JP5601844B2 - プレス成形方法及びそのシステム - Google Patents

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Description

本発明は、平坦部と、前記平坦部に対して傾斜する成形対象部と、を有するワークをプレス成形するプレス成形方法及びそのシステムに関する。
従来から、ワークに絞り加工(プレス成形)を行うドロー工程と、前記ドロー工程で成形されたワークを仕上げ型打ち作業として所望の深さまで成形するリストライク工程とを備えるプレス成形方法が周知である。
そして、例えば、特許文献1では、リストライク工程において、予めドロー工程で絞り加工されたワーク(中間成形品)をリストパンチとリストダイとの間に配置し、前記リストダイを下降させて前記リストパンチに該ワークを押圧する方法が提案されている。
特開2002−79327号公報
ところで、特許文献1のリストライク工程において、図13Aに示すように、中間成形品400を載置する載置面402と、載置面402に連なる成形面404と、前記成形面404に連通面406を介して連なる段差部408とを有するパンチ部410と、前記成形面404、前記連通面406、及び、前記段差部408の形状に対応する形状を有するダイ部412とが用いられることがある。そして、前記中間成形品400の一部が前記連通面406及び前記段差部408に当接するように載置面402に該中間成形品400を載置した状態(図13Aの状態)で、該中間成形品400の成形対象部の前記成形面404に対向する面の断面長が該成形面404の断面長よりも長くなることがある。
この場合、ダイ部412をパンチ部410側に下降させて中間成形品400をプレス成形すると、図13Bに示すように、前記成形対象部が該成形面404に当接するので、リストライク工程で成形されたワーク(プレス成形品)に皺(以下、デフォームと称することもある。)が形成され、外観品質が悪化するという問題が生じる。
このような問題は、リストライク工程において、中間成形品を外側に引張るホルダ等を有さない形態に対して顕著に現れる。また、上述したようなドロー工程によって成形された中間成形品をリストライク工程にて再度プレス成形する場合に限らず、他の加工方法によって形成されたワークをプレス成形する場合にも生じることがある。
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、ワークをプレス成形したときにプレス成形品にデフォームが形成されることを抑制することができるプレス成形方法及びそのシステムを提供することを目的とする。
本発明に係るプレス成形方法は、平坦部と、前記平坦部に対して傾斜する成形対象部と、を有するワークをプレス成形するプレス成形方法であって、前記平坦部が載置される載置面と、前記載置面に連なる第1成形面と、前記第1成形面に連なる第2成形面と、を有するパンチ部と、前記平坦部に接触して当該平坦部を前記載置面に保持する保持手段を有し、且つ、前記第1及び第2成形面の形状に対応する形状を有するダイ部と、を備えるプレス成形装置を使用し、前記成形対象部における前記第1成形面に対向する第1成形対象部の第1当接面の断面長が当該第1成形面の断面長よりも長く、且つ前記成形対象部における前記第2成形面に対向する第2成形対象部の第2当接面の断面長が当該第2成形面の断面長よりも短くなるように前記平坦部を前記載置面に載置して前記ワークを位置決めする位置決め工程と、前記保持手段にて前記平坦部を保持した状態で、前記ダイ部を前記パンチ部に対して相対的に変位させて、前記第2成形対象部に前記ダイ部を接触させることにより前記第1成形対象部の一部を前記第2成形面側に逃がす接触工程と、前記ダイ部と前記パンチ部とをさらに近接させて、前記成形対象部を前記第1及び第2成形面に当接させる当接工程と、を備えることを特徴とする。
このような方法によれば、平坦部を保持手段にて保持した状態で、第2成形対象部にダイ部を接触させているので、第1成形対象部の一部が前記第2成形面側に引張られる。言い換えれば、前記第1成形対象部の一部が前記第2成形面側に流れる。これにより、前記第1成形対象部のうち、該第1当接面の断面長と前記第1成形面の断面長との差に相当する断面長の余剰材料を、前記第2成形面側に逃がすことができる。よって、ワークを載置部に位置決めした状態で、第1当接面の断面長が第1成形面の断面長よりも長い場合であっても、ワークをプレス成形したときにプレス成形品にデフォームが形成されることを抑制することができる。
