JP2524939B2 - エンハンサ−及びその用途 - Google Patents

エンハンサ−及びその用途

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、無血清あるいは低血清
で効率良く遺伝子を発現させる、フィブロネクチン(以
下、FNと略称することもある)遺伝子に対しエンハン
サー活性を持つDNA及びその用途に関する。
【0002】
【従来の技術】任意の遺伝子産物の生産には、大腸菌
等のバクテリアを用いる方法と、酵母等の真菌類を用
いる方法、動物(細胞)を用いる方法が考えられる。
このうち、との方法には、(a)遺伝子産物が細胞
(菌体)外に分泌されない場合がある、(b)動物由来
遺伝子の立体構造が異常となる場合がある、(c)動物
由来遺伝子産物が、本来有する修飾糖鎖を付加されな
い、等の欠点がある。従って、一般的に動物由来遺伝子
産物(以下、物質という)の生産にはの方法が選択さ
れる。
【0003】の方法は、動物個体を用いる方法と、培
養細胞を用いる方法に大別される。動物個体を用いる方
法は、生産しようとする遺伝子産物の宿主(生産個体)
への影響や、個体差間の管理が困難である場合が多い。
従って、現時点では、培養細胞を用いる方法が選択され
ることが多い。
【0004】物質生産等を目的とする動物細胞(以下、
細胞と言う)の培養には、一般的に高濃度(5〜20
%)の動物血清(以下、血清と言う)を含む培地が用い
られている。このような培地に添加される血清は、高価
である上に品質がロット間で安定しないために利用者が
細胞に合わせて品質のチェックをしなければならない。
このために培地に要する血清の調達コストが細胞培養コ
ストの多くの割合を占めている。また、培養細胞で発現
する遺伝子産物やその代謝物(以下、両産物を総称して
物質と言う)を取得しようとする場合、培地に含まれる
血清成分は目的物質の純化を困難にし、精製コストを引
上げる主因となっている。
【0005】従って、培養細胞を用いて物質生産を行な
う場合、生産コストを低く抑えるためには血清不含培地
若しくは血清濃度の極めて低い培地(以下、低血清培地
と言う)を用いるのがもっとも有効である。しかし、血
清不含培地に順応しない細胞や低血清培地では細胞の増
殖活性の低下に伴って発現しなくなる遺伝子が多く、実
用には多くの問題が伴っている。
【0006】一方、細胞外マトリックスの構成成分であ
るフィブロネクチン(以下、FNと略す)は、休止期
(低血清培地で維持したり、細胞密度が上昇して接触障
害が起こり増殖を停止した状態)の正常型接着性培養細
胞で極めて強く発現し、増殖開始とともに発現が抑制さ
れるが、これはFN遺伝子の転写制御領域(以下、FN
プロモーターと言う)の活性の調節に依存している(Ha
raら、Gene 70、 97 (1988)) 。従って、FNプロモータ
ーの下流にクローン化した遺伝子をつないで細胞に導入
すれば、低血清培地中で高レベルに該遺伝子産物を生産
する細胞株(形質転換株)を樹立することができると考
えられる。
【0007】FNプロモーターについては、既にラット
やヒトをはじめとする数種の動物細胞からクローン化さ
れ、DNAの一次構造(ヌクレオチド配列)も報告され
ている(Patel ら、The EMBO Journal6巻9号、2565
頁、1987年) 。
【0008】しかしこれらの解析は完全とは言えず、例
えばFNプロモーター発現に必要なエンハンサーは未知
のまま残されていた。さらに、物質生産への応用を前提
としたFNプロモーターの研究に関する報告は、小田が
1988年の細胞工学(細胞工学別冊4、3頁)に可能
性として示唆したものを除いて他には見られない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、無血清及び低血清培地中で動物細胞による高レベル
の物質生産を行うことのできるエンハンサー活性を有す
るDNA及びその用途を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは無血清ある
いは低血清下で作動するエンハンサーのクローニングに
ついて鋭意研究した結果、FN遺伝子に対してエンハン
サー活性を持つDNAを得、これとプロモーターとを用
いると効率良く構造遺伝子を発現させることができるこ
とを見出し、さらに研究した結果、本発明を完成した。
【0011】すなわち、本発明は、(1) フィブロネクチ
ン遺伝子に対してエンハンサー活性を持ち、配列表の配
列番号1ないし27又は34で示される塩基配列を有す
DNA、(2) プロモーター及び構造遺伝子に上記(1)
記載のエンハンサー活性を有するDNAが接続された組
換えベクター、(3) 上記(2) 記載の組換えベクターを保
持する動物細胞形質転換体を培養することを特徴とする
遺伝子産物の製造法である。
【0012】本発明のFN遺伝子に対してエンハンサー
活性を持つDNAを以下において、本発明のエンハンサ
ーDNAと略称することもある。
【0013】また、ここで、エンハンサーとは、以下の
ような特徴を持つ、DNA上の塩基配列を指す。 (1) エンハンサーは、同一DNA上にある最も近いプロ
モーターの転写効率を増大させる活性を持つ。 (2) エンハンサーは、その働きの対象となる遺伝子とか
なり距離が離れていても(数千塩基程度まで)機能す
る。 (3) エンハンサーは決まった位置にある必要はない。つ
まり遺伝子の5’側に位置する必要はなく、転写領域内
あるいはその下流にあってもよい。 (4) ある種のエンハンサー配列は、特定の細胞を好んだ
り、そこでだけ働いたりする(組織特異性)。 以上のような特徴によって、エンハンサーとプロモータ
ーを区別することが出来る。
【0014】本発明のFNエンハンサーDNAの、FN
遺伝子に対するエンハンサー活性とは、FNプロモータ
ーの上流にエンハンサーDNAをつなぐと、その結果、
FNプロモーターの転写効率が増大する、つまりFNプ
ロモーターの支配下にある構造遺伝子の発現が増大す
る、ということを意味する。さらに、そうした転写効率
の増大は、休止期の状態にある細胞(上記参照)で著し
く、逆に細胞増殖の開始とともに転写は急速に抑制され
る。このことも本発明のエンハンサーDNAの重要な性
質である。
【0015】本発明のエンハンサーDNAは、例えば、
ラットFNプロモーターの塩基配列(Patel ら、The EM
BO Journal、 6(9)、 2565) を基にポリメラーゼ連鎖反応
(PCR)法によりプローブを調製し、これを用いてラ
ットFNプロモーター領域及びエンハンサー領域をクロ
ーニングし、この遺伝子を制限酵素消化してFNをコー
ドしている構造遺伝子の一部を含むその上流部分2千塩
基対(以下、kbp と言う) のDNAを得、これを再びプ
ラスミドDNA上にサブクローニングし、この2kbp
DNAの下流に、レポーター遺伝子としてのクロラムフ
ェニコールアセチル転移酵素(CAT)遺伝子を連結し
たプラスミドDNAを構築し、該DNAをトランスフェ
クトした動物細胞のCATの活性を測定することによ
り、FN遺伝子上流部分2kbpDNAに無血清あるい
は低血清下で作動するエンハンサーを得ることができ
る。
【0016】さらに詳しくは、たとえばPatel らの方法
により得ることが出来る。すなわち、cDNAをプローブと
して用いてEMBL3型ラムダファージベクターに組込
まれたラットゲノム遺伝子ライブラリー(Tamkun, J. W.
ら Proc. Natl. Acad. Sci.USA、 81、 5140 (1984)) を
スクリーニングし、プローブと反応するファージクロー
ンよりFNゲノム遺伝子の3’側25kbを有するDNA
を抽出する。さらに、得られたFNゲノム遺伝子DNA
の5’側部分をプローブとして用いて同様のスクリーニ
ングを繰り返し、一連の一部重複するFNゲノム遺伝子
DNAを得る。これらのDNAのFN遺伝子上の位置は
cDNAをプローブとして用いてサザンブロッティングを行
ない決定する。このうち、FNcDNA5’末端部分のプロ
ーブと反応するDNAについて、制限酵素切断とDNA
塩基配列の解析並びにRNase プロテクション試験等を
行ない、FN遺伝子の転写始点並びにプロモーターの一
部を決定することができる。
【0017】こうして得られたプロモーターの一部をプ
ローブとして用いてEMBL3型λファージベクターに
組込まれたラット繊維芽細胞株3Y1(Kimuraら、Int.
