1981年;G. R. Martin プロシーディング
ス・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス
・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.)第7
8巻、7634頁、1981年;T. C. Doetschmanら、ジャーナ
ル・オブ・エンブリオロジー・アンド・エクスペリメン
タル・モルフォロジー、第87巻、27頁、1985年〕、本発
明のES細胞を分化させて得られる本発明のDNA発現
不全細胞は、インビトロにおける本発明のタンパク質の
細胞生物学的検討において有用である。本発明のDNA
発現不全非ヒト哺乳動物は、該動物のmRNA量を公知
方法を用いて測定して間接的にその発現量を比較するこ
とにより、正常動物と区別することが可能である。該非
ヒト哺乳動物としては、前記と同様のものが用いられ
る。
【0094】本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物
は、例えば、前述のようにして作製したターゲッティン
グベクターをマウス胚幹細胞またはマウス卵細胞に導入
し、導入によりターゲッティングベクターの本発明のD
NAが不活性化されたDNA配列が遺伝子相同組換えに
より、マウス胚幹細胞またはマウス卵細胞の染色体上の
本発明のDNAと入れ換わる相同組換えをさせることに
より、本発明のDNAをノックアウトさせることができ
る。本発明のDNAがノックアウトされた細胞は、本発
明のDNA上またはその近傍のDNA配列をプローブと
したサザンハイブリダイゼーション解析またはターゲッ
ティングベクター上のDNA配列と、ターゲッティング
ベクターに使用したマウス由来の本発明のDNA以外の
近傍領域のDNA配列とをプライマーとしたPCR法に
よる解析で判定することができる。非ヒト哺乳動物胚幹
細胞を用いた場合は、遺伝子相同組換えにより、本発明
のDNAが不活性化された細胞株をクローニングし、そ
の細胞を適当な時期、例えば、8細胞期の非ヒト哺乳動
物胚または胚盤胞に注入し、作製したキメラ胚を偽妊娠
させた該非ヒト哺乳動物の子宮に移植する。作出された
動物は正常な本発明のDNA座をもつ細胞と人為的に変
異した本発明のDNA座をもつ細胞との両者から構成さ
れるキメラ動物である。該キメラ動物の生殖細胞の一部
が変異した本発明のDNA座をもつ場合、このようなキ
メラ個体と正常個体を交配することにより得られた個体
群より、全ての組織が人為的に変異を加えた本発明のD
NA座をもつ細胞で構成された個体を、例えば、コート
カラーの判定等により選別することにより得られる。こ
のようにして得られた個体は、通常、本発明のタンパク
質のヘテロ発現不全個体であり、本発明のタンパク質の
ヘテロ発現不全個体同志を交配し、それらの産仔から本
発明のタンパク質のホモ発現不全個体を得ることができ
る。卵細胞を使用する場合は、例えば、卵細胞核内にマ
イクロインジェクション法でDNA溶液を注入すること
によりターゲッティングベクターを染色体内に導入した
トランスジェニック非ヒト哺乳動物を得ることができ、
これらのトランスジェニック非ヒト哺乳動物に比べて、
遺伝子相同組換えにより本発明のDNA座に変異のある
ものを選択することにより得られる。
【0095】このようにして本発明のDNAがノックア
ウトされている個体は、交配により得られた動物個体も
該DNAがノックアウトされていることを確認して通常
の飼育環境で飼育継代を行なうことができる。さらに、
生殖系列の取得および保持についても常法に従えばよ
い。すなわち、該不活化DNAの保有する雌雄の動物を
交配することにより、該不活化DNAを相同染色体の両
方に持つホモザイゴート動物を取得しうる。得られたホ
モザイゴート動物は、母親動物に対して、正常個体1,
ホモザイゴート複数になるような状態で飼育することに
より効率的に得ることができる。ヘテロザイゴート動物
の雌雄を交配することにより、該不活化DNAを有する
ホモザイゴートおよびヘテロザイゴート動物を繁殖継代
する。本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物
胚幹細胞は、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物を
作出する上で、非常に有用である。また、本発明のタン
パク質発現不全マウスは、本発明のタンパク質により誘
導され得る種々の生物活性を欠失するため、本発明のタ
ンパク質の生物活性の不活性化を原因とする疾病のモデ
ルとなり得るので、これらの疾病の原因究明及び治療法
の検討に有用である。
【0096】また、本発明のタンパク質の構造遺伝子を
レポーター遺伝子で置換された本発明のタンパク質発現
動物では、レポーター遺伝子が本発明のタンパク質のプ
ロモーターの支配下に存在するので、レポーター遺伝子
がコードする物質の発現をトレースすることにより、本
発明のタンパク質のプロモーターの活性を検出すること
ができる。例えば、本発明のタンパク質をコードするD
NA領域の一部を大腸菌由来のβ−ガラクトシダーゼ遺
伝子(lacZ)で置換している場合、本来、本発明の
タンパク質の発現する組織で、本発明のタンパク質の代
わりにβ−ガラクトシダーゼが発現する。従って、例え
ば、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−ガ
ラクトピラノシド(X−gal)のようなβ−ガラクト
シダーゼの基質となる試薬を用いて染色することによ
り、簡便に本発明のタンパク質の動物生体内における発
現状態を観察することができる。具体的には、本発明の
タンパク質欠損マウスまたはその組織切片をグルタルア
ルデヒドなどで固定し、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩
液(PBS)で洗浄後、X−galを含む染色液で、室
