JPS6354814B2 - - Google Patents
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- JPS6354814B2 JPS6354814B2 JP9074283A JP9074283A JPS6354814B2 JP S6354814 B2 JPS6354814 B2 JP S6354814B2 JP 9074283 A JP9074283 A JP 9074283A JP 9074283 A JP9074283 A JP 9074283A JP S6354814 B2 JPS6354814 B2 JP S6354814B2
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Landscapes
- Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)
Description
(産業上の利用分野)
本発明はスパンライク加工糸に関するものであ
り、更に詳しくはスパンライクな風合と手触りと
を呈すると共に、ストレツチ性をも兼ね備えた加
工糸に関するものである。 (従来技術) 従来、仮撚加工を利用した二層構造糸は次に述
べる方法で製造されている。即ち、伸度の異なる
2種以上のフイラメント糸を引揃え状態で供給ロ
ーラーに供給し、仮撚スピンドルにより施撚する
と伸度の小なるフイラメント糸は伸びにくい為、
二層構造糸の芯部を形成し、伸度の大なるフイラ
メント糸は伸びやすい為、二層構造糸の外層部を
とりまくように撚糸される。この撚糸状態を熱固
定してから解撚すると、伸度の小なるフイラメン
ト糸が芯糸となり、伸度の大なるフイラメント糸
が芯糸の周りをとりまいた二層構造糸がえられる
(特開昭49−72443号公報参照)。 一方、上記の形態を有する二層構造糸の他の製
造法としては、仮撚スピンドルによつて施撚(仮
撚)状態にある芯糸の回転トルクを利用して捲付
糸をオーバーフイードしつつ捲付かせることもよ
く知られている。(例えば特公昭45−28018号公報
参照)。 これらの方法によつて得られる二層構造糸にお
いては、一般に捲付糸は芯糸のまわりに捲付いて
いる事から、その構造によつて得られる織物は普
通ウーリー加工糸織物の欠点であるヌメリ感やふ
かつき感を改良するという点で特徴を持つている
が、他方、織物を構成している二層構造糸では捲
付糸が締束状態で芯糸に捲付いているため、捲縮
発現時に芯糸の捲縮が発現できず、通常のウーリ
ー加工糸織物の様なストレツチ性に欠けるという
欠点があつた。 かかる欠点を改良すべく、本発明者の2人は先
に特願昭56−171292号明細書中で、ポリブチレン
テレフタレート重合体とポリエチレンテレフタレ
ート重合体とでサイドバイサイド型或いは偏心シ
ースコア型に複合されたフイラメントから成るフ
イラメント糸(以下、PBT/PET複合フイラメ
ント糸と称することがある)と、ポリエチレンテ
レフタレート重合体で形成されているフイラメン
トから成るフイラメント糸(以下、PETフイラ
メント糸と称することがある)とを引揃えた後、
交絡を施してから延伸同時仮撚加工し、前記複合
フイラメント糸を芯糸とする二層構造糸(以下、
加工糸と称することもある)を提案した。 ここで用いるPBT/PET複合フイラメント糸
は捲縮発現力が強いために、捲縮発現時に芯糸が
捲付糸の締束力に抗して捲縮を発現できる結果、
かかる二層構造糸を用いた織物はスパンライクな
風合と従来品に比べて高いストレツチ性をも併せ
て呈すことができた。 一方、この織物は前述した様に従来品よりも高
いストレツチ性を呈するのであるが、一般に衣服
着用時に肘・膝部に圧迫感のない良好な着心地を
呈すことができるストレツチ率10%以上のストレ
ツチ性を呈するまでには至つていない。 かかる二層構造糸でも、仮撚加工の条件、例え
ば仮撚数を極めて多くして二層構造糸の捲縮率を
高めることによつて、得られる織物のストレツチ
性を向上せしめることは可能である。 しかしながら、かかる織物では、発現する捲縮
の形態が細かくなりすぎて変形空間を充分に確保
することができず、織物表面がゴツゴツしたガサ
ツキのある風合となつてスパンライクな風合を呈
することができない。このために、織物にスパン
ライクな風合を損ねることなく、充分なストレツ
チ性を付与することが望まれている。 (発明の目的) 本発明の目的は、10%以上のストレツチ率とス
パンライクな風合とを兼ね備えた織物が得られる
ストレツチ性スパンライク加工糸を提供すること
にある。 (発明の構成) 本発明者は、前記目的を達成すべく種々検討し
たところ、PBT/PET複合フイラメント糸を芯
糸に用いた二層構造糸の呈する捲縮率とトルクと
が得られる織物のストレツチ性とスパンライクな
風合とに影響を及ぼし、且つPBT/PET複合フ
イラメント糸の破断伸度が低下するほど、かかる
二層構造糸の捲縮率が向上することを知つた。 かかる知見に基づき、本発明者は更に検討を重
ねた結果、通常の延伸同時仮撚加工で用いるフイ
ラメント糸の破断伸度よりも極めて低い破断伸度
のPBT/PET複合フイラメント糸を二層構造糸
の芯糸になる様に仮撚加工し得られる加工糸の捲
縮率TC及びトルクTrを特定の値以上とすること
によつて、かかる加工糸を用いた織物のストレツ
チ率が10%以上となり、しかもスパンライクな風
合も併せ有することを究明し、本発明に到達し
た。 即ち、本発明は仮撚加工を施された少くとも2
種のフイラメント糸の一方を芯糸として、その周
りに他方のフイラメント糸が捲付き、且つ捲付糸
を構成するフイラメントの一部は芯部のフイラメ
ントとランダムに混合、交錯しつつ、捲付糸全体
としては芯糸の周りに交互反転状に捲付いてなる
二層構造糸において、芯部を構成するフイラメン
トがポリブチレンテレフタレート重合体と、ポリ
エチレンテレフタレート重合体とでサイドバイサ
イド型或いは偏心シースコア型に複合されている
と共に、その破断伸度が40%以下であり、且つ該
二層構造糸が下記〔〕〔〕の特性を有するこ
とを特徴とするストレツチ性スパンライク加工糸
