JPS646829Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、人工腎臓回路、人工肝臓回路などの
血液回路に接続するドリツプチエンバーに関する
ものである。

〔従来の技術〕

従来のこの種ドリツプチエンバーには、第８図
及び第９図示のように血液流出パイプ１と、ナイ
ロン、テトロンなどのメツシユで袋状に成形さ
れ、かつ液体流出パイプ１に被せたフイルタ２と
を塩化ビニールで成形された筒体３の一端から筒
体３の内部へ挿入し、筒体３の一端をウエルダー
加工によつて血液流出パイプ１のパイプ壁及びフ
イルタ２の口縁部に溶着４してなるものや、実開
昭62−87643号公報に記載されているように筒体
の内底面に袋状フイルタの開口部が嵌合する環状
突起を設け、その環状突起から上向きに骨部材を
設置してなるものがある。

〔考案が解決しようとする問題点〕

上記従来のドリツプチエンバーのうち、前者で
は、筒体３とフイルタ２は、それらの材質を異に
し、従つて両者の溶融温度に差があるため、製造
時に筒体３とフイルタ２の溶着不良が起こりやす
く、不良品の発生率が大きい。その発生率を小さ
くするためには、相当の熟練を必要とする。また
溶着部４付近において筒体３内の空間が狭められ
るため、筒体３とフイルタ２との接触部分や接近
部分に血液が残留しやすく、その残血を血液流出
パイプ１へ導いて筒体３外へ回収するのが容易で
ない。またドリツプチエンバーをパネルなどにセ
ツトして使用する場合に、筒体３の血液流入側の
端部に設けるレベル調整ライン接続口と圧力モニ
ターライン接続口を溶着部４の両端方向と同一方
向に配置しないと、パネル面に正常にセツトでき
ないというように使用に際して方向性が問題にな
る。

上記従来のドリツプチエンバーのうち、後者で
は、袋状フイルタの開口部の寸法が環状突起の径
よりも少しでも小さいと嵌合できず、逆に少しで
も大きいと、開口部にたるみができ、そのたるみ
部分に血液が残留しやすくなるので、開口部に寸
法精どが要求されるのが、そのような袋状フイル
タを製作するのは容易でない。また筒体の底部側
の内壁に袋状フイルタの開口部側が接触するた
め、その接触部分に血液が残留しやすいという問
題点がある。

〔課題を解決するための手段〕

以下図面第１図ないし第７図にもとづいて本考
案を詳細に説明すると、５はビニールで成形され
た筒体、６は同材質で成形された血液流入口付き
キヤツプで、筒体５の一方の端部に嵌合し、溶剤
で接着してあり、血液流入口７と、レベル調整ラ
イン接続口２１と、圧モニターライン接続口２２
とを設けてある。８は同材質で成形された血液流
出口付きキヤツプで、筒体６の他方の端部に嵌合
し、溶剤で装着してあり、血液流出口９を設けて
ある。１０はフイルタ支持パイプで、先端部１１
を筒体６の内方へ挿入し、基端部１２を血液流出
口９に連通するようにキヤツプ８の内側に連結し
てあり、そのパイプ壁の一部には、開口部１３を
有する。１４はキヤツプ８の内側においてフイル
タ支持パイプ１０の基端部１２を楕円状に取り囲
むように穿設した溝で、第５図示のように短軸方
向の両端がフイルタ支持パイプ１０の基端部に接
している。１５はナイロン、テトロンなどのメツ
シユで袋状に成形されたフイルタで、フイルタ支
持パイプ１０に被せ、その口縁部１６を溝１４に
差し込み、その差し込み部に溶剤を流し込んで、
口縁部１６の網目と溝１４との間に溶剤を絡みつ
かせた状態で固化させることにより、口縁部１６
の全体をキヤツプ８に固着してある。溝１４に
は、長軸方向の端部から外側に向けて逃げ溝２
０，２０を穿設し、溝１４にフイルタ１５の口縁
部１６を差し込んだ際、口縁部１６の寸法と溝１
４の寸法の間に誤差があつて口縁部１６にたるみ
が生じる場合に、口縁部１６の両端部を逃げ溝２
０，２０へ導入させて、たるみを無くするもので
ある。

