JPS641597Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、水道の既設給水本管から新たに設
けた分岐管に流れを切り換える際、該給水本管の
分岐位置に取り付けて不断水（給水本管内の流水
の流れを予め設置された制水弁で止めることなく
流水状態で工事を実施すること）で切換え工事を
施工するために使用される補助装置、いわゆる水
道管切換え工事用補助装置に関する。

本出願人は先に、実願昭58−19119号（実開昭
59−125684号）において、「給水本管に直交して
設置され、該給本管の外径よりも大なる内径を有
し、該給水本管を水密に挟着して組み立てられ、
かつ、上部が開口した有底筒状の穿孔筒部と、前
記穿孔筒部に連通し、かつ、前記給水本管に対し
て所要の角度をもつて配された分岐管部と前記穿
孔筒部内に配され、少なくとも給水本管の下流側
に対する面は該給水本管に直交する平面を有する
垂直弁と、前記穿孔筒部内の垂直弁の上位に配さ
れ、開口部との水密を計る水平弁と、前記給水本
管に摺動自在に外嵌され、該給水本管の下流側よ
り前記穿孔筒部内に水密を保つて挿入され、前記
垂直弁の当接面で水密を計る摺動スリーブと、か
らなる水道管分岐工事用補助装置」を提案した。

そして、この先行技術の装置の使用について
は、まず、垂直弁及び水平弁を取り外したこの装
置を支管を分岐する位置の給水本管に組み付け固
定し、分岐筒部に分岐管を配設し、その後、穿孔
筒部の上端に配された作業用制水弁を介して穿孔
機により給水本管を穿孔切断する。次いで穿孔機
及び切断片を取り外したのち、作業用制水弁を介
して、垂直弁を下流側の給水本管の切口部の付近
に挿入臨ませ、また、水平弁を穿孔筒部の開口部
内に挿入して密嵌する。しかる後、摺動スリーブ
を前進させ、その先端を垂直弁の下流側面に衝接
させて垂直弁と摺動スリーブとの水密を図る。し
かる後、作業用制水弁等を取り外すことによりこ
の装置を使用した水道管分岐工事の全作業が終了
するものである。

そして、この先行技術の装置によれば、給水
本管の一方の側のみを垂直弁と摺動スリーブとの
当接で閉塞するので分岐管部を自由に配設するこ
とができる、分岐工事および切換え工事にも共
用に使用することができる、等の長所を有する反
面、次の不具合も指摘できる。給水本管からの
流水の流れは垂直弁に直角に衝突し、圧力損失が
大きく、ひいては有害な振動を発生することにな
る。この装置を構成する部品数が多く、製造費
用がかかり、使用手順も煩雑となる。これはこの
装置を切換え工事用と使用するとき、特に顕著で
ある。

そこで、本考案は上記実状に鑑み、先行技術を
更に改良して、切換え工事用として専用に使用し
て便利な水道管工事用補助装置を提供することを
技術的課題とする。本考案はこのため、流れ遮断
弁に替え、流れ切換え弁を特別に工夫することに
より上記技術的課題を達成することを基本的技術
思想とする。

本考案の水道管切換え工事用補助装置は具体的
には、その構成（技術手段）を採る。給水本管
に直交して設置され、該給水本管の外径よりも大
なる内径を有し、該給水本管を水密に挟着して組
も立てられ、かつ、上部が開口した有底筒状の穿
孔筒部と、該穿孔筒部に連通し、かつ、該穿孔
筒部及び給水本管に対して実質的に直交するとと
もに一方向に分岐する分岐管部と、前記穿孔筒
部内に配され、垂直弁部と水平弁部とからなり、
該垂直弁部はその面を凹曲面に形成されるととも
に、該凹曲面を給水本管の活水側と分岐管側とに
対向して配され、かつ、穿孔筒部の側壁面及び底
面との水密を図り、また、該水平弁部は垂直弁部
の上位に配され、開口部との水密を図る流れ切換
え弁と、からなる。

