JPS643505Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、主として自動車ボデイのような大型
でかつ複雑な形態をもつものの塗装作業におい
て、省力化、悪環境からの作業者の解放、更には
生産性や品質の向上等を目指してブース内に多関
節マニプレータを装備した塗装ロボツトを設置し
た塗装ブースで、詳しくは、スプレーミスト排出
用の層流下降気流をつくるための気流吹出装置を
上部に有するブース内の底部に、被塗物を載置し
てこれを前記ブース内に搬入搬出移動させる搬送
装置が設けられているとともに、この搬送装置に
よる被塗物移動経路脇に相当する前記ブース内に
塗装ロボツトが設置されている塗装ブースに関す
る。

上記構成の塗装ブースでは、一般的に前記下降
気流によりブースの下部に集められた塗料ミスト
の捕集装置である排気洗浄装置等がブース横幅方
向の中央部に設けられていることから、ブース内
に作られた下降気流がブース内下方域では中央部
に集中し易く、更に気流の流れに対する障害物と
なるロボツトがブース内の横幅方向の側部に設置
されていることも加わつて、ロボツト周辺部の気
流流れが非常に悪い。殊にロボツト周辺部で渦を
発生し易くて中央部で多量に生じる塗料ミストが
巻き込まれ、この巻き込まれた塗料ミストの排出
が困難で、ロボツト構成部材であるレールや台
枠、車輪、可動アーム等に塗料ミストが多く付着
し、その結果、ロボツトの運動動作が悪化し、ロ
ボツト動力負荷の増大、塗装精度の低下等を招来
し、かつ、ロボツト等のメンテナンスに手間及び
費用が嵩む欠点がある。

本考案は、かかる実情に鑑み、簡単な構成付加
のみをもつて上述の欠点を解消する点に目的があ
る。

上記目的を達成すべく案出された本考案に係る
塗装ブースの特徴構成は、前記ブース内の底部全
面に敷設のグレーチング床の下部で前記ロボツト
設置箇所よりも横外側位置に、その位置からブー
スの横幅方向中央部に向かう水平又はほぼ水平に
高速気流を吹出し形成する口が設けられている点
にあり、このような特徴構成を有する本考案によ
る作用効果は次の通りである。

つまり、前記グレーチング床の下部において前
記ロボツト設置箇所よりも横外側位置からブース
横幅方向の中央部に向けて水平又はほぼ水平に高
速気流を吹出し形成することにより、ロボツト周
辺部の気流をエゼクター効果をもつてグレーチン
グ床を通過吸引させて、ロボツト周辺におけるブ
ース内下方域での気流流れを円滑良好なものにで
きる。従つて、塗料ミストのブース下部への排出
がスムーズで、ロボツト構成部材への塗料ミスト
の付着、それに伴なうロボツト運動動作の悪化、
塗装精度の低下等を極力抑制でき、しかも、ロボ
ツトメンテナンスに対する手間及び費用を著しく
低減できる。その上、高速気流吹出口を設けるだ
けの極く簡単な改良で良く、実施が容易である。

以下本考案の実施例を図面に基づいて詳述す
る。

第１図において２は塗装ブースであり、その上
部には、前記塗装ブース２内に層流下降気流を吹
出し形成するための気流吹出装置１が設けられて
いるとともに、前記ブース２の底部には、前記下
降気流により全面グレーチング床６を通して集合
された塗料ミストを水膜をもつて捕集するための
装置として緩い傾斜をもつ流水板７、洗浄水流出
用樋８、塗料ミスト捕集器９等が設けられ、ま
た、前記全面グレーチング床６のほぼ横幅中央位
置には、自動車ボデイ等の被塗物Ａを載置する台
車１０、及び、この台車１０を駆動移動ならびに
移動停止自在なプツシヤー式チエーンコンベヤ１
１とからなり、被塗物Ａをブース２に対して自動
搬入・自動搬出移動させる搬送装置１２が設けら
れている。この搬送装置１２による被塗物移動経
路の左右両脇に相当する前記塗装ブース２内の横
幅方向両側部夫々には、前記台車１０の移動方向
に沿う状態でグレーチング床６上に敷設のレール
３Ａ上に走行移動自在に転載された第一台枠３Ｂ
と、この第一台枠３Ｂ上で前記の走行移動方向に
対して直交又はほぼ直交する方向に走行移動自在
に転載された第二台枠３Ｃ及びこの第二台枠３Ｃ
上に載置支持された旋回台３Ｄ、駆動起伏自在な
アーム３Ｅ、フレキシブルアーム３Ｆ、スプレー
ガン３Ｇからなり、マイクロコンピユータ制御に
より高精度な軌跡再現性を有するマニプレーター
から構成された塗装ロボツト３，３が設置されて
いる。

