JPS644566B2 - - Google Patents

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JPS644566B2
JPS644566B2 JP18149584A JP18149584A JPS644566B2 JP S644566 B2 JPS644566 B2 JP S644566B2 JP 18149584 A JP18149584 A JP 18149584A JP 18149584 A JP18149584 A JP 18149584A JP S644566 B2 JPS644566 B2 JP S644566B2
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JP
Japan
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steel
less
delayed fracture
tempering
strength
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Application number
JP18149584A
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English (en)
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JPS6160822A (ja
Inventor
Terutaka Tsumura
Yasutaka Okada
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority to JP18149584A priority Critical patent/JPS6160822A/ja
Publication of JPS6160822A publication Critical patent/JPS6160822A/ja
Publication of JPS644566B2 publication Critical patent/JPS644566B2/ja
Granted legal-status Critical Current

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Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C21METALLURGY OF IRON
    • C21DMODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
    • C21D1/00General methods or devices for heat treatment, e.g. annealing, hardening, quenching or tempering
    • C21D1/18Hardening; Quenching with or without subsequent tempering

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Thermal Sciences (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Metallurgy (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Heat Treatment Of Steel (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
産業上の利用分野 本発明は、150ksi(105.5Kgf/mm2)を越える降伏
強さ(0.2%耐力)を有しかつ耐遅れ破壊性に優
れ、油井管等の用途に好適な高強度鋼の製造方法