J.Cancer、 15、 694 (1975)) 遺伝子ライブラリーをス
クリーニングする。プローブと反応するファージクロー
ンよりDNAを抽出し、組込まれているラット遺伝子部
分の制限酵素地図を作製し、構造遺伝子上流のDNA断
片、例えば2.0kb 断片を例えばプラスミドpBluescriptI
I KSに再クローニングすることができる。
【0018】クローニングしたDNAの塩基配列を決定
し、例えばcDNAの塩基配列と比較することにより遺伝子
上の翻訳開始コドンの位置を知ることができる。
【0019】また、ラットmRNAを用いて、例えばS1マ
ッピング法(Berk, A. J. and Sharp, P. A. Cell 2、 72
1 (1977)) を行なえば該遺伝子の転写開始点を知ること
ができる。
【0020】このようにして得られた本発明のエンハン
サーDNAの一例としては、図4に示した−1081〜
−1908の塩基配列の中に存在するエンハンサー領域
を含むものが挙げられる。
【0021】プロモーターとしては、例えば、The EMBO
Journal, 6, 2563-2572 (1987) の第2568〜256
9頁の第5図に記載の塩基配列中の”TATAA”、”
GGGCGG”、”CCAAT”の配列を含むDNAが
挙げられる。
【0022】構造遺伝子としては、種(Specie
s)の由来に限定されるものではなく、動物細胞で発現
されるものであればいずれでもよい。
【0023】該構造遺伝子の一例としては、例えば、tr
ansposable element Tn9由来のクロラムフェニコールア
セチルトランスフェラーゼ(CAT)をコードする遺伝
子、ヒト由来のγ型インターフェロン(IFN−γ)を
コードする遺伝子、ヒト由来のNerve Growth Factor 2
(NGF-2) (ヨーロッパ特許出願公開第386,752A1 号公報
参照)をコードする遺伝子等が挙げられる。
【0024】本発明のエンハンサーDNA、プロモータ
ー領域及び構造遺伝子を接続するベクターとしては、例
えばpCD ベクター、cDM8ベクター(Aruffo, A and Seed,
B.、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、 84、 8573 (1987))、
レトロウイルスベクター(Cone, R. D. and Mulligan,
R. C.、 Proc. Natl. Acad. Sci. USA、 81、 6349 (198
4))等動物細胞用のものを含め、pBR、 pUC等いかなるプ
ラスミドであっても用いることができる。
【0025】上記の本発明のエンハンサーDNA、プロ
モーター領域及び構造遺伝子をベクターに接続すること
は、以下のような手順で行なうことができる。
【0026】まず、ベクターを適当な制限酵素で処理し
て外来DNAを挿入できる形にする。一方、エンハンサ
ーDNA、プロモーター領域及び構造遺伝子(これらは
同一DNA上で連続している状態で利用可能であるとす
る)を適当な供給源から切り出してきて、その両末端を
必要に応じて加工する。その後、処理済のベクター及び
エンハンサーDNA、プロモーター領域及び構造遺伝子
のDNA断片とを混合して、リガーゼで処理して接続す
る。
【0027】このようにして得られた組換えベクターを
動物細胞に導入し、形質転換体とする。
【0028】該宿主としての動物細胞の例としては、例
えば、ラット繊維芽細胞由来の3Y1細胞、マウス繊維
芽細胞由来の3T3細胞、ヒト繊維芽細胞由来のWI3
8細胞、ヒト肝腫瘍細胞由来のHUH7細胞、ハムスタ
ー肺癌細胞由来のHmLu1細胞等が挙げられる。中で
も、ラット3Y1細胞が特に好ましい。
【0029】組換えベクターを動物細胞に導入するに
は、例えば燐酸カルシウム法(Wigler, M ら、Cell、 16
777 (1979))、DEAEデキストラン法(Lopata, M.
A. ら、Nucleic Acid Res.、 12、 5707 (1984)) 、電気穿
孔(エレクトロポレーション)法(石崎ら、細胞工学、
5巻557ページ、1986年)、マイクロインジェク
ション法等の方法を用いて行なうことができる。
【0030】上記の方法で得られた動物細胞形質転換体
は、それ自体公知の方法で培養することができる。培地
としては、例えばMEM培地(Science、 122、 501 (195
2))、DMEM培地(Virology、 8、 396 (1959))、RPMI1
640培地(The Journal of the American Medical Assoc
iation、 199、 519 (1967)) 、199 培地(Proceedingof
the Society for the Biological Medicine、 73、 1 (19
50))等が挙げられる。培地のpHは約6〜8であるのが
好ましい。培養は通常、約30〜40℃で約15〜96
時間行ない、必要に応じて通気や攪拌を加えることもで
きる。また、血清を含む培地で培養した形質転換体を途
中で血清を含まないあるいは低血清条件下に移して培養
しても良い。
【0031】該培養においては、血清を全く含まない培
地又は0.1〜20%のウシ血清を含む培地を使用す
る。通常の培養においては血清濃度10%(細胞によっ
ては5%)で十分である。その条件で適当な細胞数にま
で増やし、その後、無血清あるいは低血清(約0.1〜
2%)の新しい培地に替えて、細胞を維持することによ
り、目的とする遺伝子産物を大量に得ることができる。
培地は3日おきくらいに新しいものに交換するのが好ま
しい。該血清としては例えば仔牛血清、牛胎児血清等が
挙げられ、なかでも牛胎児血清が好ましい。
【0032】これらの方法により、任意の構造遺伝子を
本発明のエンハンサーDNA及びプロモーターを用い
て、無血清あるいは低血清条件下で効率良く発現させる
ことが可能となる。
【0033】後述の実施例1(3) で得られた、本発明の
エンハンサーDNA及びプロモーターが接続された組換
えベクターpF1900Lを、大腸菌に保持させた形質
転換体E.coli AG1/pF1900Lは、平成
3年9月3日より財団法人発酵研究所(IFO)に受託
番号IFO 15220として寄託され、また、本形質
転換体は平成3年9月9日より通商産業省工業技術院微
生物工業技術研究所(FRI)に微工研条寄第3552
号として寄託されている。
【0034】
【実施例】以下、本発明を実施例により、より具体的に
説明するが、本発明の実施例はこれらに限られるもので
はない。
【0035】実施例1 (1) ラットFNプロモーター及びエンハンサーの単離 ラット繊維芽細胞株3Y1クローンb 1-6 (以下、3Y
1と略す)よりEMBL3型λファージベクター(スト
ラタジーン社製;以下、Stgと言う)を用いてゲノミ
ックDNAライブラリーを作製した。また、Patel らの
決定したFNの5’側(隣接)領域の-1067 ヌクレオチ
ド(以下、nt)から−529nt(ただし、FN伝達
RNA(以下、mRNAと略す)転写開始点を+1nt、そ
の1ヌクレオチド上流を−1ntとする)に相当するD
NA断片を3Y1ゲノミックDNAを鋳型としてポリメ
ラーゼ連鎖反応(以下、PCR)法で調製した。
【0036】前記DNA断片の5’側末端を(γ−
32P)ATPとT4ポリヌクレオチドキナーゼを用いて
放射線標識しDNAプローブとした。これを用いて前記
ゲノミックDNAライブラリー150万クローンをスク
リーニングし、FNプロモーターを含む2クローン#9
08と#916を得た。サザンブロッティングによる解
析の結果、#908は約10キロ塩基対(以下、kbp と
言う)、#916は約5.7kbpのFNの5’側(隣接)領
域を含むSalI断片を有することが分かった(図1)。
【0037】次に、#908からFNの5’側(隣接)
領域を含む2.1kbpのPstI断片、2.3kbp
のsalI−NheI断片をプラスミドpBluesc
ript IIKS+(Stg)にサブクローニング
し、それぞれprFNpp2.1並びにprFNsn
2.3を得た(図2、3)。prFNpp2.1の塩基
配列を決定したところ、得られたFNの5’側(隣接)
領域は未報告の−1908ヌクレオチドから−1081
ヌクレオチドまでを含むことが分かった(図。ただ
し、−1080ヌクレオチドから+2460ヌクレオチ
ドまでの塩基配列はPatelらが報告済み[The
EMBO Journal、6(9)、 2565(1
987)])。−1080ヌクレオチド以下の塩基配列
又は制限酵素地図はPatelらの報告と一致した。
【0038】(2)FNプロモーター及びエンハンサー
の機能領域の検討 FNプロモーター及びエンハンサーの機能領域を3Y1
におけるクロラムフェニコール・アセチルトランスフェ
ラーゼ(以下、CATと言う)の一過性発現活性の解析
(CATアッセイ)によって検討した。すなわち、種々
の欠失や塩基置換変異を与えたFN5’側隣接領域(プ
ロモーター及びエンハンサーを含む)をCAT遺伝子の
上流に挿入したプラスミド(pFCAT)を作製し(図
6、7、8参照)、3Y1にトランスフェクト後、48
時間目に細胞抽出液中のCAT活性を測定し相互に比較
した。
【0039】(2)−1 pFCATの作出 まず、FNプロモーター及びエンハンサーをCAT遺伝
子の上流に挿入するためにプラスミドpSV2CAT−
BXとpSV2CAT−XBを作出した(図参照)。
これらのプラスミドは、Gorman(Molecul
ar andCellular Biology、
(9)、1044(1982))らが報告したpSV2
CATのAccI切断部位(以下、サイトと言う)とN
deIサイトをそれぞれBgl IIサイトとXhoI