温または7℃付近で、約30分ないし1時間反応させた
後、組織標本を1mMEDTA/PBS溶液で洗浄する
ことによって、β−ガラクトシダーゼ反応を停止させ、
呈色を観察すればよい。また、常法に従い、lacZを
コードするmRNAを検出してもよい。このような本発
明のタンパク質発現不全動物は、本発明のタンパク質の
プロモーターを活性化または不活化する物質をスクリー
ニングする上で極めて有用であり、本発明のタンパク質
発現不全に起因する各種疾患の原因究明または治療薬の
開発に大きく貢献することができる。
【0097】本明細書および図面において、塩基やアミ
ノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC−IUB
Commission on Biochemical Nomenclature による略号
あるいは当該分野における慣用略号に基づくものであ
り、その例を下記する。またアミノ酸に関し光学異性体
があり得る場合は、特に明示しなければL体を示すもの
とする。 DNA :デオキシリボ核酸 cDNA :相補的デオキシリボ核酸 A :アデニン T :チミン G :グアニン C :シトシン RNA :リボ核酸 mRNA :メッセンジャーリボ核酸 dATP :デオキシアデノシン三リン酸 dTTP :デオキシチミジン三リン酸 dGTP :デオキシグアノシン三リン酸 dCTP :デオキシシチジン三リン酸 ATP :アデノシン三リン酸 EDTA :エチレンジアミン四酢酸 SDS :ドデシル硫酸ナトリウム
【0098】Gly :グリシン Ala :アラニン Val :バリン Leu :ロイシン Ile :イソロイシン Ser :セリン Thr :スレオニン Cys :システイン Met :メチオニン Glu :グルタミン酸 Asp :アスパラギン酸 Lys :リジン Arg :アルギニン His :ヒスチジン Phe :フェニルアラニン Tyr :チロシン Trp :トリプトファン Pro :プロリン Asn :アスパラギン Gln :グルタミン pGlu :ピログルタミン酸 Me :メチル基 Et :エチル基 Bu :ブチル基 Ph :フェニル基 TC :チアゾリジン−4(R)−カルボキ
サミド基
【0099】また、本明細書中で繁用される置換基、保
護基および試薬を下記の記号で表記する。 Tos :p−トルエンスルフォニル CHO :ホルミル Bzl :ベンジル Cl2Bzl :2,6−ジクロロベンジル Bom :ベンジルオキシメチル Z :ベンジルオキシカルボニル Cl−Z :2−クロロベンジルオキシカルボニル Br−Z :2−ブロモベンジルオキシカルボニル Boc :t−ブトキシカルボニル DNP :ジニトロフェノール Trt :トリチル Bum :t−ブトキシメチル Fmoc :N−9−フルオレニルメトキシカルボニル HOBt :1−ヒドロキシベンズトリアゾール HOOBt :3,4−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−4−オキソ− 1,2,3−ベンゾトリアジン HONB :1-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミド DCC :N、N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド
【0100】本明細書の配列表の配列番号は、以下の配
列を示す。 〔配列番号:1〕後述の実施例1で取得された本発明の
ヒト由来タンパク質のアミノ酸配列を示す。 〔配列番号:2〕後述の実施例1で取得された本発明の
ヒト由来タンパク質をコードするDNAの塩基配列を示
す。 〔配列番号:3〕後述の実施例1で用いられたプライマ
ーFFF1の塩基配列を示す。 〔配列番号:4〕後述の実施例1で用いられたプライマ
ーFFF3の塩基配列を示す。 〔配列番号:5〕後述の実施例1で用いられたプライマ
ーFFR1の塩基配列を示す。 〔配列番号:6〕後述の実施例1で用いられたプライマ
ーFFR3の塩基配列を示す。 〔配列番号:7〕後述の実施例2で用いられたプライマ
ーFF2の塩基配列を示す。 〔配列番号:8〕後述の実施例2で用いられたプライマ
ーFF3の塩基配列を示す。 〔配列番号:9〕後述の実施例3で用いられたプライマ
ーrFFの塩基配列を示す。 〔配列番号:10〕後述の実施例3で用いられたプライ
マーrFRの塩基配列を示す。 〔配列番号:11〕後述の実施例3で取得された本発明
のラット由来タンパク質のアミノ酸配列を示す。 〔配列番号:12〕後述の実施例3で取得された本発明
のラット由来タンパク質をコードするDNAの塩基配列
を示す。 〔配列番号:13〕後述の実施例4で用いられたプライ
マーmrFGLFの塩基配列を示す。 〔配列番号:14〕後述の実施例4で用いられたプライ
マーrFGLRの塩基配列を示す。後述の実施例1で得
られた形質転換体エシェリヒア コリ(Escherichia co
li) JM109/pTAhPDF24は、2000年8月28日から通
商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(NIB
H)に寄託番号FERM BP−7286として、20
00年8月17日から財団法人・発酵研究所(IFO)
に寄託番号IFO 16467として寄託されている。
後述の実施例3で得られた形質転換体エシェリヒア コ
リ(Escherichia coli) JM109/pTArPDF2は、2000
年8月28日から通商産業省工業技術院生命工学工業技
術研究所(NIBH)に寄託番号FERM BP−72
85として、2000年8月17日から財団法人・発酵
研究所(IFO)に寄託番号IFO 16466として
寄託されている。
【0101】
【実施例】以下に、実施例をあげて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はそれに限定されるものではな
