JP2002335973A - 新規タンパク質およびそのdna - Google Patents

新規タンパク質およびそのdna

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JP2002335973A JP2001186905A JP2001186905A JP2002335973A JP 2002335973 A JP2002335973 A JP 2002335973A JP 2001186905 A JP2001186905 A JP 2001186905A JP 2001186905 A JP2001186905 A JP 2001186905A JP 2002335973 A JP2002335973 A JP 2002335973A
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Tomofumi Kurokawa
智文 黒川
Takahisa Yamada
隆央 山田
Shigeto Morimoto
茂人 森本
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
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Takeda Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】新規タンパク質およびその用途の提供。 【解決手段】本発明は、フォスファトニンタンパク質ま
たはその塩などに関する。 【効果】本発明のタンパク質、その部分ペプチドまたは
それらの塩、およびそれらをコードするDNAは、抗体
および抗血清の入手、本発明のタンパク質の発現系の構
築、同発現系を用いた医薬品候補化合物のスクリーニン
グなどにおいて用いることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はリン利尿活性および
/または低リン血症誘導活性を有する新規なタンパク質
「フォスファトニン(phosphatonin)」とそのDNAに
関する。
【0002】
【従来の技術】リンは細胞の代謝において重要な役割を
果たし、核酸、アデノシン三リン酸(ATP)、リン脂質、
細胞膜、中間代謝産物の構成成分として、また細胞のエ
ネルギーの貯蔵、輸送に必須である。また骨の石灰化は
血中のリンおよびカルシウム濃度と密接に関係してお
り、これらの成分の恒常性が崩れると骨の強度に重大な
影響が及ぶ。血中のリン濃度は小腸からの吸収、骨から
の遊離、腎臓からの排泄、細胞内外のシフト等により巧
妙にバランスがとられている。腎臓においてリンは糸球
体濾過により受動的に排泄されるが、その一方で腎近位
尿細管の刷子縁膜に存在するナトリウム依存性リン(Na+
-Pi)輸送担体がリンを能動的に再吸収し、血中リン濃度
の維持に大きく寄与している。
【0003】ビタミンDは肝臓および腎臓で代謝され活
性型の1,25-ジヒドロキシビタミンD(1,25(OH)2D)と
なって血中リン濃度の維持および骨の石灰化に寄与して
いる。ビタミンDが欠如すると成長期の小児ではくる
病、成人では骨軟化症となる。ビタミンDの欠如以外の
原因によって起きる遺伝性くる病として、家族性低リン
血症性ビタミンD抵抗性くる病(X-linked hypophospha
temia; XLH)、常染色体優性遺伝を示す低リン血症性く
る病(autosomal dominant hypophosphatemic rickets;
ADHR)、高カルシウム尿症を伴う低リン血症性くる病
(hereditary hypophosphatemic rickets with hyperca
lciuria; HHRH)などがある。これらの疾患では原因遺
伝子の変異により過リン酸尿、低リン血症を生じくる
病、骨軟化症をきたすが、その機序は単一でなく不明の
点が多い。
【0004】1995年、XLHの原因遺伝子としてX
p22.1に座位する遺伝子、PHEX(phosphate re
gulating gene with homologies to endopeptidase, on
theX chromosome)がクローニングされた(ネイチャー
・ジェネティックス(NATURE GENETICS)11, 130-136,
1995)。PHEX遺伝子産物は794アミノ酸残基より
成る1回膜貫通型の糖タンパク質で、亜鉛メタロエンド
ペプチダーゼと高い相同性を有する。XLHのモデルマ
ウスとして知られるHypマウスと正常マウスとの血管
を人工的に結合させ、液性因子が互いに自由に連絡し得
る状態(parabiosis)を作ったところ、正常マウスに低リ
ン血症を誘導できた(ジャーナル・オブ・ボーン・アン
ド・ミネラル・リサーチ(JOURNAL OF BONE AND MINERA
L RESEARCH)4, 493-500, 1989)。また正常マウスの腎
臓をHypマウスに移植してもHypマウスにおける低
リン血症は改善されなかった(ジャーナル・オブ・クリ
ニカル・インベスティゲーション(JOURNAL OF CLINICA
L INVESTIGATION 89, 1453-1459, 1992))。これらの
結果からHypマウスの病因は腎臓以外の臓器で産生さ
れる液性リン利尿因子であるという考えが提唱されるよ
うになった。
【0005】XLHと非常に類似した症状を示す疾患と
して腫瘍性低リン血性骨軟化症(oncogenic hypophosph
atemic osteomalacia; OHO)がある。本疾患は主に骨
(良性骨芽細胞腫、骨化性間葉腫)、軟部組織(血管
腫、線維腫)などの中胚葉性の腫瘍が原因となり、腎か
ら顕著にリンが漏出し低リン血症、骨軟化症をきたす
(Tumor associated rickets and osteomalacia Favus
MJ (ed) アメリカン・ソサイアティー・フォア・ボーン
・ミネラル・リサーチ(AMERICAN SOCIETY FOR BONEMIN
ERAL RESEARCH), 184-188, 1990)。本疾患の主たる病
因はXLHのそれとは異なると考えられている(カレン
ト・オピニオン・イン・ネフロロジー・アンド・ハイパ
ーテンション(CURRENT OPINION IN NEPHROLOGY AND HY
PERTENSION)7, 367-376, 1998)。OHOは腫瘍の摘出
によりその症状が完全に消失すること、OHO患者の腫
瘍をヌードマウスに移植または腫瘍抽出液をラットに持
続投与することにより低リン血症が誘導されたこと(ジ
ャーナル・オブ・クリニカル・エンドクリノロジー・ア
ンド・メタボリズム(JOURNAL OF CLINICAL ENDOCRINOL
OGY AND METABOLISM)67, 46-53, 1988;ジャーナル・
オブ・ペディアトリックス(JOURNAL OF PEDIATRICS)9
1, 56-60, 1977)などから、OHOの病因として腫瘍が
過剰に分泌する液性リン利尿因子の存在が示唆された。
近年この因子は「フォスファトニン(Phosphatonin)」
と呼ばれ、ヒトあるいは動物の培養腎臓細胞を用いた実
験系において腎近位尿細管のNa+-Pi輸送担体によるリン
再吸収を抑制することが示唆された(プロシーディング
ズ・オブ・アソシエーション・オブ・アメリカン・フィ
ジシャンズ(PROCEEDINGS OF ASSOCIATION OF AMERICAN
PHYSICIANS)107, 1296-1305, 1995;ボーン(BONE),
18, 159-169, 1996)。XLHとOHOとの病態の類似
性から、OHOにおいて腫瘍が分泌しているフォスファ
トニンは正常人でも血中に分泌されておりPHEX遺伝
子産物により分解され上手く制御されているが、XLH
ではPHEX遺伝子の欠陥によりまたOHOでは腫瘍か
らフォスファトニンが過剰分泌することにより低リン血
症がおきる、といったメカニズムが想定できる。従って
OHO患者の腫瘍が分泌する液性リン利尿因子を単離同
定し、その性状を明らかにすることはOHOとXLHと
の関係の解明だけでなく血中リン濃度制御異常に起因す
るあらゆる疾患の解明に大きく寄与することが期待され
る。
【0006】最近OHO腫瘍細胞の初代培養上清からフ
ォスファトニンを分離したという報告(ニュー・イング
ランド・ジャーナル・オブ・メデイシン(NEW ENGLAND
JOURNAL OF MEDICINE), 330, 1645-1649, 1994、ボー
ン(BONE), 18, 159-169, 1996)やフォスファトニン
候補遺伝子をクローニングしたという報告(ボーン(BO
NE), 23, S653, 1998)が成された。RoweP.S.
N.が報告したフォスファトニンの遺伝子配列(WO 99/
60017)は開始のメチオニンを含む5’領域が欠失して
おり、またその遺伝子組換え産物はフォスファトニンの
生理作用と反対の作用を示したことから明らかなように
フォスファトニンの完全長遺伝子配列およびその遺伝子
産物は未だ明らかとなっていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、リン利尿活
性および/または低リン血症誘導活性を有する新規なタ
ンパク質,その部分ペプチドまたはその塩、該タンパク
質をコードするDNA、組換えベクター、形質転換体、
該タンパク質の製造法、該タンパク質またはDNAを含
有する医薬、該タンパク質に対する抗体、レセプターア
ゴニスト/アンタゴニストのスクリーニング方法並びに
スクリーニング用キット、該スクリーニングで得られる
レセプターアゴニスト/アンタゴニスト、該タンパク質
を分解するプロテイナーゼを阻害する作用を有する化合
物またはその塩のスクリーニング方法並びにスクリーニ
ング用キット、および該スクリーニングで得られる化合
物またはその塩を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】リン利尿活性および/ま
たは低リン血症誘導活性を有する新規なタンパク質の単
離は、OHOやXLHの発症メカニズムおよび腎臓にお
けるリン再吸収メカニズムを明らかにし、血中リン濃度
制御異常に起因する種々の疾患の予防や治療に役立つ新
たな医薬品の開発につながる。本発明者らは、鋭意研究
を重ねた結果、OHO患者由来cDNAライブラリーか
ら新規な塩基配列を有するcDNAをクローニングする
ことに成功した。そして、本発明者らは、得られたcD
NAにコードされるタンパク質がリン利尿活性および/
または低リン血症誘導活性を有する新規なタンパク質で
あることを見いだし、これらの知見に基づいて、さらに
検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明は、(1)配列番号:1
で表わされるアミノ酸配列の17番目から525番目の
アミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配
列を含有するタンパク質またはその塩、(2)配列番
号:1で表わされるアミノ酸配列の17番目から525
番目のアミノ酸配列を含有するタンパク質またはその
塩、(3)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と同
一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタン
パク質またはその塩である第(1)項記載のタンパク質
またはその塩、(4)配列番号:1で表わされるアミノ
酸配列を含有するタンパク質またはその塩である第
(3)項記載のタンパク質またはその塩、(5)リン利
尿活性および/または低リン血症誘導活性を有するタン
パク質である第(1)項〜(4)項記載のタンパク質ま
たはその塩、(6)腎におけるナトリウム依存性リン
(Na+-Pi)輸送活性を抑制する活性、腎における25-ヒ
ドロキシビタミンD3-1α-ヒドロキシラーゼ活性を抑制
する活性および腎における25-ヒドロキシビタミンD3-
24-ヒドロキシラーゼ活性を促進する活性から選ばれる
少なくとも一つの活性を有するタンパク質である第
(1)項〜(4)項記載のタンパク質、(7)第(1)
項記載のタンパク質の部分ペプチドまたはその塩、
(8)第(1)項記載のタンパク質をコードする塩基配
列を有するDNAを含有するDNA、(9)配列番号:
2または配列番号:3で表わされる塩基配列を有する第
(8)項記載のDNA、(10)第(8)項記載のDN
Aを含有する組換えベクター、(11)第(10)項記
載の組換えベクターを保持する形質転換体、(12)第
(11)項記載の形質転換体を培養し、第(1)項記載
のタンパク質または第(7)項記載の部分ペプチドを生
成、蓄積せしめ、これを採取することを特徴とする第
(1)項記載のタンパク質もしくは第(7)項記載の部
分ペプチドまたはその塩の製造方法、(13)第(1)
項記載のタンパク質もしくは第(7)項記載の部分ペプ
チドまたはその塩を含有してなる医薬、(14)第
(8)項記載のDNAを含有してなる医薬、(15)血
中リン濃度の異常を調節、改善し得る第(13)項また
は第(14)項記載の医薬、
【0010】(16)第(1)項記載のタンパク質もし
くは第(7)項記載の部分ペプチドまたはその塩に対す
る抗体、(17)第(16)項記載の抗体を用いること
を特徴とする第(1)項記載のタンパク質もしくは第
(7)項記載の部分ペプチドまたはその塩の定量方法、
(18)第(17)項記載の定量方法を用いることを特
徴とする第(1)項記載のタンパク質もしくは第(7)
項記載の部分ペプチドまたはその塩が関与する疾患の診
断方法、(19)第(1)項記載のタンパク質もしくは
第(7)項記載の部分ペプチドまたはその塩を用いるこ
とを特徴とするレセプターアゴニストまたはアンタゴニ
ストのスクリーニング方法、(20)第(1)項記載の
タンパク質もしくは第(7)項記載の部分ペプチドまた
はその塩を含有するレセプターアゴニストまたはアンタ
ゴニストのスクリーニング用キット、(21)第(1
9)項記載のスクリーニング方法または第(20)項記
載のスクリーニング用キットを用いて得られるレセプタ
ーアゴニストまたはアンタゴニスト、(22)第(1)
項記載のタンパク質もしくは第(7)項記載の部分ペプ
チドまたはその塩を用いることを特徴とする第(1)項
記載のタンパク質または第(7)項記載の部分ペプチド
を分解するプロテイナーゼを阻害する作用を有する化合
物またはその塩のスクリーニング方法、(23)第
(1)項記載のタンパク質もしくは第(7)項記載の部
分ペプチドまたはその塩を含有する第(1)項記載のタ
ンパク質または第(7)項記載の部分ペプチドを分解す
るプロテイナーゼを阻害する作用を有する化合物または
その塩のスクリーニング用キット、および(24)第
(22)項記載のスクリーニング方法または第(23)
項記載のスクリーニング用キットを用いて得られる第
(1)項記載のタンパク質または第(7)項記載の部分
ペプチドを分解するプロテイナーゼを阻害する作用を有
する化合物またはその塩等を提供する。
【0011】さらには、本発明は、(25)(i)レセ
プターまたはその部分ペプチドに、第(1)項記載のタ
ンパク質もしくは第(7)項記載の部分ペプチドまたは
その塩を接触させた場合と、(ii)レセプターまたはそ
の部分ペプチドに、第(1)項記載のタンパク質もしく
は第(7)項記載の部分ペプチドまたはその塩および試
験化合物を接触させた場合において、該レセプターまた
はその部分ペプチドと第(1)項記載のタンパク質、も
しくは第(7)項記載の部分ペプチドまたはその塩との
結合量を測定し、比較することを特徴とする第(19)
項記載のスクリーニング方法、(26)(i)レセプタ
ーを含有する細胞またはその細胞膜画分に、第(1)項
記載のタンパク質もしくは第(7)項記載の部分ペプチ
ドまたはその塩を接触させた場合と、(ii)レセプター
を含有する細胞またはその細胞膜画分に、第(1)項記
載のタンパク質もしくは第(7)項記載の部分ペプチド
またはその塩および試験化合物を接触させた場合におい
て、該レセプターを含有する細胞またはその細胞膜画分
と第(1)項記載のタンパク質もしくは第(7)項記載
の部分ペプチドまたはその塩との結合量を測定し、比較
することを特徴とする第(19)項記載のスクリーニン
グ方法、(27)(i)レセプターを含有する細胞に、
第(1)項記載のタンパク質もしくは第(7)項記載の
部分ペプチドまたはその塩を接触させた場合と、(ii)
レセプターを含有する細胞に、第(1)項記載のタンパ
ク質もしくは第(7)項記載の部分ペプチドまたはその
塩および試験化合物を接触させた場合において、該レセ
プターを含有する細胞におけるレセプターを介する細胞
刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン
遊離、細胞内Ca2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、
細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜
電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、pHの低下な
ど)、Na+-Pi輸送活性、25-ヒドロキシビタミンD3-1α
-ヒドロキシラーゼ活性、25-ヒドロキシビタミンD3-24
-ヒドロキシラーゼ活性などの活性を測定して、比較す
ることを特徴とする第(19)項記載のスクリーニング
方法、
【0012】(28)第(19)項および第(25)項
〜第(27)項のいずれかに記載のスクリーニング方法
または第(20)項記載のスクリーニング用キットを用
いて得られるレセプターアゴニストを含有してなる医
薬、(29)高リン血症、動脈硬化、急性冠症候群、心
不全、脳卒中、慢性糸球体腎炎、糖尿病性腎症、腎不全
などの予防・治療剤である第(28)項記載の医薬、
(30)第(19)項および第(25)項〜第(27)
項のいずれかに記載のスクリーニング方法または第(2
0)項記載のスクリーニング用キットを用いて得られる
レセプターアンタゴニストを含有してなる医薬、(3
1)腫瘍性低リン血性骨軟化症(OHO)、家族性低リン
血症性ビタミンD抵抗性くる病(XLH)、常染色体優性遺
伝を示す低リン血症性くる病(ADHR)、高カルシウム尿
症を伴う低リン血症性くる病(HHRH)、ビタミンD抵抗
性くる病、骨軟化症、骨粗鬆症、腎性骨形成異常症、二
次性副甲状腺機能亢進症、パジェット病、腎ファンコー
ニ症候群、腎尿細管性アシドーシス、嚢胞性線維症、嚢
胞性線維性骨炎および腎不全などの予防・治療剤である
第(30)項記載の医薬、
【0013】(32)(i)第(1)項記載のタンパク
質もしくは第(7)項記載の部分ペプチドまたはその塩
を分解するプロテイナーゼの存在下で第(1)項記載の
タンパク質もしくは第(7)項記載の部分ペプチドまた
はその塩とレセプターを含有する細胞とを接触させた場
合と、(ii)第(1)項記載のタンパク質もしくは第
(7)項記載の部分ペプチドまたはその塩を分解するプ
ロテイナーゼおよび試験化合物の存在下で第(1)項記
載のタンパク質もしくは第(7)項記載の部分ペプチド
またはその塩をレセプターを含有する細胞とを接触させ
た場合において、該レセプターを含有する細胞における
レセプターを介する細胞刺激活性(例えば、アラキドン
酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+濃度の変
動、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシ
トールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリ
ン酸化、pHの低下など)、Na+-Pi輸送活性、25-ヒド
ロキシビタミンD3-1α-ヒドロキシラーゼ活性、25-ヒ
ドロキシビタミンD3-24-ヒドロキシラーゼ活性などの
活性を測定して、比較することを特徴とする第(22)
項記載のスクリーニング方法、(33)第(22)項も
しくは第(32)項記載のスクリーニング方法または第
(23)項記載のスクリーニング用キットを用いて得ら
れる第(1)項記載のタンパク質もしくは第(7)項記
載の部分ペプチドを分解するプロテイナーゼを阻害する
作用を有する化合物またはその塩を含有してなる医薬、
【0014】(34)第(1)項記載のタンパク質もし
くは第(7)項記載の部分ペプチドまたはその塩を用い
ることを特徴とする第(1)項記載のタンパク質もしく
は第(7)項記載の部分ペプチドまたはその塩とレセプ
ターとの結合後の細胞内シグナル伝達を促進または阻害
する化合物またはその塩のスクリーニング方法、(3
5)(i)レセプターを含有する細胞に、第(1)項記
載のタンパク質もしくは第(7)項記載の部分ペプチド
またはその塩を接触させた場合と、(ii)レセプターを
含有する細胞に、第(1)項記載のタンパク質もしくは
第(7)項記載の部分ペプチドまたはその塩および試験
化合物を接触させた場合において、第(1)項記載のタ
ンパク質もしくは第(7)項記載の部分ペプチドまたは
その塩とレセプターとの結合後の細胞内シグナル伝達を
測定し、比較することを特徴とする第(34)項記載の
スクリーニング方法、(36)第(1)項記載のタンパ
ク質もしくは第(7)項記載の部分ペプチドまたはその
塩を含有する第(1)項記載のタンパク質もしくは第
(7)項記載の部分ペプチドまたはその塩とレセプター
との結合後の細胞内シグナル伝達を促進または阻害する
化合物またはその塩のスクリーニング用キット、
【0015】(37)第(34)項〜第(35)項のい
ずれかに記載のスクリーニング方法または第(36)項
記載のスクリーニング用キットを用いて得られる第
(1)項記載のタンパク質もしくは第(7)項記載の部
分ペプチドまたはその塩とレセプターとの結合後の細胞
内シグナル伝達を促進または阻害する化合物またはその
塩、(38)第(34)項〜第(35)項のいずれかに
記載のスクリーニング方法または第(36)項記載のス
クリーニング用キットを用いて得られる第(1)項記載
のタンパク質もしくは第(7)項記載の部分ペプチドま
たはその塩とレセプターとの結合後の細胞内シグナル伝
達を促進または阻害する化合物またはその塩を含有して
なる医薬、および(39)腫瘍性低リン血性骨軟化症
(OHO)、家族性低リン血症性ビタミンD抵抗性くる病
(XLH)、常染色体優性遺伝を示す低リン血症性くる病
(ADHR)、高カルシウム尿症を伴う低リン血症性くる病
(HHRH)、ビタミンD抵抗性くる病、骨軟化症、骨粗鬆
症、腎性骨形成異常症、二次性副甲状腺機能亢進症、パ
ジェット病、腎ファンコーニ症候群、腎尿細管性アシド
ーシス、嚢胞性線維症、嚢胞性線維性骨炎、腎不全、ま
たは高リン血症、動脈硬化、急性冠症候群、心不全、脳
卒中、慢性糸球体腎炎、糖尿病性腎症、腎不全などの予
防・治療剤である第(38)項記載の医薬等を提供す
る。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明のタンパク質は、配列番
号:1で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的
に同一のアミノ酸配列を有するタンパク質、さらに好ま
しくは配列番号:1で表わされるアミノ酸配列の17番
目から525番目のアミノ酸配列と同一もしくは実質的
に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質である。本
発明のタンパク質は、例えば、ヒトや温血動物(例え
ば、モルモット、ラット、マウス、ニワトリ、ウサギ、
ブタ、ヒツジ、ウシ、ウマ、サルなど)のあらゆる細胞
(例えば、脾細胞、神経細胞、グリア細胞、膵臓β細
胞、骨髄細胞、メサンギウム細胞、ランゲルハンス細
胞、表皮細胞、上皮細胞、内皮細胞、繊維芽細胞、繊維
細胞、筋細胞、脂肪細胞、免疫細胞(例、マクロファー
ジ、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、肥満細
胞、好中球、好塩基球、好酸球、単球)、巨核球、滑膜
細胞、軟骨細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、乳腺細
胞、肝細胞もしくは間質細胞、またはこれら細胞の前駆
細胞、幹細胞もしくはガン細胞など)、またはそれらの
細胞が存在するあらゆる組織、例えば、脳、脳の各部位
(例、嗅球、扁桃核、大脳基底核、海馬、視床、視床下
部、大脳皮質、延髄、小脳)、脊髄、下垂体、胃、膵
臓、腎臓、肝臓、生殖腺、甲状腺、胆のう、骨髄、副
腎、皮膚、筋肉、肺、消化管(例、大腸、小腸、十二指
腸)、血管、心臓、胸腺、脾臓、顎下腺、末梢血、前立
腺、睾丸、卵巣、胎盤、子宮、骨、関節、骨格筋などに
由来するタンパク質であってもよく、また合成タンパク
質であってもよい。
【0017】配列番号:1で表わされるアミノ酸配列の
17番目から525番目のアミノ酸配列と実質的に同一
のアミノ酸配列としては、例えば、配列番号:1で表わ
されるアミノ酸配列の17番目から525番目のアミノ
酸配列と約40%以上、好ましくは60%以上、より好
ましくは約80%以上、さらに好ましくは約90%以
上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有するアミ
ノ酸配列などが挙げられる。配列番号:1と実質的に同
一のアミノ酸配列としては、例えば、配列番号:1で表
わされるアミノ酸配列と約40%以上、好ましくは60
%以上、より好ましくは約80%以上、さらに好ましく
は約90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性
を有するアミノ酸配列などが挙げられる。
【0018】配列番号:1で表わされるアミノ酸配列の
17番目から525番目のアミノ酸配列と実質的に同一
のアミノ酸配列を含有する本発明のタンパク質として
は、上記のとおり配列番号:1で表わされるアミノ酸配
列の17番目から525番目のアミノ酸配列と実質的に
同一のアミノ酸配列を有し、配列番号:1で表わされる
アミノ酸配列の17番目から525番目のアミノ酸配列
を含有するタンパク質と実質的に同質の活性を有するタ
ンパク質などが好ましい。配列番号:1と実質的に同一
のアミノ酸配列を含有する本発明のタンパク質として
は、上記のとおり配列番号:1で表わされるアミノ酸配
列と実質的に同一のアミノ酸配列を有し、配列番号:1
で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質と実質
的に同質の活性を有するタンパク質などが好ましい。実
質的に同質の活性としては、例えば、リン利尿活性、低
リン血症誘導活性、腎臓細胞におけるNa+-Pi輸送阻害活
性、25-ヒドロキシビタミンD3-1α-ヒドロキシラーゼ
阻害活性、25-ヒドロキシビタミンD3-24-ヒドロキシラ
ーゼ促進活性などが挙げられる。実質的に同質とは、そ
れらの活性が性質的に同質であることを示す。したがっ
て、リン利尿活性、低リン血症誘導活性、腎臓細胞にお
けるNa +-Pi輸送阻害活性、25-ヒドロキシビタミンD3-1
α-ヒドロキシラーゼ阻害活性、25-ヒドロキシビタミン
3-24-ヒドロキシラーゼ促進活性などが同等(例、約
0.5〜2倍程度)であることが好ましいが、これらの
活性の程度やタンパク質の分子量などの量的要素は異な
っていてもよい。また、本発明のタンパク質には、配
列番号:1で表わされるアミノ酸配列の17番目から5
25番目のアミノ酸配列中の1または2個以上(例えば
1〜80個、好ましくは1〜20個程度、より好ましく
は1〜9個程度、さらに好ましくは数個(1または2
個))のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、配列番
号:1の17番目から525番目のアミノ酸配列に1ま
たは2個以上(例えば1〜80個、好ましくは1〜20
個程度、より好ましくは1〜9個程度、さらに好ましく
は数個(1または2個))のアミノ酸が付加したアミノ
酸配列、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列の1
7番目から525番目のアミノ酸配列中の1または2個
以上(例えば1〜80個、好ましくは1〜20個程度、
より好ましくは1〜9個程度、さらに好ましくは数個
(1または2個))のアミノ酸が他のアミノ酸で置換さ
れたアミノ酸配列を含有するタンパク質などのいわゆる
ムテインも含まれる。また、本発明のタンパク質には、
配列番号:1で表わされるアミノ酸配列中の1または
2個以上(例えば1〜80個、好ましくは1〜20個程
度、より好ましくは1〜9個程度、さらに好ましくは数
個(1または2個))のアミノ酸が欠失したアミノ酸配
列、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列に1また
は2個以上(例えば1〜80個、好ましくは1〜20個
程度、より好ましくは1〜9個程度、さらに好ましくは
数個(1または2個))のアミノ酸が付加したアミノ酸
配列、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列中の1
または2個以上(例えば1〜80個、好ましくは1〜2
0個程度、より好ましくは1〜9個程度、さらに好まし
くは数個(1または2個))のアミノ酸が他のアミノ酸
で置換されたアミノ酸配列を含有するタンパク質などの
いわゆるムテインも含まれる。
【0019】上記のようにアミノ酸配列が欠失または置
換されている場合、その欠失または置換の位置として
は、特に限定されない。
【0020】本明細書におけるタンパク質は、ペプチド
標記の慣例に従って左端がN末端(アミノ末端)、右端
がC末端(カルボキシル末端)である。配列番号:1で
表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質をはじめ
とする、本発明のタンパク質は、C末端がカルボキシル
基(−COOH)、カルボキシレート(−COO-)、ア
ミド(−CONH2)またはエステル(−COOR)の
いずれであってもよい。ここでエステル基のRとして
は、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロ
ピルもしくはn−ブチルなどのC1-6アルキル基、例え
ば、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのC3-8シク
ロアルキル基、例えば、フェニル、α−ナフチルなどの
6-12アリール基、例えば、ベンジル、フェネチルなど
のフェニル−C1-2アルキル基もしくはα−ナフチルメ
チルなどのα−ナフチル−C1-2アルキル基などのC
7-14アラルキル基のほか、経口用エステルとして汎用さ
れるピバロイルオキシメチル基などが用いられる。本発
明のタンパク質がC末端以外にカルボキシル基(または
カルボキシレート)を有している場合、カルボキシル基
がアミド化またはエステル化されているものも本発明の
タンパク質に含まれる。この場合のエステルとしては、
例えば上記したC末端のエステルなどが用いられる。さ
らに、本発明のタンパク質には、上記したタンパク質に
おいて、N末端のメチオニン残基のアミノ基が保護基
