JPWO2001051714A1 - 起伏ゲート - Google Patents
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Abstract
水路に設けた水門の扉体と、扉体を上下に操作する操作手段とからなる水門の操作装置であり、扉体に操作棒を介して取り付けた受圧板と、上記受圧板の上下にそれぞれ配置した上側および下側空気袋と、上側および下側空気袋のそれぞれに空気を送り込む空気圧縮機と、上下空気袋と空気圧縮機との間に設置され、上下空気袋に送り込む空気を切換ないし調整する切換弁および流量調整弁とを備え、空気袋に圧縮空気を送り込んで受圧板を移動して扉体を上下に移動させ、扉体を開閉するようにしたことを特徴とするものである。この発明によれば、媒体として空気を使用し、しかも空気袋に送り込んだ空気の圧力によって操作棒を駆動するので、機構を非常に簡単にすることができるようになった。
Description
技術分野
この発明は、水路の底部に設けた回転軸によって自在に起立または倒伏を行なうことにより、水路の流水を堰上げまたは放流する目的で使用される起伏ゲートに関するものである。
背景技術
従来、起伏ゲートとしては、水圧力を受ける鋼板(止水板)に対し充分に強固な横桁や縦桁を配置した鋼製扉体の頭部にワイヤロープやチェーンを取り付けて、これを陸上の巻上機で巻き取りまたは巻き戻して起立または倒伏の操作をする形式のものや、同様の鋼製扉体を油圧ジャッキで押し上げて起立させ、油圧ジャッキを縮めて倒伏させる形式のものなどが種々開発され、使用されてきた。
また近年は、内部の空気圧や外力(水圧力や流下物から受ける衝撃力等)に耐えるよう、布で補強されたゴムの筒を水路床に固定して、この内部に空気を圧入すればゴムの筒が膨らんで流水を堰上げ、逆に内部の圧力を有する空気を開閉弁を開いて放出することにより、ゴムの筒が自重と水圧力とによって扁平に潰れて堰上げてあった水が流出する、いわゆるゴム堰が開発されて広く利用されている。
ところで、強固に横桁、縦桁によって補強された鋼製扉体の頭部に取り付けたワイヤロープやチェーンによって起伏操作を行なう形式のものは操作性が良好で、また中間的起立姿勢でも安定しているが、大型の起伏ゲートには不適当であるばかりでなく、建設費が高価となる。
また充分に強固な横桁、縦桁によって補強された銅製扉体を油圧ジャッキで押し上げる形式のものは、操作性が良好で中間的起立姿勢でも安定している取扱いの容易な起伏ゲートであり、ゲート幅も30〜40mと相当に大きい寸法の採用が可能であるばかりでなく、土砂、転石、流木、流氷などによる損傷も受けることの少ない安全性の高い起伏ゲートである。しかし建設費が高くなる欠点がある。特に細長く重量の大きい鋼製扉体の製造と運搬、据え付けは建設費が高額となる主な原因である。加えて操作用の油は万一漏出した場合、水路を汚し、社会問題となる危険がある。
またゴム堰は鋼製扉体の起伏ゲートに比較して建設費が安価であることが大きな長所である。それでも大きい幅の水路に建設するときには、細長く重量の大きいゴムの筒を工場で製造し、現場に損傷なく運搬して据え付ける工事は、多くの技術的困難と、多額の費用を必要とすることになる。
またゴム堰は布で数層に補強されてはいても、水とともに流下する土砂、転石、流木、流氷によって損傷を受けやすく、常に監視を行ない、補修工事を行う必要があり、不経済である。
加えてゴム堰の柔軟な扉体は、中間的膨張状態では不安定で全幅において均一な中間的起立状態が維持できないという技術上の重大な欠点を有する。すなわち、中間的膨張状態では筒状の扉体は不安定となり、一部分の潰れが先行するとその箇所の潰れだけが進行して部分的に安全な潰れ姿勢になるので、堰上げた水はその箇所から流出し、ゲート上流の水面を維持できないのである。
この発明は以上のように多種多様なゲートが開発され、使用されているが、それぞれに長所と短所を有している現状に対し、技術上の問題点を解決し、同時に格段に安価に建設できる起伏ゲートを提供するものである。
発明の開示
すなわちこの発明の起伏ゲートは、従来使用されてきた鋼製扉体による起伏ゲートの外力(水圧力や流下物から受ける衝撃力等)に対して強く、耐摩耗性があり、中間的起立姿勢でも安定しているという長所を生かしながら、空気袋によりゲート幅方向に連続して外力の支持をするというゴム堰と同等の経済性を導入することに成功した非常に安価で、取扱いが容易な起伏ゲートである。
以下に具体的に説明する。すなわち、保護布により押え込んだ空気袋の採用である。
起伏ゲートは完全起立時、扉体の基準線が水平となす角は70°〜90°に設計され、回転軸によって回転自由に水路床に取り付けられており、扉体の基準線がほぼ水平となったときを倒伏姿勢とする。
このように水路床に水平な回転軸を有する起伏ゲートの扉体をゲートの背面側(反水圧側)で支持する空気圧などの流体の圧力を利用した操作装置の理想形の1案としてゲートの幅方向に連続しており、回転軸に直交する断面においては、扉体を支持する位置とその広さが一定のものが考えられる。
このような操作装置が利用できれば、鋼製扉体に作用する外力(水圧力や流下物から受ける衝撃力等)は広い面積に分散して支持されるから(大きな荷重が1箇所に集中しないから)鋼板をあまり補強せず(横桁や縦桁などをあまり取り付けることなく)に使用できるので非常に経済的である。
またこのような操作装置を利用すれば、鋼製扉体が操作装置から受ける力は、
[流体の圧力(空気圧など)]×[扉体と操作装置の接触する面積]
で容易に計算できるから、扉体に作用する外力(水圧力や流下物から受ける衝撃力等)に対抗するために必要な流体の圧力(空気圧など)も容易に計算できて操作装置の設計、製作が非常に容易になる。
そして以上のような目的に合致するものの1例として半開の扇のような断面を有する空気袋を構想することができる。すなわち、扉体の回転軸を扇の要と見た時、半開の扇の紙の部分のような断面を有する空気袋を利用する手段を求めるのである。
このような技術上の必要性に対応する手段として、この発明の第1の起伏ゲートでは空気袋を保護布によって押え込むことにした。すなわち、扉体の背面と、基礎コンクリートの上面と、両者の回転軸からほぼ同距離の位置に両端を取り付けて張り渡した保護布の3者によって囲まれた空間に空気袋を納め、保護布によって空気袋の変形に制限を加えつつ、空気袋が扉体背面に接触して扉体を支持するよう構成するのである。
扉体が完全に起立した姿勢では空気袋の形状は理想形に近いものとなる。すなわち、完全に起立した姿勢において、扉体に作用する力の回転軸回りのモメントは、
a)空気袋が扉体を押し起こす力のモメント
b)扉体自重によるモメント
c)扉体に作用する水圧力など外力のモメント
d)保護布に作用する張力によるモメント
の4要素であり、これが釣り合って扉体は静止する。
a)がb)+c)より余分な量をd)で釣り合わせるのであり、d)が大きいほど保護布は平面に近付き、d)が小さくなると保護布は半径の大きい円筒形に近似した形状となり、理想形に近いものとなる。
この場合でも、空気袋の回転軸に近い部分の形状は理想形とは異なるものとなるが、扉体を押し起こす性能は、回転軸に遠い部分の形状に強く支配されるから良好な操作装置として機能する。
さて、扉体が半開または倒伏の姿勢の場合、保護布は小さい半径で屈曲し、空気袋の形状は理想形とはならない。しかし、空気袋は内部の空気圧によって保護布の裏面に密着するから、空気袋が扉体背面に接触して扉体を支持する面は、完全起立時の接触面を温存しつつ増大する。
したがって、空気袋が扉体を支持するのに必要な空気圧の強さを計算する時の接触面の形状は、完全起立時のものとすれば安全側(サイド)にあり、操作装置の設計は非常に簡単である。
またこの発明の第2の起伏ゲートは、扇の紙面の一折のように高さの変化する扁平な単位ゴム管を全体形状保持板を間に挟みつつ押え金物とボルトによって結合して層状に積み重ねて一体にした伸縮性可撓管を採用している。
起伏ゲートは完全起立時、扉体の基準線が水平となす角は70°〜90°に設計され、回転軸によって回転自由に水路床に取り付けられており、扉体の基準線がほぼ水平となったときを倒伏姿勢とする。
このように水路床に水平な回転軸を有する起伏ゲートの扉体をゲートの背面側(反水圧側)で支持する空気圧などの流体の圧力を利用した操作装置の理想形の1案として、ゲートの幅方向に連続しており、回転軸に直交する断面においては、扉体を支持する位置とその広さが一定のものが考えられる。
このような操作装置が利用できれば、鋼製扉体に作用する外力(水圧力や流下物から受ける衝撃力等)は広い面積に分散して支持されるから(大きな荷重が1箇所に集中しないから)鋼板をあまり補強せず(横桁や縦桁などをあまり取り付けることなく)に使用できるので非常に経済的である。
またこのような操作装置を利用すれば、鋼製扉体が操作装置から受ける力は、
[流体の圧力(空気圧など)]×[扉体と操作装置の接触する面積]
で容易に計算できるから、扉体に作用する外力(水圧力や流下物から受ける衝撃力等)に対抗するために必要な流体の圧力(空気圧など)も容易に計算できて操作装置の設計、製作が非常に容易になる。
そして以上のような目的に合致するのが扇のような操作装置である。すなわち、扇の要が扉体の回転軸となるようにし、扇の紙の一折一折が伸縮性可撓管、扇の骨が伸縮性可撓管と扉体の回転軸を結ぶ全体形状保持板、扇の端板を扉体と想定する。閉じた扇を水平に置き、端板を引き上げて扇を開けば扉体が起立し、逆に扇の端板を押し下げて扇を閉じれば、扉体が倒伏するのである。
このように構想した操作装置であるから、伸縮性可撓管が膨張したときの単位ゴム管の断面形状は扁平で回転軸から離れるにしたがって高さを増す扇の紙面の一折のような形状である(閉じた扇の形も同じ)。
また、このような断面形状の単位ゴム管を相互の空気の流通を確保しつつ接着して積み重ねた伸縮性可撓管、の断面形状は、半開の扇のようになるから、その内部に圧力を有する空気を導入した場合、伸縮性可撓管の中間部は回転軸から離れる方向に変形しようとする。したがって単位ゴム管の間に挟んで取付した全体形状保持板を回転軸の近くに引き留めて、この変形を防止する。
このとき、全体形状保持板には引張力が作用するばかりでなく、伸縮性可撓管の形状保持に関係するので充分な強度を有する金属板を使用すると良い。
発明を実施するための最良の形態
以下、この発明の第1の起伏ゲートの実施の形態を、図面に基いて詳細に説明する。
第1図と第2図はこの発明の起伏ゲートの1実施例を示すものであり、第1図は起伏ゲートの断面図で起立状態を示し、第2図は起伏ゲートの断面図で倒伏状態を示すものである。
第1図および第2図において、頭部の起立時にほぼ水平となる部分を含む曲げ加工部1を有する鋼板製の扉体2の下端の矩形断面の下横桁3に数箇所(2〜4箇所程度)取り付けた軸受4は回転軸5によって軸支持台6に回転自由に結合されている。また軸支持台6はボルト7によって組立桁8に取り付けられ、組立桁8はアンカー9によって水路の底の基礎コンクリート10に固定されている。したがって扉体2は水路の底部に位置する回転軸5によって安定して支持され、かつ自在に起立または倒伏が可能である。
この扉体2の背面側(反水圧側)の上部に、V字形気密シート11の上端部12,13と上部気密シート14の曲げ上げた両端部15,16とを重ね合わせて、すなわち上端部12と両端部15とを重ね合わせ、また上端部13と両端部16とを重ね合わせて、接着することにより構成したV字形空気袋(11,14)の上端部12と両端部15とを一緒に保護布17の上定着部18を押え板19とボルト20によって取り付け、また基礎コンクリート10に設けた定着材21に上端部13と両端部16と一緒に保護布17の下定着部22を押え板23とボルト24によって取り付ける。
このようにして扉体2と保護布17と基礎コンクリート10の上面25に囲まれた空間にV字形気密シート11と上部気密シート14とによって構成されるV字形空気袋(11,14)が納まり、その下部に空気管26が接続されている。
空気管26は基礎コンクリート10に埋設するなどして陸上に導かれ、排気用開閉弁27、排気用流量調節弁28、排気放出部29、給気用開閉弁30、給気用流量調節弁31、空気圧縮機32に、第1図および第2図のように接続する。
このように構成した上で、空気圧縮機32から給気用流量調節弁31、給気用開閉弁30、空気管26を経由して空気袋(11,14)の内部に空気を圧入した結果、扉体2が起立した状態の断面図が第1図である。
第1図において保護布17は、内部の空気圧によって回転軸5から離れる方向に移動しようとする空気袋(11,14)を押え付けると同時に扉体2の起立姿勢を規制するよう機能し、加えて内部に囲み込んだ空気袋(11,14)を風雨、日光、起伏ゲートの上を流下する水流や流木、流氷、土砂等から保護する役目を引き受けているので、充分なる引張り強さ、耐候性、耐摩耗性、低温における柔軟性を有する素材を使用して製作する。
空気袋(11,14)は内部の空気圧によって保護布17に押し付けられた状態となるから、扉体2および基礎コンクリート10の上面25との接触部が、保護布17の上定着部18および下定着部22に近い部分に片寄る結果となり、空気袋(11,14)が扉体2を押し起こすためには好都合である。特にV字形気密シート11は、扉体2の背面に密着したまま固定されるので、扉体2の背面とV字形気密シート11の接触面の上端が確定される。
また扉体2の頭部の起立時ほぼ水平となる面を含む曲げ加工部1は、起伏ゲートを越流する水が保護布17を直接打たないように機能する。このとき、頭部の曲げ加工部1に起立時ほぼ水平となる面を含むことにより、同一扉体高の場合、V字形空気袋(11,14)や保護布17の扉体2への取付位置を上に寄せることが可能となる。すなわち、扉体2が完全に倒伏した状態において、屈曲したV字形空気袋(11,14)や保護布17を格納し保護する扉体2、曲げ加工部1、基礎コンクリート10の上面25の機能を確保しつつ、V字形空気袋(11,14)や保護布17の扉体2への取付位置を上に寄せることが可能となる。このことは必要な空気圧の低下を得るので経済的効果がある。さらに下部水密ゴム33が押え板34とボルト35によって扉体2の下部に取り付けられ、同時に押え板36とボルト37によって組立桁8に取り付けられて、水の漏出を防止している。
また空気圧縮機32を停止し、給気用開閉弁30を閉じ、排気用開閉弁27を開いて、空気袋(11,14)の内部の圧力を有する空気を、排気用流量調節弁28によって制御しつつ、排気放出部29より大気中へ放出した結果、扉体2が完全に倒伏した状態の断面図が第2図である。
