JPS6358651B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 開示技術は、例えば、自動車のルーフサイドイ
ンナーパネル等の曲面の凹凸程度の比較的激しい
部分の深絞り成形を１工程のプレス成形で行う加
工技術の分野に属する。

而して、この発明は該自動車のルーフサイドイ
ンナーパネルのオペラウインド部分等の深絞り成
形品のプレス成形を行うに際し、ワークパネルを
下型クツシヨンに載置し、上型との間でクランプ
し、ポンチに対し上型を設定ストローク下降させ
ることにより、該ポンチと上型間で１段で所定の
深絞りを行うようにした成形方法に関する発明で
あり、特に、ワークパネルのクランプ後、上型が
下降するプロセスで、まず、ポンチ内に設けた呼
び込みポンチと該上型の該呼び込みポンチ対応部
の腔部とで設定ストローク量呼び込み絞りを行つ
て呼び込み絞り伸縮を吸収して呼び込み絞り断面
長を伸長させ、その後、該上型とポンチにて該絞
り断面長部分に本絞りの深絞りを行うようにして
連続絞りでワークパネルにワレ、シワ等の発生を
抑止出来る新規な深絞り成形方法に係る発明であ
る。

〈従来技術〉 周知の如く、プレス成形品には各種の深絞り成
形品があるが、例えば、第１図に示す様な自動車
のルーフサイドインナーパネルのオペラウインド
１をワークのパネル２によつて成形するもの等が
多くあり、当然のことながら該種成形についても
成形能率等の点から所謂１発成形が望まれる。

ところで、プレス加工の絞り成形では絞りプロ
セスで製品の形状や深さ、断面長さ、断面のアー
ル等によりマシンの下死点前でワークに局部的伸
長が発生する。

〈発明が解決しようとする問題点〉 而して、従来、例えば、上記ルーフサイドイン
ナーパネルのオペラウインド１等の深絞り成形を
行うに際し、第４図イ，ロ，ハ，ニ，ホのプロセ
スに示す様に、下型クツシヨンと上型でワークパ
ネル２をイのセツト工程からロの工程でクランプ
し、上型をポンチに対して下降させ、絞り成形し
ていくと、ハ工程の、例えば、20mmストロークで
上型とポンチ間で絞りが始まり、したがつて、絞
り部分に伸びが形成され始め、ニ工程の絞り中の
工程で伸びが大きく発生し、最終のホ工程でワレ
３等が伸び部分に発生するという欠点があつた。

而して、上述トラブルは絞り加工に与るポンチ
の形状に対して上型が１段のワンパスで絞り作業
を行うため、下死点から所定ストローク位置の手
前の時点から上述した如く局所的伸長が側部のシ
ワ押え面で発生するからであり、これに対処する
に、これまで第2a，２ｂ図に示す様に、止むを
得ず、第１段の絞り加工Ｐを行い、その後、第２
段の絞り加工P′を行つて合計２回の絞り加工を行
つていた。

而して、例えば、特開昭55−24753号公報発明
記載の如く、下型のブランクホルダ内のポンチを
固定ポンチと該固定ポンチに相対し、昇降する可
動ポンチを設けて該可動ポンチにより可動ポンチ
と上型とにより浅絞り成形を行い、次いで、ブラ
ンクホルダの下降と共に上型と固定ポンチとの間
で深絞りを行う技術があるが、該種技術ではワー
クパネルに対する浅い絞り加工と深い絞り加工等
を併せて行うものであつて、深絞り成形部分に対
するワンパスによる絞り成形とは異なり、複段の
絞り成形を単に浅絞りと深絞りを１発成形するだ
けの技術ではあるものの、浅絞りと深絞りが境界
で区分され、まず、浅絞りのみを境界内でプレス
し、深絞り部分では深絞りのみを行うようにする
ものであつて浅絞り部分で予伸長は行われず、し
たがつて、シワ、歪対策は可能であつても、上述
した１段絞りのワークパネルに対するワレまでを
も阻止することは出来ないうらみがあつた。

蓋し、上記側部のシワ押え面の調整が極めて困
難である難点があり、一旦絞り断面の長さを解放
して局所での伸びを再分配して上記のシワやワレ
の発生を防止するようにするからである。

