JP4232451B2 - 形状凍結性に優れたプレス加工方法 - Google Patents

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【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、金属板を断面ハット形状に成形する形状凍結性に優れたプレス加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車車体重量の軽減を図るため、素材として従来材より板厚が薄い高張力鋼板とか、比重が小さいアルミニウム合金板などが使用されるようになった。これらの素材は、プレス加工によって様々な部品に成形されるが、従来材に比べて強度が大きいか、またはヤング率(縦弾性係数)が小さい性質を有するために、形状凍結性が劣り、目標形状を得難い場合がある。
【0003】
例えば、図7(a)に示すような断面ハット形状の部品11をプレス加工によって得る場合には、図7(b)に示す通り、目標とする二点鎖線の形状であるべきところ、加工工具から成形品を取り出すと、実線に示すような形状を呈することがある。これがプレス加工における形状凍結不良である。部品11の形状凍結不良は、ハット頭部12と壁部13を繋ぐコーナー部におけるスプリングバックと、壁部13での反りに起因して生じることが知られている。なお、図7(a)で、符号14は、フランジ部であり、符号15は、ダイエッジ部である。
【0004】
断面ハット形状の部品11は、図8(a)、(b)に示すように、ポンチ101 とダイス102 としわ押さえ103 を備えた加工工具を用い、ポンチ101 の外形に沿うようにダイ肩部105 で金属板104 が曲げ成形されるのが一般的である。そして、プレス加工後の金属板104 の形状がそのまま凍結されれば問題はないが、実際にはダイ肩部105 による曲げと曲げ戻し加工により生じた曲げモーメントのために、断面ハット形状に成形された金属板104 を加工工具から取り外すと、曲げモーメントがゼロになるように金属板104 が弾性変形する。このダイ肩部105 による曲げと曲げ戻し加工により生じた曲げモーメントが形状凍結不良の原因であって、素材の強度が大きいほど曲げモーメントが大きく、また曲げモーメントによって生じる弾性変形量はヤング率が小さいほど大きく、さらに素材板厚が薄いほど弾性変形量が大きくなるから、曲げモーメントを小さくすることが形状凍結性を向上させるうえで重要である。
【0005】
ところで、コーナー部におけるスプリングバックに関しては、プレス加工における成形ストロークの最終工程において、曲げ加工を受けた金属板1の凸面側の少なくともその一部に所定深さの凹部を付与することにより十分小さくすることができることが知られている(特許文献1)。
あるいは、コーナー部におけるスプリングバックがそれほど大きくない場合には、スプリングバック後に所定の断面ハット形状になるように予め断面ハット形状を得るためのポンチ等の加工工具に見込みを入れておくことによりほぼ解決できることも公知である。
【0006】
一方、壁部の反りに関しては、その解消が難しいという問題があった。
例えば、所定のハット断面形状を得るためのポンチを用い、金属板の幅方向両端部にしわ押さえ力を付与して、金属板に絞り曲げ加工を施すと、金属板は張力が付与された状態でダイスの肩部により曲げ、曲げ戻されて、一旦目標形状に成形される。しかし、プレス加工後の金属板に生じている曲げモーメントにより、プレス加工後の金属板を加工工具から取り外すと口開きとなるように壁部に大きい反りが発生してしまうことがある。この壁部の反りは、強度が高い金属板素材やヤング率の小さい金属板素材を使用した場合には特に大きくなるので、予め曲げ加工工具に見込みを入れておくことで解決するのは困難であった。
【0007】
このような壁部の反りを抑制する方法としては、可動ダイを用いたプレス加工方法が知られている(特許文献2)。