また、第1成形対象部の一部が第2成形面側に流れた結果、第2成形対象部のパンチ部側に位置する面(第2当接面)の断面長が第2成形部の断面長よりも長くなる場合には、例えば、前記ワークの非成形対象部を引張ることにより、前記第2成形対象部の余剰材料を該第2成形対象部の外側に逃がせばよい。これにより、プレス成形品の全体にデフォームが形成されることを抑制することができる。従って、外観品質に優れたプレス成形品を成形することができる。
さらにまた、前記ワークを位置決めする際に、該ワークの一部が前記第2成形面の外縁に当接するように前記平坦部を前記載置面に載置してもよい。
そうすると、ワークと第2成形面の外縁との間に摩擦力が生じるので、プレス成形時に前記ワークの非成形対象部が前記第2成形面側に流れ込むことを阻止することができる。これにより、第1成形対象部の余剰材料を効率的に第2成形面側に逃がすことが可能となる。
また、前記第2成形対象部に前記ダイ部を接触させた後に、前記第1成形対象部に前記ダイ部を接触させてもよい。
そうすると、第1成形対象部の余剰材料分を第2成形面側に逃がす前に、該第1成形対象部の一部が第1成形面に当接して、プレス成形品にデフォームが形成されることを抑制することができる。
本発明に係るプレス成形システムは、平坦部と、前記平坦部に対して傾斜する成形対象部と、を有するワークをプレス成形するプレス成形システムであって、前記平坦部が載置される載置面と、前記載置面に連なる第1成形面と、前記第1成形面に連なる第2成形面と、を有するパンチ部と、前記平坦部に接触して当該平坦部を前記載置面に保持する保持手段を有し、且つ、前記第1及び第2成形面の形状に対応する形状を有するダイ部と、を備え、前記成形対象部における前記第1成形面に対向する第1成形対象部の第1当接面の断面長が当該第1成形面の断面長よりも長く、且つ前記成形対象部における前記第2成形面に対向する第2成形対象部の第2当接面の断面長が当該第2成形面の断面長よりも短くなるように前記ワークの前記平坦部前記載置面に保持手段にて保持した状態で、前記ダイ部を前記パンチ部に対して相対的に変位させた場合に前記第2成形対象部と前記ダイ部とが接触して前記第1成形対象部の一部が前記第2成形面側に逃げた後に、該成形対象部が前記第1及び第2成形面に当接するように前記パンチ部及び前記ダイ部が設定されていることを特徴とする。
このような構成によれば、ダイ部をパンチ部に対して相対的に変位させることで、ワークの第2成形対象部のダイ部側に位置する面と該ダイ部とが接触するので、第1成形対象部の余剰材料を第2成形面側に逃がすことができる。これにより、ワークをプレス成形したときにプレス成形品にデフォームが形成されることを抑制することができる。
本発明によれば、平坦部を保持手段にて保持した状態で、第2成形対象部のダイ部側に位置する面に前記ダイ部を接触させているので、第1成形対象部の余剰材料を第2成形面側に逃がすことができる。よって、ワークをプレス成形したときにプレス成形品にデフォームが形成されることを抑制することができる。
本実施形態に係る第1プレス成形装置を示す分解斜視図である。 本実施形態に係る第2プレス成形装置を示す分解斜視図である。 本実施形態に係る第1プレス成形装置の動作を説明するためのフローチャートである。 本実施形態に係る第1プレス成形装置の初期位置を、図1のIV−IV線に沿った断面で示す全体断面図である。 テーラードブランク板がパンチ凸部によって位置決めされている状態の、図1のIV−IV線に沿う全体断面図である。 テーラードブランク板がパンチ凸部とパンチ凹部によって加工される直前の、図1のIV−IV線に沿う全体断面図である。 テーラードブランク板をパンチ凸部とパンチ凹部によってプレス成形した状態の、図1のIV−IV線に沿う全体断面図である。 本実施形態に係る第2プレス成形装置の動作を説明するためのフローチャートである。 中間成形品の平坦部をパッドで保持した状態の、図2のIX−IX線に沿う全体断面図である。 中間成形品の第2成形対象部の第2ダイ部側に位置する面に該第2ダイ部が接触する状態の、図2のIX−IX線に沿う全体断面図である。 中間成形品をプレス成形した状態の、図2のIX−IX線に沿う全体断面図である。 プレス成形されたプレス成形品の斜視図である。 従来技術を説明するための図において、図13Aは、中間成形品を載置面に載置した状態の一部省略断面図であり、図13Bは、該中間成形品をプレス成形した状態の一部省略断面図である。
以下、本発明に係るプレス成形方法について、それを実施するためのシステムとの関係で好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
本発明に係るプレス成形システムは、基本的には、第1プレス成形装置(第1装置)と、第2プレス成形装置(第2装置)とから構成される。