である。 〔〕 捲縮率TC10% 〔〕 トルクTr100T/m 更に、破断伸度が40%以下であり、且つポリブ
チレンテレフタレート重合体とポリエチレンテレ
フタレート重合体とでサイドバイサイド型或いは
偏心シースコア型に複合されているフイラメント
から成るフイラメント糸と、破断伸度が100〜200
%であるポリエチレンテレフタレート重合体で形
成されているフイラメントから成るフイラメント
糸とを引揃えた後、実質的に延伸することなく仮
撚加工すると共に、該仮撚加工の前或いは後に交
絡を付与することを特徴とするストレツチ性スパ
ンライク加工糸の製造方法である。 本発明のストレツチ性スパンライク加工糸を図
面により説明する。 第1図は本発明のストレツチ性スパンライク加
工糸の製造する一態様を示す概略図であり、第2
図はPBT/PET複合フイラメント糸の破断伸度
(EL)とPBT/PET複合フイラメント糸を芯糸
に用いた二層構造糸の捲縮率(TC)との関係を
示すグラフ、第3図は本発明のストレツチ性スパ
ンライク加工糸の拡大側面図である。 第3図において、12は芯糸、13は捲付糸を
夫々示す。かかる二層構造糸で芯糸12を構成す
るフイラメントがポリブチレンテレフタレート重
合体とポリエチレンテレフタレート重合体とでサ
イドバイサイド型或いは偏心シースコア型に複合
されていると共に、破断伸度が40%以下であつ
て、且つ二層構造糸の捲縮率TCが10%以上、ト
ルクTrが100T/m以上であることが重要であ
る。 ここで、芯糸12が通常のPETフイラメント
糸であれば、芯糸は捲付糸の締束力に抗して捲縮
が発現するようなことはないため、この二層構造
糸を用いた織物にストレツチ性を付与することは
できない。 また、芯糸12にPBT/PET複合フイラメン
ト糸が用いられていても、かかるフイラメント糸
の破断伸度が40%を越えている場合、この様な二
層構造糸では捲縮率TCが10%以上、且つトルク
Trが100T/m以上の特性を同時に満足すること
は困難である。 更に、破断伸度が40%以下のPBT/PET複合
フイラメント糸が用いられている二層構造糸で捲
縮が発現していても、その捲縮率が10%未満であ
れば、得られる織物のストレツチ率が10%未満と
なつて、スパンライクな風合も呈することが困難
となる。 しかも、かかる二層構造糸のトルクTrが
100T/m未満である場合も、この二層構造糸を
用いた織物はガサツキを呈し易くスパンライクな
風合となり難い。 本発明の二層構造糸を構成する芯糸及び捲付糸
の夫々のトータルデニールは50〜300deであつ
て、{捲付糸/(芯糸+捲付糸)}の比が0.6〜0.7
であることが好ましい。特に捲付糸を構成するフ
イラメントのデニールが5de以下、芯糸を構成す
るフイラメントのデニールが2.5de以上のとき、
好ましい風合とストレツチ性とを有する織物が得
られる。 尚、本発明で言う捲縮率TCは下記〔〕式で
定義した値である。 即ち、製造後3日以内の試料に50mg/deの張
力をかけてカセ枠に巻取り約3000deのカセをつ
くる。カセ作成後カセの一端に2mg/de+200
mg/deの荷重を負荷し、1分間経過後の長さl0
(cm)を測定する。次いで200mg/deの荷重を除
去した状態(すなわち試料には2mg/deの荷重
が負荷されている)した状態で100℃の沸水中に
て20分間処理する。沸水処理後直ちに全荷重を除
去し、24時間自由な状態で自然乾燥する。自然乾
燥した試料に再び2mg/de+200mg/deの荷重を
負荷し1分間経過後の長さl1(cm)を測定する。
次いで200mg/deの荷重を除去し、1分間経過後
の長さl2を測定し次の算式で捲縮率TCを算出す
る。 TC(%)=l1−l2/l0×100 ……〔〕 次に、本発明の加工糸を得る方法について、第
1図及び第2図を用いて説明する。 第1図は、PBT/PET複合フイラメント糸1
及びそれより破断伸度の大きいPETフイラメン
ト糸2をガイド3で引揃えてから張力調整装置
4、フイードローラー5を経て混繊,交絡用の空
気噴射ノズル6に供給して交絡糸とする。次い
で、この交絡糸を第1デリベリローラー7で仮撚
ゾーンに供給し、ヒーター8、仮撚具9を経て、
第2デリベリローラー10で引取つた後、チーズ
11として捲取る。 第1図の工程で重要な点は、破断伸度(EL)
が40%以下のPBT/PET複合フイラメント糸と、
破断伸度がPBT/PET複合フイラメント糸より
も大であるPETフイラメント糸を引揃えてから
実質的に延伸することなく仮撚加工すると共に、
仮撚加工の前或いは後で交絡を付与することにあ
る。 ここで、破断伸度(EL)が40%を越える
PBT/PET複合フイラメント糸を用いた場合、
得られる加工糸の捲縮率TCは10%未満となる。 即ち、第2図及び後述する実施例2に示す如
く、芯糸に用いるPBT/PET複合フイラメント
糸の破断伸度(EL)が40%以下となつた時に、
捲縮率(TC)が10%以上の加工糸が得られるの
である。 尚、PBT/PET複合フイラメント糸に使用す
るポリブチレンテレフタレート重合体の極限粘度
〔η〕は0.65以上0.9以下のものが好ましくポリエ
チレンテレフタレート重合体の極限粘度〔η〕は
0.35以上0.55以下のものが好ましい。そして、こ
れら両者の極限粘度〔η〕差が大なるほど目的と
するストレツチ性は良好となる。かかる両重合体
の複合割合は3/7〜7/3が好適である。 一方、捲付糸に用いるPETフイラメント糸の
破断伸度が100%未満となると、両フイラメント
糸を引揃え仮撚加工する際に両者の伸度差が不足
し二層構造糸とすることができなく、スパンライ
クな風合が不足する。逆にPETフイラメント糸
の破断伸度が200%を越えると仮撚加工後に得ら
れる加工糸の捲付糸がもろくなつて実用に耐えな
いものとなる。 かかるPETフイラメント糸は、2300〜
3700m/分程度の紡速で容易に得ることができ
る。 また、前述した両フイラメント糸を引揃えて実
質的に延伸することなく仮撚加工を施すことが大
切であつて、実質的な延伸を伴なう仮撚加工、例
えば延伸同時仮撚加工では断糸が発生し加工安定
