JPS6367832B2 - - Google Patents
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- JPS6367832B2 JPS6367832B2 JP59280313A JP28031384A JPS6367832B2 JP S6367832 B2 JPS6367832 B2 JP S6367832B2 JP 59280313 A JP59280313 A JP 59280313A JP 28031384 A JP28031384 A JP 28031384A JP S6367832 B2 JPS6367832 B2 JP S6367832B2
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Landscapes
- Cooling Or The Like Of Electrical Apparatus (AREA)
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
Description
産業上の利用分野
本発明は、酢酸ナトリウム3水塩を主体とする
潜熱蓄熱材に関するものである。 従来の技術 一般的に、蓄熱材には、物質の顕熱を利用した
ものと潜熱を利用したものが知られている。潜熱
を利用した蓄熱材は、顕熱を利用した蓄熱材に比
較して、単位重量当り、または単位体積当りの蓄
熱量が大きく、必要量の熱を蓄熱しておくのに少
量でよく、そのため蓄熱装置の小型化が可能とな
る。また、潜熱を利用した蓄熱材は、顕熱を利用
した蓄熱材のように、放熱とともに温度が低下し
てしまわずに、転移点において一定温度の熱を放
熱するという特徴を有する。特に、無機水化物の
融解潜熱を利用した蓄熱材は、単位体積当りの蓄
熱量が大きいことが知られている。 ところで、従来より酢産ナトリウム3水塩
(CH3CO2Na・3H2O、融点約58℃)は無機水化
物の中でも蓄熱量が大きく、たとえば暖房用の蓄
熱材として有力視されていた。しかし
CH3CO2Na・3H2Oは一度融解すると、非常に過
冷却状態になりやすいため、その融解液は、通常
−20℃程度まで冷却されないと過冷却が破れな
い。そして、過冷却状態は、凝固点まで冷却され
ても融解潜熱を放出せず、その温度以下に冷却さ
れてしまう現象であるから、融解潜熱を利用した
蓄熱材にとつて致命的なものとなる。 最近このCH3CO2Na・3H2Oの過冷却を防止す
るために結晶核形成材として臭素酸バリウム1水
塩(特公昭57−61297)やコハク酸2ナトリウム
6水塩(特公昭59−543)等を添加することが提
案されている。 発明が解決しようとする問題点 ところで、現在知られている結晶核形成材を含
んだCH3CO2Na・3H2Oを主体とする蓄熱材は、
いずれもその耐熱温度は低く、80℃以上に加熱さ
れると含まれている結晶核形成材の活性が急速に
失なわれていまい、そのため蓄熱材として動作し
なくなつてしまう。 問題点を解決するための手段 CH3CO2Naを40重量パーセントから80重量パ
ーセントの範囲で含有するCH3CO2NaとH2Oよ
り成る系を主成分とし、CH3CO2Na・3H2Oの結
晶化の際の過冷却を防止するための結晶核形成材
として、リチウムの複フツ化物を含有させる。好
ましくは、リチウムの複フツ化物はチタンフツ化
リチウムLi2TiF6)、ジルコンフツ化リチウム
(Li2ZrF6)、ならびにケイフツ化リチウム
(Li2SiF6)のうちの少なくとも1種である。 作 用 リチウムの複フツ化物は、80℃以上に加熱され
た場合でもCH3CO2Na・3H2Oの結晶核形成材と
しての活性を失わず、繰り返し使用に際して過冷
却を有効に防止することができる。 実施例 ところで、第1図にCH3CO2Na―H2O系の状
態図を示す。この図より、CH3CO2Na60.3重量%
とH2O39.7重量%とからなる系はCH3CO2Na・
3H2O組成に相当し、この組成では、過冷却が起
