JPS63505Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はシートの前後をそれぞれ独立して上
下駆動可能にするパワーシートリフタに関する。

第１，２図は、従来のこの種のパワーシートリ
フタの一例を示す。すなわち、このパワーシート
リフタは、アツパチヤンネルアセンブリ２をロア
チヤンネル１上にその長手方向に摺動可能に組付
けた構造である。

該アツパチヤンネルアセンブリ２は、主に、ア
ツパレール３、該アツパレール３に枢着固定した
昇降リンク機構４およびスクリユジヤツキ５ａ，
５ｂ等により構成されている。

かくして、図示しないモータによつて回転する
回転ケーブル軸６ａ，６ｂ（第２図）を介してス
クリユジヤツキ５ａ，５ｂのおねじ部７ａ，７ｂ
を上下駆動することにより、昇降リンク機構４を
介して図示しないシートを上下駆動するようにし
ている。この場合、回転ケーブル軸６ａ，６ｂの
回転の動力源は図示しない一個のモータであり、
該モータの回転力が図示しない二個の電磁クラツ
チを介して、該回転ケーブル軸６ａ，６ｂに伝達
される。

なお、図中、符号８はアクチユエータを示し、
図示しないスライド用モータの回転力を回転ケー
ブル軸６ｃを介して該アクチユエータ８に伝達
し、これによりシートの前後水平移動を可能にし
ている。

かくしてなるこのパワーシートリフタにおい
て、図示しないスイツチ操作によるモータの正逆
回転および電磁クラツチの断続により、例えば車
のシートの前後の高さを独立して適宜調節できる
ようにしている。

しかしながら、このようなパワーシートリフタ
では、回転ケーブル軸６ａ，６ｂ，６ｃの曲率に
一定の制約があるため、その引回しがきわめて困
難である。また、回転ケーブル軸は高価であり、
その使用時には高速回転のため不快な作動音を発
生する等の欠点を有している。さらに、アツパチ
ヤンネルアセンブリ２の構成部材は大きなものを
必要とし（スクリユジヤツキ５ａ，５ｂ、昇降リ
ンク機構４等）、また、電磁クラツチも必要であ
るため、全体的に大がかりな装置となり、重量大
となつて、小型車のシート下部等の狭い空間に設
定するのが困難であり、しかも全体としてコスト
高である等の欠点を有している。

この考案の目的は上述した従来のパワーシート
リフタの欠点を解消し、回転ケーブル軸６ａ，６
ｂ、スクリユジヤツキ５ａ，５ｂ、昇降リンク機
構４および図示しない電磁クラツチ等を排除し
た、構造簡素でしかもシートの前後をそれぞれ独
立して上下駆動可能にするパワーシートリフタを
提供することにある。

このため、この考案のパワーシートリフタは、
シートフレーム側部材とシートレール側部材とを
クランクアームを介して枢着しかつ該クランクア
ームをクランクロツドを介して回動すべく構成し
たシートフロント部用およびシートリア部用のシ
ート昇降機構と、シートフロント部用およびシー
トリア部用モータとをシートフレームに設置し、
前記シートフロント部用シート昇降機構のクラン
クロツドを前記シートフロント部用モータにより
回動可能にし、前記シートリア部用のシート昇降
機構の腕部を一体に形成したクランクロツドを前
記シートリア部用モータにより回動可能にし、前
記シートリア部用モータとシートフロント部用モ
ータの作動によりシートのフロント側昇降、リア
側昇降の各々単独昇降ならびにフロント側および
リア側の同時昇降を可能にしたことを特徴として
いる。

以下、図面に基づきこの考案の実施例について
さらに詳細に説明する。

第３〜５図はこの考案の一実施例としてのパワ
ーシートリフタを車のシート１０の下部に設置し
た状態を示す。図中、符号１１は金属薄板製のベ
ースプレートを示し、該ベースプレート１１の四
箇所Ａ〜Ｄ部に穴を形成し、第６図に示すシート
昇降機構１２のロアリフトサポート１３を貫通さ
せている。