性が損なわれる。 かかる仮撚加工では、張力については実質延伸
が起らないような範囲を採用し、他方仮撚数、ヒ
ーター温度等に関しては通常採用される仮撚条件
下に加工することにより芯糸の特性と相俟つて加
工糸の捲縮率TCを10%以上、トルクTrを
100T/m以上とすることができる。 尚、PBT/PET複合フイラメント糸を通常延
伸同時仮撚加工に施す破断伸度である100%以上
として、かかるPBT/PET複合フイラメント糸
が芯糸となる様に延伸同時仮撚加工を施した場
合、得られる二層構造糸の芯糸の破断伸度を40%
以下とする様な高い延伸倍率を採用すると加工安
定性は損なわれる。一方、加工安定性を損ねるこ
とのない延伸倍率を採用すると、得られる二層構
造糸の芯糸の破断伸度は40%を越えてしまうので
捲縮率TCは10%未満となる。 更に、上述した破断伸度差を有するフイラメン
ト糸を引揃えた後、仮撚加工の前或いは仮撚加工
の後に交絡処理を行なうことが大切である。かか
る交絡処理は芯糸と捲付糸との分離を防止するた
めのものであるため、得られる加工糸の構造安定
性からは仮撚加工前に交絡を付与することが好ま
しい。付与する交絡数は25〜60ケ/mが好まし
い。 ここで、交絡数が25ケ/m未満の場合は、両フ
イラメント糸がそれぞれ分離してしまう傾向があ
り、60ケ/mを越える場合には、強く交絡した部
分が織物中に点在して硬い風合となる傾向があ
る。 また、交絡処理用ノズルとしては、インターレ
ース加工用ノズルが好適であるが、その他、タス
ランノズルも使用できる。工程的には交絡付与後
一且捲取つてもよく捲取ることなく引続き仮撚加
工してもよい。 尚、本発明において使用される重合体は、ポリ
ブチレンテレフタレート重合体とポリエチレンテ
レフタレート重合体とを対象とするものである
が、これらは15モル%以下の割合で第3成分を共
重合したものでもよく、又艶消剤,着色剤,難燃
剤等の添加剤を含んでも差しつかえない。 (作用) 一般に、ポリブチレンテレフタレート重合体に
おいて、弛緩状態にある結晶部のテトラメチレン
グループは、力学的に安定な構造であるジグザグ
構造を取つているが、結晶部に張力が付与される
とテトラメチレングループは伸長された構造を取
る。しかし、この張力が除去され再び弛緩される
と結晶部のテトラメチレングループは元のジグザ
グ構造に戻る性質を有している。〔Macromo
lecules 9,266(1976),266〜273参照〕。 かかる結晶変態を生じるポリブチレンテレフタ
レート重合体と結晶変態の生じないポリエチレン
テレフタレート重合体とから成るPBT/PET複
合フイラメントでは、ポリブチレンテレフタレー
ト重合体から成る成分を充分に伸長させた後、弛
緩させるとポリブチレンテレフタレート重合体成
分に結晶変態が生じて捲縮が発現する。この性質
を利用できるPBT/PET複合フイラメントでは、
成分間の結晶変態に基づく捲縮発現力と熱収縮差
に基づく捲縮発現力とを併せ有するために、極め
て大きな捲縮発現力を呈することができるのであ
る。 本発明では、この様な大きな捲縮発現力を
PBT/PET複合フイラメント糸を予め充分に延
伸し破断伸度を低下せしめることによつて得るの
である。 また、かかるPBT/PET複合フイラメント糸
を芯糸に用いた本発明の二層構造糸では、捲付糸
の締束力に対して芯糸の極めて大きな捲縮発現力
を利用することができるので、捲縮率10%以上の
捲縮を発現せしめることができるため、トルクも
100T/m以上の二層構造糸が得られるのである。 この様な二層構造糸の捲縮は大きく、しかもト
ルクを有しているので、かかる二層構造糸を用い
た織物は高いストレツチ性を呈すると共に、織物
を構成する繊維束表面に浮くフイラメントが多く
発生して大きな空間を保有できるため、しなやか
なスパンライクの風合も併せ呈することができ
る。 (発明の効果) 本発明の二層構造糸を用いた織物は、10%以上
のストレツチ率を呈すことができるために着用時
に肘・膝部に圧迫感のない着心地の良好なもので
あり、しかも反撥性及びしなやかなスパンライク
の風合も兼ね備えている。 以下、実施例により本発明を更に説明するが、
実施例にて使用するトルク,交絡数及び織物のス
トレツチ率の測定法は下記の方法で実施したもの
である。 (イ) トルク 解舒により撚が付与されない様に加工糸のまか
れた紙管を回転させながらサンプルを約1.2m解
舒し、その中央部に2mg/deの荷重を付与し、
その両端をかさねて2重折りに保持し、荷重を垂
れ下げて固定よりはずして自由回転させる。さら
にこれを沸水中20分間処理して撚を発現させる。
次いで、2重折りにした両端を把持し、検撚機に
50cmの長さで固定する。その撚数を測定し、その
数値の2倍の値をトルク(T/m)とする。 (ロ) 交絡数 交絡糸を容器にはつた水に浮べた時、交絡のな
い部分は数倍以上の太さに開繊し、交絡点は開繊
しないという性質を利用して交絡点の数を目で読
みとる。 (ハ) ストレツチ率 織物の緯方向(又は経方向)に長さ30cm,巾5
cmの試料を作成し、試料の中央部から長さ方向に
向つて各々100mmの位置に印をつける(印間長さ
は200mmとなる。)この試料の一方の端部を巾60mm
のチヤツクではさみ固定し、更にもう一方の端部
に1.5Kgの荷重を取付け5秒間放置後の長さL
(mm)を測定し、次式で算出する。 織物ストレツチ性(%)=L−200/200×100 実施例 1 極限粘度〔η〕=0.79のポリブチレンテレフタ
レート重合体と〔η〕=0.37のポリエチレンテレ
フタレート重合体とを35:65の割合でサイドバイ
サイド型に複合紡糸した。この時の紡速は
2500m/分で274de/36fil、破断伸度=165%の部
分配向糸を得た。これを1.9倍に延伸した破断伸
度=32%,143de/36filの延伸糸を得た。一方、
〔η〕=0.64のポリエチレンテレフタレート重合体
を紡速3000m/分で紡糸し、228de/72fil、破断
伸度=132%の部分配向糸POYを得た。これら2
者を第1図の仮撚工程を使つてガイド3で引揃え
