JPS6160822A - 耐遅れ破壊性の優れた高強度鋼の製造法 - Google Patents

耐遅れ破壊性の優れた高強度鋼の製造法

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JPS6160822A
JPS6160822A JP18149584A JP18149584A JPS6160822A JP S6160822 A JPS6160822 A JP S6160822A JP 18149584 A JP18149584 A JP 18149584A JP 18149584 A JP18149584 A JP 18149584A JP S6160822 A JPS6160822 A JP S6160822A
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steel
delayed fracture
less
tempering
temperature
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JP18149584A
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JPS644566B2 (ja
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Terutaka Tsumura
津村 輝隆
Yasutaka Okada
康孝 岡田
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C21METALLURGY OF IRON
    • C21DMODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
    • C21D1/00General methods or devices for heat treatment, e.g. annealing, hardening, quenching or tempering
    • C21D1/18Hardening; Quenching with or without subsequent tempering

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、150ksi (105,5kgf/mm”
 )を越える降伏強さく0.2%耐力)を有しかつ耐遅
れ破壊性に優れ、油井管等の用途に好適な高強度鋼の製
造方法に関するものである。
従来の技術 近年、長期的展望に立ったエネルギー確保の必要性が各
方面から叫ばれるようになってきたことに呼応して、世
界の各地に於いて新たな油田やガス田の開発が盛んに行
なわれるようになって来ており、従来は放置されていた
地表深層部のような苛酷な環境の石油や天然ガスにまで
開発の目が向けられるようになるなど、エネルギー採取
にもこれまで以上に高度な技術が必要となってきている
例えば最近では、深さが15000フイ一ト以上という
極めて深い場所や、深さ1フイート当たり0.5psi
 (OJ515gf/mm2)以上の圧力増加が見込ま
れるところの、所謂“標準状態”よりも高い地圧を持つ
地層にも、石油や天然ガス採取用の井戸を掘ることが多
くなってきている。このような環境下で安定した作業を
行なうには、V−150クラス以上(S M Y S 
(Specified Minimum Yield 
Strengt規格最小降伏強さ)が150ksi (
105,5kgf/mm” )以上〕の極めて高い強度
ををする油井管が必要であるとされ、その安定供給に対
する要望がとみに高まって来ているのが現状である。
しかし、従来から油井管として使用されている低合金鋼
では、V−150クラス以上の高強度を有するようなも
のになると、オーステナイト粒界が脆化することにも起
因して降伏点以下の静荷重でも破壊に至るという“遅れ
破壊”の危険を内在するようになるものであった。また
一般に油田では井戸が古くなって自噴しなくなって来る