こらなければ約58℃で融解と凝固が起こるのがわ
かる。またCH3CO2Na50重量%とH2O50重量%
の系は、約55℃以上の温度では均一な
CH3CO2Na水溶液となる。この均一な水溶液を
55℃以下に冷却すると、過冷却が起こらなけれ
ば、CH3CO2Na・3H2Oが結晶化しはじめ、冷却
されるに従つてCH3CO2Na・3H2O結晶の比率が
増加する。約30℃まで冷却されると、50重量%の
CH3CO2Na―H2O系全質量の約60%が
CH3CO2Na・3H2Oの結晶となり、残り40%が
CH3CO2Na水溶液として存在する。そのため、
CH3CO2Na50重量%とH2O50重量%の系は、55
℃以上の温度から30℃まで冷却されると、過冷却
がほとんどなく、CH3CO2Na・3H2Oがうまく結
晶化したとすると、単位質量当りCH3CO2Na・
3H2O組成の場合の約60%潜熱が得られることに
なる。また、CH3CO2Na―H2O系の水の比率が
高くなるとともに、蓄熱材の有する顕熱が増加
し、顕熱による蓄熱量が大きくなるのは当然であ
る。つまり、CH3CO2NaとH2Oの比率をコント
ロールすることによつて、融解潜熱による蓄熱
と、顕熱による蓄熱を併用して行い、その潜熱と
顕熱による蓄熱の割合をコントロールすることに
よつて、大いに蓄熱材の応用範囲が広がる。しか
し、あまりCH3CO2Naの濃度の低い系を用いる
ことは、融解潜熱を用いた蓄熱材の特徴が失なわ
れてしまうため、CH3CO2Naを40重量%以上含
有するCH3CO2Na―H2O系を用いるのが適切で
ある。 逆に、CH3CO2Na―H2O系において
CH3CO2Naの含有量を増加させていくと、第1
図より明らかなように、CH3CO2Naを60.3重量%
以上含有する系では、58℃以上の温度からその温
度以下に冷却した際、うまく過冷却が破れたとす
ると、CH3CO2Na・3H2Oが結晶化する。しか
し、当然系全体がCH3CO2Na・3H2Oとならず、
一部CH3CO2Naのまま残る。それで、
CH3CO2Naを80重量%より多く含むCH3CO2Na
―H2O系では単位質量当りの潜熱量が
CH3CO2Na・3H2O組成の場合の約50%以下にな
るため実用的でなくなる。そのため、実際用いる
CH3CO2Na―H2O系は、CH3CO2Naを80重量%
以下の範囲で含有するのが適切であると考えられ
る。 ところで、結晶核形成材の含有量は
CH3CO2Naの濃度が58重量%以上で、結晶核形
成材がLi2TiF6、Li2ZrF6ならびにLi2SiF6のうち
のどれかの場合には、CH3CO2NaとH2Oより成
る系100重量部に対して、1.0重量部程度で十分に
効果があり、さらにそれ以上含有しても、当然効
果がある。CH3CO2Naが58重量%未満である系
の場合には、それが58重量%以上含まれている系
に比較して、結晶核形成材のCH3CO2Na―H2O
系中への溶解量が増加するため、それぞれの添加
量を上記値より増加させなければならない。 しかしながら、本発明にかかる蓄熱材を空調用
蓄熱装置等で使用する際には、100〜1000Kg程度
用いるのが普通であると考えられる。そのような
場合には、CH3CO2Na・3H2O結晶が融解した状
態においても、全体が均一な組成にならず、上部
にはCH3CO2Naの低濃度の溶液が、下部には結
晶核形成材の沈澱物、およびCH3CO2Naと結晶
核形成材との高濃度液体が存在することになる。
そのため、結晶核形成材の混合量が、均一な溶液
を形成する場合の最少量に比較してはるかに少量
でも、結晶核形成材がCH3CO2Na―H2O系中に
溶解してしまわずに結晶核形成材として作用す
る。結晶核形成に必要な前記結晶核形成材の最少
量つまり混合量の下限は、用いるCH3CO2Na―
H2O系の量や蓄熱材を収納する容器の形状に依
存するため、その使用形態に応じてそれぞれにつ
いて適宜決めてやればよい。 しかし、あまり大量に結晶核形成材を加えるこ
とは、蓄熱材として好ましいことではなく、蓄熱
材全体として見た場合の蓄熱量の減少につなが