特許文献2(特開平2000−271661号公報)に記載のプレス加工方法は、図9(a)〜(c)に示すようにダイス202 の内壁に可動ダイ205 を設け、可動ダイ205 を図で上方に後退させ、縮みフランジ成形部とダイ側しわ押さえ部のダイフェースをしわ押さえした状態でポンチ201 による成形を先行させて開始した後、可動ダイ205 を図で下方に前進させてダイ肩部206 によりダイエッジ部を成形する方法である。但し、金属板204 の壁部およびダイエッジ部を成形している間は、金属板204 の両端部にはしわ押さえ力が付与されている。
【0008】
【特許文献1】
特開平8-174074号公報
【特許文献2】
特開平2000-271661 号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平2000-271661 号公報に記載のプレス加工方法は、ダイスの内壁の異なる成形方向位置に二つのダイ肩部を設け、一方のダイ肩部を可動ダイとする必要があるために、加工工具の構造が複雑になる欠点があった。
また、特開平2000-271661 号公報に記載のプレス加工方法は、ダイスの内壁に設けた可動ダイの剛性が低くなりやすいために、可動ダイを介して金属板のコーナー部に十分な押し付け力を作用させることが困難であり、加工工具から取り出した部品のコーナー部の精度が固定ダイに比べて劣る場合があった。
【0010】
そこで、本発明は、上記従来の問題点を解消することにあり、用いる加工工具の構造を簡単なものとすることができると共に、高張力鋼板等の強度が高い金属板素材やアルミニウム合金板等のヤング率の小さい金属板素材を使用した場合でも、壁部の反りを小さくすることができ、高精度な断面ハット形状の部品を得ることができる形状凍結性に優れたプレス加工方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の通りである。
1. ポンチとダイスとしわ押さえを備えた加工工具を用い、金属板を断面ハット形状に成形するプレス加工を行うに際し、前記ポンチは段差部が形成された段差ポンチであって、ポンチ先端面から前記段差部までのポンチ一段目の長さ寸法が、断面ハット形状に成形される部品の成形高さに合わせてあり、前記ダイスの口から底までの間の内壁にダイ肩部を少なくとも2段固定して設けておき、そのうちの最も口側に位置するものを第1のダイ肩部とし、第1のダイ肩部の次に口側に位置するものを第2のダイ肩部とし、
先ず、前記金属板の幅方向両端部をダイフェース面としわ押さえの受け面で挟んでしわ押さえ力付与状態としてから前記金属板の幅方向中央部に前記ポンチを押し込んで成形を開始し、第1のダイ肩部により前記金属板の幅方向両端部に曲げと曲げ戻し加工を施しながら絞り成形を行い、その絞り成形途中または絞り成形終了後に、第2のダイ肩部により前記金属板の壁部の成形を開始し、次いで、前記金属板の幅方向面端部がダイフェース面としわ押さえの受け面の間から離れてしわ押さえ力が付与されていない状態で第2のダイ肩部で前記金属板のダイエッジ部を成形することを特徴とする形状凍結性に優れたプレス加工方法。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係るプレス加工方法について、図を用いて説明する。なお、加工工具として、図1〜図4に示すようにダイス2の口から底までの間の内壁にダイ肩部を2段固定して設けた加工工具を用い、金属板4を断面ハット形状に成形するプレス加工を行うとして説明する。
【0013】
但し、図に示すダイス2の口側に位置するものを第1のダイ肩部5と称し、第1のダイ肩部5の次に口側に位置する、すなわち図1〜図4に示すダイス2の口から底までの間にダイ肩部を2段設けた場合はダイス2の底側に位置することになるものを第2のダイ肩部6と称す。
先ず、図1を用いて、本発明の実施の形態に係るプレス加工方法に用いた加工工具について述べる。加工工具は、ポンチ1とダイス2としわ押さえ3を備えている。
【0014】