上記のような構成のロボツト付塗装ブースにお
いて前記気流吹出装置１は次のように構成されて
いる。

前記塗装ブース２の最上部に、このブース２の
全横幅と等しい横幅の一つの給気チヤンバー１Ａ
が形成され、この給気チヤンバー１Ａの横幅中央
位置には図外送風機により送られてくる調和空気
又は外気の送込口１ａが設けられているととも
に、前記ブース２の横幅方向両端近くには、ブー
ス２の左右両側壁２ａ，２ａに相対向する状態の
隔壁１３，１３が前記給気チヤンバー１Ａの下側
壁１ｂから垂設され、これら隔壁１３，１３と
各々に対向するブース２の左右両側壁２ａ，２ａ
との間に形成される下向き送気経路の下端部に
夫々フイルター１４，１４が張設されているとと
もに、これらフイルター１４，１４よりも高い位
置で前記両隔壁１３，１３間に亘つてフイルター
１５が張設され、もつて、前記ブース２内の横幅
方向両側部と中央部とに、中央部側のものが高く
位置する状態で層流下降気流の吹出口４Ａ，４Ａ
と４Ｂとを形成してある。そして、前記給気チヤ
ンバー１Ａから前記両側吹出口４Ａ，４Ａへの送
気経路、及び、給気チヤンバー１Ａから中央吹出
口４Ｂへの送気経路にはダンパー５Ａ，５Ａ及び
５Ｂが備えられていて、これらダンパー５Ａ，５
Ａ及び５Ｂの開度調整によつて前記両側吹出口４
Ａ，４Ａからの吹出し気流速度が0.2〜0.3ｍ／Ｓ
で、中央吹出し気流速度が約0.4ｍ／Ｓであるべ
く設定構成してある。

そして、前記全面グレーチング床６の下部で前
記ブース２の横幅方向両端外部には、第３図で明
示の如くブース２の中央部に向けて５ｍ／Ｓ〜10
ｍ／Ｓ位の水平又はほぼ水平に高速気流を吹出す
ことにより、前記両側吹出口４Ａ，４Ａから吹出
された比較的低速でかつ塗料ミストの少量を含ん
だエゼクター効果により前記ロボツト３，３背後
の狭い空間を通してグレーチング床６下に吸引す
るようにスリツト型吹出口１４Ａ，１４Ａを有す
る送風チヤンバー１４，１４が設けられていると
ともに、これら送風チヤンバー１４，１４はダク
ト１７，１７を介して前記給気チヤンバー１Ａに
接続されている。図中１６Ａ，１６Ａ及び１６Ｂ
はバツグフイルターである。

尚、一般に乗用車を被塗物とする場合の各部の
標準寸法は次の通りである。

両側吹出口４Ａ，４Ａの横幅（W₂） ＝1000〜1500mm 中央吹出口４Ｂの横幅（W₁）＝3000〜4000mm 両側吹出口４Ａ，４Ａの高さ（H₂） ＝2500〜3000mm 中央吹出口４Ｂの高さ（H₁）＝4000mm また、上記実施例ではブース２内への下降気流
吹出装置１が、ブース横幅方向の中央部と両側部
とで区画構成されたもので示し、この場合、両側
部での気流速度が小さい故に特に有効であるが、
ブース２内への下降気流吹出装置１として、ブー
ス横幅方向の全域に亘つてほぼ一様な速度の気流
を吹出す型式のものに適用しても良い。

更に、前記高速気流吹出口１４Ａとして、前記
給気チヤンバー１Ａとは別個のノズル型式のもの
を用いるも良い。

更にまた、ブース２内の横一側部にのみロボツ
ト３が設置されたものに適用しても良い。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る塗装ブースの実施例を示
し、第１図は概略縦断面図、第２図は第１図−
線横断面図、第３図は要部の拡大縦断面図であ
る。 １……気流吹出装置、２……ブース、１２……
搬送装置、３……塗装ロボツト、６……グレーチ
ング床、１４Ａ……高速気流吹出口、１Ａ……給
気チヤンパー。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 スプレーミスト排出用の層流下降気流をつく
   るための気流吹出装置１を上部に有するブース
   ２内の底部に、被塗物Ａを載置してこれを前記
   ブース２内に搬入搬出移動させる搬送装置１２
   が設けられているとともに、この搬送装置１２
   による被塗物移動経路脇に相当する前記ブース
   ２内に塗装ロボツト３が設置されている塗装ブ
   ースにおいて、前記ブース２内の底部全面に敷
   設のグレーチング床６の下部で前記ロボツト３
   設置箇所よりも横外側位置に、その位置からブ
   ース２の横幅方向中央部に向かう水平又はほぼ
   水平に高速気流を吹出し形成する口１４Ａが設
   けられている塗装ブース。 前記ロボツト３及び高速気流吹出口１４Ａ
   が、前記ブース２の横幅方向の両側各々に設け
   られている実用新案登録請求の範囲第項に記
   載の塗装ブース。 前記高速気流吹出口１４Ａが、前記ブース２
   上部に設けられている前記気流吹出装置１の給
   気チヤンバー１Ａに分岐接続されている実用新
   案登録請求の範囲第項に記載の塗装ブース。