JP2001299364A - 新規タンパク質およびそのdna - Google Patents

新規タンパク質およびそのdna

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JP2001299364A
JP2001299364A JP2000392112A JP2000392112A JP2001299364A JP 2001299364 A JP2001299364 A JP 2001299364A JP 2000392112 A JP2000392112 A JP 2000392112A JP 2000392112 A JP2000392112 A JP 2000392112A JP 2001299364 A JP2001299364 A JP 2001299364A
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Yasuaki Ito
康明 伊藤
Kazunori Nishi
一紀 西
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
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Takeda Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】新規タンパク質、そのDNAおよびその製造法
の提供。 【解決手段】本発明のタンパク質およびそれをコードす
るDNAは、例えば、リウマチ、糖尿病、微生物感染
症、HIV感染、慢性B型肝炎、炎症性疾患、皮膚炎、
関節炎、自己免疫疾患、移植片対宿主病、喘息、敗血
症、骨疾患、癌などの疾病の治療・予防剤として使用す
ることができる。また、本発明のタンパク質は、本発明
のタンパク質の活性を促進もしくは阻害する化合物また
はその塩のスクリーニングのための試薬として有用であ
る。さらに、本発明のタンパク質に対する抗体は、本発
明のタンパク質を特異的に認識することができるので、
被検液中の本発明のタンパク質の定量などに使用するこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規なタンパク質に
関する。詳しくは、新規なIL−1レセプターアンタゴ
ニストタンパク質に関する。
【0002】
【従来の技術】生体は、細胞間または組織間で、互いに
情報伝達をすることにより、発生、分化、増殖、恒常性
の維持などの統合の取れた調節を行っている。多くの場
合、タンパク性因子がそれらの仲立ちをしている。例え
ば、免疫系、造血系に関与する分泌性因子(液性因子)
が数多く見いだされていて、それらはサイトカインと呼
ばれている。リンホカイン、モノカイン、インターフェ
ロン、コロニー刺激因子、腫瘍壊死因子などがこれらに
含まれる。インターロイキン1(interleuki
n−1、以下IL−1と略す)は古くからその存在につ
いては知られており、内因性発熱物質、リンパ球活性化
因子、肝細胞刺激因子、破骨細胞活性化因子、ヘモポエ
チンIなど種々の名称で呼ばれてきた。1984年から
1985年にかけてそのcDNAが単離され、異なる遺
伝子に由来する2種類のIL−1(IL−1α,IL−
1β)の存在が明らかにされた(ネイチャー(Nature)
315巻、p641−647(1985))。IL−1
α、IL−1β両者の生物活性はほとんど同じで、いず
れかに特異的な生物活性は知られていない。IL−1は
種々の細胞から産生され、その作用は炎症反応をはじめ
として、免疫系、神経系、内分泌系、造血系など、広範
囲にわたって多様な生物活性を有するサイトカインとし
て知られている。そのため、疾患との関わりも大きく、
例えばリウマチや糖尿病、微生物感染、HIV感染、慢
性B型肝炎などをはじめとして、感染や炎症を伴う多く
の疾病において炎症反応のメディエーターとしてIL−
1産生の昂進がみられる一方で、外傷時や住血吸虫感
染、全身性紅斑性狼瘡などではIL−1産生の抑制がみ
られる。このようなIL−1の生物活性はその受容体I
L−1レセプターを介して発揮されるが、IL−1レセ
プターには、1988年から1991年にかけてクロー
ニングされた分子量80kDaのタイプIと分子量68
kDaのタイプIIの2つのレセプターが知られ(サイ
エンス(Science)241巻、585−589頁(1988)、
ザ・エンボ・ジャーナル(The EMBO Journal)10巻、
2821−2832頁(1991))、各発現細胞と細胞内
領域の構造上の大きな相違から、その機能的な違いが認
められている。またIL−1βに特異的に結合する可溶
性レセプター(sIL−1レセプター)の存在も明らか
にされている(フェブス・レターズ(FEBS Letters)2
60巻、213−216頁(1990))。一方、それ自身
は生物活性を持たないが、IL−1レセプターに結合し
てIL−1レセプターとIL−1の結合を特異的に阻害
するIL−1レセプターアンタゴニスト(IL−1 R
eceptor Antagonist;以下、IL−
1raと略す)があり、その遺伝子が1990年にクロ
ーニングされている(ネイチャー(Nature)343巻、3
41−346頁(1990))。また、1991年にはIL
−1raと同一遺伝子に由来するがIL−1raの分泌
シグナル配列の欠損した非分泌型IL−1raのcDN
Aも2種クローニングされており、IL−1raおよび
非分泌型IL−1raは、それぞれ細胞外及び細胞内の
IL−1活性調節を行う因子と考えられている(Proc. N
atl. Acad. Sci. USA 88巻、p3681-3685 (1991)、アニ
ュアル・レビュー・オブ。イムノロジー(Annual Review
of Immunology)16巻、p27-55 (1998))。また、IL
−1の活性を阻害するIL−1raを種々の病態モデル
動物に投与すると、種々の炎症が抑えられる。例えば、
LPS(リポポリ多糖)による敗血症ショックを防止し
たり、組織への炎症細胞浸潤や浮腫、壊死などを抑制す
る(ネイチャー(Nature)348巻、550−552頁
(1990))他、IL−1raは、急性骨髄性白血病
細胞からのGM−CSF、IL−1、IL−6の産生な
らびに細胞増殖を阻害する。これらIL−1raによる
動物モデルの結果は、ヒトにおける敗血症、リウマチ様
関節炎、慢性関節炎、移植片対宿主病、喘息、骨髄性白
血病など各種疾患におけるIL−1レセプターアンタゴ
ニストの効果を期待させるものであり、将来の新しい治
療薬の芽として、より有効なIL−1レセプターアンタ
ゴニスト活性を有する物質の登場が望まれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、生物学、医
学、獣医学などに利用可能な新規タンパク質、その部分
ペプチド、またはそれらの塩、組換えベクター、形質転
換体、該タンパク質の製造法、該タンパク質または部分
ペプチドを含有する医薬、および該タンパク質などに対
する抗体を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ヒト生体内
で発現している新規な塩基配列を有するcDNAを発見
することに成功し、それにコードされるタンパク質がI
L−1レセプターアンタゴニストタンパク質であること
を見出した。本発明者らは、これらの知見に基づいて、
さらに検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、 (1)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と同一ま
たは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質
またはその塩、 (2)上記(1)記載のタンパク質の部分ペプチドまた
はその塩、 (3)上記(1)記載のタンパク質または上記(2)記
載の部分ペプチドをコードする塩基配列を有するDNA
を含有するDNA、 (4)配列番号:2で表される塩基配列を有する上記
(3)記載のDNA、 (5)配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と同一ま
たは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質
またはその塩、 (6)上記(5)記載のタンパク質の部分ペプチドまた
はその塩、 (7)上記(5)記載のタンパク質または上記(6)記
載の部分ペプチドをコードする塩基配列を有するDNA
を含有するDNA、 (8)配列番号:4で表される塩基配列を有する上記
(7)記載のDNA、 (9)上記(1)もしくは上記(5)記載のタンパク質
または上記(2)もしくは上記(6)記載の部分ペプチ
ドをコードするDNAを含有する組換えベクターで形質
転換された形質転換体を培養し、該タンパク質または該
部分ペプチドを生成せしめることを特徴とする、上記
(1)もしくは上記(5)記載のタンパク質または上記
(2)もしくは上記(6)記載の部分ペプチドまたはそ
の塩の製造法、 (10)上記(1)もしくは上記(5)記載のタンパク
質または上記(2)もしくは上記(6)記載の部分ペプ
チドまたはその塩に対する抗体、 (11)上記(1)もしくは上記(5)記載のタンパク
質または上記(2)もしくは上記(6)記載の部分ペプ
チドまたはその塩を用いることを特徴とする、上記
(1)もしくは上記(5)記載のタンパク質または上記
(2)もしくは上記(6)記載の部分ペプチドまたはそ
の塩の活性を促進または阻害する化合物またはその塩の
スクリーニング方法、 (12)上記(1)もしくは上記(5)記載のタンパク
質または上記(2)もしくは上記(6)記載の部分ペプ
チドまたはその塩を含有してなる、上記(1)もしくは
上記(5)記載のタンパク質または上記(2)もしくは
上記(6)記載の部分ペプチドまたはその塩の活性を促
進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング
用キット、 (13)上記(11)記載のスクリーニング方法または
上記(12)記載のスクリーニング用キットを用いて得
られうる、上記(1)もしくは上記(5)記載のタンパ
ク質または上記(2)もしくは上記(6)記載の部分ペ
プチドまたはその塩の活性を促進または阻害する化合物
またはその塩、 (14)上記(11)記載のスクリーニング方法または
上記(12)記載のスクリーニング用キットを用いて得
られうる、上記(1)もしくは上記(5)記載のタンパ
ク質または上記(2)もしくは上記(6)記載の部分ペ
プチドまたはその塩の活性を促進または阻害する化合物
またはその塩を含有してなる医薬、 (15)上記(10)記載の抗体を含有してなる診断
剤、 (16)上記(1)もしくは上記(5)記載のタンパク
質または上記(2)もしくは上記(6)記載の部分ペプ
チドまたはその塩を含有してなる医薬、 (17)リウマチ、糖尿病、微生物感染症、HIV感
染、慢性B型肝炎、炎症性疾患、皮膚炎、関節炎、自己
免疫疾患、移植片対宿主病、喘息、敗血症、骨疾患また
は癌の治療・予防剤である上記(16)記載の医薬、 (18)上記(1)もしくは上記(5)記載のタンパク
質または請求項2もしくは請求項6記載の部分ペプチド
またはその塩を投与することを特徴とするリウマチ、糖
尿病、微生物感染症、HIV感染、慢性B型肝炎、炎症
性疾患、皮膚炎、関節炎、自己免疫疾患、移植片対宿主
病、喘息、敗血症、骨疾患または癌の治療・予防方法な
どを提供する。
【0005】さらには、本発明は、 (19)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と実質
的に同一のアミノ酸配列が、配列番号:1で表わされる
アミノ酸配列と約50%以上(好ましくは約60%以
上、さらに好ましくは約70%以上、より好ましくは約
80%以上、特に好ましくは約90%以上、最も好まし
くは約95%以上)の相同性を有するアミノ酸配列であ
る上記(1)記載のタンパク質またはその塩、 (20)配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と実質
的に同一のアミノ酸配列が、配列番号:3で表わされる
アミノ酸配列と約50%以上(好ましくは約60%以
上、さらに好ましくは約70%以上、より好ましくは約
80%以上、特に好ましくは約90%以上、最も好まし
くは約95%以上)の相同性を有するアミノ酸配列であ
る上記(5)記載のタンパク質またはその塩、 (21)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と実質
的に同一のアミノ酸配列が、配列番号:1で表わされ
るアミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1
〜30個程度)のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、
配列番号:1で表わされるアミノ酸配列に1または2個
以上(好ましくは、1〜30個程度)のアミノ酸が付加
したアミノ酸配列、配列番号:1で表わされるアミノ
酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜30個
程度)のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸
配列、またはそれらを組み合わせたアミノ酸配列であ
る上記(1)記載のタンパク質またはその塩、 (22)配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と実質
的に同一のアミノ酸配列が、配列番号:3で表わされ
るアミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1
〜30個程度)のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、
配列番号:3で表わされるアミノ酸配列に1または2個
以上(好ましくは、1〜30個程度)のアミノ酸が付加
したアミノ酸配列、配列番号:3で表わされるアミノ
酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜30個
程度)のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸
配列、またはそれらを組み合わせたアミノ酸配列であ
る上記(5)記載のタンパク質またはその塩、 (23)上記(1)もしくは上記(5)記載のタンパク
質または上記(2)もしくは上記(6)記載の部分ペプ
チドをコードするDNAを含有する組換えベクター、 (24)上記(23)記載の組換えベクターで形質転換
させた形質転換体などを提供する。さらに本発明は、分
子量マーカー、組織マーカー、染色体マッピング、遺伝
病の同定、プライマー、プローブの設計などの基礎研究
に利用できるのみならず、がん転移阻害、がん転移の検
出、細胞の分化増殖の調節、サイトカインの誘導、血管
新生調節、造血調節、血液凝固調節、感染症、代謝調
節、創傷火傷治癒、抗炎症、遺伝子治療などの分野で、
治療または予防目的で、利用できる可能性がある。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の配列番号:1または配列
番号:3で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質
的に同一のアミノ酸配列を有するタンパク質(以下、本
発明のタンパク質と称する)は、胎児を含むヒトや温血
動物(例えば、モルモット、ラット、マウス、ニワト
リ、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ウシ、サルなど)の細胞
(例えば、肝細胞、脾細胞、神経細胞、グリア細胞、膵
臓β細胞、骨髄細胞、メサンギウム細胞、ランゲルハン
ス細胞、表皮細胞、上皮細胞、内皮細胞、繊維芽細胞、
繊維細胞、筋細胞、脂肪細胞、免疫細胞(例、マクロフ
ァージ、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、肥満
細胞、好中球、好塩基球、好酸球、単球、樹状細胞)、
巨核球、滑膜細胞、軟骨細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨
細胞、乳腺細胞、もしくは間質細胞、またはこれら細胞
の前駆細胞、幹細胞もしくはガン細胞など)もしくはそ
れらの細胞が存在するあらゆる組織、例えば、脳、脳の
各部位(例、嗅球、扁桃核、大脳基底球、海馬、視床、
視床下部、大脳皮質、延髄、小脳)、脊髄、下垂体、
胃、膵臓、腎臓、肝臓、生殖腺、甲状腺、胆のう、骨
髄、副腎、皮膚、筋肉、肺、消化管(例、大腸、小
腸)、血管、心臓、胸腺、脾臓、唾液腺、末梢血、前立
腺、睾丸、卵巣、胎盤、子宮、骨、軟骨、関節、骨格筋
などに由来するタンパク質であってもよく、組換えタン
パク質であってもよく、合成タンパク質であってもよ
い。
【0007】配列番号:1または配列番号:3で表わさ
れるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列として
は、それぞれ配列番号:1または配列番号:3で表わさ
れるアミノ酸配列と約50%以上、好ましくは約60%
以上、さらに好ましくは約70%以上、より好ましくは
約80%以上、特に好ましくは約90%以上、最も好ま
しくは約95%以上の相同性を有するアミノ酸配列など
が挙げられる。本発明の配列番号:1または配列番号:
3で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸
配列を有するタンパク質としては、例えば、前記の配列
番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列
と実質的に同一のアミノ酸配列を有し、配列番号:1ま
たは配列番号:3で表わされるアミノ酸配列を有するタ
ンパク質と実質的に同質の性質を有するタンパク質など
が好ましい。実質的に同質の性質としては、例えば、I
L−1レセプターアンタゴニスト作用などが挙げられ
る。実質的に同質とは、それらの性質が定性的に同質で
あることを示す。したがって、アンタゴニスト作用など
の性質が同等(例、約0.1〜100倍、好ましくは約
0.5〜10倍、より好ましくは0.5〜2倍)である
ことが好ましいが、これらの性質の程度、タンパク質の
分子量などの量的要素は異なっていてもよい。本発明の
タンパク質またはその塩として、好ましくは、配列番
号:1で表わされるアミノ酸配列と同一または実質的に
同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質またはその塩
である。
【0008】また、本発明のタンパク質としては、例え
ば、配列番号:1または配列番号:3で表わされるア
ミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜3
0個程度、好ましくは1〜10個程度、さらに好ましく
は数(1〜5)個)のアミノ酸が欠失したアミノ酸配
列、配列番号:1または配列番号:3で表わされるア
ミノ酸配列に1または2個以上(好ましくは、1〜30
個程度、好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは
数(1〜5)個)のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、
配列番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ
酸配列に1または2個以上(好ましくは、1〜30個程
度、好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数
(1〜5)個)のアミノ酸が挿入されたアミノ酸配列、