と、2次回収と称してく水圧やガス圧をかけたり酸を添
加(Acidizing) して汲み上げ効率を向上し
ているが、このように酸の添加を行なう場合や、酸性環
境下の油田においては、低合金鋼では従来は水素の影響
によって遅れ破壊の危険性が大きくなるという問題があ
った。
一方、18Ni −5Mo −7,5Co系等のフルエ
ージング鋼やオーステナイト系の高合金や高合金鋼は、
h1通常の低合金鋼よりも耐遅れ破壊性に優れているこ
とが知られている。しかしながら、マルエージング鋼は
、Coを含有しているのでコストが高く、低温靭性が良
くない等の問題がある。他方、オーステナイト系の高合
金や高合金鋼には、強度を得るために大きな加工量で冷
間加工を施さねばならず非能率的であり、NiやCr等
の含有量が高いので、コスト高となるといった問題があ
って、いずれも単なる高強度油井管用として用いられる
ことはなく、特に経済性の点から一部の極く限られた環
境下で実用に供されているにすぎないものであった。
一方、特開昭58−61219号および特開昭58−8
4960号に耐遅れ破壊性の優れた高強度鋼の製造方法
が開示されている。しかしながら、特開昭58−612
19号に記載の方法では、後述する如くN含有量が低く
、またN含有量に対して多量のTiを含有し、更に焼戻
し前のオーステナイト粒度が大きく、上記した苛酷な環
境で十分な耐遅れ破壊性を発揮することができない。
他方、特開昭58−84960号に記載の鋼もNおよび
Ti含有量を考慮せず、専らLaの添加の効果を追求す
るのみで、この公開公報に記載の鋼も上記した苛酷な環
境で十分な耐遅れ破壊性を発揮することができない。
本発明の解決しようとする問題点 本発明は、上述の如き従来技術の問題点に鑑み、150
ksi (105,5kgf/nun’)を越える降伏
強すヲ有スルとともに、耐遅れ破壊性が従来の低合金鋼
を用いたものよりも一段と優れ、且つ18Niマルエー
ジング鋼やオーステナイト系の高合金や高合金鋼よりも
はるかに廉価な、油井管としての用途に好適な高強度鋼
を提供することを目的とする。
問題点を解決するための手段 本発明者等は、上述の目的を達成するため、鋼材の化学
成分、熱処理をはじめとする製造条件、それによって得
られる組織と特性との関係について詳細な研究を重ねた
結果、以下(a)〜(e)に示すような知見を得るに至
った。即ち、 (a)  遅れ破壊は、静荷重下におかれた鋼が成る時
間を経過後、突然に脆性的な破断を呈する現象であり、
外部環境から鋼中に侵入した水素や、メッキ等によって
侵入した鋼中水素等により発生する一種の水素脆性とさ
れているものであるが、鋼のオーステナイト粒度をAS
TMNo.で8.5以上の細粒に調整して焼入れし、マ
ルテンサイトあるいは低温ベイナイトの組織を得て焼戻
し処理すれば、遅れ破壊の発生が抑制されることが判っ
た。
(b)鋼中の炭化物は水素の集積場所となり、従ってこ
の炭化物が針状、棒状等切欠欠陥形状を呈するときは、
そこが起点となって遅れ破壊が発生しやすいが、焼入れ
した鋼を580℃以上八01へ以下の高温でP LX≧
16.8X103(但しPL11=T (20+log
 t )で、T:焼戻し温度(°K)、L:保持時間(
hr)]の条件で焼戻しすれば、炭化物の球状化がなさ
れて、遅れ破壊の発生が抑制されることが判った。
(C)  オーステナイト粒の微細化はN量と関係を有
し、合金成分としてMOまたはWのいずれか一方または
双方と、I:r、 Nb、 Vを含む鋼においてはN〉
0、0020%で細粒鋼が得られ、耐遅れ破壊性が向上
することが判った。
(d)  C二O,15〜0.45%、Si:1.50
%以下、Mn:Q、Ql〜1.50%を含む鋼に、合金
成分として、Cr:0.50〜2.00%、Mo + 
’/@ W + 0.30〜1.50%、V:0.01
〜0.20%、Nb: 0.005〜0.20%および
B : 0.0050%以下で且つ0.78X [N(
%)−0,002]を越える量を含有させれば、焼入れ
の後、580℃以上Ac+点以下の温度で且つ上記PL
、I値がPtx≧16.8 XIO3の条件で焼戻し処
