JPS6363698B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、構築物の梁構造と床構造に関するも
のである。

「従来の技術と発明が解決しようとする問題点」 従来、構築物の梁に、アンボンド鋼より線を梁
中間にて下方へ弯曲させて挿通し、該アンボンド
鋼より線によつてプレストレスを導入するととも
に、弯曲による吊上げ効果を得、梁のせいを低く
することが考えられている。

なお、アンボンド鋼より線は、例えば、鋼より
線の外周に防錆材を塗布し、柔軟な合成樹脂チユ
ーブによる被覆材で被つたものである。

しかし、この場合は、鋼より線の途中が、コン
クリートと付着しておらず、部分的な結合してい
ないことから、梁としては地震力に対する補強効
果を十分に期待できない欠点がある。

この点を改善するためには、従来、梁、スラブ
に直線的に挿入して使用されているボンドPCケ
ーブルを、梁中間にて下方へ弯曲させて用いるこ
とが考えられる。

しかし、従来のボンドPCケーブルは、断面円
形のシースに鋼より線を通し、シースと鋼より線
との間隙にセメントペーストを充填したものであ
るから、外径が大きく、また、交点での重なりの
嵩が高くなるため、弯曲させることに不利で、弯
曲させることによる吊上げ効果を得ようとすれ
ば、梁のせいを低くできず、建築物の高さが高く
なり、コスト高となる。このことは、スラブでも
同様である。

なお、ボンドPCケーブルを、従来通り直線的
に挿入して使用した場合は、吊上げ効果が生じな
いため、梁のせい、スラブの厚さを小さくするに
もおのずと限度がある。

本発明はこれらのことを考慮し、特定のボンド
型のPCケーブルを用いて梁、スラブを増強し、
かつ、厚さを低減し、もつて、建築高さを低く
し、空間の利用性を高め、経済的価値を向上させ
ることを目的とする。

「問題点を解決するための手段」 本発明の一つは、扁平筒状のフラツトシース内
に複数の鋼より線を通してPCケーブルを形成し、
該PCケーブルを平らな二面が上下に面する姿勢
で構築物の扁平な梁の内部にその長手方向に配す
るとともに梁中間にて下方へ弯曲させて挿通し、
中の鋼より線はそれぞれ緊張させて両端を梁又は
床スラブのコンクリート端部に固定し、フラツト
シース内にセメントペースト等を充填して鋼より
線とフラツトシースとを一体に結合させた構築物
の梁構造にある。

また、他の一つは、扁平筒状のフラツトシース
内に複数の鋼より線を通してPCケーブルを形成
し、該PCケーブルを平らな二面が上下に面する
姿勢で構築物の扁平な梁の内部にその長手方向に
配するとともに梁中間にて下方へ弯曲させて挿通
し、中の鋼より線はそれぞれ緊張させて両端を梁
又は床スラブのコンクリート端部に固定し、ま
た、上記PCケーブルを平らな二面が上下に面す
る姿勢で構築物の床スラブに縦横に配するととも
にスラブ中間にて下方へ弯曲させて挿通し、中の
鋼より線は緊張させて両端を梁又は床スラブのコ
ンクリート端部に固定し、各フラツトシース内に
セメントペースト等を充填して鋼より線とフラツ
トシースとを一体に結合させた構築物の床構造に
ある。

「作用」 如上の構成であるから、フラツトシースは、交
点での重なりの嵩を低くし、梁、スラブ内での下
方への十分な弯曲、すなわち、内挿した鋼より線
の下方への所要の弯曲を可能ならしめるととも
に、梁、スラブの高さ、厚さの低減を可能ならし
め、また、注入したセメントペーストは、複数の
鋼より線をフラツトシースに対し一様に強固に結
合させ、したがつて、それらの鋼より線を全長に
わたり周りの梁スラブのコンクリートへ強力に一
体化させ、梁、スラブの強度を増大させる。

「実施例」 次に、図面により本発明の実施例を説明する。

構築物の各柱１の間の梁２は、せいがスパン長
さの約1/20であつて、通常の梁せいがスパン長さ
の約1/10であるのに比較して低く、梁幅も通常の
柱幅より狭いのに対して柱幅より広く扁平状にな
つている。