サイトに置換したもの(pSV2CAT−BX) 又は
XhoIサイトとBgl IIサイトに置換したもの
(pSV2CAT−XB)である。以下、これらのプラ
スミドをベースに種々の欠失、あるいは塩基置換変異を
有するFN5’側隣接領域をCAT遺伝子上流に挿入
し、26種のpFCATを構築した(図6、7、8
照。作出した各プラスミドには便宜のため1〜26の番
号を付記した)。なお、図6、7、8中1〜26で示さ
れる各DNA領域の塩基配列をそれぞれ配列表の配列番
号1〜26に示す。なお、これらの塩基配列は、図6、
7、8に示された塩基番号および図4に示された全塩基
配列から知ることができるものである。なお、−190
9nt〜−2050ntの塩基配列は決定されていない
ので、この部分を含むものについては、−1908nt
以降の部分のみの塩基配列が示されている。さらに、図
6、7、8のそれぞれの上部に記載されている−239
nt〜−230nt、−54nt〜−44ntおよび−
105nt〜−95ntの両端に図4に示されているこ
れらの領域の両端の1塩基ずつを加えた塩基配列をそれ
ぞれ配列番号28、29および30で示す。さらに、図
8中のプラスミド20、22および21中に具体的に示
されている−239nt〜−230nt、−54nt〜
−44ntおよび−105nt〜−95ntの両端に図
4に示されているこれらの領域の両端の1塩基ずつを加
えた塩基配列をそれぞれ配列番号31、32および33
で示す。以下に、構築したpFCATの作出法を説明す
る。
【0040】pF1900CAT、pF202CAT
(図6;1,7参照) prFNpp2.1をBamHI 又はSau3AIと
Hind IIIで切断し、それぞれ2.1kbpと3
51bpのDNA断片(FNの5’側隣接領域の−19
08nt又は−202ntから+136ntまでを含
む)をpSV2CAT−XBのHind IIIサイト
とBgl IIサイトの間に挿入し、pF1900CA
T とpF202CATを作出した。
【0041】pFC1079CAT(図6,2参照) prFNsn2.3をEcoRIで切断後、T4DNA
ポリメラーゼで平滑末端とし、BamHI リンカーを
付加した。次に、BamHI とPstIで切断し、
1.4kbpのDNA断片(FNの5’側隣接領域の−
1079ntから+136ntまでを含む)をHind
III−PstIアダプター(5’AGCTTGCA
3’)を用いてpSV2CAT−XBのHind II
IサイトとBgl IIサイトの間に挿入し、pF10
79CATを作出した。
【0042】pF882CAT、pF564CAT、p
F414CAT、pF166CAT(図6;3、5、
6、8参照) prFNpp2.1をStuI、SmaI、DraI又
はRsaIで切断し、Bgl IIリンカーを付加し
た。次に、Bgl IIとHind IIIで切断し、
それぞれ1kbp、710bp、560bp並び310
bpのDNA断片(FNの5’側隣接領域の−882ヌ
クレオチド、−564ヌクレオチド、−414ヌクレオ
チド又は−166ヌクレオチドから+136ヌクレオチ
ドまでを含む)をpSV2CAT−XBのHind I
IIサイトとBgl IIサイトの間に挿入し、pF8
82CAT、pF564CAT、pF414CAT並び
にpF166CATを作出した。
【0043】pF746CAT、pF123CAT(図
6;4,10参照) prFNpp2.1をApaLI又はEagIで切断
し、T4DNAポリメラーゼで平滑末端とした後、Bg
l IIリンカーを付加した(EagIサイトはリンカ
ーを付加したことにより修復された)。次に、Bgl
IIとHindIIIで切断し、それぞれ900bp又
は270bpのDNA断片(FNの5’側隣接領域の−
746nt又は−123ntから+136ntまでを含
む)をpSV2CAT−XBのHind IIIサイト
とBgl IIサイトの間に挿入しpF746CATと
pF123CATを作出した。
【0044】pF154CAT(図6;9参照) prFNpp2.1をAat IIとHind III
で切断し、300bpのDNA断片(FNの5’側隣接
領域の−154ntから+136ntまでを含む)をS
au3AI−Aat IIアダプター(5’GATCA
CGT3’)を用いてpSV2CAT−XBのHind
IIIサイトとBgl IIサイトの間に挿入しpF
154CATを作出した。
【0045】pFΔa882CAT、pFΔa746C
AT、pFΔa564CAT、pFΔa414CAT、
pFΔa123CAT(図7;11、12、13、1
4、16参照) prFNsn2.3をEcoRIで切断後、T4DNA
ポリメラーゼで平滑末端とし、Bgl IIリンカーを
付加した。次に、Bgl IIとXho Iで切断し、
1kbpのDNA断片(FNエンハンサーの−1908
ntから−1075ntまでを含む)をpSV2CAT
−BXのBgl IIサイトとXhoIサイトの間に挿
入し、pSV2CAT−FNaを作出した。次に、pF
882CAT、pF746CAT、pF564CAT、
pF414CAT及びpF123CATからそれぞれF
Nプロモーター及びエンハンサーを含むBgl II−
Hind III断片を単離して pSV2CAT−F
NaのHind IIIサイトとBgl IIサイトの
間に挿入し、pFΔa882CAT、pFΔa746C
AT、pFΔa564CAT、pFΔa414CAT及
びpFΔa123CATを作出した。
【0046】pFΔa154CAT(図7;15参照) prFNpp2.1をAat IIとHind III
で切断し、300bpのDNA断片(FNの5’側隣接
領域の−154ntから+136ntまでを含む)をS
au3AI−Aat IIアダプター(5’GATCA
CGT3’)を用いて前項で作出したpSV2CAT−
FNaのHind IIIサイトとBgl IIサイト
の間に挿入し、pFΔa154CATを作出した。
【0047】pFΔb746CAT、pFΔb564C
AT(図7;17、18参照) prFNsn2.3をStuIで切断後、Bgl II
リンカーを付加した。次に、Bgl IIとXhoIで
切断し、1.1kbpのDNA断片(FNエンハンサー
の−1908ntから−882ntまでを含む)をpS
V2CAT−BXのBgl IIサイトとXho Iサ
イトの間に挿入し、pSV2CAT−FNbを作出し
た。次に、pF746CAT又はpF564CATから
それぞれFNプロモーター及びエンハンサーを含むBg
l II−Hind III断片を単離してpSV2C
AT−FNbのHind IIIサイトとBgl II
サイトの間に挿入しpFΔb746CATとpFΔb5
64CATを作出した。
【0048】pFΔc564CAT(図7;19参照) prFNsn2.3をApaLIで切断後、T4DNA
ポリメラーゼで平滑末端とし、Bgl IIリンカーを
付加した。次に、Bgl IIとXho Iで切断し
1.3kbpのDNA断片(FNエンハンサーの−90
8ヌクレオチドから−742ヌクレオチドを含む)をp
SV2CAT−BXのBgl IIサイトとXho I
サイトの間に挿入し、pSV2CAT−FNcを作出し
た。次に、pF564CATからFNプロモーター及び
エンハンサーを含むBglII−Hind III断片
を単離してpSV2CAT−FNcのHindIIIサ
イトとBgl IIサイトの間に挿入し、pFΔc56
4CATを作出した。
【0049】pFgGGCAT、pFggGCAT、p
FgGgCATA、pFgggCAT(図8;20、2
1、22、23参照) FNプロモーター及びエンハンサーの機能をより強化す
る目的で、該DNA塩基配列に含まれる3カ所のGリッ
チな領域(FN5’側隣接領域の−239〜−229n
t、−105〜−95nt及び−54〜−44ntに存
在するGのみで、又は中央付近にCを1塩基挟んでGが
10塩基並んだ領域。これらをG10領域と称する)に
塩基置換変異を導入し、本項及び次項のpFCATsを
作出した。pF564CATをBgl IIとHind
IIIで切断し、FNプロモーターを含む720bp
のDNA断片をM13mp19ファージベクターのBa
mHIサイトとHind IIIサイトの間に挿入して
M13F564ファージを得、これを大腸菌CJ236
株に感染して単鎖ファージDNAを調製した。該単鎖フ
ァージDNAを鋳型とし、合成DNAプライマーと宝酒
造社の部位特異的変異導入システム”Mutan−K”
を用いて、Kunkelらの方法によりFN5’側隣接
領域の−236〜−233nt(a)、−98〜−95
nt(b)、または−54〜−51nt(c)にある3
カ所のGGGG配列をそれぞれATCC、ATCC、C
TTAに置換した。この塩基置換変異の導入により、そ
れぞれのG10領域は破壊された。塩基置換変異ファー
ジのうち、(a)のみを置換したものをM13FgG
、(a)と(b)を置換したものをM13ggG
(a)と(c)を置換したものをM13FgGg
(a)、 (b)、 (c)の3カ所を置換したものを
M13Fgggとした。下線部分のgは置換変異を、G
は野生型の配列を表し、最初のgは(a)の位置、二番
目のgは(b)の位置、三番目のgは(c)の位置を示
した。M13FgGG、M13FggG、M13FgG
g並びにM13Fgggより、pF414CATと同様
の方法で、それぞれpFgGGCAT、pFggGCA
T、pFgGgCAT並びにpFgggCATを構築し
た。
【0050】pFΔgGCAT、pFΔGgCAT、p
FΔggCAT(図8;24、25、26参照) 前項で構築したM13ggG、M13gGg並びにM1
3gggより、pF123CATと同様の方法で、それ
ぞれpFΔgGCAT、pFΔGgCAT並びにpFΔ
