JP3892153B2 - 既設柱の耐震補強構造および既設柱の耐震補強方法 - Google Patents

既設柱の耐震補強構造および既設柱の耐震補強方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄筋コンクリート製の既設柱を外周から耐震補強する既設柱の耐震補強構造および耐震補強方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
阪神大震災を機に高架道路の鉄筋コンクリート製の既設柱の補強が盛んに行われており、この種の耐震補強方法の1つとして本出願人は、図4,5に示すような工法を最近提案した(特開平10−148038号公報)。
【0003】
この耐震補強工法は、まず、既設柱51のコンクリートを、後に吹き付けられるモルタルとなじませるべく表面処理し、続いて柱51の外側四隅に結束用の添え筋58を垂設する(図5参照)。次に、PC鋼棒を螺旋状の束に加工してなる螺旋フープ筋1を、図4(A)に示すように、そのループ面が既設柱51の外面近傍に対向するように鉛直に配置し、巻き始めとなる直角に曲げた先端を、既設柱51の下端の穴に差し込んで固定し、螺旋フープ筋1の束を鉛直に保持したまま、図4(B)の矢印Xで示す束がほどける方向に回転させつつ、既設柱51の周囲に矢印Yで示す方向に巡らせて、1ループずつ既設柱51の下端外周に水平に巻き付けていく。
1束の巻き付けが終わると、柱51の下端外周に重なって巻き付いた螺旋ループ筋1の上端を柱51の上方へ図5(B)の如く持ち上げて、所定のピッチP=5cmを作って保持し、この状態で螺旋ループ筋1の四隅を、添え筋58に結束線で結束して固定する。
次に、巻き建ての終わった螺旋フープ筋1の先端が差し込まれたアンカー穴にグラウトを注入して固定した後、既設柱51と螺旋フープ筋1の隙間にモルタルを吹き付けながら充填するとともに螺旋フープ筋1をモルタルで覆って、厚さ40mmのモルタル層57として、図5(C)に示すように、既設柱51の耐震補強を終了する。
【0004】
上記螺旋フープ筋1のピッチP=5cmは、単位長の柱につき螺旋フープ筋の合計断面が担うべき許容荷重Wから決まり、PC鋼棒SBPD130/145の直径,降伏点,柱1m当たりの本数は、夫々d=7.1mm,σy=134kgf/mm2, n=20だから、上記許容荷重Wは、W=σy×(πd2/4)×2n=212212kgとなる。
一方、図4(A)に示す巻き付けの際に捩りによって螺旋フープ筋1に生じる最大剪断応力τ(kgf/mm2)について考えると、τ=16T/(πd3)=16GI/(πd3)=16G(πd4θ/32)/(πd3)=Gdθ/2=…(1) となる。但し、T,G,θは、螺旋フープ筋1の夫々捩り剛性,横弾性係数(kgf/mm2),単位長さ当たりの捩れ角(rad/mm)である。
上記(1)式中のθは、螺旋フープ筋1を柱51の周りに半周長巻き付けるごとに捩れ角が90°増加するから一定であり、例えば柱断面が900mm×900mmなら、θ=(πrad/180°)×(90°/1800mm)=0.000873(rad/mm)となる。また、上記(1)式中のGは、G=E/2(ν+1) E:ヤング率,ν:ポアソン比で与えられ、鉄鋼であるPC鋼棒でも一定値(8100kgf/mm2)である。従って、螺旋フープ筋1に生じる最大剪断応力τは、(1)式からフープ筋の直径dに比例することになる。
他方、材料の許容最大剪断応力τaは、その材料の降伏点をσyとすれば、
τa=σy/2√3…(2) で与えられるので、螺旋フープ筋1の許容最大剪断応力は、材料の降伏点σyに比例することになる。
【0005】
