JPS6347890B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、クランク軸が垂直方向に配置された
バーチカルエンジンのＶベルト装置であつて、主
としてモアを装備したトラクタに搭載されるもの
に関する。

従来の技術 モアを装備したトラクタにおいては、垂直方向
のモア駆動軸とエンジンのクランク軸とが同方向
となるよう、クランク軸を垂直方向に配置したバ
ーチカルエンジンが搭載される。他方、トラクタ
においては、冷却風の採り入れをボンネツトの前
部或いは後部の側面から採り入れるのが通常であ
り、前記バーチカルエンジンのラジエータ及びそ
のラジエータフアンは、エンジン本体の側面部に
取り付けられることになる。また、ラジエータを
循環する冷却水用のポンプについても、それに合
わせて側面に設けられる。このような構造におい
て、上記ラジエータを含めたエンジン全体をボン
ネツト内へコンパクトに収納するためには、上記
ラジエータフアンを駆動するためのＶベルトは、
エンジン本体上部に突出するクランク軸上端から
その側面のラジエータフアン駆動軸との間で巻き
掛けすることが必要となる。これにより、Ｖベル
トは、エンジン本体上面側から側面側に略直角に
捻つた状態で巻き掛けされる。

発明が解決しようとする課題 そのため、そのようなバーチカルエンジンにお
いては、ラジエータフアン及び冷却水ポンプを駆
動するためのＶベルトは、上記のように略直角に
捻られていることから寿命が短く比較的早期に変
換する必要があり、それには、その交換を容易に
行なえるようにすることが必要である。また、上
記のようにラジエータフアンや冷却水ポンプ或い
はその他の機器を駆動するためのＶベルトを、ク
ランク軸上端部分から巻き掛けて引つ張ると、そ
のＶベルトの張力によつて、クランク軸特にクラ
ンクピンフイレツト部分（クランク軸本体とクラ
ンクアームの境界部分）に曲げ応力が発生するた
め、そのような曲げ応力を極力減少させることが
必要である。

この発明は、かかる問題点に鑑み、ラジエータ
フアン及び冷却水ポンプを駆動するためのＶベル
トの交換が容易で、かつ、クランク軸に発生する
曲げ応力を出来るだけ減少させたバーチカルエン
ジンのＶベルト装置を提供することを目的とす
る。

課題を解決するための手段 上記の目的を達成するため、この発明では、ラ
ジエータフアンと冷却水ポンプを、クランク軸を
挟んだシリンダヘツドの反対側において、その駆
動軸軸芯がクランク軸と直角方向となるようにし
て配置するとともに、これらのラジエータフアン
及び冷却水ポンプを前記クランク軸上端部よりＶ
ベルト駆動すべく連結する一方、作動油ポンプ及
びダイナモ等の補機を前記クランク軸よりもシリ
ンダヘツド側に配置して、そのクランク軸上端よ
りＶベルト駆動すべく連結し、上記ラジエータフ
アン及び冷却水ポンプ駆動用のＶベルトを、前記
補機類駆動用Ｖベルトよりも上部側において、ク
ランク軸上端のプーリヘ巻き掛かけてなることを
特徴としている。

作 用 早期に交換する必要のあるラジエータフアン及
び冷却水ポンプ用のＶベルトは、他方の補機類駆
動用Ｖベルトよりもクランク軸上端の上部側に巻
き掛けされていることから、その他方のＶベルト
に邪魔されることなく交換できる。また、両Ｖベ
ルトが互いに逆方向へ引つ張られていることか
ら、そのクランク軸に発生する曲げ応力が相殺さ
れるとともに、クランク軸に発生する応力の大き
いシリンダヘツド側のＶベルトが下側に位置して
いることから、曲げモーメントが小さくなり、他
方の側のＶベルトとの釣合いが良好になる。

実施例 次に本発明の構成を図示の実施例に基づいてよ
り詳しく説明すると、第１図及び第２図おいて、
１はエンジン本体であり、このエンジン本体１は
前部側のシリンダヘツド２、中間部のシリンダブ
ロツク３、後部のクランク室ケース４、シリンダ
ブロツク３の下部に設けたオイルパン５からな
り、シリンダブロツク３とクランク室ケース４と
の境界部分において、クランク軸６が垂直方向に
軸架されている。７は、エンジン本体１の上部へ
突出するクランク軸６の端部へ取り付けたフライ
ホイール、８は、該フライホイール７の上部にお
いて、同じくクランク軸６の端部へ取り付けたク
ランク軸プーリを示している。

