JPH0210814Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、自動車のアクセルペダルとキヤブレ
タとを連結するアクセルケーブルのように、引張
りにより操作力を伝達するようにしたコントロー
ルケーブルの端末をアクセルペダル等の作動部材
に連結する装置に関する。

例えば、自動車のアクセルペダルとキヤブレタ
とをコントロールケーブルで連結する場合に、ケ
ーブルの端末をアクセルペダルに直結すると、急
加速するためにペダルを急激に踏み込んだとき
に、衝撃的な引張力がキヤブレタの操作レバーに
作用してこれを変形させたり、エンジンの振動が
ケーブルを介してペダルに伝達されて運転者に不
快感を与えたりする不具合があり、このため従来
は、コントロールケーブルの端末に固着した金具
とペダルとの間にゴム製の弾性体を介装して、そ
の弾性によりペダルを急激に踏み込んだときの衝
撃力及びエンジンの振動を吸収する方法が採られ
ていたが、この場合に、弾性体が柔かく弾力性が
大きいと、衝撃力及び振動がよく吸収されるのに
対し、通常の走行範囲でペダルを踏圧したときに
も弾性体が大きく弾縮して、ペダルの作動量がキ
ヤブレタに正確に伝達されず、アクセル調整を運
転者の意のままに行なうことが困難となつて安定
した走行ができない不具合があつた。

本考案は、叙上の点に鑑み成されたものであつ
て、コントロールケーブルに作用する引張力が小
さい場合には、作動部材とコントロールケーブル
の端末の間に介装した弾性体の弾力性が小さくな
つて、作動部材とコントロールケーブルとの追随
性を高め、引張力が大きい場合には、弾性体の弾
性力が大きくなつて衝撃力の伝達を阻止し、さら
に、コントロールケーブルの振動を吸収するよう
にしたコントロールケーブルの端末装置を提供す
ることを目的とするものである。

以下、本考案装置をアクセルケーブルの端末と
アクセルペダルの連結部分に適用した一実施例に
ついて第１図及び第２図に基づいて説明する。

第１図において、底板２を有する外筒１内に
は、自由長が外筒１よりも長い第１圧縮コイルば
ね３が嵌装され、この第１圧縮コイルばね３内に
は、外筒１より長さが短かくて底板６を有する内
筒５が嵌装され、その開放端の外周に完成した鍔
７が第１圧縮コイルばね３の自由端に当接され、
内筒５が第１圧縮コイルばね３を弾縮して外筒１
内に押し込まれているとともに、外筒１の開放端
に、前記鍔７に当接する内向きの係止環１０を形
成したナツト９が螺着され、第１圧縮コイルばね
３の復元弾拡力で内筒５が外筒１の開放端から突
出するのが規制されていて、第１圧縮コイルばね
３が外筒１内で予め圧縮された状態で保持されて
初期荷重Paが付与されており、さらに、内筒５
内には、第１圧縮コイルばね３よりばね定数が大
きい第２圧縮コイルばね１２が嵌装されており、
これらの構成部材によつて弾性装置Ａが構成され
ている。

前記した外筒１の底板２には、一対の弾性係止
片１５を有する座板１４が固定され、それらの係
止片１５をアクセルペダル１７の取付孔１８内に
押し込んで、その口縁に係止片１５の鉤部１６を
係止することによつて、弾性装置Ａがアクセルペ
ダル１７に取り付けられているとともに、撚り線
からなるコントロールケーブル２０の一方の端末
が、アクセルペダル１７の取付孔１８から、座板
１４及び外筒１の底板２の夫々の中心孔１４ａ，
７ａを通り、さらに、内筒５の底板６の中心孔６
ａを通つて内筒５内を貫通して第２圧縮コイルば
ね１２の自由端の外側へ突出され、その突出端に
端末金具２１が固着されており、コントロールケ
ーブル２０の他方の端末が図示しないキヤブレタ
の操作レバーに連結され、この操作レバーに付与
された戻しばねの弾力によりコントロールケーブ
ル２０がキヤブレタ側へ引張されて、端末金具２
１が第２圧縮コイルばね１２の自由端に当接され
ている。ここで、キヤブレタが作動の限度位置に
達するときの荷重が第１圧縮コイルばね３の初期
荷重Paに略一致するように設定されている。

次に本実施例の作動について説明する。

アクセルペダル１７を矢線Ｗ方向に踏み込む
と、弾性装置Ａを介してその踏込力がコントロー
ルケーブル２０に伝達されるのであるが、弾性装
置Ａに加わる荷重Ｐとたわみδの関係は、第２図
に示すように、第１圧縮コイルばね３の初期荷重
Paより低荷重の領域では、ばね定数が大きい第
２圧縮コイルばね１２のみが圧縮されて、勾配の
急な直線ａとなり、その初期荷重Paを越えた高
荷重領域では、第２圧縮コイルばね１２に加えて
ばね定数が小さい第１圧縮コイルばね３が圧縮さ
れて、勾配の緩やかな直線ｂとなる特性を示し、
従つて、通常走行時のように、アクセルペダル１
７の踏圧動作を荷重Pa以下の低荷重領域で繰り
返すときには、この低荷重領域における弾性装置
Ａの弾力性が小さいことから、アクセルペダル１
７とコントロールケーブル２０の作動の応答性が
高く、微妙なアクセル調整が可能となるのに対
し、急加速のためにアクセルペダル１７を急激に
踏み込んで荷重Paを超える衝撃力が作用したと
きには、高荷重領域における弾性装置Ａの弾力性
が大きく衝撃力が良く吸収されることから、キヤ
ブレタの操作レバーに過大な負荷が作用するのが
阻止される。