扉体2の頭部の起立時にほぼ水平となる面を含む曲げ加工部1は、基礎コンクリート10に固定された支持材38によって支持されており、屈曲した保護布17と縮小した空気袋(11,14)は扉体2、頭部の曲げ加工部1、基礎コンクリート10の上面25によって格納され、保護されている。
第3図と第4図はこの発明の起伏ゲートのもう一つの実施例を示すもので、第3図は起伏ゲートの断面図で起立状態を示し、第4図は起伏ゲートの断面図で倒伏状態を示すものである。
第3図および第4図において、頭部の起立時にほぼ水平となる面を含む曲げ加工部1を有する鋼板製の扉体2の下端のZ字形断面の下横桁40に数箇所(2〜4箇所程度)取り付けた軸受4は、回転軸5によって軸支持台6に回転自由に結合されている。また軸支持台6はボルト7によって組立桁8に取り付けられ、組立桁8はアンカー9によって水路の底の基礎コンクリート10に固定されている。したがって扉体2は水路の底部に位置する回転軸5によって安定して支持され、かつ自在に起立または倒伏が可能である。
この扉体2の背面側(反水圧側)の上部に、保護布17の上定着部18を押え板19とボルト20によって取り付け、また基礎コンクリート10に設けた定着材21に保護布17の下定着部22を押え板23とボルト24によって取り付ける。
同時に扉体2と保護布17と基礎コンクリート10の上面25によって囲まれた空間を横方向にほぼ2等分割する位置を選んで保護布17の裏面に分割布41を取り付け、その反対側をZ字形の下横桁40のフランジ42に押え板43とボルト44で取り付ける。
このようにして、ほぼ2等分割された扉体2と保護布17と基礎コンクリート10の上面25によって囲まれた空間のおのおのに柄まる空気袋45,46は、保護布17の裏面にその一部を接着されると同時に通気管47によって相互の空気の流通を確保し、さらに空気袋46の下部において空気管26が接続されている。
空気管26は基礎コンクリート10に埋設するなどして陸上に導かれ、排気用開閉弁27、排気用流量調節弁28、排気放出部29、給気用開閉弁30、給気用流量調節弁31、空気圧縮機32に、第3図および第4図のように接続する。
このように構成した上で、空気圧縮機32から給気用流量調節弁31、給気用開閉弁30、空気管26を経由して空気袋46の内部に、さらに通気管47を経由して空気袋46から空気袋45の内部に空気を圧入した結果、扉体2が起立した状態の断面図が第3図である。
第3図において保護布17と分割布41は、内部の空気圧によって回転軸5から離れる方向に移動しようとする空気袋45,46を押え付けよう機能する。また保護布17は扉体2の起立姿勢を規制するよう機能し、加えて内部に囲み込んだ空気袋45,46を風雨、日光、起伏ゲートの上を流下する水流や流木、流氷、土砂等から保護する役目を引き受けているので、充分なる引張り強さ、耐候性、耐摩耗性、低温における柔軟性を有する素材を使用して製作する。なお、分割布41も保護布17と同一の素材で製作する。
空気袋45,46は内部の空気圧によって保護布17に押し付けられた状態となるから、扉体2と空気袋45の接触部が保護布17の上定着部18に片寄る結果となり、同様に基礎コンクリート10の上面25と空気袋46の接触部が保護布17の下定着部22に片寄る結果となって、空気袋45,46が起伏ゲートの扉体2を押し起こすためには好都合である。
また扉体2の頭部の起立時ほぼ水平となる面を含む曲げ加工部1は起伏ゲートを越流する水が保護布17を直接打たないように機能する。さらに下部水密ゴム33が押え板34とボルト35によって扉体2の下部に取り付けられ、同時に押え板36とボルト37によって組立桁8に取り付けられて、水の漏出を防止している。
また空気圧縮機32を停止し、給気用開閉弁30を閉じ、排気用開閉弁27を開いて、空気袋45,46の内部の圧力を有する空気を、排気用流量調節弁28によって制御しつつ、排気放出部29より大気中へ放出した結果、扉体2が完全に倒伏した状態の断面図が第4図である。
扉体2の頭部の起立時にほぼ水平となる面を含む曲げ加工部1は、基礎コンクリート10に固定された支持材38によって支持されており、屈曲した保護布17と縮小した空気袋45,46、並びに分割布41は扉体2、頭部の曲げ加工部1、基礎コンクリート10によって格納され、保護されている。
この実施例において、保護布17の屈曲は、分割布41のために2重となり、小さな格納スペースに保護布17を収容することができる。したがって扉体2と保護布17の上定着部18との取付部を扉体2の頭部の曲げ加工部1に近付けることが可能となり、大きな寸法の空気袋を使用する結果、
A)扉体2に生じる曲げモメントが軽減する。
B)操作に必要な空気の圧力が小さくなる。
等の有利性がある。
第5図と第6図はこの発明の起伏ゲートのさらにもう一つの実施例を示すもので、第5図は起伏ゲートの断面図で起立状態を示し、第6図は起伏ゲートの断面図で倒伏状態を示す。
第5図および第6図において、頭部の起立時にほぼ水平となる面を含む曲げ加工部1を有する扉体2は、下端に直径が充分に大きい丸棒鋼を溶接取り付けして回転軸50とし、さらに扉体2の水圧側には回転軸50と直交する方向で扉体2の表面に直角に立てて溶接取り付けした補剛材51を有し、扉体2のゲート高方向の強度を補っている。
回転軸50は数箇所(2〜5箇所程度)に設けたほぼ半円形の凹部を有する軸受52に支持される。軸受52は組立桁53に取り付けられ、組立桁53はアンカー9によって基礎コンクリート10に固定され、安定している。また回転軸50が軸受52から脱落するのを防止するための浮上防止板54をボルト55によって組立桁53に強固に取り付けている。したがって扉体2は水路の底部に位置する回転軸50によって安定し、かつ自在に起立または倒伏が可能である。
また浮上防止板54の先端に下部水密ゴム56を押え板57とボルト58によって取り付け、回転軸50に密着させることにより水の漏出を防止する。
この扉体2の背面側(反水圧側)の上部に空気袋の一部を兼ねた保護布59の上定着部60を押え板19とボルト20によって取り付け、また基礎コンクリート10に設けた定着材21に空気袋の一部を兼ねた保護布59の下定着部61を押え板23とボルト24によって取り付ける。
空気袋の一部を兼ねた保護布59の裏面の上定着部60と下定着部61の近くにおいて強固に接着取付した空気袋の回転軸側部分62は、扉体2と基礎コンクリート10の上面25に接触するシートであり、下部に空気管26が接続されている。このように保護布59と回転軸側部分62は一体となって空気袋を構成する。
また空気管26は基礎コンクリート10に埋設するなどして陸上に導かれ、排気用開閉弁27、排気用流量調節弁28、排気放出部29、給気用開閉弁30、給気用流量調節弁31、空気圧縮機32に、第5図および第6図のように接続する。
このように構成した上で、空気圧縮機32から給気用流量調節弁31、給気用開閉弁30、空気管26を経由して保護布59と回転軸側部分62とによる空気袋の内部に空気を圧入した結果、扉体2が起立した状態の断面図が第5図である。
第5図において保護布59は、回転軸側部分62とともに内部の空気圧によって回転軸50から離れる方向に移動しようとするが、上定着部60によって扉体2に取り付けられ、下定着部61によって基礎コンクリート10に設けた定着材21に取り付けられているので、移動しない。また空気袋の回転軸側部分62と扉体2の接触部分は保護布59の上定着部60に片寄り、同様に基礎コンクリート10の上面25と空気袋の回転軸側部分62との接触部分は保護布59の下定着部61に片寄るので、起伏ゲートの扉体2を押し起こすためには好都合である。
保護布59は、内部の空気圧による自身の移動を押えると同時に扉体2の起立姿勢を規制するよう機能し、加えて風雨、日光、起伏ゲートの上を流下する水流や流木、流氷、土砂等によって破損せず、空気袋の一部分も構成するものであるから、充分なる引張り強さ、耐候性、耐摩耗性、低温における柔軟性、並びに気密性を有する素材を使用して製作する。
空気袋の回転軸側部分62は、充分なる引張り強さと気密性とを有する素材を使用して製作する。
また扉体2の頭部の曲げ加工部1は起伏ゲートを越流する水が保護布59を直接打たないように機能する。
さらに、空気圧縮機32を停止し、給気用開閉弁30を閉じ、排気用開閉弁27を開いて保護布59と回転軸側部分62によって構成する空気袋の内部の圧力を有する空気を排気用流量調節弁28によって制御しつつ、排気放出部29より大気中へ放出した結果、扉体2が完全に倒伏した状態の断面図が第6図である。
扉体2の頭部の起立時にほぼ水平となる面を含む曲げ加工部1は、基礎コンクリート10に固定された支持材38によって支持されており、屈曲した保護布59と縮小した回転軸側部分62は、扉体2と頭部の曲げ加工部1、基礎コンクリート10とによって格納され、保護されている。
この実施例においては、起伏ゲートの高さが大きくなり、使用する空気の圧力も大きくなった結果、空気袋を製作する素材の強度が高いものを要求され、保護布と空気袋とを別々に製作し、その一部を接着するよりは一体に製作する方が安価で取扱いも容易であるため、この構造を採用したものである。
この発明の第2の起伏ゲートの実施の形態を、図面に基いて詳細に説明する。第7図および第8図において、頭部に曲げ加工部1と水流分割材2を有する鋼板製の扉体3は、下端の横桁4に数箇所(2〜4箇所程度)に設けた軸支持台5によって支持された回転軸6を有する。一方、回転軸6は基礎コンクリート7の上面の鋼板8と碇着桁9に取り付けた軸受10に支持されているから安定している。したがって扉体3は水路の底部に位置する回転軸6によって安定し、かつ自在に起立または倒伏が可能である。
この扉体3の背面側(反水圧側)に、伸縮性可撓管11の上端の取付フランジ12を押え金物13とボルト14によって取り付け、またその下端の取付フランジ15を押え金物16とボルト17によって基礎コンクリート7の上面の鋼板8に取り付ける。
この伸縮性可撓管11は単位ゴム管18,19の組立フランジ20,21を全体形状保持板22を間に挟みつつ押え金物23,24とボルト25によって強固に組み立てたもので、取付フランジ12と扉体3の背面、取付フランジ15と鋼板8、組立フランジ20ならびに21と全体形状保持板22の接触面は完全な気密状態であり、加えて全体形状保持板22には第9図に示すような通気孔26を適宜個数設けてあるので、伸縮性可撓管11の内部全体の空気の流通が適度に確保される。
ところで第7図に示すように単位ゴム管18,19の断面形状は各々閉じた扇のように回転軸6から離れるに連れて大きくなるように作ってあり、伸縮性可撓管11全体としての断面形状は半開の扇のようになっている。
したがって、このままでは伸縮性可撓管11全体が回転軸6から離れる方向に変形するから、全体形状保持板22の下端に取り付けた引留棒27を引留リング28によって回転軸6の延長部に連結し、これを防止している。
第7図および第8図に示すように、鋼板製の扉体3が起立や倒伏を行なうときには、伸縮性可撓管11が伸縮変形するので、全体形状保持板22も水平に対する傾斜角を変化させつつ移動する。したがって全体形状保持板22の下端の引留棒27を引留リング28を介在させて回転軸6に連結することは、全体形状保持板22の運動を円滑にする効果がある。特に全体形状保持板22の数を2以上とする場合にはその効果が顕著である。
単位ゴム管18,19の素材は柔軟で所定の強度を備え空気を通さない耐候性の良いゴム引布が優れている。
扉体3や押え金物13,16の素材は、普通鋼材やステンレス鋼板を使用するが全体形状保持板22や押え金物23,24は重量の軽いものが好ましいので、アルミニウム合金や強化プラスチックを使用する。
このように構成した上で、伸縮性可撓管11の下端に接続した空気管29を基礎コンクリート7に埋設するなどして陸上に導き、排気用開閉弁30、排気用流量調節弁31、排気放出部32、給気用開閉弁33、給気用流量調節弁34、空気圧縮機35を、第7図および第8図のように接続する。
その上で、空気圧縮機35から給気用流量調節弁34、給気用開閉弁33、空気管29を経由して伸縮性可撓管11の内部に空気を圧入した結果、扉体3が起立した状態の断面図が第7図であり、扉体3の頭部の曲げ加工部1は越流する水が伸縮性可撓管11を打たないように機能し、下部水密ゴム36が押え板37とボルト38によって扉体3に取り付けられ、同時に押え板39とボルト40によって碇着桁9に取り付けられて、水の漏出を防止している。
また扉体3の上部には引留紐42の上の碇着部43を押え板44とボルト45で取り付け、鋼板8には下の碇着部46を押え板47とボルト48で取り付けた結果、引留紐42は単位ゴム管18,19に接触しない位置で張力を生じ、扉体3の最高起立姿勢を規制している。加えて引留紐42は全体形状保持板22の先端49に連結され、倒伏時の変形も規制されている。
一方、空気圧縮機35を停止し、給気用開閉弁33を閉じ、排気用開閉弁30を開いて、伸縮性可撓管11の内部の圧力を有する空気を排気用流量調節弁31によって制御しつつ、排気放出部32から大気中に放出した結果、扉体3が完全に倒伏した状態の断面図が第8図である。扉体3の頭部の曲げ加工部1は、基礎コンクリート7の上面の鋼板8に固定した支持材41に支持されており、縮小した伸縮性可撓管11と全体形状保持板22の先端49に連結されているため屈曲した引留紐42は扉体3、頭部の曲げ加工部1、基礎コンクリート7の上面の鋼板8とによって格納され、保護されている。
第7図および第8図に示す実施例はこの発明の基本的構成を示すものであり、構造が簡単で、単位ゴム管18,19と全体形状保持板22で構成する伸縮性可撓管11と扉体3、回転軸6ならびに鋼板8との位置関係も良好である。
第7図によれば伸縮性可撓管11の断面形状が半開の扇のようになり、単位ゴム管18,19が整然と積み重ねられて扉体3を支持し、全体形状保持板22が有効に作用している状況が理解できる。
第10図と第11図並びに第12図はこの発明の起伏ゲートの他の実施例を示すもので、第10図は起伏ゲートの断面図で起立状態を示し、第11図は起伏ゲートの断面図で倒伏状態を示すものである。第12図は全体形状保持板の平面図である。