(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC1- 6アシル
基など)で保護されているもの、N端側が生体内で切断
され生成したグルタミル基がピログルタミン酸化したも
の、分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基(例えば、−O
H、−SH、アミノ基、イミダゾール基、インドール
基、グアニジノ基など)が適当な保護基(例えば、ホル
ミル基、アセチル基などのC1-6アシル基など)で保護
されているもの、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖タ
ンパク質などの複合タンパク質なども含まれる。より具
体的には、本発明のタンパク質としては、例えば、配列
番号:1で表わされるアミノ酸配列の17番目から52
5番目のアミノ酸配列を有するヒトOHO患者腫瘍由来
のタンパク質、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列
を有するヒトOHO患者腫瘍由来のタンパク質などが好
適である。なお、配列番号:1で表わされるアミノ酸配
列の17番目から525番目のアミノ酸配列は、配列番
号:1で表わされるアミノ酸配列から分泌シグナル配列
を除いた配列である。
【0021】本発明のタンパク質の部分ペプチドとして
は、前記した本発明のタンパク質と同質の活性、例え
ば、リン利尿活性、低リン血症誘導活性、腎臓細胞にお
けるNa +-Pi輸送阻害活性、25-ヒドロキシビタミンD3-1
α-ヒドロキシラーゼ阻害活性、25-ヒドロキシビタミン
3-24-ヒドロキシラーゼ促進活性などを有するペプチ
ドであれば何れのものであってもよい。具体的には、配
列番号:1で表わされるアミノ酸配列の第17番目〜5
25番目のアミノ酸配列を有する部分ペプチド、第17
番目〜330番目のアミノ酸配列を有する部分ペプチ
ド、第331番目〜525番目のアミノ酸配列を有する
部分ペプチドなどが好ましく用いられる。
【0022】さらに、本発明の部分ペプチドとしては、
配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一
のアミノ酸配列を有し、配列番号:1で表わされるアミ
ノ酸配列を含有するペプチドと実質的に同質の活性を有
する部分ペプチドが好ましい。実質的に同質の活性とし
ては、例えば、リン利尿活性、低リン血症誘導活性、腎
臓細胞におけるNa+-Pi輸送阻害活性、25-ヒドロキシビ
タミンD3-1α-ヒドロキシラーゼ阻害活性、25-ヒドロ
キシビタミンD3-24-ヒドロキシラーゼ促進活性などが
挙げられる。実質的に同質とは、それらの活性が性質的
に同質であることを示す。したがって、リン利尿活性、
低リン血症誘導活性、腎臓細胞におけるNa +-Pi輸送阻害
活性、25-ヒドロキシビタミンD3-1α-ヒドロキシラー
ゼ阻害活性、25-ヒドロキシビタミンD3-24-ヒドロキシ
ラーゼ促進活性が同等(例、約0.5〜2倍程度)であ
ることが好ましいが、これらの活性の程度やタンパク質
の分子量などの量的要素は異なっていてもよい。また、
これら本発明の部分ペプチドには、本発明のタンパク質
の(拮抗)阻害型である、すなわち、本発明のタンパク
の有する活性を阻害する活性を有するものも含まれる。
【0023】さらに、本発明の部分ペプチドには、配列
番号:1で表わされるアミノ酸配列と約40%以上、好
ましくは60%以上、より好ましくは約80%以上、さ
らに好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%
以上の相同性を有するタンパク質の部分ペプチドが用い
られ、より具体的には、配列番号:1で表わされるアミ
ノ酸配列中の1または2個以上(例えば1〜80個、好
ましくは1〜20個程度、より好ましくは1〜9個程
度、さらに好ましくは数個)のアミノ酸が欠失したアミ
ノ酸配列、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列に1
または2個以上(例えば1〜80個、好ましくは1〜2
0個程度、より好ましくは1〜9個程度、さらに好まし
くは数個)のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、配列番
号:1で表わされるアミノ酸配列中の1または2個以上
(例えば1〜80個、好ましくは1〜20個程度、より
好ましくは1〜9個程度、さらに好ましくは数個)のア
ミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列を含有
するタンパク質の部分ペプチドなども含まれる。さら
に、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列の第17番
目〜525番目のアミノ酸配列、第17番目〜330番
目のアミノ酸配列または第331番目〜525番目のア
ミノ酸配列(以下、これらをアミノ酸配列Aと略記す
る)と約40%以上、好ましくは60%以上、より好ま
しくは約80%以上、さらに好ましくは約90%以上、
最も好ましくは約95%以上の相同性を有する部分ペプ
チドが用いられ、より具体的には、アミノ酸配列A中の
1または2個以上(例えば1〜80個、好ましくは1〜
20個程度、より好ましくは1〜9個程度、さらに好ま
しくは数個)のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、アミ
ノ酸配列Aに1または2個以上(例えば1〜80個、好
ましくは1〜20個程度、より好ましくは1〜9個程
度、さらに好ましくは数個)のアミノ酸が付加したアミ
ノ酸配列、アミノ酸配列A中の1または2個以上(例え
ば1〜80個、好ましくは1〜20個程度、より好まし
くは1〜9個程度、さらに好ましくは数個)のアミノ酸
が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列を含有する部
分ペプチドなども含まれる。
【0024】また、本発明の部分ペプチドのC末端は、
カルボキシル基(−COOH)、カルボキシレート(−
COO-)、アミド(−CONH2)またはエステル(−
COOR)(Rは前記と同意義を示す)のいずれであっ
てもよい。さらに、本発明の部分ペプチドには、上記し
た部分ペプチドにおいて、N末端のメチオニン残基のア
ミノ基が保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基など
のC1-6アシル基など)で保護されているもの、N端側
が生体内で切断され生成したグルタミル基がピログルタ
ミン酸化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基
(例えば、−OH、−SH、アミノ基、イミダゾール
基、インドール基、グアニジノ基など)が適当な保護基
(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC1- 6アシル
基など)で保護されているもの、あるいは糖鎖が結合し
たいわゆる糖ペプチドなどの複合ペプチドなども含まれ
る。本発明のタンパク質またはその部分ペプチドの塩と
しては、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ま
しい。この様な塩としては、例えば、無機酸(例えば、
塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有
機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、
マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、
蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン
酸)との塩などが用いられる。本発明のタンパク質また
はその塩は、前述したヒトや温血動物の細胞、組織また
は血漿から自体公知のタンパク質の精製方法によって製
造することもできるし、後述するタンパク質をコードす
るDNAを含有する形質転換体を培養することによって
も製造することができる。また、後述のタンパク質合成
法またはこれに準じて製造することもできる。ヒトや温
血動物の細胞、組織または血漿から製造する場合、ヒト
や温血動物の細胞または組織のホモジナイズ上清および
血漿を硫安沈澱、エタノール沈澱、酸抽出、イオン交換
クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、ヒドロ
キシアパタイトクロマトグラフィー、逆相クロマトグラ
フィー、レクチンカラムクロマトグラフィー、ゲル濾過
クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーを組み合
わせることにより精製単離することができる。
【0025】本発明のタンパク質、その部分ペプチドも
しくはそれらの塩またはそれらのアミド体の合成には、
通常市販のタンパク質合成用樹脂を用いることができ
る。そのような樹脂としては、例えば、クロロメチル樹
脂、ヒドロキシメチル樹脂、ベンズヒドリルアミン樹
脂、アミノメチル樹脂、4−ベンジルオキシベンジルア
ルコール樹脂、4−メチルベンズヒドリルアミン樹脂、
PAM樹脂、4−ヒドロキシメチルメチルフェニルアセ
トアミドメチル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、4−
(2',4'-ジメトキシフェニル−ヒドロキシメチル)フェ
ノキシ樹脂、4−(2',4'-ジメトキシフェニル−Fmocア
ミノエチル)フェノキシ樹脂などを挙げることができ
る。このような樹脂を用い、α−アミノ基と側鎖官能基
を適当に保護したアミノ酸を、目的とするタンパク質の
配列通りに、自体公知の各種縮合方法に従い、樹脂上で
縮合させる。反応の最後に樹脂からタンパク質を切り出
すと同時に各種保護基を除去し、さらに高希釈溶液中で
分子内ジスルフィド結合形成反応を実施し、目的のタン
パク質、その部分ペプチドまたはそれらのアミド体を取
得する。
【0026】上記した保護アミノ酸の縮合に関しては、
タンパク質合成に使用できる各種活性化試薬を用いるこ
とができるが、特に、カルボジイミド類がよい。カルボ
ジイミド類としては、DCC、N,N'-ジイソプロピル
カルボジイミド、N-エチル-N'-(3-ジメチルアミノプ
ロリル)カルボジイミドなどが用いられる。これらによ
る活性化にはラセミ化抑制添加剤(例えば、HOBt,
HOOBt)とともに保護アミノ酸を直接樹脂に添加す
るかまたは、対称酸無水物またはHOBtエステルある
いはHOOBtエステルとしてあらかじめ保護アミノ酸
の活性化を行なったのちに樹脂に添加することができ
る。保護アミノ酸の活性化や樹脂との縮合に用いられる
溶媒としては、タンパク質縮合反応に使用しうることが
知られている溶媒から適宜選択されうる。例えば、N,
N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ク
ロロホルム、トリフルオロエタノール、ジメチルスルホ
キシド、DMF、ジメチルスルホキシド、ピリジン、ク
ロロホルム、ジオキサン、塩化メチレン、テトラヒドロ
フラン、アセトニトリル、酢酸エチル、N-メチルピロ
リドンあるいはこれらの適宜の混合物などが用いられ
る。反応温度はタンパク質結合形成反応に使用され得る
ことが知られている範囲から適宜選択され、通常約−2
0℃〜50℃の範囲から適宜選択される。活性化された
アミノ酸誘導体は通常1.5〜4倍過剰で用いられる。
ニンヒドリン反応を用いたテストの結果、縮合が不十分
な場合には保護基の脱離を行うことなく縮合反応を繰り
返すことにより十分な縮合を行なうことができる。反応
を繰り返しても十分な縮合が得られないときには、無水
酢酸またはアセチルイミダゾールを用いて未反応アミノ
酸をアセチル化することができる。原料のアミノ基の保
護基としては、例えば、Z、Boc、ターシャリーアミ
ルオキシカルボニル、イソボルニルオキシカルボニル、
4−メトキシベンジルオキシカルボニル、Cl−Z、B
r−Z、アダマンチルオキシカルボニル、トリフルオロ
アセチル、フタリル、ホルミル、2−ニトロフェニルス
ルフェニル、ジフェニルホスフィノチオイル、Fmoc
などが用いられる。カルボキシル基の保護基としては、
例えばアルキルエステル(例えば、メチル、エチル、プ
ロピル、ブチル、ターシャリーブチル、シクロペンチ
ル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチ
ル、2−アダマンチルなどのエステル基)、ベンジルエ
ステル、4−ニトロベンジルエステル、4−メトキシベ
ンジルエステル、4−クロロベンジルエステル、ベンズ
ヒドリルエステル、フェナシンエステル、ベンジルオキ
シカルボニルヒドラジド、ターシャリーブトキシカルボ
ニルヒドラジド、トリチルヒドラジドなどが用いられ
る。
【0027】セリンの水酸基は、例えば、エステル化ま
たはエーテル化によって保護することができる。このエ
ステル化に適する基としては、例えば、アセチル基など
の低級アルカノイル基、ベンゾイル基などのアロイル
基、ベンジルオキシカルボニル基、エトキシカルボニル
基などの炭素から誘導される基などが用いられる。ま
た、エーテル化に適する基としては、例えば、ベンジル
基、テトラヒドロピラニル基、t-ブチル基などである。
チロシンのフェノール性水酸基の保護基としては、例え
ば、Bzl、Cl2−Bzl、2−ニトロベンジル、B
r−Z、ターシャリーブチルなどが用いられる。ヒスチ
ジンのイミダゾールの保護基としては、例えば、To
s、4-メトキシ-2,3,6-トリメチルベンゼンスルホニ
ル、DNP、ベンジルオキシメチル、Bum、Boc、
Trt、Fmocなどが用いられる。原料のカルボキシ
ル基の活性化されたものとしては、例えば、対応する酸
無水物、アジド、活性エステル〔アルコール(例えば、
ペンタクロロフェノール、2,4,5-トリクロロフェノー
ル、2,4-ジニトロフェノール、シアノメチルアルコー
ル、パラニトロフェノール、HONB、N-ヒドロキシ
スクシミド、N-ヒドロキシフタルイミド、HOBt)
とのエステル〕などが用いられる。原料のアミノ基の活
性化されたものとしては、例えば、対応するリン酸アミ
ドが用いられる。保護基の除去(脱離)方法としては、
例えば、Pd−黒あるいはPd−炭素などの触媒の存在
下での水素気流中での接触還元や、また、無水フッ化水
素、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン
酸、トリフルオロ酢酸あるいはこれらの混合液などによ
る酸処理や、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチル
アミン、ピペリジン、ピペラジンなどによる塩基処理、
また液体アンモニア中ナトリウムによる還元なども用い
られる。上記酸処理による脱離反応は、一般に約−20
℃〜40℃の温度で行われるが、酸処理においては、例
えば、アニソール、フェノール、チオアニソール、メタ
クレゾール、パラクレゾール、ジメチルスルフィド、1,
4-ブタンジチオール、1,2-エタンジチオールのようなカ
チオン捕捉剤の添加が有効である。また、ヒスチジンの
イミダゾール保護基として用いられる2,4-ジニトロフェ
ニル基はチオフェノール処理により除去され、トリプト
ファンのインドール保護基として用いられるホルミル基
は上記の1,2-エタンジチオール、1,4-ブタンジチオール
などの存在下の酸処理による脱保護以外に、希水酸化ナ
トリウム溶液、希アンモニアなどによるアルカリ処理に
よっても除去される。
【0028】原料の反応に関与すべきでない官能基の保
護および保護基、ならびにその保護基の脱離、反応に関
与する官能基の活性化などは公知の基あるいは公知の手
段から適宜選択しうる。タンパク質のアミド体を得る別
の方法としては、まず、カルボキシ末端アミノ酸のα−
カルボキシル基をアミド化して保護した後、アミノ基側
にペプチド(タンパク質)鎖を所望の鎖長まで延ばした
後、該ペプチド鎖のN末端のα−アミノ基の保護基のみ
を除いたタンパク質とC末端のカルボキシル基の保護基
のみを除去したタンパク質とを製造し、この両タンパク
質を上記したような混合溶媒中で縮合させる。縮合反応
の詳細については上記と同様である。縮合により得られ
た保護タンパク質を精製した後、上記方法によりすべて
の保護基を除去し、所望の粗タンパク質を得ることがで
きる。この粗タンパク質は既知の各種精製手段を駆使し
て精製し、主要画分を凍結乾燥することで所望のタンパ
ク質のアミド体を得ることができる。タンパク質のエス
テル体を得るには、カルボキシ末端アミノ酸のα−カル
ボキシル基を所望のアルコール類と縮合しアミノ酸エス
テルとした後、タンパク質のアミド体と同様にして、所
望のタンパク質のエステル体を得ることができる。
【0029】本発明のタンパク質の部分ペプチドまたは
その塩は、自体公知のペプチドの合成法に従って、ある
いは本発明のタンパク質を適当なペプチダーゼで切断す
ることによって製造することができる。ペプチドの合成
法としては、例えば固相合成法、液相合成法のいずれに
よっても良い。すなわち、本発明のタンパク質を構成し
得る部分ペプチドもしくはアミノ酸と残余部分とを縮合
させ、生成物が保護基を有する場合は保護基を脱離する
ことにより目的のペプチドを製造することができる。公
知の縮合方法や保護基の脱離としてはたとえば、以下の
〜に記載された方法が挙げられる。 M. Bodanszky および M.A. Ondetti、ペプチド シン
セシス (Peptide Synthesis), Interscience Publisher
s, New York (1966年) SchroederおよびLuebke、ザ ペプチド(The Peptide),
Academic Press, New York (1965年) 泉屋信夫他、ペプチド合成の基礎と実験、 丸善(株)
(1975年) 矢島治明 および榊原俊平、生化学実験講座 1、 タン
パク質の化学IV、 205、(1977年) 矢島治明監修、続医薬品の開発 第14巻 ペプチド合成
広川書店 また、反応後は通常の精製法、たとえば、溶媒抽出・蒸
留・カラムクロマトグラフィー・液体クロマトグラフィ
ー・再結晶などを組み合わせて本発明のタンパク質を精
製単離することができる。上記方法で得られるタンパク
質が遊離体である場合は、公知の方法によって適当な塩
に変換することができるし、逆に塩で得られた場合は、
公知の方法によって遊離体に変換することができる。
【0030】本発明のタンパク質をコードするDNAと
しては、前述した本発明のタンパク質をコードする塩基
配列を含有するものであればいかなるものであってもよ
い。また、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリー、
前記した細胞・組織由来のcDNA、前記した細胞・組
織由来のcDNAライブラリー、合成DNAのいずれで
もよい。ライブラリーに使用するベクターは、バクテリ
オファージ、プラスミド、コスミド、ファージミドなど
いずれであってもよい。また、前記した細胞・組織より
mRNA画分を調製したものを用いて直接Reverse Tran
scriptase Polymerase Chain Reaction(以下、RT-P
CR法と略称する)によって増幅することもできる。具
体的には、本発明の配列番号:1で表わされるアミノ酸
配列を有するタンパク質をコードするDNAとしては、
例えば、配列番号:2で表わされる塩基配列を有する
DNA、配列番号:2で表わされる塩基配列を有する
DNAにハイブリダイズし、配列番号:1で表わされる
アミノ酸配列を有するタンパク質と同質の活性、例え
ば、リン利尿活性、低リン血症誘導活性、腎臓細胞にお
けるNa+-Pi輸送阻害活性、25-ヒドロキシビタミンD3-1
α-ヒドロキシラーゼ阻害活性、25-ヒドロキシビタミン
3-24-ヒドロキシラーゼ促進活性などを有するタンパ
ク質をコードするDNAなどが用いられる。配列番号:
2で表わされる塩基配列とハイブリダイズできるDNA
としては、例えば、配列番号:2で表わされる塩基配列
と約40%以上、好ましくは約60%以上、より好まし
くは80%以上、さらに好ましくは約90%以上、最も
好ましくは約95%以上の相同性を有する塩基配列を含
有するDNAなどが用いられる。
【0031】ハイブリダイゼーションは、自体公知の方
法あるいはそれに準じる方法、例えば、モレキュラー・
クローニング(Molecular Cloning)2nd(J. Sambrook
etal., Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989)に記
載の方法などに従って行なうことができる。また、市販
のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記
載の方法に従って行なうことができる。より好ましく
は、ハイストリンジェントな条件に従って行なうことが
できる。ハイストリンジェントな条件とは、例えば、ナ
トリウム濃度が約19〜40mM、好ましくは約19〜
20mMで、温度が約50〜70℃、好ましくは約60
〜65℃の条件を示す。特に、ナトリウム濃度が約19
mMで温度が約65℃の場合が最も好ましい。より具体
的には、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を含有
するタンパク質をコードするDNAとしては、配列番
号:2で表わされる塩基配列を有するDNAなどが用い
られる。また、本発明の配列番号:1で表わされるアミ
ノ酸配列を含有するタンパク質をコードするDNAを含
有するDNAとしては、例えば、配列番号:3で表わさ
れる塩基配列を有するDNAなどが用いられる。
【0032】本発明の部分ペプチドをコードするDNA
としては、前述した本発明の部分ペプチドをコードする
塩基配列を含有するものであればいかなるものであって
もよい。具体的には、配列番号:1で表わされるアミノ
酸配列の第17〜525番目、第17〜330番目およ
び第331〜525番目のアミノ酸配列を有する部分ペ
プチドをコードするDNAとしては、例えば、配列番
号:2で表わされる塩基配列の第49〜1575番目、
第49〜990番目および第991〜1575番目の塩
基配列を有するDNAなどが用いられる。
【0033】本発明のタンパク質またはその部分ペプチ
ドをコードするDNAのクローニングの手段としては、
本発明のタンパク質をコードするDNAの部分塩基配列
を有する合成DNAプライマーを用いて、PCR法によ
って前記DNAライブラリー等から目的とするDNAを
増幅するか、または適当なベクターに組み込んだDNA
を本発明のタンパク質の一部あるいは全領域を有するD
NA断片もしくは合成DNAを用いて標識したものとの
ハイブリダイゼーションによって選別することができ
る。ハイブリダイゼーションの方法は、例えば、モレキ
ュラー・クローニング(Molecular Cloning)2nd(J.
Sambrook et al., Cold Spring Harbor Lab. Press, 19
89)に記載の方法などに従って行なうことができる。ま
た、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説
明書に記載の方法に従って行なうことができる。クロー
ン化された本発明のタンパク質またはその部分ペプチド
をコードするDNAは、目的によりそのまま、または所
望により制限酵素で消化したり、リンカーを付加したり
して使用することができる。該DNAはその5'末端側
に翻訳開始コドンとしてのATGを有し、また3'末端
側には翻訳終止コドンとしてのTAA、TGAまたはT
AGを有していてもよい。これらの翻訳開始コドンや翻
訳終止コドンは、適当な合成DNAアダプターを用いて
付加することもできる。本発明のタンパク質またはその
部分ペプチドをコードするDNAの発現ベクターは、例
えば、(イ)本発明のタンパク質をコードするDNAか
ら目的とするDNA断片を切り出し、(ロ)該DNA断
片を適当な発現ベクター中のプロモーターの下流に連結
することにより製造することができる。
【0034】ベクターとしては、大腸菌由来のプラスミ
ド(例、pBR322,pBR325,pUC12,p
UC13)、枯草菌由来のプラスミド(例、pUB11
0,pTP5,pC194)、酵母由来プラスミド
(例、pSH19,pSH15)、λファージなどのバ
クテリオファージ、レトロウイルス,ワクシニアウイル
ス,バキュロウイルスなどの動物ウイルスなどの他、p
A1−11、pXT1、pRc/CMV、pRc/RS
V、pcDNAI/Neoなどが用いられる。本発明で
用いられるプロモーターとしては、遺伝子の発現に用い
る宿主に対応して適切なプロモーターであればいかなる
ものでもよい。例えば、動物細胞を宿主として用いる場
合は、SRαプロモーター、SV40プロモーター、L
TRプロモーター、CMVプロモーター、HSV-TK
プロモーターなどが挙げられる。これらのうち、CMV
プロモーター、SRαプロモーターなどを用いるのが好
ましい。宿主がエシェリヒア属菌である場合は、trp
プロモーター、lacプロモーター、recAプロモー
ター、λPLプロモーター、lppプロモーターなど
が、宿主がバチルス属菌である場合は、SPO1プロモ
ーター、SPO2プロモーター、penPプロモーター
など、宿主が酵母である場合は、PHO5プロモータ
ー、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADH
プロモーターなどが好ましい。宿主が昆虫細胞である場
合は、ポリヘドリンプロモーター、P10プロモーター
などが好ましい。
【0035】発現ベクターには、以上の他に、所望によ
りエンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加
シグナル、選択マーカー、SV40複製オリジン(以
下、SV40oriと略称する場合がある)などを含有
しているものを用いることができる。選択マーカーとし
ては、例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素(以下、dhfr
と略称する場合がある)遺伝子〔メソトレキセート(M
TX)耐性〕、アンピシリン耐性遺伝子(以下、Amp
rと略称する場合がある)、ネオマイシン耐性遺伝子
(以下、Neoと略称する場合がある、G418耐性)
等が挙げられる。特に、CHO(dhfr-)細胞を用
いてdhfr遺伝子を選択マーカーとして使用する場
合、チミジンを含まない培地によっても選択できる。ま
た、必要に応じて、宿主に合ったシグナル配列を、タン
パク質のN端末側に付加する。宿主がエシェリヒア属菌
である場合は、PhoA・シグナル配列、OmpA・シ
グナル配列などが、宿主がバチルス属菌である場合は、
α−アミラーゼ・シグナル配列、サブチリシン・シグナ
ル配列などが、宿主が酵母である場合は、MFα・シグ
ナル配列、SUC2・シグナル配列など、宿主が動物細
胞である場合には、例えばインシュリン・シグナル配
列、α−インターフェロン・シグナル配列、抗体分子・
シグナル配列などがそれぞれ利用できる。このようにし
て構築された本発明のタンパク質をコードするDNAを
含有するベクターを細胞に導入することによって形質転
換体を製造することができる。
【0036】宿主としては、例えばエシェリヒア属菌、
バチルス属菌、酵母、昆虫細胞、昆虫、動物細胞などが
用いられる。エシェリヒア属菌の具体例としては、エシ
ェリヒア・コリ(Escherichia coli)K12・DH1
〔プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミ
ー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー
(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),60巻,160
(1968)〕,JM103〔ヌクイレック・アシッズ・
リサーチ,(Nucleic Acids Research),9巻,309
(1981)〕,JA221〔ジャーナル・オブ・モレキ
ュラー・バイオロジー(Journal of Molecular Biolog
y),120巻,517(1978)〕,HB101〔ジ
ャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー,41
巻,459(1969)〕,C600〔ジェネティックス
(Genetics),39巻,440(1954)〕などが用い
られる。バチルス属菌としては、例えばバチルス・サチ
ルス(Bacillus subtilis)MI114〔ジーン,24
巻,255(1983)〕,207−21〔ジャーナル・
オブ・バイオケミストリー(Journal of Biochemistr
y),95巻,87(1984)〕などが用いられる。酵
母としては、例えばサッカロマイセス セレビシエ(Sa
ccharomyces cerevisiae)AH22,AH22R−,N
A87−11A,DKD−5D,20B−12、シゾサ
ッカロマイセス ポンベ(Schizosaccharomyces pomb
e)NCYC1913,NCYC2036、ピキア パ
ストチス(Pichia pastoris)などが用いられる。昆虫
細胞としては、例えば、ウイルスがAcNPVの場合
は、夜盗蛾の幼虫由来株化細胞(Spodoptera frugiperd
a cell;Sf細胞)、Trichoplusia niの中腸由来のM
G1細胞、Trichoplusia niの卵由来のHigh FiveTM
胞、Mamestra brassicae由来の細胞またはEstigmena ac
rea由来の細胞などが用いられる。ウイルスがBmNP
Vの場合は、蚕由来株化細胞(Bombyx mori N;BmN
細胞)などが用いられる。該Sf細胞としては、例え
ば、Sf9細胞(ATCC CRL1711)、Sf21細胞(以
上、Vaughn, J.L.ら、イン・ヴィトロ(in Vitro),13,
213-217,(1977))などが用いられる。昆虫としては、
例えばカイコの幼虫などが用いられる〔前田ら、ネイチ
ャー(Nature),315巻,592(1985)〕。
【0037】動物細胞としては、例えば、サル細胞CO
S−1、COS−7、Vero細胞、チャイニーズハム
スター細胞CHO(以下、CHO細胞と略記)、dhf
r遺伝子欠損チャイニーズハムスター細胞CHO(以
下、CHO(dhfr-)細胞と略記)、L細胞、ミエ
ローマ細胞、ヒトFL細胞、293細胞、C127細
胞、BALB3T3細胞、Sp-2/O細胞などが用い
られる。これらの中でもCHO細胞、CHO(dhfr
-)細胞、293細胞などが好ましい。エシェリヒア属
菌を形質転換するには、例えば、プロシージングズ・オ
ブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンジイ
ズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci.
