JPH0222554Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、水道の給水本管から支管を分岐さ
せる工事を行う際、該給水本管の分岐位置に取り
付けて不断水（給水本管内の流水の流れを予め設
置された制水弁で止めることなく流通状態で工事
を実施すること）で分岐工事を施工するために使
用される補助装置、いわゆる水道管分岐工事用補
助装置に関する。

〔従来の技術及びその問題点〕

本出願人は先に、実開昭59−20086号（以下、
先行技術という。）において、「給水本管に直交し
て設置され、前記給水本管の外径よりも大なる内
径を有し、前記給水本管を水密に挟着して組み立
てられ、かつ、上記が開口した有底筒状の穿孔筒
部と、前記穿孔筒部に連通し、かつ、前記給水本
管に対して所要の角度をもつて配された分岐管部
と前記穿孔筒部の開口内に水密に嵌装される内蓋
とからなる水道管分岐工事用補助装置」を提案し
た。そして、この先行技術の装置の使用について
は、まず、内蓋を取り外したこの装置を支管を分
岐する位置の給水本管に組み付け固定し、次い
で、分岐筒部に分岐管あるいは蝶形弁等の本設用
の弁装置を配設し、その後、穿孔筒部の上端に配
された作業用制水弁を介して穿孔機により給水本
管を穿孔切断する。次いで、穿孔機及び切断片を
取り外したのち、作業用制水弁を介して内蓋を穿
孔筒部の開口内に挿入して密嵌するとともに該内
蓋を固定し、作業用制水弁を取り外すことにより
この装置を使用した水道管分岐工事の全作業が終
了するものである。

しかし、この先行技術の装置によれば給水本管
の下流側への流水の流れはそのままであり、これ
を遮断するにはこの装置の下流側に別途止水栓等
の流れ遮断弁付きの装置を設置する手段が通常採
られることになる。このため、止水栓の設置工事
が付加され、手間が懸かるうえ、掘削工事域が拡
大して不経済となる等、種々の不具合がある。

〔考案が解決しようとする問題点〕

本考案は上記実情に鑑み、先行技術の利点（す
なわち、分岐管部が穿孔筒部に対して自由に配さ
れること）を活かしつつ、この装置において流れ
遮断弁を付加することにより叙上の不具合を解消
しようとすることを目的（技術的課題）とするも
のである。

そこで、本考案は下流側に連通する給水本管の
入口部分のみを水封することができればこの目的
を達成しうるとの知見に基づいてなされたもので
ある。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案の流れ遮断弁をもつ水道管分岐工事用補
助装置は上記目的を達成するため、以下の技術的
手段を採る。すなわち、給水本管に直交して設
置され、該給水本管の外径よりも大なる内径を有
し、該給水本管を水密に挟着して組み立てられ、
かつ、上記が開口した有底筒状の穿孔筒部と、
前記穿孔筒部に連通し、かつ、前記給水本管に対
して適宜の角度をもつて配された分岐管部と、
前記穿孔筒部内に配され、少なくとも給水本管の
下流側に対する面は該給水本管に直交する平面を
有する垂直弁と、前記垂直弁の上位に該垂直弁
と一体的に結合され、開口部の開口断面を塞ぎ該
開口との水密を図る水平弁と、前記給水本管に
摺動自在に外嵌され、該給水本管の下流側より前
記穿孔筒部内に水密を保つて挿入され、前記垂直
弁の当接面で水密を図る摺動スリーブと、からな
る。

〔作用〕

本考案の装置は次のようにして使用される。

一体的に結合された垂直弁及び水平弁からなる
流れ遮断弁を取り外した本装置を支管を分岐する
位置の給水本管に組み付け固定し、分岐管部に分
岐管を接続する。その後、穿孔筒部の上端に配さ
れた作業用制水弁を介して穿孔機により給水本管
を穿孔切断する。次いで穿孔機及び切断片を取り
外したのち、垂直弁を下流側の給水本管の切口部
の付近に挿入臨ませ、また、水平弁を穿孔筒部の
開口部内に挿入した密嵌する。しかる後、摺動ス
リーブを前進させ、その先端を垂直弁の下流側面
に衝接させて垂直弁と摺動スリーブとの水密を図
る。

これらの垂直弁・水平弁・摺動スリーブの一体
化よりに上流側と下流側とは水密的に絶縁され、
本装置内の流体の下流側への通水は遮断される。

しかる後、作業用制水弁等を取り外すことによ
りこの装置を使用した水道管分岐工事の全作業が
終了する。

上記作業において、水平弁は穿孔筒部の開口を
塞ぐ機能を有するだけでなく、垂直弁と一体とな
つているので、垂直弁の取付位置を保持し、か
つ、該水平弁を穿孔筒部に固定することにより流
れ遮断弁全体の固定を図る機能を有する。