従って、螺旋フープ筋1であるPC鋼棒SBPDの材料特性値,寸法を上記(1),(2)式に代入して最大剪断応力τ,許容最大剪断応力τaを求めると、τ=25.1(kgf/mm2)<τa=38.7(kgf/mm2) となって弾性変形内での巻き付けが可能になることが判る。これは、螺旋フープ筋1に高強度で細径のPC鋼棒SWPR1を用いているので、許容最大剪断応力τaを大きくできるうえ、最大剪断応力τを直径に逆比例して小さくできるからである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の既設柱の耐震補強方法は、高架道路の橋脚柱などの設計軸力比(軸方向圧縮応力度/コンクリートの設計圧縮強度)が0.1以下の地上構造物を対象としている。しかし、地下深くの地下構造物の柱では、上載荷重の他に土圧が加わって軸力比が0.2〜0.5と高まり、その結果、柱の変形性能が低減する。地下構造物として必要な変形性能を確保し,保証するには、地上構造物に対するよりも太径の螺旋フープ筋を用いるか、螺旋フープ筋のピッチPをより狭くしなければならない。
ところが、JIS G 3137で規定されたPC鋼棒SBPDの最大径dは、12.6mmであるうえ、直径dが増えると、(1)式で述べたように、螺旋フープ筋に生じる最大剪断応力τ,つまり巻き付けに要する力が比例して増加し、人力で巻き付け作業ができなくため、太径にするにも限度がある。また、柱51と螺旋フープ筋1の隙間にモルタル57を吹き付けることから、この隙間を33mm以上にする必要があり、ピッチを狭くするにも限度がある。そのため、軸力比の大きな地下構造物の柱や超高層建物の下階部の柱では、上記限度を超えた太径あるいはピッチの螺旋フープ筋が必要となって、上記従来の既設柱の耐震補強方法が適用できないという問題がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、螺旋フープ筋の配置を高密度になるように工夫することによって、螺旋フープ筋の巻き付けによる優れた経済性,施工性を活かしつつ、高い軸力の加わる既設柱も補強することができる既設柱の耐震補強構造および耐震補強方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の既設柱の耐震補強構造は、既設柱の回りにこの既設柱の外周面から一定間隔を隔てて配設された第1の螺旋フープ筋と、この第1の螺旋フープ筋の外側に一定間隔を隔てて配設された第2の螺旋フープ筋と、上記既設柱と螺旋フープ筋の隙間に充填されたモルタルとを備え、上記第1の螺旋フープ筋と第2の螺旋フープ筋は、一方が他方の略中央に位置するように配置されて、互いに同一方向に巻き付けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項1の既設柱の耐震補強構造では、既設柱の外周に第1の螺旋フープ筋および第2の螺旋フープ筋が順に一定間隔を隔てて配設され、これらの螺旋フープ筋と既設柱の隙間にモルタルが充填されている。つまり、モルタルが充填できるように各螺旋フープ筋の配置密度(単位柱長さ当たりの本数)を従来と同じに保っても、既設柱は、第1,第2の螺旋フープ筋によって2重に取り囲まれているので、同一径の螺旋フープ筋を同一配置密度で用いる場合、軸力比が2倍の地下既設柱も十分な変形性能でもって補強される。また、第1,第2の螺旋フープ筋の径および配置密度を異ならせれば、配筋量を任意または最適に設定しつつ軸力比の高い既設柱も十分な変形性能でもって補強することができる。また、第1 , 第2の螺旋フープ筋が、一方が他方の略中央に位置するように配置されているので、柱の剪断耐力がより均一になる。さらに、螺旋フープ筋の配置密度が同じであっても、第1 , 第2の螺旋フープ筋を互いに逆方向に巻き付けた場合よりも第1 , 第2の螺旋フープ筋の間隔が小さくなり、コンクリートの横拘束効果が大きくなるとともに、主筋の座屈防止に効果のある耐震補強構造にすることができる。
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
請求項の既設柱の耐震補強方法は、既設柱の回りにこの既設柱の外周面から一定間隔を隔てて第1の螺旋フープ筋を巻き付け、上記既設柱と第1の螺旋フープ筋の隙間にモルタルを充填し、このモルタルおよび第1の螺旋フープ筋の外側に一定間隔を隔てて第2の螺旋フープ筋を巻き付け、上記モルタルと第2の螺旋フープ筋の隙間にモルタルを充填することを特徴とする。
【0015】