い。なお、大腸菌を用いての遺伝子操作法は、モレキュ
ラー・クローニング(Molecular cloning)に記載され
ている方法に従った。
【0102】実施例1 ヒト膵臓cDNA画分からのPCR法
による新規FGFファミリーcDNAの取得 クローンテック社より購入したヒト膵臓cDNA 2μlを鋳
型として、以下の4種 類の合成DNAを用いて、nested PCRによる増幅を行っ
た。 FFF1:5'-GAGATCACCTGAGGACCCGAGCCATTG-3'(配列番号:
3) FFF3:5'-ATGGACTCGGACGAGACCGGGTTCGAG-3'(配列番号:
4) FFR1:5'-AGATGTCATAGTAAACAGCCTCTGGCT-3'(配列番号:
5) FFR3:5'-TCAGGAAGCGTAGCTGGGGCTTCGGCC-3'(配列番号:
6) 一回目のPCRの反応液はcDNA溶液2μl、0.5μl FFF1
(10 μM)、0.5μl FFR1(10 μM)、2.5μl添付の1
0 x反応液、2.5μl dNTP(10mM)、0.5μl Klen Taq
(クローンテック)、16.5μl大塚蒸留水を加えて合計
25μlにした。反応液をThermal Cycler 9600を用いてP
CR反応にかけた。PCRの条件は95℃・2分の変性の後、98
℃・10秒、65℃・20秒、72℃・30秒のサイクルを30回繰
り返した。さらに、一回目のPCR産物を100倍に希釈し、
二回目のPCRを行った。二回目のPCRの反応液は希釈した
一回目のPCR反応産物溶液2μl、0.5μl FFF3(10μ
M)、0.5μl FFR3(10μM)、2.5μl添付の10 x反応
液、2.5μl dNTP(10mM)、0.5μl Klen Taq(クロー
ンテック)、16.5μl大塚蒸留水を加えて合計25μlに
した。反応液をThermalCycler9600を用いてPCR反応にか
けた。PCRの条件は95℃・2分の変性の後、98℃・10秒、
65℃・20秒、72℃・30秒のサイクルを30回繰り返した。
PCR産物の一部を用いて電気泳動で約600 bpのPCR産物の
増幅を確認した後、PCR産物をQuiagen PCR purificatio
n Kitを用いて精製し、直接配列決定を行ったところ図
1で示す配列(配列番号:2)が得られた。図1のDNA
配列から予測されるアミノ酸配列は図2に示すもの(配
列番号:1)であった。その配列の中には112番目Glyか
ら135番目Tyrまで(下線部)のFGFファミリーでよく保
存されている配列(Gly-x-Leu-x-[Ser or Thr or Ala o
r Gly or Pro]-x(6,7)-[Asp or Glu]-Cys-x-[Phe or Me
t]-x-Glu-x(6)-Tyr、xはどのアミノ酸でも良い)に類似
の配列が存在した。得られた配列の相同性を調べたとこ
ろ、既知FGFファミリーと高い相同性を示した。その系
統樹を図3に示す。また最も高い相同性を示したものは
ヒト型FGF19(Biochim. Biophys. Acta 1444 (1), 148
-151 (1999))でありその相同性は37%であった。ヒト
型FGF19およびマウス型FGF15と本発明の配列番号:1の
比較を図4に示す。また、得られたDNAを調製しTAクロ
ーニングキット(インビトロゲン社)を用いてベクター
に導入し、大腸菌JM109を形質転換して形質転換体エシ
ェリヒア コリ(Escherichia coli) JM109/pTAhPDF24
を得た。
【0103】実施例2 新規FGFファミリー遺伝子のヒ
ト臓器でのmRNAの分布 クローンテック社より購入したヒトの30種類の臓器由来
のpoly(A)+RNAを用いてRT-PCRにより発現分布を調べ
た。cDNAの合成は各1μgのpoly(A)+RNA(Clontech社)を
鋳型として、Superscript2逆転写酵素(Gibco BRL社)
とランダムプライマーおよび添付のバッファーを用いて
42℃にて1時間の反応を行いcDNA合成した。その反応産
物をエタノール沈殿にて精製した後、250mlのTEに溶解
した。PCRには下に示すプライマーを用いた。 FF2:5'-TTGATGGACTCGGACGAGACCGGGTTC-3'(配列番号:
7) FF3:5'-TTCGGACTGGTAAACATTGTATCCGTC-3'(配列番号:
8) PCRの反応液はcDNA溶液1 μl、FF2 プライマー0.5 μl
(10 μM)、FR3プライマー0.5 μl(10 μM)、2.5・
添付の10 x反応液、2.5μl dNTP(10μM)、0.5μl Kle
n Taq(クローンテック)、16.5μl蒸留水を加えて合計
25μlにした。反応液をThermalCycler9600を用いてPCR
反応にかけた。PCRの条件は95℃・2分の変性の後、98℃
・10秒、65℃・20秒、72℃・20秒のサイクルを35回繰り
返した。PCR産物の5μlを用いて電気泳動を行い約600bp
のPCR産物の増幅を比較し図5に示す結果を得た。図5に
示すようにこの遺伝子は肝臓、胎児肝臓、膵臓、骨格筋
などで高い発現が認められた。このことから配列番号:
1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一
のアミノ酸配列を含有する本発明のタンパク質またはそ
の塩はこれらの臓器で重要な役割を果たしていることが
示唆された。
【0104】実施例3 ラット肝臓cDNA画分からのPCR
法による新規FGFファミリーcDNAの取得 クローンテック社より購入したラット肝臓Marathon rea
dy cDNA 4μlを鋳型として、以下の2種類の合成DNAを用
いて、PCRによる増幅を行った。 rFF:5'-TTCTCACAGAGCGCGGCATTGATGGAC-3'(配列番号:
9) rFR:5'-TAGAATCGGGAAGATTCAAGATGCATA-3'(配列番号:
10) PCRの反応液はcDNA溶液4μl、0.5μl rFF(10 μM)、
0.5μl rFR(10 μM)、2.5μl添付の10 x反応液、2.5
μl dNTP(10mM)、0.5μl Klen Taq(クローンテック
社)、14.5μl蒸留水を加えて合計25μlにした。反応液
をThermalCycler9600を用いてPCR反応にかけた。PCRの
条件は95℃・2分の変性の後、98℃・10秒、65℃・20
秒、72℃・30秒のサイクルを35回繰り返した。PCR産物
の一部を用いて電気泳動で約600bpのPCR産物の増幅を確
認した後、PCR産物をQuiagen PCR purification Kitを
用いて精製し、直接配列決定を行ったところ図6で示す
配列が得られた。図6のDNA配列から予測されるアミノ酸
配列は図7に示すものであった。その配列の中には109番
目Glyから133番目Tyrまで(下線部)のFGFファミリーで
よく保存されている配列(Gly-x-Leu-x-[Ser orThr or
Ala or Gly or Pro]-x(6,7)-[Asp or Glu]-Cys-x-[Phe
or Met]-x-Glu-x(6)-Tyr)に類似の配列が存在した。ま
た最初のMetから29番目のAlaまでは分泌シグナルと予想
された。実施例1で得られた配列の相同性を調べたとこ
ろ、その相同性はアミノ酸レベルで77%であった。ヒ
ト型とラット型のアミノ酸配列の比較を図8に示す。ま
た、得られたDNAを調製しTAクローニングキット(イン
ビトロゲン社)を用いてベクターに導入し、大腸菌JM10
9を形質転換して形質転換体エシェリヒア コリ(Esche
richiacoli) JM109/pTArPDF2を得た。
【0105】実施例4 新規FGFファミリー遺伝子のラ
ット臓器でのmRNAの分布 Wistarラット(日本SLC社)より調製した55種の臓器由
来のpoly(A)+RNAを用いてSequence Detection System m
odel 7700(PEバイオシステムズ社)により発現分布を
調べた。cDNAの合成は各160ngのpoly(A)+RNA(Clontech
社)を鋳型として、AMV逆転写酵素(宝酒造社)とランダ
ムプライマーおよび添付のバッファーを用いて42℃にて
30分にて行って、cDNAを得た。その反応産物をエタノー
ル沈殿にて精製した後、40μlのTEに溶解した。発現定
量には下に示すプライマーおよびプローブを用いた。 mrFGLF:5'-TCTCTATGGATCGCCTCACTTTG-3'(配列番号:1
3) rFGLR:5'-CACATTGTATCCGTCCTTAAGCAG-3'(配列番号:1
4) rFGFL: 5'-(FAM)TCCTGAGGCCTGCAGTTTCAGAGAGCT(TAMRA)-
3' 反応液はcDNA溶液0.5μl、100μM のmrFGLFプライマー
0.05μl、100μMのrFGLRプライマー 0.05 μl、5μMの
プローブrFGFL 0.5μl、TaqMan universal master mix
(PEバイオシステムズ) 12.5 μlに蒸留水を加えて合計2
5 μlにした。反応条件は50℃・2分、95℃・10分の後、
95℃・15秒、60℃・1分のサイクルを40回繰り返した。
図9に示すようにこの遺伝子は、精巣で最も高い発現が
認められたが、ヒト型と同様に肝臓、膵臓で高い発現が
検出された。また白色脂肪組織でも比較的高い発現が検
出された。このことから配列番号:11で表されるアミ
ノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を
含有するタンパク質またはその塩はこれらの臓器で重要
な役割を果たしていることが示唆された。
【0106】
【発明の効果】本発明のタンパク質およびそれをコード
するDNAは、例えば創傷、火傷、血栓症、動脈硬化
症、肝臓病、膵臓病、糖尿病などの予防・治療剤などの
医薬として有用である。加えて、本発明のタンパク質お
よび本発明のDNAは、肥満症などの予防・治療薬など
の医薬として有用である。また、本発明のタンパク質お
よびそれをコードするDNAは、本発明のタンパク質の
活性を促進もしくは阻害する化合物またはその塩のスク
リーニングのための試薬として有用である。さらに、本
発明のタンパク質に対する抗体は、本発明のタンパク質
を特異的に認識することができるので、被検液中の本発
明のタンパク質の検出、定量、中和等に使用することが
できる。
【0107】
【配列表】 [Sequence Listing] <110> Takeda Chemical Industries, Ltd. <120> Novel polypeptide and its DNA <130> B00241 <150> JP 2000-213385 <151> 2000-07-10 <150> JP 2000-240398 <151> 2000-08-03 <160> 14 <210> 1 <211> 209 <212> PRT <213> Human <400> 1 Met Asp Ser Asp Glu Thr Gly Phe Glu His Ser Gly Leu Trp Val Ser 5 10 15 Val Leu Ala Gly Leu Leu Leu Gly Ala Cys Gln Ala His Pro Ile Pro 20 25 30 Asp Ser Ser Pro Leu Leu Gln Phe Gly Gly Gln Val Arg Gln Arg Tyr 35 40 45 Leu Tyr Thr Asp Asp Ala Gln Gln Thr Glu Ala His Leu Glu Ile Arg 50 55 60 Glu Asp Gly Thr Val Gly Gly Ala Ala Asp Gln Ser Pro