〔効果〕

本考案の装置は以下の特有の効果を有する。

下流側に対する水密は、垂直弁の下流側の平
面と該平面に直交する摺動スリーブの先端との
当接で行われるので、垂直弁の側面と弁箱の側
面とで水密が行われる従来のものに比べ、水密
はより確実となる。

垂直弁は少なくとも摺動スリーブの当接する
面だけ確保できればよく、可及的小さくでき小
型の弁で済む。

分岐管部は、垂直弁と摺動スリーブとの当接
による水密を阻害しない限り、穿孔筒部に自由
に配設することができる。

〔実施例〕

本考案の流れ遮断弁をもつ水道管分岐工事用補
助装置の実施例を添付の図面に基づいて説明す
る。

Ｐは給水本管であつて、該給水本管Ｐの分岐管
配設部に本考案の装置Ｓが取り付けられる。Ｑは
給水本管の分岐箇所に穿孔機により切断された切
断部である。

１は上部に開口部１１を有する穿孔筒部であつ
て、給水本管Ｐの中心軸Ｏを含む水平面を境に上
部穿孔筒部１ａと下部穿孔筒部１ｂとに分割され
てなる。上部穿孔筒部１ａと下部穿孔筒部１ｂと
はその端面を衝合し、溶接もしくはフランジ衝合
により一体に組み立てられ、全体として上部を開
口１１し下部を有底の一体の筒状体に形成され
る。そして、該穿孔筒部１は内径を給水本管Ｐの
外径より大とし、該給水本管Ｐに直交して配され
る。本実施例では下部穿孔筒部１ｂは有底でかつ
可及的短かく形成される。換言すれば後述の穿孔
機のカツターが給水本管Ｐを切断するに最小限の
深さを有すればよい。

この穿孔筒部１において、１２は底面に突設さ
れた嵌合部材、１２ａは該嵌合部材１２の嵌合
孔、１３は穿孔筒部の内側面に縦設された縦ガイ
ド部材、１４は穿孔筒部の内周面に固設された受
棚、１５は該受棚１４の上方位置の筒壁部の円周
方向所要箇所に形成されたねじ孔、１６は穿孔箇
所の上端部外方に張設されたフランジである。

２は穿孔筒部１に連通し穿孔筒部１及び給水本
管Ｐに直交して分岐する分岐管部であり、端部に
フランジ２１を有する。本実施例の分岐管部２
は、上記穿孔筒部１と同様に、給水本管Ｐの中心
軸Ｏを通る平面に対して上下に分割して形成さ
れ、その端面同士を溶接あるいはフランジ接合に
より一体化される。また、分岐管部２の反対側に
分岐管部２′（点線表示）を設けることも可能で
ある。すなわち、分岐管部２のみであればＬ形分
岐となり、分岐管部２′を有するときはＴ形分岐
となる。

なお、分岐管部２にそのフランジ２１を介して
分岐管（図示せず）が配されるが、該フランジに
制水弁（特に蝶形弁が多用される。）が取り付け
られその後部に分岐管が配される態様を採ること
ができる。また、フランジ２１に替え、受口部に
形成することも勿論自由である。

３は上流側添設管部であつて、穿孔筒部１の上
流側に連なつて形成され、上部及び下部の２つの
半管状部材３１よりなり、これらの半管状部材の
端面同士に水密に衝合させることにより給水本管
Ｐを抱持して、本装置Ｓを給水本管Ｐに固定する
ことになる。３２は添設管部３の管軸方向端部の
継ぎ手口で、受口部３２ａ、該受口部３２ａ内に
施こされるゴム輪（１つ割で接着後接合される）
３２ｂ、該ゴム輪３２ｂを押圧する押輪（２つ
割）３２ｃ、及びボルト・ナツトよりなる締め具
３２ｄよりなり、添設管部の端部の水密を図る。
なお、該上流側添設管部の半管状部材３１の内径
が給水本管Ｐの外径と等しく、それ自体で水密を
図れる場合には、継ぎ手口３２を省略することが
できる。あるいは、該半管状部材３１を省略して
継ぎ手口のみにより穿孔筒部１の給水本管回りの
水密を図ることもできる。

４は下流側添設管部であつて、後述の摺動スリ
ーブを嵌装するためその内径を大きくする外は上
流側添設管部２と実施質に同じ構造を有する。４
１は上部及び下部の半管状部材、４２は継ぎ手
口、４２ａは該継ぎ手口の受口部、４２ｂはゴム
輪、４２ｃは押輪である。

