JPS6361868B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、時計用モータの組立方法に関する。

従来においては、コイル芯を別部材として用意
しておき、このコイル芯にコイルを挿入または巻
回し、その後でこのコイル芯をロータを駆動する
ステータ（このステータは、分離した一対のステ
ータ片、または、この一対のステータ片が狭幅部
を介して一体に繋つた構造のものであつたりす
る。）に対して連結する構造の時計用モータが、
ウオツチやクロツクなどで最も一般的に採用され
ている。しかしながら、かかる構造または方法に
よると、ステータは少なくとも２部材が必要であ
るし、その組立も面倒であるという欠点があつ
た。

また、実開昭52−58411号公報には、コ字形の
ステータを有するモータにおいて、コ字形ステー
タの平行をなす部分を曲げ開いてコイルをステー
タに装着することが開示されている。しかし、こ
の方法では、ステータはコイルの磁束を誘導する
重要な部分で曲げられるために、この部分が曲げ
歪みを受け、それによつてステータの磁気抵抗が
増大し、モータ性能が低下し易い欠点を有してい
る。

本発明は、上記先行技術の欠点を除去すること
を主たる目的とするものであつて、以下本発明に
係る時計用モータの組立方法の一実施例について
添付図面に基いて説明する。

第１図において、ステータ１は、透磁性（望ま
しくは高透磁性）の金属板から実質的に閉磁気回
路を構成するように一体に形成した１枚板構造の
ものであつて、第５図示のロータ２を駆動するた
めの１対のステータ磁極板部３，４と第４図およ
び第５図示のコイル５（このコイル５は予めボビ
ン６に巻回されたものであるが、ボビン６は必ず
しも必要ではない。）を挿入装着可能な直線状の
コイル芯部７を備えている。各ステータ磁極板部
３，４は狭幅部８，９（この狭幅部８，９はその
一方だけであつても構わない。）を介して一体に
連繋している。また各ステータ磁極板部３，４の
各内端面１０，１１（ロータ２と対向する面）
は、この実施例では同心円弧面にて形造られてお
り、各内端面１０，１１はそれぞれ対称的な位置
にノツチ１２，１３を有している。各内端面１
０，１１の形状は自由に設計変更しても構わな
い。ステータ１は、コイル芯部７の一端部１４で
切断部１５を介して分離しているが、切断部１５
のエアーギヤツプはできるだけ小さくすることが
望ましい。

かかる構造のステータ１を形成したら、つぎに
各ステータ磁極板部３，４の穴中心１６と各狭幅
部８または９とを結ぶ直線１７をほぼ折り曲げ中
心として、狭幅部８，９を第２図および第３図に
示すように、この実施例では約90度に、折り曲げ
る。この折り曲げによつて、コイル芯部７は他の
部分（特に切断部１５の一方の端面１８）と十分
な間隔をもつて位置するようになり、これにより
コイル５をこのコイル芯部に挿入装着可能とな
る。そこで予めボビン６に巻回しておいたコイル
５をコイル芯部７に対してその一端部１４側から
第４図に示すように挿入装着する。しかる後に前
記の折り曲げられていたステータ１（狭幅部８，
９）を第５図に示すように原状に曲げ戻す。

この結果、コイル５はコイル芯部７から最早抜
け出ることはできない。狭幅部８，９は元々その
磁気抵抗が高いが、従来においては駆動効率など
の特性向上を図る目的で、この部分だけをプレス
機械などを用いて押し加工して塑性歪みを与え、
これにて狭幅部８，９の磁気抵抗をさらに高める
工程をわざわざ行なつていた。これに対して本発
明の方法によれば、上記塑性歪みの付与が、コイ
ル５をコイル芯部７に挿入装着するために行なう
狭幅部８，９の折り曲げ、曲げ戻しによつてこの
部分が塑性変形を受けることによつて構成され
る。したがつてこの狭幅部８，９の磁気抵抗は従
来のような押し加工を必要とすることなしに一層
増大し、各磁極板部３，４は狭幅部８，９を介し
て一体に繋つているにもかかわらず、磁気特性上
は各磁極板部３，４はあたかも分離しているかの
如く作用し、モータの諸特性が向上する。なお第
１図および第５図示の切断部１５のエアーギヤツ
プによる磁気損失が問題となる場合には、エポキ
シ等の接着剤中に磁性粉末を混入したものを切断
部１５のエアーギヤツプに充填すれば、この切断
部１５の連結と同時に上記磁気損失の防止を行な
うことができる。

なおステータ１の各部の形状や寸法は、特許請
求の範囲を逸脱しない範囲であれば、自由に設計
変更しうるものである。さらに上記折り曲げ角度
は、コイル芯部７にコイル５を装着し得ると共に
狭幅部８，９が塑性変形を受けるに十分な角度
（これはステータ１の形状によつても異なつてく
る。）であれば十分であつて、上記実施例に限る
ことはない。

以上のように、本発明によれば、コイルが装着
される直線状のコイル芯部と、狭幅部を介して一
体に連繋しかつロータを駆動する１対のステータ
磁極板部とが、実質的に閉磁気回路を構成するよ
うに形成されていると共に、上記コイル芯部の一
端部が分離している１枚板構造のステータへのコ
イルの装着に際し、狭幅部を、これと両磁極板部
の穴中心とを結ぶ線に沿つて、コイル芯部にコイ
ルを装着可能となると共に狭幅部が塑性変形を受
ける角度に折り曲げ、しかる状態において、コイ
ル芯部にコイルを装着し、このコイル装着後に狭
幅部を原状に曲げ戻すようにしたから、上記のよ
うな１枚板構造のステータであつてもコイルが簡
単に装着でき、しかも狭幅部がその折り曲げ、曲
げ戻し時に塑性変形を受けて磁気抵抗が高められ
るから、モータ性能が損われるどころか、却つて
向上するという特筆すべき効果を発揮する。した
がつて従来のような狭幅部の磁気抵抗を高めるた
めの特別な２次加工を省略できる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を説明するものであつ
て、第１図は本発明の方法に適用可能ステータの
一例の正面図、第２図は同上のステータを第１図
の直線１７を中心として約90度に折り曲げた状態
の正面図、第３図は第２図−線断面図、第４
図は第２図示のステータのコイル芯部にコイルを
装着した状態の正面図、第５図はコイル装着後に
ステータの折り曲げを元に戻した最終状態の正面
図である。 １……ステータ、２……ロータ、３，４……ス
テータ磁極板部、５……コイル、７……コイル芯
部、８，９……狭幅部、１０，１１……ステータ
磁極板部の内端面、１４……コイル芯部の一端
部、１５……切断部、１７……折り曲げ線。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ コイルが装着される直線状のコイル芯部およ
   び狭幅部を介して一体に連繋しかつロータを駆動
   する１対のステータ磁極板部とが実質的に閉磁気
   回路を構成するように形成されていると共に、上
   記コイル芯部の一端部が切断してある１枚板構造
   のステータの上記狭幅部を、これと上記両磁極板
   部の穴中心とを結ぶ線に沿つて、上記コイル芯部
   に上記コイルを装着可能となると共に上記狭幅部
   が塑性変形を受け得る角度に折り曲げ、 しかる状態において、上記コイル芯部に上記コ
   イルを装着し、 このコイル装着後に、上記狭幅部を原状に曲げ
   戻す ことを特徴とする時計用モータの組立方法。