Glu Ser Leu 65 70 75 80 Leu Gln Leu Lys Ala Leu Lys Pro Gly Val Ile Gln Ile Leu Gly Val 85 90 95 Lys Thr Ser Arg Phe Leu Cys Gln Arg Pro Asp Gly Ala Leu Tyr Gly 100 105 110 Ser Leu His Phe Asp Pro Glu Ala Cys Ser Phe Arg Glu Leu Leu Leu 115 120 125 Glu Asp Gly Tyr Asn Val Tyr Gln Ser Glu Ala His Gly Leu Pro Leu 130 135 140 His Leu Pro Gly Asn Lys Ser Pro His Arg Asp Pro Ala Pro Arg Gly 145 150 155 160 Pro Ala Arg Phe Leu Pro Leu Pro Gly Leu Pro Pro Ala Leu Pro Glu 165 170 175 Pro Pro Gly Ile Leu Ala Pro Gln Pro Pro Asp Val Gly Ser Ser Asp 180 185 190 Pro Leu Ser Met Val Gly Pro Ser Gln Gly Arg Ser Pro Ser Tyr Ala 195 200 205 Ser 209 <210> 2 <211> 627 <212> DNA <213> Human <400> 2 ATGGACTCGG ACGAGACCGG GTTCGAGCAC TCAGGACTGT GGGTTTCTGT GCTGGCTGGT 60 CTTCTGCTGG GAGCCTGCCA GGCACACCCC ATCCCTGACT CCAGTCCTCT CCTGCAATTC 120 GGGGGCCAAG TCCGGCAGCG GTACCTCTAC ACAGATGATG CCCAGCAGAC AGAAGCCCAC 180 CTGGAGATCA GGGAGGATGG GACGGTGGGG GGCGCTGCTG ACCAGAGCCC CGAAAGTCTC 240 CTGCAGCTGA AAGCCTTGAA GCCGGGAGTT ATTCAAATCT TGGGAGTCAA GACATCCAGG 300 TTCCTGTGCC AGCGGCCAGA TGGGGCCCTG TATGGATCGC TCCACTTTGA CCCTGAGGCC 360 TGCAGCTTCC GGGAGCTGCT TCTTGAGGAC GGATACAATG TTTACCAGTC CGAAGCCCAC 420 GGCCTCCCGC TGCACCTGCC AGGGAACAAG TCCCCACACC GGGACCCTGC ACCCCGAGGA 480 CCAGCTCGCT TCCTGCCACT ACCAGGCCTG CCCCCCGCAC TCCCGGAGCC ACCCGGAATC 540 CTGGCCCCCC AGCCCCCCGA TGTGGGCTCC TCGGACCCTC TGAGCATGGT GGGACCTTCC 600 CAGGGCCGAA GCCCCAGCTA CGCTTCC 627 <210> 3 <211> 27 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 3 GAGATCACCT GAGGACCCGA GCCATTG 27 <210> 4 <211> 27 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 4 ATGGACTCGG ACGAGACCGG GTTCGAG 27 <210> 5 <211> 27 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 5 AGATGTCATA GTAAACAGCC TCTGGCT 27 <210> 6 <211> 27 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 6 TCAGGAAGCG TAGCTGGGGC TTCGGCC 27 <210> 7 <211> 27 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 7 TTGATGGACT CGGACGAGAC CGGGTTC 27 <210> 8 <211> 27 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 8 TTCGGACTGG TAAACATTGT ATCCGTC 27 <210> 9 <211> 27 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 9 TTCTCACAGA GCGCGGCATT GATGGAC 27 <210> 10 <211> 27 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 10 TAGAATCGGG AAGATTCAAG ATGCATA 27 <210> 11 <211> 208 <212> PRT <213> Rat <400> 11 Met Asp Trp Met Lys Ser Arg Val Gly Ala Pro Gly Leu Trp Val Cys 1 5 10 15 Leu Leu Leu Pro Val Phe Leu Leu Gly Val Cys Glu Ala Tyr Pro Ile 20 25 30 Ser Asp Ser Ser Pro Leu Leu Gln Phe Gly Gly Gln Val Arg Gln Arg 35 40 45 Tyr Leu Tyr Thr Asp Asp Asp Gln Asp Thr Glu Ala His Leu Glu Ile 50 55 60 Arg Glu