JPH1193174A - コンクリート法枠及び植生法面並びにその施工方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 道路やダム等の法面に構築するコンクリート
法枠であって、その法面より突出する表面を緑化できる
ようにする。 【解決手段】 コンクリート法枠を鉄筋コンクリートの
構造耐力部と、その上に設けられる透水性コンクリート
部とで構成する。このコンクリート法枠は、工場でプレ
キャスト製品として又は現場打ちコンクリートで形成す
る。プレキャスト製品の場合は、ＰＣ鋼棒等のアンカー
を介して法面に定着する。現場打ちコンクリートの場合
は、構造耐力部の打設直後に既製の透水性コンクリート
部を設置し、打設コンクリートの硬化により透水性コン
クリート部を構造耐力部に固定し一体化する。透水性コ
ンクリート部の表面に植栽して緑化し、法面全域に亙っ
て植生法面を形成することが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、コンクリート法枠
及び植生法面並びにその施工方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】道路やダム等の新設に伴い、山の斜面は
削り取って法面として整備され、この場合削り取った山
の地質条件や法面勾配等によって直線すべりや円弧すべ
りの防止に適した法枠工法が選定される。直線すべり
は、地盤表面で比較的規模が小さいため、鉄筋コンクリ
ートの法枠を現場打ちコンクリートで四角ないし三角形
の格子状に構築する場合が多い。一方、円弧すべりの場
合は、工場製品であるプレキャスト製の法枠構造体が用
いられ、更に土圧に対してはプレストレスアンカーを設
置して安定的構造体としている。これらの工法は、構造
や形式等の違いにより数多くの種類があり、関係協会が
普及に勤めている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前記従来の法枠工法で
は、法面の構造的安定を目的としているため、法枠の間
を芝等で被覆することはあるものの、緑化の点を重要視
した形式には未だ至っていない。従って、コンクリート
法枠の表面が地盤から露出し、周囲の自然環境や地場植
物とは必ずしもマッチしていないのが実状であり、緑化
の観点から問題となっている。最近、社会的要求から環
境整備の関心が高まる中で、法面の各種緑化方法が真剣
に検討されており、特にコンクリート法枠の表面を緑化
する工法が望まれている。

【０００４】本発明は、このような従来の事態に鑑みな
されたもので、法面に露呈する表面部分を緑化できるよ
うにしたコンクリート法枠及び植生法面並びにその施工
方法を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めの手段として、第１の発明は、道路、ダム等の法面に
構築されるコンクリート法枠であって、鉄筋コンクリー
トの構造耐力部と、その上に設けられる透水性コンクリ
ート部とを備えて成ることを要旨とする。第２の発明
は、鉄筋コンクリートの構造耐力部の上に、透水性コン
クリート部を設けて成るコンクリート法枠を道路、ダム
等の法面に定着し、前記透水性コンクリート部に植栽し
てコンクリート法枠の表面を緑化する植生法面を要旨と
する。第３の発明は、鉄筋コンクリートの構造耐力部の
上に、透水性コンクリート部を設けて成るプレキャスト
製コンクリート法枠を道路、ダム等の法面にＰＣ鋼棒等
のアンカーを介して定着し、前記透水性コンクリート部
に植栽する植生法面の施工方法を要旨とする。又、植生
法面の施工方法において、道路、ダム等の法面に現場打
ちコンクリートにより鉄筋コンクリートの構造耐力部を
構築し、この構造耐力部の打設直後に既製の透水性コン
クリート部を設置し、打設コンクリートの硬化により前
記透水性コンクリート部を構造耐力部に固定一体化し、
この透水性コンクリート部に植栽することを要旨とす
る。

【０００６】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面に基づいて詳説する。図１は、本発明に係るコンク
リート法枠の一例を示すもので、十字型を呈するフレー
ム構造体であって、図２に示すように鉄筋コンクリート
の構造耐力部１の上に、十字の交差部３を除いて透水性
コンクリート部２が設けられた構成になっている。この
コンクリート法枠Ｆ₁ は、工場でプレキャスト製品とし
て製造され、又は現場で打設コンクリートにより形成さ
れる。

【０００７】プレキャスト製の場合は、先ず図３(イ) の
ように型枠（図略）の下部に先組された鉄筋４を組み込
み、骨材である砕石５（例えば５〜２０ｍｍの５号砕
石）を所定量投入し、図３(ロ) のようにバイブレータ６
や振動機７又は突き固め棒（図略）で締め固める。

【０００８】次いで、透水性コンクリート部２の形成位
置に、所定の空隙率を確保するのに適した砕石８（例え
ば１０〜２０ｍｍの範囲のもの、最大でも４０ｍｍまで
の砕石）を投入して所定の形状に締め固める。前記交差
部３は、砕石８を盛らずに凹部とする。

【０００９】この後、ペースト又はモルタル９を注入
し、前記砕石５の空隙には充分に充填し、普通コンクリ
ートと同様に構造耐力部１を構築する。前記砕石８の空
隙には、所要の空隙を確保するように充填し、透水性コ
ンクリート部２を構築する。この充填は、ペースト又は
モルタル９を投入し、前記バイブレータ６や振動機７又
は突き固め棒等を使用しながら行う。この場合、所要の
強度により普通モルタル、高強度モルタル等が選定され
る。