このような構造において、前記クランク室ケー
ス４の後面、即ちシリンダヘツド２と反対側の側
面には、第３図で示すように、そのほぼ中央部分
に冷却水ポンプ９が取り付けられて、その駆動軸
１０軸芯が、クランク軸６に対して直角な方向で
ある前後方向に向けられている。更に、この冷却
水ポンプ９の先端部分には、第３図で示すよう
に、該冷却水ポンプ９の駆動軸１０と同一軸上
に、共に一体に回転する前部側のラジエータフア
ン１１とフアン用プーリ１２とが取り付けられて
いる。ラジエータフアン１１の前部側にはラジエ
ータ１３が配設されており、このラジエータ１３
の下側の出口に連結した冷却水出口管１４は、そ
の出口端が前記冷却水ポンプ９の吸入側へ、更
に、この冷却水ポンプ９の吐出側に連結した供給
管１５は、その出口端がシリンダヘツド２の入口
部へ接続されている。他方、シリンダヘツド２の
出口部へ接続した冷却水戻り管１６は、その出口
側端部が、前記ラジエータ１３上部の入口部へ連
結されて、冷却水を強制循環させるようにしてあ
る。

更に、フアン用プーリ１２の上方には、ブラケ
ツト１７，１７によつてエンジン本体１へ取り付
けられた左右一対のテンシヨンプーリ１８，１８
が、エンジン本体１の後方でしかも斜め外方へ張
り出した状態で配置されている。１９は、前記ラ
ジエータフアン１１を駆動するＶベルトであり、
このＶベルト１９は、まず前記クランク軸プーリ
８へ巻き掛けられるとともに、その断面方向へ捩
じられつつ左右両側へ広がつた後各々テンシヨン
プーリ１８，１８を迂回し、しかる後、下方へ略
垂直に屈曲して前記フアン用プーリ１２へ巻き掛
けされ、このようにして、ラジエータフアン１３
及び冷却水ポンプ９をクランク軸６からＶベルト
１９を介して駆動するようにしている。

２０は、このエンジンが搭載される機械、例え
ば、トラクタの油圧機器等へ圧油を供給する作動
油ポンプであり、この作動油ポンプ２０は、前記
ラジエータ１３及び冷却水ポンプ９と反対側即ち
クランク軸６よりもシリンダヘツド２側におい
て、エンジン本体１の右側面部へ固定されるとと
もに、その駆動軸上端へ取り付けたプーリ２１
が、フライホイール７の斜め右前方に配置されて
いる。この作動油ポンプ２０の左右方向の反対側
にはダイナモ２２がエンジン本体１へ取り付けら
れ、そのプーリ２３がフライホイール７の左斜め
前方に位置して、これら作動油ポンプ用プーリ２
１とダイナモ用プーリ２３及び前記クランク軸プ
ーリ８に、もう１つのＶベルト２４が巻き掛けさ
れ、これらのダイナモ２２及び作動油ポンプ２０
を、クランク軸６より駆動するようにしている。
この場合、これら作動油ポンプ用プーリ２１及び
ダイナモ用プーリ２３へ巻き掛けたＶベルト２４
は、ラジエータフアン１１等を駆動するＶベルト
１９より下側において、クランク軸プーリ８へ巻
き掛けされている。

前記シリンダヘツド２と反対側には、クランク
室ケース４の側面部分のスペースを有効利用して
スタータ２５が配置されている。

第４図は、上記冷却水ポンプ９とシリンダヘツ
ド２間に接続した冷却水供給管１５の中間部分の
構造を示している。第２図でも示すように、冷却
水供給管１５は、この中間部分において、冷却水
ポンプ９側の第１供給管３１とシリンダヘツド２
側の第２供給管３２とに分割形成されている。こ
の場合、エンジン本体１の側面側からオイルパン
５及びシリンダブロツク３側面を通つて、シリン
ダヘツド２に至るまで該供給管１５を一体に形成
すると、屈曲形状が複雑となり製作が困難とな
る。そこで、この例では第１供給管３１と第２供
給管３２とに分割形成するとともに、これらの対
向端部を継手管３３へ外嵌して相互に接続したも
のである。そして、この継手管３３は、上記第
１、第２供給管３１，３２が嵌着される本体部３
４と、該本体部３４より及び下方へ突出されたド
レン抜きパイプ３５が一体に形成されて、この部
分で機関全体のドレン抜きを行なえるようにして
いる。３６は、該ドレン抜きパイプ３５部分へね
じ込んだドレン抜きプラグを示している。更に、
この継手管３３の裏面には、前記オイルパン５側
面への固定板３７が一体に形成されており、この
固定板３７がボルト３８によつてオイルパン５へ
固定されて、供給管１５全体の振れ止めを兼ねさ
せている。

