JPS637981Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、例えばシート状磁気デイスクのよう
な可撓性を有するデイスク状記録媒体を筐体内に
収納してなる記録再生用デイスクカセツトに関す
るものである。

最近、デイスクカセツトを用いた記録再生装置
が実用化されている。このデイスクカセツトには
磁気デイスクが回転可能に収納されており、記録
再生装置本体、いわゆるデイスクレコーダ本体に
設けられた磁気ヘツドによつて上記磁気デイスク
に記録および／または再生が行なわれる。この目
的のために、デイスクカセツトの筐体には上記磁
気ヘツドを挿通するための挿通孔が設けられてお
り、この挿通孔を通じて上記磁気ヘツドがカセツ
ト内の磁気デイスクに摺接するようになされてい
る。

磁気デイスクはデイスクレコーダ本体側のモー
タにより回転駆動されるが、この磁気デイスクは
通常可撓性のあるシート状に構成されており、従
来、次のようにしてモータの回転軸に取付けられ
ていた。すなわち、モータの回転軸にこの回転軸
とともに回転するチヤツキング手段が設けられ、
カセツト筐体の上面および下面に設けられた中心
開口を通じて、これらのチヤツキング手段により
直接磁気デイスクの中心部分が上下から挾着され
て固着されていた。そして、これらのチヤツキン
グ手段によつて磁気デイスクが回転駆動されてい
た。ところが、このように磁気デイスクを直接挾
み込んで回転駆動する構造では、磁気デイスクが
傷み易く、その寿命が短くなるという問題があつ
た。

そこで、磁気デイスクに設けた中心孔にステン
レススチール等の強磁性体からなる芯金を取付
け、この芯金をデイスクレコーダ本体側のマグネ
ツトに吸着させてモータの回転軸に取付けるよう
にしたものが提案されている。磁気デイスクはこ
の芯金を介して回転駆動される。ところが、この
ような構成では、金属製の芯金を用いなければな
らないためにコスト高となり、また、その成形や
磁気デイスクへの取付けが比較的困難であつた。

本考案は上述のような問題点に鑑みてなされた
ものであつて、強磁性体粉末を含有した合成樹脂
で芯部材を構成することにより、上記欠点を克服
しようとするものである。

以下、本考案を実施例につき図面を参照して説
明する。

第１図〜第３図に示すように、デイスクカセツ
ト１のカセツト筐体２は、例えば静電防止剤を含
むABS樹脂製の射出成形品からなる上ハーフ２
ａと下ハーフ２ｂとから構成されており、その中
に磁気デイスク３が収納されている。この磁気デ
イスク３は、例えば0.04mm厚程度の薄い円盤状の
高分子フイルムで構成され、磁性層の設けられた
下面を、図外のデイスクレコーダ本体に設けられ
た磁気ヘツドが摺接して記録／再生を行うように
なされている。なお図中、参照符号４は、磁気デ
イスク３を保護するためにこの磁気デイスク３と
カセツト筐体２との間に配された不織布を示し、
また、参照符号５は、カセツト筐体２の下ハーフ
２ｂに設けられた磁気ヘツド挿通孔６およびこれ
に対応して上ハーフ２ａに設けられたデイスク押
え用パツド挿通用の長孔７をそれぞれ開閉するた
めの摺動式の開閉蓋を示している。

第２図および第３図に示すように、磁気デイス
ク３の中心部には円形孔８が設けられており、こ
の円形孔８に芯部材９が取付けられている。この
芯部材９は、所定量の鉄粉を含有したナイロン
（商品名）を射出成形して構成されており、肉厚
の筒状本体部１０とこの筒状本体部１０の一端に
一体的に設けられた比較的大きな外向フランジ１
１とをそれぞれ具備している。また、筒状本体部
１０の他端面１２には、その外周部に環状突起部
１３がやはり一体的に設けられている。この芯部
材９は、その筒状本体部１０を磁気デイスク３の
中央円形孔８に挿通した後、超音波ウエルダーあ
るいはホツトプレスによつて環状突起部１３を磁
気デイスク３に溶着させ、この溶着された環状突
起部１３と外向フランジ１１とで磁気デイスク３
を挾着させることによつて取付けられている。こ
のように、本例においては、合成樹脂製の芯部材
９を用いているので、これを磁気デイスク３に溶
着させれば、極めて簡単かつ確実に取付けること
ができる。

芯部材９には、そのほゞ中心部に、デイスクレ
コーダ本体側のモータ軸１４を挿通するための矩
形孔１５が設けられており、また、この矩形孔１
５から所定距離だけ偏倚した位置には、やはりデ
イスクレコーダ本体側の位置規制ピン１６を挿通
するための長孔１７が筒状本体部１０に設けられ
ている。そして、デイスクカセツト１をデイスク
レコーダ本体の所定の装着位置に装着すると、カ
セツト筐体２の下ハーフ２ｂに設けられた挿通孔
１９を通じて磁気デイスク３の芯部材９がモータ
軸に設けられたマグネツト１８によつて吸着さ
れ、矩形孔１５および長孔１７にそれぞれ挿通さ
れたモータ軸１４およびこのモータ軸とともに回
転移動する位置規制ピン１６によつて磁気デイス
ク３が正確に位置規制された状態で回転駆動され
るようになつている。また、デイスクカセツト１
が装着された直後で位置規制ピン１６が長孔１７
に嵌合していない状態においては、磁気デイスク
３が図外の磁気ヘツドとデイスク押え用パツドと
によつて挾持されているために、マグネツト１８
による吸着力だけでは殆ど回転駆動されず、従つ
て、相対的に回転移動してきた位置規制ピン１６
が自動的に長孔１７に嵌合するようになされてい
る。この場合、本例においては、芯部材９におけ
る鉄粉の含有量を適当に選定してその磁束密度を
変化させ、マグネツト１８による吸着力を任意に
コントロールすることができるので、位置規制ピ
ン１６が長孔１７に嵌合するまでに磁気デイスク
３に印加される回転トルクを緩和することができ
て大変好都合である。なお、芯部材９における鉄
粉の含有量は、最大約90重量％までの範囲で任意
にコントロール可能である。