第10図および第11図において、頭部に曲げ加工部1と水流分割材2を有する鋼板製の扉体3は、下端に所定の径を有する回転軸6を備えている。一方、回転軸6は基礎コンクリート7の上面の鋼板8と碇着桁9に取り付けた軸受10に支持され、ボルト103と押え板104によって浮上りを防止しているから安定している。したがって扉体3は水路の底部に位置する回転軸6によって安定し、かつ自在に起立または倒伏が可能である。
この扉体3の背面側(反水圧側)に、伸縮性可撓管11の上端の取付フランジ12を押え金物13とボルト14によって取り付け、またその下端の取付フランジ15を押え金物16とボルト17によって基礎コンクリート7の上面の鋼板8に取り付ける。
この伸縮性可撓管11は単位ゴム管18,19の組立フランジ20,21を全体形状保持板22を間に挟みつつ押え金物23,24とボルト25によって強固に組み立てたもので、取付フランジ12と扉体3の背面、取付フランジ15と鋼板8、組立フランジ20ならびに21と全体形状保持板22の接触面は完全な気密状態であり、加えて全体形状保持板22には第12図に示すような通気孔26を適宜個数設けてあるので、伸縮性可撓管11の内部全体の空気の流通が適度に確保される。
ところで第10図に示すように単位ゴム管18,19の断面形状は各々閉じた扇のように回転軸6から離れるに連れて大きくなるように作ってあり、伸縮性可撓管11全体としての断面形状は半開の扇のようになっている。
したがって、このままでは伸縮性可撓管11全体が回転軸6から離れる方向に変形するから、全体形状保持板22の下端に取り付けた引留棒27を回転軸6に設けた引留ガイド板101のガイド溝102に連結し、これを防止している。
第10図および第11図に示すように、鋼板製の扉体3が起立や倒伏を行なうときには、伸縮性可撓管11が伸縮変形するので、全体形状保持板22も水平に対する傾斜角を変化させつつ移動する。したがって全体形状保持板22の下端の引留棒27を引留ガイド板101を介在させて回転軸6に連結することは、全体形状保持板22の運動を円滑にする効果がある。特に全体形状保時板22の数を2以上とする場合にはその効果が顕著である。
単位ゴム管18,19の素材は柔軟で所定の強度を備え空気を通さない耐候性の良いゴム引布が優れている。
扉体3や回転軸6、並びに押え金物13,16の素材は、普通鋼材やステンレス鋼板を使用するが全体形状保持板22や押え金物23,24は重量の軽いものが好ましいので、アルミニウム合金や強化プラスチックを使用する。
このように構成した上で、伸縮性可撓管11の下端に接続した空気管29を基礎コンクリート7に埋設するなどして陸上に導き、排気用開閉弁30、排気用流量調節弁31、排気放出部32、給気用開閉弁33、給気用流量調節弁34、空気圧縮機35を、第10図および第11図のように接続する。
その上で、空気圧縮機35から給気用流量調節弁34、給気用開閉弁33、空気管29を経由して伸縮性可撓管11の内部に空気を圧入した結果、扉体3が起立した状態の断面図が第10図であり、扉体3の頭部の曲げ加工部1は越流する水が伸縮性可撓管11を打たないように機能し、下部水密ゴム36が押え板37とボルト38によって扉体3に取り付けられ、同時に押え板39とボルト40によって碇着桁9に取り付けられて、水の漏出を防止している。
また扉体3の上部には引留紐42の上の碇着部43を押え板44とボルト45で取り付け、鋼板8には下の碇着部46を押え板47とボルト48で取り付けた結果、引留紐42は単位ゴム管18,19に接触しない位置で張力を生じ、扉体3の最高起立姿勢を規制している。加えて引留紐42は全体形状保持板22の先端49に連結され、倒伏時の変形も規制されている。
一方、空気圧縮機35を停止し、給気用開閉弁33を閉じ、排気用開閉弁30を開いて、伸縮性可撓管11の内部の圧力を有する空気を排気用流量調節弁31によって制御しつつ、排気放出部32から大気中に放出した結果、扉体3が完全に倒伏した状態の断面図が第11図である。扉体3の頭部の曲げ加工部1は、基礎コンクリート7の上面の鋼板8に固定した支持材41に支持されており、縮小した伸縮性可撓管11と全体形状保持板22の先端49に連結されているため屈曲した引留紐42は扉体3、頭部の曲げ加工部1、基礎コンクリート7の上面の鋼板8とによって格納され、保護されている。
この実施例においては、回転軸6の直径が大きいので、扉体3の形状が安定して取扱いが容易であり、据付作業において回転軸6を軸受10に置いた後に押え板104をボルト103で固定して浮上りを防止するから、大型で重量の大きい起伏ゲートに適した構造になっている。
第13図と第14図、並びに第15図はこの発明の起伏ゲートのさらにもう一つの実施例を示すもので、第13図は起伏ゲートの断面図で起立状態を示し、第14図は起伏ゲートの断面図で倒伏状態を示す。第15図は全体形状保持板の平面図である。
第13図および第14図において、頭部に曲げ加工部1と水流分割材2を有する鋼板製の扉体3は、下端の横桁4に数箇所(2〜4箇所程度)に設けた軸支持台5によって支持された回転軸6を有する。一方、回転軸6は基礎コンクリート7の上面の鋼板8と碇着桁9に取り付けた軸受10に支持されているから安定している。したがって扉体3は水路の底部に位置する回転軸6によって安定し、かつ自在に起立または倒伏が可能である。
この扉体3の背面側(反水圧側)に、伸縮性可撓管11の上端の取付フランジ12を押え金物13とボルト14によって取り付け、またその下端の取付フランジ15を押え金物16とボルト17によって基礎コンクリート7の上面の鋼板8に取り付ける。
この伸縮性可撓管11は単位ゴム管18と19を接続部200と接着することにより1体に組立て、この接続部200を全体形状保持板22の補強材201を有する通気口202にはめ込んだもので、取付フランジ12と扉体3の背面、取付フランジ15と鋼板8の接触面は完全な気密状態である。加えて全体形状保持板22には第15図に示すような通気孔202を設けてあるので、伸縮性可撓管11の内部全体の空気の流通が大きく確保される。
ところで第13図に示すように単位ゴム管18,19の断面形状は各々閉じた扇のように回転軸6から離れるに連れて大きくなるように作ってあり、伸縮性可撓管11全体としての断面形状は半開の扇のようになっている。
したがって、このままでは伸縮性可撓管11全体が回転軸6から離れる方向に変形するから、全体形状保持板22の下端に取り付けた引留棒27を引留リング28によって回転軸6の延長部に連結し、これを防止している。
第13図および第14図に示すように、鋼板製の扉体3が起立や倒伏を行なうときには、伸縮性可撓管11が伸縮変形するので、全体形状保持板22も水平に対する傾斜角を変化させつつ移動する。したがって全体形状保持板22の下端の引留棒27を引留リング28を介在させて回転軸6に連結することは、全体形状保持板22の運動を円滑にする効果がある。特に全体形状保持板22の数を2以上とする場合にはその効果が顕著である。
単位ゴム管18,19の素材は柔軟で所定の強度を備え空気を通さない耐候性の良いゴム引布が優れている。
扉体3や押え金物13,16の素材は、普通鋼材やステンレス鋼板を使用するが全体形状保持板22は重量の軽いものが好ましいので、アルミニウム合金や強化プラスチックを使用する。
このように構成した上で、伸縮性可撓管11の下端に接続した空気管29を基礎コンクリート7に埋設するなどして陸上に導き、排気用開閉弁30、排気用流量調節弁31、排気放出部32、給気用開閉弁33、給気用流量調節弁34、空気圧縮機35を、第13図および第14図のように接続する。
その上で、空気圧縮機35から給気用流量調節弁34、給気用開閉弁33、空気管29を経由して伸縮性可撓管11の内部に空気を圧入した結果、扉体3が起立した状態の断面図が第13図であり、扉体3の頭部の曲げ加工部1は越流する水が伸縮性可撓管11を打たないように機能し、下部水密ゴム36が押え板37とボルト38によって扉体3に取り付けられ、同時に押え板39とボルト40によって碇着桁9に取り付けられて、水の漏出を防止している。
また扉体3の上部には引留紐42の上の碇着部43を押え板44とボルト45で取り付け、鋼板8には下の碇着部46を押え板47とボルト48で取り付けた結果、引留紐42は単位ゴム管18,19に接触しない位置で張力を生じ、扉体3の最高起立姿勢を規制している。加えて引留紐42は全体形状保持板22の先端49に連結され、倒伏時の変形も規制されている。
一方、空気圧縮機35を停止し、給気用開閉弁33を閉じ、排気用開閉弁30を開いて、伸縮性可撓管11の内部の圧力を有する空気を排気用流量調節弁31によって制御しつつ、排気放出部32から大気中に放出した結果、扉体3が完全に倒伏した状態の断面図が第14図である。扉体3の頭部の曲げ加工部1は、基礎コンクリート7の上面の鋼板8に固定した支持材41に支持されており、縮小した伸縮性可撓管11と全体形状保持板22の先端49に連結されているため屈曲した引留紐42は扉体3、頭部の曲げ加工部1、基礎コンクリート7の上面の鋼板8とによって格納され、保護されている。
この実施例においては、起伏ゲートの高さが大きくなり、使用する空気の圧力も大きくなったために、伸縮性可撓管を製作する素材の強度が高いものを要求される結果、単位ゴム管18,19を別々に製作し、ボルトで組立するよりは一体に接着する方が安価で取扱いも容易であるため、この構造を採用したものである。
第16図から第19図はこの発明の起伏ゲートのもう一つの実施例を示すもので、第16図は起伏ゲートの断面図で起立状態を示し、第17図は起伏ゲートの断面図で倒伏状態を示す。第18図は全体形状保持板の平面図であり、第19図は据付板の平面図である。
第16図および第17図において、頭部に曲げ加工部1と水流分割材2を有する鋼板製の扉体3は、下端の横桁4に数箇所(2〜4箇所程度)に設けた軸支持台5によって支持された回転軸6を有する。一方、回転軸6は基礎コンクリート7の上面の鋼板8と碇着桁9に取り付けた軸受10に支持されているから安定している。したがって扉体3は水路の底部に位置する回転軸6によって安定し、かつ自在に起立または倒伏が可能である。
この扉体3の正面側(水圧側)に回転軸直角方向の補剛材301を取付けて扉体3の高さ方向の曲げ強さを増大させているが、この補剛材301は回転軸直角方向である故に水や土砂、転石等の流下の妨げとはならない。
またこの扉体3の背面側(反水圧側)に、伸縮性可撓管11の上端の取付フランジ12を押え金物13とボルト14によって取り付け、またその下端の取付フランジ15を押え金物16とボルト17によって据付板302に取付け、この据付板302をボルト303によりシール304で気密を保ちつつ基礎コンクリート7の上面の鋼板8に取り付ける。
この伸縮性可撓管11は単位ゴム管18,19の組立フランジ20,21を全体形状保持板22を間に挟みつつ押え金物23,24とボルト25によって強固に組み立てたもので、取付フランジ12と扉体3の背面、取付フランジ15と据付板302、据付板302とシール304、並びに鋼板8、組立フランジ20ならびに21と全体形状保持板22の接触面は完全な気密状態であり、加えて全体形状保持板22と据付板302には第18図に示すような作業孔を兼ねた通気孔26を設けてあるので、伸縮性可撓管11の内部全体の空気の流通が大きく確保される。
ところで第16図に示すように単位ゴム管18,19の断面形状は各々閉じた扇のように回転軸6から離れるに連れて大きくなるように作ってあり、伸縮性可撓管11全体としての断面形状は半開の扇のようになっている。
したがって、このままでは伸縮性可撓管11全体が回転軸6から離れる方向に変形するから、全体形状保持板22の下端に取り付けた引留棒27を引留リング28によって回転軸6の延長部に連結し、これを防止している。
第16図および第17図に示すように、鋼板製の扉体3が起立や倒伏を行なうときには、伸縮性可撓管11が伸縮変形するので、全体形状保持板22も水平に対する傾斜角を変化させつつ移動する。したがって全体形状保持板22の下端の引留棒27を引留リング28を介在させて回転軸6に連結することは、全体形状保持板22の運動を円滑にする効果がある。特に全体形状保持板22の数を2以上とする場合にはその効果が顕著である。
単位ゴム管18,19の素材は柔軟で所定の強度を備え空気を通さない耐候性の良いゴム引布が優れている。
扉体3や押え金物13,16並びに据付板302の素材は、普通鋼材やステンレス鋼板を使用するが全体形状保持板22は重量の軽いものが好ましいので、アルミニウム合金や強化プラスチックを使用する。
このように構成した上で、伸縮性可撓管11の下端に接続した空気管29を基礎コンクリート7に埋設するなどして陸上に導き、排気用開閉弁30、排気用流量調節弁31、排気放出部32、給気用開閉弁33、給気用流量調節弁34、空気圧縮機35を、第16図および第17図のように接続する。
その上で、空気圧縮機35から給気用流量調節弁34、給気用開閉弁33、空気管29を経由して伸縮性可撓管11の内部に空気を圧入した結果、扉体3が起立した状態の断面図が第6図であり、扉体3の頭部の曲げ加工部1は越流する水が伸縮性可撓管11を打たないように機能し、下部水密ゴム36が押え板37とボルト38によって扉体3に取り付けられ、同時に押え板39とボルト40によって碇着桁9に取り付けられて、水の漏出を防止している。
また扉体3の上部には引留紐42の上の碇着部43を押え板44とボルト45で取り付け、鋼板8には下の碇着部46を押え板47とボルト48で取り付けた結果、引留紐42は単位ゴム管18,19に接触しない位置で張力を生じ、扉体3の最高起立姿勢を規制している。加えて引留紐42は全体形状保持板22の先端49に連結され、倒伏時の変形も規制されている。
一方、空気圧縮機35を停止し、給気用開閉弁33を閉じ、排気用開閉弁30を開いて、伸縮性可撓管11の内部の圧力を有する空気を排気用流量調節弁31によって制御しつつ、排気放出部32から大気中に放出した結果、扉体3が完全に倒伏した状態の断面図が第17図である。扉体3の頭部の曲げ加工部1は、基礎コンクリート7の上面の鋼板8に固定した支持材41に支持されており、縮小した伸縮性可撓管11と全体形状保持板22の先端49に連結されているため屈曲した引留紐42は扉体3、頭部の曲げ加工部1、基礎コンクリート7の上面の鋼板8とによって格納され、保護されている。