張力調整装置4、フイードローラー5を経て混繊
交絡用のインターレースノズル6に供給し、オー
バーフイード率2.0%、圧空圧1.5Kg/cm2で35ケ/
mの交絡を付与した。引き続いてヒーター8の温
度170℃、摩擦仮撚スピンドル9の回転数を種々
変更し、第2デリベリローラー10の速度
103m/分の条件下で仮撚加工し、チーズ11と
して巻取つた。 得られた加工糸の捲縮率TC及びトルリTrを表
1に示す。 これら加工糸のストレツチ性を下記の綾織物に
して評価した。 得られた加工糸を経糸として43羽の2本入と
し、緯糸に80越として綾織物を作成し通常のリラ
ツクス,プリセツト,130℃高圧染色仕上セツト
工程を通した。 この綾織物の緯及び経方向のストレツチ率を測
定し、その平均を表―1に併せて示す。
り、更に詳しくはスパンライクな風合と手触りと
を呈すると共に、ストレツチ性をも兼ね備えた加
工糸に関するものである。 (従来技術) 従来、仮撚加工を利用した二層構造糸は次に述
べる方法で製造されている。即ち、伸度の異なる
2種以上のフイラメント糸を引揃え状態で供給ロ
ーラーに供給し、仮撚スピンドルにより施撚する
と伸度の小なるフイラメント糸は伸びにくい為、
二層構造糸の芯部を形成し、伸度の大なるフイラ
メント糸は伸びやすい為、二層構造糸の外層部を
とりまくように撚糸される。この撚糸状態を熱固
定してから解撚すると、伸度の小なるフイラメン
ト糸が芯糸となり、伸度の大なるフイラメント糸
が芯糸の周りをとりまいた二層構造糸がえられる
(特開昭49−72443号公報参照)。 一方、上記の形態を有する二層構造糸の他の製
造法としては、仮撚スピンドルによつて施撚(仮
撚)状態にある芯糸の回転トルクを利用して捲付
糸をオーバーフイードしつつ捲付かせることもよ
く知られている。(例えば特公昭45−28018号公報
参照)。 これらの方法によつて得られる二層構造糸にお
いては、一般に捲付糸は芯糸のまわりに捲付いて
いる事から、その構造によつて得られる織物は普
通ウーリー加工糸織物の欠点であるヌメリ感やふ
かつき感を改良するという点で特徴を持つている
が、他方、織物を構成している二層構造糸では捲
付糸が締束状態で芯糸に捲付いているため、捲縮
発現時に芯糸の捲縮が発現できず、通常のウーリ
ー加工糸織物の様なストレツチ性に欠けるという
欠点があつた。 かかる欠点を改良すべく、本発明者の2人は先
に特願昭56−171292号明細書中で、ポリブチレン
テレフタレート重合体とポリエチレンテレフタレ
ート重合体とでサイドバイサイド型或いは偏心シ
ースコア型に複合されたフイラメントから成るフ
イラメント糸(以下、PBT/PET複合フイラメ
ント糸と称することがある)と、ポリエチレンテ
レフタレート重合体で形成されているフイラメン
トから成るフイラメント糸(以下、PETフイラ
メント糸と称することがある)とを引揃えた後、
交絡を施してから延伸同時仮撚加工し、前記複合
フイラメント糸を芯糸とする二層構造糸(以下、
加工糸と称することもある)を提案した。 ここで用いるPBT/PET複合フイラメント糸
は捲縮発現力が強いために、捲縮発現時に芯糸が
捲付糸の締束力に抗して捲縮を発現できる結果、
かかる二層構造糸を用いた織物はスパンライクな
風合と従来品に比べて高いストレツチ性をも併せ
て呈すことができた。 一方、この織物は前述した様に従来品よりも高
いストレツチ性を呈するのであるが、一般に衣服
着用時に肘・膝部に圧迫感のない良好な着心地を
呈すことができるストレツチ率10%以上のストレ
ツチ性を呈するまでには至つていない。 かかる二層構造糸でも、仮撚加工の条件、例え
ば仮撚数を極めて多くして二層構造糸の捲縮率を
高めることによつて、得られる織物のストレツチ
性を向上せしめることは可能である。 しかしながら、かかる織物では、発現する捲縮
の形態が細かくなりすぎて変形空間を充分に確保
することができず、織物表面がゴツゴツしたガサ
ツキのある風合となつてスパンライクな風合を呈
することができない。このために、織物にスパン
ライクな風合を損ねることなく、充分なストレツ
チ性を付与することが望まれている。 (発明の目的) 本発明の目的は、10%以上のストレツチ率とス
パンライクな風合とを兼ね備えた織物が得られる
ストレツチ性スパンライク加工糸を提供すること
にある。 (発明の構成) 本発明者は、前記目的を達成すべく種々検討し
たところ、PBT/PET複合フイラメント糸を芯
糸に用いた二層構造糸の呈する捲縮率とトルクと
が得られる織物のストレツチ性とスパンライクな
風合とに影響を及ぼし、且つPBT/PET複合フ
イラメント糸の破断伸度が低下するほど、かかる
二層構造糸の捲縮率が向上することを知つた。 かかる知見に基づき、本発明者は更に検討を重
ねた結果、通常の延伸同時仮撚加工で用いるフイ
ラメント糸の破断伸度よりも極めて低い破断伸度
のPBT/PET複合フイラメント糸を二層構造糸
の芯糸になる様に仮撚加工し得られる加工糸の捲
縮率TC及びトルクTrを特定の値以上とすること
によつて、かかる加工糸を用いた織物のストレツ
チ率が10%以上となり、しかもスパンライクな風
合も併せ有することを究明し、本発明に到達し
た。 即ち、本発明は仮撚加工を施された少くとも2
種のフイラメント糸の一方を芯糸として、その周
りに他方のフイラメント糸が捲付き、且つ捲付糸
を構成するフイラメントの一部は芯部のフイラメ
ントとランダムに混合、交錯しつつ、捲付糸全体
としては芯糸の周りに交互反転状に捲付いてなる
二層構造糸において、芯部を構成するフイラメン
トがポリブチレンテレフタレート重合体と、ポリ
エチレンテレフタレート重合体とでサイドバイサ
イド型或いは偏心シースコア型に複合されている
と共に、その破断伸度が40%以下であり、且つ該
二層構造糸が下記〔〕〔〕の特性を有するこ
とを特徴とするストレツチ性スパンライク加工糸
である。 〔〕 捲縮率TC10% 〔〕 トルクTr100T/m 更に、破断伸度が40%以下であり、且つポリブ
チレンテレフタレート重合体とポリエチレンテレ
フタレート重合体とでサイドバイサイド型或いは
偏心シースコア型に複合されているフイラメント