理しても、オーステナイト粒度のASTMNo.が8,
5以上であれば、降伏強さで150ksi (105,
5kgf /mm’)を越す高強度が安定して得られ、
耐遅れ破壊性にも優れていることが判った。
(e)  オーステナイト粒の微細化は降伏比(降伏強
さ/引張強さ)を上昇させ、従って、同じ降伏強さに対
して引張強さを抑えることができるという点からも耐遅
れ破壊性改善に有効であることが判った。
本発明は上記知見に基づいてなされたものであって、本
発明に従うと、重量%で、 C:0.15〜0.45%、 Si:1.50%以下、 Mn + 0.01〜1650%、 Cr : 0.50〜2.00%、 MoまたはWのいずれか一方または双方:Mo+′AW
で0.30〜1.50%、V:0.01〜0.20%、 Nb : 0.005〜0.20%、 AI:0.01〜0.10%、 N : 0.0020%を越える量、 B:0.0050%以下で且ツQ、78X cN(%)
−0,002:1を越える量、 を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼
をオーステナイト粒度がASTMNo、で8.5以上に
なるように調整して焼入れし、次いで580℃以上で且
つAc1点以下の温度でFil≧16.8 XIO3を
満たす条件で焼戻し処理を施すことを特徴とする耐遅れ
破壊性の優れた高強度鋼の製造法が提供される。ただし
、PL)Iは焼戻し処理における焼戻し温度と保持時間
の関数であって、次式によって示される。
PLM=T (20+1og t  )更に本発明に従
うと、本発明の方法の対象鋼はC:O,15〜0.45
%、 Si:1.50%以下、 Mn : 0.01〜1.50%、 Cr : 0.50〜2.00%、 MoまたはWのいずれか一方または双方:Mo+′AW
で0.30〜1.50%、V:0.01〜0.20%、 Nb : 0.005〜0.20%、 Al  二〇、01〜0.10%、 N:0.0020%を越える量、 B : 0.0050%以下で且つ0.78x [N(
%)−0,002:]を越える量、 を含有し、更に第1群:1.5%以下のCu、4.0%
以下のNi1第1群: 0.001〜0.030%のC
aからなる群より選ばれた1種または2種以上の元素を
含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなるもので
もよい。
作用 次に本発明の方法において、鋼の成分組成及び製造条件
を上記の通りに限定した理由を説明する。
A 成分組成の限定理由 C: Cは鋼の焼入性増加、強度増加に加えて細粒化の
ためにも有効な成分であるが、0.15%未満では強度
低下及び焼入性劣化をきたし、従って所望強度に対して
、炭化物球状化のための高温での焼戻し処理が行なえず
、又所望の細粒鋼を得難くなり、遅れ破壊感受性が大き
くなる。
一方、0.45%を越えてCを含有すると、焼入れ時の
焼割れ感受性が増加し、また靭性劣化をも招くことがら
C含有量を0.15〜0.45%と定めた。
Si:Siは鋼の脱酸及び強度を高めるのに必要な元素
であるほか、変態点を上げて高温焼戻しが安定して行な
えるようにするためにも有効である。
しかしながら、Siの含有量が1.50%を越えると靭
性の劣化が著しくなり、又低pH環境では耐遅れ破壊性
を劣化させることともなるので、その上限を1.50%
とした。
なお、オーステナイト粒を可及的に小さくして、を0.
80%以下とすることが好ましく、更に低pH環境下で
の耐遅れ破壊性をより一層向上させるためには、(Si
+Mn>の値を0.80%以下とすることが好ましい。
Mn:Mnは脱酸、脱硫のばか焼入性の向上に有効な元
素であるが、多量に含有させると鋼の加工性や耐遅れ破
壊性を劣化するようになることから、その上限を1.5
0%とした。低合金鋼の場合、低pH環境下での遅れ破
壊感受性低減のためには(Si +Mn)の値を0.8
0%以下に低減することが有効であるが、Mn含有量を
0.01%未満とすることは鋼の製造上極めて困難であ
り、コストアップを招くことから、Mnの含有量を0.
