JPH05191936A - 永久磁石式回転子 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明では、漏れ磁束を減少させ、モータ特性
を向上させることが可能な永久磁石式回転子を提供する
ことを目的とする。 【構成】永久磁石挿入用の開口部１、回転軸用の開口部
１１が設けられ、開口部１は、開口部１の外周枠を形成
する外周リング部７と開口部１の内方に形成されるヨー
ク部８の外周と外周リング部１とヨーク部８を繋ぐ連結
部９により形成される。この連結部９の幅を、外周側よ
り内周側を大きくなるように回転子鉄心抜板を形成して
いる。 【効果】外周側の連結部の幅が小さく、漏れ磁束の通路
が狭くなるため、漏れ磁束が大幅に減少しモータ特性が
向上する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はモータの回転子に永久磁
石を具備させた永久磁石式回転子に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、モータの回転子に永久磁石を用い
るものとしては、図４に示すように外周近傍に複数の開
口部１を設けた円盤状の回転子鉄心抜板を多数枚積層し
た積層体２を形成し、開口部に永久磁石３を挿着するよ
うにしている。

【０００３】このような構成の永久磁石式回転子４にお
いては、図５に示すように、モータの運転時にエアギャ
ップを介して固定子５、回転子４間に大きな磁束の漏れ
６が生じ、これが原因でモータ特性が低下するという欠
点があった。

【０００４】特開昭６０−１７０４７号公報ではこのよ
うなモータ特性の低下を防止するために図６に示すよう
に開口部１の外周枠を形成する外周リング部７と開口部
１の内方に形成されるヨーク部８とを繋ぐ連結部９の外
周に凹み１０を設けるようにしているが、凹み１０は連
結部９の周方向の幅より小さい幅で形成されているた
め、凹み１０の周辺より磁束が漏れ易く、その効果は十
分得られるものではなかった。

【０００５】一方、漏れ磁束を減少させるために連結部
９の幅を小さくすることが考えられるが、この場合に
は、ヨーク部８と外周リング部７の連結強度が弱くな
り、回転子鉄心抜板が曲がってしまったり、打ち抜き、
積層時に開口部１の変形、破断が生じる等、製造上にお
ける問題が生じた。

【０００６】また、漏れ磁束を減少させるために、回転
子全体の外径を小さくし、エアギャップを大きくして、
漏れ磁束を減少させることも考えられるが、エアギャッ
プが大きくなると、全体の磁束が減少するため、モータ
特性を維持することができないという問題があった。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来の
永久磁石式回転子においては、漏れ磁束を減少させるた
めに、様々な構造が考えられているが、ヨーク部と外周
リング部の連結強度が弱くなり製造できなかったり、全
体のエアギャップが大きくなりモータ特性が向上しない
等の問題があった。そこで、本発明では、漏れ磁束を減
少させ、モータ特性を向上させることが可能な永久磁石
式回転子を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を解決するため
に、第１の発明では外周近傍に複数の永久磁石挿入用開
口部を設けた円盤状の回転子鉄心抜板を多数枚積層して
回転子鉄心積層体を形成し、永久磁石挿入用開口部に永
久磁石を挿着する永久磁石式回転子において、開口部の
外周枠を形成する外周リング部と開口部の内方に形成さ
れるヨーク部とを繋ぐ連結部の幅を、外周側より内周側
を大きくした構成とし、

【０００９】第２の発明では外周近傍に複数の永久磁石
挿入用開口部を設けた円盤状の回転子鉄心抜板を多数枚
積層して回転子鉄心積層体を形成し、永久磁石挿入用開
口部に永久磁石を挿着する永久磁石式回転子において、
少なくとも開口部の外周枠を形成する外周リング部と開
口部の内方に形成されるヨーク部とを繋ぐ連結部と対向
する回転子の外径を、他の部分より小さくした構成とし
ている。

【００１０】

【作用】連結部の幅を外周側より内周側を大きくした構
成によれば、外周側の連結部の幅が小さく、漏れ磁束の
通路が狭くなるため、漏れ磁束が大幅に減少しモータ特
性が向上する一方、連結部の幅は全体的に小さくならな
いため、ヨーク部と外周リング部の連結強度の低下が少
ない。

【００１１】また、少なくとも連結部と対向する回転子
の外径を他の部分より小さくした構成によれば、連結部
近傍のエアギャップが大きくなり、漏れ磁束が大幅に減
少する一方、有効磁束の通る部分についてはエアギャッ
プは大きくなっていないので、磁束の減少がなく、漏れ
磁束が減少した分モータ特性が向上する。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基いて説明す
る。

