JPS639625Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、美麗で植木類の潅水管理の簡便なポ
ツトを備えた擁壁ブロツクに関するものである。

従来、コンクリート擁壁の施工は、現場の基礎
上に型枠を組み、鉄筋等を配置したのち、その型
枠にコンクリートを流し込んで固化させる手順に
従つて行なわれている。

かかる方法では、コンクリートの固化・養生が
比較的長期間であるから、全体的な工期が長くな
るうえ、型枠作業が煩雑で危険性が高い等の問題
がある。特に、 前壁部分の型枠作業は高所作業になり型枠の
組立て解体に手間がかかり危険が伴う。

Ｌ型・逆Ｔ型・控え壁式の擁壁のように前壁
と底版を備えたものは、養生が不十分であると
その接合部が弱くなり、土圧でクラツクが入つ
て崖くずれが生じるなど極めて危険な状態とな
る。

養生期間は法定されているが、これによつて
工期が長引き、且つ型枠材も大量に必要でコス
ト高になる。

等の欠点がある。

本考案は、上記諸問題を解消するために、最も
強度が要求される接合部分と、それに連なる前壁
部分を一体化し、このブロツクを複数個並べ、更
に基礎上にコンクリートを打設延長して擁壁とす
る擁壁ブロツクを開発した。

本考案はその改良に関するものであり、殺風景
なものとなり易い擁壁表面に、潅水の殆ど不必要
な植木床ないし花壇用のポツトを設け、美麗なも
のとすることを目的とするものである。

以下、図面に示す実施例に基づいて本考案を詳
細に説明する。

第１図は、本考案に係る擁壁ブロツク１の１例
を示すものであり、該擁壁ブロツク１の下端には
鉄筋組み・コンクリート打ちを行なつて延設部７
を形成している。

一般に、擁壁にはコンクリートを打ちつぱなし
にした殺風景なものが多いが、道路の場合にはま
だしも、宅地造成の場合には潤いのあるものが望
まれる。しかし、従来の現場打ちのものでは、型
枠作りが高所作業のためこまかな細工は施しにく
かつた。

しかし、本考案に係る擁壁ブロツク１の場合に
は、わずかに傾斜した前壁板２と、該前壁板２の
基部に一体的に設けた接合部３とから成るブロツ
クで、これを多数並べると該前壁板２表面が擁壁
表面をなることになる。従つて、危険な高所作業
もなく現場打ち型枠も必要としないフロツク製造
工場において該擁壁表面に、いかようなる細工も
簡単に施せることになる。

また、該前壁板２には、水抜き孔２０…が設け
られている。これは当然工事完成後、前壁板２裏
面側の土砂の排水を図るためのものであるが、図
より明らかなようにその表面側開口から排出され
た雨水等は、ポツト４にいたるものである。

このポツト４は、花壇や植木床として用いるも
のであり、土と植木類・種苗などが充填されてお
り、花は目を楽しませまた緑化にも役立つもので
ある。

また、水抜き孔２０から排出された水がポツト
４内に導かれるということは、降雨直後から比較
的長期にわたつて潅水の必要がないという特長も
有している。

なお、本例では水抜き孔２０の位置は、ポツト
４内にその開口があるものであるが、これに限ら
ず水抜き孔２０をポツト４の上方に設け、前壁板
２表面に波形の溝その他の紋様を設けて水抜き孔
２０から排出された雨水等をポツト４に導くよう
にしてもよい。

次に第２図は、水抜き孔２０をパイプ５によつ
て成すものを示しており、該パイプ５は前壁板２
裏面と埋め込み土砂との間にある裏込め層８に達
する長さのもので、腐食しにくい例えば塩化ビニ
ル製のものなどを用いるものである。

以上詳細に説明したように、本考案の擁壁ブロ
ツクは、擁壁の主要部たる前壁と底板の一部を、
予め一体的且つ適当幅に細分化してブロツクとし
たものの前壁板表面に、排水用の水抜き孔から排
出される水を受けるべくポツトを設け、花壇や植
木床として用いることう可能としたものであり、
まず、現場作業において該ポツトを作るものでは
ないので高所作業が必要でなく、しかも完成後に
は殺風景なものとなり易い擁壁表面が美麗なもの
となり、しかも、雨水による自然潅水以外に、擁
壁表面から排出された水によつても給水できるの
で管理も簡単なものとなる実用上極めて有用な考
案である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す概略側面図、第
２図は本考案の他の実施例を示す概略断面図であ
る。 １……擁壁ブロツク、２……前壁板、２０……
水抜き孔、３……接合部、４……ポツト、５……
パイプ、７……延設部、８……裏込め層。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 構築時に複数個並べて前壁を形成する前板壁
   と、同じく構築時にその前後方向の一方または
   双方にコンクリートを打設延長して底版を形成
   する接合部とを一体に形成するとともに、該接
   合部には延設部との連結手段とを設けた土留用
   の擁壁において、該前壁板の表面側には、植木
   床ないし花壇用のポツトを一体に形成し、該前
   壁板に設ける水抜き孔を該ポツト内またはその
   上方に開口させたものであることを特徴とする
   擁壁ブロツク。 ２ 前壁板の表面に、雨水等をポツトに導く波形
   の溝その他の紋様を設けているものである実用
   新案登録請求の範囲第１項記載の擁壁ブロツ
   ク。 ３ 該水抜き孔は、該前壁板内に通貫して該前壁
   板裏面側に突出するパイプにより構成されてい
   るものである実用新案登録請求の範囲第１項ま
   たは第２項記載の擁壁ブロツク。