USA),69巻,2110(1972)やジーン(Gen
e),17巻,107(1982)などに記載の方法に従
って行なうことができる。バチルス属菌を形質転換する
には、例えば、モレキュラー・アンド・ジェネラル・ジ
ェネティックス(Molecular & General Genetics),
168巻,111(1979)などに記載の方法に従って
行なわれる。酵母を形質転換するには、例えば、メソッ
ズ・イン・エンザイモロジー(Methods in Enzymolog
y),194巻,182−187(1991)に記載の方
法に従って行なわれる。昆虫細胞や昆虫を形質転換する
には、例えばバイオ/テクノロジー(Bio/Technolog
y),6, 47-55(1988))などに記載の方法に従って行なう
ことができる。動物細胞を形質転換するには、例えば、
細胞工学別冊8 新 細胞工学実験プロトコール,26
3−267(1995)(秀潤社発行)に記載の方法に従
って行なうことができる。
【0038】発現ベクターの細胞への導入方法として
は、例えば、リン酸カルシウム法〔Graham F. L. and v
an der Eb A. J.ヴィロロジー(Virology) 52, 456-46
7(1973)〕、DEAE−dextran法〔Sompayrac
L.M. and Danna K.J. プロシージングズ・オブ・ザ・
ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ
・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA)7
8, 7575-7578, 1981〕、リポフェクション法〔Malone
R.W. et al. プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル
・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユー
エスエー(Proc.Natl. Acad. Sci. USA)86, 6077-608
1, 1989〕、電気穿孔法〔Nuemann E. et al. エンボ・
ジャーナル(EMBO J.) 1, 841-845(1982)〕等が挙げ
られる。このようにして、本発明のタンパク質をコード
するDNAを含有する発現ベクターで形質転換された形
質転換体を得ることができる。なお、動物細胞を用い
て、本発明のタンパク質を安定に発現させる方法として
は、上記の動物細胞に導入された発現ベクターが染色体
に組み込まれた細胞をクローン選択によって選択する方
法がある。具体的には、上記の選択マーカーを指標にし
て形質転換体を選択することができる。さらに、このよ
うに選択マーカーを用いて得られた動物細胞に対して、
繰り返しクローン選択を行なうことにより本発明のタン
パク質の高発現能を有する安定な動物細胞株を得ること
ができる。また、dhfr遺伝子を選択マーカーとして
用いた場合、MTX濃度を徐々に上げて培養し、耐性株
を選択することにより、dhfr遺伝子とともに、本発
明のタンパク質をコードするDNAを細胞内で増幅させ
て、さらに高発現の動物細胞株を得ることもできる。上
記の形質転換体を本発明のタンパク質またはその部分ペ
プチドをコードするDNAが発現可能な条件下で培養
し、本発明のタンパク質またはその部分ペプチドを生
成、蓄積せしめることによって、本発明のタンパク質、
その部分ペプチドまたはそれらの塩を製造することがで
きる。
【0039】宿主がエシェリヒア属菌、バチルス属菌で
ある形質転換体を培養する際、培養に使用される培地と
しては液体培地が適当であり、その中には該形質転換体
の生育に必要な炭素源、窒素源、無機物その他が含有せ
しめられる。炭素源としては、例えば、グルコース、デ
キストリン、可溶性澱粉、ショ糖など、窒素源として
は、例えば、アンモニウム塩類、硝酸塩類、コーンスチ
ープ・リカー、ペプトン、カゼイン、肉エキス、大豆
粕、バレイショ抽出液などの無機または有機物質、無機
物としては、例えば、塩化カルシウム、リン酸二水素ナ
トリウム、塩化マグネシウムなどがそれぞれ用いられ
る。また、酵母エキス、ビタミン類、生長促進因子など
を添加してもよい。培地のpHは約5〜8が望ましい。
エシェリヒア属菌を培養する際の培地としては、例え
ば、グルコース、カザミノ酸を含むM9培地〔ミラー
(Miller),ジャーナル・オブ・エクスペリメンツ・イ
ン・モレキュラー・ジェネティックス(Journal of Exp
eriments in Molecular Genetics),431−433,
Cold Spring Harbor Laboratory, New York1972〕
が好ましい。ここに必要によりプロモーターを効率よく
働かせるために、例えば3β−インドリル アクリル酸
のような薬剤を加えることができる。宿主がエシェリヒ
ア属菌の場合、培養は通常約15〜43℃で約3〜24
時間行い、必要により、通気や撹拌を加えることもでき
る。宿主がバチルス属菌の場合、培養は通常約30〜4
0℃で約6〜24時間行ない、必要により通気や撹拌を
加えることもできる。
【0040】宿主が酵母である形質転換体を培養する
際、培地としては、例えば、バークホールダー(Burkho
lder)最小培地〔Bostian, K. L. ら、プロシージング
ズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエ
ンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Aca
d. Sci. USA),77巻,4505(1980)〕や
0.5%カザミノ酸を含有するSD培地〔Bitter, G. A.
ら、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカ
デミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエ
ー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),81巻,53
30(1984)〕が挙げられる。培地のpHは約5〜
8に調整するのが好ましい。培養は通常約20℃〜35
℃で約24〜72時間行ない、必要に応じて通気や撹拌
を加える。宿主が昆虫細胞である形質転換体を培養する
際、培地としては、Grace's Insect Medium(Grace, T.
C.C.,ネイチャー(Nature),195,788(1962))に非働化
した10%ウシ血清等の添加物を適宜加えたものなどが
用いられる。培地のpHは約6.2〜6.4に調整する
のが好ましい。培養は通常約27℃で約3〜5日間行
い、必要に応じて通気や撹拌を加える。宿主が動物細胞
である形質転換体を培養する際、培地としては、例え
ば、約5〜20%の胎児牛血清を含むMEM培地〔サイ
エンス(Science),122巻,501(1952)〕,
DMEM培地〔ヴィロロジー(Virology),8巻,39
6(1959)〕,RPMI 1640培地〔ジャーナル
・オブ・ザ・アメリカン・メディカル・アソシエーショ
ン(The Journal of the American Medical Associatio
n)199巻,519(1967)〕,199培地〔プロ
シージング・オブ・ザ・ソサイエティ・フォー・ザ・バ
イオロジカル・メディスン(Proceeding ofthe Society
for the Biological Medicine),73巻,1(195
0)〕などが用いられる。pHは約6〜8であるのが好
ましい。培養は通常約30℃〜40℃で約15〜72時
間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加える。特に、C
HO(dhfr-)細胞およびdhfr遺伝子を選択マ
ーカーとして用いる場合、チミジンをほとんど含まない
透析ウシ胎児血清を含むDMEM培地を用いるのが好ま
しい。
【0041】上記培養物から本発明のタンパク質を分離
精製するには、例えば、下記の方法により行なうことが
できる。本発明のタンパク質を培養菌体あるいは細胞か
ら抽出するに際しては、培養後、公知の方法で菌体ある
いは細胞を集め、これを適当な緩衝液に懸濁し、超音
波、リゾチームおよび/または凍結融解などによって菌
体あるいは細胞を破壊したのち、遠心分離やろ過により
本発明のタンパク質の粗抽出液を得る方法などが適宜用
い得る。緩衝液の中に尿素や塩酸グアニジンなどのたん
ぱく変性剤や、トリトンX−100(登録商標。以下、
TMと略称する場合がある)などの界面活性剤が含まれ
ていてもよい。培養液中にタンパク質が分泌される場合
には、培養終了後、それ自体公知の方法で菌体あるいは
細胞と上清とを分離し、上清を集める。このようにして
得られた培養上清、あるいは抽出液中に含まれる本発明
のタンパク質の精製は、自体公知の分離・精製法を適切
に組み合わせて行なうことができる。これらの公知の分
離、精製法としては、塩析や溶媒沈澱法などの溶解度を
利用する方法、透析法、限外ろ過法、ゲルろ過法、およ
びSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法などの主
として分子量の差を利用する方法、イオン交換クロマト
グラフィーなどの荷電の差を利用する方法、アフィニテ
ィークロマトグラフィーなどの特異的親和性を利用する
方法、疎水クロマトグラフィーおよび逆相高速液体クロ
マトグラフィーなどの疎水性の差を利用する方法、等電
点電気泳動法などの等電点の差を利用する方法などが用
いられる。かくして得られる本発明のタンパク質が遊離
体で得られた場合には、自体公知の方法あるいはそれに
準じる方法によって塩に変換することができ、逆に塩で
得られた場合には自体公知の方法あるいはそれに準じる
方法により、遊離体または他の塩に変換することができ
る。なお、組換え体が産生する本発明のタンパク質を、
精製前または精製後に適当な蛋白修飾酵素を作用させる
ことにより、任意に修飾を加えたり、ポリペプチドを部
分的に除去することもできる。蛋白修飾酵素としては、
例えば、トリプシン、キモトリプシン、アルギニルエン
ドペプチダーゼ、プロテインキナーゼ、グリコシダーゼ
などが用いられる。かくして生成する本発明のタンパク
質の存在は、特異抗体を用いたエンザイムイムノアッセ
イなどにより測定することができる。
【0042】本発明のタンパク質、その部分ペプチドま
たはそれらの塩に対する抗体は、本発明のタンパク質、
その部分ペプチドまたはそれらの塩(以下、本発明のタ
ンパク質と略記する場合がある)を認識し得る抗体であ
れば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体の何れ
であってもよい。本発明のタンパク質に対する抗体(以
下、本発明の抗体と略記する場合がある)は、本発明の
タンパク質を抗原として用い、自体公知の抗体または抗
血清の製造法に従って製造することができる。 〔モノクローナル抗体の作製〕 (a)モノクロナール抗体産生細胞の作製 本発明のタンパク質は、温血動物に対して投与により抗
体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤と
ともに投与される。投与に際して抗体産生能を高めるた
め、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントア
ジュバントを投与してもよい。投与は通常2〜6週毎に
1回ずつ、計2〜10回程度行なうことができる。用い
られる温血動物としては、例えば、サル、ウサギ、イ
ヌ、モルモット、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギ、ニワ
トリが挙げられるが、マウスおよびラットが好ましく用
いられる。モノクローナル抗体産生細胞の作製に際して
は、抗原を免疫された温血動物、例えば、マウスから抗
体価の認められた個体を選択し最終免疫の2〜5日後に
脾臓またはリンパ節を採取し、それらに含まれる抗体産
生細胞を骨髄腫細胞と融合させることにより、モノクロ
ーナル抗体産生ハイブリドーマを調製することができ
る。抗血清中の抗体価の測定は、例えば、後記の標識化
タンパク質と抗血清とを反応させたのち、抗体に結合し
た標識剤の活性を測定することにより行なうことができ
る。融合操作は既知の方法、例えば、ケーラーとミルス
タインの方法〔ネイチャー(Nature)、256、495 (197
5)〕に従い実施できる。融合促進剤としては、例えば、
ポリエチレングリコール(PEG)やセンダイウィルス
などが挙げられるが、好ましくはPEGが用いられる。
骨髄腫細胞としては、例えば、NS−1、P3U1、S
P2/0、AP−1などがあげられるが、P3U1が好
ましく用いられる。用いられる抗体産生細胞(脾臓細
胞)数と骨髄腫細胞数との好ましい比率は1:1〜2
0:1程度であり、PEG(好ましくはPEG1000
〜PEG6000)が10〜80%程度の濃度で添加さ
れ、20〜40℃、好ましくは30〜37℃で1〜10
分間インキュベートすることにより効率よく細胞融合を
実施できる。
【0043】モノクローナル抗体産生ハイブリドーマの
スクリーニングには種々の方法が使用できるが、例え
ば、タンパク質抗原を直接あるいは担体とともに吸着さ
せた固相(例、マイクロプレート)にハイブリドーマ培
養上清を添加し、次に放射性物質や酵素などで標識した
抗免疫グロブリン抗体(細胞融合に用いられる細胞がマ
ウスの場合、抗マウス免疫グロブリン抗体が用いられ
る)またはプロテインAを加え、固相に結合したモノク
ローナル抗体を検出する方法、抗免疫グロブリン抗体ま
たはプロテインAを吸着させた固相にハイブリドーマ培
養上清を添加し、放射性物質や酵素などで標識したタン
パク質を加え、固相に結合したモノクローナル抗体を検
出する方法などが用いられる。モノクローナル抗体の選
別は、自体公知あるいはそれに準じる方法に従って行な
うことができる。通常HAT(ヒポキサンチン、アミノ
プテリン、チミジン)を添加した動物細胞用培地で行な
うことができる。選別および育種用培地としては、ハイ
ブリドーマが生育できるものならばどのような培地を用
いても良い。例えば、1〜20%、好ましくは10〜2
0%の牛胎児血清を含むRPMI 1640培地、1〜
10%の牛胎児血清を含むGIT培地(和光純薬工業
(株))あるいはハイブリドーマ培養用無血清培地(S
FM−101、日水製薬(株))などを用いることがで
きる。培養温度は、通常20〜40℃、好ましくは約3
7℃である。培養時間は、通常5日〜3週間、好ましく
は1週間〜2週間である。培養は、通常5%炭酸ガス下
で行なうことができる。ハイブリドーマ培養上清の抗体
価は、上記の抗血清中の抗体価の測定と同様にして測定
できる。 (b)モノクロナール抗体の精製 モノクローナル抗体の分離精製は、自体公知の方法、例
えば、免疫グロブリンの分離精製法〔例、塩析法、アル
コール沈澱法、等電点沈澱法、電気泳動法、イオン交換
体(例、DEAE)による吸脱着法、超遠心法、ゲルろ
過法、抗原結合固相あるいはプロテインAあるいはプロ
テインGなどの活性吸着剤により抗体のみを採取し、結
合を解離させて抗体を得る特異的精製法〕に従って行な
うことができる。
【0044】〔ポリクローナル抗体の作製〕本発明のポ
リクローナル抗体は、それ自体公知あるいはそれに準じ
る方法にしたがって製造することができる。例えば、免
疫抗原(タンパク質抗原)とキャリアー蛋白質との複合
体をつくり、上記のモノクローナル抗体の製造法と同様
に温血動物に免疫を行ない、該免疫動物から本発明のポ
リクローナル抗体含有物を採取して、抗体の分離精製を
行なうことにより製造することができる。温血動物を免
疫するために用いられる免疫抗原とキャリアー蛋白質と
の複合体に関し、キャリアー蛋白質の種類およびキャリ
アーとハプテンとの混合比は、キャリアーに架橋させて
免疫したハプテンに対して抗体が効率良くできれば、ど
の様なものをどの様な比率で架橋させてもよいが、例え
ば、ウシ血清アルブミンやウシサイログロブリン、ヘモ
シアニン等を重量比でハプテン1に対し、約0.1〜2
0、好ましくは約1〜5の割合で結合させる方法が用い
られる。また、ハプテンとキャリアーのカプリングに
は、種々の縮合剤を用いることができるが、グルタルア
ルデヒドやカルボジイミド、マレイミド活性エステル、
チオール基、ジチオビリジル基を含有する活性エステル
試薬等が用いられる。縮合生成物は、温血動物に対し
て、抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希
釈剤とともに投与される。投与に際して抗体産生能を高
めるため、完全フロイントアジュバントや不完全フロイ
ントアジュバントを投与してもよい。投与は、通常約2
〜6週毎に1回ずつ、計約3〜10回程度行なうことが
できる。ポリクローナル抗体は、上記の方法で免疫され
た温血動物の血液、腹水など、好ましくは血液から採取
することができる。抗血清中のポリクローナル抗体価の
測定は、上記の血清中の抗体価の測定と同様にして測定
できる。抗体の分離精製は、上記のモノクローナル抗体
の分離精製と同様の免疫グロブリンの分離精製法に従っ
て行なうことができる。
【0045】本発明のタンパク質または部分ペプチドを
コードするDNAまたはmRNAに相補的な塩基配列を
有するアンチセンスDNAとしては、本発明のタンパク
質または部分ペプチドをコードするDNAまたはmRN
Aの塩基配列またはその一部の塩基配列に相補的な塩基
配列を有し、該タンパク質または部分ペプチドの発現を
抑制し得る作用を有するオリゴヌクレオチドまたはその
誘導体であれば、いずれのアンチセンスDNAであって
もよい。相補的な塩基配列とは、例えば、本発明のタン
パク質または部分ペプチドをコードするDNAまたはm
RNAの全塩基配列または部分塩基配列と約40%以
上、好ましくは約60%以上、より好ましくは約80%
以上、さらに好ましくは約90%以上の相同性を有する
塩基配列などが挙げられる。特に、本発明のDNAまた
はmRNAの全塩基配列うち、本発明のタンパク質のN
末端部位をコードする部分の塩基配列(例えば、開始コ
ドン付近の塩基配列など)と約40%以上、好ましくは
約60%以上、より好ましくは約80%以上、さらに好
ましくは約90%以上の相同性を有するアンチセンスD
NAが好適である。これらのアンチセンスDNAは、公
知のDNA合成装置などを用いて製造することができ
る。
【0046】本発明のタンパク質、その部分ペプチドま
たはそれらの塩は、例えば、リン利尿活性、低リン血症
誘導活性、腎臓細胞におけるNa+-Pi輸送阻害活性、25-
ヒドロキシビタミンD3-1α-ヒドロキシラーゼ阻害活
性、25-ヒドロキシビタミンD3-24-ヒドロキシラーゼ促
進活性などの作用を有している。したがって、本発明の
タンパク質、その部分ペプチドまたはそれらの塩はさま
ざまな用途に用いることができる。以下に、本発明のタ
ンパク質、その部分ペプチドまたはそれらの塩(以下、
本発明のタンパク質と略記する場合がある)、本発明の
タンパク質をコードするDNA(以下、本発明のDNA
と略記する場合がある)、本発明のタンパク質に対する
抗体(本発明の抗体と略記する場合がある)およびアン
チセンスDNAの用途を説明する。
【0047】(1)各種疾病の治療・予防剤などの医薬 本発明のタンパク質および本発明のDNAは、例えば高
リン血症、動脈硬化、急性冠症候群、心不全、脳卒中、
慢性糸球体腎炎、糖尿病性腎症、腎不全などの予防・治
療剤などの医薬として有用である。
【0048】本発明のタンパク質または本発明のDNA
を上記の医薬として使用する場合は、例えば、必要に応
じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マ
イクロカプセル剤などとして経口的に、あるいは水もし
くはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、
または懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用でき
る。例えば、本発明のタンパク質あるいはDNAを生理
学的に認められる担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防
腐剤、安定剤、結合剤などとともに一般に認められた製
剤実施に要求される単位用量形態で混和することによっ
て製造することができる。これら製剤における有効成分
量は指示された範囲の適当な用量が得られるようにする
ものである。本発明のDNAを用いる場合は、該DNA
を単独あるいはレトロウイルスベクター、アデノウイル
スベクター、アデノウイルスアソシエーテッドウイルス
ベクターなどの適当なベクターに挿入した後、常套手段
に従って投与することができる。錠剤、カプセル剤など
に混和することができる添加剤としては、例えば、ゼラ
チン、コーンスターチ、トラガント、アラビアゴムのよ
うな結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーン
スターチ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、
ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳
糖またはサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、ア
カモノ油またはチェリーのような香味剤などが用いられ
る。調剤単位形態がカプセルである場合には、前記タイ
プの材料にさらに油脂のような液状担体を含有すること
ができる。注射のための無菌組成物は注射用水のような
ベヒクル中の活性物質、胡麻油、椰子油などのような天
然産出植物油などを溶解または懸濁させるなどの通常の
製剤実施に従って処方することができる。注射用の水性
液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の
補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−
マンニトール、塩化ナトリウムなど)などが用いられ、
適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例えば、エタ
ノールなど)、ポリアルコール(例えば、プロピレング
リコール、ポリエチレングリコールなど)、非イオン性
界面活性剤(例えば、ポリソルベート80TM、HCO−
50など)などと併用してもよい。油性液としては、例
えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶解補助剤とし
て安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用し
てもよい。また、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢
酸ナトリウム緩衝液など)、無痛化剤(例えば、塩化ベ
ンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例え
ば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールな
ど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノー
ルなど)、酸化防止剤などと配合してもよい。調整され
た注射液は、通常、適当なアンプルに充填される。
【0049】このようにして得られる製剤は、安全で低
毒性であるので、例えば、ヒトまたは温血動物(例え
ば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、トリ、ヒツ
ジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サルなど)に対し
て投与することができる。該タンパク質またはDNAの
投与量は、症状などにより差異はあるが、経口投与の場
合、一般的に通常成人の動脈硬化症患者(60kgとし
て)においては、一日につき有効成分を約0.1mg〜
100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ま
しくは約1.0〜20mgである。非経口的に投与する
場合は、その1回投与量は投与対象、対象組織、症状、
投与方法などによっても異なるが、例えば、注射剤の形
では通常成人の動脈硬化症患者(体重60kgとして)
においては、一日につき有効成分を約0.01〜30m
g程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ま
しくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与す
るのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当た
りに換算した量を投与することができる。
【0050】(2)遺伝子診断剤 本発明のDNAは、プローブとして使用することによ
り、ヒトまたは温血哺乳動物(例えば、ラット、マウ
ス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、
ネコ、イヌ、サルなど)における本発明のタンパク質ま
たはその部分ペプチドをコードするDNAの異常(遺伝
子異常)を検出することができる。したがって、本発明
のDNAは、本発明のタンパク質が関与する各種疾病の
遺伝子診断剤として有用である。例えば、本発明のタン
パク質またはその部分ペプチドをコードするDNAまた
はmRNAが損傷し、欠損し、あるいはタンパク質の発
現が減少していることが検出された場合は、例えば、高
リン血症、動脈硬化、急性冠症候群、心不全、脳卒中、
慢性糸球体腎炎、糖尿病性腎症、腎不全などの疾病であ
る可能性ありと診断することができる。一方、本発明の
タンパク質またはその部分ペプチドをコードするDNA
またはmRNAが増加し、あるいはタンパク質の発現が
増加していることが検出された場合は、例えば、腫瘍性
低リン血性骨軟化症(OHO)、家族性低リン血症性ビタ
ミンD抵抗性くる病(XLH)、常染色体優性遺伝を示す低
リン血症性くる病(ADHR)、高カルシウム尿症を伴う低
リン血症性くる病(HHRH)、ビタミンD抵抗性くる病、
骨軟化症、骨粗鬆症、腎性骨形成異常症、二次性副甲状
腺機能亢進症、パジェット病、腎ファンコーニ症候群、
腎尿細管性アシドーシス、嚢胞性線維症、嚢胞性線維性
骨炎、腎不全などの疾患である可能性ありと診断するこ
とができる。本発明のDNAを用いる上記の遺伝子診断
は、例えば、自体公知のノーザンハイブリダイゼーショ
ンやPCR−SSCP法(ゲノミックス(Genomics),
第5巻,874〜879頁(1989年)、プロシージ
ングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サ
イエンシイズ・オブ・ユーエスエー(Proceedings ofth
e National Academy of Sciences of the United State
s of America),第86巻,2766〜2770頁(1
989年))などにより実施することができる。
【0051】(3)本発明のタンパク質、その部分ペプ
チドまたはそれらの塩の定量 本発明の抗体は、本発明のタンパク質を特異的に認識す
ることができるので、被検液中の本発明のタンパク質の
定量、特にサンドイッチ免疫測定法による定量などに使
用することができる。すなわち、本発明は、(i)本発
明の抗体と、被検液および標識化された本発明のタンパ
ク質とを競合的に反応させ、該抗体に結合した標識化さ
れた本発明のタンパク質の割合を測定することを特徴と
する被検液中の本発明のタンパク質の定量法、および
(ii)被検液と担体上に不溶化した本発明の抗体および
標識化された本発明の抗体とを同時あるいは連続的に反
応させたのち、不溶化担体上の標識剤の活性を測定する
ことを特徴とする被検液中の本発明のタンパク質の定量
法を提供する。上記(ii)の定量法においては、一方の
抗体が本発明のタンパク質のN端部を認識する抗体で、
他方の抗体が本発明のタンパク質のC端部に反応する抗
体であることが望ましい。
【0052】また、本発明のタンパク質に対するモノク
ローナル抗体(以下、モノクローナル抗体と称する場合
がある)を用いて本発明のタンパク質の定量を行なえる
ほか、組織染色等による検出を行なうこともできる。こ
れらの目的には、抗体分子そのものを用いてもよく、ま
た、抗体分子のF(ab')2 、Fab'、あるいはFa
b画分を用いてもよい。本発明の抗体を用いる本発明の
タンパク質の定量法は、 特に制限されるべきものでは
なく、被測定液中の抗原量(例えば、タンパク質量)に
対応した抗体、抗原もしくは抗体−抗原複合体の量を化
学的または物理的手段により検出し、これを既知量の抗
原を含む標準液を用いて作製した標準曲線より算出する
測定法であれば、いずれの測定法を用いてもよい。例え
ば、ネフロメトリー、競合法、イムノメトリック法およ
びサンドイッチ法が好適に用いられるが、感度、特異性
の点で、後述するサンドイッチ法を用いるのが特に好ま
しい。標識物質を用いる測定法に用いられる標識剤とし
ては、例えば、放射性同位元素、酵素、蛍光物質、発光
物質などが用いられる。放射性同位元素としては、例え
ば、〔125I〕、〔131I〕、〔3H〕、〔14C〕など
が、上記酵素としては、安定で比活性の大きなものが好
ましく、例えば、β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシ
ダーゼ、アルカリフォスファターゼ、パーオキシダー
ゼ、リンゴ酸脱水素酵素などが、蛍光物質としては、例
えば、フルオレスカミン、フルオレッセンイソチオシア
ネートなどが、発光物質としては、例えば、ルミノー
ル、ルミノール誘導体、ルシフェリン、ルシゲニンなど
がそれぞれ用いられる。さらに、抗体あるいは抗原と標
識剤との結合にビオチン−アビジン系を用いることもで
きる。
【0053】抗原あるいは抗体の不溶化に当っては、物
理吸着を用いてもよく、また通常タンパク質あるいは酵
素等を不溶化、固定化するのに用いられる化学結合を用
いる方法でもよい。担体としては、例えば、アガロー
ス、デキストラン、セルロースなどの不溶性多糖類、ポ
リスチレン、ポリアクリルアミド、シリコン等の合成樹
脂、あるいはガラスなどが用いられる。サンドイッチ法
においては不溶化したモノクローナル抗体に被検液を反
応させ(1次反応)、さらに標識化したモノクローナル
抗体を反応させ(2次反応)たのち、不溶化担体上の標
識剤の活性を測定することにより被検液中の本発明のタ
ンパク質量等を定量することができる。1次反応と2次
反応は逆の順序に行っても、また、同時に行なってもよ
いし時間をずらして行なってもよい。標識化剤および不
溶化の方法は前記のそれらに準じることができる。ま
た、サンドイッチ法による免疫測定法において、固相用
抗体あるいは標識用抗体に用いられる抗体は必ずしも1
種類である必要はなく、測定感度を向上させる等の目的
で2種類以上の抗体の混合物を用いてもよい。本発明の
サンドイッチ法による本発明のタンパク質の測定法にお
いては、1次反応と2次反応に用いられる本発明のモノ
クローナル抗体は、本発明のタンパク質等の結合する部
位が相異なる抗体が好ましく用いられる。すなわち、1
次反応および2次反応に用いられる抗体は、例えば、2
次反応で用いられる抗体が、本発明のタンパク質のC端
部を認識する場合、1次反応で用いられる抗体は、好ま
しくはC端部以外、例えばN端部を認識する抗体が用い
られる。
【0054】本発明のモノクローナル抗体をサンドイッ
チ法以外の測定システム、例えば、競合法、イムノメト
リック法あるいはネフロメトリーなどに用いることがで
きる。 競合法では、被検液中の抗原と標識抗原とを抗
体に対して競合的に反応させたのち、未反応の標識抗原
と(F)と抗体と結合した標識抗原(B)とを分離し
(B/F分離)、B,Fいずれかの標識量を測定し、被
検液中の抗原量を定量する。本反応法には、抗体として
可溶性抗体を用い、B/F分離をポリエチレングリコー
ル、前記抗体に対する第2抗体などを用いる液相法、お
よび、第1抗体として固相化抗体を用いるか、あるい
は、第1抗体は可溶性のものを用い第2抗体として固相
化抗体を用いる固相化法とが用いられる。イムノメトリ
ック法では、被検液中の抗原と固相化抗原とを一定量の
標識化抗体に対して競合反応させた後固相と液相を分離
するか、あるいは、被検液中の抗原と過剰量の標識化抗
体とを反応させ、次に固相化抗原を加え未反応の標識化
抗体を固相に結合させたのち、固相と液相を分離する。
次に、いずれかの相の標識量を測定し被検液中の抗原量
を定量する。また、ネフロメトリーでは、ゲル内あるい
は溶液中で抗原抗体反応の結果生じた不溶性の沈降物の
量を測定する。被検液中の抗原量僅かであり、少量の沈
降物しか得られない場合にもレーザーの散乱を利用する
レーザーネフロメトリーなどが好適に用いられる。
【0055】これら個々の免疫学的測定法を本発明の定
量方法に適用するにあたっては、特別の条件、操作等の
設定は必要とされない。それぞれの方法における通常の
条件、操作法に当業者の通常の技術的配慮を加えて本発
明のタンパク質の測定系を構築すればよい。これらの一
般的な技術手段の詳細については、総説、成書などを参
照することができる。例えば、入江 寛編「ラジオイム
ノアッセイ」(講談社、昭和49年発行)、入江 寛編
「続ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和54年発
行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(医学書院、昭
和53年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第
2版)(医学書院、昭和57年発行)、石川栄治ら編
「酵素免疫測定法」(第3版)(医学書院、昭和62年
発行)、「Methods in ENZYMOLOGY」Vol. 70(Immunochem
ical Techniques(Part A))、 同書 Vol. 73(Immunochem
ical Techniques(Part B))、 同書 Vol. 74(Immunochem
ical Techniques(Part C))、 同書 Vol. 84(Immunochem
ical Techniques(Part D:Selected Immunoassays))、