01〜l、50%とした。安定した細粒鋼を得るには0
.20%以上の添加が好ましい。
Cr:Crは鋼の焼入性、強度及び焼戻し軟化抵抗性を
増大させる作用があり、高温焼戻し処理して高強度鋼を
得るのに有効な元素であるが、その含有量が0.5%未
満では前記作用に所望の効果を帰ることができず、一方
、2.00%を超えて含有させると靭性の劣化及び焼割
れ感受性の増大を来すことから0.50〜2.00%と
した。
Mo5W:MoとWはいずれも鋼の焼入性、強度、靭性
、耐食性および焼戻し軟化抵抗性を増大させ、高温焼戻
し処理を可能にして耐遅れ破壊性を向上させる効果を有
するので、MOまたはWのいずれか一方または双方を含
有することとした。
MoとWの含有量に関して(Mo+%W)で規定するの
は、WがMoに対して原子量が約2倍で、上記した効果
の点ではMOの約半分となるからである。
(Mo+y2W)の値が0.30%未満では上記作用に
所望の効果が辱られず、他方この値が1.50%を越え
るとそれらの添加効果が飽和してしまい、より一層の強
度上昇効果を得ることができず、実質的に不必要な量の
Mo及びWの含有となってコスト上昇を招くので、No
および/またはWの含有量を、(Mo + ’A W)
 の値で0.30〜l、50%とした。
■: ■は鋼の強度上昇、焼戻し軟化抵抗の付与と細粒
化に有効な元素であり、高温焼戻し処理を可能にして耐
遅れ破壊性を向上させるのに有効であるが、0.01%
未満では前記効果が得られず、一方、0.20%を越え
る多量の■の添加をすると靭性の劣化を招くこととなる
ので0.O1〜0.20%とした。
Nb:Nbは鋼の強度、靭性の向上と焼戻し軟化抵抗の
付与、細粒化に対して効果を有し、耐遅れ破壊性の向上
に対しても効果があるが、0.005%未満ではその効
果が十分でなく、一方、0.20%を越えて含有させて
も前記効果が飽和してしまい、また靭性の劣化をも招く
こととなるので、0.005〜0.20%とした。
A1:A1は綱の脱酸の安定化、均質化および細粒化を
図るのに有効であるが、0.01%未満では所望の効果
を得ることができず、他方、0.10%を越えて含有さ
せてもその効果は飽和してしまい、また介在物の増大に
より疵が発生し、靭性も劣化するので0.01〜0.1
0%とした。
N: Nは本発明において重要な元素である。
従来技術ではNは結晶粒界に濃縮偏析しやすく、粒界強
度を低下させ、遅れ破壊抵抗を著しく劣化させるものと
して鋼中のN含有量が制限されていたものである。これ
に対し、上述の如く本発明者等は0.0020%を越え
るNを含有させることによってオーステナイト粒を微細
化せしめ、むしろ耐遅れ破壊性を向上させるのに有効で
あることを発見したものである。従って、本発明では、
Nは結晶粒を微細にして耐遅れ破壊性を向上させる効果
を発揮させるために0.0020%を上廻る量が必要で
ある。
B: Bは焼入性を向上させ、これを通じて強度、靭性
、耐遅れ破壊特性を向上させるのに有効である。しかし
ながらB量が0.78×〔N(%)−0、002)以下
ではその効果が得難く、また0、 0050%を越えて
含有させても添加効果が飽和してそれ以上の特性向上効
果が期待できず、逆に靭性劣化を招(場合も生ずるので
、B含有量は0.78×〔N(%)−0,002)を越
え且つ0.0050%以下とした。
Cu:Cuは強度を増し、耐食性を向上させるために添
加する元素である。Cuを1.5%を越えて含有すると
熱間加工性が劣化するので含有範囲の上限を1.5%と
した。更に、Cuを0.5%以上添加するときには同量