【００１３】図１は本発明に係る永久磁石式回転子の第
１の実施例を示すもので、永久磁石式回転子の平面図を
示しており、これは、鉄板を打ち抜き加工した回転子鉄
心抜板を積層することによって、回転子鉄心積層体を形
成しており、永久磁石挿入用開口部１、回転軸用開口部
１１が設けられている。永久磁石挿入用開口部１は、開
口部１の外周枠を形成する外周リング部７と、開口部１
の内方に形成されるヨーク部８の外周と外周リング部１
とヨーク部８を繋ぐ連結部９により形成される。本実施
例では上記連結部９の幅を、外周側より内周側を大きく
なるように回転子鉄心抜板を形成している。そして、挿
入される永久磁石３の断面形状は開口部１の形状に合わ
せて内方の周長が短くなるように形成している。

【００１４】回転子鉄心積層体と永久磁石の組み立てに
あたっては、永久磁石３を開口部１に押圧挿入して固定
したり、永久磁石３と開口部１の間に固着剤を注入すれ
ばよい。また、回転子の両端部に永久磁石の脱落を防止
する端板を取り付けるようにしてもよい。

【００１５】このように構成する永久磁石式回転子によ
れば、外周側の連結部９の幅が小さく、漏れ磁束の通路
が狭くなるため、漏れ磁束が大幅に減少しモータ特性が
向上する一方、連結部９の幅は全体的に小さくならない
ため、ヨーク部８と外周リング部７の連結強度の低下は
小さく、回転子鉄心抜板の曲り、ねじれ、及び打抜き、
積層時の開口部の変形、破断等の発生は起こらない。

【００１６】以上のように第１の実施例においては、漏
れ磁束の減少によるモータ特性の向上が図れると共に、
回転子鉄心積層体の製造性を良好にすることが可能であ
る。図２及び図３は本発明に係る永久磁石式回転子の第
２の実施例を示すもので、永久磁石式回転子の平面図を
示しており、これは、回転子鉄心積層体を構成する円盤
状の回転子鉄心抜板と同じ形状となる。回転子鉄心抜板
は鉄板を打ち抜き加工することにより作られ、永久磁石
挿入用開口部１、回転軸用開口部１１が設けられ、永久
磁石挿入用開口部１は、開口部１の外周枠を形成する外
周リング部７と、開口部１の内方に形成されるヨーク部
８の外周と外周リング部７とヨーク部８を繋ぐ連結部９
により形成される。そして、本実施例では少なくとも上
記連結部９と対向する回転子の外径を他の部分より小さ
くした径小部１２を設けて回転子鉄心抜板を形成してい
る。具体的には、連結部と対向する外周面近傍に連結部
の周方向の幅と同一或いはそれより大きな幅で形成さ
れ、連結部の両側に挿入される永久磁石の一部までまた
がる範囲で回転子の外径を他の部分より小さくしてい
る。

【００１７】図２においては、連結部９と対向する外周
面近傍に連結部の周方向の幅と同一或いはそれより大き
な幅で形成された凹部１３が形成されており、図３にお
いては、連結部９と対向する外周面近傍に連結部の周方
向の幅と同一或いはそれより大きな幅で形成された直線
部１４が形成されている。

【００１８】そして、図２においては、挿入される永久
磁石３の断面形状は開口部１の形状に合わせて、連結部
の両側端部近傍における径方向の幅が小さくなるよう
に、外周面の一部に凹部１５が形成されており、図３に
おいては、外周面に平面部１６が形成されている。

【００１９】これら回転子鉄心積層体と永久磁石の組み
立てにあたっては、永久磁石３を開口部１に押圧挿入し
て固定したり、永久磁石３と開口部１の間に固着剤を注
入すればよい。また、回転子の両端部に永久磁石の脱落
を防止する端板を取り付けるようにしてもよい。

【００２０】このように構成する永久磁石式回転子によ
れば、連結部９近傍のエアギャップが大きくなり、漏れ
磁束が大幅に減少する一方、有効磁束の通る部分につい
てはエアギャップは大きくなっていないので、磁束の減
少がなく、漏れ磁束が減少した分モータ特性が向上す
る。

【００２１】以上のように第２の実施例においては、漏
れ磁束が大幅に減少でき、この分だけモータ特性の向上
が図れる。さらに、連結部の幅を極めて細く形成しなく
てもいいので、ヨーク部と外周リング部の連結強度が十
分維持でき回転子鉄心積層体の製造性を良好にすること
が可能である。