配列番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ
酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜30個
程度、好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数
(1〜5)個)のアミノ酸が他のアミノ酸で置換された
アミノ酸配列、またはそれらを組み合わせたアミノ酸
配列を含有するタンパク質などのいわゆるムテインも含
まれる。上記のようにアミノ酸配列が挿入、欠失または
置換されている場合、その挿入、欠失または置換の位置
としては、特に限定されないが、配列番号:1で表され
るアミノ酸および配列番号:3で表わされるアミノ酸配
列に共通するアミノ酸配列以外の位置などが挙げられ
る。
【0009】本明細書におけるタンパク質は、ペプチド
標記の慣例に従って左端がN末端(アミノ末端)、右端
がC末端(カルボキシル末端)である。配列番号:1で
表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質をはじめ
とする、本発明のタンパク質は、C末端が通常カルボキ
シル基(−COOH)またはカルボキシレート(−CO
-)であるが、C末端がアミド(−CONH2)または
エステル(−COOR)であってもよい。ここでエステ
ルにおけるRとしては、例えば、メチル、エチル、n−
プロピル、イソプロピルもしくはn−ブチルなどのC
1-6アルキル基、例えば、シクロペンチル、シクロヘキ
シルなどのC3-8シクロアルキル基、例えば、フェニ
ル、α−ナフチルなどのC6-12アリール基、例えば、ベ
ンジル、フェネチルなどのフェニル−C1-2アルキル基
もしくはα−ナフチルメチルなどのα−ナフチル−C
1-2アルキル基などのC7-14アラルキル基のほか、経口
用エステルとして汎用されるピバロイルオキシメチル基
などが用いられる。本発明のタンパク質がC末端以外に
カルボキシル基(またはカルボキシレート)を有してい
る場合、カルボキシル基がアミド化またはエステル化さ
れているものも本発明のタンパク質に含まれる。この場
合のエステルとしては、例えば上記したC末端のエステ
ルなどが用いられる。さらに、本発明のタンパク質に
は、N末端のアミノ酸残基(例、メチオニン残基)のア
ミノ基が保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基など
のC1-6アルカノイルなどのC1-6アシル基など)で保護
されているもの、生体内で切断されて生成するN末端の
グルタミン残基がピログルタミン酸化したもの、分子内
のアミノ酸の側鎖上の置換基(例えば−OH、−SH、
アミノ基、イミダゾール基、インドール基、グアニジノ
基など)が適当な保護基(例えば、ホルミル基、アセチ
ル基などのC1-6アルカノイル基などのC1-6アシル基な
ど)で保護されているもの、あるいは糖鎖が結合したい
わゆる糖タンパク質などの複合タンパク質なども含まれ
る。本発明のタンパク質の具体例としては、例えば、配
列番号:1で表わされるアミノ酸配列を有するヒト由来
のタンパク質、配列番号:3で表わされるアミノ酸配列
を有するヒト由来のタンパク質などが用いられる。
【0010】本発明のタンパク質の部分ペプチドとして
は、前記した本発明のタンパク質の部分ペプチドであっ
て、好ましくは、前記した本発明のタンパク質と同様の
性質を有するものであればいずれのものでもよい。例え
ば、本発明のタンパク質の構成アミノ酸配列のうち少な
くとも5個以上、好ましくは20個以上、さらに好まし
くは30個以上、より好ましくは50個以上、最も好ま
しくは80個以上のアミノ酸配列を有するペプチドなど
が用いられる。ここで、「実質的に同質の性質」とは、
前記と同意義を示す。また、本発明の部分ペプチドは、
そのアミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、
1〜10個程度、さらに好ましくは数(1〜5)個)の
アミノ酸が欠失し、または、そのアミノ酸配列に1また
は2個以上(好ましくは、1〜20個程度、より好まし
くは1〜10個程度、さらに好ましくは数(1〜5)
個)のアミノ酸が付加し、または、そのアミノ酸配列に
1または2個以上(好ましくは、1〜20個程度、より
好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数(1〜
5)個)のアミノ酸が挿入され、または、そのアミノ酸
配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜10個程
度、より好ましくは数個、さらに好ましくは1〜5個程
度)のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されていてもよ
い。
【0011】また、本発明の部分ペプチドはC末端が通
常カルボキシル基(−COOH)またはカルボキシレー
ト(−COO-)であるが、C末端がアミド(−CON
2)またはエステル(−COOR)であってもよい。
また、本発明の部分ペプチドがC末端以外にカルボキシ
ル基(またはカルボキシレート)を有している場合、カ
ルボキシル基がアミド化またはエステル化されているも
のも本発明のタンパク質に含まれる。この場合のエステ
ルとしては、例えば上記したC末端のエステルなどが用
いられる。さらに、本発明の部分ペプチドには、N末端
のアミノ酸残基(例、メチオニン残基)のアミノ基が保
護基で保護されているもの、N端側が生体内で切断され
生成したグルタミン残基がピログルタミン酸化したも
の、分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基が適当な保護基
で保護されているもの、あるいは糖鎖が結合したいわゆ
る糖ペプチドなどの複合ペプチドなども含まれる。本発
明の部分ペプチドは抗体作成のための抗原として用いる
ことができるので、必ずしも本発明のタンパク質が有す
る活性を有する必要はない。
【0012】本発明のタンパク質または部分ペプチドの
塩としては、生理学的に許容される酸(例、無機酸、有
機酸)や塩基(例、アルカリ金属塩)などとの塩が用い
られ、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好まし
い。この様な塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩
酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有機
酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マ
レイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚
酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン
酸)との塩などが用いられる。本発明のタンパク質、部
分ペプチドまたはその塩は、前述したヒトや温血動物の
細胞または組織から自体公知のタンパク質の精製方法に
よって製造することもできるし、後述するタンパク質を
コードするDNAを含有する形質転換体を培養すること
によっても製造することができる。また、後述のペプチ
ド合成法に準じて製造することもできる。ヒトや哺乳動
物の組織または細胞から製造する場合、ヒトや哺乳動物
の組織または細胞をホモジナイズした後、酸などで抽出
を行ない、該抽出液を逆相クロマトグラフィー、イオン
交換クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーを組
み合わせることにより精製単離することができる。
【0013】本発明のタンパク質、部分ペプチドまたは
そのアミド体、またはその塩の合成には、通常市販のタ
ンパク質合成用樹脂を用いることができる。そのような
樹脂としては、例えば、クロロメチル樹脂、ヒドロキシ
メチル樹脂、ベンズヒドリルアミン樹脂、アミノメチル
樹脂、4−ベンジルオキシベンジルアルコール樹脂、4
−メチルベンズヒドリルアミン樹脂、PAM樹脂、4−
ヒドロキシメチルメチルフェニルアセトアミドメチル樹
脂、ポリアクリルアミド樹脂、4−(2’,4’−ジメ
トキシフェニル−ヒドロキシメチル)フェノキシ樹脂、
4−(2’,4’−ジメトキシフェニル−Fmocアミ
ノエチル)フェノキシ樹脂などを挙げることができる。
このような樹脂を用い、α−アミノ基と側鎖官能基を適
当に保護したアミノ酸を、目的とするタンパク質の配列
通りに、自体公知の各種縮合方法に従い、樹脂上で縮合
させる。反応の最後に樹脂からタンパク質を切り出すと
同時に各種保護基を除去し、さらに高希釈溶液中で分子
内ジスルフィド結合形成反応を実施し、目的のタンパク
質もしくは部分ペプチドまたはそれらのアミド体を取得
する。上記した保護アミノ酸の縮合に関しては、タンパ
ク質合成に使用できる各種活性化試薬を用いることがで
きるが、特に、カルボジイミド類がよい。カルボジイミ
ド類としては、DCC、N,N’−ジイソプロピルカル
ボジイミド、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノ
プロリル)カルボジイミドなどが用いられる。これらに
よる活性化にはラセミ化抑制添加剤(例えば、HOB
t, HOOBt)とともに保護アミノ酸を直接樹脂に
添加するかまたは、対称酸無水物またはHOBtエステ
ルあるいはHOOBtエステルとしてあらかじめ保護ア
ミノ酸の活性化を行なった後に樹脂に添加することがで
きる。
【0014】保護アミノ酸の活性化や樹脂との縮合に用
いられる溶媒としては、タンパク質縮合反応に使用しう
ることが知られている溶媒から適宜選択されうる。例え
ば、N,N−ジメチルホルムアミド,N,N−ジメチル
アセトアミド,N−メチルピロリドンなどの酸アミド
類、塩化メチレン,クロロホルムなどのハロゲン化炭化
水素類、トリフルオロエタノールなどのアルコール類、
ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、ピリジ
ン,ジオキサン,テトラヒドロフランなどのエーテル
類、アセトニトリル,プロピオニトリルなどのニトリル
類、酢酸メチル,酢酸エチルなどのエステル類あるいは
これらの適宜の混合物などが用いられる。反応温度はタ
ンパク質結合形成反応に使用され得ることが知られてい
る範囲から適宜選択され、通常約−20℃〜50℃の範
囲から適宜選択される。活性化されたアミノ酸誘導体は
通常1.5〜4倍過剰で用いられる。ニンヒドリン反応
を用いたテストの結果、縮合が不十分な場合には保護基
の脱離を行なうことなく縮合反応を繰り返すことにより
十分な縮合を行なうことができる。反応を繰り返しても
十分な縮合が得られないときには、無水酢酸またはアセ
チルイミダゾールを用いて未反応アミノ酸をアセチル化
することによって、後の反応に影響を与えないようにす
ることができる。
【0015】原料のアミノ基の保護基としては、例え
ば、Z、Boc、t−ペンチルオキシカルボニル、イソ
ボルニルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキ
シカルボニル、Cl−Z、Br−Z、アダマンチルオキ
シカルボニル、トリフルオロアセチル、フタロイル、ホ
ルミル、2−ニトロフェニルスルフェニル、ジフェニル
ホスフィノチオイル、Fmocなどが用いられる。カル
ボキシル基は、例えば、アルキルエステル化(例えば、
メチル、エチル、プロピル、ブチル、t−ブチル、シク
ロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロ
オクチル、2−アダマンチルなどの直鎖状、分枝状もし
くは環状アルキルエステル化)、アラルキルエステル化
(例えば、ベンジルエステル、4−ニトロベンジルエス
テル、4−メトキシベンジルエステル、4−クロロベン
ジルエステル、ベンズヒドリルエステル化)、フェナシ
ルエステル化、ベンジルオキシカルボニルヒドラジド
化、t−ブトキシカルボニルヒドラジド化、トリチルヒ
ドラジド化などによって保護することができる。セリン
の水酸基は、例えば、エステル化またはエーテル化によ
って保護することができる。このエステル化に適する基
としては、例えば、アセチル基などの低級(C1-6)ア
ルカノイル基、ベンゾイル基などのアロイル基、ベンジ
ルオキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などの炭
酸から誘導される基などが用いられる。また、エーテル
化に適する基としては、例えば、ベンジル基、テトラヒ
ドロピラニル基、t-ブチル基などである。チロシンのフ
ェノール性水酸基の保護基としては、例えば、Bzl、
Cl2−Bzl、2−ニトロベンジル、Br−Z、t−
ブチルなどが用いられる。ヒスチジンのイミダゾールの
保護基としては、例えば、Tos、4−メトキシ−2,
3,6−トリメチルベンゼンスルホニル、DNP、ベン
ジルオキシメチル、Bum、Boc、Trt、Fmoc
などが用いられる。
【0016】原料のカルボキシル基の活性化されたもの
としては、例えば、対応する酸無水物、アジド、活性エ
ステル〔アルコール(例えば、ペンタクロロフェノー
ル、2,4,5−トリクロロフェノール、2,4−ジニ
トロフェノール、シアノメチルアルコール、パラニトロ
フェノール、HONB、N−ヒドロキシスクシミド、N
−ヒドロキシフタルイミド、HOBt)とのエステル〕
などが用いられる。原料のアミノ基の活性化されたもの
としては、例えば、対応するリン酸アミドが用いられ
る。保護基の除去(脱離)方法としては、例えば、Pd
−黒あるいはPd-炭素などの触媒の存在下での水素気
流中での接触還元や、また、無水フッ化水素、メタンス
ルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオ
ロ酢酸あるいはこれらの混合液などによる酸処理や、ジ
イソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、ピペリ
ジン、ピペラジンなどによる塩基処理、また液体アンモ
ニア中ナトリウムによる還元なども用いられる。上記酸
処理による脱離反応は、一般に約−20℃〜40℃の温
度で行なわれるが、酸処理においては、例えば、アニソ
ール、フェノール、チオアニソール、メタクレゾール、
パラクレゾール、ジメチルスルフィド、1,4−ブタン
ジチオール、1,2−エタンジチオールなどのようなカ
チオン捕捉剤の添加が有効である。また、ヒスチジンの
イミダゾール保護基として用いられる2,4−ジニトロ
フェニル基はチオフェノール処理により除去され、トリ
プトファンのインドール保護基として用いられるホルミ
ル基は上記の1,2−エタンジチオール、1,4−ブタ
ンジチオールなどの存在下の酸処理による脱保護以外
に、希水酸化ナトリウム溶液、希アンモニアなどによる
アルカリ処理によっても除去される。
【0017】原料の反応に関与すべきでない官能基の保
護ならびに保護基、およびその保護基の脱離、反応に関
与する官能基の活性化などは公知の基または公知の手段
から適宜選択しうる。タンパク質のアミド体を得る別の
方法としては、例えば、まず、カルボキシ末端アミノ酸
のα−カルボキシル基をアミド化して保護した後、アミ
ノ基側にペプチド(タンパク質)鎖を所望の鎖長まで延
ばした後、該ペプチド鎖のN末端のα−アミノ基の保護
基のみを除いたタンパク質とC末端のカルボキシル基の
保護基のみを除去したタンパク質とを製造し、この両タ
ンパク質を上記したような混合溶媒中で縮合させる。縮
合反応の詳細については上記と同様である。縮合により
得られた保護タンパク質を精製した後、上記方法により
すべての保護基を除去し、所望の粗タンパク質を得るこ
とができる。この粗タンパク質は既知の各種精製手段を
駆使して精製し、主要画分を凍結乾燥することで所望の
タンパク質のアミド体を得ることができる。タンパク質
のエステル体を得るには、例えば、カルボキシ末端アミ
ノ酸のα−カルボキシル基を所望のアルコール類と縮合
しアミノ酸エステルとした後、タンパク質のアミド体と
同様にして、所望のタンパク質のエステル体を得ること
ができる。
【0018】本発明の部分ペプチドまたはその塩は、自
体公知のペプチドの合成法に従って、あるいは本発明の
タンパク質を適当なペプチダーゼで切断することによっ
て製造することができる。ペプチドの合成法としては、
例えば、固相合成法、液相合成法のいずれによっても良
い。すなわち、本発明の部分ペプチドを構成し得る部分
ペプチドもしくはアミノ酸と残余部分とを縮合させ、生
成物が保護基を有する場合は保護基を脱離することによ
り目的のペプチドを製造することができる。公知の縮合
方法や保護基の脱離としては、例えば、以下の〜に
記載された方法が挙げられる。 M. Bodanszky および M.A. Ondetti、ペプチド・シン
セシス (Peptide Synthesis), Interscience Publisher
s, New York (1966年) SchroederおよびLuebke、ザ・ペプチド(The Peptid
e), Academic Press, NewYork (1965年) 泉屋信夫他、ペプチド合成の基礎と実験、 丸善(株)
(1975年) 矢島治明 および榊原俊平、生化学実験講座 1、 タン
パク質の化学IV、 205、(1977年) 矢島治明監修、続医薬品の開発、第14巻、ペプチド合
成、広川書店 また、反応後は通常の精製法、例えば、溶媒抽出・蒸留
・カラムクロマトグラフィー・液体クロマトグラフィー
・再結晶などを組み合わせて本発明の部分ペプチドを精
製単離することができる。上記方法で得られる部分ペプ
チドが遊離体である場合は、公知の方法あるいはそれに
準じる方法によって適当な塩に変換することができる
し、逆に塩で得られた場合は、公知の方法あるいはそれ
に準じる方法によって遊離体または他の塩に変換するこ
とができる。
【0019】本発明のタンパク質をコードするDNAと
しては、前述した本発明のタンパク質をコードする塩基
配列を含有するものであればいかなるものであってもよ
い。また、ゲノムDNA、前記した細胞・組織由来のc
DNA、合成DNAのいずれでもよい。ライブラリーに
使用するベクターは、バクテリオファージ、プラスミ
ド、コスミド、ファージミドなどいずれであってもよ
い。また、前記した細胞・組織よりtotalRNAまたは
mRNA画分を調製したものを用いて直接Reverse Tran
scriptase Polymerase Chain Reaction(以下、RT-P
CR法と略称する)によって増幅することもできる。本
発明のタンパク質をコードするDNAとしては、例え
ば、配列番号:2で表わされる塩基配列を含有するD
NA、または配列番号:2で表わされる塩基配列とハイ
ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配
列を有し、本発明のタンパク質と実質的に同質の性質
(例、IL−1レセプターアンタゴニスト作用など)を
有するタンパク質をコードするDNA、配列番号:4
で表わされる塩基配列を含有するDNA、または配列番
号:4で表わされる塩基配列とハイストリンジェントな
条件下でハイブリダイズする塩基配列を有し、本発明の
タンパク質と実質的に同質の性質(例、IL−1レセプ
ターアンタゴニスト作用など)を有するタンパク質をコ
ードするDNA、であれば何れのものでもよい。
【0020】配列番号:2または配列番号:4で表わさ
れる塩基配列とハイストリンジェントな条件下でハイブ
リダイズできるDNAとしては、例えば、それぞれ配列
番号:2または配列番号:4で表わされる塩基配列と約
60%以上、好ましくは約70%以上、さらに好ましく
は約80%以上の相同性を有する塩基配列を含有するD
NAなどが用いられる。ハイブリダイゼーションは、自
体公知の方法あるいはそれに準じる方法、例えば、モレ
キュラー・クローニング(Molecular Cloning)2nd(J.
