JPS6357193B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は空圧式衝撃工具たとえばエアチツパー
等の緩衝装置に関するものである。

（従来技術） 圧力流体を動力とする衝撃工具はシリンダ内で
ピストンの往復運動とタガネの衝撃によつて発生
する振動を吸収する為のクツシヨン手段を備えて
いる。

たとえば実開昭58−160725号公報には、圧力流
体を動力とする衝撃工具が記載されていて、衝撃
用スプリングによる衝撃吸収装置が開示されてい
る。このようなスプリングによる緩衝装置はスプ
リングのばね常数によつて衝撃吸収機能と振動吸
収機能が決つてしまうため、供給空気の圧力、振
動周波数、衝撃力等に適合するばね常数のスプリ
ングが必要であつた。又、スプリングは衝撃を受
けたときに、完全に密着するおそれがあり、その
ために可動部材の衝突が起る等の問題があつた。
このように、スプリングにより緩衝装置は構造的
に見ても、又性能上からも完全なものといえなか
つた。

（発明が解決しようとする問題点） 空圧式衝撃工具において、ピストンの駆動源た
る圧縮空気の一部を利用した、構造が簡単で、自
己制御機能の有する緩衝装置を提供しようとする
ものである。

（問題点の解決手段） ハウジングの内部に、ピストンを内蔵した第２
シリンダと圧縮空気の導気孔を備えた第１シリン
ダとを軸心を一致させて結合して摺動自在に摺合
し、第１ないし第２シリンダの端面部と、第１シ
リンダの外周にとりつけた外筒と、第１、第２シ
リンダを収容するハウジングとシリンダとの間に
介在させたシリンダスリーブ等によつて、上記第
１、第２シリンダの往復動に伴つて導気孔を介し
て第１シリンダ内部と連通、閉塞を繰り返し、ま
た排気孔を介してハウジング外部と連通、閉塞を
繰り返す空間を形成し、該空間内に閉塞される圧
縮空気で緩衝作用に自己制御機能をもたせたこと
を特徴とするものである。

（実施例） １は圧縮空気の導入部で、こゝに図示しないホ
ースが適宜の手段で接続される。２は導入部１か
ら衝撃工具本体内に進入する圧縮空気の通路を開
閉する回転バルブで、ばね２ａによつて閉塞方向
に付勢されて普段は導気通路７を閉じているが、
中心軸３を中心に回転可能であつて、該中心軸３
から放射方向に固設したピン４を本体６の円周方
向に形成した扇形孔４ａから外に突出させ、これ
をバルブリング５と係合させ、該バルブリング５
を指で円周方向に回すことにより、回転バルブ２
に設けた導入孔（図示しない）と本体６に軸方向
に穿設した導気通路７とを連通させて以下に説明
する第１シリンダ８と第２シリンダの内部に向け
て圧縮空気を導入するようになつている。

第１シリンダ８と第２シリンダ９は本体６と同
心に設けられている。第２シリンダ９はその後部
で第１シリンダ８の前部に軸心を一致させてねじ
結合１０されている。第１シリンダ８はその後方
寄りに導気通路７に通ずる導気孔Ａを有し、また
その中央部と前部には流出孔Ｂ，Ｃを有してい
る。

１１は第１シリンダ８をその内周面部で軸心方
向に摺動自在に支持するシリンダ外筒で、該外筒
１１は中央部外周に形成した段部１２を、本体６
の前端面部にシールリング１３を介在させて位置
させて当該外筒１１上に嵌合したリング１４で押
え、後部を外筒ストツパ１５で押えている。従つ
て第２シリンダ９と第１シリンダ８と一体になつ
て軸方向に往復動が可能である。Ｄはシリンダ外
筒１１に穿設した流出孔で、前記第１シリンダ８
の内部１９は前記流出孔Ｂとこの流出孔Ｄを介
し、第１シリンダの外部と連通する。

１６は第１シリンダ８とシリンダ外筒１１との
間の摺動面を密封するシールリングで、摺動抵抗
が小さく、耐摩耗性の大きい材料でつくられてい
る。第１シリンダ８の後端はＯリング１７を備え
た蓋体１８で閉塞して、内部１９を密閉してい
る。２０は外筒ストツパ１５の外周面部とシリン
ダ外筒１１の外周面部とを連通させて形成した導
気通路で、導気通路７と連通している。２１はシ
リンダ外筒１１の中央部に形成した導気孔で、第
１シリンダ８の導気孔Ａと連通するものである。

２２は第２シリンダ９の後端部を摺動自在に支
持するシリンダスリーブで、その内周面部にはシ
ールリング１６と同様のシールリング１６′を備
え、後端面部は上記リング１４の前端面部と当接
している。