第16図から第19図に示す実施例では、特に大型の起伏ゲートの場合で、扉体3の正面側(水圧側)に回転軸直角方向の補剛材301を取付けて扉体3の高さ方向の曲げ強さを増大させている。また単位ゴム管18,19のゴム引布に作用する張力が大きくなるので、取付フランジ12,15と組立フランジ20,21では折り曲げることを避け、押え金物13,16,23,24を伸縮性可撓管11の内部に設けた。その結果、単位ゴム管18,19の形状は単純で無理のないものとなったが、組立てるための作業孔が必要となり、全体形状保持板22と据付板302の通気孔26には作業孔を兼ねさせるための充分な大きさを与えることとなった。また伸縮性可撓管11を据付するために、据付板302、ボルト303、シール304等の部品が増加することになるが、やむを得ない。
産業上の利用可能性
この発明の第1の起伏ゲートによれば、流下する土砂、転石、流木、流氷などに対し鋼板製の扉体と同一の強度、耐久性を有し、構造が簡単で製作、運搬、据付全般において安価であり、加えて点検、維持、修繕が容易であり、さらに環境を汚染する心配のない新規な起伏ゲートを提供することができるようになった。すなわち、
(1)空気袋を押え込む保護布の採用
扉体の背面と基礎コンクリートの上面と両者の回転軸からほぼ同一距離の位置に端部を取り付けて張り渡した保護布の3者によって囲まれた空間に空気袋を納め、内部の空気圧によって回転軸から離れる方向に移動しようとする空気袋を保護布によって押え込む構造を採用した結果、以下に列記する効果があった。
(a)空気袋は内部の空気圧によって回転軸から遠くへ移動しようとするから、空気袋は保護布の裏面と扉体の背面と基礎コンクリートの上面の保護布の取付部に近い位置に片寄って密着することになる。
したがって、空気袋が扉体背面に接触して内部の空気圧を伝達する部分の面積の回転軸回りの一次モーメントが大きくなり、鋼板製の扉体を起立させ、支持するのに必要な空気の圧力を小さくすることができて有利である。すなわち、空気袋が扉体背面に接触して内部の空気圧を伝達する部分の面積は扉体の幅の約80%、高さの約20%と広い部分に分布するから、必要な空気圧はごく小さいものとなる。
例えば、水深2mの圧力は0.2kgf/cm2であるから、水深2mの起伏ゲートを操作するのに必要な空気圧は概略の検討によれば、0.4kgf/cm2程度あれば充分である。したがって空気圧縮機の必要馬力が小さく、配管並びに制御の機材も安価なものとなる。
(b)上記(a)に説明した理由により鋼板製の扉体が可能となる。すなわち、荷重として水圧力や流下物の衝撃、また扉体自身の重量を受ける鋼板製の扉体は広い面積で接触する空気袋によって支持されるので、応力の集中が少なく、横桁や縦桁による補強をあまり必要としないので、重量が軽く、加工量の少ない安価な鋼板製の扉体の利用が可能となる。
(c)起立した起伏ゲートの背面の保護布の外観形状は、おおむね扉体の回転軸を中心とする円筒面となり、美しい。
(2)鋼板製の扉体が空気袋を保護する効果
起伏ゲートが貯える水の圧力を直接受け、また流下する土砂、転石、流木、流氷の衝撃を直接受けるのも鋼板製の扉体であり、充分な剛性、強度、耐摩耗性等を有するので空気袋を保護する効果があり、起伏ゲートの安全性、信頼性を高めるばかりでなく、空気袋に余分な補強を必要としないので安価な空気袋を利用できて有利である。
(3)幅の小さい起伏ゲートを横並べする効果
この発明の起伏ゲートにおいては、起伏ゲートの構成要素を直接水圧力や流下物の衝撃を受ける鋼板製の扉体と保護布によって囲い込まれた空気袋による操作装置とに2分してあり、各々をゲートの幅方向に延長、また短縮することの自由な構造であるから、ゲート幅の小さい(2〜3m程度の)起伏ゲートを単位起伏ゲートとして製造し、横に並べることが容易であるから幅の大きい(10〜200m等の)水路に起伏ゲートを建設することが容易になった。
この結果以下に列記する効果がある。
(a)起伏ゲートの規格化が可能となった。すなわち、ゲート高の変化に対応して数種類の高さの保護布と空気袋の組合せを設計し、これらの各々に適当な鋼板製の扉体の高さの範囲を求めておくことにより、設置場所の幅や高さに応じてその都度行なっている設計計算の作業を省略できて工期が短縮され、また費用も少なくなる。
(b)規格化すると、保護布と空気袋の組合せも、鋼板製の扉体や軸受等も同一仕様、同一寸法のものを工場で多量に生産しておいて必要の都度利用することになるので、製作費が大幅に軽減される。
(c)ゲート幅の小さい起伏ゲートを横に並べて設置する場合は、全部を一体に作って設置する場合と比較して製作も運搬も据え付けも非常に容易であり、費用も少なくてすむ。また山間部などで広い道路がなくても搬入できるし、ヘリコプタによる運搬、据え付けも可能となるので、応用の可能性を非常に広くすることができる。
(d)起伏ゲートを構成する部品が規格化され、小型化や軽量化が可能になったので、修繕等の必要な場合、部品取り替えを行なうことにより、安価かつ確実でその上短い工期の工事が可能となった。
(4)操作に使用する空気は自由にかつ無料で利用できるから、費用の軽減に効果があるばかりでなく、漏れたり、放出したりしても環境を汚染する心配がない。
次にこの発明の第2の起伏ゲートによれば、流下する土砂、転石、流木、流氷などに対し鋼板製の扉体と同一の強度、耐久性を有し、構造が簡単で製作、運搬、据付全般において安価であり、加えて点検、維持、修繕が容易であり、さらに環境を汚染する心配のない新規な起伏ゲートを提供することができるようになった。
すなわち、
(1)全体形状保持板を有する伸縮性可撓管の採用
数個の扇を閉じた形状の扁平な単位ゴム管を積み重ねることとし、加えて単位ゴム管の間に挟んだ全体形状保持板によって伸縮性可撓管の中間部を起伏ゲートの回転軸の方向に引き留める構造を採用した結果、以下に列記する効果があった。
(a)単位ゴム管は扁平で小さいので、単位ゴム管を構成する補強されたゴム引布の強度が小さくてもよく、安価である。
(b)起立した扉体の背面と基礎コンクリートの上面のなす角度を等分割する位置に、全体形状保持板を配置し、三者に接する円弧の長さを有するゴム引布で構成する単位ゴム管を積み重ね、押え金物とボルトで組み立てることにより、単位ゴム管が扁平になる。
このことは、起立した扉体を支持するために圧縮空気が扉体背面を押す面積を大きく設計することができるから、鋼板製の扉体を起立させ、支持するのに必要な空気の圧力を小さくすることができて有利である。
例えば、水深2mの圧力は0.2kgf/cm2であるから、水深2mの起伏ゲートを操作するのに必要な空気圧は概略の検討によれば、0.4kgf/cm2程度あれば充分となり、技術的には容易で、経済的に非常に有利である。
(c)上記(b)と全く同一の理由により、鋼板製の扉体が可能となる。すなわち、荷重として水圧力や流下物の衝撃、また扉体の自重を受ける鋼板製の扉体は広い面積で接する圧縮空気によって支持されるので、応力の集中が少なく、横桁や縦桁による補強を軽減できるので、重量が軽く、非常に安価な銅板製の扉体の利用が可能となる。
(d)単位ゴム管を積み重ねる際に全体形状保持板に設けた適当な大きさの通気孔(通気口)の効果は、伸縮性可撓管全体の膨張収縮の速度を制御できることにある。特にこの発明に置いては空気の圧力が低いので、万一1個の単位ゴム管が破裂しても他の単位ゴム管の収縮速度が制限される結果、伸縮性可撓管全体の収縮が緩やかとなるので、起伏ゲートの急激な決壊を回避できる。
(e)起立した扉体を支持するときの伸縮性可撓管の扉体背面側から見る全体形状は、若干の凹凸はあるものの、おおむね扉体の回転軸を中心とする円筒面となるから美しい。
(2)鋼板製の扉体が伸縮性可撓管を保護する効果
起伏ゲートが貯える水の圧力を直接受け、また流下する土砂、転石、流木、流氷の衝撃を直接受けるのも鋼板製の扉体であり、充分な剛性、強度、耐摩耗性等を有するので伸縮性可撓管を保護する効果があり、起伏ゲートの安全性、信頼性を高めるばかりでなく、伸縮性可撓管に余分な補強を必要としないので安価な伸縮性可撓管を利用できて有利である。
(3)幅の小さい起伏ゲートを横並べする効果
この発明の起伏ゲートにおいては、起伏ゲートの構成要素を直接水圧力や流下物の衝撃を受ける鋼板製の扉体と全体形状保持板を有する伸縮性可撓管による操作装置とに2分してあり、各々をゲートの幅方向に延長、また短縮することの自由な構造であるから、ゲート幅の小さい(2〜3m程度の)起伏ゲートを単位起伏ゲートとして製造し、横に並べて幅の大きい(10〜200m等の)水路に起伏ゲートを建設することが容易になった。
この結果以下に列記する効果がある。
(a)起伏ゲートの規格化が可能となった。すなわち、ゲート高の変化に対応して数種類の高さの伸縮性可撓管を設計し、これらの各々に適当な鋼板製の扉体の高さの範囲を求めておくことにより、設置場所の幅や高さに応じてその都度行なっている設計計算の作業を省略できて工期が短縮され、また費用も少なくなる。
(b)規格化すると、伸縮性可撓管も鋼板製の扉体や軸受等も同一仕様、同一寸法のものを工場で多量に生産しておいて必要の都度利用することになるので、製作費が大幅に軽減される。
(c)ゲート幅の小さい起伏ゲートを横に並べて設置する場合は、全部を一体に作って設置する場合と比較して製作も運搬も据え付けも非常に容易であり、費用も少なくてすむ。また山間部などで広い道路がなくても搬入できるし、ヘリコプタによる運搬、据え付けも可能となるので、応用の可能性を非常に広くすることができる。
(d)起伏ゲートを構成する部品が規格化され、小型化や軽量化が可能になったので、修繕等の必要な場合、部品取り替えを行なうことにより、安価かつ確実でその上短い工期の工事が可能となった。
(4)操作に使用する空気は自由にかつ無料で利用できるから、費用の軽減に効果があるばかりでなく、漏れたり、放出したりしても環境を汚染する心配がない。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の起伏ゲートの一実施例を示し、起伏ゲートが起立した状態の概略断面図である。第2図は起伏ゲートが倒伏した状態の概略断面図である。第3図はこの発明の起伏ゲートの他の実施例を示し、起伏ゲートが起立した状態の概略断面図である。第4図は起伏ゲートが倒伏した状態の概略断面図である。第5図はこの発明の起伏ゲートの別の実施例を示し、起伏ゲートが起立した状態の概略断面図である。第6図は起伏ゲートが倒伏した状態の概略断面図である。また第7図はこの発明の起伏ゲートのさらに別の実施例を示し、起伏ゲートが起立した状態の概略断面図である。第8図は起伏ゲートが倒伏した状態の概略断面図である。第9図は全体形状保持板の平面図である。第10図はこの発明の起伏ゲートの他の実施例を示し、起伏ゲートが起立した状態の概略断面図である。第11図は起伏ゲートが倒伏した状態の概略断面図である。第12図は全体形状保持板の平面図である。第13図はこの発明の起伏ゲートのまた別の実施例を示し、起伏ゲートが起立した状態の概略断面図である。第14図は起伏ゲートが倒伏した状態の概略断面図である。第15図は全体形状保持板の平面図である。第16図は起伏ゲートの起立状態を示す断面図である。第17図は起伏ゲートの倒伏状態を示す断面図である。第18図は全体形状保持板の平面図である。第19図は据付板の平面図である。
この発明は、水路の底部に設けた回転軸によって自在に起立または倒伏を行なうことにより、水路の流水を堰上げまたは放流する目的で使用される起伏ゲートに関するものである。
背景技術
従来、起伏ゲートとしては、水圧力を受ける鋼板(止水板)に対し充分に強固な横桁や縦桁を配置した鋼製扉体の頭部にワイヤロープやチェーンを取り付けて、これを陸上の巻上機で巻き取りまたは巻き戻して起立または倒伏の操作をする形式のものや、同様の鋼製扉体を油圧ジャッキで押し上げて起立させ、油圧ジャッキを縮めて倒伏させる形式のものなどが種々開発され、使用されてきた。
また近年は、内部の空気圧や外力(水圧力や流下物から受ける衝撃力等)に耐えるよう、布で補強されたゴムの筒を水路床に固定して、この内部に空気を圧入すればゴムの筒が膨らんで流水を堰上げ、逆に内部の圧力を有する空気を開閉弁を開いて放出することにより、ゴムの筒が自重と水圧力とによって扁平に潰れて堰上げてあった水が流出する、いわゆるゴム堰が開発されて広く利用されている。
ところで、強固に横桁、縦桁によって補強された鋼製扉体の頭部に取り付けたワイヤロープやチェーンによって起伏操作を行なう形式のものは操作性が良好で、また中間的起立姿勢でも安定しているが、大型の起伏ゲートには不適当であるばかりでなく、建設費が高価となる。
また充分に強固な横桁、縦桁によって補強された銅製扉体を油圧ジャッキで押し上げる形式のものは、操作性が良好で中間的起立姿勢でも安定している取扱いの容易な起伏ゲートであり、ゲート幅も30〜40mと相当に大きい寸法の採用が可能であるばかりでなく、土砂、転石、流木、流氷などによる損傷も受けることの少ない安全性の高い起伏ゲートである。しかし建設費が高くなる欠点がある。特に細長く重量の大きい鋼製扉体の製造と運搬、据え付けは建設費が高額となる主な原因である。加えて操作用の油は万一漏出した場合、水路を汚し、社会問題となる危険がある。
またゴム堰は鋼製扉体の起伏ゲートに比較して建設費が安価であることが大きな長所である。それでも大きい幅の水路に建設するときには、細長く重量の大きいゴムの筒を工場で製造し、現場に損傷なく運搬して据え付ける工事は、多くの技術的困難と、多額の費用を必要とすることになる。
またゴム堰は布で数層に補強されてはいても、水とともに流下する土砂、転石、流木、流氷によって損傷を受けやすく、常に監視を行ない、補修工事を行う必要があり、不経済である。
加えてゴム堰の柔軟な扉体は、中間的膨張状態では不安定で全幅において均一な中間的起立状態が維持できないという技術上の重大な欠点を有する。すなわち、中間的膨張状態では筒状の扉体は不安定となり、一部分の潰れが先行するとその箇所の潰れだけが進行して部分的に安全な潰れ姿勢になるので、堰上げた水はその箇所から流出し、ゲート上流の水面を維持できないのである。
この発明は以上のように多種多様なゲートが開発され、使用されているが、それぞれに長所と短所を有している現状に対し、技術上の問題点を解決し、同時に格段に安価に建設できる起伏ゲートを提供するものである。
発明の開示
すなわちこの発明の起伏ゲートは、従来使用されてきた鋼製扉体による起伏ゲートの外力(水圧力や流下物から受ける衝撃力等)に対して強く、耐摩耗性があり、中間的起立姿勢でも安定しているという長所を生かしながら、空気袋によりゲート幅方向に連続して外力の支持をするというゴム堰と同等の経済性を導入することに成功した非常に安価で、取扱いが容易な起伏ゲートである。
以下に具体的に説明する。すなわち、保護布により押え込んだ空気袋の採用である。