梁２には、両側部において、扁平なPCケーブ
ルＡ、すなわち、扁平筒状のフラツトシース４内
に複数の鋼より線３…を横一列に並べて通した
PCケーブルＡを、平らな二面が上下に面する姿
勢で、梁中間にて下方へ弯曲させて挿通し、内部
の各鋼より線３…をそれぞれ緊張させて両端を梁
２又はスラブ６のコンクリート端部に定着金具で
固定し、つまり、プレストレスを導入、梁の曲げ
モーメントに対する補強としている。

而して、PCケーブルＡには、フラツトシース
４内にセメントペースト５を充填して、鋼より線
３…とフラツトシース４とを一体的に結合させ、
結果として、梁２の打設コンクリートとも一体化
させている。したがつて、PCケーブルＡは、ボ
ンドタイプとなり、内部の鋼より線３…は、全体
的にのみならず部分的にも外力に対抗する。

フラツトシース４は、細長い金属板をスパイラ
ル状に巻きかつ扁平にして、扁平筒状に形成して
いる。

スラブ６には、扁平な上記PCケーブルＡを、
上記と同様に、平らな二面が上下に面する姿勢
で、適数縦横に配置するとともに、スラブ中間に
て下方へ弯曲させて挿通し、各フラツトシース４
内の複数の鋼より線３…をそれぞれ緊張させて両
端を梁２又はスラブ６のコンクリート端部に定着
金具で固定し、つまり、プレストレスを導入して
いる。

また、PCケーブルＡには、上記と同様に、フ
ラツトシース４内にセメントペースト５を充填し
て、鋼より線３…とフラツトシース４とを一体的
に結合させ、もつて、スラブ６の打設コンクリー
トとも一体化させている。これにより、PCケー
ブルＡは、上記と同様のボンドタイプとなる。

「発明の効果」 本発明によれば、PCケーブルに扁平筒状のフ
ラツトシースを用いるので、PCケーブルを梁中
間、スラブ中間にて下方へ十分に弯曲させること
ができて、十分な吊上げ効果を得ることができ、
しかも、梁のせいを低く、スラブの厚さを薄く施
工でき、また、PCケーブルにおいて、そのフラ
ツトシース内にセメントペースト等を充填してフ
ラツトシースと内部の鋼より線とを一体的に結合
させるので、鋼より線を全長にわたり周りの梁、
スラブのコンクリートへ強力に一体化させること
ができて、地震に対する十分な補強効果が得ら
れ、梁、スラブの強度を増大させることができ、
その結果、強固な構築物を得ることができ、多数
階であつてもその建築高さを支障なく低下させる
ことができ、空間の利用性を高めることができ、
価格及び法規制上において有利なものにできる。

【図面の簡単な説明】

図面は、本発明の実施例で、第１図は、構成要
領平面図、第２図は、第１図―線の断面図、
第３図は、第１図―線の断面図、第４図は、
梁の拡大断面図である。 １……柱、２……梁、３……鋼より線、４……
フラツトシース、５……セメントペースト、６…
…スラブ、Ａ……PCケーブル。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 扁平筒状のフラツトシース内に複数の鋼より
   線を通してPCケーブルを形成し、該PCケーブル
   を平らな二面が上下に面する姿勢で構築物の扁平
   な梁の内部にその長手方向に配するとともに梁中
   間にて下方に弯曲させて挿通し、中の鋼より線は
   それぞれ緊張させて両端を梁又は床スラブのコン
   クリート端部に固定し、フラツトシース内にセメ
   ントペースト等を充填して鋼より線とフラツトシ
   ースとを一体に結合させた構築物の梁構造。 ２ 扁平筒状のフラツトシース内に複数の鋼より
   線を通してPCケーブルを形成し、該PCケーブル
   を平らな二面が上下に面する姿勢で構築物の扁平
   な梁の内部にその長手方向に配するとともに梁中
   間にて下方へ弯曲させて挿通し、中の鋼より線は
   それぞれ緊張させて両端を梁又は床スラブのコン
   クリート端部に固定し、また、上記PCケーブル
   を平らな二面が上下に面する姿勢で構築物の床ス
   ラブに縦横に配するとともにスラブ中間にて下方
   へ弯曲させて挿通し、中の鋼より線は緊張させて
   両端を梁又は床スラブのコンクリート端部に固定
   し、各フラツトシース内にセメントペースト等を
   充填して鋼より線とフラツトシースとを一体に結
   合させた構築物の床構造。