Sambrook et al., Cold Spring Harbor Lab. Press, 1
989)に記載の方法などに従って行なうことができる。
また、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用
説明書に記載の方法に従って行なうことができる。より
好ましくは、ハイストリンジェントな条件に従って行な
うことができる。ハイストリンジェントな条件とは、例
えば、ナトリウム濃度が約19〜40mM、好ましくは
約19〜20mMで、温度が約50〜70℃、好ましく
は約60〜65℃の条件を示す。より具体的には、配列
番号:1で表わされるアミノ酸配列を有するタンパク質
をコードするDNAとしては、配列番号:2で表わされ
る塩基配列を有するDNAなどが、配列番号:3で表わ
されるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするD
NAとしては、配列番号:4で表わされる塩基配列を有
するDNAなどが用いられる。
【0021】本発明の部分ペプチドをコードするDNA
としては、前述した本発明の部分ペプチドをコードする
塩基配列を含有するものであればいかなるものであって
もよい。また、ゲノムDNA、前記した細胞・組織由来
のcDNA、合成DNAのいずれでもよい。本発明の部
分ペプチドをコードするDNAとしては、例えば、配
列番号:2で表わされる塩基配列を有するDNAの部分
塩基配列を有するDNA、または配列番号:2で表わさ
れる塩基配列とハイストリンジェントな条件下でハイブ
リダイズする塩基配列を有し、本発明のタンパク質と実
質的に同質の性質を有するタンパク質をコードするDN
Aの部分塩基配列を有するDNA、配列番号:4で表
わされる塩基配列を有するDNAの部分塩基配列を有す
るDNA、または配列番号:4で表わされる塩基配列と
ハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩
基配列を有し、本発明の実質的に同質の性質を有するタ
ンパク質をコードするDNAの部分塩基配列を有するD
NAなどが用いられる。配列番号:2または配列番号:
4で表わされる塩基配列とハイブリダイズできるDNA
は、前記と同意義を示す。ハイブリダイゼーションの方
法およびハイストリンジェントな条件は前記と同様のも
のが用いられる。
【0022】本発明のタンパク質または部分ペプチド
(以下、これらをコードするDNAのクローニングおよ
び発現の説明においては、これらを単に本発明のタンパ
ク質と略記する)を完全にコードするDNAのクローニ
ングの手段としては、本発明のタンパク質の部分塩基配
列を有する合成DNAプライマーを用いてPCR法によ
って増幅するか、または適当なベクターに組み込んだD
NAを本発明のタンパク質の一部あるいは全領域をコー
ドするDNA断片もしくは合成DNAを用いて標識した
ものとのハイブリダイゼーションによって選別すること
ができる。ハイブリダイゼーションの方法は、例えば、
モレキュラー・クローニング(MolecularCloning)2nd
(J. Sambrook et al., Cold Spring Harbor Lab. Pres
s, 1989)に記載の方法などに従って行なうことができ
る。また、市販のライブラリーを使用する場合、添付の
使用説明書に記載の方法に従って行なうことができる。
DNAの塩基配列の変換は、PCRや公知のキット、例
えば、MutanTM−Super Express(宝
酒造(株))、MutanTM−K(宝酒造(株))など
を用いて、ODA−LA PCR法、Gupped d
uplex、やKunkel法などの自体公知の方法あ
るいはそれらに準じる方法に従って行なうことができ
る。クローン化されたタンパク質をコードするDNAは
目的によりそのまま、または所望により制限酵素で消化
したり、リンカーを付加したりして使用することができ
る。該DNAはその5’末端側に翻訳開始コドンとして
のATGを有し、また3’末端側には翻訳終止コドンと
してのTAA、TGAまたはTAGを有していてもよ
い。これらの翻訳開始コドンや翻訳終止コドンは、適当
な合成DNAアダプターを用いて付加することもでき
る。本発明のタンパク質の発現ベクターは、例えば、
(イ)本発明のタンパク質をコードするDNAから目的
とするDNA断片を切り出し、(ロ)該DNA断片を適
当な発現ベクター中のプロモーターの下流に連結するこ
とにより製造することができる。
【0023】ベクターとしては、大腸菌由来のプラスミ
ド(例、pBR322,pBR325,pUC12,p
UC13)、枯草菌由来のプラスミド(例、pUB11
0,pTP5,pC194)、酵母由来プラスミド
(例、pSH19,pSH15)、λファージなどのバ
クテリオファージ、レトロウイルス,ワクシニアウイル
ス,バキュロウイルスなどの動物ウイルスなどの他、p
A1−11、pXT1、pRc/CMV、pRc/RS
V、pcDNAI/Neoなどが用いられる。本発明で
用いられるプロモーターとしては、遺伝子の発現に用い
る宿主に対応して適切なプロモーターであればいかなる
ものでもよい。例えば、動物細胞を宿主として用いる場
合は、SRαプロモーター、SV40プロモーター、H
IV・LTRプロモーター、CMVプロモーター、HS
V-TKプロモーターなどが挙げられる。これらのう
ち、CMV(サイトメガロウイルス)プロモーター、S
Rαプロモーターなどを用いるのが好ましい。宿主がエ
シェリヒア属菌である場合は、trpプロモーター、l
acプロモーター、recAプロモーター、λPLプロ
モーター、lppプロモーター、T7プロモーターなど
が、宿主がバチルス属菌である場合は、SPO1プロモ
ーター、SPO2プロモーター、penPプロモーター
など、宿主が酵母である場合は、PHO5プロモータ
ー、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADH
プロモーターなどが好ましい。宿主が昆虫細胞である場
合は、ポリヘドリンプロモーター、P10プロモーター
などが好ましい。
【0024】発現ベクターには、以上の他に、所望によ
りエンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加
シグナル、選択マーカー、SV40複製オリジン(以
下、SV40oriと略称する場合がある)などを含有
しているものを用いることができる。選択マーカーとし
ては、例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素(以下、dhfr
と略称する場合がある)遺伝子〔メソトレキセート(M
TX)耐性〕、アンピシリン耐性遺伝子(以下、Amp
rと略称する場合がある)、ネオマイシン耐性遺伝子
(以下、Neorと略称する場合がある、G418耐
性)等が挙げられる。特に、dhfr遺伝子欠損チャイ
ニーズハムスター細胞を用いてdhfr遺伝子を選択マ
ーカーとして使用する場合、目的遺伝子をチミジンを含
まない培地によっても選択できる。また、必要に応じ
て、宿主に合ったシグナル配列を、本発明のタンパク質
のN端末側に付加する。宿主がエシェリヒア属菌である
場合は、PhoA・シグナル配列、OmpA・シグナル
配列などが、宿主がバチルス属菌である場合は、α−ア
ミラーゼ・シグナル配列、サブチリシン・シグナル配列
などが、宿主が酵母である場合は、MFα・シグナル配
列、SUC2・シグナル配列など、宿主が動物細胞であ
る場合には、インシュリン・シグナル配列、α−インタ
ーフェロン・シグナル配列、抗体分子・シグナル配列な
どがそれぞれ利用できる。このようにして構築された本
発明のタンパク質をコードするDNAを含有するベクタ
ーを用いて、形質転換体を製造することができる。
【0025】宿主としては、例えば、エシェリヒア属
菌、バチルス属菌、酵母、昆虫細胞、昆虫、動物細胞な
どが用いられる。エシェリヒア属菌の具体例としては、
例えば、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)K1
2・DH1〔プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル
・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユー
エスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),60巻,1
60(1968)〕,JM103〔ヌクイレック・アシッ
ズ・リサーチ,(Nucleic Acids Research),9巻,3
09(1981)〕,JA221〔ジャーナル・オブ・モ
レキュラー・バイオロジー(Journal of MolecularBiol
ogy)〕,120巻,517(1978)〕,HB101
〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー,4
1巻,459(1969)〕,C600〔ジェネティック
ス(Genetics),39巻,440(1954)〕などが用
いられる。バチルス属菌としては、例えば、バチルス・
サブチルス(Bacillus subtilis)MI114〔ジー
ン,24巻,255(1983)〕,207−21〔ジャ
ーナル・オブ・バイオケミストリー(Journal of Bioch
emistry),95巻,87(1984)〕などが用いられ
る。酵母としては、例えば、サッカロマイセス セレビ
シエ(Saccharomyces cerevisiae)AH22,AH22
-,NA87−11A,DKD−5D,20B−1
2、シゾサッカロマイセス ポンベ(Schizosaccharomy
ces pombe)NCYC1913,NCYC2036、ピ
キア パストリス(Pichia pastoris)KM71などが
用いられる。
【0026】昆虫細胞としては、例えば、ウイルスがA
cNPVの場合は、夜盗蛾の幼虫由来株化細胞(Spodop
tera frugiperda cell;Sf細胞)、Trichopl
usia niの中腸由来のMG1細胞、Tricho
plusia niの卵由来のHigh FiveTM細
胞、Mamestra brassicae由来の細胞
またはEstigmena acrea由来の細胞など
が用いられる。ウイルスがBmNPVの場合は、蚕由来
株化細胞(Bombyx mori N 細胞;BmN細胞)などが用
いられる。該Sf細胞としては、例えば、Sf9細胞
(ATCC CRL1711)、Sf21細胞(以上、Vaughn, J.L.
ら、イン・ヴィボ(In Vivo),13, 213-217,(1977))な
どが用いられる。昆虫としては、例えば、カイコの幼虫
などが用いられる〔前田ら、ネイチャー(Nature),3
15巻,592(1985)〕。動物細胞としては、例え
ば、サル細胞COS−7(COS7),Vero,チャ
イニーズハムスター細胞CHO(以下、CHO細胞と略
記),dhfr遺伝子欠損チャイニーズハムスター細胞
CHO(以下、CHO(dhfr-)細胞と略記),マ
ウスL細胞,マウスAtT−20,マウスミエローマ細
胞,ラットGH3,ヒトFL細胞などが用いられる。エ
シェリヒア属菌を形質転換するには、例えば、プロシー
ジングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・
サイエンジイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Nat
l. Acad. Sci. USA),69巻,2110(1972)や
ジーン(Gene),17巻,107(1982)などに記載
の方法に従って行なうことができる。
【0027】バチルス属菌を形質転換するには、例え
ば、モレキュラー・アンド・ジェネラル・ジェネティッ
クス(Molecular & General Genetics),168巻,1
11(1979)などに記載の方法に従って行なうことが
できる。酵母を形質転換するには、例えば、メソッズ・
イン・エンザイモロジー(Methods in Enzymology),
194巻,182−187(1991)、プロシージン
グズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイ
エンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Ac
ad. Sci. USA),75巻,1929(1978)などに
記載の方法に従って行なうことができる。昆虫細胞また
は昆虫を形質転換するには、例えば、バイオ/テクノロ
ジー(Bio/Technology),6, 47-55(1988))などに記載
の方法に従って行なうことができる。動物細胞を形質転
換するには、例えば、細胞工学別冊8 新細胞工学実験
プロトコール.263−267(1995)(秀潤社発
行)、ヴィロロジー(Virology),52巻,456(1
973)に記載の方法に従って行なうことができる。こ
のようにして、タンパク質をコードするDNAを含有す
る発現ベクターで形質転換された形質転換体を得ること
ができる。宿主がエシェリヒア属菌、バチルス属菌であ
る形質転換体を培養する際、培養に使用される培地とし
ては液体培地が適当であり、その中には該形質転換体の
生育に必要な炭素源、窒素源、無機物その他が含有せし
められる。炭素源としては、例えば、グルコース、デキ
ストリン、可溶性澱粉、ショ糖など、窒素源としては、
例えば、アンモニウム塩類、硝酸塩類、コーンスチープ
・リカー、ペプトン、カゼイン、肉エキス、大豆粕、バ
レイショ抽出液などの無機または有機物質、無機物とし
ては、例えば、塩化カルシウム、リン酸二水素ナトリウ
ム、塩化マグネシウムなどが挙げられる。また、酵母エ
キス、ビタミン類、生長促進因子などを添加してもよ
い。培地のpHは約5〜8が望ましい。
【0028】エシェリヒア属菌を培養する際の培地とし
ては、例えば、グルコース、カザミノ酸を含むM9培地
〔ミラー(Miller),ジャーナル・オブ・エクスペリメ
ンツ・イン・モレキュラー・ジェネティックス(Journa
l of Experiments in Molecular Genetics),431−
433,Cold Spring Harbor Laboratory, New York1
972〕が好ましい。ここに必要によりプロモーターを
効率よく働かせるために、例えば、3β−インドリルア
クリル酸のような薬剤を加えることができる。宿主がエ
シェリヒア属菌の場合、培養は通常約15〜43℃で約
3〜24時間行ない、必要により、通気や撹拌を加える
こともできる。宿主がバチルス属菌の場合、培養は通常
約30〜40℃で約6〜24時間行ない、必要により通
気や撹拌を加えることもできる。宿主が酵母である形質
転換体を培養する際、培地としては、例えば、バークホ
ールダー(Burkholder)最小培地〔Bostian, K. L.
ら、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデ
ミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー
(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),77巻,4505
(1980)〕や0.5%カザミノ酸を含有するSD培地
〔Bitter, G. A. ら、プロシージングズ・オブ・ザ・ナ
ショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・
ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),8
1巻,5330(1984)〕が挙げられる。培地のp
Hは約5〜8に調整するのが好ましい。培養は通常約2
0℃〜35℃で約24〜72時間行ない、必要に応じて
通気や撹拌を加える。宿主が昆虫細胞または昆虫である
形質転換体を培養する際、培地としては、Grace's Inse
ct Medium(Grace, T.C.C.,ネイチャー(Nature),195,
788(1962))に非動化した10%ウシ血清等の添加物を
適宜加えたものなどが用いられる。培地のpHは約6.
2〜6.4に調整するのが好ましい。培養は通常約27
℃で約3〜5日間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加
える。宿主が動物細胞である形質転換体を培養する際、
培地としては、例えば、約5〜20%の胎児牛血清を含
むMEM培地〔サイエンス(Science),122巻,5
01(1952)〕,DMEM培地〔ヴィロロジー(Viro
logy),8巻,396(1959)〕,RPMI 164
0培地〔ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・メディカ
ル・アソシエーション(The Journal of the American
Medical Association)199巻,519(196
7)〕,199培地〔プロシージング・オブ・ザ・ソサ
イエティ・フォー・ザ・バイオロジカル・メディスン
(Proceeding ofthe Society for the Biological Medi
cine),73巻,1(1950)〕などが用いられる。p
Hは約6〜8であるのが好ましい。培養は通常約30℃
〜40℃で約15〜60時間行ない、必要に応じて通気
や撹拌を加える。以上のようにして、形質転換体の細胞
内、細胞膜または細胞外に本発明のタンパク質を生成せ
しめることができる。
【0029】上記培養物から本発明のタンパク質を分離
精製するには、例えば、下記の方法により行なうことが
できる。本発明のタンパク質を培養菌体あるいは細胞か
ら抽出するに際しては、培養後、公知の方法で菌体ある
いは細胞を集め、これを適当な緩衝液に懸濁し、超音
波、リゾチームおよび/または凍結融解などによって菌
体あるいは細胞を破壊したのち、遠心分離やろ過により
タンパク質の粗抽出液を得る方法などが適宜用いられ
る。緩衝液の中に尿素や塩酸グアニジンなどのタンパク
質変性剤や、トリトンX−100TMなどの界面活性剤が
含まれていてもよい。培養液中にタンパク質が分泌され
る場合には、培養終了後、それ自体公知の方法で菌体あ
るいは細胞と上清とを分離し、上清を集める。このよう
にして得られた培養上清、あるいは抽出液中に含まれる
タンパク質の精製は、自体公知の分離・精製法を適切に
組み合わせて行なうことができる。これらの公知の分
離、精製法としては、塩析や溶媒沈澱法などの溶解度を
利用する方法、透析法、限外ろ過法、ゲルろ過法、およ
びSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法などの主
として分子量の差を利用する方法、イオン交換クロマト
グラフィーなどの荷電の差を利用する方法、アフィニテ
ィークロマトグラフィーなどの特異的親和性を利用する
方法、逆相高速液体クロマトグラフィーなどの疎水性の
差を利用する方法、等電点電気泳動法などの等電点の差
を利用する方法などが用いられる。
【0030】かくして得られるタンパク質が遊離体で得
られた場合には、自体公知の方法あるいはそれに準じる
方法によって塩に変換することができ、逆に塩で得られ
た場合には自体公知の方法あるいはそれに準じる方法に
より、遊離体または他の塩に変換することができる。な
お、組換え体が産生するタンパク質を、精製前または精
製後に適当なタンパク修飾酵素を作用させることによ
り、任意に修飾を加えたり、ポリペプチドを部分的に除
去することもできる。タンパク修飾酵素としては、例え
ば、トリプシン、キモトリプシン、アルギニルエンドペ
プチダーゼ、プロテインキナーゼ、グリコシダーゼなど
が用いられる。かくして生成する本発明のタンパク質ま
たはその塩の存在は、特異抗体を用いたエンザイムイム
ノアッセイやWestern blottingなどにより測定すること
ができる。
【0031】本発明のタンパク質、部分ペプチドまたは
その塩に対する抗体は、本発明のタンパク質、部分ペプ
チドまたはその塩を認識し得る抗体であれば、ポリクロ
ーナル抗体、モノクローナル抗体の何れであってもよ
い。本発明のタンパク質、部分ペプチドまたはその塩
(以下、抗体の説明においては、これらを単に本発明の
タンパク質と略記する)に対する抗体は、本発明のタン
パク質を抗原として用い、自体公知の抗体または抗血清
の製造法に従って製造することができる。 〔モノクローナル抗体の作製〕 (a)モノクロナール抗体産生細胞の作製 本発明のタンパク質は、温血動物に対して投与により抗
体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤と
ともに投与される。投与に際して抗体産生能を高めるた
め、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントア
ジュバントを投与してもよい。投与は通常2〜6週毎に
1回ずつ、計2〜10回程度行われる。用いられる温血
動物としては、例えば、サル、ウサギ、イヌ、モルモッ
ト、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギ、ニワトリが挙げら
れるが、マウスおよびラットが好ましく用いられる。モ
ノクローナル抗体産生細胞の作製に際しては、抗原で免
疫された温血動物、例えばマウスから抗体価の認められ
た個体を選択し最終免疫の2〜5日後に脾臓またはリン
パ節を採取し、それらに含まれる抗体産生細胞を同種ま
たは異種動物の骨髄腫細胞と融合させることにより、モ
ノクローナル抗体産生ハイブリドーマを調製することが
できる。抗血清中の抗体価の測定は、例えば、後記の標
識化タンパク質と抗血清とを反応させたのち、抗体に結
合した標識剤の活性を測定することにより行なうことが
できる。融合操作は既知の方法、例えば、ケーラーとミ
ルスタインの方法〔ネイチャー(Nature)、256、495 (1
975)〕に従い実施することができる。融合促進剤として
は、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)やセン
ダイウィルスなどが挙げられるが、好ましくはPEGが
用いられる。
【0032】骨髄腫細胞としては、例えば、NS−1、
P3U1、SP2/0、AP−1などの温血動物の骨髄
腫細胞が挙げられるが、P3U1が好ましく用いられ
る。用いられる抗体産生細胞(脾臓細胞)数と骨髄腫細
胞数との好ましい比率は1:1〜20:1程度であり、
PEG(好ましくはPEG1000〜PEG6000)
が10〜80%程度の濃度で添加され、20〜40℃、
好ましくは30〜37℃で1〜10分間インキュベート
することにより効率よく細胞融合を実施できる。モノク
ローナル抗体産生ハイブリドーマのスクリーニングには
種々の方法が使用できるが、例えば、タンパク質抗原を
直接あるいは担体とともに吸着させた固相(例、マイク
ロプレート)にハイブリドーマ培養上清を添加し、次に
放射性物質や酵素などで標識した抗免疫グロブリン抗体
(細胞融合に用いられる細胞がマウスの場合、抗マウス
免疫グロブリン抗体が用いられる)またはプロテインA
を加え、固相に結合したモノクローナル抗体を検出する
方法、抗免疫グロブリン抗体またはプロテインAを吸着
させた固相にハイブリドーマ培養上清を添加し、放射性
物質や酵素などで標識したタンパク質を加え、固相に結
合したモノクローナル抗体を検出する方法などが挙げら
れる。モノクローナル抗体の選別は、自体公知あるいは
それに準じる方法に従って行なうことができる。通常H
AT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)を
添加した動物細胞用培地で行なうことができる。選別お
よび育種用培地としては、ハイブリドーマが生育できる
ものならばどのような培地を用いても良い。例えば、1
〜20%、好ましくは10〜20%の牛胎児血清を含む
RPMI 1640培地、1〜10%の牛胎児血清を含
むGIT培地(和光純薬工業(株))あるいはハイブリ
ドーマ培養用無血清培地(SFM−101、日水製薬
(株))などを用いることができる。培養温度は、通常
20〜40℃、好ましくは約37℃である。培養時間
は、通常5日〜3週間、好ましくは1週間〜2週間であ
る。培養は、通常5%炭酸ガス下で行なうことができ
る。ハイブリドーマ培養上清の抗体価は、上記の抗血清
中の抗体価の測定と同様にして測定できる。
【0033】(b)モノクロナール抗体の精製 モノクローナル抗体の分離精製は、自体公知の方法、例