ここに、上記分岐管部が穿孔筒部及び給水本管
に対して「実質的に直交する」とは、90゜に限定
されるものではなく、流れ切換え弁の垂直弁部が
所要の機能を奏する範囲の角度を許容するもので
ある。

本考案の装置は次のようにして使用される。流
れ切換え弁を取り外した本装置を、給水本管の流
れを切り換える切換え位置（バイパス管の設置に
あつては上下流の２箇所）の給水本管に組み付け
固定し、分岐管部に分岐管を配設する。次いで、
穿孔筒部の上端に配された作業用制水弁を介して
穿孔機により給水本管を穿孔切断する。その後、
穿孔機および切断片を取り外したのち、作業用制
水弁を介して、流れ切換え弁を、その垂直弁部の
凹曲面部を水道本管の活水側（バイパス管の設置
にあつては、上流位置にある本装置においては上
流側、下流位置にあるものでは下流側をいう。）
と分岐管側とに対向させて穿孔筒部内の側面およ
び底面との水密を図り、また、その水平弁部を穿
孔筒部の開口部との水密を図りつつ、穿孔筒部内
に挿入設置する。しかる後、作業用制水弁等を取
り外すことにより本装置を使用した水道管切換え
工事は終了する。

本考案の装置は以下の特有の効果を有する。

給水本管、穿孔筒部、および分岐管部は互い
に直交して配されているので、流路の面積は最
大となり、流水の流れは円滑である。

流れ切換え弁の垂直弁部の凹曲面は、穿孔筒
部において、給水本管の活水側と分岐管側とに
対向して配されるので、流水の流れはこの曲面
で円滑に曲げられ、乱流を生じることなく、圧
力損失を可及的小さくできる。

以下、本考案の実施例を添付の図面に基づいて
説明する。

Ｐは給水本管であつて、該給水本管Ｐの分岐管
配設部に本考案の装置Ｓが取り付けられる。Ｑは
給水本管の分岐箇所に穿孔機により切断された切
断部である。

１は上部に開口部１１を有する穿孔筒部であつ
て、給水本管Ｐの中心軸Ｏを含む水平面を境に上
部穿孔筒部１ａと下部穿孔筒部１ｂとに分割され
てなる。上部穿孔筒部１ａと下部穿孔筒部１ｂと
はその端面を衝合し、溶接もしくはフランジ衝合
により一体に組み立てられ、全体として上部を開
口し下部を有底の一体の筒状体に形成される。そ
して、該穿孔筒部１は内径を給水本管Ｐの外径よ
り大とし、該給水本管Ｐに直交して配される。本
実施例では下部穿孔筒部１ｂは有底でかつ可及的
短かく形成される。換言すれば後述の穿孔機のカ
ツターが給水本管Ｐを切断するのに最小限の深さ
を有すればよい。

この穿孔筒部１において、１２は穿孔筒部の上
端部外方に張設されたフランジ、１３は穿孔筒部
の上方内周面に固設された、後述の流れ切換え弁
の外周のパツキングが当接される当て板（該当て
板１３は適宜省略されうる）、１４は該当て板１
３の上方位置の筒壁部の円周方向所要箇所に形成
されたねじ孔、１５はその先端にバルブＶが取り
付けられる排水管である。バルブＶは管切断時の
穿孔筒部の底部にたまる切屑を排出するためのも
のであるとともに、切換え弁挿入時のバイパス管
の接続に供される。

２は添設管部であつて、穿孔筒部１に連なつて
形成され、上部及び下部の２つの半管状部材２１
（上部半管状部材２１ａ、下部半管状部材２１ｂ）
よりなり、これらの半管状部材の端面同士を水密
に衝合させることにより給水本管Ｐを抱持して、
本装置Ｓを給水本管Ｐに固定することになる。２
２は添設管部２の管軸方向端部の継ぎ手口で、受
口部２２ａ、該受口部２２ａ内に施こされるコー
キング２２ｂ、押輪（２つ割）２２ｃによりゴム
輪（１つ割で装着後接合される）２２ｄを押圧す
ることにより、添設管部の水密を図る。なお、該
添設管部２が給水本管Ｐに溶接等により固定さ
れ、それ自体で水密を図れる場合には、継ぎ手口
２２を省略することができる。あるいは、該半管
状部材２１を省略して継ぎ手口のみにより穿孔筒
部１の給水本管回りの水密を図ることもできる。