に関するものである。 従来の技術 近年、長期的展望に立つたエネルギー確保の必
要性が各方面から叫ばれるようになつてきたこと
に呼応して、世界の各地に於いて新たな油田やガ
ス田の開発が盛んに行なわれるようになつて来て
おり、従来は放置されていた地表深層部のような
苛酷な環境の石油や天然ガスにまで開発の目が向
けられるようになるなど、エネルギー採取にもこ
れまで以上に高度な技術が必要となつてきてい
る。 例えば最近では、深さが15000フイート以上と
いう極めて深い場所や、深さ1フイート当たり
0.5psi(0.3515gf/mm2)以上の圧力増加が見込まれ
るところの、所謂“標準状態”よりも高い地圧を
持つ地層にも、石油や天然ガス採取用の井戸を掘
ることが多くなつてきている。このような環境下
で安定した作業を行なうには、V―150クラス以
上〔SMYS(Specified Minimum Yield
Strength、規格最小降伏強さ)が150ksi(105.5Kg
f/mm2)以上〕の極めて高い強度を有する油井管が
必要であるとされ、この安定供給に対する要望が
とみに高まつて来ているのが現状である。 しかし、従来から油井管として使用されている
低合金鋼では、V―150クラス以上の高強度を有
するようなものになると、オーステナイト粒界が
脆化することにも起因して降伏点以下の静荷重で
も破壊に至るという“遅れ破壊”の危険を内在す
るようになるものであつた。また一般に油田では
井戸が古くなつて自噴しなくなつて来ると、2次
回収と称して、水圧やガス圧をかけたり酸を添加
(Acidizing)して汲み上げ効率を向上している
が、このように酸の添加を行なう場合や、酸性環
境下の油田においては、低合金鋼では従来は水素
の影響によつて遅れ破壊の危険性が大きくなると
いう問題があつた。 一方、18Ni―5Mo―7.5Co系等のマルエージン
グ鋼やオーステナイト系の高合金や高合金鋼は、
通常の低合金鋼よりも耐遅れ破壊性に優れている
ことが知られている。しかしながら、マルエージ
ング鋼は、Coを含有しているのでコストが高く、
低温靭性が良くない等の問題がある。他方、オー
ステナイト系の高合金や高合金鋼には、強度を得
るために大きな加工量で冷間加工を施さねばなら
ず非能率的であり、NiやCr等の含有量が高いの
で、コスト高となるといつた問題があつて、いず
れも単なる高強度油井管用として用いられること
はなく、特に経済性の点から一部の極く限られた
環境下で実用に供されているにすぎないものであ
つた。 一方、特開昭58−61219号および特開昭58−
84960号に耐遅れ破壊性の優れた高強度鋼の製造
方法が開示されている。しかしながら、特開昭58
−61219号に記載の方法では、後述する如くN含
有量が低く、またN含有量に対して多量のTiを
含有し、更に焼戻し前のオーステナイト粒度が大
きく、上記した苛酷な環境で十分な耐遅れ破壊性
を発揮することができない。 他方、特開昭58−84960号に記載の鋼もNおよ
びTi含有量を考慮せず、専らLaの添加の効果を
追求するのみで、この公開公報に記載の鋼も上記
した苛酷な環境で十分な耐遅れ破壊性を発揮する
ことができない。 本発明の解決しようとする問題点 本発明は、上述の如き従来技術の問題点に鑑
み、150ksi(105.5Kgf/mm2)を越える降伏強さを有
するとともに、耐遅れ破壊性が従来の低合金鋼を
用いたものよりも一段と優れ、且つ18Niマルエ
ージング鋼やオーステナイト系の高合金や高合金
鋼よりもはるかに廉価な、油井管としての用途に
好適な高強度鋼を提供することを目的とする。 問題点を解決するための手段 本発明者等は、上述の目的を達成するため、鋼
材の化学成分、熱処理をはじめとする製造条件、
それによつて得られる組織と特性との関係につい
て詳細な研究を重ねた結果、以下(a)〜(e)に示すよ
うな知見を得るに至つた。即ち、 (a) 遅れ破壊は、静荷重下におかれた鋼が或る時
間を経過後、突然に脆性的な破断を呈する現象
であり、外部環境から鋼中に侵入した水素や、
