JPS642455B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は金属板を所望の形状に打抜くための切
刃を形成するパンチおよびダイよりなるプレス加
工機の金型装置に関し、特に板金仕上げ加工にお
いて定尺板に複数の製品をつなぎ部のみを残して
外形切欠加工し、必要な孔あけ、ねじ立て等の加
工を行なつた後、製品の切離しのために、残され
たつなぎ部を正確に打ち抜くためのプレス加工の
金型装置に関するものである。

板金プレス加工において、別工程で加工された
ワークの所望部分を打抜き加工する場合には、打
抜き金型が固定されているため、前加工における
誤差はそのまま、また、ワークが自動的に位置決
めされる場合には、その位置決め誤差がワークの
打抜き精度として製品に出てしまう。特に製品の
切離しの場合には、この打抜き精度が不良の場
合、切離しされたつなぎ部が平滑にならず、製品
の外観を損なうのみならず、この製品の以後の取
扱に際してトラブルを生じ易い。

本発明は、このような打抜き加工において、金
型に位置決め機能を持たせることによつて、自動
機による位置決め誤差を解消すると共に、前加工
における加工誤差の影響を排除して、正確な打抜
き加工を行なうことを可能としたものである。

即ち、本発明は、パンチの刃面より打抜き方向
に突出可能に設けられたガイドピンを有したパン
チ金型をパンチハウジングに収容し、前記パンチ
に噛み合うダイと前記ガイドピンと嵌合するガイ
ド穴とを有したダイ金型をダイハウジングに収容
したプレス加工機における金型装置において、前
記パンチ金型が、前記パンチの軸心とパンチハウ
ジングの軸心とを一致させる方向に力を受け、か
つ、前記ガイドピンがワークのガイド部と当接し
たとき、前記ガイドピンから受ける力によつて前
記パンチハウジング内を水平方向に移動可能に支
持されており、前記ダイ金型が、前記ダイの軸心
とダイハウジングの軸心とを一致させる方向に力
を受け、かつ、前記ダイ金型のガイド穴が前記ガ
イドピンと嵌合したとき、前記ガイドピンから受
ける力によつて、前記ダイがパンチと対向する位
置に配置されるよう前記ダイハウジング内を水平
方向に移動することを特徴とするプレス加工機に
おける金型装置である。

以下、本発明の一実施例を示す図面によつて本
発明を説明する。

第１図は本発明のプレス加工機の金型装置にお
けるパンチ金型１およびそれに対応するダイ金型
１４を示す。パンチ金型１はパンチ２を有するパ
ンチベース３が、金型スリーブ４内に摺動自在に
収納されており、パンチベース３の上部にはシヤ
ンク５を介してパンチヘツド６が取付けられてい
る。金型スリーブ４の上部はフランジで止め蓋７
により閉鎖され、パンチヘツド３の上方への行程
を制限している。パンチヘツド６と止め蓋７との
間にはストリツプばね８が設けられており、この
ストリツプばね８は打抜き後に、ワークに喰込ん
だパンチ２を引抜く際の引抜き力を与える。パン
チベース３にはパンチ２の両側にガイドピン９お
よび１０が摺動自在に埋設され、それぞれのガイ
ドピインの基部に設けられた緩衝ばね１１および
１２によつて下方に押されている。金型スリーブ
４には側部にパンチ金型１の方向を規制する方向
決めピン１３が突設されており、金型スリーブ４
の下面にはパンチ２およびガイドピン９および１
０のための貫通孔が設けられ、無負荷時において
パンチ２の先端は金型スリーブ下面より若干引込
んだ位置にあり、ガイドピン９および１０の先端
は金属スリーブ下面により若干突出した位置にあ
る。第２図はパンチ金型１の下面図を示し、パン
チ２は断面角形となつている。

第１図において、ダイ金型１４はパンチ２に対
応して切刃を形成するダイ１５およびガイドピン
９および１０に対応するガイド穴１６および１７
を有し、側部には方向決めピン１８が突設されて
いる。第３図はダイ金型１４の上面図を示す。

第４図は第１図のパンチ金型１がパンチホルダ
２１を介してパンチハウジング２５に保持され、
ダイ金型１４がダイホルダ５１を介してダイハウ
ジング５５に保持された状況を示す縦断面図であ
る。但し、第４図の中心線より左は金型装置の正
面より見た縦断面を示し、中心線より右は側面よ
り見た場合の縦断面を示している。