さりながら、該種絞り成形法では２段工程をと
るため、工数が多くなり、極めて工程が煩瑣とな
り、能率も悪く、場合によつてはワークに不測の
損傷も生じるデメリツトがあり、結果的にコスト
高になるという利点もあつた。

〈発明の目的〉 この発明の目的は上述従来技術に基づくプレス
成形品の深絞り成形の問題点を解決すべき技術的
課題とし、本絞り加工に先立つて呼び込み絞りを
ワークパネルに付与して本絞りにおけるシワやワ
レの発生を抑え、設計通りの深絞り成形を行うよ
うにして機械製造産業における加工技術利用分野
に益する優れた深絞り成形方法を提供せんとする
ものである。

〈問題点を解決するための手段・作用〉 上述目的に沿い先述特許請求の範囲を要旨とす
るこの発明の構成は前述問題点を解決するため
に、成形部品の材質、深さ、板厚等により予めワ
ークパネルに対する呼び込み量を決め、呼び込み
ポンチの呼び込みストロークを設定し、下型クツ
シヨンと上型とでワークパネルをクランプし、続
いて、上型を下降させ、呼び込みポンチと上型の
該呼び込みポンチに対応する部位に形成された腔
部とにより設定ストローク分だけ呼び込み絞り成
形を行い、絞り断面長を長くして局所伸びの再分
配を可能にし、該設定呼び込み絞りを行つた後、
下降する上型がポンチとの間で上記絞り断面長の
予伸長部に本絞りの深絞り成形を行い、したがつ
て、局所的伸びによるシワは勿論、ワレもワーク
パネルの深絞り加工中に発生しないようにして所
定の深絞りが行われるようにした技術的手段を講
じたものである。

〈実施例〉 次に、この発明の１実施例を第１図を参照し、
第３，５図に従つて説明すれば以下の通りであ
る。尚、該第１，４図と同一態様部分は同一符号
を用いて説明するものとする。

第３図に示す態様において、４はこの発明の実
施に直接使用する深絞り装置の型であり、下型ク
ツシヨン５はクツシヨンピン６、６を介してベー
ス７に支持され、その内部には設定形状のポンチ
８が嵌設されている。

而して、該ポンチ８の内腔９には、弾性部材と
してのウレタンゴム１０を介して該ポンチ８上に
設定ストロークだけ昇降するように予めセツトさ
れた状態で上延する呼び込みポンチ１１が上設さ
れている。

１２は上型であり、上記ポンチ８の上面と共働
して第１図に示す自動車のルーフサイドパネルの
オペラウインド１の成形を行う成形面が形成さ
れ、その中央の呼び込みポンチ１１の対応部位に
ワークパネル２の呼び込み絞り成形時の伸縮を吸
収する腔部１３が設けられている。

１４はボルスターで図示しないクランプ機構に
連結され、上型１２を下側に一体連結して上下動
するようにされている。

尚、ウレタンゴム１０はワーク２に対する初期
呼び込み絞りを充分に行えるような設定弾圧力を
有するように製造されている。

上記深絞り装置４により、第１図に示すルーフ
サイドインナーパネルのオペラウインド１を所定
に深絞り成形するに際し、まず、ワークパネル２
に下型クツシヨン５上に入れて載置セツトし、上
型１２とで所定にクランプする。

当該プロセスは第４図イ，ロプロセス同様に第
５図イ，ロプロセスで行われる。

而して、ワーク２に対するクランプが終了する
と、上型１２は下型クツシヨン５と一体的に下降
し、クランプされたワーク２は第５図のハのプロ
セスで設定ストローク下降した部位にて該上型１
２の腔部１３と呼び込みポンチ１１の協働で呼び
込み絞りを開始する。

したがつて、図示する様に、該呼び込み絞りが
第５図ハプロセスからポンチ８との協働で呼び込
み絞りの第５図ニのプロセスに移行する段階で成
され、その呼び込み絞りによつて形成される断面
長さl₁は呼び込み絞りのない在来態様の第４図
ハ，ニプロセスの伸び長さl₂に比し伸びが大きく
l₁＞l₂の関係があるように予め伸長されることに
なる。

そして、該呼び込み絞りは上型１２の下死点か
らの設定ストローク、即ち、上型１２とポンチ８
による本絞り工程までの間に行われ、その間の呼
び込み絞りのストローク中ウレタンゴム１０の耐
圧縮性弾力が充分ワーク２に対するクランプ力に
対抗出来るような弾性係数を有するように設定さ
れている。