ここで、シート昇降機構１２について第６図を
もとに説明する。図中、符号１４はシートフレー
ムであつて、該シートフレーム１４によりシート
１０の枠組みを形成しており、その第６図下方に
アツパリフトサポート１５を固定している。該シ
ートフレーム１４の直下には、シートスライドレ
ール１６を設置している。該シートスライドレー
ル１６は図示しないロアレールおよび該ロアレー
ル上に、その長手前後方向に摺動可能に係合する
アツパレール１６よりなるのが普通である。該シ
ートスライドレール１６（アツパレール）の第６
図上方には前記ロアリフトサポート１３を固定し
ている。そして、前記アツパリフトサポート１５
と前記ロアリフトサポート１３とをクランクアー
ム１７を介して枢着連結している。この場合、ク
ランクアーム１７の一端部をロアリフトサポート
１３に設けたピン１８により枢着している。ま
た、クランクアーム１７の他端部をクランクロツ
ド１９の一端部を介して前記アツパリフトサポー
ト１５と枢着連結している。すなわち、クランク
ロツド１９の一端部を前記アツパリフトサポート
１５の下端部および前記クランクアーム１７の他
端部に形成した穴１５ａおよび１７ａに貫通して
いる。そして、クランク腕部１９ａを一体に形成
したクランクロツド１９とクランクアーム１７の
穴１７ａとを溶接等により固定して一体にしてい
るが、このとき、クランクアーム１７の長手方向
とクランクロツド１９のクランク腕部１９ａの方
向とがほぼ直交するようにしている。これによ
り、例えば、第６図に示すようにクランクロツド
１９が中立位置にあるとき、クランクアーム１７
は前記シートフレーム１４とほぼ直交位置にあ
り、クランクロツド１９の回動に伴つてクランク
アーム１７もピン１８を中心にして回動し、その
結果、アツパリフトサポート１５およびシートフ
レーム１４が上下動し、シート１０が上下動す
る。

ここで、クランクロツド１９の腕部１９ａの第
６図右方には、後述するモータ２５，２５ａ，２
５ｂの減速機構部２８，２８ａ，２８ｂより突出
したスクリユ軸２６，２６ａ，２６ｂの回転力伝
達手段２０，２０ａ，２０ｂを設けていて、これ
により該クランクロツド１９が前記したクランク
運動をする。この場合、該回転力伝達手段２０
は、主に、スクリユ軸２６に噛合するナツト２
１、ナツトフレーム２２、前記クランクロツド１
９を枢着するクランプ２３、該クランプ２３を固
定するピン２４等より構成している。

かくしてなるシート昇降機構１２を第３，４図
に示すようにシート１０のＡ〜Ｄ部に設置してい
る（第４図中矢印Ｆはフロント側の意味であ
る。）。この場合、第３，４図に示すクランクロツ
ド１９ｂのクランク運動によりシートフレーム１
４のフロント側を上下動させ、クランクロツド１
９ｃのクランク運動によりシートフレーム１４の
リア側を上下動させるようにしている。

すなわち、第３，４図に示すフロント部用クラ
ンクロツド１９ｂをベースプレート１１のＡ，Ｂ
部に設けたフロント部用のシート昇降機構１２
ａ，１２ｂの両方に連結し、リア部用クランクロ
ツド１９ｃをベースプレート１１のＣ，Ｄ部に設
けたリア部用のシート昇降機構１２ｃ，１２ｄの
両方に連結し、該クランクロツド１９ｂ，１９ｃ
をフロント部用モータ２５ａのスクリユ軸２６
ａ、リア部用モータ２５ｂのスクリユ軸２６ｂと
回転力伝達手段２０ａ，２０ｂを介して連結して
いる。

なお、この場合、モータ２５ａ，２５ｂは第５
図に示すように、前記シートフレーム１４に固定
したブラケツト２７に固定されている。また、ス
クリユ軸２６，２６ａ，２６ｂは減速機構部２
８，２８ａ，２８ｂより突出している。