第４図において、パンチ金型１の金型スリーブ
４は、パンチホルダ２１に摺動自在に保持され金
型スリーブ４に突設された方向決めピン１３がパ
ンチホルダ２１に溝状に設けられたピンガイド２
２に嵌合することによつて方向決めされる。パン
チホルダ２１はその下部に組合わされたオルダム
中間板２３および更にその下部の固定板２４によ
つてオルダム機構を構成し、固定板２４はハウジ
ング２５に固定される。パンチホルダ２１および
オルダム中間板間２３は、その周辺とハウジング
２５との間にクリアランスを有し、そのクリアラ
ンスの範囲で移動することができる。

第５図ａ，ｂおよびｃはパンチ金型１を保持す
るオルダム機構を分析して示したもので、ａはパ
ンチホルダ２１、ｂはオルダム中間板２３、ｃは
固定板２４を示す斜視図である。パンチホルダ２
１は下面に条溝２６を有する円板部２７と下方へ
伸びる円筒部２８とよりなり、金型スリーブ４が
上下に摺動する内壁２９には金型スリーブ４に突
設された方向決めピンが嵌合する溝状のピンガイ
ド２２が設けられている。オルダム中間板２３に
はパンチホルダ２１の条溝２６に係合する凸条３
０が上面に、また、凸条３０と直角方向の凸条３
１が下面に設けられ、凸条３１は固定板２４の条
溝３２に係合する。オルダム中間板２３および固
定板２４の円筒状内壁は、パンチホルダ２１の円
筒部２８の外壁の径より若干大きい径を有し、三
者を重ねてオルダム機構を形成したとき、パンチ
ホルダ２１はその条溝２６の方向に変位可能とな
つている。また固定板２４の外径は、オルダム中
間板２３およびパンチホルダ２１の円板部２７の
外径より若干大きく、オルダム中間板２３はその
上部のパンチホルダ２１と共に凸条３１の方向に
変位可能となつており、従つてパンチホルダ２１
の内壁に摺動自在に収納された金型スリーブ４
は、ピンガイド２２によつて方向決めされると共
に前後左右に与えられたクリアランスの範囲で変
位可能である。

第４図において、パンチホルダ２１に摺動自在
に収納された金型スリーブ４はその上端のフラン
ジが金型受板４１で支持され、該金型受板４１は
パンチホルダ２１との間に設けられた支持ばね４
２によつて上方に押されている。一方、金型受板
４１とパンチホルダ２１との間には止めねじ４３
が固定され、金型受板４１は止めねじ４３のヘツ
ドとパンチホルダ２１の上面との間のみ上下可能
に制限される。従つて金型スリーブ４はプレス工
程において、この止めねじ４３で制限された行程
だけパンチホルダ２１内を摺動する。支持ばね４
２は、パンチヘツド６と金型スリーブ４の止め蓋
７との間に設けられたストリツプばね８よりは弱
いばね力に設定される。

本発明の金型装置においては、パンチ金型の下
方にワークが挿入されるスペースを隔てて、ダイ
金型１４がダイホルダ５１に保持されて設置され
る。ダイホルダ５１にはダイの方向決めピン１８
を受けるピンガイド５２が設けられており、パン
チ金型１のパンチ２を受けて切刃を形成するダイ
１５およびガイドピン９および１０を受けるガイ
ド穴１６および１７がそれぞれ正しく対応するよ
うにダイの方向決めが行なわれる。ダイ金型１４
は止めねじ５６によつてダイホルダ５１に係止さ
れる。ダイホルダ５１はその下部のオルダム中間
板５３および固定板５４と組合わさつてオルダム
機構を形成し、固定板５４がハウジング５５に固
定され、ダイホルダ５１およびオルダム中間板と
ハウジングとの間にはクリアランスがあり、その
クリアランスの許容範囲内でダイホルダ５１は変
位することができる。第６図ａ，ｂおよびｃはダ
イを支持するオルダム機構を分解して示した斜視
図で、その組立ておよび作動は第５図に示したパ
ンチホルダにおけるオルダム機構と原理的に同一
である。

パンチ金型およびダイ金型における保持機構で
あるパンチホルダ２１およびダイホルダ５１は、
センタリング機構によつて無負荷時にはそれぞれ
中心合わせされる。このセンタリング機構はオル
ダム機構によつて変位可能なパンチホルダ２１お
よびダイホルダ５１をそれぞれの周囲のハウジン
グから均等に押付けることによつて達成される。
第４図において、この機能はハウジングの三方ま
たは四方から押しばね６１によつて押されるプツ
シユピン６２によつて行なわれる。

