JPS642346Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 本考案は電力用しや断器等に用いられるしや断
器の流体圧操作装置の構造に関するものである。

〔考案の技術的背景〕

第１図は従来のしや断器における操作シリンダ
の一例の構造を示すものである。

第１図において、接点１とピストン２とはピス
トンロツド３を介して結合され、ピストン２はシ
リンダ４内部に嵌合しており往復駆動される。ダ
ンパピストン５はピストン２と一体化されてお
り、またシリンダ４の一端はフランジ６で閉塞さ
れている。ピストン２のストロークエンド付近で
ダンパピストン５がフランジ６に形成された凹部
に嵌合しダンパ室７を形成する。シリンダ４の側
面には高圧配管８ａ，８ｂが接続されており、シ
リンダ４は他端側においてフランジ９に固定され
ている。このフランジ９にはピストンロツド３が
挿通されている。

接点１に対する指令と同時にシリンダ４内のピ
ストン２上面側チヤンバ１０ａに配管８ａより高
圧流体が供給され、ピストン２はフランジ６側す
なわち図示下方へ動作する。なお、このときピス
トン２の反対側すなわち図示下面側チヤンバ１０
ｂは配管８ｂを介して大気と連通している。図示
破線のようにダンパピストン５の先端すなわち図
示下端がフランジ６の凹部に達してダンパ室７を
形成した後は、ダンパピストン５の移動とともに
ダンパ室内は流体が徐々に圧縮されて昇圧する。
このため、ピストン２およびダンパピストン５に
は、ダンパピストン５の断面積と流体圧力との積
で表わされる抗力が作用する。この抗力によりピ
ストン２は減速され、そのストロークエンドでピ
ストン２とシリンダ４に一体化されたフランジ６
とが高速で衝突することなく円滑な動作が行なえ
る。しかしながら、ダンパ室７の容積が大きい場
合等には、ダンパ室７内の流体がピストン２のス
トロークエンド付近まで圧縮された際に異常に高
く昇圧することが考えられる。このとき、ピスト
ン２およびダンパピストン５には下方への駆動力
に比べて相当大きな抗力が上方に作用し、ピスト
ン２は動作途中で停止するか、あるいは上方へ逆
戻りする現象が生じる。これは、ダンパピストン
５とフランジ６との嵌合部からの流体のリークに
よつてダンパ室内の流体圧力が低下するまで維持
される。この現象は接点１の開閉動作にも悪影響
を及ぼし、特に接点１の開動作の場合には大電流
を確実にしや断できないなどの不具合を生じると
考えられる。

また、ピストン２およびダンパピストン５がフ
ランジ６側すなわち図示下方位置にある状態にお
いて、接点１に指令が与えられると配管８ｂより
シリンダ４内のチヤンバ１０ｂに高圧流体が供給
されるが、このとき次のような理由によりピスト
ン２の動作開始が著しく遅れるおそれもある。

ピストン２の断面積をSp、ダンパピストン５
の断面積Sd、流体圧力をＰとすれば、ダンパピ
ストン５がフランジ６から抜け出る（図示破線の
状態になる）まで（Sp−Sd）Ｐなる操作力でピ
ストン２が駆動され、その後該操作力はSpPに増
加する。一方、ダンパピストン５によりダンパ室
７が形成されている間、ダンパピストン５とフラ
ンジ６とのクリアランスからの流体流入量が不足
するため、ダンパ室７内は負圧になり、ピストン
２には下方への抗力が発生する。したがつて、ピ
ストン２の上方への動作開始時には操作力がかな
り抑制されるため、動作の高速化が期待できな
い。

このように、従来の流体圧操作装置においては
しや断器の動作に対する信頼性あるいは動作性能
を著しく低下させるという問題があつた。

〔考案の目的〕

本考案は、高速動作可能な動作性能および充分
な信頼性を得ることを可能とするしや断器の流体
圧操作装置を提供することを目的としている。

〔考案の概要〕

本考案は、操作シリンダ内に嵌合し流体圧によ
り駆動されるピストンに一体化されたダンパピス
トンが、該ピストンの動作行程端で上記操作シリ
ンダの一端を塞ぐフランジとの間でダンパ室を形
成するしや断器の流体圧操作装置において、上記
フランジに上記ダンパ室と上記シリンダ内チヤン
バとを連通する流路を配設し、弁体が常時上記チ
ヤンバ側に付勢され且つ該弁体に常時両者を連通
する絞りが穿設されたチエツク弁を上記流路に設
けたことを特徴としている。

