JPS6357848B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、非晶質金属磁性体を用いた新規な
構成の高周波特性にすぐれ、低雑音で長寿命の高
性能な磁気ヘツドおよびその製造方法に関するも
のである。

高密度磁気記録用磁気ヘツドの特性としては、
広い周波数帯域にわたつて高感度で低雑音、耐摩
耗性で長寿命であることが要求される。

従来、磁気ヘツドコアを構成する強磁性材料と
しては、Mn−Znフエライトやセンダスト合金お
よびパーマロイ合金などが知られているが、これ
らの材料は必ずしも満足すべきものとはいえず、
たとえばフエライト材は高周波特性にすぐれ、か
つ、耐摩耗性にもすぐれているが、飽和磁束密度
が低いため、高密度記録用の高抗磁力をもつ磁気
テープを十分に記録することができず、そのため
高密度記録化を促進するための記録分解能が低
く、さらに、磁歪の原因によると考えられる摺動
雑音が多いなどの問題がある。

また、センダストなどの合金材料は低雑音で飽
和磁束密度が高いが、この材料自身の硬度が低
く、耐摩耗性に劣り、しかも、電気比抵抗が小さ
いため渦電流損失による高周波特性の低下に大さ
い問題がある。

このようなフエライト磁性材や合金磁性材など
の短所を打破し、高密度磁気記録用磁気ヘツドと
しての要求をすべて満たす新材料として非晶質金
属が最近発見され、注目されている。

一般に、金属は通常の固体状態で構成原子が規
則正しく３次元的に配列した結晶を作るが、特殊
な条件下において原子が液体状態に類似して無秩
序に配列した状態をとり、このような金属を通常
の結晶性金属に対応して非晶質金属という。

この非晶質金属は一般に高硬度、高抗張力、耐
触性であり、あるものはすぐれた軟磁気特性を有
する。また、この非晶質金属は通常10⁵℃／sec以
上の冷却速度で急冷することにより得られ、この
条件を実現するためには溶融した金属を薄層化
し、表面積を拡げて瞬間的に冷却する必要があ
る。

通常、実用的には非晶質金属は厚み数10μｍ程
度の長い薄板状試料として得られ、このような非
晶質金属材料を用いて磁気ヘツドを構成すること
は、従来公知の方法では不可能で、特別を構成手
段を必要とする。

この非晶質金属は硬く加工が困難で、この材料
の結晶化温度以上の加熱により非可逆的に磁気特
性が劣化するので、加工条件も非常に制限を受け
る。このため磁気ヘツドを構成する上に必要な構
造、たとえば適当な磁心形状の形成や、特に微少
な作動空隙の形成が困難であつた。

この発明は、この非晶質金属材によつて構成し
た高密度記録用としてすぐれた特性を有する磁気
ヘツドを大量に生産、供給を可能にすることなど
を目的とする。

この発明においては、強磁性材からなる断面ほ
ぼ円形の保持部材に１枚もしくは積層した高透磁
率の非晶質金属磁性材薄板をリング状に巻きつ
け、その非晶質金属磁性材薄板の両端部、非磁性
材を介して、上記非晶質金属磁性材薄板の同じ側
の面を収縮力のある摺動体兼挾持体を用いて重な
るように接着して作動空隙を形成するように構成
した磁気ヘツドおよびその製造方法を提供するも
のである。

以下、この発明を図の実施例によつて詳細に説
明する。

第１図に示すものは、厚みｔを有する適当な長
さの非晶質金属磁性材薄板１の側面図を表わした
もので、これは遠心急冷法や圧延急冷法などの従
来公知の技術によつて製作できる。なお、上記非
晶質金属磁性材薄板の表現はテープ状および幅広
のシート状のものを含む意味とする。

第２図に示すものは、センダストやフエライト
などのような強磁性材を用いてほぼ円形に形成し
た保持部材２に上記非晶質金属磁性材薄板１をリ
ング状に巻きつけたものであり、この保持部材２
には図示のように巻線用孔３およびこれに通じる
細い間隙の切欠部４が設けられている。また、上
記非晶質金属磁性材薄板１の両端部１′，１″は、
この非晶質金属磁性材薄板の同じ側の面を非磁性
材５を介して重ね合わせるようにする。この非磁
性材５は前記保持部材２の切欠部４の線上に配置
される。

