JPS644356Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は腎不全等の治療を目的とした体外血
液回路内を流動する血液の濾過とダイアライザー
内の圧力調整等を行うためのドリツプチヤンバー
に関するものである。

〔考案の背景〕

従来、一般に使用されているドリツプチヤンバ
ーは第３図に示す如く上部に流体流入口２を有
し、下部に流体流出口３を設けた筒状筐体１内に
柔軟な素材で形成した袋状フイルタ４を倒立さ
せ、その開口部を筐体の下部内周にウエルダーに
より溶着してなる形式のもの、同図の如く上記
筒状筐体１内に同袋状フイルタ４の開口部を上に
して筐体の上部内周にウエルダーにより溶着した
形式のもの、さらには同図の如く一定の腰のあ
る素材で形成したストレーナー状フイルタ４′を
筐体１の底面に設けた環状突起に嵌着した形式の
ものがあつたが、の形式のドリツプチヤンバー
は袋状フイルタが倒立しているため、筐体内を通
る流体の流圧により潰れる虞れがあり、の形式
のドリツプチヤンバーは流体が袋内に受けられる
こととなるから“潰れ”の問題はないが、袋状フ
イルタ４の溶着部が筐体上部になるため、流体流
入口２の設置位置が筐体の頂面部に限られる不都
合があつた。また、同図の形式のものはストレ
ーナー状に形成する際に出来るリブ５が力骨の役
目を果たし、その形状は安定しているが、このリ
ブ５には凹凸が出来、これにエアーが付着するた
め、血液凝固が起こるという問題があつた。この
血液凝固の問題は上記及びの形式のドリツプ
チヤンバーでもウエルダー部において同様に生ず
る虞れがあつた。

また、従来、ドリツプチヤンバー本体内に設置
するフイルターが潰れないように支持体を設けた
ものがあつたが、その１つは濾過筒本体の内部に
底部と該底部に対向する天板部との間に複数個の
柱体を渡設してなる支持体を濾過筒本体とキヤツ
プとで押え込むような格好で取付たもの（実開昭
59−79209号）であり、２つ目はチユーブ状支持
体をメインチユーブの流出口内に挿入したもの
（実開昭60−109631号）があつた。

しかしながら、実開昭59−79209号のものは構
造が複雑であり流動する血液の抵抗となつたばか
りでなく、血液凝固現象を生じさせる虞れがあつ
た。また、濾過筒本体内で支持体の姿勢を安定さ
せるために支持体の底部とキヤツプとの共通擦り
合わせ面を高精度に成形する必要があり、そのた
めに加工の困難性があつたし、濾過筒本体の内面
と支持体外面との隙間が充分にとれず、従つて、
支持体が少しでも傾くと濾過布が濾過筒本体の内
面に接触し、血液の通過を妨げた。また、実開昭
60−109631号のものはチユーブ状支持体がメイン
チユーブの流出口内に挿入されているため、流出
口の内径を小さくしてしまい、メインチユーブへ
の流入量とメインチユーブからの流出量のバラン
スを狂わせる欠点があつたし、チユーブ状支持体
はフイルターの中心部を支持するに過ぎないた
め、フイルターが支持体を中心に傘をつぼめたよ
うに潰れることを防ぐことはできないという問題
があつた。

〔考案の目的〕

この考案は上記の種々の欠点を解消するための
もので、流体流入口の設置位置が限られないよう
に袋状フイルタを倒立状に設置したものであつ
て、しかも、潰れの問題を全くなくし、また、血
液凝固の問題も生じさせない新規なドリツプチヤ
ンバーを提供することを目的としている。

〔考案の構成〕

上記目的を達成するため、この考案は血液流入
口を有する上筒部と、該上筒部の下端に嵌着し、
底面に血液流出口を設けてなる底蓋部とを備え、
該底蓋部の外周壁の内側に沿つて袋状フイルター
の開口部が嵌合できる環状突起を内底面に形成
し、該環状突起の上縁又は内周面に前記袋状フイ
ルターを拡開支持できる骨部材を延設し、袋状フ
イルタを拡開状に継続的に保持できるように構成
したものである。