以上のN1を添加して熱間脆性を防止することが好まし
い。
Ni:Niは強度および靭性を向上させるために添加す
る。しかしながら、Niは高価であることに加えて、そ
の多量添加は変態点を大幅に低下させるため高温焼戻し
による耐遅れ破壊性向上を指向した本発明の効果を阻害
することとなるので含有範囲の上限を4.0%とした。
Ca:Caは鋼中介在物を球状化して、特に高強度鋼に
おいて、圧延方向と直角方向の靭性を向上させるのに有
効であるが、0.001%未満ではその効果が得られず
、他方、0.030%を越えると、その効果が飽和する
のみならず、却ってその酸化物等の非金属介在物が増加
して、鋼の清浄性が低下し、遅れ破壊感受性を高めるこ
ととなる。従って、Caの含有量範囲をo、 ooi〜
0.030%とした。
日 製造条件の限定理由 オーステナイト粒度と焼戻し条件: 従来、降伏強さが150ksi (105,5kgf/
mm2)を越える低合金鋼製の高強度油井管は、熱延鋼
管をへc+点以上に再加熱した後焼入れするか、或いは
熱間で製管した後人r5点以上の温度から直接に焼入れ
し、その後Ac+点以下の温度で焼戻すことにより製造
している。しかしながら、直接焼入れした鋼管ではオー
ステナイト粒が粗大であり(ASTMNo.7程度以下
)遅れ破壊に対する感受性が極めて大きい。一方、再加
熱焼入れしたものの場合は、遅れ破壊特性はオーステナ
イト粒度と焼戻し温度によって太き(変化することが本
発明者等の研究により明らかとなった。
即ち、本発明者等は、C5Si、Mn、 Cr、 Mo
5W。
■、Nb、 AI、NおよびBが本発明の範囲内にある
種々の鋼を用い、熱処理、加工熱処理、冷間加工と熱処
理の組合せ等種々の手段を用いてオーステナイト粒度を
変化させ、これを450〜650℃で30分焼戻し処理
した。夫々の鋼板から平行部8.5□φの丸棒引張試験
片を採取して引張試験を行ない、170ksi (11
9,5kgf/mm2)近傍の降伏強さく0.2%耐力
)を有すると確認されたもののみについて遅れ破壊特性
を調査した。
遅れ破壊特性は、第1図(a)に全体の斜視図を、第1
図ら)にUノツチ部の詳細を示した試験片を1つの焼戻
し処理鋼板から5本ずつ切り出し、このUノツチ部にく
さびを挿入した後80℃の温水中に5000時間浸漬し
て、割れ発生の有無を調べて調査し、その結果を第2図
に示した。第2図において、○は5本の試験片のすべて
に割れの発生が認められないことを示し、Xは5本の試
験片のいずれか又は全部に割れ発生が認められたことを
示す。
第2図に示すように、オーステナイト粒度がASTMN
o.8.5未満の場合には焼戻し温度を高くしても割れ
が発生し、一方、焼戻し温度580℃未満の場合はオー
ステナイト粒度をASTMNo.で8.5以上の微細粒
としても割れが発生することが判った。従って、本発明
では焼戻し前のオーステナイト粒度をASTMNo.で
8.5以上に調整し、且つ焼戻しは580℃以上で行な
うように制限する。
次に、本発明者等は、0.30%C−0,30%Si 
−0,43%Mn−0,61%Cr −0,46%Mo
 −0,05%V−0.041%Nb−0.044%A
I −0,0039%N −0,0017%Bの組成を
有する鋼を用いて、オーステナイト粒度をASTMNo
.で10.5に調整して焼入れし、これを600℃に加
熱し保持時間をそれぞれ5分、10分、15分、30分
として焼戻しを行ない、焼戻し後の鋼片について上記と
同様な遅れ破壊試験を行なった。この実験結果より、5
分及び10分の焼戻し処理をしたものには夫々215.