起伏ゲートは完全起立時、扉体の基準線が水平となす角は70°〜90°に設計され、回転軸によって回転自由に水路床に取り付けられており、扉体の基準線がほぼ水平となったときを倒伏姿勢とする。
このように水路床に水平な回転軸を有する起伏ゲートの扉体をゲートの背面側(反水圧側)で支持する空気圧などの流体の圧力を利用した操作装置の理想形の1案としてゲートの幅方向に連続しており、回転軸に直交する断面においては、扉体を支持する位置とその広さが一定のものが考えられる。
このような操作装置が利用できれば、鋼製扉体に作用する外力(水圧力や流下物から受ける衝撃力等)は広い面積に分散して支持されるから(大きな荷重が1箇所に集中しないから)鋼板をあまり補強せず(横桁や縦桁などをあまり取り付けることなく)に使用できるので非常に経済的である。
またこのような操作装置を利用すれば、鋼製扉体が操作装置から受ける力は、
[流体の圧力(空気圧など)]×[扉体と操作装置の接触する面積]
で容易に計算できるから、扉体に作用する外力(水圧力や流下物から受ける衝撃力等)に対抗するために必要な流体の圧力(空気圧など)も容易に計算できて操作装置の設計、製作が非常に容易になる。
そして以上のような目的に合致するものの1例として半開の扇のような断面を有する空気袋を構想することができる。すなわち、扉体の回転軸を扇の要と見た時、半開の扇の紙の部分のような断面を有する空気袋を利用する手段を求めるのである。
このような技術上の必要性に対応する手段として、この発明の第1の起伏ゲートでは空気袋を保護布によって押え込むことにした。すなわち、扉体の背面と、基礎コンクリートの上面と、両者の回転軸からほぼ同距離の位置に両端を取り付けて張り渡した保護布の3者によって囲まれた空間に空気袋を納め、保護布によって空気袋の変形に制限を加えつつ、空気袋が扉体背面に接触して扉体を支持するよう構成するのである。
扉体が完全に起立した姿勢では空気袋の形状は理想形に近いものとなる。すなわち、完全に起立した姿勢において、扉体に作用する力の回転軸回りのモメントは、
a)空気袋が扉体を押し起こす力のモメント
b)扉体自重によるモメント
c)扉体に作用する水圧力など外力のモメント
d)保護布に作用する張力によるモメント
の4要素であり、これが釣り合って扉体は静止する。
a)がb)+c)より余分な量をd)で釣り合わせるのであり、d)が大きいほど保護布は平面に近付き、d)が小さくなると保護布は半径の大きい円筒形に近似した形状となり、理想形に近いものとなる。
この場合でも、空気袋の回転軸に近い部分の形状は理想形とは異なるものとなるが、扉体を押し起こす性能は、回転軸に遠い部分の形状に強く支配されるから良好な操作装置として機能する。
さて、扉体が半開または倒伏の姿勢の場合、保護布は小さい半径で屈曲し、空気袋の形状は理想形とはならない。しかし、空気袋は内部の空気圧によって保護布の裏面に密着するから、空気袋が扉体背面に接触して扉体を支持する面は、完全起立時の接触面を温存しつつ増大する。
したがって、空気袋が扉体を支持するのに必要な空気圧の強さを計算する時の接触面の形状は、完全起立時のものとすれば安全側(サイド)にあり、操作装置の設計は非常に簡単である。
またこの発明の第2の起伏ゲートは、扇の紙面の一折のように高さの変化する扁平な単位ゴム管を全体形状保持板を間に挟みつつ押え金物とボルトによって結合して層状に積み重ねて一体にした伸縮性可撓管を採用している。
起伏ゲートは完全起立時、扉体の基準線が水平となす角は70°〜90°に設計され、回転軸によって回転自由に水路床に取り付けられており、扉体の基準線がほぼ水平となったときを倒伏姿勢とする。
このように水路床に水平な回転軸を有する起伏ゲートの扉体をゲートの背面側(反水圧側)で支持する空気圧などの流体の圧力を利用した操作装置の理想形の1案として、ゲートの幅方向に連続しており、回転軸に直交する断面においては、扉体を支持する位置とその広さが一定のものが考えられる。
このような操作装置が利用できれば、鋼製扉体に作用する外力(水圧力や流下物から受ける衝撃力等)は広い面積に分散して支持されるから(大きな荷重が1箇所に集中しないから)鋼板をあまり補強せず(横桁や縦桁などをあまり取り付けることなく)に使用できるので非常に経済的である。
またこのような操作装置を利用すれば、鋼製扉体が操作装置から受ける力は、
[流体の圧力(空気圧など)]×[扉体と操作装置の接触する面積]
で容易に計算できるから、扉体に作用する外力(水圧力や流下物から受ける衝撃力等)に対抗するために必要な流体の圧力(空気圧など)も容易に計算できて操作装置の設計、製作が非常に容易になる。
そして以上のような目的に合致するのが扇のような操作装置である。すなわち、扇の要が扉体の回転軸となるようにし、扇の紙の一折一折が伸縮性可撓管、扇の骨が伸縮性可撓管と扉体の回転軸を結ぶ全体形状保持板、扇の端板を扉体と想定する。閉じた扇を水平に置き、端板を引き上げて扇を開けば扉体が起立し、逆に扇の端板を押し下げて扇を閉じれば、扉体が倒伏するのである。
このように構想した操作装置であるから、伸縮性可撓管が膨張したときの単位ゴム管の断面形状は扁平で回転軸から離れるにしたがって高さを増す扇の紙面の一折のような形状である(閉じた扇の形も同じ)。
また、このような断面形状の単位ゴム管を相互の空気の流通を確保しつつ接着して積み重ねた伸縮性可撓管、の断面形状は、半開の扇のようになるから、その内部に圧力を有する空気を導入した場合、伸縮性可撓管の中間部は回転軸から離れる方向に変形しようとする。したがって単位ゴム管の間に挟んで取付した全体形状保持板を回転軸の近くに引き留めて、この変形を防止する。
このとき、全体形状保持板には引張力が作用するばかりでなく、伸縮性可撓管の形状保持に関係するので充分な強度を有する金属板を使用すると良い。
発明を実施するための最良の形態
以下、この発明の第1の起伏ゲートの実施の形態を、図面に基いて詳細に説明する。
第1図と第2図はこの発明の起伏ゲートの1実施例を示すものであり、第1図は起伏ゲートの断面図で起立状態を示し、第2図は起伏ゲートの断面図で倒伏状態を示すものである。
第1図および第2図において、頭部の起立時にほぼ水平となる部分を含む曲げ加工部1を有する鋼板製の扉体2の下端の矩形断面の下横桁3に数箇所(2〜4箇所程度)取り付けた軸受4は回転軸5によって軸支持台6に回転自由に結合されている。また軸支持台6はボルト7によって組立桁8に取り付けられ、組立桁8はアンカー9によって水路の底の基礎コンクリート10に固定されている。したがって扉体2は水路の底部に位置する回転軸5によって安定して支持され、かつ自在に起立または倒伏が可能である。
この扉体2の背面側(反水圧側)の上部に、V字形気密シート11の上端部12,13と上部気密シート14の曲げ上げた両端部15,16とを重ね合わせて、すなわち上端部12と両端部15とを重ね合わせ、また上端部13と両端部16とを重ね合わせて、接着することにより構成したV字形空気袋(11,14)の上端部12と両端部15とを一緒に保護布17の上定着部18を押え板19とボルト20によって取り付け、また基礎コンクリート10に設けた定着材21に上端部13と両端部16と一緒に保護布17の下定着部22を押え板23とボルト24によって取り付ける。
このようにして扉体2と保護布17と基礎コンクリート10の上面25に囲まれた空間にV字形気密シート11と上部気密シート14とによって構成されるV字形空気袋(11,14)が納まり、その下部に空気管26が接続されている。
空気管26は基礎コンクリート10に埋設するなどして陸上に導かれ、排気用開閉弁27、排気用流量調節弁28、排気放出部29、給気用開閉弁30、給気用流量調節弁31、空気圧縮機32に、第1図および第2図のように接続する。
このように構成した上で、空気圧縮機32から給気用流量調節弁31、給気用開閉弁30、空気管26を経由して空気袋(11,14)の内部に空気を圧入した結果、扉体2が起立した状態の断面図が第1図である。
第1図において保護布17は、内部の空気圧によって回転軸5から離れる方向に移動しようとする空気袋(11,14)を押え付けると同時に扉体2の起立姿勢を規制するよう機能し、加えて内部に囲み込んだ空気袋(11,14)を風雨、日光、起伏ゲートの上を流下する水流や流木、流氷、土砂等から保護する役目を引き受けているので、充分なる引張り強さ、耐候性、耐摩耗性、低温における柔軟性を有する素材を使用して製作する。
空気袋(11,14)は内部の空気圧によって保護布17に押し付けられた状態となるから、扉体2および基礎コンクリート10の上面25との接触部が、保護布17の上定着部18および下定着部22に近い部分に片寄る結果となり、空気袋(11,14)が扉体2を押し起こすためには好都合である。特にV字形気密シート11は、扉体2の背面に密着したまま固定されるので、扉体2の背面とV字形気密シート11の接触面の上端が確定される。
また扉体2の頭部の起立時ほぼ水平となる面を含む曲げ加工部1は、起伏ゲートを越流する水が保護布17を直接打たないように機能する。このとき、頭部の曲げ加工部1に起立時ほぼ水平となる面を含むことにより、同一扉体高の場合、V字形空気袋(11,14)や保護布17の扉体2への取付位置を上に寄せることが可能となる。すなわち、扉体2が完全に倒伏した状態において、屈曲したV字形空気袋(11,14)や保護布17を格納し保護する扉体2、曲げ加工部1、基礎コンクリート10の上面25の機能を確保しつつ、V字形空気袋(11,14)や保護布17の扉体2への取付位置を上に寄せることが可能となる。このことは必要な空気圧の低下を得るので経済的効果がある。さらに下部水密ゴム33が押え板34とボルト35によって扉体2の下部に取り付けられ、同時に押え板36とボルト37によって組立桁8に取り付けられて、水の漏出を防止している。
また空気圧縮機32を停止し、給気用開閉弁30を閉じ、排気用開閉弁27を開いて、空気袋(11,14)の内部の圧力を有する空気を、排気用流量調節弁28によって制御しつつ、排気放出部29より大気中へ放出した結果、扉体2が完全に倒伏した状態の断面図が第2図である。
扉体2の頭部の起立時にほぼ水平となる面を含む曲げ加工部1は、基礎コンクリート10に固定された支持材38によって支持されており、屈曲した保護布17と縮小した空気袋(11,14)は扉体2、頭部の曲げ加工部1、基礎コンクリート10の上面25によって格納され、保護されている。
第3図と第4図はこの発明の起伏ゲートのもう一つの実施例を示すもので、第3図は起伏ゲートの断面図で起立状態を示し、第4図は起伏ゲートの断面図で倒伏状態を示すものである。
第3図および第4図において、頭部の起立時にほぼ水平となる面を含む曲げ加工部1を有する鋼板製の扉体2の下端のZ字形断面の下横桁40に数箇所(2〜4箇所程度)取り付けた軸受4は、回転軸5によって軸支持台6に回転自由に結合されている。また軸支持台6はボルト7によって組立桁8に取り付けられ、組立桁8はアンカー9によって水路の底の基礎コンクリート10に固定されている。したがって扉体2は水路の底部に位置する回転軸5によって安定して支持され、かつ自在に起立または倒伏が可能である。
この扉体2の背面側(反水圧側)の上部に、保護布17の上定着部18を押え板19とボルト20によって取り付け、また基礎コンクリート10に設けた定着材21に保護布17の下定着部22を押え板23とボルト24によって取り付ける。
同時に扉体2と保護布17と基礎コンクリート10の上面25によって囲まれた空間を横方向にほぼ2等分割する位置を選んで保護布17の裏面に分割布41を取り付け、その反対側をZ字形の下横桁40のフランジ42に押え板43とボルト44で取り付ける。
このようにして、ほぼ2等分割された扉体2と保護布17と基礎コンクリート10の上面25によって囲まれた空間のおのおのに柄まる空気袋45,46は、保護布17の裏面にその一部を接着されると同時に通気管47によって相互の空気の流通を確保し、さらに空気袋46の下部において空気管26が接続されている。
空気管26は基礎コンクリート10に埋設するなどして陸上に導かれ、排気用開閉弁27、排気用流量調節弁28、排気放出部29、給気用開閉弁30、給気用流量調節弁31、空気圧縮機32に、第3図および第4図のように接続する。
このように構成した上で、空気圧縮機32から給気用流量調節弁31、給気用開閉弁30、空気管26を経由して空気袋46の内部に、さらに通気管47を経由して空気袋46から空気袋45の内部に空気を圧入した結果、扉体2が起立した状態の断面図が第3図である。
第3図において保護布17と分割布41は、内部の空気圧によって回転軸5から離れる方向に移動しようとする空気袋45,46を押え付けよう機能する。また保護布17は扉体2の起立姿勢を規制するよう機能し、加えて内部に囲み込んだ空気袋45,46を風雨、日光、起伏ゲートの上を流下する水流や流木、流氷、土砂等から保護する役目を引き受けているので、充分なる引張り強さ、耐候性、耐摩耗性、低温における柔軟性を有する素材を使用して製作する。なお、分割布41も保護布17と同一の素材で製作する。
空気袋45,46は内部の空気圧によって保護布17に押し付けられた状態となるから、扉体2と空気袋45の接触部が保護布17の上定着部18に片寄る結果となり、同様に基礎コンクリート10の上面25と空気袋46の接触部が保護布17の下定着部22に片寄る結果となって、空気袋45,46が起伏ゲートの扉体2を押し起こすためには好都合である。
また扉体2の頭部の起立時ほぼ水平となる面を含む曲げ加工部1は起伏ゲートを越流する水が保護布17を直接打たないように機能する。さらに下部水密ゴム33が押え板34とボルト35によって扉体2の下部に取り付けられ、同時に押え板36とボルト37によって組立桁8に取り付けられて、水の漏出を防止している。
また空気圧縮機32を停止し、給気用開閉弁30を閉じ、排気用開閉弁27を開いて、空気袋45,46の内部の圧力を有する空気を、排気用流量調節弁28によって制御しつつ、排気放出部29より大気中へ放出した結果、扉体2が完全に倒伏した状態の断面図が第4図である。
扉体2の頭部の起立時にほぼ水平となる面を含む曲げ加工部1は、基礎コンクリート10に固定された支持材38によって支持されており、屈曲した保護布17と縮小した空気袋45,46、並びに分割布41は扉体2、頭部の曲げ加工部1、基礎コンクリート10によって格納され、保護されている。