〔考案の実施例〕 第２図は本考案の一実施例の構成を示すもので
あり、第１図と同様の部分には同符号を付してそ
の詳細な説明は省略する。

第２図に示すように、フランジ６内にチヤンバ
１１を設け、このチヤンバ１１はポート１２ａを
介してシリンダ４内のチヤンバ１０ｂと連通さ
せ、ポート１２ｂを介してダンパ室７と連通させ
る。そして、チヤンバ１１内にはチエツク弁１３
およびその背後部に圧縮ばね１４を設ける。チエ
ツク弁１３はシリンダ４内チヤンバ１０ｂと連通
するポート１２ａと、ダンパ室７と連通するポー
ト１２ｂとの間をチヤンバ１１において開閉する
ものであり、圧縮ばね１４により常時ポート１２
ａ側すなわちチヤンバ１０ｂ側へ付勢されてい
る。さらに、チエツク弁１３にはポート１２ａと
チヤンバ１１とを連通する絞り（細孔）１５を設
ける。

次にこのような構成における作用について説明
する。

ピストン２が図示下方位置にある状態で、高圧
流体が配管８ｂからシリンダ４のチヤンバ１０ｂ
に供給されると、ポート１２ａに流入した流体圧
によりチエツク弁１３が圧縮ばね１４に抗して開
く。このとき、高圧流体はチヤンバ１１、ポート
１２ｂを通してダンパピストン５の下面に供給さ
れ、その上チヤンバ１０ｂ内の流体圧も加わつ
て、ピストン２はその断面積Spと流体圧Ｐとの
積SpPなる操作力で駆動される。このため、ピス
トン２はその動作開始タイミングが早くなり、ま
た動作後ダンパピストン５がダンパ室７を抜け出
るまでの時間が短縮される。

したがつて、しや断器の動作高速化が可能とな
る。

また、ピストン２が図示上方位置から図示下方
へ動作した際には、ダンパピストン５とフランジ
６が嵌合しダンパ室７を形成した後は、ダンパ室
７内の流体圧が上昇する。このとき、ポート１２
ｂより流体がチヤンバ１１に流入し、圧縮ばね１
４と流体圧による力で、チエツク弁１３がポート
１２ｂおよびチヤンバ１１とポート１２ａとの間
を閉止する。しかし、チエツク弁１３に設けられ
た絞り１５により、ダンパ室７内の流体は大気と
連通したチヤンバ１０ｂ内に排出されるため、ダ
ンパ室７内の流体圧が異常に高くなることはな
い。ダンパ室７内の流体圧は絞り１５の径によつ
て調整することが可能である。

したがつて、ダンパピストン５には適正化され
た流体圧力による抗力が図示上方へ作用するた
め、ピストン２の不安定動作はなく、円滑なダン
パ効果が得られる。

第３図にピストンストロークａ、ダンパ室７内
圧力ｂ、動作指令電流ｃのタイミングチヤートを
示す。同図において破線は従来例の場合、実線は
本実施例の場合をそれぞれ示している。

なお、本考案は上述し且つ図面に示した実施例
にのみ限定されることなく、その要旨を変更しな
い範囲内で種々変形して実施することができる。

〔考案の効果〕

本考案によれば、シリンダ内のチヤンバとダン
パ室とを通過する流路をフランジ内に設け、この
流路内にチエツク弁を設けると共に、該チエツク
弁に両側を連通する絞りを配したことにより、適
正なダンパ作用を実現することができ、動作性能
および信頼性の高いしや断器の流体圧操作装置を
提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来装置の一例における要部である操
作シリンダ部分の構成を示す断面図、第２図は本
考案の一実施例の要部構成を示す断面図、第３図
は同実施例におけるタイミングチヤートである。 １……接点、２……ピストン、４……シリン
ダ、５……ダンパピストン、６，９……フラン
ジ、７……ダンパ室、８……配管、１１……チヤ
ンバ、１２ａ，１２ｂ……ポート、１３……チエ
ツク弁、１４……圧縮ばね、１５……絞り。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 操作シリンダ内に嵌合し流体圧により駆動され
   るピストンに一体化されたダンパピストンが、該
   ピストンの動作行程端で上記操作シリンダの一端
   を塞ぐフランジとの間でダンパ室を形成するしや
   断器の流体圧操作装置において、上記フランジに
   上記ダンパ室と上記シリンダ内チヤンバとを連通
   する流路を配設し、弁体が常時上記チヤンバ側に
   付勢され且つ該弁体に常時両者を連通する絞りが
   穿設されたチエツク弁を上記流路に設けたことを
   特徴とするしや断器の流体圧操作装置。