同書 Vol. 92(Immunochemical Techniques(Part E:Mono
clonal Antibodies and General Immunoassay Method
s))、 同書 Vol. 121(Immunochemical Techniques(Part
I:Hybridoma Technology and Monoclonal Antibodie
s))(以上、アカデミックプレス社発行)などを参照する
ことができる。以上のようにして、本発明の抗体を用い
ることによって、本発明のタンパク質等を感度良く定量
することができる。
【0056】さらには、本発明の抗体を用いて本発明の
タンパク質の濃度を定量することによって、本発明のタ
ンパク質が関与する各種疾病の診断を行なうことができ
る。例えば、本発明のタンパク質の濃度が減少している
場合は、例えば、高リン血症、動脈硬化、急性冠症候
群、心不全、脳卒中、慢性糸球体腎炎、糖尿病性腎症、
腎不全などの疾患である可能性ありと診断できる。一
方、本発明のタンパク質の濃度が増加している場合は、
例えば、腫瘍性低リン血性骨軟化症(OHO)、家族性低
リン血症性ビタミンD抵抗性くる病(XLH)、常染色体優
性遺伝を示す低リン血症性くる病(ADHR)、高カルシウ
ム尿症を伴う低リン血症性くる病(HHRH)、ビタミンD
抵抗性くる病、骨軟化症、骨粗鬆症、腎性骨形成異常
症、二次性副甲状腺機能亢進症、パジェット病、腎ファ
ンコーニ症候群、腎尿細管性アシドーシス、嚢胞性線維
症、嚢胞性線維性骨炎、腎不全などの疾患である可能性
ありと診断できる。また、本発明の抗体のうち、本発明
のタンパク質の活性を中和することができる抗体は、例
えば腫瘍性低リン血性骨軟化症(OHO)、家族性低リン
血症性ビタミンD抵抗性くる病(XLH)、常染色体優性遺
伝を示す低リン血症性くる病(ADHR)、高カルシウム尿
症を伴う低リン血症性くる病(HHRH)、ビタミンD抵抗
性くる病、骨軟化症、骨粗鬆症、腎性骨形成異常症、二
次性副甲状腺機能亢進症、パジェット病、腎ファンコー
ニ症候群、腎尿細管性アシドーシス、嚢胞性線維症、嚢
胞性線維性骨炎、腎不全などの疾患の予防・治療剤など
の医薬として使用することができる。さらに、本発明の
抗体は、体液や組織などの被検体中に存在する本発明の
タンパク質等を検出するために使用することができる。
さらに、本発明のタンパク質等を精製するために使用す
る抗体カラムの作製、精製時の各分画中の本発明のタン
パク質等を検出するために使用することができる。
【0057】(4)医薬候補化合物のスクリーニング (A)レセプターアゴニストまたはアンタゴニストのス
クリーニング方法 本発明のタンパク質は、腎尿細管細胞上に存在するフォ
スファトニンレセプター(以下、レセプターと略記す
る)に特異的に結合することができるので、本発明のタ
ンパク質と該レセプターを用いたリガンド・レセプター
結合アッセイ系を構築することによって、本発明のタン
パク質と同様の作用を有する医薬候補化合物のスクリー
ニングや、本発明のタンパク質の作用を阻害する医薬候
補化合物のスクリーニングを行なうことができる。すな
わち、本発明は、本発明のタンパク質を用いるレセプタ
ーアゴニストまたはアンタゴニストのスクリーニング方
法を提供する。より具体的には、本発明は、(1)
(i)レセプターまたはその部分ペプチドに、本発明の
タンパク質を接触させた場合と(ii)レセプターまたは
その部分ペプチドに、本発明のタンパク質等および試験
化合物を接触させた場合との比較を行なうことを特徴と
するレセプターアゴニストまたはアンタゴニストのスク
リーニング方法、および(2)(i)レセプターを含有
する細胞またはその細胞膜画分に、本発明のタンパク質
等を接触させた場合と(ii)レセプターを含有する細胞
またはその細胞膜画分に、本発明のタンパク質および試
験化合物を接触させた場合との比較を行なうことを特徴
とするレセプターアゴニストまたはアンタゴニストのス
クリーニング方法を提供する。
【0058】具体的には、本発明のスクリーニング方法
においては、(i)と(ii)の場合における、例えば、
レセプターまたはレセプターを含有する細胞等に対する
本発明のタンパク質の結合量、該レセプターを含有する
細胞におけるレセプターを介する細胞刺激活性(例え
ば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内C
2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP
生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞
内蛋白質のリン酸化、pHの低下など)、Na+-Pi輸送活
性、25-ヒドロキシビタミンD3-1α-ヒドロキシラーゼ
活性、25-ヒドロキシビタミンD3-24-ヒドロキシラーゼ
活性などを測定して、比較することを特徴とするもので
ある。より具体的には、本発明は、(1a)(i)標識
した本発明のタンパク質を、レセプターまたはその部分
ペプチドに接触させた場合と、(ii)標識した本発明の
タンパク質および試験化合物を、レセプターまたはその
部分ペプチドに接触させた場合における、標識した本発
明のタンパク質の該レセプターまたはその部分ペプチド
またはそれらの塩に対する結合量を測定し、比較するこ
とを特徴とするレセプターアゴニストまたはアンタゴニ
ストのスクリーニング方法、(2a)(i)標識した本
発明のタンパク質を、レセプターを含有する細胞または
その細胞膜画分に接触させた場合と、(ii)標識した本
発明のタンパク質および試験化合物を、レセプターを含
有する細胞またはその細胞膜画分に接触させた場合にお
ける、標識した本発明のタンパク質の該細胞またはその
細胞膜画分に対する結合量を測定し、比較することを特
徴とするレセプターアゴニストまたはアンタゴニストの
スクリーニング方法、および(2b)(i)本発明のタ
ンパク質を、レセプターを含有する細胞に接触させた場
合と、(ii)本発明のタンパク質および試験化合物を、
レセプターを含有する細胞に接触させた場合における、
レセプターを介する細胞刺激活性(例えば、アラキドン
酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+濃度の変
動、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシ
トールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリ
ン酸化、pHの低下など)、Na+-Pi輸送活性、25-ヒド
ロキシビタミンD3-1α-ヒドロキシラーゼ活性、25-ヒ
ドロキシビタミンD3-24-ヒドロキシラーゼ活性などを
測定し、比較することを特徴とするレセプターアゴニス
トまたはアンタゴニストのスクリーニング方法を提供す
る。
【0059】上記の(1a)または(2a)のスクリー
ニング方法において、レセプターに結合して、本発明の
タンパク質とレセプターとの結合を阻害する化合物がレ
セプターアゴニストまたはアンタゴニストとして選択で
きる。上記(2b)のスクリーニング方法において、レ
セプターに結合し、該レセプターを含有する細胞におけ
るレセプターを介する細胞刺激活性(例えば、アラキド
ン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+濃度の変
動、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシ
トールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリ
ン酸化、pHの低下など)を促進する活性、Na+-Pi輸送
阻害活性、25-ヒドロキシビタミンD3-1α-ヒドロキシ
ラーゼ阻害活性、25-ヒドロキシビタミンD3-24-ヒドロ
キシラーゼ促進活性などを有する化合物をレセプターア
ゴニストとして選択することができ、一方、該細胞刺激
活性を抑制する活性、Na+-Pi輸送促進活性、25-ヒドロ
キシビタミンD3-1α-ヒドロキシラーゼ促進活性、25-
ヒドロキシビタミンD3-24-ヒドロキシラーゼ阻害活性
などの作用を有する化合物をレセプターアンタゴニスト
として選択することができる。また、上記の(1a)ま
たは(2a)のスクリーニング方法において、本発明の
タンパク質とレセプターとの結合を阻害する活性が認め
られた試験化合物の中で、リン利尿活性、低リン血症誘
導活性、該レセプターを含有する細胞におけるレセプタ
ーを介する細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、
アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+濃度の変動、細胞内
cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン
酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、p
Hの低下など)、腎臓細胞におけるNa+-Pi輸送阻害活
性、25-ヒドロキシビタミンD3-1α-ヒドロキシラーゼ
阻害活性、25-ヒドロキシビタミンD3-24-ヒドロキシラ
ーゼ促進活性などの活性を有する化合物をレセプターア
ゴニストとして選択することができ、これらの活性を有
しない化合物をレセプターアンタゴニストとして選択す
ることができる。
【0060】本発明のスクリーニング方法に用いられる
レセプターとしてはヒトあるいは温血動物の腎近位尿細
管細胞に発現しているフォスファトニンレセプターなど
が用いられる。これらのレセプターおよび本発明のタン
パク質に対するレセプターは、自体公知のタンパク質の
精製方法に従って入手することができ、また、自体公知
の遺伝子工学的手法に従って該レセプターをコードする
DNAをクローニングした後、前記した本発明のタンパ
ク質の発現方法に従って目的とするレセプターを入手す
ることもできる。該レセプターの部分ペプチドとして
は、全長レセプターを適当に切断して得られる部分ペプ
チドを用いることができる。標識した本発明のタンパク
質としては、例えば、〔3H〕、〔125I〕、〔14C〕、
35S〕などで標識した本発明のタンパク質などを用い
ることができる。
【0061】本発明のスクリーニング方法に用いられる
上記レセプターを含有する細胞としては、前記した本発
明のタンパク質を発現させるために用いる宿主細胞とし
て列記したものと同様のものを用いることができるが、
なかでも、CHO細胞などが好ましい。レセプターを含
有する細胞は、レセプターをコードするDNAを用い
て、自体公知の方法、例えば、前記した本発明のタンパ
ク質の発現方法などに従って製造することができる。ま
た、上記レセプターを含有する細胞として、CL8細胞
株(ボーン(BONE), 18, 159-169, 1996)、OK細胞
株(アメリカン・ジャーナル・オブ・フィジオロジー
(AMERICAN JOURNAL OF PHYSIOLOGY)253, E221-E227,
1987)などの株化細胞を用いることもできる。本発明の
スクリーニング方法において、レセプターを含有する細
胞を用いる場合、該細胞をグルタルアルデヒド、ホルマ
リンなどで固定化することができる。固定化方法は、そ
れ自体公知の方法に従って行うことができる。
【0062】上記レセプターを含有する細胞の細胞膜画
分としては、細胞を破砕した後、それ自体公知の方法で
得られる細胞膜が多く含まれる画分のことをいう。細胞
の破砕方法としては、Potter−Elvehjem型ホモジナイザ
ーで細胞を押し潰す方法、ワーリングブレンダーやポリ
トロン(Kinematica社製)のよる破砕、超音波による破
砕、フレンチプレスなどで加圧しながら細胞を細いノズ
ルから噴出させることによる破砕などが挙げられる。細
胞膜の分画には、分画遠心分離法や密度勾配遠心分離法
などの遠心力による分画法が主として用いられる。例え
ば、細胞破砕液を低速(500rpm〜3000rp
m)で短時間(通常、約1分〜10分)遠心し、上清を
さらに高速(15000rpm〜30000rpm)で
通常30分〜2時間遠心し、得られる沈澱を膜画分とす
る。該膜画分中には、発現したレセプターまたは本発明
のタンパク質と、細胞由来のリン脂質や膜蛋白質などの
膜成分が多く含まれる。該レセプターを含有する細胞や
その細胞膜画分中のレセプターの量は、1細胞当たり1
3〜108分子であるのが好ましく、105〜107分子
であるのが好適である。なお、発現量が多いほど膜画分
当たりのリガンド結合活性(比活性)が高くなり、高感
度なスクリーニング系の構築が可能になるばかりでな
く、同一ロットで大量の試料を測定できるようになる。
【0063】試験化合物としては、例えばタンパク質、
タンパク、非タンパク質性化合物、合成化合物、発酵生
産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液などが
挙げられ、これら化合物は新規な化合物であってもよい
し、公知の化合物であってもよい。本発明のスクリーニ
ング方法において、本発明のタンパク質とレセプターと
の反応は、通常約37℃で数時間行なうことができる。
具体的には、上記の(1a)または(2a)のスクリー
ニング方法を実施するには、まず、本発明のレセプター
を含有する細胞またはその細胞膜画分、あるいはレセプ
ターまたはその部分ペプチドを、スクリーニングに適し
たバッファーに懸濁することによりレセプター標品を調
製する。バッファーには、pH約4〜10(望ましく
は、pH約6〜8)のリン酸バッファー、トリス−塩酸
バッファーなどの、本発明のタンパク質とレセプターと
の結合を阻害しないバッファーであればいずれでもよ
い。また、非特異的結合を低減させる目的で、CHAP
S、Tween−80TM(花王−アトラス社)、ジギト
ニン、デオキシコレートなどの界面活性剤をバッファー
に加えることもできる。さらに、プロテアーゼによるレ
セプターやリガンドの分解を抑える目的で、PMSF、
ロイペプチン、バシトラシン、アプロチニン、E−64
(タンパク質研究所製)、ペプスタチンなどのプロテア
ーゼ阻害剤を添加することもできる。一方、細胞が固定
化細胞の場合、培養器に固定化させたまま、つまり細胞
を生育させた状態で、あるいはグルタルアルデヒドやパ
ラホルムアルデヒドで固定した細胞を用いて、本発明の
タンパク質等とレセプターを結合させることができる。
【0064】この場合、該緩衝液は培地やハンクス液な
どが用いられる。そして、0.01ml〜10mlの該
レセプター溶液に、一定量(例えば、2000Ci/m
molの場合、約10000cpm〜1000000c
pm)の標識した本発明のタンパク質等(例えば、〔
125I〕で標識した本発明のタンパク質)を添加し、同
時に10-4M〜10-10Mの試験化合物を共存させる。
非特異的結合量(NSB)を知るために大過剰の未標識
の本発明のタンパク質を加えた反応チューブも用意す
る。反応は0℃から50℃、望ましくは4℃から37℃
で20分から24時間、望ましくは30分から3時間行
なう。反応後、ガラス繊維濾紙等で濾過し、適量の同バ
ッファーで洗浄した後、ガラス繊維濾紙に残存する放射
活性(例えば、〔125I〕の量)を液体シンチレーショ
ンカウンターまたはγ−カウンターで測定する。濾過に
は、マニホールドやセルハーベスターを用いることがで
きるが、セルハーベスターを用いることが効率を上げる
ために望ましい。拮抗する物質がない場合のカウント
(B0)から非特異的結合量(NSB)を引いたカウント
(B0−NSB)を100%とした時、特異的結合量
(B−NSB)が、例えばカウント(B0−NSB)の
50%以下になる試験化合物をアゴニストまたはアンタ
ゴニスト候補化合物として選択することができる。
【0065】また、上記(2b)のスクリーニング方法
を実施するためには、レセプターを介する細胞刺激活性
(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細
胞内Ca2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、細胞内c
GMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変
動、細胞内蛋白質のリン酸化、pHの低下など)、Na+-
Pi輸送活性、25-ヒドロキシビタミンD3-1α-ヒドロキ
シラーゼ活性、25-ヒドロキシビタミンD3-24-ヒドロキ
シラーゼ活性などの活性を公知の方法あるいはそれに準
じる方法に従って測定することができる。具体的には、
まず、レセプターを含有する細胞をマルチウェルプレー
ト等に培養する。スクリーニングを行なうにあたっては
前もって新鮮な培地あるいは細胞に毒性を示さない適当
なバッファーに交換し、試験化合物などを添加して一定
時間インキュベートした後、細胞を抽出あるいは上清液
を回収して、生成した産物をそれぞれの方法に従って定
量する。細胞刺激活性の指標とする物質(例えば、アラ
キドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+濃度
の変動、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イ
ノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質
のリン酸化、pHの低下など)の生成が、細胞が含有す
る分解酵素によって検定困難な場合は、該分解酵素に対
する阻害剤を添加してアッセイを行なってもよい。ま
た、cAMP産生抑制などの活性については、フォルス
コリンなどで細胞の基礎的産生量を増大させておいた細
胞に対する産生抑制作用として検出することができる。
【0066】Na+-Pi輸送活性の測定は、例えばコール
J.A.(Cole J.A.)等の方法に準じて行うことができる
(アメリカン・ジャーナル・オブ・フィジオロジー(AM
ERICANJOURNAL OF PHYSIOLOGY)253, E221-E227, 198
7)。25-ヒドロキシビタミンD3-1α-ヒドロキシラーゼ
活性および25-ヒドロキシビタミンD3-24-ヒドロキシラ
ーゼ活性の測定は、例えばミヤウチ A.(Miyauchi A.)
等の方法に準じて行なうことができる(ジャーナル・オ
ブ・クリニカル・エンドクリノロジー・アンド・メタボ
リズム(JOURNAL OF CLINICAL ENDOCRINOLOGYAND METAB
OLISM)67, 46-53, 1988)。これらの測定に用いる細胞
としては例えば先述のCL8細胞株およびOK細胞株な
どの株化細胞が挙げられる。上記(2b)のスクリーニ
ング方法において、試験化合物を添加した際にレセプタ
ーを含有する細胞が、該レセプターを介する細胞刺激活
性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、
細胞内Ca2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、細胞内
cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変
動、細胞内蛋白質のリン酸化、pHの低下など)上昇、
Na+-Pi輸送活性低下、25-ヒドロキシビタミンD3-1α-
ヒドロキシラーゼ活性低下、25-ヒドロキシビタミンD3
-24-ヒドロキシラーゼ活性上昇などを示した場合、該試
験化合物をレセプターアゴニスト候補化合物として選択
することができる。一方、試験化合物を添加した際にレ
セプターを含有する細胞が、該レセプターを介する細胞
刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン
遊離、細胞内Ca2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、
細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜
電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、pHの低下など)
低下、Na+-Pi輸送活性上昇、25-ヒドロキシビタミンD3
-1α-ヒドロキシラーゼ活性上昇、25-ヒドロキシビタミ
ンD3-24-ヒドロキシラーゼ活性低下などを示した場
合、該試験化合物をレセプターアンタゴニスト候補化合
物として選択することができる。
【0067】本発明のスクリーニング用キットは、本発
明のタンパク質、好ましくはさらに、レセプターを含有
する細胞もしくはその細胞膜画分等を含有するものであ
る。本発明のスクリーニング用キットの例としては、次
のものが挙げられる。 〔スクリーニング用試薬〕 測定用緩衝液および洗浄用緩衝液 Hanks' Balanced Salt Solution(ギブコ社製)に、0.
05%のウシ血清アルブミン(シグマ社製)を加えたも
の。孔径0.45μmのフィルターで濾過滅菌し、4℃
で保存するか、あるいは用時調製しても良い。 レセプター標品 本発明のタンパク質に対するレセプターなどを含有する
CHO細胞を、12穴プレートに5×105個/穴で継
代し、37℃、5%CO2、95%airで2日間培養
したもの。 標識した本発明のタンパク質標品 本発明のタンパク質、その部分ペプチドまたはそれらの
塩を〔3H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35S〕などで標
識したもの。 本発明のタンパク質標準液 本発明のタンパク質、その部分ペプチドまたはそれらの
塩を0.1%ウシ血清アルブミン(シグマ社製)を含む
PBSで0.1mMとなるように溶解し、−20℃で保
存したもの。
【0068】〔測定法〕 12穴組織培養用プレートにて培養した組換え型レセ
プターを含有するCHO細胞を、測定用緩衝液1mlで
2回洗浄した後、490μlの測定用緩衝液を各穴に加
える。 10-3〜10-10Mの試験化合物溶液を5μl加えた
後、5nMの標識した本発明のタンパク質を5μl加
え、室温にて1時間反応させる。非特異的結合量を知る
ためには試験化合物のかわりに10-4Mの本発明のタン
パク質を5μl加えておく。 反応液を除去し、1mlの洗浄用緩衝液で3回洗浄す
る。細胞に結合した標識した本発明のタンパク質を0.
5mlの0.2N NaOH−1%SDSで溶解し、4
mlの液体シンチレーターA(和光純薬製)と混合す
る。 液体シンチレーションカウンター(ベックマン社製)
を用いて放射活性を測定し、Percent Maximum Binding
(PMB)を次の式〔数1〕で求める。なお、
1 25I〕で標識されている場合は、液体シンチレータ
ーと混合することなしに直接ガンマーカウンターで測定
できる。
【0069】[数1] PMB=100×(B−NSB)/(B0−NSB) PMB:Percent Maximum Binding B :検体を加えた時の結合量 NSB:Non-specific Binding(非特異的結合量) B0 :最大結合量
【0070】以上のとおり、本発明のタンパク質はレセ
プターアゴニストまたはアンタゴニストをスクリーニン
グするための試薬として有用である。本発明のスクリー
ニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得ら
れる化合物またはその塩は、本発明のタンパク質とレセ
プターとの結合を阻害する化合物であり、具体的には、
該レセプターを介する細胞刺激活性(例えば、アラキド
ン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+濃度の変
動、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシ
トールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリ
ン酸化、pHの低下など)、Na+-Pi輸送阻害活性、25-
ヒドロキシビタミンD3-1α-ヒドロキシラーゼ阻害活
性、25-ヒドロキシビタミンD3-24-ヒドロキシラーゼ促
進活性などの作用を有する化合物またはその塩(いわゆ
る、レセプターアゴニスト)、あるいは該レセプターを
介する細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセ
チルコリン遊離、細胞内Ca2+濃度の変動、細胞内cA
MP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産
生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、pHの
低下など)、Na+-Pi輸送阻害活性、25-ヒドロキシビタ
ミンD3-1α-ヒドロキシラーゼ阻害活性、25-ヒドロキ
シビタミンD3-24-ヒドロキシラーゼ促進活性などの作
用を有しない化合物またはその塩(いわゆる、レセプタ
ーアンタゴニスト)である。
【0071】レセプターアゴニストは、本発明のタンパ
ク質が有する生理活性の全部または一部を有しているの
で、該生理活性に応じて安全で低毒性な医薬として有用
である。例えば、高リン血症、動脈硬化、急性冠症候
群、心不全、脳卒中、慢性糸球体腎炎、糖尿病性腎症、
腎不全などの疾病の予防・治療剤などの医薬として有用
である。一方、レセプターアンタゴニストは、本発明の
タンパク質が有する生理活性の全部または一部を抑制す
ることができるので、該生理活性を抑制する安全で低毒
性な医薬として有用である。例えば、腫瘍性低リン血性
骨軟化症(OHO)、家族性低リン血症性ビタミンD抵抗性
くる病(XLH)、常染色体優性遺伝を示す低リン血症性
くる病(ADHR)、高カルシウム尿症を伴う低リン血症性
くる病(HHRH)、ビタミンD抵抗性くる病、骨軟化症、
骨粗鬆症、腎性骨形成異常症、二次性副甲状腺機能亢進
症、パジェット病、腎ファンコーニ症候群、腎尿細管性
アシドーシス、嚢胞性線維症、嚢胞性線維性骨炎、腎不
全などの疾患の予防・治療剤などの医薬として有用であ
る。
【0072】(B)本発明のタンパク質を分解するプロ
テイナーゼ阻害剤のスクリーニング方法およびスクリー
ニング用キット 本発明のタンパク質またはその塩は生体内に存在するプ
ロテイナーゼによって切断され、失活すると考えられ
る。したがって、本発明のタンパク質および本発明のタ
ンパク質を分解するプロテイナーゼを用いることによっ
て、本発明のタンパク質を分解するプロテイナーゼを阻
害する活性を有する化合物を選択することができる。該
プロテイナーゼを阻害する活性を有する化合物は、生体
内における本発明のタンパク質の失活を防ぐことによ
り、細胞間接触に依存しない発明のタンパク質の活性を
促進することができるので、例えば、高リン血症、動脈
硬化、急性冠症候群、心不全、脳卒中、慢性糸球体腎
炎、糖尿病性腎症、腎不全などの疾患の予防・治療剤な
どの医薬として期待できる。すなわち、本発明は、本発
明のタンパク質を用いることを特徴とする本発明のタン
パク質を分解するプロテイナーゼを阻害する活性を有す
る化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供す
る。
【0073】より具体的には、本発明は、(1)(i)
本発明のタンパク質を分解するプロテイナーゼと本発明
のタンパク質とをインキュベートした後、レセプターを
含有する細胞に接触させた場合と、(ii)本発明のタン
パク質を分解するプロテイナーゼおよび試験化合物と本
発明のタンパク質とをインキュベートした後、レセプタ
ーを含有する細胞に接触させた場合との比較を行なうこ
とを特徴とする本発明のタンパク質を分解するプロテイ
ナーゼを阻害する活性を有する化合物またはその塩のス
クリーニング方法を提供する。具体的には、本発明のス
クリーニング方法においては、(i)と(ii)の場合に
おける、例えば、レセプターを介する細胞刺激活性(例
えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内
Ca2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、細胞内cGM
P生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細
胞内蛋白質のリン酸化、pHの低下など)、Na+-Pi輸送
活性、25-ヒドロキシビタミンD3-1α-ヒドロキシラー
ゼ活性、25-ヒドロキシビタミンD3-24-ヒドロキシラー
ゼ活性などの活性を測定して、比較することを特徴とす
るものである。
【0074】より具体的には、本発明は、(1a)
(i)本発明のタンパク質を分解するプロテイナーゼと
本発明のタンパク質とをインキュベートした後、レセプ
ターを含有する細胞に接触させた場合と、(ii)本発明
のタンパク質を分解するプロテイナーゼおよび試験化合
物と本発明のタンパク質とをインキュベートした後、レ
セプターを含有する細胞に接触させた場合における、レ
セプターを介する細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸
遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+濃度の変動、
細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトー
ルリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸
化、pHの低下など)、Na+-Pi輸送活性、25-ヒドロキ
シビタミンD3-1α-ヒドロキシラーゼ活性、25-ヒドロ
キシビタミンD3-24-ヒドロキシラーゼ活性などの活性
を測定し、比較することを特徴とする本発明のタンパク
質を分解するプロテイナーゼを阻害する活性を有する化
合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
【0075】上記のスクリーニング方法において、該レ
セプターを介する細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸
遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+濃度の変動、
細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトー
ルリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸
化、pHの低下など)、Na+-Pi輸送阻害活性、25-ヒド
ロキシビタミンD3-1α-ヒドロキシラーゼ阻害活性、25
-ヒドロキシビタミンD3-24-ヒドロキシラーゼ促進活性
などの活性を促進する試験化合物を本発明のタンパク質
を分解するプロテイナーゼを阻害する活性を有する化合
物またはその塩として選択することができる。本発明の
スクリーニング方法に用いられるレセプターとしては、
ヒトあるいは温血動物の腎近位尿細管細胞に発現してい
るフォスファトニンレセプターが用いられる。本発明の
タンパク質に対するレセプターは、自体公知のタンパク
質の精製方法に従って入手することができ、また、自体
公知の遺伝子工学的手法に従って該レセプターをコード
するDNAをクローニングした後、前記した本発明のタ
ンパク質の発現方法に従って目的とするレセプターを入
手することもできる。本発明のタンパク質を分解するプ
ロテイナーゼとしては、例えば、亜鉛メタロペプチダー
ゼやPHEX遺伝子産物などが用いられる。
【0076】本発明のスクリーニング方法に用いられる
上記レセプターを含有する細胞としては、前記した本発
明のタンパク質を発現させるために用いる宿主細胞とし
て列記したものと同様のものを用いることができるが、
なかでも、CHO細胞などが好ましい。レセプターを含
有する細胞は、レセプターをコードするDNAを用い
て、自体公知の方法、例えば、前記した本発明のタンパ
ク質の発現方法などに従って製造することができる。ま
た、上記レセプターを含有する細胞として、CL8細胞
株(ボーン(BONE), 18, 159-169, 1996)、OK細胞
株(アメリカン・ジャーナル・オブ・フィジオロジー
(AMERICAN JOURNAL OF PHYSIOLOGY)253, E221-E227,
1987)などの株化細胞を用いることもできる。
【0077】本発明のスクリーニング方法において、レ
セプターを含有する細胞を用いる場合、該細胞をグルタ
ルアルデヒド、ホルマリンなどで固定化することができ
る。固定化方法は、それ自体公知の方法に従って行うこ
とができる。上記レセプターを含有する細胞の細胞膜画
分としては、前記したものと同様のものを用いることが
できる。試験化合物としては、例えばタンパク質、タン
パク、非タンパク質性化合物、合成化合物、発酵生産
物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液などが挙
げられ、これら化合物は新規な化合物であってもよい
し、公知の化合物であってもよい。本発明のスクリーニ
ング方法において、プロテイナーゼと本発明のタンパク
質とのインキュベートは、通常数時間、約37℃で行な
うことができる。また、この反応混合物とレセプターを
含有する細胞との反応は、通常数時間、約37℃で行な
うことができる。レセプターを介する細胞刺激活性(例
えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内
Ca2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、細胞内cGM
P生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細
胞内蛋白質のリン酸化、pHの低下など)、Na+-Pi輸送
活性、25-ヒドロキシビタミンD3-1α-ヒドロキシラー
ゼ活性、25-ヒドロキシビタミンD3-24-ヒドロキシラー
ゼ活性などの測定は前記と同様にして行なうことができ
る。
【0078】本発明のスクリーニング用キットは、本発
明のタンパク質および本発明のタンパク質を分解するプ
ロテイナーゼを、好ましくはさらに、レセプターを含有
する細胞を含有するものである。本発明のスクリーニン
グ用キットの例としては、次のものが挙げられる。 〔スクリーニング用試薬〕 測定用緩衝液および洗浄用緩衝液 Hanks' Balanced Salt Solution(ギブコ社製)に、0.