から成るフイラメント糸と、破断伸度が100〜200
%であるポリエチレンテレフタレート重合体で形
成されているフイラメントから成るフイラメント
糸とを引揃えた後、実質的に延伸することなく仮
撚加工すると共に、該仮撚加工の前或いは後に交
絡を付与することを特徴とするストレツチ性スパ
ンライク加工糸の製造方法である。 本発明のストレツチ性スパンライク加工糸を図
面により説明する。 第1図は本発明のストレツチ性スパンライク加
工糸の製造する一態様を示す概略図であり、第2
図はPBT/PET複合フイラメント糸の破断伸度
(EL)とPBT/PET複合フイラメント糸を芯糸
に用いた二層構造糸の捲縮率(TC)との関係を
示すグラフ、第3図は本発明のストレツチ性スパ
ンライク加工糸の拡大側面図である。 第3図において、12は芯糸、13は捲付糸を
夫々示す。かかる二層構造糸で芯糸12を構成す
るフイラメントがポリブチレンテレフタレート重
合体とポリエチレンテレフタレート重合体とでサ
イドバイサイド型或いは偏心シースコア型に複合
されていると共に、破断伸度が40%以下であつ
て、且つ二層構造糸の捲縮率TCが10%以上、ト
ルクTrが100T/m以上であることが重要であ
る。 ここで、芯糸12が通常のPETフイラメント
糸であれば、芯糸は捲付糸の締束力に抗して捲縮
が発現するようなことはないため、この二層構造
糸を用いた織物にストレツチ性を付与することは
できない。 また、芯糸12にPBT/PET複合フイラメン
ト糸が用いられていても、かかるフイラメント糸
の破断伸度が40%を越えている場合、この様な二
層構造糸では捲縮率TCが10%以上、且つトルク
Trが100T/m以上の特性を同時に満足すること
は困難である。 更に、破断伸度が40%以下のPBT/PET複合
フイラメント糸が用いられている二層構造糸で捲
縮が発現していても、その捲縮率が10%未満であ
れば、得られる織物のストレツチ率が10%未満と
なつて、スパンライクな風合も呈することが困難
となる。 しかも、かかる二層構造糸のトルクTrが
100T/m未満である場合も、この二層構造糸を
用いた織物はガサツキを呈し易くスパンライクな
風合となり難い。 本発明の二層構造糸を構成する芯糸及び捲付糸
の夫々のトータルデニールは50〜300deであつ
て、{捲付糸/(芯糸+捲付糸)}の比が0.6〜0.7
であることが好ましい。特に捲付糸を構成するフ
イラメントのデニールが5de以下、芯糸を構成す
るフイラメントのデニールが2.5de以上のとき、
好ましい風合とストレツチ性とを有する織物が得
られる。 尚、本発明で言う捲縮率TCは下記〔〕式で
定義した値である。 即ち、製造後3日以内の試料に50mg/deの張
力をかけてカセ枠に巻取り約3000deのカセをつ
くる。カセ作成後カセの一端に2mg/de+200
mg/deの荷重を負荷し、1分間経過後の長さl0
(cm)を測定する。次いで200mg/deの荷重を除
去した状態(すなわち試料には2mg/deの荷重
が負荷されている)した状態で100℃の沸水中に
て20分間処理する。沸水処理後直ちに全荷重を除
去し、24時間自由な状態で自然乾燥する。自然乾
燥した試料に再び2mg/de+200mg/deの荷重を
負荷し1分間経過後の長さl1(cm)を測定する。
次いで200mg/deの荷重を除去し、1分間経過後
の長さl2を測定し次の算式で捲縮率TCを算出す
る。 TC(%)=l1−l2/l0×100 ……〔〕 次に、本発明の加工糸を得る方法について、第
1図及び第2図を用いて説明する。 第1図は、PBT/PET複合フイラメント糸1
及びそれより破断伸度の大きいPETフイラメン
ト糸2をガイド3で引揃えてから張力調整装置
4、フイードローラー5を経て混繊,交絡用の空
気噴射ノズル6に供給して交絡糸とする。次い
で、この交絡糸を第1デリベリローラー7で仮撚
ゾーンに供給し、ヒーター8、仮撚具9を経て、
第2デリベリローラー10で引取つた後、チーズ
11として捲取る。 第1図の工程で重要な点は、破断伸度(EL)
が40%以下のPBT/PET複合フイラメント糸と、
破断伸度がPBT/PET複合フイラメント糸より
も大であるPETフイラメント糸を引揃えてから
実質的に延伸することなく仮撚加工すると共に、
仮撚加工の前或いは後で交絡を付与することにあ
る。 ここで、破断伸度(EL)が40%を越える
PBT/PET複合フイラメント糸を用いた場合、
得られる加工糸の捲縮率TCは10%未満となる。 即ち、第2図及び後述する実施例2に示す如
く、芯糸に用いるPBT/PET複合フイラメント
糸の破断伸度(EL)が40%以下となつた時に、
捲縮率(TC)が10%以上の加工糸が得られるの
である。 尚、PBT/PET複合フイラメント糸に使用す
るポリブチレンテレフタレート重合体の極限粘度
〔η〕は0.65以上0.9以下のものが好ましくポリエ
チレンテレフタレート重合体の極限粘度〔η〕は
0.35以上0.55以下のものが好ましい。そして、こ
れら両者の極限粘度〔η〕差が大なるほど目的と
するストレツチ性は良好となる。かかる両重合体
の複合割合は3/7〜7/3が好適である。 一方、捲付糸に用いるPETフイラメント糸の
破断伸度が100%未満となると、両フイラメント
糸を引揃え仮撚加工する際に両者の伸度差が不足
し二層構造糸とすることができなく、スパンライ
クな風合が不足する。逆にPETフイラメント糸
の破断伸度が200%を越えると仮撚加工後に得ら
れる加工糸の捲付糸がもろくなつて実用に耐えな
いものとなる。 かかるPETフイラメント糸は、2300〜
3700m/分程度の紡速で容易に得ることができ
る。 また、前述した両フイラメント糸を引揃えて実
質的に延伸することなく仮撚加工を施すことが大
切であつて、実質的な延伸を伴なう仮撚加工、例
えば延伸同時仮撚加工では断糸が発生し加工安定
性が損なわれる。 かかる仮撚加工では、張力については実質延伸
が起らないような範囲を採用し、他方仮撚数、ヒ
ーター温度等に関しては通常採用される仮撚条件
下に加工することにより芯糸の特性と相俟つて加