図1において、Aはポンチ1の一段目の幅寸法を示し、Bはポンチ1の一段目の長さ寸法を示す。ポンチ1は、先端面から長さがBの位置に段差部が形成された段差ポンチとされている。ポンチ1の一段目の幅寸法Aは、部品の目標形状に合わせてあり、ポンチ1の一段目の長さ寸法Bは、部品の成形高さに合わせてある。また、Cはダイス2の底側の内壁間の幅方向間隔を示し、Dはダイス2の口側の内壁間の幅方向間隔を示す。このようにダイス2の内壁は、底側より口側の方が広くなるように途中に段差が形成されている。
【0015】
ここで、ダイフェース面7は、しわ押さえ3の受け面とで金属板4を挟圧し、しわ押さえ力を付与可能なダイス2の面である。第1のダイ肩部5は、ダイフェース面7に繋げてダイス2の口側の内壁に固定して設けてある。一方、第2のダイ肩部6は、ダイス2の底側の内壁段差部に固定して設けてある。また、ダイス2の底側の内壁段差部には、第2のダイ肩部6に繋げてフランジ対向面8が形成されている。このダイス2のフランジ対向面8は、図4に示す成形過程以降において、第2のダイ肩部6で金属板4のダイエッジ部を成形するに際し、金属板4のフランジ部をダイス2のフランジ対向面8の幅L内に収納可能に形成されている。一方、ポンチ1の段差部には、ダイス2のフランジ対向面8に対応させて、フランジ対向面9が形成されている。ダイス2の底側の内壁間の幅方向間隔Cは、図4に示すように、ポンチ1の一段目をその中に挿入させることにより、金属板4の壁部を成形可能な寸法とされている。また、ダイスの口側の内壁間の幅方向間隔Dは、ダイス2のフランジ対向面の幅Lに応じてC+2×Lとされている。
【0016】
しわ押さえ3は、ロッドを介して図示しない油圧シリンダーに接続され、ダイス2の下降に伴って、ダイフェース面7としわ押さえ3の受け面とで金属板4を挟圧し、しわ押さえ力を付与可能とされている。押さえ力は、油圧シリンダー内の油圧の圧力を調整する圧力調整弁により適宜な値に設定することができる。
図1〜図4において、符号10は、金属板4を断面ハット形状に成形する成形過程でのダイス2の移動方向を示している。
【0017】
以上説明したように本発明に用いる加工工具は、ダイスの内壁にダイ肩部を少なくとも2段固定して設けた構造の簡単なものである。
次いで、上述した加工工具を用いた本発明の実施の形態に係るプレス加工方法について説明する。
図1は、金属板4がポンチ1の先端面に当接した状態を示す概略縦断面図であり、図2は、金属板4の幅方向両端部がダイスの口側に位置するダイ肩部5により曲げと曲げ戻し加工を受けている状態を示す概略縦断面図である。また、図3は、金属板4の幅方向両端部がしわ押さえ力付与状態から解放される直前の状態を示す概略縦断面図、図4は、金属板4の壁部を底側に位置するダイ肩部6により成形している状態を示す概略縦断面図である。図1〜図4に示すような成形過程を経て金属板4を断面ハット形状に成形する。
【0018】
本発明の実施の形態に係るプレス加工方法は、図1、図2に示したように金属板4の幅方向両端部をダイフェース面7としわ押さえ3の受け面で挟んでしわ押さえ力付与状態としてからダイス2を下降させ、金属板4の幅方向中央部にポンチ1を押し込んで成形を開始し、第1のダイ肩部5により金属板4の幅方向両端部に曲げと曲げ戻し加工を施しながら絞り成形を行う。さらに、ダイス2を下降させることにより、図3、図4に示すように、絞り成形終了直後に第2のダイ肩部6により金属板4の壁部の成形を開始し、しわ押さえ力が付与されていない状態で第2のダイ肩部6により金属板4の壁部の成形を行う。
【0019】
次いで、図4に示す状態よりダイス2をさらに下降させて、金属板4の幅方向両端部がダイフェース面7としわ押さえ面3の受け面の間から離れてしわ押さえ力が付与されていない状態で第2のダイ肩部6により金属板4のダイエッジ部を成形し、成形過程を終了する。
その後、ダイス2を上昇させて、断面ハット形状に成形された金属板4を加工工具から取り出して部品とする。
【0020】
本発明においては、断面ハット形状の部品の壁部の反りの主原因である、ダイ肩部での曲げと曲げ戻し加工に起因して生じた金属板4の壁部での板厚方向曲げモーメントを減少させて、部品の壁部の反りを小さくした。