この実施例において、保護布17の屈曲は、分割布41のために2重となり、小さな格納スペースに保護布17を収容することができる。したがって扉体2と保護布17の上定着部18との取付部を扉体2の頭部の曲げ加工部1に近付けることが可能となり、大きな寸法の空気袋を使用する結果、
A)扉体2に生じる曲げモメントが軽減する。
B)操作に必要な空気の圧力が小さくなる。
等の有利性がある。
第5図と第6図はこの発明の起伏ゲートのさらにもう一つの実施例を示すもので、第5図は起伏ゲートの断面図で起立状態を示し、第6図は起伏ゲートの断面図で倒伏状態を示す。
第5図および第6図において、頭部の起立時にほぼ水平となる面を含む曲げ加工部1を有する扉体2は、下端に直径が充分に大きい丸棒鋼を溶接取り付けして回転軸50とし、さらに扉体2の水圧側には回転軸50と直交する方向で扉体2の表面に直角に立てて溶接取り付けした補剛材51を有し、扉体2のゲート高方向の強度を補っている。
回転軸50は数箇所(2〜5箇所程度)に設けたほぼ半円形の凹部を有する軸受52に支持される。軸受52は組立桁53に取り付けられ、組立桁53はアンカー9によって基礎コンクリート10に固定され、安定している。また回転軸50が軸受52から脱落するのを防止するための浮上防止板54をボルト55によって組立桁53に強固に取り付けている。したがって扉体2は水路の底部に位置する回転軸50によって安定し、かつ自在に起立または倒伏が可能である。
また浮上防止板54の先端に下部水密ゴム56を押え板57とボルト58によって取り付け、回転軸50に密着させることにより水の漏出を防止する。
この扉体2の背面側(反水圧側)の上部に空気袋の一部を兼ねた保護布59の上定着部60を押え板19とボルト20によって取り付け、また基礎コンクリート10に設けた定着材21に空気袋の一部を兼ねた保護布59の下定着部61を押え板23とボルト24によって取り付ける。
空気袋の一部を兼ねた保護布59の裏面の上定着部60と下定着部61の近くにおいて強固に接着取付した空気袋の回転軸側部分62は、扉体2と基礎コンクリート10の上面25に接触するシートであり、下部に空気管26が接続されている。このように保護布59と回転軸側部分62は一体となって空気袋を構成する。
また空気管26は基礎コンクリート10に埋設するなどして陸上に導かれ、排気用開閉弁27、排気用流量調節弁28、排気放出部29、給気用開閉弁30、給気用流量調節弁31、空気圧縮機32に、第5図および第6図のように接続する。
このように構成した上で、空気圧縮機32から給気用流量調節弁31、給気用開閉弁30、空気管26を経由して保護布59と回転軸側部分62とによる空気袋の内部に空気を圧入した結果、扉体2が起立した状態の断面図が第5図である。
第5図において保護布59は、回転軸側部分62とともに内部の空気圧によって回転軸50から離れる方向に移動しようとするが、上定着部60によって扉体2に取り付けられ、下定着部61によって基礎コンクリート10に設けた定着材21に取り付けられているので、移動しない。また空気袋の回転軸側部分62と扉体2の接触部分は保護布59の上定着部60に片寄り、同様に基礎コンクリート10の上面25と空気袋の回転軸側部分62との接触部分は保護布59の下定着部61に片寄るので、起伏ゲートの扉体2を押し起こすためには好都合である。
保護布59は、内部の空気圧による自身の移動を押えると同時に扉体2の起立姿勢を規制するよう機能し、加えて風雨、日光、起伏ゲートの上を流下する水流や流木、流氷、土砂等によって破損せず、空気袋の一部分も構成するものであるから、充分なる引張り強さ、耐候性、耐摩耗性、低温における柔軟性、並びに気密性を有する素材を使用して製作する。
空気袋の回転軸側部分62は、充分なる引張り強さと気密性とを有する素材を使用して製作する。
また扉体2の頭部の曲げ加工部1は起伏ゲートを越流する水が保護布59を直接打たないように機能する。
さらに、空気圧縮機32を停止し、給気用開閉弁30を閉じ、排気用開閉弁27を開いて保護布59と回転軸側部分62によって構成する空気袋の内部の圧力を有する空気を排気用流量調節弁28によって制御しつつ、排気放出部29より大気中へ放出した結果、扉体2が完全に倒伏した状態の断面図が第6図である。
扉体2の頭部の起立時にほぼ水平となる面を含む曲げ加工部1は、基礎コンクリート10に固定された支持材38によって支持されており、屈曲した保護布59と縮小した回転軸側部分62は、扉体2と頭部の曲げ加工部1、基礎コンクリート10とによって格納され、保護されている。
この実施例においては、起伏ゲートの高さが大きくなり、使用する空気の圧力も大きくなった結果、空気袋を製作する素材の強度が高いものを要求され、保護布と空気袋とを別々に製作し、その一部を接着するよりは一体に製作する方が安価で取扱いも容易であるため、この構造を採用したものである。
この発明の第2の起伏ゲートの実施の形態を、図面に基いて詳細に説明する。第7図および第8図において、頭部に曲げ加工部1と水流分割材2を有する鋼板製の扉体3は、下端の横桁4に数箇所(2〜4箇所程度)に設けた軸支持台5によって支持された回転軸6を有する。一方、回転軸6は基礎コンクリート7の上面の鋼板8と碇着桁9に取り付けた軸受10に支持されているから安定している。したがって扉体3は水路の底部に位置する回転軸6によって安定し、かつ自在に起立または倒伏が可能である。
この扉体3の背面側(反水圧側)に、伸縮性可撓管11の上端の取付フランジ12を押え金物13とボルト14によって取り付け、またその下端の取付フランジ15を押え金物16とボルト17によって基礎コンクリート7の上面の鋼板8に取り付ける。
この伸縮性可撓管11は単位ゴム管18,19の組立フランジ20,21を全体形状保持板22を間に挟みつつ押え金物23,24とボルト25によって強固に組み立てたもので、取付フランジ12と扉体3の背面、取付フランジ15と鋼板8、組立フランジ20ならびに21と全体形状保持板22の接触面は完全な気密状態であり、加えて全体形状保持板22には第9図に示すような通気孔26を適宜個数設けてあるので、伸縮性可撓管11の内部全体の空気の流通が適度に確保される。
ところで第7図に示すように単位ゴム管18,19の断面形状は各々閉じた扇のように回転軸6から離れるに連れて大きくなるように作ってあり、伸縮性可撓管11全体としての断面形状は半開の扇のようになっている。
したがって、このままでは伸縮性可撓管11全体が回転軸6から離れる方向に変形するから、全体形状保持板22の下端に取り付けた引留棒27を引留リング28によって回転軸6の延長部に連結し、これを防止している。
第7図および第8図に示すように、鋼板製の扉体3が起立や倒伏を行なうときには、伸縮性可撓管11が伸縮変形するので、全体形状保持板22も水平に対する傾斜角を変化させつつ移動する。したがって全体形状保持板22の下端の引留棒27を引留リング28を介在させて回転軸6に連結することは、全体形状保持板22の運動を円滑にする効果がある。特に全体形状保持板22の数を2以上とする場合にはその効果が顕著である。
単位ゴム管18,19の素材は柔軟で所定の強度を備え空気を通さない耐候性の良いゴム引布が優れている。
扉体3や押え金物13,16の素材は、普通鋼材やステンレス鋼板を使用するが全体形状保持板22や押え金物23,24は重量の軽いものが好ましいので、アルミニウム合金や強化プラスチックを使用する。
このように構成した上で、伸縮性可撓管11の下端に接続した空気管29を基礎コンクリート7に埋設するなどして陸上に導き、排気用開閉弁30、排気用流量調節弁31、排気放出部32、給気用開閉弁33、給気用流量調節弁34、空気圧縮機35を、第7図および第8図のように接続する。
その上で、空気圧縮機35から給気用流量調節弁34、給気用開閉弁33、空気管29を経由して伸縮性可撓管11の内部に空気を圧入した結果、扉体3が起立した状態の断面図が第7図であり、扉体3の頭部の曲げ加工部1は越流する水が伸縮性可撓管11を打たないように機能し、下部水密ゴム36が押え板37とボルト38によって扉体3に取り付けられ、同時に押え板39とボルト40によって碇着桁9に取り付けられて、水の漏出を防止している。
また扉体3の上部には引留紐42の上の碇着部43を押え板44とボルト45で取り付け、鋼板8には下の碇着部46を押え板47とボルト48で取り付けた結果、引留紐42は単位ゴム管18,19に接触しない位置で張力を生じ、扉体3の最高起立姿勢を規制している。加えて引留紐42は全体形状保持板22の先端49に連結され、倒伏時の変形も規制されている。
一方、空気圧縮機35を停止し、給気用開閉弁33を閉じ、排気用開閉弁30を開いて、伸縮性可撓管11の内部の圧力を有する空気を排気用流量調節弁31によって制御しつつ、排気放出部32から大気中に放出した結果、扉体3が完全に倒伏した状態の断面図が第8図である。扉体3の頭部の曲げ加工部1は、基礎コンクリート7の上面の鋼板8に固定した支持材41に支持されており、縮小した伸縮性可撓管11と全体形状保持板22の先端49に連結されているため屈曲した引留紐42は扉体3、頭部の曲げ加工部1、基礎コンクリート7の上面の鋼板8とによって格納され、保護されている。
第7図および第8図に示す実施例はこの発明の基本的構成を示すものであり、構造が簡単で、単位ゴム管18,19と全体形状保持板22で構成する伸縮性可撓管11と扉体3、回転軸6ならびに鋼板8との位置関係も良好である。
第7図によれば伸縮性可撓管11の断面形状が半開の扇のようになり、単位ゴム管18,19が整然と積み重ねられて扉体3を支持し、全体形状保持板22が有効に作用している状況が理解できる。
第10図と第11図並びに第12図はこの発明の起伏ゲートの他の実施例を示すもので、第10図は起伏ゲートの断面図で起立状態を示し、第11図は起伏ゲートの断面図で倒伏状態を示すものである。第12図は全体形状保持板の平面図である。
第10図および第11図において、頭部に曲げ加工部1と水流分割材2を有する鋼板製の扉体3は、下端に所定の径を有する回転軸6を備えている。一方、回転軸6は基礎コンクリート7の上面の鋼板8と碇着桁9に取り付けた軸受10に支持され、ボルト103と押え板104によって浮上りを防止しているから安定している。したがって扉体3は水路の底部に位置する回転軸6によって安定し、かつ自在に起立または倒伏が可能である。
この扉体3の背面側(反水圧側)に、伸縮性可撓管11の上端の取付フランジ12を押え金物13とボルト14によって取り付け、またその下端の取付フランジ15を押え金物16とボルト17によって基礎コンクリート7の上面の鋼板8に取り付ける。
この伸縮性可撓管11は単位ゴム管18,19の組立フランジ20,21を全体形状保持板22を間に挟みつつ押え金物23,24とボルト25によって強固に組み立てたもので、取付フランジ12と扉体3の背面、取付フランジ15と鋼板8、組立フランジ20ならびに21と全体形状保持板22の接触面は完全な気密状態であり、加えて全体形状保持板22には第12図に示すような通気孔26を適宜個数設けてあるので、伸縮性可撓管11の内部全体の空気の流通が適度に確保される。
ところで第10図に示すように単位ゴム管18,19の断面形状は各々閉じた扇のように回転軸6から離れるに連れて大きくなるように作ってあり、伸縮性可撓管11全体としての断面形状は半開の扇のようになっている。
したがって、このままでは伸縮性可撓管11全体が回転軸6から離れる方向に変形するから、全体形状保持板22の下端に取り付けた引留棒27を回転軸6に設けた引留ガイド板101のガイド溝102に連結し、これを防止している。
第10図および第11図に示すように、鋼板製の扉体3が起立や倒伏を行なうときには、伸縮性可撓管11が伸縮変形するので、全体形状保持板22も水平に対する傾斜角を変化させつつ移動する。したがって全体形状保持板22の下端の引留棒27を引留ガイド板101を介在させて回転軸6に連結することは、全体形状保持板22の運動を円滑にする効果がある。特に全体形状保時板22の数を2以上とする場合にはその効果が顕著である。
単位ゴム管18,19の素材は柔軟で所定の強度を備え空気を通さない耐候性の良いゴム引布が優れている。
扉体3や回転軸6、並びに押え金物13,16の素材は、普通鋼材やステンレス鋼板を使用するが全体形状保持板22や押え金物23,24は重量の軽いものが好ましいので、アルミニウム合金や強化プラスチックを使用する。
このように構成した上で、伸縮性可撓管11の下端に接続した空気管29を基礎コンクリート7に埋設するなどして陸上に導き、排気用開閉弁30、排気用流量調節弁31、排気放出部32、給気用開閉弁33、給気用流量調節弁34、空気圧縮機35を、第10図および第11図のように接続する。
その上で、空気圧縮機35から給気用流量調節弁34、給気用開閉弁33、空気管29を経由して伸縮性可撓管11の内部に空気を圧入した結果、扉体3が起立した状態の断面図が第10図であり、扉体3の頭部の曲げ加工部1は越流する水が伸縮性可撓管11を打たないように機能し、下部水密ゴム36が押え板37とボルト38によって扉体3に取り付けられ、同時に押え板39とボルト40によって碇着桁9に取り付けられて、水の漏出を防止している。
また扉体3の上部には引留紐42の上の碇着部43を押え板44とボルト45で取り付け、鋼板8には下の碇着部46を押え板47とボルト48で取り付けた結果、引留紐42は単位ゴム管18,19に接触しない位置で張力を生じ、扉体3の最高起立姿勢を規制している。加えて引留紐42は全体形状保持板22の先端49に連結され、倒伏時の変形も規制されている。
一方、空気圧縮機35を停止し、給気用開閉弁33を閉じ、排気用開閉弁30を開いて、伸縮性可撓管11の内部の圧力を有する空気を排気用流量調節弁31によって制御しつつ、排気放出部32から大気中に放出した結果、扉体3が完全に倒伏した状態の断面図が第11図である。扉体3の頭部の曲げ加工部1は、基礎コンクリート7の上面の鋼板8に固定した支持材41に支持されており、縮小した伸縮性可撓管11と全体形状保持板22の先端49に連結されているため屈曲した引留紐42は扉体3、頭部の曲げ加工部1、基礎コンクリート7の上面の鋼板8とによって格納され、保護されている。
この実施例においては、回転軸6の直径が大きいので、扉体3の形状が安定して取扱いが容易であり、据付作業において回転軸6を軸受10に置いた後に押え板104をボルト103で固定して浮上りを防止するから、大型で重量の大きい起伏ゲートに適した構造になっている。