05%のウシ血清アルブミン(シグマ社製)を加えたも
の。孔径0.45μmのフィルターで濾過滅菌し、4℃
で保存するか、あるいは用時調製しても良い。 レセプター標品 本発明のタンパク質に対するレセプターなどを含有する
CHO細胞を、12穴プレートに5×105個/穴で継
代し、37℃、5%CO2、95%airで2日間培養
したもの。 本発明のタンパク質標品 本発明のタンパク質、その部分ペプチドまたはそれらの
塩 本発明のタンパク質を分解するプロテイナーゼ標品 本発明のタンパク質を分解するプロテナーゼ
【0079】〔測定法〕 本発明のタンパク質を分解するプロテイナーゼと本発
明のタンパク質とを約37℃で数時間インキュベートす
る。 本発明のタンパク質を分解するプロテイナーゼおよび
試験化合物と本発明のタンパク質とを約37℃で数時間
インキュベートする。 上記およびで得られる反応混合物を、それぞれ本
発明のタンパク質に対するレセプターを含有する細胞と
約37℃で数時間培養する。 次いで、該レセプターを介する細胞刺激活性(例え
ば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内C
2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP
生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞
内蛋白質のリン酸化、pHの低下など)、Na+-Pi輸送活
性、25-ヒドロキシビタミンD3-1α-ヒドロキシラーゼ
活性、25-ヒドロキシビタミンD3-24-ヒドロキシラーゼ
活性などを前記の方法に従って測定する。
【0080】以上のとおり、本発明のタンパク質は本発
明のタンパク質を分解するプロテイナーゼを阻害する活
性を有する化合物またはその塩をスクリーニングするた
めの試薬として有用である。本発明のスクリーニング方
法またはスクリーニング用キットを用いて得られる化合
物またはその塩は、本発明のタンパク質を分解するプロ
テイナーゼを阻害し、該プロテイナーゼによる本発明の
タンパク質の失活を抑制する化合物である。したがっ
て、該化合物は、細胞間接触に依存しない本発明のタン
パク質による該レセプターを介する細胞刺激活性(例え
ば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内C
2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP
生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞
内蛋白質のリン酸化、pHの低下など)、Na+-Pi輸送阻
害活性、25-ヒドロキシビタミンD3-1α-ヒドロキシラ
ーゼ阻害活性、25-ヒドロキシビタミンD3-24-ヒドロキ
シラーゼ促進活性などの活性を促進することができ、例
えば高リン血症、動脈硬化、急性冠症候群、心不全、脳
卒中、慢性糸球体腎炎、糖尿病性腎症、腎不全などの安
全で低毒性な医薬として有用である。本発明のスクリー
ニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得ら
れる化合物を上述の治療・予防剤として使用する場合、
前記したレセプターアゴニスト/アンタゴニストと同様
にして実施することができる。
【0081】(C)本発明のタンパク質とレセプターと
の結合後の細胞内シグナル伝達を促進または阻害する化
合物またはその塩のスクリーニング方法 本発明のタンパク質は、ヒトあるいは温血動物の腎近位
尿細管細胞に発現しているフォスファトニンレセプター
(以下、レセプターと略記する)に特異的に結合するこ
とができるので、本発明のタンパク質と該レセプターを
用いたリガンド・レセプター結合アッセイ系を構築する
ことによって、本発明のタンパク質が該レセプターに結
合した後の細胞内シグナル伝達を促進または阻害する化
合物またはその塩のスクリーニングを行なうことができ
る。すなわち、本発明は、本発明のタンパク質を用いる
ことを特徴とする本発明のタンパク質とレセプターとの
結合後の細胞内シグナル伝達を促進または阻害する化合
物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。より
具体的には、本発明は、(1)(i)レセプターを含有
する細胞に、本発明のタンパク質を接触させた場合と
(ii)レセプターを含有する細胞に、本発明のタンパク
質および試験化合物を接触させた場合との比較を行なう
ことを特徴とする本発明のタンパク質とレセプターとの
結合後の細胞内シグナル伝達を促進または阻害する化合
物またはその塩のクリーニング方法を提供する。
【0082】具体的には、本発明のスクリーニング方法
においては、(i)と(ii)の場合における、例えば本
発明のタンパク質とレセプターが結合した後の細胞内シ
グナル伝達などを測定して、比較することを特徴とする
ものである。より具体的には、本発明は、(1a)
(i)本発明のタンパク質を、レセプターを含有する細
胞に接触させた場合と、(ii)本発明のタンパク質およ
び試験化合物を、レセプターを含有する細胞に接触させ
た場合における、レセプターを介する細胞刺激活性(例
えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内
Ca2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、細胞内cGM
P生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細
胞内蛋白質のリン酸化、pHの低下など)を測定し、比
較することを特徴とする本発明のタンパク質とレセプタ
ーとの結合後の細胞内シグナル伝達を促進または阻害す
る化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供す
る。
【0083】上記(1a)のスクリーニング方法におい
て、本発明のタンパク質とレセプターとの結合を阻害せ
ず、本発明のタンパク質による該レセプターを介する細
胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリ
ン遊離、細胞内Ca2+濃度の変動、細胞内cAMP生
成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細
胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、pHの低下な
ど)を促進する化合物を、本発明のタンパク質とレセプ
ターとの結合後の細胞内シグナル伝達を促進する化合物
またはその塩として選択することができる。一方、本発
明のタンパク質とレセプターとの結合を阻害せず、本発
明のタンパク質による該レセプターを介する細胞刺激活
性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、
細胞内Ca 2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、細胞内
cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変
動、細胞内蛋白質のリン酸化、pHの低下など)を阻害
する作用を有する化合物を、本発明のタンパク質とレセ
プターとの結合後の細胞内シグナル伝達を阻害する化合
物またはその塩として選択することができる。すなわ
ち、本スクリーニング方法は、本発明のタンパク質とレ
セプターとの結合に影響を与えず、レセプター結合後の
細胞内シグナル伝達を調節(促進または抑制)する化合
物を選択する方法であるので、本スクリーニング方法に
用いる試験化合物としては、前記したレセプターアゴニ
スト/アンタゴニストのスクリーニング方法において、
レセプターアゴニストまたはアンタゴニストとして選択
されなかった化合物を用いるのが望ましい。
【0084】本発明のスクリーニング方法に用いられる
レセプターとしては、ヒトあるいは温血動物の腎近位尿
細管細胞に発現しているフォスファトニンレセプターな
どが用いられる。本発明のタンパク質に対するレセプタ
ーは、自体公知のタンパク質の精製方法に従って入手す
ることができ、また、自体公知の遺伝子工学的手法に従
って該レセプターをコードするDNAをクローニングし
た後、前記した本発明のタンパク質の発現方法に従って
目的とするレセプターを入手することもできる。該レセ
プターの部分ペプチドとしては、全長レセプターを適当
に切断して得られる部分ペプチドを用いることができ
る。本発明のスクリーニング方法に用いられる上記レセ
プターを含有する細胞としては、前記した本発明のタン
パク質を発現させるために用いる宿主細胞として列記し
たものと同様のものを用いることができるが、なかで
も、CHO細胞などが好ましい。レセプターを含有する
細胞は、レセプターをコードするDNAを用いて、自体
公知の方法、例えば、前記した本発明のタンパク質の発
現方法などに従って製造することができる。また、上記
レセプターを含有する細胞として、CL8細胞株(ボー
ン(BONE), 18, 159-169, 1996)、OK細胞株(アメ
リカン・ジャーナル・オブ・フィジオロジー(AMERICAN
JOURNAL OF PHYSIOLOGY)253, E221-E227, 1987)など
の株化細胞を用いることもできる。
【0085】本発明のスクリーニング方法において、レ
セプターを含有する細胞を用いる場合、該細胞をグルタ
ルアルデヒド、ホルマリンなどで固定化することができ
る。固定化方法は、それ自体公知の方法に従って行うこ
とができる。上記レセプターを含有する細胞の細胞膜画
分としては、前記と同様のものが用いられる。試験化合
物としては、例えば、タンパク質、タンパク、非タンパ
ク質性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、
植物抽出液、動物組織抽出液などが挙げられ、これら化
合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物で
あってもよい。本発明のスクリーニング方法において、
本発明のタンパク質とレセプターを含有する細胞との反
応は、通常約37℃で数時間行なうことができる。上記
(1a)のスクリーニング方法において、本発明のタン
パク質による該レセプターを介する細胞刺激活性(例え
ば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内C
2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP
生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞
内蛋白質のリン酸化、pHの低下など)の測定は前記と
同様にして行なうことができる。上記(1a)のスクリ
ーニング方法において、試験化合物を添加した際に、本
発明のタンパク質によるレセプターを介する細胞刺激活
性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、
細胞内Ca2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、細胞内
cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変
動、細胞内蛋白質のリン酸化、pHの低下など)が促進
された場合、該試験化合物をレセプター結合後の細胞内
シグナル伝達を促進する化合物またはその塩として選択
することができる。一方、試験化合物を添加した際に、
本発明のタンパク質によるレセプターを介する細胞刺激
活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊
離、細胞内Ca2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、細
胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電
位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、pHの低下など)が
阻害された場合、該試験化合物をレセプター結合後の細
胞内シグナル伝達を促進する化合物またはその塩化合物
として選択することができる。
【0086】本発明のスクリーニング用キットは、本発
明のタンパク質を、好ましくはさらに、レセプターを含
有する細胞を含有するものである。本発明のスクリーニ
ング用キットの例としては、次のものが挙げられる。 〔スクリーニング用試薬〕 測定用緩衝液および洗浄用緩衝液 Hanks' Balanced Salt Solution(ギブコ社製)に、0.
05%のウシ血清アルブミン(シグマ社製)を加えたも
の。孔径0.45μmのフィルターで濾過滅菌し、4℃
で保存するか、あるいは用時調製しても良い。 レセプター標品 本発明のタンパク質に対するレセプターを含有するCH
O細胞を、12穴プレートに5×105個/穴で継代
し、37℃、5%CO2、95%airで2日間培養し
たもの。 本発明のタンパク質標品 本発明のタンパク質、その部分ペプチドまたはそれらの
塩 〔測定法〕細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、
アセチルコリン遊離、細胞内Ca 2+濃度の変動、細胞内
cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン
酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、p
Hの低下など)を前記の方法に従って測定する。
【0087】以上のとおり、本発明のタンパク質はレセ
プター結合後の細胞内シグナル伝達を促進または阻害す
る化合物またはその塩をスクリーニングするための試薬
として有用である。本発明のスクリーニング方法または
スクリーニング用キットを用いて得られる化合物または
その塩は、本発明のタンパク質とレセプターが結合した
後のレセプターを介する細胞刺激活性(例えば、アラキ
ドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+濃度の
変動、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノ
シトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質の
リン酸化、pHの低下など)を促進する化合物またはそ
の塩、あるいは該細胞刺激活性を阻害する化合物または
その塩である。本発明のタンパク質とレセプターが結合
した後の細胞内シグナル伝達を促進する化合物またはそ
の塩は、例えば、高リン血症、動脈硬化、急性冠症候
群、心不全、脳卒中、慢性糸球体腎炎、糖尿病性腎症、
腎不全などの疾病の予防・治療剤などの安全で低毒性な
医薬として有用である。
【0088】本発明のタンパク質とレセプターが結合し
た後の細胞内シグナル伝達を阻害する化合物またはその
塩は、例えば、腫瘍性低リン血性骨軟化症(OHO)、家
族性低リン血症性ビタミンD抵抗性くる病(XLH)、常染
色体優性遺伝を示す低リン血症性くる病(ADHR)、高カ
ルシウム尿症を伴う低リン血症性くる病(HHRH)、ビタ
ミンD抵抗性くる病、骨軟化症、骨粗鬆症、腎性骨形成
異常症、二次性副甲状腺機能亢進症、パジェット病、腎
ファンコーニ症候群、腎尿細管性アシドーシス、嚢胞性
線維症、嚢胞性線維性骨炎、腎不全などの疾患の予防・
治療剤などの安全で低毒性な医薬として有用である。本
発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キッ
トを用いて得られる化合物を上述の治療・予防剤として
使用する場合、前記したレセプターアゴニスト/アンタ
ゴニストと同様にして実施することができる。
【0089】(4)アンチセンスDNA 本発明のタンパク質をコードするDNAまたはmRNA
に相補的に結合し、該DNAもしくはmRNAや本発明
のタンパク質の発現を抑制することができるアンチセン
スDNAは、生体内において上記の作用を発揮する本発
明のタンパク質またはそれをコードするDNAの機能を
抑制することができる。したがって、該アンチセンスD
NAは、例えば、腫瘍性低リン血性骨軟化症(OHO)、
家族性低リン血症性ビタミンD抵抗性くる病(XLH)、常
染色体優性遺伝を示す低リン血症性くる病(ADHR)、高
カルシウム尿症を伴う低リン血症性くる病(HHRH)、ビ
タミンD抵抗性くる病、骨軟化症、骨粗鬆症、腎性骨形
成異常症、二次性副甲状腺機能亢進症、パジェット病、
腎ファンコーニ症候群、腎尿細管性アシドーシス、嚢胞
性線維症、嚢胞性線維性骨炎、腎不全などの疾患の予防
・治療剤として使用することができる。該アンチセンス
DNAを上記の治療・予防剤として使用する場合、前記
した本発明のタンパク質またはDNAを含有する各種疾
病の治療・予防剤と同様にして実施することができる。
さらに、該アンチセンスDNAは、組織や細胞における
本発明のDNAの存在やその発現状況を調べるための診
断用オリゴヌクレオチドプローブとして使用することも
できる。
【0090】(5)DNA転移動物の作製 さらに本発明は、リン利尿活性および/または低リン血
症誘導活性を有する新規なタンパク質「フォスファトニ
ン(phosphatonin)」をコードするDNA(以下、本発
明の外来性DNAと略記する)またはその変異DNA
(本発明の外来性変異DNAと略記する場合がある)を
有する非ヒト哺乳動物を提供する。すなわち、本発明
は、(1)本発明の外来性DNAまたはその変異DNA
を有する非ヒト哺乳動物、(2)非ヒト哺乳動物がゲッ
歯動物である第(1)記載の動物、 (3)ゲッ歯動物がマウスまたはラットである第(2)
記載の動物、および(4)本発明の外来性DNAまたは
その変異DNAを含有し、哺乳動物において発現しうる
組換えベクター、および(5)第(4)記載の組換えベ
クターを含有してなる遺伝子治療用医薬などを提供する
ものである。
【0091】本発明の外来性DNAまたはその変異DN
Aを有する非ヒト哺乳動物(以下、本発明のDNA転移
動物と略記する)は、未受精卵、受精卵、精子およびそ
の始原細胞を含む胚芽細胞などに対して、好ましくは、
非ヒト哺乳動物の発生における胚発生の段階(さらに好
ましくは、単細胞または受精卵細胞の段階でかつ一般に
8細胞期以前)に、リン酸カルシウム法、電気パルス
法、リポフェクション法、凝集法、マイクロインジェク
ション法、パーティクルガン法、DEAE−デキストラ
ン法などにより目的とする本発明の外来性DNAを転移
することによって作出することができる。また、該DN
A転移方法により、体細胞、生体の臓器、組織細胞など
に目的とする本発明の外来性DNAを転移し、細胞培
養、組織培養などに利用することもでき、さらに、これ
ら細胞を上述の胚芽細胞と自体公知の細胞融合法により
融合させることにより本発明のDNA転移動物を作出す
ることもできる。
【0092】非ヒト哺乳動物としては、例えば、ウシ、
ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモッ
ト、ハムスター、マウス、ラットなどが用いられる。な
かでも、病体動物モデル系の作成の面から個体発生およ
び生物サイクルが比較的短く、また、繁殖が容易なゲッ
歯動物、とりわけマウス(例えば、純系として、C57
BL/6系統,DBA2系統など、交雑系として、B6
C3F1系統,BDF1系統,B6D2F1系統,BAL
B/c系統,ICR系統など)またはラット(例えば、
Wistar,SDなど)などが好ましい。哺乳動物に
おいて発現しうる組換えベクターにおける「哺乳動物」
としては、上記の非ヒト哺乳動物の他にヒトなどが挙げ
られる。本発明の外来性DNAとは、非ヒト哺乳動物が
本来有している本発明のDNAではなく、いったん哺乳
動物から単離・抽出された本発明のDNAをいう。本発
明の変異DNAとしては、元の本発明のDNAの塩基配
列に変異(例えば、突然変異など)が生じたもの、具体
的には、塩基の付加、欠損、他の塩基への置換などが生
じたDNAなどが用いられ、また、異常DNAも含まれ
る。該異常DNAとしては、異常な本発明のタンパク質
を発現させるDNAを意味し、例えば、正常な本発明の
タンパク質の機能を抑制するタンパク質を発現させるD
NAなどが用いられる。本発明の外来性DNAは、対象
とする動物と同種あるいは異種のどちらの哺乳動物由来
のものであってもよい。本発明のDNAを対象動物に転
移させるにあたっては、該DNAを動物細胞で発現させ
うるプロモーターの下流に結合したDNAコンストラク
トとして用いるのが一般に有利である。例えば、本発明
のヒトDNAを転移させる場合、これと相同性が高い本
発明のDNAを有する各種哺乳動物(例えば、ウサギ、
イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ラット、マウス
など)由来のDNAを発現させうる各種プロモーターの
下流に、本発明のヒトDNAを結合したDNAコンスト
ラクト(例、ベクターなど)を対象哺乳動物の受精卵、
例えば、マウス受精卵へマイクロインジェクションする
ことによって本発明のDNAを高発現するDNA転移哺
乳動物を作出することができる。
【0093】本発明のタンパク質の発現ベクターとして
は、大腸菌由来のプラスミド、枯草菌由来のプラスミ
ド、酵母由来のプラスミド、λファージなどのバクテリ
オファージ、モロニー白血病ウィルスなどのレトロウィ
ルス、ワクシニアウィルスまたはバキュロウィルスなど
の動物ウイルスなどが用いられる。なかでも、大腸菌由
来のプラスミド、枯草菌由来のプラスミドまたは酵母由
来のプラスミドなどが好ましく用いられる。上記のDN
A発現調節を行なうプロモーターとしては、例えば、ウ
ィルス(例、シミアンウィルス、サイトメガロウィル
ス、モロニー白血病ウィルス、JCウィルス、乳癌ウィ
ルス、ポリオウィルスなど)に由来するDNAのプロモ
ーター、各種哺乳動物(ヒト、ウサギ、イヌ、ネコ、モ
ルモット、ハムスター、ラット、マウスなど)および鳥
類(ニワトリなど)由来のものとしては、アルブミン、
インスリンII、ウロプラキンII、エラスターゼ、エ
リスロポエチン、エンドセリン、筋クレアチンキナー
ゼ、グリア線維性酸性タンパク質、グルタチオンS−ト
ランスフェラーゼ、血小板由来成長因子β、ケラチンK
1,K10およびK14、コラーゲンI型およびII
型、サイクリックAMP依存タンパク質キナーゼβIサ
ブユニット、ジストロフィン、酒石酸抵抗性アルカリフ
ォスファターゼ、心房ナトリウム利尿性因子、内皮レセ
プターチロシンキナーゼ(一般にTie2と略され
る)、ナトリウムカリウムアデノシン3リン酸化酵素
(Na,K−ATPase)、ニューロフィラメント軽
鎖、メタロチオネインIおよびIIA、メタロプロティ
ナーゼ1組織インヒビター、MHCクラスI抗原(H−
2L)、H−ras、レニン、ドーパミンβ−水酸化酵
素、甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)、ポリペプチド
鎖延長因子1α(EF−1α)、βアクチン、αおよび
βミオシン重鎖、ミオシン軽鎖1および2、ミエリン基
礎タンパク質、チログロブリン、Thy−1、免疫グロ
ブリン、H鎖可変部(VNP)、血清アミロイドPコン
ポーネント、ミオグロビン、トロポニンC、平滑筋αア
クチン、プレプロエンケファリンA、バソプレシンなど
のプロモーターなどが用いられるが、好ましくは全身で
高発現することが可能なサイトメガロウィルスプロモー
ター、ヒトポリペプチド鎖延長因子1α(EF−1α)
のプロモーター、ヒトおよびニワトリβアクチンプロモ
ーターなどを用いることができる。
【0094】上記ベクターは、DNA転移哺乳動物にお
いて目的とするメッセンジャーRNAの転写を終結する
配列(一般にターミネターと呼ばれる)を有しているこ
とが好ましく、例えば、ウィルス由来、各種哺乳動物お
よび鳥類由来の各DNAの配列を用いることができ、好
ましくは、シミアンウィルスのSV40ターミネターな
どが用いられる。その他、目的DNAをさらに高発現さ
せる目的で各DNAのスプライシングシグナル、エンハ
ンサー領域、真核DNAのイントロンの一部などをプロ
モーター領域の5´上流、プロモーター領域と翻訳領域
間あるいは翻訳領域の3´下流に連結することも目的に
より可能である。正常な本発明のタンパク質の翻訳領域
は、各種哺乳動物(例えば、ウサギ、イヌ、ネコ、モル
モット、ハムスター、ラット、マウス、ヒトなど)由来
の肝臓、腎臓、甲状腺細胞、線維芽細胞由来DNAおよ
び市販の各種ゲノムDNAライブラリーよりゲノムDN
Aの全てあるいは一部として、または肝臓、腎臓、甲状
腺細胞、線維芽細胞由来RNAより公知の方法により調
製された相補DNAを原料として取得することが出来
る。また、外来性の異常DNAは、上記の細胞または組
織より得られた正常なタンパク質の翻訳領域を点突然変
異誘発法により変異した翻訳領域を作製することができ
る。該翻訳領域は転移動物において発現しうるDNAコ
ンストラクトとして、前記のプロモーターの下流および
所望により転写終結部位の上流に連結させる通常のDN
A工学的手法により作製することができる。受精卵細胞
段階における本発明のDNAの転移は、対象哺乳動物の
胚芽細胞および体細胞のすべてに存在するように確保さ
れる。DNA転移後の作出動物の胚芽細胞において、本
発明のDNAが存在することは、作出動物の後代がすべ
て、その胚芽細胞および体細胞のすべてに本発明のDN
Aを保持することを意味する。DNAを受け継いだこの
種の動物の子孫はその胚芽細胞および体細胞のすべてに
本発明のDNAを有する。
【0095】本発明の外来性正常DNAを転移させた非
ヒト哺乳動物は、交配によりDNAを安定に保持するこ
とを確認して、該DNA保有動物として通常の飼育環境
で継代飼育することが出来る。受精卵細胞段階における
本発明のDNAの転移は、対象哺乳動物の胚芽細胞およ
び体細胞の全てに過剰に存在するように確保される。D
NA転移後の作出動物の胚芽細胞において本発明のDN
Aが過剰に存在することは、作出動物の子孫が全てその
胚芽細胞および体細胞の全てに本発明のDNAを過剰に
有することを意味する。DNAを受け継いだこの種の動
物の子孫はその胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の
DNAを過剰に有する。導入DNAを相同染色体の両方
に持つホモザイゴート動物を取得し、この雌雄の動物を
交配することによりすべての子孫が該DNAを過剰に有
するように繁殖継代することができる。本発明の正常D
NAを有する非ヒト哺乳動物は、本発明の正常DNAが
高発現させられており、内在性の正常DNAの機能を促
進することにより最終的に本発明のタンパク質の機能亢
進症を発症することがあり、その病態モデル動物として
利用することができる。例えば、本発明の正常DNA転
移動物を用いて、本発明のタンパク質の機能亢進症や、
本発明のタンパク質が関連する疾患の病態機序の解明お
よびこれらの疾患の治療方法の検討を行なうことが可能
である。また、本発明の外来性正常DNAを転移させた
哺乳動物は、遊離した本発明のタンパク質の増加症状を
有することから、本発明のタンパク質に関連する疾患に
対する治療薬のスクリーニング試験にも利用可能であ
る。
【0096】一方、本発明の外来性異常DNAを有する
非ヒト哺乳動物は、交配によりDNAを安定に保持する
ことを確認して該DNA保有動物として通常の飼育環境
で継代飼育することが出来る。さらに、目的DNAを前
述のプラスミドに組み込んで原科として用いることがで
きる。プロモーターとのDNAコンストラク卜は、通常
のDNA工学的手法によって作製することができる。受
精卵細胞段階における本発明の異常DNAの転移は、対
象哺乳動物の胚芽細胞および体細胞の全てに存在するよ
うに確保される。DNA転移後の作出動物の胚芽細胞に
おいて本発明の異常DNAが存在することは、作出動物
の子孫が全てその胚芽細胞および体細胞の全てに本発明
の異常DNAを有することを意味する。DNAを受け継
いだこの種の動物の子孫は、その胚芽細胞および体細胞
の全てに本発明の異常DNAを有する。導入DNAを相
同染色体の両方に持つホモザイゴート動物を取得し、こ
の雌雄の動物を交配することによりすべての子孫が該D
NAを有するように繁殖継代することができる。本発明
の異常DNAを有する非ヒト哺乳動物は、本発明の異常
DNAが高発現させられており、内在性の正常DNAの
機能を阻害することにより最終的に本発明のタンパク質
の機能不活性型不応症となることがあり、その病態モデ
ル動物として利用することができる。例えば、本発明の
異常DNA転移動物を用いて、本発明のタンパク質の機
能不活性型不応症の病態機序の解明およびこの疾患を治
療方法の検討を行なうことが可能である。また、具体的
な利用可能性としては、本発明の異常DNA高発現動物
は、本発明のタンパク質の機能不活性型不応症における
本発明の異常タンパク質による正常タンパク質の機能阻
害(dominant negative作用)を解明するモデルとな
る。また、本発明の外来異常DNAを転移させた哺乳動
物は、遊離した本発明のタンパク質の増加症状を有する
ことから、本発明のタンパク質の機能不活性型不応症に
対する治療薬スクリーニング試験にも利用可能である。
【0097】また、上記2種類の本発明のDNA転移動
物のその他の利用可能性として、例えば、 組織培養のための細胞源としての使用、 本発明のDNA転移哺乳動物の組織中のDNAもしく
はRNAを直接分析するか、またはDNAにより発現さ
れたタンパク質組織を分析することによる、本発明のタ
ンパク質により特異的に発現あるいは活性化するタンパ