ggCATを構築した。下線部のΔは前項の(a)の配
列が欠如していることを示した。
【0051】(2)−2CATアッセイ3Y1細胞における発現(図9参照) 前項で作出した26種類のpFCAT及び実験対照用C
AT発現プラスミドptkCAT(HayashiらG
enes & Development、、818)
とpSV2CATを用い、増殖中と低血清(ウシ血清
0.5%)培地中で休止中の3Y1でCATアッセイを
行なった(図、A参照)。このときのDNAトランス
フェクションは、以下の条件で行なった。増殖中の3Y
1;直径9cmのシャーレに約5×105の細胞をま
き、翌日1枚あたり20μgのDNAを燐酸カルシウム
共沈法(Chenら、Molecular and C
ellular Biology、7(8)、274
5)で4.5時間から6時間投与した。休止中の3Y
1;直径9cmのシャーレ当たり約1×106の細胞を
まき、2日後に増殖中の場合と同様の条件でトランスフ
ェクトした。いずれの場合もトランスフェクションの後
48時間から50時間目に細胞を収穫し、0.25Mト
リス塩酸緩衝液(pH7.8)中で凍結融解を3回行な
って細胞抽出液を調製した。
【0052】CATアッセイは、Gormanらの方法
に従って行なった。その結果は図、Bに示す通りであ
るが、以下のことが分かった。なお、各pFCATは図
6、7、8に示した番号で表現する。 (イ)全体からFNエンハンサー及びプロモーターは、
休止中の3Y1でより強い発現活性を持つ。 (ロ)全体からFNエンハンサー及びプロモーターは、
tkプロモーターやSV2プロモーターより強い発現活
性を持つ。 (ハ)1と2、3〜6と11〜14の比較から、FNエ
ンハンサーの−1908ntから−1079ntまでの
間には発現を促進する領域が含まれる。なお、図4から
知ることができる、この領域の塩基配列を配列番号27
に示す。 (ニ)1と18、2〜4と5の比較から、FNエンハン
サーの−882ntから−564ntまでの間には発現
を抑制する領域が含まれる。なお、図4から知ることが
できる、この領域の塩基配列を配列番号34に示す。 (ホ)6、14と9、15または10、16の比較か
ら、FNエンハンサーの−414ntから−154nt
の間に(イ)で示した−1908ntから−1079n
tにある発現促進領域の機能に必要な領域が存在する。
なお、図4から知ることができる、−414ntから−
154ntの塩基配列を配列番号35に示す。
【0053】トランスフォームした3Y1細胞(Xho
C14細胞)における発現(図10参照) アデノウィルスE1遺伝子で3Y1をトランスフォーム
した細胞株XhoC14では、フィブロネクチンの発現
が正常型3Y1細胞に比べて極めて低い。XhoC細胞
で前項同様にCATアッセイを行って解析したところ、
1〜19までのpFCATsの発現は3Y1細胞での発
現に比べて1/10程度と低かった(トランスフェクシ
ョンの条件、及びCATアッセイの方法は、前項の増殖
中の3Y1と同様に行った)。一方、G10領域に塩基
置換変異を導入した20〜26(図参照)をXhoC
細胞にトランスフェクトし、CATアッセイを行なって
pF414CAT(=pFGGGCAT)、またはpF
123CAT(=pFΔGGCAT)と発現レベルを比
較したところ、図10に示す結果を得た。これにより、
以下のことがわかった。 (ヘ)FNプロモーター及びエンハンサーに含まれる3
箇所のGリッチな領域(G10領域)は、トランスフォ
ームした細胞株(XhoC)において、発現に対して抑
制的に働く。 (ト)従って、3箇所のG10領域を例えば塩基置換等
の変異を導入することで破壊すれば、FNエンハンサー
及びプロモーターは、トランスフォームした細胞株にお
いても強い発現活性を回復する。
【0054】(3)形質導入ベクターpF1900L、
pFΔb564L,pF1900Lneo 並びにpF
Δb564Lneoの構築 前項の結果に基づき、形質導入ベクターpF1900
L、pFΔb564L、pF1900Lneo及びpF
Δb564Lneoを構築した(図11、12参照)。
pF1900LとpFΔb564LはそれぞれpF19
00CATとpFΔb564CATのCAT遺伝子部分
をFNの+198ntから+312ntの断片(FN分
泌シグナルの部分)と交換したプラスミドである。新た
に挿入したFN分泌シグナルの部分は、5’側にHin
d IIIサイトと3’側にBgl IIサイトを持
ち、これらの制限酵素によって切り出すことができる。
また、これらのサイトはそれぞれの任意構造遺伝子のク
ローニングサイトとなる。ただし、Bgl IIサイト
にクローニングするときは、FN分泌シグナルのアミノ
酸コードにコドンフレームを合わせなければならない。
【0055】pF1900LneoとpFΔb564Lneoは、pSV2neo の
NdelサイトにBamHI リンカーを付加してBamHI で切断
し、SV2 プロモーターとネオマイシン耐性遺伝子を含む
DNA断片をそれぞれpF1900L とpFΔb564L のBamHI サ
イトに挿入して作出した。これらのプラスミドは細胞に
導入後、安定形質転換株をG418耐性株として単離するこ
とができる。
【0056】上記プラスミドpF1900Lを、Maniat
is, T. Fritsch, E.F. and Sambrook, J. (1982). Mol
ecular Cloning: A Laboratory Manual (Cold Spring H
arbor, New York: Cold Spring Harbor Laboratory) の
方法に従って大腸菌DH1に導入し、形質転換体E. col
i AG1/pF1900L (IFO 15220、 FERM BP-3552) を作製し
た。
【0057】 図実施例2 (4)形質導入ベクターpF1900Mの構築 前項で構築した形質導入ベクターとは別に、FN分泌シ
グナルを予め持たないベクターpF1900Mを構築し
た(図19、20参照)。まず、prFNpp2.1の
FNエンハンサー及びプロモーター3’側に隣接するマ
ルチクローニングサイトをApaIで切断した。Bgl
IIIリンカーを挿入後、BamHIとBgl II
で切断してFNエンハンサー及びプロモーターを含むD
NA断片を単離した。次にpSV2β−globinを
NdeIで切断し、T4DNAポリメラーゼ処理してB
glIIリンカーを挿入後、BglIIで切断してSV
40のスプライシング/ポリアデニレーション・シグナ
ル、並びにpBR322の複製開始点とアンピシリン耐
性遺伝子領域を含むDNA断片を単離した。それぞれ単
離したDNA断片を接続し、FNエンハンサー及びプロ
モーターの3’側にSV40のスプライシング/ポリア
デニレーション・シグナルを配置したプラスミドを選択
して、pF1900Mとした。
【0058】(5) pF1900Mを用いた遺伝子産物の
産生 構築した形質発現ベクターpF1900Mの遺伝子産物
産生能を調べる目的で、該ベクターを用いてラット3Y
1細胞にヒト・インターフェロン・ガンマ(以下、Hu
IFN−γと表記する)の遺伝子を導入し、HuIFN
−γ発現細胞I株(I6、I7、I25及びI26)を
樹立した。該細胞株を用いて血清無添加培地、又は低血
清濃度培地におけるHuIFN−γの産生レベル、mR
NAの発現レベル、導入した遺伝子の細胞ゲノムにおけ
る存在状態、及び産生されたHuIFN−γタンパク質
について解析した。
【0059】解析結果から次の5点を明らかにした。こ
れらの結果から、形質導入ベクターpF1900Mを用
いて構造遺伝子を導入、保持せしめた動物細胞形質転換
体を培養し、遺伝子産物を製造することが有用であるこ
とを示した。 (i) pF1900Mを用いて構造遺伝子を導入、保持せ
しめた動物細胞形質転換体の、低血清培地中での簡便な
単層培養による遺伝子産物の産生量が、従来の動物細胞
形質転換体を培養して得られる遺伝子産物の産生量を上
回る。 (ii)pF1900Mを用いて構造遺伝子を導入、保持せ
しめた動物細胞形質転換体の遺伝子産物産生量は、該細
胞が増殖を停止することによって増加する。 (iii) pF1900Mを用いて構造遺伝子を導入、保持
せしめた動物細胞形質転換体の遺伝子産物産生量は、F
Nエンハンサー・プロモーターによる構造遺伝子mRN
Aの発現活性に依存する。 (iv)pF1900Mを用いて構造遺伝子を導入した動物
細胞形質転換体では、導入した遺伝子が3〜6コピー程
度保持される。 (v) pF1900Mを用いて構造遺伝子を導入、保持せ
しめた動物細胞形質転換体によって産生された遺伝子産
物は、糖鎖修飾等の点において天然型の遺伝子産物と類
似している。
【0060】以下に解析の具体的方法と結果を示す。(5) −1 HuIFN−γcDNAのpF1900M
FNエンハンサー及びプロモーター下流への挿入(pF
1900γの作出) pF1900MをEcoRVで切断し、BglIIリンカ
ーを挿入後、BglIIで切断してベクター断片とした。
次に、大阪大学バイオサイエンス研究所分子生物学研究
部・部長 長田重一博士の好意により分与されたHuI
FN−γcDNAを、mRNA転写開始部位から50番
目と892番目の塩基部位に存在するSau3AIサイ
ト(Gray et al., Nature (London) 295, 503-508 (198
2)) で切断して単離し、pF1900Mベクター断片と
接続した。HuIFN−γcDNAの5’末端側が、F
Nプロモーターの3’末端側に隣接するプラスミドを選
択し、HuIFN−γ発現プラスミドpF1900γと
した。
【0061】(5) −2 HuIFN−γ産生細胞株I
6、I7、I25及びI26の樹立 直径8cmのシャーレに約5x105 の3Y1細胞をま