第13図と第14図、並びに第15図はこの発明の起伏ゲートのさらにもう一つの実施例を示すもので、第13図は起伏ゲートの断面図で起立状態を示し、第14図は起伏ゲートの断面図で倒伏状態を示す。第15図は全体形状保持板の平面図である。
第13図および第14図において、頭部に曲げ加工部1と水流分割材2を有する鋼板製の扉体3は、下端の横桁4に数箇所(2〜4箇所程度)に設けた軸支持台5によって支持された回転軸6を有する。一方、回転軸6は基礎コンクリート7の上面の鋼板8と碇着桁9に取り付けた軸受10に支持されているから安定している。したがって扉体3は水路の底部に位置する回転軸6によって安定し、かつ自在に起立または倒伏が可能である。
この扉体3の背面側(反水圧側)に、伸縮性可撓管11の上端の取付フランジ12を押え金物13とボルト14によって取り付け、またその下端の取付フランジ15を押え金物16とボルト17によって基礎コンクリート7の上面の鋼板8に取り付ける。
この伸縮性可撓管11は単位ゴム管18と19を接続部200と接着することにより1体に組立て、この接続部200を全体形状保持板22の補強材201を有する通気口202にはめ込んだもので、取付フランジ12と扉体3の背面、取付フランジ15と鋼板8の接触面は完全な気密状態である。加えて全体形状保持板22には第15図に示すような通気孔202を設けてあるので、伸縮性可撓管11の内部全体の空気の流通が大きく確保される。
ところで第13図に示すように単位ゴム管18,19の断面形状は各々閉じた扇のように回転軸6から離れるに連れて大きくなるように作ってあり、伸縮性可撓管11全体としての断面形状は半開の扇のようになっている。
したがって、このままでは伸縮性可撓管11全体が回転軸6から離れる方向に変形するから、全体形状保持板22の下端に取り付けた引留棒27を引留リング28によって回転軸6の延長部に連結し、これを防止している。
第13図および第14図に示すように、鋼板製の扉体3が起立や倒伏を行なうときには、伸縮性可撓管11が伸縮変形するので、全体形状保持板22も水平に対する傾斜角を変化させつつ移動する。したがって全体形状保持板22の下端の引留棒27を引留リング28を介在させて回転軸6に連結することは、全体形状保持板22の運動を円滑にする効果がある。特に全体形状保持板22の数を2以上とする場合にはその効果が顕著である。
単位ゴム管18,19の素材は柔軟で所定の強度を備え空気を通さない耐候性の良いゴム引布が優れている。
扉体3や押え金物13,16の素材は、普通鋼材やステンレス鋼板を使用するが全体形状保持板22は重量の軽いものが好ましいので、アルミニウム合金や強化プラスチックを使用する。
このように構成した上で、伸縮性可撓管11の下端に接続した空気管29を基礎コンクリート7に埋設するなどして陸上に導き、排気用開閉弁30、排気用流量調節弁31、排気放出部32、給気用開閉弁33、給気用流量調節弁34、空気圧縮機35を、第13図および第14図のように接続する。
その上で、空気圧縮機35から給気用流量調節弁34、給気用開閉弁33、空気管29を経由して伸縮性可撓管11の内部に空気を圧入した結果、扉体3が起立した状態の断面図が第13図であり、扉体3の頭部の曲げ加工部1は越流する水が伸縮性可撓管11を打たないように機能し、下部水密ゴム36が押え板37とボルト38によって扉体3に取り付けられ、同時に押え板39とボルト40によって碇着桁9に取り付けられて、水の漏出を防止している。
また扉体3の上部には引留紐42の上の碇着部43を押え板44とボルト45で取り付け、鋼板8には下の碇着部46を押え板47とボルト48で取り付けた結果、引留紐42は単位ゴム管18,19に接触しない位置で張力を生じ、扉体3の最高起立姿勢を規制している。加えて引留紐42は全体形状保持板22の先端49に連結され、倒伏時の変形も規制されている。
一方、空気圧縮機35を停止し、給気用開閉弁33を閉じ、排気用開閉弁30を開いて、伸縮性可撓管11の内部の圧力を有する空気を排気用流量調節弁31によって制御しつつ、排気放出部32から大気中に放出した結果、扉体3が完全に倒伏した状態の断面図が第14図である。扉体3の頭部の曲げ加工部1は、基礎コンクリート7の上面の鋼板8に固定した支持材41に支持されており、縮小した伸縮性可撓管11と全体形状保持板22の先端49に連結されているため屈曲した引留紐42は扉体3、頭部の曲げ加工部1、基礎コンクリート7の上面の鋼板8とによって格納され、保護されている。
この実施例においては、起伏ゲートの高さが大きくなり、使用する空気の圧力も大きくなったために、伸縮性可撓管を製作する素材の強度が高いものを要求される結果、単位ゴム管18,19を別々に製作し、ボルトで組立するよりは一体に接着する方が安価で取扱いも容易であるため、この構造を採用したものである。
第16図から第19図はこの発明の起伏ゲートのもう一つの実施例を示すもので、第16図は起伏ゲートの断面図で起立状態を示し、第17図は起伏ゲートの断面図で倒伏状態を示す。第18図は全体形状保持板の平面図であり、第19図は据付板の平面図である。
第16図および第17図において、頭部に曲げ加工部1と水流分割材2を有する鋼板製の扉体3は、下端の横桁4に数箇所(2〜4箇所程度)に設けた軸支持台5によって支持された回転軸6を有する。一方、回転軸6は基礎コンクリート7の上面の鋼板8と碇着桁9に取り付けた軸受10に支持されているから安定している。したがって扉体3は水路の底部に位置する回転軸6によって安定し、かつ自在に起立または倒伏が可能である。
この扉体3の正面側(水圧側)に回転軸直角方向の補剛材301を取付けて扉体3の高さ方向の曲げ強さを増大させているが、この補剛材301は回転軸直角方向である故に水や土砂、転石等の流下の妨げとはならない。
またこの扉体3の背面側(反水圧側)に、伸縮性可撓管11の上端の取付フランジ12を押え金物13とボルト14によって取り付け、またその下端の取付フランジ15を押え金物16とボルト17によって据付板302に取付け、この据付板302をボルト303によりシール304で気密を保ちつつ基礎コンクリート7の上面の鋼板8に取り付ける。
この伸縮性可撓管11は単位ゴム管18,19の組立フランジ20,21を全体形状保持板22を間に挟みつつ押え金物23,24とボルト25によって強固に組み立てたもので、取付フランジ12と扉体3の背面、取付フランジ15と据付板302、据付板302とシール304、並びに鋼板8、組立フランジ20ならびに21と全体形状保持板22の接触面は完全な気密状態であり、加えて全体形状保持板22と据付板302には第18図に示すような作業孔を兼ねた通気孔26を設けてあるので、伸縮性可撓管11の内部全体の空気の流通が大きく確保される。
ところで第16図に示すように単位ゴム管18,19の断面形状は各々閉じた扇のように回転軸6から離れるに連れて大きくなるように作ってあり、伸縮性可撓管11全体としての断面形状は半開の扇のようになっている。
したがって、このままでは伸縮性可撓管11全体が回転軸6から離れる方向に変形するから、全体形状保持板22の下端に取り付けた引留棒27を引留リング28によって回転軸6の延長部に連結し、これを防止している。
第16図および第17図に示すように、鋼板製の扉体3が起立や倒伏を行なうときには、伸縮性可撓管11が伸縮変形するので、全体形状保持板22も水平に対する傾斜角を変化させつつ移動する。したがって全体形状保持板22の下端の引留棒27を引留リング28を介在させて回転軸6に連結することは、全体形状保持板22の運動を円滑にする効果がある。特に全体形状保持板22の数を2以上とする場合にはその効果が顕著である。
単位ゴム管18,19の素材は柔軟で所定の強度を備え空気を通さない耐候性の良いゴム引布が優れている。
扉体3や押え金物13,16並びに据付板302の素材は、普通鋼材やステンレス鋼板を使用するが全体形状保持板22は重量の軽いものが好ましいので、アルミニウム合金や強化プラスチックを使用する。
このように構成した上で、伸縮性可撓管11の下端に接続した空気管29を基礎コンクリート7に埋設するなどして陸上に導き、排気用開閉弁30、排気用流量調節弁31、排気放出部32、給気用開閉弁33、給気用流量調節弁34、空気圧縮機35を、第16図および第17図のように接続する。
その上で、空気圧縮機35から給気用流量調節弁34、給気用開閉弁33、空気管29を経由して伸縮性可撓管11の内部に空気を圧入した結果、扉体3が起立した状態の断面図が第6図であり、扉体3の頭部の曲げ加工部1は越流する水が伸縮性可撓管11を打たないように機能し、下部水密ゴム36が押え板37とボルト38によって扉体3に取り付けられ、同時に押え板39とボルト40によって碇着桁9に取り付けられて、水の漏出を防止している。
また扉体3の上部には引留紐42の上の碇着部43を押え板44とボルト45で取り付け、鋼板8には下の碇着部46を押え板47とボルト48で取り付けた結果、引留紐42は単位ゴム管18,19に接触しない位置で張力を生じ、扉体3の最高起立姿勢を規制している。加えて引留紐42は全体形状保持板22の先端49に連結され、倒伏時の変形も規制されている。
一方、空気圧縮機35を停止し、給気用開閉弁33を閉じ、排気用開閉弁30を開いて、伸縮性可撓管11の内部の圧力を有する空気を排気用流量調節弁31によって制御しつつ、排気放出部32から大気中に放出した結果、扉体3が完全に倒伏した状態の断面図が第17図である。扉体3の頭部の曲げ加工部1は、基礎コンクリート7の上面の鋼板8に固定した支持材41に支持されており、縮小した伸縮性可撓管11と全体形状保持板22の先端49に連結されているため屈曲した引留紐42は扉体3、頭部の曲げ加工部1、基礎コンクリート7の上面の鋼板8とによって格納され、保護されている。
第16図から第19図に示す実施例では、特に大型の起伏ゲートの場合で、扉体3の正面側(水圧側)に回転軸直角方向の補剛材301を取付けて扉体3の高さ方向の曲げ強さを増大させている。また単位ゴム管18,19のゴム引布に作用する張力が大きくなるので、取付フランジ12,15と組立フランジ20,21では折り曲げることを避け、押え金物13,16,23,24を伸縮性可撓管11の内部に設けた。その結果、単位ゴム管18,19の形状は単純で無理のないものとなったが、組立てるための作業孔が必要となり、全体形状保持板22と据付板302の通気孔26には作業孔を兼ねさせるための充分な大きさを与えることとなった。また伸縮性可撓管11を据付するために、据付板302、ボルト303、シール304等の部品が増加することになるが、やむを得ない。
産業上の利用可能性
この発明の第1の起伏ゲートによれば、流下する土砂、転石、流木、流氷などに対し鋼板製の扉体と同一の強度、耐久性を有し、構造が簡単で製作、運搬、据付全般において安価であり、加えて点検、維持、修繕が容易であり、さらに環境を汚染する心配のない新規な起伏ゲートを提供することができるようになった。すなわち、
(1)空気袋を押え込む保護布の採用
扉体の背面と基礎コンクリートの上面と両者の回転軸からほぼ同一距離の位置に端部を取り付けて張り渡した保護布の3者によって囲まれた空間に空気袋を納め、内部の空気圧によって回転軸から離れる方向に移動しようとする空気袋を保護布によって押え込む構造を採用した結果、以下に列記する効果があった。
(a)空気袋は内部の空気圧によって回転軸から遠くへ移動しようとするから、空気袋は保護布の裏面と扉体の背面と基礎コンクリートの上面の保護布の取付部に近い位置に片寄って密着することになる。
したがって、空気袋が扉体背面に接触して内部の空気圧を伝達する部分の面積の回転軸回りの一次モーメントが大きくなり、鋼板製の扉体を起立させ、支持するのに必要な空気の圧力を小さくすることができて有利である。すなわち、空気袋が扉体背面に接触して内部の空気圧を伝達する部分の面積は扉体の幅の約80%、高さの約20%と広い部分に分布するから、必要な空気圧はごく小さいものとなる。
例えば、水深2mの圧力は0.2kgf/cm2であるから、水深2mの起伏ゲートを操作するのに必要な空気圧は概略の検討によれば、0.4kgf/cm2程度あれば充分である。したがって空気圧縮機の必要馬力が小さく、配管並びに制御の機材も安価なものとなる。
(b)上記(a)に説明した理由により鋼板製の扉体が可能となる。すなわち、荷重として水圧力や流下物の衝撃、また扉体自身の重量を受ける鋼板製の扉体は広い面積で接触する空気袋によって支持されるので、応力の集中が少なく、横桁や縦桁による補強をあまり必要としないので、重量が軽く、加工量の少ない安価な鋼板製の扉体の利用が可能となる。
(c)起立した起伏ゲートの背面の保護布の外観形状は、おおむね扉体の回転軸を中心とする円筒面となり、美しい。
(2)鋼板製の扉体が空気袋を保護する効果
起伏ゲートが貯える水の圧力を直接受け、また流下する土砂、転石、流木、流氷の衝撃を直接受けるのも鋼板製の扉体であり、充分な剛性、強度、耐摩耗性等を有するので空気袋を保護する効果があり、起伏ゲートの安全性、信頼性を高めるばかりでなく、空気袋に余分な補強を必要としないので安価な空気袋を利用できて有利である。
(3)幅の小さい起伏ゲートを横並べする効果
この発明の起伏ゲートにおいては、起伏ゲートの構成要素を直接水圧力や流下物の衝撃を受ける鋼板製の扉体と保護布によって囲い込まれた空気袋による操作装置とに2分してあり、各々をゲートの幅方向に延長、また短縮することの自由な構造であるから、ゲート幅の小さい(2〜3m程度の)起伏ゲートを単位起伏ゲートとして製造し、横に並べることが容易であるから幅の大きい(10〜200m等の)水路に起伏ゲートを建設することが容易になった。
この結果以下に列記する効果がある。
(a)起伏ゲートの規格化が可能となった。すなわち、ゲート高の変化に対応して数種類の高さの保護布と空気袋の組合せを設計し、これらの各々に適当な鋼板製の扉体の高さの範囲を求めておくことにより、設置場所の幅や高さに応じてその都度行なっている設計計算の作業を省略できて工期が短縮され、また費用も少なくなる。
(b)規格化すると、保護布と空気袋の組合せも、鋼板製の扉体や軸受等も同一仕様、同一寸法のものを工場で多量に生産しておいて必要の都度利用することになるので、製作費が大幅に軽減される。
(c)ゲート幅の小さい起伏ゲートを横に並べて設置する場合は、全部を一体に作って設置する場合と比較して製作も運搬も据え付けも非常に容易であり、費用も少なくてすむ。また山間部などで広い道路がなくても搬入できるし、ヘリコプタによる運搬、据え付けも可能となるので、応用の可能性を非常に広くすることができる。