工糸の捲縮率TCを10%以上、トルクTrを
100T/m以上とすることができる。 尚、PBT/PET複合フイラメント糸を通常延
伸同時仮撚加工に施す破断伸度である100%以上
として、かかるPBT/PET複合フイラメント糸
が芯糸となる様に延伸同時仮撚加工を施した場
合、得られる二層構造糸の芯糸の破断伸度を40%
以下とする様な高い延伸倍率を採用すると加工安
定性は損なわれる。一方、加工安定性を損ねるこ
とのない延伸倍率を採用すると、得られる二層構
造糸の芯糸の破断伸度は40%を越えてしまうので
捲縮率TCは10%未満となる。 更に、上述した破断伸度差を有するフイラメン
ト糸を引揃えた後、仮撚加工の前或いは仮撚加工
の後に交絡処理を行なうことが大切である。かか
る交絡処理は芯糸と捲付糸との分離を防止するた
めのものであるため、得られる加工糸の構造安定
性からは仮撚加工前に交絡を付与することが好ま
しい。付与する交絡数は25〜60ケ/mが好まし
い。 ここで、交絡数が25ケ/m未満の場合は、両フ
イラメント糸がそれぞれ分離してしまう傾向があ
り、60ケ/mを越える場合には、強く交絡した部
分が織物中に点在して硬い風合となる傾向があ
る。 また、交絡処理用ノズルとしては、インターレ
ース加工用ノズルが好適であるが、その他、タス
ランノズルも使用できる。工程的には交絡付与後
一且捲取つてもよく捲取ることなく引続き仮撚加
工してもよい。 尚、本発明において使用される重合体は、ポリ
ブチレンテレフタレート重合体とポリエチレンテ
レフタレート重合体とを対象とするものである
が、これらは15モル%以下の割合で第3成分を共
重合したものでもよく、又艶消剤,着色剤,難燃
剤等の添加剤を含んでも差しつかえない。 (作用) 一般に、ポリブチレンテレフタレート重合体に
おいて、弛緩状態にある結晶部のテトラメチレン
グループは、力学的に安定な構造であるジグザグ
構造を取つているが、結晶部に張力が付与される
とテトラメチレングループは伸長された構造を取
る。しかし、この張力が除去され再び弛緩される
と結晶部のテトラメチレングループは元のジグザ
グ構造に戻る性質を有している。〔Macromo
lecules 9,266(1976),266〜273参照〕。 かかる結晶変態を生じるポリブチレンテレフタ
レート重合体と結晶変態の生じないポリエチレン
テレフタレート重合体とから成るPBT/PET複
合フイラメントでは、ポリブチレンテレフタレー
ト重合体から成る成分を充分に伸長させた後、弛
緩させるとポリブチレンテレフタレート重合体成
分に結晶変態が生じて捲縮が発現する。この性質
を利用できるPBT/PET複合フイラメントでは、
成分間の結晶変態に基づく捲縮発現力と熱収縮差
に基づく捲縮発現力とを併せ有するために、極め
て大きな捲縮発現力を呈することができるのであ
る。 本発明では、この様な大きな捲縮発現力を
PBT/PET複合フイラメント糸を予め充分に延
伸し破断伸度を低下せしめることによつて得るの
である。 また、かかるPBT/PET複合フイラメント糸
を芯糸に用いた本発明の二層構造糸では、捲付糸
の締束力に対して芯糸の極めて大きな捲縮発現力
を利用することができるので、捲縮率10%以上の
捲縮を発現せしめることができるため、トルクも
100T/m以上の二層構造糸が得られるのである。 この様な二層構造糸の捲縮は大きく、しかもト
ルクを有しているので、かかる二層構造糸を用い
た織物は高いストレツチ性を呈すると共に、織物
を構成する繊維束表面に浮くフイラメントが多く
発生して大きな空間を保有できるため、しなやか
なスパンライクの風合も併せ呈することができ
る。 (発明の効果) 本発明の二層構造糸を用いた織物は、10%以上
のストレツチ率を呈すことができるために着用時
に肘・膝部に圧迫感のない着心地の良好なもので
あり、しかも反撥性及びしなやかなスパンライク
の風合も兼ね備えている。 以下、実施例により本発明を更に説明するが、
実施例にて使用するトルク,交絡数及び織物のス
トレツチ率の測定法は下記の方法で実施したもの
である。 (イ) トルク 解舒により撚が付与されない様に加工糸のまか
れた紙管を回転させながらサンプルを約1.2m解
舒し、その中央部に2mg/deの荷重を付与し、
その両端をかさねて2重折りに保持し、荷重を垂
れ下げて固定よりはずして自由回転させる。さら
にこれを沸水中20分間処理して撚を発現させる。
次いで、2重折りにした両端を把持し、検撚機に
50cmの長さで固定する。その撚数を測定し、その
数値の2倍の値をトルク(T/m)とする。 (ロ) 交絡数 交絡糸を容器にはつた水に浮べた時、交絡のな
い部分は数倍以上の太さに開繊し、交絡点は開繊
しないという性質を利用して交絡点の数を目で読
みとる。 (ハ) ストレツチ率 織物の緯方向(又は経方向)に長さ30cm,巾5
cmの試料を作成し、試料の中央部から長さ方向に
向つて各々100mmの位置に印をつける(印間長さ
は200mmとなる。)この試料の一方の端部を巾60mm
のチヤツクではさみ固定し、更にもう一方の端部
に1.5Kgの荷重を取付け5秒間放置後の長さL
(mm)を測定し、次式で算出する。 織物ストレツチ性(%)=L−200/200×100 実施例 1 極限粘度〔η〕=0.79のポリブチレンテレフタ
レート重合体と〔η〕=0.37のポリエチレンテレ
フタレート重合体とを35:65の割合でサイドバイ
サイド型に複合紡糸した。この時の紡速は
2500m/分で274de/36fil、破断伸度=165%の部
分配向糸を得た。これを1.9倍に延伸した破断伸
度=32%,143de/36filの延伸糸を得た。一方、
〔η〕=0.64のポリエチレンテレフタレート重合体
を紡速3000m/分で紡糸し、228de/72fil、破断
伸度=132%の部分配向糸POYを得た。これら2
者を第1図の仮撚工程を使つてガイド3で引揃え
張力調整装置4、フイードローラー5を経て混繊
交絡用のインターレースノズル6に供給し、オー
バーフイード率2.0%、圧空圧1.5Kg/cm2で35ケ/
mの交絡を付与した。引き続いてヒーター8の温
度170℃、摩擦仮撚スピンドル9の回転数を種々
