JPS638716Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は車輛整備用二柱リフト、詳しくはピツ
ト内に敷設したレール上を車輛の乗り入れ方向と
直交する方向へ走行する移動式二柱リフトに関
し、その目的とするところは、天井の案内用レー
ルを全く不要とし、取付工事の簡単なリフトを提
供することにある。即ち、従来から車輛の乗り入
れ方向と直交する方向へ走行する移動式リフトと
しては、例えば特開昭54−107032号公報に記載さ
れた天井吊下げ式リフト、或は門型式リフト等
種々のタイプのものが存在していたが、いずれも
リフトを支えるため天井に案内用レールを必要と
し、天井の低い所ではその設置すら不可能であつ
た。又たとえ設置できたとしても、十分に揚げ幅
をとることができないため、リフトアツプする車
輛の種類が限定されるという別の不都合があり、
いずれにしても余分の取付工事が不可欠で、作業
や経費が余計にかかつていたのである。

一方、車輛の乗り入れ方向と同方向へ走行する
移動式二柱リフトには、例えば特開昭54−136049
号公報に記載されたリフトの如く天井の案内レー
ルを有しないものも存在するが、かかるタイプの
リフトでは効率的な整備が行えないと共に、構造
的にも左右一対の支柱の上部を連結する上部横梁
が必要あり、据付場所上方の空間を十二分に利用
できない欠点があつた。

本考案は、斯る諸欠点を克服すべく開発された
もので、車輛の乗り入れ方向（以下前後方向とい
う）と直交する方向（以下左右方向という）へ走
行する台車上に、上部横梁を架設しない左右一対
の支柱を立設し、天井の案内レールを不要とする
と共に、左右一対のレールを断面コの字状に形成
し、開口部をそれぞれ内側に向けてレールピツト
内に埋設し、該開口部内へ台車に枢着されている
車輪を回転自在に嵌挿することにより、脱線及び
支柱の傾倒を防止し、前記台車をこのレールピツ
トの空間に配設せしめて床面をフラツト又は少し
でもフラツトに近い状態とし、車輛の出し入れや
整備作業の円滑化を図らんとするものである。

本考案実施の一例を図面に従つて説明すると次
の通りである。

第１図は車輛整備用移動式二柱リフトＡの側面
図、第２図は同断面図を示し、Ｂは床面Ｆに形成
されたレールピツト、２は該ピツトＢ内に車輛の
乗り入れ方向Ｘと直交する方向へ敷設された一対
のレール、３は該レール２，２上を走行する台車
である。この台車３は、コの字状の枠体３１，３
１を対設して側板となし、それらの上端へ基板３
２を固定して成る基台３ａと、該基台３ａに軸着
された４対の車輪３３，３３…とから成り、モー
タ３４の駆動力により前記レール２，２に沿つて
長手方向へ移動できるよう構成されている。レー
ル２は脱線及び傾倒防止の目的から断面コの字状
を呈し、且つその開口部内へ車輪３３を位置さ
せ、該車輪３３の踏み面が丁度嵌合するように敷
設されている。従つて車輪３３はもとより、台車
３自体も完全にレールピツトＢ内に収納された形
となり、両支柱間への車輛の乗り入れには何ら支
障はない。

１，１は該台車上に左右対称に立設された１対
の支柱で、その下端の矩形状のフランジ１ａがボ
ルトによつて基板３２に緊締されている。該支柱
１，１の中空状に形成された内部には、車輛昇降
用の油圧シリンダ（以下単にシリンダという）
５，５がそのピストンロツド図示上方向に向けて
垂直状に装着されている。６は、前記支柱１に沿
つて昇降自在に備えられているキヤリツジで、チ
エーン７によつて、プーリを介し前記支柱１の内
壁に接続されている。６ａはキヤリツジの下端部
に固着されたブラケツトで、一端に車輛シヤシ面
に適応する受金８を備えた受台アーム９の他端
が、前記ブラケツト６ａに水平回動自在に枢着さ
れている。

４は油圧ユニツトを示し、前記シリンダ５，５
と油管にて接続されている。（第３図参照）この
場合、両シリンダ５，５は直列回路にて結合され
ているため、左右のキヤリツジ６，６を同期的に
昇降せしめることができる。