(d)起伏ゲートを構成する部品が規格化され、小型化や軽量化が可能になったので、修繕等の必要な場合、部品取り替えを行なうことにより、安価かつ確実でその上短い工期の工事が可能となった。
(4)操作に使用する空気は自由にかつ無料で利用できるから、費用の軽減に効果があるばかりでなく、漏れたり、放出したりしても環境を汚染する心配がない。
次にこの発明の第2の起伏ゲートによれば、流下する土砂、転石、流木、流氷などに対し鋼板製の扉体と同一の強度、耐久性を有し、構造が簡単で製作、運搬、据付全般において安価であり、加えて点検、維持、修繕が容易であり、さらに環境を汚染する心配のない新規な起伏ゲートを提供することができるようになった。
すなわち、
(1)全体形状保持板を有する伸縮性可撓管の採用
数個の扇を閉じた形状の扁平な単位ゴム管を積み重ねることとし、加えて単位ゴム管の間に挟んだ全体形状保持板によって伸縮性可撓管の中間部を起伏ゲートの回転軸の方向に引き留める構造を採用した結果、以下に列記する効果があった。
(a)単位ゴム管は扁平で小さいので、単位ゴム管を構成する補強されたゴム引布の強度が小さくてもよく、安価である。
(b)起立した扉体の背面と基礎コンクリートの上面のなす角度を等分割する位置に、全体形状保持板を配置し、三者に接する円弧の長さを有するゴム引布で構成する単位ゴム管を積み重ね、押え金物とボルトで組み立てることにより、単位ゴム管が扁平になる。
このことは、起立した扉体を支持するために圧縮空気が扉体背面を押す面積を大きく設計することができるから、鋼板製の扉体を起立させ、支持するのに必要な空気の圧力を小さくすることができて有利である。
例えば、水深2mの圧力は0.2kgf/cm2であるから、水深2mの起伏ゲートを操作するのに必要な空気圧は概略の検討によれば、0.4kgf/cm2程度あれば充分となり、技術的には容易で、経済的に非常に有利である。
(c)上記(b)と全く同一の理由により、鋼板製の扉体が可能となる。すなわち、荷重として水圧力や流下物の衝撃、また扉体の自重を受ける鋼板製の扉体は広い面積で接する圧縮空気によって支持されるので、応力の集中が少なく、横桁や縦桁による補強を軽減できるので、重量が軽く、非常に安価な銅板製の扉体の利用が可能となる。
(d)単位ゴム管を積み重ねる際に全体形状保持板に設けた適当な大きさの通気孔(通気口)の効果は、伸縮性可撓管全体の膨張収縮の速度を制御できることにある。特にこの発明に置いては空気の圧力が低いので、万一1個の単位ゴム管が破裂しても他の単位ゴム管の収縮速度が制限される結果、伸縮性可撓管全体の収縮が緩やかとなるので、起伏ゲートの急激な決壊を回避できる。
(e)起立した扉体を支持するときの伸縮性可撓管の扉体背面側から見る全体形状は、若干の凹凸はあるものの、おおむね扉体の回転軸を中心とする円筒面となるから美しい。
(2)鋼板製の扉体が伸縮性可撓管を保護する効果
起伏ゲートが貯える水の圧力を直接受け、また流下する土砂、転石、流木、流氷の衝撃を直接受けるのも鋼板製の扉体であり、充分な剛性、強度、耐摩耗性等を有するので伸縮性可撓管を保護する効果があり、起伏ゲートの安全性、信頼性を高めるばかりでなく、伸縮性可撓管に余分な補強を必要としないので安価な伸縮性可撓管を利用できて有利である。
(3)幅の小さい起伏ゲートを横並べする効果
この発明の起伏ゲートにおいては、起伏ゲートの構成要素を直接水圧力や流下物の衝撃を受ける鋼板製の扉体と全体形状保持板を有する伸縮性可撓管による操作装置とに2分してあり、各々をゲートの幅方向に延長、また短縮することの自由な構造であるから、ゲート幅の小さい(2〜3m程度の)起伏ゲートを単位起伏ゲートとして製造し、横に並べて幅の大きい(10〜200m等の)水路に起伏ゲートを建設することが容易になった。
この結果以下に列記する効果がある。
(a)起伏ゲートの規格化が可能となった。すなわち、ゲート高の変化に対応して数種類の高さの伸縮性可撓管を設計し、これらの各々に適当な鋼板製の扉体の高さの範囲を求めておくことにより、設置場所の幅や高さに応じてその都度行なっている設計計算の作業を省略できて工期が短縮され、また費用も少なくなる。
(b)規格化すると、伸縮性可撓管も鋼板製の扉体や軸受等も同一仕様、同一寸法のものを工場で多量に生産しておいて必要の都度利用することになるので、製作費が大幅に軽減される。
(c)ゲート幅の小さい起伏ゲートを横に並べて設置する場合は、全部を一体に作って設置する場合と比較して製作も運搬も据え付けも非常に容易であり、費用も少なくてすむ。また山間部などで広い道路がなくても搬入できるし、ヘリコプタによる運搬、据え付けも可能となるので、応用の可能性を非常に広くすることができる。
(d)起伏ゲートを構成する部品が規格化され、小型化や軽量化が可能になったので、修繕等の必要な場合、部品取り替えを行なうことにより、安価かつ確実でその上短い工期の工事が可能となった。
(4)操作に使用する空気は自由にかつ無料で利用できるから、費用の軽減に効果があるばかりでなく、漏れたり、放出したりしても環境を汚染する心配がない。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の起伏ゲートの一実施例を示し、起伏ゲートが起立した状態の概略断面図である。第2図は起伏ゲートが倒伏した状態の概略断面図である。第3図はこの発明の起伏ゲートの他の実施例を示し、起伏ゲートが起立した状態の概略断面図である。第4図は起伏ゲートが倒伏した状態の概略断面図である。第5図はこの発明の起伏ゲートの別の実施例を示し、起伏ゲートが起立した状態の概略断面図である。第6図は起伏ゲートが倒伏した状態の概略断面図である。また第7図はこの発明の起伏ゲートのさらに別の実施例を示し、起伏ゲートが起立した状態の概略断面図である。第8図は起伏ゲートが倒伏した状態の概略断面図である。第9図は全体形状保持板の平面図である。第10図はこの発明の起伏ゲートの他の実施例を示し、起伏ゲートが起立した状態の概略断面図である。第11図は起伏ゲートが倒伏した状態の概略断面図である。第12図は全体形状保持板の平面図である。第13図はこの発明の起伏ゲートのまた別の実施例を示し、起伏ゲートが起立した状態の概略断面図である。第14図は起伏ゲートが倒伏した状態の概略断面図である。第15図は全体形状保持板の平面図である。第16図は起伏ゲートの起立状態を示す断面図である。第17図は起伏ゲートの倒伏状態を示す断面図である。第18図は全体形状保持板の平面図である。第19図は据付板の平面図である。
Claims (16)
- 水路の底部に回転軸を有して起立または倒伏が自在な1枚の鋼板を起伏ゲートの扉体とし、
この扉体の背面側(反水圧側)に、V字形気密シートの上端部と上部気密シートの両端部を曲げ上げて重ね合わせて接着することにより構成したV字形空気袋の一方の上端部と保護布の上端部とをともに取り付け、またこのV字形空気袋の他の上端部と保護布の下端部とを一緒に基礎コンクリートの上面に固定し、この空気袋には空気を圧入したり、内部の空気を排出したりする空気管を基礎コンクリートを経由して接続して起伏ゲートの操作装置とし、
この保護布と空気袋とは常時接触する部分を接着して相互の位置関係を安定させると同時に、それらの幅方向の寸法は可能なかぎり大きくして扉体のほぼ全幅において支持できるようにし、他方、それらの高さ方向の寸法は起伏ゲートの天端を越流する水の流下を妨げない範囲で充分大きな寸法とし、
このように構成した空気袋に接続した空気管に開閉弁と流量調整弁を経由して空気圧縮機を接続し、空気圧縮機によって空気袋の内部に空気を圧入することにより起伏ゲートの扉体を起立させ、他方、空気袋に空気管を経由して接続した排気用開閉弁を開き、排気用流量調整弁を経由して空気袋の内部の圧力を有する空気を大気中に放出することにより起伏ゲートの扉体を倒伏させるようにしたことを特徴とする起伏ゲート。 - 請求の範囲第1項の起伏ゲートにおいて、保護布の高さ方向の寸法をほぼ等分割する位置において、保護布の裏面に取り付けた分割布の他端を回転軸に近い位置に設けた分割布固定材に固定することにより、扉体と保護布と基礎コンクリートとによって囲まれた空間を分割し、その分割された空間のおのおのに空気袋を納めると同時に、通気管によって空気袋相互の空気の流通を確保し、加えてこれらの空気袋に空気を圧入したり、内部の空気を排出したりする空気管を基礎コンクリートを経由して接続したことを特徴とする起伏ゲート。
- 請求の範囲第1項または第2項の起伏ゲートにおいて、扉体とする1枚の鋼板の起伏ゲートの扉体の高さ方向の曲げ強さを増大させるために、回転軸直角方向の補剛材を鋼板の水圧側に取り付けたことを特徴とする起伏ゲート。
- 請求の範囲第1項ないし第3項のいずれかの起伏ゲートにおいて、扉体を越流する水や水とともに流下する土砂、転石、流木、流氷などから保護布や空気袋を保護し、加えて扉体倒伏時に屈曲した保護布や縮小した空気袋の収納スペースを構成するように、扉体の頭部に回転軸に平行な母線を有する曲げ加工を行なったことを特徴とする起伏ゲート。
- 請求の範囲第1項ないし第4項のいずれかの起伏ゲートにおいて、扉体とする鋼板の下端に太い丸棒鋼(直径がゲート高さの1/10〜1/20程度)をゲート幅全体に取り付けて回転軸とし、この回転軸を基礎コンクリートの上端部に数箇所設けたほぼ半円形の凹部を有する軸受に納め、さらに浮上防止板によって回転軸を上から押えたことを特徴とする起伏ゲート。
- 請求の範囲第1項ないし第5項のいずれかの起伏ゲートにおいて、圧力媒体として空気の代わりに水または油圧作動油を使用したことを特徴とする起伏ゲート。
- 請求の範囲第1項ないし第6項のいずれかの起伏ゲートにおいて、ゲート幅の小さい(2〜3m程度の)起伏ゲートを横に並べて設置することにより、幅の大きい(約10m〜200m)水路に応用したことを特徴とする起伏ゲート。
- 請求の範囲第1項ないし第7項のいずれかの起伏ゲートにおいて、保護布と空気袋の常時接触する部分を1枚の構成材として保護布と空気袋とを一体に製造したことを特徴とする起伏ゲート。
- 水路の底部に回転軸を有して起立または倒伏が自在な1枚の鋼板を起伏ゲートの扉体とし、
この扉体の背面側(反水圧側)に伸縮性可撓管の上端を取り付け、またその下端を基礎コンクリートの上面に固定した上で、伸縮性可撓管に空気を圧入したり、内部の空気を排出したりする空気管を基礎コンクリートを経由して接続して起伏ゲートの操作装置とし、
この伸縮性可撓管の起伏ゲートの幅方向の寸法は可能なかぎり大きくして扉体のほぼ全幅において支持できるようにし、他方、伸縮性可撓管の起伏ゲートの高さ方向の寸法は起伏ゲートの天端を越流する水の流下を妨げない範囲で充分大きな寸法とし、
また、この伸縮性可撓管は高さ方向の寸法が閉じた扇のように起伏ゲートの回転軸から離れるに連れて大きくなるよう柔軟で充分な引張強度を有するゴム引布を必要なだけの屈曲代を持たせて円形または矩形の断面を有する短い管に組み立てた上で、両端に取付フランジを設けた単位ゴム管を全体形状保持板を間に挟みつつ押え金物とボルトによって結合して層状に積み重ねて一体としたもので、この全体形状保持板には通気孔があるので、伸縮性可撓管内部全体の空気の流通が適度に確保されており、
一方、この全体形状保持板は回転軸に近い位置に設けた引留金具に伸縮性可撓管全体の伸縮に対応しての回転と引留点の若干の移動が可能なように取り付けられていて、伸縮性可撓管の中間部が起伏ゲートの起立や倒伏の操作に際して回転軸から離れる方向に大きく変形することを防止し、
このように構成した伸縮性可撓管に接続した空気管に開閉弁と流量調整弁を経由して空気圧縮機を接続し、空気圧縮機によって伸縮性可撓管の内部に空気を圧入することにより起伏ゲートの扉体を起立させ、他方、伸縮性可撓管に接続した空気管に排気用流量調整弁を経由して接続した排気用開閉弁を開き、伸縮性可撓管の内部の圧力を有する空気を大気中に放出することにより起伏ゲートの扉体を倒伏させるようにしたことを特徴とする起伏ゲート。 - 請求の範囲第1項の起伏ゲートにおいて、扉体とする1枚の鋼板の起伏ゲートの扉体の高さ方向の曲げ強さを増大させるために、回転軸直角方向の補剛材を鋼板の水圧側に取り付けたことを特徴とする起伏ゲート。
- 請求の範囲第1項または第2項の起伏ゲートにおいて、扉体を越流する水や水とともに流下する土砂、転石、流木、流氷などから伸縮性可撓管を保護し、加えて扉体倒伏時に縮小した伸縮性可撓管の収納スペースを構成するように、扉体の頭部に回転軸に平行な母線を有する曲げ加工を行なったことを特徴とする起伏ゲート。
- 請求の範囲第1項ないし第3項のいずれかの起伏ゲートにおいて、扉体とする鋼板の下端に太い丸棒鋼(直径がゲート高さの1/10〜1/20程度)をゲート幅全体に取り付けて回転軸とし、この回転軸を基礎コンクリートの上端部に数箇所設けたほぼ半円形の凹部を有する軸受に納め、さらに浮上防止板によって回転軸を上から押えたことを特徴とする起伏ゲート。
- 請求の範囲第1項ないし第4項のいずれかの起伏ゲートにおいて、圧力媒体として空気の代わりに水または油圧作動油を使用したことを特徴とする起伏ゲート。
- 請求の範囲第1項ないし第5項のいずれかの起伏ゲートにおいて、ゲート幅の小さい(2〜3m程度の)起伏ゲートを横に並べて設置することにより、幅の大きい(約10m〜200m)水路に応用したことを特徴とする起伏ゲート。
- 請求の範囲第1項ないし第6項のいずれかの起伏ゲートにおいて、鋼板製の扉体の上部数箇所に基礎コンクリートの上面に碇着して起伏ゲートの最高起立姿勢を制限する引留紐を取付け、加えてこの引留紐を伸縮性可撓管の単位ゴム管や全体形状保持板に適宜連結することにより、起伏ゲートが倒伏した時に引留紐の変形を制限して鋼板製の扉体の頭部における収納スペースに格納されるようにしたことを特徴とする起伏ゲート。
- 請求の範囲第1項ないし第7項のいずれかの起伏ゲートにおいて、銅板製の扉体の上部にゲート幅全体に取り付けた耐候性並強度を有する保護布の他端を基礎コンクリートの上面に碇着して起伏ゲートの最高起立姿勢を制限する機能と鋼板製の扉体の上端から越流する水脈や水と一緒に落下する流木、流氷等から伸縮性可撓管を保護する機能と、起伏ゲートの背面の外観を単純化する修景機能を効果あらしめ、
加えてこの保護布を伸縮性可撓管の単位ゴム管や全体形状保持板に適宜連結することにより、起伏ゲートが倒伏した時に保護布の変形を制限して鋼板製の扉体による収納スペースに格納されるようにしたことを特徴とする起伏ゲート。
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