Asp Gly Thr Val Val Gly Thr Ala His Arg Ser Pro Glu Ser 65 70 75 80 Leu Leu Glu Leu Lys Ala Leu Lys Pro Gly Val Ile Gln Ile Leu Gly 85 90 95 Val Lys Ala Ser Arg Phe Leu Cys Gln Gln Pro Asp Gly Thr Leu Tyr 100 105 110 Gly Ser Pro His Phe Asp Pro Glu Ala Cys Ser Phe Arg Glu Leu Leu 115 120 125 Leu Lys Asp Gly Tyr Asn Val Tyr Gln Ser Glu Ala His Gly Leu Pro 130 135 140 Leu Arg Leu Pro Gln Lys Asp Ser Gln Asp Pro Ala Thr Arg Gly Pro 145 150 155 160 Val Arg Phe Leu Pro Met Pro Gly Leu Pro His Glu Pro Gln Glu Gln 165 170 175 Pro Gly Val Leu Pro Pro Glu Pro Pro Asp Val Gly Ser Ser Asp Pro 180 185 190 Leu Ser Met Val Glu Pro Leu Gln Gly Arg Ser Pro Ser Tyr Ala Ser 195 200 205 208 <210> 12 <211> 624 <212> DNA <213> Rat <400> 12 ATGGACTGGA TGAAATCTAG AGTTGGGGCC CCGGGACTGT GGGTCTGTCT CCTGCTGCCT 60 GTCTTCCTGC TGGGGGTGTG CGAGGCATAC CCCATCTCTG ACTCCAGCCC CCTCCTCCAG 120 TTTGGGGGTC AAGTCCGACA GAGGTATCTC TACACAGATG ACGACCAGGA CACCGAAGCC 180 CACCTGGAGA TCAGGGAGGA CGGAACAGTG GTGGGCACAG CACACCGCAG TCCAGAAAGT 240 CTCCTGGAGC TCAAAGCCTT GAAGCCAGGG GTCATTCAAA TCCTGGGTGT CAAAGCCTCT 300 AGGTTTCTTT GCCAACAACC AGATGGAACT CTCTATGGAT CGCCTCACTT TGATCCTGAG 360 GCCTGCAGTT TCAGAGAGCT GCTGCTTAAG GACGGATACA ATGTGTACCA GTCTGAGGCC 420 CATGGCCTGC CCCTGCGTCT GCCCCAGAAG GACTCCCAGG ATCCAGCAAC CCGGGGACCT 480 GTGCGCTTCC TGCCCATGCC AGGCCTGCCC CACGAGCCCC AAGAGCAACC AGGAGTCCTT 540 CCCCCAGAGC CCCCAGATGT GGGTTCCTCC GACCCCCTGA GCATGGTAGA GCCTTTGCAA 600 GGCCGAAGCC CCAGCTATGC ATCT 624 <210> 13 <211> 23 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 13 TCTCTATGGA TCGCCTCACT TTG 23 <210> 14 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 14 CACATTGTAT CCGTCCTTAA GCAG 24
【0108】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた本発明のFGF様タンパク
質をコードするcDNAの塩基配列を示す。
【図2】実施例1で得られた本発明のヒト型FGF様タ
ンパク質のアミノ酸配列を示す。
【図3】実施例1で得られた本発明のヒト型FGF様タ
ンパク質と既知FGFとの系統図を示す。
【図4】実施例1で得られた本発明のヒト型FGF様タ
ンパク質(newFGF.PRO)、ヒト型FGF19(Fgf19.pr
o)、およびマウス型FGF15(mFG15.PRO)のアミノ
酸配列の比較を示す。
【図5】実施例2で行われた本発明の新規FGF様タン
パク質のヒト臓器でのmRNAの発現部分の結果を示す。図
中、レーン1は脳(Brain)、レーン2は小脳(Cerebel
lum)、レーン3は海馬(Hippocampus)、レーン4は視
床下部(Hypothalamus)、レーン5は下垂体(Pituitar
y)、レーン6は脊髄(Spinal cord)、レーン7は甲状
腺(Thyroid gland)、レーン8は胸腺(Thymus)、レ
ーン9は気管(Trachea)、レーン10は唾液腺(Saliv
ary gland)、レーン11は心臓(Heart)、レーン12
は肺(Lung)、レーン13は肝臓(Liver)、レーン1
4は脾臓(Spleen)、レーン15は膵臓(Pancreas)、
レーン16は腎臓(Kidney)、レーン17は副腎(Adre
nal gland)、レーン18は胃(Stomach)、レーン19
は小腸(Small intestine)、レーン20は骨格筋(Ske
letal muscle)、レーン21は前立腺(Prostate)、レ
ーン22は精巣(Testis)、レーン23は子宮(Uteru
s)、レーン24は胎盤(Placenta)、レーン25は乳
腺(Mammary gland)、レーン26は骨髄(Bone marro
w)、レーン27はリンパ節(Lymph node)、レーン2
8は胎児脳(Fetal brain)、レーン29は胎児肝臓(F
etal liver)、レーン30は胎児腎臓(Fetal kidney)