第３図に示すものは、上述のリング状に保持部
材２に巻きつけた非晶質金属磁性材薄板１の外径
に沿う内径をほぼ有し、かつ、切欠部６を有する
円弧状の摺動体兼挾持体７であり、この材料とし
ては、この摺動体兼挾持体７と非晶質金属磁性材
薄板１とを接合するための接着剤の加熱による硬
化時に熱収縮するような熱可塑性プラスチツクな
どのようなものを用いるとよい。

第４図は、第２図に示すように保持部材２にリ
ング状に巻きつけた非晶質金属磁性材薄板１の外
周に第３図に示すような円弧状の摺動体兼挾持体
７を組合わせた図であり、円弧状の摺動体兼挾持
体７をリング状の非晶質金属磁性材薄板１の外周
に接着剤を介して接着したものである。この場
合、摺動体兼挾持体７の切欠部６は非晶質金属磁
性材薄板１の両端部１′，１″を介在させ接着挾持
する。この摺動体兼挾持体７は、特に上記切欠部
６が第３図の矢印方向に作用する力の働く材料が
望ましく、摺動体兼挾持体７と非晶質金属磁性材
薄板１とを接合するための接着剤の加熱による硬
化時に熱収縮により上記切欠部６の間隙が縮少す
ることにより、上記両端部１′，１″を押しつける
ように働く熱可塑性プラスチツクなどを用いると
よい。これによると、上記両端部１′，１″と非磁
性材５により構成される作動間隙幅が安定し、耐
摩耗性にもすぐれた磁気ヘツドが得られる。

なお、保持部材２は強磁性材で形成することに
より、コア部の磁気抵抗が小さくなるので、磁気
ヘツドコアとしての磁束効率が向上する。

なお、第４図において、８は前記巻線用孔３に
挿通して巻かれた巻線であり、点線Ａは研磨面
で、すなわち、磁気テープ摺接面である。

非晶質金属磁性材薄板１、保持部材２、非磁性
材５および摺動体兼挾持体７を第４図に示す構成
で、その軸方向に長く形成させ、その軸方向に直
角に切断することにより、同一形状のものを多量
に生産することができる。

この発明は、以上詳述したような磁気ヘツドお
よびその製造方法を提供することによつて、非晶
質金属磁性体を用いる特別新規な構成の磁気ヘツ
ドおよびその簡単な製造方法を達成できたもので
あり、これにより高密度記録用としてのすぐれた
特性を有する磁気ヘツドを大量に生産、供給する
ことを可能にしたものである。

【図面の簡単な説明】

図面はこの発明の実施例を示すものであり、第
１図は非晶質金属磁性材薄板の側断面図、第２図
は保持部材に非晶質金属磁性材薄板を巻きつけ非
磁性材を介して作動間隙を形成した正断面図、第
３図は円弧状の摺動体兼挾持体の正面図、第４図
はこの発明になる磁気ヘツドの実施例を示す正面
図である。 １……非晶質金属磁性材薄板、２……保持部
材、５……非磁性材、７……摺動体兼挾持体。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ リング状に形成した１枚もしくは積層した非
   晶質金属磁性材薄板と、この非晶質金属磁性材薄
   板の上記リング状部の内側から支持する保持部材
   と、上記非晶質金属磁性材薄板の両端部を非磁性
   材を介してこの非晶質金属磁性材薄板の同じ側の
   面で接合させる摺動体兼挾持体とからなる磁気ヘ
   ツド。 ２ 強磁性材からなる保持部材に１枚もしくは積
   層した非晶質金属磁性材薄板をリング状に巻きつ
   け、この非晶質金属磁性材薄板の両端部に非磁性
   材を介してこの非晶質金属磁性材薄板の同じ側の
   面が重なるように摺動体兼挾持体により挾持し合
   体して作動間隙を形成するようにした磁気ヘツド
   の製造方法。 ３ 摺動体兼挾持体として、接着剤の硬化時に収
   縮する材料を用いた特許請求の範囲第２項に記載
   の磁気ヘツドの製造方法。 ４ 摺動体兼挾持体として、加熱により収縮する
   熱可塑性プラスチツクを用いた特許請求の範囲第
   ２項に記載の磁気ヘツドの製造方法。