メツキ等によつて侵入した鋼中水素等により発
生する一種の水素脆性とされているものである
が、鋼のオーステナイト粒度をASTMNo.で8.5
以上の細粒に調整して焼入れし、マルテンサイ
トあるいは低温ベイナイトの組織を得て焼戻し
処理すれば、遅れ破壊の発生が抑制されること
が判つた。 (b) 鋼中の炭化物は水素の集積場所となり、従つ
てこの炭化物が針状、棒状等切欠欠陥形状を呈
するときは、そこが起点となつて遅れ破壊が発
生しやすいが、焼入れした鋼を580℃以上Ac1
点以下の高温でPLM≧16.8×103〔但しPLM=T
(20+log t)で、T:焼戻し温度(〓)、t:
保持時間(hr)〕の条件で焼戻しすれば、炭化
物の球状化がなされて、遅れ破壊の発生が抑制
されることが判つた。 (c) オーステナイト粒の微細化はN量と関係を有
し、合金成分としてMoまたはWのいずれか一
方または双方と、Cr、Nb、Vを含む鋼におい
てはN>0.0020%で細粒鋼が得られ、耐遅れ破
壊性が向上することが判つた。 (d) C:0.15〜0.45%、Si:1.50%以下、Mn:
0.01〜1.50%を含む鋼に、合金成分として、
Cr:0.50〜2.00%、Mo+1/2W:0.30〜1.50%、
V:0.01〜0.20%、Nb:0.005〜0.20%および
B:0.0050%以下で且つ0.78×〔N(%)−0.002〕
を越える量を含有させれば、焼入れの後、580
℃以上Ac1点以下の温度で且つ上記PLM値がPLM
≧16.8×103の条件で焼戻し処理しても、オー
ステナイト粒度のASTMNo.が8.5以上であれ
ば、降伏強さで150ksi(105.5Kgf/mm2)を越す高
強度が安定して得られ、耐遅れ破壊性にも優れ
ていることが判つた。 (e) オーステナイト粒の微細化は降伏比(降伏強
さ/引張強さ)を上昇させ、従つて、同じ降伏
強さに対して引張強さを抑えることができると
いう点からも耐遅れ破壊性改善に有効であるこ
とが判つた。 本発明は上記知見に基づいてなされたものであ
つて、本発明に従うと、重量%で、 C:0.15〜0.45%、 Si:1.50%以下、 Mn:0.01〜1.50%、 Cr:0.50〜2.00%、 MoまたはWのいずれか一方または双方: Mo+1/2Wで0.30〜1.50%、 V:0.01〜0.20%、 Nb:0.005〜0.20%、 Al:0.01〜0.10%、 N:0.0020%を越える量、 B:0.0050%以下で且つ0.78×〔N(%)−
0.002〕を越える量、 を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物から
なる鋼をオーステナイト粒度がASTMNo.で8.5以
上になるように調整して焼入れし、次いで580℃
以上で且つAc1点以下の温度でPLM≧16.8×103
満たす条件で焼戻し処理を施すことを特徴とする
耐遅れ破壊性の優れた高強度鋼の製造法が提供さ
れる。ただし、PLMは焼戻し処理における焼戻し
温度と保持時間の関数であつて、次式によつて示
される。 PLM=T(20+log t) 更に本発明に従うと、本発明の方法の対象鋼は C:0.15〜0.45%、 Si:1.50%以下、 Mn:0.01〜1.50%、 Cr:0.50〜2.00%、 MoまたはWのいずれか一方または双方: Mo+1/2Wで0.30〜1.50%、 V:0.01〜0.20%、 Nb:0.005〜0.20%、 Al:0.01〜0.10%、 N:0.0020%を越える量、 B:0.0050%以下で且つ0.78×〔N(%)−
0.002〕を越える量、 を含有し、更に第1群:1.5%以下のCu、4.0%以
下のNi、第2群:0.001〜0.030%のCaからなる群
より選ばれた1種または2種以上の元素を含有
し、残部Feおよび不可避的不純物からなるもの
でもよい。 作 用 次に本発明の方法において、鋼の成分組成及び
製造条件を上記の通りに限定した理由を説明す
る。 A 成分組成の限定理由 C:Cは鋼の焼入性増加、強度増加に加えて
