JPS6350212Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は変速走行機を有する装軌車両の操向
装置に関する。

従来の技術 従来変速機構、操向機構及び制動機構からなる
変速操向機を有する装軌車両においては、操向用
ハンドルにより左右の横軸に強制的に回転速度差
を与えることにより旋回すると共に、ブレーキペ
ダルにより各横軸を同時に制動することにより停
止するように制御系が構成されている。

考案が解決しようとする問題点 このような変速操向機では、補助的な操向機能
を有しないことから、走行中操向機が作動不良を
起した場合、操向操作が不能となり、車両が暴走
するなどの不具合があつた。

この考案は上記不具合を改善する目的でなされ
たものである。

問題点を解決するための手段及び作用 入力軸より入力された動力を変速機構及び操向
機構を介して左右の横軸へ伝達すると共に左右の
横軸にそれぞれブレーキを設けたものにおいて、
操向機構の正常動作時操向用ハンドル（またはレ
バ）の操作信号を操向系統切換装置及び操向制御
装置を介して上記操向機構へ伝達すると共に、操
向機構の異常時には操作系統切換え装置をブレー
キトルク制御装置側へ切換えて、横軸に設けられ
たブレーキ４のブレーキトルクを制御することに
より操向操作を可能として走行中の安全性を向上
させた装軌車両の操向装置。

実施例 この考案の一実施例を第１図を参照して詳述す
ると、図において１は変速操向機で、入力軸２よ
り入力された動力はこの変速操向機１内に設けら
れた変速機構及び操向機構（ともに図示せず）を
経て横軸３へ出力され、さらに図示しない終減速
機を介して起動輪へ伝達される。上記横軸３には
ブレーキ４が設けられていて、これらブレーキ４
及び変速操向機１は次の制御系により制御され
る。

５は操向用ハンドル（またはレバ）で、この操
向用ハンドル５の操作信号は操作系統切換え装置
６へ入力されるようになつている。操作系統切換
え装置６は手動切換え装置または操向用ハンドル
５の操作角と各横軸３の回転速度差から自動的に
異常を検出して系統を切換える自動切換え装置で
あつて、正常走行時には操作信号を操向制御装置
７へ、また異常が発生した場合は、ブレーキトル
ク制御装置８へ出力するようになつている。上記
操向制御装置７の出力側は変速操向機１に接続さ
れていて、この操向制御装置７の出力により変速
操向機１の変速機構及び操向機構が制御されるよ
うになつている。

また９はブレーキペダルで、このブレーキペダ
ル９の操作信号はブレーキトルク制御装置８へ入
力されるようになつている。ブレーキトルク制御
装置８はブレーキペダル９の踏角と操向用ハンド
ル５の切角から各ブレーキ４の制動トルクが個々
に制御できるようになつており、変速操向機１の
作動不良などにより操作系統切換え装置６がブレ
ーキトルク制御装置８側へ切換えられた場合は、
ブレーキトルク制御装置８からの出力によつて左
右ブレーキ４の制動トルクを制御することによ
り、操向操作が行なえるようになつている。

なおブレーキ４の制動トルクは、ブレーキペダ
ル９の踏角により決まる左右相等しいブレーキト
ルクが各ブレーキ４へ個々に加わるようになつて
いるが、操向用ハンドル５により決まる制動トル
クが一方のブレーキ４へ加えられるようにしても
よく、またブレーキ４の一方には加え、他方は差
し引くようにしてもよい。

一方第２図は入力軸１の回転を変速機１０及び
左右の差動装置１１を介して横軸３へ伝達すると
共に、各差動装置１１の間に操向クラツチ１２を
設けた別の実施例を示すもので、ブレーキ４は差
動装置１１に設けられている。また入力軸１と左
右操向クラツチ１２の間は操向装置解放クラツチ
１３により断続できるようになつている。

上記操向装置の作用を次に説明すると、入力軸
１より変速機１０へ入力された動力は、差動装置
１１で合成されて横軸３へと出力される。また操
向操作は、操向制御装置７より出力される動作信
号により左または右の操向クラツチ１２が断続さ
れ、これによつて左右差動装置１１に回転差が発
生して横軸３へと伝えられる。このとき差動装置
１１のサンギヤは互に自由に空転する必要がある
が、操向クラツチ１２が焼付いた場合、差動装置
１１のサンギヤは自由空転ができなくなり、操向
不能な状態に陥いる。このとき異常を感知した操
作系統切換え装置６が操向制御装置７への操作信
号をブレーキトルク制御装置８側へ切換えると同
時に、ブレーキトルク制御装置８より出力された
信号により操向装置解放クラツチ１３がオフにな
るため、差動装置１１のサンギヤは互に自由に回
転できるようになり、左右ブレーキ４の制動トル
クを制御することにより操向操作が可能になる。

なお第３図は左右差動装置１１の間に可変油圧
ポンプ１５及び固定油圧ポンプ１６よりなる操向
機構を設けた別の実施例で、操向系統切換え装置
６の出力が、正常時は操向制御装置７を介してポ
ンプ容積制御弁１７へ入力されており、ポンプ容
積制御弁１７の動作不良などの異常が発生した場
合は、操向系統切換え装置７からの信号がリリー
フ圧制御弁１８へ出力されてリリーフ圧制御弁１
８のリリーフ圧が降下されるようになつている。
これによつて差動装置１１のサンギヤは自由に空
転できるようになるため、左右ブレーキ４の制動
トルクを制御することにより操向操作が可能にな
る。

考案の効果 この考案は以上詳述したようになるから、走行
中に操向機構が作動不良を起しても、通常の操向
機構を切離して、左右の横軸に設けたブレーキの
制御トルクを制御することにより操向操作が可能
になる。これによつて車両を安全な場所へ移動さ
せて停止することができることから、装軌車両の
安全性を一段と向上させることができるようにな
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を示す構成図、第
２図、第３図は他の実施例を示す構成図である。 １は入力軸、３は横軸、４はブレーキ、５は操
向用ハンドル、６は操作系統切換え装置、７は操
向制御装置、８はブレーキトルク制御装置。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 入力軸１より入力された動力を変速機構及び操
   向機構を介して左右の横軸３へ伝達すると共に、
   左右の横軸３にそれぞれブレーキ４を設けたもの
   において、操向機構の正常動作時操向用ハンドル
   （またはレバ）５の操作信号を操向系統切換え装
   置６及び操向制御装置７を介して上記操向機構へ
   伝達すると共に、操向機構の異常時には操作系統
   切換え装置６をブレーキトルク制御装置８側へ切
   換えて、横軸３に設けられたブレーキ４のブレー
   キトルクを制御することにより操向操作を可能に
   した装軌車両の操向装置。