えば、免疫グロブリンの分離精製法〔例、塩析法、アル
コール沈殿法、等電点沈殿法、電気泳動法、イオン交換
体(例、DEAE)による吸脱着法、超遠心法、ゲルろ
過法、抗原結合固相あるいはプロテインAあるいはプロ
テインGなどの活性吸着剤により抗体のみを採取し、結
合を解離させて抗体を得る特異的精製法〕に従って行な
うことができる。
【0034】〔ポリクローナル抗体の作製〕本発明のポ
リクローナル抗体は、それ自体公知あるいはそれに準じ
る方法に従って製造することができる。例えば、免疫抗
原(タンパク質抗原)自体、あるいはそれとキャリアー
タンパク質との複合体をつくり、上記のモノクローナル
抗体の製造法と同様に温血動物に免疫を行ない、該免疫
動物から本発明のタンパク質に対する抗体含有物を採取
して、抗体の分離精製を行なうことにより製造すること
ができる。温血動物を免疫するために用いられる免疫抗
原とキャリアータンパク質との複合体に関し、キャリア
ータンパク質の種類およびキャリアーとハプテンとの混
合比は、キャリアーに架橋させて免疫したハプテンに対
して抗体が効率良くできれば、どの様なものをどの様な
比率で架橋させてもよいが、例えば、ウシ血清アルブミ
ンやウシサイログロブリン、ヘモシアニン等を重量比で
ハプテン1に対し、約0.1〜20、好ましくは約1〜
5の割合でカプルさせる方法が用いられる。また、ハプ
テンとキャリアーのカプリングには、種々の縮合剤を用
いることができるが、グルタルアルデヒドやカルボジイ
ミド、マレイミド活性エステル、チオール基、ジチオビ
リジル基を含有する活性エステル試薬等が用いられる。
縮合生成物は、温血動物に対して、抗体産生が可能な部
位にそれ自体あるいは担体、希釈剤とともに投与され
る。投与に際して抗体産生能を高めるため、完全フロイ
ントアジュバントや不完全フロイントアジュバントを投
与してもよい。投与は、通常約2〜6週毎に1回ずつ、
計約3〜10回程度行なわれる。ポリクローナル抗体
は、上記の方法で免疫された温血動物の血液、腹水な
ど、好ましくは血液から採取することができる。抗血清
中のポリクローナル抗体価の測定は、上記の抗血清中の
抗体価の測定と同様にして測定できる。ポリクローナル
抗体の分離精製は、上記のモノクローナル抗体の分離精
製と同様の免疫グロブリンの分離精製法に従って行なう
ことができる。
【0035】本発明のタンパク質または部分ペプチドを
コードするDNA(以下、アンチセンスDNAの説明に
おいては、これらのDNAを本発明のDNAと略記す
る)に相補的な、または実質的に相補的な塩基配列を有
するアンチセンスDNAとしては、本発明のDNAに相
補的な、または実質的に相補的な塩基配列を有し、該D
NAの発現を抑制し得る作用を有するものであれば、い
ずれのアンチセンスDNAであってもよい。本発明のD
NAに実質的に相補的な塩基配列とは、例えば、本発明
のDNAに相補的な塩基配列(すなわち、本発明のDN
Aの相補鎖)の全塩基配列あるいは部分塩基配列と約7
0%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約
90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有
する塩基配列などが挙げられる。特に、本発明のDNA
の相補鎖の全塩基配列うち、本発明のタンパク質のN末
端部位をコードする部分の塩基配列(例えば、開始コド
ン付近の塩基配列など)の相補鎖と約70%以上、好ま
しくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、最
も好ましくは約95%以上の相同性を有するアンチセン
スDNAが好適である。これらのアンチセンスDNA
は、公知のDNA合成装置などを用いて製造することが
できる。
【0036】以下に、本発明のタンパク質、部分ペプチ
ドまたはそれらの塩(以下、本発明のタンパク質と略記
する場合がある)、本発明のタンパク質または部分ペプ
チドをコードするDNA(以下、本発明のDNAと略記
する場合がある)、本発明のタンパク質、部分ペプチド
またはその塩に対する抗体(以下、本発明の抗体と略記
する場合がある)、およびアンチセンスDNAの用途を
説明する。
【0037】(1)本発明のタンパク質は、組織または
細胞特異的に発現しているため、組織または細胞マーカ
ーとして使用することができる。すなわち組織・細胞の
分化、病態、癌の転移などの検出のためのマーカーとし
て有用である。また、対応するレセプター(例えばIL
−1レセプターなどであって、これに限るものではな
い。)、結合タンパク質などの分取にも利用できる。さ
らに、自体公知のハイスループットスクリーニングのた
めのパネルにして、生物活性を調べるのに利用できる。
また、染色体マッピングを行い、遺伝病の研究にも利用
できる。 (2)本発明のタンパク質が関与する各種疾病の治療・
予防剤 本発明のタンパク質などは、生体内でIL−1レセプタ
ーアンタゴニストとして存在するため、本発明のタンパ
ク質などまたは本発明のDNAなどに異常があったり、
欠損している場合あるいは発現量が異常に減少または高
進している場合、例えば、リウマチ、糖尿病、微生物感
染症、HIV感染(エイズ)、慢性B型肝炎、炎症性疾
患(例、慢性炎症、急性炎症)、皮膚炎、関節炎(例、
リウマチ様関節炎、慢性関節炎)、自己免疫疾患、移植
片対宿主病、喘息、敗血症、骨疾患、癌(例、骨髄性白
血病など)などの種々の疾病が発症する。したがって、
本発明のタンパク質および本発明のDNAは、例えば、
リウマチ、糖尿病、微生物感染症、HIV感染(エイ
ズ)、慢性B型肝炎、炎症性疾患(例、慢性炎症、急性
炎症)、皮膚炎、関節炎(例、リウマチ様関節炎、慢性
関節炎)、自己免疫疾患、移植片対宿主病、喘息、敗血
症、骨疾患、癌(例、骨髄性白血病など)などの種々の
疾病の治療・予防剤などの医薬として使用することがで
きる。例えば、生体内において本発明のタンパク質など
が減少あるいは欠損しているために、細胞における情報
伝達が十分に、あるいは正常に発揮されない患者がいる
場合に、(イ)本発明のDNAを該患者に投与し、生体
内で本発明のタンパク質を発現させることによって、
(ロ)細胞に本発明のDNAを挿入し、本発明のタンパ
ク質を発現させた後に、該細胞を患者に移植することに
よって、または(ハ)本発明のタンパク質を該患者に投
与することなどによって、該患者における本発明のタン
パク質の役割を十分に、あるいは正常に発揮させること
ができる。本発明のDNAを上記の治療・予防剤として
使用する場合は、該DNAを単独あるいはレトロウイル
スベクター、アデノウイルスベクター、アデノウイルス
アソシエーテッドウイルスベクターなどの適当なベクタ
ーに挿入した後、常套手段に従って、ヒトまたは温血動
物に投与することができる。本発明のDNAは、そのま
まで、あるいは摂取促進のための補助剤などの生理学的
に認められる担体とともに製剤化し、遺伝子銃やハイド
ロゲルカテーテルのようなカテーテルによって投与でき
る。本発明のタンパク質を上記の治療・予防剤として使
用する場合は、少なくとも90%、好ましくは95%以
上、より好ましくは98%以上、さらに好ましくは99
%以上に精製されたものを使用するのが好ましい。
【0038】本発明のタンパク質は、例えば、必要に応
じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マ
イクロカプセル剤などとして経口的に、あるいは水もし
くはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、
または懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用でき
る。例えば、本発明のタンパク質を生理学的に認められ
る担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、
結合剤などとともに一般に認められた製剤実施に要求さ
れる単位用量形態で混和することによって製造すること
ができる。これら製剤における有効成分量は指示された
範囲の適当な用量が得られるようにするものである。錠
剤、カプセル剤などに混和することができる添加剤とし
ては、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガン
ト、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースの
ような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸
などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのよう
な潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味
剤、ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのような
香味剤などが用いられる。調剤単位形態がカプセルであ
る場合には、前記タイプの材料にさらに油脂のような液
状担体を含有することができる。注射のための無菌組成
物は注射用水のようなベヒクル中の活性物質、胡麻油、
椰子油などのような天然産出植物油などを溶解または懸
濁させるなどの通常の製剤実施に従って処方することが
できる。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩
水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、
D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウム
など)などが挙げられ、適当な溶解補助剤、例えば、ア
ルコール(例えば、エタノールなど)、ポリアルコール
(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコ
ールなど)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソル
ベート80TM、HCO−50など)などと併用してもよ
い。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが挙
げられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジル
アルコールなどと併用してもよい。また、緩衝剤(例え
ば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液など)、無
痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカイ
ンなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリ
エチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジル
アルコール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配合
してもよい。調製された注射液は、通常、適当なアンプ
ルに充填される。本発明のDNAが挿入されたベクター
も上記と同様に製剤化され、通常、非経口的に使用され
る。
【0039】このようにして得られる製剤は、安全で低
毒性であるので、例えば、ヒトまたは温血動物(例え
ば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、トリ、ヒツ
ジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サル、チンパンジ
ーなど)に対して投与することができる。本発明のタン
パク質の投与量は、対象疾患、投与対象、投与ルートな
どにより差異はあるが、例えば、炎症性疾患の治療目的
で本発明のタンパク質を経口投与する場合、一般的に成
人(60kgとして)においては、一日につき該タンパ
ク質を約1mg〜1000mg、好ましくは約10〜5
00mg、より好ましくは約10〜200mg投与す
る。非経口的に投与する場合は、該タンパク質の1回投
与量は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、例
えば、炎症性疾患の治療目的で本発明のタンパク質を注
射剤の形で成人(体重60kgとして)に投与する場
合、一日につき該タンパク質を約1〜1000mg程
度、好ましくは約1〜200mg程度、より好ましくは
約10〜100mg程度を患部に注射することにより投
与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg
当たりに換算した量を投与することができる。
【0040】(3)疾病に対する医薬候補化合物のスク
リーニング 本発明のタンパク質は生体内でIL−1レセプターアン
タゴニストとして存在するため、本発明のタンパク質の
機能を促進する化合物またはその塩は、例えば、リウマ
チ、糖尿病、微生物感染症、HIV感染(エイズ)、慢
性B型肝炎、炎症性疾患(例、慢性炎症、急性炎症)、
皮膚炎、関節炎(例、リウマチ様関節炎、慢性関節
炎)、自己免疫疾患、移植片対宿主病、喘息、敗血症、
骨疾患、癌(例、骨髄性白血病など)などの治療・予防
剤などの医薬として使用できる)。一方、本発明のタン
パク質の機能を阻害する化合物またはその塩は、本発明
のタンパク質の産生過剰に起因する疾患の治療・予防剤
などの医薬として使用できる。したがって、本発明のタ
ンパク質は、本発明のタンパク質の機能を促進または阻
害する化合物またはその塩のスクリーニングのための試
薬として有用である。すなわち、本発明は、本発明のタ
ンパク質、その部分ペプチドまたはその塩を用いること
を特徴とする本発明のタンパク質、その部分ペプチドま
たはその塩の機能を促進する化合物もしくはその塩(以
下、促進剤と略記する場合がある)、または本発明のタ
ンパク質、その部分ペプチドまたはその塩の機能を阻害
する化合物(以下、阻害剤と略記する場合がある)のス
クリーニング方法を提供する。本発明のスクリーニング
用キットは、本発明のタンパク質、部分ペプチドまたは
その塩を含有するものである。
【0041】本発明のスクリーニング方法またはスクリ
ーニング用キットを用いて得られる化合物またはその塩
は、例えば、ペプチド、タンパク、非ペプチド性化合
物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出
液、動物組織抽出液、血漿などから選ばれた化合物であ
り、本発明のタンパク質の機能を促進または阻害する化
合物である。該化合物の塩としては、前記した本発明の
タンパク質の塩と同様のものが用いられる。
【0042】本発明のスクリーニング方法またはスクリ
ーニング用キットを用いて得られる化合物を上述の治療
・予防剤として使用する場合、常套手段に従って実施す
ることができる。例えば、前記した本発明のタンパク質
を含有する医薬と同様にして、例えば必要に応じて糖衣
を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカ
プセル剤などとして経口的に、あるいは水もしくはそれ
以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、または懸
濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用できる。この
ようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、例
えば、ヒトまたは温血動物(例えば、マウス、ラット、
ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、トリ、ネコ、イ
ヌ、サル、チンパンジーなど)に対して投与することが
できる。該化合物またはその塩の投与量は、その作用、
対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより差異はある
が、例えば、炎症性疾患の治療の目的で本発明のタンパ
ク質の機能を促進する化合物を経口投与する場合、一般
的に成人(体重60kgとして)においては、一日につ
き該化合物を約0.1〜100mg、好ましくは約1.
0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与
する。非経口的に投与する場合は、該化合物の1回投与
量は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、例え
ば、炎症性疾患の治療の目的で本発明のタンパク質の機
能を促進する化合物を注射剤の形で通常成人(60kg
として)に投与する場合、一日につき該化合物を約0.
01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程
度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射
により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、
60kg当たりに換算した量を投与することができる。
一方、本発明のタンパク質の機能を阻害する化合物を経
口投与する場合、一般的に成人(体重60kgとして)
においては、一日につき該化合物を約0.1〜100m
g、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約
1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合
は、該化合物の1回投与量は投与対象、対象疾患などに
よっても異なるが、本発明のタンパク質の機能を阻害す
る化合物を注射剤の形で通常成人(60kgとして)に
投与する場合、一日につき該化合物を約0.01〜30
mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好
ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与
するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当
たりに換算した量を投与することができる。
【0043】(3)本発明のタンパク質、その部分ペプ
チドまたはその塩の定量 本発明のタンパク質に対する抗体(以下、本発明の抗体
と略記する場合がある)は、本発明のタンパク質を特異
的に認識することができるので、被検液中の本発明のタ
ンパク質の定量、特にサンドイッチ免疫測定法による定
量などに使用することができる。すなわち、本発明は、
(i)本発明の抗体と、被検液および標識化された本発
明のタンパク質とを競合的に反応させ、該抗体に結合し
た標識化された本発明のタンパク質の割合を測定するこ
とを特徴とする被検液中の本発明のタンパク質の定量
法、および(ii)被検液と担体上に不溶化した本発明の
抗体および標識化された本発明の別の抗体とを同時ある
いは連続的に反応させたのち、不溶化担体上の標識剤の
活性を測定することを特徴とする被検液中の本発明のタ
ンパク質の定量法を提供する。
【0044】また、本発明のタンパク質に対するモノク
ローナル抗体(以下、本発明のモノクローナル抗体と称
する場合がある)を用いて本発明のタンパク質の定量を
行なえるほか、組織染色等による検出を行なうこともで
きる。これらの目的には、抗体分子そのものを用いても
よく、また、抗体分子のF(ab')2 、Fab'、あるい
はFab画分を用いてもよい。本発明の抗体を用いる本
発明のタンパク質の定量法は、 特に制限されるべきも
のではなく、被測定液中の抗原量(例えば、タンパク質
量)に対応した抗体、抗原もしくは抗体−抗原複合体の
量を化学的または物理的手段により検出し、これを既知
量の抗原を含む標準液を用いて作製した標準曲線より算
出する測定法であれば、いずれの測定法を用いてもよ
い。例えば、ネフロメトリー、競合法、イムノメトリッ
ク法およびサンドイッチ法が好適に用いられるが、感
度、特異性の点で、後述するサンドイッチ法を用いるの
が特に好ましい。標識物質を用いる測定法に用いられる
標識剤としては、例えば、放射性同位元素、酵素、蛍光
物質、発光物質などが用いられる。放射性同位元素とし
ては、例えば、〔125I〕、〔131I〕、〔3H〕、〔14
C〕などが用いられる。上記酵素としては、安定で比活
性の大きなものが好ましく、例えば、β−ガラクトシダ
ーゼ、β−グルコシダーゼ、アルカリフォスファター
ゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素などが用い
られる。蛍光物質としては、例えば、フルオレスカミ
ン、フルオレッセンイソチオシアネートなどが用いられ
る。発光物質としては、例えば、ルミノール、ルミノー
ル誘導体、ルシフェリン、ルシゲニンなどが用いられ
る。さらに、抗体あるいは抗原と標識剤との結合にビオ
チン−アビジン系を用いることもできる。
【0045】抗原あるいは抗体の不溶化に当っては、物
理吸着を用いてもよく、また通常タンパク質あるいは酵
素等を不溶化、固定化するのに用いられる化学結合を用
いる方法でもよい。担体としては、アガロース、デキス
トラン、セルロースなどの不溶性多糖類、ポリスチレ
ン、ポリアクリルアミド、シリコン等の合成樹脂、ある
いはガラス等が挙げられる。サンドイッチ法においては
不溶化した本発明のモノクローナル抗体に被検液を反応
させ(1次反応)、さらに標識化した別の本発明のモノ
クローナル抗体を反応させ(2次反応)たのち、不溶化
担体上の標識剤の活性を測定することにより被検液中の
本発明のタンパク質量を定量することができる。1次反
応と2次反応は逆の順序に行っても、また、同時に行な
ってもよいし時間をずらして行なってもよい。標識化剤
および不溶化の方法は前記のそれらに準じることができ
る。また、サンドイッチ法による免疫測定法において、
固相用抗体あるいは標識用抗体に用いられる抗体は必ず
しも1種類である必要はなく、測定感度を向上させる等
の目的で2種類以上の抗体の混合物を用いてもよい。本
発明のサンドイッチ法による本発明のタンパク質の測定
法においては、1次反応と2次反応に用いられる本発明
のモノクローナル抗体は、本発明のタンパク質の結合す
る部位が相異なる抗体が好ましく用いられる。すなわ
ち、1次反応および2次反応に用いられる抗体は、例え
ば、2次反応で用いられる抗体が、本発明のタンパク質
のC端部を認識する場合、1次反応で用いられる抗体
は、好ましくはC端部以外、例えばN端部を認識する抗
体が用いられる。
【0046】本発明のモノクローナル抗体をサンドイッ
チ法以外の測定システム、例えば、競合法、イムノメト
リック法あるいはネフロメトリーなどに用いることがで
きる。競合法では、被検液中の抗原と標識抗原とを抗体
に対して競合的に反応させたのち、未反応の標識抗原
(F)と、抗体と結合した標識抗原(B)とを分離し
(B/F分離)、B,Fいずれかの標識量を測定し、被
検液中の抗原量を定量する。本反応法には、抗体として
可溶性抗体を用い、B/F分離をポリエチレングリコー
ル、前記抗体に対する第2抗体などを用いる液相法、お
よび、第1抗体として固相化抗体を用いるか、あるい
は、第1抗体は可溶性のものを用い第2抗体として固相
化抗体を用いる固相化法とが用いられる。イムノメトリ
ック法では、被検液中の抗原と固相化抗原とを一定量の
標識化抗体に対して競合反応させた後固相と液相を分離
するか、あるいは、被検液中の抗原と過剰量の標識化抗
体とを反応させ、次に固相化抗原を加え未反応の標識化
抗体を固相に結合させたのち、固相と液相を分離する。
次に、いずれかの相の標識量を測定し被検液中の抗原量
を定量する。また、ネフロメトリーでは、ゲル内あるい
は溶液中で抗原抗体反応の結果生じた不溶性の沈降物の
量を測定する。被検液中の抗原量が僅かであり、少量の
沈降物しか得られない場合にもレーザーの散乱を利用す
るレーザーネフロメトリーなどが好適に用いられる。
【0047】これら個々の免疫学的測定法を本発明の定
量方法に適用するにあたっては、特別の条件、操作等の
設定は必要とされない。それぞれの方法における通常の
条件、操作法に当業者の通常の技術的配慮を加えて本発
明のタンパク質の測定系を構築すればよい。これらの一
般的な技術手段の詳細については、総説、成書などを参
照することができる。例えば、入江 寛編「ラジオイム
ノアッセイ〕(講談社、昭和49年発行)、入江 寛編
「続ラジオイムノアッセイ〕(講談社、昭和54年発