変更し、第2デリベリローラー10の速度
103m/分の条件下で仮撚加工し、チーズ11と
して巻取つた。 得られた加工糸の捲縮率TC及びトルリTrを表
1に示す。 これら加工糸のストレツチ性を下記の綾織物に
して評価した。 得られた加工糸を経糸として43羽の2本入と
し、緯糸に80越として綾織物を作成し通常のリラ
ツクス,プリセツト,130℃高圧染色仕上セツト
工程を通した。 この綾織物の緯及び経方向のストレツチ率を測
定し、その平均を表―1に併せて示す。
【表】
* 比較例
No.1〜3は全てTCが10%以上、トルクも
100T/m以上であり、織物のストレツチ率も10
%以上で風合もスパンライクな良好な風合を呈し
た。 No.4〜5はTCが10%以上であるものの、Trが
100T/m未満となつてガサツキを呈する風合と
なつた。 実施例 2 極限粘度〔η〕=0.79のポリブチレンテレフタ
レート重合体と〔η〕=0.37のポリエチレンテレ
フタレート重合体とを35:65の割合でサイドバイ
サイド型に複合紡糸した。この時の紡速は
2500m/分で274de/36fil、破断伸度=165%の部
分配向糸を得て、これを表―2に示す種々の延伸
倍率で延伸した。一方〔η〕=0.64のポリエチレ
ンテレフタレート重合体を紡速3000m/分で紡糸
し、228d/72f破断伸度=132%の部分配向糸を得
た。これら両者を引揃えて第1図の仮撚工程を用
いて実施例1と同様に仮撚加工を行つた。その際
のオーバーフイード率2.0%,圧空圧1.5Kg/cm2で
交絡を付与し、引き続いてヒーター温度170℃,
仮撚数=1406T/M,速度=103m/分の条件下
で仮撚加工を行いチーズとして巻き取つた。得ら
れた加工糸の捲縮率TC及びトルクTrを表―2に
示す。 得られた加工糸を経糸に43羽2本入りとし緯糸
に80越として綾織物を作成し通常のリラツクス,
プリセツト130℃高圧染色及び仕上セツト工程を
通した。この綾織物の緯、経方向のストレツチ率
を測定し、結果を表―2に併せて示した。
No.1〜3は全てTCが10%以上、トルクも
100T/m以上であり、織物のストレツチ率も10
%以上で風合もスパンライクな良好な風合を呈し
た。 No.4〜5はTCが10%以上であるものの、Trが
100T/m未満となつてガサツキを呈する風合と
なつた。 実施例 2 極限粘度〔η〕=0.79のポリブチレンテレフタ
レート重合体と〔η〕=0.37のポリエチレンテレ
フタレート重合体とを35:65の割合でサイドバイ
サイド型に複合紡糸した。この時の紡速は
2500m/分で274de/36fil、破断伸度=165%の部
分配向糸を得て、これを表―2に示す種々の延伸
倍率で延伸した。一方〔η〕=0.64のポリエチレ
ンテレフタレート重合体を紡速3000m/分で紡糸
し、228d/72f破断伸度=132%の部分配向糸を得
た。これら両者を引揃えて第1図の仮撚工程を用
いて実施例1と同様に仮撚加工を行つた。その際
のオーバーフイード率2.0%,圧空圧1.5Kg/cm2で
交絡を付与し、引き続いてヒーター温度170℃,
仮撚数=1406T/M,速度=103m/分の条件下
で仮撚加工を行いチーズとして巻き取つた。得ら
れた加工糸の捲縮率TC及びトルクTrを表―2に
示す。 得られた加工糸を経糸に43羽2本入りとし緯糸
に80越として綾織物を作成し通常のリラツクス,
プリセツト130℃高圧染色及び仕上セツト工程を
通した。この綾織物の緯、経方向のストレツチ率
を測定し、結果を表―2に併せて示した。
【表】
【表】
* 比較例
実験No.6,7ではPBT/PET複合フイラメン
ト糸の破断伸度が40%を越えているため加工糸の
TCは10%未満、トルクも100T/m未満となり、
織物ストレツチ率は着心地が良いためには必要な
レベルである10%以上のストレツチ率を有するこ
とができず、風合も腰がなく反撥性及び厚みに欠
けたウーリーライクなものであつた。 No.8〜12においてはPBT/PET複合フイラメ
ント糸の破断伸度が40%以下であるため、これを
用いた加工糸のTCは10%以上であつて、且つト
ルクも100T/m以上である。かかる加工糸を用
いた織物のストレツチ率は10%以上となつて着心
地は良好なものであり、風合も腰,反撥性があつ
て厚みのあるスパンライクな風合を呈するもので
あつた。 比較例 極限粘度〔η〕=0.79のポリブチレンテレフタ
レート重合体と〔η〕=0.37のポリエチレンテレ
フタレート重合体とを35:65の割合でサイドバイ
サイド型型に紡速2500m/分で紡糸し、274de/
36f、破断伸度165%の部分配向糸を得た。一方
〔η〕=0.64のポリエチレンテレフタレート重合体
を紡速1400m/分で220de/72filの破断伸度345%
の未延伸糸を得た。これら両者を引揃えてオーバ
ーフイード率2.0%、圧空圧1.5Kg/cm2でインター
レースして交絡を付与し、引き続いてヒーター温
度170℃,仮撚数=1406T/Mで仮撚加工を行つ
た。延伸倍率は第1図のローラー7と10の速度
差をかえることにより変更可能であるが、延伸倍
率が1.6を越える場合は、フイラメント間の交絡
が消滅し、しかも安定性が悪く断糸しやすくなつ
た。従つて、安定して加工の出来る延伸倍率1.5
を採用した。このように得られた加工糸の捲縮率
TCは8.5であり、トルクは73T/Mであつた。か
かる加工糸を用いて織物を作成した所、ストレツ
チ率は6%のものしか得られなかつた。
実験No.6,7ではPBT/PET複合フイラメン
ト糸の破断伸度が40%を越えているため加工糸の
TCは10%未満、トルクも100T/m未満となり、
織物ストレツチ率は着心地が良いためには必要な
レベルである10%以上のストレツチ率を有するこ
とができず、風合も腰がなく反撥性及び厚みに欠
けたウーリーライクなものであつた。 No.8〜12においてはPBT/PET複合フイラメ
ント糸の破断伸度が40%以下であるため、これを
用いた加工糸のTCは10%以上であつて、且つト
ルクも100T/m以上である。かかる加工糸を用
いた織物のストレツチ率は10%以上となつて着心