３は穿孔筒部１に連通し穿孔筒部１及び給水本
管Ｐに対して直交するとともに一方向に分岐する
分岐管部であり、端部にフランジ３１を有する。
本実施例の分岐管部３は、上記穿孔筒部１と同様
に、給水本管Ｐの中心軸Ｏを通る平面に対して上
下に分割して形成され、その端面同士を溶接ある
いはフランジ接合により一体化される。

なお、分岐管部３にそのフランジ３１を介して
分岐管９が配されるが、該フランジに制水弁（特
に蝶形弁が多用される。）が取り付けられその後
部に分岐管が配される態様を採ることができる。
また、フランジ３１に替え、受口部に形成するこ
とも勿論自由である。

４は流れ切換え弁であつて、垂直弁部４Ａと水
平弁部４Ｂとからなる。５はパツキングであつ
て、該流れ切換え弁４の側端面に穿設されたパツ
キング溝４１に装着されている。

該流れ切換え弁の垂直弁部４Ａは両側縁４２お
よび下縁４３を残して中央部が円弧状の凹面すな
わち凹曲面４４に形成される。該垂直弁部４Ａは
その両側縁４２を後記する穿孔筒部１の内壁に縦
設された縦ガイド部材に沿つて穿孔筒部１内に嵌
装され、給水本管Ｐの中心軸Ｏに対し傾斜して設
置される。

該水平弁部４Ｂは穿孔筒部１の開口部１１に嵌
装され、その周縁に装着されたパツキング５を穿
孔筒部１の当て板１３に押し当てることにより該
開口部１１を水密に塞ぐ。４５は該水平弁部４Ｂ
の上面中央に突設された突起杆であり、該突起杆
４５の側部には後述の弁挿入装置Ｋの取付け孔４
５ａが穿設されている。

６は穿孔筒部１の内壁に縦設された縦ガイド部
材である。該縦ガイド部材６は流れ切換え弁４の
垂直弁部４Ａの両側縁４２を挟着状に嵌装する上
流側ガイド部材６１及び下流側ガイド部材６２を
有し、該流れ切換え弁４の挿入の案内およびその
固定を図る。６３は当て板であつて、垂直弁部４
Ａのパツキング５が当接され、水密を図る。該当
て板６３は流れ切換え弁４の挿入に際して上記穿
孔筒部の当て板１３との関係上設けられるもの
で、該当て板１３が省略されるときには当然不要
なものである。

７は穿孔筒部１のねじ孔１４に螺入される係止
ボルト、７１は該係止ボルト７を水密に覆うカバ
ーである。該係止ボルト７は、穿孔筒部１内への
流れ切換え弁４の挿入に際しその先端部を回動後
退させ、その後、流れ切換え弁４が所定の位置に
設置されたときにはその先端部を回動前進させ該
流れ切換え弁４の水平弁部４Ｂの上面縁部に係止
させることにより流れ切換え弁４の固定を図る。

８は外蓋で、穿孔筒部１の開口部１１の上部を
覆い該穿孔筒部１のフランジ１２にボルト・ナツ
ト８１でもつて固定される。該外蓋８はその下面
で流れ切換え弁４の突起杆４５の上端を押圧し、
係止ボルト７とともに流れ切換え弁４全体の固定
を図る。