ク質との関連性についての解析、 DNAを有する組織の細胞を標準組織培養技術により
培養し、これらを使用して、一般に培養困難な組織から
の細胞の機能の研究、 上記記載の細胞を用いることによる細胞の機能を高
めるような薬剤のスクリーニング、および 本発明の変異タンパク質を単離精製およびその抗体作
製などが考えられる。 さらに、本発明のDNA転移動物を用いて、本発明のタ
ンパク質の機能不活性型不応症を含む、本発明のタンパ
ク質に関連する疾患の臨床症状を調べることができ、ま
た、本発明のタンパク質に関連する疾患モデルの各臓器
におけるより詳細な病理学的所見が得られ、新しい治療
方法の開発、さらには、該疾患による二次的疾患の研究
および治療に貢献することができる。また、本発明のD
NA転移動物から各臓器を取り出し、細切後、トリプシ
ンなどのタンパク質分解酵素により、遊離したDNA転
移細胞の取得、その培養またはその培養細胞の系統化を
行なうことが可能である。さらに、本発明のタンパク質
産生細胞の特定化、低リン血症との関連性、またはそれ
らにおけるシグナル伝達機構を調べ、それらの異常を調
べることなどができ、本発明のタンパク質およびその作
用解明のための有効な研究材料となる。さらに、本発明
のDNA転移動物を用いて、本発明のタンパク質の機能
不活性型不応症を含む、本発明のタンパク質に関連する
疾患の治療薬の開発を行なうために、上述の検査法およ
び定量法などを用いて、有効で迅速な該疾患治療薬のス
クリーニング法を提供することが可能となる。また、本
発明のDNA転移動物または本発明の外来性DNA発現
ベクターを用いて、本発明のタンパク質が関連する疾患
のDNA治療法を検討、開発することが可能である。
【0098】(6)ノックアウト動物の作製 さらに、本発明は、本発明のDNAが不活性化された非
ヒト哺乳動物胚幹細胞および本発明のDNA発現不全非
ヒト哺乳動物を提供する。すなわち、本発明は、(1)
本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細
胞、(2)大腸菌由来のβ−ガラクトシダーゼ遺伝子を
有する細胞である第(1)項記載の胚幹細胞、(3)ネ
オマイシン耐性である第(1)項記載の胚幹細胞、
(4)非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である第(1)項記
載の胚幹細胞、(5)ゲッ歯動物がマウスである第
(4)項記載の胚幹細胞、(6)本発明のDNA発現不
全非ヒト哺乳動物、(7)レポーター遺伝子が本発明の
タンパク質のプロモーターの制御下で発現しうる第
(6)項記載の動物、(8)レポーター遺伝子が大腸菌
由来β−ガラクトシダーゼ遺伝子である第(7)項記載
の動物、(9)非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である第
(6)項記載の動物、(10)ゲッ歯動物がマウスであ
る第(9)項記載の動物、および(11)第(7)項記
載の動物に、試験化合物を投与し、レポーター遺伝子の
発現を検出することを特徴とする本発明のタンパク質の
プロモーター活性を促進する化合物またはその塩のスク
リーニング方法を提供する。
【0099】本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺
乳動物胚幹細胞とは、該非ヒト哺乳動物が有する本発明
のDNAに人為的に変異を加えることにより、DNAの
発現能を抑制するか、もしくは該DNAがコードしてい
る本発明のタンパク質の活性を実質的に喪失させること
により、DNAが実質的に本発明のタンパク質の発現能
を有さない(以下、本発明のノックアウトDNAと称す
ることがある)非ヒト哺乳動物の胚幹細胞(以下、ES
細胞と略記する)をいう。非ヒト哺乳動物としては、前
記と同様のものが用いられる。本発明のDNAに人為的
に変異を加える方法としては、例えば、遺伝子工学的手
法により該DNA配列の一部又は全部の削除、他DNA
を挿入または置換させることによって行なうことができ
る。これらの変異により、例えば、コドンの読み取り枠
をずらしたり、プロモーターあるいはエキソンの機能を
破壊することにより本発明のノックアウトDNAを作製
すればよい。本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺
乳動物胚幹細胞(以下、本発明のDNA不活性化ES細
胞または本発明のノックアウトES細胞と略記する)の
具体例としては、例えば、目的とする非ヒト哺乳動物が
有する本発明のDNAを単離し、そのエキソン部分にネ
オマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子を
代表とする薬剤耐性遺伝子、あるいはlacZ(β−ガ
ラクトシダーゼ遺伝子)、cat(クロラムフェニコー
ルアセチルトランスフェラーゼ遺伝子)を代表とするレ
ポーター遺伝子等を挿入することによりエキソンの機能
を破壊するか、あるいはエキソン間のイントロン部分に
遺伝子の転写を終結させるDNA配列(例えば、polyA
付加シグナルなど)を挿入し、完全なメッセンジャーR
NAを合成できなくすることによって、結果的に遺伝子
を破壊するように構築したDNA配列を有するDNA鎖
(以下、ターゲッティングベクターと略記する)を、例
えば相同組換え法により該動物の染色体に導入し、得ら
れたES細胞について本発明のDNA上あるいはその近
傍のDNA配列をプローブとしたサザンハイブリダイゼ
ーション解析あるいはターゲッティングベクター上のD
NA配列とターゲッティングベクター作製に使用した本
発明のDNA以外の近傍領域のDNA配列をプライマー
としたPCR法により解析し、本発明のノックアウトE
S細胞を選別することにより得ることができる。
【0100】また、相同組換え法等により本発明のDN
Aを不活化させる元のES細胞としては、例えば、前述
のような既に樹立されたものを用いてもよく、また公知
EvansとKaufmaの方法に準じて新しく樹立
したものでもよい。例えば、マウスのES細胞の場合、
現在、一般的には129系のES細胞が使用されている
が、免疫学的背景がはっきりしていないので、これに代
わる純系で免疫学的に遺伝的背景が明らかなES細胞を
取得するなどの目的で例えば、C57BL/6マウスや
C57BL/6の採卵数の少なさをDBA/2との交雑
により改善したBDF1マウス(C57BL/6とDB
A/2とのF1)を用いて樹立したものなども良好に用
いうる。BDF1マウスは、採卵数が多く、かつ、卵が
丈夫であるという利点に加えて、C57BL/6マウス
を背景に持つので、これを用いて得られたES細胞は病
態モデルマウスを作出したとき、C57BL/6マウス
とバッククロスすることでその遺伝的背景をC57BL
/6マウスに代えることが可能である点で有利に用い得
る。また、ES細胞を樹立する場合、一般には受精後
3.5日目の胚盤胞を使用するが、これ以外に8細胞期
胚を採卵し胚盤胞まで培養して用いることにより効率よ
く多数の初期胚を取得することができる。また、雌雄い
ずれのES細胞を用いてもよいが、通常雄のES細胞の
方が生殖系列キメラを作出するのに都合が良い。また、
煩雑な培養の手間を削減するためにもできるだけ早く雌
雄の判別を行なうことが望ましい。ES細胞の雌雄の判
定方法としては、例えば、PCR法によりY染色体上の
性決定領域の遺伝子を増幅、検出する方法が、その1例
として挙げることができる。この方法を使用すれば、従
来、核型分析をするのに約106個の細胞数を要してい
たのに対して、1コロニー程度のES細胞数(約50
個)で済むので、培養初期におけるES細胞の第一次セ
レクションを雌雄の判別で行なうことが可能であり、早
期に雄細胞の選定を可能にしたことにより培養初期の手
間は大幅に削減できる。
【0101】また、第二次セレクションとしては、例え
ば、G−バンディング法による染色体数の確認等により
行うことができる。得られるES細胞の染色体数は正常
数の100%が望ましいが、樹立の際の物理的操作等の
関係上困難な場合は、ES細胞の遺伝子をノックアウト
した後、正常細胞(例えば、マウスでは染色体数が2n
=40である細胞)に再びクローニングすることが望ま
しい。このようにして得られた胚幹細胞株は、通常その
増殖性は大変良いが、個体発生できる能力を失いやすい
ので、注意深く継代培養することが必要である。例え
ば、STO繊維芽細胞のような適当なフィーダー細胞上
でLIF(1−10000U/ml)存在下に炭酸ガス培養
器内(好ましくは、5%炭酸ガス、95%空気または5
%酸素、5%炭酸ガス、90%空気)で約37℃で培養
するなどの方法で培養し、継代時には、例えば、トリプ
シン/EDTA溶液(通常0.001−0.5%トリプシ
ン/0.1−5mM EDTA、好ましくは約0.1%ト
リプシン/1mM EDTA)処理により単細胞化し、
新たに用意したフィーダー細胞上に播種する方法などが
とられる。このような継代は、通常1−3日毎に行なう
が、この際に細胞の観察を行い、形態的に異常な細胞が
見受けられた場合はその培養細胞は放棄することが望ま
れる。ES細胞は、適当な条件により、高密度に至るま
で単層培養するか、または細胞集塊を形成するまで浮遊
培養することにより、頭頂筋、内臓筋、心筋などの種々
のタイプの細胞に分化させることが可能であり〔M. J.
Evans及びM. H. Kaufman, ネイチャー(Nature)第292
巻、154頁、1981年;G. R. Martin プロシーディング
ス・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス
・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.)第7
8巻、7634頁、1981年;T. C. Doetschmanら、ジャーナ
ル・オブ・エンブリオロジー・アンド・エクスペリメン
タル・モルフォロジー、第87巻、27頁、1985年〕、本発
明のES細胞を分化させて得られる本発明のDNA発現
不全細胞は、インビトロにおける本発明のタンパク質の
細胞生物学的検討において有用である。本発明のDNA
発現不全非ヒト哺乳動物は、該動物のmRNA量を公知
方法を用いて測定して間接的にその発現量を比較するこ
とにより、正常動物と区別することが可能である。該非
ヒト哺乳動物としては、前記と同様のものが用いられ
る。
【0102】本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物
は、例えば、前述のようにして作製したターゲッティン
グベクターをマウス胚幹細胞またはマウス卵細胞に導入
し、導入によりターゲッティングベクターの本発明のD
NAが不活性化されたDNA配列が遺伝子相同組換えに
より、マウス胚幹細胞またはマウス卵細胞の染色体上の
本発明のDNAと入れ換わる相同組換えをさせることに
より、本発明のDNAをノックアウトさせることができ
る。本発明のDNAがノックアウトされた細胞は、本発
明のDNA上またはその近傍のDNA配列をプローブと
したサザンハイブリダイゼーション解析またはターゲッ
ティングベクター上のDNA配列と、ターゲッティング
ベクターに使用したマウス由来の本発明のDNA以外の
近傍領域のDNA配列とをプライマーとしたPCR法に
よる解析で判定することができる。非ヒト哺乳動物胚幹
細胞を用いた場合は、遺伝子相同組換えにより、本発明
のDNAが不活性化された細胞株をクローニングし、そ
の細胞を適当な時期、例えば、8細胞期の非ヒト哺乳動
物胚または胚盤胞に注入し、作製したキメラ胚を偽妊娠
させた該非ヒト哺乳動物の子宮に移植する。作出された
動物は正常な本発明のDNA座をもつ細胞と人為的に変
異した本発明のDNA座をもつ細胞との両者から構成さ
れるキメラ動物である。該キメラ動物の生殖細胞の一部
が変異した本発明のDNA座をもつ場合、このようなキ
メラ個体と正常個体を交配することにより得られた個体
群より、全ての組織が人為的に変異を加えた本発明のD
NA座をもつ細胞で構成された個体を、例えば、コート
カラーの判定等により選別することにより得られる。こ
のようにして得られた個体は、通常、本発明のタンパク
質のヘテロ発現不全個体であり、本発明のタンパク質の
ヘテロ発現不全個体同志を交配し、それらの産仔から本
発明のタンパク質のホモ発現不全個体を得ることができ
る。卵細胞を使用する場合は、例えば、卵細胞核内にマ
イクロインジェクション法でDNA溶液を注入すること
によりターゲッティングベクターを染色体内に導入した
トランスジェニック非ヒト哺乳動物を得ることができ、
これらのトランスジェニック非ヒト哺乳動物に比べて、
遺伝子相同組換えにより本発明のDNA座に変異のある
ものを選択することにより得られる。
【0103】このようにして本発明のDNAがノックア
ウトされている個体は、交配により得られた動物個体も
該DNAがノックアウトされていることを確認して通常
の飼育環境で飼育継代を行なうことができる。さらに、
生殖系列の取得および保持についても常法に従えばよ
い。すなわち、該不活化DNAの保有する雌雄の動物を
交配することにより、該不活化DNAを相同染色体の両
方に持つホモザイゴート動物を取得しうる。得られたホ
モザイゴート動物は、母親動物に対して、正常個体1,
ホモザイゴート複数になるような状態で飼育することに
より効率的に得ることができる。ヘテロザイゴート動物
の雌雄を交配することにより、該不活化DNAを有する
ホモザイゴートおよびヘテロザイゴート動物を繁殖継代
する。本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物
胚幹細胞は、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物を
作出する上で、非常に有用である。また、本発明のタン
パク質発現不全マウスは、本発明のタンパク質により誘
導され得る種々の生物活性を欠失するため、本発明のタ
ンパク質の生物活性の不活性化を原因とする疾病のモデ
ルとなり得るので、これらの疾病の原因究明及び治療法
の検討に有用である。
【0104】また、本発明のタンパク質の構造遺伝子を
レポーター遺伝子で置換された本発明のタンパク質発現
動物では、レポーター遺伝子が本発明のタンパク質のプ
ロモーターの支配下に存在するので、レポーター遺伝子
がコードする物質の発現をトレースすることにより、本
発明のタンパク質のプロモーターの活性を検出すること
ができる。例えば、本発明のタンパク質をコードするD
NA領域の一部を大腸菌由来のβ−ガラクトシダーゼ遺
伝子(lacZ)で置換している場合、本来、本発明の
タンパク質の発現する組織で、本発明のタンパク質の代
わりにβ−ガラクトシダーゼが発現する。従って、例え
ば、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−ガ
ラクトピラノシド(X−gal)のようなβ−ガラクト
シダーゼの基質となる試薬を用いて染色することによ
り、簡便に本発明のタンパク質の動物生体内における発
現状態を観察することができる。具体的には、本発明の
タンパク質欠損マウスまたはその組織切片をグルタルア
ルデヒドなどで固定し、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩
液(PBS)で洗浄後、X−galを含む染色液で、室
温または7℃付近で、約30分ないし1時間反応させた
後、組織標本を1mMEDTA/PBS溶液で洗浄する
ことによって、β−ガラクトシダーゼ反応を停止させ、
呈色を観察すればよい。また、常法に従い、lacZを
コードするmRNAを検出してもよい。このような本発
明のタンパク質発現不全動物は、本発明のタンパク質の
プロモーターを活性化または不活化する物質をスクリー
ニングする上で極めて有用であり、本発明のタンパク質
発現不全に起因する各種疾患の原因究明または治療薬の
開発に大きく貢献することができる。
【0105】本明細書および図面において、塩基やアミ
ノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC−IUB
Commission on Biochemical Nomenclature による略号
あるいは当該分野における慣用略号に基づくものであ
り、その例を下記する。またアミノ酸に関し光学異性体
があり得る場合は、特に明示しなければL体を示すもの
とする。 DNA :デオキシリボ核酸 cDNA :相補的デオキシリボ核酸 A :アデニン T :チミン G :グアニン C :シトシン RNA :リボ核酸 mRNA :メッセンジャーリボ核酸 dATP :デオキシアデノシン三リン酸 dTTP :デオキシチミジン三リン酸 dGTP :デオキシグアノシン三リン酸 dCTP :デオキシシチジン三リン酸 ATP :アデノシン三リン酸 EDTA :エチレンジアミン四酢酸 SDS :ドデシル硫酸ナトリウム
【0106】 Gly :グリシン Ala :アラニン Val :バリン Leu :ロイシン Ile :イソロイシン Ser :セリン Thr :スレオニン Cys :システイン Met :メチオニン Glu :グルタミン酸 Asp :アスパラギン酸 Lys :リジン Arg :アルギニン His :ヒスチジン Phe :フェニルアラニン Tyr :チロシン Trp :トリプトファン Pro :プロリン Asn :アスパラギン Gln :グルタミン pGlu :ピログルタミン酸 Me :メチル基 Et :エチル基 Bu :ブチル基 Ph :フェニル基 TC :チアゾリジン−4(R)−カルボキ
サミド基
【0107】また、本明細書中で繁用される置換基、保
護基および試薬を下記の記号で表記する。 Tos :p−トルエンスルフォニル CHO :ホルミル Bzl :ベンジル Cl2Bzl :2,6−ジクロロベンジル Bom :ベンジルオキシメチル Z :ベンジルオキシカルボニル Cl−Z :2−クロロベンジルオキシカルボニル Br−Z :2−ブロモベンジルオキシカルボニル Boc :t−ブトキシカルボニル DNP :ジニトロフェノール Trt :トリチル Bum :t−ブトキシメチル Fmoc :N−9−フルオレニルメトキシカルボニル HOBt :1−ヒドロキシベンズトリアゾール HOOBt :3,4−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−4−オキソ− 1,2,3−ベンゾトリアジン HONB :1-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミド DCC :N、N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド
【0108】本明細書の配列表の配列番号は、以下の配
列を示す。 〔配列番号:1〕本発明のヒト由来タンパク質のアミノ
酸配列を示す。 〔配列番号:2〕本発明のヒト由来タンパク質をコード
するDNAの塩基配列を示す。 〔配列番号:3〕プラスミドpCR−PHOSに挿入さ
れている、本発明のヒト由来タンパク質をコードするD
NAを含有するDNAの塩基配列を示す。
【0109】〔配列番号:4〕本発明のヒト由来タンパ
ク質をコードするDNAをクローニングするために使用
したプライマーの塩基配列を示す。 〔配列番号:5〕本発明のヒト由来タンパク質をコード
するDNAをクローニングするために使用したプライマ
ーの塩基配列を示す。 〔配列番号:6〕本発明のヒト由来タンパク質をコード
するDNAをクローニングするために使用したプライマ
ーの塩基配列を示す。 〔配列番号:7〕実施例1で用いられたXhoIサイト
を含むOligo(dT)18リンカープライマーの塩基
配列を示す。 〔配列番号:8〕本発明のヒト由来タンパク質をコード
するDNAをクローニングするために使用したプライマ
ーの塩基配列を示す。 〔配列番号:9〕本発明のヒト由来タンパク質をコード
するDNAをクローニングするために使用したプライマ
ーの塩基配列を示す。 〔配列番号:10〕本発明のヒト由来タンパク質をコー
ドするDNAをクローニングするために使用したプライ
マーの塩基配列を示す。
【0110】後述の実施例1で得られた形質転換体エシ
ェリヒア コリ(Escherichia coli)TOP10/pC
R−PHOSは、平成12年5月29日から通商産業省
工業技術院生命工学工業技術研究所(NIBH)に寄託
番号FERM BP−7172として、また平成12年
5月11日から財団法人・発酵研究所(IFO)に寄託
番号IFO 16431として寄託されている。後述の
実施例2で得られた形質転換エシェリヒア コリ(Esch
erichia coli)MM294(DE3)/pTCII−mPH
OS−2は、2001年6月7日から日本国茨城県つく
ば市東1−1−1 中央第6、独立行政法人産業技術総
合研究所特許生物寄託センターに寄託番号FERM B
P−7625として、また受託番号IFO 16646
として2001年5月31日付で日本国大阪府大阪市淀
川区十三本町2−17−85、財団法人発酵研究所(I
FO)に寄託されている。後述の実施例6で得られた形
質転換エシェリヒア コリ(Escherichia coli)JM109/
pT-PHOSF-11は、2001年6月7日から日本国茨城県
つくば市東1−1−1 中央第6、独立行政法人産業技
術総合研究所 特許生物寄託センターに寄託番号FER
M BP−7626として、また受託番号IFO 16
647として2001年5月31日付で日本国大阪府大
阪市淀川区十三本町2−17−85、財団法人発酵研究
所(IFO)に寄託されている。
【0111】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はそれに限定されるものではな
い。なお、大腸菌を用いての遺伝子操作法は、モレキュ
ラー・クローニング(Molecular cloning)に記載され
ている方法に従った。
【0112】[実施例1]リン利尿活性および/または
低リン血症誘導活性を有する新規なタンパク質、フォス
ファトニン(phosphatonin)」をコードするcDNAの
クローニング OHO患者腫瘍由来のcDNAライブラリーは以下のよ
うにして調製した。すなわち、OHO患者の副鼻腔腫瘍
組織より、フェノール-クロロホルム-イソアミルアルコ
ール、LiCl沈澱法(プラント・セル・フィジオロジ
ー(PLANT CELLPHYSIOLOGY)36, 85-93, 1995)に準じ
totalRNAを取得した。抽出したtotalRN
A約480μgから、Oligotex(dT)30−S
uper(宝酒造(株))を用いてpoly(A)+
RNA約6μgを取得した。cDNAライブラリーはグ
ブラーとホフマン(Gubler and Hoffman)の方法に従っ
て作製した。poly(A)+ RNA(2.5μ
g)、XhoIサイトを含むOligo(dT)18−リ
ンカープライマー((GA)10ACGCGTCGACTCGAGCGGCCGCGGA
CCG(T)18)(配列番号:7)、5−methyldCT
P、dATP、dGTP、dTTP、RAV−2リバー
ストランスクリプターゼおよびSuperscript
IIリバーストランスクリプターゼを用いてfirst
strand DNAを合成した。これにRNase
H、DNAポリメラーゼIおよびdNTP mixtureを反
応させ、second strand DNAを合成し
た。Second strand DNA の末端を
平滑化した後、T4 DNAリガーゼを用いてEcoR
I−NotI−BamHIアダプター(宝酒造(株))
をライゲーションした。これを制限酵素XhoIで切断
後スピンカラムを用いて低分子量DNAを除去し、T4
DNAリガーゼを用いてλZAPII(EcoRI-XhoI切
断)(STRATAGENE社)とベクターライゲーションした。
こうして得られたλファージベクターをインビトロパッ
ケージングキット(STRATAGENE社)を用いてλファージ
前駆体タンパク質に組み込み、λファージライブラリー
を作製した。ライブラリーのタイターは宿主として大腸
菌XL1 Blue MRF’を用いて測定した。プライマリーλフ
ァージライブラリーのタイターは1.0x106 pf
u/mlであった。宿主として大腸菌XL1 Blue MRF’を
用いてプライマリーλファージライブラリーを4℃、終
夜増幅した。シャーレ(直径150 mm)1枚あたり約5x
104個のプラークを形成させ、これにSMバッファー
10mlを重層した。回収したSMバッファーにジメチ
ルスルホキシドを終濃度7%となるよう加え、−80℃
で保存した。増幅したλファージライブラリーのタイタ
ーは1.0 x 109 pfu/ml以上であった。
【0113】フォスファトニンcDNAのクローニング
は、PCR法によって行なった。上記で作製したOHO
患者腫瘍由来のλファージライブラリーを鋳型とし、プ
ライマーとして、cDNAライブラリーに用いたホスト
ベクター、pBluescript SK(+/−)の
マルチクローニングサイトの5’側にある配列番号:4
の合成オリゴDNAをフォワードプライマー、Rowe
P.S.N.の国際特許出願 国際公開公報(WO 9
9/60017号)に記載のフォスファトニン遺伝子配
列の終止コドンの3’側にある配列番号:5の合成オリ
ゴDNAをリバースプライマーとして用いた。 5'−GGAAACAGCTATGACCATG−3'
(配列番号:4) 5'−TCAGGTGGCTCTCCTCTACATC
AACTCACA−3'(配列番号:5) PCR反応は、TaKaRa Ex Taq(宝酒造
(株))を含む系で、サーマルサイクラー(GeneAmp PC
R System、PEアプライドバイオシステムズ社)を用いて
95℃,3分を1サイクル、95℃,45秒、58℃,
45秒、72℃,3分を30サイクル、72℃,5分を
1サイクル、4℃放置の条件で行なった。得られた増幅
断片を1%アガロースゲル電気泳動に供しメインバンド
を抽出精製した後、TOPO TA クローニングキッ
ト(インビトロジェン社)を用いてpCRII−TOP
Oベクター(インビトロジェン社)に挿入し、大腸菌T
OP10株に導入した。得られた形質転換菌からプラス
ミドDNAを抽出し、ビッグダイターミネーターサイク
ルシークエンスレディリアクションキット(PEアプラ
イドバイオシステムズ社)を用いてPCR反応を行な
い、ABI PRISMTM 377 DNAシーケンサ
ー(PEアプライドバイオシステムズ社)によりcDNA
断片の塩基配列を決定した。取得したクローン#1の保
持するプラスミドDNAは、Rowe P.S.N.の
国際特許出願 国際公開公報(WO 99/60017
号)に記載のフォスファトニンのVal(1番目)から
Asp(430番目)をコードする1290個の塩基配
列と本質的に同一の塩基配列を含む1713個の塩基配
列を有しており、525個のアミノ酸からなるフォスフ
ァトニンタンパク質をコードしていた。
【0114】クローン#1の保持するプラスミドDNA
のインサート配列はRowe P.S.N.の国際特許
出願 国際公開公報(WO 99/60017号)に記
載のフォスファトニン遺伝子配列および同時に得られた
他のクローンの保持するプラスミドDNAのインサート
配列と数塩基異なっていた。そこで真のフォスファトニ
ン遺伝子配列を確定するため、増幅精度(fideli
ty)のより高いPyrobestDNA polym
eraseを用いてPCRを行った。上記で作製したO
HO患者腫瘍由来のλファージライブラリーを鋳型と
し、プライマーとして、先のクローンAにおける開始コ
ドンATGの5’側から始まる配列番号:6の合成オリ
ゴDNAをフォワードプライマー、配列番号:5の合成
オリゴDNAをリバースプライマーとして用いた。 5'−CTCAAAGATGCGAGTTTTCTGT
GTGGGA−3'(配列番号:6) PCR反応はサーマルサイクラー(GeneAmp PCR Syste
m、PEアプライドバイオシステムズ社)を用いて98
℃,10秒、56℃,45秒、72℃,3分を30サイ
クル、4℃放置の条件で行なった。得られた増幅断片を
1%アガロースゲル電気泳動に供しメインバンドを抽出
精製した後、Zero Blunt PCRクローニン
グキット(インビトロジェン社)を用いてpCR−Bl
untベクター(インビトロジェン社)に挿入し、大腸
菌TOP10株に導入した。得られた形質転換菌からプ
ラスミドDNAを抽出し、ビッグダイターミネーターサ
イクルシークエンスレディリアクションキット(PEア
プライドバイオシステムズ社)を用いてPCR反応を行
ない、ABI PRISMTM 377 DNAシーケン
サー(PEアプライドバイオシステムズ社)によりcDN
A断片の塩基配列を決定した。こうして本発明のフォス
ファトニンタンパク質をコードするDNAを保持するプ
ラスミドpCR−PHOSを含有する形質転換体:エシ
ェリヒア コリ(Escherichia coli)TOP10/pC
R−PHOS(クローン#9)を得た。取得したTOP
10/pCR−PHOS(クローン#9)が保持するプ
ラスミドDNAは配列番号:2で表される1575個の
塩基配列を含む配列番号:3で表される1662個の塩
基配列を有しており、配列番号:1で表される525個
のアミノ酸からなるフォスファトニンタンパク質をコー
ドしていた(図1〜4)。アミノ酸配列から推定される
本発明のタンパク質のタンパク質部分(シグナルペプチ
ドを含む)の分子量は58.4kDaであった。配列番
号:3で表される塩基配列はRowe P.S.N.の
国際特許出願 国際公開公報(WO 99/60017
号)に記載のフォスファトニンのVal(1番目)から
Asp(430番目)をコードする1290個の塩基配
列と本質的に同一の塩基配列を含有し、さらにその5’
領域に開始のMetから成る95個のアミノ酸配列をコ
ードする新規の285個の塩基配列を含有していた。配
列番号:3で表される塩基配列とRowe P.S.