請求項の既設柱の耐震補強方法では、第1,第2の螺旋フープ筋を既設柱の回りに一定間隔を隔てて巻き付けるので、従来のように輪状のフープ筋を柱に1つずつ外嵌して継目を溶接する必要がないから、欠陥の少ない能率的なフープ筋の施工により既設柱を能率良く強固に耐震補強することができる。また、既設柱の外周に第1,第2のフープ筋を順に一定間隔を隔てて配設し、これらの螺旋フープ筋と既設柱の隙間にモルタルを充填するので、請求項1で述べたと同じ理由から、各螺旋フープ筋の配置密度(単位柱長さ当たりの本数)をモルタルの充填が可能な従来の値に保ちつつ、軸力比の高い既設柱を十分な変形性能でもって補強することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
図1,図2は、夫々外側モルタル施工後および施工前の本発明の既設柱の耐震補強構造の一例を示している。この既設柱の耐震補強構造は、図1に示すように、地下深くから立ち上がり,土圧により大きな軸圧縮応力を受ける橋脚柱などの既設柱31の外周面から一定間隔を隔てて配設された第1の螺旋フープ筋1と、この第1の螺旋フープ筋1の外側に一定間隔を隔てて配設された第2の螺旋フープ筋11と、既設柱31と螺旋フープ筋1,11の隙間を充填し,かつこれらを覆うように施工されたモルタル57,67とからなる。なお、図1に示す既設柱31において、6は柱の矩形断面の周縁に沿って鉛直に複数本配設された縦筋、7は縦筋6を囲んで水平に複数本配設されたフープ筋である。
【0017】
上記螺旋フープ筋1,11は、柱全長の補強に必要な図4,5の従来例で述べたと略同じ長さの公称径7.1mmの細径異形PC鋼棒(JIS G 3137)を,既設柱31の断面よりも大きい矩形の螺旋状の束に加工し、これを図4と同様の手法で既設柱31の下端外周に,柱四隅に立設した添え筋58(図3(A)参照)または添え筋68(図3(F)参照)に外接させて総て巻き付けた後、上記従来例と同じピッチP=5cmで結束線2(図3(C)参照)により固定して柱全長に亘って配置される。
螺旋フープ筋1,11の径dとピッチPは従来例と同じだが、既設柱31は、螺旋フープ筋1,11によって2重に取り囲まれているので、各螺旋フープ筋の隙間からモルタルを充填することができるうえ、従来の2倍の軸荷重が加わる既設柱31も十分な変形性能でもって補強できることになる。
【0018】
上記第1,第2の螺旋フープ筋の巻き付けは、図2(A)に示され,図1の螺旋フープ筋1,11および請求項に対応する同一方向のものと、図2(B)に参考例として螺旋フープ筋21,11で示される逆方向のものがある。
図2は、外側のモルタル67を吹き付ける前の図1(A)のII−II線に沿う矢視図であり、外側モルタル67の表面が一点鎖線で、第1の螺旋フープ筋1,21および既設柱31の表面が破線で夫々示されている。
【0019】
図2(A)の同一方向の巻き付けは、内側の第1の螺旋フープ筋1が、上方へ向かって左巻きに一辺ずつ1a,1b,1c,1dと進む毎に1/4ピッチ上がって1周で1ピッチPをなす一方、外側の第2の螺旋フープ筋11が、第1の螺旋フープ筋1の各ピッチの中央に位置し、かつ上方へ向かって左巻きに一辺ずつ11a,11b,11c,11dと進む毎に1/4ピッチ上がって1周で1ピッチPをなす。
図2(B)の逆方向の巻き付けは、内側の第1の螺旋フープ筋21が、上方へ向かって右巻きに一辺ずつ21a,21b,21c,21dと進む毎に1/4ピッチ上がって1周で1ピッチPをなす一方、外側の第2の螺旋フープ筋11が、上方へ向かって左巻きに一辺ずつ11a,11b,11c,11dと進む毎に1/4ピッチ上がって1周で1ピッチPをなすとともに、両螺旋フープ筋21,11が、図2(B)に示す面とその裏面において柱面の略中央で交差する。
【0020】
図2(A),(B)のいずれの方向の巻き付けも、既に述べたように、既設柱31を2重に取り囲んで変形性能を倍増し、従来の2倍の軸荷重が加わる既設柱をも確実に補強する。