115の割合で、割れが認められた。しかるに15分、
30分の焼戻しを行なったものには割れは認められなか
った。
600℃で10分の焼戻しについては、PL)l= 1
6,78X103、 又600℃で15分の焼戻しについては、PLJl= 
16.93X103、 である。
従って、本発明ではP LX≧16.8 XIO3なる
条件を設けた。なお、この条件は焼戻し温度が580℃
では30分以上の焼戻しが必要なことを示すものである
。すなわち、580℃以上で且つPLM≧16.8×1
03のときに炭化物がよく球状化されて遅れ破壊感受性
が低減されることを上記実験で確認した。
一方、上記鋼を550℃で3時間焼戻し処理したもの(
PLM=16.9X103)について前記の遅れ破壊試
験をしたところ、115の割合で割れが発生していた。
このことからも、焼戻しに関しては、580を以上且つ
PLM≧16.8 X 103のいずれか一方の条件が
欠けても耐遅れ破壊性向上に好ましくないことが明らか
である。
従って、本発明の方法では、580℃以上であり且つP
LM≧16.8 X 10’を焼戻しの条件として規定
したものである。
又、この場合焼戻し温度がA自点を越えると鋼材強度が
大幅に変動するのみならず、遅れ破壊感受性が大きくな
るので焼戻し温度はAc1点以下と定めた。
次に、本発明を実施例により比較例と対比しながら説明
する。なお、これらの実施例は本発明の効果を示す単な
る例示であって、本発明の技術的範囲を何等制限するも
のでないことは勿論である。
実施例1 まず、第1表に示す化学成分組成のw41〜17を溶製
した。次いで、これらの鋼を加熱・圧延し、第2表に示
す条件にて焼入れ、焼戻しを行なった。
焼戻し前のものについてオーステナイト粒度(ΔS T
 M No、 )を測定し、焼戻し後のものについて引
張試験と遅れ破壊試験を行なった。
引張試験は、平行部8.5mmφの丸棒試験片を用いて
行ない、遅れ破壊試験は次の条件にて実施した。即ち、
各鋼種の鋼材から、第1図に示す試験片を5本ずつ切り
出した。第1図(a)はUノツチ付き試験片の全体形状
を示し、第1図(b)は試験片のUノツチの詳細を示す
。このUノツチにくさびを静的に挿入した後、80度の
温水中に5000時間浸漬して割れ発生の有無を調べた
得られた試験結果も併せて第2表に示す。
第2表に示す結果から、本発明の化学成分範囲の鋼は5
80℃以上、PL>1≧16゜8X10:lの条件で焼
戻ししても、150ksi (105,5kgf/mm
’)を越える降伏強さく0.2%耐力)が得られ、しか
も遅れ破壊の発生が零であって、比較鋼に比べて強度と
耐遅れ破壊特性のいずれか又は双方が優れ、強度と耐遅
れ破壊性のバランスが極めて良好であることが明らかで
ある。
実施例2 第3表に示す化学成分組成の鋼18〜20を溶製した。
次いで、これらの鋼を加熱・圧延し、第4表に示す条件
にて焼入れし、次に焼戻しを行なった。
焼戻し前のものについてオーステナイト粒度(ASTM
No.)を測定し、焼戻し後のものについて実施例1と
同じ条件で引張試験と遅れ破壊試験を行なった。
このようにして得られた試験結果も併せて第4表に示す
第4表に示した結果からも、本発明の化学成分の範囲内
の鋼は580℃以上、PL11≧16.8x103の条
件で焼戻ししても150ksi(105,5kgf/m
m2)を越す大きな降伏強さく0.2%耐力)が得られ
、しかも遅れ破壊の発生が零であって、比較鋼に比べて
強度と耐遅れ破壊性のいずれかが優れ、強度と耐遅れ破
壊性のバランスが極めて良好であることが明らかである
実施例3 前記第3表のうちの本発明の方法の対象鋼である鋼19
を加熱・圧延し、第5表に示す条件にて焼入れし、次に
焼戻しを行なった。焼戻し前のものについてオーステナ
イト粒度(ASTMNo.)を測定し、焼戻し後のもの
について実施例1と同じ条件で引張試験と遅れ破壊試験
を行なった。その試験結果も併せて第5表に示す。
第5表の結果から、本発明の方法の対象鋼についても、
本発明の範囲内の処理条件を満足してはじめて、耐遅れ
破壊性が良好になることが判る。
実施例4 前記第3表のうちの本発明の方法の対象鋼である鋼18
を加熱・圧延後、第6表に示す条件にて焼入れし、次に