いて1夜培養した。この3Y1細胞に、前項で作出した
pF1900γ 20μgと薬剤耐性遺伝子発現プラス
ミドpSV2neo 2μgをリン酸カルシウム共沈法
(Chen, et al., Molecular and Cellular Biology, 7,
2745-2752 (1987))で4時間投与した。投与後、3Y1
細胞を10%ウシ胎児血清(FCS)含有ダルベッコの
修飾イーグル培地(以下、10%FCS−DMEMと表
記)で48時間培養し、新しいシャーレ4枚にまき換え
た。まき換え後およそ2週間、G418(geneticin)3
00μg/mlを含む10%FCS−DMEM培地で培
養した。出現した細胞のコロニーをクローニング・カッ
プを用いて単離し、G418(geneticin)300μg/
mlを含む10%FCS−DMEM培地で培養した。お
よそ4週間継代培養後、培地をG418(geneticin)を
含まない10%FCS−DMEMに換え、さらに1回継
代し、I細胞株とした。
【0062】得られた各I細胞株について培養上清を回
収し、含まれるHuIFN−γの濃度をメンゴ(mengo)
ウイルスに対する抗ウイルス・アッセイで調べた。すな
わち、96−ウェル培養プレートに、ヒトFL細胞を5
x104 細胞/ウェルでまき込み、5%FCS−DME
M培地100μlと段階希釈した標準HuIFN−γ標
品、または回収したI細胞株培養上清45μlを投与し
て24時間培養した。各ウェルに1x105 のメンゴ・
ウイルスを加えてさらに24時間培養後、上清を捨てて
ウェル内に残存する細胞をクリスタルバイオレットで染
色した。FL細胞の抗ウイルス活性の獲得に必要な標準
HuIFN−γ標品濃度と、同等の活性を有するI細胞
株培養上清の希釈率から、該上清中のHuIFN−γ濃
度を算出した。I細胞各株のうち、最も培養上清へのH
uIFN−γ分泌産生量の多かったI6、I7、I25
及びI26細胞株を選択して以下の検討に供した。
【0063】(5)−3 培養方法の、I細胞株による
HuIFN−γ産生に及ぼす影響 16、I7、I25及びI26細胞を直径5cmのシャ
ーレに2x105個まき(1x104細胞/cm2),
10%FCS−DMEM培地4mlで3日間培養後、同
組成の培地4mlに交換してさらに2日培養した。PB
S−でシャーレに付着した細胞を2回洗浄し、FCS無
添加のDMEM培地(0% FCS−DMEM)4ml
で3日培養後、再度0%FCS−DMEM4mlに交換
して5日培養した。この間に各細胞株について、細胞数
と培養上清中のHuIFN−γ濃度(抗ウイルス活性力
価)を測定した。結果を図21に示した。黒点と実線の
曲線で細胞数を表し、灰色の棒グラフで培養上清中のH
uIFN−γ濃度を表した。黒矢印は10%FCS−D
MEM培地に交換したことを、白矢印は0%FCS−D
MEM培地に交換したことを示す。いずれの細胞株もま
き込み後ほぼ5日間に1〜1.2x106細胞/ディッ
シュ(5〜6x104細胞/cm2)でコンフルーエン
トに達し、0%FCS−DMEM培地に交換後5日間で
8x105細胞/ディッシュ(4x104細胞/cm
2)まで減少した。その後3日間はほとんど減少しなか
った。培養上清中のHuIFN−γ濃度は、細胞密度が
コンフルーエントに達した後、I6とI7株では1日で
約5x104単位/mlに上昇した。特にI7株では細
胞数減少後に、2日間で最高濃度の4x105 単位/
mlを示した。I6とI7株で一細胞当たりのHuIF
N−γ産生量は、増殖中の3日目から5日目までの平均
がそれぞれ0.03単位/細胞/日と0.05単位/細
胞/日、増殖を停止した5日目から8日目までの平均が
それぞれ0.06単位/細胞/日と0.12単位/細胞
/日(ただし、培地中のHuIFN−γは経時的に分解
せず、培養上清中に蓄積するものとして24時間に蓄積
した量を用い、細胞数は24時間毎の推定細胞数を用い
た)であった。
【0064】以上の結果から、(a)少なくともI6と
I7株では、増殖停止後に細胞当たりのHuIFN−γ
産生能力が倍加することが判明した。この結果は、FN
プロモーターの活性が増殖停止(休止)中の3Y1細胞
で、増殖中に比べて約2〜5倍上昇することを示したC
ATアッセイの結果(図、B)と一致する。
【0065】(B)培地中のFCS濃度がHuIFN−
γ産生に及ぼす影響 I7細胞を直径8cmのシャーレに5x105細胞/デ
ィッシュ(1x104細胞/cm2)でまき、10%F
CS−DMEM培地10mlで3日間、培地を交換して
さらに3日間、合計6日間培養し、コンフルーエント
(細胞密度6x104細胞/cm2)にした。6日目を
サンプリング開始日(Day0)とし、各シャーレの培
養上清を100μlづつ収穫し、4℃に保存した。次に
これらのシャーレを2群に分け、PBS−で2回洗浄
後、1群には10%FCS−DMEM培地10mlを、
他の1群には0%FCS−DMEM培地10mえて10
日間培養した。この間培地交換は行わず、Day1、
2、3、4、6、8、10にそれぞれ100μlづつ培
養上清を収穫して4℃に保存した。収穫したサンプル中
のHuIFN−γ濃度(抗ウイルス活性力価)を測定
し、図22Aに示した。
【0066】Day0に、3日間10%FCS−DME
M培地10mlで培養した上清中のHuIFN−γ濃度
は、1x105 単位/mlを示した(黒棒グラフ)。1
0%FCS−DMEM培地10mlを与えた1群の上清
中のHuIFN−γ濃度はDay1に1x105 単位/
mlを示し、Day2以降は5x105 単位/mlを示
した(黒棒グラフ)。Day2以後HuIFN−γ濃度
が変化しなかった原因は、HuIFN−γの産生・分泌
と、器質等への吸着・分解が平衡状態に達したためと推
定した。
【0067】一方、0%FCS−DMEM培地10ml
を与えた1群は、Day1で1x104 単位/ml、D
ay2で1x105 単位/mlのHuIFN−γ濃度を
示した。Day3以降は5x105 単位/mlを示して
Day10まで変化しなかった(白棒グラフ)。
【0068】光学顕微鏡観察では、どちらの培地を用い
た場合でも、Day10でDay0に比べて細胞密度の
低下を認めたが、細胞が萎縮したり、まとまって剥離し
た形跡を認めなかった。
【0069】これらの結果は、pF1900MのFNエ
ンハンサー及びプロモーターによるHuIFN−γの発
現が、(b)細胞培養用の培地に含まれるFCS濃度に
ほとんど依存しないこと、(c)細胞密度がコンフルー
エントとなって増殖を停止した状態で、上昇することを
示した。
【0070】(c)2日毎に培地交換を行った場合のH
uIFN−γの産生濃度変化 I7細胞を直径8cmのシャーレに5x105細胞/デ
ィッシュ(1x104細胞/cm2)でまき、10%F
CS−DMEM培地10mlで3日間、培地を交換して
さらに3日間、合計6日間培養し、コンフルーエント
(細胞密度6x104細胞/cm2)にした。6日目を
サンプリング開始日(Day0)とし、各シャーレの培
養上清を100μlづつ収穫し、4℃に保存した。次に
これらのシャーレを3群に分け、PBS−で2回洗浄
後、1群には10%FCS−DMEM培地10mlを、
他の1群には0.5%FCS−DMEM培地10ml
を、残りの1群には0%FCS−DMEM培地10ml
を与えて10日間培養した。この間、2日毎にそれぞれ
同一組成の培地10mlに交換した。培地交換時には、
交換前の培養上清をそれぞれ100μlづつ収穫して4
℃に保存した。収穫したサンプル中のHuIFN−γ濃
度(抗ウイルス活性力価)を測定し、図22Bに示し
た。
【0071】Day0には、3日間10%FCS−DM
EM培地10mlで培養した上清中のHuIFN−γ濃
度、1x105 単位/mlを示した(黒棒グラフ)。1
0%FCS−DMEM培地(黒棒グラフ)または0.5
%FCS−DMEM培地(灰色棒グラフ)10mlを与
えた群の上清では、Day10まで毎回、1x105
位/mlのHuIFN−γ濃度を示した。0%FCS−
DMEM培地10mlを与えた群では、6日目まで1x
105 単位/mlのHuIFN−γ濃度を示したが、
8、10日目では1x105 単位/mlに低下した(白
棒グラフ)。
【0072】光学顕微鏡観察で、10%または0.5%
FCS−DMEM培地を与えた群では、Day10でD
ay0に比べてわずかに細胞密度の低下を認めたのみで
あったが、0%FCS−DMEM培地を与えた群ではD
ay6以降、死んで萎縮したり、まとまって剥離した細
胞を認めた。
【0073】これらの結果は、(d)HuIFN−γの
産生濃度は、2日毎の培地交換で最高レベルの5x10
5 単位/mlを維持できること、(e)HuIFN−γ
の産生レベルは培地中のFCS濃度に依存しないこと、
(f)DMEMを基礎培地を用いて2日毎の培地交換を
行う場合は、細胞の維持のために0.5%程度のFCS
を培地に添加すべきであることを示した。
【0074】本項((5) −3)の結果は、I7細胞の低
血清培地中での簡便な単層培養によるHuIFN−γの
産生量が、従来の動物細胞形質転換体を培養して得られ
るヒト型インターフェロンの産生量(E. Sano et al.,
in Biotechnology of Mammalian Cells (M. Umeda, et
al. ed.)pp.149-162, Japan Scientific Societies Pre
ss, Tokyo (1987), R. Fukunaga, et al., Proceedings
of the National Academy of Science USA, 81, 5086-
5090 (1984))を上回ることを示した。
【0075】(5) −4 I細胞株におけるHuIFN−