５は摺動スリーブであつて、給水本管Ｐの外面
と下流側添設管部４の内面との間隙に摺動自在か
つ水密に嵌装される。該摺動スリーブ５は上部及
び下部の２つの半管状部材５１よりなり、これら
の半管状部材を水道本管Ｐに挾着しその端面同士
を水密に衝合させて水道本管Ｐに装着する。衝合
面は通常、溶接により接合されるが、その他パツ
キングを介してボルト締めによる接合手段を採る
ことができる。５２は摺動スリーブ５の端部の継
ぎ手口で、受口部５２ａ、ゴム輪５２ｂ、押し輪
（２つ割）５２ｃ、及びボルト・ナツトよりなる
締め具５２ｄからなる。締め具５２ｄの長尺のボ
ルト杆５２１はその頭部５２１′を下流側添設管
部４の受口部４２ａに係合され、その前方ナツト
５２２は下流側添設管部４の押輪４２ｃを締め付
け、またその後方ナツト５２３は摺動スリーブ５
の押し輪５２ｃを締め付けるものである。

Ｖは穿孔筒部１内に着脱自在に嵌装される流れ
遮断弁であつて、垂直弁６と水平弁（内蓋ともい
う）７とからなる。垂直弁６と水平弁７とは本実
施例におけるようにボルトにより組立て自在にす
る外、一体ものとして成形することは自由であ
る。

垂直弁６は摺動スリーブ５と協働して給水本管
Ｐ内の流水を下流側に流れないように水密に遮断
する。該垂直弁６はその下流側の平面６１の外縁
を穿孔筒部１の縦ガイド部材１３に案内されて挿
入され、その下端中央に突設した突起６２を穿孔
筒部１の下底の嵌合部材１２に嵌合させ固定す
る。６３は垂直弁の側面５１に突出して摺動スリ
ーブ５の嵌合の案内を図る突出円盤部である。６
４は該突出円盤部の外側に穿設された円周溝に装
着されたパツキングであり、摺動スリーブ５の先
端が衝接しその水密を図る。

水平弁７は穿孔筒部１の開口部１１に嵌装され
該開口部を水密に塞ぐ。該水平弁７は穿孔筒部１
の受棚１４に載置され、その上面縁部を穿孔筒部
のねじ孔１５に螺入された係止ボルト８により係
止される。７１は水平弁７の周面に配されたパツ
キング、７２は水平弁７の上面中央に突設された
突起杆であり、該突起杆の側部には後述の弁挿入
装置Ｋの取付孔７２ａが穿設されている。８１は
係止ボルト８を水密に覆うカバーである。８２は
係止ボルト８を使用する前に用いられる仮ボルト
である。

９は外蓋で、穿孔筒部１の開口部１１の上部を
覆い該穿孔筒部１のフランジ１６にボルト・ナツ
ト９１でもつて固定される。該外蓋９はその下面
で水平弁７の突起杆７２の上端を押圧し、水平弁
４ひいては流れ遮断弁Ｖ全体の固定を図る。

次に、本考案装置Ｓを給水本管Ｐに不断水状態
で取り付ける工事の手順についてのべる。

給水本管Ｐの分岐予定位置に、流れ遮断弁Ｖ
及び外蓋９を取り外した本装置Ｓを、その上下
の２つ割部分を互いに衝接接合することにより
該給水本管Ｐ回りに水密に取り付ける（第１図
参照）。このとき、摺動スリーブ５は第１図の
一点鎖線位置から実線位置に締め具５２ｄのナ
ツト５２３の螺入により穿孔筒部１内に突出し
ない位置に水密を保つて引き出される。しかる
後、本装置Ｓの分岐管部２にそのフランジ２１
を介して分岐管あるいは蝶形弁等の本設用の制
水弁を取り付ける。以下の説明のため、分岐管
部２に制水弁がまず取り付けられ、該制水弁に
新設の分岐管が連設される態様を考える。該分
岐管は新たな給水本管となるか、あるいは下流
側において旧設の給水本管に連設されバイパス
管として機能するか、いずれかの態様を採るも
自由である。

本装置Ｓの穿孔筒部１の上部にフランジ１６
を介して不断水作業用制水弁Ｈを水密に取り付
け、該制水弁Ｈの上に更に穿孔機Ｉを水密に取
り付ける（第６図参照）。

作業用制水弁Ｈを開き、穿孔機Ｉのカツター
Ｊを穿孔筒部１内に挿入し、給水本管Ｐを切断
する。この時点で、給水本管Ｐの流水の一部は
本装置Ｓの分岐部に２に導びかれるが、制水弁
により分岐管への流水は止められている。