での発現を示す。
【図6】実施例3で得られた本発明のラット型FGF様
タンパク質をコードするcDNAの塩基配列を示す。
【図7】実施例3で得られた本発明のラット型FGF様
タンパク質のアミノ酸配列を示す。
【図8】実施例1で得られた本発明のヒト型FGF様タ
ンパク質のアミノ酸配列と実施例3で得られた本発明の
ラット型FGF様タンパク質のアミノ酸配列との比較を
示す。図中、Human.PROは実施例1で得られた本発明の
ヒト型FGF様タンパク質のアミノ酸配列を示し、Rat.
PROは実施例3で得られた本発明のラット型FGF様タ
ンパク質のアミノ酸配列を示す。
【図9】実施例4で行われた本発明の新規FGF様タン
パク質のラット臓器でのmRNAの発現部分の結果を示す。
図の横軸中、1は全脳(Whole)、2は大脳皮質(Cereb
ral)、3は線状条体(Striatum)、4は海馬(Hippoca
m)、5は視床(Thalamus)、6は視床下部(Hypothal
a)、7は中脳(Midbrain)、8は小脳(Cerebellu
m)、9は延髄(Medulla)、10は眼(Eye)、11は
下垂体(Pituitary)、12は脊髄(Spinal)、13は
甲状腺(Thyroid)、14は気管(Trachea)、15は胸
腺(Thymus)、16は顎下腺(Submandi)、17は心臓
(Heart)、18は肺(Lung)、19は肝臓(Liver)、
20は脾臓(Spleen)、21は膵臓(Pancreas)、22
はリンパ節(Lymph)、23は腎臓(Kidney)、24は
副腎(Adrenal)、25は膀胱(Urinary)、26は胃
(Stomach)、27は十二指腸(Duodenum)、28は空
腸(Jejunum)、29は回腸(Ileum)、30は盲腸(Ca
ecum)、31は結腸(Colon)、32は直腸(Rectu
m)、33は骨格筋(Skeletal)、34は前立腺(Prost
ate)、35は精嚢(Seminal)、36は精巣(Testi
s)、37は卵巣(Ovary)、38は子宮(Uterus)、3
9は胎盤(Placenta)、40は皮膚(Skin)、41は気
管骨(Femur)、42は骨髄(Bone)、43は肋軟骨(C
ostal)、44は胎児(Fetus)、45は白色脂肪組織
(White)、46は褐色脂肪組織(Brown)、47は乳腺
(Mammary)、48は胎児全脳(NeonatesWhole)、49
は胎児心臓(Neonates Heart)、50は胎児肺(Neonat
es Lung)、51は胎児腎臓(Neonates Kidney)、52
は胎児胃(Neonates Stomach)、53は胎児腸(Neonat
es Intestine)を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 43/00 105 C07K 14/50 4C086 107 16/22 4H045 C07K 14/50 C12N 1/15 16/22 1/19 C12N 1/15 1/21 1/19 C12P 21/02 H 1/21 G01N 33/15 Z 5/10 33/50 Z C12P 21/02 33/566 G01N 33/15 C12P 21/08 33/50 C12N 15/00 ZNAA 33/566 A61K 37/02 // C12P 21/08 C12N 5/00 A (72)発明者 藤井 亮 茨城県つくば市春日1丁目7番地9 武田 春日ハイツ303号 Fターム(参考) 2G045 AA34 AA35 BB01 BB07 BB41 BB50 BB51 CB17 CB26 FB02 FB03 4B024 AA01 AA11 BA21 BA44 CA04 DA02 DA05 EA04 GA11 4B064 AG13 AG27 CA19 CC24 DA01 4B065 AA01X AA57X AA87X AA93Y AB01 AC14 BA02 CA24 CA25 CA44 CA46 4C084 AA01 AA02 AA07 AA13 AA17 BA01 BA08 BA22 CA53 DB54 MA17 MA23 MA35 MA37 MA38 MA52 MA66 ZB212 ZB222 ZC022 ZC422 4C086 AA01 AA02 AA03 EA16 NA14 ZB21 ZB22 ZC02 4H045 AA10 AA11 AA20 BA10 CA40 DA76 EA50 FA72 FA74

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】配列番号:11で表わされるアミノ酸配列
    と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する
    タンパク質またはその塩。
  2. 【請求項2】配列番号:11で表されるアミノ酸配列の
    N末端から第113番目(Gly)ないし第136番目(Tyr)の
    部分アミノ酸配列を含有する請求項1記載のタンパク質
    の部分ペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエステ
    ルまたはその塩。
  3. 【請求項3】請求項1記載のタンパク質または請求項2
    記載の部分ペプチドをコードする塩基配列を有するDN
    Aを含有するDNA。
  4. 【請求項4】配列番号:12で表わされる塩基配列を有
    する請求項3記載のDNA。
  5. 【請求項5】請求項4記載のDNAを含有する組換えベ
    クター。
  6. 【請求項6】請求項5記載の組換えベクターで形質転換
    された形質転換体。
  7. 【請求項7】請求項6記載の形質転換体を培養し、請求
    項1記載のタンパク質または請求項2記載の部分ペプチ
    ドを生成、蓄積せしめ、これを採取することを特徴とす