パンチホルダ２１およびダイホルダ５１に設け
られるピンガイド２２および５２は、それぞれ金
型スリーブ４およびダイ金型１４に突設されたガ
イドピン１３および１８に対し若干遊びを有する
ことが好ましい、この遊びによつて、本発明の金
型装置はオルダム機構による前後左右への変位自
由度の他に、回転方向についても自由度を有する
こととなり、打抜き処理されるワークの金型に対
する平行性の誤差に対しても修正することができ
る。この場合、ダイ金型１４をダイホルダ５１に
係止する止めねじ５６は、その先端に滑り用ボー
ルを介在せしめることにより、ダイの回転自由度
を保持する必要がある。

本発明の金型装置に用いられるオルダム機構
は、その組合わせ面に滑り材、例えばローラベア
リングを介在せしめて、その相互変位をより円滑
にすることができる。

本発明の金型装置は以下のように作動する。第
７図は本発明のプレス加工機によつて打抜加工さ
れるワーク７１を示し、そのつなぎ部７４のみを
残した状態で外形切欠加工され、かつ、各製品は
切欠部７５の切欠加工やねじ孔部７６の孔あけ加
工等の必要な加工がすまされているもので、つな
ぎ部７４を打抜加工することによつて、各製品７
３を定尺材７２より切離そうとするものである。

加工装置（図示せず）にクランプされたワーク
は、例えばNC制御により本発明の金型装置のパ
ンチ刃とダイの女刃との間に打抜加工されるべき
つなぎ部７４が位置決め固定される。次いでパン
チ金型１のパンチヘツド６に油圧その他による下
降圧力が加わり、パンチ金型１が下降する。この
際、金型スリーブ４を支持する支持ばね４２がま
ず圧縮され、金型スリーブ４と共にパンチ金型１
全体がパンチホルダ２１内を摺動下降する。する
とガイドピン９および１０がまずワーク７１のつ
なぎ部７４の両側の外形切抜き部７７のガイド部
７８に挿入される。第７図の破線で示した円７９
は金型位置を示し、つなぎ部７４上に示す斜線部
はパンチ２による切刃位置８０を示す。

ガイド部７８へガイドピン９および１０が挿入
された時、ワークの位置決めに誤差があれば、パ
ンチ金型はオルダム機構によつてガイドピンにな
らつてその位置を変位し、パンチ２は正しくつな
ぎ部７４の上部に位置する。

パンチ金型１が更に下降するにつれて、ガイド
ピン９および１０は更にダイ金型１４のガイド穴
１６および１７に挿入され、このガイドピン９お
よび１０の挿入によつてダイ金型１４はそのオル
ダム機構により、ダイホルダ５１が変位し、ダイ
金型１４のダイ１５がつなぎ部７４の下部でパン
チ２と正しく対応した位置をとる。

パンチ金型１が更に下降して、金型スリーブ４
の下面がワークをダイ１４の上面に挟みつけると
金型スリーブの下降が停止し、今度はストリツプ
ばね８が押され、パンチベース３が金型スリーブ
内を下降し、パンチ２がダイ金型１４のダイ１５
と共にワーク７１の所定のつなぎ部７４を正確に
打抜く。

打抜きが終つてパンチヘツド６の圧力が解除さ
れると、ストリツプバネ８の復原力によつてパン
チ２はワーク７１から引抜かれ、次いで支持ばね
４２の力によつて金型スリーブ４が引上げられ、
金型装置はもとの状態に戻る。ワークはNC制御
機構により移動し、次の打抜き箇所である別のつ
なぎ部が位置決めされる。

本発明の金型装置は、上記のように位置決めさ
れたワークに対し、ガイドピンによつて金型側が
位置調整を行なうので、前加工による加工誤差、
例えば、長尺物における両端の加工箇所が打抜き
加工時の伸び等により変化したりする等の悪影響
を受けず、極めて高精度に打抜き加工を行なうこ
とができ、優れた仕上りの打抜き製品を得ること
ができる。また、ワークの自動送り機構における
誤差があつても、金型側で補正を行なうので、自
動送り機構として高精度のものを必要とせず、機
械製作コストを大巾に下げることができる。