先ず、本実施形態に係る第1装置10によって加工されるテーラードブランク板12について説明する。
図1から容易に諒解されるように、テーラードブランク板12は、厚板14と薄板16を溶接等で一体に接合させた金属板からなり、一方の面(図1において上面)が平坦面12aであり、他方の面(図1において下方の面)が前記厚板14と薄板16との厚みの差によって生じる段差部12bを有する。この場合、前記厚板14と薄板16とが接合する面を接合面12cとする。
次に、前記第1装置10について説明する。なお、以下の説明では、左右の構成要素を区別する場合には参照符号に添え字「L」又は「R」を付し、左右の構成要素を区別しない場合には添え字を省略する。
図1に示すように、第1装置10は、雄型の金型からなる第1パンチ部18と、雌型の金型からなる第1ダイ部20と、前記第1パンチ部18の両側に配置され、前記第1ダイ部20と共同してテーラードブランク板12を位置決め保持する一対の第1ホルダ部22L、22Rを有する。
第1パンチ部18は、矩形状の第1基部24と、この第1基部24と一体的に形成され、図1において上方へと立ち上がる第1パンチ本体26とを有する。第1パンチ本体26は、厚板パンチ部28と薄板パンチ部30とを備える。
厚板パンチ部28は、第1基部24から立ち上がる際、その両側面に湾曲する傾斜面32L、32Rを有し、前記傾斜面32L、32Rが終端する部位は厚板用平坦面34を形成している。同様に、第1基部24から上方へと立ち上がる薄板パンチ部30は、その両側部に湾曲する傾斜面36L、36Rを有し、これら傾斜面36L、36Rが終端する部位は薄板用平坦面38を形成している。
厚板パンチ部28と、薄板パンチ部30との境界部に前記テーラードブランク板12の厚板14と薄板16の段差に対応する段差部40が形成され、この段差部40は、傾斜面32Lと傾斜面36Lとの間、傾斜面32Rと傾斜面36Rの間で第1基部24まで延在している。
前記厚板パンチ部28と薄板パンチ部30との間で、前記段差部40をまたぐように厚板用平坦面34から薄板用平坦面38にかけてパンチ凸部50L、50Rが形成される。パンチ凸部50の両端部は丸みを帯びた湾曲面52a、52bを形成している。
固定型である第1パンチ部18の第1基部24の両側部に前記第1基部24の長手方向の長さと同等の長さを有する第1ホルダ部22L、22Rが設けられる。すなわち、第1ホルダ部22は、直方体状の第1ホルダ本体54を有し、この第1ホルダ本体54は、図示しないシリンダから延在するシリンダロッド56a、56bによって、図1において上下方向に進退自在に保持される。なお、第1ホルダ本体54の上面には、テーラードブランク板12の厚板14と薄板16の段差に対応する段差が形成されている。
次に、第1ダイ部20について説明する。第1ダイ部20は、分厚い本体60を有し、その下部に第1パンチ部18の傾斜面32、36に対応する角度で拡開する凹部62が形成される。この凹部62の存在によって、本体60には、脚部64L、64Rが形成される。
脚部64の凹部62側端部は、湾曲部66を形成し、この湾曲部66が、前記凹部62を形成する側壁部68に連設されている。前記側壁部68の他端部は、凹部62の頂面としての平坦な押圧部70に連なる。
押圧部70の中央両側部には、前記パンチ凸部50L、50Rに対応するパンチ凹部72L、72Rが形成される。また、脚部64L、64Rの先端には、第1ホルダ本体54に対応する第1ホルダ受け部73L、73Rが形成される。
本実施形態では、前記第1装置10に加えて、さらに、第2装置100が用いられる(図2参照)。
図2に示すように、第2装置100は、第2パンチ部102と第2ダイ部104とを有する。第2パンチ部102は、矩形状の第2基部106と、この第2基部106から図2において上方へと立ち上がる第2パンチ本体108とを有する。
第2基部106の長手方向の長さは、第1装置10における第1基部24(図1参照)の長手方向の長さと略同等に設定されている。第2パンチ本体108は、第1パンチ本体26と同様に、厚板パンチ部108a及び薄板パンチ部108bを有し、厚板パンチ部108aと薄板パンチ部108bとの境界部には、第1装置10にてプレス成形されたテーラードブランク板12の段差部12bに対応する段差部109が形成されている。
第2基部106と第2パンチ本体108は、一体的に形成されており、前記第2基部106から立ち上がる第2パンチ本体108には、第1装置10にてプレス成形されたテーラードブランク板12が載置される載置面110が形成され、第2パンチ本体108の両側には、第1成形面112L、112Rと第2成形面114L、114Rとが形成されている。なお、図2から諒解されるように、載置面110、第1成形面112、第2成形面114のそれぞれは、第2パンチ本体108の厚板パンチ部108a及び薄板パンチ部108bに亘って形成されている。