る。そのため、実用的には、結晶核形成材の混合
割合は、CH3CO2Na―H2O系100重量部に対し
て、40重量部を超えないことが望ましい。 実施例 1 各々、CH3CO2Na・3H2O1000gと下記第1表
に示した結晶核形成材10gとをビーカーに入れ、
ウオーターバス中で75℃まで加熱して、
CH3CO2Na・3H2Oをすべて融解して試料を作成
した。
潜熱蓄熱材に関するものである。 従来の技術 一般的に、蓄熱材には、物質の顕熱を利用した
ものと潜熱を利用したものが知られている。潜熱
を利用した蓄熱材は、顕熱を利用した蓄熱材に比
較して、単位重量当り、または単位体積当りの蓄
熱量が大きく、必要量の熱を蓄熱しておくのに少
量でよく、そのため蓄熱装置の小型化が可能とな
る。また、潜熱を利用した蓄熱材は、顕熱を利用
した蓄熱材のように、放熱とともに温度が低下し
てしまわずに、転移点において一定温度の熱を放
熱するという特徴を有する。特に、無機水化物の
融解潜熱を利用した蓄熱材は、単位体積当りの蓄
熱量が大きいことが知られている。 ところで、従来より酢産ナトリウム3水塩
(CH3CO2Na・3H2O、融点約58℃)は無機水化
物の中でも蓄熱量が大きく、たとえば暖房用の蓄
熱材として有力視されていた。しかし
CH3CO2Na・3H2Oは一度融解すると、非常に過
冷却状態になりやすいため、その融解液は、通常
−20℃程度まで冷却されないと過冷却が破れな
い。そして、過冷却状態は、凝固点まで冷却され
ても融解潜熱を放出せず、その温度以下に冷却さ
れてしまう現象であるから、融解潜熱を利用した
蓄熱材にとつて致命的なものとなる。 最近このCH3CO2Na・3H2Oの過冷却を防止す
るために結晶核形成材として臭素酸バリウム1水
塩(特公昭57−61297)やコハク酸2ナトリウム
6水塩(特公昭59−543)等を添加することが提
案されている。 発明が解決しようとする問題点 ところで、現在知られている結晶核形成材を含
んだCH3CO2Na・3H2Oを主体とする蓄熱材は、
いずれもその耐熱温度は低く、80℃以上に加熱さ
れると含まれている結晶核形成材の活性が急速に
失なわれていまい、そのため蓄熱材として動作し
なくなつてしまう。 問題点を解決するための手段 CH3CO2Naを40重量パーセントから80重量パ
ーセントの範囲で含有するCH3CO2NaとH2Oよ
り成る系を主成分とし、CH3CO2Na・3H2Oの結
晶化の際の過冷却を防止するための結晶核形成材
として、リチウムの複フツ化物を含有させる。好
ましくは、リチウムの複フツ化物はチタンフツ化
リチウムLi2TiF6)、ジルコンフツ化リチウム
(Li2ZrF6)、ならびにケイフツ化リチウム
(Li2SiF6)のうちの少なくとも1種である。 作 用 リチウムの複フツ化物は、80℃以上に加熱され
た場合でもCH3CO2Na・3H2Oの結晶核形成材と
しての活性を失わず、繰り返し使用に際して過冷
却を有効に防止することができる。 実施例 ところで、第1図にCH3CO2Na―H2O系の状
態図を示す。この図より、CH3CO2Na60.3重量%
とH2O39.7重量%とからなる系はCH3CO2Na・
3H2O組成に相当し、この組成では、過冷却が起
こらなければ約58℃で融解と凝固が起こるのがわ
かる。またCH3CO2Na50重量%とH2O50重量%
の系は、約55℃以上の温度では均一な
CH3CO2Na水溶液となる。この均一な水溶液を
55℃以下に冷却すると、過冷却が起こらなけれ
ば、CH3CO2Na・3H2Oが結晶化しはじめ、冷却
されるに従つてCH3CO2Na・3H2O結晶の比率が
増加する。約30℃まで冷却されると、50重量%の
CH3CO2Na―H2O系全質量の約60%が
CH3CO2Na・3H2Oの結晶となり、残り40%が
CH3CO2Na水溶液として存在する。そのため、
CH3CO2Na50重量%とH2O50重量%の系は、55
℃以上の温度から30℃まで冷却されると、過冷却
がほとんどなく、CH3CO2Na・3H2Oがうまく結