かくして、図示しないスイツチ操作により、リ
フト用モータ２５ａ，２５ｂを適宜正逆回転させ
ることにより、クランクロツド１９ｂ，１９ｃを
クランク運動させシート１０の前後の高さを独立
して調節するようにしている。第３〜５図の場合
は、フロント側のシート１０の位置を高くしてい
るが、これはフロント部用モータ２５ａ、回転力
伝達手段２０ａ、クランクロツド１９ｂ等の作動
による。

なお、第４図中、符号２９および３０はそれぞ
れスライド用モータおよびスライドユニツトを示
し、これらを設置することにより、前記アツパレ
ール１６を図示しないロアレール上で摺動させ、
シート１０を前後位置調節可能にする。また、符
号３０，３１および３２はそれぞれリクライニン
グ用モータ、回転ケーブル軸およびリクライニン
グユニツトを示し、これらを設置することにより
シートバツクのパワーリクライニングを可能にす
る。

この考案のパワーシートリフタは上記した車の
シート１０に設置する場合の他、扉、蓋、屋根等
の開閉装置として使用することもできる。

以上、説明したように、この考案のパワーシー
トリフタによれば、シートフレーム側部材とシー
トレール側部材とをクランクアームを介して枢着
しかつ該クランクアームをクランクロツドを介し
て回動すべく構成したシートフロント部用および
シートリア部用のシート昇降機構と、シートフロ
ント部用およびシートリア部用モータとをシート
フレームに設置し、前記シートフロント部用シー
ト昇降機構のクランクロツドを前記シートフロン
ト部用モータにより回動可能にし、前記シートリ
ア部用のシート昇降機構の腕部を一体に形成した
クランクロツドを前記シートリア部用モータによ
り回動可能にし、前記シートリア部用モータとシ
ートフロント部用モータの作動によりシートのフ
ロント側昇降、リア側昇降の各々単独昇降ならび
にフロント側およびリア側の同時昇降を可能にす
ることとしたから、次のような種々のすぐれた効
果を有する。

すなわち、従来必要とされていた回転ケーブル
軸６ａ，６ｂが全く不要となり、その結果、組付
作業能率が改善され、使用時の作動音も大幅に軽
減する。また、電磁クラツチ等も不要となつて、
操作回路が単純化し、さらにアツパチヤンネルア
センブリ２の大きな構成部材（例えば、スクリユ
ジヤツキ５ａ，５ｂ、昇降リンク機構４等）も全
く不要となり、結局全体的に小型化し、重量も大
幅に軽減でき、狭い空間に設定することがきわめ
て容易となり、しかも安価で、その性能は優れて
おり、シートの前後をそれぞれ独立して上下駆動
可能にする。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のパワーシートリフタの分解説明
図、第２図はそのアツパチヤンネルアセンブリを
示す説明図、第３図はこの考案の一実施例として
のパワーシートリフタを車の座席の下部に設置し
た状態を示す説明図、第４図はその正面図、第５
図は第４図のＶ−Ｖ矢視面に係る説明図、第６図
はこの考案のパワーシートリフタに係るシート昇
降機構を示す説明図である。 １２……シート昇降機構、１３……ロアリフト
サポート、１４……シートフレーム、１５……ア
ツパリフトサポート、１６……シートスライドレ
ール、１７……クランクアーム、１９，１９ｂ，
１９ｃ……クランクロツド、２５ａ……フロント
部用モータ、２５ｂ……リア部用モータ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シートフレーム側部材とシートレール側部材と
   をクランクアームを介して枢着しかつ該クランク
   アームをクランクロツドを介して回動すべく構成
   したシートフロント部用およびシートリア部用の
   シート昇降機構と、シートフロント部用およびシ
   ートリア部用モータとをシートフレームに設置
   し、前記シートフロント部用シート昇降機構のク
   ランクロツドを前記シートフロント部用モータに
   より回動可能にし、前記シートリア部用のシート
   昇降機構の腕部を一体に形成したクランクロツド
   を前記シートリア部用モータにより回動可能に
   し、前記シートリア部用モータとシートフロント
   部用モータの作動によりシートのフロント側昇
   降、リア側昇降の各々単独昇降ならびにフロント
   側およびリア側の同時昇降を可能としたことを特
   徴とするパワーシートリフタ。