第1成形面112L、112Rは、載置面110に連なる第1連通面116L、116Rと、第1連通面116L、116Rに連なる第1段差部118L、118Rとを有する。第2成形面114L、114Rは、第1段差部118L、118Rに連なる第2連通面120L、120Rと、第2連通面120L、120Rに連なる第2段差部122L、122Rとを有する。
載置面110の幅は、第1パンチ本体26(図1参照)の平坦面34、38の幅よりも小さく形成されている。つまり、載置面110の面積は、厚板用平坦面34及び薄板用平坦面38の合計面積よりも小さい。また、第2パンチ部102は、載置面110と第1段差部118との間の段差間隔が、第1段差部118と第2段差部122との間の段差間隔よりも狭くなるように形成されている。
次に、第2ダイ部104について説明する。直方体状の第2ダイ部104には、前記第2パンチ部102の載置面110、第1成形面112、及び、第2成形面114に対応する雌形状の凹部129が形成され、前記凹部129の終端する頂部は、パッド130を収容するための室132として形成される。
前記室132を形成する頂部には、弾性体、好ましくは、コイルスプリング134a、134bの一端部が係着され、このコイルスプリング134a、134bの他端部は、前記パッド130に連結されている。従って、パッド130は、室132の内部から凹部129にかけて、その弾発力によって常時付勢された状態にある。
本実施の形態に係るプレス成形システムは、基本的に以上のように構成されるものであり、次に、第1装置10の動作(ドロー工程)について図3〜図7を参照しながら説明する。
先ず、固定されている第1パンチ部18を形成する第1基部24の両側から、第1ホルダ部22を上昇させ、この第1ホルダ部22の第1ホルダ本体54上にテーラードブランク板12を載置する(図3のステップS1)。この場合、テーラードブランク板12の接合面12c(図1参照)の延在方向は、第1パンチ部18のパンチ凸部50の延在方向と交差する方向、例えば、直交する方向に位置決めしておく。
次に、図4に示すように、第1ダイ部20を図示しない駆動源の付勢作用下に下降させ(ステップS2)、第1ホルダ受け部73の底面をテーラードブランク板12の平坦面12aに当接し、このテーラードブランク板12を前記第1ホルダ部22と、第1ダイ部20によって挟持する(ステップS3)。
続いて、第1ダイ部20をさらに下降してテーラードブランク板12をプレス成形する(ステップS4)。ステップS4の具体的な説明を、以下に詳述する。
ステップS4において、第1ホルダ部22を第1ダイ部20とともに、一体的に下降させると、第1パンチ部18を構成するパンチ凸部50の湾曲する上面が、前記テーラードブランク板12の段差部12b下面に直交して当接するに至る(図4の破線参照)。
さらに、図5に示すように、第1ホルダ部22と第1ダイ部20を一体的に下降させると、テーラードブランク板12は、パンチ凸部50と、第1ホルダ部22の第1ホルダ本体54と、第1ダイ部20の第1ホルダ受け部73の挟持作用下にその中央部分が上方へと湾曲した状態に至る。
さらに、図6に示すように、第1ホルダ部22と、第1ダイ部20とが下降すると、テーラードブランク板12の中央部両側は、第1パンチ部18の傾斜面32、36(図1参照)と、前記第1ダイ部20の側壁部68の共同作用下に断面スカート状に湾曲するに至る。この図6から明らかな通り、この状態で、第1ダイ部20の押圧部70は、パンチ凸部50L、50Rに橋架された状態にあるテーラードブランク板12の平坦面12aに当接する。
さらに、図7に示すように、第1ホルダ部22と第1ダイ部20とが下降すると、テーラードブランク板12は、第1パンチ部18のパンチ凸部50と、第1ダイ部20のパンチ凹部72の押圧作用下にその接合面12cに直交して、凸部220L、220Rが形成されるに至る。これにより、第1装置10によるプレス成形が終了する。
ここで、第1装置10によって成形されたワークとしてのテーラードブランク板を図2に示す。なお、プレス成形加工後であるために、このテーラードブランク板(中間成形品)12は、参照符号を212に変えて説明する。
中間成形品212は、両端部に、図において水平方向に延在する側部214L、214Rを有し、これら側部214L、214Rから連通部215L、215Rを介して所定角度傾斜して互いに内方へと立ち上がる傾斜部216L、216Rを有する。前記傾斜部216L、216Rは、その終端部において、平坦部218に連なっている。