晶化したとすると、単位質量当りCH3CO2Na・
3H2O組成の場合の約60%潜熱が得られることに
なる。また、CH3CO2Na―H2O系の水の比率が
高くなるとともに、蓄熱材の有する顕熱が増加
し、顕熱による蓄熱量が大きくなるのは当然であ
る。つまり、CH3CO2NaとH2Oの比率をコント
ロールすることによつて、融解潜熱による蓄熱
と、顕熱による蓄熱を併用して行い、その潜熱と
顕熱による蓄熱の割合をコントロールすることに
よつて、大いに蓄熱材の応用範囲が広がる。しか
し、あまりCH3CO2Naの濃度の低い系を用いる
ことは、融解潜熱を用いた蓄熱材の特徴が失なわ
れてしまうため、CH3CO2Naを40重量%以上含
有するCH3CO2Na―H2O系を用いるのが適切で
ある。 逆に、CH3CO2Na―H2O系において
CH3CO2Naの含有量を増加させていくと、第1
図より明らかなように、CH3CO2Naを60.3重量%
以上含有する系では、58℃以上の温度からその温
度以下に冷却した際、うまく過冷却が破れたとす
ると、CH3CO2Na・3H2Oが結晶化する。しか
し、当然系全体がCH3CO2Na・3H2Oとならず、
一部CH3CO2Naのまま残る。それで、
CH3CO2Naを80重量%より多く含むCH3CO2Na
―H2O系では単位質量当りの潜熱量が
CH3CO2Na・3H2O組成の場合の約50%以下にな
るため実用的でなくなる。そのため、実際用いる
CH3CO2Na―H2O系は、CH3CO2Naを80重量%
以下の範囲で含有するのが適切であると考えられ
る。 ところで、結晶核形成材の含有量は
CH3CO2Naの濃度が58重量%以上で、結晶核形
成材がLi2TiF6、Li2ZrF6ならびにLi2SiF6のうち
のどれかの場合には、CH3CO2NaとH2Oより成
る系100重量部に対して、1.0重量部程度で十分に
効果があり、さらにそれ以上含有しても、当然効
果がある。CH3CO2Naが58重量%未満である系
の場合には、それが58重量%以上含まれている系
に比較して、結晶核形成材のCH3CO2Na―H2O
系中への溶解量が増加するため、それぞれの添加
量を上記値より増加させなければならない。 しかしながら、本発明にかかる蓄熱材を空調用
蓄熱装置等で使用する際には、100〜1000Kg程度
用いるのが普通であると考えられる。そのような
場合には、CH3CO2Na・3H2O結晶が融解した状
態においても、全体が均一な組成にならず、上部
にはCH3CO2Naの低濃度の溶液が、下部には結
晶核形成材の沈澱物、およびCH3CO2Naと結晶
核形成材との高濃度液体が存在することになる。
そのため、結晶核形成材の混合量が、均一な溶液
を形成する場合の最少量に比較してはるかに少量
でも、結晶核形成材がCH3CO2Na―H2O系中に
溶解してしまわずに結晶核形成材として作用す
る。結晶核形成に必要な前記結晶核形成材の最少
量つまり混合量の下限は、用いるCH3CO2Na―
H2O系の量や蓄熱材を収納する容器の形状に依
存するため、その使用形態に応じてそれぞれにつ
いて適宜決めてやればよい。 しかし、あまり大量に結晶核形成材を加えるこ
とは、蓄熱材として好ましいことではなく、蓄熱
材全体として見た場合の蓄熱量の減少につなが
る。そのため、実用的には、結晶核形成材の混合
割合は、CH3CO2Na―H2O系100重量部に対し
て、40重量部を超えないことが望ましい。 実施例 1 各々、CH3CO2Na・3H2O1000gと下記第1表
に示した結晶核形成材10gとをビーカーに入れ、
ウオーターバス中で75℃まで加熱して、
CH3CO2Na・3H2Oをすべて融解して試料を作成
した。
【表】
この混合物を内径100mm、長さ100mmの円筒形容
器に収納し、熱電対挿入管を付した栓で密封し
た。その容器をウオーターバス中に入れ、85℃と
40℃の間で加熱冷却を連続して行なつた。 第2図は、結晶核形成材として、Li2TiF6を用
いた場合の試料を、連続して100回加熱と冷却を
繰り返した際の過冷却度すなわち凝固温度と過冷