焼戻しを行なった。焼戻し前のものについてオーステナ
イト粒度(ASTMN(L)をσ111定し、焼戻し後
のものについて実施例1と同じ条件で引張試験と遅れ破
壊試験を行なった。その試験結果も併せて第6表に示す
第6表から、本発明ではオーステナイト粒の微細化方法
の如何に拘わらず、オーステナイト粒子をASTMNI
ILで8.5以上に調整して焼入れ後、それを580℃
以上、PLIII≧16.8 X 103の条件で焼戻
ししさえすれば、耐遅れ破壊性の優れた高強度鋼が得ら
れることが判る。
実施例5 前記第1表に示す鋼のうち本発明の方法の対象鋼である
鋼1.2.3.7及び本発明の範囲外である比較鋼14
を加熱・圧延し、第7表に示す条件で焼入れし、次に焼
戻しを行なった。焼戻し前のものについてオーステナイ
ト粒度(A S T M No、 )を測定し、焼戻し
後のものについて、実施例1と同じ条件で引張試験を行
ない、又実施例1に坐じて、HCIでpHを3.5に調
整した5%食塩水(常温)中に2000時間浸漬する遅
れ破壊試験を行なった。
なお、試験液は48時間毎に交換した。
このようにして、得られた試験結果も併せて第7表に示
す。
第7表に示す結果から、本発明の方法の対象鋼のうちで
も特に(Si+Mn)が0.80%以下の鋼112は低
pHの環境下でも耐遅れ破壊性と強度のバランスが極め
て良好であることが判る。
効果 上述した如く、本発明の方法に従うと、150ksi(
105,5kgf/mm2)を越える高強度と優れた耐
遅れ破壊性を具備して、しかも安価な超高強度油井管の
製造が可能となり、工業上もたらされる効果は極めて大
きいものである。
本発明の方法は、超高強度油井管以外にも、上述と同一
強度レベルの高力ボルト等にも広く応用できるものであ
る。
なお、本明細書中で鋼の化学成分を表示するのに使用し
た%は重量%である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、遅れ破壊試験片の形状を示すものであり、第
1図(a)は試験片全体の斜視図、第1図(b)はその
Uノツチ部の詳細を示すものである。 第2図は、170ksi(119,5kgf/mm2)
近傍の降伏強さを有する本発明の方法の対象鋼の耐遅れ
破壊特性に及ぼす、焼戻し温度(保持30分の場合)と
オーステナイト粒度の影響を示す図である。 特許出願人 住友金属工業株式会社 代理人   弁理士 新居 正彦 第1図 (a) (b) 678910旧1213 オーステナイト末飢度 (ASTM  No、)手続補
正書く自発) 昭和60年4月10日 2、発明の名称 耐遅れ破壊性の優れた高強度鋼の製造法3、補正をする
者 事件との関係 特許出願人 住  所  大阪市東区北浜5丁目15番地名 、称 
 (211)住友金属工業株式会社4、代理人 6、補正により増加する発明の数 (ナシ)7、補正の
対象 「明細書の発明の詳細な説明の欄」8、補正の内
容 (1)明細書の第15頁第19行の“・・・・小さくし
て、”の後に「耐遅れ破壊性を一層向上させるためには
Si含有量」を加入する。 (2)明細書第36頁第2行の“オーステナイト粒子”
を「オーステナイト粒度」に訂正する。 (3)明細書第36頁第3行の“焼入れ後、”を「焼入
れだ後、」に訂正する。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. (1)重量%で、 C:0.15〜0.45%、 Si:1.50%以下、 Mn:0.01〜1.50%、 Cr:0.50〜2.00%、 MoまたはWのいずれか一方または双方: Mo+1/2Wで0.30〜1.50%、 V:0.01〜0.20%、 Nb:0.005〜0.20%、 Al:0.01〜0.10%、 N:0.0020%を越える量、 B:0.0050%以下で且つ0.78×〔N(%)−
    0.002〕を越える量、 を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼
    をオーステナイト粒度がASTMNo.で8.5以上に
    なるように調整して焼入れし、次いで580℃以上で且
    つAc_1点以下の温度でP_L_M≧16.8×10
    ^3を満たす条件で焼戻し処理を施すことを特徴とする