また、図2(A)の同一方向に巻き付けでは、第1,第2の螺旋フープ筋1,11が、一方が他方の中央に位置するので、柱の剪断耐力がより均一になる。さらに、螺旋フープ筋の配置密度が同じであっても、図2(B)の逆方向のものより第1,第2の螺旋フープ筋1,11の間隔が小さくなり、コンクリートの横拘束効果が大きくなるとともに、主筋の座屈防止に効果のある耐震補強構造にすることができる。
【0021】
一方、参考例の図2(B)の逆方向に巻き付けでは、第1の螺旋フープ筋21が、その巻き方向に沿って引張主応力を生じるような負(反時計回り)の捩りモーメントを担って、上記巻き方向に直交して進展するひび割れの発生を防止するとともに、第2の螺旋フープ筋11が、その巻き方向に沿って引張主応力を生じるような正(時計回り)の捩りモーメントを担って、上記巻き方向に直交して進展するひび割れの発生を防止する。つまり、既設柱31が、正負いずれの捩りモーメントに対しても補強されて、両方向の捩りに強いバランスの良い耐震補強構造にすることができる。
【0022】
上記実施の形態では、螺旋フープ筋1の材料として、一般の鉄筋コンクリート用異形棒鋼SD345など(JIS G 3112)よりも降伏点が3〜5倍も高い細径異形PC鋼棒(JIS G 3137)を用いているので、段落[0004]で述べたように細径の鋼棒を少量用いるだけで柱の荷重を担うことができ、螺旋フープ筋の所要重量を大幅に低減して施工の軽量化を図れる。また、降伏点が高いので、螺旋フープ筋の(2)式で述べた許容最大剪断応力τaを大きくできて、塑性変形域に入ることなく確実に弾性変形域内で巻き付けが可能になるうえ、細径なので、巻き付けの際に螺旋フープ筋に生じる(1)式で述べた最大剪断応力τ,つまり巻き付けに要する力を小さくできて、施工が容易になるとともに、螺旋フープ筋相互の隙間が広くなって、モルタルの充填が容易になるという利点がある。
なお、上記螺旋フープ筋1として、公称径が9.0,10.7,12.6mmの細径異形PC鋼棒(JIS G 3137)を用いることもできる。鋼棒の断面積は、公称径の二乗に比例するので、同じ荷重を担うための鋼棒のピッチも公称径の二乗に比例して増え、鋼棒相互間の隙間の増分は公称径の増分より大きくなって、太いPC鋼棒を用いる方がモルタル充填のための隙間は広くなる。
【0023】
上記実施の形態では、第1,第2の螺旋フープ筋の径および配置密度を同じにしたが、これを異ならせることもでき、それによって配筋量を任意または最適に設定しつつ軸力比の高い地下既設柱も十分な変形性能でもって補強することができる。
また、上記実施の形態では、既設柱の周りに2重に螺旋フープ筋を巻き付けたが、本発明に言う第1,第2の螺旋フープ筋は、1重目;2重目の螺旋フープ筋1,21;11のみを意味するものではなく、3重以上に巻き付けた螺旋フープ筋をも意味する。従って、既設柱31を3重以上の螺旋フープ筋で補強すれば、施工に手間はかかるが、同一の径とピッチなら補強強度を比例的に増加でき、同一の補強強度なら径を減少し,ピッチを増加することができる。
【0024】
図3は、図2(A)の既設柱の耐震補強構造の施工手順を順に示している。
この耐震補強方法は、まず、図3(A)に示すように、地下埋設の既設柱31のコンクリートの表面を、後に吹き付けられるモルタルとなじませるべく処理し、続いて柱31の外側四隅に結束用の添え筋58を垂設する。次に、既設柱31の下端角部に第1の螺旋フープ筋1の先端の直角屈曲部を引っ掛け、図3(B)に示すように、第1の螺旋フープ筋1の束のループ面を柱外面に対向させて、鉛直方向に沿うように保持し、この状態のまま束を図3(B)に示す矢印X方向に回転させつつ矢印Y方向に柱の周囲に巡らせて、1ループずつ柱31に左巻きに巻き付けていく。
【0025】
1束の巻き付けが終わると、既設柱31の下端外周に積み重なった第1の螺旋フープ筋1の束を、既設柱31の上端まで手または昇降台によって持ち上げ、図3(C)に示すように、最上部の螺旋ループ筋から順に、矩形の各隅において1本ずつ、刻まれたピッチを示す目盛3に合わせて柱の一辺を進む毎に1/4ピッチだけ下降するように、結束線2で添え筋58に固定することを既設柱31の下端まで繰り返す。