【００１０】一方、現場で打設コンクリートによる場合
は、道路やダム等の法面に通常の鉄筋コンクリート打設
工法によって構造耐力部１を構築し、打設直後の構造耐
力部１の表面に既製の透水性コンクリート部２を設置
し、打設コンクリートの硬化によって透水性コンクリー
ト部２を固定し一体化させる。

【００１１】その他の現場施工例としては、図示は省略
したが構造耐力部を吹き付けコンクリートで構築し、そ
の表面にモルタルを敷きならし、その上に既製の透水性
コンクリート部を設置し、モルタルの硬化によって透水
性コンクリート部を構造耐力部に固定一体化させること
も可能である。

【００１２】このようにして、コンクリート法枠Ｆ₁ は
工場で製造し又は現場で構築することができるが、その
形状は前記の十字型のものに限らず、例えば図４(イ) の
ようにキ字型のものＦ₂ や、図４(ロ) のように井桁型の
ものＦ₃ でも良く、その他適宜の形状を任意に選択する
ことができる。

【００１３】次に、コンクリート法枠Ｆ₁ を用いた植生
法面の施工方法について説明する。前記のようにコンク
リート法枠Ｆ₁ がプレキャスト製の場合は、工場から現
場に搬入すると共に、道路やダム等の法面（図略）にほ
ぼ格子状の模様が現出するように連続的に設置する。法
面への固定は、図２に示すようにＰＣ鋼棒等のアンカー
１０を前記交差部３に打ち込み、ボルト等の止め具１１
を締め付けて行う。このため、交差部３にはアンカー挿
通用の孔を予め設けておくと好ましい。

【００１４】前記透水性コンクリート部２は、法面から
突出してほぼ格子状の形態となるため、その格子の各目
内に取り込まれた土砂の崩落を防止することができ、且
つ各目内の法面部分に植栽することができる。

【００１５】この際、透水性コンクリート部２の表面に
も植栽する。透水性コンクリート部２には雨水等が浸透
し、その下部には非透水性の構造耐力部１が存在するた
め浸透した雨水が逃げず、つまり透水性コンクリート部
２は保水機能を有している。従って、透水性コンクリー
ト部２の表面を緑化することができ、各格子目の緑化と
相俟って法面全体を植生法面に仕上げることができる。

【００１６】現場打ちコンクリートで構築したコンクリ
ート法枠の場合も同様であり、法面より突出した透水性
コンクリート部２の表面にも植栽することで緑化させ、
法面全体を植生法面に仕上げることが可能である。

【００１７】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
道路やダム等の新設に伴う法面にコンクリート法枠を構
築し、その上部に設けられた透水性コンクリート部を利
用し植栽することにより、法面に露出している表面を緑
化することができ、これにより法面全体を植生法面に仕
上げることができ、周囲の環境及び地場植物との調和が
図れる等の優れた効果が得られる。又、コンクリート法
枠の下部は鉄筋コンクリートの構造耐力部となっている
ため強度が強く、法面より突出した透水性コンクリート
部により土砂の崩落を防止し、更に植栽の根が透水性コ
ンクリート部にも繁殖することから、土砂の崩落防止効
果を高められる等の効果も奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るコンクリート法枠の一例を示す正
面図である。

【図２】図１におけるＸ−Ｘ線断面図である。

【図３】プレキャスト製コンクリート法枠の製造例を示
すもので、(イ) は砕石の投入時、(ロ) はモルタル等の投
入時をそれぞれ示す説明図である。

【図４】(イ) 、(ロ) はコンクリート法枠の他例をそれぞ
れ示す正面図である。

【符号の説明】

１…構造耐力部 ２…透水性コンクリート部 ３…交差部 ４…鉄筋 ５…砕石 ６…バイブレータ ７…振動機 ８…砕石 ９…ペースト又はモルタル １０…アンカー １１…止め具

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】道路、ダム等の法面に構築されるコンクリ
   ート法枠であって、鉄筋コンクリートの構造耐力部と、
   その上に設けられる透水性コンクリート部とを備えて成
   ることを特徴とするコンクリート法枠。
2. 【請求項２】鉄筋コンクリートの構造耐力部の上に、透
   水性コンクリート部を設けて成るコンクリート法枠を道
   路、ダム等の法面に定着し、前記透水性コンクリート部
   に植栽してコンクリート法枠の表面を緑化することを特
   徴とする植生法面。
3. 【請求項３】鉄筋コンクリートの構造耐力部の上に、透
   水性コンクリート部を設けて成るプレキャスト製コンク
   リート法枠を道路、ダム等の法面にＰＣ鋼棒等のアンカ
   ーを介して定着し、前記透水性コンクリート部に植栽す
   ることを特徴とする植生法面の施工方法。
4. 【請求項４】道路、ダム等の法面に現場打ちコンクリー
   トにより鉄筋コンクリートの構造耐力部を構築し、この
   構造耐力部の打設直後に既製の透水性コンクリート部を
   設置し、打設コンクリートの硬化により前記透水性コン
   クリート部を構造耐力部に固定一体化し、この透水性コ
   ンクリート部に植栽することを特徴とする植生法面の施
   工方法。