細粒化のためにも有効な成分であるが、0.15%
未満では強度低下及び焼入性劣化をきたし、従
つて所望強度に対して、炭化物球状化のための
高温での焼戻し処理が行なえず、又所望の細粒
鋼を得難くなり、遅れ破壊感受性が大きくな
る。 一方、0.45%を越えてCを含有すると、焼入
れ時の焼割れ感受性が増加し、また靭性劣化を
も招くことからC含有量を0.15〜0.45%と定め
た。 Si:Siは鋼の脱酸及び強度を高めるのに必要
な元素であるほか、変態点を上げて高温焼戻し
が安定して行なえるようにするためにも有効で
ある。しかしながら、Siの含有量が1.50%を越
えると靭性の劣化が著しくなり、又低PH環境で
は耐遅れ破壊性を劣化させることともなるの
で、その上限を1.50%とした。 なお、オーステナイト粒を可及的に小さくし
て、耐遅れ破壊性を一層向上させるためにはSi
含有量を0.80%以下とすることが好ましく、更
に低PH環境下での耐遅れ破壊性をより一層向上
させるためには、(Si+Mn)の値を0.80%以下
とすることが好ましい。 Mn:Mnは脱酸、脱硫のほか焼入性の向上
に有効な元素であるが、多量に含有させると鋼
の加工性や耐遅れ破壊性を劣化するようになる
ことから、その上限を1.50%とした。低合金鋼
の場合、低PH環境下での遅れ破壊感受性低減の
ためには(Si+Mn)の値を0.80%以下に低減
することが有効であるが、Mn含有量を0.01%
未満とすることは鋼の製造上極めて困難であ
り、コストアツプを招くことから、Mnの含有
量を0.01〜1.50%とした。安定した細粒鋼を得
るには0.20%以上の添加が好ましい。 Cr:Crは鋼の焼入性、強度及び焼戻し軟化
抵抗性を増大させる作用があり、高温焼戻し処
理して高強度鋼を得るのに有効な元素である
が、その含有量が0.5%未満では前記作用に所
望の効果を得ることができず、一方、2.00%を
超えて含有させると靭性の劣化及び焼割れ感受
性の増大を来すことから0.50〜2.00%とした。 Mo、W:MoとWはいずれも鋼の焼入性、
強度、靭性、耐食性および焼戻し軟化抵抗性を
増大させ、高温焼戻し処理を可能にして耐遅れ
破壊性を向上させる効果を有するので、Moま
たはWのいずれか一方または双方を含有するこ
ととした。 MoとWの含有量に関して(Mo+1/2W)で
規定するのは、WがMoに対して原子量が約2
倍で、上記した効果の点ではMoの約半分とな
るからである。 (Mo+1/2W)の値が0.30%未満では上記作
用に所望の効果が得られず、他方この値が1.50
%を越えるとそれらの添加効果が飽和してしま
い、より一層の強度上昇効果を得ることができ
ず、実質的に不必要な量のMo及びWの含有と
なつてコスト上昇を招くので、Moおよび/ま
たはWの含有量を、(Mo+1/2W)の値で0.30
〜1.50%とした。 V:Vは鋼の強度上昇、焼戻し軟化抵抗の付
与と細粒化に有効な元素であり、高温焼戻し処
理を可能にして耐遅れ破壊性を向上させるのに
有効であるが、0.01%未満では前記効果が得ら
れず、一方、0.20%を越える多量のVの添加を
すると靭性の劣化を招くこととなるので0.01〜
0.20%とした。 Nb:Nbは鋼の強度、靭性の向上と焼戻し軟
化抵抗の付与、細粒化に対して効果を有し、耐
遅れ破壊性の向上に対しても効果があるが、
0.005%未満ではその効果が十分でなく、一方、
0.20%を越えて含有させても前記効果が飽和し
てしまい、また靭性の劣化をも招くこととなる
ので、0.005〜0.20%とした。 Al:Alは鋼の脱酸の安定化、均質化および
細粒化を図るのに有効であるが、0.01%未満で
は所望の効果を得ることができず、他方、0.10
%を越えて含有させてもその効果は飽和してし
まい、また介在物の増大により疵が発生し、靭
性も劣化するので0.01〜0.10%とした。 N:Nは本発明において重要な元素である。
従来技術ではNは結晶粒界に濃縮偏析しやす
く、粒界強度を低下させ、遅れ破壊抵抗を著し