行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(医学書院、昭
和53年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第
2版)(医学書院、昭和57年発行)、石川栄治ら編
「酵素免疫測定法」(第3版)(医学書院、昭和62年
発行)、「Methods in ENZYMOLOGY」Vol. 70(Immunochem
ical Techniques(Part A))、 同書 Vol. 73(Immunochem
ical Techniques(Part B))、 同書 Vol. 74(Immunochem
ical Techniques(Part C))、 同書 Vol. 84(Immunochem
ical Techniques(Part D:Selected Immunoassays))、
同書 Vol. 92(Immunochemical Techniques(Part E:Mono
clonal Antibodies and General Immunoassay Method
s))、 同書 Vol. 121(Immunochemical Techniques(Part
I:Hybridoma Technology and Monoclonal Antibodie
s))(以上、アカデミックプレス社発行)などを参照する
ことができる。以上のようにして、本発明の抗体を用い
ることによって、本発明のタンパク質を感度良く定量す
ることができる。さらには、本発明の抗体を用いて本発
明のタンパク質の濃度を定量することによって、本発明
のタンパク質の濃度の減少が検出された場合、例えば、
リウマチ、糖尿病、微生物感染症、HIV感染(エイ
ズ)、慢性B型肝炎、炎症性疾患(例、慢性炎症、急性
炎症)、皮膚炎、関節炎(例、リウマチ様関節炎、慢性
関節炎)、自己免疫疾患、移植片対宿主病、喘息、敗血
症、骨疾患、癌(例、骨髄性白血病など)などの疾病で
ある、または将来罹患する可能性が高いと診断すること
ができる。また、本発明の抗体は、体液や組織などの被
検体中に存在する本発明のタンパク質を検出するために
使用することができる。また、本発明のタンパク質を精
製するために使用する抗体カラムの作製、精製時の各分
画中の本発明のタンパク質の検出、被検細胞内における
本発明のタンパク質の挙動の分析などのために使用する
ことができる。
【0048】(5)遺伝子診断剤 本発明のDNAは、例えば、プローブとして使用するこ
とにより、ヒトまたは温血動物(例えば、ラット、マウ
ス、モルモット、ウサギ、トリ、ヒツジ、ブタ、ウシ、
ウマ、ネコ、イヌ、サル、チンパンジーなど)における
本発明のタンパク質またはその部分ペプチドをコードす
るDNAまたはmRNAの異常(遺伝子異常)を検出す
ることができるので、例えば、該DNAまたはmRNA
の損傷、突然変異あるいは発現低下や、該DNAまたは
mRNAの増加あるいは発現過多などの遺伝子診断剤と
して有用である。本発明のDNAを用いる上記の遺伝子
診断は、例えば、自体公知のノーザンハイブリダイゼー
ションやPCR−SSCP法(ゲノミックス(Genomic
s),第5巻,874〜879頁(1989年)、プロ
シージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オ
ブ・サイエンシイズ・オブ・ユーエスエー(Proceeding
s ofthe National Academy of Sciences of the United
States of America),第86巻,2766〜2770
頁(1989年))、 DNAマイクロアレイなどによ
り実施することができる。例えば、ノーザンハイブリダ
イゼーション、 DNAマイクロアレイにより発現低下
が検出された場合やPCR−SSCP法、DNAマイク
ロアレイによりDNAの突然変異が検出された場合は、
例えば、リウマチ、糖尿病、微生物感染症、HIV感染
(エイズ)、慢性B型肝炎、炎症性疾患(例、慢性炎
症、急性炎症)、皮膚炎、関節炎(例、リウマチ様関節
炎、慢性関節炎)、自己免疫疾患、移植片対宿主病、喘
息、敗血症、骨疾患、癌(例、骨髄性白血病など)であ
る可能性が高いと診断することができる。
【0049】(6)アンチセンスDNAを含有する医薬 本発明のDNAに相補的に結合し、該DNAの発現を抑
制することができるアンチセンスDNAは、生体内にお
ける本発明のタンパク質または本発明のDNAの機能を
抑制することができるので、例えば、本発明のタンパク
質などの発現過多に起因する疾患の治療・予防剤として
使用することができる。上記アンチセンスDNAを上記
の治療・予防剤として使用する場合、前記した本発明の
DNAを含有する各種疾病の治療・予防剤と同様にして
実施することができる。例えば、該アンチセンスDNA
を用いる場合、該アンチセンスDNAを単独あるいはレ
トロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデ
ノウイルスアソシエーテッドウイルスベクターなどの適
当なベクターに挿入した後、常套手段に従って、ヒトま
たは哺乳動物(例、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウ
シ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して経口的または非経
口的に投与することができる。該アンチセンスDNA
は、そのままで、あるいは摂取促進のために補助剤など
の生理学的に認められる担体とともに製剤化し、遺伝子
銃やハイドロゲルカテーテルのようなカテーテルによっ
て投与できる。あるいは、エアロゾル化して吸入剤とし
て気管内に投与することもできる。該アンチセンスDN
Aの投与量は、対象疾患、投与対象、投与ルートなどに
より差異はあるが、例えば、本発明のアンチセンスDN
Aを吸入剤として気管内に局所投与する場合、一般的に
成人(体重60kg)においては、一日につき該アンチ
センスDNAを約0.1〜100mg投与する。さら
に、該アンチセンスDNAは、組織や細胞における本発
明のDNAの存在やその発現状況を調べるための診断用
オリゴヌクレオチドプローブとして使用することもでき
る。
【0050】(7)本発明の抗体を含有する医薬 本発明のタンパク質の活性を中和する作用を有する本発
明の抗体は、例えば、本発明のタンパク質などの発現過
多に起因する疾患の治療・予防剤などの医薬として使用
することができる。本発明の抗体を含有する上記疾患の
治療・予防剤は、そのまま液剤として、または適当な剤
型の医薬組成物として、ヒトまたは哺乳動物(例、ラッ
ト、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルな
ど)に対して経口的または非経口的に安全に投与するこ
とができる。投与量は、投与対象、対象疾患、症状、投
与ルートなどによっても異なるが、例えば、、本発明の
抗体を1回量として、通常0.01〜20mg/kg体
重程度、好ましくは0.1〜10mg/kg体重程度、
さらに好ましくは0.1〜5mg/kg体重程度を、1
日1〜5回程度、好ましくは1日1〜3回程度、静脈注
射により投与するのが好都合である。他の非経口投与お
よび経口投与の場合もこれに準ずる量を投与することが
できる。症状が特に重い場合には、その症状に応じて増
量してもよい。本発明の抗体は、それ自体または適当な
医薬組成物として投与することができる。上記投与に用
いられる医薬組成物は、本発明の抗体と薬理学的に許容
され得る担体、希釈剤もしくは賦形剤とを含むものであ
る。かかる組成物は、経口または非経口投与に適する剤
形として提供される。すなわち、例えば、経口投与のた
めの組成物としては、固体または液体の剤形、具体的に
は錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、丸
剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤(ソフトカプセル剤を含
む)、シロップ剤、乳剤、懸濁剤などがあげられる。か
かる組成物は自体公知の方法によって製造され、製剤分
野において通常用いられる担体、希釈剤もしくは賦形剤
を含有するものである。例えば、錠剤用の担体、賦形剤
としては、乳糖、でんぷん、蔗糖、ステアリン酸マグネ
シウムなどが用いられる。
【0051】非経口投与のための組成物としては、例え
ば、注射剤、坐剤などが用いられ、注射剤は静脈注射
剤、皮下注射剤、皮内注射剤、筋肉注射剤、点滴注射剤
などの剤形を包含する。かかる注射剤は、自体公知の方
法に従って、例えば、上記抗体またはその塩を通常注射
剤に用いられる無菌の水性もしくは油性液に溶解、懸濁
または乳化することによって調製する。注射用の水性液
としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補
助薬を含む等張液などが用いられ、適当な溶解補助剤、
例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアルコー
ル(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリコー
ル)、非イオン界面活性剤〔例、ポリソルベート80、
HCO−50(polyoxyethylene(50mol)adduct of
hydrogenated castor oil)〕などと併用してもよい。
油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いら
れ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアル
コールなどを併用してもよい。調製された注射液は、通
常、適当なアンプルに充填される。直腸投与に用いられ
る坐剤は、上記抗体またはその塩を通常の坐薬用基剤に
混合することによって調製される。上記の経口用または
非経口用医薬組成物は、活性成分の投与量に適合するよ
うな投薬単位の剤形に調製されることが好都合である。
かかる投薬単位の剤形としては、錠剤、丸剤、カプセル
剤、注射剤(アンプル)、坐剤などが例示され、それぞ
れの投薬単位剤形当たり通常5〜500mg、とりわけ
注射剤では5〜100mg、その他の剤形では10〜2
50mgの上記抗体が含有されていることが好ましい。
なお前記した各組成物は、上記抗体との配合により好ま
しくない相互作用を生じない限り他の活性成分を含有し
てもよい。
【0052】(8)DNA転移動物 本発明は、外来性の本発明のタンパク質をコードするD
NA(以下、本発明の外来性DNAと略記する)または
その変異DNA(本発明の外来性変異DNAと略記する
場合がある)を有する非ヒト哺乳動物を提供する。すな
わち、本発明は、(1)本発明の外来性DNAまたはそ
の変異DNAを有する非ヒト哺乳動物、(2)非ヒト哺
乳動物がゲッ歯動物である第(1)記載の動物、(3)ゲ
ッ歯動物がマウスまたはラットである第(2)記載の動
物、および(4)本発明の外来性DNAまたはその変異
DNAを含有し、哺乳動物において発現しうる組換えベ
クターを提供するものである。本発明の外来性DNAま
たはその変異DNAを有する非ヒト哺乳動物(以下、本
発明のDNA転移動物と略記する)は、未受精卵、受精
卵、精子およびその始原細胞を含む胚芽細胞などに対し
て、好ましくは、非ヒト哺乳動物の発生における胚発生
の段階(さらに好ましくは、単細胞または受精卵細胞の
段階でかつ一般に8細胞期以前)に、リン酸カルシウム
法、電気パルス法、リポフェクション法、凝集法、マイ
クロインジェクション法、パーティクルガン法、DEA
E−デキストラン法などにより目的とするDNAを転移
することによって作出することができる。また、該DN
A転移方法により、体細胞、生体の臓器、組織細胞など
に目的とする本発明の外来性DNAを転移し、細胞培
養、組織培養などに利用することもでき、さらに、これ
ら細胞を上述の胚芽細胞と自体公知の細胞融合法により
融合させることにより本発明のDNA転移動物を作出す
ることもできる。
【0053】非ヒト哺乳動物としては、例えば、ウシ、
ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモッ
ト、ハムスター、マウス、ラットなどが用いられる。な
かでも、病体動物モデル系の作成の面から個体発生およ
び生物サイクルが比較的短く、また、繁殖が容易なゲッ
歯動物、とりわけマウス(例えば、純系として、C57
BL/6系統,DBA2系統など、交雑系として、B6
C3F1系統,BDF1系統,B6D2F1系統,BAL
B/c系統,ICR系統など)またはラット(例えば、
Wistar,SDなど)などが好ましい。哺乳動物に
おいて発現しうる組換えベクターにおける「哺乳動物」
としては、上記の非ヒト哺乳動物の他にヒトなどが挙げ
られる。本発明の外来性DNAとは、非ヒト哺乳動物が
本来有している本発明のDNAではなく、いったん哺乳
動物から単離・抽出された本発明のDNAをいう。本発
明の変異DNAとしては、元の本発明のDNAの塩基配
列に変異(例えば、突然変異など)が生じたもの、具体
的には、塩基の付加、欠損、他の塩基への置換などが生
じたDNAなどが用いられ、また、異常DNAも含まれ
る。該異常DNAとしては、異常な本発明のタンパク質
を発現させるDNAを意味し、例えば、正常な本発明の
タンパク質の機能を抑制するタンパク質を発現させるD
NAなどが用いられる。本発明の外来性DNAは、対象
とする動物と同種あるいは異種のどちらの哺乳動物由来
のものであってもよい。本発明のDNAを対象動物に転
移させるにあたっては、該DNAを動物細胞で発現させ
うるプロモーターの下流に結合したDNAコンストラク
トとして用いるのが一般に有利である。例えば、本発明
のヒトDNAを転移させる場合、これと相同性が高い本
発明のDNAを有する各種哺乳動物(例えば、ウサギ、
イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ラット、マウス
など)由来のDNAを発現させうる各種プロモーターの
下流に、本発明のヒトDNAを結合したDNAコンスト
ラクト(例、ベクターなど)を対象哺乳動物の受精卵、
例えば、マウス受精卵へマイクロインジェクションする
ことによって本発明のDNAを高発現するDNA転移哺
乳動物を作出することができる。
【0054】本発明のタンパク質の発現ベクターとして
は、大腸菌由来のプラスミド、枯草菌由来のプラスミ
ド、酵母由来のプラスミド、λファージなどのバクテリ
オファージ、モロニー白血病ウィルスなどのレトロウィ
ルス、ワクシニアウィルスまたはバキュロウィルスなど
の動物ウイルスなどが用いられる。なかでも、大腸菌由
来のプラスミド、枯草菌由来のプラスミドまたは酵母由
来のプラスミドなどが好ましく用いられる。上記のDN
A発現調節を行なうプロモーターとしては、例えば、
ウイルス(例、シミアンウイルス、サイトメガロウイル
ス、モロニー白血病ウイルス、JCウイルス、乳癌ウイ
ルス、ポリオウイルスなど)に由来するDNAのプロモ
ーター、各種哺乳動物(ヒト、ウサギ、イヌ、ネコ、
モルモット、ハムスター、ラット、マウスなど)由来の
プロモーター、例えば、アルブミン、インスリンII、
ウロプラキンII、エラスターゼ、エリスロポエチン、
エンドセリン、筋クレアチンキナーゼ、グリア線維性酸
性タンパク質ク、グルタチオンS−トランスフェラー
ゼ、血小板由来成長因子β、ケラチンK1,K10およ
びK14、コラーゲンI型およびII型、サイクリック
AMP依存タンパク質キナーゼβIサブユニット、ジス
トロフィン、酒石酸抵抗性アルカリフォスファターゼ、
心房ナトリウム利尿性因子、内皮レセプターチロシンキ
ナーゼ(一般にTie2と略される)、ナトリウムカリ
ウムアデノシン3リン酸化酵素(Na,K−ATPas
e)、ニューロフィラメント軽鎖、メタロチオネインI
およびIIA、メタロプロティナーゼ1組織インヒビタ
ー、MHCクラスI抗原(H−2L)、H−ras、レ
ニン、ドーパミンβ−水酸化酵素、甲状腺ペルオキシダ
ーゼ(TPO)、ポリペプチド鎖延長因子1α(EF−
1α)、βアクチン、αおよびβミオシン重鎖、ミオシ
ン軽鎖1および2、ミエリン基礎タンパク質、チログロ
ブリン、Thy−1、免疫グロブリン、H鎖可変部(V
NP)、血清アミロイドPコンポーネント、ミオグロビ
ン、トロポニンC、平滑筋αアクチン、プレプロエンケ
ファリンA、バソプレシンなどのプロモーターなどが用
いられる。なかでも、全身で高発現することが可能なサ
イトメガロウイルスプロモーター、ヒトポリペプチド鎖
延長因子1α(EF−1α)のプロモーター、ヒトおよ
びニワトリβアクチンプロモーターなどが好適である。
【0055】上記ベクターは、DNA転移哺乳動物にお
いて目的とするメッセンジャーRNAの転写を終結する
配列(一般にターミネターと呼ばれる)を有しているこ
とが好ましく、例えば、ウィルス由来および各種哺乳動
物由来の各DNAの配列を用いることができ、好ましく
は、シミアンウィルスのSV40ターミネターなどが用
いられる。その他、目的とする外来性DNAをさらに高
発現させる目的で各DNAのスプライシングシグナル、
エンハンサー領域、真核DNAのイントロンの一部など
をプロモーター領域の5’上流、プロモーター領域と翻
訳領域間あるいは翻訳領域の3’下流 に連結すること
も目的により可能である。該翻訳領域は転移動物におい
て発現しうるDNAコンストラクトとして、前記のプロ
モーターの下流および所望により転写終結部位の上流に
連結させる通常のDNA工学的手法により作製すること
ができる。受精卵細胞段階における本発明の外来性DN
Aの転移は、対象哺乳動物の胚芽細胞および体細胞のす
べてに存在するように確保される。DNA転移後の作出
動物の胚芽細胞において、本発明の外来性DNAが存在
することは、作出動物の後代がすべて、その胚芽細胞お
よび体細胞のすべてに本発明の外来性DNAを保持する
ことを意味する。本発明の外来性DNAを受け継いだこ
の種の動物の子孫はその胚芽細胞および体細胞のすべて
に本発明の外来性DNAを有する。
【0056】本発明の外来性正常DNAを転移させた非
ヒト哺乳動物は、交配により外来性DNAを安定に保持
することを確認して、該DNA保有動物として通常の飼
育環境で継代飼育することが出来る。受精卵細胞段階に
おける本発明の外来性DNAの転移は、対象哺乳動物の
胚芽細胞および体細胞の全てに過剰に存在するように確
保される。DNA転移後の作出動物の胚芽細胞において
本発明の外来性DNAが過剰に存在することは、作出動
物の子孫が全てその胚芽細胞および体細胞の全てに本発
明の外来性DNAを過剰に有することを意味する。本発
明の外来性DNAを受け継いだこの種の動物の子孫はそ
の胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の外来性DNA
を過剰に有する。導入DNAを相同染色体の両方に持つ
ホモザイゴート動物を取得し、この雌雄の動物を交配す
ることによりすべての子孫が該DNAを過剰に有するよ
うに繁殖継代することができる。本発明の正常DNAを
有する非ヒト哺乳動物は、本発明の正常DNAが高発現
させられており、内在性の正常DNAの機能を促進する
ことにより最終的に本発明のタンパク質の機能亢進症を
発症することがあり、その病態モデル動物として利用す
ることができる。例えば、本発明の正常DNA転移動物
を用いて、本発明のタンパク質の機能亢進症や、本発明
のタンパク質が関連する疾患の病態機序の解明およびこ
れらの疾患の治療方法の検討を行なうことが可能であ
る。また、本発明の外来性正常DNAを転移させた哺乳
動物は、遊離した本発明のタンパク質の増加症状を有す
ることから、本発明のタンパク質に関連する疾患に対す
る治療薬のスクリーニング試験にも利用可能である。
【0057】一方、本発明の外来性異常DNAを有する
非ヒト哺乳動物は、交配により外来性DNAを安定に保
持することを確認して該DNA保有動物として通常の飼
育環境で継代飼育することが出来る。さらに、目的とす
る外来DNAを前述のプラスミドに組み込んで原科とし
て用いることができる。プロモーターとのDNAコンス
トラク卜は、通常のDNA工学的手法によって作製する
ことができる。受精卵細胞段階における本発明の異常D
NAの転移は、対象哺乳動物の胚芽細胞および体細胞の
全てに存在するように確保される。DNA転移後の作出
動物の胚芽細胞において本発明の異常DNAが存在する
ことは、作出動物の子孫が全てその胚芽細胞および体細
胞の全てに本発明の異常DNAを有することを意味す
る。本発明の外来性DNAを受け継いだこの種の動物の
子孫は、その胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の異
常DNAを有する。導入DNAを相同染色体の両方に持
つホモザイゴート動物を取得し、この雌雄の動物を交配
することによりすべての子孫が該DNAを有するように
繁殖継代することができる。本発明の異常DNAを有す
る非ヒト哺乳動物は、本発明の異常DNAが高発現させ
られており、内在性の正常DNAの機能を阻害すること
により最終的に本発明のタンパク質の機能不活性型不応
症となることがあり、その病態モデル動物として利用す
ることができる。例えば、本発明の異常DNA転移動物
を用いて、本発明のタンパク質の機能不活性型不応症の
病態機序の解明およびこの疾患を治療方法の検討を行な
うことが可能である。また、具体的な利用可能性として
は、本発明の異常DNA高発現動物は、本発明のタンパ
ク質の機能不活性型不応症における本発明の異常タンパ
ク質による正常タンパク質の機能阻害(dominant negat
ive作用)を解明するモデルとなる。また、本発明の外
来異常DNAを転移させた哺乳動物は、遊離した本発明
のタンパク質の増加症状を有することから、本発明のタ
ンパク質の機能不活性型不応症に対する治療薬スクリー
ニング試験にも利用可能である。
【0058】また、上記2種類の本発明のDNA転移動
物のその他の利用可能性として、例えば、 組織培養のための細胞源としての使用、 本発明のDNA転移動物の組織中のDNAもしくはR
NAを直接分析するか、またはDNAにより発現された
タンパク質組織を分析することによる、本発明のタンパ
ク質により特異的に発現あるいは活性化するタンパク質
との関連性についての解析、 DNAを有する組織の細胞を標準組織培養技術により
培養し、これらを使用して、一般に培養困難な組織から
の細胞の機能の研究、 上記記載の細胞を用いることによる細胞の機能を高
めるような薬剤のスクリーニング、および 本発明の変異タンパク質を単離精製およびその抗体作
製などが考えられる。 さらに、本発明のDNA転移動物を用いて、本発明のタ
ンパク質の機能不活性型不応症などを含む、本発明のタ
ンパク質に関連する疾患の臨床症状を調べることがで
き、また、本発明のタンパク質に関連する疾患モデルの
各臓器におけるより詳細な病理学的所見が得られ、新し
い治療方法の開発、さらには、該疾患による二次的疾患
の研究および治療に貢献することができる。また、本発
明のDNA転移動物から各臓器を取り出し、細切後、ト
リプシンなどのタンパク質分解酵素により、遊離したD
NA転移細胞の取得、その培養またはその培養細胞の系
統化を行なうことが可能である。さらに、本発明のタン
パク質産生細胞の特定化、アポトーシス、分化あるいは
増殖との関連性、またはそれらにおけるシグナル伝達機
構を調べ、それらの異常を調べることなどができ、本発
明のタンパク質およびその作用解明のための有効な研究
材料となる。さらに、本発明のDNA転移動物を用い
て、本発明のタンパク質の機能不活性型不応症を含む、
本発明のタンパク質に関連する疾患の治療薬の開発を行
なうために、上述の検査法および定量法などを用いて、
有効で迅速な該疾患治療薬のスクリーニング法を提供す
ることが可能となる。また、本発明のDNA転移動物ま
たは本発明の外来性DNA発現ベクターを用いて、本発
明のタンパク質が関連する疾患のDNA治療法を検討、
開発することが可能である。
【0059】(9)ノックアウト動物 本発明は、本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳
動物胚幹細胞および本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳
動物を提供する。すなわち、本発明は、(1)本発明の
DNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞、
(2)該DNAがレポーター遺伝子(例、大腸菌由来の