N.の国際特許出願 国際公開公報(WO 99/60
017号)に記載のフォスファトニンの塩基配列との共
通配列の中で、唯一293番目の塩基が異なっており
(Rowe P.S.N.公開公報:G1→配列番号:3:
293)、それに伴い配列番号:1で表されるアミノ酸
配列も1残基異なっていた(Rowe P.S.N.公開公報:V
al1→配列番号:1:Leu96)。
【0115】配列番号:1で表されるアミノ酸配列の疎
水性度をKite Doolittle法により推定し
たところ、Metで始まるN末端領域は局所的に疎水性
が高いことが明らかとなり、シグナル配列の存在が示唆
された(図5)。分泌タンパク質であるインターロイキ
ン-2のN末端配列(Ala−Pro−Thr−)と同
一の配列(Ala17−Thr19)が配列番号:1にも存
在することから、Met1−Ala16がシグナル配列で
あると予想された。配列番号:1で表されるアミノ酸配
列のMet1−Ala16を除く領域は親水性が非常に高
く、また膜貫通領域を含まないことから、本発明のタン
パク質が細胞外に分泌されるタンパク質であることが予
想された。これはフォスファトニンが液性因子であるこ
とと合致する。
【0116】配列番号:1で表されるアミノ酸配列のモ
チーフ解析を高速ホモロジー検索ツール「Gapped
BLAST」を用いて行って見出されたモチーフを表
1に示す。
【表1】 配列番号:1で表される本発明のタンパク質はAsn
477−Thr480、Asn 478−Arg481に糖鎖結合部位
を、Ser256−Gly259にグリコサミノグリカン結合
部位をそれぞれ有していた。配列番号:1で表される本
発明のタンパク質は細胞接着に関わるRGD配列(Ar
247−Asp249)を有していた。RGD配列はコラー
ゲン、ビトロネクチン、フィブリノーゲン、フォンヴィ
ルブランドファクターなどにもその存在が知られてお
り、本発明のタンパク質においてもこの部位が細胞との
相互作用に寄与していることが予想された。配列番号:
1で表される本発明のタンパク質はプロテインキナーゼ
C、カゼインキナーゼII、cAMP依存性プロテイン
キナーゼ、チロシンキナーゼによる数多くのリン酸化部
位を有しており(表1)、これらが本発明のタンパク質
およびその部分ペプチドの生物活性においてなんらかの
役割を果たしていると考えられた。また配列番号:1で
表される本発明のタンパク質はコラーゲン、ビトロネク
チン、フィブロネクチン、オステオポンチン、デンティ
ン-シアロフォスフォプロテイン(DSSP)などのリ
ン酸化糖タンパク質に特徴的なミリストイル化部位を数
多く有していた(表1)。本発明のタンパク質のC末端
領域にはアスパラギン酸およびセリンに富んだ配列(A
sp509−Ser522;DSSESSDSGSSSES)
が存在し、DSSPに繰り返し見られる配列、例えばA
sp686−Ser699;DSSDSSDSSSSSDSと
79%と高いホモロジーを示した。同様の配列がオステ
オポンチンにも存在しており(Asp101−Asp116
DDSHQSDESHHHSDESD)、これらのこと
から本発明のタンパク質と骨形成との関連が示唆され
た。フォスファトニンはPHEX遺伝子産物により切断
されると考えられているが、配列番号:1で表されるア
ミノ酸配列は亜鉛メタロエンドペプチダーゼの基質特異
性に合致するアミノ酸配列(Ala327−Ser333;A
DAVDVS)を有していることから、この部位(Va
330−Asp331)がPHEX遺伝子産物により切断さ
れることが予想された。
【0117】[実施例2] 大腸菌での組換え型Phosph
atoninの発現 シグナル配列(Met1-Ala16)を除いた成熟型phosphatonin
発現用プラスミドを構築し大腸菌発現を試みた。まず成
熟型phosphatoninの5’末端領域配列にNde Iサイトと開
始コドンATGを付加したオリゴDNAをフォワードプライマ
ー(5’-CATATGGCACCAACATTTCAACCACAGA-3’ 配列番
号:8)、終止コドンの3’側のDNA配列を有するオリゴ
DNAをリバースプライマー(5’-CTCTCGTCGACATCAACTCAC
A-3’ 配列番号:9)として、動物細胞発現用プラスミ
ドpCR−PHOS-9(実施例1)を鋳型としてpyrobe
stDNA polymerase(宝酒造(株))によるPCR(98℃×4
5秒、56℃×45秒、72℃×3分、30サイクル)を行った。
得られたPCR産物を1%アガロースゲル電気泳動で精製
し、pCR Blant vector (Invitrogen)とライゲーション
後TOP10コンピテントセルに形質転換した。コロニーPCR
によって得られた陽性株12株からプラスミドDNA(pCR-mP
HOS)を調製し、Sac I消化により逆方向にインサートの
入った3株を選んだ。これらはいずれも正しいDNA配列を
有していた。インサートの5’側にあるホストベクター
のBam HIサイトを利用し、これら3種のプラスミドDNAを
Nde I/BamHI消化し、1%アガロースゲル電気泳動に供し
てインサートを精製した。同様にして調製したpTCII(Nd
e I/Bam HI)アームとこれらのインサートとをライゲー
ションし、JM109コンピテントセルに形質転換した。得
られた形質転換体(JM109/pTCII-mPHOS-2)からプラスミ
ドDNAを調製し、Nde I/Bam HI消化によりインサートの
存在を確認した。pTCII-mPHOS-2(図6)は正しい成熟
型phosphatoninをコードするDNA配列を有していた。次
に、pTCII-mPHOS-2をT7RNAポリメラーゼ遺伝子(la
cプロモーター制御下)を有する発現用大腸菌株(MM294(D
E3))コンピテントセルにトランスフェクトし、大腸菌M
M294(DE3)/pTCII−mPHOS−2を得た。
この形質転換株を、10μg/mlのテトラサイクリン
を含むLB培地(1%ペプトン、0.5%酵母エキス、
0.5%塩化ナトリウム)1リットルを仕込んだ2リッ
トル容フラスコ中で37℃、8時間振とう培養した。得
られた培養液を5μg/mlのテトラサイクリンを含む
主発酵培地(1.68%リン酸一水素ナトリウム、0.
3%リン酸二水素カリウム、0.1%塩化アンモニウ
ム、0.05%塩化ナトリウム、0.05%硫酸マグネ
シウム、0.02%消泡剤、0.00025%硫酸第一
鉄、0.0005%塩酸チアミン、1.5%ブドウ糖、
1.5%カザミノ酸)19リットルを仕込んだ50リッ
トル容発酵槽へ移植して、37℃で通気撹拌培養を開始
した。培養液の濁度が約500クレット単位になった時
点で、75μM分のイソプロピル−β−D−チオガラク
トピラノシド(IPTG)を添加し、さらに3.5時間
培養を続けた(1530クレット)。最終的にこの培養液
の遠心分離を行うことにより、約300gの湿菌体が得
られ、−80℃に凍結保存された。なお本菌体における
Phosphatoninの発現量は、菌体抽出液をSDS-PAGEに供
し、Phosphatoninが示す60Kdのバンドの染色度から、
約15mg/g湿菌体(300mg/L)と推測された。ま
た、これらの菌体を20 mM EDTA(pH6)および20 mM Tris-
HCl/8M Urea(pH8)中で順次超音波処理し成熟型phosphat
oninの発現形態を調べると、全てが可溶性画分に存在し
ていた。
【0118】[実施例3] 組換え型Phosphatoninの精
製 実施例2で得られた菌体50gに、50mM 2−(N
−モルホリノ)エタンスルホン酸 (MES)/NaO
H、1mM p−アミジノフェニルメタンスホニルライ
ド塩酸塩(APMSF塩酸塩)(pH6.0)2Lを加
えて超音波破砕機(ソニファー 450)(ブランソン
(株))を用いて4℃、10分間の菌体破砕を3回繰り
返した後、遠心分離(8000rpm、30分間)を行
い、上澄液を得た。この上澄液を限外濾過膜(再生セル
ロース膜 分画分子量10K(k dalton)、膜面積0.
1m2 X 2枚)(ザリトリウス(株))で濃縮、50
mM MES/NaOHに置換し、遠心分離(6000
rpm、20分間)を行ない上澄液1000mLを得
た。本上澄液500mLを50mM MES/NaOH
(pH6.0)で平衡化したSP−トヨパール 550
C(5cmID X 20cmL、400mL)(東ソー
(株))に吸着させた後、20mL/分の流速で0.5
M NaCl 50mM MES/NaOH(pH6.
0)で洗浄し、0.8M NaCl 50mM MES/
NaOH(pH6.0)でPhosphatoninを溶出させた。
本操作を上澄液半量ずつ2回に分けて行った。溶出液を
前述の限外濾過膜で濃縮し50mM MES/NaOH
(pH6.0)置換した後、続いて、50mM MES
/NaOH(pH6.0)で平衡化したCM−5PW
(21.5mmID X 150mmL、13μm)(東
ソー(株))に吸着させた後、0〜50%B(B=50
mM MES/NaOH(pH6.0)、1.5M Na
Cl)の段階勾配で40分間、5ml/分の流速で溶出
し、Phosphatoninのフラクションをプールした。本溶出
液を限外濾過膜(ビバスピン20 分画分子量10K
(k dalton))(ザリトリウス (株))で濃縮した。最
後にPBSで平衡化したSuperdex 200(1
0mmID X 30mmL、10μm)(アマシャム
ファルマシア(株))にアプライし、0.5mL/分の
流速で溶出した。Phosphatonin溶出画分をプールし標品
約30mgを得た。このようにして得られたPhosphaton
in標品の純度を測定する目的で、SDSポリアクリルア
ミドゲル電気泳動を行った。本標品を100mM DT
Tを添加したSample buffer[Laemmli, N
ature, 227, 680 (1979)]に懸濁し、95℃で1分間加
熱した後、マルチゲル10/20(第一化学薬品)で電
気泳動を行った。泳動後のゲルをクーマシー・ブリリア
ント・ブルー(Coomassie brilliant blue)で染色した
結果、約60Kdに単一バンドの蛋白が認められた。こ
のことからPhosphatoninの本標品は単一であり、きわめ
て高純度の標品であることが分かった(図7)。Phosph
atoninの純度を測定する目的でギルソンHPLCシステ
ム(ギルソン(株))を用いイオン交換、逆相HPLC
により分析を行った。イオン交換HPLCにおいては5
0mM MES/NaOH(pH6.0)で平衡化した
CM−5PW(7.5mmID X 75mmL、10μ
m)(東ソー(株))にPhosphatonin 30μgを注入
し、20〜70%B(B=50mM MES/NaOH
(pH5.8)、1.5M NaCl)の段階勾配で3
0分間、0.8ml/分の流速で溶出した。逆相HPL
Cにおいては30%B(A=0.1%トリフルオロ酢酸
(TFA)、B=80% アセトニトリル/0.1%T
FA)で平衡化したC4P−50(4.6mmID X
250mmL、5μm)(昭和電工(株))にPhosphat
onin 15μgを注入し10〜50%Bの段階勾配で4
0分間、0.5ml/分の流速で溶出した。検出は28
0ナノメートルの波長で行い、得られたデータはクロマ
トコーダー21(システム インスツルメンツ(株))
で波形処理を行い純度を計算した。その結果、Phosphat
oninは単一ピークを示し、このことからPhosphatoninの
本標品は単一であり、きわめて高純度の標品であること
が分かった(図8)。
【0119】得られたPhosphatoninについて、そのアミ
ノ酸組成値をアミノ酸分析計(日立L−8500A)を
用いて決定した。結果を[表2]に示す。本標品の測定
値は、N末端にMetが付加されたPhosphatoninのアミ
ノ酸組成の理論値と一致した。 [表2] アミノ酸 Phosphatoninの塩基配列 1モルあたりの残基数 より予想される値 Asx 74 70.4 Thr1) 23 21.9 Ser1) 56 39.9 Glx 70 71.7 Pro 28 29.2 Gly 46 45.0 Ala 22 21.5 Cys2) 1 N.D Val 13 13.2 Met 7 7.4 Ile 25 23.1 Leu 21 21 Tyr 12 12.0 Phe 13 12.1 Lys 50 48.1 His 18 17.8 Trp 1 0.6Arg 29 25.5 酸加水分解(6N HCl−4%チオグリコール酸、1
10℃、24及び48時間加水分解の平均値) 1)0時間に外挿した値 2)未検出 約10μgを用いて分析を行った。
【0120】N末端アミノ酸配列を気相プロテインシー
ケンサー(アプライドバイオシステムモデル492)を
用いて決定した。その結果、得られたPhosphatoninのN
末端にはMet付加体と付加していないものの混合物で
ある他は塩基配列から推定されたPhosphatoninのN末端
アミノ酸配列と一致した(図9)。実施例1に示されるよ
うにPhosphatoninはリン酸化修飾を受けやすいモチーフ
を有しているので、カゼイン キナーゼIIによるリン酸
化を行った。前述の精製Phosphatonin7.5mgを20
mM N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N‘−2
−エタンスルホン酸(HEPES)/NaOH 15m
M NaCl 15mM MgCl2 0.3mM ATP
pH7.5で希釈した後、37℃の恒温水槽で5分間予
備加温した後カゼイン キナーゼII(CALBIOCH
EM(株))を47mU添加し、37℃で60分間反応
させた。反応終了後氷冷し、限外濾過膜(ビバスピン2
0 分画分子量10K(k dalton))(ザリトリウス
(株))で濃縮した。濃縮液をPBSで平衡化したSup
erdex 200(10mmID X 30mmL、1
3μm)(アマシャム ファルマシア(株))にアプラ
イし、0.5mL/分の流速で溶出し、Phosphatonin溶
出画分をプールした。リン酸化Phosphatoninを確認する
目的で、前述のSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動
を行った(マルチゲル12.5(第一化学薬品))泳動
後のゲルをクーマシー・ブリリアント・ブルー(Coomas
sie brilliant blue)で染色した結果、反応の前後で分
子量の変化が認められ、このことからPhosphatoninはリ
ン酸化されていることが明らかになった(図10)。
【0121】[実施例4] ポリクローナル抗体の作製 実施例3で得られたPhosphatoninをフロイント完全アジ
ュバントもしくは不完全アジュバントを用いエマルジョ
ン化しKbl:JW系の兎に2週間毎に1mgずつ皮下
注射により免疫し10週間飼育した。10週目に頸動脈
より全血液を回収し、遠心分離により抗血清約70mL
を得たのち防腐剤(0.05%アジ化ナトリウム)を添
加し4℃に保存した。抗血清から抗体を精製するに先立
ちNHS−Hitrap(1mL 10μ)(アマシャ
ム ファルマシア(株))に実施例3で精製したPhosph
atonin 3mgをカップリングしPhosphatonin NHS Hitr
ap抗原カラムを作成した。カップリング収率は95%で
あった。前述の抗血清6mLをMAPSII バインデ
ィング バッファー(日本バイオラッド(株))で2倍
に希釈し、あらかじめ同バッファーで平衡化したプロテ
インA Sepharose FF(16mmID X
50mmL、50μm10mL)(アマシャム ファル
マシア(株))に吸着させ、プロテインA MAPSI
Iバインディング バッファーで洗浄した後にプロテイ
ンA MAPSII エリューション バッファー(日
本バイオラッド(株))にてIgG画分を溶出した。得
られた画分は1M Tris/HCl(pH8.0)を
用いて中和した後、PBSで4℃一夜透析した。透析液
を0.1M Tris/HCl(pH8.0)で平衡化
したPhosphatonin NHS Hitrap抗原カラム(1mL)に
吸着させた後同バッファーで洗浄しのち、0.5M N
aCl 0.1M Tris/HCl(pH8.0)で非
吸着画分を、0.5M NaCl 0.1M酢酸緩衝液
(pH4.5)で低力価の抗体を除去した後0.5M
NaCl 0.1M Glycine/HCl(pH2.
7)で高力価の抗体を溶出し、溶出画分はすぐに1M
Tris/HClで中和した。溶出画分を集めPBSで
透析して抗Phosphatonin抗体16mgを精製した。
【0122】[実施例5] ELISA系の設定 実施例4で得られた抗体を用いてELISA系の設定を
行った。本ELISA系はサンドイッチ法で行なった。
系の設定に先立ち実施例4で得られた抗体3mgを用い
ビオチン化抗体をEZ−Link Sulfo−NHS
−LC ビオチレーションキット(ピアス(株))を用
いて調製した。2.7mgのビオチン化抗体が得られビ
オチン付加量は抗体1分子についてビオチン7.5個で
あった。ELISAは96穴マイクロウエルプレート
(マキシソープ・ヌンク(株))を用いて行った。初め
に実施例4で得られた抗Phosphatonin抗体を50mM
炭酸ナトリウム緩衝液(pH9.6)に5μg/mLの
濃度になるように希釈し各ウエルに100μL添加し4
℃で一夜放置し吸着させた。次に10mM リン酸緩衝
液 1mM EDTA 0.05%(V/V)のTwee
n 20 (pH7.4)の洗浄液で200μL/ウエルで
4回洗浄し、ブロック液(25%ブロックエース(大日
本製薬)をPBSで希釈)100μL/ウエルを加え室
温2時間放置した。次に前述の洗浄操作を行い、10%
ブロックエース−PBS 0.1%(V/V)Twee
n 20で希釈した組換え型PhosphatoninCHO細胞培
養上清(実施例7に記載)やヒト血清などの試料液や実
施例2で示した大腸菌調製Phosphatoninを0.25〜2
ng/mLの濃度に希釈した標準液を100μL/ウエ
ル添加した後室温で2時間プレート上の抗体に結合させ
た。前述の洗浄操作の後10%ブロックエース−PBS
0.1%(V/V)Tween 20で3μg/mLの
濃度に希釈したビオチン化抗Phosphatonin抗体を100
μL/ウエル添加した後室温で1時間結合させた。前述
の洗浄操作の後PBS 0.1%(V/V)Tween
20で0.5μg/mLの濃度に希釈したホースラディ
シュ ペルオキシダ−ゼ標識ストレプトアビジン(ピア
ス(株))を100μL/ウエル添加し室温で30分間
放置した。前述の洗浄操作の後TMB(日本バイオラッ
ド(株))を添加し十分な発色が得られるまで放置し、
100μL/ウエルの1N硫酸を添加し反応を停止した
後450nmの吸光度を測定した。検出限界は0.1n
g/mL、測定範囲は0.1〜3ng/mLであった
(図11)。特に高濃度のCHO細胞発現細胞細胞上清
測定時は検出範囲の広い系が必要であり、上記記載の実
施例の酵素として2μg/mLのアルカリホスファター
ゼー標識ストレレプトアビジン(ピアス(株))を用
い、基質をBlue Phos(KPL(株))を用い
た。この時検出限界は0.5ng/mL、測定範囲は
0.5〜30ng/mLの範囲であった。本測定系を用
いてヒト血清中の定量を行った。各血清を前述の10%
ブロックエース−PBS 0.1%(V/V)Twee
n 20で20倍に希釈した後、ELISA系に供し
た。OHO患者と健康な成人との比較を行ったが、OH
O患者では健康な成人より高値を示し、腫瘍を切除する
と約2割程数値が減少していた(図12)。これよりPh
osphatonin測定ELISA系は腫瘍性低リン酸血症の診
断薬として非常に有用であることが示された。
【0123】[実施例6] CHO細胞株での組換え型
Phosphatoninの分泌発現 phosphatonin全長cDNAを含有するプラスミド(pCR-PHOS
-9)を鋳型に、開始コドンを含むフォワードプライマー
(5’-CTCAAAGATGCGAGTTTTCTGTGTGGGA-3’配列番号:
6)と終止コドンの前にFLAG配列をコードする遺伝子を
挿入したリバースプライマー( 5’-CTACTTATCGTCGTCAT
CCTTGTAATCGTCACCATCGCTCTCACTTGA-3’配列番号:1
0)とを用いてPyrobest DNA polymerase(宝酒造)によ
るPCR反応(98℃×45秒、56℃×45秒、72℃×3分、30サ
イクル)を行った。PCR産物を1%アガロースゲル電気泳
動に供し、目的サイズのバンドをゲルから抽出、精製し
た。このPCR産物に3’末端にアデニンを付加した後、pT
ARGETTM Vector(Promega社)とライゲーションし、こ
れをJM 109コンピテントセルに形質転換した。コロニー
PCRにより得られた陽性株2株からプラスミドDNAを取得
し、Sac I(宝酒造)消化によるインサートチェックお
よびDNA配列分析を行って、順方向に正しいインサート
の入ったプラスミド(pT-PHOSF-11)を得た(図13)。p
hohsphatonin-FLAG発現プラスミド(pT-PHOSF-11)を制
限酵素AhdI(Biolabs社)で1個所切断後、エレクトロポ
レーション法を用いてCHO-K1細胞に導入した(1×107Ce
lls、Plasmid 10ug/800ul PBS、0.4cmCuvette、960uF-
0.25kV(BIO-RAD社))。10 mLのハムF12-10%FCS培地(Gib
co BRL社)で一晩培養した後、ジェネティシン(Gibco BR
L社)550ug/mlを含むハムF12-10%FCS培地で限外希釈によ
るクローニングを行った。各クローンの培養上清を実施
例5に示した ELISA系を用いて選択することにより高安
定発現株(CHO-PHOSF-11-34-24)を取得した。
【0124】[実施例7] CHO組換え型Phosphaton
inの精製 CHO細胞組換え型Phosphatoninの精製は抗Phosphatonin
抗体カラムを用いて行った。抗Phosphatonin抗体(実施
例4)50 mg をHiTrap-NHSカラム(5 mL, Amarsham Phar
masia 社)にカップリングすることにより抗Phosphatoni
n抗体カラムを作製した。高安定発現株(CHO-PHOSF-11-3
4-24)培養上清3Lを50mM Tris-HCl(pH 8.0)で平
衡化した抗Phosphatonin抗体カラムに吸着させた後、4
mL/分の流速で0.5 M NaCl, Tris-HCl(pH 8)で洗浄
し、0.5 M NaCl, 0.1 M glycin(pH 3.0)でPhosphaton
inを溶出させ、1M Tris-HCl(pH 8.0)で中和した。
溶出液を限外濾過膜(ビバスピン20 分画分子量10
K(k dalton))(ザリトリウス (株))で濃縮後、P
BSにバッファー置換し、標品とした(2.2 mg)。実施
例3と同様にSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動を
行った結果、約60Kdおよび糖鎖付加体と考えられる
高分子量の位置にバンドが認められた(図14)。
【0125】[実施例8] 組換え型Phosphatoninの活
性測定 CHO細胞組換え型Phosphatoninの腎におけるリン再吸収
阻害活性は正常ヒト近位尿細管上皮細胞(RPTEC, BioWh
ittaker社)を用いて行った。RPTECを24穴プレート(2x
104/well)でREGM (BioWhittaker社)を用いて37℃、5%
CO2で3日間培養した後、培地を0.1% BSA を含むRBGM
(BioWhittaker社)に置換し、37℃、5% CO2で一晩培養し
た。0.1% BSA を含むRBGMで希釈したCHO組換え型Pho
sphatonin(最終濃度1μg/mL)をウェルに添加し、37
℃,5% CO2で2時間反応させた後、培地を除去し洗浄バ
ッファー(10mM Tris-HEPES(pH7.4), 137 mM NaCl, 2.8
mM CaCl2,1.2 mM MgCl2, 5.4 mM KCl)1 mLで洗浄し
た。取り込みバッファー(10mM Tris-HEPES(pH7.4), 13
7 mM NaCl, 0.1 mM KH2 32PO4(0.5 mCi/mL), 2.8 mM CaC
l2,1.2 mM MgCl2, 5.4 mM KCl)を0.25 mL 添加し37
℃,5分間インキュベートした後、取り込みバッファー
を除去し、氷冷した停止バッファー(14mM Tris-HEPES
(pH7.4), 137 mM NaCl)1mLで3回洗浄した。0.5 N Na
OH 0.5 mLで細胞を可溶化し(タンパク濃度測定用とし
て10 mL を保存)、液体シンチレーションA液 3mLと
混合後、液体シンチレーションカウンターにより放射活
性を測定した。タンパク濃度はBCA Protein Assay Reag
ent (PIERCE社)を用いた。図15に示すようにCHO細
胞組換え型PhosphatoninはRPTECにおけるリン酸の細胞
内取り込みを阻害した。
【0126】
【発明の効果】本発明のタンパク質、その部分ペプチド
またはそれらの塩は、リン利尿活性、低リン血症誘導活
性、腎臓細胞におけるNa+-Pi輸送阻害活性、25-ヒドロ
キシビタミンD3-1α-ヒドロキシラーゼ阻害活性、25-
ヒドロキシビタミンD3-24-ヒドロキシラーゼ促進活性
などの作用を有している。したがって、本発明のタンパ
ク質、その部分ペプチドまたはそれらの塩、および本発
明のDNAは、例えば、高リン血症、動脈硬化、急性冠
症候群、心不全、脳卒中、慢性糸球体腎炎、糖尿病性腎
症、腎不全などの疾病の予防・治療剤などとして有用で
ある。また、本発明のDNAは、例えば腫瘍性低リン血
性骨軟化症(OHO)、家族性低リン血症性ビタミンD抵抗
性くる病(XLH)、常染色体優性遺伝を示す低リン血症
性くる病(ADHR)、高カルシウム尿症を伴う低リン血症
性くる病(HHRH)、ビタミンD抵抗性くる病、骨軟化
症、骨粗鬆症、腎性骨形成異常症、二次性副甲状腺機能
亢進症、パジェット病、腎ファンコーニ症候群、腎尿細
管性アシドーシス、嚢胞性線維症、嚢胞性線維性骨炎、
腎不全高リン血症、動脈硬化、急性冠症候群、心不全、
脳卒中、慢性糸球体腎炎、糖尿病性腎症、腎不全などの
疾患の遺伝子診断剤として有用である。本発明のタンパ
ク質、その部分ペプチドまたはそれらの塩に対する抗体
は、本発明のタンパク質、その部分ペプチドまたはそれ
らの塩を特異的に認識することができるので、被検液中
の本発明のタンパク質の定量、特にサンドイッチ免疫測
定法による定量などに使用することができる。また、本
発明のタンパク質、その部分ペプチドまたはそれらの塩
の活性を中和することができる抗体は、例えば腫瘍性低
リン血性骨軟化症(OHO)、家族性低リン血症性ビタミ
ンD抵抗性くる病(XLH)、常染色体優性遺伝を示す低リ
ン血症性くる病(ADHR)、高カルシウム尿症を伴う低リ
ン血症性くる病(HHRH)、ビタミンD抵抗性くる病、骨
軟化症、骨粗鬆症、腎性骨形成異常症、二次性副甲状腺
機能亢進症、パジェット病、腎ファンコーニ症候群、腎
尿細管性アシドーシス、嚢胞性線維症、嚢胞性線維性骨
炎、腎不全高リン血症、動脈硬化、急性冠症候群、心不
全、脳卒中、慢性糸球体腎炎、糖尿病性腎症、腎不全な
どの予防・治療剤などとして使用することができる。さ
らに、本発明のタンパク質、その部分ペプチドまたはそ
れらの塩は、レセプターアゴニスト/アンタゴニスト,
プロテイナーゼ阻害作用を有する化合物またはレセプタ
ー結合後の細胞内シグナル伝達を促進もしくは阻害する
化合物をスクリーニングするための試薬として有用であ
る。
【0127】