こうして第1の螺旋フープ筋1の配設が終わると、図3(D)に示すように、最初にモルタルを吹き付ける柱面の両側端に仕切板4,4を立設し、これを仕切りとして既設柱31と第1の螺旋フープ筋1の間を満たし,かつ第1の螺旋フープ筋1を覆うように吹付けガン5によって内側のモルタル57を吹き付ける。既設柱31の四面について内側のモルタル57の吹き付けを終え、仕切板4を外せば、図3(E)の如くなる。
【0026】
次に、図3(F)に示すように、内側モルタル57が吹き付けられた既設柱31の外側四隅に図3(A)で述べたと同様に添え筋68を垂設した後、第2の螺旋フープ筋11(図2(A)参照)を、図3(B),(C)で述べたと同様の要領で、巻き付け、第1の螺旋フープ筋1の各ピッチの中央に位置させて結束,配設し、図3(D)で述べたと同様の要領で、外側のモルタル67(図1参照)を吹き付けて、図1の如く耐震補強を終了する。
なお、図3(F)に示す内側モルタル57の吹き付け終了時に、第1の螺旋フープ筋1の矩形の四隅が露出するようにしておけば、目盛3のない添え筋68を用いた場合でも、第2の螺旋フープ筋11の位置決め,結束が容易になる。
また、結束の終わった第1,第2の螺旋フープ筋1,11の表面全体にメッシュ筋を敷設すれば、内側,外側モルタル57,67の吹き付けと付着を容易,かつ確実にすることができる。
【0027】
図2(B)の既設柱の耐震補強構造の施工手順は、格別に図示していないが、第1の螺旋フープ筋21の巻き付けを、矩形に加工された螺旋フープ筋の束を図3(B)とは表裏逆にして柱に対向させて鉛直に保持し、これを矢印Xと逆方向に回転させつつ矢印Yと逆方向に巡らせて行う点、および第2の螺旋フープ筋11を柱面の中央で,内側モルタル57から一部露出する第1の螺旋フープ筋21と交差させるように配設する点を除いて、図3で述べた手順と同じである。
【0028】
このように、本実施の形態の既設柱の耐震補強方法の要部である螺旋フープ筋の巻き付けは、螺旋フープ筋1,11,21のループ面を既設柱31の外面に対向させて鉛直方向に沿って保持したまま、束がほどける方向(図3(B)の矢印X)に回転させつつ既設柱の回りを巡らせて(図3(B)の矢印Y)1ループずつ巻き付けていくので、矩形状のフープ筋の隅部を矩形面内で曲げ力によってさらに90°開くのではなく、螺旋フープ筋を柱の半外周長当たり90°捩るだけでよいから、弾性変形範囲内での巻き付けが可能になるうえ、螺旋フープ筋の束の鉛直保持により、柱の周囲空間が狭くても施工ができる。
さらに、本実施の形態では、従来のように輪状のフープ筋を柱に1つずつ外嵌して継目を溶接する必要がないので、能率的で欠陥の少ない既設柱の耐震補強を行なうことができる。
【0029】
また、上記実施の形態では、螺旋フープ筋1,11,21の材料に降伏点が134kgf/mm2の高強度鋼を用いているので、従来と同等の補強強度を維持しつつ、フープ筋の所要重量を略半減でき、施工の軽量化を図れるとともに、降伏点の上昇による許容剪断応力の上昇およびフープ筋の小径化に比例した巻き付けに伴って生じる捩り最大剪断応力の低減により、弾性範囲内での巻き付けを確実に保証しつつ、巻き付けの一層の容易化を図ることができる。
また、螺旋フープ筋1,11,21の高強度化と小径化により、螺旋フープ筋相互間の隙間が広くなって、モルタルの充填が容易化する。
【0030】
なお、上記実施の形態では、螺旋フープ筋のループ形状を正方形としたが、この形状は既設柱の断面形状に合わせて円形,長方形などにできることは勿論である。また、螺旋フープ筋の材質は、上記実施の形態のSBPDに限らず、巻き付けに伴う捩り最大剪断応力が弾性範囲内に収まるものであれば、どのようなものでもよい。
さらに、上記実施の形態では、螺旋フープ筋を巻き付けた上に吹き付けによりモルタル57,67を施工しているので、モルタル充填用の仮枠を要さずに螺旋フープ筋まで被覆できるから、施工を一層能率化できるとともに、螺旋フープ筋の防錆塗装を省略することができる。