γmRNAの発現状態 I細胞株におけるHuIFN−γmRNAの発現状態
を、ノザンブロット・ハイブリダイゼーション法で解析
した。まず、3Y1、I6、I7、I25及びI26細
胞株から全RNAを酸グアニジウムフェノールクロロホ
ルム(AGPC)法(P. Chomczynski and N. Sacchi,
Analytical Biochemistry, 162, 156-159(1987)) で抽
出した。具体的方法を以下に示す。
【0076】3Y1、I6、I7、I25及びI26細
胞を直径80mmのプラスチックシャーレ各30枚に3
x106 細胞/ディッシュ(コンフルーエント)の密度
まで培養した。これらのシャーレをそれぞれ15枚づつ
aとbの2グループに分けてPBS- で2回洗浄後、a
グループのシャーレはRNAの調製に供し、bグループ
のシャーレには0%FCS−DMEM培地10mlを与
えてさらに48時間培養し、細胞増殖を完全に停止させ
てRNAの調製に供した。RNAの調製は以下の方法
(AGPC法)で行った。
【0077】冷PBS- で2回洗浄した細胞(シャーレ
に付着した状態)をラバーポリスマンで剥離し、15枚
(1グループ)毎にFalcon#2070チューブに
採取後1200xgで5分間遠心してPBS- を吸引除
去した。得られた細胞の沈殿に、1mlの変性溶液(4
Mグアニジウムチオシアネート−25mMクエン酸ナト
リウム、pH7−0.1 Mβ−メルカプトエタノール−
0.5%N−ラウロイルザルコシン(Sarkosy
l))を加え、18ゲージの注射針と1ml容のディス
ポーザブル注射筒(テルモ社製)で粘性を失うまで吸入
・吐出を繰り返し、ホモゲナイズした。ホモジェネート
に0.1mlの2M酢酸ナトリウム,pH4と1mlの
水飽和フェノール、0.2mlのクロロホルムを加えて
ボルテックス・ミキサーで激しく混合した。混合液を氷
中で15分間インキュベートし、1.5ml用の微量遠
心管(Eppendorf社製)2本に分注して12000
x g で4℃、15分遠心した。分離した水層を新しい微
量遠心管に写し、2倍量のイソプロパノールを加えて−
20℃で1時間、RNAを沈殿させた。12000 x g で4
℃、15分間遠心分離して上清を捨て、沈殿を300μ
lの変性溶液に溶解後、2分間遠心分離して不溶物を除
去した。上清を新しい微量遠心管に写し、等量のイソプ
ロパノールを加えてRNAを−20℃で一夜沈殿させ、
12000 x g で4℃、15分遠心分離した。上清を捨て、
沈殿を75%エタノールでリンスし、2分間真空乾燥し
て25μlのTEに溶解し、RNA溶液とした。RNA
濃度は、RNA溶液3μlをTEで600μlに希釈
(1/200倍希釈)して260nmで吸光度(O.
D.260)を測定し、その値(λ)から次の式を用い
て算出した。 (RNA濃度μg/μl)=λx40x200÷100
0 (ただし、RNAは1O.D.260単位=40μg/
ml)
【0078】次に抽出したRNAをノザンブロット・ハ
イブリダイゼーション法によって解析した。具体的な方
法を以下に示す。
【0079】3Y1、I6、I7、I25及びI26細
胞株から抽出したRNAそれぞれ20μg当量に水を加
えて4.5 μlとし、10xMOPS泳動緩衝液(200
mM3−(N−モルホリノ)−プロパンスルホン酸ナト
リウム(MOPS)、pH7−80mM酢酸ナトリウム
−10mM EDTA、pH8.0)2μl、12.3
Mホルムアルデヒド3.5μl、及びホルムアミド10
μlを加えて十分混和後、65℃で15分間加熱変性せ
しめた。変性したRNA溶液に6xサンプル緩衝液(6
xホルムアルデヒドローディング緩衝液(1mM ED
TA、pH8.0−0.25%ブロムフェノールブルー
(BPB)−0.25%キシレンシアノール−50%グ
リセロール))5μlを加え、アガロース/ホルマリン
/ゲル(1.2%アガロース−2.2Mホルムアルデヒ
ド−20mM MOPS、pH7−8mM酢酸ナトリウ
ム−1mM EDTA、pH8.0)に1xMOPS泳
動緩衝液中で、電解強度(Ed)=4V/cmを負荷し
て4時間(ブロムフェノールブルーの泳動開始位置から
の移動距離(MBPB )=11cm)電気泳動分離した。
分離したRNAは、ナイロンメンブレン(Hybond N+ 、
アマシャム社製)に、吸引転写装置(VacuGene (Pharma
cia-LKB 社製)を用いて、吸引圧(VP)=40mmH
2 Oで転写し、ノザンブロットとした。
【0080】ノザンブロットをハイブリダイゼーション
反応液(50%ホルムアミド−5xSSC−5xデンハ
ルツ溶液−0.5%SDS−0.2mg/ml加熱変性
hsDNA)中で42℃、4時間インキュベートした
後、ランダム・プライマー法で32P標識したHuIFN
−γcDNAプローブ(1x109 cpm/μg)また
はラットβ−アクチンcDNAプローブ(1x109
pm/μg)を5x105 cpm/mlとなるように加
え、さらに42℃、18時間インキュベートした。ノザ
ンブロットに過剰に付着したハイブリダイゼーション反
応液は、2xSSC中に室温で10分間2回洗浄後、2
xSSC−0.1%SDSで42℃、20分2回、0.
2xSSC−0.1%SDSで42℃、20分間1回洗
浄して除去した。洗浄後のノザンブロットをサランラッ
プ(登録商標)で包み、バイオ・イメージアナライザー
BAS2000システム(富士写真フィルム(株)社
製)でプローブが特異的にハイブリダイズしたRNA分
子の量、及び鎖長を解析した。
【0081】ノザンブロット上に検出されたHuIFN
−γ(IFN−γ)mRNAとラットβ−アクチン(β
−Actin)mRNAのバンドを図23AとBにそれ
ぞれ示した。ブロット上部に各レーンのRNAサンプル
を抽出した細胞名とグループ名を示した。ブロット左側
にはRNAサンプルに含まれる28Sと18Sのリボゾ
ームRNAの移動位置を、右側にはバンドの検出に用い
たプローブ名を示した。図23Bで、全ての細胞株間ま
たはグループ間で、ラットβ−アクチンmRNAのバン
ドの濃度差が小さいことを示し、各レーンに泳動したR
NAサンプルの量がほぼ均一であることを証明した。H
uIFN−γmRNAのバンド(図23A)の濃度差は
該遺伝子の発現レベルを反映している。
【0082】図23Aに示すようにHuIFN−γmR
NAは親細胞3Y1を除く全ての細胞株で単一のバンド
として検出された。バンドの移動位置は18Sリボゾー
ムRNAのバンドの低分子量側に接しており、Gray
らが報告したヒト・リンパ球のIFN−γmRNAの移
動位置 (P.W・Gray,et al,Natur
e(London),295,503−508(198
2))とほぼ一致した。I6、I7及びI26株におい
ては細胞密度がコンフルーエント(3x106細胞/デ
ィッシュ)に達した時(aグループ)のHuIFN−γ
mRNA発現レベルはほとんど同じであった。また、こ
れらの細胞株では、0%FCS−DMEM培地で48時
間培養して細胞増殖を完全に停止させた時(bグルー
プ)のHuIFN−γmRNA発現レベルはそれぞれお
よそ1.5,5及び3倍に上昇した。I25株における
HuIFN−γmRNA発現レベルはa、bグループ共
に低く、I7株のaグループに比べてそれぞれ0.2、
0.3倍であった。
【0083】本項の結果は、(5) −3項で得た結果(I
細胞によるHuIFN−γの産生量は、細胞の増殖停止
後に上昇する)と一致した。従って、I細胞によるHu
IFN−γの産生量が、FNエンハンサー・プロモータ
ーによるHuIFN−γmRNAの発現活性に依存する
ことは明白である。
【0084】(5) −5 I細胞株に導入したpF190
0MDNAの存在状態 I細胞株に導入したpF1900MDNAの存在状態を
サザンブロット・ハイブリダイゼーション法で解析し
た。まず、3Y1、I6、I7、I25及びI26細胞
株から高分子量のゲノムDNAを分離した。具体的方法
を以下に示す。
【0085】3Y1、I6、I7、I25及びI26細
胞を直径80mmのプラスチックシャーレ各10枚に3
x106 細胞/ディッシュ(コンフルーエント)の密度
まで培養した。培養後の細胞を、シャーレ当たり10m
lのPBS- で2回洗浄し、1mg/mlのウシ膵臓プ
ロテイナーゼK(Proteinase K、 Sigma 社製)を含む1
0mM Tris-HCl,pH7.4 -10mM EDTA−150
mM NaCl−0.4%ドデシル硫酸ナトリウム(SD
S)溶液(プロテイナーゼK溶液)1ml/ディシュで
溶解した。細胞溶解液は、シャーレ25枚分毎に50m
l容のスクリューキャップ付きプラスチック遠心管に回
収し、60℃で15分間、さらに37℃でゆっくりと反
転させながら一夜インキュベートした。翌日、10mg
/mlのプロテイナーゼKを含むプロテイナーゼ溶液を
遠心管当たり3ml加え、60℃で15分間、続けて3
7℃でゆっくりと反転させながら2夜インキュベート
し、細胞のタンパク質成分を分解した。インキュベート
後、細胞溶解液に等量の塩飽和フェノール(Salt satur
ated phenol またはss-phenol):クロロホルム(=1:
1)で混合液で6回、クロロホルムで2回抽出し、水層
を分離した。抽出の際は、高分子量のDNAが剪断され
ないように注意し、穏やかに液層を混合した。水層に1
/10容の3M酢酸ナトリウムpH7.4と2.5倍容
のエタノールを加えて混合し、ゲノムDNAを析出せし
めた。このDNAをピペットマンのチップの先ですくい
取り、5mlの80%エタノールでリンスし、5分間自
然乾燥した後、5mlの10mM Tris-HCl, pH7.4
−0.5mM EDTA溶液(TE)に再溶解した。溶
解は37℃で一夜を要した。溶解後、10mg/mlの