β−ガラクトシダーゼ遺伝子)を導入することにより不
活性化された第(1)項記載の胚幹細胞、(3)ネオマ
イシン耐性である第(1)項記載の胚幹細胞、(4)非
ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である第(1)項記載の胚幹
細胞、(5)ゲッ歯動物がマウスである第(4)項記載
の胚幹細胞、(6)本発明のDNAが不活性化された該
DNA発現不全非ヒト哺乳動物、(7)該DNAがレポ
ーター遺伝子(例、大腸菌由来のβ−ガラクトシダーゼ
遺伝子)を導入することにより不活性化され、該レポー
ター遺伝子が本発明のDNAに対するプロモーターの制
御下で発現しうる第(6)項記載の非ヒト哺乳動物、
(8)非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である第(6)項記
載の非ヒト哺乳動物、(9)ゲッ歯動物がマウスである
第(8)項記載の非ヒト哺乳動物、および(10)第
(7)項記載の動物に、試験化合物を投与し、レポータ
ー遺伝子の発現を検出することを特徴とする本発明のD
NAに対するプロモーター活性を促進または阻害する化
合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
【0060】本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺
乳動物胚幹細胞とは、該非ヒト哺乳動物が有する本発明
のDNAに人為的に変異を加えることにより、DNAの
発現能を抑制するか、もしくは該DNAがコードしてい
る本発明のタンパク質の活性を実質的に喪失させること
により、DNAが実質的に本発明のタンパク質の発現能
を有さない(以下、本発明のノックアウトDNAと称す
ることがある)非ヒト哺乳動物の胚幹細胞(以下、ES
細胞と略記する)をいう。非ヒト哺乳動物としては、前
記と同様のものが用いられる。本発明のDNAに人為的
に変異を加える方法としては、例えば、遺伝子工学的手
法により該DNA配列の一部又は全部の削除、他DNA
を挿入または置換させることによって行なうことができ
る。これらの変異により、例えば、コドンの読み取り枠
をずらしたり、プロモーターあるいはエキソンの機能を
破壊することにより本発明のノックアウトDNAを作製
すればよい。本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺
乳動物胚幹細胞(以下、本発明のDNA不活性化ES細
胞または本発明のノックアウトES細胞と略記する)の
具体例としては、例えば、目的とする非ヒト哺乳動物が
有する本発明のDNAを単離し、そのエキソン部分にネ
オマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子を
代表とする薬剤耐性遺伝子、あるいはlacZ(β−ガ
ラクトシダーゼ遺伝子)、cat(クロラムフェニコー
ルアセチルトランスフェラーゼ遺伝子)を代表とするレ
ポーター遺伝子等を挿入することによりエキソンの機能
を破壊するか、あるいはエキソン間のイントロン部分に
遺伝子の転写を終結させるDNA配列(例えば、polyA
付加シグナルなど)を挿入し、完全なメッセンジャーR
NAを合成できなくすることによって、結果的に遺伝子
を破壊するように構築したDNA配列を有するDNA鎖
(以下、ターゲッティングベクターと略記する)を、例
えば相同組換え法により該動物の染色体に導入し、得ら
れたES細胞について本発明のDNA上あるいはその近
傍のDNA配列をプローブとしたサザンハイブリダイゼ
ーション解析あるいはターゲッティングベクター上のD
NA配列とターゲッティングベクター作製に使用した本
発明のDNA以外の近傍領域のDNA配列をプライマー
としたPCR法により解析し、本発明のノックアウトE
S細胞を選別することにより得ることができる。
【0061】また、相同組換え法等により本発明のDN
Aを不活化させる元のES細胞としては、例えば、前述
のような既に樹立されたものを用いてもよく、また公知
EvansとKaufmaの方法に準じて新しく樹立したものでも
よい。例えば、マウスのES細胞の場合、現在、一般的
には129系のES細胞が使用されているが、免疫学的
背景がはっきりしていないので、これに代わる純系で免
疫学的に遺伝的背景が明らかなES細胞を取得するなど
の目的で例えば、C57BL/6マウスやC57BL/
6の採卵数の少なさをDBA/2との交雑により改善し
たBDF1マウス(C57BL/6とDBA/2との
1)を用いて樹立したものなども良好に用いうる。B
DF1マウスは、採卵数が多く、かつ、卵が丈夫である
という利点に加えて、C57BL/6マウスを背景に持
つので、これを用いて得られたES細胞は病態モデルマ
ウスを作出したとき、C57BL/6マウスとバックク
ロスすることでその遺伝的背景をC57BL/6マウス
に代えることが可能である点で有利に用い得る。また、
ES細胞を樹立する場合、一般には受精後3.5日目の
胚盤胞を使用するが、これ以外に8細胞期胚を採卵し胚
盤胞まで培養して用いることにより効率よく多数の初期
胚を取得することができる。また、雌雄いずれのES細
胞を用いてもよいが、通常雄のES細胞の方が生殖系列
キメラを作出するのに都合が良い。また、煩雑な培養の
手間を削減するためにもできるだけ早く雌雄の判別を行
なうことが望ましい。ES細胞の雌雄の判定方法として
は、例えば、PCR法によりY染色体上の性決定領域の
遺伝子を増幅、検出する方法が、その1例として挙げる
ことができる。この方法を使用すれば、従来、核型分析
をするのに約106個の細胞数を要していたのに対し
て、1コロニー程度のES細胞数(約50個)で済むの
で、培養初期におけるES細胞の第一次セレクションを
雌雄の判別で行なうことが可能であり、早期に雄細胞の
選定を可能にしたことにより培養初期の手間は大幅に削
減できる。
【0062】また、第二次セレクションとしては、例え
ば、G−バンディング法による染色体数の確認等により
行うことができる。得られるES細胞の染色体数は正常
数の100%が望ましいが、樹立の際の物理的操作等の
関係上困難な場合は、ES細胞の遺伝子をノックアウト
した後、正常細胞(例えば、マウスでは染色体数が2n
=40である細胞)に再びクローニングすることが望ま
しい。このようにして得られた胚幹細胞株は、通常その
増殖性は大変良いが、個体発生できる能力を失いやすい
ので、注意深く継代培養することが必要である。例え
ば、STO繊維芽細胞のような適当なフィーダー細胞上
でLIF(1−10000U/ml)存在下に炭酸ガス培養
器内(好ましくは、5%炭酸ガス、95%空気または5
%酸素、5%炭酸ガス、90%空気)で約37℃で培養
するなどの方法で培養し、継代時には、例えば、トリプ
シン/EDTA溶液(通常0.001−0.5%トリプシ
ン/0.1−5mM EDTA、好ましくは約0.1%ト
リプシン/1mM EDTA)処理により単細胞化し、
新たに用意したフィーダー細胞上に播種する方法などが
とられる。このような継代は、通常1−3日毎に行なう
が、この際に細胞の観察を行い、形態的に異常な細胞が
見受けられた場合はその培養細胞は放棄することが望ま
れる。ES細胞は、適当な条件により、高密度に至るま
で単層培養するか、または細胞集塊を形成するまで浮遊
培養することにより、頭頂筋、内臓筋、心筋などの種々
のタイプの細胞に分化させることが可能であり〔M. J.
Evans及びM. H. Kaufman, ネイチャー(Nature)第292
巻、154頁、1981年;G. R. Martin プロシーディング
ス・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス
・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.)第7
8巻、7634頁、1981年;T. C. Doetschmanら、ジャーナ
ル・オブ・エンブリオロジー・アンド・エクスペリメン
タル・モルフォロジー、第87巻、27頁、1985年〕、本発
明のES細胞を分化させて得られる本発明のDNA発現
不全細胞は、インビトロにおける本発明のタンパク質の
細胞生物学的検討において有用である。本発明のDNA
発現不全非ヒト哺乳動物は、該動物のmRNA量を公知
方法を用いて測定して間接的にその発現量を比較するこ
とにより、正常動物と区別することが可能である。該非
ヒト哺乳動物としては、前記と同様のものが用いられ
る。
【0063】本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物
は、例えば、前述のようにして作製したターゲッティン
グベクターをマウス胚幹細胞またはマウス卵細胞に導入
し、導入によりターゲッティングベクターの本発明のD
NAが不活性化されたDNA配列が遺伝子相同組換えに
より、マウス胚幹細胞またはマウス卵細胞の染色体上の
本発明のDNAと入れ換わる相同組換えをさせることに
より、本発明のDNAをノックアウトさせることができ
る。本発明のDNAがノックアウトされた細胞は、本発
明のDNA上またはその近傍のDNA配列をプローブと
したサザンハイブリダイゼーション解析またはターゲッ
ティングベクター上のDNA配列と、ターゲッティング
ベクターに使用したマウス由来の本発明のDNA以外の
近傍領域のDNA配列とをプライマーとしたPCR法に
よる解析で判定することができる。非ヒト哺乳動物胚幹
細胞を用いた場合は、遺伝子相同組換えにより、本発明
のDNAが不活性化された細胞株をクローニングし、そ
の細胞を適当な時期、例えば、8細胞期の非ヒト哺乳動
物胚または胚盤胞に注入し、作製したキメラ胚を偽妊娠
させた該非ヒト哺乳動物の子宮に移植する。作出された
動物は正常な本発明のDNA座をもつ細胞と人為的に変
異した本発明のDNA座をもつ細胞との両者から構成さ
れるキメラ動物である。該キメラ動物の生殖細胞の一部
が変異した本発明のDNA座をもつ場合、このようなキ
メラ個体と正常個体を交配することにより得られた個体
群より、全ての組織が人為的に変異を加えた本発明のD
NA座をもつ細胞で構成された個体を、例えば、コート
カラーの判定等により選別することにより得られる。こ
のようにして得られた個体は、通常、本発明のタンパク
質のヘテロ発現不全個体であり、本発明のタンパク質の
ヘテロ発現不全個体同志を交配し、それらの産仔から本
発明のタンパク質のホモ発現不全個体を得ることができ
る。卵細胞を使用する場合は、例えば、卵細胞核内にマ
イクロインジェクション法でDNA溶液を注入すること
によりターゲッティングベクターを染色体内に導入した
トランスジェニック非ヒト哺乳動物を得ることができ、
これらのトランスジェニック非ヒト哺乳動物に比べて、
遺伝子相同組換えにより本発明のDNA座に変異のある
ものを選択することにより得られる。
【0064】このようにして本発明のDNAがノックア
ウトされている個体は、交配により得られた動物個体も
該DNAがノックアウトされていることを確認して通常
の飼育環境で飼育継代を行なうことができる。さらに、
生殖系列の取得および保持についても常法に従えばよ
い。すなわち、該不活化DNAの保有する雌雄の動物を
交配することにより、該不活化DNAを相同染色体の両
方に持つホモザイゴート動物を取得しうる。得られたホ
モザイゴート動物は、母親動物に対して、正常個体1,
ホモザイゴート複数になるような状態で飼育することに
より効率的に得ることができる。ヘテロザイゴート動物
の雌雄を交配することにより、該不活化DNAを有する
ホモザイゴートおよびヘテロザイゴート動物を繁殖継代
する。本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物
胚幹細胞は、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物を
作出する上で、非常に有用である。また、本発明のDN
A発現不全非ヒト哺乳動物は、本発明のタンパク質によ
り誘導され得る種々の生物活性を欠失するため、本発明
のタンパク質の生物活性の不活性化を原因とする疾病の
モデルとなり得るので、これらの疾病の原因究明及び治
療法の検討に有用である。
【0065】(9a)本発明のDNAの欠損や損傷など
に起因する疾病に対して治療・予防効果を有する化合物
のスクリーニング方法 本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、本発明のD
NAの欠損や損傷などに起因する疾病〔例、リウマチ、
糖尿病、微生物感染症、HIV感染(エイズ)、慢性B
型肝炎、炎症性疾患(例、慢性炎症、急性炎症)、皮膚
炎、関節炎(例、リウマチ様関節炎、慢性関節炎)、自
己免疫疾患、移植片対宿主病、喘息、敗血症、骨疾患、
癌(例、骨髄性白血病など)など〕に対して治療・予防
効果を有する化合物のスクリーニングに用いることがで
きる。すなわち、本発明は、本発明のDNA発現不全非
ヒト哺乳動物に試験化合物を投与し、該動物の変化を観
察・測定することを特徴とする、本発明のDNAの欠損
や損傷などに起因する疾病に対して治療・予防効果を有
する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供す
る。該スクリーニング方法において用いられる本発明の
DNA発現不全非ヒト哺乳動物としては、前記と同様の
ものが挙げられる。試験化合物としては、例えば、ペプ
チド、タンパク、非ペプチド性化合物、合成化合物、発
酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液、
血漿などが挙げられ、これら化合物は新規な化合物であ
ってもよいし、公知の化合物であってもよい。具体的に
は、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物を、試験化
合物で処理し、無処理の対照動物と比較し、該動物の各
器官、組織、疾病の症状などの変化を指標として試験化
合物の治療・予防効果を試験することができる。試験動
物を試験化合物で処理する方法としては、例えば、経口
投与、静脈注射などが用いられ、試験動物の症状、試験
化合物の性質などにあわせて適宜選択することができ
る。また、試験化合物の投与量は、投与方法、試験化合
物の性質などにあわせて適宜選択することができる。
【0066】本発明のスクリーニング方法を用いて得ら
れる化合物は、上記した試験化合物から選ばれた化合物
であり、本発明のタンパク質の欠損や損傷などによって
引き起こされる疾患〔例、リウマチ、糖尿病、微生物感
染症、HIV感染(エイズ)、慢性B型肝炎、炎症性疾
患(例、慢性炎症、急性炎症)、皮膚炎、関節炎(例、
リウマチ様関節炎、慢性関節炎)、自己免疫疾患、移植
片対宿主病、喘息、敗血症、骨疾患、癌(例、骨髄性白
血病など)など〕に対して治療・予防効果を有するの
で、該疾患に対する安全で低毒性な治療・予防剤などの
医薬として使用することができる。さらに、上記スクリ
ーニングで得られた化合物から誘導される化合物も同様
に用いることができる。該スクリーニング方法で得られ
た化合物は塩を形成していてもよく、該化合物の塩とし
ては、生理学的に許容される酸(例、無機酸、有機酸)
や塩基(例アルカリ金属)などとの塩が用いられ、とり
わけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。この様
な塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、リン
酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有機酸(例え
ば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン
酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安
息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸)との
塩などが用いられる。該スクリーニング方法で得られた
化合物またはその塩を含有する医薬は、前記した本発明
のタンパク質を含有する医薬と同様にして製造すること
ができる。このようにして得られる製剤は、安全で低毒
性であるので、例えば、ヒトまたは哺乳動物(例えば、
ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、
ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与する
ことができる。該化合物またはその塩の投与量は、対象
疾患、投与対象、投与ルートなどにより差異はあるが、
例えば、炎症性疾患の治療目的で該化合物を経口投与す
る場合、一般的に成人(体重60kgとして)において
は、一日につき該化合物を約0.1〜100mg、好ま
しくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜
20mg投与する。非経口的に投与する場合は、該化合
物の1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても異
なるが、例えば、炎症性疾患の治療目的で該化合物を注
射剤の形で通常成人(60kgとして)に投与する場
合、一日につき該化合物を約0.01〜30mg程度、
好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約
0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好
都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算
した量を投与することができる。
【0067】(9b)本発明のDNAに対するプロモー
ターの活性を促進または阻害する化合物をスクリーニン
グ方法 本発明は、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物に、
試験化合物を投与し、レポーター遺伝子の発現を検出す
ることを特徴とする本発明のDNAに対するプロモータ
ーの活性を促進または阻害する化合物またはその塩のス
クリーニング方法を提供する。上記スクリーニング方法
において、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物とし
ては、前記した本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物
の中でも、本発明のDNAがレポーター遺伝子を導入す
ることにより不活性化され、該レポーター遺伝子が本発
明のDNAに対するプロモーターの制御下で発現しうる
ものが用いられる。試験化合物としては、前記と同様の
ものが挙げられる。レポーター遺伝子としては、前記と
同様のものが用いられ、β−ガラクトシダーゼ遺伝子
(lacZ)、可溶性アルカリフォスファターゼ遺伝子
またはルシフェラーゼ遺伝子などが好適である。本発明
のDNAをレポーター遺伝子で置換された本発明のDN
A発現不全非ヒト哺乳動物では、レポーター遺伝子が本
発明のDNAに対するプロモーターの支配下に存在する
ので、レポーター遺伝子がコードする物質の発現をトレ
ースすることにより、プロモーターの活性を検出するこ
とができる。
【0068】例えば、本発明のタンパク質をコードする
DNA領域の一部を大腸菌由来のβ−ガラクトシダーゼ
遺伝子(lacZ)で置換している場合、本来、本発明
のタンパク質の発現する組織で、本発明のタンパク質の
代わりにβ−ガラクトシダーゼが発現する。従って、例
えば、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−
ガラクトピラノシド(X−gal)のようなβ−ガラク
トシダーゼの基質となる試薬を用いて染色することによ
り、簡便に本発明のタンパク質の動物生体内における発
現状態を観察することができる。具体的には、本発明の
タンパク質欠損マウスまたはその組織切片をグルタルア
ルデヒドなどで固定し、リン酸緩衝生理食塩液(PB
S)で洗浄後、X−galを含む染色液で、室温または
37℃付近で、約30分ないし1時間反応させた後、組
織標本を1mM EDTA/PBS溶液で洗浄すること
によって、β−ガラクトシダーゼ反応を停止させ、呈色
を観察すればよい。また、常法に従い、lacZをコー
ドするmRNAを検出してもよい。
【0069】上記スクリーニング方法を用いて得られる
化合物またはその塩は、上記した試験化合物から選ばれ
た化合物であり、本発明のDNAに対するプロモーター
活性を促進または阻害する化合物である。該スクリーニ
ング方法で得られた化合物は塩を形成していてもよく、
該化合物の塩としては、生理学的に許容される酸(例、
無機酸)や塩基(例、有機酸)などとの塩が用いられ、
とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。こ
の様な塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、リ
ン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有機酸(例
えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン
酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安
息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸)との
塩などが用いられる。本発明のDNAに対するプロモー
ター活性を促進する化合物またはその塩は、本発明のタ
ンパク質の発現を促進し、該タンパク質の機能を促進す
ることができるので、例えば、リウマチ、糖尿病、微生
物感染症、HIV感染(エイズ)、慢性B型肝炎、炎症
性疾患(例、慢性炎症、急性炎症)、皮膚炎、関節炎
(例、リウマチ様関節炎、慢性関節炎)、自己免疫疾
患、移植片対宿主病、喘息、敗血症、骨疾患、癌(例、
骨髄性白血病など)などの疾病に対する安全で低毒性な
治療・予防剤などの医薬として有用である。さらに、上
記スクリーニングで得られた化合物から誘導される化合
物も同様に用いることができる。
【0070】該スクリーニング方法で得られた化合物ま
たはその塩を含有する医薬は、前記した本発明のタンパ
ク質またはその塩を含有する医薬と同様にして製造する
ことができる。このようにして得られる製剤は、安全で
低毒性であるので、例えば、ヒトまたは哺乳動物(例え
ば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブ
タ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与
することができる。該化合物またはその塩の投与量は、
対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより差異はある
が、例えば、炎症性疾患の治療目的で本発明のDNAに
対するプロモーター活性を促進する化合物を経口投与す
る場合、一般的に成人(体重60kgとして)において
は、一日につき該化合物を約0.1〜100mg、好ま
しくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜
20mg投与する。非経口的に投与する場合は、該化合
物の1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても異
なるが、例えば、炎症性疾患の治療目的で本発明のDN
Aに対するプロモーター活性を促進する化合物を注射剤
の形で通常成人(60kgとして)に投与する場合、一
日につき該化合物を約0.01〜30mg程度、好まし
くは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1
〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合で
ある。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量
を投与することができる。一方、例えば、本発明のDN
Aに対するプロモーター活性を阻害する化合物を経口投
与する場合、一般的に成人(体重60kgとして)にお
いては、一日につき該化合物を約0.1〜100mg、
好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.