図5にしわ押さえ力を付与し、絞り成形を行った際の、ダイス肩半径と部品の壁部の曲率との関係の一例を示した。縦軸の曲率は、1/曲率半径で定義され、曲率半径が大きいほど曲率が0に近づき、得られた部品の壁部の反りが小さいことを表している。
【0021】
図5に示す結果から、ダイ肩半径大きくすることにより、壁部の反りを低減できることがわかる。
本発明によれば、上述したように絞り成形を行う第1のダイ肩部5と、壁部の成形およびダイエッジ部の成形を行う第2のダイ肩部6を分離したので、第1のダイ肩部5の肩半径を大きくすることにより、ダイエッジ部の形状を変えずに部品の壁部の反りを低減することができることがわかる。このようにして本発明によれば、金属板4の壁部での板厚方向曲げモーメントを減少させることにより、部品の壁部の反りを低減できる。なお、反り低減のため、ダイスの第1のダイ肩部の半径は大きくすることが好ましく、例えばダイスの第2のダイ肩部の半径以上とすることが好ましい。
【0022】
これに対して従来のダイ肩部は、ダイスの内壁にダイフェース面に繋げて一箇所だけ設けてあり、金属板に曲げと曲げ戻し加工を施す機能と、部品のダイエッジ部の形状を最終的に成形する機能の両方を持っているため、ダイ肩部の形状やその大きさを自由に決定することができないという制約があったのである。
例えば、従来のプレス加工方法において、部品の壁部の反りを小さくするためにダイ肩部の半径をより大きくした場合には、部品のダイエッジ部の半径が大きくなり、この結果、材料の歩留まりを悪化させたり、スポット溶接に使用されるフランジ部の幅を確保できなくなるなどの問題が発生する。
【0023】
なお、第1のダイ肩半径が、製品形状を決定する第2のダイ肩半径よりも小さい場合であっても、しわ押さえ力の大きさを適宜調整して低くすることにより、本発明による縦壁での反り低減効果を得ることができる。これは、第1のダイ肩に金属板が完全に巻きつかず、実際の金属板の曲げ半径が第1のダイ肩半径より大きくなるためである。
【0024】
図8に示したような通常のハット曲げ成形の場合、ダイスとパンチのクリアランスは、通常板厚の1.0 〜1.4 倍程度に設定され、金属板はこのダイスとパンチの間に沿うために、しわ押さえ力を低く設定しても、金属板は、ダイ肩に適度に巻き付き金属板の曲げ半径はほぼダイ肩半径と同じ大きさになる。そのため、ダイ肩半径が小さい場合には、縦壁部の反りはダイ肩半径に応じて大きくなってしまう。これに対して、本発明では、ダイ肩を2段に構成しており、金属板が通過する部分である第1のダイ肩直上のダイスの縦壁とパンチ間のクリアランスが広いため、しわ押さえ力を適切に設定することによって金属板のダイ肩への巻きつきを緩和し、金属板の曲げ半径をダイ肩半径より大きくすることが容易であり、縦壁反りを低減できるのである。
【0025】
ここで、本発明のプレス加工方法において、しわ押さえ力付与状態で第1のダイ肩部5により金属板4の幅方向両端部に曲げと曲げ戻し加工を施しながら絞り成形を行っているのは、金属板4の幅方向両端部でのしわの発生および金属板4の壁部でのしわの発生を防止するためである。一方、しわ押さえ力を付与せずに第1のダイ肩部5により金属板4の幅方向両端部に曲げと曲げ戻し加工を施しながら成形を行った場合には、金属板4の幅方向両端部および金属板4の壁部にしわが発生してしまい、表面品質の優れた部品を得ることができなくなる。
【0026】
ところで、第1のダイ肩部5と第2のダイ肩部6との間の成形方向間隔Hは、成形高さであるポンチの一段目の長さB寸法を下回らないようにするのが反り低減の観点からは望ましい。この理由は、第1のダイ肩部5と第2のダイ肩部6との間の成形方向間隔Hが成形高さBを下回る場合には、しわ押さえ力付与状態で第2のダイ肩部6により金属板の壁部の成形が開始されてしまうからである。このようなしわ押さえ力付与状態で金属板の壁部の成形が行われると、壁部は第2のダイ肩部6でも金属板4に曲げと曲げ戻し加工を施され、成形されることになるので、部品の壁部の反りを小さくする反り低減効果が若干小さくなる。