次に、本考案装置Ｓを給水本管Ｐに不断水状態
で取り付ける工事の手順について述べる。

給水本管Ｐの分岐予定位置に、流れ切換え弁
４及び外蓋８を取り外した本装置Ｓを、その上
下の２つ割部分を互いに衝接接合することによ
り該給水本管Ｐ回りに水密に取り付ける。しか
る後、本装置Ｓの分岐管部３にそのフランジ３
１を介して分岐管９あるいは蝶形弁等の本設用
の制水弁を取り付ける。

本装置Ｓの穿孔筒部１の上部にフランジ１２
を介して不断水作業用制水弁Ｈならびに穿孔機
を水密に取り付ける（第５図参照）。

作業用制水弁Ｈを開き、穿孔機のカツター
Ｊを穿孔筒部１内に挿入し、給水本管Ｐを切断
する。

給水本管の切断片を抱持したカツターＪを作
業用制水弁Ｈの上方位置に引き上げ、該制水弁
Ｈを閉じた状態で穿孔機を取り外す。

流れ切換え弁４を着脱自在とした弁挿入装置
Ｋを作業用制水弁Ｈ上に水密に取り付け、制水
弁Ｈを開いて該流れ切換え弁４を、垂直弁部４
Ａは縦ガイド部材６を案内として、また、水平
弁部４Ｂは穿孔筒部の当て板１３に当接するま
で押し下げる。次いで、穿孔筒部の筒壁に貫通
して配された係止ボルト７を水平弁部４Ｂの上
端に突出せしめて、流れ切換え弁４が水圧で押
し戻されるのを阻止する（第６図参照）。

流れ切換え弁４と弁挿入装置Ｋとの係合を解
き、次いで、弁挿入装置Ｋと作業用制水弁Ｈを
取り外す。

外蓋８を穿孔筒部１のフランジ１２に固定
し、その下面を切換え弁４の突起杆４５の上端
面に押圧して流れ切換え弁４の固定を図る。

以上の工程により本装置Ｓの取付け工事は完了
するが、分岐管部３に接続して制水弁が取り付け
られているとき、適時に該制水弁を開いてその先
に接続された分岐管に流水を流すことになる。そ
して、本装置Ｓを取り付けた給水本管Ｐの下流側
は適宜切断され撤去される。

本考案は叙上の実施例のみに限定されるもので
はなく、本考案の基本的技術思想の範囲内で種々
設計変更が可能である。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の水道管切換え工事用補助装置Ｓ
の実施例の各態様を示し、第１図は分岐管配置位
置に本装置Ｓを組み付けた平面断面図、第２図は
第１図のＸ−Ｘ線切断縦断面図、第３図は本装置
Ｓに使用される流れ切換え弁４の斜視図、第４図
は流れ切換え弁に装着されるパツキングの斜視
図、第５図及び第６図は工程説明図である。 Ｐ……給水本管、Ｑ……切断部、Ｓ……水道管
切換え工事用補助装置、１……穿孔筒部、１１…
…開口部、３……分岐管部、４……流れ切換え
弁、４Ａ……垂直弁部、４４……凹曲面、４Ｂ…
…水平弁部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 給水本管Ｐに直交して設置され、該給水本管Ｐ
   の外径よりも大なる内径を有し、該給水本管Ｐを
   水密に挟着して組み立てられ、かつ、上部が開口
   １１した有底筒状の穿孔筒部１と、 前記穿孔筒部１に連通し、かつ、前記穿孔筒部
   １及び給水本管Ｐに対して実質的に直交するとと
   もに一方向に分岐する分岐管部３と、 前記穿孔筒部１内に配され、垂直弁部４Ａと水
   平弁部４Ｂとからなり、該垂直弁部４Ａはその面
   を凹曲面４４に形成されるとともに、該凹曲面４
   ４を給水本管Ｐの活水側と分岐管側とに対向して
   配され、かつ、穿孔筒部１の側壁面及び底面との
   水密を図り、また、該水平弁部４Ｂは垂直弁部４
   Ａの上位に配され、開口部１１との水密を図る流
   れ切換え弁４と、 からなる水道管切換え工事用補助装置。