リボヌクレアーゼA(RNaseA)100μlを加
え、37℃で1時間、溶液中のRNAを分解した。次に
塩飽和フェノール:クロロホルム(=1:1)混合液5
mlを加えて穏やかに抽出し、水層を分離してクロロホ
ルムで再度抽出した。水層を分離し、0.5mlの3M
酢酸ナトリウムpH7.4と13mlのエタノールを加
えて混合した。析出したDNAは80%エタノールでリ
ンスして5分間自然乾燥後、2mlのTEに溶解してゲ
ノムDNA溶液とした。DNA濃度は、50μlのDN
A溶液をTEで1mlに希釈してO.D.260を測定
し、その値(Y)から次の式を用いて算出した。 (DNA濃度μg/μl)=Yx50x20÷1000 (ただし、DNAは1O.D.260単位=50μg/
ml)
【0086】次に分離した高分子量のゲノムDNAを制
限酵素BglIIで切り、ゲノムに導入したpF1900
M DNAの存在状態を、サザンブロット・ハイブリダ
イゼーション法によって解析した。具体的な方法を以下
に示す。
【0087】各細胞のゲノムDNA溶液40μg当量を
BglII(New England Biolabs 社製)80単位で完全
に切断し、0.5%のアガロースゲルに、TBE緩衝液
中で電解強度(Ed)=7.5V/cmを負荷して4時
間(ブロムフェノールブルーの泳動開始位置からの移動
距離(MBPB )=15cm)電気泳動分離した。分離し
たDNAは、ナイロンメンブレン(Hybond N+,アマシャ
ム社製)に、吸引転写装置VacuGene (Pharmacia-LKB 社
製)を用いて、吸引圧(VP)=40mmH2Oで転写
し、サザンブロットとした。
【0088】サザンブロットハイブリダイゼーション反
応液(50%ホルムアミド−5xSSC−5xデンハル
ツ溶液−0.5%SDS−0.2mg/ml熱変性ニシ
ン精子DNA(hsDNA)、ただし、SSCは150
mMnaCl−15mMクエン酸ナトリウム、デンハル
ツ溶液は0.02%Ficoll400−0.02%ポ
リビニルピロリドン−0.02%ウシ血清アルブミン
(BSA))中で42℃、4時間インキュベートした
後、ランダム・プライマー法で32P標識したHuIF
N−γcDNAプローブ(1x109cpm/μg)を
5x105cpm/mlとなるように加え、さらに42
℃、18時間インキュベートした。サザンブロットに過
剰に付着したハイブリダイゼーション反応液は、2xS
SC中に室温で10分間2回洗浄後、2xSSC−0.
1%SDSで42℃、20分2回、0.2xSSC−
0.1%SDSで42℃、20分間1回洗浄して除去し
た。洗浄後のサザンブロットをサランラップ(登録商
標)で包み、バイオ・イメージアナライザーBAS20
00システム(富士写真フィルム(株)社製)でHuI
FN−γcDNAプローブが特異的にハイブリダイズし
たゲノムDNABgl II断片の数及び鎖長を解析し
た。サザンブロット上のpF1900MDNAの存在状
態を図24に示した。ブロット上部に各レーンのゲノム
DNAを抽出した細胞名を、左側に同じゲル中で電気泳
動したDNA鎖長マーカーの移動位置を示した。ブロッ
ト右側の矢印はBgl IIで1カ所切断し、直鎖状に
したpF1900MDNAの移動位置(pF1900M
DNAの単位鎖長)を示した。
【0089】親細胞3Y1を除くI6、I7、I25及
びI26細胞株でHuIFN−γcDNAプローブと特
異的にハイブリダイズするバンドがそれぞれ3、6、8
及び7本認められた。また、これらのI細胞株では、最
もコピー数の多いバンドがpF1900MDNAの単位
鎖長を示し、I7株で6コピー、その他のI細胞株では
3コピーであった。この結果は、親細胞3Y1に導入さ
れたpF1900MDNAが、ほぼ完全長を維持したま
まで細胞のゲノムDNAに挿入されている可能性を示唆
した。
【0090】(5)−6 I細胞株によって産生される
HuIFN−γ蛋白質 天然型のHuIFN−γは、分子量約22kd〜25k
dを示し(Y.K.Yip,etal.,Proceedings of the Nationa
l Academy of Science USA, 79, 1820-1824(1982)) 、
そのうちmRNAによってコードされるペプチド部分が
約17.1kdである(P.W.Gray, et al., Nature(Lon
don), 295, 503-508(1982))。残りの5kd〜8kdに
相当するのはアスパラギン残基を介してN−グリコシル
結合した糖鎖である。I細胞によって産生されるHuI
FN−γを、天然型のHuIFN−γ(文献に基づくデ
ータ)と比較するために、培養上清から免疫沈降法によ
って分離し、SDS−ポリアクリルアミド・ゲル電気泳
動法によって解析した。以下に具体的な方法を示す。
【0091】免疫沈降法は、Harlowらの方法( E.Harlo
w, D.Lane (ed.), Antibodies;a laboratory manual, 4
21-470, Cold Spling, Harbor Laboratory Press(198
8))を一部改変して実施した。細胞株は、対照として親
細胞株3Y1、HuIFN−γ産生細胞株としてI6と
I7を供した。
【0092】3Y1、I6及びI7細胞を直径50mm
のシャーレに1.2×106 細胞/ディッシュ(細胞密
度 6×104 細胞/cm2;コンフルーエント)まで培養し、
0%FCS−DMEM培地で一夜培養した。培地を捨
て、PBSでシャーレに付着した細胞を2回洗浄し、メ
チオニン不含の0%FCS−EMEM(イーグル最少培
地)を5mlと、7.5μM[35S]−メチオニン(4
1.8 TBq/mmol, New England Nuclear, Code no. NEG-07
2)を59μl(18.6MBq )投与して17時間37℃、
5%CO2 で培養した。培養上清各1mlにそれぞれ正
常ラビット血清4μlを加えて4℃で6時間インキュベ
ートした。次にSAC(Staphylococcus aureus Cowan
I)のペレット4μlを加えて十分懸濁し、氷上で40
分間インキュベート後、12,000×gで4℃、5分
間遠心して沈殿を除去した。上清に抗HuIFN−ラビ
ット・ポリクローナル抗体(Hayashibara Biochemical
Laboratories, Inc., Code No. PIF-3)5μl( 7μg
; 850 中和単位)を加えて4℃で3時間インキュベー
トした。プロテインA−ビーズ(Affi-Gel protein A,
BioRad, Code no. 153-6153 )20μlを加えて4℃で
40分間緩やかにロッキング(rocking )し、10,0
00×gで4℃、15秒間遠心して上清を除去した。ペ
レットを1mlの冷PBS- で4回洗浄後、0.2M
Tris・HCl,pH7.8−1%SDS−100m
M β- メルカプトエタノール40μlに懸濁して85
℃、10分間インキュベートし、プロテインAビーズか
ら抗原・抗体複合体を解離させた。10,000×gで
室温、15秒間遠心して上清を回収し、HuIFN−γ
の免疫沈降サンプルとした。
【0093】免疫沈降サンプルの一部を、N−グリカナ
ーゼ(ペプチド-N4-(N−アセチル- β- グルコサミニ
ル)アスパラギンミダーゼ、 Genzyme Co., Code no. 1
472-00,N- グリコシル結合を特異的に切断する酵素)に
より除糖鎖( F.Maley, et al., Analytical Biochemis
try, 180, 195-204(1989) )した。
【0094】免疫沈降サンプル10μlを5分間沸騰水
中でボイルし、氷上で冷やしてから7.5% Nonidet
P−40 5μl、0.25U/μlN−グリカナーゼ
1.2μl、及び水13.8μlを加え、37℃で一夜
インキュベートした。翌日2×Laemmli's sample buffe
r (2%SDS- 10%グリセロール-100mMジチオスレイ
トール (DTT)-60mM Tris・HCl,pH 6.8-0.001 %ブロムフ
ェノールブルー(BPB))を30μl加えて10分間ボイ
ルし、16%SDS−ポリアクリルアミド・ゲル電気泳
動(濃縮ゲル;4.83%モノ−アクリルアミド- 0.17%ビ
ス−アクリルアミド−125mM Tris・HCl,pH 6.8- 0.1% S
DS /分離ゲル;15.4%モノ−アクリルアミド− 0.53 %
ビス−アクリルアミド−375mM Tris-HCl,pH 8.8- 0.1%
SDS /泳動緩衝液;25mM Tris・250mM グリシン−0.1 %
SDS、pH8.3/泳動条件;100 V、6時間)に供した。対照
には、N−グリカナーゼで未処理の免疫沈降サンプル1
0μlに2×Laemmli's sample buffer を10μl加
え、10分間ボイルして供した。
【0095】電気泳動終了後、ゲルを蛍光増幅処理液
(EN3HANCE, New England Nuclear,Code no. NEF-981)
に1時間漬け、水洗いした後70℃で乾燥し、−70℃
で72時間、X線用フィルムに露出した。
【0096】図25に結果を示した。各レーンにはa;
3Y1培養上清、b;I7培養上清、c;3Y1培養上
清(N−グリカナーゼ処理)、d;I7培養上清(N−
グリカナーゼ処理)、e;I6培養上清(N−グリカナ
ーゼ処理)、及びf;I6培養上清(N−グリカナーゼ
処理)の免疫沈降サンプルをそれぞれ供した。図の左側
には同−ゲル上に分離したマーカー蛋白質の分子量を、
右側には除糖鎖処理しない天然型HuIFN−γの推定
移動位置(分子量約22kd;黒矢印)除糖鎖処理した
天然型HuIFN−γの推定移動位置(分子量約17.