却の破れる温度との差の変化の様子を示したもの
である。図の横軸は加熱冷却サイクルの繰り返し
回数を対数目盛で示したものであり、縦軸は過冷
却度(℃)である。この図より、本実施例の蓄熱
材の加熱および冷却100回繰り返しても、過冷却
度が3〜4℃の範囲で安定しており、過冷却防止
機能は劣化せずに、有効に作用しているのがわか
る。 第3図と第4図はそれぞれ結晶核形成材とし
て、Li2ZrF6とLi2SiF6を用いた場合である。これ
らの場合もLi2TiF6を用いた場合と同部に、過冷
却度が3〜4℃付近で非常に安定していた。 実施例 2 CH3CO2Na・3H2O500Kgと第1表に示した結
晶核形成材500gとを内部にヒータを有する内径
80cm、高さ90cmの円筒形容器中に収納し、熱電対
挿入管を付したふたで密封した。容器内部のヒー
タでCH3CO2Na・3H2Oを85℃まで加熱して、
CH3CO2Na・3H2Oをすべて融解した。それから
ヒータによる加熱を停止し、冷却したところ、結
晶核形成材として、Li2TiF6,Li2ZrF6ならびに、
Li2SiF6のいずれを用いた場合にも、55℃付近で
過冷却が破れ、容器内部の温度が58℃まで上昇し
た。その後50回加熱と冷却を繰返したが、いずれ
の場合も過冷却度が約3℃の所で安定して過冷却
が破れ、本実施例の蓄熱材が十分蓄熱材として機
能することが確認出来た。 実施例 3 CH3CO2Na・3H2O1000gと第1表に示した結
晶核形成材20gを実施例1と同様の容器にそれぞ
れ収納し、ウオーターバス中で90℃で48時間加熱
した。その後、その容器をウオーターバスから取
り出し室温で放置したところ、いずれの結晶核形
成材を用いた場合にも約53℃CH3CO2Na・3H2O
の結晶化が開始した。 以上の実施例では結晶核形成材を単独で使用し
た場合について示しているが、その複数種を組合
わせて使用しても同様の作用効果を得ることがで
きる。 発明の効果 以上実施例で示したように、本発明の蓄熱材は
CH3CO2Na―H2O系に、CH3CO2Na・3H2Oの結
晶核形成材として、リチウムの複フツ化物を含有
させた蓄熱材であるから、耐熱温度が高く過冷却
をほとんど示さない安定した吸収熱性能を有し、
安価でかつ蓄熱量の大きなものである。 本発明の蓄熱材は、空調用の蓄熱装置だけでな
く、蓄熱式保温器等の蓄熱を利用するあらゆる方
面に応用可能なものである。
器に収納し、熱電対挿入管を付した栓で密封し
た。その容器をウオーターバス中に入れ、85℃と
40℃の間で加熱冷却を連続して行なつた。 第2図は、結晶核形成材として、Li2TiF6を用
いた場合の試料を、連続して100回加熱と冷却を
繰り返した際の過冷却度すなわち凝固温度と過冷
却の破れる温度との差の変化の様子を示したもの
である。図の横軸は加熱冷却サイクルの繰り返し
回数を対数目盛で示したものであり、縦軸は過冷
却度(℃)である。この図より、本実施例の蓄熱
材の加熱および冷却100回繰り返しても、過冷却
度が3〜4℃の範囲で安定しており、過冷却防止
機能は劣化せずに、有効に作用しているのがわか
る。 第3図と第4図はそれぞれ結晶核形成材とし
て、Li2ZrF6とLi2SiF6を用いた場合である。これ
らの場合もLi2TiF6を用いた場合と同部に、過冷
却度が3〜4℃付近で非常に安定していた。 実施例 2 CH3CO2Na・3H2O500Kgと第1表に示した結
晶核形成材500gとを内部にヒータを有する内径
80cm、高さ90cmの円筒形容器中に収納し、熱電対
挿入管を付したふたで密封した。容器内部のヒー
タでCH3CO2Na・3H2Oを85℃まで加熱して、
CH3CO2Na・3H2Oをすべて融解した。それから
ヒータによる加熱を停止し、冷却したところ、結
晶核形成材として、Li2TiF6,Li2ZrF6ならびに、
Li2SiF6のいずれを用いた場合にも、55℃付近で
過冷却が破れ、容器内部の温度が58℃まで上昇し
た。その後50回加熱と冷却を繰返したが、いずれ
の場合も過冷却度が約3℃の所で安定して過冷却