〔実施例〕

次に、この考案を第１図及び第２図に示す実施
例にもとづいて説明する。

図において、１１は筒状筐体で、該筒状筐体１
１は血液流入口１２を有する上筒部１３の下端に
底蓋部１４を嵌着し、該底蓋部１４の底面に血液
流出口１５を設けてなる。１６は前記底蓋部１４
の外周壁１４ａの内側に沿つて一定の隙間１７を
形成するように内底面１４ｂに形成した環状突起
で、該環状突起１６にはナイロン織布等の柔軟な
素材よりなる袋状フイルタ１８の開口部１８′が
嵌合し、接着剤等で接着されている。

１９は前記袋状フイルタ１８の形体を保持する
ための骨部材で、該骨部材１９は前記環状突起１
６の上縁又は内周から上向きに一体または別体的
に設置されている。この骨部材１９は第２図示の
場合は上端側がやや内向きに曲がつたツノ状のも
のを対向させているが、線条材をＵ曲げしたよう
なものであつてもよいことは言うまでもない。

上記実施例において、本願ドリツプチヤンバー
は上筒部１３に嵌着する前に、底蓋部１４の内底
面に設けた環状突起１６及びその上縁等に設置し
た骨部材１９に袋状フイルタ１８を被包し、その
開口部１８′を環状突起１６の外周に嵌合する。
しかる後、底蓋部１４の外周壁１４ａと環状突起
１６との隙間１７に上筒部１３の下端を嵌入し、
接着剤等で三者を一体に接合することにより得ら
れる。この環状突起１６に設置した骨部材１９に
被包した袋状フイルタ１８は該骨部材１９により
その内面側から形体が保持されるとともに、袋状
フイルタの開口部は上筒部下端と環状突起１６に
挟み込まれて接着されることから、筐体内に凹凸
として現れず、血液凝固の問題の起こる余地がな
い。

〔考案の効果〕

このように、この考案は血液流入口を有する上
筒部と、該上筒部の下端に嵌着し、底面に血液流
出口を設けてなる底蓋部とを備え、該底蓋部の外
周壁の内側に沿つて袋状フイルターの開口部が嵌
合できる環状突起を内底面に形成し、該環状突起
の上縁又は内周面に前記袋状フイルターを拡開支
持できる骨部材を延設したことを特徴としている
から、袋状フイルタはこれが倒立状態になつてい
るにもかかわらず、筐体内を通る血液の流圧によ
り潰れる虞れが全くない。従つて、従来の如く、
袋状フイルタを開口部が上になるように設置した
形式のドリツプチヤンバーのように流体流入口の
設置位置が筐体の頂面部に限られる不都合がない
し、ストレーナー状のフイルタを設置した形式の
ドリツプチヤンバーのように血液に接触する部分
に凹凸が出来ず、血液凝固の問題も生じないなど
各種の優れた効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

図はこの考案の実施例を示し、第１図は断面
図、第２図は底蓋部の斜視図、第３図〜は従
来例を示す説明図である。 １１……筒状筐体、１２……血液流入口、１３
……上筒部、１４……下蓋部、１５……血液流出
口、１６……環状突起、１７……隙間、１８……
袋状フイルタ、１９……骨部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 血液流入口を有する上筒部と、該上筒部の下端
   に嵌着し、底面に血液流出口を設けてなる底蓋部
   とを備え、該底蓋部の外周壁の内側に沿つて袋状
   フイルターの開口部が嵌合できる環状突起を内底
   面に形成し、該環状突起の上縁又は内周面に前記
   袋状フイルターを拡開支持できる骨部材を延設し
   たことを特徴とするドリツプチヤンバー。