【0031】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、請求項1の既設柱の耐震補強構造は、既設柱の回りにこの既設柱の外周面から一定間隔を隔てて配設された第1の螺旋フープ筋と、この第1の螺旋フープ筋の外側に一定間隔を隔てて配設された第2のフープ筋と、上記既設柱と螺旋フープ筋の隙間に充填されたモルタルとを備え、上記第1の螺旋フープ筋と第2の螺旋フープ筋は、一方が他方の略中央に位置するように配置されて、互いに同一方向に巻き付けられているので、既設柱は、モルタル充填に問題のない例えば従来と同じ密度で配置された従来と同径の第1,第2の螺旋フープ筋によって2重に取り囲まれるから、従来の2倍の軸荷重を受ける既設柱も十分な変形性能でもって補強され、第1,第2の螺旋フープ筋の径および配置密度を異ならせることによって、配筋量を任意または最適に設定しつつ軸力比の高い既設柱も十分な変形性能でもって補強される。また、第1 , 第2の螺旋フープ筋が、既設柱に互いに同一方向に巻き付けられているので、柱の剪断耐力がより均一になるとともに、第1 , 第2の螺旋フープ筋を互いに逆方向に巻き付けた場合よりも第1 , 第2の螺旋フープ筋の間隔が小さくなって、コンクリートの横拘束効果を大きくでき、主筋の座屈を効果的に防止できる。
【0032】
【0033】
【0034】
請求項の既設柱の耐震補強方法は、既設柱の回りにこの既設柱の外周面から一定間隔を隔てて第1の螺旋フープ筋を巻き付け、上記既設柱と第1の螺旋フープ筋の隙間にモルタルを充填し、このモルタルおよび第1の螺旋フープ筋の外側に一定間隔を隔てて第2の螺旋フープ筋を巻き付け、上記モルタルと第2の螺旋フープ筋の隙間にモルタルを充填するので、従来のように輪状のフープ筋を柱に1つずつ外嵌して継目を溶接する必要がないから、欠陥の少ない能率的なフープ筋の施工により既設柱を能率良く強固に耐震補強することができ、各螺旋フープ筋の配置密度をモルタルの充填が可能な従来の値に保ちつつ、軸力比の高い既設柱をも十分な変形性能でもって補強することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 外側モルタル施工後の本発明の既設柱の耐震補強構造の一例を示す横断面図およびそのb−b線に沿う縦断面図である。
【図2】 図2( )は、第1,第2の螺旋フープ筋を同一方向に巻き付けた外側モルタル施工前の本発明の既設柱の耐震補強構造の一例を示す図1(A)のII−II線に沿う矢視図、図2 ( ) は、第1 , 第2の螺旋フープ筋を逆方向に巻き付けた外側モルタル施工前の既設柱の耐震補強構造の参考例を示す矢視図である。
【図3】 図2(A)の既設柱の耐震補強構造の施工手順を順に示す斜視図である。
【図4】 従来の耐震補強工法の要部をなす螺旋フープ筋の配設方法を示す斜視図および側面図である。
【図5】 上記従来の耐震補強工法を示す平面図,側面図および拡大平面図である。
【符号の説明】
1,21…第1の螺旋フープ筋、2…結束線、3…目盛、4…仕切板、
5…吹付けガン、31…既設柱、57…内側モルタル、58…添え筋、
67…外側モルタル、68…添え筋。

Claims (2)

  1. 既設柱の回りにこの既設柱の外周面から一定間隔を隔てて配設された第1の螺旋フープ筋と、
    この第1の螺旋フープ筋の外側に一定間隔を隔てて配設された第2の螺旋フープ筋と、
    上記既設柱と螺旋フープ筋の隙間に充填されたモルタルとを備え
    上記第1の螺旋フープ筋と第2の螺旋フープ筋は、一方が他方の略中央に位置するように配置されて、互いに同一方向に巻き付けられていることを特徴とする既設柱の耐震補強構造。
  2. 既設柱の回りにこの既設柱の外周面から一定間隔を隔てて第1の螺旋フープ筋を巻き付け、
    上記既設柱と第1の螺旋フープ筋の隙間にモルタルを充填し、
    このモルタルおよび第1の螺旋フープ筋の外側に一定間隔を隔てて第2の螺旋フープ筋を巻き付け、
    上記モルタルと第2の螺旋フープ筋の隙間にモルタルを充填することを特徴とする既設柱の耐震補強方法
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