【配列表】 [Sequence Listing] <110> Takeda Chemical Industries, Ltd. <120> Novel Protein and its DNA <130> B01246 <150> JP 2000-191088 <151> 2000-06-21 <160> 10 <210> 1 <211> 525 <212> PRT <213> Human <400> 1 Met Arg Val Phe Cys Val Gly Leu Leu Leu Phe Ser Val Thr Trp Ala 1 5 10 15 Ala Pro Thr Phe Gln Pro Gln Thr Glu Lys Thr Lys Gln Ser Cys Val 20 25 30 Glu Glu Gln Arg Gln Glu Glu Lys Asn Lys Asp Asn Ile Gly Phe His 35 40 45 His Leu Gly Lys Arg Ile Asn Gln Glu Leu Ser Ser Lys Glu Asn Ile 50 55 60 Val Gln Glu Arg Lys Lys Asp Leu Ser Leu Ser Glu Ala Ser Glu Asn 65 70 75 80 Lys Gly Ser Ser Lys Ser Gln Asn Tyr Phe Thr Asn Arg Gln Arg Leu 85 90 95 Asn Lys Glu Tyr Ser Ile Ser Asn Lys Glu Asn Thr His Asn Gly Leu 100 105 110 Arg Met Ser Ile Tyr Pro Lys Ser Thr Gly Asn Lys Gly Phe Glu Asp 115 120 125 Gly Asp Asp Ala Ile Ser Lys Leu His Asp Gln Glu Glu Tyr Gly Ala 130 135 140 Ala Leu Ile Arg Asn Asn Met Gln His Ile Met Gly Pro Val Thr Ala 145 150 155 160 Ile Lys Leu Leu Gly Glu Glu Asn Lys Glu Asn Thr Pro Arg Asn Val 165 170 175 Leu Asn Ile Ile Pro Ala Ser Met Asn Tyr Ala Lys Ala His Ser Lys 180 185 190 Asp Lys Lys Lys Pro Gln Arg Asp Ser Gln Ala Gln Lys Ser Pro Val 195 200 205 Lys Ser Lys Ser Thr His Arg Ile Gln His Asn Ile Asp Tyr Leu Lys 210 215 220 His Leu Ser Lys Val Lys Lys Ile Pro Ser Asp Phe Glu Gly Ser Gly 225 230 235 240 Tyr Thr Asp Leu Gln Glu Arg Gly Asp Asn Asp Ile Ser Pro Phe Ser 245 250 255 Gly Asp Gly Gln Pro Phe Lys Asp Ile Pro Gly Lys Gly Glu Ala Thr 260 265 270 Gly Pro Asp Leu Glu Gly Lys Asp Ile Gln Thr Gly Phe Ala Gly Pro 275 280 285 Ser Glu Ala Glu Ser Thr His Leu Asp Thr Lys Lys Pro Gly Tyr Asn 290 295 300 Glu Ile Pro Glu Arg Glu Glu Asn Gly Gly Asn Thr Ile Gly Thr Arg 305 310 315 320 Asp Glu Thr Ala Lys Glu Ala Asp Ala Val Asp Val Ser Leu Val Glu 325 330 335 Gly Ser Asn Asp Ile Met Gly Ser Thr Asn Phe Lys Glu Leu Pro Gly 340 345 350 Arg Glu Gly Asn Arg Val Asp Ala Gly Ser Gln Asn Ala His Gln Gly 355 360 365 Lys Val Glu Phe His Tyr Pro Pro Ala Pro Ser Lys Glu Lys Arg Lys 370 375 380 Glu Gly Ser Ser Asp Ala Ala Glu Ser Thr Asn Tyr Asn Glu Ile Pro 385 390 395 400 Lys Asn Gly Lys Gly Ser Thr Arg Lys Gly Val Asp His Ser Asn Arg 405 410 415 Asn Gln Ala Thr Leu Asn Glu Lys Gln Arg Phe Pro Ser Lys Gly Lys 420 425 430 Ser Gln Gly Leu Pro Ile Pro Ser Arg Gly Leu Asp Asn Glu Ile Lys 435 440 445 Asn Glu Met Asp Ser Phe Asn Gly Pro Ser His Glu Asn Ile Ile Thr 450 455 460 His Gly Arg Lys Tyr His Tyr Val Pro His Arg Gln Asn Asn Ser Thr 465 470 475 480 Arg Asn Lys Gly Met Pro Gln Gly Lys Gly Ser Trp Gly Arg Gln Pro 485 490 495 His Ser Asn Arg Arg Phe Ser Ser Arg Arg Arg Asp Asp Ser Ser Glu 500 505 510 Ser Ser Asp Ser Gly Ser Ser Ser Glu Ser Asp Gly Asp 515 520 525 <210> 2 <211> 1575 <212> DNA <213> Human <400> 2 atgcgagttt tctgtgtggg actactcctt ttcagtgtga cctgggcagc accaacattt 60 caaccacaga ctgagaaaac taagcaaagc tgtgtggaag agcagaggca ggaagaaaaa 120 aacaaagaca atattggttt tcaccatttg ggcaagagaa taaatcaaga gctatcatct 180 aaagaaaata ttgtccagga aagaaagaaa gatttgtccc tttctgaagc cagtgagaat 240 aagggaagta gtaaatctca aaattatttc acaaatagac agagactgaa taaagaatat 300 agtatcagta acaaagagaa tactcacaat ggcctgagga tgtcaattta tcctaagtca 360 actgggaata aagggtttga ggatggagat gatgctatca gcaaactaca tgaccaagaa 420 gaatatggcg cagctctcat cagaaataac atgcaacata taatggggcc agtgactgcg 480 attaaactcc tgggggaaga aaacaaagag aacacaccta ggaatgttct aaacataatc 540 ccagcaagta tgaattatgc taaagcacac tcgaaggata aaaagaagcc tcaaagagat 600 tcccaagccc agaaaagtcc agtaaaaagc aaaagcaccc atcgtattca acacaacatt 660 gactacctaa aacatctctc aaaagtcaaa aaaatcccca gtgattttga aggcagcggt 720 tatacagatc ttcaagagag aggggacaat gatatatctc ctttcagtgg ggacggccaa 780 ccttttaagg acattcctgg taaaggagaa gctactggtc ctgacctaga aggcaaagat 840 attcaaacag ggtttgcagg cccaagtgaa gctgagagta ctcatcttga cacaaaaaag 900 ccaggttata atgagatccc agagagagaa gaaaatggtg gaaataccat tggaactagg 960 gatgaaactg cgaaagaggc agatgctgtt gatgtcagcc ttgtagaggg cagcaacgat 1020 atcatgggta gtaccaattt taaggagctc cctggaagag aaggaaacag agtggatgct 1080 ggcagccaaa atgctcacca agggaaggtt gagtttcatt accctcctgc accctcaaaa 1140 gagaaaagaa aagaaggcag tagtgatgca gctgaaagta ccaactataa tgaaattcct 1200 aaaaatggca aaggcagtac cagaaagggt gtagatcatt ctaataggaa ccaagcaacc 1260 ttaaatgaaa aacaaaggtt tcctagtaag ggcaaaagtc agggcctgcc cattccttct 1320 cgtggtcttg ataatgaaat caaaaacgaa atggattcct ttaatggccc cagtcatgag 1380 aatataataa cacatggcag aaaatatcat tatgtacccc acagacaaaa taattctaca 1440 cggaataagg gtatgccaca agggaaaggc tcctggggta gacaacccca ttccaacagg 1500 aggtttagtt cccgtagaag ggatgacagt agtgagtcat ctgacagtgg cagttcaagt 1560 gagagcgatg gtgac 1575 <210> 3 <211> 1662 <212> DNA <213> Human <400> 3 ctcaaagatg cgagttttct gtgtgggact actccttttc agtgtgacct gggcagcacc 60 aacatttcaa ccacagactg agaaaactaa gcaaagctgt gtggaagagc agaggcagga 120 agaaaaaaac aaagacaata ttggttttca ccatttgggc aagagaataa atcaagagct 180 atcatctaaa gaaaatattg tccaggaaag aaagaaagat ttgtcccttt ctgaagccag 240 tgagaataag ggaagtagta aatctcaaaa ttatttcaca aatagacaga gactgaataa 300 agaatatagt atcagtaaca aagagaatac tcacaatggc ctgaggatgt caatttatcc 360 taagtcaact gggaataaag ggtttgagga tggagatgat gctatcagca aactacatga 420 ccaagaagaa tatggcgcag ctctcatcag aaataacatg caacatataa tggggccagt 480 gactgcgatt aaactcctgg gggaagaaaa caaagagaac acacctagga atgttctaaa 540 cataatccca gcaagtatga attatgctaa agcacactcg aaggataaaa agaagcctca 600 aagagattcc caagcccaga aaagtccagt aaaaagcaaa agcacccatc gtattcaaca 660 caacattgac tacctaaaac atctctcaaa agtcaaaaaa atccccagtg attttgaagg 720 cagcggttat acagatcttc aagagagagg ggacaatgat atatctcctt tcagtgggga 780 cggccaacct tttaaggaca ttcctggtaa aggagaagct actggtcctg acctagaagg 840 caaagatatt caaacagggt ttgcaggccc aagtgaagct gagagtactc atcttgacac 900 aaaaaagcca ggttataatg agatcccaga gagagaagaa aatggtggaa ataccattgg 960 aactagggat gaaactgcga aagaggcaga tgctgttgat gtcagccttg tagagggcag 1020 caacgatatc atgggtagta ccaattttaa ggagctccct ggaagagaag gaaacagagt 1080 ggatgctggc agccaaaatg ctcaccaagg gaaggttgag tttcattacc ctcctgcacc 1140 ctcaaaagag aaaagaaaag aaggcagtag tgatgcagct gaaagtacca actataatga 1200 aattcctaaa aatggcaaag gcagtaccag aaagggtgta gatcattcta ataggaacca 1260 agcaacctta aatgaaaaac aaaggtttcc tagtaagggc aaaagtcagg gcctgcccat 1320 tccttctcgt ggtcttgata atgaaatcaa aaacgaaatg gattccttta atggccccag 1380 tcatgagaat ataataacac atggcagaaa atatcattat gtaccccaca gacaaaataa 1440 ttctacacgg aataagggta tgccacaagg gaaaggctcc tggggtagac aaccccattc 1500 caacaggagg tttagttccc gtagaaggga tgacagtagt gagtcatctg acagtggcag 1560 ttcaagtgag agcgatggtg actagtccac caggagttcc cagcggggtg acagtctgaa 1620 gacctcgtca cctgtgagtt gatgtagagg agagccacct ga 1662 <210> 4 <211> 19 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 4 ggaaacagct atgaccatg 19 <210> 5 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 5 tcaggtggct ctcctctaca tcaactcaca 30 <210> 6 <211> 28 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 6 ctcaaagatg cgagttttct gtgtggga 28 <210> 7 <211> 60 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Oligo(dt)18-Linker Primer <400> 7 gagagagaga gagagagaga acgcgtcgac tcgagcggcc gcggaccgtt tttttttttt 60 <210> 8 <211> 28 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 8 catatggcac caacatttca accacaga 28 <210> 9 <211> 22 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 9 ctctcgtcga catcaactca ca 22 <210> 10 <211> 48 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 10 ctacttatcg tcgtcatcct tgtaatcgtc accatcgctc tcacttga 48
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたプラスミドpCR−PHO
Sに含まれる本発明のフォスファトニンタンパク質をコ
ードするDNAの塩基配列、およびそれから推定される
本発明のフォスファトニンタンパク質のアミノ酸配列を
示す(図2に続く)。
【図2】実施例1で得られたプラスミドpCR−PHO
Sに含まれる本発明のフォスファトニンタンパク質をコ
ードするDNAの塩基配列、およびそれから推定される
本発明のフォスファトニンタンパク質のアミノ酸配列を
示す(図1の続き、図3に続く)。
【図3】実施例1で得られたプラスミドpCR−PHO
Sに含まれる本発明のフォスファトニンタンパク質をコ
ードするDNAの塩基配列、およびそれから推定される
本発明のフォスファトニンタンパク質のアミノ酸配列を
示す(図2の続き、図4に続く)。
【図4】実施例1で得られたプラスミドpCR−PHO
Sに含まれる本発明のフォスファトニンタンパク質をコ
ードするDNAの塩基配列、およびそれから推定される
本発明のフォスファトニンタンパク質のアミノ酸配列を
示す(図3の続き)。
【図5】実施例1で得られた本発明のフォスファトニン
タンパク質のアミノ酸配列からKyte Doolit
tle法により推定した該タンパク質の親水性・疎水性
度を示す。
【図6】実施例2で得られたプラスミドpTCII-mPHOS-2
のプラスミド構築図を示す。
【図7】実施例3で得られた本発明のフォスファトニン
タンパク質のSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動図
を示す。
【図8】実施例3で得られた本発明のフォスファトニン
タンパク質のHPLC分析結果を示す。
【図9】実施例3で得られた本発明のフォスファトニン
タンパク質のN末端配列分析図を示す。
【図10】実施例3で得られたリン酸化Phosphatoninの
SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動図を示す。
【図11】Phosphatonin ELISAにおける検量線を示す。
【図12】ヒト血清中における本発明のフォスファトニ
ンタンパク質の量を示す。
【図13】実施例6で得られたプラスミドpT-PHOSF-11
のプラスミド構築図を示す。
【図14】実施例7で得られた本発明のフォスファトニ
ンタンパク質のSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動
図を示す。
【図15】実施例8記載のフォスファトニンタンパク質
の活性測定の結果を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 9/04 A61P 13/12 4C084 9/10 101 19/08 4H045 13/12 19/10 19/08 C07K 14/47 19/10 16/18 C07K 14/47 C12N 1/15 16/18 1/19 C12N 1/15 1/21 1/19 C12P 21/02 C 1/21 C12Q 1/02 5/10 1/26 C12P 21/02 1/37 C12Q 1/02 G01N 33/15 Z 1/26 33/50 Z 1/37 C12N 15/00 ZNAA G01N 33/15 5/00 A 33/50 A61K 37/02 (72)発明者 森本 茂人 大阪府大阪市天王寺区上本町8丁目2番1 号 403号室 Fターム(参考) 2G045 AA34 AA35 BB05 BB10 BB14 BB20 BB24 BB47 BB51 DA13 DA35 DA36 FB01 FB02 FB03 4B024 AA01 AA11 BA80 CA04 DA01 DA02 DA05 DA11 EA01 EA02 EA03 EA04 FA02 GA11 HA01 HA03 HA11 4B063 QA01 QA08 QA18 QA19 QQ01 QQ20 QQ22 QQ36 QR08 QR33 QR42 QR55 QR57 QR59 QR62 QR77 QR80 QS05 QS25 QS33 QS36 QX02 4B064 AG01 CA01 CA19 CC24 DA01 DA13 4B065 AA01X AA57X AA87X AA93Y AB01 AB02 BA01 BA08 CA24 CA25 CA44 CA46 4C084 AA02 AA13 BA01 BA22 BA23 CA17 CA53 CA59 DC50 MA17 MA35 MA37 MA38 MA52 MA66 NA14 ZA362 ZA452 ZA962 ZA972 ZC062 ZC212 4H045 AA10 AA11 AA20 AA30 BA10 CA41 DA00 DA76 EA20 EA50 FA72 FA74

Claims (39)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】配列番号:1で表わされるアミノ酸配列の
    17番目から525番目のアミノ酸配列と同一もしくは
    実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質また
    はその塩。
  2. 【請求項2】配列番号:1で表わされるアミノ酸配列の
    17番目から525番目のアミノ酸配列を含有するタン
    パク質またはその塩。
  3. 【請求項3】配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と
    同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタ
    ンパク質またはその塩である請求項1記載のタンパク質
    またはその塩。
  4. 【請求項4】配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を
    含有するタンパク質またはその塩である請求項3記載の
    タンパク質またはその塩。
  5. 【請求項5】リン利尿活性および/または低リン血症誘
    導活性を有するタンパク質である請求項1〜4記載のタ
    ンパク質またはその塩。
  6. 【請求項6】腎におけるナトリウム依存性リン(Na+-P
    i)輸送活性を抑制する活性、腎における25-ヒドロキ
    シビタミンD3-1α-ヒドロキシラーゼ活性を抑制する活
    性および腎における25-ヒドロキシビタミンD3-24-ヒ
    ドロキシラーゼ活性を促進する活性から選ばれる少なく
    とも一つの活性を有するタンパク質である請求項1〜4
    記載のタンパク質。
  7. 【請求項7】請求項1記載のタンパク質の部分ペプチド
    またはその塩。
  8. 【請求項8】請求項1記載のタンパク質または請求項7
    記載の部分ペプチドをコードする塩基配列を有するDN
    Aを含有するDNA。
  9. 【請求項9】配列番号:2または配列番号:3で表わさ
    れる塩基配列を有する請求項8記載のDNA。
  10. 【請求項10】請求項8記載のDNAを含有する組換え
    ベクター。
  11. 【請求項11】請求項10記載の組換えベクターを保持
    する形質転換体。
  12. 【請求項12】請求項11記載の形質転換体を培養し、
    請求項1記載のタンパク質または請求項7記載の部分ペ
    プチドを生成、蓄積せしめ、これを採取することを特徴
    とする請求項1記載のタンパク質もしくは請求項7記載
    の部分ペプチドまたはその塩の製造方法。
  13. 【請求項13】請求項1記載のタンパク質もしくは請求
    項7記載の部分ペプチドまたはその塩を含有してなる医
    薬。
  14. 【請求項14】請求項8記載のDNAを含有してなる医
    薬。
  15. 【請求項15】血中リン濃度の異常を調節、改善し得る
    請求項13または14記載の医薬。
  16. 【請求項16】請求項1記載のタンパク質もしくは請求
    項7記載の部分ペプチドまたはその塩に対する抗体。
  17. 【請求項17】請求項16記載の抗体を用いることを特
    徴とする請求項1記載のタンパク質もしくは請求項7記
    載の部分ペプチドまたはその塩の定量方法。
  18. 【請求項18】請求項17記載の定量方法を用いること
    を特徴とする請求項1記載のタンパク質もしくは請求項
    7記載の部分ペプチドまたはその塩が関与する疾患の診
    断方法。
  19. 【請求項19】請求項1記載のタンパク質もしくは請求
    項7記載の部分ペプチドまたはその塩を用いることを特
    徴とするレセプターアゴニストまたはアンタゴニストの
    スクリーニング方法。
  20. 【請求項20】請求項1記載のタンパク質もしくは請求
    項7記載の部分ペプチドまたはその塩を含有するレセプ
    ターアゴニストまたはアンタゴニストのスクリーニング
    用キット。
  21. 【請求項21】請求項19記載のスクリーニング方法ま
    たは請求項20記載のスクリーニング用キットを用いて
    得られるレセプターアゴニストまたはアンタゴニスト。
  22. 【請求項22】請求項1記載のタンパク質もしくは請求
    項7記載の部分ペプチドまたはその塩を用いることを特
    徴とする請求項1記載のタンパク質または請求項7記載
    の部分ペプチドを分解するプロテイナーゼを阻害する作
    用を有する化合物またはその塩のスクリーニング方法。
  23. 【請求項23】請求項1記載のタンパク質もしくは請求
    項7記載の部分ペプチドまたはその塩を含有する請求項
    1記載のタンパク質または請求項7記載の部分ペプチド
    を分解するプロテイナーゼを阻害する作用を有する化合
    物またはその塩のスクリーニング用キット。
  24. 【請求項24】請求項22記載のスクリーニング方法ま
    たは請求項23記載のスクリーニング用キットを用いて
    得られる請求項1記載のタンパク質または請求項7記載
    の部分ペプチドを分解するプロテイナーゼを阻害する作
    用を有する化合物またはその塩。
  25. 【請求項25】(i)レセプターまたはその部分ペプチ
    ドに、請求項1記載のタンパク質もしくは請求項7記載
    の部分ペプチドまたはその塩を接触させた場合と、(i
    i)レセプターまたはその部分ペプチドに、請求項1記
    載のタンパク質もしくは請求項7記載の部分ペプチドま
    たはその塩および試験化合物を接触させた場合におい
    て、該レセプターまたはその部分ペプチドと請求項1記
    載のタンパク質、もしくは請求項7記載の部分ペプチド
    またはその塩との結合量を測定し、比較することを特徴
    とする請求項19記載のスクリーニング方法。
  26. 【請求項26】(i)レセプターを含有する細胞または
    その細胞膜画分に、請求項1記載のタンパク質もしくは
    請求項7記載の部分ペプチドまたはその塩を接触させた
    場合と、(ii)レセプターを含有する細胞またはその細
    胞膜画分に、請求項1記載のタンパク質もしくは請求項
    7記載の部分ペプチドまたはその塩および試験化合物を
    接触させた場合において、該レセプターを含有する細胞
    またはその細胞膜画分と請求項1記載のタンパク質もし
    くは請求項7記載の部分ペプチドまたはその塩との結合
    量を測定し、比較することを特徴とする請求項19記載
    のスクリーニング方法。
  27. 【請求項27】(i)レセプターを含有する細胞に、請
    求項1記載のタンパク質もしくは請求項7記載の部分ペ
    プチドまたはその塩を接触させた場合と、(ii)レセプ
    ターを含有する細胞に、請求項1記載のタンパク質もし
    くは請求項7記載の部分ペプチドまたはその塩および試
    験化合物を接触させた場合において、該レセプターを含
    有する細胞におけるレセプターを介する細胞刺激活性、
    Na+-Pi輸送活性、25-ヒドロキシビタミンD3-1α-ヒド
    ロキシラーゼ活性または25-ヒドロキシビタミンD3-24-
    ヒドロキシラーゼ活性を測定して、比較することを特徴
    とする請求項19記載のスクリーニング方法。
  28. 【請求項28】請求項19、請求項25、請求項26ま
    たは請求項27のいずれかに記載のスクリーニング方法
    または請求項20記載のスクリーニング用キットを用い
    て得られるレセプターアゴニストを含有してなる医薬。
  29. 【請求項29】高リン血症、動脈硬化、急性冠症候群、
    心不全、脳卒中、慢性糸球体腎炎、糖尿病性腎症または
    腎不全の予防・治療剤である請求項28記載の医薬。
  30. 【請求項30】請求項19、請求項25、請求項26ま
    たは請求項27のいずれかに記載のスクリーニング方法
    または請求項20記載のスクリーニング用キットを用い
    て得られるレセプターアンタゴニストを含有してなる医
    薬。
  31. 【請求項31】腫瘍性低リン血性骨軟化症(OHO)、家
    族性低リン血症性ビタミンD抵抗性くる病(XLH)、常染
    色体優性遺伝を示す低リン血症性くる病(ADHR)、高カ
    ルシウム尿症を伴う低リン血症性くる病(HHRH)、ビタ
    ミンD抵抗性くる病、骨軟化症、骨粗鬆症、腎性骨形成
    異常症、二次性副甲状腺機能亢進症、パジェット病、腎
    ファンコーニ症候群、腎尿細管性アシドーシス、嚢胞性
    線維症、嚢胞性線維性骨炎または腎不全の予防・治療剤
    である請求項30記載の医薬。
  32. 【請求項32】(i)請求項1記載のタンパク質もしく
    は請求項7記載の部分ペプチドまたはその塩を分解する
    プロテイナーゼの存在下で請求項1記載のタンパク質も
    しくは請求項7記載の部分ペプチドまたはその塩とレセ
    プターを含有する細胞とを接触させた場合と、(ii)請
    求項1記載のタンパク質もしくは請求項7記載の部分ペ
    プチドまたはその塩を分解するプロテイナーゼおよび試
    験化合物の存在下で請求項1記載のタンパク質もしくは
    請求項7記載の部分ペプチドまたはその塩をレセプター
    を含有する細胞とを接触させた場合において、該レセプ
    ターを含有する細胞におけるレセプターを介する細胞刺
    激活性、Na+-Pi輸送活性、25-ヒドロキシビタミンD3-1
    α-ヒドロキシラーゼ活性または25-ヒドロキシビタミン
    3-24-ヒドロキシラーゼ活性を測定して、比較するこ
    とを特徴とする請求項22記載のスクリーニング方法。
  33. 【請求項33】請求項22もしくは請求項32記載のス
    クリーニング方法または請求項23記載のスクリーニン
    グ用キットを用いて得られる請求項1記載のタンパク質
    もしくは請求項7記載の部分ペプチドを分解するプロテ
    イナーゼを阻害する作用を有する化合物またはその塩を
    含有してなる医薬。
  34. 【請求項34】請求項1記載のタンパク質もしくは請求
    項7項記載の部分ペプチドまたはその塩を用いることを
    特徴とする請求項1記載のタンパク質もしくは請求項7
    記載の部分ペプチドまたはその塩とレセプターとの結合
    後の細胞内シグナル伝達を促進または阻害する化合物ま
    たはその塩のスクリーニング方法。
  35. 【請求項35】(i)レセプターを含有する細胞に、請
    求項1記載のタンパク質もしくは請求項7記載の部分ペ
    プチドまたはその塩を接触させた場合と、(ii)レセプ
    ターを含有する細胞に、請求項1記載のタンパク質もし
    くは請求項7記載の部分ペプチドまたはその塩および試
    験化合物を接触させた場合において、請求項1記載のタ
    ンパク質もしくは請求項7記載の部分ペプチドまたはそ
    の塩とレセプターとの結合後の細胞内シグナル伝達を測
    定し、比較することを特徴とする請求項34記載のスク
    リーニング方法。
  36. 【請求項36】請求項1記載のタンパク質もしくは請求
    項7記載の部分ペプチドまたはその塩を含有する請求項
    1記載のタンパク質もしくは請求項7記載の部分ペプチ
    ドまたはその塩とレセプターとの結合後の細胞内シグナ
    ル伝達を促進または阻害する化合物またはその塩のスク
    リーニング用キット。
  37. 【請求項37】請求項34または請求項35のいずれか
    に記載のスクリーニング方法または請求項36記載のス
    クリーニング用キットを用いて得られる請求項1記載の
    タンパク質もしくは請求項7記載の部分ペプチドまたは
    その塩とレセプターとの結合後の細胞内シグナル伝達を
    促進または阻害する化合物またはその塩。
  38. 【請求項38】請求項34または請求項35のいずれか
    に記載のスクリーニング方法または請求項36記載のス
    クリーニング用キットを用いて得られる請求項1記載の
    タンパク質もしくは請求項7記載の部分ペプチドまたは
    その塩とレセプターとの結合後の細胞内シグナル伝達を
    促進または阻害する化合物またはその塩を含有してなる
    医薬。
  39. 【請求項39】腫瘍性低リン血性骨軟化症(OHO)、家
    族性低リン血症性ビタミンD抵抗性くる病(XLH)、常染
    色体優性遺伝を示す低リン血症性くる病(ADHR)、高カ
    ルシウム尿症を伴う低リン血症性くる病(HHRH)、ビタ
    ミンD抵抗性くる病、骨軟化症、骨粗鬆症、腎性骨形成
    異常症、二次性副甲状腺機能亢進症、パジェット病、腎
    ファンコーニ症候群、腎尿細管性アシドーシス、嚢胞性
    線維症、嚢胞性線維性骨炎、腎不全、高リン血症、動脈
    硬化、急性冠症候群、心不全、脳卒中、慢性糸球体腎
    炎、糖尿病性腎症または腎不全の予防・治療剤である請
    求項38記載の医薬。
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