なお、この駆動機構としては、従来構造のもの
（例えば、本出願人による特願昭55−111969号に
開示されている構造）を殆どそのまま用いること
ができるので、その詳細な説明は省略する。

第４図〜第７図に本考案の第２〜第５の実施例
をそれぞれ示す。

第４図に示す例では、モータ軸挿通用の中心孔
２２を囲む如くに筒状突起部２３の設けられた円
板状の芯部材２４が用いられている。この芯部材
２４は、その筒状突起部２３が磁気デイスク３の
中央円形孔８に挿通され、上記第１の実施例と
ほゞ同様に、筒状突起部２３の先端部２５がその
全周に亘つて溶着されて取付けられる。即ち、芯
部材２４にはその外周部に沿つて外向フランジ部
に相当する部分が形成されており、一方、この部
分に対して立設した状態に形成された筒状突起部
２３の先端部２５を熱により溶融軟化させ、これ
らの間に磁気デイスク３を挾着保持している。た
だし、本例においては、この筒状突起部２３の先
端部２５と磁気デイスク３との間に、マイラ（商
品名）あるいは板金等からなるリング状部材２６
が配されており、これによつて、磁気デイスク３
の押え強度を向上させている。なお、この磁気デ
イスク３の押え強度は１Kg以上であるのが好まし
い。

第５図の例では、比較的短く構成された筒状突
起部２９の先端に、例えば３ケ所の突出部３０の
設けられた芯部材３１が用いられている。磁気デ
イスク３はこれらの突出部３０を溶着させること
によつて取付けられている。このような構成によ
り、取付けに際してシート状磁気デイスク３にし
わの生じることが防止される。

第６図の例は第５図の例の変形例であつて、突
出部３０と磁気デイスク３との間に、第４図の例
と同様なリング状部材３４が配されている。これ
により、第５図の例と比較して、押え強度が向上
する。

第７図に示す例では、筒状突起部３７の回り
に、例えば４つのピン状突起部３８の設けられた
芯部材３９が用いられている。これらのピン状突
起部３８は、磁気デイスク３の中央円形孔８の回
りに設けられた挿通孔４０にそれぞれ挿通され、
これらのピン状突起部３８の先端部を溶着させる
ことによつて芯部材３９が磁気デイスク３に取付
けられる。このような構成により、押え強度が向
上する。

以上、本考案を実施例につき説明したが、上記
実施例は本考案を限定するものでは決してなく、
本考案の技術的思想に基いて種々の変更が可能で
ある。例えば、芯部材の形状は必要に応じて種々
に変更されてよく、また、含有させる強磁性体粉
末も鉄以外のものを用いることができる。さら
に、本考案は、磁気記録方式以外の記録方式によ
るデイスクカセツトにも適用可能である。

以上説明したように、本考案においては、デイ
スク状記録媒体に設けた中心孔に、強磁性体粉末
を含有した合成樹脂からなる芯部材を取付けてい
る。従つて、従来のように、チヤツキング手段等
によりデイスク状記録媒体を直接挾み込んで回転
駆動させる必要がないので、デイスク状記録媒体
を傷めることがなく、その寿命を大巾に延ばすこ
とができる。また、芯部材を合成樹脂で構成し
て、この芯部材に外向フランジ部及びこの外向フ
ランジに対して立設した状態の突起部を夫々設
け、芯部材をデイスク状記録媒体の中心孔に挿入
した状態で突起部を溶融軟化させて、この溶融軟
化させた突起部と外向フランジ部の間でデイスク
状記録媒体を挾着保持するようにしているので、
芯部材のデイスク状記録媒体への取付固定が極め
て容易かつ確実である。さらに、芯部材における
強磁性体粉末の含有量を適当に選定することによ
り、例えば記録再生装置本体のマグネツトによる
吸着力を所望の強さにコントロールできるという
利点もある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第１の実施例によるデイスク
カセツトの分解斜視図、第２図は同上の磁気デイ
スクと芯部材との分解斜視図、第３図は同上の要
部縦断面図、第４図は本考案の第２の実施例によ
る第３図と同様の要部縦断面図、第５図は第３の
実施例による第３図と同様の要部縦断面図、第６
図は第４の実施例による第３図と同様の要部縦断
面図、第７図は第５の実施例による第３図と同様
の要部縦断面図である。 なお図面に用いた符号において、３……磁気デ
イスク、９，２４，３１，３９……芯部材、であ
る。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 筐体内にデイスク状記録媒体を回転可能に収納
   してなる記録再生用デイスクカセツトにおいて、
   強磁性体粉末を含有した合成樹脂からなるデイス
   ク状の芯部材に外向フランジ部とこの外向フラン
   ジ部に対して立設された突起部とを夫々形成し、
   上記デイスク状記録媒体に設けられた中心孔に上
   記芯部材を挿入した状態で上記突起部を溶融軟化
   させ、この溶融軟化させた突起部と上記外向フラ
   ンジ部とで上記デイスク状記録媒体を挾着保持し
   た構造を特徴とする記録再生用デイスクカセツ
   ト。