く劣化させるものとして鋼中のN含有量が制限
されていたものである。これに対し、上述の如
く本発明者等は0.0020%を越えるNを含有させ
ることによつてオーステナイト粒を微細化せし
め、むしろ耐遅れ破壊性を向上させるのに有効
であることを発見したものである。従つて、本
発明では、Nは結晶粒を微細にして耐遅れ破壊
性を向上させる効果を発揮させるために0.0020
%を上廻る量が必要である。 B:Bは焼入性を向上させ、これを通じて強
度、靭性、耐遅れ破壊特性を向上させるのに有
効である。しかしながらB量が0.78×{N(%)
−0.002}以下ではその効果が得難く、また
0.0050%を越えて含有させても添加効果が飽和
してそれ以上の特性向上効果が期待できず、逆
に靭性劣化を招く場合も生ずるので、B含有量
は0.78×{N(%)−0.002}を越え且つ0.0050%
以下とした。 Cu:Cuは強度を増し、耐食性を向上させる
ために添加する元素である。Cuを1.5%を越え
て含有すると熱間加工性が劣化するので含有範
囲の上限を1.5%とした。更に、Cuを0.5%以上
添加するときには同量以上のNiを添加して熱
間脆性を防止することが好ましい。 Ni:Niは強度および靭性を向上させるため
に添加する。しかしながら、Niは高価である
ことに加えて、その多量添加は変態点を大幅に
低下させるため高温焼戻しによる耐遅れ破壊性
向上を指向した本発明の効果を阻害することと
なるので含有範囲の上限を4.0%とした。 Ca:Caは鋼中介在物を球状化して、特に高
強度鋼において、圧延方向と直角方向の靭性を
向上させるのに有効であるが、0.001%未満で
はその効果が得られず、他方、0.030%を越え
ると、その効果が飽和するのみならず、却つて
その酸化物等の非金属介在物が増加して、鋼の
清浄性が低下し、遅れ破壊感受性を高めること
となる。従つて、Caの含有量範囲を0.001〜
0.030%とした。 B 製造条件の限定理由 オーステナイト粒度と焼戻し条件: 従来、降伏強さが150ksi(105.5Kgf/mm2)を越
える低合金鋼製の高強度油井管は、熱延鋼管を
Ac3点以上に再加熱した後焼入れするか、或い
は熱間で製管した後Ar3点以上の温度から直接
に焼入れし、その後Ac1点以下の温度で焼戻す
ことにより製造している。しかしながら、直接
焼入れした鋼管ではオーステナイト粒が粗大で
あり(ASTMNo.7程度以下)遅れ破壊に対す
る感受性が極めて大きい。一方、再加熱焼入れ
したものの場合は、遅れ破壊特性はオーステナ
イト粒度と焼戻し温度によつて大きく変化する
ことが本発明者等の研究により明らかとなつ
た。 即ち、本発明者等は、C、Si、Mn、Cr、
Mo、W、V、Nb、Al、NおよびBが本発明
の範囲内にある種々の鋼を用い、熱処理、加工
熱処理、冷間加工と熱処理の組合せ等種々の手
段を用いてオーステナイト粒度を変化させ、こ
れを450〜650℃で30分焼戻し処理した。夫々の
鋼板から平行部8.5mmφの丸棒引張試験片を採
取して引張試験を行ない、170ksi(119.5Kgf/
mm2)近傍の降伏強さ(0.2%耐力)を有すると
確認されたもののみについて遅れ破壊特性を調
査した。 遅れ破壊特性は、第1図aに全体の斜視図
を、第1図bにUノツチ部の詳細を示した試験
片を1つの焼戻し処理鋼板から5本ずつ切り出
し、このUノツチ部にくさびを挿入した後80℃
の温水中に5000時間浸漬して、割れ発生の有無
を調べて調査し、その結果を第2図に示した。
第2図において、〇は5本の試験片のすべてに
割れの発生が認められないことを示し、×は5
本の試験片のいずれか又は全部に割れ発生が認
められたことを示す。 第2図に示すように、オーステナイト粒度が
ASTMNo.8.5未満の場合には焼戻し温度を高く
ても割れが発生し、一方、焼戻し温度580℃未
満の場合はオーステナイト粒度をASTMNo.で
8.5以上の微細粒としても割れが発生すること
が判つた。従つて、本発明では焼戻し前のオー