Ｓは第１シリンダ８の外周面、第１シリンダ８
と第２シリンダ９との結合部後端面、シリンダー
外筒１１の外周面、シリンダースリーブ２２の内
周面及びシールリング１４の前端面で囲繞された
環状空間で、後述するように、該空間Ｓ内に閉じ
込められた空気が衝撃工具の緩衝作用をなすよう
になつている。

２３はフロントハウジング、２４はリヤハウジ
ングで両者はコネクタ２５を介し一体に接続さ
れ、リヤハウジング２４の後端部が本体６にねじ
結合２６されている。２７はフイルタでシリンダ
スリーブ２２に形成した排気孔２８より排出され
る前記空間Ｓ内の空気の排気音を柔げるためのも
のである。２９はフイルタ２７を介して排気孔２
８に通ずるリヤハウジング２４の排気孔である。
３０はボールで、第２シリンダ９の外周面部の１
〜数個所に設けられた軸方向の長溝３１内に装着
されていて、第２シリンダ９の前後動が円滑に行
なわれるよう案内すると共に、第１、第２シリン
ダ８，９の回転を抑制している。

３２はピストンで、第１シリンダ８の前面部に
位置し、第２シリンダ９内を自由に前後動する。
ピストン３２には直径方向の孔３３と、この孔３
３と直交する軸方向の孔３４が穿設されている。
３５は第２シリンダ９の外周面部において、第１
シリンダ８の流出孔Ｃと連通する導気溝で、上記
長溝３１と平行に、長溝３１相互間に位置してい
る。３６はピストン３２の外周面部と第２シリン
ダ９の内周面部との間に形成した環状の空間、３
７は同空間３６を上記導気溝３５と連通させる導
気孔、３８は導気溝３５と導気孔３７とを連通さ
せるためのシリンダカバー３９に設けた導気孔で
ある。４０はフロントハウジング２３の内周面に
設けた導気溝で、一端は導気孔３８と、又他端は
同じくシリンダカバー３９に設けた導気孔４１を
介し導気溝３５と通じている。４２はタガネで、
フロントハウジング２３の前端に設けた開孔４３
に挿入されたボール４４に案内されて軸方向に前
後動自在に、回転不可能に支承されている。４５
はボール４４の技止用リング、４６は技止用リン
グ４５の回転を規制するねじりスプリングで、４
７は技止用リング４５の軸方向の動きを規制する
ピンである。

（作用） 以下本発明の作動について説明する。

バルブリング５を回して回転バルブ２を回転さ
せ導気通路７を開き、タガネ４２を工作物に押し
つけると、第１シリンダ８と第２シリンダ９は共
に後退し、一方では第１シリンダ８の導気孔Ａが
導気孔２１と連通し、他方では第２シリンダ９の
導気孔３７が導気孔３８と連通する。従つて、導
入部１から本体６内に入り、導気通路７，２０を
経と、シリンダ外筒１１の外周に達した圧縮空気
は導気孔２１および第１シリンダ８に設けた導気
孔Ａより同シリンダの内部１９内に流入する。第
１シリンダ８に流入した圧縮空気はその大部分が
同シリンダの先端の流出孔Ｃより導気溝３５に至
り、更に導気孔４１、導気溝４０、導気孔３８、
導気孔３７等を経て、フロントハウジング２３と
ピストン３２の外周との間の空間３６内に入り、
この圧縮空気がピストン３２の直径方向の孔３３
より同ピストンの軸方向の孔３４に入ると、第１
シリンダ８の前面によつて塞がれている孔３４内
に圧縮空気が充満してピストン後部の圧力を上昇
させ、ピストン３２は瞬間的に前進する。

ピストン３２が前進すると、ピストン３２でタ
ガネ４２の後部が叩打され、タガネ４２は前進す
るが、ピストン３２が前進を開始すると同ピスト
ンの直径方向の孔３３が第２シリンダ９のピスト
ン前部が摺動する孔４８の内壁面によつて閉鎖さ
れる（第４図）ために、空間３６内の空気は給気
圧力まで圧力が高まる。ピストン３２の前進によ
り導気孔３３と第２シリンダの前記孔４８より先
端側の大径孔４９の内壁面との間に隙間が生ずる
と上記空間３６内に封鎖されていた加圧空気が第
２シリンダ９の前方に向けて放出され、ピストン
３２を前進させるエネルギーを失なう。

また、ピストン３２が前進してタガネ４２を叩
打すると、当該ピストン３２が前進エネルギーを
消失するのに伴つて、空間３６が再び閉鎖されて
ピストン３２を後退させるエネルギーを蓄え、空
間３６内の空気圧により、ピストン３２を復動に
転ずる。やがて、空間３６内の空気がピストン３
２の直径方向の孔３３と連通すると、その後はピ
ストン３２内の空気圧は次第に増大に転じて、再
び前進を開始し、以下これを繰り返す。このよう
にしてピストン３２が前進してタガネ４２が叩打
されると、タガネ４２は前進し、ピストン３２が
後退すると、タガネ４２は前進したときの反動で
後退しつゝこゝに衝撃振動が発生し、タガネ４２
が剥離作業を行なう。