給水本管Ｐの切断片を抱持したカツターＪを
作業用制水弁Ｈの上方位置に引き上げ、該制水
弁Ｈを閉じた状態で穿孔機Ｉを取り外す。

流れ遮断弁Ｖを着脱自在とした弁挿入装置Ｋ
を作業用制水弁Ｈ上に水密に取り付け、制水弁
Ｈを開いて該流れ遮断弁Ｖを、垂直弁６は縦ガ
イド部材１３を案内としてその突起６２が穿孔
筒部下底の嵌合部材１２に嵌合するまで、ま
た、水平弁７は穿孔筒部の受棚１４に衝接する
まで押し下げる。これとともに、分岐管部２の
制水弁を開き、流水を分岐管へ導く。これによ
つて、給水本管の下流側への流れは流れ遮断弁
Ｖにより仮に締め切られ、その大半が分岐管へ
流れる。次いで、穿孔筒部の筒壁に貫通して配
された係止ボルト８を水平弁７の上縁に突出せ
しめて、流れ遮断弁Ｖが水圧で押し戻されるの
を阻止する（第７図参照）。

しかる後、摺動スリーブ５を締め具５２ｄの
ナツト５２３の回動締付け操作により穿孔筒部
１内に前進させ、その先端を水直弁６のパツキ
ング６４に押圧する。これにより、給水本管Ｐ
内の流水の下流側への流水は完全に阻止され
る。

流れ遮断弁Ｖと弁挿入装置Ｋとの係合を解
き、次いで、作業用制水弁Ｈを取り外す。

外蓋９を穿孔筒部１のフランジ１６に固定
し、その下面を水平弁７の突起杆７２の上端面
に押圧して流れ遮断弁Ｖの固定を図る。また、
摺動スリーブ５の締め具５２ｄの長尺のボルト
杆５２１は適宜短長のボルト杆に取り替えられ
る（第３図及び第４図参照）。

以上の工程により本装置Ｓの取付け工事は完了
するが、分岐筒部２に接続して制水弁が取り付け
られていないとき、上記の工程の穿孔機Ｉによ
る給水本管Ｐの切断時点で流水の一部は分岐管に
流れることになり、また、の工程では流水の殆
どは分岐管に流れ込むことになる。また、本装置
Ｓを取り付けた水道本管Ｐの下流側は適宜切断さ
れ撤去されることもできる。

叙上の工程中、摺動スリーブ５の前進操作すな
わちの工程を、又はの後で実施することは
自由である。

本考案は叙上の実施例のみに限定されるもので
はなく、本考案の基本的技術思想の範囲内で種々
設計変更が可能である。

すなわち、以下の技術的態様は本考案の技術的
思想に包含されるものである。

分岐管部２は穿孔筒部１に直交する態様に限
らず、穿孔筒部１に斜めに取り付けられること
も、また、下部穿孔筒部１ｂにのみ連通して配
されることも可能である。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の水道管分岐工事用補助装置Ｓの
実施例の各態様を示し、第１図は分岐管配置位置
に流れ遮断弁Ｖを取り外した状態での本装置Ｓを
組み付けた縦断面図、第２図は本装置に使用され
る摺動スリーブの斜視図、第３図は分岐工事作業
後の本装置Ｓを取り付けた分岐管部の縦断面図、
第４図は第３図のＸ−Ｘ線切断面図、第５図は本
装置に使用される流れ遮断弁Ｖの斜視図、第６図
及び第７図は工程説明図である。 Ｐ……給水本管、Ｑ……分岐切断部、Ｓ……水
道管分岐工事用補助装置、１……穿孔筒部、１１
……開口部、２……分岐管部、３……上流側添設
管部、４……下流側添設管部、５……摺動スリー
ブ、Ｖ……流れ遮断弁、６……垂直弁、６１……
下流側平面、７……水平弁、８……係止ボルト、
９……外蓋。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 給水本管Ｐに直交して設置され、該給水本管Ｐ
   の外径よりも大なる内径を有し、該給水本管Ｐを
   水密に挟着して組み立てられ、かつ、上部が開口
   １１した有底筒状の穿孔筒部１と、 前記穿孔筒部１に連通し、かつ、前記給水本管
   Ｐに対して適宜の角度をもつて配された分岐管部
   ２と、 前記穿孔筒部１に配され、少なくとも給水本管
   Ｐの下流側に対する面６１は該給水本管Ｐに直交
   する平面を有する垂直弁６と、 前記垂直弁６の上位に該垂直弁６と一体的に結
   合され、開口１１部の開口断面を塞ぎ該開口１１
   との水密を図る水平弁７と、 前記給水本管Ｐに摺動自在に外嵌され、該給水
   本管Ｐの下流側より前記穿孔筒部１内に水密を保
   つて挿入され、前記垂直弁６の当接面で水密を図
   る摺動スリーブ５と、 からなる水道管分岐工事用補助装置。