0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合は、該
化合物の1回投与量は投与対象、対象疾患などによって
も異なるが、本発明のDNAに対するプロモーター活性
を阻害する化合物を注射剤の形で通常成人(60kgと
して)に投与する場合、一日につき該化合物を約0.0
1〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程
度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射
により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、
60kg当たりに換算した量を投与することができる。
このように、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物
は、本発明のDNAに対するプロモーターの活性を促進
または阻害する化合物またはその塩をスクリーニングす
る上で極めて有用であり、本発明のDNA発現不全に起
因する各種疾患の原因究明または予防・治療薬の開発に
大きく貢献することができる。
【0071】本明細書および図面において、塩基やアミ
ノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC−IUB
Commission on Biochemical Nomenclature による略号
あるいは当該分野における慣用略号に基づくものであ
り、その例を下記する。またアミノ酸に関し光学異性体
があり得る場合は、特に明示しなければL体を示すもの
とする。 DNA :デオキシリボ核酸 cDNA :相補的デオキシリボ核酸 A :アデニン T :チミン G :グアニン C :シトシン RNA :リボ核酸 mRNA :メッセンジャーリボ核酸 dATP :デオキシアデノシン三リン酸 dTTP :デオキシチミジン三リン酸 dGTP :デオキシグアノシン三リン酸 dCTP :デオキシシチジン三リン酸 ATP :アデノシン三リン酸 EDTA :エチレンジアミン四酢酸 SDS :ドデシル硫酸ナトリウム
【0072】 Gly :グリシン Ala :アラニン Val :バリン Leu :ロイシン Ile :イソロイシン Ser :セリン Thr :スレオニン Cys :システイン Met :メチオニン Glu :グルタミン酸 Asp :アスパラギン酸 Lys :リジン Arg :アルギニン His :ヒスチジン Phe :フェニルアラニン Tyr :チロシン Trp :トリプトファン Pro :プロリン Asn :アスパラギン Gln :グルタミン pGlu :ピログルタミン酸
【0073】また、本明細書中で繁用される置換基、保
護基および試薬を下記の記号で表記する。 Me :メチル基 Et :エチル基 Bu :ブチル基 Ph :フェニル基 TC :チアゾリジン−4(R)−カルボキサミド基 Tos :p−トルエンスルフォニル CHO :ホルミル Bzl :ベンジル Cl2−Bzl :2,6−ジクロロベンジル Bom :ベンジルオキシメチル Z :ベンジルオキシカルボニル Cl−Z :2−クロロベンジルオキシカルボニル Br−Z :2−ブロモベンジルオキシカルボニル Boc :t−ブトキシカルボニル DNP :ジニトロフェニル Trt :トリチル Bum :t−ブトキシメチル Fmoc :N−9−フルオレニルメトキシカルボニル HOBt :1−ヒドロキシベンズトリアゾール HOOBt :3,4−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−4−オキソ− 1,2,3−ベンゾトリアジン HONB :1-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミド DCC :N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド
【0074】本願明細書の配列表の配列番号は、以下の
配列を示す。 〔配列番号:1〕本発明のヒト由来タンパク質(VH1
01287)のアミノ酸配列を示す。 〔配列番号:2〕 配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を有する本発明
のヒト由来タンパク質をコードするDNAの塩基配列を
示す。 〔配列番号:3〕本発明のヒト由来タンパク質(VH1
01290)のアミノ酸配列を示す。 〔配列番号:4〕 配列番号:2で表わされるアミノ酸配列を有する本発明
のヒト由来タンパク質をコードするDNAの塩基配列を
示す。 〔配列番号:5〕後述の実施例1で使用したオリゴDN
Aの塩基配列を示す。 〔配列番号:6〕後述の実施例1で使用したオリゴDN
Aの塩基配列を示す。 〔配列番号:7〕後述の実施例2で使用したオリゴDN
Aの塩基配列を示す。 〔配列番号:8〕後述の実施例2で使用したオリゴDN
Aの塩基配列を示す。 〔配列番号:9〕後述の実施例3で使用するオリゴDN
Aの塩基配列を示す。 〔配列番号:10〕後述の実施例3で使用するオリゴD
NAの塩基配列を示す。 〔配列番号:11〕後述の実施例4で使用するオリゴD
NAの塩基配列を示す。 〔配列番号:12〕後述の実施例4で使用するオリゴD
NAの塩基配列を示す。
【0075】後述の実施例2で得られた形質転換体Es
cherichia coli DH5α/pTBN5
は、2000年1月18日から発酵研究所(IFO)に
寄託番号 IFO 16355として、2000年2月2
日から通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所
(NIBH)に寄託番号 FERM BP−7018と
してそれぞれ寄託されている。
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はそれに限定されるものではな
い。なお、大腸菌を用いての遺伝子操作法は、モレキュ
ラー・クローニング(Molecular cloning)に記載され
ている方法に従った。 実施例1 VH101287タンパク質をコードするcDNA の
クローニング 本発明のVH101287タンパク質をコードするcD
NAは以下のようなPCR法により取得する。 配列番号:5で表されるオリゴDNA(ATGCAGG
CAGATCCTGGAGGGAGTAGTCA)をセ
ンス鎖プライマーとして、配列番号:6で表されるオリ
ゴDNA(CTACCAGCTCTGTTCAAAGT
AAAACTTGGTAC)をアンチセンス鎖プライマ
ーとして各々25pmol、Premix Taq
TM(Ex TaqTM Version)(宝酒造
(株))10μl、鋳型DNAとしてHuman mu
ltiple tissue cDNA(MTC TM)p
anels、(クロンテック(株))の各組織別cDN
A溶液1μlを含む混合液20μlを調製し、サーマル
サイクラー(GeneAmpR PCRsystem
model 9700(パーキンエルマー社))を用い
て、最初に94℃で1分間置いた後、94℃で10秒、
72℃で3分を1サイクルとして5サイクル、続いて9
4℃で10秒、70℃で3分を1サイクルとして5サイ
クル、続いて94℃で10秒、68℃で3分を1サイク
ルとして25サイクル各反応を繰り返し、さらに68
℃、5分で伸長反応させるプログラムでPCR反応を行
う。反応終了液を2.0%アガロースゲルを用いて電気
泳動後エチジウムブロマイド染色し、分子量マーカー換
算で0.5kb付近の位置にPCR反応で増幅されたD
NAに対応するバンドを確認する。次にキアクィックゲ
ルエキストラクションキット(キアゲン社)を用いて該
DNA断片を回収し、塩基配列を決定する為にpCRR
2.1−TOPO(インビトロジェン社)を用いてTA
クローニングし、該プラスミドを大腸菌DH5α株のコ
ンピテントセルに導入する。アンピシリン含有LB寒天
培地上で出現するアンピシリン耐性形質転換株のコロニ
ーの中から外来DNA断片が挿入がされていたプラスミ
ドを保持していたクローンを選択し、該プラスミドDN
A、pTBN4を調製する。挿入DNAの塩基配列を決
定するため、pTBN4を鋳型DNA、2種(PRM−
007、PRM−008)の市販プライマーDNA(東
洋紡績(株))をシーケンスプライマーとし、ABI
PRISMR BigDye Terminator Cy
cle Sequencing FS Ready Rea
ction Kit(パーキンエルマー社)を用いたシ
ーケンス反応を添付資料の条件にしたがって、サーマル
サイクラー(GeneAmpR PCR system m
odel 9700(パーキンエルマー社))で行った
後、該反応試料をDNAシーケンサーABI PRIS
R 377(パーキンエルマー社)で分析する。その
結果、pTBN4には、公知のタンパク質とは全く相同
性がない配列番号:1で表される169個のアミノ酸か
らなる新規VH101287タンパク質をコードする配
列番号:2で表される507塩基の塩基配列からなるオ
ープンリーディングフレーム(Open reading frame)を
含むDNA断片が含まれる(図1)。コードされるVH
101287タンパク質は、公知のタンパク質に相同性
の高いものは見あたらず、図3に示すヒトIL−1レセ
プターアンタゴニストタンパク質との相同性はアミノ酸
レベルで40%である。
【0076】実施例2 VH101290タンパク質をコードする cDNA の
クローニング 本発明のVH101290タンパク質をコードするcD
NAは以下のようなPCR法により取得した。 配列番号:7で表されるオリゴDNA(ATGGAAA
AAGCATTGAAAATTGACACACCTC
A)をセンス鎖プライマーとして、配列番号:8で表さ
れるオリゴDNA(TTAAAACAGCATAGTT
AACCCAAAGTCAGTAGTGT)をアンチセ
ンス鎖プライマーとして各々25pmol、Premi
x TaqTM(Ex TaqTM Version)(宝酒
造(株))10μl、鋳型DNAとしてHuman m
ultiple tissue cDNA (MT
TM)panels、(クロンテック(株))の各組織
別cDNA溶液 1μlを含む混合液20μlを調製し、
サーマルサイクラー(GeneAmpR PCR sys
tem model 9700(パーキンエルマー
社))を用いて最初に94℃で1分間置いた後、94℃
で10秒、 72℃で3分を1サイクルとして5サイク
ル、続いて94℃で10秒、70℃で3分を1サイクル
として5サイクル、続いて94℃で10秒、68℃で3
分を1サイクルとして25サイクル各反応を繰り返し、
さらに68℃、5分で伸長反応させるプログラムでPC
R反応を行った。反応終了液を2.0%アガロースゲル
を用いて電気泳動後エチジウムブロマイド染色し、分子
量マーカー換算で0.5kb付近の位置にPCR反応で増
幅されたDNAに対応するバンドを確認した。次にキア
クィックゲルエキストラクションキット(キアゲン社)
を用いて該DNA断片を回収し、塩基配列を決定する為
にpCRR2.1−TOPO(インビトロジェン社)を
用いてTAクローニングし、該プラスミドを大腸菌DH
5α株のコンピテントセルに導入した。アンピシリン含
有LB寒天培地上で出現するアンピシリン耐性形質転換株
のコロニーの中から外来DNA断片が挿入されていたプ
ラスミドを保持していたクローンを選択し、該プラスミ
ドDNA、pTBN5を調製した。挿入DNAの塩基配
列を決定するため、pTBN5を鋳型DNA、2種(P
RM−007、PRM−008)の市販プライマーDN
A(東洋紡績(株))をシーケンスプライマーとし、A
BI PRISMR BigDye Terminator
CycleSequencing FS Ready R
eaction Kit(パーキンエルマー社)を用い
たシーケンス反応を添付資料の条件にしたがって、サー
マルサイクラー(GeneAmpR PCR syste
m model 9700(パーキンエルマー社))で行
った後、該反応試料をDNAシーケンサーABI PR
ISMR 377(パーキンエルマー社)で分析した。そ
の結果、pTBN5には、 公知のタンパク質とは全く
相同性がない配列番号:3で表される158個のアミノ
酸からなる新規VH101290タンパク質をコードす
る配列番号:4で表される474塩基の塩基配列からな
るオープンリーディングフレーム(Open reading fram
e)を含むDNA断片が含まれていた(図2)。コード
されるVH101290タンパク質は、公知のタンパク
質に相同性の高いものは見あたらず、図3に示すヒトI
L−1raおよび実施例1記載のVH101287タン
パク質との相同性はアミノ酸レベルでそれぞれ28%、
27%であった。こうして得られたプラスミドpTBN
5を大腸菌DH5αに導入し、形質転換体Escher
ichia coli DH5α/pTBN5を得た。
【0077】実施例3 VH101287−FLAG融合タンパク質のCOS7
細胞での発現とその検出 以下の要領で、VH101287とFLAGエピトープ
ペプチドの融合タンパク質のCOS7細胞での発現とそ
の検出を行う。まず実施例1で得たVH101287を
コードするcDNAの塩基配列 に基づき、2種のプラ
イマーDNAを化学合成する。一つは5’−CGAAT
TCCCACCATGCAGGCAGATCCTGGA
GGGAGTAGTC−3’(配列番号:9)であり、
これは制限酵素EcoRI認識部位を含むアンカー配列
を5’末端側に持つ+1〜+28(翻訳開始部位を+1
とする)までのセンス配列を含むオリゴDNAである。
もう一つは5’−GTACAGTCGACCCAGCT
CTGTTCAAAGTAAAACTTGGTA−3’
(配列番号:10)であり、これは制限酵素SalI認
識部位を含むアンカー配列の3’側に+480〜+50
7 までのアンチセンス配列がつながった配列を有する
オリゴDNAである。実施例1に記載のプラスミドpT
BN4を鋳型としてこれら2種のプライマーDNAおよ
びTakara LA Taq(宝酒造)を用い、サーマ
ルサイクラーGeneAmpTM PCR system
9700(パーキンエルマー社)にて、最初98℃で3
0秒間置いた後、98℃で10秒、55℃で20秒、7
2℃で2分を1反応サイクルとして25サイクル増幅反
応を繰返し、最後に72℃で5分間伸長反応を行う。得
られたDNA断片を精製後、制限酵素EcoRIとSa
lIで末端消化の後再精製し、動物細胞用発現ベクター
pCAN618FLAGのEcoRI、SalI部位へ
挿入、連結する。pCAN618FLAGは、プラスミ
ドベクターpCAN618に由来し、選択マーカーとし
てのネオマイシン耐性遺伝子を持つと共に、目的タンパ
ク質をコードするDNA断片をそのクローニング部位で
あるEcoRI、SalI部位に挿入することでサイト
メガロウイルスの極初期遺伝子エンハンサーとその下流
のβ−アクチンプロモーター制御下で該タンパク質を発
現させることができるのみならず、SalI部位直後に
存在する8アミノ酸のFLAGエピトープ配列(Asp
−Tyr−Lys−Asp−Asp−Asp−Asp−
Lys)をコードする塩基配列と終止コドンに読み取り
枠を合わせることで該目的タンパク質をFLAG融合タ
ンパク質として発現させることも可能である。上述のP
CRクローニングDNA断片のpCAN618FLAG
への挿入もVH101287全長とFLAGエピトープ
の融合タンパク質(間にValを1残基挿む)を発現す
る目的で行い、その結果、発現ベクタープラスミドpV
H287−Fを得る。次に、COS7細胞1.2×10
5細胞を6穴プレートを用いて、10%牛胎児血清(F
BS)を含むダルベッコ変法最小培地(DMEM)で2
4時間培養し、この細胞に上記の発現プラスミドpVH
287−F(1ウェルあたり0.4μg)をリポフェク
トアミン(Gibco BRL)を用いて導入する。導
入24時間後上記の新しい培地に交換し、さらに5時間
後にFBS不含有Opti−MEM(Gibco BR
L)に換えて36時間培養後、その培養上清と細胞抽出
液を得る。細胞抽出液は細胞を生理食塩を含むリン酸緩
衝液(PBS)で2回洗浄後、トリスSDSサンプル緩
衝液で溶解抽出し、一方、培養上清は限外濾過(分子量
3000カット)で適宜濃縮後、等容のトリスSDSサ
ンプル緩衝液と混合する。これらのサンプルを熱処理後
15%−25% SDS−ポリアクリルアミドゲルで電
気泳動し、さらにそのゲルからPVDF膜上(Amer
shampharmacia biotech社)に転
写する。次に該PVDF膜をブロックエース(雪印乳
業)で1時間ブロッキングし、0.05% Tween
20を含むPBS(PBS−T)中で抗FLAGモノ
クローナル抗体(10μg/ml;Kodak社)と2
時間反応させる。PBS−Tで3回洗浄後、PBS−T
中で、西洋ワサビ過酸化酵素標識抗マウスIgGヤギ抗
体(Amershampharmacia biote
ch社;5000倍希釈)と1時間反応する。PBS−
Tで5回洗浄後、ECLplus発色キット(Amer
sham pharmacia biotech社)お
よびECL film(Amersham pharm
acia biotech社)を用いて該融合タンパク
質に対応する化学発光を検出する。また、該融合タンパ
ク質の精製は、上述したCOS7細胞への遺伝子導入実
験をスケールアップし、大量調製した該培養上清、また
はRIPA緩衝液(150mM NaCl,1% No
nidet P−40(NP−40),0.1%SD
S,0.5% デオキシコール酸ナトリウム,40mM
トリス塩酸(pH7.5))を用いた細胞粗抽出液より
抗FLAGモノクローナル抗体M2(シグマ社)をカラ
ムに結合したアフィニティクロマトグラフィーにて行
い、かくして得られた目的タンパク質は各種生物活性の
検定に用いる。
【0078】実施例4 VH101290−FLAG融合タンパク質のCOS7
細胞での発現とその検出 以下の要領で、VH101290とFLAGエピトープ
ペプチドの融合タンパク質のCOS7細胞での発現とそ
の検出を行う。まず実施例2で得たVH101290を
コードするcDNAの塩基配列に基づき、2種のプライ
マーDNAを化学合成する。一つは5’−CGAATT
CCCACCATGGAAAAAGCATTGAAAA
TTGACACAC−3’(配列番号:11)であり、
これは制限酵素EcoRI認識部位を含むアンカー配列
を5’末端側に持つ+1〜+28(翻訳開始部位を+1
とする)までのセンス配列を含むオリゴDNAである。
もう一つは5’−GTACAGTCGACAAACAG
CATAGTTAACCCAAAGTCAGTA−3’
(配列番号:12)であり、これは制限酵素SalI認
識部位を含むアンカー配列の3’側に+447〜+47
4までのアンチセンス配列がつながった配列を有するオ
リゴDNAである。実施例2で得たプラスミドpTBN
5を鋳型としてこれら2種のプライマーDNAおよびT
akaraLA Taq(宝酒造)を用い、サーマルサ
イクラーGeneAmpTM PCRsystem 970
0(パーキンエルマー社)にて、最初98℃で30秒間
置いた後、98℃で10秒、55℃で20秒、72℃で
2分を1反応サイクルとして25サイクル増幅反応を繰
返し、最後に72℃で5分間伸長反応を行う。得られた
DNA断片を精製後、制限酵素EcoRIとSalIで
末端消化の後再精製し、動物細胞用発現ベクターpCA
N618FLAGのEcoRI、SalI部位へ挿入、
連結する。pCAN618FLAGは、プラスミドベク
ターpCAN618に由来し、選択マーカーとしてのネ
オマイシン耐性遺伝子を持つと共に、目的タンパク質を
コードするDNA断片をそのクローニング部位であるE
coRI 、SalI部位に挿入することでサイトメガ
ロウイルスの極初期遺伝子エンハンサーとその下流のβ
−アクチンプロモーター制御下で該タンパク質を発現さ
せることができるのみならず、SalI部位直後に存在
する8アミノ酸のFLAGエピトープ配列(Asp−T
yr−Lys−Asp−Asp−Asp−Asp−Ly
s)をコードする塩基配列と終止コドンに読み取り枠を
合わせることで該目的タンパク質をFLAG融合タンパ
ク質として発現させることも可能である。上述のPCR
