JPS643004Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はクラツチ・コントロール・ケーブルの
防振構造に関する。

マニアル・トランスミツシヨンの車輛では、ク
ラツチペダル周辺から振動音が発生することがあ
る。これはトランスミツシヨン内の歯車どうしの
カタカタという打音の振動がトランスミツシヨン
のケースからそのケーブル・ブラケツト、ケーブ
ルを介して、直接クラツチペダルに伝つたり、あ
るいはケーブルから一旦車体（トーボード）に伝
つたのちブレーキペダルやアクセルペダルに伝わ
り、これらのペダルの可動部分が異音を発生する
と考えられている。この振動異音はクラツチが継
つている場合（クラツチON）で特に周囲が静か
なアイドリング時によく聞こえる。

クラツチ・コントロール・ケーブル１は第１図
に示すように、車体（トーボード）２とトランス
ミツシヨン３に取付けたケーブル・ブラケツト４
とにその外索５が取付けられており、その中の内
索６がクラツチペダル７のレバー８とトランスミ
ツシヨン３のクラツチレバー（図示せず）とに接
続されている。

そこで従来は上述した歯車打音振動の伝達を阻
止するために、第２図に示す如く、ケーブル・ブ
ラケツト４とケーブル１との間にゴムブツシユ９
を介装してケーブル１を取付けると共にトーボー
ド２と外索５との間に外索５をブラケツト４方向
に付勢するスプリングを設けていた。しかし、ゴ
ムブツシユ９だけで遮断特性を向上させて防振を
図るにはゴムブツシユ９を大きくし且つ十分軟ら
かくする必要があるため、クラツチを切る場合に
ペダル７を踏んでもゴムブツシユ９が変形するだ
けで内索６が動かずクラツチが切れないというク
ラツチ無効ストロークが増える欠点がある。

つまり、従来の如く防振をゴムブツシユ９だけ
で達成するならば防振にはバネ定数が小さく、ク
ラツチ無効ストロークを短かくするにはバネ定数
を大きくするという相反する要請に応えねばなら
ず、実用上満足し難かつた。

本考案は上記従来技術の欠点に鑑み、防振とク
ラツチ無効ストロークの増長防止とを併せて達成
することができるクラツチ・コントロール・ケー
ブル防振機構を提供することを目的とする。この
目的は、マス−バネ系の二重防振機構を介してケ
ーブルをブラケツトに取付けることにより達成で
き、更にはバネ定数を非線形とすることにより一
層効果を上げることができる。

以下、図面を参照して本考案を説明する。

第３図は本考案の一実施例の断面構造を示し、
第４図ａ，ｂはゴムブツシユの一例を示し、第５
図はバネ定数の特性を示す。

第３図において、トランスミツシヨンのケース
に固定されているブラケツト４とケーブル１とに
はそれぞれ別々のゴムブツシユ１０，１１を取付
け、双方のゴムブツシユ１０，１１はその間にリ
ング状のマス（重り）１２を介設して従来例と同
様トーボード２とケーブル１の外索との間に設け
られるスプリングによりケーブル１側からブラケ
ツト４側へ押し付けられている。これにより、バ
ネ−マス−バネ系といつた二重防振機構が形成さ
れ、マス１２の存在により共振周波数（_M）が下
つて振動の遮断特性が大幅に向上する。マス１２
は70ｇ前後で十分効果があり、ゴムブツシユ自体
のバネ定数が大きくても振動を良好に遮断するこ
とができる。したがつてバネ定数をいたずらに小
さくしなくても良いから、クラツチを切る場合に
無効ストロークが殆んど生じない。

第３図の実施例では夫々のゴムブツシユ１０，
１１がマス１２と接触する面に小さな突起１３を
設けてある。第４図ａ，ｂに各ゴムブツシユ１
０，１１の一例を示す。この突起１３の存在によ
り、第５図に実線で示す如く低荷重ではバネ定数
が小さく（軟らかく）、高荷重では大きい（硬い）
という非線形のバネ定数が得られる。なお、第５
図の破線は突起なしの特性を示す。第５図のよう
な非線形のバネ定数を特たせた場合は、クラツチ
が継つている場合はケーブル１に殆んど負荷がか
からず、バネ定数の極めて小さな状態でケーブル
１がブラケツト４に取付いていることになり、振
動遮断特性が大幅に良くなる。一方、クラツチを
切る場合はケーブル１に大きな力が加わり、突起
１３がつぶれてバネ定数の極めて大きな状態でケ
ーブル１がブラケツト４に取付いていることにな
る。したがつてクラツチ無効ストロークは殆ど生
じない。なお、クラツチを切る過渡状態では振動
が伝達することになるが、この時間は短いので問
題にならない。

なお、上記実施例ではゴムブツシユ１０，１１
の突起１３がマス１２との接触面にあるが、ブラ
ケツト４、ケーブル１との接触面にあつても同じ
効果を奏する。またゴムブツシユ１０，１１の突
起１３が島点に点散しているが、これの代りに薄
肉の環状突起でも良く、効果は同じである。

以上説明した如く、本考案のクラツチ・コント
ロール・ケーブル防振機構によれば振動の伝達を
良好に阻止できると共に従来防振に伴つて生じて
いたクラツチ無効ストロークの増長を防止でき
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はクラツチ・コントロール・ケーブルの
簡略説明図、第２図は従来のクラツチ・コントロ
ール・ケーブル防振機構を示す断面図、第３図は
本考案のクラツチ・コントロール・ケーブル防振
機構の一実施例を示す断面図、第４図ａ，ｂはゴ
ムブツシユの一例を示す斜視図、第５図はバネ定
数の変化を示すグラフである。 図面中、１はクラツチ・コントロール・ケーブ
ル、２は車体（トーボード）、３はトランスミツ
シヨン、４はケーブル・ブラケツト、５は外索、
６は内索、７はクラツチペダル、８はそのレバ
ー、１０と１１はゴムブツシユ、１２はマス、１
３はゴムブツシユの突起である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) トランスミツシヨンに固定したケーブル取付
   用のブラケツトとクラツチ・コントロール用ケ
   ーブルとにそれぞれゴムブツシユを取付け、両
   方のゴムブツシユ間にマスを介設したことを特
   徴とするクラツチ・コントロール・ケーブル防
   振機構。 (2) 実用新案登録請求の範囲第１項において、上
   記ゴムブツシユは負荷を受ける面に突起を有し
   非線形なバネ定数を呈することを特徴とするク
   ラツチ・コントロール・ケーブル防振機構。