但し、間隔Hが成形高さB寸法を超えると、金属板4の幅方向両端部がしわ押さえ力付与状態から解放されてから、第2のダイ肩部6により金属板の壁部の成形が開始されるまでの間、成形が行われない無駄なストロークが発生するだけでなく、金型が大型化しコストが増大するため、生産コストの観点からは間隔Hは成形高さB寸法以下にすることが好ましい。そこで、部品に許容される寸法精度と金型コスト等を考慮して間隔Hを適正に設定すればよい。その際に、第1のダイ肩部5と第2のダイ肩部6との間の成形方向間隔Hの適正値は、製造する部品の形状や用いる金属板素材の板厚、材質、およびプレス加工条件等に応じた予備実験等を行って決定することができる。
【0027】
なお、本発明に用いる金属板素材の幅は、図4に示す成形状態よりダイス2を下降させて第2のダイ肩部6で金属板4のダイエッジ部を成形するに際し、金属板4の幅方向端部がフランジ対向面8、9から幅方向にはみ出してしまうことがなく、かつ目標とする部品のフランジ部の幅が得られるように用いるポンチの形状や上述した実験に基づいて決めることができる。なお、上記説明ではダイスの口から底までの間の内壁にダイ肩部を2段固定して設けた場合について説明したが、ダイ肩部の数はこれに限定されるものでなく、さらに多く設けてもよい。この場合、最も口側に位置するものを第1のダイ肩部とし、第のダイ肩部の次に口側に位置するものを第2のダイ肩部として上記加工を行えばよい。
【0028】
【実施例】
ポンチとダイスとしわ押さえを備えた加工工具を用い、プレス加工により壁部とフランジ部を有する断面ハット形状の部品を製造し、部品の寸法精度を調べ、その結果を従来例の場合と比較して図6に示した。
金属板素材としては、引張強さが270MPa、590MPa、980MPaで、板厚が1.6mm の鋼板と、板厚が1.6mm の5000系のアルミニウム合金板(ヤング率:70GPa )の4種類を用いた。
【0029】
発明例1では、ポンチとして段付きポンチを用い、ポンチの一段目の幅Aが50mm、ポンチの一段目の長さBが60mm、ポンチの先端部の肩半径が5mmのものを用いた。ポンチの二段目の幅は、86mmとし、ポンチのフランジ対向面の幅は、ダイスのフランジ対向面に対応させて18mmとした。一方、ダイスとしては、ダイスの内壁の成形方向位置に少なくとも二つのダイ肩部を固定して設け、ダイスの底側の内壁間の間隔Cを54mm、ダイスのフランジ対向面の幅Lを20mmとし、ダイスの口側の内壁間の間隔Dは94mmとした。また、ダイフェース面7とダイスのフランジ対向面8間の成形方向間隔Hを30mm、ダイスの口側の第1のダイ肩部の半径を20mm、ダイスの底側の第2のダイ肩部の半径を5mmとした。
【0030】
部品の成形高さは60mmとし、部品のフランジ部の長さは、15mmを目標とした。部品の寸法精度は、工具から成形体を取り出した後ハット頭部から下方に50mm位置での壁部の内側間隔を測定し、ポンチ幅に対する誤差で評価した。しわ押さえ力は、20kNとした。
発明例2では、ダイスの口側の第1のダイ肩部の半径を5mmとし、その外は発明例1と同じとした。
【0031】
従来例としては、図8に示した加工工具を用い、発明例と同じ金属板素材を用い、成形高さを60mmとして成形した。但し、ポンチは、段差のないポンチを用い、ポンチの幅を50mm、ポンチの先端部の肩半径を5mmとした。また、ダイスとしては、ダイスの内壁をストレートに形成し、ダイスの内壁間の間隔を54mm、ダイスのダイ肩部の半径を5mmとした。ポンチ、ダイス、しわ押さえの材質は、発明例と同じものとした。
【0032】