この平坦部218の中央両側部には、前記第1パンチ部18のパンチ凸部50L、50R及び第1ダイ部20のパンチ凹部72L、72Rによって形成された凸部220L、220Rが形成されている。なお、段差部12bは、図2に示すように、屈曲した状態で、そのまま中間成形品212の下面に残されていることは言うまでもない。
次に、第2装置100の動作(リストライク工程)について図8〜図12を参照しながら説明する。
先ず、図9に示すように、中間成形品212の平坦部218を第2パンチ部102の載置面110に載置して、連通部215の一部(傾斜部216との境界部分)が第2段差部122の外縁に当接するように該中間成形品212を位置決めする(図8のステップS11)。このとき、中間成形品212の傾斜部216(連通部215との境界部分を除く)及び凸部220は、第2パンチ部102に対して非接触状態になっている。
なお、この状態では、第2ダイ部104は、第2パンチ部102の上方に待機している。従って、前記第2ダイ部104のコイルスプリング134a、134bの弾発力によってパッド130は、室132からほぼその全体が凹部129側に突出している状態にある。
そして、第2ダイ部104を図示しない動力源の付勢作用下に下降させる(ステップS12)。
また、凹部129から下方へと突出するパッド130の弾発力によって、中間成形品212の平坦部218は、載置面110に圧接するに至る(ステップS13)。すなわち、ここでは、中間成形品212は、その平坦部218が、前記第2パンチ部102の載置面110と、第2ダイ部104のパッド130の下端面によって挟持され、保持される。
なお、図9から諒解されるように、中間成形品212のうち、第2パンチ部102の第1成形面112に対向する部位(第1成形対象部)226Aであって、且つ、第1成形面112に対向する面(第1当接面)228Aの断面長は、第1成形面112の断面長よりも長く、中間成形品212のうち、第2成形面114に対向する部位(第2成形対象部)226Bであって、第2成形面114に対向する面(第2当接面)228Bの断面長は、第2成形面114の断面長よりも短くなる。
続いて、図10に示すように、第2ダイ部104をさらに下降して、第2成形対象部226Bのうち第2ダイ部104に対向する面に第2ダイ部104が接触する(ステップS14)。これにより、前記第1成形対象部226Aの一部が第2成形面114側に引張られる。言い換えれば、第1成形対象部226Aの一部が第2成形面114側に流れる。よって、第1成形対象部226Aのうち、第1当接面228Aの断面長と第1成形面112の断面長との差に相当する断面長の余剰材料を、第2成形面114側に逃がすことができる。また、このとき、第2ダイ部104のコイルスプリング134a、134bは、縮退してその弾発力を強めながら室132に一部が収容される。
なお、このステップS14において、連通部215の傾斜部との境界部分が第2段差部122の外縁に当接することで、前記境界部分と前記第2段差部122の外縁との間に摩擦力が生じるので、第2成形対象部226Bに第2ダイ部104が接触した際に、連通部215が第2成形面114側に流れ込むことが阻止される。これにより、第1成形対象部226Aの余剰材料を効率的に第2成形面114側に逃がすことできる。よって、第1当接面228Aの断面長と第1成形面112の断面長とが略一致する。
その後、第2ダイ部104をさらに下降させると、中間成形品212は、第2パンチ部102と第2ダイ部104とによって第1及び第2成形対象部226A、226Bが強圧された状態で、所望の最終形状に成形されるに至る(ステップS15)。この中間成形品(プレス成形品)300の最終形状を、図11の断面図で示す。図11から容易に諒解されるように、第2ダイ部104のパッド130は、室132にその全体を収容された状態となる。
このようにして最終形状まで成形されたプレス成形品300は、第2ダイ部104を上昇させてプレス成形品300から離間させ、次いで、該プレス成形品300を第2パンチ部102から取り出せばよい。これにより、第2装置100によるプレス成形が終了する。
プレス成形品300を斜視図として図12に示す。この図12から容易に諒解されるように、第2装置100によるプレス成形時に、第2成形対象部226Bのうち、第2ダイ部104に対向する面に第2ダイ部104を接触させることで、第1成形対象部226Aの余剰材料を第2成形面114側に逃がしているので、プレス成形品300の第1成形面112に対応する部位にデフォームが形成されることが抑制される。これにより、外観品質に優れたプレス成形品300を成形することができる。また、段差部12bは、そのままプレス成形品300の下面に残されていることは言うまでもない。