    る請求項1記載のタンパク質もしくはその塩、または請
    求項2記載の部分ペプチドもしくはそのアミドもしくは
    そのエステルまたはその塩の製造方法。
  8. 【請求項8】請求項1記載のタンパク質もしくはその
    塩、請求項2記載の部分ペプチドもしくはそのアミド
    もしくはそのエステルまたはその塩、配列番号:1で
    表されるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミ
    ノ酸配列を含有するタンパク質またはその塩、または
    配列番号:1で表されるアミノ酸配列のN末端から第11
    2番目(Gly)ないし第135番目(Tyr)のアミノ酸配列を
    含有し、配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一ま
    たは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質
    の部分ペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエステ
    ルまたはその塩を含有してなる医薬。
  9. 【請求項9】請求項3記載のDNA、配列番号:1
    で表されるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のア
    ミノ酸配列を含有するタンパク質をコードする塩基配列
    を有するDNAを含有するDNA、または配列番号:
    1で表されるアミノ酸配列のN末端から第112番目(Gl
    y)ないし第135番目(Tyr)のアミノ酸配列を含有し、
    配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一または実質
    的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質の部分ペ
    プチドをコードする塩基配列を有するDNAを含有する
    DNAを含有してなる医薬。
  10. 【請求項10】細胞増殖、細胞の維持、組織の形成・増
    強・新生・分化作用を有する請求項8または9記載の医
    薬。
  11. 【請求項11】請求項1記載のタンパク質もしくはそ
    の塩、請求項2記載の部分ペプチドもしくはそのアミ
    ドもしくはそのエステルまたはその塩、配列番号:1
    で表されるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のア
    ミノ酸配列を含有するタンパク質またはその塩、または
    配列番号:1で表されるアミノ酸配列のN末端から第
    112番目(Gly)ないし第135番目(Tyr)のアミノ酸配列
    を含有し、配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一
    または実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク
    質の部分ペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエス
    テルまたはその塩に対する抗体。
  12. 【請求項12】請求項1記載のタンパク質もしくはそ
    の塩、請求項2記載の部分ペプチドもしくはそのアミ
    ドもしくはそのエステルまたはその塩、配列番号:1
    で表されるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のア
    ミノ酸配列を含有するタンパク質またはその塩、または
    配列番号:1で表されるアミノ酸配列のN末端から第
    112番目(Gly)ないし第135番目(Tyr)のアミノ酸配列
    を含有し、配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一
    または実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク
    質の部分ペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエス
    テルまたはその塩を用いることを特徴とするレセプター
    アゴニストまたはアンタゴニストのスクリーニング方
    法。
  13. 【請求項13】請求項1記載のタンパク質もしくはそ
    の塩、請求項2記載の部分ペプチドもしくはそのアミ
    ドもしくはそのエステルまたはその塩、配列番号:1
    で表されるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のア
    ミノ酸配列を含有するタンパク質またはその塩、または
    配列番号:1で表されるアミノ酸配列のN末端から第
    112番目(Gly)ないし第135番目(Tyr)のアミノ酸配列
    を含有し、配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一
    または実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク
    質の部分ペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエス
    テルまたはその塩を含有するレセプターアゴニストまた
    はアンタゴニストのスクリーニング用キット。
  14. 【請求項14】請求項12記載のスクリーニング方法ま
    たは請求項13記載のスクリーニング用キットを用いて
    得られるレセプターアゴニストまたはアンタゴニスト。
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