ステナイト粒度をASTMNo.で8.5以上に調整
し、且つ焼戻しは580℃以上で行なうように制
限する。 次に、本発明者等は、0.30%C―0.30%Si―
0.43%Mn―0.61%Cr―0.46%Mo―0.05%V―
0.041%Nb―0.044%Al―0.0039%N―0.0017%
Bの組成を有する鋼を用いて、オーステナイト
粒度をASTMNo.で10.5に調整して焼入れし、
これを600℃に加熱し保持時間をそれぞれ5分、
10分、15分、30分として焼戻しを行ない、焼戻
し後の鋼片について上記と同様な遅れ破壊試験
を行なつた。この実験結果より、5分及び10分
の焼戻し処理をしたものには夫々2/5、1/5の割
合で、割れが認められた。しかるに15分、30分
の焼戻しを行なつたものには割れは認められな
かつた。 600℃で10分の焼戻しについては、 PLM=16.78×103、 又600℃で15分の焼戻しについては、 PLM=16.93×103、 である。 従つて、本発明ではPLM≧16.8×103なる条件
を設けた。なお、この条件は焼戻し温度が580
℃では30分以上の焼戻しが必要なことを示すも
のである。すなわち、580℃以上で且つPLM
16.8×103のときに炭化物がよく球状化されて
遅れ破壊感受性が低減されることを上記実験で
確認した。 一方、上記鋼を550℃で3時間焼戻し処理し
たもの(PLM=16.9×103)について前記の遅れ
破壊試験をしたところ、1/5の割合で割れが発
生していた。このことからも、焼戻しに関して
は、580℃以上且つPLM≧16.8×103のいずれか
一方の条件が欠けても耐遅れ破壊性向上に好ま
しくないことが明らかである。 従つて、本発明の方法では、580℃以上であ
り且つPLM≧16.8×103を焼戻しの条件として規
定したものである。 又、この場合焼戻し温度がAc1点を越えると
鋼材強度が大幅に変動するのみならず、遅れ破
壊感受性が大きくなるので焼戻し温度はAc1
以下と定めた。 次に、本発明を実施例により比較例と対比し
ながら説明する。なお、これらの実施例は本発
明の効果を示す単なる例示であつて、本発明の
技術的範囲を何等制限するものでないことは勿
論である。 実施例 1 まず、第1表に示す化学成分組成の鋼1〜17を
溶製した。次いで、これらの鋼を加熱・圧延し、
第2表に示す条件にて焼入れ、焼戻しを行なつ
た。焼戻し前のものについてオーステナイト粒度
(ASTMNo.)を測定し、焼戻し後のものについて
引張試験と遅れ破壊試験を行なつた。 引張試験は、平行部8.5mmφの丸棒試験片を用
いて行ない、遅れ破壊試験は次の条件にて実施し
た。即ち、各鋼種の鋼材から、第1図に示す試験
片を5本ずつ切り出した。第1図aはUノツチ付
き試験片の全体形状を示し、第1図bは試験片の
Uノツチの詳細を示す。このUノツチにくさびを
静的に挿入した後、80度の温水中に5000時間浸漬
して割れ発生の有無を調べた。 得られた試験結果も併せて第2表に示す。
【表】
【表】 *印は本発明の方法の対象外の鋼成分であるこ
とを示す。
【表】
【表】 第2表に示す結果から、本発明の化学成分範囲
の鋼は580℃以上、PLM≧16.8×103の条件で焼戻
ししても、150ksi(105.5Kgf/mm2)を越える降伏強
さ(0.2%耐力)が得られ、しかも遅れ破壊の発
生が零であつて、比較鋼に比べて強度と耐遅れ破
壊特性のいずれか又は双方が優れ、強度と耐遅れ
破壊性のバランスが極めて良好であることが明ら
かである。 実施例 2 第3表に示す化学成分組成の鋼18〜20を溶製し
た。次いで、これらの鋼を加熱・圧延し、第4表
に示す条件にて焼入れし、次に焼戻しを行なつ
た。焼戻し前のものについてオーステナイト粒度
(ASTMNo.)を測定し、焼戻し後のものについて
実施例1と同じ条件で引張試験と遅れ破壊試験を
行なつた。 このようにして得られた試験結果も併せて第4
表に示す。
【表】
【表】 *印は本発明の方法の対象外の鋼成分で
あることを示す。