が破れ、本実施例の蓄熱材が十分蓄熱材として機
能することが確認出来た。 実施例 3 CH3CO2Na・3H2O1000gと第1表に示した結
晶核形成材20gを実施例1と同様の容器にそれぞ
れ収納し、ウオーターバス中で90℃で48時間加熱
した。その後、その容器をウオーターバスから取
り出し室温で放置したところ、いずれの結晶核形
成材を用いた場合にも約53℃CH3CO2Na・3H2O
の結晶化が開始した。 以上の実施例では結晶核形成材を単独で使用し
た場合について示しているが、その複数種を組合
わせて使用しても同様の作用効果を得ることがで
きる。 発明の効果 以上実施例で示したように、本発明の蓄熱材は
CH3CO2Na―H2O系に、CH3CO2Na・3H2Oの結
晶核形成材として、リチウムの複フツ化物を含有
させた蓄熱材であるから、耐熱温度が高く過冷却
をほとんど示さない安定した吸収熱性能を有し、
安価でかつ蓄熱量の大きなものである。 本発明の蓄熱材は、空調用の蓄熱装置だけでな
く、蓄熱式保温器等の蓄熱を利用するあらゆる方
面に応用可能なものである。
第1図は酢酸ナトリウム―水系の状態図、第2
図、第3図、第4図は本発明の実施例における蓄
熱材の繰り返し加熱・冷却に対する過冷却度の変
化を示すグラフである。
図、第3図、第4図は本発明の実施例における蓄
熱材の繰り返し加熱・冷却に対する過冷却度の変
化を示すグラフである。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 酢酸ナトリウム(CH3CO2Na)を40重量パ
ーセントから80重量パーセントの範囲で含有する
酢酸ナトリウムと水(H2O)よりなる系に、酢
酸ナトリウム3水塩(CH3CO2Na・3H2O)の結
晶核形成材としてリチウムの複フツ化物を含有さ
せた蓄熱材。 2 リチウムの複フツ化物がチタンフツ化リチウ
ム(Li2TiF6)、ジルコンフツ化リチウム
(Li2ZrF6)、ケイフツ化リチウム(Li2SiF6)より
なる化合物群より選択された少なくとも1種であ
る特許請求の範囲第1項記載の蓄熱材。 3 酢酸ナトリウムと水とよりなる系100重量部
に対する結晶核形成材の配合量が、40重量部を超
えない特許請求の範囲第1項記載の蓄熱材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP59280313A JPS61155488A (ja) | 1984-12-27 | 1984-12-27 | 蓄熱材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP59280313A JPS61155488A (ja) | 1984-12-27 | 1984-12-27 | 蓄熱材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS61155488A JPS61155488A (ja) | 1986-07-15 |
JPS6367832B2 true JPS6367832B2 (ja) | 1988-12-27 |
Family
ID=17623249
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP59280313A Granted JPS61155488A (ja) | 1984-12-27 | 1984-12-27 | 蓄熱材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS61155488A (ja) |
-
1984
- 1984-12-27 JP JP59280313A patent/JPS61155488A/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS61155488A (ja) | 1986-07-15 |
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