    耐遅れ破壊性の優れた高強度鋼の製造法。 ただし、 P_L_M=T(20+logt) T:焼戻し温度(°K)、 t:保持時間(hr)
  2. (2)重量%で、 C:0.15〜0.45%、 Si:1.50%以下、 Mn:0.01〜1.50%、 Cr:0.50〜2.00%、 MoまたはWのいずれか一方または双方: Mo+1/2Wで0.30〜1.50%、 V:0.01〜0.20%、 Nb:0.005〜0.20%、 Al:0.01〜0.10%、 N:0.0020%を越える量、 B:0.0050%以下で且つ0.78×〔N(%)−
    0.002〕を越える量、 を含有し、更に、1.5%以下のCu、4.0%以下の
    Niのうち1種または2種以上の元素を含み、残部がF
    eおよび不可避的不純物からなる鋼をオーステナイト粒
    度がASTMNo.で8.5以上になるように調整して
    焼入れし、次いで580℃以上で且つAc_1点以下の
    温度でP_L_M≧16.8×10^3を満たす条件で
    焼戻し処理を施すことを特徴とする耐遅れ破壊性の優れ
    た高強度鋼の製造法。 ただし、 P_L_M=T(20+logt) T:焼戻し温度(°K)、 t:保持時間(hr)
  3. (3)重量%で、 C:0.15〜0.45%、 Si:1.50%以下、 Mn:0.01〜1.50%、 Cr:0.50〜2.00%、 MoまたはWのいずれか一方または双方: Mo+1/2Wで0.30〜1.50%、 V:0.01〜0.20%、 Nb:0.005〜0.20%、 Al:0.01〜0.10%、 N:0.0020%を越える量、 B:0.0050%以下で且つ0.78×〔N(%)−
    0.002〕を越える量、 を含有し、更に、0.001〜0.030%のCaを含
    み、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼をオー
    ステナイト粒度がASTMNo.で8.5以上になるよ
    うに調整して焼入れし、次いで580℃以上で且つAc
    _1点以下の温度でP_L_M≧16.8×10^3を
    満たす条件で焼戻し処理を施すことを特徴とする耐遅れ
    破壊性の優れた高強度鋼の製造法。 ただし、 P_L_M=T(20+logt) T:焼戻し温度(°K)、 t:保持時間(hr)
  4. (4)重量%で、 C:0.15〜0.45%、 Si:1.50%以下、 Mn:0.01〜1.50%、 Cr:0.50〜2.00%、 MoまたはWのいずれか一方または双方: Mo+1/2Wで0.30〜1.50%、 V:0.01〜0.20%、 Nb:0.005〜0.20%、 Al:0.01〜0.10%、 N:0.0020%を越える量、 B:0.0050%以下で且つ0.78×〔N(%)−
    0.002〕を越える量、 を含有し、更に、1.5%以下のCu、4.0%以下の
    Niのうちの1種または2種以上の元素と、0.001
    〜0.030%のCaを含み、残部がFeおよび不可避
    的不純物からなる鋼をオーステナイト粒度がASTMN
    o.で8.5以上になるように調整して焼入れし、次い
    で580℃以上で且つAc_1点以下の温度でP_L_
    M≧16.8×10^3を満たす条件で焼戻し処理を施
    すことを特徴とする耐遅れ破壊性の優れた高強度鋼の製
    造法。 ただし、 P_L_M=T(20+logt) T:焼戻し温度(°K)、 t:保持時間(hr)
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EP2447386A4 (en) * 2009-06-24 2016-06-15 Jfe Steel Corp HIGH STRENGTH SEAMLESS STEEL TUBE FOR USE IN OIL HOLES WITH OUTSTANDING SULPHIDE TENSION TREAT STABILITY AND METHOD OF MANUFACTURING THEREOF

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