本発明の金型装置は、上記したような、加工さ
れた板金の切離し用金型として極めて有用である
が、その他一般の打抜き金型、パンチプレス用金
型、板金の二次加工金型等としても有効に利用す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例におけるパンチ金型
およびダイの縦断面図で、第２図は第１図のパン
チ金型の下面図、第３図は同じくダイ金型の上面
図を示す。第４図は第１図のパンチ金型およびダ
イ金型が機械のハウジングに保持された状態にお
ける縦断面図で、左半分は正面に平行の、右半分
は側面に平行の断面を同一図に示してある。第５
図ａ，ｂおよびｃはパンチ金型を保持するオルダ
ム機構の分解斜視図で、第６図ａ，ｂおよびｃは
ダイ金型を保持するオルダム機構の分解斜視図で
ある。第７図は本発明の金型装置で打抜き加工さ
れるワークの一例を示す。 図示された要部と符合との対応は次のとおりで
ある。１…パンチ金型、２…パンチ、３…パンチ
ベース、４…金型スリーブ、５…シヤンク、６…
パンチヘツド、７…止め蓋、８…ストリツプば
ね、９，１０…ガイドピン、１１，１２…緩衝ば
ね、１３…方向ピン、１４…ダイ金型、１５…ダ
イ、１６，１７…ガイド穴、１８…方向決めピ
ン、２１…パンチホルダ、２２…ピンガイド、２
３，５３…オルダム中間板、２４，５４…固定
板、２５，５５…ハウジング、２６，３２…条
溝、３０，３１…凸条、４１…金型受板、４２…
支持ばね、４３…止めねじ、５１…ダイホルダ、
６１…押しばね、６２…プツシユピン、７１…ワ
ーク、７２…定尺材、７３…製品、７４…つなぎ
部、７５…切欠部、７６…ねじ孔部、７７…外形
切抜き部、７８…ガイド部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ パンチの刃面より打抜き方向に突出可能に設
   けられたガイドピンを有したパンチ金型をパンチ
   ハウジングに収容し、前記パンチに噛み合うダイ
   と前記ガイドピンと嵌合するガイド穴とを有した
   ダイ金型をダイハウジングに収容したプレス加工
   機における金型装置において、 前記パンチ金型１が、前記パンチ２の軸心とパ
   ンチハウジング２５の軸心とを一致させる方向の
   力を受け、かつ、前記ガイドピン９，１０がワー
   ク７１のガイド部７８と当接したとき、前記ガイ
   ドピンから受ける力によつて前記パンチハウジン
   グ内を水平方向に移動可能に支持されており、 前記ダイ金型１４が、前記ダイ１５の軸心とダ
   イハウジング５５の軸心とを一致させる方向の力
   を受け、かつ、前記ダイ金型のガイド穴１６，１
   ７が前記ガイドピンと嵌合したとき、前記ガイド
   ピンから受ける力によつて、前記ダイ１５がパン
   チ２と対向する位置に配置されるよう前記ダイハ
   ウジング内を水平方向に移動することを特徴とす
   るプレス加工機における金型装置。 ２ 前記パンチ金型１は、前記パンチハウジング
   ２５内にＸ軸に移動可能なパンチホルダ２１内に
   収容され、このパンチホルダは、Ｙ軸方向に移動
   可能なオルダム中間板２３によつて支持されて、
   水平方向に移動可能である、特許請求の範囲第１
   項に記載の金型装置。 ３ 前記ダイ金型１４は、前記ダイハウジング５
   ５内にＸ軸に移動可能なダイホルダ５１内に収容
   され、このダイホルダはＹ軸方向に移動可能なオ
   ルダム中間板５３によつて支持されて、水平方向
   に移動可能である、特許請求の範囲第１項に記載
   の金型装置。 ４ パンチ金型１およびダイ金型１４が、それぞ
   れ方向決めピン１３，１８を有する、特許請求の
   範囲第１項に記載の金型装置。 ５ 方向決めピン１３，１８が、ワーク７１の進
   行方向に対し、若干の方向変更が可能な遊びを有
   する、特許請求の範囲第４項に記載の金型装置。 ６ ガイドピン９，１０が、緩衝ばね１１，１２
   を介してパンチ金型１に摺動自在に埋設されてい
   る、特許請求の範囲第１項に記載の金型装置。 ７ パンチ金型１が、パンチホルダ２１内を摺動
   する金型スリーブ４、金型スリーブ４内を摺動し
   パンチ２を有するパンチベース３パンチヘツド６
   およびパンチヘツド６とパンチベース３を連結す
   るシヤンク５よりなり、金型スリーブ４とパンチ
   ヘツド６との間にパンチ２の引抜き力を与えるス
   トリツプばね８を有する、特許請求の範囲第１項
   に記載の金型装置。 ８ 金型スリーブ４を、パンチホルダ２１内に一
   定間隔だけ摺動自在に保持する支持ばね４２が金
   型受板４１とパンチホルダ２１との間に挟持され
   ている、特許請求の範囲第１項記載の金型装置。