他方、第１シリンダ８が後退位置にあるとき
（第３図）、すなわち衝撃によつてシリンダの後退
時に、同シリンダの流出孔Ｂはシリンダ外筒１１
の流出孔Ｄを介して空間Ｓと連通し、空間Ｓ内の
圧縮空気によつて第１シリンダ８と第２シリンダ
９の衝撃を減衰させ、こゝに緩衝作用が行なわれ
る。その後、第１シリンダ８は前進に転じる。第
１シリンダ８が前進し、第１、第２シリンダ８，
９が平衡状態になると、流出孔Ｂ，Ｄとの連通が
絶たれ（第２図）、排気孔２８の大気との連通に
より、空間Ｓは大気圧状態に転ずる。

（発明の効果） (1) スプリングを用いた従来の緩衝装置はスプリ
ングのばね常数によつて衝撃吸収機能と振動吸
収機能が決つてしまうために、供給空気の圧力
に適合するばね常数のスプリングが必要であつ
たが、この発明によれば空気圧の変化に対応し
て衝撃を吸収し、また振動を吸収するという自
己制御機能を発揮するため、供給空気の圧力が
特定されることなく、汎用性が大である。

(2) スプリングは衝撃を受けたときに完全密着す
るおそれがあり、そのために可動部材の衝突が
起るが、この発明は吸収媒体が空気であり、そ
の空気の圧力は供給空気の圧力より高くなるか
ら、第１、第２シリンダ８，９よりなる可動部
材とシリンダ外筒１１よりなる固定部材との間
に衝突が起らず機械的損傷を防ぐことができ
る。

(3) この発明は振動する部分が第１、第２シリン
ダ８，９、ピストン３２、タガネ４２等からな
るいわゆるシリンダ組立体部のみで、フロント
ハウジング及びリヤハウジング２３，２４には
振動が伝わらないから、リヤハウジング２４と
本体６とのねじ結合部等の連結部および本体６
自身に衝撃、振動が伝播されることはない。従
つて、作業者に衝撃等による大きな負担がかゝ
らず、連結部の損傷も起ることがない。

(4) 第１シリンダ８と第２シリンダ９の可動式と
して、タガネ４２を工作物に押しつけなければ
ピストン３２が起動しないようにしたため、上
記緩衝作用のほかに、空打ち防止作用も発揮す
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る緩衝装置を採用した衝撃
工具の一例を示す断面図。第２図〜第４図は第
１、第２シリンダとからなるシリンダ組立体の動
きとピストンの動きを各導気孔、流出孔および排
気孔と開閉とあわせて作動順に示した説明図。 図において；Ａ……導気孔、Ｂ，Ｃ，Ｄ……
（圧縮空気の）流出孔、Ｓ……（緩衝空気の閉塞
される）空間、１……圧縮空気の導入部、６……
本体、７……導気通路、８……第１シリンダ、９
……第２シリンダ、１１……シリンダ外筒、１２
……段部、１４……リング、１６，１６′……シ
ールリング、１９……（第１シリンダ８の）内
部、２１……（シリンダ外筒中央部の）導気孔、
２２……シリンダスリーブ、２３……フロントハ
ウジング、２４……リヤハウジング、２５……コ
ネクタ、２７……フイルタ、２８……（シリンダ
スリーブの）排気孔、２９……（リヤハウジング
の）排気孔、３２……ピストン、３３……（ピス
トン内の）直径方向の孔、３４……（ピストン内
の）軸方向の孔、３５……導気溝、３６……（ピ
ストンと第２シリンダ間の）空間、４２……タガ
ネ、４８……（第２シリンダのピストン前部が摺
動する）孔、４９……（第２シリンダの孔４８の
先端側の）大径孔。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ハウジングの内部に、ピストンを内蔵した第
   ２シリンダ９と圧縮空気の導通孔Ａを備えた第１
   シリンダ８とを軸心を一致させて結合して摺動自
   在に嵌合し、該第１ないし第２シリンダの端面部
   と、第１シリンダの外周にとりつけた外筒１１
   と、第１、第２シリンダを収容する上記ハウジン
   グと当該シリンダとの間に介在させたシリンダス
   リーブ２２等により、上記第１、第２シリンダの
   往復動に伴つて前記導気孔Ａを介して第１シリン
   ダ内部と連通、閉塞を繰返し、また排気孔２９を
   介してハウジング外部と連通、閉塞を繰り返す空
   間Ｓを形成したことを特徴とする空圧式衝撃工具
   等の緩衝装置。