☆:A…本発明対象鋼
B…比較鋼
【表】 第4表に示した結果からも、本発明の化学成分
の範囲内の鋼は580℃以上、PLM≧16.8×103の条
件で焼戻ししても150ksi(105.5Kgf/mm2)を越す大
きな降伏強さ(0.2%耐力)が得られ、しかも遅
れ破壊の発生が零であつて、比較鋼に比べて強度
と耐遅れ破壊性のいずれかが優れ、強度と耐遅れ
破壊性のバランスが極めて良好であることが明ら
かである。 実施例 3 前記第3表のうちの本発明の方法の対象鋼であ
る鋼19を加熱・圧延し、第5表に示す条件にて焼
入れし、次に焼戻しを行なつた。焼戻し前のもの
についてオーステナイト粒度(ASTMNo.)を測
定し、焼戻し後のものについて実施例1と同じ条
件で引張試験と遅れ破壊試験を行なつた。その試
験結果も併せて第5表に示す。
【表】 第5表の結果から、本発明の方法の対象鋼につ
いても、本発明の範囲内の処理条件を満足しては
じめて、耐遅れ破壊性が良好になることが判る。 実施例 4 前記第3表のうちの本発明の方法の対象鋼であ
る鋼18を加熱・圧延後、第6表に示す条件にて焼
入れし、次に焼戻しを行なつた。焼戻し前のもの
についてオーステナイト粒度(ASTMNo.)を測
定し、焼戻し後のものについて実施例1と同じ条
件で引張試験と遅れ破壊試験を行なつた。その試
験結果も併せて第6表に示す。
【表】
【表】 第6表から、本発明ではオーステナイト粒の微
細化方法の如何に拘わらず、オーステナイト粒度
をASTMNo.で8.5以上に調整して焼入れた後、そ
れを580℃以上、PLM≧16.8×103の条件で焼戻し
しさえすれば、耐遅れ破壊性の優れた高強度鋼が
得られることが判る。 実施例 5 前記第1表に示す鋼のうち本発明の方法の対象
鋼である鋼1、2、3、7及び本発明の範囲外で
ある比較鋼14を加熱・圧延し、第7表に示す条件
で焼入れし、次に焼戻しを行なつた。焼戻し前の
ものについてオーステナイト粒度(ASTMNo.)
を測定し、焼戻し後のものについて、実施例1と
同じ条件で引張試験を行ない、又実施例1に準じ
て、HClでPHを3.5に調整した5%食塩水(常温)
中に2000時間浸漬する遅れ破壊試験を行なつた。
なお、試験液は48時間毎に交換した。 このようにして、得られた試験結果も併せて第
7表に示す。
【表】 第7表に示す結果から、本発明の方法の対象鋼
のうちでも特に(Si+Mn)が0.80%以下の鋼1、
2は低PHの環境下でも耐遅れ破壊性と強度のバラ
ンスが極めて良好であることが判る。 効 果 上述した如く、本発明の方法に従うと、150ksi
(105.5Kgf/mm2)を越える高強度と優れた耐遅れ破
壊性を具備して、しかも安価な超高強度油井管の
製造が可能となり、工業上もたらされる効果は極
めて大きいものである。 本発明の方法は、超高強度油井管以外にも、上
述と同一強度レベルの高力ボルト等にも広く応用
できるものである。 なお、本明細書中で鋼の化学成分を表示するの
に使用した%は重量%である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、遅れ破壊試験片の形状を示すもので
あり、第1図aは試験片全体の斜視図、第1図b
はそのUノツチ部の詳細を示すものである。第2
図は、170ksi(119.5Kgf/mm2)近傍の降伏強さを有
する本発明の方法の対象鋼の耐遅れ破壊特性に及
ぼす、焼戻し温度(保持30分の場合)とオーステ
ナイト粒度の影響を示す図である。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 重量%で、 C:0.15〜0.45%、 Si:1.50%以下、 Mn:0.01〜1.50%、 Cr:0.50〜2.00%、 MoまたはWのいずれか一方または双方: Mo+1/2Wで0.30〜1.50%、 V:0.01〜0.20%、 Nb:0.005〜0.20%、 Al:0.01〜0.10%、 N:0.0020%を越える量、 B:0.0050%以下で且つ0.78×〔N(%)−