図6に示す部品の寸法誤差の結果から、従来例の場合には部品の寸法誤差が大きく、一方、発明例1および2の場合には、従来例より部品の寸法精度が良好であることがわかる。また、第1のダイ肩部の半径を第2のダイ肩部の半径より大きくした発明例1の場合には、第1のダイ肩部半径と第2のダイ肩部半径が等しい発明例2より一段と部品の寸法精度が良好であることがを確認した。なお、強度が高い金属板素材やヤング率の小さい金属板素材を使用した場合でも寸法誤差を小さくすることができ、金属板素材の材料強度のばらつきに起因した部品の寸法精度のばらつき低減にも効果があることがわかった。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、用いる加工工具を構造の簡単なものとすることができると共に、強度が高い金属板素材やヤング率の小さい金属板素材を使用した場合でも壁部の反りを小さくすることができ、高寸法精度の断面ハット形状の部品を得ることができる。この結果、断面ハット形状の部品を用いて構造部材とする際に部品の組み立てが容易に行え、高寸法精度の自動車用等の構造部材とすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係るプレス加工方法の成形過程を示す説明図であって、金属板がポンチの先端面に当接した状態を示す概略縦断面図である。
【図2】図2は、同じく本発明に係るプレス加工方法の成形過程を示す説明図であって、金属板の幅方向両端部がダイスの口側に位置するダイ肩部により曲げと曲げ戻し加工を受けている状態を示す概略縦断面図である。
【図3】図3は、同じく本発明に係るプレス加工方法の成形過程を示す説明図であって、金属板の幅方向両端部がしわ押さえ力付与状態から解放される直前の状態を示す概略縦断面図である。
【図4】図4は、同じく本発明に係るプレス加工方法の成形過程を示す説明図であって、ダイスの底側に位置するダイ肩部で金属板の壁部を成形している状態を示す概略縦断面図である。
【図5】図5は、ダイスのダイ肩部半径と部品の壁部の曲率との関係を示すグラフである。
【図6】図6は、本発明のプレス加工方法により製造した金属板部品の寸法精度を従来例と比較して示すグラフである。
【図7】図7は、金属板部品の形状を示す(a)は斜視図、(b)は正面図である。
【図8】図8(a)、(b)は、従来のプレス加工方法の説明図である。
【図9】図9(a)、(b)、(c)は、移動ダイを用いた場合のプレス加工方法の説明図である。
【符号の説明】
1 ポンチ
2 ダイス
3 しわ押さえ
4 金属板
5 第1のダイ肩部(口側のダイ肩部)
6 第2のダイ肩部(底側のダイ肩部)
7 ダイフェース面
8 ダイス2のフランジ対向面
9 ポンチ1のフランジ対向面
10 ダイスの移動方向
11 部品
12 ハット頭部
13 壁部
14 フランジ部
15 ダイエッジ部
A ポンチ1の一段目の幅
B ポンチ1の一段目の長さ
C ダイス2の底側の内壁間の幅方向間隔
D ダイス2の口側の内壁間の幅方向間隔
L ダイス2のフランジ対向面の幅
H 第1のダイ肩部と第2のダイ肩部との間の成形方向間隔

Claims (1)

  1. ポンチとダイスとしわ押さえを備えた加工工具を用い、金属板を断面ハット形状に成形するプレス加工を行うに際し、前記ポンチは段差部が形成された段差ポンチであって、ポンチ先端面から前記段差部までのポンチ一段目の長さ寸法が、断面ハット形状に成形される部品の成形高さに合わせてあり、前記ダイスの口から底までの間の内壁にダイ肩部を少なくとも2段固定して設けておき、そのうちの最も口側に位置するものを第1のダイ肩部とし、第1のダイ肩部の次に口側に位置するものを第2のダイ肩部とし、
    先ず、前記金属板の幅方向両端部をダイフェース面としわ押さえの受け面で挟んでしわ押さえ力付与状態としてから前記金属板の幅方向中央部に前記ポンチを押し込んで成形を開始し、第1のダイ肩部により前記金属板の幅方向両端部に曲げと曲げ戻し加工を施しながら絞り成形を行い、その絞り成形途中または絞り成形終了後に、第2のダイ肩部により前記金属板の壁部の成形を開始し、
    次いで、前記金属板の幅方向両端部が、ダイフェース面としわ押さえの受け面の間から離れてしわ押さえ力が付与されていない状態で第2のダイ肩部で前記金属板のダイエッジ部を成形することを特徴とする形状凍結性に優れたプレス加工方法。
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