クローニングDNA断片のpCAN618FLAGへの
挿入もVH101290全長とFLAGエピトープの融
合タンパク質(間にValを1残基挿む)を発現する目
的で行い、その結果、発現ベクタープラスミドpVH2
90−Fを得る。次にCOS7細胞1.2×105細胞
を6穴プレートを用いて、10%牛胎児血清(FBS)
を含むダルベッコ変法最小培地(DMEM)で24時間
培養し、この細胞に上記の発現プラスミドpVH290
−F(1ウェルあたり0.4μg)をリポフェクトアミ
ン(Gibco BRL)を用いて導入する。導入24
時間後上記の新しい培地に交換し、さらに5時間後にF
BS不含有Opti−MEM(Gibco BRL)に
換えて36時間培養後、その培養上清と細胞抽出液を得
る。細胞抽出液は細胞を生理食塩を含むリン酸緩衝液
(PBS)で2回洗浄後、トリスSDSサンプル緩衝液
で溶解抽出し、一方、培養上清は限外濾過(分子量 3
000カット)で適宜濃縮後、等容のトリスSDSサン
プル緩衝液と混合する。これらのサンプルを熱処理後1
5%−25% SDS−ポリアクリルアミドゲルで電気
泳動し、さらにそのゲルからPVDF膜上(Amers
hampharmacia biotech社)に転写
する。次に該PVDF膜をブロックエース(雪印乳業)
で1時間ブロッキングし、0.05% Tween 2
0を含むPBS(PBS−T)中で抗FLAGモノクロ
ーナル抗体(10μg/ml;Kodak社)と2時間
反応させる。PBS−Tで3回洗浄後、PBS−T中
で、西洋ワサビ過酸化酵素標識抗マウスIgGヤギ抗体
(Amershampharmacia biotec
h社;5000倍希釈)と1時間反応する。PBS−T
で5回洗浄後、ECLplus発色キット(Amers
ham pharmacia biotech社)およ
びECL film(Amersham pharma
cia biotech社)を用いて該融合タンパク質
に対応する化学発光を検出する。また、該融合タンパク
質の精製は上述したCOS7細胞への遺伝子導入実験を
スケールアップし、大量調製した該培養上清、またはR
IPA緩衝液(150mM NaCl, 1% Non
idet P−40(NP−40),0.1% SD
S,0.5% デオキシコール酸ナトリウム,40mM
トリス塩酸(pH7.5))を用いた細胞粗抽出液よ
り抗FLAGモノクローナル抗体M2(シグマ社)をカ
ラムに結合したアフィニティクロマトグラフィーにて行
い、かくして得られた目的タンパク質は各種生物活性の
検定に用いる。
【0079】
【発明の効果】本発明のタンパク質およびそれをコード
するDNAは、例えば、リウマチ、糖尿病、微生物感染
症、HIV感染(エイズ)、慢性B型肝炎、炎症性疾患
(例、慢性炎症、急性炎症)、皮膚炎、関節炎(例、リ
ウマチ様関節炎、慢性関節炎)、自己免疫疾患、移植片
対宿主病、喘息、敗血症、骨疾患、癌(例、骨髄性白血
病など)などの疾病の治療・予防剤として使用すること
ができる。また、本発明のタンパク質は、本発明のタン
パク質の活性を促進もしくは阻害する化合物またはその
塩のスクリーニングのための試薬として有用である。さ
らに、本発明のタンパク質に対する抗体は、本発明のタ
ンパク質を特異的に認識することができるので、被検液
中の本発明のタンパク質の定量などに使用することがで
きる。
【0080】
【配列表】 <110> Takeda Chemical Industries, Ltd. <120> Novel Protein and its Production <130> B00362 <150> JP 11-369975 <151> 1999-12-27 <150> JP 2000-045125 <151> 2000-02-17 <160> 12 <210> 1 <211> 169 <212> PRT <213> Human <400> 1 Met Gln Ala Asp Pro Gly Gly Ser Ser His Ser Gly Lys Ile Ile Cys 1 5 10 15 Met Gly Gln Phe Pro Ile Phe Glu Ser Phe Val Arg Ile Lys Tyr Ala 20 25 30 Asp Gln Lys Ala Leu Tyr Thr Arg Asp Gly Gln Leu Leu Val Gly Asp 35 40 45 Pro Val Ala Asp Asn Cys Cys Ala Glu Lys Ile Cys Ile Leu Pro Asn 50 55 60 Arg Gly Leu Ala Arg Thr Lys Val Pro Ile Phe Leu Gly Ile Gln Gly 65 70 75 80 Gly Ser Arg Cys Leu Ala Cys Val Glu Thr Glu Glu Gly Pro Ser Leu 85 90 95 Gln Leu Glu Asp Val Asn Ile Glu Glu Leu Tyr Lys Gly Gly Glu Glu 100 105 110 Ala Thr Arg Phe Thr Phe Phe Gln Ser Ser Ser Gly Ser Ala Phe Arg 115 120 125 Leu Glu Ala Ala Ala Trp Pro Gly Trp Phe Leu Cys Gly Pro Ala Glu 130 135 140 Pro Gln Gln Pro Val Gln Leu Thr Lys Glu Ser Glu Pro Ser Ala Arg 145 150 155 160 Thr Lys Phe Tyr Phe Glu Gln Ser Trp 165 169 <210> 2 <211> 507 <212> DNA <213> Human <400> 2 ATGCAGGCAG ATCCTGGAGG GAGTAGTCAC TCGGGGAAAA TCATCTGCAT GGGTCAATTT 60 CCCATTTTTG AAAGTTTCGT AAGAATTAAA TATGCAGACC AGAAGGCTCT ATACACAAGA 120 GATGGCCAGC TGCTGGTGGG AGATCCTGTT GCAGACAACT GCTGTGCAGA GAAGATCTGC 180 ATACTTCCTA ACAGAGGCTT GGCCCGCACC AAGGTCCCCA TTTTCCTGGG GATCCAGGGA 240 GGGAGCCGCT GCCTGGCATG TGTGGAGACA GAAGAGGGGC CTTCCCTACA GCTGGAGGAT 300 GTGAACATTG AGGAACTGTA CAAAGGTGGT GAAGAGGCCA CACGCTTCAC CTTCTTCCAG 360 AGCAGCTCAG GCTCCGCCTT CAGGCTTGAG GCTGCTGCCT GGCCTGGCTG GTTCCTGTGT 420 GGCCCGGCAG AGCCCCAGCA GCCAGTACAG CTCACCAAGG AGAGTGAGCC CTCAGCCCGT 480 ACCAAGTTTT ACTTTGAACA GAGCTGG 507 <210> 3 <211> 158 <212> PRT <213> Human <400> 3 Met Glu Lys Ala Leu Lys Ile Asp Thr Pro Gln Gln Gly Ser Ile Gln 1 5 10 15 Asp Ile Asn His Arg Val Trp Val Leu Gln Asp Gln Thr Leu Ile Ala 20 25 30 Val Pro Arg Lys Asp Arg Met Ser Pro Val Thr Ile Ala Leu Ile Ser 35 40 45 Cys Arg His Val Glu Thr Leu Glu Lys Asp Arg Gly Asn Pro Ile Tyr 50 55 60 Leu Gly Leu Asn Gly Leu Asn Leu Cys Leu Met Cys Ala Lys Val Gly 65 70 75 80 Asp Gln Pro Thr Leu Gln Leu Lys Glu Lys Asp Ile Met Asp Leu Tyr 85 90 95 Asn Gln Pro Glu Pro Val Lys Ser Phe Leu Phe Tyr His Ser Gln Ser 100 105 110 Gly Arg Asn Ser Thr Phe Glu Ser Val Ala Phe Pro Gly Trp Phe Ile 115 120 125 Ala Val Ser Ser Glu Gly Gly Cys Pro Leu Ile Leu Thr Gln Glu Leu 130 135 140 Gly Lys Ala Asn Thr Thr Asp Phe Gly Leu Thr Met Leu Phe 145 150 155 158 <210> 4 <211> 474 <212> DNA <213> Human <400> 4 ATGGAAAAAG CATTGAAAAT TGACACACCT CAGCAGGGGA GCATTCAGGA TATCAATCAT 60 CGGGTGTGGG TTCTTCAGGA CCAGACGCTC ATAGCAGTCC CGAGGAAGGA CCGTATGTCT 120 CCAGTCACTA TTGCCTTAAT CTCATGCCGA CATGTGGAGA CCCTTGAGAA AGACAGAGGG 180 AACCCCATCT ACCTGGGCCT GAATGGACTC AATCTCTGCC TGATGTGTGC TAAAGTCGGG 240 GACCAGCCCA CACTGCAGCT GAAGGAAAAG GATATAATGG ATTTGTACAA CCAACCCGAG 300 CCTGTGAAGT CCTTTCTCTT CTACCACAGC CAGAGTGGCA GGAACTCCAC CTTCGAGTCT 360 GTGGCTTTCC CTGGCTGGTT CATCGCTGTC AGCTCTGAAG GAGGCTGTCC TCTCATCCTT 420 ACCCAAGAAC TGGGGAAAGC CAACACTACT GACTTTGGGT TAACTATGCT GTTT 474 <210> 5 <211> 29 <212> DNA <213> Artificial Sequence <400> 5 ATGCAGGCAG ATCCTGGAGG GAGTAGTCA 29 <210> 6 <211> 32 <212> DNA <213> Artificial Sequence <400> 6 CTACCAGCTC TGTTCAAAGT AAAACTTGGT AC 32 <210> 7 <211> 32 <212> DNA <213> Artificial Sequence <400> 7 ATGGAAAAAG CATTGAAAAT TGACACACCT CA 32 <210> 8 <211> 35 <212> DNA <213> Artificial Sequence <400> 8 TTAAAACAGC ATAGTTAACC CAAAGTCAGT AGTGT 35 <210> 9 <211> 40 <212> DNA <213> Artificial Sequence <400> 9 CGAATTCCCA CCATGCAGGC AGATCCTGGA GGGAGTAGTC 40 <210> 10 <211> 39 <212> DNA <213> Artificial Sequence <400> 10 GTACAGTCGA CCCAGCTCTG TTCAAAGTAA AACTTGGTA 39 <210> 11 <211> 40 <212> DNA <213> Artificial Sequence <400> 11 CGAATTCCCA CCATGGAAAA AGCATTGAAA ATTGACACAC 40 <210> 12 <211> 39 <212> DNA <213> Artificial Sequence <400> 12 GTACAGTCGA CAAACAGCAT AGTTAACCCA AAGTCAGTA 39
【0081】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のVH101287タンパク質をコード
するDNAの塩基配列および該塩基配列から推定される
アミノ酸配列を示す。
【図2】本発明のVH101290タンパク質をコード
するDNAの塩基配列および該塩基配列から推定される
アミノ酸配列を示す。
【図3】VH101287タンパク質、VH10129
0タンパク質およびヒトIL−1raタンパク質との相
同性を示す。図中、IL-1ra.pro は、ヒトIL−1ra
タンパク質を、Vh101287.pro は、VH101287タ
ンパク質を、Vh101290.pro は、VH101290タン
パク質をそれぞれ示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 11/06 A61P 19/02 4H045 17/00 19/08 19/02 29/00 19/08 31/00 29/00 31/04 31/00 31/18 31/04 35/00 31/18 37/02 35/00 C07K 14/47 37/02 16/18 C07K 14/47 C12N 1/15 16/18 1/19 C12N 1/15 1/21 1/19 C12P 21/02 C 1/21 21/08 5/10 G01N 33/15 Z C12P 21/02 33/50 Z 21/08 33/53 D G01N 33/15 C12N 15/00 ZNAA 33/50 A61K 37/02 33/53 C12N 5/00 A Fターム(参考) 2G045 AA24 AA34 AA35 AA40 BB20 CB01 DA12 DA13 DA14 DA36 DA77 FB02 FB03 4B024 AA01 AA11 BA26 BA44 CA04 DA01 DA02 DA05 DA11 EA04 GA11 4B064 AG04 AG27 CA19 CC24 DA03 DA13 4B065 AA01X AA57X AA87X AA93Y AB01 AC14 BA02 CA24 CA25 CA44 CA46 4C084 AA02 AA06 AA07 AA17 BA01 BA08 BA22 BA23 BA24 CA25 CA53 CA56 CA59 DA59 NA14 ZA592 ZA752 ZA892 ZA962 ZB072 ZB112 ZB152 ZB262 ZB322 ZB332 ZB352 ZC352 ZC422 ZC552 4H045 AA10 AA11 AA20 AA30 BA10 CA40 DA02 DA76 EA20 EA50 FA72 FA74

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と
    同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタン
    パク質またはその塩。
  2. 【請求項2】請求項1記載のタンパク質の部分ペプチド
    またはその塩。
  3. 【請求項3】請求項1記載のタンパク質または請求項2
    記載の部分ペプチドをコードする塩基配列を有するDN
    Aを含有するDNA。
  4. 【請求項4】配列番号:2で表される塩基配列を有する
    請求項3記載のDNA。
  5. 【請求項5】配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と
    同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタン
    パク質またはその塩。
  6. 【請求項6】請求項5記載のタンパク質の部分ペプチド
    またはその塩。
  7. 【請求項7】請求項5記載のタンパク質または請求項6
    記載の部分ペプチドをコードする塩基配列を有するDN
    Aを含有するDNA。
  8. 【請求項8】配列番号:4で表される塩基配列を有する
    請求項7記載のDNA。
  9. 【請求項9】請求項1もしくは請求項5記載のタンパク
    質または請求項2もしくは請求項6記載の部分ペプチド
    をコードするDNAを含有する組換えベクターで形質転
    換された形質転換体を培養し、該タンパク質または該部
    分ペプチドを生成せしめることを特徴とする、請求項1
    もしくは請求項5記載のタンパク質または請求項2もし
    くは請求項6記載の部分ペプチドまたはその塩の製造
    法。
  10. 【請求項10】請求項1もしくは請求項5記載のタンパ
    ク質または請求項2もしくは請求項6記載の部分ペプチ
    ドまたはその塩に対する抗体。
  11. 【請求項11】請求項1もしくは請求項5記載のタンパ
    ク質または請求項2もしくは請求項6記載の部分ペプチ
    ドまたはその塩を用いることを特徴とする、請求項1も
    しくは請求項5記載のタンパク質または請求項2もしく
    は請求項6記載の部分ペプチドまたはその塩の活性を促
    進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング
    方法。
  12. 【請求項12】請求項1もしくは請求項5記載のタンパ
    ク質または請求項2もしくは請求項6記載の部分ペプチ
    ドまたはその塩を含有してなる、請求項1もしくは請求
    項5記載のタンパク質または請求項2もしくは請求項6
    記載の部分ペプチドまたはその塩の活性を促進または阻
    害する化合物またはその塩のスクリーニング用キット。
  13. 【請求項13】請求項11記載のスクリーニング方法ま
    たは請求項12記載のスクリーニング用キットを用いて
    得られうる、請求項1もしくは請求項5記載のタンパク
    質または請求項2もしくは請求項6記載の部分ペプチド
    またはその塩の活性を促進または阻害する化合物または
    その塩。
  14. 【請求項14】請求項11記載のスクリーニング方法ま
    たは請求項12記載のスクリーニング用キットを用いて
    得られうる、請求項1もしくは請求項5記載のタンパク
    質または請求項2もしくは請求項6記載の部分ペプチド
    またはその塩の活性を促進または阻害する化合物または
    その塩を含有してなる医薬。
  15. 【請求項15】請求項10記載の抗体を含有してなる診
    断剤。
  16. 【請求項16】請求項1もしくは請求項5記載のタンパ
    ク質または請求項2もしくは請求項6記載の部分ペプチ
    ドまたはその塩を含有してなる医薬。
  17. 【請求項17】リウマチ、糖尿病、微生物感染症、HI
    V感染、慢性B型肝炎、炎症性疾患、皮膚炎、関節炎、
    自己免疫疾患、移植片対宿主病、喘息、敗血症、骨疾患
    または癌の治療・予防剤である請求項16記載の医薬。
  18. 【請求項18】請求項1もしくは請求項5記載のタンパ
    ク質または請求項2もしくは請求項6記載の部分ペプチ
    ドまたはその塩を投与することを特徴とするリウマチ、
    糖尿病、微生物感染症、HIV感染、慢性B型肝炎、炎
    症性疾患、皮膚炎、関節炎、自己免疫疾患、移植片対宿
    主病、喘息、敗血症、骨疾患または癌の治療・予防方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003523209A (ja) * 2000-01-27 2003-08-05 イミュネックス・コーポレーション Fil−1シータdnaおよびポリペプチド
EA012440B1 (ru) * 2005-04-29 2009-10-30 Зе Риджентс Оф Зи Юнивесити Оф Кэлифонье Пептид, композиция на его основе для лечения патологий, связанных c воспалительными процессами

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