第５図〜第７図は、同じく冷却水供給管１５に
おいて、機関冷却水の入口へ接続される第２供給
管３２出口部に、冷却水を加熱するブロツクヒー
タ４１を設けた場合の構造を示している。図にお
いて、４２は、機関冷却水の冷却水ジヤケツトで
あつて、この冷却水ジヤケツト４２の入口４３部
には、入口用継手管４４が機関の側面部へボルト
４５にて固着され、この継手管４４へ前記第２供
給管３２の出口端が接続される。そして、継手管
４４には、その外方よりブロツクヒータ４１がね
じ込んで取り付けられ、そのヒータ部４６は、継
手管４４内から冷却水ジヤケツト４２内へ突出す
るようにして取り付けられる。従来、かかるブロ
ツクヒータ４１は、シリンダブロツク３等のエン
ジン本体１へ直接取り付けているが、そうする
と、該本体１へ大きな穴を開口する必要があり、
そのため剛性が低下し、かつ、開口スペースを見
い出すことも困難であるという欠点がある。これ
に対して継手管４４部分で取り付ければかかる欠
点が解消され、また、エンジン本体１に取り付け
穴を設ける必要がないため、即ちエンジン本体１
は標準仕様のままでよく、継手管４４を交換する
のみで汎用エンジンにも使用できる。なお、上記
冷却水ジヤケツト４２の入口４３は該ジヤケツト
４２の最下部へ開口されており、これによつてド
レン抜きとしても使用でき、かつ、ブロツクヒー
タ４１もこの最下部に設けられることから、効率
的に加熱できる。

効 果 以上の如く、本発明では、作動油ポンプ及びダ
イナモ等の補機駆動用のＶベルトと、ラジエータ
フアン及び冷却水ポンプ駆動用のＶベルトとがク
ランク軸を挟んで互いに逆方向へ引つ張られるこ
ととなり、そのため、該クランク軸に作用する曲
げ応力が相互に減殺され、該クランク軸の耐久性
を向上できる効果がある。この場合、前述したよ
うに、Ｖベルトの張力によるクランク軸の曲げ応
力は、シリンダヘツド側に引つ張つた方が他方の
側よりも大きくなるが、この発明では、その曲げ
応力の大きいシリンダヘツド方向のＶベルトが、
他方のＶベルトよりも下側においてクランク軸プ
ーリへ巻き掛けされていることから、すなわち、
Ｖベルトの張力による力の作用点が曲げモーメン
トの支点側に近くなることから、曲げ応力の小さ
い反対側のＶベルトとの釣合いが良好となり、よ
り曲げ応力が小さくなるという効果が得られる。
また、クランク軸が水平方向に配置された一般の
エンジンでは、作動油ポンプ及びダイナモがクラ
ンク軸の下側に位置するため全体の重量バランス
を取り難くなるが、本発明では、これら作動油ポ
ンプ等が垂直方向のクランク軸を挟んでラジエー
タフアン及び冷却水ポンプと反対側に位置してい
るので最適の重量バランスが得られるという効果
がある。

更に、前述したように、冷却水ポンプ及びラジ
エータフアン駆動用のＶベルトは、略直角方向に
捻つて取り付けられることとなり、他方のＶベル
トよりも早期に交換する必要を生ずるが、このＶ
ベルトがその他方のＶベルトよりも上部側におい
て、クランク軸上端のプーリへ巻き掛けされてい
ることから、そのシリンダヘツド側のＶベルトに
邪魔されることなく容易に交換を行なうことがで
き、全体をコンパクトにまとめながらなおかつＶ
ベルトの交換を容易にした点において、顕著な効
果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明実施例を示すエンジンの全体
平面図、第２図は同じく側面図、第３図は、冷却
水ポンプ取り付け部分の拡大縦断面図、第４図
は、冷却水供給管中間部分の拡大側面図、第５図
は、冷却水供給管を冷却水ジヤケツト側へ接続す
る継手管部分の拡大縦断面図、第６図は同じく正
面図、第７図は同じく横断面図である。 ２……シリンダヘツド、６……クランク軸、８
……クランク軸プーリ、９……冷却水ポンプ、１
０……駆動軸、１１……ラジエータフアン、１
９，２４……Ｖベルト、２１……作動油ポンプ、
２２……ダイナモ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ラジエータフアンと冷却水ポンプを、クラン
   ク軸を挟んだシリンダヘツドの反対側において、
   その駆動軸軸芯がクランク軸と直角方向となるよ
   うにして配置するとともに、これらのラジエータ
   フアン及び冷却水ポンプを前記クランク軸上端部
   よりＶベルト駆動すべく連結する一方、作動油ポ
   ンプ及びダイナモ等の補機を前記クランク軸より
   もシリンダヘツド側に配置して、そのクランク軸
   上端よりＶベルト駆動すべく連結し、上記ラジエ
   ータフアン及び冷却水ポンプ駆動用のＶベルト
   を、前記補機類駆動用Ｖベルトよりも上部側にお
   いて、クランク軸上端のプーリヘ巻き掛けてなる
   ことを特徴とするバーチカルエンジンのＶベルト
   装置。