地は良好なものであり、風合も腰,反撥性があつ
て厚みのあるスパンライクな風合を呈するもので
あつた。 比較例 極限粘度〔η〕=0.79のポリブチレンテレフタ
レート重合体と〔η〕=0.37のポリエチレンテレ
フタレート重合体とを35:65の割合でサイドバイ
サイド型型に紡速2500m/分で紡糸し、274de/
36f、破断伸度165%の部分配向糸を得た。一方
〔η〕=0.64のポリエチレンテレフタレート重合体
を紡速1400m/分で220de/72filの破断伸度345%
の未延伸糸を得た。これら両者を引揃えてオーバ
ーフイード率2.0%、圧空圧1.5Kg/cm2でインター
レースして交絡を付与し、引き続いてヒーター温
度170℃,仮撚数=1406T/Mで仮撚加工を行つ
た。延伸倍率は第1図のローラー7と10の速度
差をかえることにより変更可能であるが、延伸倍
率が1.6を越える場合は、フイラメント間の交絡
が消滅し、しかも安定性が悪く断糸しやすくなつ
た。従つて、安定して加工の出来る延伸倍率1.5
を採用した。このように得られた加工糸の捲縮率
TCは8.5であり、トルクは73T/Mであつた。か
かる加工糸を用いて織物を作成した所、ストレツ
チ率は6%のものしか得られなかつた。
第1図は本発明のストレツチ性スパンライク加
工糸を製造する一態様を示す概略図であり、第2
図はPBT/PET複合フイラメント糸の破断伸度
(EL)とPBT/PET複合フイラメント糸を芯糸
に用いた二層構造糸の捲縮率(TC)との関係を
示すグラフ、第3図は本発明のストレツチ性スパ
ンライク加工糸の拡大側面図である。 図中において、1:PBT/PET複合フイラメ
ント糸、2:PETフイラメント糸、3:ガイド、
4:張力装置、5:フイードローラー、6:交絡
処理用ノズル、7:第1デリベリローラー、8:
ヒーター、9:仮撚具、10:第2デリベリロー
ラー、11:巻取チーズ、12:芯糸、13:捲
付糸。
工糸を製造する一態様を示す概略図であり、第2
図はPBT/PET複合フイラメント糸の破断伸度
(EL)とPBT/PET複合フイラメント糸を芯糸
に用いた二層構造糸の捲縮率(TC)との関係を
示すグラフ、第3図は本発明のストレツチ性スパ
ンライク加工糸の拡大側面図である。 図中において、1:PBT/PET複合フイラメ
ント糸、2:PETフイラメント糸、3:ガイド、
4:張力装置、5:フイードローラー、6:交絡
処理用ノズル、7:第1デリベリローラー、8:
ヒーター、9:仮撚具、10:第2デリベリロー
ラー、11:巻取チーズ、12:芯糸、13:捲
付糸。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 仮撚加工を施された少くとも2種のフイラメ
ント糸の一方を芯糸として、そのまわりに他方の
フイラメント糸が捲付き、且つ捲付糸を構成する
フイラメントの一部は芯部のフイラメントとラン
ダムに混合、交錯しつつ、捲付糸全体としては芯
糸の周りに交互反転状に捲付いてなる二層構造糸
において、芯部を構成するフイラメントがポリブ
チレンテレフタレート重合体と、ポリエチレンテ
レフタレート重合体とでサイドバイサイド型或い
は偏心シースコア型に複合されていると共に、そ
の破断伸度が40%以下であり、且つ該二層構造糸
が下記〔〕〔〕の特性を有することを特徴と
するストレツチ性スパンライク加工糸。 〔〕 捲縮率TC10% 〔〕 トルクTr100T/m 2 破断伸度が40%以下であり、且つポリブチレ
ンテレフタレート重合体とポリエチレンテレフタ
レート重合体とでサイドバイサイド型或いは偏心
シースコア型に複合されているフイラメントから
成るフイラメント糸と、破断伸度が100〜200%で
あるポリエチレンテレフタレート重合体で形成さ
れているフイラメントから成るフイラメント糸と
を引揃えた後、実質的に延伸することなく仮撚加
工すると共に、該仮撚加工の前或いは後に交絡を
付与することを特徴とするストレツチ性スパンラ
イク加工糸の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9074283A JPS59216939A (ja) | 1983-05-25 | 1983-05-25 | ストレツチ性スパンライク加工糸及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9074283A JPS59216939A (ja) | 1983-05-25 | 1983-05-25 | ストレツチ性スパンライク加工糸及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS59216939A JPS59216939A (ja) | 1984-12-07 |
JPS6354814B2 true JPS6354814B2 (ja) | 1988-10-31 |
Family
ID=14007033
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9074283A Granted JPS59216939A (ja) | 1983-05-25 | 1983-05-25 | ストレツチ性スパンライク加工糸及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS59216939A (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN108396423A (zh) * | 2018-01-30 | 2018-08-14 | 宁波三邦超细纤维有限公司 | 高收缩涤锦复合仿冰丝纤维及其制备方法 |
-
1983
- 1983-05-25 JP JP9074283A patent/JPS59216939A/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS59216939A (ja) | 1984-12-07 |
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