本考案は以上の様に両支柱の連結を基台によつ
て行うものであるから、天井の案内用レールは全
く不要となり、天井の低い場所への設置も可能と
なるのである。又キヤリツジの上方には横梁等の
障害物が何もないため、空間を最大限に利用する
ことができ、リフトアツプする車輛の種類が限定
されることもないし、更に設置の手間、経費も節
約できるのである。又断面コの字状に形成した左
右一対のレールの開口部内へ、台車の車輪を回転
自在に嵌挿することにより、該車輪がレール長手
方向しか回転せず、脱線及び支柱の傾倒を防止す
ることができ、整備作業の安全性を高めることが
可能となる。

更にレールピツト内へレールを敷設すると共
に、該空間内へ台車をも配設するものであるか
ら、左右一対の支柱間の床面はフラツト又は多少
の段差ができる程度に形成することができ、車輛
の乗り入れに支障を来たすことはない。従つて、
車輛の出し入れや整備作業の円滑化を図ることが
可能であるし、更に前記台車もレールピツト内を
移動できるから、左右方向へ移動するリフトを利
用した効率的な整備システムの恩恵を十分に享受
できる。

次に本考案の応用面について説明する。

先ず、本考案は台車の上にレールの長手方向に
所定の間隔をおいて一対の支柱を立設することを
特徴とするものであるから、台車の走行機構、及
びリフトの昇降機構等については従来周知の技術
を適宜採用し得ること勿論であつて、前記図示実
施例に限定されるものではない。又一対の支柱の
下方が互いに外方に引つ張られないよう支持する
ため、前記基台を補強する下部横梁を設けること
が好ましく、更にはピツトカバー、乗り入れ用台
板を付設してもよい。

又第１図示の如く、車輛をリフトアツプすれば
必ずリフトに荷重がかかるのであるが、その荷重
がかかる地点即ち車輛の重心と車輪の踏み面との
間には一定の関連性があり、重心が踏み面よりも
外側にあればリフト自体がより不安定になること
が知られている。そこで前記車輪の踏み面が、リ
フトアツプされた車輪の乗り入れ方向Ｘにおける
最大偏荷重地点よりも外側に位置させれば、リフ
トの横転を有効に防止することができ、その安全
性を高めることが可能となるのである。尚この最
大偏荷重地点は、車輛の乗り入れ方及び車輛自体
の重心の位置等により変化するものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案実施の一例を示すもので、第１図
は本考案に係る二柱リフトの側面図、第２図は第
１図の−線断面図、第３図は油圧シリンダの
系統図である。 Ａ…車輛整備用移動式二柱リフト、Ｂ…レール
ピツト、Ｆ…床面、Ｘ…車輛の乗り入れ方向、１
…支柱、１ａ…フランジ、２…レール、３…台
車、３ａ…基台、３３…車輪、４…油圧ユニツ
ト、５…油圧シリンダ、６…キヤリツジ、７…チ
エーン、８…受金、９…受台アーム。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 一対のレールを据付床面に設けたレールピツ
   ト内に敷設し、該レール上を車輌の乗り入れ方
   向と直交する方向へ走行する車輌整備用移動式
   リフトであつて、該レールを断面コの字状に形
   成し、その開口部をそれぞれ内側に向けて埋設
   し、該開口部内へ台車に枢着されている車輪を
   回転自在に嵌挿すると共に、該台車上にレール
   の長手方向に所定の間隔をおいて一対の支柱を
   立設したことを特徴とする車輌整備用移動式二
   柱リフト。 ２ 前記台車における少なくとも一対の支柱間の
   部分が、完全にレールピツト内に埋没している
   ところの実用新案登録請求の範囲第１項記載の
   車輌整備用移動式二柱リフト。 ３ 前記台車の車輪の踏み面が、リフトアツプさ
   れた車輌の乗り入れ方向における最大偏荷重地
   点よりも外側に位置しているところの実用新案
   登録請求の範囲第１項又は第２項記載の車輌整
   備用移動式二柱リフト。