以上の構成のプレス成形システムでは、パッド130及びコイルスプリング134a、134bが保持手段として機能する。
また、上述したプレス成形方法では、ステップS11が位置決め工程に、ステップS14が接触工程に、ステップS15が当接工程にそれぞれ相当する。
以上、本発明に係るプレス成形方法について、それを実施するシステムとの関係で詳細に説明したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成又は方法を取りうることは勿論である。
本発明に係るプレス成形方法は、第1プレス成形装置でプレス成形された中間成形品を第2プレス成形装置で再度プレス成形する形態に限定されない。例えば、前記第1プレス成形装置を用いずに他の加工方法によって前記中間成形品と同様な形状に加工したワークを前記第2プレス成形装置でプレス成形してもよい。
10…第1プレス成形装置 12…テーラードブランク板
18…第1パンチ部 20…第1ダイ部
100…第2プレス成形装置 102…第2パンチ部 104…第2ダイ部 112R、112L…第1成形面
114R、114L…第2成形面 116R、116L…第1連通面
118R、118L…第1段差部 120R、120L…第2連通面
122R、122L…第2段差部 212…中間成形品(ワーク)
216R、216L…傾斜部 218…平坦部
226A…第1成形対象部 226B…第2成形対象部
228A…第1当接面 228B…第2当接面
300…プレス成形品

Claims (4)

  1. 平坦部と、前記平坦部に対して傾斜する成形対象部と、を有するワークをプレス成形するプレス成形方法であって、
    前記平坦部が載置される載置面と、前記載置面に連なる第1成形面と、前記第1成形面に連なる第2成形面と、を有するパンチ部と、
    前記平坦部に接触して当該平坦部を前記載置面に保持する保持手段を有し、且つ、前記第1及び第2成形面の形状に対応する形状を有するダイ部と、を備えるプレス成形装置を使用し、
    前記成形対象部における前記第1成形面に対向する第1成形対象部の第1当接面の断面長が当該第1成形面の断面長よりも長く、且つ前記成形対象部における前記第2成形面に対向する第2成形対象部の第2当接面の断面長が当該第2成形面の断面長よりも短くなるように前記平坦部を前記載置面に載置して前記ワークを位置決めする位置決め工程と、
    前記保持手段にて前記平坦部を保持した状態で、前記ダイ部を前記パンチ部に対して相対的に変位させて、前記第2成形対象部に前記ダイ部を接触させることにより前記第1成形対象部の一部を前記第2成形面側に逃がす接触工程と、
    前記ダイ部と前記パンチ部とをさらに近接させて、前記成形対象部を前記第1及び第2成形面に当接させる当接工程と、を備えることを特徴とするプレス成形方法。
  2. 請求項1記載のプレス成形方法において、
    前記ワークを位置決めする際に、該ワークの一部が前記第2成形面の外縁に当接するように前記平坦部を前記載置面に載置することを特徴とするプレス成形方法。
  3. 請求項1又は2記載のプレス成形方法において、
    前記第2成形対象部に前記ダイ部を接触させた後に、前記第1成形対象部に前記ダイ部を接触させることを特徴とするプレス成形方法。
  4. 平坦部と、前記平坦部に対して傾斜する成形対象部と、を有するワークをプレス成形するプレス成形システムであって、
    前記平坦部が載置される載置面と、前記載置面に連なる第1成形面と、前記第1成形面に連なる第2成形面と、を有するパンチ部と、
    前記平坦部に接触して当該平坦部を前記載置面に保持する保持手段を有し、且つ、前記第1及び第2成形面の形状に対応する形状を有するダイ部と、を備え、
    前記成形対象部における前記第1成形面に対向する第1成形対象部の第1当接面の断面長が当該第1成形面の断面長よりも長く、且つ前記成形対象部における前記第2成形面に対向する第2成形対象部の第2当接面の断面長が当該第2成形面の断面長よりも短くなるように前記ワークの前記平坦部前記載置面に保持手段にて保持した状態で、前記ダイ部を前記パンチ部に対して相対的に変位させた場合に前記第2成形対象部と前記ダイ部とが接触して前記第1成形対象部の一部が前記第2成形面側に逃げた後に、該成形対象部が前記第1及び第2成形面に当接するように前記パンチ部及び前記ダイ部が設定されていることを特徴とするプレス成形システム。
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