1kd;白矢印)を示した。矢印の位置に存在するバン
ドの蛋白質は、親細胞株3Y1の培養上清免疫沈降サン
プルには認められないことから、明らかにpF1900
γとしてI細胞に導入したHuIFN−γ遺伝子の産物
である。
【0097】この結果から、I6及びI7細胞株から産
生されるHuIFN−γは、分子量約17.1kdのポ
リペプチドがN−グリコシル結合によって糖鎖修飾を受
けた分子で、約22kd〜25kdを示すことが判明し
た。従って、少なくともI6及びI7細胞株によって産
生されるHuIFN−γは、天然型に極めて類似してい
ることが明示された。
【0098】
【発明の効果】本発明によりFN遺伝子に対してエンハ
ンサー活性を持つDNAが同定、分離され、それ及びプ
ロモーターを含む組換えベクターが提供された。本発明
の組換えベクターで形質転換された動物細胞は、無血清
培地又は低血清培地にて構造遺伝子を発現するので、こ
のような形質転換動物細胞を用いて無血清培地又は低血
清培地で所望物質を効率良く生産させることが可能にな
った。従って、本発明により、血清を含まない安価な培
地を用いて物質を生産することが可能になり、また、所
望の生産物から血清を除去する精製工程が不要となり、
所望物質の生産を効率良く安価に行なうことができるよ
うになった。さらに、本発明の製造法では、動物細胞形
質転換体を用いるので、天然の遺伝子産物と同一または
少なくとも類似する糖鎖等の修飾が施された遺伝子産物
を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ラットFN5’側隣接領域の−1068ntよ
り−531ntまでをプローブとして用い、λ−#90
8phageとλ−#916phageクローンの各種
制限酵素断片に対して行なったサザンブロッティングの
結果を示す図。
【図2】完全なラットFNプロモーター及びエンハンサ
ーを含む5’側隣接領域をpBluescriptIIKS
+ のマルチクローニングサイトに挿入して作製したプラ
スミドprFNpp2.1及びprFNSn2.3の遺
伝子地図。
【図3】完全なラットFNプロモーター及びエンハンサ
ー領域を含むDNAの塩基配列を示す図。
【図4】本発明のラットFNプロモーター及びエンハン
サー領域の機能を解析するために用いたプラスミドベク
ターpSV2CAT−BX及びpSV2 −XBの遺伝子
地図。
【図5】完全なまたはそれぞれ異なる種々の領域を欠失
又は置換した26種類のFNプロモーター及びエンハン
サーを示す図。
【図6】3YI細胞におけるCATアッセイのタイムテ
ーブルとFNエンハンサー及びプロモーターの一過性発
現活性を示す図。
【図7】XhoC細胞におけるFNエンハンサー及びプ
ロモーターの一過性発現がエンハンサー領域の塩基置換
によって増強されたことを示す図。
【図8】形質導入ベクターpF1900Lの遺伝子地
図。
【図9】形質導入ベクターpF1900Lneoの遺伝
子地図。
【図10】形質導入ベクターpFΔb564Lの遺伝子
地図。
【図11】形質導入ベクターpFΔb564Lneoの
遺伝子地図。
【図12】A 形質導入ベクターpF1900Mの遺伝
子地図 B 形質導入ベクターpF1900Mから構築したヒト
・インターフェロン・ガンマ(HuIFN−γ)発現プ
ラスミドpF1900γの遺伝子地図
【図13】I6、I7、I25及びI26細胞株の増殖
とHuIFN−γの産生
【図14】I7細胞株により産生されたHuIFN−γ
の濃度変化 A 培地を交換しない場合の濃度変化 B 2日毎に培地を交換した場合の濃度変化
【図15】I6、I7、I25及びI26細胞株に発現
するHuIFN−γmRNAのノザンブロット・ハイブ
リダイゼーション解析 A HuIFN−γmRNAのノザンブロット B β−アクチンmRNAのノザンブロット(対照実
験)
【図16】I6、I7、I25及びI26細胞株に導入
・保持されたpF1900γのサザンブロット・ハイブ
リダイゼーション解析
【図17】I6及びI7細胞株より産生されたHuIF
N−γ蛋白質(免疫沈降法で分離)のSDS−ポリアク
リルアミド・ゲル電気泳動像
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 MOLECULAR AND CEL LULAR BIOLOGY,VOL. 9,NO.4,P.1498−1506(1989)

Claims (34)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フィブロネクチン遺伝子に対してエンハ
    ンサー活性を持ち、配列表の配列番号1ないし27又は
    34で示される塩基配列を有するDNA。
  2. 【請求項2】 無血清あるいは低血清条件下でフィブロ
    ネクチン遺伝子の発現量を増大させる作用を有すること
    を特徴とする請求項1記載のエンハンサー活性を持つD
    NA。
  3. 【請求項3】 ラット由来のものである請求項1又は2
    記載のエンハンサー活性を持つDNA。
  4. 【請求項4】 配列表の配列番号1で示される塩基配列
    を有するDNA。
  5. 【請求項5】 配列表の配列番号2で示される塩基配列
    を有するDNA。
  6. 【請求項6】 配列表の配列番号3で示される塩基配列
    を有するDNA。
  7. 【請求項7】 配列表の配列番号4で示される塩基配列
    を有するDNA。
  8. 【請求項8】 配列表の配列番号5で示される塩基配列
    を有するDNA。
  9. 【請求項9】 配列表の配列番号6で示される塩基配列
    を有するDNA。
  10. 【請求項10】 配列表の配列番号7で示される塩基配
    列を有するDNA。
  11. 【請求項11】 配列表の配列番号8で示される塩基配
    列を有するDNA。
  12. 【請求項12】 配列表の配列番号9で示される塩基配
    列を有するDNA。
  13. 【請求項13】 配列表の配列番号10で示される塩基
    配列を有するDNA。
  14. 【請求項14】 配列表の配列番号11で示される塩基
    配列を有するDNA。
  15. 【請求項15】 配列表の配列番号12で示される塩基
    配列を有するDNA。
  16. 【請求項16】 配列表の配列番号13で示される塩基
    配列を有するDNA。
  17. 【請求項17】 配列表の配列番号14で示される塩基
    配列を有するDNA。
  18. 【請求項18】 配列表の配列番号15で示される塩基
    配列を有するDNA。
  19. 【請求項19】 配列表の配列番号16で示される塩基
    配列を有するDNA。
  20. 【請求項20】 配列表の配列番号17で示される塩基
    配列を有するDNA。
  21. 【請求項21】 配列表の配列番号18で示される塩基
    配列を有するDNA。
  22. 【請求項22】 配列表の配列番号19で示される塩基
    配列を有するDNA。
  23. 【請求項23】 配列表の配列番号20で示される塩基
    配列を有するDNA。
  24. 【請求項24】 配列表の配列番号21で示される塩基
    配列を有するDNA。
  25. 【請求項25】 配列表の配列番号22で示される塩基
    配列を有するDNA。
  26. 【請求項26】 配列表の配列番号23で示される塩基
    配列を有するDNA。
  27. 【請求項27】 配列表の配列番号24で示される塩基
    配列を有するDNA。
  28. 【請求項28】 配列表の配列番号25で示される塩基
    配列を有するDNA。
  29. 【請求項29】 配列表の配列番号26で示される塩基
    配列を有するDNA。
  30. 【請求項30】 配列表の配列番号27で示される塩基
    配列を有するDNA。
  31. 【請求項31】 配列表の配列番号34で示される塩基
    配列を有するDNA。
  32. 【請求項32】 プロモーター及び構造遺伝子に請求項
    1ないし3のいずれか1項に記載のエンハンサー活性を
    有するDNAが接続された組換えベクター。
  33. 【請求項33】 プロモーター及び構造遺伝子に請求項
    4ないし31のいずれか1項記載のDNAを含むDNA
    が接続された組換えベクター。
  34. 【請求項34】 請求項3又は33記載の組換えベク
    ターを保持する動物細胞形質転換体を培養することを特
    徴とする遺伝子産物の製造法。
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