    0.002〕を越える量、 を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物から
    なる鋼をオーステナイト粒度がASTMNo.で8.5以
    上になるように調整して焼入れし、次いで580℃
    以上で且つAc1点以下の温度でPLM≧16.8×103
    満たす条件で焼戻し処理を施すことを特徴とする
    耐遅れ破壊性の優れた高強度鋼の製造法。 ただし、 PLM=T(20+log t) T:焼戻し温度(〓)、 t:保持時間(hr) 2 重量%で、 C:0.15〜0.45%、 Si:1.50%以下、 Mn:0.01〜1.50%、 Cr:0.50〜2.00%、 MoまたはWのいずれか一方または双方: Mo+1/2Wで0.30〜1.50%、 V:0.01〜0.20%、 Nb:0.005〜0.20%、 Al:0.01〜0.10%、 N:0.0020%を越える量、 B:0.0050%以下で且つ0.78×〔N(%)−
    0.002〕を越える量、 を含有し、更に、1.5%以下のCu、4.0%以下のNi
    のうち1種または2種以上の元素を含み、残部が
    Feおよび不可避的不純物からなる鋼をオーステ
    ナイト粒度がASTMNo.で8.5以上になるように調
    整して焼入れし、次いで580℃以上で且つAc1
    以下の温度でPLM≧16.8×103を満たす条件で焼戻
    し処理を施すことを特徴とする耐遅れ破壊性の優
    れた高強度鋼の製造法。 ただし、 PLM=T(20+log t) T:焼戻し温度(〓)、 t:保持時間(hr) 3 重量%で、 C:0.15〜0.45%、 Si:1.50%以下、 Mn:0.01〜1.50%、 Cr:0.50〜2.00%、 MoまたはWのいずれか一方または双方: Mo+1/2Wで0.30〜1.50%、 V:0.01〜0.20%、 Nb:0.005〜0.20%、 Al:0.01〜0.10%、 N:0.0020%を越える量、 B:0.0050%以下で且つ0.78×〔N(%)−
    0.002〕を越える量、 を含有し、更に、0.001〜0.030%のCaを含み、残
    部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼をオー
    ステナイト粒度がASTMNo.で8.5以上になるよう
    に調整して焼入れし、次いで580℃以上で且つ
    Ac1点以下の温度でPLM≧16.8×103を満たす条件
    で焼戻し処理を施すことを特徴とする耐遅れ破壊
    性の優れた高強度鋼の製造法。 ただし、 PLM=T(20+log t) T:焼戻し温度(〓)、 t:保持時間(hr) 4 重量%で、 C:0.15〜0.45%、 Si:1.50%以下、 Mn:0.01〜1.50%、 Cr:0.50〜2.00%、 MoまたはWのいずれか一方または双方: Mo+1/2Wで0.30〜1.50%、 V:0.01〜0.20%、 Nb:0.005〜0.20%、 Al:0.01〜0.10%、 N:0.0020%を越える量、 B:0.0050%以下で且つ0.78×〔N(%)−
    0.002〕を越える量、 を含有し、更に、1.5%以下のCu、4.0%以下のNi
    のうちの1種または2種以上の元素と、0.001〜
    0.030%のCaを含み、残部がFeおよび不可避的不
    純物からなる鋼をオーステナイト粒度がASTM
    No.で8.5以上になるように調整して焼入れし、次
    いで580℃以上で且つAc1点以下の温度でPLM
    16.8×103を満たす条件で焼戻し処理を施すこと
    を特徴とする耐遅れ破壊性の優れた高強度鋼の製
    造法。 ただし、 PLM=T(20+log t) T:焼戻し温度(〓)、 t:保持時間(hr)
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