〔実施例〕

フイルタ支持パイプ１０は、キヤツプ８に一体
成形してあり、その先端部１１には、透孔１９を
穿設し、先端１１のやや下方から基端部に至るパ
イプ壁の両側には、開口部１３，１３をそれぞれ
穿設してある。

〔考案の効果〕

本考案は、叙上のように構成したから、袋状フ
イルタの平らに閉じている口縁部をフイルタ支持
パイプの先端にはめて降下させていくと、口縁部
が楕円状に広げられ、溝へ簡単に差し込むことが
でき、口縁部がたるむ場合は、逃げ溝でそのたる
みを除去でき、しかも溝に溶剤を流し込む極く簡
単な操作で、口縁部全体を溝内に固着できるた
め、塾練を要することなくフイルタを血液流出口
付きキヤツプに確実に接着でき、製造時における
不良品の発生率を皆無にすることができる。また
血液流出口付きキヤツプを筒体の端部に嵌合接着
するため、筒体内の空間がウエルダー加工のよう
に狭められることがなく、またフイルタが筒体の
内壁に接触することもないから、血液の残留は殆
どなく、残留してもその残血は筒体外へ容易に回
収できる。また筒体の血液流出口側の端部は、血
液流入口側の端部と同形になるため、ウエルダー
加工によるドリツプチエンバーのように方向性は
全く問題にならないなどの利点を有する。

【図面の簡単な説明】

図面第１図ないし第７図は本考案の実施例を示
すもので、第１図はドリツプチエンバー全体の側
面図、第２図は第１図の平面図、第３図は第１図
の底面図、第４図はフイルタの斜視図、第５図は
要部の平面図、第６図は第５図のＡ−Ａ線断面
図、第７図は第５図のＢ−Ｂ線断面図、第８図は
従来品の要部の側面図、第９図は第８図の右側面
図である。 ５……筒体、６……血液流入口付きキヤツプ、
７……血液流入口、８……血液流出口付きキヤツ
プ、９……血液流出口、１０……フイルタ支持パ
イプ、１１……先端部、１２……基端部、１３…
…開口部、１４……溝、１５……袋状フイルタ、
１６……口縁部、２０……逃げ溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 塩化ビニールで成形された筒体の一方の端部に
   は、同材質で成形された血液流入口付きキヤツプ
   を嵌合接着し、上記筒体の他方の端部には、同材
   質で成形された血液流出口付きキヤツプを嵌合接
   着し、このキヤツプの内側には、先端部を上記筒
   体の内方へ挿入し、かつ上記血液流出口に連通す
   るパイプであつて、そのパイプ壁の一部に開口部
   を有するフイルタ支持パイプの基端部と、ナイロ
   ン、テトロンなどのメツシユで袋状に成形された
   フイルタであつて上記フイルタ支持パイプに被せ
   たフイルタの口縁部とを連結してなる血液回路の
   ドリツプチエンバーにおいて、血液流出口付きキ
   ヤツプの内側に上記フイルタの口縁部を差し込む
   溝であつて、上記フイルタ支持パイプの基端部を
   楕円上に取り囲み、かつ短軸方向の両端が上記フ
   イルタ支持パイプの基端部に接するように取り囲
   む溝を設け、この溝には、長軸方向の端部から外
   側に向けて逃げ溝を設け、上記楕円状の溝に、上
   記フイルタの口縁部を差し込むとともに、溶剤を
   流し込んで上記フイルタの口縁部を上記血液流出
   口付きキヤツプに固着してなる血液回路のドリツ
   プチエンバー。