尚、上型１２の下降により呼び込みポンチ１１
も降下されて次第にワーク２に対する予伸長形
成、即ち、ノビ、ワレ防止効果は薄れるが、それ
は上型１２のストローク量により決定され、結果
的に材料、絞り深さ、断面のアール、断面長で決
められる設計上の問題とされ、所定に対応可能で
ある。

次いで、呼び込み絞りが終末工程に移ると、上
型１２とポンチ８が近接し、第５図のニ，ホの工
程に示す様に、本絞りが呼び込み絞りによつて形
成される予伸長断面長さl₁部分にて行われ、当該
プロセスで最終の深絞りが行われるが、前述の通
り、呼び込み絞りよる予伸長（断面長さl₁）が行
われているため、無理な局所的伸長がなく、した
がつて、ワーク２に於けるシワやワレの発生もな
く、所定の深絞り成形が連続的になされる。

尚、この発明の実施態様は上述実施例に限るも
のでないことは勿論であり、例えば、ウレタンゴ
ムに代えて弾圧スプリングを用いる態様にしても
良く、又、プレス対象も自動車のルーフサイドイ
ンナーパネルに限らない等種々の態様が採用可能
である。

〈発明の効果〉 以上、この発明によれば、複雑な深絞り加工を
行うワークパネルに対するクツシヨンと上型との
クランプを介して該ワークパネルをポンチに下降
させる深絞り成形において最初呼び込みポンチと
上型の該呼び込みポンチ対応部位に形成された腔
部とにより設定ストローク量の呼び込み絞りを行
い、断面長を予め長くしておき、次いで、上型と
ポンチにより所定形状に本絞り加工を該予伸長の
断面長さ部分に行い、深絞り成形を連続して行う
ようにしたことにより、基本的に１パス１連で所
定の深絞り成形が出来るため、在来の２回絞り等
に比し工数が少く、サイクス数も少く、したがつ
て、極めて能率が向上し、設備投資も少くて済
み、生産加工賃も低減され、結果的に低コストで
生産されるという優れた効果が奏される。

而して、生産される深絞り製品は上述の如く、
初段の呼び込み絞りをポンチによる成形ゾーン中
の呼び込みポンチと上型の腔部とで予め行うた
め、ワークパネルの断面長さが伸長され、終段の
シワは勿論のこと、ワレ抑止効果をも働かせるこ
とが出来るため、本絞りにおいてワークパネルに
該種のシワやワレが生ぜず、品質の優れた製品を
得ることが出来る利点がある。

又、装置としてもポンチ内に弾機に介装された
呼び込みポンチを設けるだけで良いので、構造も
簡単で操作も容易であるメリツトもある。

【図面の簡単な説明】

第１図は深絞り成形品の１態様の斜視図、第２
ａ，２ｂ図は従来技術に基づく２段深絞りプロセ
ス断面図、第４図イ，ロ，ハ，ニ，ホは第１図Ａ
−A′断面成形の従来の１段成形時における欠陥
発生プロセス断面図、第３図はこの発明の成形装
置とクランプワークの断面図、第５図イ，ロ，
ハ，ニ，ホはこの発明の１実施例の第４図対応成
形プロセス断面図である。 ６……下型クツシヨン、１２……上型、１３…
…腔部、２……ワーク、８……ポンチ、１１……
呼び込みポンチ、９……内腔、１０……弾性部
材。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 下型クツシヨンと上型でワークパネルをクラ
   ンプし該上型をポンチに対して下降させ該ポンチ
   と上型間でワークを１段で深絞り成形する方法に
   おいて、上記ワークパネルのクランプ後に上型を
   下降させるプロセスでポンチによる成形ゾーン内
   で設定ストローク量で呼び込みポンチと該呼び込
   みポンチに対応する上型の部位に形成された腔部
   とによりワークパネルに対し本絞りの深絞りに先
   だち局所伸びの再分配を可能にする呼び込み絞り
   成形を予め行つて絞り断面の長さを解放して伸長
   させると共に呼び込みポンチの内腔との間に介装
   された弾性部材に圧縮性弾力を付加し、次いで上
   型とポンチにより上記呼び込み絞りの伸長部に対
   し本絞りの深絞りを連続して行うようにしたこと
   を特徴とする深絞り成形方法。