JPS6410009B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は耐衝撃性の改良されたカバーでコアを
被覆して成るゴルフボールに関する。 ゴルフボールのカバーとして現在主流を占めて
いるものは耐カツト性に優れたアイオノマー樹脂
を主材としたものであるが、該樹脂はボール成形
時の離型性が悪く、従来からは金型に離型剤、溶
剤型のシリコン系あるいはフツ素系離型剤等を塗
布している。 しかしながらこの方法には、離型剤の塗布とい
う余分な工程を必要とするばかりでなく、比較的
少ない成形回数によつて離型剤の塗布効果がなく
なるという難点がある。 本発明者はこのような成形時の離型性の悪さが
主としてアイオノマー樹脂の溶融状態から固化す
る段階における遅い結晶化速度に起因することに
着目し、結晶核剤をアイオノマー樹脂を主材とす
るカバー用組成物に配合することによつて成形時
の離型性と共にボールの耐衝撃性も改良されるこ
とを究明して本発明を完成した。 即ち本発明の要旨は、アイオノマー樹脂100重
量部に対してタルク、燐酸トリフエニル、フタロ
シアニンブルー、フタロシアニングリーンから成
る群から選択される一種またはそれ以上の混合物
結晶核剤0.5〜３重量部配合したカバーでコアを
被覆して成るゴルフボールに存する。 本発明に用いる好適なアイオノマー樹脂はモノ
オレフインと炭素原子数３〜８の不飽和モノまた
はジカルボン酸およびこれらのエステルから成る
群から選択される少なくとも１種との重合体（不
飽和モノまたはジカルボン酸および／またはこれ
らのエステル４〜30重量％含有）に交叉金属結合
を付与した熱可塑性樹脂である。 このようなアイオノマー樹脂としてはデユ・ポ
ン社から市販されている各種のサーリン、例えば
1555、1601、1702等が例示される。 アイオノマー樹脂に配合する結晶核剤としては
タルク、燐酸トリフエニル、フタロシアニンブル
ー、フタロシアニングリーンであり、これらは単
独または混合して用いてもよい。 結晶核剤の配合量はアイオノマー樹脂100重量
部に対して0.5〜３重量部とするのが一般的で、
0.5重量部以下では本発明の効果は得難く、３重
量部以上になると結晶核剤の樹脂表面へのブリー
ド、樹脂の耐衝撃性の低下が問題となる。 カバー用組成物には上記のアイオノマー樹脂と
結晶核剤の他に、所望により着色等の目的で無機
充填剤、例えば二酸化チタン、酸化亜鉛等を適宜
配合してもよい。 上記のようにして得られるアイオノマー樹脂を
主材とするカバーで被覆するコアは特に限定的で
はないが、通常はソリツドコアまたは芯に高延伸
糸ゴムを巻きつけた糸巻きコアを使用する。 好適なソリツドコアは、基材ゴム100重量部、
不飽和脂肪酸の金属塩25〜45重量部、酸化亜鉛16
〜53重量部および架橋剤0.3〜２重量部含有する
組成物を加熱硬化して得られるソリツドコアであ
る。 基材ゴムとしてはポリブタジエンゴム、スチレ
ンブタジエンゴム、天然ゴム等が例示されるが、
ポリブタジエンゴム、就中シス１，４―ポリブタ
ジエンゴムが好ましい。 不飽和脂肪酸の金属塩としては炭素原子数３〜
８の不飽和脂肪酸（例えばアクリル酸、メタクリ
ル酸等）の亜鉛塩、マグネシウム塩等が例示され
る。 酸化亜鉛は重量調整剤として使用するもので、
所望により他の常套の充填剤、例えば硫酸バリウ
ム、炭酸カルシウム、シリカ等を適宜使用しても
よい。 架橋剤としてはジクミルパーオキサイドのよう
な過酸化物およびアゾビスイソブチルニトリルの
ようなアゾ化合物が例示されるが、特にジクミル
パーオキサイドが好ましい。 上記成分を配合して得られるソリツドコア用組
成物は常套の混練機（例えばバンバリーミキサ、
ロール等）を用いて混練し、常法によつてプレス
成形して規格の一体成形ソリツドコアとする。 本発明に使用する糸巻きコアは常法により芯、
例えばゴム芯に高延伸した糸ゴムを巻きつけるこ
とによつて得られる。 好適な糸ゴム用組成物は基材ゴム100重量部、
加硫剤２〜３重量部、酸化防止剤１〜1.5重量部、
補強剤0.5〜３重量部、加硫助剤0.2〜0.5重量部、
加硫促進剤0.5〜1.0重量部および可塑剤０〜５重
量部配合したものである。 基材ゴムとしては天然ゴム、合成ポリイソプレ
ンゴムまたはこれらの任意の混合物等が、加硫剤
としては硫黄等が、酸化防止剤としてはナフチル
アミン系、Ｐ―フエニレンジアミン系、チオビス
フエノール系の老化防止剤やワツクス等が、補強
剤としてはカーボンブラツク、シリカ、炭酸カル
シウム等が、加硫助剤としては亜鉛華、マグネシ
ウム、ステアリン酸、トリエタノールアミン等
が、加硫促進剤としてはジフエニルグアニジン、
アルデヒド―アミン縮合物、２―メルカプトベン
ゾチアゾール等が、可塑剤としてはプロセスオイ
ル、ステアリン酸、及びその誘導体、パルミチン
酸、パラフイン、オレイン酸誘導体がそれぞれ例
示される。 前記のカバーをコアに被覆する方法は特に限定
的ではないが、通常は予め半球穀状に成形した２
枚のカバーでコアを包み、加熱加圧成形する。ま
た、カバー用組成物を射出成形してコアを包みこ
んでもよい。 本発明によれば前述のようにアイオノマー樹脂
を主材としたカバーには結晶核剤が配合されてい
るので、ボール成形に際してアイオノマー樹脂の
結晶化が促進され、樹脂の収縮速度も大きくなる
ので、従来から問題となつていた離型性の悪さが
改善されるだけでなく、ボールの耐衝撃性が改良
される。 以下、実施例によつて本発明を説明する。 実施例 １ 表―１に示す組成のゴム芯（直径28mm）に約８
〜10倍に延伸させた糸ゴムを巻きつけた糸巻きコ
ア（直径約39mm）に、表―１に示す組成のシエル
状カバーを被せ、150℃で25分間圧縮成形して糸
巻きゴルフボールを製造した。 得られたゴルフボールの物性を、カバースラブ
の物性と共に表―１に示す。 比較例 １ カバーに結晶核剤を配合しない以外は実施例１
と同様にして製造した糸巻きゴルフボールの物性
を、カバースラブの物性と共に表―１に示す。

【表】

【表】

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ アイオノマー樹脂100重量部に対してタルク、
   燐酸トリフエニル、フタロシアニンブルー、フタ
   ロシアニングリーン、から成る群から選択される
   １種またはそれ以上の混合物である結晶核剤0.5
   〜３重量部配合したカバーでコアを被覆して成る
   ゴルフボール。 ２ コアがソリツドコアである第１項記載のゴル
   フボール。 ３ コアが糸巻きコアである第１項記載のゴルフ
   ボール。