なお、上記実施例では、第１圧縮コイルばね３
のばね定数を第２圧縮コイルばね１２よりも小さ
くしたが、第１圧縮コイルばね３のばね定数が第
２圧縮コイルばね１２に等しいか、或いは、それ
よりも大きい場合にも、第１圧縮コイルばね３と
第２圧縮コイルばね１２が直列接続されており、
第１圧縮コイルばね３の初期荷重Paを超える高
荷重領域で両コイルばね３，１２が同時に圧縮さ
れてばね定数が小さくなることから、第２図と同
じように、ばね定数が低荷重領域で大きく、高荷
重領域で小さい特性を示し、前記と同じような作
用効果を得ることができる。

また、第２圧縮コイルばね１２自体を、第１圧
縮コイルばね３の初期荷重Paよりも小さい初期
荷重の付与された圧縮コイルばねと、初期荷重の
付与されない圧縮コイルばねを直列接続した構成
として、全体を三重構造とすれば、ばね定数が三
段階で順次に小さくなる特性が得られ、ばね定数
が二段階で変化する場合と比べて、ばね定数の急
激な変化を伴うことなく、低荷重領域でより大き
いばね定数を、高荷重領域でより小さいばね定数
を得ることが可能となり、アクセルペダル１７の
踏圧動作がスムーズに連続して行なえ、しかも、
作動の応答性及び衝撃力の吸収性を向上させるこ
とができる。

また、本考案はアクセルケーブルに限らず、衝
撃力及び振動の吸収が必要とされる他の用途のコ
ントロールケーブルにも適用することができ、ま
た、コントロールケーブルの駆動側だけでなく従
動側に適用することが可能である。

上記実施例によつて具体的に説明したように、
本考案のコントロールケーブルの端末装置は、一
端に底板を有する外筒に第１圧縮コイルばねを嵌
装し、該第１圧縮コイルばねに前記外筒より長さ
が短かく一端に底板を有する内筒を嵌装して、そ
の他端に形成した鍔を前記第１圧縮コイルばねの
自由端に当接し、前記外筒の他端に前記内筒の移
動を規制する係止部を設けて前記第１圧縮コイル
ばねを前記外筒内で圧縮状態に保持するととも
に、前記内筒に第２圧縮コイルばねを嵌装し、前
記外筒の前記底板を作動部材に当接し、引張りに
より操作力を伝達するコントロールケーブルの端
末を前記作動部材に形成した挿通孔から前記外筒
及び内筒内に挿通し、該ケーブルの端末に固着し
た金具を前記第２圧縮コイルばねの自由端に当接
したことを要旨とするものであつて、コントロー
ルケーブルの端末を作動部材の挿通孔に挿通し、
その端末と作動部材との間に第１圧縮コイルばね
と第２圧縮コイルばねとを直列接続して介装し、
かつ、第１圧縮コイルばねに初期荷重を付与する
ようにしたから、コントロールケーブルに作用す
る引張力が初期荷重よりも小さい場合には、第２
圧縮コイルばねのみが弾縮し、ばね定数が大きい
ことから、作動部材とコントロールケーブルとの
追随性を高め、引張力が初期荷重よりも大きい場
合には、第２圧縮コイルばねに加えて第１圧縮コ
イルばねが弾縮してばね定数が小さくなることに
よつて、衝撃力の伝達を阻止することができ、ま
た、両圧縮コイルばねの弾性によつて、コントロ
ールケーブルに伝達された振動を吸収することが
できる効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の断面図、第２図は
そのの弾性装置Ａの荷重たわみ特性線図である。 １：外筒、２：底板、３：第１圧縮コイルば
ね、５：内筒、６：底板、７：鍔、９：ナツト、
１２：第２圧縮コイルばね、１７：アクセルペダ
ル、１８：取付孔、２０：コントロールケーブ
ル、２１：端末金具。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一端に底板を有する外筒に第１圧縮コイルばね
   を嵌装し、該第１圧縮コイルばねに前記外筒より
   長さが短かく一端に底板を有する内筒を嵌装し
   て、その他端に形成した鍔を前記第１圧縮コイル
   ばねの自由端に当接し、前記外筒の他端に前記内
   筒の移動を規制する係止部を設けて前記第１圧縮
   コイルばねを前記外筒内で圧縮状態に保持すると
   ともに、前記内筒に第２圧縮コイルばねを嵌装
   し、前記外筒の前記底板を作動部材に当接し、引
   張りにより操作力を伝達するコントロールケーブ
   ルの端末を前記作動部材に形成した挿通孔から前
   記外筒及び内筒内に挿通し、該ケーブルの端末に
   固着した金具を前記第２圧縮コイルばねの自由端
   に当接したことを特徴とするコントロールケーブ
   ルの端末装置。