【００２２】なお、上記第１及び第２の実施例における
回転子鉄心積層体は、回転子鉄心抜板を鉄板から打ち抜
き加工する際に、回転子鉄心抜板の一部に突起するクラ
ンプ部を設けてクランプにより積層するのが適当である
が、上述したような形状の回転子においては、クランプ
部の位置が回転子鉄心積層体の製造性に影響を及ぼす場
合がある。例えば、図１０に示すような位置にクランプ
部１７を設けた場合、クランプの力が図中矢印で示すよ
うな外周方向に逃げやすく、結束力が低下してしまう。
一方、図１１に示すように、クランプ用の抜型１８内に
おいて、回転子鉄心には外周に保持力ＦＨが加えられ、
この力は連結部を介して保持力ＦＨ１としてヨーク部８
に加えられることになるが、クランプ結束の押力ＦＰと
の作用点が大きくずれているため、回転子鉄心抜板が変
形する虞がある。そこで、本実施例では、図７及び図８
に示すように回転子鉄心のクランプ部１７をヨーク部８
の連結部９付け根付近としている。

【００２３】このようにクランプ部１７を位置させるこ
とにより、クランプの力は連結部９の存在により、外周
方向へ逃げられなくなり、結束力の低下が防止できる。
また、図９に示すように、クランプの抜型６内の回転子
鉄心の保持力ＦＨは外周に加わり、連結部９を介してヨ
ーク部８に保持力ＦＨ１として加えられるが、クランプ
部１７の突起によるクランプ結束の押力ＦＰと保持力Ｆ
Ｈ１との作用点が近接しており、抜板の変形は最小に抑
えることができる。

【００２４】

【発明の効果】本発明では、外周リング部とヨーク部と
を繋ぐ連結部の幅を、外周側より内周側を大きくした
り、連結部近傍における回転子の外径を他の部分より小
さくすることにより、モータの特性を維持すると共に、
漏れ磁束を減少させることが可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例に係る永久磁石式回転子
の回転子鉄心積層体の平面図である。

【図２】本発明の第２の実施例に係る永久磁石式回転子
の回転子鉄心積層体の平面図である。

【図３】図２に示す回転子鉄心積層体の変形例を示す平
面図である。

【図４】従来の永久磁石式回転子の斜視図である。

【図５】従来の永久磁石式回転子を用いた場合の漏れ磁
束を説明する回転子と固定子の一部拡大図である。

【図６】従来の永久磁石式回転子の平面図である。

【図７】回転子鉄心積層体の好適なクランプ位置を示す
平面図である。

【図８】好適なクランプ位置を示す永久磁石式回転子の
斜視図である。

【図９】好適なクランプ位置における作用力を示すクラ
ンプ型と回転子鉄心抜板の一部拡大図である。

【図１０】従来のクランプ位置を示す平面図である。

【図１１】従来のクランプ位置における作用力を示すク
ランプ型と回転子鉄心抜板の断面図である。

【符号の説明】

１…永久磁石挿入用開口部，２…回転子鉄心積層体，３
…永久磁石，４…永久磁石式回転子，５…固定子，６…
漏れ磁束，７…外周リング部，８…ヨーク部，９…連結
部，１２…径小部，１３…凹部，１４…平面部，１７…
クランプ部。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 外周近傍に複数の永久磁石挿入用開口部
   を設けた円盤状の回転子鉄心抜板を多数枚積層して回転
   子鉄心積層体を形成し、前記永久磁石挿入用開口部に永
   久磁石を挿着する永久磁石式回転子において、 前記開口部の外周枠を形成する外周リング部と前記開口
   部の内方に形成されるヨーク部とを繋ぐ連結部の幅を、
   外周側より内周側を大きくしたことを特徴とする永久磁
   石式回転子。
2. 【請求項２】 外周近傍に複数の永久磁石挿入用開口部
   を設けた円盤状の回転子鉄心抜板を多数枚積層して回転
   子鉄心積層体を形成し、前記永久磁石挿入用開口部に永
   久磁石を挿着する永久磁石式回転子において、 少なくとも前記開口部の外周枠を形成する外周リング部
   と前記開口部の内方に形成されるヨーク部とを繋ぐ連結
   部と対向する前記回転子の外径を、他の部分より小さく
   したことを特徴とする永久磁石式回転子。